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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】高い細孔容積を有する混合酸化物
(51)【国際特許分類】
   C01G 25/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
C01G25/00
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2021550240
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020055320
(87)【国際公開番号】W WO2020178185
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】19305245.3
(32)【優先日】2019-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19305246.1
(32)【優先日】2019-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大竹 尚孝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 利裕
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/187085(WO,A1)
【文献】特開2011-143340(JP,A)
【文献】特開平10-194742(JP,A)
【文献】国際公開第2012/096017(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/196100(WO,A1)
【文献】特表2019-521937(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125206(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00-47/00
49/10-99/00
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素(RE)との混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~70.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~10.0重量%のランタン;
・最大で10.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・ジルコニウムとしての残部
を有し;
2.5μmよりも大きいd50を示す粒子の形態であり、及び元素(Ce、La、RE、Zr)の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる、混合酸化物において、
・空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも28mgの比表面積(BET)を示し;
・500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピークは、70nmを除外して70nm~500nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応し;
・混合酸化物は、500nm未満のサイズの細孔について少なくとも0.30mL/gの総細孔容積V500nm,1100℃/4hを示し;
細孔サイズDp,1100℃/4h及び総細孔容積V500nm,1100℃/4hは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物の水銀ポロシメトリーによって決定されることを特徴とする混合酸化物。
【請求項2】
ハフニウムも含む、請求項1に記載の混合酸化物。
【請求項3】
ハフニウムの割合は、2.5%以下であり、割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる、請求項2に記載の混合酸化物。
【請求項4】
元素Ce、Zr、La、存在する場合にRE及び存在する場合にHfは、混合酸化物中に酸化物として存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項5】
元素Ce、Zr、La、存在する場合にRE及び存在する場合にHfは、混合酸化物中に酸化物として、且つ部分的に水酸化物又はオキシ水酸化物の形態でも存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項6】
ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素と、任意選択的にハフニウムとの酸化物の組み合わせからなる混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~70.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~10.0重量%のランタン;
・最大で10.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・2.5%以下の割合のハフニウム;
・ジルコニウムとしての残部
を有し;
2.5μmよりも大きいd50を示す粒子の形態であり、及び元素(Ce、La、RE、Zr)の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる、混合酸化物において、
・空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも28mgの比表面積(BET)を示し;
・500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピークは、70nmを除外して70nm~500nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応し;
・混合酸化物は、500nm未満のサイズの細孔について少なくとも0.30mL/gの総細孔容積V500nm,1100℃/4hを示し;
細孔サイズDp,1100℃/4h及び総細孔容積V500nm,1100℃/4hは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物の水銀ポロシメトリーによって決定されることを特徴とする混合酸化物。
【請求項7】
セリウムの割合は、
65.0%を除外して、18.0%~65.0%;又は
- 25.0%~70.0%;又は
65.0%を除外して、25.0%~65.0
である、請求項1~6のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項8】
セリウムの割合は、
- 18.0%~25.0%;又は
- 35.0%~45.0%;又は
- 45.0%~55.0%;又は
- 60.0%~70.0
である、請求項1~6のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項9】
ランタンの割合は、1.0%~10.0%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項10】
セリウム以外且つランタン以外の希土類元素の合計割合は、最大で10.0%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項11】
セリウム以外且つランタン以外のいかなる希土類元素も含まず、及びランタンの割合は、少なくとも5.0%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項12】
セリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素を含み、及びランタンと、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素との合計割合は、少なくとも5.0%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項13】
セリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素を含み、及びランタンと、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素との合計割合は、最大で15.0%である、請求項1~10又は12のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項14】
ジルコニウムの割合は、少なくとも10.0%である、請求項1~13のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項15】
ジルコニウムの割合は、最大で81.0%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項16】
空気中で1000℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも50mgの比表面積(BET)を示す、請求項1~15のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項17】
空気中で900℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも60mgの比表面積(BET)を示す、請求項1~16のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項18】
空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、500nm未満のサイズの細孔について0.30~0.70mL/gの総細孔容積V500nm,1100℃/4hを示す、請求項1~17のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項19】
空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも0.60mL/gの総細孔容積を示すことを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項20】
