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特許7532384ディスペンサ制御のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ディスペンサ制御のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240805BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240805BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240805BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05D1/26 Z
B05D3/00 B
B05D3/00 D
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021542391
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020014319
(87)【国際公開番号】W WO2020154242
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】62/794,914
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】グロイン ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】カルバリョ ロバート
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-113588(JP,A)
【文献】特開2006-035149(JP,A)
【文献】特開2016-215198(JP,A)
【文献】特表2010-527255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0157731(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0128594(US,A1)
【文献】特開平9-253824(JP,A)
【文献】米国特許第5785123(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00- 5/04
7/00-21/00
B05D1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を分配するためのアプリケータであって、
入口(354)、出口(358)、及び、前記入口から前記出口まで延在するチャンバ(370)、を規定するシリンジ(20)と、
前記チャンバ内に配置されたピストン(382)と、
前記ピストンに取り付けられたプランジャ(386)であって、前記ピストンが前記チャンバを通して当該プランジャで移動するように構成された、プランジャ(386)と、
前記出口を通して材料を分配するために、前記ピストンを前記チャンバを通して直線的に並進させるように構成された作動機構(390)と、
前記プランジャに取り付けられたセンサであって、前記プランジャの複数の線形運動を感知するように構成されたセンサ(392)と、
前記ピストンを直線的に並進させるための前記作動機構の動作を調整するように構成されたコントローラ(14)と、
を備え
前記作動機構の前記動作の前記調整は、1)複数の分配サイクルのうちのそれぞれ1つの間に前記センサによって感知される前記複数の線形運動の平均の大きさに基づいて、2)前記ピストンが前記複数の分配サイクルに亘って前記シリンジの前記出口から所定量の前記材料を繰り返し分配するように、なされる
ことを特徴とするアプリケータ。
【請求項2】
前記複数の分配サイクルは、50回の分配サイクルを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記複数の分配サイクルの量を決定するユーザ入力を受信するように構成されたヒューマンマシンインタフェースを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記複数の線形運動の前記平均の大きさは、移動平均であり、
任意の時点において、前記複数の線形運動の前記平均の大きさは、直前の複数の線形運動の平均の大きさである
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記移動平均は、10回の分配サイクルの間隔の後に再計算される
ことを特徴とする請求項4に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記コントローラは、前記線形運動が所定の範囲外にある時、前記作動機構の動作を調整するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記センサは、線形位置変換器である
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記コントローラは、前記作動機構の動作を自動的に調整するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記コントローラは、前記線形運動を示す信号を処理するように構成された増幅器を含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記チャンバを通る前記プランジャの全線形運動を追跡するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記コントローラは、前記全線形運動に基づいて、前記ピストンによって分配される前記材料の総量を決定するように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載のアプリケータ。
【請求項12】
バルブシート及びニードルを含むバルブアセンブリと、
電圧の受信に応答して前記ニードルを移動させるための圧電装置と、
を更に備え、
前記ニードルは、前記バルブアセンブリから材料を噴射するためのディスペンシング動作時に、当該ニードルが前記バルブシートから離れている第1位置と、当該ニードルが前記バルブシートに接触している第2位置と、の間で並進移動するように構成されており、 前記シリンジは、前記バルブアセンブリに前記材料を提供するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項13】
前記作動機構は、空気圧アクチュエータである
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項14】
シリンジ(20)から材料を分配する方法であって、
作動機構(390)を操作して、ピストン(382)及びそれに取り付けられたプランジャ(386)を前記シリンジのチャンバ(370)を通して直線的に並進させて、前記シリンジの出口(358)を通して材料を分配する工程と、
センサ(392)を介して前記プランジャの複数の線形運動を感知する工程と、
複数の分配サイクルのうちのそれぞれ1つの間の前記複数の線形運動の平均の大きさを計算する工程と、
前記ピストンを直線的に並進させるための前記作動機構の動作を調整する工程と、
を備え
前記作動機構の動作を調整する工程は、1)前記センサによって感知される前記複数の線形運動の前記平均の大きさに基づいて、2)前記ピストンが前記複数の分配サイクルに亘って前記シリンジの前記出口から所定量の前記材料を繰り返し分配するように、なされる
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記複数の分配サイクルは、50回の分配サイクルを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の分配サイクルの量を設定するユーザ入力を受信する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
任意の時点において、前記複数の線形運動の前記平均の大きさは、直前の複数の線形運動の平均の大きさである、というように、前記複数の線形運動の前記平均の大きさを一定間隔で再計算する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記一定間隔は、10回の分配サイクル毎である
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記作動機構の前記動作を調整する工程は、前記線形運動が所定の範囲外にある時に前記作動機構の前記動作を調整する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記作動機構の前記動作を調整する工程は、コントローラを介して前記作動機構の前記動作を自動的に調整する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記線形運動を示す信号をコントローラに送信する工程と、
