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特許7532399異なるルーティングプロトコルを用いるネットワーク及び装置の間で通信リンクを確立するためのシステム及び方法
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  • 特許-異なるルーティングプロトコルを用いるネットワーク及び装置の間で通信リンクを確立するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】異なるルーティングプロトコルを用いるネットワーク及び装置の間で通信リンクを確立するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/08 20220101AFI20240805BHJP
   H04L 61/5007 20220101ALI20240805BHJP
【FI】
H04L69/08
H04L61/5007
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021557594
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020022949
(87)【国際公開番号】W WO2020197826
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】16/367,587
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ハンリー,ジェイムズ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター,チャド ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ブライス ディ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ローレンス
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-126423(JP,A)
【文献】特表2009-527136(JP,A)
【文献】特表2011-508491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0004587(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0126431(US,A1)
【文献】P.Thubert,Routing for RPL Leaves,Internet Engineering Task Force,Internet-Draft,米国,Cisco Systems, Inc.,2018年11月19日,1-19,https://www.ietf.org/archive/id/draft-thubert-roll-unaware-leaves-06.txt
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信リンク確立方法であって、上記方法は、
低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(routing protocol for low power and lossy networks:RPL)を使用可能な装置によって、RPLを使用できない装置との通信リンクを確立することと、
上記RPLを使用可能な装置によって、RPLを使用可能なネットワークとのネットワーク接続を確立することとを含み、
上記RPLを使用可能な装置は、上記RPLを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスを受信し、
上記方法は、
上記RPLを使用可能な装置によって、上記RPLを使用できない装置及び上記RPLを使用可能なネットワークの間においてプロキシ通信リンクを提供すること含み、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記RPLを使用可能な装置及び上記RPLを使用できない装置の間において制御プロトコル交換を実行することを含み、
上記RPLを使用可能な装置は、上記制御プロトコル交換の間に、上記RPLを使用できない装置のインターフェース識別子を受信し、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記RPLを使用可能な装置によって、上記RPLを使用できない装置に関連付けられたグローバルに一意のアドレス(globally unique address:GUA)を生成することを含み、
上記GUAは、(i)上記RPLを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスと、(ii)上記RPLを使用できない装置のインターフェース識別子との連結を含み、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記RPLを使用可能な装置によって、上記RPLを使用可能なネットワークに、上記GUAを含むプロキシ宛先広告オブジェクトを送信すること含む、
方法。
【請求項2】
上記プロキシ通信リンクを提供することはさらに、上記RPLを使用可能な装置において、上記RPLを使用可能なネットワークからプロキシ宛先広告オブジェクト肯定応答を受信することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記RPLを使用できない装置との通信リンクは、ポイントツーポイントプロトコル通信リンクを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記RPLを使用できない装置との通信リンクを確立することは、
上記RPLを使用可能な装置によって、上記RPLを使用できない装置にリンク制御プロトコルパケットを送信することと、
上記RPLを使用可能な装置において、上記RPLを使用できない装置から追加のリンク制御プロトコルパケットを受信することと、
上記RPLを使用可能な装置によって、上記リンク制御プロトコルパケット及び上記追加のリンク制御プロトコルパケットを用いて、上記RPLを使用できない装置との通信リンクを確立することとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記RPLを使用可能なネットワークとのネットワーク接続を確立することは、
上記RPLを使用可能な装置によって、上記RPLを使用可能なネットワークのルートノードに拡張ビーコン要求を送信することと、
上記RPLを使用可能な装置において、上記RPLを使用可能なネットワークから、上記RPLを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスを含む宛先指向有向非巡回グラフ(destination oriented directed acyclic graph:DODAG)情報オブジェクトを受信することと、
上記RPLを使用可能な装置において、上記RPLを使用可能なネットワークに宛先広告オブジェクトを送信することと、
上記RPLを使用可能な装置において、上記RPLを使用可能なネットワークから宛先広告オブジェクト肯定応答を受信することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記RPLを使用可能な装置において、上記RPLを使用可能なネットワークから、上記RPLを使用できない装置のためのメッセージを受信することと、
上記GUAを用いて、上記RPLを使用できない装置に上記メッセージをルーティングすることとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
上記プロキシ宛先広告オブジェクトは上記RPLを使用できない装置から上記GUAが発信されたことを示すフラグをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記RPLを使用できない装置及び上記RPLを使用可能なネットワークの間において上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記RPLを使用できない装置及び上記RPLを使用可能なネットワークの間においてIPv6通信リンクを確立することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