空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の、28~40mgの比表面積(BET)によって特徴付けられる、請求項1~19のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項21】
空気中で1000℃において4時間にわたる焼成後の、50~70mgの比表面積(BET)によって特徴付けられる、請求項1~20のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項22】
空気中で900℃において4時間にわたる焼成後の、60~90mgの比表面積(BET)によって特徴付けられる、請求項1~21のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項23】
- 空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の少なくとも30m/gの比表面積(BET);
- 100~400nm、又は100~370nm、又は120~370nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応する、500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピーク;
- 少なくとも0.50mL/gの、500nm未満のサイズの細孔についての総細孔容積V500nm,1100℃/4h
- 空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の少なくとも1.00mL/gの総細孔容積
によって特徴付けられる、請求項1~22のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項24】
0.35未満の比αによって特徴付けられ、αは、以下の式:
α=V70nm,1100℃/4h/V500nm,1100℃/4h
(式中、V70nm,1100℃/4hは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の、70nm未満のサイズの細孔についての総細孔容積である)
によって定義される、請求項1~23のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項25】
2.5μmよりも大きいd50を示し、d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られた粒子の体積におけるサイズの分布から決定される、請求項1~24のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項26】
分布は、任意選択的に分散剤の存在下で水中の粒子の分散液から得られる、請求項25に記載の混合酸化物。
【請求項27】
d50は、2.5μmを除外して、2.5~20.0μmである、請求項25又は26に記載の混合酸化物。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の混合酸化物の調製の方法であって、
(a)液体媒体と析出物とを含む分散液を得るために、水性酸性分散液Sが100℃~180℃の温度で加熱される工程であって、分散液Sは、
(i)少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比を有する硝酸セリウム;
(ii)硝酸ランタン;
(iii)任意選択的に、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1つの硝酸塩;及び
(iv)オキシ水酸化ジルコニウムの粒子であって、分散液の調製に使用されるオキシ水酸化ジルコニウムの粉末は、5.0μm~100.0μmの平均サイズd50を示し、d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られる粒子の体積におけるサイズの分布の中央値に対応する、オキシ水酸化ジルコニウムの粒子
を含み、
分散液Sは、1.0~3.5のモル比H/Zrによって特徴付けられる、工程;
(b)アンモニア溶液が、工程(a)の終わりに得られた混合物に、混合物のpHが少なくとも8.0になるまで添加される工程;
(c)その後、有機テクスチャリング剤が、工程(b)の終わりに得られた混合物に添加される工程であって、混合物は、高剪断速度ミキサーで撹拌される、工程;
(d)工程(c)の終わりに得られた固体材料が液体媒体から分離され、且つ空気中で焼成される工程
を含み、
有機テクスチャリング剤は、ラウリン酸又はラウリン酸の塩であり、高剪断速度ミキサーの先端速度Tは、5.0~25.0m/sであり、Tは、以下の式:T(m/s)=DπR/60(式中、Dは、ローターの直径(m)であり、及びRは、ローターの回転数(rpm)である)によって計算される、方法。
【請求項29】
ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素(RE)との混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~70.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~10.0重量%のランタン;
・最大で10.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・ジルコニウムとしての残部
を有し;
2.5μmよりも大きいd50を示す粒子の形態であり、及び元素(Ce、La、RE、Zr)の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる、混合酸化物の調製の方法であって、
(a)液体媒体と析出物とを含む分散液を得るために、水性酸性分散液Sが100℃~180℃の温度で加熱される工程であって、分散液Sは、
(i)少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比を有する硝酸セリウム;
(ii)硝酸ランタン;
(iii)任意選択的に、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1つの硝酸塩;及び
(iv)オキシ水酸化ジルコニウムの粒子であって、分散液の調製に使用されるオキシ水酸化ジルコニウムの粉末は、5.0μm~100.0μmの平均サイズd50を示し、d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られる粒子の体積におけるサイズの分布の中央値に対応する、オキシ水酸化ジルコニウムの粒子
を含み;
分散液は、1.0~3.5のモル比H/Zrによって特徴付けられる、工程;
(b)アンモニア溶液が、工程(a)の終わりに得られた混合物に、混合物のpHが少なくとも8.0になるまで添加される工程;
(c)その後、有機テクスチャリング剤が、工程(b)の終わりに得られた混合物に添加される工程であって、混合物は、高剪断速度ミキサーで撹拌される、工程;
(d)工程(c)の終わりに得られた固体材料が液体媒体から分離され、且つ空気中で焼成される工程
を含み、
有機テクスチャリング剤は、ラウリン酸又はラウリン酸の塩であり、高剪断速度ミキサーの先端速度Tは、5.0~25.0m/sであり、Tは、以下の式:T(m/s)=DπR/60(式中、Dは、ローターの直径(m)であり、及びRは、ローターの回転数(rpm)である)によって計算される、方法。
【請求項30】
酸性分散液S中のHの濃度は、0.05~1.40mol/Lである、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
(i)少なくとも1つの無機物質;及び
(ii)少なくとも1つの分散されている白金族金属;並びに
(iii)請求項1~27のいずれか一項に記載の混合酸化物
を含む触媒組成物。
【請求項32】
多孔質支持体と、支持体の表面上における請求項31に記載の触媒組成物とを含む触媒コンバーター。
【請求項33】
触媒組成物の調製のための、請求項1~27のいずれか一項に記載の混合酸化物の使用。
【請求項34】
触媒コンバーターの調製のための、請求項1~27のいずれか一項に記載の混合酸化物の使用。
【請求項35】
請求項1~27のいずれか一項に記載の混合酸化物の調製のための、5.0μm~100.0μmの平均サイズd50によって特徴付けられるオキシ水酸化ジルコニウムの使用であって、d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られる粒子の体積におけるサイズの分布の中央値に対応する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年3月3日出願の欧州特許出願公開第19305245.3号の優先権を主張するものであり、その内容は、あらゆる目的のため参照により本明細書に全て援用される。本出願と、この欧州出願との間において、用語又は表現の明確さに影響を与える何らかの矛盾がある場合、本出願のみが参照されるべきである。本出願は、2019年3月3日出願の欧州特許出願公開第19305246.1号の優先権も主張する。
【0002】
本発明は、ジルコニウムとセリウムとに基づく混合酸化物組成物、それを調製する方法及び触媒作用の分野におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
「多機能」触媒は、現在、内燃機関からの排気ガスの処理に使用されている(自動車の燃焼後触媒作用)。用語「多機能性」は、特に排ガス中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の酸化のみならず、特にこれらのガス中に同様に存在する窒素酸化物の還元も実施することができる触媒(「三元」触媒)を意味することが理解される。現在、ジルコニウム及び希土類の酸化物に基づく組成物は、このタイプの触媒の組成物に組み込むことができる有利な元素であるように思われる。
【0004】
このタイプの製品は、使用に適した空隙率と耐熱性との間の折り合いを示さなければならない。特に、これらは、触媒部位から及び触媒部位へのガスの良好な拡散を可能にするために、十分に大きい細孔容積を示さなければならず、そのため、十分に大きいサイズの細孔を含まなければならない。ガスの適切な拡散は、混合酸化物の最適な性能に有利である、酸素の吸収及び脱離能力に最適な空燃比を維持することも可能にする。
【0005】
空隙率は、混合酸化物がウォッシュコートの他の成分と容易に混合され、且つ白金族金属(PGM)がウォッシュコートに十分に含浸及び/又は十分に分散されるようなものでもなければならない。以下に開示される本発明の混合酸化物は、これらの技術的問題に対処することを目的とする。
【0006】