前記信号を増幅する工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記チャンバを通る前記プランジャの全線形運動を追跡する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記全線形運動に基づいて、前記ピストンによって分配される前記材料の総量を決定する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年1月21日に出願された米国特許出願第62/794,914号に対する優先権を主張する。当該出願の教示内容は、当該参照によって、その全体が本明細書に記載されているかの如くに、本明細書に組み込まれる(incorporated by reference)。
【0002】
[技術分野]
本発明は、一般に、流体アプリケータに関しており、特には、所定量の液体が繰り返し分(ディスペンス)されることを保証するように構成された流体アプリケータに関している。
【0003】
[背景]
接着剤、はんだペースト、コンフォーマルコーティング、カプセル化剤、埋込用材料、及び、表面取り付け接着剤、といったような流体材料を噴射するための既知のアプリケータは、一般に、ニードルを往復移動させることによって少量の流体材料を基板上に噴射するように動作する。そのような材料は、アプリケータの一部であるシリンジ(注射器)内に貯蔵され得る。所定量の材料が、当該シリンジからアプリケータのバルブアセンブリにまで間欠的に分配され、その後に、当該材料がアプリケータから噴射される。バルブアセンブリに一定量の材料を供給することは、自動流体ディスペンシングの最も重要な特徴の1つである。分配される材料の量に一貫性がなければ、材料が無駄になる可能性があり、また、最終製品が売れなくなる可能性がある。
【0004】
一定量の材料がシリンジから分配(ディスペンス)されることを保証する現在の方法は、費用がかかり、面倒であり、及び/または、有効でない、という可能性がある。例えば、噴射プロセスが中断され得て、ある量の噴射材料の質量が測定され得るが、当該方法は、時間と費用がかかり、全体の製造プロセスを混乱させる。また、噴射された材料の量は、視覚システム分析を通じて分析され得るが、これも、費用がかかり、セットアップ及び較正が難しい。更に、噴射された材料の量は、体積的ディスペンシングによって監視され得るが、これも、全体的な噴射プロセスを遅くしてしまう可能性がある。材料のディスペンシング量を監視する別の方法は、予想される変化を考慮して、分配される材料の量を予測的に変更することである。しかしながら、当該方法は、材料や当該噴射システムの他の特徴について、独特で時間のかかる特徴付けを要する。
【0005】
更に、アプリケータシリンジから一定量の材料が分配されることを保証するためのシステムは、シリンジから材料を分配する過程で多くの要因が分配(ディスペンシング)の体積及び質量に影響を与え得るため、一貫性のないディスペンシング量の様々な原因を考慮可能であるべきである。例えば、シリンジを加圧及び減圧するために要求される時間は、シリンジが空になるにつれて増大する。噴射システムの温度の変動は、材料の流れに対する抵抗に影響を与え得て、これは、ディスペンシングサイズを変更し得る。特定のタイプの材料は、硬化などの要因により、時間の経過と共に粘度が変化する。また、材料の特性は、材料のバッチごとに異なり得る。これらの要因は、他の複数の要因に加えて、シリンジからの材料の分配を制御しようとする時に考慮されなければならない。
【0006】
結果として、一定量の材料を繰り返し分配して、材料のディスペンシングに影響を与え得る変化を信頼性をもって考慮するアプリケータのニーズがある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一実施形態は、材料を分配するためのアプリケータであり、当該アプリケータは、入口、出口、及び、前記入口から前記出口まで延在するチャンバ、を規定するシリンジと、前記チャンバ内に配置されたプランジャと、前記プランジャに取り付けられたピストンと、を備え、前記ピストンは前記プランジャを前記チャンバを通して移動させるように構成されている。当該アプリケータは、また、前記出口を通して材料を分配するために、前記ピストンを前記チャンバを通して直線的に並進させるように構成された作動機構と、前記プランジャに取り付けられたセンサであって前記プランジャの線形運動を感知するように構成されたセンサと、前記ピストンが複数の分配サイクルに亘って前記シリンジの前記出口から所定量の前記材料を繰り返し分配するように、前記センサによって感知された前記線形運動に基づいて前記作動機構の動作を調整するように構成されたコントローラと、を備えている。
【0008】
本発明の一実施形態は、シリンジから材料を分配する方法であって、当該方法は、作動機構を操作して、ピストン及びそれに取り付けられたプランジャを前記シリンジのチャンバを通して直線的に並進させて、前記シリンジの出口を通して材料を分配する工程と、センサを介して前記プランジャの線形運動を感知する工程と、を備える。当該方法は、また、前記ピストンが複数の分配サイクルに亘って前記シリンジの前記出口から所定量の前記材料を繰り返し分配するように、前記センサによって感知された前記線形運動に基づいて前記作動機構の動作を調整する工程を備える。
【0009】
前述の要旨と以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれる時、よりよく理解される。当該図面は、本開示の例示的な実施形態を示している。もっとも、本願は図示の正確な配置及び手段に限定されないことが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の例示的な一実施形態によるアプリケータの斜視図である。
【0011】
図2図2は、図1の2-2線に沿った、図1のアプリケータの断面図である。
【0012】
図2A図2Aは、第1位置でのニードルを示す、図2のアプリケータのバルブアセンブリの拡大断面図である。
【0013】
図2B図2Bは、第2位置でのニードルを示す、図2Aのバルブアセンブリの拡大断面図である。
【0014】
図3図3は、図1のアプリケータの圧電装置の部分分解斜視図である。
【0015】
図4図4は、図3の圧電装置の斜視図である。内部の詳細をよりよく示すべく、所定の要素が破線で示されている。
【0016】
図5図5は、図3の圧電装置の下方部の側面図である。
【0017】
図6図6は、本発明の代替的な一実施形態によるアプリケータの等角投影図である。
【0018】
図7図7は、図6の7-7線に沿った、図6のアプリケータの一部の断面図である。
【0019】
図8図8は、図7のアプリケータの断面図の拡大された一部である。
【0020】
図9A図9Aは、第1位置でのニードルを示す、図6のアプリケータのバルブアセンブリの断面図の拡大された一部である。
【0021】
図9B図9Bは、第2位置でのニードルを示す、図9Aのバルブアセンブリの拡大断面図である。
【0022】
図10図10は、図9Aのバルブアセンブリの機械的増幅器の等角投影図である。
【0023】
図11図11は、図10の機械的増幅器の別の等角投影図である。
【0024】
図12図12は、機械的増幅器が変形されていない形態の、図10の機械的増幅器の断面図である。
【0025】
図13図13は、機械的増幅器が変形された形態の、図10の機械的増幅器の断面図である。
【0026】
図14図14は、バルブアセンブリが代替的な形態の、図10の機械的増幅器の断面図である。
【0027】
図15図15は、図1乃至図14のアプリケータの一部の概略図である。
【0028】
図16図16は、本発明の一実施形態によるシリンジから材料を分配する方法の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1乃至図4を参照して、本発明の一実施形態によるアプリケータ10は、一般に、コントローラ14と結合された噴射ディスペンサ12を備える。噴射ディスペンサ12は、アクチュエータハウジング18に結合された流体本体部16を含む。より具体的には、流体本体部16は、流体本体部ハウジング19内に保持されている。流体本体部ハウジング19は、噴射動作の必要性に応じて、1または複数のヒータ(図示せず)を含み得る。流体本体部16は、シリンジ20から圧力下で材料を受け取る(以下で更に詳細に説明される)。バルブアセンブリ22が、アクチュエータハウジング18に結合されており、流体本体部16内に延在している。以下で更に説明されるように、機械的増幅器(例えば、レバー24)が、圧電装置26とバルブアセンブリ22との間に結合されている。
【0030】
