(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】地熱生産監視システム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
E21B 43/00 20060101AFI20240805BHJP
E21B 47/06 20120101ALI20240805BHJP
【FI】
E21B43/00 C
E21B47/06
E21B43/00 B
(21)【出願番号】P 2021559268
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 US2020026740
(87)【国際公開番号】W WO2020206368
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-04-03
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502210208
【氏名又は名称】シュルンベルジェ テクノロジー ビー ブイ
【氏名又は名称原語表記】Schlumberger Technology B.V.
【住所又は居所原語表記】Parkstraat 83-89,2514 JG The Hague,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】トゥーサン シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ジー ユ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョリヴェ ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】シェ チェン-ガン
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-019488(JP,A)
【文献】特開昭60-148991(JP,A)
【文献】特開昭60-030498(JP,A)
【文献】国際公開第2016/048801(WO,A1)
【文献】特開昭63-246403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0134275(US,A1)
【文献】特開2000-265806(JP,A)
【文献】特開2014-081214(JP,A)
【文献】特開平09-257704(JP,A)
【文献】特開2007-171025(JP,A)
【文献】特公昭46-019830(JP,B1)
【文献】実開昭50-063055(JP,U)
【文献】実開昭60-025920(JP,U)
【文献】特表2003-506603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0347338(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00
E21B 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産出井と、
注入井と、
前記産出井からの蒸気を含む多相流体の生産を制御するためのダウンホールポンプまたはダウンホールコンプレッサと、
前記多相流体を前記産出井から輸送するための第1の流体導管と、
前記第1の流体導管の下流に配置された表面ポンプと、
第2の流体導管であって、前記表面ポンプが当該第2の流体導管を介して前記注入井内に水を注入する、第2の流体導管と、
前記第1の流体導管に流体結合された流量計と、
プロセッサであって、前記流量計によって生成される流体特性データに応じて、(a)前記ダウンホールポンプもしくは前記ダウンホールコンプレッサ、または、(b)前記表面ポンプ、の少なくとも1つを制御する、プロセッサと、
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1の流体導管に結合されたヒータ
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流量計は、第1の流量計及び第2の流量計を含み、
前記多相流体は、前記ヒータに曝された後に前記第2の流量計を通って流れ、
前記プロセッサは、前記第1の流量計によって生成される前記流体特性データの1または複数に応じて、または、前記第2の流量計によって生成される流体特性データに応じて、前記ヒータによって生成される熱の量を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流量計は、放射線源及び放射性光子信号検出器を含み、
前記放射線源は、前記第1の流体導管を通して放射性光子信号を放出し、
前記プロセッサは、前記放射性光子信号検出器によって検出される前記放射性光子信号の強度に基づき、前記第1の流体導管の作動状況を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の流体導管の前記作動状況は、前記第1の流体導管内のスケール付着、または、前記第1の流体導管の腐食を示す
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記流体特性データに基づき、前記多相流体の前記蒸気の流量、前記多相流体内の液体の水の流量、前記多相流体の蒸気の品質、または、前記多相流体のエンタルピー、の1または複数を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記流量計は、
前記第1の流体導管に沿う第1の位置に配置された第1の圧力センサと、