国際公開第2017/185224号パンフレットでは、混合酸化物は、空気下で1000℃において4時間にわたる焼成後、0.2~0.5mL/gの総細孔容積を示す。
【0007】
国際公開第2011/006780号パンフレットは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の少なくとも28m/gの比表面積(BET)を開示していない。
【0008】
欧州特許第2566617号明細書は、直径がほぼ30nm~70nmの値を中心とする細孔の集団を示す混合酸化物を開示している。
【0009】
米国特許第7,767,617B2号明細書(米国特許出願公開第2006/178261号明細書に相当)は、例えば、コロイドミル又はタービン撹拌機を使用して、析出物の分散液に対して中程度のエネルギーの粉砕操作を行うプロセスを開示している。ただし、析出物は、熱加水分解ではなく、塩基性溶液との接触によって得られる。更に、米国特許第7,767,617B2号明細書では、5.0μm~100μmのd50を有するオキシ水酸化ジルコニウムの粒子についての言及はない。
【0010】
米国特許第8,158,551号明細書(米国特許出願公開第2009/220398号明細書に相当)は、5.0μm~100μmのd50を有するオキシ水酸化ジルコニウムの粒子について言及されていないプロセスを開示している。
【0011】
米国特許出願公開第2013/288891号明細書及び欧州特許第0955267号明細書は、複合酸化物を開示しているが、本発明の混合酸化物の特徴については、言及されていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1で使用した分散構造要素であるS18N-19Gを表す(1.シャフトチューブ;2.溝付きピストンリングベアリング;3.シャフト;4.ステーター;5.ローター;6.ドライブシャフトリング)。
図2】実施例7の混合酸化物のポログラムを表す。500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピークが見られ、これがDp,1100℃/4h=363nmに対応する。
【0013】
焼成、より具体的には比表面積又は空隙率の値が得られた後の焼成は、別段の記載がない限り、空気中での焼成である。本説明の継続のためには、特に明記しない限り、与えられる範囲の値において、限界値が含められることも明記される。これは、「少なくとも」又は「最大」を含む表現にも当てはまる。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、第1に、請求項1~27に定義される混合酸化物に関する。したがって、本発明は、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素(RE)との混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~70.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~10.0重量%のランタン;
・最大で10.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・ジルコニウムとしての残部
を有し;
2.5μmよりも厳密に大きいd50を示す粒子の形態であり、元素(Ce、La、RE、Zr)の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる、混合酸化物において、
・空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも28m/g、より具体的には少なくとも30m/g、更により具体的には少なくとも31m/gの比表面積(BET)を示し;
・500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピークは、70nmを除外して70nm~500nm、より具体的には100~500nm、更により具体的には100~400nm、又は100~370nm、又は120~370nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応し;
・混合酸化物は、500nm未満のサイズの細孔について少なくとも0.30mL/g、より具体的には少なくとも0.40mL/g、更により具体的には少なくとも0.50mL/g、更により具体的には少なくとも0.60mL/gの総細孔容積V500nm,1100℃/4hを示し;
細孔サイズDp,1100℃/4h及び総細孔容積V500nm,1100℃/4hは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物の水銀ポロシメトリーによって決定されることを特徴とする混合酸化物に関する。
【0015】
本発明は、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素と、任意選択的にハフニウムとの酸化物の組み合わせからなる混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~70.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~10.0重量%のランタン;
・最大で10.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・2.5%以下、更に2.0%以下の割合のハフニウム;
・ジルコニウムとしての残部
を有し;
2.5μmよりも厳密に大きいd50を示す粒子の形態であり、元素(Ce、La、RE、Hf、Zr)の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる、混合酸化物において、
・空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも28m/g、より具体的には少なくとも30m/g、更により具体的には少なくとも31m/gの比表面積(BET)を示し;
・500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピークは、70nmを除外して70nm~500nm、より具体的には100~500nm、更により具体的には100~400nm、又は100~370nm、又は120~370nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応し;
・混合酸化物は、500nm未満のサイズの細孔について少なくとも0.30mL/g、より具体的には少なくとも0.40mL/g、更により具体的には少なくとも0.50mL/g、更により具体的には少なくとも0.60mL/gの総細孔容積V500nm,1100℃/4hを示し;
細孔サイズDp,1100℃/4h及び総細孔容積V500nm,1100℃/4hは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物の水銀ポロシメトリーによって決定されることを特徴とする混合酸化物にも関する。
【0016】
本発明は、混合酸化物、特に請求項28~33に記載の本発明の混合酸化物の調製の方法にも関する。
【0017】
方法は、
(a)液体媒体と析出物とを含む分散液を得るために、水性酸性分散液Sが100℃~180℃の温度で加熱される工程であって、分散液Sは、
(i)少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比を有する硝酸セリウム;
(ii)硝酸ランタン;
(iii)任意選択的に、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1つの硝酸塩;及び
(iv)オキシ水酸化ジルコニウムの粒子であって、分散液の調製に使用されるオキシ水酸化ジルコニウムの粉末は、5.0μm~100.0μm、より具体的には5.0μm~50.0μm、更により具体的には25.0μm~40.0μmの平均サイズd50を示し、d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られる粒子のサイズ(体積における)の分布の中央値に対応する、オキシ水酸化ジルコニウムの粒子
を含み、
分散液Sは、1.0~3.5、より具体的には1.5~3.0のモル比H/Zrによって特徴付けられる、工程;
(b)アンモニア溶液が、工程(a)の終わりに得られた混合物に、混合物のpHが少なくとも8.0になるまで添加される工程;
(c)その後、有機テクスチャリング剤が、工程(b)の終わりに得られた混合物に添加される工程であって、混合物は、高剪断速度ミキサーで撹拌される、工程;
(d)工程(c)の終わりに得られた固体材料が液体媒体から分離され、且つ空気中で焼成される工程
を含む。
【0018】
本発明は、
(i)少なくとも1つの無機物質;及び
(ii)少なくとも1つの分散されている白金族金属;並びに
(iii)本発明の混合酸化物
を含む触媒組成物にも関する。
【0019】
本発明は、触媒組成物又は触媒コンバーターの調製のための、本発明の混合酸化物の使用にも関する。
【0020】
本発明についての更なる詳細が以下に示される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素(RE)との混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~70.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~10.0重量%のランタン;
・最大で10.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・ジルコニウムとしての残部
を有し;
2.5μmよりも厳密に大きいd50を示す粒子の形態である、混合酸化物において、
・空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、少なくとも28m/g、より具体的には少なくとも30m/g、更により具体的には少なくとも31m/gの比表面積(BET)を示し;
・500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピークは、70nmを除外して70nm~500nm、より具体的には100~500nm、更により具体的には100~400nm、又は100~370nm、又は120~370nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応し;
