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特許75323802ピース型センサアセンブリ及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】2ピース型センサアセンブリ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240805BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240805BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61B10/00 E
G01N21/64 F
A61B5/00 N
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021540430
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2019048319
(87)【国際公開番号】W WO2020149885
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】62/793,000
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517175301
【氏名又は名称】メディビーコン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ロイガース、マーティン
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/083503(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0230739(US,A1)
【文献】特表2009-534396(JP,A)
【文献】国際公開第2018/140978(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0267809(US,A1)
【文献】特開平11-076172(JP,A)
【文献】特表平07-506987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0310023(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/00
A61B 5/145-5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2ピース型センサアセンブリであって、
患者の身体表面に接着可能に構成され、かつ少なくとも1つの開口部を有する取り付けカラーと、
前記取り付けカラーの前記少なくとも1つの開口部に装着されるように構成された皮膚センサと、を備え、
前記皮膚センサは、
前記身体表面に対して少なくとも1つの問い合わせ光を照射するように構成された少なくとも1つの放射線源と、
前記身体表面の方向から入射した少なくとも1つの応答光を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、を含み、
前記皮膚センサは、前記身体表面に接着される前記取り付けカラーの前記少なくとも1つの開口部から突出することを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記取り付けカラーは、該カラーと前記身体表面との間に遮光シールを形成し、
前記皮膚センサは、該センサと前記取り付けカラーとの間に遮光シールを形成することを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記皮膚センサ、前記取り付けカラー、またはその両方に通信可能に接続されたコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、該コントローラと前記皮膚センサ及び/または前記取り付けカラーとの間で情報を送受信し、それにより、前記少なくとも1つの放射線源及び前記少なくとも1つの検出器を制御するようにプログラムされていることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記コントローラは、前記皮膚センサ、前記取り付けカラー、またはその両方から認証情報を受信するようにさらにプログラムされていることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記取り付けカラーは、
前記少なくとも1つの開口部に前記皮膚センサを確実に固定するように構成されたロック機構をさらに含むことを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記患者の身体からの当該センサアセンブリの脱離または分離、または、前記取り付けカラーからの前記皮膚センサの脱離または分離を引き起こす、当該アセンブリのケーブルの偶発的な引っ張りを減少させるかまたは排除するように構成されたケーブル管理システムをさらに備え、
前記ケーブル管理システムは、前記取り付けカラー、前記皮膚センサ、またはその両方に設けられることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記少なくとも1つの検出器は、前記患者の体内に投与された指標物質の前記問い合わせ光に対する光学的応答によって生成される応答光を検出するように構成されることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記指標物質は、下記の化学式Iで表される化合物であることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
式中、
及びXは、互いに独立して、-CN、-CO、-CONR、-CO(AA)、-CO(PS)、及び、-CONH(PS)からなる群から選択され、
及びYは、互いに独立して、NR、及び、
からなる群から選択され、
は、単結合、-CR-、-O-、-NR-、-NCOR-、-S-、-SO-、及び、-SO-からなる群から選択され、
及びRは、互いに独立して、H、-CH(CHOH)H、-CH(CHOH)CH、-CH(CHOH)COH、-(CHCOH)COH、-(CHCHO)H、-(CHCHO)CH、-(CHSOH、-(CHSO 、-(CHSOH、-(CHSO 、-(CHNHSOH、-(CHNHSO 、-(CHNHSOH、-(CHNHSO 、-(CHPO、-(CHPO 、-(CHPO2-、-(CHPO 3-、-(CHPO、-(CHPO、及び、-(CHPO 2-からなる群から選択され、
AAは、ペプチド結合またはアミド結合によって互いに結合された1以上の天然または非天然のアミノ酸を含むポリペプチド鎖であり、AAの各々は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、
PSは、グリコシド結合によって互いに結合された1以上の単糖単位を含む硫酸化多糖鎖または非硫酸化多糖鎖であり、
aは、0~10の範囲の数であり、
cは、1~100の範囲の数であり、
m及びnは、互いに独立して、1~3の範囲の数である。
【請求項9】
請求項7に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記指標物質は、下記の化学式で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩であることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記検出器は、前記応答光の強度を複数の時点で測定するように構成されていることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記取り付けカラーは、
前記少なくとも1つの開口部に前記皮膚センサを固定するための手段をさらに含むことを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
当該アセンブリに取り付けられたケーブルを管理するケーブル管理手段をさらに備え、
前記ケーブル管理手段は、前記取り付けカラー、前記皮膚センサ、またはその両方に設けられることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項13】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
前記皮膚センサ及び前記取り付けカラーは、
前記皮膚センサと前記取り付けカラーとの間の認証手段をさらに有することを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリであって、
両面接着剤をさらに備え、
前記両面接着剤は、その第1の面が前記患者の皮膚に接着され、その第2の面が前記皮膚センサに接着されるように構成されていることを特徴とする2ピース型センサアセンブリ。
【請求項15】
患者の糸球体濾過量(GFR)を測定する方法であって、
請求項1に記載の2ピース型センサアセンブリを前記患者の身体表面に配置し、前記取り付けカラーを前記身体表面に接着するステップと、
前記患者の体内に、問い合わせ光に応答して光学的応答を生成するように構成された指標物質を投与するステップと、
前記2ピース型センサアセンブリを使用して前記光学的応答を所定時間にわたって検出するステップと、
検出された前記光学的応答に基づいて前記患者の糸球体濾過量(GFR)を測定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年1月16日出願の米国特許仮出願第62/793、000号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示の分野は、一般的に、センサシステムに関する。