ネットワーク化されたシステムのノードであって、
上記ノードは、
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
上記プロセッサによって実行されたとき、上記プロセッサに以下のステップを含む動作を実行させる上記コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを備え、
上記動作は、
上記ノードと、プロトコルを使用可能なネットワークの間においてネットワーク接続を確立するステップを含み
上記ノードはプロトコルを使用可能であり、上記プロトコルを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスを受信し、
上記動作は、
上記ノードと、プロトコルを使用できない装置の間において通信リンクを確立するステップと、
上記ノードを介して、上記プロトコルを使用できない装置及び上記プロトコルを使用可能なネットワークの間においてプロキシ通信リンクを提供することとを含み、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記ノード及び上記プロトコルを使用できない装置の間において制御プロトコル交換を実行することを含み、
上記ノードは、上記制御プロトコル交換の間に、上記プロトコルを使用できない装置のインターフェース識別子を受信し、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記ノードによって、上記プロトコルを使用できない装置に関連付けられたグローバルに一意のアドレス(globally unique address:GUA)を生成することを含み、
上記GUAは、(i)上記プロトコルを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスと、(ii)上記プロトコルを使用できない装置のインターフェース識別子との連結を含み、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記ノードによって、上記プロトコルを使用可能なネットワークに、上記GUAを含むプロキシ宛先広告オブジェクトを送信することを含む、
ノード。
【請求項10】
上記ノード及び上記プロトコルを使用可能なネットワークは、境界ゲートウェイプロトコル(border gateway protocol:BGP)又は6LoWPANアドホックオンデマンド距離ベクトルルーティング(6LoWPAN Ad Hoc On-Demand Distance Vector Routing:LOAD)プロトコルを用いて通信する、
請求項記載のノード。
【請求項11】
上記ノード及び上記プロトコルを使用可能なネットワークは、低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(routing protocol for low power and lossy networks:RPL)を用いて通信する、
請求項記載のノード。
【請求項12】
上記ノード及び上記プロトコルを使用できない装置の間において上記通信リンクを確立することは、
上記プロトコルを使用できない装置にリンク制御プロトコルパケットを送信することと、
上記プロトコルを使用できない装置から追加のリンク制御プロトコルパケットを受信することと、
拡張認証プロトコル・トランスポート層セキュリティ(extensible authentication protocol-transport layer security:EAP-TLS)相互認証処理を実行することと、
上記リンク制御プロトコルパケット及び上記追加のリンク制御プロトコルパケットを用いて、上記プロトコルを使用できない装置とのIPv6通信リンクを確立することとを含む、
請求項記載のノード。
【請求項13】
上記プロキシ通信リンクを提供することは、
上記プロトコルを使用できない装置のGUAを受信することと、
上記プロトコルを使用可能なネットワークに、上記GUAを含むプロキシ宛先広告オブジェクトを送信することと、
上記プロトコルを使用可能なネットワークからプロキシ宛先広告オブジェクト肯定応答を受信することとを含む、
請求項記載のノード。
【請求項14】
上記プロキシ宛先広告オブジェクトは上記プロトコルを使用できない装置から上記GUAが発信されたことを示すフラグをさらに含む、
請求項13記載のノード。
【請求項15】
以下のステップを含む動作を実行するように処理装置によって実行可能な命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
上記動作は、
低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(routing protocol for low power and lossy networks:RPL)を使用可能な装置及びRPLを使用できない装置の間における通信リンクを確立するステップと、
上記RPLを使用可能な装置及びRPLを使用可能なネットワークの間においてネットワーク接続を確立するステップとを含み、
上記RPLを使用可能な装置は、上記RPLを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスを受信し、
上記動作は、上記RPLを使用可能な装置を用いて、上記RPLを使用できない装置及び上記RPLを使用可能なネットワークの間においてプロキシ通信リンクを提供するステップを含み、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記RPLを使用可能な装置及び上記RPLを使用できない装置の間において制御プロトコル交換を実行することを含み、
上記RPLを使用可能な装置は、上記制御プロトコル交換の間に、上記RPLを使用できない装置のインターフェース識別子を受信し、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記RPLを使用可能な装置によって、上記RPLを使用できない装置に関連付けられたグローバルに一意のアドレス(globally unique address:GUA)を生成することを含み、
上記GUAは、(i)上記RPLを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスと、(ii)上記RPLを使用できない装置のインターフェース識別子との連結を含み、
上記プロキシ通信リンクを提供することは、上記RPLを使用可能な装置によって、上記RPLを使用可能なネットワークに、上記GUAを含むプロキシ宛先広告オブジェクトを送信することを含む、
非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
記プロキシ宛先広告オブジェクトは上記RPLを使用できない装置から上記GUAが発信されたことを示すフラグをさらに含む、
請求項15記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
上記通信リンクを確立することは、
上記RPLを使用できない装置にリンク制御プロトコルパケットを送信することと、
上記RPLを使用できない装置から追加のリンク制御プロトコルパケットを受信することと、
上記リンク制御プロトコルパケット及び上記追加のリンク制御プロトコルパケットを用いて、上記RPLを使用できない装置との通信リンクを確立することとを含む、
請求項15記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
上記ネットワーク接続を確立することは、
上記RPLを使用可能なネットワークに拡張ビーコン要求を送信することと、
上記RPLを使用可能なネットワークから、上記RPLを使用可能なネットワークのネットワークプレフィックスを含む宛先指向有向非巡回グラフ(destination oriented directed acyclic graph:DODAG)情報オブジェクトを受信することと、