・混合酸化物は、500nm未満のサイズの細孔について少なくとも0.30mL/g、より具体的には少なくとも0.40mL/g、更により具体的には少なくとも0.50mL/g、更により具体的には少なくとも0.60mL/gの総細孔容積V500nm,1100℃/4hを示し;
細孔サイズDp,1100℃/4h及び総細孔容積V500nm,1100℃/4hは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物の水銀ポロシメトリーによって決定されることを特徴とする混合酸化物に関する。
【0022】
本発明の混合酸化物は、ハフニウム元素も含み得る。実際、この元素は、通常、天然の状態で存在する鉱石中にジルコニウムとの組み合わせで存在する。ジルコニウムに対するハフニウムの相対的割合は、ジルコニウムが抽出される鉱石に依存する。一部の鉱石におけるZr/Hfの重量基準の相対的割合は、約50/1であり得る。したがって、バデレアイトは、概ね98%のZrO及び2%のHfOを含有する。ハフニウムの割合は、2.5%以下、更に2.0%以下である。
【0023】
上述した元素は、一般的に混合酸化物中に酸化物として存在する。それにもかかわらず、これらは、水酸化物又はオキシ水酸化物の形態で部分的に存在し得る。ジルコニウムの場合、ハフニウムは、一般に酸化物として存在する。しかしながら、ハフニウムが部分的に水酸化物又はオキシ水酸化物の形態でも存在することは、除外されない。したがって、元素Ce、Zr、La、存在する場合にRE及び存在する場合にHfは、混合酸化物中に酸化物として存在するが、これらは、混合酸化物中に酸化物として、且つ部分的に水酸化物又はオキシ水酸化物の形態で存在し得る。
【0024】
混合酸化物の分野で一般的であるように、元素の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる。これらの割合の計算では、以下の酸化物が考慮される:CeO、ZrO、HfO、La、Prを除いた全てのREについての(Pr11は考慮される)RE。したがって、例として、20.0%のセリウムの割合は、混合酸化物中の20.0%のCeOの重量割合を意味する。元素の割合は、蛍光X線分析又は誘導結合プラズマ質量分析のような一般的な分析方法によって決定される。また、別段の記載がない限り、示されている値の範囲には限界値が含まれていることも特記される。
【0025】
本発明の混合酸化物は、上記の元素を上記の割合で含むが、不純物などの他の元素を追加的に含み得る。不純物は、混合酸化物の調製の方法で使用される原材料又は出発物質に由来する場合がある。不純物の総割合は、通常、混合酸化物に対して0.25重量%以下(≦0.25%)、より具体的には0.20重量%以下(≦0.20%)であり得る。
【0026】
本発明による混合酸化物は、第一に、その成分の性質及び割合によって特徴付けられる。混合酸化物中のセリウムの割合は、広範囲に変化し得る。実際、セリウムの割合は、18.0%~70.0%、より具体的には18.0%~65.0%(65.0%を除外する)、より具体的には25.0%~70.0%又は25.0%~65.0%(65.0%を除外する)である。セリウムの割合は、より具体的には、
- 18.0%~25.0%、より具体的には18.0%~22.0%;又は
- 35.0%~45.0%、より具体的には38.0%~42.0%;又は
- 45.0%~55.0%、より具体的には48.0%~52.0%;又は
- 60.0%~70.0%、特に63.0%~67.0%
であり得る。
【0027】
混合酸化物中のランタンの割合は、1.0%~10.0%、より具体的には3.0%~10.0%である。この割合は、3.0%~7.0%であり得る。
【0028】
混合酸化物は、セリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素(RE)も含み得る。希土類元素は、イットリウムと、原子番号が57~71(全て含む)の周期表の元素とからなる群において選択することができる。より具体的には、希土類元素は、Nd、Y及びPrからなる群において選択することができる。Y及びPrがより特に好ましい。混合酸化物は、セリウム以外且つランタン以外の1つ又は2つの希土類元素を含み得る。セリウム以外且つランタン以外の希土類元素の合計割合は、最大で10.0%、特に最大で7.0%である。
【0029】
一実施形態によれば、混合酸化物がセリウム以外且つランタン以外の希土類元素を含まない場合、ランタンの割合は、少なくとも5.0%である。別の実施形態によれば、混合酸化物がセリウム以外且つランタン以外の希土類元素を少なくとも1つ含む場合、混合酸化物中のランタンと、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素との合計割合は、少なくとも5.0%である。別の実施形態によれば、混合酸化物がセリウム以外且つランタン以外の希土類元素を少なくとも1つ含む場合、混合酸化物中のランタンと、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素との合計割合は、最大で15.0%、より具体的には最大で12.0%である。
【0030】
酸化ジルコニウムは、組成物の残部である。ジルコニウムの重量割合は、混合酸化物の他の元素(Ce、La、RE、Hf)の100%への残部である。混合酸化物中のジルコニウムの割合は、少なくとも10.0%、より具体的には少なくとも20.0%、より具体的には25.0%を除外して少なくとも25.0%である。この割合は、最大で81.0%、より具体的には最大で79.0%、より具体的には最大で60.0%であり得る。
【0031】
本発明の混合酸化物は、高い比表面積によっても特徴付けられる。空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の混合酸化物の比表面積(BET)は、少なくとも28m/g、より具体的には少なくとも30m/g、更により具体的には少なくとも31m/gである。この比表面積(BET)は、通常、最大で40m/g、より具体的には最大で35m/gである。この比表面積(BET)は、28~40m/g、より具体的には28~35m/g、更により具体的には30~35m/gであり得る。
【0032】
空気中で1000℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物は、少なくとも50m/g、より具体的には少なくとも55m/gの比表面積(BET)も示し得る。この比表面積(BET)は、50~70m/g、より具体的には55~60m/gに含まれ得る。
【0033】
空気中で900℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物は、少なくとも60m/g、より具体的には少なくとも65m/gの比表面積(BET)も示し得る。この比表面積(BET)は、60~90m/g、より具体的には65~80m/gであり得る。
【0034】
「比表面積(BET)」という用語は、窒素吸着によって決定されるBET比表面積を意味することが理解される。比表面積は、当業者に周知であり、Brunauer-Emmett-Teller法に従って測定される。この方法の理論は、定期刊行物“The Journal of the American Chemical Society,60,309(1938)”にもともと記載されていた。この理論に関するより詳細な情報は、“Powder surface area and porosity”,2nd edition,ISBN 978-94-015-7955-1にも記載されている。窒素吸着の方法は、規格ASTM D3663-03(2008年再承認)に開示されている。
【0035】
実際には、比表面積(BET)は、製造業者のガイドラインに従い、Micromeriticsの装置Flowsorb II 2300又は装置Tristar 3000を使用して自動で決定することができる。それらは、製造業者のガイドラインに従い、MountechのMacsorb分析計モデルI-1220によって自動でも決定され得る。測定前に、吸着されている揮発性種を除去するために、試料は、任意選択的に真空下で最大で300℃の温度で加熱することによって脱気される。より具体的な条件は、実施例で確認することができる。
【0036】
混合酸化物は、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、70~500nmの細孔ドメインにおける特定の空隙率によっても特徴付けられる。実際、混合酸化物は、このドメインにおける大きい細孔容積によって特徴付けられる。したがって、空隙率曲線上において、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の混合酸化物について、500nm未満のサイズの細孔ドメインで最も高い強度を有するピークを決定することができ、これは、70nmを除外して70nm~500nm、より具体的には100~500nm、更により具体的には100~400nm、又は100~370nm、又は120~370nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応する。
【0037】
更に、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物は、500nm未満のサイズの細孔について少なくとも0.30mL/g、より具体的には少なくとも0.40mL/g、更により具体的には少なくとも0.50mL/g、更により具体的には少なくとも0.60mL/gの総細孔容積(V500nm,1100℃/4h)を示す。V500nm,1100℃/4hは、0.30~0.70mL/g、より具体的には0.40~0.70mL/g、更により具体的には0.50~0.70mL/g又は0.60~0.70mL/gであり得る。加えて、混合酸化物は、0.35未満、より具体的には0.30未満の比αによって特徴付けることもでき、αは、以下の式:
α=V70nm,1100℃/4h/V500nm,1100℃/4h
(式中、V70nm,1100℃/4hは、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の、70nm未満のサイズの細孔の総細孔容積である)
によって定義される。
【0038】
一実施形態によれば、空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物の空隙率曲線は、70nm未満のサイズの細孔ドメインにピークを示さない。
【0039】
空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物は、少なくとも0.60mL/g、より具体的には少なくとも0.90mL/g、更により具体的には少なくとも1.00mL/g又は少なくとも1.50mL/gである総細孔容積を示し得る。この総細孔容積は、0.60~1.90mL/g、より具体的には0.90~1.90mL/g、更により具体的には1.00~1.90mL/g又は1.50~1.90mL/gであり得る。