より詳細には、本開示は、一般的に、複雑な電子部品を含む皮膚センサの再利用が可能であり、かつ、皮膚センサを患者の身体の所定の位置に保持する取り付けカラーが使い捨て式または再利用可能である、2ピース型のセンサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床及び前臨床の分野では、例えば、臓器の機能に応じてそれに対応する治療または投薬が調節されるので、様々な臓器の機能を把握することが非常に重要である。2ピース型センサアセンブリは、以下では、実質的に腎機能モニタリングに関して説明する。しかしながら、原理的には、指標物質の時間的プロファイルを測定することによって特定の器官の機能を検出することができる他の用途も考えられる。
【0004】
糸球体濾過量(GFR)は、患者の腎機能レベルを評価するための重要な臨床パラメータである。下記の表1に示すように、慢性腎臓病(CKD)などの腎機能障害は、GFRが低いほど重症度が高くなる。GFRは、血液検査によって測定された血中クレアチニン濃度と、他の因子との組み合わせに基づいて推定することができる。GFRをより正確に推定する方法は、患者に外因性物質を注入し、その後、所定期間にわたって、血漿及び/または尿の濃度を注意深くモニタリングすることを必要とする。外因性物質としては、多くの場合、造影剤(CA)を使用されるが、造影剤(CA)の使用は、腎障害を引き起こす恐れがある。放射性同位体またはヨウ素化芳香環が、GFR測定に使用される造影剤(CA)の2つの一般的なカテゴリである。
【0005】
【表1】
【0006】
従来の腎モニタリング方法では、患者の糸球体濾過量(GFR)の近似値は、24時間採尿方法を用いて求めることができる。24時間採尿方法は、(その名前が示すように)一般的に、約24時間の採尿、さらに数時間の分析、及びベッドサイドでの細心の収集技術を必要とする。残念ながら、この方法では患者のコンプライアンスが非常に低く、そのため、臨床医には一般的に利用されていない。
【0007】
糸球体濾過のみで腎臓から除去することができる外因性物質(以降、「GFR物質」と称する)の例としては、クレアチニン、o-ヨードヒップラン、及び99mTc-DTPAが挙げられる。尿細管分泌によって腎クリアランスすることができる外因性物質の例としては、99mTc-MAG3、及び当技術分野で既知の他の物質が挙げられる。99mTc-MAG3は、ガンマシンチグラフィまたは腎血流測定による腎機能評価にも広く使用されている。o-ヨードヒップラン、99mTc-DTPA、及び99mTc-MAG3などの多くの指標物質の欠点は、それらが放射性同位体であることに起因して、特別な取り扱い技術が必要であること、及び、患者の健康に対するリスクがあることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】PCT/EP2009/060785号公報
【文献】米国特許第6、995、019B2号明細書
【文献】米国特許出願第62/577、951号明細書
【文献】米国特許第8、155、000号明細書
【文献】米国特許第8、664、392号明細書
【文献】米国特許第8、697、033号明細書
【文献】米国特許第8、722、685号明細書
【文献】米国特許第8、778、309号明細書
【文献】米国特許第9、005、581号明細書
【文献】米国特許第9、114、160号明細書
【文献】米国特許第9、283、288号明細書
【文献】米国特許第9、376、399号明細書
【文献】米国特許第9、480、687号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、2ピース型センサアセンブリを提供する。本開示の2ピース型センサアセンブリは、患者の身体表面に取り付けるように構成され、かつ少なくとも1つの開口部を有する取り付けカラーと、取り付けカラーの少なくとも1つの開口部に装着されるように構成された皮膚センサと、を備え、皮膚センサは、身体表面に対して少なくとも1つの問い合わせ光を照射するように構成された少なくとも1つの放射線源と、身体表面の方向から入射した少なくとも1つの応答光を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、を含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、患者の糸球体濾過量(GFR)を測定する方法を提供する。本開示の方法は、2ピース型センサアセンブリを患者の身体表面に配置するステップと、患者の体内に、問い合わせ光に応答して光学的応答を生成するように構成された指標物質を投与するステップと、2ピース型センサアセンブリを使用して光学的応答を所定時間にわたって検出するステップと、検出された光学的応答に基づいて患者の糸球体濾過量(GFR)を測定するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、センサを取り付けカラーに固定するためにセンサの各側に設けられたロックバーと、張力緩和及びケーブル(コード)の引っ張りに対する安全を提供するためのケーブル管理システムと、皮膚から取り付けカラーを容易に取り外すためのプルタブとを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図2図2は、選択的な接着面を使用して皮膚センサを取り付けカラーに取り付けた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図3図3は、バーコード/QRリーダを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図4図4は、皮膚センサと取り付けカラーとの間の結合部分における遮光を確実にするための蛇行した光路を示す。
図5図5は、皮膚センサと取り付けカラーとの間のカムロックを示す。
図6図6は、取り付けカラーに対する皮膚センサの位置合わせ及び位置決めを補助するためのタブを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図7図7は、患者の皮膚上の皮膚センサにわずかな下向きの圧力を提供する、2ピース型センサアセンブリ用の伸縮ポケット式の取り付けカラーを示す。
図8図8は、RFID認証と、取り付けカラーに設けられたケーブル(コード)の引っ張りに対する安全を提供するためのケーブル溝とを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図9図9は、取り付けカラーと皮膚センサとの間のロック・アンド・キータイプの固定機能を備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図10図10は、取り付けカラーと皮膚センサとの間の磁気結合機能を備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図11図11は、センサを取り囲む取り付けカラーと、ケーブル(コード)の引っ張りからの張力緩和及び安全を提供するためのケーブル管理システムとを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図12図12は、センサによって検出することができる、取り付けカラー内に埋め込まれた化学物質を含む、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図13図13は、皮膚センサと取り付けカラーとの間にスベイルアタッチメントを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図14図14は、タブ配置ポートと、張力緩和及びケーブル(コード)の引っ張りに対する安全を提供するためのケーブル管理システムとを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図15図15は、皮膚センサを取り付けカラーに固定するための折り重ねの式のタブを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図16図16は、皮膚センサと取り付けカラーとの間の通信ポート(例えば、EEPROM)を備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図17図17は、皮膚センサを取り付けカラーに固定するためのカムロックを備え、皮膚センサを患者の皮膚上にわずかに下方に押圧し、センサが所定の位置にロックされていることを視覚的に示す、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図18図18は、皮膚センサを取り付けカラーに固定し、遮光を確実にするためのわずかな下向きの圧力を提供するためのラップ機構を備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図19図19は、センサを取り付けカラーに固定するための皮膚センサ上のクリップと、張力緩和及びケーブル(コード)の引っ張りに対する安全を提供するためのケーブル管理システムと、セッションが完了したときに皮膚から取り付けカラーを容易に取り外すためのプルタブとを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図20図20は、センサを取り付けカラーに固定するための皮膚センサ上のロック機構と、張力緩和及びケーブル(コード)の引っ張りに対する安全を提供するためのケーブル管理システムと、セッションが完了したときに取り付けカラーを皮膚から容易に取り外すためのプルタブとを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図21図21は、センサを取り囲んで遮光嵌合を確実にする取り付けカラーと、張力緩和及びケーブル(コード)の引っ張りに対する安全を提供するためのケーブル管理システムと、セッションが完了したときに皮膚から取り付けカラーを容易に取り外すためのプルタブとを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