上記RPLを使用可能なネットワークに宛先広告オブジェクトを送信することと、
上記RPLを使用可能なネットワークから宛先広告オブジェクト肯定応答を受信することとを含む、
請求項15記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
上記プロキシ通信リンクを提供することは、
上記RPLを使用できない装置に関連付けられたプロキシ宛先広告オブジェクトを、上記RPLを使用可能なネットワークに送信することと、
上記RPLを使用可能なネットワークからプロキシ宛先広告オブジェクト肯定応答を受信することとを含む、
請求項15記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、異なるルーティングプロトコルを用いるネットワーク及び装置の間で通信リンクを確立するための処理に関する。より詳しくは、本開示は、低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(routing protocol for low power and lossy networks:RPL)を用いるネットワークと、RPLを使用できない装置との間で通信リンクを確立することに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートな電力、ガス、及び水道メーター及び他のスマート装置(すなわち、他の装置又はネットワークに接続及び通信可能な装置)のネットワークのような、ネットワーク化された複数のシステムは、メッシュネットワークでの装置間通信のために互いに相互接続可能である。さらに、メッシュネットワーク内における一群のスマート装置は、低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(RPL)を定義するコードを用いて、メッシュネットワークにわたって他のスマート装置と通信してもよい。
【0003】
例えば、低消費電力かつ高損失のスマート装置のメッシュネットワークは、RPLを使用可能でありかつメッシュネットワークを形成する他のスマート装置と有効に通信するために、RPLを使用可能にすることに依存しうる。概して、RPLプロトコルは、メッシュネットワークのノード(例えばスマート装置)間においてルートを構築し、メッシュネットワークのノード間においてルーティングの知識を配信するための機構を提供する。さらに、RPLプロトコルは、ノードの全エネルギー消費量を削減し、ノード間のトポロジー不整合に対処する処理を実施する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RPLを使用可能なスマート装置のメッシュネットワークにおいて所定の問題が生じる。例えば、RPLを使用できないスマート装置又は他のノードは、RPLを使用可能なスマート装置のメッシュネットワークと通信すること、さもなければアクセスすることができない可能性がある。非RPLスマート装置にRPLコードを追加することでこの制限を克服しうるが、メッシュネットワークへの通信リンクを探索するすべての非RPLスマート装置にRPLコードを追加することは実際的ではない可能性がある。したがって、RPLを使用できないスマート装置と、RPLを使用可能なスマート装置のメッシュネットワークとの間の通信が利用可能でない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(routing protocol for low power and lossy networks:RPL)を用いるネットワークと、RPLを使用できない装置との間で通信リンクを確立するための装置及び処理に係る態様及び実施例が開示される。例えば、通信リンク確立方法は、低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(RPL)を使用可能な装置によって、RPLを使用できない装置との通信リンクを確立することを含む。本方法は、RPLを使用可能な装置によって、RPLを使用可能なネットワークとのネットワーク接続を確立することを含む。さらに、本方法は、RPLを使用可能な装置によって、RPLを使用できない装置及びRPLを使用可能なネットワークの間においてプロキシ通信リンクを提供することを含む。プロキシ通信リンクを提供することは、RPLを使用できない装置に、グローバルに一意のアドレス(globally unique address:GUA)を割り当てることと、RPLを使用可能な装置によって、RPLを使用可能なネットワークに、GUAを含むプロキシ宛先広告オブジェクトを送信することとを含む。
【0006】
もう1つの実施例では、ネットワーク化されたシステムのノードは、コンピュータ可読命令を実行するプロセッサを含む。上記ノードは、上記プロセッサによって実行されたとき、上記プロセッサに所定の動作を実行させる上記コンピュータ可読命令を格納するメモリを含む。プロセッサによって実行される動作は、上記ノード及びプロトコルを使用可能なネットワークの間においてネットワーク接続を確立することを含む。上記動作はまた、上記ノード及びプロトコルを使用できない装置の間において通信リンクを確立することを含む。さらに、上記動作は、上記ノードを介して、上記プロトコルを使用できない装置及び上記プロトコルを使用可能なネットワークの間においてプロキシ通信リンクを提供することを含む。
【0007】
もう1つの実施例では、非一時的なコンピュータ可読媒体は、その上に格納された命令を有する。上記命令は、所定の動作を実行するように処理装置によって実行可能である。処理装置によって実行可能な動作は、低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(RPL)を使用可能な装置及びRPLを使用できない装置の間における通信リンクを確立することを含む。上記動作はまた、上記RPLを使用可能な装置及びRPLを使用可能なネットワークの間においてネットワーク接続を確立することを含む。さらに、上記動作は、上記RPLを使用可能な装置を用いて、上記RPLを使用できない装置及び上記RPLを使用可能なネットワークの間においてプロキシ通信リンクを提供することを含む。
【0008】
これらの例示的な態様及び特徴は、ここで説明する主題を限定又は定義するためではなく、本願において説明する概念についての理解を支援する実施例を提供するために言及される。ここに説明する主題の他の態様、利点、及び特徴は、本願全体に目を通すことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つ又は複数の実施例に係る、ネットワーク化されたシステム及びスマート装置のメッシュネットワークの例を示すブロック図である。
図2】1つ又は複数の実施例に係る、ある装置を図1のネットワーク化されたシステムとリンクするための通信方式の例を示すブロック図である。
図3】1つ又は複数の実施例に係る、低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(RPL)を使用可能な装置及びRPLを使用できない装置の間においてポイントツーポイントプロトコル(PPP)接続を生成する処理の例である。
図4】1つ又は複数の実施例に係る、RPLを使用可能な装置がRPLを使用可能なネットワークに加入する処理の例である。
図5】1つ又は複数の実施例に係る、RPLを使用できない装置がRPLを使用可能な装置を用いてRPLを使用可能なネットワークに加入する処理の例である。
図6】1つ又は複数の実施例に係る、図1のメッシュネットワークのノードの構成要素のブロック図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付の図面を参照して読まれるとき、さらに理解される。
【0011】