【0040】
空気中で900℃において4時間にわたる焼成後に同様のパラメータを決定することも可能である。実際、空気中で900℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物の空隙率曲線は、35nm~75nmの細孔サイズDp,900℃/4hに対応する最大値で最も高い強度を有するピークを500nm未満のサイズの細孔ドメインで示す。更に、空気中で900℃において4時間にわたる焼成後、混合酸化物は、500nm未満のサイズの細孔について少なくとも0.50mL/g、より具体的には少なくとも0.70mL/gの総細孔容積(V500nm,900℃/4h)を示す。V500nm,900℃/4hは、0.50~1.00mL/g、より具体的には0.70~1.00mL/gであり得る。
【0041】
空隙率のパラメータ(例えば、Dp,1100℃/4h、V500nm,1100℃/4h、70nm,1100℃/4h、p,900℃/4h及びV500nm,900℃/4h)は、混合酸化物を空気中で1100℃において4時間又は900℃において4時間にわたって焼成した後、水銀ポロシメトリーにより決定される。水銀ポロシメトリーは、多孔質触媒の分野で使用されている周知の技術であり、厳密に制御された圧力下で多孔質構造の細孔に水銀を徐々に圧入させることを含む。空隙率は、この分野で周知の技術に従って水銀圧入によって測定される。ポロシメータは、粉末針入度計を含む。この方法は、細孔サイズの関数としての細孔容積の決定に基づく(V=f(d)、Vは、細孔容積を表し、dは、細孔サイズを表す)。これらのデータから、細孔容積を計算し、導関数dV/dlogDを与える曲線(C)を取得することができる。
【0042】
空隙率は、標準ASTM D 4284-83(“Standard method for determining pore volume distribution of catalysts by mercury intrusion porosimetry”)に従って決定することができる。空隙率は、実施例に開示の方法によって決定することができる。空隙率は、Micromeriticsの装置Autopore IV 9500を使用して決定することができる。
【0043】
曲線(C)からDp,1100℃/4h及びDp,900℃/4hを決定することができる。これらを明確にすると、
・Dp,1100℃/4h:混合酸化物を空気中で1100℃において4時間にわたって焼成した後、混合酸化物の空隙率曲線は、細孔サイズDp,1100℃/4hに対応する最大値で最も高い強度を有するピークを500nm未満のサイズの細孔ドメインで示す;
・Dp,900℃/4h:混合酸化物を空気中で900℃において4時間にわたって焼成した後、混合酸化物の空隙率曲線は、細孔サイズDp,900℃/4hに対応する最大値で最も高い強度を有するピークを500nm未満のサイズの細孔ドメインで示す。
【0044】
空隙率は、製造者のガイドラインに従い、Micromeritics V 9620自動水銀ポロシメータを使用して決定することができる。
【0045】
本発明の混合酸化物は、2.5μmよりも厳密に大きいd50を示す粒子の形態である。d50(中央値)は、統計で使用される通常の意味を有する。d50は、粒子の50%が前記サイズ以下であるような粒子サイズを表す。d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られた粒子のサイズ(体積における)の分布から決定される。一般的に、分布は、任意選択的に分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)の存在下で水中の粒子の分散液から得られる。
【0046】
例えば、d50は、以下の方法に従って決定することができる。Beckman-Coulterのレーザ粒子サイズ分析計モデルLS13320が使用される。製造者のガイドラインに従ってFraunhoferモードが使用され得る。分布は、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)の存在下で粒子の水中分散液から得られる。1.6の相対屈折率が使用される。
【0047】
通常、d50は、2.5(2.5を除外する)~20.0μm、より具体的には2.5(2.5を除外する)~10.0μm、更により具体的には2.5(2.5を除外する)~7.0μmである。
【0048】
本発明による特定の混合酸化物は、以下の特性を示す:
- 空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の少なくとも30m/gの比表面積(BET);
- 100~400nm、又は100~370nm、又は120~370nmの細孔サイズDp,1100℃/4hに対応する、500nm未満のサイズの細孔のドメインで最も高い強度を有するピーク;
- 少なくとも0.50mL/gの、500nm未満のサイズの細孔についての総細孔容積V500nm,1100℃/4h
- 空気中で1100℃において4時間にわたる焼成後の少なくとも1.00mL/gの総細孔容積。
【0049】
この比表面積は、0.35未満、より具体的には0.30未満の比αも示し得る。
【0050】
本発明による混合酸化物の使用に関して、これは、自動車汚染防止触媒反応の分野内に入る。本発明による混合酸化物は、その役割が自動車排ガスを処理することである、触媒コンバーターの調製に使用され得る。触媒コンバーターは、混合酸化物から作製され、且つ固体支持体上に堆積された少なくとも1つの触媒活性コーティング層を含む。コーティング層の役割は、化学反応により、排ガスのある種の汚染物質、特に一酸化炭素、非焼却炭化水素及び窒素酸化物を、環境に対して害が少ない生成物に変換することである。関与する化学反応は、以下のものであり得る。
2CO+O→2CO
2NO+2CO→N+2CO
4C+(4x+y)O→4xCO+2yH
【0051】
固体支持体は、金属モノリス、例えばFe-Cr合金であり得るか、又はセラミック製であり得る。セラミックは、コーディエライト、炭化ケイ素、アルミナチタネート又はムライトであり得る。一般に使用される固体支持体は、多孔性壁を有する多数の小さい平行チャネルを含む、一般に円筒形のモノリスからなる。このタイプの支持体は、多くの場合、コーディエライトからできており、高い比表面積と限定された圧力降下との折衷を示す。
【0052】
一般に「ウォッシュコート」として知られるコーティング層は、固体支持体の表面に堆積される。コーティング層は、少なくとも1つの無機物質と混合された混合酸化物を含む触媒組成物から形成される。無機物質は、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、スピネル、ゼオライト、ケイ酸塩、結晶性ケイ素-アルミニウムリン酸塩及び結晶性リン酸アルミニウムからなる群において選択することができる。組成物は、各配合剤に固有の他の添加剤:HS捕捉剤、コーティングを容易にする役割を有する有機又は無機変性剤、コロイド状アルミナなどを含むこともできる。コーティング層は、したがって、そのような組成物を含む。アルミナは、一般に用いられる無機物質であり、このアルミナは、バリウムなど、例えばアルカリ土類金属で任意選択的にドープされることが可能である。コーティング層は、少なくとも1つの分散された白金族金属(PGM)も含み、これは、より具体的にはPt、Rh又はPdからなる群において選択される。PGMの量は、通常、ft単位で表されるモノリスの体積に対して1~400gである。貴金属は、触媒活性である。
【0053】
したがって、触媒組成物は
(i)少なくとも1つの無機物質;及び
(ii)少なくとも1つの分散されている白金族金属;並びに
(iii)本発明の混合酸化物
を含む。
【0054】
PGMを分散させ、触媒を調製する1つの方法は、PGMの塩の水溶液と、混合酸化物、又は無機物質、又は混合酸化物と無機物質とから形成された混合物の水性分散液とを混合すること;混合物を乾燥させて水を部分的又は全体的に除去し、得られた固体を空気中で焼成することを含む。塩は、例えば、塩化物又は硝酸ロジウムなどのPGMの硝酸塩であり得る。PCMを堆積するために、水が分散液から除去され、固体は、乾燥され、これは、通常、300~800℃の温度において空気中で焼成される。触媒調製の例は、米国特許第7,374,729号明細書の実施例1に見ることができる。
【0055】
コーティング層は、固体支持体への分散液の塗布によって得られる。その結果、コーティング層は、触媒活性を示し、汚染防止触媒として機能し得る。汚染防止触媒は、内燃エンジンからの排ガスを処理するために使用され得る。このため、本発明は、コーティング層が上に記載されているとおりである、コーティング層を含む触媒コンバーターを用いることを特徴とする内燃エンジンからの排ガスの処理方法にも関する。
【0056】
本発明の混合酸化物の具体的な利点は、PGMが触媒の表面上に十分且つ均一に分散されていることである。
【0057】
本発明の混合酸化物の調製方法
本発明の混合酸化物は、以下の工程を含む以下の方法によって調製することができる:
(a)液体媒体と析出物とを含む分散液を得るために、水性酸性分散液Sが100℃~180℃の温度で加熱される工程であって、分散液Sは、
(i)少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比を有する硝酸セリウム;
(ii)硝酸ランタン;
(iii)任意選択的に、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1つの硝酸塩;及び
(iv)オキシ水酸化ジルコニウムの粒子であって、分散液の調製に使用されるオキシ水酸化ジルコニウムの粉末は、5.0μm~100.0μm、より具体的には5.0μm~50.0μm、更により具体的には25.0μm~40.0μmの平均サイズd50を示し、d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られる粒子のサイズ(体積における)の分布の中央値に対応する、オキシ水酸化ジルコニウムの粒子
を含み、
分散液Sは、1.0~3.5、より具体的には1.5~3.0のモル比H/Zrによって特徴付けられる、工程;
(b)アンモニア溶液が、工程(a)の終わりに得られた混合物に、混合物のpHが少なくとも8.0になるまで添加される工程;
(c)その後、有機テクスチャリング剤が、工程(b)の終わりに得られた混合物に添加される工程であって、混合物は、高剪断速度ミキサーで撹拌される、工程;