前記第1の流体導管に沿う第2の位置に配置された第2の圧力センサと、
前記第1の流体導管に沿う第3の位置に配置された温度センサと、
を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の流体導管は、差圧生成デバイスを含み、
(a)前記第1の圧力センサは前記差圧生成デバイスの上流に配置され、及び、前記第2の圧力センサは前記差圧生成デバイスのスロート領域もしくは前記差圧生成デバイスの下流に配置され、または、
(b)前記第1の圧力センサは前記差圧生成デバイスの前記スロート領域に配置され、及び、前記第2の圧力センサは前記差圧生成デバイスの下流に配置される
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記放射線源及び前記検出器は、前記差圧生成デバイスの上流、前記差圧生成デバイスのスロート領域、または、前記差圧生成デバイスの下流、に配置されている
ことを特徴とする請求項4に従属する請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記放射線源及び前記検出器は、前記第2の圧力センサの下流に配置されている
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
プロセッサで命令を実行することにより、流体導管に結合された流量計によって生成されるセンサデータに基づき、前記流体導管を通って流れる多相生産流体内の蒸気の特性を判定する工程
を備えた方法であって、
前記生産流体は、ダウンホールポンプまたはダウンホールコンプレッサの少なくとも1つを含む産出井を介して生成され
、
当該方法は、更に、
前記プロセッサで命令を実行することにより、前記蒸気の前記特性に応じて、(a)ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプ、の少なくとも1つに関するコマンドを判定する工程と、
前記プロセッサで命令を実行することにより、(a)前記ダウンホールポンプもしくは前記ダウンホールコンプレッサ、または、(b)前記表面ポンプ、の前記少なくとも1つに前記コマンドを送信して、前記蒸気の前記特性を調整させる工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記特性は、前記センサデータに基づく、前記多相流体内の前記蒸気の流量、前記多相流体の蒸気の品質、または、前記多相流体のエンタルピー、の1または複数を含む
ことを特徴とする請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記センサデータは、前記流体導管を通して放出される電磁放射信号の強度の測定値を含み、
前記強度の測定値に基づき、前記流体導管の作動状況を判定する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記コマンドは、第1のコマンドであり、
(a)前記ダウンホールポンプもしくは前記ダウンホールコンプレッサ、または、(b)前記表面ポンプ、の前記少なくとも1つに関する第2のコマンドを判定する工程
を更に備え、
前記第2のコマンドは、前記流体導管の前記作動状況に応じて、前記多相生産流体の流れの調整を生じさせる
ことを特徴とする請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記コマンドは、第1のコマンドであり、
当該方法は、
ヒータに関する第2のコマンドを生成する工程
を更に備え、
前記第2のコマンドは、前記ヒータによって生成される熱の量を調整させ、
前記多相
生産流体は、前記流体導管を介して前記ヒータにさらされる
ことを特徴とする請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願]
本特許出願は、2019年4月4日に出願された、米国仮特許出願第62/829,436号、及び2019年4月4日に出願された米国仮特許出願第62/829,490号の利益を主張する。米国仮特許出願第62/829,436号及び米国仮特許出願第62/829,490号は、本明細書により、それらの全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる。米国仮特許出願第62/829,436号及び米国仮特許出願第62/829,490号に対する優先権は、本明細書によって主張される。
【0002】
[技術分野]
本開示は概して地熱エネルギ生成に関し、より詳細には、地熱生産監視システム及び関連する方法に関する。
【0003】
地熱リザーバは、生産流体で取得することができ、産業用途のためのエネルギ源として使用することができる水蒸気を生成する。蒸気の品質及びエネルギ容量の評価は、専用のデバイスによる生産流体の流体の分離に基づく場合があり、それにより、水蒸気の相と液体の水の相とが単一相の各流れに関して別々に測定されるようになっている。生産流体内の蒸気を評価するための他の既知の方法には、2相の生産流内に、定常状態の条件下で、既知の割合で、液体及び気体の特定相のトレーサを注入することが含まれる。2相のサンプルは、トレーサの注入ポイントの下流で収集される。各相内のトレーサの濃度は、個別の相の流量及び生産エンタルピーを判定するために、総流量の測定とともに使用される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示のいくつかの実施形態の特定の態様は、以下に説明される。これら態様が、本発明が取り得る特定の形態の簡単な概要を読み手に提供するためにのみ提供されたものであること、及び、これら態様が本発明の範囲を制限することは意図されていないことを、理解されたい。むしろ、本発明は、以下に説明されていない場合がある様々な態様を包含する場合がある。