低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(routing protocol for low power and lossy networks:RPL)を用いるネットワークと、RPLを使用できない装置との間で通信リンクを確立するためのシステム及び方法が提供される。ネットワーク内において、ノードは、他のノード又は集中化されたネットワーク(例えばインターネット又はイントラネット)にデータを送信し、また、それらからデータを受信することができる、ネットワークにアクセスする任意の装置であってもよい。いくつかのネットワーク(例えば、低消費電力かつ高損失のネットワーク(low power and lossy network:LLN))において、ノードは、RPLプロトコルを用いて、互いに通信してもよく、また、集中化されたネットワークと通信してもよい。RPLを使用できないノード(例えば、RPLプロトコルを定義するプログラミングコードを含まないノード)によってRPLを使用可能なネットワークへのアクセスを提供するために、RPLを使用できないノードは、RPLを使用可能なノードとの通信リンクを確立してもよい。RPLを使用できないノード及びRPLを使用可能なノードの間の通信リンクは、RPLを使用可能なノードを用いて、RPLを使用できないノード及びRPLを使用可能なネットワークの間のトラフィックをルーティングすることで、RPLを使用できないノードがRPLを使用可能なネットワークと通信する能力を提供してもよい。
【0012】
動作において、RPLを使用できないノード及びRPLを使用可能なノードは、ポイントツーポイントプロトコル(point-to-point protocol:PPP)通信リンクを確立してもよい。さらに、RPLを使用可能なノードは、RPLを使用可能なネットワークに加入してもよい。PPP通信リンクを確立してRPLを使用可能なネットワークに加入したとき、RPLを使用可能なノードは、RPLを使用できないノード及びRPLを使用可能なネットワークの間の通信リンクを確立して、RPLを使用できないノード及びRPLを使用可能なネットワークの間においてIPv6データパケットをルーティングするプロキシとして機能してもよい。
【0013】
図1は、ネットワーク化されたシステム100及びスマート装置のメッシュネットワーク101の例を示すブロック図である。ネットワーク化されたシステム100及びメッシュネットワーク101は、スマート装置(例えば、通信技術を含むリソース消費量メーター、乗物、家電機器など)が、複数のノード(すなわち他のスマート装置)のネットワーク、インターネット、及び/又はイントラネットを介して通信するためのネットワークインフラストラクチャを提供する。ネットワーク化されたシステム100はヘッドエンド102を含み、ヘッドエンド102は、ネットワーク104からデータのストリームを受信する中央処理システムとして機能してもよい。ネットワーク104は、インターネット、イントラネット、又は他の任意のデータ通信ネットワークであってもよい。メッシュネットワーク101は、ネットワーク104及び他のノード108a及び108bの間の通信経路を提供するルートノード106を含んでもよい。例えば、ルートノード106は、ノード108a及び108bからデータを収集し、収集されたデータをネットワーク104に送信し、最終的にはネットワーク化されたシステム100のヘッドエンド102に送信してもよい。ルートノード106は、ネットワーク104に接続可能であるパーソナルエリアネットワーク(PAN)コーディネータ、インターネットゲートウェイ、又は他の任意の装置であってもよい。さらに、ノード110は、ノード108aによってルートノード106と通信してもよく、ノード112a及び112bは、ノード108bによってルートノード106と通信してもよい。
【0014】
ルートノード106は、概して、ルートノード106より下位のノードレイヤ(例えばレイヤ1)に位置したノード108a及び108bとのデータリンクに起因して、親ノードと呼ばれてもよい。例えば、ルートノード106は、ネットワーク104と直接的に通信するように図示されている。図示したように、ノード108a及び108bもまた、ノード108a及び108bより下位のノードレイヤ(例えばレイヤ2)に位置したノード110及びノード112a及び112bとの各データリンクに起因して、親ノードと呼ばれてもよい。ノード108a、108b、110、112a、及び112bはすべて、情報を集めてノードレイヤを介して上位のルートノード106に送り、ネットワーク106に送り、最終的にヘッドエンド102に送ってもよい。
【0015】
ノード106、108a、108b、110、112a、及び112bの各々は、他のノード106、108a、108b、110、112a、及び112bのうちの少なくとも1つとリンクされる。一実施例では、ノード106、108a、108b、112a及び112bはすべて、低消費電力かつ高損失のネットワークのためのルーティングプロトコル(RPL)を使用可能なノードであってもよい。すなわち、ノード106、108a、108b、112a、及び112bはそれぞれ、RPLを使用可能なフィールドエリアネットワーク(field-area network:FAN)(例えばメッシュネットワーク101)にわたってRPLプロトコルを用いた通信を可能にするコードを含んでもよい。RPLを使用可能なノード106、108a、108b、112a、及び112bの間の通信を可能にするために、RPLを使用可能なノード106、108a、108b、112a、及び112bの間でリンク114が生成されてもよい。
【0016】
ノード110は、RPLを使用可能なノードではない可能性がある。すなわち、ノード110は、RPLを使用可能なFANとの通信を可能にするコードを含まない可能性がある。すなわち、ノード110は、RPLルーティング能力を含まない可能性がある。従って、ノード110及びRPLを使用可能なノード108aは、リンク116を生成してもよく、リンク116により、ノード110からRPLを使用可能なルートノード106、ネットワーク104、又はそれらの両方への通信リンクをノード110が確立するためのプロキシとしてノード108aが動作することが可能になる。このように、RPLを使用可能なFANと通信する機能をもたないノード110は、RPLを使用可能なFANと通信することができ、また、RPLを使用可能なFANと通信しているRPLを使用可能な他のノード106、108a、108b、112a、及び112bと通信することができる。
【0017】
上記及び下記の部分ではノード106、108a、108b、112a、及び112bがRPLを使用可能であるものとして説明されているが、他の通信プロトコルを用いて動作するノードのネットワークが、本開示で説明するRPLプロトコルの場合と同様の方法で、プロトコルを使用できないノードと通信してもよい。例えば、ノード106、108a、108b、112a、及び112bは、境界ゲートウェイプロトコル(border-gateway protocol:BGP)を使用可能であってもよい。6LoWPANアドホックオンデマンド距離ベクトルルーティング(6LoWPAN Ad Hoc On-Demand Distance Vector Routing:LOAD)プロトコル)のような他のルーティングするプロトコルもまた、本開示の範囲内であることが企図される。
【0018】
動作中に、より少数又はより多数のノードがメッシュネットワーク101に含まれてもよく、また、より多数のルートノード106がネットワーク化されたシステム100に含まれてもよい。さらに、図1に示すメッシュネットワーク101は、ルートノードレイヤ(すなわちルートノード106)、レイヤ1(すなわちノード108a及び108b)、及びレイヤ2(すなわちノード110、112a、及び112b)を含むが、より少数又はより多数のノードレイヤも企図される。さらに、RPLを使用できない複数のノード110が、RPLを使用可能な同じノード108aに通信可能に接続されてもよく、RPLを使用できない追加のノード110が、RPLを使用可能な他のノード108b、112a、及び112bに通信可能に接続されてもよい。さらに、図1は特定のネットワークトポロジー(例えばDODAG木構造トポロジー)を示すが、他のネットワークトポロジーもまた可能である(例えば、リングトポロジー、メッシュトポロジー、星トポロジーなど)。
【0019】