(d)工程(c)の終わりに得られた固体材料が液体媒体から分離され、且つ空気中で焼成される工程。
【0058】
工程(a)では、液体媒体と析出物とを含む分散液を得るために、(i)少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比を有する硝酸セリウムと、(ii)硝酸ランタンと、(iii)任意選択的に、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1つの塩と、(iv)オキシ水酸化ジルコニウムの粒子とを含む水性分散液Sが少なくとも100℃の温度で加熱される。
【0059】
本発明は、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1つの希土類元素(RE)との混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~70.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~10.0重量%のランタン;
・最大で10.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・ジルコニウムとしての残部
を有し;
2.5μmよりも厳密に大きいd50を示す粒子の形態であり、元素(Ce、La、RE、Zr)の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる、混合酸化物の調製の方法であって、
(a)液体媒体と析出物とを含む分散液を得るために、水性酸性分散液Sが100℃~180℃の温度で加熱される工程であって、分散液Sは、
(i)少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比を有する硝酸セリウム;
(ii)硝酸ランタン;
(iii)任意選択的に、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1つの硝酸塩;及び
(iv)オキシ水酸化ジルコニウムの粒子であって、分散液の調製に使用されるオキシ水酸化ジルコニウムの粉末は、5.0μm~100.0μm、より具体的には5.0μm~50.0μm、更により具体的には25.0μm~40.0μmの平均サイズd50を示し、d50は、レーザ回折式粒子サイズ分析計で得られる粒子のサイズ(体積における)の分布の中央値に対応する、オキシ水酸化ジルコニウムの粒子
を含み、
分散液は、1.0~3.5、より具体的には1.5~3.0のモル比H/Zrによって特徴付けられる、工程;
(b)アンモニア溶液をが、工程(a)の終わりに得られた混合物に、混合物のpHが少なくとも8.0になるまで添加される工程;
(c)その後、有機テクスチャリング剤が、工程(b)の終わりに得られた混合物に添加される工程であって、混合物は、高剪断速度ミキサーで撹拌される、工程;
(d)工程(c)の終わりに得られた固体材料が液体媒体から分離され、且つ空気中で焼成される工程
を含む方法にも関する。
【0060】
本出願で使用される「分散」という用語は、固体粒子が連続液体媒体中に分散されている系を指す。固体粒子は、通常、レーザ回折式粒子サイズ分析計(体積分布)により決定される500μm未満のサイズを示す。
【0061】
水性分散液Sは、少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比を有する硝酸セリウムを含む。モル比は、90.0%~99.9%、より具体的には94.0%~99.9%であり得る。
【0062】
水性分散液Sを調製するために使用される硝酸セリウムは、硝酸と共に水酸化セリウムなどのセリウム化合物を溶解することにより得ることができる。少なくとも99.5%の、より具体的には少なくとも99.9%の純度のセリウム塩を使用することが有利である。セリウム塩溶液は、硝酸セリウム水溶液であり得る。この溶液は、硝酸と、CeIIIカチオンをCeIVカチオンに変換させるために過酸化水素水溶液の存在下でセリウム塩の溶液とアンモニア水との反応によって従来通り調製された水和酸化セリウムとの反応によって得られる。特に、仏国特許第2570087号明細書に開示された通りの硝酸セリウム溶液の電気化学的酸化の方法によって得られる硝酸セリウム溶液を使用することも有利である。仏国特許第2570087号明細書の教示によって得られる硝酸セリウムの溶液は、ほぼ0.6Nの酸性度を示し得る。
【0063】
水性分散液Sは、オキシ水酸化ジルコニウムの分散粒子も含む。オキシ水酸化ジルコニウムは、通常、式ZrO(OH)で表すことができる。分散液Sの調製に使用される粉末は、5.0~100μm、より具体的には5.0μm~50.0μm、更により具体的には25.0μm~40.0μm又は28.0~30.0μmの平均サイズd50によって特徴付けられる。d50は、HORIBA LA-920などのレーザ回折式粒子サイズ分析計で得られた粒子のサイズ(体積における)の分布の中央値に対応する。オキシ水酸化ジルコニウムのZrOの%wtとして表される酸化物含有量は、通常、35%~55%である。好ましくは、水性分散液Sは、Terio社によって市販されているTZH-40の分散粒子を含む。この製品は、以下の特性を有する:ZrO+HfO>40%分、d50=27.0μm~32.0μm。この製品の更なる詳細については、http://www.terio.cn/product/detail/11で見ることができる。
【0064】
水性分散液Sは、通常、酸化セリウムについて表される1.0g/L~60.0g/Lの総濃度CeIII+CeIVを示す。例えば、112.50g/Lの硝酸セリウムの濃度は、50.0g/LのCeOに対応する。
【0065】
水性分散液Sはまた、硝酸ランタンと、任意選択的にセリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1つの硝酸塩とを含む。REの硝酸塩は、例えば、硝酸プラセオジム、硝酸ネオジム又は硝酸イットリウム(Y(NO)であり得る。
【0066】
水性分散液Sは、酸性である必要がある。これは、1.0~3.5、より具体的には1.5~3.0のモル比H/Zrによって特徴付けられる。Hの濃度は、通常、0.05~1.40mol/L、より具体的には0.30~0.80mol/Lである。分散液中のHの量は、硝酸セリウムなどの使用される原材料の溶液に由来するHの量と、硝酸の制御された添加によって添加されるHの量とによって制御される。Hの濃度、したがってモル比H/Zrは、物質収支によって決定される(例えば、実施例1など)。添加される硝酸は、例えば、60重量%の硝酸溶液であり得る。
【0067】
したがって、水性分散液Sは、Zrオキシ水酸化物、CeIV、任意選択的にCeIII、H、NO 、La3+及び任意選択的にRE3+の分散粒子を含む。これは、適切な量のZrオキシ酸化物と、混合酸化物の元素の硝酸塩溶液とを混合し、酸性度をHNOの制御された添加で調整することによって得ることができる。水性分散液Sの例は、実施例1に開示されている。
【0068】
工程(a)では、水性分散液Sが100℃~180℃、より具体的には120℃~150℃の温度で加熱され、液体媒体と析出物とを含む懸濁液が得られる。密閉容器又は開放容器のいずれかを使用することができる。具体的には、好ましくはオートクレーブ反応器が使用され得る。加熱処理の継続期間は、通常、30分~10時間、好ましくは2時間~5時間である。実施例1の条件(135℃;4時間)を使用することができる。
【0069】
工程(b)では、アンモニア水溶液が、工程(a)の終わりに得られた混合物に、混合物のpHが少なくとも8.0になるまで添加される。混合物のpHは、8.0~10.0、より具体的には8.0~9.0であり得る。濃度が10~14mol/Lであるアンモニア水溶液の使用が便利な場合がある。
【0070】
工程(c)は、高剪断速度ミキサーを使用して行われる。実際、工程(c)では、有機テクスチャリング剤(又は「テンプレート剤」)が、工程(b)の終わりに得られた混合物に添加され、混合物は、高剪断速度ミキサーで混合される。
【0071】
当業者は、Handbook of Industrial Mixing,2004,Science and Practice,John Wiley&Sons,Inc.,ISBN 0-471-26919-0の第8章に開示されているものの中から高剪断速度ミキサーを選択することができる。
【0072】
高剪断ミキサーは、ローターステーター高剪断ミキサーであり得る。このタイプのミキサーは、ステーターとして知られている固定式構成部品と共にローター(又はインペラー)を含む。ローターとステーターとの間の距離は、通常、短く、ローターの速度は、速いため、ローターが回転すると、ローターとステーターとの間のギャップに高い剪断エネルギー及び乱流エネルギーが形成される。したがって、ミキサーの近距離にある流体は、高い剪断速度及び乱流エネルギーを受ける。そのような高剪断ミキサーの例は、例えば、分散要素S18N-19Gを備えたIKAによって市販されているultra-turrax撹拌機T18(ローターの直径:12.7mm;ローターの直径:19mm;ローターとステーターとの間のギャップ:0.4mm)であり得る。図1のそのような分散要素の例を参照されたい。
【0073】
高剪断速度ミキサーは、ローター及びステーターも含み、且つ1つ前のものとわずかに異なる動作をするミキサーであり得る。ローターの回転は、吸引力を発揮するため、流体は、ワークヘッドの中心に上向きに引き込まれる。次いで、遠心力が流体をワークヘッドの周辺に向かって駆動し、そこでローターとステーターとの間のギャップで粉砕作用を受ける。流体は、ステーターに存在する孔から押し出されるのに伴って高剪断も受ける。したがって、流体は、ヘッドから排出され、高速で放射状に放出される。同時に、ある量の新鮮な液体が継続的にワークヘッドに引き込まれる。そのような高剪断速度ミキサーの例は、例えば、L5M-A又はEX-60であり得、いずれもSilversonによって市販されており、共にsquare hole high shear screenTM(ステーター)を備えている。このステーターは、可溶性及び不溶性の粒状固体の急激なサイズ低減に理想的な非常に高い剪断速度を与えることが知られている。これは、エマルジョン及び微細コロイド懸濁液の調製にも適している。
【0074】
ミキサーの先端速度Tは、好ましくは、5.0~25.0m/s、より具体的には7.0~20.0m/sである必要がある。Tは、以下の式:T(m/s)=DπR/60
(式中、
- Dは、ローターの直径(m)であり;及び
- Rは、ローターの回転数(rpm)である)
によって計算することができる。
【0075】
