(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/158 20210101AFI20240805BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20240805BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20240805BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20240805BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
F24F8/158
F24F8/108 120
F24F8/108 310
F24F8/108 210
B01D46/00 F
B01D46/00 C
B01D53/04 110
A61L9/014
(21)【出願番号】P 2021533234
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2019083726
(87)【国際公開番号】W WO2020120263
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-04
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513186590
【氏名又は名称】ブルーエアー・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ハディング・デリン,ラース・ジョアン・ヴィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ダンベルガー,ラース・ヘンリック
(72)【発明者】
【氏名】サック,ステファン
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-276904(JP,A)
【文献】特開2012-035249(JP,A)
【文献】特開平07-293939(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017276(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第103657321(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105318432(CN,A)
【文献】国際公開第2011/055762(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0067659(US,A1)
【文献】特開2009-090040(JP,A)
【文献】特開2003-047819(JP,A)
【文献】特開平11-276568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/158
F24F 8/108
B01D 46/00
B01D 53/04
A61L 9/014
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り外し可能な微粒子フィルター(4)、ファン(2)またはインペラを備え、モータによって動力が供給される家庭用空気清浄器システムであって、空気が空気流方向に通過して浄化される空気ダクト(1)と、前記空気ダクト(1)がダクト壁を備え、ここで、前記空気ダクト(1)の一部がガスフィルター(3)を備えることを特徴と
し、
ここで、前記ガスフィルター(3)がダクト表面を含み、前記ダクト壁と面一である、家庭用空気清浄器システム。
【請求項2】
前記空気ダクト(1)は、前記清浄器システムを通過する間に前記空気流の方向が少なくとも1回変化するように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記微粒子フィルター(4)は、前記空気流方向に沿って通過する空気が前記微粒子フィルター(4)を通過するように配置される、請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガスフィルター(3)が発泡成分を含む、請求項1~
3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載のシステムにおいて、ガスフィルターを通過させることによって、周囲空気から不要なガスを除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2006/0191415号(Johnson)は、ディーゼルエンジンからの排気中に浮遊する粒子状物質を捕捉し、粒子からガスを分離するための装置を開示している。この装置は、メッシュによって捕捉されるように流れに同伴された粒子を導く、らせん状排気チャネルを備えるが、ガスはらせん状に影響されず、別々に捕捉される。
【0003】