図2は、装置(例えばノード110)をネットワーク化されたシステム100とリンクするための通信方式200の例を示すブロック図である。通信方式200は、RPLを使用できない装置202(例えばノード110)を、RPLを使用可能な装置204(例えばノード108a)に通信可能に接続することをもたらす相互動作を示す。さらに、通信方式200は、RPLを使用可能な装置204を、RPLを使用可能なネットワーク206(例えば、ルートノード106又はネットワーク104)に通信可能に接続することをもたらす相互動作を示す。通信方式200はまた、RPLを使用できない装置202をメッセージルーティングツリーの一部として確立するプロキシDAOメッセージをRPLを使用可能なネットワーク206に送信するプロキシとして動作するRPLを使用可能な装置204を介して、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能なネットワーク206の間の通信可能な接続をもたらす相互動作を示す。
【0020】
ブロック208において、通信方式200は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間におけるポイントツーポイントプロトコル(point-to-point protocol:PPP)セッションの生成を示す。ブロック208ではPPPセッションを示しているが、他の通信プロトコルが、RPLを使用できない装置202を、RPLを使用可能な装置204に通信可能に接続する能力を提供してもよい。例えば、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の両方は、装置202及び204の両方にインストールされ、PPPセッションと同様の通信機能を有する接続を生成するプロプライエタリな通信プロトコルを有してもよい。さらに、PPPセッション、又は他の適切な通信プロトコルセッションは、RPLを使用できない装置202の電源オンの際に、RPLを使用可能な装置204の電源オンの際に、又はそれらの両方において開始されてもよく、又は、PPPセッションは、RPLを使用できない装置202又はRPLを使用可能な装置204によって随意に開始されてもよい。
【0021】
RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間におけるPPPセッションを生成するために、リンク制御プロトコル(link control protocol:LCP)処理210がセッションを確立する。例えば、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の両方は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間におけるPPPセッションの元での未来のデータ送信の標準を決定するために、LCPパケットを互いに送信する。LCPは、交換されたLCPパケットに基づいて、装置202及び204の間のリンク(例えばリンク116)を容認できるかを決定してもよい。PPPセッションが開始されるとき、LCP処理210が開始されてもよい。例えば、LCP処理210は、RPLを使用できない装置202の電源オンの際に、RPLを使用可能な装置204の電源オンの際に、又はそれらの両方において開始されてもよく、又は、PPPセッションは、RPLを使用できない装置202又はRPLを使用可能な装置204によって随意に開始されてもよい。
【0022】
装置202及び204の間のリンクが容認された後で、拡張可能な認証プロトコル・トランスポート層セキュリティ(an extensible authentication protocol-transport layer security:EAP-TLS)相互認証処理212は、RPLを使用できない装置202及びRPL装置204の間における相互認証を保証してもよい。EAP-TLS相互認証処理212は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204が真正であることを評価してもよい。EAPは、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204が独立かつ互いに認証することを可能にする4ウェイハンドシェイクであってもよい。TLSは、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204によって用いられる所定タイプの認証である。
【0023】
EAP-TLS相互認証処理212は、ブロック208におけるPPPセッションの生成におけるオプションのステップであってもよい。例えば、いくつかの装置202及び204は、EAP-TLSソフトウェアを有効化していなくてもよい。他の実施例では、EAP-TLS相互認証処理212は、装置202及び204の間における他の認証処理で置き換えられてもよい。
【0024】
LCP処理210、又はEAP-TLS相互認証処理212の完了後、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間において、インターネットプロトコルバージョン6制御プロトコル(Internet Protocol version 6 Control Protocol:IP6CP)交換214が行われる。IP6CP交換214を行うことで、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用できない装置202のインターフェース識別子(すなわち、IPv6アドレスの下位64ビット)を認識するようになる。このように、IP6CP交換214は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間におけるPPPセッションにわたってIPv6通信を確立する。
【0025】
ブロック216において、通信方式200は、RPLを使用可能な装置204及びRPLを使用可能なネットワーク206の間におけるリンク(例えばリンク114)の生成を示す。ブロック216はブロック208の後に行われるものとして示しているが、RPLを使用可能な装置204及びRPLを使用可能なネットワーク206の間のリンクは、ブロック208におけるPPPセッションの生成と並列に生成されてもよく、又は、RPLを使用可能な装置204及びRPLを使用可能なネットワーク206の間のリンクは、PPPセッションの生成208の前に生成されてもよい。初期状態では、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用可能なネットワーク206に拡張ビーコン要求(enhanced beacon request:EBR)218を送信する。EBR218は、RPLを使用可能な装置204がRPLを使用可能なネットワーク206とのリンクを確立したいという表示を、RPLを使用可能なネットワーク206に提供してもよい。一実施例では、EBR218は、RPLを使用可能なネットワーク206と通信するルートノード106によって受信されてもよい。
【0026】
EBR218を受信した後、RPLを使用可能なネットワーク206は、例えばルートノード106を介して、宛先指向有向非巡回グラフ情報オブジェクト(destination oriented directed acyclic graph (DODAG) information object:DIO)220を、RPLを使用可能な装置204に提供してもよい。DIO220は、RPLを使用可能なネットワーク206のネットワークプレフィックスを、RPLを使用可能な装置204に提供してもよい。一実施例では、DIO220は、DIO220を受信するノードが、潜在的なRPL接続を認識し、RPL接続の構成パラメータを認識し、DODAG親集合を選択し、DODAG経路を保持することを可能にする情報を伝送する。
【0027】
DIO220を受信したとき、RPLを使用可能な装置204は、例えばルートノード106を介して、RPLを使用可能なネットワーク206に宛先広告オブジェクト(destination advertisement object:DAO)222を送信してもよい。DAO222は、DODAGに沿って上位に宛先情報を伝搬させるために使用されてもよい。RPLを使用可能なネットワーク206と通信するルートノード106は、RPLを使用可能な装置204にDAO肯定応答224を提供してもよく、DAO肯定応答224は、RPLを使用可能なネットワーク206によってDAO222が受信されたことを肯定応答する。
【0028】
