(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】血管造影画像選択のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240805BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240805BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240805BHJP
【FI】
A61B6/46 506Z
A61B6/00 535
A61B6/50 500B
A61B6/50 511E
(21)【出願番号】P 2021558763
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 IB2020052879
(87)【国際公開番号】W WO2020201942
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-23
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518406987
【氏名又は名称】キャスワークス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ラビ、ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ラビ、イファト
(72)【発明者】
【氏名】ジュラン、マイケル イー
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503416(JP,A)
【文献】特開2002-000589(JP,A)
【文献】特開2004-329729(JP,A)
【文献】特開2001-104295(JP,A)
【文献】特開2014-061268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0371578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の血管造影画像を受け取ること、
血管系の血管モデルを受け取ること、
前記血管モデルの対象部分の選択を受け取ること、
前記対象部分について複数の視る角度
それぞれの費用関数値を定める視る角度の費用関数であって、
前記複数の視る角度に対応する複数の前記費用関数値が、
所定の費用関数閾値の第1の低コスト側に
位置する費用関数値の第1の集合と、
前記費用関数閾値の第2の高コスト側に
位置する費用関数値の第2の集合を含
み、
第1の平面の中での回転を規定する第1の角度軸回りの角度のオフセットに起因して短縮することに課すペナルティーを、前記第1の平面に垂直な第2の平面の中での回転を規定する第2の角度軸回りの角度のオフセットに起因して短縮することに課すペナルティーより軽減する、視る角度の費用関数を
処理装置が自動的に決定すること、
前記費用関数閾値の第1の低コスト側に位置する費用関数値を有する視る角度に対応する
複数の血管造影画像の中から目標の血管造影画像を識別するこ
と、
前記目標の血管造影画像を選択すること、および
前記選択された画像を表示すること、
を備え
る血管造影画像を選択する方法。
【請求項2】
前記選択された画像の前記視る角度の前記費用関数値
と前記費用関数閾値との差より前記費用関数閾値から
の差が小さく、かつ、前記費用関数閾値の前記第2の高コスト側にあ
る費用関数値を有する視る角度の
範囲の大きさは、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にある視る角度の
範囲の大きさ
以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択された画像の前記視る角度の前記費用関数値
と前記費用関数閾値との差より前記費用関数閾値からの差が小さく、かつ、前記費用関数閾値の前記第2の高コスト側にあ
る費用関数値を有する角度の
範囲は、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にある角度の
範囲の2
倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択された画像の視る角度は、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にある前記視る角度の費用関数の局所最小
値に対応する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記選択された画像の前記視る角度の前記視る角度の費用関数値は、前記視る角度の費用関数の局所最小値のそれぞれからの
差が同じ値の範囲内にあり、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にとどまる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記選択された画像の前記視る角度は、前記視る角度の費用関数の局所最小値を有する視る角度それぞれからの角度が同じ値の範囲内であり、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にとどまる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記選択された画像の視る角
度を選択すること、および、
前記選択した視る角度を
表示すること、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された画像
の視る角度に近く、前記選択された画像の前記視る角度からオフセットし
た視る角度を選択すること
、および、
前記選択した視る角度を表示すること、
をさらに含み、
前記オフセットの大きさに従って
コストが増大するように修正された視る角度
の費用関数に従って、前
記視る角度が選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記選択することはまた、前記画像に示される
血管の特性に基づ
き、
前記特性は、病変、狭窄、分岐および湾曲の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記
特性は、前記血管モデルによってモデル化された前記血管系を満たすコントラストの程度である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記選択することはまた、前記選択された画像と同じ心拍位相で記録されたさらなる血管造影画像
との整合度合に基づく、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記選択することはまた、前記選択された画像
を含む心拍周期に記録されたさらなる画像
に示される血管に挿入されたステントの動きに基づく、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された画像および前記さらなる画像は合わせて血管
造影動画を構成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象部分は、長手方向の軸を規定する血管のセグメントを構成し、前記第1の平面は前記血管のセグメントに垂直である、請求項
1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の角度軸
回りの前記視る角度の前記費用関数の
値は、前記第2の角度軸
回りの前記視る角度の前記費用関数の
値域内の値を有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項16】
前記視る角度の費用関数は、前記対象部分と前記血管モデルの他の部分との視重複(view overlap)が増加するにつれてコストが増加するように算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記視る角度の費用関数は、視る角度が
前記対象部分を含む血管の機能が低下している前記血管モデルの範囲をより明瞭に示すにつれてコストが減少するように算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記血管の機能の低下は、
前記対象部分を含む前記血管モデルの複数の部分について算出されたFFR値に基づいて規定される、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記範囲をより明瞭に示すことは、前記範囲と前記血管モデルの構造との重複を削減させること、および、前記範囲の短縮することを削減させること、の1つ以上を備える、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記視る角度の費用関数を決定することは
、血管系が広がる表面を表す
モデルである外皮を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記外皮は実質的に卵形の表面を備える、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記卵形の表面は、前記卵形の幾何学的中心
を通る平面において中心角が少なくとも135°で互いに分離している前記血管モデルの部分の間で定義される、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記血管モデルで形作られる血管系は、心臓動脈の血管系の部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記視る角度の費用関数は、視る角度が前記対象部分に含まれる血管の機能が低下している前記血管モデルの範囲をより明瞭に示すにつれてコストが減少するように算出され、
前記血管の機能の低下は、前記対象部分に含まれる前記血管モデルの複数の部分について算出されたFFR値に基づいて規定され、
前記血管系のFFRを計算するために、前記血管モデルとともに前記選択された画像を使用することをさらに含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法を実行するように設計されたプロセッサとメモリ。
【請求項26】
前記視る角度の費用関数は、前記対象部分の短縮
することに対する第1の加重と、前記対象部分に関する血管系
が重なって見えることに対する第2の加重を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部の実施の形態において、医療用の画像化の分野に関し、とりわけ、血管造影画像選択のための医療画像化パラメータを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈狭窄は動脈疾患の極めて重大な形態の1つである。臨床の実務では、狭窄の重大さは、狭窄の直径割合の決定のような単純な幾何学的パラメータ、または、圧力に基づく心筋血流予備量比(Fractional Flow Reserve:FFR)のような血行力学に基づくパラメータの測定を用いて見積もられる。FFRは心臓の狭窄の機能的重要性の測定法である。FFR 測定法は、狭窄の範囲の最大血流と、狭窄が除去されたと仮定した同じ範囲の最大血流との比を表す。初期の研究では、FFR<0.75は虚血の間違いない前兆であり、心臓の病変への経皮の介入による FFR≧0.75の猶予は安全に見えることが示されている。
【0003】
一部の実例では、FFRは、対象の冠状動脈または血管系について異なる角度で記録された複数の2次元(2-D)血管造影画像を用いてモデル化されている。血管の広がりに沿った2-D次元の座標系、曲率、および他の特性を決定するために、血管造影画像が分析される。それらは、3次元(3-D)座標系(またはモデル)を生成するために用いられる。しばしば臨床家は、3-Dモデル上の特定の位置に関係する1以上の血管造影画像を見たいと要望するだろう。現在のところ臨床家は、所望の図を見いだすために手動で血管造影画像を再調査しなければならない。誰にも理解できるように、この手動の再調査には時間がかかり、特に患者がまだ治療を受けている場合には能率が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FFR分析ののち臨床家は、患者の血管系部分の狭窄または病変の位置にステントを挿入することによって治療を行うだろう。挿入位置が適切であることを確かめるために、臨床家によって、1以上の追加の血管造影画像が記録され再調査される。挿入したステント、管の重複または障害物を最小の短縮法で明瞭に示す画像を得るために、概して臨床家は血管系について1以上の角度を手動で決定しなければならない。一部の実例では、一度の血管造影画像のセットが挿入したステントを明瞭に示さない場合、臨床家は2度目の血管造影画像のセットを記録する必要があるかもしれない。このような手動の処置は能率が悪く、時間の浪費であり、治療を受けている患者に問題の及ぶ可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに開示されている例示のシステム、方法および装置は、血管造影画像を視る角度の自動計算および/または選択に関する。視る角度は、患者の冠状動脈の部分のような関心の特定の対象部分が、画像にいかに明瞭に現れるかに影響を及ぼす。例えば、短縮法および/または映された他の特徴との重複は、測定および/または検証(例えば、ステントが十分に展開されているかどうかの検査)を妨げる。
【0006】
開示の一部の実施の形態の側面は、基準に従った視る角度の評価に基づく、複数の可能な画像の中からの利用可能な(既存の)画像の選択に関わる。例えば、画像の選択は、短縮法および/または画像中の重複を全体として最小にする。加えてまたは代わりに、特定の1以上の目標を視認するために1つの画像が選択されてもよい。血管の測定法の分野では、“短縮法”は一般に、血管が映される方向である視る角度に垂直でない方向に沿って、血管の長手方向の広がりが置かれるように血管が回転されることによって、画像中の血管の長手方向の寸法が見かけ上短くなることをいう。
【0007】
血管の実質的な放射相称は、一般的に言って、任意の3-D物体を映すのに伴って起こる深さの短縮法が、概して血管の放射断面には少ししか影響しないことを意味するのは注目される。円形断面の血管は、どの方向にも実質同じ半径を有するように見える。というのは、断面の1つの次元をゆがめる視る角度が、概して他の次元を視る角度に垂直な直線に配置するからである。
【0008】
血管はその他の特徴である長手方向または測定に関する他の軸を有するだろう。“短縮法”の用語は、ときには、そのような軸の見かけの長さが短くなることにも適用される。(例えば、多くの異なる方向に広がる血管の部分の集合への)短縮法の長さの集計は、血管の部分に個別に引き起こされる短縮法の距離を平均することもしくは重み付けすることによって生成されるか、または別の方法で計算される。
【0009】
開示の一部の実施の形態に係る側面は、対象について短縮法を最小にするための視る角度の選択における外皮表面の使用に関わる。
【0010】
本開示の一部の実施の形態によれば、既存の血管造影画像から選択する方法が与えられる。その方法は、複数の血管造影画像を取得すること、血管モデルまたは血管系を取得すること、および、血管モデルにおける対象部分の選択を取得することを含む。その方法はまた、対象部分について複数の視る角度の費用関数値を定める視る角度の費用関数を規定することを含む。費用関数値は、第1に費用関数閾値の低コスト側に置かれる費用関数値の第1の集合と、第2に費用関数閾値の高コスト側に置かれる費用関数値の第2の集合を含む。方法はさらに、複数の血管造影画像の中から、血管モデルに適用される視る角度の費用関数を用いて、費用関数閾値の低コスト側に置かれる費用関数値を有する視る角度に対応する血管造影画像を特定することによって、1つの血管造影画像を選択することを含む。その上、方法は、選択された画像を表示することを含む。
【0011】
一部の実施の形態では、選択された画像の視る角度の費用関数値より費用関数閾値からの差が小さく、かつ、費用関数閾値の高コスト側の第2の費用関数値を有する視る角度の集合は、費用関数閾値の低コスト側の第1の視る角度の集合と少なくとも同じ大きさである。
【0012】
一部の実施の形態では、選択された画像の視る角度の費用関数値より費用関数閾値からの差が小さく、かつ、費用関数閾値の高コスト側の第2の費用関数値を有する角度の集合は、費用関数閾値の低コスト側の第1の角度の集合の2倍の大きさである。