図22図22は、センサを取り付けカラーに固定するための皮膚センサ上のクリップと、張力緩和及びケーブル(コード)の引っ張りに対する安全を提供するためのケーブル管理システムと、セッションが完了したときに皮膚から取り付けカラーを容易に取り外すためのプルタブとを備えた、2ピース型センサアセンブリの一実施形態を示す。
【0012】
特に明記しない限り、本明細書に添付された図面は、本開示の実施形態の特徴、または、本開示の主題のいくつかの態様を示す代表的な実験の結果を示す。これらの特徴及び/または結果は、本開示の1以上の実施形態を含む様々なシステムに適用できると考えられる。したがって、図面は、本明細書で開示される実施形態を実施するために必要とされることが当業者に知られている全ての追加の特徴を含むことを意図しておらず、また、本開示の方法の可能な用途を限定することも意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の明細書及び特許請求の範囲で、多数の用語が使用されるが、これらの用語は、以下の意味を有するものと定義される。単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、複数形のものも含む。「含む(comprising、including、having)」という用語は、包括的であることを意図しており、記載された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。「任意選択(Optional、optionally)」という用語は、その後に記載される事象または状況が発生する場合もあるし発生しない場合もあることを意味する。すなわち、この用語は、その後に記載される事象または状況が発生する場合も、発生しない場合も包含する。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される近似表現(近似を表す用語)は、それに関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容範囲で変化することができる任意の定量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「約」、「おおよそ(ほぼ)」、「実質的に」などの用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似表現は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、範囲の限定は、組み合わせること及び/または置き換えることが可能である。このような範囲は、文脈や言語が特に指定しない限り、その範囲内に含まれる全ての下位範囲(部分範囲)を含む。
【0015】
本明細書で使用するとき、「遮光(light-tight)」という用語は、2つの表面間の界面が外部光の通過を許さないことを意味する。例えば、取り付けカラーを身体表面に配置し、その取り付けカラーに皮膚センサを使用可能に装着したとき、皮膚センサの表面は身体表面に面する。このとき、外部光が、皮膚センサと取り付けカラーとの間の界面を通過して、皮膚センサに面する身体表面の領域に到達することはない。また、外部光が、患者の身体表面と、身体表面に接着された、または身体表面に接触している取り付けカラーの表面または縁部との間を通過することもない。したがって、皮膚センサによって検出される唯一の光は、患者の身体表面から直接発せられる光である。いくつかの態様では、皮膚センサによって検出される唯一の光は、患者の体内に存在する指標物質によって生成された応答光である。
【0016】
特許文献1(この特許文献の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される)に、いくつかの態様では、取り付けカラーと共に使用することができるように構成され、それにより、本明細書に開示されたような2ピース型センサアセンブリを構成することができる皮膚センサが開示されている。
【0017】
本明細書で使用するとき、「患者」という用語は、少なくとも1つの症状を引き起こす医学的状態に対する治療の対象となる哺乳動物などの温血動物を指す。少なくともヒト、イヌ、ネコ、及びウマは、この用語の意味の範囲内にあると理解される。いくつかの態様では、患者は、ヒトである。本明細書中で使用するとき、「身体表面」という用語は、ヒトまたは動物の患者の身体の任意の所望の表面を指す。身体表面の例としては、皮膚の表面、指の爪や足の爪の表面、または他の表面、より具体的には、大気に曝される表面が挙げられる。一般的に、本明細書で使用するとき、「患者」という用語は、患者の健康状態とは無関係に、少なくとも1つの2ピース型センサアセンブリを使用することができるヒトまたは動物を意味する。
【0018】
皮膚センサは、少なくとも1つの放射線源を備える。放射線源は、電磁スペクトル上の任意の場所に放射線を放射することができる任意の装置であると理解されたい。いくつかの態様では、電磁放射は、可視、赤外線、紫外線、及び/またはガンマスペクトル範囲にある。代替的または追加的に、他の種類の放射線、例えば粒子の流れを使用してもよい。例えば、これに限定しないが、アルファ線及び/またはベータ線を使用してもよい。放射線源は、上述した種類の放射線を生成するように構成される。使用される放射線の種類を制限することなく、便宜上、以下では、電磁スペクトルの可視領域にあるかどうかにかかわらず、放射線を「光」と総称する。放射線源は、「光源」に関してより具体的に説明される。なお、いくつかの態様では、放射線源の他の構成も可能である。また、いくつかの態様では、異なる種類の放射線源を互いに組み合わせることも可能である。
【0019】
放射線源は、例えば、皮膚センサの層構造の観点から、例えば、皮膚センサと一体化された構成要素とすることができる。したがって、放射線源は、外部で問い合わせ光を発生させるのではなく、皮膚センサ内で直接、少なくとも1つの問い合わせ光を発生させるように構成される。この点において、皮膚センサは、例えば、外部からの光源を使用する特許文献2に記載の光ファイバー構造とは異なる。個々の光源の代わりに、いくつかの態様では、複数の光源、例えば、互いに同一の波長を発生させる複数の光源、及び/または、互いに異なる波長を発生させる互いに異なる複数の光源を使用してもよい。一般的に、少なくとも1つの光源は、少なくとも1つの問い合わせ光を身体の表面に照射するように構成されている。
【0020】
問い合わせ光は、本明細書の他の個所に開示されているように、指標物質の検出に使用することができる光であり、この光は、患者の身体組織及び/または体液内に存在する指標物質を、例えば様々な浸透深さで刺激し、知覚可能な応答、より具体的には、光学的に知覚可能な応答を引き起こすものと理解されたい。この励起は、指標物質で発光、蛍光、及び/または燐光が開始されるように行われる。いくつかの態様では、他のタイプの励起により、例えば、同一の波長またはシフトされた波長での光の散乱が引き起こされる。一般的に、問い合わせ光に応答して指標物質によって少なくとも1つの応答光が生成される。
【0021】
問い合わせ光は、指標物質を標的化した方法で所望の応答が引き起されるように設計される。したがって、これに限定しないが、例えば、問い合わせ光の波長及び/または波長範囲及び/または問い合わせ光の他の特性は、指標物質の同一性及び特性に基づいて適合させるかまたは調節することができる。これは、例えば、特定の波長及び/または特定の波長範囲を有する問い合わせ光を提供する放射線源によって、及び/または光源の一次光から所望の問い合わせ光をフィルタで除去するために使用される少なくとも1つの刺激フィルタを含めることによって、放射線源によって直接行うことができる。いくつかの態様では、皮膚センサは、指標物質の蛍光測定を実行する。したがって、問い合わせ光は、指標物質の蛍光の刺激範囲に適合させることができる。
【0022】
皮膚センサは、身体表面の方向から入射する少なくとも1つの応答光を検出するように構成された少なくとも1つの検出器をさらに備える。応答光は、上記で定義した光であり得る。また、検出器は、皮膚センサと一体化した構成となっている。したがって、例えば、外部に検出器を必要とする特許文献2における光ファイバー構造とは対照的に、検出器は皮膚センサの一部であり、応答光は皮膚センサ内で直接検出される。
【0023】
いくつかの態様では、応答光は、問い合わせ光の入射に対する指標物質の光学的応答を表す。したがって、検出器及び/または少なくとも1つの応答フィルタと相互作用する検出器は、応答光のスペクトル範囲で標的化した方法によって検出するように構成される。いくつかの態様では、検出器及び/または少なくとも1つの応答フィルタと相互作用する検出器は、応答光のスペクトル範囲外の光を抑制するように構成される。いくつかの態様では、検出器及び/または少なくとも1つの応答フィルタと相互作用する検出器は、問い合わせ光を抑制するように構成される。さらに別の態様では、応答フィルタは、周囲光、特に、吸収される前に組織内を長距離移動することができる波長、例えば約700~1100nmのスペクトル範囲などの光の検出を抑制するように設計される。問い合わせ光及び応答光は、それらのスペクトル強度分布に関して、それらが互いにスペクトル的に異なるか、または、それらが互いにスペクトル的にシフトするように構成することができる。
【0024】