【0005】
例示的なシステムは、産出井と、注入井と、産出井からの蒸気を含む多相流体の生産を制御するためのダウンホールポンプまたはダウンホールコンプレッサと、多相流体を産出井から輸送するための第1の流体導管と、第1の流体導管の下流に配置された表面ポンプと、第2の流体導管と、を含んでいる。表面ポンプは、第2の流体導管を介して注入井内に水を注入するためのものである。流量計は、第1の流体導管に流体結合されている。例示的なシステムは、第1の流量計によって生成された流体特性データに応じて、(a)ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプの、少なくとも1つを制御する、プロセッサを含んでいる。
【0006】
例示的な方法は、プロセッサで命令を実行することにより、流体導管に結合された流量計によって生成されたセンサデータに基づき、流体導管を通って流れる多相生産流体内の蒸気の特性を判定することであって、生産流体が、ダウンホールポンプまたはダウンホールコンプレッサの少なくとも1つを含む産出井を介して生成される、判定することと、プロセッサで命令を実行することにより、蒸気の特性に応じて、ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプの、少なくとも1つに関するコマンドを判定することと、プロセッサで命令を実行することにより、(a)ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプの、少なくとも1つにコマンドを送信して、蒸気の特性を調整させることと、を含んでいる。
【0007】
例示的な装置は、流体導管に沿う第1の位置に配置された第1の圧力センサと、流体導管に沿う第2の位置に配置された第2の圧力センサと、流体導管に沿う第3の位置に配置された温度センサと、電磁放射信号を放出する、流体導管に結合された放射線源と、電磁放射信号を検出し、検出に基づき、信号検出データを生成する、流体導管に結合された検出器と、を含む流量計を含んでいる。例示的な装置は、第1の圧力センサによって生成された圧力データ、第2の圧力センサによって生成された圧力データ、温度センサによって生成された温度データ、及び検出器によって生成された信号検出データに基づき、流体導管内を流れる多相流体の特性を判定するプロセッサを含んでいる。
【0008】
別の例示的な装置は、流体導管と、第1の波長での第1の光及び第2の波長での第2の光を放出する第1の光源と、を含む流量計を含んでいる。第1の光及び第2の光は流体導管を通過することになる。例示的な装置は、(a)流体導管を通過する第1の光を検出し、第1の光の検出に応じて第1の透過率データを生成することと、(b)流体導管を通過する第2の光を検出し、第2の光の検出に応じて第2の透過率データを生成することと、を行う第1の光検出器を含んでいる。例示的な装置は、第1の透過率データ及び第2の透過率データに基づき、流体導管を通って流れる蒸気流内の水の水割合を判定するプロセッサを含んでいる。
【0009】
上述の特徴の様々な改良は、本実施形態の様々な態様に関して存在する場合がある。さらなる特徴が、同様にこれら様々な態様に組み込まれる場合もある。これら改良及びさらなる特徴は、個別に、または任意の組合せで存在する場合がある。たとえば、図示の実施形態に関連して以下に論じる様々な特徴は、単独で、または任意の組合せで、本開示の上述の態様のいずれかに組み込まれる場合がある。また、上に提供された簡単な概要は、請求される主題に対する限定を伴わずに、読み手に、いくつかの実施形態の特定の態様及び文脈に親しませることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の教示に係る、多相流量計(MPFM)及び流体分析器を使用して蒸気を含む多相流体の特性を分析するための例示的なシステムを示す図である。
【0011】
【
図2】本開示の教示に係る、多相流量計及び
図1の例示的な流体分析器を使用して蒸気を含む多相流体の特性を分析するための別の例示的なシステムを示す図である。
【0012】
【
図3】本開示の教示に係る、蒸気を含む多相流体の流量及びエンタルピーを判定するための、
図1及び/または
図2の例示的な流体分析器によって実行される例示的なアルゴリズムのフロー図である。
【0013】
【
図4】本開示の教示に係る、多相流量計及び
図1の例示的な流体分析器を使用して蒸気を含む多相流体の特性を分析するための別の例示的なシステムを示す図である。
【
図5】本開示の教示に係る、多相流量計及び
図1の例示的な流体分析器を使用して蒸気を含む多相流体の特性を分析するための別の例示的なシステムを示す図である。
【0014】
【
図6】本開示の教示に係る、流体導管内の流体の相の割合及び蒸気の品質を判定するための例示的な方法のフローチャートである。
【0015】
【
図7】生産流体を搬送するための例示的な生産パイプを示す図である。
【
図8】生産流体を搬送するための例示的な生産パイプを示す図である。
【
図9】生産流体を搬送するための例示的な生産パイプを示す図である。
【0016】
【
図10】時間に対する放射線放射強度をプロットしているグラフである。
【0017】
【
図11】本開示の教示に係る、生産パイプの動作状況を判定するための例示的な方法のフローチャートである。
【0018】
【
図12】本開示の教示に係る、流体の相の割合及び蒸気の品質を監視するための例示的なシステムの図である。
【0019】
【
図13】本開示の教示に係る、流体の相の割合及び蒸気の品質を監視するための別の例示的なシステムの図である。