RPLを使用可能な装置204が、RPLを使用できない装置202のインターフェース識別子(例えば、IP6CP交換214によって提供される)及びRPLを使用可能なネットワーク206のネットワークプレフィックスを所有しているので、RPLを使用可能な装置204は、ネットワークプレフィックスにインターフェース識別子を連結することで、RPLを使用できない装置202のグローバルに一意のアドレス(globally unique address:GUA)を生成する。RPLを使用可能な装置204によって生成された、RPLを使用できない装置202のGUAは、RPLを使用可能な装置204のIPルーティングテーブルに追加されてもよく、これにより、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用可能なネットワーク206からRPLを使用できない装置202に情報をルーティングできるようになる。もう1つの実施例では、GUAに代えて、一意のローカルアドレスが生成されてもよい。
【0029】
ブロック226において、通信方式200は、RPLを使用可能な装置204からRPLを使用できない装置202へのステートレスアドレス自動構成(stateless address autoconfiguration:SLAAC)アドレス割り当てを示す。初期状態では、RPLを使用可能な装置204は、近傍発見プロトコルルータ広告228を、RPLを使用できない装置202に提供する。近傍発見プロトコルルータ広告228は、RPLを使用可能な装置204によってDIO220から元々は受信されたネットワークプレフィックスを含む。近傍発見プロトコルルータ広告228は、安全な近傍発見(secure neighbor discovery:SEND)プロトコルを用いて、RPLを使用可能な装置204によって生成されてもよい。SENDプロトコルは、近傍発見プロトコルで使用されるパケットタイプのために、暗号学的に生成されたアドレスを使用してもよい。
【0030】
ネットワークプレフィックスを用いて、RPLを使用できない装置202は、それ自体のグローバルに一意のアドレス(GUA)を生成してもよい。RPLを使用できない装置202のためのGUAは、ネットワークプレフィックスと、RPLを使用できない装置202の組織的に一意の識別子(例えば、特定のハードウェアベンダー)と、RPLを使用できない装置202を一意的に識別する、RPLを使用できない装置202のインターフェース識別子(例えば、IP6CP交換214によってRPLを使用可能な装置204に提供されたインターフェース識別子)との組み合わせを含んでもよい。GUAは、RPLを使用可能なネットワーク206へのメッセージがRPLを使用できない装置202から発信されたことを識別するために、RPLを使用可能な装置204によって使用されてもよい。もう1つの実施例では、RPLを使用できない装置202がGUAを生成することに代えて、RPLを使用可能な装置204が、RPLを使用できない装置202からRPLを使用可能な装置204を介してルーティングされる通信に対して、GUAを一方向的に割り当ててもよい。そのような実施例では、RPLを使用できない装置202は、RPLを使用できない装置202から送信された通信に割り当てられたGUAを認識していなくてもよい。
【0031】
ブロック232において、RPLを使用できない装置202は、RPLを使用可能なネットワーク206にプロキシDAO234を送信するためのプロキシとしてRPLを使用可能な装置204を用いて、RPLを使用可能なネットワーク206に加入することができる。例えば、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用できない装置202のGUAと、GUAが外部装置から発信されたことの表示(例えばフラグ)とを有する、RPLを使用できない装置202のためのプロキシDAO234を生成する。RPLを使用可能なネットワーク206は、RPLを使用可能なネットワーク206によってプロキシDAO234が受信されたことを肯定応答するプロキシDAO肯定応答236を送信してもよい。一実施例では、ルートノード106は、RPLを使用可能な装置204からプロキシDAO234を受信し、RPLを使用可能な装置204にプロキシDAO肯定応答236を提供する。RPLを使用可能なネットワーク206にプロキシDAO234を提供することで、RPLを使用できない装置202をルーティングツリーに追加してもよい。RPLを使用できない装置202をルーティングツリーに追加することで、RPLを使用可能なネットワーク206が、RPLを使用可能な装置204を介してRPLを使用できない装置202にメッセージを直接的にルーティングする能力を提供する。
【0032】
RPLを使用可能な装置204を用いてRPLを使用可能なネットワーク206に加入したとき、RPLを使用できない装置202は、RPLを使用可能な装置204を介してRPLを使用可能なネットワーク206にIPv6通信をルーティングするために、IPv6トラフィックルーティング238に依存することができる。このように、RPLを使用できない装置202は、RPLを使用できない装置202にRPL有効化コードをインストールすることなく、RPLを使用可能なネットワーク206と通信しうる。上で議論したように、上述したRPL通信方式200と同様の方法で、境界ゲートウェイプロトコル(BGP)通信方式が実装されてもよい。
【0033】
上記ではRPLを使用できない装置202を1個の装置として説明したが、RPLを使用できない装置202は一連の装置であってもよい。例えば、RPLを使用できない装置202は、互いに異なるいくつかのデータ生成装置と通信する複数の物理的データポートを備えた装置であってもよい。さらに、RPLを使用できない複数の装置202の各々が、RPLを使用可能な装置204を介してRPLを使用可能なネットワーク206と通信することを表すために、RPLを使用可能な装置204からRPLを使用可能なネットワーク206に複数のプロキシDAOが伝送されてもよい。もう1つの実施例では、RPLを使用できない装置202は、複数のデータ生成装置と通信してもよいが、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用できない装置202のために1個のプロキシDAO234のみを、RPLを使用可能なネットワーク206に伝送してもよい。
【0034】
図3は、RPLを使用可能な装置204及びRPLを使用できない装置202の間においてポイントツーポイントプロトコル(PPP)接続を生成する処理300の例である。ブロック302において、処理300は、RPLを使用可能な装置204及びRPLを使用できない装置202の間においてリンク制御プロトコル(LCP)パケットを交換することを含む。LCPパケットを交換することで、RPLを使用可能な装置204及びRPLを使用できない装置202の間におけるPPP接続の元での未来のデータ送信の標準を決定してもよい。例えば、LCPパケット交換は、装置202及び204の間のリンク(例えばリンク116)を容認できるかを決定してもよい。
【0035】
ブロック304において、処理300は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間において認証処理を実行することを含む。認証処理はEAP-TLS相互認証処理212であってもよく、又は、認証処理は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間における相互認証が可能である他の任意の適切な認証処理であってもよい。EAP-TLS相互認証処理212は、例えば、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204により、装置202及び204の各々が真正であるか否かを評価するための機構を提供してもよい。EAPは、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204が独立かつ互いに認証することを可能にする4ウェイハンドシェイクであってもよい。TLSは、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204によって用いられる特定のタイプの認証である。
【0036】