いくつかの態様では、応答光は、これに限定しないが、例えば、蛍光測定において一般的に発生する問い合わせ光と比較して、より長い波長にシフト(すなわち、ストークスシフト)する。別の例では、問い合わせ光のピーク波長に対する応答光のピーク波長のストークスシフトは、約10~200nmの範囲、より具体的には約100~150nmの範囲、特に約120nmである。検出器及び/または少なくとも1つの応答フィルタと相互作用する検出器は、このような応答光を検出するように構成される。ここでいう「約」は、±10nmを意味する。
【0025】
少なくとも1つの放射線源、より具体的には、少なくとも1つの光源、及び少なくとも1つの検出器は、身体表面に問い合わせ光を照射することで、身体表面の方向から入射する少なくとも1つの応答光を検出するように構成される。したがって、放射線源と検出器は、身体表面に光学的に接続されており、これにより、身体表面を介して、例えば経皮的に、問い合わせ光を患者の身体組織または体液に照射し、また、それと同様に、身体表面を通じて、例えば経皮的に、身体組織または体液からの応答光を検出器によって測定することができる。
【0026】
少なくとも1つの検出器及び少なくとも1つの放射線源に加えて、センサアセンブリは、さらなる要素を含んでいてもよい。いくつかの態様では、取り付けカラーは、さらなる要素を備える。いくつかの態様では、皮膚センサは、さらなる要素を備える。いくつかの態様では、皮膚センサ及び取り付けカラーの両方は、さらなる要素を備える。したがって、皮膚センサは、例えば、データ交換のための少なくとも1つのインターフェースを備えてもよい。前述したデータは、例えば、検出器によって検出された応答光の強度の測定結果であってもよい。すでに部分的に処理されたデータ、フィルタ処理されたデータ、あるいは、部分的または完全に評価されたデータを、皮膚センサのインターフェースを介して送信してもよい。インターフェースは、無線インターフェース、ケーブルインターフェース、またはそれらの組み合わせとして構成してもよいし、あるいは、高周波コイル及び/またはケーブルを含んでいてもよい。いくつかの態様では、例えば、当技術分野で知られているトランスポンダ技術を使用することによって、皮膚センサを用いて測定を開始したり、及び/または皮膚センサに対して測定データを問い合わせたりしてもよい。いくつかの態様では、例えば、RFID技術(無線周波数識別技術)で知られているような対応する無線周波数リーダを、この目的のために使用してもよい。
【0027】
いくつかの態様では、本開示の2ピース型センサアセンブリは、コントローラをさらに備える。コントローラは、少なくとも1つの放射線源及び少なくとも1つの検出器を備える少なくとも1つの皮膚センサを制御するようにプログラムされている。いくつかの態様では、コントローラは、皮膚センサ、取り付けカラー、またはその両方から認証情報を受信するようにさらにプログラムされている。認証情報は、例えば、EPROMまたはRFIDなどの当技術分野で知られている技術を使用することができる。いくつかの態様では、コントローラと皮膚センサとの間の接続は、ケーブル接続、無線接続、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、コントローラと他の構成要素との間の接続はケーブル接続である。いくつかの態様では、コントローラと他の構成要素との間の接続は無線接続である。いくつかの態様では、コントローラはセンサ内に含まれている。
【0028】
さらに、センサアセンブリは、少なくとも1つの駆動または制御電子ユニットを含むことができる。駆動または制御電子ユニットは、例えば、少なくとも1つの放射線源及び少なくとも1つの検出器を駆動または制御するために構成することができ、例えば、問い合わせ光の放射の開始のために、及び/または応答光の検出の開始のために構成することができる。この目的のために、駆動または制御電子ユニットは、例えば、検出器及び/または放射線源に対応するドライバを含むことができる。また、測定のタイミングも、事前に設定することができる。例えば、駆動または制御電子ユニットによって、光源及び/または検出器の特定の時間スキームを予め設定することができる。この時間スキームにより、問い合わせ光の放射と応答光の検出の時間的シーケンスが可能となる。これに限定しないが、例えば、駆動電子ユニットは、皮膚センサの時間分解測定を実行または制御するように構成することができる。この場合、測定は、少なくとも1つの問い合わせ光、より具体的には問い合わせ光の少なくとも1つのパルスの放射、及び、少なくとも1つの応答光、より具体的には応答光の少なくとも1つのパルスの検出を含む。したがって、時間分解測定とは、応答光を検出した時間が重要な役割を果たすか、または、応答光を検出した時間を記録する測定であると理解されたい。したがって、これに限定しないが、例えば、応答光の各値を、その値が検出された時点と共に記録してもよいし、または、特定の時点での応答光をのみ記録(ゲーティング)してもよい。このようにして、例えば、時間分解測定により、腎臓を介して患者の身体から指標物質が除去される速度に関する情報を取得することが可能である。いくつかの態様では、検出器は、光源で生成された光と指標物質との相互作用によって生成された異なる時点を検出するように構成される。いくつかの態様では、コントローラと駆動または制御電子ユニットとは、同一のデバイスである。いくつかの態様では、駆動及び制御電子ユニットは、コントローラ内の統合コンポーネントである。いくつかの態様では、光源は、パルス化されるのではなく変調され、検出された信号は、光源の周波数で信号を選択的に検出するために、選択的に増幅またはデジタル復調される。
【0029】
いくつかの態様では、本開示の2ピース型センサアセンブリは、2ピース型センサアセンブリを患者の身体から脱離または分離させる可能性がある偶発的なケーブル(コード)の引っ張りを減少または排除するように、及び/または、取り付けカラーから皮膚センサを脱離または分離させる可能性がある偶発的なケーブル(コード)の引っ張りを減少または排除するように構成されたケーブル管理システムをさらに備える。このケーブル管理システムは、取り付けカラー、皮膚センサ、またはその両方に設けられる。
【0030】
皮膚センサ及び取り付けカラーを光が通過(透過)する可能性を減少させるために、いくつかの態様では、皮膚センサ及び取り付けカラーの一方または両方はエラストマー材料から製造される。いくつかの態様では、エラストマーは、グラファイト、カーボンブラック、及び/または他の光吸収材料と混合される。いくつかの態様では、光学的に非透過性の材料が、層として含まれる。いくつかの態様では、光学的に非透過性の材料は、マイラー(商標)である。マイラー(商標)は、UV、可視光、近赤外光の吸収性が高く、かつ、薄くて柔軟性を有する材料である。別の態様では、光学的に非透過性の材料は、アルミニウムである。アルミニウムもまた、UV、可視光、近赤外光の吸収性が高く、かつ、薄くて柔軟性を有する材料である。これにより、皮膚センサや取り付けカラーを光が通過する可能性が減少する。いくつかの態様では、皮膚センサ及び取り付けカラーの両方は、グラファイト、カーボンブラック、またはそれらを組み合わせたものと混合されたエラストマーから製造される。光学的に非透過性の材料は、光の通過を減少させるか、または排除する材料である。いくつかの態様では、光の通過は完全に排除される。いくつかの態様では、光の通過は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、または約90%減少する。ここでは、「約」は±1%を意味している。いくつかの態様では、取り付けカラーは使い捨て式である。
【0031】
いくつかの態様では、皮膚センサ及び取り付けカラーは、センサの下側に位置する患者の皮膚内の過剰な体液の蓄積の影響を改善するように設計されている。患者の皮膚内に過剰な体液が蓄積すると、センサ測定に有害または望ましくない影響を与える恐れがある。外因性薬剤の排泄速度を測定する態様では、測定される組織容積内の間質液の分画容積が経時的に変化すると、経皮的に測定される排泄速度の不確実性及び/または不正確さが生じ得る。そのような場合としては、例えば、局所的に浮腫性である領域にセンサを設置する場合や、腎機能低下またはうっ血性心不全を有する患者において一般的であるような、患者の全身に過剰な体液が溜まっている場合(「体液過剰」)が挙げられる。このような過剰な体液は、皮膚に軽い圧力を加えることによって(例えば、10~20mmHg)、皮膚を失血させたり、より強固に結合している間質液のバランスを変えたりすることなく、測定領域から除去することができる。いくつかの態様では、皮膚センサの真下の皮膚の表面に正圧を加え、それと同時に、その周囲の、取り付けカラーが取り付けられた皮膚の表面に負圧を加える。いくつかの態様では、このことは、まず、取り付けカラーを皮膚にしっかりと取り付け、次いで、センサが取り付けカラーから皮膚側にわずか突出するようにして皮膚センサをカラーに取り付け、それによって、取り付けカラーの下の皮膚領域に負圧を補償しながら、センサの下の皮膚領域がよりしっかりと押し付けられことによって達成される。
【0032】
いくつかの態様では、両面接着剤が、取り付けカラーに設けられた開口部に使用される。両面接着剤の皮膚に面する面は、汗などの湿気の存在下でさえ、長期間(例えば、24~48時間)皮膚に確実に付着するように選択される。いくつかの態様では、アクリレートベースの接着剤が、皮膚への接着のために使用される。さらに他の態様では、皮膚をバリア膜で事前処理する。これは例えば、乾燥時に「第2の皮膚」を形成する速乾性の液体フィルムの塗布により行う。このような態様では、バリア膜は、アクリレートベースの接着剤の皮膚への長期的な、かつ信頼性の高い接着を助けるとともに、皮膚表皮を破壊または除去することなくセンサの取り外しを可能にするという利点を有する。いくつかの態様では、バリア膜は、CAVILON(TM)(3M社製)である。両面接着剤のセンサに面する面は、センサの面に対して所望の強さで接着させることができるように選択される。このような態様では、センサの面は、MAKROLON(TM)などのポリマー材料から構成され、接着剤はゴムベースのものが用いられる。適切な両面接着剤の非限定的な例は、3M社の製品番号2477(プレミアムライナー付きのTPEシリコーンアクリレート医療用両面テープ)である。