【0013】
一部の実施の形態では、選択された画像の視る角度は、費用関数閾値の低コスト側の第1の、視る角度の費用関数の局所最小値それぞれに対応する。
【0014】
一部の実施の形態では、選択された画像の視る角度の費用関数値は、視る角度の費用関数の局所最小値のそれぞれから同じ距離内にあり、費用関数閾値の低コスト側の第1の集合にとどまる。
【0015】
一部の実施の形態では、選択された画像の視る角度は、視る角度の費用関数の局所最小値を有する視る角度それぞれから同じ角度範囲内であり、費用関数閾値の低コスト側の第1の集合にとどまる。
【0016】
一部の実施の形態では、方法はさらに、選択された画像の視る角度に対応する視る角度を選択すること、および、選択した視る角度を用いる新しい画像を取得することを含む。
【0017】
一部の実施の形態では、方法はさらに、選択された画像の視る角度に近く、選択された画像の視る角度からオフセットした、撮像の視る角度を選択することを含む。この実施の形態では、オフセットの大きさに従ってコストが増大するように修正された視る角度の修正費用関数に従って、撮像の視る角度が選択される。
【0018】
一部の実施の形態では、選択することは画像に示される特徴の特性に基づく。
【0019】
一部の実施の形態では、特徴は、血管モデルによってモデル化された血管系を満たすコントラストの段階である。
【0020】
一部の実施の形態では、選択することはまた、選択された画像と同じ心拍位相で記録されたさらなる血管造影画像の有用性に基づいて、行われる。
【0021】
一部の実施の形態では、選択することはまた、選択された画像の所定の期間に記録されたさらなる画像の有用性に基づいて、行われる。
【0022】
一部の実施の形態では、選択された画像およびさらなる画像は合わせて血管撮影映画を構成する。
【0023】
一部の実施の形態では、視る角度の費用関数は、第1の平面の中での回転を規定する第1の角度軸に沿ったオフセットに起因する短縮法のペナルティーを、第1の平面に垂直な第2の平面の中での回転を規定する第2の角度軸に沿ったオフセットに起因する短縮法のペナルティーより軽減する。
【0024】
一部の実施の形態では、対象部分は、血管の長手方向の軸を規定するセグメントを構成し、第1の平面は当該血管のセグメントに垂直である。
【0025】
一部の実施の形態では、第1の角度軸に沿った費用関数の領域は、第2の角度軸に沿った費用関数の領域の値の範囲内の値を有する。
【0026】
一部の実施の形態では、視る角度の費用関数は、対象部分の短縮法を最小にする対象部分に垂直な方向に基づいて規定され、当該垂直な方向からのオフセット角度は短縮法を増大させる。
【0027】
一部の実施の形態では、視る角度の費用関数は、視野の、対象部分と血管モデルの他の部分との重複が増加するにつれて、増加するコストに算出される。
【0028】
一部の実施の形態では、視る角度の費用関数は、視る角度が、低下した血管の機能をより明瞭に血管モデルの範囲を示すにつれて、減少するコストに算出される。
【0029】
一部の実施の形態では、血管の機能の低下は、血管モデルの部分について算出されたFFR値に基づいて規定される。
【0030】
一部の実施の形態では、範囲をより明瞭に示すことは、範囲と血管モデルの構造との重複を削減させること、および、範囲の短縮法を削減させること、の1つ以上を備える。
【0031】
一部の実施の形態では、対象部分は血管の病変を含む。
【0032】
一部の実施の形態では、血管の病変は、血管の分岐点で分離された血管の複数のセグメントに分散している。
【0033】
一部の実施の形態では、対象部分は、血管の病変の位置によって識別される血管の複数の分岐を含む。
【0034】
一部の実施の形態では、血管モデルは、動脈の血管系を形作り、血管の分岐は血管の病変の下流の分岐である。
【0035】
一部の実施の形態では、対象部分は、第一の対象と第二の対象を含む。
【0036】
一部の実施の形態では、対象部分は、血管のステントを含む。
【0037】
一部の実施の形態では、視る角度の費用関数を決定することは、それに亘って血管系が広がる表面を表す外皮を計算することを含む。
【0038】
一部の実施の形態では、外皮は実質的に卵形の表面を備える。
【0039】
一部の実施の形態では、卵形の表面は、卵形の幾何学的中心に関して少なくとも135°で互いに分離している血管モデルの部分の間で定義される。
【0040】
一部の実施の形態では、血管モデルで形作られる血管系は、心臓動脈の血管系の部分を含む。
【0041】
本開示の一部の実施の形態に従って、上述の方法を実行するように設計されたプロセッサとメモリが提供される。
【0042】
本開示の一部の実施の形態に従って、血管系の血管モデルを受け取ること、血管モデルの対象部分の選択を受け取ること、および、対象部分を映す視る角度を決定すること、を含む、画像の視る角度を選択する方法が提供される。方法はさらに、対象部分の撮像に用いる視る角度を提供することを含む。開示される方法では、視る角度を決定することは、それに亘って血管系が広がる表面を表す外皮を計算すること、および、対象部分が広がる表面部分で外皮に垂直な方向を決定すること、を含む。
【0043】
一部の実施の形態では、外皮は、実質的に卵形の表面を備える。
【0044】
一部の実施の形態では、卵形の表面は、卵形の幾何学的中心に関して少なくとも135°で互いに分離している血管モデルの部分の間で定義される。
【0045】
本開示の一部の実施の形態に従って、血管系の血管モデルを受け取ること、血管モデルの対象部分を選択すること、および、対象部分を映す視る角度を決定すること、を含む、画像の視る角度を選択する方法が提供される。方法はさらに、対象部分の撮像に用いる視る角度を提供することを含む。開示される方法では、視る角度を決定することは、対象部分の短縮法を2つの垂直な角度の軸で異なって重み付ける、費用関数を評価することを含む。提供される視る角度は、2つの垂直な軸の少なくとも1つで対象部分を短縮法で描く。
【0046】
一部の実施の形態では、短縮法は、対象部分の視る角度に依存する撮像長さの短縮を含み、撮像長さは対象部分の縦軸に沿って延び、撮像長さは対象部分の縦軸に沿った実際の長さに比例して短縮される。
【0047】
本開示の一部の実施の形態に従って、血管系の血管モデルを受け取ること、血管モデルの対象部分の選択を受け取ること、および、対象部分を見る視る角度を決定すること、を含む画像の視る角度を選択する方法が提供される。方法はさらに、対象部分の撮像に用いる視る角度を提供することを含む。開示される方法では、視る角度を決定することは、対象部分が広がる面の対象の部分に垂直な方向を決定すること、および、垂直な方向を有する角度軸を含む平面を選択することを含み、角度軸は、当該平面の範囲内から見たときに対象部分の縦軸の短縮法が最小になる。提供される視る角度は、平面の範囲に垂直な方向からオフセットし、視る角度からは、血管モデルの他の部分との対象部分の重なりが除去される。
【0048】
一部の実施の形態では、提供される視る角度は、垂直な方向から最小の距離、オフセットし、視る角度からは、血管モデルの他の部分との対象部分の重なりが除去される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本開示の一部の実施の形態は、付随する図面を参照して、ほんの例示として記載される。図面への具体的な詳しい言及は、例として示される事項であって、本開示の実施の形態の例証を説明する目的であることが強調される。この点で、図面に合わせた叙述は、本開示の実施の形態がいかに実現されるかを、当業者に明らかにする。
【0050】
【
図1A】本開示の一部の実施の形態に係る、複数の画像の中から、対象の利用できる最適な視る角度から得られる、1つの画像を選択する方法の概略フローチャートである。
【
図1B】本開示の一部の実施の形態に係る、撮像に用いるための対象の利用できる最適な視る角度を選択する方法の概略フローチャートである。
【
図1C】本開示の一部の実施の形態に係る、最適な可能な画像角度、および/または、撮像に用いる角度、の選択に費用関数を考慮する方法の概略フローチャートである。
【
図2A】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系の3-D広がりを示す概略図である。
【
図2B】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系の3-D広がりを示す概略図である。
【
図3】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系の広がりの少なくとも一部に沿って広がる3-D外皮を示す概略図である。
【
図4A】本開示の一部の実施の形態に係る、血管の対象部分の近くで外皮に接する平面にほぼ平行に広がる平面の例を示す概略図である。
【
図4B】本開示の一部の実施の形態に係る、血管の対象部分の近くで外皮に接する平面にほぼ平行に広がる平面の例を示す概略図である。
【
図5A】本開示の一部の実施の形態に係る、射線に沿って位置する画像視点の重複条件を示す概略図である。
【
図5B】本開示の一部の実施の形態に係る、画像視点の重複条件を軽減する方法を示す概略図である。
【
図5C】本開示の一部の実施の形態に係る、画像視点の重複条件を軽減する方法を示す概略図である。
【
図5D】本開示の一部の実施の形態に係る、画像視点の重複条件を軽減する方法を示す概略図である。
【
図5E】本開示の一部の実施の形態に係る、
図5B-5Dの方法の概略フローチャートである。
【
図5F】本開示の一部の実施の形態に係る、3-Dモデルの2-Dへの射影の中の重複を検出する方法の概要を記述するフローチャートである。
【
図6A】本開示の一部の実施の形態に係る、短縮法の効果への角度変化の非線形効果を示す概略図である。
【
図6B】本開示の一部の実施の形態に係る、角度の関数としての非線形費用関数を示す概略図である。
【
図6C】本開示の一部の実施の形態に係る、角度の関数としての非線形費用関数を示す概略図である。
【
図7】本開示の一部の実施の形態に係る、視る角度を決定するために連続的に定義される費用関数を示す概略図である。
【
図8】本開示の一部の実施の形態に係る、角度軸の費用関数を示す概略図であり、費用関数は、対象部分のビューを不明瞭にしがちな重複の位置に関連するコスト極大を含む。
【
図9A】本開示の一部の実施の形態に係る、対象部分と干渉する部分との重複に起因する2角度軸費用関数への効果と、視る角度と重複調整された費用関数に従う画像の選択を示す概略図である。
【
図9B】本開示の一部の実施の形態に係る、対象部分と干渉する部分との重複に起因する2角度軸費用関数への効果と、視る角度と重複調整された費用関数に従う画像の選択を示す概略図である。
【
図10A】本開示の一部の実施の形態に係る、単一の血管の外面の部分を含む、対象部分の例を示す概略図である。
【
図10B】本開示の一部の実施の形態に係る、単一の血管の外面の部分を含む、対象部分の例を示す概略図である。
【
図11A】本開示の一部の実施の形態に係る、個別に計算される費用関数の結合使用を示す概略図である。
【
図11B】本開示の一部の実施の形態に係る、個別に計算される費用関数の結合使用を示す概略図である。
【
図11C】本開示の一部の実施の形態に係る、個別に計算される費用関数の結合使用を示す概略図である。
【
図12A】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系モデルと関連する3-D血管撮影図を示す概略図である。
【
図12B】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系モデルと関連する3-D血管撮影図を示す概略図である。
【
図12C】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系モデルと関連する3-D血管撮影図を示す概略図である。
【
図12D】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系モデルと関連する3-D血管撮影図を示す概略図である。
【
図12E】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系モデルと関連する3-D血管撮影図を示す概略図である。
【
図12F】本開示の一部の実施の形態に係る、血管系モデルと関連する3-D血管撮影図を示す概略図である。
【
図13A】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図13B】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図13C】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図13D】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図13E】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図13F】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図13G】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図13H】本開示の一部の実施の形態に係る、造影剤を用いて、または用いないで得られた3-D血管造影画像の例を示す図である。
【
図14】本開示の一部の実施の形態に係る、視る角度の選択を実行するよう構成されたシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、一部の実施の形態において、医療の画像化の分野に関し、とりわけ、医療画像化パラメータを決定する方法に関する。
【0052】
特に定義されない限り、技術的および/または科学的な用語は、ここでは、本開示に関係する技術の通常の技術者に共通に理解されるのと同じ意味を有する。ここに記述されるのと同一のまたは同等の方法および題材は、本開示の実施の形態の操作または試験に用いられるが、例示の方法および/または題材が以下に記載される。混乱を生じる場合は、特許明細書が、定義を含めて統制する。加えて、題材、方法および例は、単なる例示であって、必然的に制限されるべきではない。
【0053】
この分野の技術者に理解されるように、本開示の側面は、システム、方法、装置、および/または、コンピュータプログラム製造物として実施されてよい。したがって、本開示の側面は、完全に実施の形態のハードウェア、完全に実施の形態の(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)ソフトウェア、または、“回路”、“モジュール”もしくは“システム”(例えば、方法は“コンピュータ回路”を用いて実行されてもよい)として広く一般に言及される実施の形態のソフトウェアとハードウェアの組み合わせの側面、の形を取り得る。さらに、本開示の一部の実施の形態は、コンピュータに組入れられるコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを有する1以上のコンピュータ読み取り可能な媒体の形をとってもよい。本開示の一部の実施の形態の方法および/またはシステムの実施は、選択されたタスクの手動もしくは自動、またはそれらの組み合わせで、実行および/または達成を伴うことができる。その上、本開示の方法および/またはシステムの一部の実施の形態の、実際の使用および装備に従って、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェアもしくはファームウェア、および/またはそれらの結合、例えばオペレーティングシステムの使用、によって実行されてもよい。
【0054】
例えば、本開示の一部の実施の形態に従って選択されたタスクを行うハードウェアは、チップまたは回路として実装されるかもしれない。ソフトウェアとしては、本開示の一部の実施の形態に従って選択されたタスクは、適切なオペレーティングシステムのどれかを使用するコンピュータによって実行される、複数のソフトウェア命令として実施されるかもしれない。本開示の一部の実施の形態では、方法および/またはシステムで実行される1以上のタスクは、複数の命令を実行するコンピュータプラットフォームのような、データプロセッサ(ここではまた“ディジタルプロセッサ”として引用される)によって実行される。任意に、データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶する揮発性メモリ、ならびに/あるいは、命令および/またはデータを記憶する不揮発性記憶装置、例えば、磁気ハードディスク、および/または、取り外し可能な媒体を含む。選択として同様に、ネットワーク接続が備えられる。ディスプレイ、および/または、キーボードまたはマウスのようなユーザ入力装置が、任意に備えられる。これらの手段はいずれも、ここでは、コンピュータ回路の例としてより広く引用される。