EAP-TLS相互認証処理212、又は他の任意の適切な認証処理は、処理300におけるオプションのステップであってもよい。例えば、いくつかの装置202及び204は、EAP-TLSソフトウェアを有効化していなくてもよく、又は、2つの装置202及び204にわたる同じ認証処理を実行することができるソフトウェアを有効化していなくてもよい。そのような実施例では、処理300は認証処理なしで進んでもよい。
【0037】
ブロック306において、処理300は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間においてルーティングプロトコルを確立することを含む。装置202及び204の間のリンクを容認できると決定した後、及びオプションで、2つの装置202及び204を相互に認証した後で、装置202及び204の間で通信プロトコルが確立されてもよい。一実施例では、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間でIP6CP交換214が行われる。IP6CP交換214を行うことで、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用できない装置202のインターフェース識別子(すなわち、IPv6アドレスの下位64ビット)を認識するようになる。このように、IP6CP交換214は、RPLを使用できない装置202及びRPLを使用可能な装置204の間におけるPPPセッションにわたってIPv6通信を確立する。
【0038】
図4は、RPLを使用可能な装置204がRPLを使用可能なネットワーク206に加入する処理400の例である。1つ又は複数の実施例では、処理400は、上述した処理300の実行前、実行中、又は実行後に行われてもよい。ブロック402において、処理400は、RPLを使用可能な装置204からRPLを使用可能なネットワーク206にEBR218を送信することを含む。EBR218は、RPLを使用可能な装置204がRPLを使用可能なネットワーク206とのリンクを確立して加入したいという表示を、RPLを使用可能なネットワーク206に提供してもよい。一実施例では、EBR218は、RPLを使用可能なネットワーク206と通信するルートノード106によって受信されてもよい。
【0039】
ブロック404において、処理400は、RPLを使用可能な装置204において、RPLを使用可能なネットワーク206からDIO220を受信することを含む。DIO220は、RPLを使用可能なネットワーク206のネットワークプレフィックスを、RPLを使用可能な装置204に提供してもよい。さらに、DIO220は、ルートノード106によってRPLを使用可能なネットワーク206に送信されてもよい。一実施例では、DIO220は、DIO220を受信するノードが、潜在的なRPL接続を認識し、RPL接続の構成パラメータを認識し、DODAG親集合を選択し、DODAG経路を保持することを可能にする情報を伝送する。さらに、DIO220からネットワークプレフィックスを受信したとき、RPLを使用可能な装置204は、それ自体のGUAを確立してもよい。
【0040】
ブロック406において、処理400は、RPLを使用可能な装置204からRPLを使用可能なネットワーク206にDAO222を送信することを含む。DAO222は、DODAGに沿って上位に宛先情報を伝搬させるために使用されてもよい。さらに、ブロック408において、処理400は、RPLを使用可能な装置204において、RPLを使用可能なネットワーク206からDAO肯定応答224を受信することを含んでもよい。DAO肯定応答224は、RPLを使用可能なネットワーク206によってDAO222が受信されたことを肯定応答してもよい。DAO肯定応答224を受信したとき、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用可能なネットワーク206との通信リンクが確立されたことを保証されうる。
【0041】
処理400は、RPLプロトコルを用いてRPLを使用可能な装置204をRPLを使用可能なネットワーク206に加入させる場合について説明したが、異なるルーティングプロトコルが使用される場合、他の加入処理が使用されてもよい。例えば、Wi-SUNプロトコルが使用される場合、EBR218はPAN広告要請で置き換えられてもよい。他のルーティングプロトコル及び加入処理が使用されてもよい。
【0042】
図5は、RPLを使用できない装置202がRPLを使用可能な装置204を用いてRPLを使用可能なネットワーク206に加入する処理500の例である。ブロック502において、処理500は、RPLを使用可能な装置204からRPLを使用できない装置202にグローバルネットワークプレフィックスを送信することを含む。グローバルネットワークプレフィックスは、RPLを使用可能なネットワーク206のグローバネットワークプレフィックスであってもよく、RPLを使用可能な装置204によってDIO220において受信されてもよい。グローバルネットワークプレフィックスを受信したとき、RPLを使用可能な装置204は、近傍発見プロトコルルータ広告228を介して、グローバルネットワークプレフィックスを、RPLを使用できない装置202に提供してもよい。一実施例では、グローバルネットワークプレフィックスは、近傍発見プロトコルルータ広告228において、RPLを使用可能な装置204のグローバルに一意のアドレス(GUA)の一部として提供される。近傍発見プロトコルルータ広告228は、安全な近傍発見(SEND)プロトコルを用いて、RPLを使用可能な装置204によって生成されてもよい。SENDプロトコルは、近傍発見プロトコルで使用されるパケットタイプのために、暗号学的に生成されたアドレスを使用してもよい。
【0043】
ブロック504において、処理500は、RPLを使用できない装置202にGUAを割り当てることを含む。一実施例では、RPLを使用できない装置202は、グローバルネットワークプレフィックスを用いて、それ自体のGUAを生成してもよい。RPLを使用できない装置202のためのGUAは、グローバルネットワークプレフィックスと、RPLを使用できない装置202の組織的に一意の識別子(例えば、特定のハードウェアベンダーに関連付けられた識別子)と、RPLを使用できない装置202を一意的に識別する、RPLを使用できない装置202のインターフェース識別子(例えば、IP6CP交換214によってRPLを使用可能な装置204に提供されたインターフェース識別子)との組み合わせを含んでもよい。GUAは、RPLを使用可能な装置202からRPLを使用可能なネットワーク206に提供されるメッセージが、RPLを使用できない装置202から発信されたことを示すために、RPLを使用可能な装置204によって使用されてもよい。もう1つの実施例では、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用可能な装置204を介してRPLを使用できない装置202からRPLを使用可能なネットワーク206にルーティングされるすべての通信にGUAを一方向的に割り当ててもよい。
【0044】
ブロック506において、処理500は、RPLを使用可能な装置204からRPLを使用可能なネットワーク206にプロキシDAO234を送信することを含む。RPLを使用できない装置202は、RPLを使用可能なネットワーク206にプロキシDAO234を送信するプロキシとしてRPLを使用可能な装置204を用いて、RPLを使用可能なネットワーク206に加入することができる。例えば、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用できない装置202のGUAと、GUAが外部装置から発信されたことの表示(例えばフラグ)とを含む、RPLを使用できない装置202のためのプロキシDAO234を生成する。
【0045】
ブロック508において、処理500は、RPLを使用可能な装置204において、RPLを使用可能なネットワーク206からプロキシDAO肯定応答236を受信することを含む。プロキシDAO肯定応答236は、RPLを使用可能なネットワーク206によってプロキシDAO234が受信されたことを肯定応答する。一実施例では、ルートノード106は、ブロック506において、RPLを使用可能な装置204からプロキシDAO234を受信し、ブロック508において、RPLを使用可能な装置204にプロキシDAO肯定応答236を提供する。
【0046】