圧電装置26を冷却する目的で、空気が、供給源27から入口ポート28に導入され得て、排出ポート30から排出され得る。あるいは、冷却の必要性に応じて、図2に示すように、入口ポート28及び排気ポート30の両方が、供給源27から冷却空気を受容し得る。そのような場合には、1または複数の他の排気ポート(図示せず)が、アクチュエータハウジング18に提供されるであろう。温度及びサイクル制御36が、噴射動作中に圧電装置26をサイクル制御するため、及び、分配される材料を必要な温度に維持するべく噴射ディスペンサ12によって保持された1または複数のヒータ(図示せず)を制御するため、に提供される。別のオプションとして、温度及びサイクル制御36、または他の制御が、閉ループ方式で圧電装置26の冷却のニーズを制御し得る。図4に更に示されるように、圧電装置26は、圧電素子のスタック40を更に含む。このスタック40は、当該スタック40の両側に結合されたそれぞれの平坦な圧縮バネ要素42、44によって、圧縮状態に維持されている。より具体的には、圧電素子のスタック40を間に挟んで平坦なバネ要素42、44を互いに保持する上部ピン46及び下部ピン48が設けられる。上部ピン46は、圧電装置26の上部アクチュエータ部分26a内に保持され、一方、下部ピン48は、スタック40の下端に直接的または間接的に係合する。上部アクチュエータ部分26aは、圧電素子のスタック40を確実に収容し、その結果、スタック40は、いかなる横方向の動きに対しても安定している。この実施形態では、下部ピン48は、下部アクチュエータ部分26bに結合されており、より具体的には、機械的アーマチュア50に結合されている(図2)。
【0031】
機械的アーマチュア50の上面50aが、圧電スタック40の下端を支えている。バネ要素42、44は、図4の矢印53によって示されるように、バネ要素42、44がスタック40に一定の圧縮を加えるように、ピン46、48の間で引き伸ばされている。平坦なバネ要素42、44は、より具体的には、ワイヤ放電加工(EDM)プロセスから形成され得る。圧電素子スタック40の上端は、上部アクチュエータ部分26aの内面に対して保持されている。従って、上部ピン46は静止しているが、下部ピン48は、後述されるように、バネ要素42、44及び機械的アーマチュア50と共に、浮くまたは移動する。電圧波形が圧電スタック40に印加されると、スタック40は膨張または伸長し、これは、バネ要素42、44の力に対抗して機械的アーマチュア50を下向きに移動させる。スタック40は、時間の経過と共に、印加電圧波形の大きさに比例して、長さを変化させる。
【0032】
図2に更に示されるように、機械的アーマチュア50は、機械的増幅器と動作可能に結合されており、当該機械的増幅器は、この例示的な実施形態では、概して第1端部24aの近くで機械的アーマチュア50に結合され、第2端部24bでプッシュロッド68に結合されたレバー24として、形成されている。当該レバー24は、例えば、機械的アーマチュア50とレバー24との間に一連のスロット56をも形成するEDMプロセスを介して、下部アクチュエータ部分26bから一体的に形成され得る。以下で更に議論されるように、レバー24または別の機械的増幅器は、スタック40が拡張または伸長する距離を、所望の量だけ増幅する。例えば、この実施形態では、スタック40及び機械的アーマチュア50の下向きの動きが、レバー24の第2端部24bで約8倍増幅される。
【0033】
ここで、より具体的に図2図2A図2B及び図5を参照して、屈曲部分60が、レバー24を機械的アーマチュア50に結合している。図5に最もよく示されているように、レバー24は、当該レバー24の第2端部24bとほぼ同じ水平レベルにあるピボット点62を中心に旋回する。ピボット点62のこの位置は、レバー24が回転する円弧の影響を最小限に抑えるのに役立つ。一連のスロット56は、屈曲部分60を形成するべく、下部アクチュエータ部分26b内に形成される。図5の矢印66によって示されるように、コントローラ14による電圧波形の印加下で圧電スタック40が伸長する時に、スタック40が機械的アーマチュア50を下向きに押すので、レバー24は概してピボット点62を中心に時計回りに回転する。レバー24の僅かな回転は、屈曲部分60によって加えられる弾性バイアスに対抗して起こる。第2端部24bは、ピボット点62を中心に僅かに時計回りに回転しているので、下向きに移動し、同様に、図5の矢印67によって示されるように、取り付けられたプッシュロッド68を下向きに移動させる(図2)。
【0034】
コントローラ14は、本明細書に記載されるように、アプリケータ10の様々な動作を監視及び制御するためのソフトウェアアプリケーションをホストするように構成された任意の適切なコンピューティングデバイスを含み得る。コントローラ14は、任意の適切なコンピューティングデバイスを含み得て、その例には、プロセッサ、デスクトップコンピューティングデバイス、サーバコンピューティングデバイス、または、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどのポータブルコンピューティングデバイス、が含まれることが理解されよう。具体的には、コントローラ14は、メモリ15及びヒューマンマシンインタフェース(HMI)デバイス17を含み得る。メモリ15は、揮発性(幾つかのタイプのRAMなど)、不揮発性(ROM、フラッシュメモリなど)、または、それらの組み合わせ、であり得る。コントローラ14は、テープ、フラッシュメモリ、スマートカード、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ストレージ、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、ユニバーサルシリアルバス(USB)互換メモリ、または、情報を保存するために使用され得てコントローラ14によってアクセスされ得る任意の他の媒体、を含むがこれらに限定されない追加のストレージ(例えば、取り外し可能なストレージ及び/または取り外し不可能なストレージ)を含み得る。HMIデバイス17は、例えば、ボタン、ソフトキー、マウス、音声作動制御、タッチスクリーン、コントローラ14の動き、視覚的合図(例えば、コントローラ上のカメラの前での手の移動)などを介して、コントローラ14を制御する能力を提供する入力を含み得る。HMIデバイス17は、ディスプレイを介してのニードル76の現在位置及び速度値並びにこれらのパラメータの許容範囲の視覚的表示などの視覚的情報を含む、グラフィカルユーザインタフェースを介しての出力を提供し得る。他の出力は、音声情報(例えば、スピーカを介して)、機械的情報(例えば、振動機構を介して)、または、それらの組み合わせ、を含み得る。様々な構成において、HMIデバイス17は、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、動き検出器、スピーカ、マイクロフォン、カメラ、または、それらの任意の組み合わせ、を含み得る。HMIデバイス17は、コントローラ14にアクセスするための特定のバイオメトリック情報を要求するために、例えば、指紋情報、網膜情報、音声情報、及び/または、顔の特徴情報などの、バイオメトリック情報を入力するための任意の適切なデバイスを更に含み得る。
【0035】
レバー24の第2端部24bは、適切なネジ付きファスナ70、72を使用して、プッシュロッド68に固定されている。プッシュロッド68は、ガイドブッシング74内を移動してバルブアセンブリ22のニードル76の上部ヘッド部分76aを支える下部ヘッド部分68aを有する。ガイドブッシング74は、図2A及び図2Bに最もよく見られるように、ピン75を伴う圧入嵌めによってアクチュエータハウジング18内に保持されている。プッシュロッド68、ガイドブッシング74及びピン75のアセンブリは、動作中にプッシュロッド68の適切な動きを確実にするために、幾らかの「弾力性」を有し得る。更に、プッシュロッド68は、ニードル76及びレバー24を伴う往復運動中に弾性的に僅かに横方向に曲がる材料でできている。バルブアセンブリ22は、環状要素80を用いてアクチュエータハウジング18の下部内に取り付けられたコイルバネ78を更に有する。バルブアセンブリ22は、Oリング84によって流体本体部16内に保持されたインサート82を更に有する。環状要素80及びインサート82は、一体型要素である、すなわち、この実施形態ではカートリッジ本体部である。クロスドリルされたウィープホール85が、コイルバネ78の下端とほぼ一直線上にあり、Oリング86を越えて漏れる液体を逃がすことができる。追加のOリング86が、流体本体部16の流体孔88内に含まれる加圧材料が漏れ出さないように、タペットないしニードル76をシールしている。材料は、流体本体部16の入口90及び流体通路92、94を通って、シリンジ20から流体孔88に供給される。Oリング84は、流体孔88及び流体通路94内の加圧液体から、環状要素80及びインサート82によって形成されたカートリッジ本体部の外側をシールする。流体通路92、94は、流体本体部16にねじ込まれたプラグ部材95によってシールされている。プラグ部材95は、内部通路94を洗浄するためのアクセスを可能にするために取り外され得る。
【0036】