【0020】
【
図14】本開示の教示に係る、流体の相の割合及び蒸気の品質を監視するための例示的な方法のフローチャートである。
【0021】
【
図15】本開示の教示に係る、例示的な地熱生産システムの図である。
【0022】
【
図16】本開示の教示に係る、地熱生産システム内の蒸気生成を最適化させるための例示的な方法のフローチャートである。
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
各図は拡縮されていない。概して、同じ参照符号が、同じであるか同様のパーツを参照するために、図(複数可)及び付随する記載された詳細を通して使用されることになる。
【0025】
本開示が、様々な実施形態の様々な特徴を実施するために、多くの異なる実施形態、または実施例を提供することを理解されたい。構成要素及び配置の特定の実施例が、説明の目的のために、また、本開示をシンプルにするように、以下に記載される。当然、これらは実施例に過ぎず、限定的であることは意図されていない。
【0026】
様々な実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、1または複数の要素が存在することを意味することが意図されている。「備えている」、「含んでいる」、及び「有している」との用語は、包括的であることが意図され、列挙されている要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味している。さらに、「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」、他の方向の用語、及びこれら用語の変形形態のあらゆる使用は、便宜的に行われるものであり、構成要素のあらゆる特定の向きを指示するものではない。
【0027】
「第1の」、「第2の」、「第3の」などの記述語は、別々に参照される場合がある複数の要素または構成要素を識別する場合に本明細書で使用される。使用のそれらの文脈に基づいて別様に特定されるか理解されない限り、そのような記述語は、優先度、リスト内の物理的順番もしくは配置、または時間的順番のあらゆる意味を負わせることは意図されておらず、開示の実施例の理解を容易にするために、複数の要素または構成要素を別々に参照するためのラベルとして単に使用される。いくつかの実施例では、記述語「第1の」は、詳細な説明においてある要素を参照するために使用される場合があるが、同じ要素が、「第2の」または「第3の」などの異なる記述語で、請求項において参照される場合がある。そのような例では、そのような記述語が、複数の要素または構成要素の参照を容易にするために単に使用されるものであることを理解されたい。
【0028】
地熱リザーバは、地熱エネルギ回収の一部として、生産流体の形態で取得することができる水蒸気を生成する。生産流体は、通常、水蒸気と液体の水とを含む2相の流体であり、いくつかの実施例では、極微量のミネラル及び/または化学物質を含んでいる。地熱井によって生成された蒸気は、発電、採掘、産業上の作業など、様々な用途で使用することができる。蒸気の特性の監視は、地熱リザーバにおいて蒸気の生成を最適化するために使用することができる。
【0029】
生産流体エンタルピーは、2相の地熱井のリソースに関する重要な性能のインジケータである。正確かつ最新のエンタルピー測定が、地熱リソースの開発及び利用において重要である。さらに、エンタルピーの変化は、しばしば、地熱リザーバの状況の変化の第1のサインである。したがって、エンタルピーの監視は、地熱リザーバ管理プログラムの基礎としての役割を果たすことができる。蒸気の品質、または、蒸気及び液体の水の総質量流量に対する水蒸気の流れの質量流量の割合は、地熱リザーバの性能に関して監視することができる別の特性である。
【0030】
生産エンタルピーは、2相の生産流体内の水蒸気と液体の水との個別の流量の関数として判定することができる。水蒸気及び液体の流量の測定値を判定するためのいくつかの既知の方法は、相を分離するための専用のデバイスによる流体の分離に基づいている。そのような既知の実施例では、水蒸気の相の流量と液体の水の相の流量とが、単一相の流れに関して個別に測定される。水蒸気及び液体の流量の測定値を測定するための他の既知の実施例は、液体及びガスのトレーサを、定常状態の条件下で多相の生産流体のそれぞれの相に注入することを含んでいる。各相のサンプルは、トレース注入位置の下流で収集される。サンプルは、流量及びエンタルピーなどの特性を判定するために使用され、また、オペレータ(複数可)による生産システムの手動での調整を引き起こすために使用され得る。しかし、トレーサ技術には、現場で収集され、化学的分析のために研究所に輸送されるサンプルが必要である。このため、測定は、断続的にのみ実施される場合があり、結果は、サンプル収集時間の後に遅れて利用可能である。さらに、そのような周期的な測定は、複雑なリザーバプロセスを最適化するための十分な情報を提供しない。
【0031】
生産流体を搬送する生産パイプの表面の状況も、蒸気の特性に影響し得る。たとえば、堆積物またはスケールの蓄積が、蒸気を搬送するパイプ内で経時的に発生する場合がある。地熱生産パイプは、極微量のミネラル及び/または化学物質を伴う、蒸気と水とを含む2相の流体に曝される。産出井内の微量のミネラル/化学物質の組成に応じて、スケールが地熱配管内に堆積し、蓄積される場合がある。さらに、配管は、浸食及び腐食のダメージを受けやすく、配管の壁厚の低減に繋がる。
【0032】
スケール、浸食、及び腐食を検出するための既知の方法は、通常、大きい設備を伴い、検出は定期的に行われる。スケール付着を検出するために使用される設備は、浸食及び腐食のダメージを測定するために使用される設備とは異なる場合があり、生産パイプを調査するために、地熱プラントに追加の時間及びコストが生じる。