【0055】
1以上のコンピュータ読み取り可能な媒体の任意の組み合わせは、本開示の一部の実施の形態のために利用される。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体でもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、限定されることなく例えば、電子、磁気、光、電磁気、赤外線もしくは半導体のシステム、装置、または、デバイス、あるいは、それらの任意のふさわしい組み合わせでもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体のより詳しい例(網羅的ではないリスト)は、以下を含む:1以上の電線を有する電気接続、可搬型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、イレーザブル・プログラマブル・リードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または、それらの任意の組み合わせ。この開示のコンテクストでは、コンピュータ読み取り可能な媒体は、プログラムを含むまたは記憶する、命令実行システム、装置もしくはデバイスによる、または、と共同の使用のための、プログラムを含むもしくは記憶する任意の実体的な媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体はまた、そのようなプログラムに使用される情報、例えば、1以上のテーブル、リスト、配列、データツリー、および/または他のデータ構造としてコンピュータプログラムがアクセス可能な、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって記録される仕方で構造化された情報、を含むまたは記憶してもよい。ここで、ディジタルビットのグループとして取り戻せる形で、データを記録するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、また、ディジタルメモリとり引用される。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、一部の実施の形態ではまた、本質的に読み出し専用でない、および/または、読み出し専用の状態に置かれたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の場合、コンピュータ書き込み可能な記憶媒体として、任意に使用される。
【0056】
ここに提供されるように、データプロセッサは、命令および/またはデータを受け取り、処理し、および/または処理した結果を同じまたは他のコンピュータ読み取り可能な記憶メモリに記憶するために、コンピュータ読み取り可能なメモリに結合される限りでは、所定のデータ処理動作を実行するように“構成された”と称する。(任意にデータに)実行される処理は、命令で規定される。処理の動作は、加えてまたは代わりに、1以上の他の用語で引用される。例えば、比較、評価、決定、計算、認定、結合、記憶、分析、選択、および/または、変換である。例えば、一部の実施の形態では、ディジタルプロセッサは、ディジタルメモリから命令およびデータを受け取り、命令に従ってデータを処理し、および/または、処理した結果をディジタルメモリに記憶する。一部の実施の形態では、処理した結果を“供給すること”は、処理した結果を伝えること、記憶すること、および/または、提示することの1つ以上を含む。提示することは、任意に、ディスプレイに表示すること、音で表示すること、プリンタで印刷すること、さもなければ、人の感覚能力に通用する形で結果を供給することである。
【0057】
コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを表現する、例えば、ベースバンドまたは搬送波の部分として伝播されるデータ信号を含む。そのような伝播される信号は、限定されることなく、電磁、光、またはそれらの任意の適した結合を含むさまざまな形をとりうる。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置またはデバイスによって、または、それらに結合して使用するためのプログラムを通信し、伝播し、または、輸送できる、任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってよい。
【0058】
コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれる、コンピュータで使用されるプログラムコードおよび/またはデータは、限定されることなく、無線、有線、光ファイバーケーブル、電波、その他、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含む、任意のふさわしい媒体を用いて送信されてもよい。
【0059】
本開示の一部の実施の形態のための操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向言語、および、“C”言語または類似のプログラミング言語のような伝統的な手続型プログラミング言語を含む、1以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてよい。プログラムコードは、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、もっぱらユーザコンピュータで、部分的にユーザコンピュータで、部分的にユーザコンピュータかつ部分的にリモートコンピュータで、または、もっぱらリモートコンピュータもしくはサーバで、実行されるかもしれない。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む、任意のタイプのネットワークを通じてユーザコンピュータに接続されてもよい。あるいは、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを通じて)外部のコンピュータで接続がなされてもよい。
【0060】
本開示の一部の実施の形態は、本開示の実施の形態に従った方法、装置(システム)、および/またはコンピュータプログラム製造物の、フローチャート例および/またはブロックダイヤグラムを参照して記述されるかもしれない。フローチャート例および/またはブロックダイヤグラムの各ブロック、ならびにフローチャート例および/またはブロックダイヤグラムのブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施されることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を製造するために、命令がコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行され、フローチャートおよび/またはブロックダイヤグラムのブロックもしくはブロックの組で規定される機能/動作を実行する手段を生成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または、他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに供給されてもよい。
【0061】
これらのコンピュータプログラム命令は、また、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスを特定の方法で機能させるために、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶された命令が、フローチャートおよび/またはブロックダイヤグラムのブロックもしくはブロックの組で規定される機能/動作を実行する命令を含む製造物を生成するように、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。
【0062】
コンピュータプログラム命令は、また、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または、他のデバイスで実行される一連の演算ステップを引き起こすために、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または、他のデバイスにロードされてもよい。コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置で実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロックダイヤグラムのブロックもしくはブロックの組で規定される機能/動作を実現するための処理を供給するような、コンピュータに実装された処理を生成する。
【0063】
概観
開示の一部の実施の形態の側面は、血管造影画像のために視る角度の自動計算、および/または、自動選択に関する。
【0064】
視る角度は、関心の特定の対象部分が画像中にいかに明瞭に現れるかに影響する。例えば、短縮法および/または映された他の特徴との重複は、測定および/または検証(例えば、ステントが十分に展開しているかどうかの検査)を妨げうる。対象部分はまた、主要な関心の部分(例えば、病変、病変の疑い、および/または、挿入されたステントの位置)、および二次的な関心の部分(例えば、病変、病変の疑い、および/または、挿入されたステントの下流の動脈血管系)に関係する。例えば、2つに分かれた血管の支流における病変のように、対象部分は複数であり得る。
【0065】
さらに、コスト、リスク、および資源の使用は、血管造影画像の視る角度の選択によって影響を被りうる。例えば、以下の一つ以上が当てはまりうる。
・患者への放射線被爆は最小化されるべきであり、撮像の良好な視る角度を探すための試行錯誤はその相補的な指標である。
・血管造影法が補助であるかもしれない手術のための処置時間が、好ましくは最小になり、この場合もやはり、試行錯誤を思いとどまらせる。
・造影剤の注入のような血管造影法に関連する活動は、処置の間の繰り返し回数が実質的に制限されることがある。初めに最適な角度から撮影することが繰り返しを省く。
・血管造影法に関係する処置が複雑になるかもしれない。その結果、視る角度の手動の選択は、(たとえ複数回の試行を避けたとしても)注意の追加の負荷および/または職員数の要求を表す。
・処置の間にすでに撮られた複数の画像に、最適なまたは最適に近い視る角度からの関心の特徴を示す画像があり得る。しかし、処置の間にその画像を特定し選択するために注意を払うことは、もしかすると人間の時間と資源の消耗である。
・新しい画像に対して、その視る角度を既存の画像に合わせる根拠、例えば、先の画像の中の特徴に関して、新しい画像の特徴の配置/向きを合わせることの助け、になることがあるかもしれない。先の画像に潜在する、視る角度のテンプレートとして供給するのに良好な、および/または、最も適合する画像を特定し選択することは、もしかすると人間の時間と資源の消耗である。
【0066】
一部の実施の形態では、1つの画像で1以上の対象を視るための、最適な撮像角度および/または満足できる撮像角度の範囲が計算される。対象は任意に血管を含み、血管は、例えば、疾患状態(例えば、狭窄の病変、慢性的な完全閉塞)および/または、ステントのような治療インプラントの存在によって識別される。最適化基準は、自動の画像選択、および、一部の実施の形態では、短縮法、および/または、視界における他の特徴との重複を最小化することを含む。
【0067】
一部の実施の形態では、費用関数(または、もしかすると等価的に、費用関数と逆に変化する価値関数)が、最適な角度および/または角度範囲の決定に使用される。
【0068】
任意に、既存の画像を選択するための視る角度は、直接のデバイスの設定(例えば、角度の設定)の表現で明白にユーザに示される。選択的にまたは追加して、既存の画像それ自体が示される。選択的にまたは追加して、複数の画像(例えば、名称/特定のリストで、および/または、複数の画像自体の表示)が、それらの好ましさ(例えば、等価的に好ましい、または、1以上の細目における1以上の好ましい)の指示とともに、ユーザの選択のために示される。
【0069】
任意に、新しい画像のための設定が、直接のデバイスの設定(例えば、角度の設定)の表現で明白にユーザに示される。選択的にまたは追加して、新しい画像のための設定は、既存の画像に関連する選択肢(例えば、画像が表示され、および/または、名称および/または特性が指示されて、“この画像の角度から撮影”)として、ユーザに示される。任意に、新しい画像のための設定が、選択され使用されて、撮像デバイスが直接的かつ自動的に制御され、任意に、解除および/または受諾を指示する機会がユーザに与えられる。
【0070】
開示の一部の実施の形態の側面は、例えば、短縮法、および/または、画像全体のおよび/または画像の1以上の特定の対象の重複、を最小にすることの基準に従った視る角度の評価に基づいて、複数の利用できる画像の中の利用できる(すでに存在する)画像の選択に関する。
【0071】
一部の実施の形態では、利用できる画像の制限のために、最小化に関して、すなわち、短縮法の回避もしくは重複の削減、または両者の結合、に関して、選択された画像の視る角度は、最適な画像ではない。例えば、利用できる選択肢によって課された制限から、選択された画像の視る角度は、少なくとも、5°、10°、15°、または他の角度、最適と決定された視る角度から離れているかもしれない。
【0072】
加えてまたは代わりに、一部の実施の形態では、好ましい視る角度の集合は、閾値の一方の側の費用関数値を有する。例えば、費用関数が数量で評価する場合、閾値はある数量であり、例えば、閾値より低い費用関数値は好ましい視る角度である。好ましい角度は1つかもしれない。その場合、閾値は任意に好ましい角度に最も近い値として定義される。好ましい視る角度は、閾値の同じ側の離散数、例えば、費用関数の局所最小値として現れるかもしれない。任意に、好ましい視る角度は、それらに最も近い局所最小値から同じ費用関数値の距離の範囲である(すなわち、相変わらず閾値の同じ側にとどまる)。加えてまたは代わりに、好ましい視る角度は、それらに最も近い局所最小値の視る角度から最大角度差の範囲にある。
【0073】
一部の実施の形態では、選択された角度の視る角度は、費用関数を用いて選択され、好ましい視る角度の集合から閾値の反対側にある。 一部の実施の形態では、少なくとも好ましい視る角度と同じ数の、選択された画像の視る角度“と同等のまたはより良い”視る角度(例えば、費用関数閾値の、または、費用関数閾値により近い)がある。
【0074】
一部の実施の形態では、視る角度について評価された画像は、他の基準、例えば、造影剤の充填、時系列の存在、特定の心拍位相との整合、または他の非角度基準について共同して評価される。
【0075】
一部の実施の形態では、最適な視る角度(任意選択的に他の基準と一緒に最適である)を有するように選択された既存の画像が、撮られるべき新しい画像の視る角度を選択するために使用される。一部の実施の形態では、既存の画像の視る角度は、新しい画像のために使用される。一部の実施の形態では、新しい画像の視る角度は、ある許容範囲で既存の画像と整合する基準(例えば、 費用関数によって評価される)と、画像の短縮法および/または他の特徴との重複を最小にして、ステントおよび/または血管病変のような特定の対象を示すこと、とを共同して選択される。
【0076】
開示の一部の実施の形態の側面は、対象の短縮法を最小にする視る角度を選択することに、外皮の表面を使用することに関する。一部の実施の形態では、映される対象は血管を含み、血管は、ある器官の表面(例えば、心臓の表面)の一部を囲んで広がる血管網の部分である。一部の実施の形態では、器官表面の形状を近似するモデル(外皮)が、血管モデルの球状構造を用いて計算され、モデルは、器官の表面に亘って延びるように解剖学的に知られている血管を含む。
【0077】