図2及び図3乃至図5を参照すると、アプリケータ10は、第2端部24bの近くでレバー24に取り付けられた参照構成要素69、並びに、アクチュエータハウジング18内に配置された位置センサ71、を含み得る。位置センサ71は、圧電スタック40の伸長時及び収縮時にレバー24が回動する時に、参照構成要素69の位置を検出及び監視するように構成されている。位置センサ71は、コントローラ14と電子通信状態にあり、参照構成要素69の位置を継続的または定期的に監視し得て、コントローラ14に通信し得る。参照構成要素69の位置を監視することにより、位置センサ71は、分配動作中、当該参照構成要素69が取り付けられているレバー24の位置を監視する。一実施形態では、参照構成要素69は磁石であり、位置センサ71はホール効果センサであるが、他の構成も企図され得る。また、参照構成要素69は、レバー24に取り付けられるものとして示されているが、参照構成要素69は、レバー24、プッシュロッド68またはニードル76のいずれかに取り付けられ得る。レバー24、プッシュロッド68及びニードル76は、集約的に、アクチュエータの「可動部品」と呼ばれ得る。参照構成要素69は異なって配置され得るので、位置センサ71は、参照構成要素69の位置を最もよく監視するように、アクチュエータハウジング18内で同様に再配置され得る。位置センサ71及び参照構成要素69を使用してアプリケータ10を制御する方法は、以下で更に説明される。
【0037】
材料の液滴または少量の材料を噴射するためのアプリケータ10の動作は、図2乃至図4を参照することによって、最もよく理解されるであろう。図2Aは、圧電スタック40への電圧波形が十分に除去される時に引き込み第1位置にまで上げられたニードル76を示している。これは、スタック40が収縮することを引き起こす。スタック40が収縮すると、平坦なバネ要素42、44が機械的アーマチュア50を上方に引っ張り、これにより、レバー24の第2端部24bが上昇し、プッシュロッド68も上昇する。従って、バルブアセンブリ22のコイルバネ78は、次に、ニードル76の上部ヘッド部分76aを上方に押し上げ得て、流体本体部16に取り付けられたバルブシート96からニードル76の遠位端76bを持ち上げ得る。この位置で、流体孔88及びニードル76の遠位端76bの下方領域が、噴射ディスペンサ12を「充填」して次の噴射サイクルのために噴射ディスペンサ12を準備するべく、追加の材料で満たされる。
【0038】
圧電スタック40がアクティブ化される時、すなわち、電圧波形がコントローラ14(図1)によって圧電スタック40に印加される時、スタック40は膨張して、機械的アーマチュア50を押す。これにより、レバー24が時計回りに回転し、第2端部24bが下向きに移動し、プッシュロッド68も下向きに移動する。図2Bに示されるように、プッシュロッド68の下部ヘッド部分68aは、ニードル76の上部ヘッド部分76aを押し下げ、ニードル76は、遠位端76bが第2位置でバルブシート96に作用するまで、コイルバネ78の力に対抗して迅速に下向きに移動する。当該移動の過程において、ニードル76の遠位端76bは、材料の液滴97を排出出口98から押し出す。次に、電圧が圧電スタック40から除去されると、これは、これらの構成要素の各々の動きを逆転させて、次の噴射サイクルのためにニードル76を持ち上げる。
【0039】
圧電装置26は、液滴を噴射するために、逆の作用で利用され得ることが理解されよう。この場合、レバー24を含む様々な機械的作動構造は、電圧が圧電スタック40から除去される時に結果として生じるスタック40の収縮がニードル76のバルブシート96及び排出出口98への移動を引き起こして材料の液滴97を排出する、というように異なって設計され得る。そして、電圧波形をスタック40に印加する時、増幅システム及び他の作動構成要素は、次の噴射動作のために、流体孔88を追加の材料で充填するべくニードル76を上昇させるであろう。この実施形態では、ニードル76は通常は閉じられており、すなわち、圧電スタック40に電圧が印加されていない時、ニードル76はバルブシート96と係合している。
【0040】
図2に更に示されるように、上部アクチュエータ部分26aは、下部アクチュエータ部分26bから分離しており、これらの各部分26a、26bは、異なる材料から形成されている。具体的には、上部アクチュエータ部分26aは、下部アクチュエータ部分26bを形成する材料よりも、低い熱膨張係数を有する材料から形成されている。上部及び下部アクチュエータ部分26a、26bの各々は、下部アクチュエータ部分26bから上部アクチュエータ部分26a内に延びるネジ付きファスナ(図示せず)を用いて一緒にしっかりと固定されている。そして、上部及び下部アクチュエータ部分26a、26bのアセンブリが、複数のボルト99によってハウジングに固定されている。より具体的には、下部アクチュエータ部分26bは、17-4PHステンレス鋼から形成され得て、一方、上部アクチュエータ部分26aは、インバーなどのニッケル-鉄合金から形成され得る。17-4PHステンレス鋼は、非常に高い耐久限度または疲労強度を有しており、曲げ部分60の寿命を増大させる。このステンレス鋼の熱膨張係数は、約10μm/m-Cであり、インバーの熱膨張係数は、約1μm/m-Cである。熱膨張の比率は、これらの材料の約10:1の比率より、高くても低くてもよい。上部及び下部アクチュエータ部分26a、26bに関連する熱膨張係数は、互いにオフセット特性を効果的に提供する。上部及び下部アクチュエータ部分26a、26bの異なる熱膨張係数により、圧電装置26は、より広い温度範囲に亘って一貫して動作することができる。具体的には、この温度範囲は、圧電装置26がより高い周波数でより攻撃的な波形で動作することを可能にする。また、圧電スタックは、高デューティサイクルで動作すると、かなりの熱を発生し得る。インバーの使用は、圧電装置26の端部のより絶対的な位置決めを提供し、従って、より正確で使用可能なストロークを提供する。
【0041】
図6乃至図14を参照して、材料を基板上に噴射するためのアプリケータの別の実施形態が示されている。アクチュエータハウジング118に結合された流体本体部116を有するアプリケータ100が示されている。流体本体部116は、流体本体部ハウジング119内に保持されている。流体本体部ハウジング119は、用途の必要性に応じて、1または複数のヒータ(図示せず)を含み得る。流体本体部116は、以下で更に議論されるように、シリンジ20から圧力下で材料を受容するように構成されている。バルブアセンブリ122が、アクチュエータハウジング118に結合され、流体本体部116内に延在している。機械的増幅器206が、以下で更に説明されるように、圧電装置126とバルブアセンブリ122との間に結合されている。圧電装置126は、複数のボルト(図示せず)または他の適切なファスナによってアクチュエータハウジング118に固定され得る。圧電装置126は、例えばステンレス鋼またはニッケル鉄合金であるがこれらに限定されない、様々な材料を含み得る。
【0042】
図7及び図8に更に示されるように、圧電装置126は、圧電素子のスタック140、近位端218、及び、近位端218の反対側の遠位端220、を含む。圧電素子は、電圧波形の印加及び/または除去時に変形するように構成されている。このスタック140は、圧電装置126に結合された圧縮バネ144によって圧縮状態に維持されている。
【0043】
スタック140は、遠位端220の圧縮バネ144と例えばアクチュエータハウジング18の内面に対抗する剛性表面(図示せず)との間で圧縮状態に保持され得る。剛性表面は、近位端218に接触し得る。幾つかの態様では、スタック140は、複数の圧縮バネ144、例えば近位端218の第1圧縮バネ144及び遠位端220の第2圧縮バネ144、によって保持され得る。
【0044】
圧電装置126は、プッシュロッド168と動作可能に係合され、プッシュロッド168を第1方向に移動させるように構成されている。図9A及び図9Bを参照して、プッシュロッド168は、ガイドブッシング174内を移動してバルブアセンブリ122に関連するニードル176の近位端176aを支持する下部ヘッド部分168aを有する。ニードル176は、可動シャフトであり得る。ガイドブッシング174は、ピン175を伴う圧入嵌めによってアクチュエータハウジング118内に保持され得る。プッシュロッド168、ガイドブッシング174及びピン175のアセンブリは、動作中にプッシュロッド168の適切な動きを確実にするために、幾らかの「弾力性」を有し得る。
【0045】
バルブアセンブリ122は、環状要素180を用いてアクチュエータハウジング118の下部内に取り付けられたコイルバネ178を更に有し得る。インサート182が、Oリング184によって流体本体部116内に保持され得る。環状要素180及びインサート182は、一体型要素である、すなわち、図示の態様においてはカートリッジ本体部である。
【0046】