【0033】
いくつかの態様では、取り付けカラーとセンサとの間に形成される接着剤による接合は、接着剤が穏やかな圧力下に置かれるまで、比較的弱いか、あるいは存在しない。このような実施形態は、センサが皮膚に対して正圧下に置かれたときにセンサと皮膚との間にしっかり固定された界面を形成し、かつ、センサ上に残留物を残すことなく取り付けカラーからセンサを容易に除去することができるというさらなる利点を有する。センサが再利用可能であり、カラーが使い捨て式または単回使用である態様では、センサ部分は皮膚に接触しないように構成する。センサが患者の皮膚に直接接触しないように構成すると汚染の可能性が減少するため、センサを同一または別の患者で再利用する前に必要とされる洗浄及び/または滅菌の手間を省くことができる。
【0034】
測定中の皮膚領域に小さな正圧を加えるというセンサの上述の利点は、センサを取り付けカラーに接着するために小さな正圧を必要とする上述の態様と組み合わせてもよい。これらの利点を説明する非限定的な例を図17に示す。これらの同じ利点及び特徴は、本明細書に示された他の実施形態にも組み込むことができる。
【0035】
いくつかの態様では、取り付けカラーを確実にまたは安全に識別または認証するための方法を提供することが望ましい。いくつかの態様では、取り付けカラーは、承認されていない装置での使用を防ぐために暗号化された識別子または識別タグを備える。いくつかの態様では、暗号化されたコードが、取り付けカラー内に配置されたEEPROMチップに埋め込まれている。センサが取り付けカラーに結合され、取り付けカラーが有効であると識別されない限り、センサの使用は防止される。他の態様では、EEPROMは、特定の製品バージョン、動作モード、及び/または機器動作のためのアルゴリズム係数を識別するために使用される。このようにして、センサの様々な機能をEEPROMコーディングによって有効化することができる。
【0036】
いくつかの態様では、取り付けカラーは、患者の皮膚に取り付けたときにセンサと通信する感圧要素をさらに備える。いくつかの態様では、圧力センサは、患者の皮膚に皮膚センサが確実に取り付けられているかどうかを知らせる指標を提供する。いくつかの態様では、センサが皮膚にもはや確実に取り付けられていないことを知らせる指標は、測定を中止するため、及び/またはユーザにフィードバックを提供するために使用される。
【0037】
いくつかの態様では、取り付けカラーは単回使用を目的としており、圧力センサは取り付けカラーの単回使用を実施するために使用される。いくつかの態様では、圧力センサは、取り付けカラーが患者に配置されたか否かを測定し、その後、取り付けカラーが患者に取り外されたか否かを判定する。これにより、取り付けカラーの単回使用後に、その取り付けカラーでのセンサの再利用を防止することができる。
【0038】
図1を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー110と、センサ120とを備えている。センサ120のケーブルは、センサ120に設けられたケーブル管理システム130にクリップ留めされ、これにより、ケーブル(コード)の引っ張りが減少し、また、張力緩和(strain relief)が提供される。取り付けカラー110に設けられたサイドバー140により、センサ120は取り付けカラー110に固定される。取り付けカラー110に設けられたプルタブ150は、本アセンブリの使用後に取り付けカラー110を患者の皮膚から容易に取り外すことを可能にする。
【0039】
図2を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー210と、センサ220とを備えている。センサ220のケーブル230は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。また、図中で矢印によって示されているのは、センサ220を取り付けカラー210に固定する選択的接着剤240である。
【0040】
図3を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー310と、センサ320とを備えている。センサ320のケーブル330は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。また、取り付けカラー310は、センサ320と取り付けカラー310との組み合わせを認証するために使用されるバーコード340を備えており、これにより、本アセンブリの患者の身体表面への遮光的な取り付け及び確実な取り付けが実現される。また、取り付けカラー310は、ケーブル330が何かに引っ掛かって、それにより、患者の身体から2ピース型センサアセンブリが脱離する機会を減らすためのケーブル管理溝350(ケーブル管理システム)を備えている。
【0041】
図4を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー410と、センサ420とを備えている。また、センサ420と取り付けカラー410との間の遮光コネクタ430の1つの可能な態様が示されている。遮光コネクタ430の非直線的な面は、外部光が、センサ420と取り付けカラー410との界面を通って侵入する可能性を低減及び/または排除する。
【0042】
図5を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー510と、センサ520とを備えている。本アセンブリは、センサ520を取り付けカラー510に固定する1つの可能なカムロック機構を備えている。このカムロック機構は、センサ520に設けられたスロット540と、取り付けカラー510に設けられたタブ550とから構成されている。センサ520のスロット540に取り付けカラー510のタブ550をスライド可能に係合させ、次いで、取り付けカラー510に対してセンサ520を回転させることにより、センサ520は所定の位置に固定される。これにより、本アセンブリの患者の身体表面への確実な取り付けが実現される。このカムロック機構は、オス側(タブ550)とメス側(スロット540)との両方が非線形形状に形成されており、これにより、センサ520と取り付けカラー510との界面における遮光が達成される。
【0043】
図6を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー610と、センサ620とを備えている。センサ620のケーブル630は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、取り付けカラー610に設けられたタブ640をセンサ620に設けられたスロット650に嵌合させることによって、センサ620と取り付けカラー610とを適切に位置合わせすることができ、これにより、本アセンブリの患者の身体表面への遮光的な取り付け及び確実な取り付けが実現される。
【0044】
図7を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー710と、センサ720とを備えている。センサ720のケーブル730は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、取り付けカラー710は、その内部に、センサ720を受容する内部キャビティ740を有する伸縮可能なポケットの形態に構成されており、これにより、本アセンブリの患者の身体表面への遮光的な取り付けが実現される。
【0045】
図8を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー810と、センサ820とを備えている。センサ820のケーブル830は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、取り付けカラー810に設けられたスロット840が、ケーブル830を受容して固定することができ、これにより、患者によるケーブル(コード)の引っ張りの発生を減少させることができる。また、取り付けカラー810は、RFIDチップ850を備えている。RFIDチップ850は、本システムを動作させるためにセンサ820が検出(符号860参照)しなければならないセキュリティコードを有している。このRFIDコード(セキュリティコード)は、本アセンブリのセキュリティ、患者の身体表面への遮光的な取り付け及び確実な取り付け、及び在庫管理に使用することができる。
【0046】
図9を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー910と、センサ920とを備えている。センサ920のケーブル930は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、センサ920と取り付けカラー910との間の適切な結合を確実にするために、センサ920と取り付けカラー810との両方にスロット940が設けられている。スロット940をロック・アンド・キーの形態に構成すると、センサ920を取り付けカラー910に確実に取り付けることができるので、不正防止や品質管理にも効果的である。
【0047】
図10を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1010と、センサ1020とを備えている。センサ1020のケーブル1030は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、センサ1020を取り付けカラー1010に固定するために、センサ1020に磁石1040が設けられている。