一部の実施の形態では、外皮は、所与の位置において器官に接する平面の向きを決定するために使用される。特に、一部の実施の形態における所与の位置は、観察対象であり、任意に、外皮の接平面に垂直な視線は、短縮の基準に対する好ましい視る角度(および/またはその反射)、すなわち、観察対象の位置における血管構造がより少なく短縮される視る角度を表す。
【0078】
ここで、基準点からの角度であって、その基準点を含む単一平面内に入る角度は、第1の“角度軸”(ときに方位軸と呼ばれる)を含む角度ともいう。基準点を指向する視る角度および基準点から指向される視線は、互いに逆の等価物であると考えることができる。3次元空間内の他の角度を得るために、基準点から第1の角度軸の平面外の点に延びる視線に関して、第2の角度軸(ときに仰角軸と呼ばれる)が、第1の角度軸の平面からの角度オフセットとして定義され得る(視線が平面内にとどまる場合は、オフセットは0°である)。基準点を通過しない線または視線の角度は、基準点を含み線または視線に平行な視線に応じた角度値を割り当てることによって、第1および第2の角度軸を用いて表現することができる。ここで、第1および第2の角度軸(方位軸および仰角軸)は、直交する角度軸とも呼ばれる。
【0079】
一部の実施の形態では、画像対象は、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な平面とを画定する、実質的に円柱の形状を含む。一部の実施の形態では、垂直平面は、第1の角度軸(方位軸)を定義することが理解される。任意に、画像対象への視る角度の短縮効果を評価するための費用関数は、方位軸内のサブ最適画像角度に対するオフセットに、長手方向の軸(仰角軸)を含む平面内の角度軸に沿った同様の大きさのサブ最適画像角度よりも小さいペナルティーを課す。一部の実施の形態では、角度軸のいずれか又は両方に沿った角度オフセットは、特徴重複のような他の基準と組み合わせて潜在的な視る角度の選択を導くように重み付けされる。
【0080】
一部の実施の形態では、他の基準は、視る角度以外の特徴に関連する画像基準、例えば、コントラスト充填および/または心拍位相を含み、基準は、例えば、最適な画像コントラストおよび/または心拍位相と、最適な視る角度との間の妥協点を生成するために一緒に重み付けされる。
【0081】
本開示の少なくとも1つの実施の形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用に限定されるものではなく、以下の説明に記載され、および/または、図面に示されている構成要素および/または方法の構成の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。本発明の特徴を含む現開示に記載された特徴は、他の実施の形態が可能であるか、または様々な方法で実施または実行されることができる。
【0082】
視る角度を選択および/または生成する方法
次に、本開示の一部の実施の形態による、対象の最適な利用可能な視る角度から得られる複数の画像の中から、画像を選択する方法の概略フローチャートである
図1Aを参照する。
【0083】
ブロック110で、一部の実施の形態では、撮像されるべき対象が決定される。一部の実施の形態では、対象は単一の連続部分を含む。任意に、単一の連続部分は、血管セグメントおよび/または血管セグメントの中または近くに移植されたデバイスの広がりによって規定される。一部の実施の形態では、血管は、長手方向軸を有する円柱として実質的にモデル化される。任意に、単一の連続部分は、中心または他の基準から延びる範囲または体積として定義される。任意に、単一の連続部分は、中心または他の基準から延びるある範囲または体積内の血管を含む。
【0084】
一部の実施の形態では、対象は、複数の別個に定義された部分、任意に、連続、非連続、および/または重複する部分を含む。
【0085】
典型的な対象部分は、病変した血管(例えば、狭窄病変)および/または狭窄血管が含まれる。対象部分はまた、二叉分岐、三つ叉分岐、および/または、冠状動脈のような血管の湾曲を含むことができる。
【0086】
ブロック112では、一部の実施の形態では、画像の視る角度に対する1以上の費用関数(任意に、画像ビューの異なる中心に対するコストを含む)が決定される。画像の視る角度費用関数は、ここに記載される方法のいずれかに従って任意に構築される。例えば、画像の視る角度費用関数は、
図1C-
図13Dに関連して説明された実施の形態の要素を用いて計算される。一部の実施の形態では、画像の視る角度費用関数は、対象の短縮と画像内の他の特徴との重複の1つまたは連合した両方を最小にするように構成される。一部の実施の形態では、例えば、本明細書の図面に関連して説明されるように、追加のコスト基準が評価され適用される。
【0087】
ブロック114において、一部の実施の形態では、ブロック112の費用関数は、複数の利用可能な画像の視る角度に関して評価される。
【0088】
ブロック116において、一部の実施の形態では、評価された費用関数に関して最適な画像が選択される。オプションとして、選択された画像が表示のために提示される。オプションとして、選択された画像の視る角度は、さらなる操作のために使用される。例えば、選択された画像の視る角度は、新たな画像の視る角度を設定するために使用され、および/または、例えば、
図1Bの方法の使用に関連して、新たな画像の視る角度の選択のための基準の一部として使用される。
【0089】
次に、本開示の一部の実施の形態による、撮像に使用するための対象の最適な利用可能な視る角度を選択する方法の概略フローチャートである
図1Bを参照する。
【0090】
ブロック120において、一部の実施の形態では、対象は、例えば、
図1Aのブロック110に関連して説明されるように決定される。
【0091】
ブロック122では、一部の実施の形態では、例えば、
図1Aのブロック112に関連して説明されるように、画像の視る角度費用関数(任意に、画像ビューの異なる中心のためのコストを含む)が決定される(例えば、短縮法および/または他の画像特徴との重複を最小にする)。任意に、視る角度の最適性は、既存の画像の視る角度との視る角度の類似性、手順内の(例えば、特定の心拍位相、複数の類似画像を含む血管撮影映画の一部、および/または、血管の良好なコントラスト充填の期間、で得られる)画像のコンテクスト、のようなさらなる基準に基づいている。ここで使用されているように、血管撮影映画は、例えば、短い映画クリップのようなシーケンスで表示されることができるように十分に類似した血管造影画像のセットを指す。血管撮影映画は、視る角度、照射波長、フィルタリング、または他のパラメータのような撮像設定の変化によって明らかにされる、撮像された対象の1以上の動的特徴、および/または撮像された対象の特徴に関する情報を提供する。血管撮影映画に対する典型的な画像フレーム獲得速度は、約15-30hzであるが、他の周波数を使用してもよい。必要に応じて、より広い間隔で撮影された画像から血管撮影映画が編集される。例えば、心拍周期のある位相に同期する時に得られた画像は、いくつかの心拍サイクルと組み合わせることができる。いくつかの血管撮影映画は、それらがデジタル減算のような画像比較技術によって分析され得るほど十分に類似している画像を含む(および/または容易に修正して生成できる)。
【0092】
ブロック124において、一部の実施の形態では、費用関数が評価され、最適な画像設定が提供される。
【0093】
次に、本開示の一部の実施の形態による、最適な利用可能な画像角度および/または撮像に使用するための角度、を選択する際の費用関数を考慮する方法の概略フローチャートである
図1を参照する。これは、一部の実施の形態では、例えば、
図1A-1Cのブロック112または122における、費用関数の構築の例である。
【0094】
ブロック130で、一部の実施の形態では、好ましい平面の費用関数が選択される。これは、撮像の対象となる(例えば、
図4A-
図4Bに関連して説明されるような)部分によって定義される平面にほぼ平行な平面を選択する費用関数を含む。費用関数は、例えば、関心の特定の対象を囲むおよび/または対象に接続する、特徴の組に平面を調和させる距離最小化方法を含み得る。一部の実施の形態では、費用関数は、血管対象が占める表面(例えば、外皮またはその一部)を推定することを含み、好ましい平面は、撮像の対象とされる部分の表面に(例えば、部分の中心および/または選択された点で)接する平面である。一部の実施の形態では、複数の平面は、それぞれが基準コストの同等のバランスに関連付けられているという意味で“最適”である。
【0095】
一部の実施の形態では、好ましい平面は、好ましい平面に対して垂直に配向された視る角度(および選択的にその反射)に関連付けられる。一部の実施の形態では、好ましい平面(またはそのような平面の範囲)の概念は、好ましい平面に垂直な好ましい視る角度(またはそのような角度の範囲)で等価的に拡張または置換される。説明のために、ここでの図は、対象から可能性のある視る位置へ引かれた視線を示す。視る角度は、これらの視線に沿って(例えば、視線上の位置から)対象に戻ることが理解されるべきである。各視線に対して、視野が反射視線の側から鏡像化されることを除いて、視る角度を定義する際に潜在的に等価な視線の反射バージョンも存在する。実施例の目的のために、特に指摘した点を除いて、視る角度は、撮像装置の感知面の中心(例えば、撮像センサの中心)からのものであり、対象が画像内の中央に配置されるように選択される。それにもかかわらず、これは、例えば、画像内で対象を“中心からはずす”、回転パラメータを含む画像の撮像方向を決定することを排除するものではない。例えば、ある一次対象が、最適な一次対象中心撮像角度を見つけるために使用され、次いで、(例えば、1以上の二次対象がビュー内にあることを確実にするために)一次対象を中心から外して配置する回転が導入されることは、依然として同じ方向のとても近くから観察されるとしても、意味を有しうる。
【0096】
一部の実施の形態では、より好適な垂直視る角度の概念でさえも使用されず、代わりに、特定の“垂直”角度を、選び出すことなく、および/または、顧みることなく、1つの視る角度(任意選択で全ての視る角度、任意選択的に任意の視る角度のサブセット)のための費用関数が確立される。しかしながら、説明の目的のために、ここでの実施の形態は、血管の局所的な向き、および/または、血管が配置される外皮、に垂直な角度が、角度費用関数を構築することができる基準のフレームを設定するように記載されている。
【0097】
ブロック132において、一部の実施の形態では、第2の費用関数部分が決定される。対象(例えば、任意の第一のまたは第二の対象またはその一部)が、画像の他の特徴と重複する角度に、ペナルティーが適用される。重複は、例えば、
図5A-
図5Eに関連して説明されるように、異なる方法で決定することができる。
【0098】
任意に、他の画像および/または視る角度関連基準の評価に使用するために、さらなる費用関数が生成される。
【0099】
視る角度評価
次に、本開示の一部の実施の形態による、血管系2の3-D広がりを概略的に示す
図2A-
図2Bを参照する。
【0100】
一部の実施の形態では、血管系2は、冠状動脈血管系の一部を含む。血管系2は必ずしも、心臓血管系のような特定の解剖学的血管系の詳細を表すために図示されていないが、簡略化された例として提供される。
【0101】
一部の実施の形態では、対象部分3は、血管系2の一部である。加えてまたはそれに代えて、一部の実施の形態では、対象部分3は、構造8の2-D画像を用いた解析のために特に関心のある構造8(例えば、血管ステント)を含む。解析品質は、構造8が2-D画像にどのように示されているか、例えば、構造体8のどれだけが撮像角度によって短縮されているか、および、構造体8が画像内の他の構造体からどれだけよく分離されているか、に部分的に依存してもよい。
【0102】
一部の実施の形態では、対象部分3は、対象部分3の近傍(例えば、隣接して接続された)である血管系2の血管を含む血管近傍4内に配置される。
【0103】
一部の実施の形態では、血管対象部分3の好ましい視る角度(例えば、視線7に沿って位置する視点からの)の1つの基準は、血管対象部分3の軸と垂直に交わり、血管内腔の局所的な配向に沿って長手方向に通過する平面5(
図2B)にどれだけ平行に近いかである。
【0104】
しかしながら、血管対象部分3は、十分に定義された長手方向軸を有する単一の血管セグメントで構成される必要はないことに留意されたい。例えば、対象部分3は、任意選択的に、血管分岐の周りの拡散した病変を含み、異なる向きを有する病変の(および/または、その病変部に挿入されたステントの)異なる部分を有する。例えば、対象部分3は、血管分岐点によって分離された複数の血管セグメントを含んでもよい。これは、視る角度による短縮法が各特定の病変部にどのように影響するかに影響を及ぼすことがある。複合した特徴対象に対する視る角度の決定も、例えば、
図10A-
図11Cに関連して議論される。
【0105】
一部の実施の形態では、近傍の血管部分6は、血管系2の追加の血管を含む。一部の実施の形態では、近傍の血管部分6は、血管の対象部分3の撮像と潜在的に干渉するいくつかの視る角度から見て、血管を含む。ここで、血管部分6は、血管対象部分3の撮像と潜在的に干渉する特徴の一例として使用される(例えば、 血管部分6は、ある撮像角度で血管対象部分3を部分的に見えなくする)。しかしながら、他の特徴も、インプラントおよび/または骨構造のように、撮像を妨害しうることが理解されるべきである。
【0106】
ここで、本開示の一部の実施の形態による、
図2および
図2Bに示される血管系2の少なくとも一部の広がりに沿って延びる3-D外皮9が概略的に示されている
図3を参照する。また、
図4A-
図4Bを参照すると、この図は、血管対象部分3近傍の外皮9に対して接線方向である平面にほぼ平行に延びる平面13の例を概略的に示している。
【0107】
特定の撮影方法において、例えば、造影剤が血管系に注入された後の心臓のX線撮影のために、血管は、画像内に見える主要な高コントラストの特徴であってもよい。いくつかの画像形成された器官、例えば心臓、において、同じ血管は、ほぼ球形および/または卵形の外皮(例えば外皮9)またはその一部(例えば表面11)に近似する3-D表面の広がりに沿って一般的に配置され得る。任意に、外皮は、外皮の幾何学的中心の周りの全ての角度に対して定義される。任意に、外皮は、少なくとも90度、少なくとも135度、少なくとも150度、または少なくとも外皮に対応する卵形状の幾何学的中心に対する他の角度距離によって分離された血管(血管セグメント)の間に延びている。
【0108】
一部の実施の形態では、好ましい視る角度(例えば視線15に沿って配置された視点から)の基準は、対象部分3が一般に表面11上にある位置を含む場合に、視る角度が、対象部分3の位置あたりの表面11に接する平面13に垂直な角度に沿った視る角度にどれだけ近いかである。視線15は、一般的に外皮9から外方に向かう1つの垂直方向を示す。しかしながら、視線15から180°回転された他の垂直角度の近くから撮影するねらいで撮像するために等価でありうることは理解されるべきである。
【0109】
垂直角度に近い視る角度は、対象部分3の対象構造8とそのすぐ近傍(例えば、血管近傍4)との両方を最小の短縮法で示す可能性がある。
【0110】
平面13は、異なる方法で推定することができる。しかしながら、異なる方法の結果は必ずしも同等であるとは限らない。
【0111】
一部の実施の形態(
図4A)において、平面13は、対象部分3を囲む血管近傍4の部分の位置から推定される。一部の実施の形態では、例えば、血管近傍4は、対象部分3の中心のある距離内の血管位置を含むものとして定義される。距離は、例えば、ユークリッド的(すなわち、ある半径の円または球内)であり得る。任意に、他の距離メトリック、例えば、接続された血管部分に沿って移動した距離が使用される。次いで、平面13の向きは、例えば、血管近傍4内の血管部分の位置に適合する最良の最小二乗平均を有する平面として推定することができる。
【0112】
任意に、最良適合平面は、例えば、式(1)に示される費用関数を最小にする平面P (平面13に対応する)を見つけることによって決定される。
【数1】
【0113】
ここで、d(j, P)は、いくつかの候補平面Pと、血管近傍4の複数の部分の(jによって繰り返される)各々との間で計算される距離関数である。因子Kjは任意の重み係数であり、ある部分が他の部分よりも適合した平面に寄与することを可能にする。任意に、和に対する部分の寄与は、そのサイズ、対象部分3に対する位置、および/または重要度の別のパラメータによって(例えば、Kjの値を調整することによって)重み付けされる。例えば、ステントおよび/またはステントに隣接する血管の広がりを含むサブ領域は、費用関数で余分の重みを割り当てることができる。