追加のOリング186が、流体本体部116の流体孔188内に含まれる加圧材料が漏れ出さないように、ニードル176をシールしている。材料は、流体本体部116の入口190及び通路192、194を通って、シリンジ20から流体孔188に供給される。Oリング184は、流体孔188及び流体通路194内の加圧液体から、環状要素80及びインサート82によって形成されたカートリッジ本体部の外側をシールする。クロスドリルされたウィープホール185が、コイルバネ178の下端とほぼ一直線上にあり、Oリング186を越えて漏れる液体を逃がすことができる。
【0047】
電圧波形がスタック140に印加される時、圧電素子が変形し、スタック140が膨張または伸長し、圧縮バネ144によって作用されている力に対抗して遠位端220を近位端218から離れる方向に移動させる。スタック140は、時間の経過と共にそれに印加される電圧波形の大きさに比例して長さを変化させるように構成され得る。印加電圧が除去されるか、または十分に低減されると、スタック140は、電圧の印加前と実質的に同じ長さに収縮または短縮する。
【0048】
スタック140の動きは、圧電装置126に動作可能に結合されたプッシュロッド168の動きを引き起こす。プッシュロッド168は、バルブアセンブリ122上に配置されたニードル176に動作可能に結合され得る。プッシュロッド168が移動されると、ニードル176もまた移動して、バルブアセンブリ122上の排出出口204を開閉する。スタック140の繰り返しの動きは、ニードル176の往復運動をもたらし、液滴または少量の材料が、アプリケータ100の排出出口204を通して分配または噴射される。
【0049】
図7及び図8を再び参照して、機械的増幅器206がアプリケータ100内に配置され得て、スタック140の動きを比例的に増幅し得る。増幅器206は、スタック140及びバルブアセンブリ122に結合され、スタック140の動きが増幅器206の少なくとも一部を移動させ、それにより、ニードル176が移動する。電圧波形がスタック140に印加される時、スタック140の動きは、増幅器206に力を与え、増幅器206を移動させ、同様にニードル176を移動させる。元の動きの増幅が望まれる場合、増幅器206によるニードル176の動きの大きさは、スタック140の動きの大きさよりも大きいことが理解されよう。
【0050】
図10及び図11を参照して、増幅器206は、実質的に丸い断面を有するディスクであり得る。しかしながら、増幅器206は、例えば、長方形、三角形、または他の多角形、の断面形状を有する任意の適切な形状であり得ることが理解されよう。
【0051】
増幅器206は、アプリケータ100と一体的であり得て、1つの単一構成要素の一部であり得るか、または、アプリケータ100に取り付けられた別個の構成要素であり得る。幾つかの態様では、増幅器206は、アプリケータ100に取り外し可能に結合され、スタック140及びバルブアセンブリ122と選択的に係合または係合解除されるように構成された別個の構成要素であり得る。アプリケータ100は、増幅器が係合された状態で、または、増幅器が係合されていない状態で、動作するように構成され得る。幾つかの態様において、アプリケータ100は、様々な程度の増幅をもたらすべく選択的に係合または係合解除され得る複数の増幅器206を含み得る。アプリケータ100は、複数の増幅器206が同時に作用(係合)して動作するように構成され得る。幾つかの態様では、増幅器206は、異なる程度の増幅をもたらすために、別の増幅器206と交換可能であり得る。
【0052】
図10及び図11を参照して、増幅器206は、一次表面210と、一次表面210の反対側の二次表面212と、を有する本体部208を含む。本体部208は、力の適用時に変形され得る変形可能な材料を含み得る。変形可能な材料は、変形を引き起こす力が低減または除去される時に本体部208が実質的にその非変形の形状に戻るように、十分に弾性であるべきである。本体部208は、スタック140から力を受け取って損傷を被ることなく(例えば、ひび割れまたは破損することなく)ニードル176に力を与えるのに十分に剛性であるべきである。完全に弾性があって無限に耐久性があるという材料はないので、当業者は、所望の機能を適切な程度に実行し得る材料を認識するであろう、ということが理解されるであろう。
【0053】
増幅器206は、本体部208を通って延在し、一次表面210を二次表面212に接続する開口部214を含み得る。中心軸Aが、開口部214の幾何中心を通って延びている。中心軸Aはまた、スタック140及びプッシュロッド168の中心軸と共通であり得る。幾つかの態様では、1または複数のローブ216が、本体部208の周から開口部214内へと中心軸Aに向かって半径方向内側に延在し得る。ローブ216は、増幅器206が変形形態でない時、中心軸Aに実質的に垂直であり得る。増幅器206は、2、3、...、10、または別の適切な数、のローブを含み得る。あるいは、増幅器206は、本体部208から延びるゼロのローブを含み得て、ドーナツ形状であり得る。
【0054】
増幅器206は、増幅器206が移動される時にプッシュロッド168も移動するように、プッシュロッド168に動作可能に結合され得る。プッシュロッド168は、例えば、摩擦嵌合、接着剤の使用、ファスナ(留め具)の使用、などを介して、任意の適切な方法で増幅器206に結合され得ることが理解されよう。あるいは、プッシュロッド168は、増幅器206と一体的に形成され得る。図11に示される態様を参照すると、プッシュロッド168は、増幅器本体部208の開口部214を通って延在し得る。そのような態様では、プッシュロッド168の少なくとも一部が、開口部214を自由に通過できるように成形及び寸法決定されるべきである。プッシュロッド168の上部ヘッド部分168bは、例えば一次表面210で増幅器206に接触し得る。上部ヘッド部分168bは、開口部214を通過することが防止されるように、開口部214よりも大きいサイズ及び寸法にされ得る。幾つかの態様では、増幅器206が変形されている場合、開口部214は、増幅器206が変形されていないときより大きいかもしれない。そのような態様では、上部ヘッド部分168bは、変形された増幅器206の開口部214よりも大きいサイズにされるべきである。
【0055】
上部ヘッド部分168bは、開口部214を通過するように構成されたプッシュロッド168の部分に一体的に取り付けられている。増幅器206は、上部ヘッド部分168bに力を与えることができ、これは、次に、プッシュロッド168の残部に伝達される。
【0056】
増幅器206は、スタック140から力を受容し、プッシュロッド168に力を与えるためのレバー機構として動作し得る。増幅器206は、圧電装置126の遠位端220と基部230との間に配置され得る。図7及び図8を再び参照して、一次表面210は遠位端220に隣接し得て、二次表面212は基部230に隣接し得る。
【0057】
幾つかの態様では、力伝達の精度を高めるために、増幅器206は、遠位端220及び基部230上に配置された特定の接触領域によって接触される。図8に示されるように、例えば、一次突起222が、遠位端220上に配置され得て、そこから増幅器206の一次表面210に向かう方向に延在し得る。同様に、基部230は、そこから増幅器206の二次表面212に向かう方向に延在する二次突起232を含み得る。一次突起222及び二次突起232は、それぞれ、任意の許容可能な角度で、遠位端220及び基部230から延在し得るが、延在角度の少なくとも一成分が、それぞれ、一次表面210及び二次表面212に対して実質的に垂直であるべきであることが理解されよう。
【0058】
幾つかの代替の態様では、一次突起222は、増幅器本体部208の一次表面210と一体的であり得て、そこから遠位端220に向かって延在し得る。同様に、二次突起232は、増幅器本体部208の二次表面212と一体的であり得て、そこから基部230に向かって延在し得る。更なる態様では、突起が、増幅器206、遠位端220及び/または基部230のうちの1または複数から延在し得て、すなわち、本発明は、前述のような突起の特定の配置に限定されない。
【0059】
動作時、アプリケータ100は、液滴または少量の材料を噴射するように構成されており、当該材料は、流体本体部116に取り付けられたシリンジ20から提供される(シリンジ20については、以下で詳細に説明される)。スタック140がアクティブ化される時、すなわち、電圧波形が主電子制御装置(図示せず)によって圧電素子に印加される時、スタック140は膨張し、一次表面210で増幅器206を押す。一次突起222及び二次突起232の位置に基づいて、前述のように、増幅器206が変形して、プッシュロッド168の上部ヘッド部分168bに力を与える。これにより、プッシュロッド168は、圧電装置126に向かって開放方向に移動するように強制される。上部ヘッド部分168bが増幅器206によって移動される距離は、好ましくは、スタック140の遠位端220によって移動される距離よりも大きい。プッシュロッド168と一体の下部ヘッド部分168aもまた、同じ開放方向に移動する。下部ヘッド部分168aがニードル176から離れるにつれて、ニードル176もまた、開口方向に第1位置まで移動することが許される。ニードル176は、コイルバネ178によって開放方向に付勢され得て、プッシュロッド168がニードル176から離れる時、コイルバネ178はニードル176も開放方向に移動させる。