【0033】
本明細書に開示されているのは、地熱リザーバによって生成された生産流体の、インラインでの監視を提供するための例示的なシステム及び方法である。本明細書に開示の実施例では、監視は、実質的にリアルタイムで(たとえば、流体流れに関するデータの検出の数秒または数分の内に)実施される。本明細書に開示の実施例には、生産流体が生産配管を通って流れる際に、生産流体をそれぞれ液層と蒸気相とに分離することなく、品質、量、及びエネルギ容量などの、蒸気の特性を測定するための多相流量計が含まれる。
【0034】
本明細書に開示のいくつかの例示的な多相流量計は、たとえば、差圧生成デバイス(たとえば、ベンチュリチューブ)、相割合検出器(たとえば、ガンマ線濃度計)、流体圧力センサ(複数可)、及び流体温度センサ(複数可)を含んでいる。多相流量計によって生成されたデータは、混合物の総流量を判定するために使用することができる。開示の実施例は、蒸気の相の割合と混合物の総流量とに基づき、生産流体の各相を分離またはサンプリングすることなく、水蒸気の相と液体の水の相との個別の流量を判定する。本明細書に開示の実施例は、個別の相の流量に基づき、生産流体のエンタルピーを判定する。
【0035】
いくつかの例示的な多相流量計は、多相生産流体の相の割合を判定するために使用される(カウント率)強度データを生成するように、生産パイプを通して高エネルギ光子を放出するための放射線源(たとえば、ガンマ線源)を含んでいる。いくつかの実施例では、高エネルギ光子は、空のパイプを通して定期的に放出され、検出信号の送信された強度が測定される。検出された信号の強度の変化が経時的に監視されて、地熱生産配管のスケール付着及び/または配管のダメージ(たとえば、腐食に起因するパイプの壁厚の低減)を識別する。
【0036】
本明細書に開示の例示的な多相流量計は、蒸気の生成を最適化するために、地熱生産システムで実施することができる。本明細書に開示の実施例では、多相流量計によって生成されたデータは、流体分析器によって処理される。流体分析器は、ポンプ、コンプレッサ、バルブアクチュエータなどの、地熱生産システムの1または複数の構成要素に、(たとえば、有線または無線の通信プロトコルを介して)通信可能に結合されている。多相流量計によって生成されたデータに基づき、流体分析器は、蒸気の生成を最適化するように流量、温度、圧力などを調整するために、地熱生産システムの構成要素(複数可)に命令することができる。
【0037】
図1は、蒸気の品質、量、及びエネルギ容量など、流体導管102(たとえば、パイプ)を通って流れる、水蒸気(蒸気)の相と、少なくとも第2の液体の水の相と、を含む多相生産流体の特性を測定するための例示的なシステム100を示している。例示的なシステム100は、蒸気を含む生産流体を生成する地熱井を含む、地熱生産システムで実施することができる。
【0038】
図1の例示的なシステム100は、多相流量計(MPFM)104を含んでいる。
図1に示すように、MPFM104は流体導管102に流体結合されており、それにより、流体が流体導管102の出口106へ移動する際に、流体導管102の入口105に入る流体がMPFM104を通過するようになっている。本明細書に開示のように、MPFM104は、多相流体の特性を分析するために使用されるデータを生成するセンサ(複数可)を含んでいる。センサ(複数可)には、たとえば、温度センサ(複数可)、圧力センサ(複数可)、差圧センサ(複数可)、マイクロウェーブセンサ(複数可)、光学センサ(複数可)、ガンマ線濃度計(複数可)などが含まれ得る。
【0039】
図1の実施例では、MPFM104のセンサ(複数可)によって生成されたデータは、流体分析器108に送信される。
図1の流体分析器108は、1または複数のプロセッサ(たとえば、ダウンホールプロセッサ(複数可)、表面に位置するプロセッサ(複数可)、エッジ計算デバイス(複数可)、及び/またはクラウドベースのデバイス(複数可)(たとえば、サーバ(複数可)、プロセッサ(複数可)、及び/または仮想マシン(複数可))によって実施され得る。流体分析器108に送信されたデータは、データベース110に貯蔵される。データベース110は、流体分析器108に配置される場合があるか、別の場所に配置され、流体分析器108と通信している場合がある。
【0040】
例示的な流体分析器108は、流体の1または複数の特性を判定するために、MPFM104によって生成されたセンサデータを分析する。例示的な流体分析器108は、計算器112を含んでいる。計算器112は、生産流体の総質量流量、蒸気の質量流量、液体の水の質量流量、相の割合、及び蒸気の品質などの流体の特性を判定するために、センサデータを分析する。計算器112によって生成された結果(複数可)は、データベース110に貯蔵することができる。データベース110は、圧力及び温度の関数としての蒸気及び水の熱力学的特性などの基準データ、及び/または、ガンマ線濃度計のためのものなど、MPFM104に関する流体の較正データをも貯蔵することができる。基準データは、ユーザの入力(複数可)によって規定され得る。
【0041】
例示的な流体分析器108は、蒸気最適化分析器114を含んでいる。本明細書に開示のように、計算器112によって判定される流体の特性に基づき、蒸気最適化分析器114は、たとえば、MPFM104を含む地熱生産システムによって生成された蒸気の品質及び流量を調整するために、命令を生成する。たとえば、蒸気最適化分析器114は、作動速度を増大させるように、地熱井内のダウンホールポンプまたはコンプレッサに関する命令を生成する。この作動速度の増大は、蒸気の生成の増大に繋がる。本明細書に開示のように、いくつかの実施例では、蒸気最適化分析器114は、作動速度を低減させるように、表面水注入ポンプのための命令を生成することができる。この作動速度の低減は、水が注入井に注入される割合が低減されることに繋がり得る。