【0114】
計算のために、血管近傍4の部分は、任意の適切なサイズ、任意に同じサイズ(例えば、血管の広がりによって定義される場合には血管の同じ長さ、または血管の位置によって画定される範囲によって定義される場合には同じ範囲)に分割されてもよい。
【0115】
しかしながら、潜在的には、対象部分3は、十分に定義された接平面を得るための、血管近傍4の十分な分岐構造を欠いている領域にある。例えば、表面に沿って真っ直ぐに延びる非分枝血管は、平面を単一のよく定義された向きに拘束するのに十分な情報を提供しないかもしれない。血管系2が分岐している場合、それは、対象部分3に近い方向に関して不十分なおよび/または誤った情報をもたらす位置にあるかもしれない。
【0116】
あるいは、一部の実施の形態では、血管系2に対する外皮9の表面11は、計算によって推定される(
図4B)。これは、例えば、血管系2の3-D広がりの知識から、および/または血管系2の外皮および3-D広がりを一緒に推定する方法、例えば、国際公開第2018/165478号に記載されているように、“血管系の外皮拘束局在化”であってもよい。
【0117】
表面11の計算から、平面13は、一部の実施の形態では、例えば接平面として計算される。例えば、平面13は、対象部分3における表面11の向きの推定から計算される接平面である。
【0118】
次に、本開示の一部の実施の形態による、視線15に沿って配置された画像視点に対するオーバーラップ条件を概略的に示す
図5Aを参照する。
【0119】
例示的な視線15は、平面11と交わる位置で概して垂直に配向されている。図示の例では、血管部分6近傍の部分19が対象部分3から外皮9の反対側に位置しているので、部分19が視線15に沿った位置から見て対象部分3の下にあるように見える。外皮9の外側であるが、対象部分3よりも部分19に近い視点からは、部分19は、対象部分3の上に重なるように見え、対象部分3の視認性を不明瞭にする効果は同様である。ここで、対象部分3が部分19のような他の特徴に近接することによる画像内で部分的に隠されている任意の状態は、“視程重複”(重複が特定の視る角度からのものであることを強調する)、または等価的に“重複”もしくは“重複している”と呼ばれる。
【0120】
一部の実施の形態では、選択された画像に対して、撮像角度および/または好ましい撮像角度を調整することによって、重複が緩和および/または防止される。
【0121】
ある撮像角度(例えば、視線15に沿った位置からの対象部分3の撮影)の潜在的な重複は、一部の実施の形態では、その撮像角度から記録された血管系2の3-Dモデルのシミュレートされた2-D画像を解析すること、および/または、シミュレートされた撮像条件を分析することによって検出される。シミュレートされた画像および/または条件は、干渉する部分19を形成するために対象部分3を血管系2の任意の部分と近接させて、分析される。任意に、他の構造(例えば、インプラントおよび/または骨構造)が、それらを3-Dモデルに加えることによって所在確認される。および/または、別に分析された3-Dモデルにそれらを含めることによって、それらに関連して対象部分3の位置を推定することができる。血管系の3-Dモデルのシミュレートされた2-D画像の例は、例えば、
図12A、12C、および12Eに示されている。
【0122】
次に、本開示の一部の実施の形態による、画像視点の重複状態を緩和する方法を概略的に示す
図5B-
図5Dを参照する。また、本開示の一部の実施の形態による、
図5B-
図5Dの方法の概略フローチャートである
図5Eを参照する。
【0123】
一部の実施の形態では、視線15に直接沿った位置からの撮像の代わりに、画像内で対象部分3から部分19を分離するのに十分に、平面5内で位置がオフセットされるように、撮像角度を調整することによって検出された重複は緩和される。任意に、平面5(
図5C)は、対象部分3を通る血管セグメント10(
図5B)の管腔に沿って長手方向に延びる対象部分3の軸に垂直な平面として推定される。この軸は、例えば、血管系2の3-D再構成から得ることができる。
【0124】
図5Dは、その結果を説明する例を示す。この例では、(角度15Aの代わりに、同様に角度15に対応する)新しい撮像角度15Bが選択され、重複する可能性のある部分19Aは、記録されるであろう画像内の対象部分3から離れるようにシフトされる。
【0125】
その結果は、
図5Eのようなアルゴリズムを実現するものとして理解されるであろう。ここで、ブロック502において、一部の実施の形態では、視る角度候補(例えば、視線15Aに沿って後方を見る位置からの)が選択される。一部の実施の形態では、視る角度候補は、対象部分3において表面11に垂直な視る角度である。任意に、例えば、視線15および
図4Aに関して説明されるように、視る角度候補を選択するために別の方法が使用される。
【0126】
ブロック504において、一部の実施の形態では、視る角度候補は、対象部分3および/または他の構造の観察と干渉する重複について調べられる。一部の実施の形態では、観察干渉は、視線15Aで示される視る角度候補に沿った位置から見た血管系2の3Dモデルのシミュレートされた2-D投影を使用することによって調べられる。一部の実施の形態では、重複および/またはほぼ重複は、
図5Fに関連して説明されるように計算される。重複は、干渉の可能性のある源であることに正確である必要はないことに留意されたい。例えば、近くの平行な血管は、それらが実際に互いに不明瞭でない場合であっても、検査および/または分析の間に互いの伸延を生成する可能性がある。
【0127】
ブロック506において、一部の実施の形態では、フローチャートは、ブロック504において観察干渉が検出されたか否かに依存して分岐する。
【0128】
観察干渉が存在する場合、ブロック508において、視る角度を調整することによって、ビューはオフセットされる。一部の実施の形態では、調整は、例えば、
図5B-5Dに関連して説明されるように、対象部分3を通って延在する血管の長手方向軸に直交する平面に沿って視る角度候補をオフセットすることを含む。一部の実施の形態では、実際に視る角度の調整は、平行移動を含む。例えば、光学(撮像)軸の中心を平行移動させることは、撮像素子自体の角度を調整することなく、対象部分3に対する視る角度を変化させる効果をもつ可能性がある。
【0129】
角度オフセット距離は、異なる方法で選択することができる。例えば、以下のように。
・単一角度オフセット(例えば、約10°)として
・ステップ動作(例えば、約1度のステップで)。各ステップの後に観察干渉が除去されたかどうかを調べて評価し、任意に新たな観察干渉が生成されないことを調べる。
・範囲計算された費用関数の結果に従う。例えば、
図6A-
図8に関連して説明されるように。
【0130】
次に、または干渉がない場合には、視る角度候補が、選択された視る角度として提供される(ブロック510)。ブロック502-508は、場合により、
図1Aのブロック112および/または
図1Bのブロック122の実装である。
【0131】
一部の実施の形態では、選択された視る角度は、画像が撮像されるべき新たな撮像角度を設定するために使用され、例えば、
図1Bのブロック124に対応する。
【0132】
一部の実施の形態では、選択された視る角度は、複数の画像の中からその角度で撮影された画像を選択するために使用される。選択された画像が撮像される視る角度は、選択基準で用いられ、例えば、
図1Aのブロック114-116に対応する。
【0133】
次に、本開示の一部の実施の形態による、3-Dモデルの2-D投影内で重複を検出する方法を概略的に記述するフローチャートである
図5Fを参照する。
【0134】
ブロック520で、一部の実施の形態では、3Dモデルは、部分によって任意にラベル付けされる。ラベリングは、量子化することができ(例えば、異なる血管セグメントのタグ付けによって)、または単に、3次元モデルの要素の既存の3次元座標を含むことができる。
【0135】
ブロック522では、構造の重複のために解析されるべきある角度を使用して、3次元モデルの2次元投影画像が生成される。任意選択的に、3-Dモデルの要素が2-D投影画像にマッピングされるとき、それらの2-D投影は、ブロック5203で確立された部分情報と関連付けられたままである。
【0136】
ブロック524において、一部の実施の形態では、2-D投影画像は重複について評価される。一部の実施の形態では、評価は対象部分3の2-D投影に対応する部分内で特に実行される。任意に、例えば2次元投影画像全体のような、より多くの領域が調べられる。
【0137】
一部の実施の形態では、重複に対する評価は、2-D画像の同じ部分が、3次元モデルの2つ以上の異なる部分からの寄与を含むかどうかを調べることを含む。“同じ部分”は、選択的には画素であり、その場合、直接的な重複のみが検出される。直接オーバーラップの範囲は、例えば、3-Dモデル内の血管の幅を重複/ほぼ重複が検出される範囲と少なくとも同じ大きさに拡張することによって、拡張することができる。このような実施の形態(ブロック520に記載されているような3次元モデル部分の明示的追跡を必要としない)における重複を検出する一つの方法は、視る点から各画素を通って延びる視線がまた3Dモデルと交差する回数を画素ごとに合計することである。値が2以上の場合に、重複が検出される。
【0138】
加えてまたは代わりに、同じ部分は、例えば、画像の近傍畳み込み、ユークリッド距離計算、または他の方法を使用することによって、任意の適切なサイズに拡張することができる。部分は、例えば、2-D画像内の各画素位置に対してある距離に定義された画像内で重複することができる。
【0139】
一部の実施の形態では、同じ部分が、互いに直に接続されていない2つの異なる血管セグメントの部分を含む場合、それらは、それらの1以上の観察に干渉するかもしれない重複および/またはほぼ接近状態を表す可能性が高い。この状態は、選択的に重複を示すものとしてカウントされる。
【0140】
一部の実施の形態では、別の例で、部分ラベリングは、代わりに、元の3次元モデル位置を使用する。冠状血管系では、例えば、それらの血管位置にほぼ直交する視る角度(例えば、外皮9に垂直な)から見られる血管位置の間での重複は、相対的に(“同じ部分”のサイズと比較して)離れた3-Dモデル位置の間で最も起こりそうな可能性がある。したがって、2-D部分の直径よりも有意に大きい(例えば、20%を超える)ことによって分離された3-Dモデル位置のある2-D部分内での発生は、血管ツリーの2つの別個の部分が同じ2-D投影部分を横断するときに生じるように、重複またはほぼ重複を表す可能性が高い。
【0141】
ブロック524の後、重複計算は、例えば、
図5Eの方法におけるブロック504で、および/または、例えば
図9A-9Cに関連して説明されるような費用関数の生成に使用するために、提供される。
【0142】
特に、重複検出は、3-Dモデルおよび/または2-D投影の全ての部分に対して等しくスコア付けされる必要はないことに留意されたい。単一の対象部分3が選択されると、重複/ほぼ重複の検出のために大きな距離を設定することが有利であるが、重複するために対象部分3自体に対応する2-D投影の部分をチェックするだけでよい。一部の実施の形態では、任意の部分における重複は、それがどこで発生するかに依存して、任意に、より高いまたはより低い
コストが掛かると考えられる。費用関数は、例えば、
図7-
図11Cに関連してさらに説明される。
【0143】
見る角度の評価のための複合基準
次に、本開示の一部の実施の形態による、短縮法に対する角度変化の非線形効果を概略的に示す
図6Aを参照する。また、本開示の一部の実施の形態による、角度の関数として非線形の費用関数を概略的に示す
図6B-
図6Cを参照する。
【0144】
図5A-5Dの例が示すように、競合する条件は、対象部分3に対する画像角度の選択に矛盾した基準を課す可能性がある。さらに、1つより多い対象部分3(これを管理する方法は、例えば、
図11A-
図11Cに関連して議論されている)であってもよい。対象部分3が唯一の一次対象であっても、対象部分3から離れた位置でも画像内に血管交差があるかどうかのような画像を視る角度を評価するための二次的な基準が存在する可能性がある。これらの基準の全ての統合評価を可能にする手順は、評価された角度ごとに費用関数を実施するものとして記述されてもよい。ここで、費用関数は、可能性を有する視る角度の適合性が低減される結果に帰する“より高いスコア”の表現で議論される。しかし、発明の一部の実施の形態では、価値関数の逆の定式化を使用することもできる。
【0145】
費用関数における一つの考慮事項は、名目上好ましい視る角度(“候補”)からの全ての角度オフセットが、画像結果への影響に関して必ずしも等しくコストがかかることではないことである。さらに、小さな角度での角度増分は、大きな角度での角度増分よりも、可能性として画像に対する影響が小さい。
【0146】
第2の点の例証として、
図6Aは、より小さい角度403と、角度403の2倍の、より大きい角度401を表す。しかしながら、視る角度402から見た、より大きい角度401に対する知覚された短縮法401は、より小さい角度403に対する知覚された短縮法403Aの2倍よりもかなり大きなものであり得る。この変化(すなわち、視線15の方向が0°の角度とみなされる余弦関数の値に従う)は、競合する視る角度の選択を考慮する場合に重要な理由となり得るが、その各々は、いくつかの基準に関して結果を改善する(それらのコストを低減する)かもしれない一方、他の基準に関してコストを増加させる。
【0147】
例えば、対象長さ全体の一部としての短縮法は、垂直方向からすこしだけ離れた撮像角度に対しては比較的重要ではない(例えば、5°の差は、0.5%未満の短縮法を生じる可能性がある)が、撮像角度が垂直方向からだんだん減少するにつれて、非線形に増加する(例えば、15°の差に対して約3.5%、30°の差に対して約13%)。
【0148】
一部の実施の形態では、撮像角度の短縮法コストは、式(2)によって与えられる。
(2):
1-cos(Θ-Φ) (2)
【0149】
ここで、Θは、対象部分3の潜在的に非垂直な視る角度に対応し、Φは、対象部分3に垂直な角度である。複数の対象部分(例えば、
図10A-
図11Cに関連して説明されているように)では、短縮法重み付けは対象部分jごとにすることができ、任意に、次の式(3)に示すように、Kjによって重み付けされる。
【数2】
【0150】
Θjは、画像内の位置および視野の大きさに応じて変化させることができるけれども、任意に、Θjは全ての対象部分jに対して定数として、すなわち、無限遠から撮像が行われる場合のように処理される。
【0151】
短縮コストの別の例は、閾値であり、あるカットオフ値よりも小さい垂直からの角度オフセット(例えば、1%未満の短縮を引き起こす)は、コストがかからないと考えられる。
【0152】
費用関数は正弦曲線から逸脱することができ、異なる角度軸に対して異なっていてもよい。
【0153】
図5Dでは、対象部分3に垂直な平面5に沿った視る角度の回転のみが考慮された。しかしながら、その平面の外側の視る角度の小さな変化は、比較的安価な可能性がある。場合によっては、平面5に沿った大きな変化(例えば、重複状態を回避するための)は、
結果の重大な低下なしに(および結果の改善の可能性を伴って)、平面5に沿った変化をより小さくすること、および平面5からの視る角度の小さい変化のオフセット、または潜在的には平面5からの視る角度の小さい変化のオフセットのみ、によって、置き換えることができる。
【0154】
図6Bおよび6Cは、対象部分3の構造に関連して定義された、異なる視る角度軸のための異なる費用関数を示す。各図は、示された例において歪んだ正弦曲線に類似している。
図6Bは、軸方向に垂直な平面5内の見る角度のための相対的に許容される費用関数を示している。それは、±π/2(±90°)で非常に高価になるが、大部分の角度については、それは最小のコストに近い。コストは、この場合、任意に対象部分3の近くにある血管系(例えば、隣接する血管分岐)の短縮法を表し、これは、対象部分3自体の短縮法よりも許容可能かもしれない。
【0155】
図6Cは、平面5に垂直な平面(例えば、対象部分3を通って延在する血管の長手方向軸を含む平面内)における視る角度変化の軸に対する許容費用関数が小さいことを示している。これは±π/2(±90°)の近くで最大限に高価になるが、コストは0°からのかなり小さい角度変化内で急速に上昇し、導入される短縮法の量は小さなオフ角方向では無視できる程度から、中間およびより大きなオフ角では本質的に使用不可能に変化する。