ブロック510において、処理500は、RPLを使用できない装置202からRPLを使用可能なネットワーク206へのトラフィックをルーティングすることを含む。例えば、プロキシDAO234を送信するためのプロキシとしてRPLを使用可能な装置204を用いてRPLを使用可能なネットワーク206に加入したとき、RPLを使用できない装置202は、RPLを使用可能な装置204を介してRPLを使用可能なネットワーク206にIPv6通信をルーティングするために、IPv6トラフィックルーティング238に依存することができる。このように、RPLを使用できない装置202は、RPLを使用できない装置202にRPL有効化コードをインストールすることに依存することなく、RPLを使用可能なネットワーク206と通信しうる。同様に、RPLを使用可能なネットワーク206からRPLを使用できない装置202へのトラフィックは、RPLを使用可能な装置204を介してRPLを使用できない装置202に直接的にルーティングされてもよい。このように、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用できない装置202にトラフィックがルーティングされるべきであるという表示を有するトラフィックを受信してもよく、それに応じて、RPLを使用可能な装置204は、RPLを使用できない装置202にトラフィックをルーティングしてもよい。上で議論したように、処理300、400、及び500のRPL通信方式と同様の方法で、境界ゲートウェイプロトコル(BGP)通信方式又はLOAD通信方式が実装されてもよい。
【0047】
図6は、メッシュネットワーク101のノード106、108、110、又は112の構成要素のブロック図の例である。計算システム600の構成要素の一部又はすべては、図1のノード106、108、110、及び112のうちの1つ又は複数に属してもよい。計算システム600は、1つ又は複数のメモリ装置614に通信可能に接続された1つ又は複数のプロセッサ602を含む。計算システム600は、図1図5に関して上述した動作のうちの1つ又は複数を実行するようにプロセッサ602を構成するプログラムコードを実行する。例えば、メモリ装置614は、計量アプリケーション616(例えば、ノード106、108、110、及び112が計量装置である場合)及び通信アプリケーション618を含んでもよい。計量アプリケーション616及び通信アプリケーション618のプログラムコードは、非一時的な、コンピュータにより実行可能な命令の形態をとることができ、このプログラムコードは、メモリ装置614又は任意の適切なコンピュータ可読媒体に存在することができ、プロセッサ602によって実行することができる。そのようなプログラムコードの実行は、ノード106、108、110、及び112に関して本願において説明した動作を実行するように1つ又は複数のプロセッサを構成するか、プロセッサに動作を実行させる。図6はメモリ装置614内に格納された計量アプリケーション616を示しているが、ノード106、108、110、及び112の他の動作に関連付けられた他のアプリケーションは、ノード106、108、110、及び112の機能に依存して、計量アプリケーション616を置き換えるか、計量アプリケーション616に追加されてもよい。さらに、通信アプリケーション618は、ノード106、108、110、及び112が、RPLルーティングプロトコル、PPPプロトコル、RFメッシュ、又は他の任意の有線又は無線通信標準を含む複数の通信標準を実装するための命令を提供してもよい。
【0048】
一実施例では、RPLを使用できないノード110と、RPLを使用可能なノード106、108、又は112とは、計算システム600で示すように、同様のハードウェア構造物を共用してもよい。RPLを使用可能なノード106、108、又は112の通信アプリケーション618は、上述したRPLプロトコルを定義するプログラミングコードを含む。対照的に、RPLを使用できないノード110の通信アプリケーション618は、RPLプロトコルを定義するプログラミングコードをもたない。従って、RPLを使用できないノード110の通信アプリケーション618は、RPLを使用できないノード110及びRPLを使用可能なネットワーク206の間におけるデータルーティングに必要とされるRPLプロトコルを提供するために、RPLを使用可能なノード106、108、又は112の通信アプリケーション618に依存してもよい。
【0049】
計算システム600は、入力装置から入力を受けることができる、又は、出力装置に出力を提供することができる、入力/出力(「I/O」)インターフェース608を含んでもよい。インターフェース608は、メッシュネットワーク101における他のノードからのRF通信を送受信することができるRFアンテナを含んでもよい。計算システム600は、インターフェース608を用いて、1つ又は複数の他の計算装置又はコンピュータ可読データソースと通信可能であってもよい。さらに、計算システム600はバス606を含んでもよい。バス606は、計算システム600の1つ又は複数の構成要素を通信可能に接続し、そのような構成要素間の通信を可能にすることができる。
【0050】
全体考察
特許請求の範囲に記載された主題についての詳細な理解を提供するために、本明細書において多数の特定の詳細事項を述べている。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲に記載された主題がこれらの特定の詳細事項なしで実施されてもよいことを理解するであろう。他の例では、特許請求の範囲に記載された主題を不明瞭にしないように、通常の技術を有する者によって知られるであろう方法、装置、又はシステムについては詳述していない。
【0051】
本願において議論した特徴は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。計算装置は、1つ又は複数の入力を条件とした結果を提供する構成要素からなる任意の適切な装置を含んでもよい。適切な計算装置は、格納されたソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリ上に格納されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的のマイクロプロセッサに基づくコンピュータシステムを含み、このソフトウェアは、汎用の計算装置から本願の主題の1つ又は複数の態様を実装する特別な計算装置になるように計算システムをプログラミング又は構成する。計算装置のプログラミング又は構成に使用されるソフトウェアにおいて、本願に含まれる開示内容を実装するために、任意の適切なプログラミング、スクリプティング、他のタイプの言語、又は言語の組み合わせが使用されてもよい。
【0052】
本願において開示した方法の態様は、そのような計算装置の動作において実行されてもよい。上述の実施例において提示したブロックの順序は変更されてもよく、例えば、ブロックが並べかえられてもよく、組み合わされてもよく、及び/又はサブブロックに分割されてもよい。所定の複数のブロック又は複数の処理を並列に実行してもよい。
【0053】
本願における「~ように適応化される」又は「~ように構成される」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適応化又は構成された装置を除外しない、オープンかつ包括的な用語を意図している。さらに、「~に基づく」の使用は、記載された1つ又は複数の条件又は値「に基づく」処理、ステップ、計算、又は他の動作が、実際に、記載したものを越える追加の条件又は値に基づいてもよいという点で、オープンかつ包括的であることを意図している。本願に含まれた見出し、リスト、及び番号は、説明の簡単化のみを目的とし、限定を意図していない。
【0054】
本願の主題をその特定の態様に関して詳述したが、当業者は、上述したことを理解することにより、そのような態様の変更、変形、及び等価物を容易に作成しうることが認識されるであろう。従って、本開示が限定ではなく例示の目的で提示され、当業者に容易に明らかになるように、本願の主題に係るそのような変更、変形、及び/又は追加を含むことを除外しないことは理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6