【0048】
図11を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1110と、センサ1120とを備えている。センサ1120のケーブル1130は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、本システムの使用を妨げる可能性があるケーブル(コード)の引っ張りの発生を減少させるかまたは排除するべく、ケーブル1130を固定するために、取り付けカラー1110の表面にケーブルクリップ1140が設けられている。
【0049】
図12を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1210と、センサ1220とを備えている。取り付けカラー1210とセンサ1220との確実な結合を提供するために、取り付けカラー1210は、該カラーにセンサ1220が適切に装着されたときにセンサ1220によって検出される埋め込み型の化学物質1260を備えている。センサ1220のケーブル1230(コード)はスロット1240に固定され、これにより、ケーブル1230の動きや遊びを減少させる。取り付けカラー1210は、センサ1220による化学物質1260の検出後に取り付けカラー1210を認証するために使用される識別子タブ1250も備えている。
【0050】
図13を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1310と、センサ1320とを備えている。センサ1320のケーブル1330は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、センサ1320を、取り付けカラー1310にねじ込むことによって、センサ1320と取り付けカラー1310との間の確実な結合及び遮光性界面が提供される。
【0051】
図14を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1410と、センサ1420とを備えている。センサ1420のケーブル1430は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、センサ1420に設けられたタブ1440を取り付けカラー1410に設けられたスロット1450に嵌合させることによって、センサ1420を取り付けカラー1410に固定することができる。また、ケーブル1430を取り付けカラー1410に設けられたケーブルクリップ1460に嵌合させることによってケーブル1430を固定することができ、これにより、本システムの使用を妨げる可能性があるケーブル(コード)の引っ張りの発生を減少させるかまたは排除することができる。
【0052】
図15を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1510と、センサ1520とを備えている。センサ1520のケーブル1530は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、取り付けカラー1510に設けられたタブ1540を、センサ1520に設けられたスロット1550を通過させ、次いで、タブ1540を折り返すことによって(符号1560参照)、センサ1520を取り付けカラー1510に固定することができる。これにより、本アセンブリの患者の身体表面への遮光的な取り付け及び確実な取り付けが実現される。
【0053】
図16を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1610と、センサ1620とを備えている。センサ1620のケーブル(図示せず)は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、センサ1620に設けられたタブ1630を、取り付けカラー1610に設けられた孔1640に挿入することによって、センサ1620を取り付けカラー1610に確実に固定することができる。また、孔1640は、セキュリティ及び在庫の両方の目的で、センサ1620と取り付けカラー1610との間で情報を送受信するための通信ポートとして構成してもよい。この場合、ワイヤレス認証が不要になるので、本システム全体の複雑さや、本システムで必要とされる電子部品を減少させることができる。いくつかの態様では、センサ1620と取り付けカラー1610との間の通信は、EPROMタイプのメモリを介して行われ、これにより、本アセンブリの患者の身体表面への遮光的な取り付け及び確実な取り付けが実現される。
【0054】
図17を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1710と、センサ1720とを備えている。センサ1720のケーブル1730は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。この態様では、取り付けカラー1710に設けられたカムロック1740に、ロッキングアーム1750が回動可能に係合されている。そして、センサ1720は、ロッキングアーム1750を回動させることにより、カムロック1740によって取り付けカラー1710に固定される。このとき、ロッキングアーム1750に設けられた固定機構1760によって、センサ1720のケーブル1730は固定される。これにより、本アセンブリの患者の身体表面への遮光的な取り付け及び確実な取り付けが実現される。
【0055】
図18を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1810と、センサ1820とを備えている。センサ1820のケーブル1830は、該ケーブルとの間で情報の送受信が可能なコントローラに接続されている。センサ1820は、取り付けカラー1810に設けられた互いに係合可能なタブ1850及びストラップ1840によって、取り付けカラー1810にしっかりと取り付けられる。いくつかの態様では、タブ1850とストラップ1840との係合(符号1860参照)には、ベルクロ(登録商標)、接着剤、スナップ、バックル、または他の適切な手段が用いられる。これにより、本アセンブリの患者の身体表面への遮光的な取り付け及び確実な取り付けが実現される。
【0056】
図19を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー1910と、センサ1920とを備えている。センサ1920のケーブルは、該ケーブルを固定するためのケーブル管理クリップ1930(ケーブル管理システム)を備えており、これにより、ケーブル(コード)の引っ張りが減少し、また、張力緩和が提供される。取り付けカラー1910に設けられたサイドクリップ1940により、センサ1920は取り付けカラー1910に固定される。取り付けカラー1910に設けられたプルタブ1950は、本アセンブリの使用後に取り付けカラー1910を患者の皮膚から容易に取り外すことを可能にする。
【0057】
図20を参照すると、三角形の2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー2010と、センサ2020とを備えている。センサ2020のケーブル2040は、ケーブル管理システム2030にクリップ留めされている。これにより、ケーブル(コード)の引っ張りが減少し、また、張力緩和が提供される。取り付けカラー2010に設けられたプルタブ2050は、本アセンブリの使用後に取り付けカラー2010を患者の皮膚から容易に取り外すことを可能にする。
【0058】
図21を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー2110と、センサ2120とを備えている。センサ2120のケーブル2130は、センサ2120に巻き付けられ、かつ、センサ2120に設けられたケーブル管理システム2140にクリップ留めされている。これにより、ケーブル(コード)の引っ張りが減少し、また、張力緩和が提供される。取り付けカラー2110に設けられたプルタブ2150は、本アセンブリの使用後に取り付けカラー2110を患者の皮膚から容易に取り外すことを可能にする。
【0059】
図22を参照すると、2ピース型センサアセンブリは、取り付けカラー2210と、センサ2220とを備えている。センサ2220は、取り付けカラー2210の表面に設けられたサイドタブ2250の下側をスライドして、所定の位置に固定される。センサ2220のケーブル2230は、取り付けカラー2210に設けられたケーブル管理システム2240にクリップ留めされている。これにより、ケーブル(コード)の引っ張りが減少し、また、張力緩和が提供される。
【0060】
いくつかの態様では、本開示の2ピース型センサアセンブリの取り付けカラーは、図1~22に示すように、センサ(皮膚センサ)を取り付けカラーに設けられた少なくとも1つの開口部に固定するための手段をさらに備える。いくつかの態様では、本開示の2ピース型センサアセンブリは、図1~22に示すように、該アセンブリに取り付けられたケーブルを管理するためのケーブル管理手段(ケーブル管理システム)をさらに備える。いくつかの態様では、ケーブル管理手段は、図1~22に示すように、取り付けカラー、皮膚センサ、またはその両方に取り付けられる。いくつかの態様では、皮膚センサ及び/または取り付けカラーは、本明細書の他の箇所に記載されているように、皮膚センサと取り付けカラーとの間の認証手段をさらに備える。
【0061】
指標物質
【0062】