【0156】
次に、本開示の一部の実施の形態による、視る角度を決定するための連続的に定義された費用関数25を概略的に示す
図7を参照する。
【0157】
2つの異なる角度軸を別々に処理する費用関数25の一例が、
図7に概略的に示されている。例示のために、等輪郭25A、25B、25C、25Dは、費用関数25の異なるコストレベルを表し、球体の表面上に描かれる。等輪郭25A (太い線で示される)の内側の領域は“最安価”であり、等輪郭25D (細線として示されている)とその外側の領域は最も高価である。円の形状からの等輪郭25A-25Dの歪みは、平面5によって規定される角度軸に沿ったより安価な、かつ、平面5に垂直な角度軸上でより高価な、表面垂直候補視線15からの視る角度変位によるものである。2つの角度軸に使用される費用関数は、
図6B-
図6Cの費用関数と同様である。または、例えば、傾斜、閾値、および/または、他の曲線の費用関数を用いてもよい。
【0158】
さらなる制約がなければ、元の候補視線15に沿って(または、等価的にその反射に沿って)見返す観察位置は、一意に最適な視る角度を提供する。
【0159】
費用関数の非最小コストである角度における値は、さらなる制約が加えられたときに使用され、その例は
図7および
図8-11Cと関連して次に説明される。
【0160】
一部の実施の形態では、可能な視る角度、例えば、視線21および視線23に沿って後方の位置からの視る角度、の限定されたセットが利用可能である。これは、例えば、現在選択されている対象部分3に最適な角度から必ずしも得られなかった既存の画像から選択がなされるためである。
【0161】
例示的な費用関数25は、視線21、23に沿って後方への視る角度を、絶対角度差で候補視線15に等しく接近させることができるにもかかわらず、コスト的に容易に互いに区別することを可能にする。視線23は、等輪郭25C内にあり、視線21よりも費用関数25の点で“より安価”であり、費用関数は等輪郭25Cを超えて減少する。
【0162】
概略的な費用関数35(
図11A-11Cの費用関数33、35、37のような他の費用関数と同様の)は、ここで、あたかも中心視線の周りの比較的制限された角度範囲について計算されるように示される。例えば、この範囲外の視る角度のコストが効果的に最大であるかのように示される。しかしながら、費用関数は、任意に、球の360°を含む任意の適切な角度空間に拡張することができる。X線撮影のような3Dイメージング方法では、費用関数は、一般に、費用関数空間を半球に分割する平面に関して、(費用関数が半球全体に対して計算されるか否かによらず)対称であり得る。半球のいずれかからのビューは、反射とは別に、実質的に同じだからである。
【0163】
既に得られた画像から選択する目的のために、費用関数25、および本明細書に記載された他の費用関数のいずれかが、任意に、視る角度以外の画像コスト要因に関連するコストと組み合わされることに留意されたい。例えば、コントラスト注入イベントが利用可能な、異なる角度からの複数の画像が存在してもよい。造影剤注入の前に最高であり、造影剤注入に続く秒の間に減少し、造影剤が洗い出されるにつれて再び増加する、関連した“コントラスト”費用関数が、任意に提供される。複数の画像のうちの2つは、それぞれ異なる視る角度で撮影され、コントラスト費用関数と短縮法費用関数との相対的な重み付けは、好ましい視る角度のわずかな差が良好な造影剤分布の期間からの画像の選択を圧倒しないように設定されてもよい。
【0164】
一部の実施の形態では、関心のある情報(例えば、染料充填を受ける位置)は、複数のフレームにわたって分散される。容易に組み合わされることができるフレーム(例えば、血管撮影映画において逐次的に重畳されおよび/または観察される)は、同じ角度または許容可能な類似の角度から、および/または同じ心拍位相または許容可能な同様の心拍位相で取得することができる。一部の実施の形態では、画像がどのように、これらのパラメータに関して他の画像に関連するかは、画像の費用関数を助けるために、重み付けの一部として任意に使用される。例えば、より完全な血管撮影映画の一部である画像は、最もコストをかけずに重み付けすることができる。
【0165】
任意に、費用関数評価は、いくつかの組み合わせで見るべき画像のセットに対して共同して実行される。例えば、位相および/または角度における画像間の差は、最適な利用可能なビュー、例えば、色素注入のようなイベントを生成する血管撮影映画において、どの画像が結合されるかを評価する際に重み付けされる。例えば、位相のための費用関数は、心拍周期の高運動部分の間、位相角の差をより高価にし、心拍周期の低運動部分の間の(同じ位相角差に対して)コストをより低くすることができる。任意に、単一の血管撮影映画または他の画像の組み合わせにおいて、画像が潜在的に“一緒に進む”という評価の一部として、視る角度の差も重み付けされる(例えば、角度差の増加に対して、非線形な正弦曲線で増加する非線形的を例として)。任意に、血管撮影映画は、安定した視る角度に対して最適化される。任意に、血管撮影映画は、血管撮影映画のコース上の視る角度のある“回転”を示すことができる。一部の実施の形態では、(例えば、 視る角度および/または心拍位相で)パラメータ差を有する画像は、画像をほぼ同様の形状にするために後処理され、例えば、それらの形状において線形および/または非線形変換が施される。潜在的には、小さな角度差は、大きな角度差よりも、例えば、視る角度回転の結果として異なる平面内を移動する特徴が、歪みが小さい場合には、2D画像におけるより類似の歪みに遭遇するので、このようなアプローチによる修復をより受け入れやすい。
【0166】
加えてまたは代わりに、画像の選択は、血管撮影映画の選択を含むことができる。血管撮影映画は、一部の実施の形態では、例えば、およそ10-15h zまたは他の周波数で撮影された血管造影フレームの時系列であり、例えば、フレーム毎に検査され、および/または、短い動画像として表示され得る。血管撮影映画は、例えば、拡張および/または屈曲の特定の状態におけるステントを示す血管撮影映画内からフレームを選択することを潜在的に可能にする。血管撮影映画はまた、コントラストの流入、または別の時間依存する特徴のダイナミクスを見ることを可能にし得る。非造影撮像のための血管撮影映画の使用は、例えば、本明細書では、
図13A-
図13Hに関連して説明される。
【0167】
血管撮影映画を選択するために、選択は、実質的に同じ視る角度から得られた一連の画像(例えば、少なくとも4、6、8、10またはそれ以上の画像)の一部である画像であることが好ましい。利用可能な“最も良好な視る角度”画像は、わずかに悪い視る角度で得られた画像のより短いシーケンスの一部であってもよい。一部の実施の形態では、いずれの単一の基準も必然的に他の基準を支配することなく、複数の視る角度および任意選択的に非視る角度の基準を一緒に満足する画像を得るために、ある画像がその一部である血管撮影映画シーケンス内にある画像がどのように計量されるかに関する基準は、短縮および/または重複回避のような1つ以上の視る角度基準(および任意選択的に、説明されたコントラスト費用関数のような他の基準も含む)と比較考察される。
【0168】
ここで、本開示の一部の実施の形態による、対象部分3のビューを不明瞭にする傾向のある重複の位置に対応するコストピーク27を含む角度軸に対する費用関数が概略的に示されている
図8を参照する。例示のコストピーク27は、例えば、
図5A-
図5Fに関連して説明したように、例えば、重複を生成する視る角度を示す。
【0169】
次に、本開示の一部の実施の形態による、干渉部分19による対象部分3の重なりによる2角軸費用関数29の影響、およびその視る角度および重複調整された費用関数29による画像の選択を概略的に示す
図9Aを参照する。
【0170】
費用関数29は、コストピーク27を含む、
図8の単軸費用関数の一部を組み込んだ(概略)2角軸費用関数として理解することができる。等輪郭29A (最も厚い輪郭)は、費用関数最小値を表し、対象部分3と干渉血管部分19との重なりによるコストが増大する視線15の角度に近い角度を有する。その上、視線15の角度からさらに離れている角度(例えば、等輪郭29B、29C)は、視線15からの角度距離の増加に起因してコストが増大する。それは、対象部分3(および周囲)で特徴に直交すると推定されるので、好適(重複から離れている)であろう。実際の(非模式的な)費用関数では、費用関数29内の“穴”の大きさは、おそらく示された計算された領域の縁まで延びており、部分19を含む血管の十分な範囲を反映しており、角度領域は、もしかすると汚染されることに留意されたい。
【0171】
視線21および24は、2つの既存の画像のそれぞれの視る角度に対応する経路に沿った逆の視線を表す。この場合、視線24は候補視線15に角度的に接近しているが、視線21は重複から離れた領域を占めるので、視線21は好ましい視る角度に対応する。これは、対象部分3および構造体8(測定のために選択されたステントであってもよい)のわずかな短縮法を導入するとしても、事実である。効果的に、費用関数は、短縮された対象部分3を示す画像の非最適条件と、不明瞭な対象部分3を示す画像との間の選択を可能にするように構成される。
【0172】
次に、本開示の一部の実施の形態による、干渉部分19による対象部分3の重なりに起因する2角軸費用関数29への影響、および、その視る角度および重複調整された費用関数29に従った画像の選択を模式的に示す
図9Bを参照する。
【0173】
血管造影画像を記録するために準備する場合には、離散した少数の選択肢に限定されることなく、一般にほぼ任意の角度を選択することができる。その場合、最適な角度は、等輪郭29Aに入る実質的に任意の視る角度、例えば、視線31に沿った逆の視る角度として選択することができる。
【0174】
特に、等輪郭29Aは、対象部分3および/またはその内部の構造8の観察を最適化するために任意に構成されることに留意されたい。短縮法コストは、例えば、対象部分の特定の拡張された円柱形状および向きに関して計算することができる。これは、例えば、短縮法の大域的最適化が、焦点の手順および/または測定のサブ最適表現をもたらす場合を防止する。
【0175】
同様に、画像内の重複は、対象部分3の近傍で特定的に防止されてもよい。重複を最小にする大域的最適化(または、対象部分3の近くの結果に特別な重みを与えない他の最適化)は、最適化の後に残っている重複がまだ間違った場所にある場合に生じる可能性がある。
【0176】
次に、本開示の一部の実施の形態による、単一の血管セグメント領域の外側の部分を含む対象部分の例を概略的に示す
図10A-
図10Bを参照する。
【0177】
一部の実施の形態では、対象部分3の記録される画像は、選択されたさらなる構造、例えば、下流の血管分岐8A、8B (
図10A)、または、他の狭窄8Cおよび/またはステント8D(
図10B)を含む領域のような他の離散構造の分析および/または検査のために共同で最適化される。一部の実施の形態では、さらなる構造(例えば、下流の血管分岐)は、病変の位置によって選択される。例えば、それらは、病変が下流の分岐に特に影響を及ぼすように配置されているので、標的化される。
【0178】
一部の実施の形態では、対象部分は、一般に、標的にされる複数の特徴の全体の範囲に関連付けられてもよい。それは例えば、領域内の全ての血管(
図10A)、および/または、関心の個々の対象の全て(
図10B)、の配向の重み付けられた和に到達する表面垂直方向15に帰着する。任意に、一部の血管および/または特徴は、他の血管よりも重み付けされる。例えば、対象部分3は、この血管部分の短縮法を特に潜在的に最小化するのを助けるために、余分な重みを割り当てることができる。
【0179】
一部の実施の形態では、基準重み付けは、基準に従って異なる領域に対して変更される。例えば、短縮を最小化することは、対象部分3に対する主要な関心事であり、その結果、“短縮法”寄与費用関数は、対象部分3のみに基づいて、または対象部分3を他の寄与する領域(例えば、血管分岐部8A、8B、狭窄部8Cおよび/またはステント8D)より高く重み付けして、計算される。重複の費用関数への寄与のために、重複は、任意に、(例えば)対象部分3、血管分岐8A、8B、狭窄8Cおよび/またはステント8Dの各々に対して、より均等に重み付けされる。
【0180】
一部の実施の形態では(例えば、1つの画像のビュー内の標的器官全体に合わせるのに適した標準倍率で)、撮像の中心は、血管系2の全てがフレーム内にあるように選択される。撮像の中心は、必ずしも対象部分3を中心とするものではなく、必ずしも拡張された範囲の特徴に対して調整される必要はない。しかしながら、対象部分3の近傍の外皮9の表面に対して垂直に近い視る角度を選択することによって、一般に、ビュー内の外皮9の形状に適合する器官を中心とすると、典型的には、ビュー内の対象部分3をほぼ中心とすることになるのに留意されたい。
【0181】
それにもかかわらず、撮像の中心点は、任意選択的に異なる位置にシフトされることに留意されたい。例えば、倍率がフレーム内に血管系2の全体を捉えることを妨げる場合には、中心点をシフトすることができる。中心点は、外皮9に対して垂直から離れた視る角度の変化および/または対象部分3近傍の血管特徴の一般的な配置に起因する、対象特徴3の画像位置のシフトを補償するようにシフトされてもよい。
【0182】
任意に、適用可能なように、倍率および/またはセンタリングのために、適用可能なように費用関数が生成される。これらの費用関数は、得られる画像中の特定の特徴の役割に依存して、差異を受けるかもしれない。例えば、下の式(4)に示すように、画像Acenterの中心から離れた1以上の領域jを撮像するために撮像パラメータにペナルティーを課すことができる。
【数3】
【0183】
重み関数は、全ての特徴jのサブセットだけに対してKj>0とし、そうでなければKj = 0として定義されてもよい。
【0184】
加えてまたは代わりに、特徴(もしかすると重要でない特徴)は、以下の式(5)に示すように、フレーム外(画像Aの外側の特徴j)であるためのペナルティーと関連付けられてもよい。
【数4】
【0185】
次に、本開示の一部の実施の形態による、別々に計算された費用関数33、35の結合使用を概略的に示す
図11A-
図11Cを参照する。
【0186】
一部の実施の形態では、複数の視る角度費用関数(例えば。費用関数33、35)は、複数の異なる領域に対して構成され、結合して評価される。例えば、費用関数33は、垂直軸とは異なる1つの角度軸に沿った回転にペナルティーを課す一方、費用関数35は、二次対象部分8Eにおける局所的血管配向に関して選択された2つの異なる角度軸に対して同様に差動ペナルティーを課す。なお、(例えば、複数の略円柱状の対象部分3、8Eの存在下で)各シリンダの長手方向軸に垂直な短縮法のない平面内の角度軸の変化に対する費用関数は、短縮法ペナルティーを任意選択的に0に設定することができることに留意されたい。異なる配向を有する他の特徴の存在は、関心のある特徴が横たわる全体的な範囲を、視る角度に直面する向きに維持するのに役立つこの角度軸に、自然な制約を提供する可能性がある。
【0187】
一部の実施の形態では、3-Dモデルの幾何学的特徴は、費用関数計算に含まれる特徴の範囲および/または重要度(相対的重み付け)を選択する際に使用される。例えば、費用関数を生成する際に使用される病変の大きさは、病変している(例えば狭窄の)領域の長さに、および/または、複数の枝の中の病変の拡散に、選択的に依存する。病変の拡散は、それらの近さが最大距離についての閾値基準の下に留まるか他の基準の下に留まるかによって、互いに十分近いと認められる狭窄範囲が単一の病変として選択的に結合される。
【0188】
一部の実施の形態では、病変は、それらの全体的な広がり、重篤度(例えば、パーセント狭窄)または他の特徴のうちの1つ以上に基づいて最小の短縮法および/または重複のために最小化された画像の視る角度を選択する際に、それらの重要性のために重みを割り当てられる。一部の実施の形態では、機能的および/または解剖学的尺度が重み付け基準として使用され、どの血管部分が縮小された短縮法および/または重複で表示することがより相対的に重要であるかを決定する。関心のある血管特徴を選択するために計算された心筋血流予備量比(FFR)値を使用することは、例えば、
図12A-12Fと関連して説明される。
【0189】