CN205372827(Yiming)は、ダクト型プラズマ空気消毒清浄器を開示している。このダクト型プラズマ消毒装置は、箱体と、ファン類と、プラズマ発生装置と、アニオン発生装置とを備え、前記2つのファンは、前記箱体の側壁及び上端に別々に配置され、前記各ファンの外側にはファンハウジングが設けられ、前記2つのファンハウジングの間にはフローガイドシートが接続され、前記フローガイドシートによりフローガイドチャンネルが形成され、前記プラズマ発生装置と前記アニオン発生装置とは、前記箱体内の底端部に別々に、かつ、固定的に配置され、前記プラズマ発生装置と前記アニオン発生装置の電極は、前記フローガイドシートを貫通して前記フローガイドチャンネル内に配置されていることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US2006/0191415A号
【文献】CN205372827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術にもかかわらず、空気浄化システム、特に家庭環境での使用を意図した独立型空気浄化システムに対するさらなる改良が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、第1の態様では、取り外し可能な微粒子フィルター、ファンまたはインペラを備え、モータによって動力が供給される家庭用空気清浄器システムであって、空気が空気流方向に通過し、清浄化される空気ダクトと、ダクト壁を備え、ダクト壁の一部がガスフィルターを備える、家庭用空気清浄器システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、多くの市販製品に見られる典型的な構造である。
【
図2】
図2は、活性炭フィルター(3)が空気ダクト(1)の側部に配置され、空気流が空気ダクト(1)の側部を通過し、空気ダクト(1)を通過しないようになっている、本発明による実施形態である。
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、有害ガスの効果的な除去が、空気流方向に配置されたガスフィルターを使用することによって達成され得ることを見出した。これは、空気の流れ方向を横切るように意図的に同一のガスフィルターが配置されている文献および市場での空気清浄器とは対照的であり、そのため空気を強制的に通過させる。そのような設計は、空気が装置を流れるときに望ましくない圧力低下をもたらす。圧力降下はファン速度の増加および騒音の増加につながり、いずれも消費者の心には望ましくない性能特性である。これは、特に、装置が寝室で使用され、静かであるが効果的な性能が非常に望ましい夜間に使用される場合にあてはまる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましくは、ガスフィルターは、弾性又は曲げ可能な材料を含む。これにより、空気清浄システムの設計に従ってフィルターを配置することができ、それに応じては設計できない。
【0010】
好ましくは、ガスフィルターは、当技術分野で知られているような炭素フィルターである。好ましくは、それは活性炭フィルターである。
【0011】
好ましくは、ガスフィルターは、ダクト壁と同一平面にあるダクト表面を備える。空気ダクト内のガスフィルターのこの配置は、装置を通る空気の流れを改善し、なおかつ許容可能な性能のレベルを維持する。
【0012】
好ましくは、ガスフィルターは、ダクトに取り付けるための手段を含む。したがって、ダクト壁は、好ましくはガスフィルターを受け入れるための手段を含む。
【0013】
取り付けのための適切に好ましい手段は、ラグ、スロット、フリクションフィット、およびスナップフィット配置を含む。好ましくは、ガスフィルターは、改良されたフィッティング手段を提供するための実質的に剛性のフレームを含む。そのようなフレームは、金属またはプラスチックを構成することができ、周辺フレームまたはメッシュタイプのフレーム構成を形成することができる。より好ましくは、ガスフィルターは、ダクト壁に取り付けるための手段が実質的に剛性のフレーム上に配置される。より好ましい実施形態では、ガスフィルターは、フレームの使用を維持しながらガス濾過媒体の交換を行うことができるように、前記フレームから取り外し可能である。
【0014】
好ましくは、空気ダクトは、空気の流れ方向が装置を通過する間に少なくとも1回変化するように構成される。空気流は、方向を変える場合はベントと呼ばれ、または方向の変化が45または90度である場合はエルボーと呼ばれる。方向の変化は、ケーシングおよびベント、接合部、構築物、メッシュなどのフローガイドによっても作り出すことができる。このような実施例では、空気が低い圧力降下とエネルギー入力と共にその方向が変化する間に濾過される。したがって、この装置は、ガス濾過の状況において、よりエネルギー効率がよい。
【0015】
本発明によるシステムは、典型的には空気を一方向にシステム内に引き込み、別の方向に排出することを含んでいた。その間、システムの設計によって、空気の流れが、1回以上方向が変わることがある。換言すれば、空気置換手段から微粒子フィルターへの空気流には、1つ以上のベントが存在するかもしれないし、または空気流が系に存在するかもしれない。
【0016】
空気の流れの方向に変化がある場合、これは通常、ファンと微粒子フィルターの間にある。好ましくは、前記ガスフィルターは、気流方向が変化する箇所に配置され、より好ましくは、前記ガスフィルターは、屈曲して遠方の壁に配置される。