【0042】
図1の例示的な流体分析器108は、流体導管分析器116を含んでいる。本明細書に開示のように、流体導管分析器116は、流体導管102の内部のスケール付着、及び/または流体導管102の腐食に関する、流体導管102の作動状況を検出するために、MPFM104によって生成されたデータを分析する。いくつかの実施例では、流体導管分析器116は、スケール付着を防止、低減、または最小にするために、蒸気の生成を調整するように、蒸気最適化分析器114と通信する。
【0043】
図1の例示的な流体分析器108は、センサのオペレータ117を含んでいる。センサのオペレータ117は、MPFM104の1または複数の構成要素(たとえば、センサ(複数可)、ガンマ線濃度計(複数可)など)の動作を制御することができるか、較正を促進することができる。センサのオペレータ117は、ユーザの入力(複数可)によって規定され、データベース110に貯蔵された作動ルール(複数可)に基づき、MPFM104を制御する。
【0044】
図1の例示的な流体分析器108は、発信機118を含んでいる。発信機118は、流体分析器108に通信可能に結合された1または複数のデバイス(たとえば、センサ(複数可)、アクチュエータ(複数可)など)への、蒸気最適化分析器114及び/またはセンサのオペレータ117によって生成された命令を促進する。発信機118は、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して、命令を送信する。
【0045】
流体分析器108を実施する例示的な方式が
図1に示されているが、
図1に示されている要素、プロセス、及び/またはデバイスの1または複数は、任意の他の方法で、合わせられる、分けられる、再配置される、省略される、除外される、及び/または実施される場合がある。さらに、
図1の例示的なデータベース110、例示的な計算器112、例示的な蒸気最適化分析器114、例示的な流体導管分析器116、例示的なセンサのオペレータ117、例示的な発信機118、及び/または、より大まかには、例示的な流体分析器108は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/または、ハードウェア、ソフトウェア、及び/またはファームウェアの任意の組合せによって実施される場合がある。このため、たとえば、例示的なデータベース110、例示的な計算器112、例示的な蒸気最適化分析器114、例示的な流体導管分析器116、例示的なセンサのオペレータ117、例示的な発信機118、及び/または、より大まかには、例示的な流体分析器108のいずれかは、1または複数のアナログまたはデジタル回路(複数可)、論理回路、プログラマブルプロセッサ(複数可)、プログラマブルコントローラ(複数可)、グラフィック処理ユニット(複数可)(GPU(複数可))、デジタル信号プロセッサ(複数可)(DSP(複数可))、特定用途向け集積回路(複数可)(ASIC(複数可))、プログラマブル論理デバイス(複数可)(PLD(複数可))、フィールドプログラマブルゲートアレイ(複数可)(FPGA(複数可))、及び/またはフィールドプログラマブル論理デバイス(複数可)(FPLD(複数可))によって実施され得る。純粋にソフトウェア及び/またはファームウェアの実施態様をカバーするように、本特許の装置またはシステムの請求項のいずれかを読む場合、例示的なデータベース110、例示的な計算器112、例示的な蒸気最適化分析器114、例示的な流体導管分析器116、例示的なセンサのオペレータ117、及び/または例示的な発信機118の少なくとも1つは、ソフトウェア及び/またはファームウェアを含む、メモリ、デジタルビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスクなどの非一時的なコンピュータ可読貯蔵デバイスまたは貯蔵ディスクを含むように、本明細書によって明確に規定される。さらにまた、
図1の例示的な流体分析器108は、
図1に示されているものに加えて、またはその代わりに、1または複数の要素、プロセス、及び/またはデバイスを含む場合があり、及び/または、図示の要素、プロセス、及びデバイスのいずれかもしくはすべての2つ以上を含む場合がある。本明細書で使用されるように、「通信している」とのフレーズは、その変形形態を含め、直接的な通信、及び/または、1または複数の中間の構成要素を通しての間接的な通信を包含し、また、直接の物理的な(たとえば有線の)通信、及び/または連続した通信を必要とせず、むしろ、定期的なインターバル、スケジュールが決められたインターバル、非周期的なインターバル、及び/またはワンタイムのイベントでの選択的通信をさらに含む。
【0046】
図2は、流体導管202(たとえば、
図1の流体導管102)を通って流れる多相流体201の特性を測定する例示的なシステム200を示している。例示的なシステム200は、多相流量計(MPFM)204(たとえば、
図1の多相流量計104)を含んでいる。本明細書に開示のように、
図2の実施例では、多相流量計204によって生成されたデータは、流体201の分離またはサンプリングを必要とすることなく、インラインでの状況で、流体201の蒸気と液体の水との、個別の相の流量を測定するために、流体分析器108によって使用される。個別の流量は、流体201のエンタルピーを判定するために使用することができる。
【0047】