したがって、先端速度は、ローターの周速度である。
【0076】
工程(c)の継続時間は、5分~120分、より具体的には10~60分、更により具体的には30~40分であり得る。
【0077】
工程(b)は、高剪断速度ミキサーを用いて高剪断速度下で行うことができる。任意選択的な工程(b)及び工程(c)の両方で同じ高剪断速度ミキサーを使用することができる。同じ条件が任意選択的な工程(b)に適用され得る:同じ高剪断速度、及び/又は同じ速度T、及び/又は同じ持続時間。工程(b)は、従来のミキサーを使用して低剪断速度で行うこともできる(実施例6を参照されたい)。
【0078】
有機テクスチャリング剤とは、特にサイズが500nm未満の細孔において、混合酸化物の多孔質構造を改質することができる界面活性剤などの有機化合物を指す。有機テクスチャリング剤は、溶液又は分散液の形態で添加することができる。焼成工程後に得られる混合酸化物の重量に対する添加剤の重量パーセントとして表される有機テクスチャリング剤の量は、通常、5~100%、より具体的には15~60%である。
【0079】
有機テクスチャリング剤(又は「テンプレート剤」)は、好ましくは、(i)アニオン性界面活性剤、(ii)非イオン性界面活性剤、(iii)ポリエチレングリコール、(iv)7~25個、より具体的には7~17個の炭素原子を含む炭化水素テールを有する一酸及びそれらの塩、並びに(v)カルボキシメチル化脂肪族アルコールエトキシレート型の界面活性剤からなる群において選択される。
【0080】
アニオン型の界面活性剤として、エトキシカルボキシレート、エトキシル化脂肪酸、サルコシネート、ホスフェートエステル、アルコールサルフェートなどのサルフェート、アルコールエーテルサルフェート及びサルフェート化アルカノールアミドエトキシレート並びにスルホスクシネート及びアルキルベンゼン又はアルキルナフタレンスルホネートなどのスルホネートを挙げることができる。非イオン性界面活性剤として、アセチレン系界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルカノールアミド、アミンオキシド、エトキシル化アルカノールアミド、長鎖エトキシル化アミン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドのコポリマー、ソルビタン誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセリルエステル及びそれらのエトキシル化誘導体、アルキルアミン、アルキルイミダゾリン、エトキシル化オイル及びアルキルフェノールエトキシレートを挙げることができる。銘柄Igepal(登録商標)、Dowanol(登録商標)、Rhodamox(登録商標)及びAlkamide(登録商標)の下で販売される製品を特に挙げることができる。
【0081】
有機テクスチャリング酸は、7~25個、より具体的には7~17個の炭素原子を含む炭化水素テールを有するモノカルボン酸であり得る。より具体的には、式C2n+1COOH(ここで、nは、7~25、より具体的には7~17の整数である)の飽和酸を挙げることができる。以下の酸をより具体的に使用することができる:カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸。より具体的には、ラウリン酸及びラウリン酸アンモニウムも挙げることができる。
【0082】
最後に、カルボキシメチル化脂肪族アルコールエトキシレート型のものから選択される界面活性剤を使用することも可能である。表現「カルボキシメチル化脂肪族アルコールエトキシレート型の生成物」は、鎖の末端に-CH-COOH基を含むエトキシル化又はプロポキシル化脂肪族アルコールからなる生成物を意味することが意図される。これらの生成物は、以下の式:
-O-(CR-CR-O)-CH-COOH
(式中、Rは、その長さが一般に最大で22個の炭素原子、好ましくは少なくとも12個の炭素原子である飽和又は不飽和の炭素ベースの鎖を意味し;R、R、R及びRは、同一であり得、且つ水素を表し得るか、又はさもなければRは、アルキル基、例えばCH基を表し得、R、R及びRは、水素を表し;nは、最大で50、より特にこれらの値を含めて5~15であり得る、ゼロではない整数である)
に対応し得る。界面活性剤は、Rがそれぞれ飽和若しくは不飽和であり得る上記の式の生成物の混合物又は代わりに-CH-CH-O-基及び-C(CH)=CH-O-基の両方を含む生成物の混合物からなり得ることが留意される。
【0083】
工程(d)では、工程(c)の終わりに得られた固体材料が液体媒体から分離され、且つ空気中で焼成される。分離は、当業者に公知の従来の手段によって行うことができる。ヌッチェフィルターを使用することが便利な場合がある。
【0084】
焼成前に、固体材料は、任意選択的に、水溶液、好ましくは塩基性のpHを有する水、例えばアンモニア水溶液で洗浄され得る(比較例3を参照されたい)。更に、固体材料は、任意選択的に、焼成前に適切な程度まで乾燥され得る。
【0085】
焼成の温度は、500℃~1000℃に含まれ得る。温度の選択は、比表面積及びかさ密度の必要とされる値に応じて、必要に応じて行うことができる。焼成の継続時間は、温度に応じて適切に決定することができ、好ましくは1~20時間であり得る。焼成は、好ましくは、600℃~950℃に含まれる温度で行うことができる。実施例1(700℃;4時間)又は実施例3(740℃;3時間)の焼成条件が適用され得る。
【0086】
工程(d)後、焼成生成物を粉砕する工程(e)が行われ得る。これにより、規定された粒子サイズの粉末を得ることができる。この工程(e)は、例えば、ハンマーミルを用いて行うことができる。工程(d)にかかわらず、d50は、厳密に2.5μmよりも大きい。
【0087】
本発明は、上で開示した方法により得られる混合酸化物にも関する。
【実施例
【0088】
以下の実施例は、本発明を例示する。
【0089】
粒子サイズ
d50は、Beckman-Coulterのレーザ粒子サイズ分析計モデルLS13320を使用して決定した。製造者のガイドラインに従ってFraunhoferモードを使用した。分布は、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)の存在下で粒子の水中分散液から得られる。1.6の相対屈折率を使用した。
【0090】
比表面積(BET)
比表面積は、MountechのMacsorb分析計モデルI-1220によって自動で決定した。いずれの測定前にも、サンプルを慎重に脱気して揮発性の吸着種を脱離させた。そのために、サンプルを200℃のストーブ中で2時間、次いで300℃の装置のセル中で15分間加熱することができる。
【0091】
Hgポロシメトリー
空隙率のパラメータは、水銀圧入ポロシメトリーによって決定した。Micromeriticsの装置Autopore IV 9500は、製造者の推奨に従って使用される。Harkins&Jura等温線を用いるBJH法が使用される。
【0092】
実施例1~9及び比較例4~6では、ジルコニウムの供給源は、Terio Corporationによって市販されているZrベースの材料であるTZH-40であった:
- 平均粒子サイズd50=28.9μm又は29.8μm;
- %ZrO=43.2重量%又は43.7重量%。
【0093】
以下に記載の混合酸化物では、構成元素の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量によって与えられる。
【0094】
実施例1:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
以下を混合することによって水性酸性分散液Sを調製した:
- 20gのCeOに対応する硝酸セリウム溶液([CeO]=258g/L;密度1.442kg/L;少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIのモル比);
- 25gのZrOに対応するTZH-40粉末(平均粒子サイズ=28.9μm、ZrOに関して%ZrO=43.2%);
- 2.5gのLaに対応する硝酸ランタン溶液([La]=388.6g/L;密度1.612kg/L);
- 2.5gのYに対応する硝酸イットリウム溶液([Y]=197.1g/L;密度1.376kg/L);
- 55.9gの60重量%硝酸溶液(13.14mol/L;密度1.38)。
【0095】
その結果、分散液のモル比H/Zrは、2.9であった。この比は、以下の計算に基づく。
硝酸セリウムからのH:0.05mol(酸塩基滴定により測定);
60重量%硝酸溶液からのH:0.53mol;
オキシ水酸化ジルコニウムからのZr:0.20mol。
【0096】
分散液は、傾斜ブレード撹拌ローターを備えた反応器中で調製し、脱イオン水を添加して総量が1Lになるように調整した。分散液Sを135℃で加熱し、この温度で4時間維持し、放冷して黄色のスラリーを得た。
【0097】
13.3m/sの先端速度Tのホモジナイザー(ULTRA-TURRAX S18N-19G,IKA)を使用したスラリーの撹拌を開始した(D=12.7mm;R=20,000rpm)。混合中、pH=8.3が得られるまでアンモニア水溶液(13.5mol/L)をスラリーに導入し、10分後、12.5gのラウリン酸を添加し、高剪断速度混合を30分間維持した。
【0098】
このようにして得られた塩基性スラリーを、ヌッチェフィルターを通して固液分離し、アンモニア水で洗浄してフィルターケーキを得た。このケーキを空気中700℃で4時間焼成して、混合酸化物を得た。
【0099】
実施例2:酸化セリウム(50%)と、酸化ジルコニウム(40%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物は、以下を除いて実施例1と同じ方法で調製した;
- CeOの量は、20gではなく、25gであった;
- ZrOの量は、25gではなく、20gであった;
- 硝酸セリウム由来のH:0.06mol;
- 60重量%の硝酸の量は、55.9gではなく、37.9gであったため、分散液Sは、H/Zr=2.6のモル比を示す。
【0100】
実施例3:酸化セリウム(20%)と、酸化ジルコニウム(70%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物は、以下を除いて実施例1と同じ方法で調製した;
- CeOの量は、20gではなく、10gであった;
- ZrOの量は、25gではなく、35gであった;
- 硝酸セリウム由来のH:0.02モル;
- 60%の硝酸の量は、55.9gではなく、78.2gであった(そのため、モル比は、H/Zr=2.7である)。
【0101】