図11Bは、複数の費用関数33、35の組み合わせを概略的に示す。結果として生じる費用関数37は、費用関数の(任意に重み付けされた)和、例えば、視線33A、35Aのいずれかとは潜在的に異なる最小相互コストの角度を示す視線37Aを表す。特定の例では、費用関数は、任意に等しい重み付けで加算される。しかしながら、費用関数は、異なる重み、および/または単純な加算とは異なる演算子で組み合わせることができる。例えば、費用関数は、ユークリッド距離演算子に基づいて組み合わせることができ、各費用関数ペナルティーは、2以上の次元の“ペナルティー空間”内のベクトルの成分として扱われる。
【0190】
図11Cは、血管近傍4に対する視線37Aを示す。これは、任意に、最適な視る角度が向くのと逆の視線である。任意に、画像フレームの有効中心は、例えば、視る角度の回転の結果として変更される。任意に、(例えばブロック508に関連して説明されるように)変換センタリングがさらに調整され、例えば、フレーム内の関心のある特徴のセンタリングを一緒に最適化する。
【0191】
血管モデルおよび/または画像の例
次に、本開示の一部の実施の形態による、血管系モデル1212および対応する2-D血管撮影
図1210を概略的に示す
図12A-12Bを参照する。本開示の一部の実施の形態による、血管系モデル1202および対応する2-D血管撮影
図1200を概略的に示す
図12C-12Dも参照される。さらに、本開示の一部の実施の形態による、血管系モデル1222および対応する2-D血管撮影
図1220を概略的に示す
図12E-12Fを参照する。
【0192】
血管撮影
図1200、1210、1220は、冠状動脈への造影注入後のX線撮像を使用して得られた。図示されている血管は、人間の患者の心臓の心房心室を囲む動脈である。血管系モデル1202、1212、1222の血管に対応する血管は、画像上にトレースされた線によって示される。
【0193】
血管モデル1212(
図12A)、1202(
図12C)および1222(
図12E)は、相対的な血液の流れ関数を表すために陰影付けされた(それぞれ選択された視点からの)3-D血管モデルを示している。流れ関数は、例えば、血管の幾何学および/または他の基準に基づくであろう、心筋血流予備量比(FFR)推定として、任意選択的に計算される。それらは、例えば、国際公開第2014/111930号、国際公開第2014/111927号および国際公開第2014/111929号の1つ以上に記載されている。それら国際公開の内容は、ここにその全体が参照によって取り込まれるものとする。
【0194】
モデル図では、より暗いシェーディングは、より低減された血流関数に対応する。血管撮影
図1210の上に描かれた線には、異なるシェードを用いる同様の規約が用いられている。血流を伴う血管は、狭窄1211、1201および1221それぞれの下流にある動脈1215、1205、1223、および1225を含む。血管撮影
図1200では、狭窄1201における流れ機能が、狭窄されていない血管に対する正常な流れの推定59%で示されている。血管撮影
図1220では、狭窄1221における流れ機能が、狭窄されていない血管に対する正常な流れの推定73%で示されている。狭窄1211、1201、1221は、ステントの移植によるような血管再生治療のための標的である。
【0195】
モデルの視る角度は潜在的に“最適”であり、狭窄1211、1201、1221を含む血管部分が、視る角度に対して実質的に垂直に配向されているという意味で、モデル化された血管の見かけの交差は最小化され(モデル1212および1202に交差は存在しない)、他の血管もまた、撮像範囲全体の広い領域にわたって広がる(モデル化された血管系の多くの範囲に対する短縮法の最小化と一致する)。特に、より暗い(より低いFFR、より罹患していると考えられる)血管は、それらが最小の短縮法を受ける血管の中にあるような向きで示されている。この結果は、一部の実施の形態では、費用関数を構成する際にFFR値を使用することによって得られ、したがって、低いFFR値を有する血管領域の短縮法および/または重複は、他の領域よりもペナルティーが大きい。
【0196】
新しい画像が記録される場合には、示される視る角度は、任意選択で最適な(例えば、最も低い費用関数/最高品質スコアを有する)視る角度の中にある。図示の視る角度(任意にその反射と共に)は、もしかすると唯一の最適な角度である。
【0197】
既に取得されている画像の中から画像を選択する場合には、図に示す正確な視る角度を利用できない場合がある。一部の実施の形態では、最良の角度品質スコアを有する画像が使用される。
【0198】
一部の実施の形態では、単一の画像(新しいまたは以前に取得された)の選択を使用するアプリケーションは、モデルを更新すること、および/または、その単一の画像を使用してモデルから計算されたパラメータを更新することを含む。任意に、2以上の画像が選択され、更新に使用される。単一画像の事例は、少なくとも1つの画像、例えば、1、2、3、またはそれ以上の画像のより一般的な場合の一例として説明される。
【0199】
例えば、国際公開第2015/059706号(その内容はここにその全体が参照によって取り込まれる)には、任意に単一の2-D画像領域から、FFRのような機能上のパラメータの再計算が記載されている。FFR計算は、潜在的に、血管のマルチセグメント頂部内の異なる流れ抵抗に依存する。再計算は、一部の実施の形態では、モデルの領域に対して粗い相同性を有する単一の2-D画像領域から再計算される血管セグメント抵抗によって単純化され、それは、それが置換、増大、結合、および/または比較される。現在のアプリケーションの方法は、この単一の2-D画像(または複数の画像、またはその適切な領域)の選択に任意に使用される。選択は、ステント後評価のプロセスを効率化する(例えば、自動化を強化する)ために潜在的に使用される。一部の実施の形態では、例えば、FFRは、ステントの移植および/またはその血流を改善する効果の確認のような目的のために単一の画像を使用して再計算される。これは、血管系の局所領域の変化後に完全な3-D再構成を再生する必要性を潜在的にバイパスする。任意に、変更された領域自体の部分的な3-D再構成さえも回避される。
【0200】
例えば、
図12Bの2-D X血管撮影
図1210および
図12Dの2-D X線血管撮影
図1200は、血管モデル1212、1202によってそれぞれモデル化された同じ血管系の画像である。管撮影
図1210および血管撮影
図1200は、例えば、国際公開第2014/111930号、国際公開第2014/111927、国際公開第2014/111929、および国際公開第2015/059706号に記載された1以上の方法を用いて血管モデル1212、1202が生成されるもとになった血管撮影図に、選択的に含まれる。それら国際公開の内容は、ここにその全体が参照によって取り込まれるものとする。血管撮影
図1210、1200の視る角度は、各々が血管交差1213、1203を含むので、レンダリングモデル1212、1202で使用される視る角度よりも、もしかすると最適ではない。しかしながら、これらの交差は、それぞれ狭窄1211、1201から相対的に遠い(例えば、特に、その下流ではない)。従って、血管交差1213、1203は比較的低いペナルティーを与えられ、従って、対象1211、1201およびその下流の血管(例えば、動脈1215、1205を含む)を最も明瞭に示す1組の画像の中から選択される機会が改善される。
【0201】
図12Fの2-D X線血管撮影
図1220は、本開示の一部の実施の形態では、もしかすると拒絶される角度から撮られた画像の一例である。動脈1223および1225は、狭窄1223の領域内で重複し、これは治療の格好の標的である。視る角度(例えば、モデル1222の向き)を適切に調整することにより、この干渉効果の大部分を除去することができるとともに、短縮法を最小限に抑えることができる。
【0202】
次に、本開示の一部の実施の形態による、造影剤を用いて、および用いずに得られた2-D血管造影画像の例を示す
図13A-
図13Hを参照する。
【0203】
一部の実施の形態では、造影剤注入なしに血管造影画像および/または血管撮影映画が得られる。血管のコントラストは、造影剤注入なしで非常に低いが(“コントラストなし”画像)、移植されたステントは、例えば、その固有の放射線不透過および/または放射線不透過性マーカーに基づいて、コントラストなし血管造影画像内で識別することができる。
【0204】
コントラストなし血管撮影映画における複数の画像はまた、心拍の時の動きに従ってステントをより明瞭にすることによって潜在的な利点を提供することができる。必要に応じて、血管撮影映画は、心拍周期中のステントの(例えば)直径が最も拡大される瞬間を確実に選択できる、心拍周期中のステントの動きの範囲を十分にカバーする画像を提供する。これはもしかすると、ステントによって回復された流量の程度を正確に推定することを支援する。
【0205】
人間の観察者が、かすかに見えるかもしれないステントをその背景に対して容易に区別するために、ステントを予測可能な位置に(任意に中心に、および/または他の画像から目印に対して指示することができる位置に)、および/または、向きで(例えば、最小の短縮法で)示すことは潜在的な利点である。
【0206】
本開示の一部の実施の形態では、新しい画像および/または血管撮影映画の視る角度を選択するために、既存の画像の視る角度が選択される。既存の画像は、必要に応じて、ステントの位置(または最終的な位置)を、準備ができた基準として十分明瞭に示す(例えば、ステントが予め移植されて撮られた)コントラスト画像である。原則として、新しい画像は、機器(例えば、 医療用撮像装置)に利用可能な任意の視る角度から取ることができ、それは基準画像を撮影するために使用される視る角度と同一または類似の視る角度に対する潜在的な利点である。任意に、新しい画像に対する設定は、直接デバイス設定(例えば、位置角度)の表現で明示的にユーザに提示される。選択的にまたは追加して、新しい画像のための設定が、既存の画像に関連する選択肢としてユーザに提示される(例えば、“この画像の角度から撮像”、この画像は表示することができ、および/または、名前および/またはプロパティによって示すことができる)。任意に、新しい画像のための設定が選択され、撮像装置を直接的に自動的に制御するために使用され、必要に応じて、ユーザが受付をオーバーライドおよび/または指示する機会を有する。
【0207】
一部の実施の形態では、ある視る角度費用関数のコスト基準を最も小さくする選択された既存の画像の視る角度(例えば、本明細書のいずれかの実施の形態に関連して説明される)は、新しい画像および/または血管撮影映画に対する撮像設定として使用される。例えば、
図1Aの方法が実行され、得られた画像の視る角度も画像設定として提供される。
【0208】
任意に、選択された既存の画像の視る角度(元の視る角度)は、新たな画像および/または血管撮影映画に対して正確に使用されない。その代わりに、一部の実施の形態では、更なる処理を用いて、元の視る角度からの角度偏差の相対的コスト、および、ステント(または対象部分3の他の構造8)をより容易に識別および/または測定された位置にもたらす角度変化、を重みづけする。例えば、短縮法に基づく角度費用関数は、例えば、5°、10°、20°、または他の角度だけずれている場合に、ある基準画像がどれだけ役立つかに基づく角度費用関数と共に重み付けされる。これは、
図1Aのブロック116の結果を
図1Bのブロック122への入力として使用する実施の形態として理解することができる。
【0209】
一部の実施の形態では、ある角度制限内で、参照画像の非等軸歪みを使用して、撮像された構造8のビューにより近く接近させられることに留意されたい。逆に、新たな画像は、対象が配置されることを可能にするように歪んでいてもよく、または両方の画像が部分的に歪められて、視る角度の中間から画像の両方へのビューを近似することができる。
【0210】
一部の実施の形態では、ステントの大きさおよび/またはステントを受容するために指定された領域は、対象部分3の一部を画定する。
図13A、13C、13Eおよび13Gはそれぞれ、ステントを含む範囲の血管撮影図を示し、
図13B、13D、13Fおよび13Hはそれぞれ、造影剤の注入中の、対応する同じ範囲の血管撮影図を示す。
【0211】
ステント付き血管におけるわずかな曲がりは正常であり、そのため、近似により任意に推定される以外は、単一の円筒軸を持たないことは留意される。この曲げは、三次元であり得る(例えば、心臓の表面に沿って湾曲するだけでなく表面に従って曲がる)。一部の実施の形態では、短縮法のための対応する費用関数成分は、任意選択的に、単一の近似特徴定義された軸(例えば、ステント付き血管の近似円筒の長手方向軸)または平面(例えば、最適合平面)である。任意選択的に、費用関数成分は、ステント付き血管の複数のセグメント方位について計算され、共同で(例えば、任意に重み付けされた和で)考慮される。
【0212】
視る角度選択を実施するシステム
次に、本開示の一部の実施の形態による、視る角度選択を実施するように構成されたシステムを概略的に示す
図14を参照する。
【0213】
コンピュータ処理装置1408は、一部の実施の形態では、本開示の実施の形態を実施するためにプログラミングすることによって構成される1つ以上の計算デバイス、例えば、
図1A-13Hのいずれか1つ以上に関して説明される任意の1つ以上の視る角度選択実施の形態を含む。
【0214】
処理装置1408は、例えば、スタンドアロンコンピュータ、コンピュータサーバ、コンピュータ化されたサーバ-クライアントシステム、またはこの図にさらに記述された装置接続および機能性を集合体で提供するサブデバイスの任意の他の適切な配置として実装される。
【0215】
この図のブロックは、そのセットのオペレーションがその特定の機能の使用を必要としない限り、任意の特定の動作セットに対して任意であることを理解すべきである。例えば、処理装置1408が撮像装置ポジショナ1410の操作により視る角度を自動的に設定する動作では、ユーザインタフェース1402は任意である。それにもかかわらず、ユーザインタフェース1402は、例えば、自動的に実行される前に動作を確認するために、および/またはユーザを新しいデバイス位置情報で更新するために、この動作に関与してもよい。
【0216】
ユーザインタフェース1402は、一部の実施の形態では、処理装置1408に機能的に接続されている。一部の実施の形態では、ユーザインタフェース1402は、ポインタコントローラおよび/またはキーボードのようなスクリーンおよび入力デバイスを含む標準的なコンピュータ使用インタフェースコンポーネントを使用する。ユーザインタフェース1402は、例えば、次の1つ以上のものを実行するように構成されている。
・ユーザに画像、例えば、処理装置1408によって選択された視る角度からの画像、を示す。
・ユーザに選択肢を提示する(例えば、処理および/または撮像のための1つ以上のアクションの中から確認および/または選択するための選択肢)。
・ユーザからの選択を受け付ける(例えば、制御オプションをユーザに示すこと、および、選択および/または確認のようなコマンドを受け入れること)。
【0217】
撮像装置1406は、一部の実施の形態では、血管造影画像の形成のための放射エネルギーを捕捉するために使用される撮像デバイスを含む。一部の実施の形態では、撮像装置1406は、X線カメラである。一部の実施の形態では、撮像装置1406からの画像は、画像記憶装置1404に記憶される。一部の実施の形態では、撮像装置1406は、処理装置1408の制御の下で動作可能である。
【0218】
画像記憶装置1404は、一部の実施の形態では、撮像装置1406によって得られた画像、前の撮像セッション中に他の撮像装置によって得られた画像、および/または処理装置1408によって実行される画像分析動作によって全体的または部分的に生成された画像、のデータ表現を保持する揮発性または不揮発性メモリを含む。一部の実施の形態では、画像記憶装置1404で利用可能な画像の視る角度は、処理装置1408の操作によって視る角度が選択される利用可能な視る角度の範囲を規定する。
【0219】
撮像装置ポジショナ1410は、一部の実施の形態では、特定の視る角度から画像を得るために、撮像装置1406の位置を設定するように動作可能なアクチュエータ、電機子、および/または他の機械的デバイスを含む。一部の実施の形態では、撮像装置ポジショナ1410は、撮像装置1406の搭載を受け入れるカメラマウントを含む。搭載された撮像装置1406は、視る角度の範囲全体にわたって移動させることができる(例えば、旋回、スライド、または撮像装置ポジショナ1410の他の動き)。任意選択的に、撮像装置位置の移動は、処理装置1408の制御および/またはモニタリングの下にある。一部の実施の形態では、処理装置1408によって決定および/または選択された視る角度は、撮像装置1406が決定されたおよび/または選択された視る角度に位置するように、撮像装置ポジショナ1410を制御するために使用される。