図2の例示的なMPFM204には、差圧測定システム205が含まれる。差圧測定システム205は、流体導管202内に圧力差を発生させるための手段を含んでいる。
図2の実施例では、圧力差を発生させるための手段は、ベンチュリチューブ203を含んでいる。他の実施例では、圧力差を発生させるための手段は、オリフィスプレートまたはフローノズルを含むことができる。
【0048】
図2に示すように、ベンチュリチューブ203は、流体導管202に流体結合されており、それにより、流体導管202の入口207と流体導管202の出口211との間を流れる流体201が、ベンチュリチューブ203を通って流れるようになっている。しかし
図2では、流体導管202は垂直に配置されており、他の実施例では、流体導管202、そしてひいてはベンチュリチューブ203は、水平に配置され得る。
【0049】
図2の例示的なMPFM204の差圧測定システム205は、ベンチュリチューブ203のスロート206の上流の第1の位置に配置された第1の圧力センサ208と、ベンチュリチューブ203のスロート206(たとえば、スロート領域)に配置された第2の圧力センサ209と、を含んでいる。
図2の実施例では、第1の圧力センサ208は、ベンチュリチューブ203のスロート206に入る前に流体導管202を通って流れる流体201の圧力を示す圧力データを生成する。第2の圧力センサ209は、流体201がベンチュリチューブ203のスロート206を通って流れる際の流体201の圧力を示す圧力データを生成する。
【0050】
図2の例示的なMPFM204は、流体導管202を通って流れる流体201の温度を示す温度データを生成するための温度センサ210を含んでいる。
【0051】
図2の例示的なMPFM204は、相割合センサ212及び放射線源213を含んでいる。
図2の実施例では、相割合センサ212は、ベンチュリチューブ203のスロート206に、放射線源213とは正反対に配置されている。相割合センサ212、及び放射線源213を含むハウジングは、ベンチュリチューブ203の外側表面に結合されている(たとえば、クランプまたは他の締結具を介して機械的に結合されている)場合がある。本明細書(
図4及び
図5)に開示のように、放射線源213及び相割合センサ212は、流体導管202に沿って、
図2に示す実施例とは異なる位置(たとえば、ベンチュリチューブ203の下流)に配置することができる。
【0052】
相割合センサ212は、放射線源213による放射線の放射に応じて、流体201内の蒸気と水との層の割合を示す信号データを生成する。
図2の実施例では、相割合センサ212は、ガンマ線濃度計である。他の実施例では、相割合センサ212は、マイクロウェーブセンサ、光学(たとえば、赤外)センサ、または超音波センサを含むことができる。そのような実施例では、マイクロウェーブ源、光源、または超音波源が、相割合センサのタイプに基づき、放射線源213の代わりに使用される場合がある。
【0053】
図2の実施例では、圧力センサ208、209によって生成された圧力データ、温度センサ210によって生成された温度データ、及び相割合センサ212によって生成された相割合データは、計算器112による処理のために、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して、流体分析器108に送信される。送信されたデータは、データベース110に貯蔵することができる。
【0054】
図3は、多相生産流体(たとえば、
図2の流体201)の蒸気と液体の水との個別の相の流量、及び流体のエンタルピーを判定するための例示的なアルゴリズム300を示すフロー図である。例示的なアルゴリズム300は、
図1及び
図2の例示的な流体分析器108の計算器112によって実行することができる。
【0055】
ブロック302では、流体分析器108の計算器112が、第1の圧力センサ208と第2の圧力センサ209とのそれぞれによって生成された圧力データ、温度センサ210によって生成された温度データ、ならびに、相割合センサ212によって生成された蒸気と液体の水とに関する相の割合のデータ(α)をデータベース110から回収する。計算器112は、流体導管202から
図2のベンチュリチューブ203に流入する流体201の差圧ΔPvを計算する。ブロック304では、計算器112は、
図1及び
図2のデータベース110に貯蔵された、1または複数の予め規定された水の熱力学的モデル(複数可)を回収する。熱力学的モデル(複数可)は、測定された圧力データPline(たとえば、
図2の第2の圧力センサ209によって測定されたもの)及び、温度センサ210によって測定された温度データTlineの観点から、蒸気の品質(たとえば、蒸気の密度ρs、水の密度ρw、蒸気の質量流量/総質量流量)を相関させるための基準データを含むことができる。
【0056】
ブロック306では、流体分析器108の計算器112は、測定されたライン圧力Pline(たとえば、ベンチュリチューブ203のスロート206に配置された第2の圧力センサ209によって検出された圧力)、温度センサ210によって測定された温度データTline、及び、データベース110に貯蔵された熱力学的モデル(複数可)(たとえば、圧力及び温度の関数としての基準の密度データ)に基づき、流体201内の蒸気と水とに関する個別の相の密度を計算する。計算器112は、
図2の相割合センサ212によって生成された蒸気相の割合のデータαs及び液体の水の相の割合のデータ(1-αs)、及び、蒸気と液体の水とに関する個別の相の密度を使用して、流体に関する混合物の密度
を計算する。
【0057】
ブロック308では、計算器112は、差圧ΔPv及び混合物の密度に基づき、流体に関する総質量流量Qmassを計算する。