本開示の方法及び装置で使用するのに適した指標物質は、特許文献3~13に開示されている(これらの特許文献の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される)。いくつかの態様では、指標物質は、糸球体濾過によって患者の体内から除去される。いくつかの態様では、指標物質は、糸球体濾過によってのみ患者の体内から除去される。いくつかの態様では、指標物質は、GFR物質である。
【0063】
いくつかの態様では、指標物質は、下記の化学式Iで表されるピラジン誘導体、またはその薬学的に許容される塩である。
【0064】
【化1】
【0065】
式中、
及びXは、互いに独立して、-CN、-CO、-CONR、-CO(AA)、-CO(PS)、及び、-CONH(PS)からなる群から選択され、
及びYは、互いに独立して、NR、及び、
【0066】
【化2】
【0067】
からなる群から選択され、
は、単結合、-CR-、-O-、-NR-、-NCOR-、-S-、-SO-、及び、-SO-からなる群から選択され、
及びRは、互いに独立して、H、-CH(CHOH)aH、-CH(CHOH)CH、-CH(CHOH)COH、-(CHCOH)COH、-(CHCHO)H、-(CHCHO)CH、-(CHSOH、-(CHSO 、-(CHSOH、-(CHSO 、-(CHNHSOH、-(CHNHSO 、-(CHNHSOH、-(CHNHSO 、-(CHPO、-(CHPO 、-(CHPO2-、-(CHPO 3-、-(CHPO、-(CHPO、及び、-(CHPO 2-からなる群から選択され、
AAは、ペプチド結合またはアミド結合によって互いに結合された1以上の天然または非天然のアミノ酸を含むポリペプチド鎖であり、AAの各々は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、
PSは、グリコシド結合によって互いに結合された1以上の単糖単位を含む硫酸化多糖鎖または非硫酸化多糖鎖であり、
aは、0~10の範囲の数であり、
cは、1~100の範囲の数であり、
m及びnは、互いに独立して、1~3の範囲の数である。
【0068】
別の態様では、aは、1~10の範囲の数である。さらに別の態様では、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0069】
(AA)は、ペプチドまたはアミド結合によって互いに結合された1以上の天然または非天然のアミノ酸を含むペプチド鎖である。ペプチド鎖(AA)は、単一のアミノ酸、ホモポリペプチド鎖、またはヘテロポリペプチド鎖であり得、任意の適切な長さを有し得る。いくつかの実施形態では、天然または非天然のアミノ酸は、α-アミノ酸である。さらに別の態様では、α-アミノ酸は、D-α-アミノ酸またはL-α-アミノ酸である。2以上のアミノ酸を含むポリペプチド鎖において、全ての態様において、各アミノ酸は、互いに独立して、これに限定しないが、側鎖構造及び立体化学構造から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、1~100個のアミノ酸、1~90個のアミノ酸、1~80個のアミノ酸、1~70個のアミノ酸、1~60個のアミノ酸、1~50個のアミノ酸、1~40個のアミノ酸、1~30個のアミノ酸、1~20個のアミノ酸、または1~10個のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、1~100個のα-アミノ酸、1~90個のα-アミノ酸、1~80個のα-アミノ酸、1~70個のα-アミノ酸、1~60個のα-アミノ酸、1~50個のα-アミノ酸、1~40個のα-アミノ酸、1~30個のα-アミノ酸、1~20個のα-アミノ酸、または1~10個のα-アミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、D-アラニン、D-アルギニン、D-アスパラギン、D-アスパラギン酸、D-システイン、D-グルタミン酸、D-グルタミン、グリシン、D-ヒスチジン、D-ホモセリン、D-イソロイシン、D-ロイシン、D-リジン、D-メチオニン、D-フェニルアラニン、D-プロリン、D-セリン、D-トレオニン、D-トリプトファン、D-チロシン、及びD-バリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖(AA)のα-アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、ホモセリン、リジン、及びセリンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖(AA)のα-アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、及びセリンからなる基から選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖(AA)は、単一のアミノ酸(例えば、D-アスパラギン酸またはD-セリン)を指す。
【0070】
(PS)は、グリコシド結合によって互いに結合された1以上の単糖単位を含む硫酸化多糖鎖または非硫酸化多糖鎖である。多糖鎖(PS)は、任意の適切な長さを有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、多糖鎖は、1~100個の単糖単位、1~90個の単糖単位、1~80個の単糖単位、1~70個の単糖単位、1~60個の単糖単位、1~50個の単糖単位、1~40個の単糖単位、1~30個の単糖単位、1~20個の単糖単位、または1~10個の単糖単位も含み得る。いくつかの実施形態では、多糖鎖(PS)は、ペントース単糖単位またはヘキソース単糖単位からなるホモ多糖鎖である。別の実施形態では、多糖鎖(PS)は、ペントース単糖単位及びヘキソース単糖単位の一方または両方からなるヘテロ多糖鎖である。いくつかの実施形態では、多糖鎖(PS)の単糖単位は、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、及びリボースからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、多糖鎖(PS)は、単一の単糖単位を指す(例えば、グルコースまたはフルクトース)。さらに別の態様では、多糖鎖は、その糖上の1以上のヒドロキシ基がアミン基で置換されたアミノ糖である。カルボニル基との結合は、アミンまたはヒドロキシ基を介して行うことができる。
【0071】
指標物質の具体的な例としては、これに限定しないが、例えば、3,6-ジアミノ-N2,N2,N5,N5-テトラキス(2-メトキシエチル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミド、3,6-ジアミノ-N2,N5-ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミド、(2S,2´S)-2,2´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)、3,6-ビス(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)-N2,N2,N5,N5-テトラキス(2-メトキシエチル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミドビス(TFA)塩、3,6-ジアミノ-N2,N5-ビス(2-アミノエチル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミドビス(TFA)塩、3,6-ジアミノ-N2,N5-ビス(D-アスパラギン酸)-ピラジン-2,5-ジカルボキサミド、3,6-ジアミノ-N2,N5-ビス(14-オキソ-2,5,8,11-テトラオキサ-15-アザヘプタデカン-17-イル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミド、3,6-ジアミノ-N2,N5-ビス(26-オキソ-2,5,8,11,14,17,20,23-オクタオキサ-27-アザノナコサン-29-イル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミド、3,6-ジアミノ-N2,N5-ビス(38-オキソ-2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35-ドデカオキサ-39-アザフェンテトラコンタン-41-イル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミド、ビス(2-(PEG-5000)エチル)6-(2-(3,6-ジアミノ-5-(2-アミノエチルカルバモイル)ピラジン-2-カルボキサミド)エチルアミノ)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイルジカルバメート、(R)-2-(6-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)-5-シアノ-3-モルホリノピラジン-2-カルボキサミド)コハク酸、(2R,2´R)-2,2´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)、(2S,2´S)-2,2´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)、(2R,2´R)-2,2´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ジプロピオン酸、3,3´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ジプロピオン酸、2,2´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))二酢酸、(2S,2´S)-2,2´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ジプロピオン酸、2,2´-((3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(2-メチルプロパン酸)、及び、3,6-ジアミノ-N2,N5-ビス((1R,2S,3R,4R)-1,2,3,4,5-ペンタヒドロキシペンチル)ピラジン-2,5-ジカルボキサミドなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、指標物質は、(2R、2´R)-2、2´-((3、6-ジアミノピラジン-2、5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)(MB-102としても知られる)である。いくつかの実施形態では、指標物質は、(2S、2´S)-2、2´-((3、6-ジアミノピラジン-2、5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)である。