【0060】
電圧がスタック140から除去されるか、または十分に低減されると、前述の動きは逆になる。スタック140は長さが減少し、増幅器206に加えられる力が減少する。次に、増幅器206は、実質的に非変形の状態に戻り得て、これにより、プッシュロッド168の上部ヘッド部分168bに加えられる力が減少する。プッシュロッド168は、コイルバネ169によって、開放方向と反対の閉鎖方向に付勢(バイアス)され得る。増幅器206によってプッシュロッド168に加えられる力がコイルバネ169の付勢力よりも小さくなると、コイルバネ169はプッシュロッド168を閉鎖方向に移動させる。下部ヘッド部分168aは、ニードル176の近位端176aと接触し、近位端176aとは反対側のニードル176上に配置された遠位端176bが第1位置から離間した第2位置でバルブシート200に係合(作用)するまで、コイルバネ178の力に対抗して閉鎖方向にニードル176を押す。コイルバネ178は、コイルバネ169よりも低い剛性を有し得て、その結果、外力がなければ、コイルバネ169によって閉鎖方向に作用する力は、コイルバネ178によって開放方向に作用する力よりも大きい。
【0061】
ニードル176を第1位置から第2位置に移動させるプロセスにおいて、ニードル176の遠位端176bは、当該遠位端176bが排出出口204のバルブシート200に強く当たる時、材料の液滴202を排出出口204から押し出し得る。また、この分配(ディスペンシング)動作の間、アプリケータ100は、システムの可動部分のうちの1つの動きを監視し得る。これを行うために、アプリケータ100は、上部ヘッド部分168bでプッシュロッド168に取り付けられた参照構成要素148、並びに、アクチュエータハウジング118内に配置された位置センサ150、を含み得る。位置センサ150は、圧電スタック140の伸長時及び収縮時にプッシュロッド168が上下移動する時に、参照構成要素148の位置を検出して監視するように構成されている。位置センサ150は、コントローラ14と電子通信状態にあり、参照構成要素148の位置を継続的または定期的に監視し得て、コントローラ14に通信し得る。参照構成要素148の位置を監視することにより、位置センサ150はまた、分配動作中、それが接触している機械的増幅器206の位置をも監視する。一実施形態では、参照構成要素148は磁石であり、位置センサ150はホール効果センサであるが、他の構成も企図され得る。また、参照構成要素148は、プッシュロッド168に取り付けられるものとして示されているが、参照構成要素148は、機械的増幅器206、プッシュロッド168またはニードル176のいずれかに取り付けられ得る。機械的増幅器206、プッシュロッド168及びニードル176は、集約的に、アクチュエータの可動部品と呼ばれ得る。参照構成要素148は異なって配置され得るので、位置センサ150は、参照構成要素148の位置を最もよく監視するように、アクチュエータハウジング118内で同様に再配置され得る。参照構成要素148及び位置センサ150を使用してアプリケータ10を制御する方法は、以下で更に説明される。
【0062】
圧電装置126は、液滴を噴射するために、逆の作用で利用され得ることが理解されよう。この場合、様々な機械的作動構造は、電圧がスタック140に印加される時に結果として生じるスタック140の膨張がニードル176のバルブシート200及び排出出口204への移動を引き起こして材料の液滴102を排出する、というように異なって設計され得る。そして、スタック140への電圧が除去される時、増幅システム及び他の作動構成要素は、次の噴射動作のために、流体孔188を追加の材料で充填するべくニードル176を上昇させるであろう。このような態様では、ニードル176は通常は開いており、すなわち、スタック140に電圧が印加されていない時、ニードル176はバルブシート200と係合していない。
【0063】
増幅器206の変形量、及び、その結果としてスタック140の動きの増幅の程度は、部分的に、一次突起222及び二次突起232がそれぞれ一次表面210及び二次表面212に接触する時のそれらの相対位置によって決定される。電圧波形がスタック140に印加されると、スタック140は伸長して遠位端220を移動させ、増幅器206に力を加える。遠位端220における一次突起222は、増幅器206の幾何学的中心を通って延びる中心軸Aから第1距離D1だけ離れた位置で、増幅器206の一次表面210に接触し得る。基部230は、増幅器206の反対側に配置されており、二次表面212に接触するように構成されている。二次突起232は、中心軸Aから第2距離D2だけ離れた位置で、二次表面212に接触し得る。遠位端220によって移動される距離を増幅するべく適切なレバー作用を生成するために、第1距離D1及び第2距離D2は異なっているべきである。
【0064】
図12及び図13を参照して、第1距離D1は第2距離D2よりも大きくてよい。一次突起222によって一次表面210に力が加えられると、二次突起232は支点として機能する。これにより、第2距離D2よりも中心軸Aから遠い増幅器206の一部が一次突起222によって一方向(例えば、下向き)に押される時、第2距離D2よりも中心軸Aに近い増幅器206の別の一部が反対方向(例えば、上向き)にレバー作用される。これにより、例えば一次表面210またはローブ216と上部ヘッド部分168bとの相互作用において、増幅器と動作可能に結合されたプッシュロッド168は、同じ方向に移動される。図13は、スタック140が伸長されて、力が増幅器206の一次表面210に加えられるという例示的な態様を示している。これによれば、増幅器206が変形され、上部ヘッド部分168bは、プッシュロッド168の残部とともに、中心軸Aに沿って軸方向に移動される。
【0065】
プッシュロッド168が移動する距離は、第1距離D1及び第2距離D2に依存する。第2距離D2が増大するにつれて(すなわち、支点が中心軸Aから遠くなるにつれて)、プッシュロッド168が移動する距離も増大する。増幅の量は、第2距離D2を増大または減少させることによって制御され得る。図14は、例えば、中心軸Aから第2距離D2’離れて配置された二次突起232’を有する基部230’を含む代替の実施形態を示す。第2距離D2’は、第2距離D2よりも小さい。これにより、基部230’を有する実施形態では、プッシュロッド168は、基部230を利用する態様よりも、より小さい距離を移動し、その結果、より小さい同質の増幅をもたらす(他の全ての要因を等しいと見なす場合)。
【0066】
第2距離D2を変更することは、増幅の量を調整する適切な方法であるが、増幅は、様々な方法で変更され得る。幾つかの態様では、増幅器206は、より容易に変形するように構成された材料(例えば、材料がより柔らかいまたはより弾性である)、あるいは、より剛性であるように構成された材料(例えば、材料がより堅いまたはより低弾性である)を含み得る。本体部208の厚さが、増大され得る(剛性を増加させるため)または減少され得る(柔軟性を増加させるため)。幾つかの態様では、ローブ216が、厚さ、材料特性、及び/または長さ(すなわち、ローブ216が本体部208から中心軸Aに向かって延びる距離)において変更され得る。
【0067】
増幅器206の本体部208は、それを通る様々な厚さ(すなわち、一次表面210と二次表面212との間の距離)を有し得る。幾つかの態様では、例えば、本体部208は、開口部214から最も遠くで最大厚さであり得て、開口部214に最も近くで最小厚さであり得て、厚さは、最大厚さから最小厚さまで徐々に減少する。あるいは、本体部208は、1または複数のステップ(図示せず)を含み得て、各ステップは、異なる厚さを有し得て、例えば、開口部214から最も遠いステップが最大厚さであり得て、開口部210に最も近いステップが最小厚さであり得る。
【0068】
図15を参照して、シリンジ20及び関連する構成要素がより詳細に説明される。シリンジ20は、第1端部350aと、第1端部350aとは反対側の第2端部350bと、の間に延びる本体部350を有し得る。本体部350は、他の実施形態も企図され得るが、その長さ全体に亘って実質的に円筒形の断面形状を規定し得る。本体部350はまた、第1端部350aから第2端部350bの実質的な大部分まで実質的に一定の直径を規定し得る。ただし、本体部350は、第2端部350bの一部に亘って内側に先細状であってもよい。もっとも、本発明は、この実施形態に限定されることを意図されてはいない。第2端部350bは、流体本体部16、116の一部に取り外し可能に取り付けられるように構成された取付部分366を含み得る。本体部350は、第1端部350aから第2端部350bまで延在するチャンバ370を内部に規定し得て、当該チャンバ370は、ある量の材料374aを受け取って貯蔵するように構成されている。材料374は、潤滑剤、接着剤、エポキシ、または生体材料であり得るが、本発明は、これらの例に限定されることを意図されてはいない。フランジ362は、本体部350の第1端部350aから周方向外向きに延在し得て、当該フランジ362は、システムオペレータによるシリンジ20のプランジャ386の手動起動を可能にし得る。プランジャ386及びピストン382は、以下で更に説明される。