実施例4:酸化セリウム(65%)と、酸化ジルコニウム(25%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物は、以下を除いて実施例1と同じ方法で調製した;
- CeOの量は、20gではなく、32.5gであった;
- ZrOの量は、25gではなく、12.5gであった;
- 硝酸セリウム由来のH:0.08mol;
- 60%の硝酸の量は、55.9gではなく、23.9gであったため、分散液Sは、H/Zr=3.0のモル比を示す。
【0102】
実施例5:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物は、135℃で加熱した後のスラリーの撹拌を、16.2m/sの先端速度Tで高剪断ミキサー(L5M-A、Silverson)を使用して行ったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。
【0103】
実施例6:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物粉末は、工程(b)以外には実施例1と同じ方法で調製し、アンモニア水(13.5モル/L)は、500rpm(先端速度T=0.6m/s)の撹拌速度において、傾斜ブレード撹拌ローターを使用して撹拌下でスラリーに導入した。次いで、ホモジナイザーULTRA-TURRAXを使用して、13.3m/sの先端速度Tで工程(c)を行った。
【0104】
実施例7:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
以下を混合することによって水性酸性分散液Sを調製した:
- 4kgのCeOに対応する硝酸セリウム溶液([CeO]=261g/L;密度1.445kg/L;少なくとも90.0mol%のCeIV/CeIV+CeIIIのモル比);
- 5.0kgのZrOに対応するTZH-40粉末(平均粒子サイズ=29.8μm、ZrOに関して%ZrO=43.7%);
- 0.5kgのLaに対応する硝酸ランタン溶液([La]=470.0g/L;密度1.715kg/L);
- 0.5kgのYに対応する硝酸イットリウム溶液([Y]=218.2g/L;密度1.416kg/L);
- 6.1kgの60重量%硝酸溶液(13.14mol/L;密度1.38)。
【0105】
分散液のモル比H/Zrは、1.7であった。分散液は、傾斜ブレード撹拌ローターを備えた反応器中で混合し、脱イオン水で総量が200Lになるように調整することによって調製した。
【0106】
分散液Sを120℃まで加熱し、この温度で2時間維持し、放冷して黄色のスラリーを得た。高剪断ミキサー(EX60,Silverson)を使用して、18.5m/sの先端速度Tでスラリーの撹拌を開始した。撹拌中、アンモニア水(13.5mol/L)をスラリーに導入してpH8.9に到達させ、次いで5分後、2.5kgのラウリン酸を添加し、撹拌を17分間維持した。
【0107】
このようにして得た塩基性スラリーをフィルタープレスにより固液分離し、アンモニア水で洗浄してフィルターケーキを得た。ケーキを740℃で3時間焼成し、穏やかに粉砕して、粉末形態の混合酸化物を得た。
【0108】
実施例8:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物を、以下を除いて実施例7と同じ方法で調製した:
- 60%硝酸の量は、6.1kgではなく、10.3kgであったため、分散液Sは、モル比H/Zr=2.7によって特徴付けられる;
- 加熱温度は、120℃ではなく、133℃であった。
【0109】
実施例9:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物は、アンモニア水溶液の添加後及びラウリン酸の添加後の撹拌時間が5分及び17分ではなく、それぞれ10分及び30分であったことを除いて、実施例8と同じ方法で調製した。
【0110】
比較例1:国際公開第07131901号パンフレットに開示されているプロセスによる、酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
6.0kgのCeOに対応する硝酸セリウム溶液([CeO]=259g/L;密度=1.439kg/L、少なくとも90.0%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比)、7.5kgのZrOに対応する硝酸ジルコニウム溶液([ZrO]=266g/L;密度=1.408kg/L)、0.75kgのLaに対応する硝酸ランタン溶液([La]=472.5g/L;密度=1.711kg/L)及び0.75kgのYに対応する硝酸イットリウム溶液([Y]=208.5g/L;密度=1.391kg/L)を、傾斜ブレード撹拌ローターを備えたタンク内で混合し、脱イオン水で125Lの総量に調整した後、撹拌して均一な共硝酸塩溶液を調製した。
【0111】
傾斜ブレード撹拌ローターを備えた反応器にアンモニア水溶液(40L、12mol/L)を導入し、次いでその総体積を蒸留水で補い、125Lの総体積になるように、且つ析出させるカチオンに対して40%化学量論過剰のアンモニア水になるようにした。
【0112】
予め調製した共硝酸塩溶液を90rpmの速度(先端速度T=1.8m/s)で撹拌しながら反応器に1時間で導入した。
【0113】
得られたスラリーを135℃に加熱し、この温度を4時間維持し、放冷した。このようにして得た分散液に5.0kgのラウリン酸を添加し、分散液の撹拌を1時間維持した。分散液をフィルタープレスにより固液分離し、アンモニア水溶液で洗浄してフィルターケーキを得た。ケーキを750℃で3時間焼成して、複合酸化物粉末を得た。
【0114】
比較例2:国際公開第2011/138255号パンフレットに開示されているプロセスによる、酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
硝酸塩の2つの溶液、硝酸セリウム及び硝酸ジルコニウムからなる1つと、硝酸ランタン及び硝酸イットリウムからなる他のものとを予め調製した。6.0kgのCeOに対応する硝酸セリウム溶液([CeO]=259g/L;密度=1.439kg/L、少なくとも90.0%のCeIV/CeIV+CeIIIモル比)と、7.5kgのZrOに対応する硝酸ジルコニル溶液([ZrO]=266g/L;密度=1.408kg/L)とを、傾斜ブレード撹拌ローターを備えた第1のタンク中で混合し、脱イオン水で合計量106Lに調整し、次いで撹拌して均一なCeZr硝酸塩共溶液を調製した。
【0115】
0.75kgのLaに対応する硝酸ランタン溶液([La]=472.5g/L;密度=1.711kg/L)と、0.75kgのYに対応する硝酸イットリウム溶液([Y]=208.5g/L;密度=1.391kg/L)とを、傾斜ブレード撹拌ローターを備えた第2のタンク中で混合し、脱イオン水で合計19Lに調整し、次いで撹拌して均一なLaY硝酸塩共溶液を調製した。
【0116】
傾斜ブレード撹拌ローターを備えた反応器にアンモニア水溶液(40L、12mol/L)を導入し、次いでその体積を蒸留水で補い、125Lの総体積になるように、且つ析出させるカチオンに対して40%化学量論過剰のアンモニア水になるようにした。
【0117】
第1のCeZr共硝酸塩溶液を115rpmの速度で撹拌しながら50分で反応器に導入した。10分後、第2のLaY共硝酸塩溶液を85rpmの速度で撹拌しながら10分で反応器に導入した。加熱、ラウリン酸の導入、固液分離、洗浄及び焼成は、焼成温度が840℃であることを除いて、比較例1と同じ手順に従って行った。
【0118】
比較例3:国際公開第2017/187085号パンフレットに開示されているプロセスによる、酸化セリウム(30%)と、酸化ジルコニウム(60%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
95.4Lの脱イオン水が入っているタンク中で、8.5Lの硝酸ジルコニル溶液(([ZrO]=266g/L;密度=1.408kg/L)及び7.0Lの硝酸セリウム溶液([CeO]=259g/L;密度=1.439kg/L)を導入して前駆体溶液を調製した。10.8Lの水、0.53Lの硝酸ランタン溶液([La]=472.5g/L;密度=1.711kg/L)及び1.2Lの硝酸イットリウム溶液[Y]=208.5g/L;密度=1.391kg/L)を用いて、硝酸ランタン及び硝酸イットリウムの水溶液も調製した。
【0119】
混合装置を備えた250Lの大型反応器にアンモニア溶液(12L、12mol/L)及び脱イオン水を導入して、総体積125Lの塩基性溶液を得る。
【0120】
次いで、セリウムとジルコニウムの硝酸塩溶液を、アンモニア溶液が入っている撹拌されている反応器に200rpmの混合速度で45分間かけて導入する。その後、ランタン及びイットリウムの硝酸塩溶液を、25rpmの混合速度の撹拌されている反応器に15分間かけて導入する。
【0121】
得られた分散液を撹拌されているオートクレーブ中に注ぎ入れ、分散液を150℃まで2時間加熱する。60℃未満の温度まで冷却した後、1.65kgのラウリン酸を添加する。分散液を撹拌しながら1時間維持し、次いで濾過し、アンモニア水(pH9.5;250L)で洗浄する。次いで、得られたケーキを825℃において3時間空気中で焼成する。
【0122】
比較例4:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物は、60%硝酸を添加しなかったことを除いて実施例1と同じ方法で調製した。その結果、水性酸性分散液Sは、H/Zr=0.23(Hのモル比(硝酸セリウムからのH:0.047mol;オキシ水酸化ジルコニウムからのZr:0.203mol)を示す。見てわかるように、Dp,1100℃/4hは、わずか56nmである。
【0123】
比較例5:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
混合酸化物は、83.0gの60%硝酸を添加されたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。その結果、水性酸性分散液Sは、H/Zr=4.1のモル比を示す。見てわかるように、Dp,1100℃/4hは、わずか20nmである。
【0124】
比較例6:酸化セリウム(40%)と、酸化ジルコニウム(50%)と、酸化ランタン(5%)と、酸化イットリウム(5%)とに基づく混合酸化物の調製
この混合酸化物は、スラリーの撹拌が、高剪断速度ミキサーの代わりに撹拌速度92rpm(先端速度T=2.4m/s)の傾斜ブレード撹拌ローターを使用して行ったことを除いて、実施例7と同じ方法で調製した。見てわかるように、Dp,1100℃/4hは、わずか28nmである。
【0125】
図1
図2