【0220】
本明細書で使用されているように、量または値を参照して、“約”という用語は、“±10%以内”を意味する。
【0221】
用語“より成る”、“を備える”、“含む”、“含めて”、“有する”およびそれらの活用形は、“含むが制限されない”を意味する。
【0222】
用語“から成る”は“含み制限される”を意味する。
【0223】
用語“本質的に構成された”は、組成物、方法または構造が、追加の成分、工程および/または部品を含みうることを意味するが、追加の成分、工程および/または部品が、特許請求された組成物、方法または構造の基本的および新規な特徴を実質的に変更しないことを意味する。
【0224】
本明細書で使用される場合、単数形は、文脈が他の点で明確に指示しない限り、複数の参照を含む。例えば、用語“化合物”または“少なくとも1つの化合物”は、それらの混合物を含む複数の化合物を含むことができる。
【0225】
本明細書では、単語“代表例”および“典型的”を、“例、実例または例証”を意味するために使用する。“代表例”および“典型的”として説明される任意の実施の形態は、他の実施の形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、および/または、他の実施の形態からの特徴の組み込みを排除するものであると解釈されるべきではない。
【0226】
単語“任意に”は、本明細書では、“一部の実施の形態で提供され、他の実施の形態では提供されない”ことを意味する。本開示の任意の特定の実施の形態は、そのような特徴が競合する限りを除いて、複数の“任意の”特徴を含むことができる。
【0227】
本明細書で使用されるように、用語“方法”とは、やり方、手段、技術および手順を制限することなく含む所与のタスクを達成するためのやり方、手段、技術および手順を意味し、これらのやり方、手段、技術および手順は、既知であるか、または化学的、薬理学的、生物学的、生化学的および医療分野の専門家によって容易に開発される。
【0228】
本明細書で使用される場合、用語“治療”は、状態の進行を阻止、実質的に抑制、減速または逆転させ、状態の臨床的または審美的な症状を実質的に改善するか、または状態の臨床的または審美的な症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0229】
この出願を通じて、実施の形態は、範囲形式を参照して提示されてもよい。範囲形式の説明は単に便宜および簡潔のためのものであり、本開示の説明の視野の非柔軟な制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。従って、範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な部分範囲を具体的に開示していると考えられるべきである。例えば、“1から6まで”のような範囲の説明は、その範囲内の個々の番号、例えば、1、2、3、4、5、6と同様に、具体的に開示された部分範囲、例えば、“1から3まで”、“1から4まで”、“1から5まで”、“2から4まで”、“2から6まで”、“3から6まで”等の範囲を有すると考えられるべきである。これは、その範囲の幅に関係なく適用される。
【0230】
数値範囲(例えば、"10-15"、"10-15"、またはこれらの他の範囲の指示によってリンクされた任意の対の数)がここで示されているときはいつでも、文脈が他の点で明確に指示しない限り、範囲制限を含む、指定された範囲制限内の任意の数(分数または整数)を含むことを意味する。第1の指示番号と第2の指示番号“にわたる/に及んでいる/の間”の語句と、第1の指示番号“から”第2の指示番号“まで/まで及ぶ/にわたる/いっぱいまで”は、ここでは交換可能に使用され、第1および第2の指示番号およびそれらの間の全ての分数および整数を含むことを意味する。
【0231】
本開示の説明は特定の実施の形態と関連して提供されるが、当業者には多くの代替、変更および変形が明らかであろうことは歴然としている。従って、添付の特許請求の範囲の精神および広い視野内に入る全てのこのような代替、変更および変形を包含することが意図されている。
【0232】
本明細書に記載されている全ての刊行物、特許および特許出願は、本明細書中に、個々の刊行物、特許または特許出願の各々が特に参照により本明細書に組み込まれるように個別に示された場合と同じ程度に、本明細書中に参考として援用される。加えて、この出願における任意の参照の引用または識別は、このような参照が本開示の先行技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されるべきではない。セクション見出しが使用される程度に、それらは必ずしも限定的に解釈されるべきではない。さらに、本出願のいずれの優先順位文書も、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0233】
明確にするために、別個の実施の形態の文脈における本開示に記載されている特定の特徴は、単一の実施の形態で組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔さのために単一の実施の形態の文脈で説明されている、様々な特徴は、別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよく、または本開示の任意の他の記載された実施の形態に適している。様々な実施の形態の文脈で説明されたいくつかの特徴は、実施の形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、これらの実施の形態の本質的な特徴であると考えられるべきではない。
【0234】
[付記1]
複数の血管造影画像を受け取ること、
血管系の血管モデルを受け取ること、
前記血管モデルの対象部分の選択を受け取ること、
前記対象部分について複数の視る角度の費用関数値を定める視る角度の費用関数であって、前記費用関数値が、費用関数閾値の第1の低コスト側に置かれる費用関数値の第1の集合と、費用関数閾値の第2の高コスト側に置かれる費用関数値の第2の集合を含む、視る角度の費用関数を決定すること、
前記費用関数閾値の第1の低コスト側に位置する費用関数値を有する視る角度に対応する血管造影画像を識別することにより、前記血管モデルに適用される前記視る角度の費用関数を用いて、複数の血管造影画像の中から1つの血管造影画像を選択すること、および
前記選択された画像を表示すること、
を備える既存の血管造影画像を選択する方法。
【0235】
[付記2]
前記選択された画像の前記視る角度の前記費用関数値より前記費用関数閾値からの距離差が小さく、かつ、前記費用関数閾値の前記第2の高コスト側にある複数の費用関数値を有する視る角度の集合は、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にある視る角度の集合と少なくとも同じ大きさである、付記1に記載の方法。
【0236】
[付記3]
前記選択された画像の前記視る角度の前記費用関数値より前記費用関数閾値からの差が小さく、かつ、前記費用関数閾値の前記第2の高コスト側にある複数の費用関数値を有する角度の集合は、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にある角度の集合の2倍の大きさである、付記1に記載の方法。
【0237】
[付記4]
前記選択された画像の視る角度は、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にある前記視る角度の費用関数の局所最小値それぞれに対応する、付記1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0238】
[付記5]
前記選択された画像の前記視る角度の前記視る角度の費用関数値は、前記視る角度の費用関数の局所最小値のそれぞれからの距離が同じ値の範囲内にあり、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にとどまる、付記1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0239】
[付記6]
前記選択された画像の前記視る角度は、前記視る角度の費用関数の局所最小値を有する視る角度それぞれからの角度が同じ値の範囲内であり、前記費用関数閾値の前記第1の低コスト側にとどまる、付記1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0240】
[付記7]
前記選択された画像の視る角度に対応する視る角度を選択すること、および、
前記選択した視る角度を用いて新しい画像を取得すること、
をさらに含む付記1に記載の方法。
【0241】
[付記8]
前記選択された画像の前記視る角度に近く、前記選択された画像の前記視る角度からオフセットした、撮像の視る角度を選択することをさらに含み、
前記オフセットの大きさに従ってコストが増大するように修正された視る角度の修正費用関数に従って、前記撮像の視る角度が選択される、付記7に記載の方法。
【0242】
[付記9]
前記選択することはまた、前記画像に示される特徴の特性に基づく、付記1に記載の方法。
【0243】
[付記10]
前記特徴は、前記血管モデルによってモデル化された前記血管系を満たすコントラストの程度である、付記9に記載の方法。
【0244】
[付記11]
前記選択することはまた、前記選択された画像と同じ心拍位相で記録されたさらなる血管造影画像の有用性に基づく、付記1から10のいずれか1項に記載の方法。
【0245】
[付記12]
前記選択することはまた、前記選択された画像の所定の期間に記録されたさらなる画像の有用性に基づく、付記1から11のいずれか1項に記載の方法。
【0246】
[付記13]
前記選択された画像および前記さらなる画像は合わせて血管撮影映画を構成する、付記12に記載の方法。
【0247】
[付記14]
前記視る角度の費用関数は、第1の平面の中での回転を規定する第1の角度軸に沿ったオフセットに起因して短縮することに科すペナルティーを、前記第1の平面に垂直な第2の平面の中での回転を規定する第2の角度軸に沿ったオフセットに起因して短縮することに科すペナルティーより軽減する、付記1に記載の方法。
【0248】
[付記15]
前記対象部分は、長手方向の軸を規定する血管のセグメントを構成し、前記第1の平面は前記血管のセグメントに垂直である、付記14に記載の方法。
【0249】
[付記16]
前記第1の角度軸に沿った前記費用関数の領域は、前記第2の角度軸に沿った前記費用関数の領域の値の範囲内の値を有する、付記14または15に記載の方法。
【0250】
[付記17]
前記視る角度の費用関数は、前記対象部分の短縮することを最小にする前記対象部分に垂直な方向に基づいて規定され、前記垂直な方向からのオフセット角度は短縮することを増大させる、付記1から16のいずれか1項に記載の方法。
【0251】
[付記18]
前記視る角度の費用関数は、前記対象部分と前記血管モデルの他の部分との視重複(view overlap)が増加するにつれてコストが増加するように算出される、付記1に記載の方法。
【0252】
[付記19]
前記視る角度の費用関数は、視る角度が血管の機能が低下している前記血管モデルの範囲をより明瞭に示すにつれてコストが減少するように算出される、付記1に記載の方法。
【0253】
[付記20]
前記血管の機能の低下は、前記血管モデルの複数の部分について算出されたFFR値に基づいて規定される、付記19に記載の方法。
【0254】
[付記21]
前記範囲をより明瞭に示すことは、前記範囲と前記血管モデルの構造との重複を削減させること、および、前記範囲の短縮することを削減させること、の1つ以上を備える、付記20に記載の方法。
【0255】
[付記22]
前記対象部分は血管の病変を含む、付記1に記載の方法。
【0256】
[付記23]
前記血管の病変は、血管の分岐点で分離された血管の複数のセグメントに分散している、付記22に記載の方法。
【0257】
[付記24]
前記対象部分は、血管の病変の位置によって識別される血管の複数の分岐を含む、付記22に記載の方法。
【0258】
[付記25]
前記血管モデルは、動脈の血管系を形作り、前記血管の分岐は前記血管の病変の下流の分岐である、付記24に記載の方法。
【0259】
[付記26]
前記対象部分は、第一の対象と第二の対象を含む、付記1に記載の方法。
【0260】
[付記27]
前記対象部分は、血管のステントを含む、付記1に記載の方法。
【0261】
[付記28]
前記視る角度の費用関数を決定することは、それに亘って血管系が広がる表面を表す外皮を計算することを含む、付記1に記載の方法。
【0262】
[付記29]
前記外皮は実質的に卵形の表面を備える、付記28に記載の方法。
【0263】
[付記30]
前記卵形の表面は、前記卵形の幾何学的中心に関して少なくとも135°で互いに分離している前記血管モデルの部分の間で定義される、付記29に記載の方法。
【0264】
[付記31]
前記血管モデルで形作られる血管系は、心臓動脈の血管系の部分を含む、付記1に記載の方法。
【0265】
[付記32]
前記血管系のFFRを計算するために、前記血管モデルとともに前記選択された画像を使用することをさらに含む、付記31に記載の方法。
【0266】
[付記33]
付記1に記載の方法を実行するように設計されたプロセッサとメモリ。
【0267】
[付記34]
前記視る角度の費用関数は、前記対象部分の短縮法に対する第1の加重と、前記対象部分に関する血管系の特徴の重複に対する第2の加重を含む、付記1に記載の方法。
【0268】
[付記35]
血管系の血管モデルを受け取ること、
前記血管モデルの対象部分の選択を受け取ること、
前記対象部分を視るための視る角度を決定すること、および、
前記対象部分の撮像に用いるために前記視る角度を提供すること、
を備え、
前記視る角度を決定することは、
それに亘って前記血管系が広がる表面を表す外皮を前記血管モデルを用いて計算すること、および、
前記対象部分が広がる表面部分で前記外皮に垂直な方向を決定すること、
を含む、
画像の視る角度を選択する方法。
【0269】
[付記36]
前記外皮は、実質的に卵形の表面を備える、付記35に記載の方法。
【0270】
[付記37]
前記卵形の表面は、前記卵形の幾何学的中心に関して少なくとも135°で互いに分離している前記血管モデルの部分の間で定義される、付記36に記載の方法。
【0271】
[付記38]
血管系の血管モデルを受け取ること、
前記血管モデルの対象部分を選択すること、
前記対象部分を視るための視る角度を決定すること、および
前記対象部分の撮像に用いるために前記視る角度を提供すること、
を備え、
前記視る角度を決定することは、前記対象部分の短縮することに2つの垂直な角度の軸で異なって重み付ける、費用関数を評価することを含み、
前記提供される視る角度は、前記2つの垂直な軸の少なくとも1つで前記対象部分を短縮する、
画像の視る角度を選択する方法。
【0272】
[付記39]
前記短縮することは、視る角度に依存する前記対象部分の撮像長さの短縮を含み、
前記撮像長さは前記対象部分の縦軸に沿って延び、
前記撮像長さは縦軸に沿った前記対象部分の実際の長さに比例して短縮される、
付記38に記載の方法。
【0273】
[付記40]
血管系の血管モデルを受け取ること、
前記血管モデルの対象部分の選択を受け取ること、
前記対象部分を視るための視る角度を決定すること、および、
前記対象部分の撮像に用いるために前記視る角度を提供すること、
を備え、
前記視る角度を決定することは、
前記対象部分が広がる面の一部の前記対象に垂直な方向を決定すること、および、
前記垂直な方向を有する角度軸を含む平面であって、前記角度軸は、当該平面の範囲内から見たときに前記対象部分の縦軸を短縮することが最小になる、平面を決定すること、
を含み、
前記提供された視る角度は、前記平面の範囲に垂直な方向からオフセットし、視る角度からは、前記血管モデルの他の部分との対象部分の重なりが除去される、
画像の視る角度を選択する方法。
【0274】
[付記41]
前記提供された視る角度は、前記垂直な方向から最小の距離、オフセットし、視る角度からは、血管モデルの他の部分との対象部分の重なりが除去される、付記40に記載の方法。