【0069】
本体部350はまた、本体部350の第1端部350aに配置された入口354と、入口354の反対側であって本体部350の第2端部350bに配置された出口358と、を規定し得て、チャンバ370は入口354から出口358まで延在している。チャンバ370は、ピストン382を受け入れるように構成され得て、ピストン382は、チャンバ370内に配置されて、チャンバ370を通って直線的に並進するように構成されている。ピストン382は、金属またはプラスチック材料を含み得て、分配動作中、ピストン382を通過する材料374の移動を防ぐために、チャンバ370のそれと形状及びサイズにおいて実質的に同一である断面を規定し得る。シリンジ20はまた、ピストン382を通過する材料374の移動を更に防止するように、ピストン382の周りに配置されたOリングなどのシール(図示せず)を含み得る。プランジャ386が、モノリシックに、一体的に、または取り外し可能に、ピストン382に取り付けられ得る。プランジャ386は、ピストン382がシリンジ20の出口358を通して材料374の個別の体積378を分配する間、ピストン382と共にチャンバ370を通って移動するように構成され得る。個別の体積378は、材料374の個別の量として定義され得て、単一の液滴から材料374の延長されたストリームまで、量において範囲を特定し得る。
【0070】
ピストン382をチャンバ370を通して直線的に並進させるために、アプリケータ100は、作動機構390を含み得る。作動機構390は、チャンバ370、従ってピストン382と流体連通している空気圧アクチュエータであり得る。作動機構390は、脈圧分配動作において、チャンバ370を介してピストン382に直接的に空気圧パルスを印加するように構成され得る。あるいは、作動機構は、ピストン382に一定の圧力を適用し得る。もっとも、空気圧アクチュエータ以外の他のタイプの作動機構もまた企図され得る。作動機構390は、信号接続394aを介してコントローラ14と信号通信状態にあり、その結果、コントローラ14は、以下で更に説明されるように、作動機構390の動作を制御可能である。信号接続394aは、有線接続及び/または無線接続を含み得る。作動機構390は、ピストン382及び同様にプランジャ386を、チャンバ370を通して直線的に並進させて、既知の(及び一貫した)サイズ、形状、及び体積を有する個別の体積378をシリンジ20から分配するように構成され得る。しかしながら、そのような一貫した分配(ディスペンシング)は、分配動作が進むにつれて困難になり得る。例えば、材料374の特性は、時間の経過とともに変化し得て、このことは、個別の体積378が一貫性を維持することを確実にするために、作動機構390の動作を変更することを要求し得る。
【0071】
分配される材料374の特性が一貫性を維持することを確実にするために、アプリケータ10、100は、プランジャ386に取り付けられたセンサ392を含み得る。センサ392は、ピストン382及びプランジャ386がシリンジ20のチャンバ370を通って移動する時、プランジャ386の線形移動、従ってピストン382の線形移動を感知するように構成され得る。センサ392は、線形位置変換器、線形電圧変位変換器(LVDT)、レーザ、または絶対線形エンコーダであり得るが、他のタイプの従来の位置センサも企図され得る。センサ392は、信号接続394bを介してコントローラ14と信号通信状態にあり、その結果、コントローラ14は、プランジャ386の線形移動を示す信号を受信し得る。信号接続394bは、有線接続及び/または無線接続を含み得る。結果として、コントローラ14は、センサ392によって感知された線形移動が要求される体積を有する個別の体積378を生成するために要求される移動と合致しない時、センサ392によって感知された線形移動に基づいて、ピストン382の移動を調整するように作動機構390の動作を調整するように構成され得る。このフィードバックによって、コントローラ14は、ピストン382が、複数の分配サイクルに亘って、シリンジ20の出口358から所定量の材料374を一貫して繰り返し分配することを、確実にし得る。コントローラ14によって実行される調整は、自動的に行われ得る、あるいは、HMIデバイス17を介してオペレータからプロンプト(指示)を受信した時に行われ得る。各分配サイクルは、材料374の単一の個別の体積378の分配として定義され得る。センサ392から受信された情報を利用する前に、信号接続394bを介して提供される信号は、増幅器396によって処理され得る。増幅器396は、図示のようにコントローラ14の一部であり得る、あるいは、コントローラ14とは別個の構成要素であり得る。更に、アプリケータ10、100のオペレータは、個別の体積378の要求される体積及びピストン382の開始位置を入力し得て、分配動作の初期パラメータを規定し得る。
【0072】
ピストン382の移動を調整するために利用される線形移動は、プランジャ386の単一の線形移動でなくてもよく、複数の分配サイクルのそれぞれの間に感知される複数の線形移動の平均の大きさであり得る。換言すれば、コントローラ14は、ピストン382が様々な分配サイクルを実行する時に、プランジャ386の線形移動を経時的に感知し得て、この情報をメモリ15に記憶し得て、所定量の材料374を繰り返し分配するべく作動機構390の動作及びピストン382の移動を調整する際の使用のため、各分配サイクルの線形移動の大きさを平均化し得る。一実施形態では、この平均が引き継がれ得る複数の分配サイクルは、50分配サイクルである。もっとも、他の数の分配サイクルも企図され得る。選択的に、アプリケータ10、100のオペレータは、HMIデバイス17を介して、複数の分配サイクルの量(数)を手動で入力し得る。作動機構390の動作を制御するために、1つの分配サイクルの後の単一の線形移動ではなく複数の分配サイクルにわたる線形移動の平均を使用することによって、コントローラ14は、単一の分配サイクル中に発生する反復不可能な不規則性を考慮して効果的に無効化し得て、一方、シリンジ20のチャンバ370内の様々な経時的に変化する条件を依然として考慮し得る。コントローラ14は、ピストン382によって出口358から分配される個別の体積378のサイズが一定に保たれることを確実にするために、経時的にチャンバ370を通るプランジャ386の移動パターンを特徴付けるべく、アルゴリズムにおいてこの平均を使用し得る。
【0073】
前述の平均の線形移動は、静的な数の線形移動の平均でなくてもよい。例えば、当該平均は、プランジャ386の複数の線形移動の平均が直前の複数の線形移動の平均であるというように、移動平均を定義し得る。平均が50分配サイクルの線形移動の平均である場合、当該平均は、作動機構390がピストン382を移動させている目下の分配サイクルの直前の50分配サイクルの線形移動の平均であり得る。平均が移動平均である時、当該平均は本質的に時間の経過とともに再計算される必要がある。例えば、当該移動平均は、各分配サイクルの後に再計算され得る、あるいは、設定された分配サイクル間隔の後に再計算され得る。一実施形態では、当該間隔は、10分配サイクル毎であり得る。別の実施形態では、コントローラ14は、直前の100回の分配サイクルにわたる瞬間位置の平均に基づいて、20回の分配サイクル毎に、作動機構390の動作及びピストン382の移動を調整し得る。もっとも、本発明は、コントローラ14が、HMIデバイス17を介してオペレータによって選択されるように、あるいは、コントローラ14によって自動的に決定されるように、様々な異なる数の分配サイクルに亘って、及び、様々な分配サイクル間隔で、プランジャ386の瞬間位置を平均化できることを企図する。
【0074】
コントローラ14は、感知された線形移動の大きさまたはプランジャ386の複数の線形移動の平均の大きさが意図された線形移動と合致しない時はいつでも、ピストン382の動きを変えるように作動機構390の動作を調整し得る。あるいは、コントローラ14は、感知された線形移動の大きさまたはプランジャ386の複数の線形移動の平均の大きさが所定の範囲外にある時にのみ、作動機構390の動作を調整し得る。この範囲は、ある線形範囲、または、意図された大きさからのパーセント偏差、を含み得る。この範囲は、シリンジ20内の材料374のタイプ、実行される分配動作のタイプ、分配される個別の体積378のサイズ、などの要因に基づいて、コントローラ14によって自動的に計算され得る。あるいは、当該範囲は、特定の分配動作の要件を満たすサイズを有する個別の体積378を依然として生成するであろう線形移動の範囲に基づいて、HMIデバイス17を介してオペレータによってコントローラ14に提供され得る。