【0072】
いくつかの実施形態では、指標物質は、下記の化学式で表される化合物、すなわち、(2R、2´R)-2、2´-((3、6-ジアミノピラジン-2、5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)(MB-102、または、3、6-ジアミノ-N2、N5-ビス(D-セリン)-ピラジン-2、5-ジカルボキサミドとしても知られる)、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0073】
【化3】
【0074】
いくつかの実施形態では、指標物質は、下記の化学式で表される化合物、すなわち、(2S、2´S)-2、2´-((3、6-ジアミノピラジン-2、5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)(3、6-ジアミノ-N2、N5-ビス(L-セリン)-ピラジン-2、5-ジカルボキサミドとしても知られる)、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0075】
【化4】
【0076】
さらに別の態様では、指標物質は、アクリジン、アクリドン、アントラセン、アントラサイクリン、アントラキノン、アザアズレン、アゾアズレン、ベンゼン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾインドカルボシアニン、ベンゾインドール、ベンゾチオフェン、カルバゾール、クマリン、シアニン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジピロロ染料、フラボン、イミダゾール、インドカルボシアニン、インドシアニン、インドール、イソインドール、イソキノリン、ナフタセンジオン、ナフタレン、ナフトキノン、フェナントレン、フェナントリジン、フェナントリジン、フェノセレナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェニルキサンテン、ポリフルオロベンゼン、プリン、ピラジン、ピラゾール、ピリジン、ピリミドン、ピロール、キノリン、キノロン、ローダミン、スクアライン、テトラセン、チオフェン、トリフェニルメタン染料、キサンテン、キサントン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。さらに別の態様では、指標物質は、糸球体濾過によって患者の身体から除去される任意の化合物である。さらに別の態様では、指標物質は、電磁放射線に曝露されると蛍光エネルギーを放出し、かつ、糸球体濾過によって患者の身体から除去される任意の化合物である。
【0077】
指標物質は、いずれの態様においても、その1以上の原子を、代替的に、同一元素の同位体標識原子で置換してもよい。例えば、水素原子は、重水素またはトリチウムで同位体標識することができ、炭素原子は、13Cまたは14Cで同位体標識することができ、窒素原子は、14Nまたは15Nで同位体標識することができる。同位体標識は、安定同位体であってもよいし、不安定同位体(すなわち、放射性同位体)であってもよい。指標物質は、1以上の同位体標識を含み得る。同位体標識は、部分的であってもよいし、全体的であってもよい。例えば、指標物質を50%重水素で標識することによって、質量分析または他の技術によって容易にモニタリングすることができるシグネチャを指標物質に付与することができる。別の例として、指標物質をトリチウムで標識することによって、当技術分野で既知の技術を用いてインビボ及びエクスビボの両方でモニタリングすることができる放射性シグネチャを指標物質に付与することができる。
【0078】
薬学的に許容可能な塩は、当技術分野で既知である。いずれの態様においても、化学式Iで表した化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態であり得る。非限定的な例として、薬学的に許容可能な塩としては、参照によりその教示内容の全体が本明細書に援用されるBergeらによる「J.Pharm.Sci.、66(1)、1(1977)」に記載されたものが挙げられる。薬学的に許容可能な塩は、カチオン性であってもよいし、アニオン性であってもよい。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩の対イオンは、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エステル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオダイド、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アミノサリチル酸、アンヒドロメチレンクエン酸塩、アレコリン、アスパラギン酸、重硫酸塩、臭化ブチル、カンホレート、ジグルコン酸塩、二臭化水素酸塩、二コハク酸塩、グリセロリン酸塩、ジェミ硫酸塩(jemisulfate)、ジュドロフッ化物(judrofluoride)、ジュドロヨウ化物(judroiodide)、メチレンビス(サリチル酸塩)、ナパジシル酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルエチルバルビツール酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、ベネタミン、クレミゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、トロメタミン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛ナトリウム、バリウム、及びビスマスからなる群から選択される。塩を形成することができる指標物質の官能基は、任意選択で、当技術分野で既知の方法を用いて形成することができる。非限定的な例として、塩酸アミン塩は、指標物質に塩酸を添加することによって形成することができる。リン酸塩は、指標物質にリン酸緩衝剤を添加することによって形成することができる。スルホン酸、カルボン酸、またはホスホン酸などの存在する任意の酸性官能基は、適切な塩基及び形成された塩で脱プロトン化することができる。あるいは、アミン基を適切な酸でプロトン化してアミン塩を形成してもよい。塩の形態は、単一に荷電されていてもよく、二重に荷電されていてもよく、または三重に荷電されていてもよく、2以上の対イオンが存在する場合、各対イオンは、他の対イオンの各々と同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0079】
さらに別の態様では、本開示は、患者の糸球体濾過量(GFR)を測定する方法を提供する。本開示の方法は、一般的に、2ピース型センサアセンブリを患者の身体表面に配置するステップと、患者の体内に、問い合わせ光に応答して光学的応答を生成するように構成された指標物質を投与するステップと、2ピース型センサアセンブリを使用して光学的応答を所定時間にわたって検出するステップと、検出された光学的応答に基づいて患者の糸球体濾過量(GFR)を測定するステップと、を含む。
【0080】
患者のGFRを測定する本開示の方法のいくつかの態様では、2ピース型センサアセンブリは、本明細書の別の箇所に記載した通りである。患者のGFRを決定する本開示の方法のいくつかの態様では、指標物質は本明細書の別の箇所に記載した通りである。患者のGFRを決定する本開示の方法のいくつかの態様では、指標物質は、下記の化学式で表される化合物、すなわち、(2R、2´R)-2、2´-((3、6-ジアミノピラジン-2、5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)(MB-102、または、3、6-ジアミノ-N2、N5-ビス(D-セリン)-ピラジン-2、5-ジカルボキサミドとしても知られる)、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0081】
【化3】
【0082】
本明細書は、実施例を用いて、最良の実施の形態(ベストモード)を含む本発明の内容を開示し、かつ本発明を当業者が実施(任意の装置またはシステムの作製及び使用、並びに組み込まれた任意の方法の実施を含む)することを可能にしている。本発明の特許される技術範囲は、特許請求の範囲の請求項の記載によって定義され、当業者が想到可能な別の実施形態も含まれ得る。そのような別の実施形態は、各請求項の文言と相違しない構成要素を含む場合、または、各請求項の文言とは実質的に相違しない均等な構成要素を含む場合、その請求項の範囲内に含まれるものとする。
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