【0017】
好ましくは、システムは、除去可能な微粒子フィルターをさらに含む。微粒子フィルターは、空気の流れの中でフィルターを通過する際に粒子状物質を捕捉することが目的である。好ましくは、取り外し可能な微粒子フィルターは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルターである。空気清浄器のフィルター部分はその機能の重要な部分であるが、空気清浄器は一般にフィルターを所定の位置に配置して製造されるものではないことが理解されるべきである。これらは実際には常に別々に製造され、最も重要なことには、空気清浄器自体の製造業者とは異なる商業的企業によって製造されることが多い。また、異なる製造業者によって製造された異なる空気清浄機モデル用のフィルターを製造することは、フィルターの製造業者にとって典型的である。微粒子フィルターは、プレフィルターまたは存在する任意のダストフィルターと対比されるべきである。プレフィルターおよびダストフィルターは、HEPAフィルターが示す粒子捕捉能力を有していないため、HEPAフィルターとはみなされない。
【0018】
前記微粒子フィルターは、前記空気の流れ方向に沿って通過する空気が前記微粒子フィルターを通過するように配置されることが好ましい。
【0019】
システムは、空気置換手段を備える。典型的な置換手段は、ファン及びインペラを含む。空気置換手段は空気が系を通って押されるか、または系を通って引かれるように、空気流の始めまたは終わりに配置されてもよい。一般的なファンには、放射状ファンと軸流ファンがある。本発明による装置は、放射状ファンを備えることが好ましい。放射状ファンは、軸流ファンよりもはるかにエネルギー効率が高く、また、システムのダクト壁に沿って配置されたガスフィルターの上を通過するときに乱流を生じにくい空気流を生じさせる。
【0020】
このようなシステムでは、空気がガスフィルターの上を通過することによって不要なガスを清浄にし、必ずしも通過させない。驚くべき利点は、空気を通過させるのではなく、単にそのようなフィルターを通過させることによって空気からガスを浄化することができるだけでなく、そのようなシステムではガス浄化能力の損失がないことである。したがって、同じエネルギー消費に対して同じ量のガスを浄化することができる。ファン速度を下げることができるため、システムを通る空気の流れを駆動するために使用されるエネルギーが少なくなる。
【0021】
好ましくは、ガスフィルターは、多孔質部材を有し、好ましくは泡状フィルターを含む。
【0022】
好ましいガスフィルターは、より多孔質になるように処理された市販の形態の炭素である活性炭を含む。
【0023】
好ましくは、ガスフィルターは交換可能である。しかしながら、それらが内部に配置されていることを考慮すると、装置はまた、ガスフィルターへの適切な接近を可能にするための手段を含むことが好ましい。好ましくは、このシステムがガスフィルターの取り外しおよび交換を可能にするドアまたは他の適切なアクセスを備えている。
【0024】
また、システムは、空気入口及び/又は出口にプレフィルター又はダストフィルターを備えることが好ましい。このようなフィルターは、PM10及びPM2.5のような小微粒子フィルターとして作用する物理的密度を欠いているので、HEPAフィルターではないが、ほこりがシステムに入るのを阻止し、また、ユーザ又はシステムへの負傷又は損傷を防止するポークガードとしても作用する。
【0025】
好ましくは、システムはまた、周囲空気中の特定のガスの濃度を感知するためのセンサを含む。より好ましくは、システムの動作パラメータがセンサから得られた結果によって決定されてもよい。例えば、より多くのホルムアルデヒドが検出された場合、ファン速度を増大させることができる。あるいは、ガスレベルが操作の変更が有益であり得るようなものであることを、ユーザインターフェースを介して、またはスマートフォンを介して消費者に示すことができる。例えば、ファン速度を変更したり、フィルターを変更したり、家庭環境におけるシステムの配置を変更したりすることができる。
【0026】
第2の態様では、請求項1~5のいずれかに記載のシステムにおいてガスフィルターを通過させることによって、周囲空気から不要なガスを除去する方法が提供される。不要なガスには、ホルムアルデヒド、亜酸化窒素および揮発性有機炭素部分が含まれる。
【実施例】
【0027】
次に、本発明の実施形態を、以下の非限定的な図面を参照して説明する:
【0028】
図1は、多くの市販製品に見られる典型的な構造である。空気ダクト(1)は、ファン(2)によって生成される空気流(A)を規定する。空気は、微粒子フィルター(4)および活性炭フィルター(3)を通過する。
【0029】
図2は、活性炭フィルター(3)が空気ダクト(1)の側部に配置され、空気流が空気ダクト(1)の側部を通過し、空気ダクト(1)を通過しないようになっている、本発明による実施形態である。微粒子フィルター(4)は、
図1と同じ位置にある。
【0030】
図3はさらなる実施形態であり、ダクトは、(5において)屈曲されてエルボを形成する。この場合、活性炭フィルター(3)は、湾曲部において空気ダクト(1)の遠い方の表面にのみ配置される。本実施形態の微粒子フィルター(4)は、炭素フィルター(3)の前に配置されている。