【0075】
時間の経過と共に、コントローラ14は、ピストン382がシリンジ20のチャンバ370を通って前進する時にプランジャ386が経験する全線形移動を追跡することもできる。全線形移動から、コントローラ14は、ピストン382によってチャンバ370から押し出された材料374の総量を計算し得る。この材料374の総量、及び、選択的には分配された材料の総量が、オペレータの参照用に、HMIデバイス17を介して表示され得る。結果として、オペレータは、シリンジ20のチャンバ370がどの程度満たされているかを常に知ることができ、シリンジ20が空になって交換されなければならない時のために準備することができる。更に、コントローラ14は、シリンジ20が空であって交換されなければならない時、オペレータに自動的に報告し得る。
【0076】
図16を参照して、シリンジ20から材料を分配する方法400が説明される。当該方法400は、作動機構390が作動され、ピストン382及びそれに取り付けられたプランジャ386をシリンジ20のチャンバ370を通して直線的に並進させて、シリンジ20の出口358を通して材料374を分配する、ステップ402を含む。このステップは、コントローラ14によって実行され得る。コントローラ14は、ピストン382を直線的に並進させるように作動機構390に指示することができる。次に、ステップ406において、HMIデバイス17が、それについて線形移動の大きさが平均化される複数の分配サイクルの量(数)を設定するユーザ入力を受容し得る。あるいは、この量(数)は、コントローラ14によって決定され得る、あるいは、メモリ15から呼び出され得る。ステップ406の後、センサ392は、ステップ410の複数の分配サイクルに亘って、プランジャ386、従ってピストン382の線形移動を感知し得る。
【0077】
センサ392がステップ410でプランジャ386の線形移動を感知すると、センサ392はステップ414で当該線形移動を示す信号をコントローラ14に送信し得る。この信号は、信号接続394bを介して送信され得る。信号接続394bは、有線接続及び/または無線接続であり得る。次に、ステップ418において、増幅器396が、コントローラ14に提供される線形移動信号を増幅し得る。次に、ステップ422において、コントローラ14は、複数の分配サイクルのうちのそれぞれの間の複数の線形移動の平均の大きさを計算し得る。前述のように、この平均的な大きさが引き継がれ得る分配サイクルの数は、50分配サイクルであり得る。しかしながら、この分配サイクルの量(数)は変化し得て、コントローラ14によって、あるいは、アプリケータ10、100のオペレータによるHMIデバイス17への入力を介して、調整され得る。次に、ステップ426において、コントローラ14は、感知された線形移動を、特定の特性を有する個別の体積378を生成するために要求される理想的または所定の線形移動と比較し得て、必要に応じて、センサ392によって感知される線形移動に基づいてピストン382のアクチュエータ390の移動の動作を調整し得る。これは、ピストン382が、複数の分配サイクルに亘って、シリンジ20の出口358から所定量の材料374を繰り返し分配することを確実にするために行われる。
【0078】
調整は、ステップ422において決定された複数の線形移動の平均の大きさに基づき得る。調整は、プランジャ386の瞬間的または平均的な線形移動が所定の線形移動と異なる場合に、なされ得る。あるいは、調整は、瞬間的な線形移動が所定の範囲外にある場合に、なされ得る。この範囲は、ある線形範囲、または、意図された大きさからのパーセント偏差、を含み得る。この範囲は、シリンジ20内の材料374のタイプ、実行される分配動作のタイプ、分配される個別の体積378のサイズ、などの要因に基づいて、コントローラ14によって自動的に計算され得る。あるいは、当該範囲は、HMIデバイス17を介してオペレータによってコントローラ14に提供され得る。
【0079】
ステップ426で調整がなされた後、ステップ430において、コントローラ14は、複数の線形移動の平均の大きさを再計算し得る。これは、材料分配の個別のベンチマーク(指標)で、あるいは、オペレータの指示で、一定間隔で行われ得る。これにより、平均の大きさは、移動平均を含み得て、任意の時点においてコントローラ14によって利用される複数の線形移動の平均の大きさは、直前の複数の線形移動の平均であり得る。一実施形態では、間隔は、10回の分配サイクル毎であるが、他の様々な間隔も企図され得る。
【0080】
コントローラ14は、ステップ434において、シリンジ20のチャンバ370を通るプランジャ386の全線形移動を追跡するように構成され得る。この情報を使用して、ステップ438において、コントローラ14は、ピストン382によってシリンジ20から分配される材料の総量を決定し得る。この総分配量、及び/または、チャンバ370内に残された材料374の逆量(残量)が、HMIデバイス17を介して表示され得て、シリンジ20内の状態をオペレータに常に通知し続け得る。
【0081】
前述のようにセンサ392からのフィードバックを使用してシリンジ20から材料374を分配するためのピストン382の移動を制御することには、幾つかの利点がある。この分配方法を使用することで、シリンジ20から分配される個別の体積378の変動が最小限に抑えられ得る。更に、既知のフィードバックシステムとは対照的に、体積変動の補正が、それらのソースに関係なく考慮され得る。前述のセンサ392を使用するプランジャ移動のフィードバック制御は、脈圧システム及びバルブ分配システムの両方と互換性があるという柔軟性を有する。更に、ピストン移動制御のための前述のシステム及び方法は、他のフィードバックシステムとは対照的に、費用対効果が高くユーザフレンドリであるという利点を有し、追加の較正を要求することなくエンドユーザによってセットアップされるという能力を提供する。
【0082】
本発明の様々な態様、概念及び特徴は、本明細書において、例示的な実施形態の組み合わせで具体化されるものとして説明及び図示されているが、これらの様々な態様、概念及び特徴は、多くの代替的な実施形態において、個別的に、あるいは、それらの様々な組み合わせ(コンビネーション)及び部分組み合わせ(サブコンビネーション)で、利用され得る。本明細書で明示的に除外されない限り、そのような全ての組み合わせ及び部分組み合わせが本発明の範囲内に入ることが意図されている。更に、本発明の様々な態様、概念及び特徴に関する様々な代替的な実施形態-例えば、代替的な材料、構造、形態、方法、回路、デバイス及び構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、制御論理、形成して適合して機能するための代替物、など-が、本明細書で説明されているが、そのような説明は、現在知られているかまたは後で開発されるかに関わらず、利用可能な代替的な実施形態の完全なまたは網羅的なリストであることを意図していない。更に、本発明の幾つかの特徴、概念または態様は、好ましい配置または方法であるとして本明細書に記載されているが、そのような説明は、明示的にそのように述べられない限り、そのような特徴が要求されるまたは必要であることを示唆することを意図していない。更に、本開示の理解を助けるために、例示的または代表的な値及び範囲が含まれているが、そのような値及び範囲は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、そのように明示的に述べられている場合に限って、重要な値または範囲であることが意図されている。更に、様々な態様、特徴及び概念は、本明細書において、本発明であるまたは本発明の一部を形成するものであるとして明示的に特定されているが、そのような特定は、排他的であることを意図しておらず、むしろ、具体的な発明またはその一部として明示的に特定されないで本明細書に完全に記載された本発明の態様、概念及び特徴も存在し得る。本発明の範囲は、代わりに、添付の特許請求の範囲、または、関連するまたは継続する出願の特許請求の範囲、に記載される。例示的な方法またはプロセスの説明は、全ての場合に要求されるものとして全てのステップを含むことに限定されず、また、明示的に述べられていない限り、ステップが要求されるか必要であると解釈されるように提示された順序もない。
【0083】
本発明は、限られた数の実施形態を用いて本明細書に記載されているが、これらの特定の実施形態は、本明細書に別段に記載され及び特許請求されている通り、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に記載された物品及び方法の様々な要素の正確な配置及びステップの順序は、限定的であると見なされるべきではない。例えば、方法のステップは、図中の一連の参照記号及びブロックの進行を参照して説明されているが、当該方法は、必要に応じて、任意の特定の順序で実施され得る。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16