式中、Kは、たとえば、差圧生成デバイス(たとえば、ベンチュリチューブ203))の入口直径に対する制限の割合、ベンチュリスロート206などの制限の断面積、及び差圧生成デバイスの放出係数に応じたパラメータである。
【0058】
ブロック310では、計算器112は、相流量の計算モデル(たとえば、気体/液体のスリップモデル)を実行して、蒸気の割合αs及び蒸気の品質
(蒸気の密度ρs、水の密度ρwとする)から、気体の体積率(GVF)を計算し、多相流体の総質量流量Qmassを、多相流体の蒸気の流量を示す、
とする蒸気の質量流量Qsteam(ブロック312)と、多相流体の液体の流量を示す、
とする液体の質量流量Qliquid(ブロック314)とに分割する。
【0059】
ブロック316では、計算器112は、蒸気の質量流量Qsteam及び液体の質量流量Qliquidを使用して、蒸気及び液体の水を含む多相生産流体のエンタルピーHtotFlowを判定する。
図3の実施例では、蒸気と液体の水との個別の流量Qsteam、Qliquid、及び、蒸気と水との個別のエンタルピー(基準熱力学的モデル(複数可)に基づいて判定される)が、蒸気/液体の水の混合物のエンタルピーを判定するために使用される。
【0060】
このため、
図3の例示的なアルゴリズム300は、相の割合と、多相生産流体の蒸気相及び液体の水の相の対応する密度との間の相関関係を使用して、蒸気と液体の水とに関する個別の流量を判定する。本明細書に開示のように、個別の蒸気と液体の水との流量から生成されたエンタルピーの測定値が、発電などの個別の操作に関する蒸気の生成を最適化するために、例示的な流体分析器108の蒸気最適化分析器114によって使用される。
【0061】
図4は、多相生産流体内の蒸気の状態と、流体を搬送する地熱生産パイプまたは配管401の作動状況とを監視するための例示的なシステム400を示している。例示的なシステム400は、流体導管404を通って流れる流体を監視するための多相流量計(MPFM)402(たとえば、
図1のMPFM104)を含んでいる。流体導管404は、それぞれの接続インターフェース403を介して地熱生産パイプ401に結合されている。接続インターフェース403は、流体導管404を地熱生産パイプ401の流路に挿入することを可能にするために、フランジ、クランプ、または他の機械的締結具(複数可)を含むことができる。他の実施例では、流体導管404は、接続インターフェース403を介して、地熱生産パイプ401にねじ山で固定するか溶接される。
【0062】
図4の流体導管404は、差圧生成デバイス405、または、流体導管404内を流れる流体内に圧力差を生じさせるための手段を含んでいる。差圧生成デバイス405は、ベンチュリチューブ(たとえば、
図2のベンチュリチューブ203)、フローノズル、オリフィスプレート、またはピトー管を含むことができる。フローノズルは、
図4の実施例に示されている。また、
図4の実施例では、流体導管404が水平に配置されているが、他の実施例では、流体導管404は、垂直に配置され得る。
【0063】
図4の例示的なMPFM402には、差圧測定システム406が含まれている。
図4の実施例では、差圧測定システム406は、流体が差圧生成デバイス405を通って流れる前の流体に関する圧力データを生成するための第1の圧力センサ408と、差圧生成デバイス405を通って流れる流体に関する圧力データを生成するための第2の圧力センサ410と、を含んでいる。
【0064】
図4の実施例は、流体導管404を通って流れる流体に関する温度データを生成するための温度センサ412を含んでいる。圧力センサ408、410によって生成された圧力データ、及び温度センサ412によって生成された温度データは、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して流体分析器108に送信され、データベース110に貯蔵される。
【0065】
図4の例示的なMPFM402には、電磁放射測定システム414(たとえば、ガンマ線濃度計)が含まれている。電磁放射測定システム414は、流体導管404内の流体の容量を判定するための手段を提供する。具体的には、電磁放射測定システム414は、流体内の原子と、放射線源によって放出された光子との間の相互作用に起因して、電磁放射測定システム414の放射線源によって放出された電磁放射信号(たとえば、ガンマ線光子信号)の減衰を測定する。
図4の実施例では、電磁放射測定システム414は、流体導管404の差圧生成デバイス405の下流に配置されている。電磁放射測定システム414は、差圧生成デバイス405の上流などの他の位置に配置することができる。
【0066】
図5は、電磁放射測定システム414を含む、
図4の流体導管404及びMPFM402の一部を示している。
図5に示すように、電磁放射測定システム414は、ハウジング502に配置された放射線源500を含んでいる。ハウジング502は、流体導管404の外側表面に結合されている(たとえば、クランプ(複数可)または他の締結具(複数可)を介して機械的に結合されている)。ハウジング502は、放射線源500によって放出された電磁放射信号(複数可)(たとえば、ガンマ線)を平行にする(たとえば、狭める)コリメータを含むことができる。放射線源500によって放出された電磁放射信号(複数可)は、
図5の線504によって示すように、流体導管404にわたって伝達される。
【0067】
図4及び
図5の例示的な電磁放射測定システム414は、ハウジング502とは反対側(たとえば、放射線源500から180°)の流体導管404の外側表面に結合された(たとえば、クランプ(複数可)または他の締結具(複数可)を介して機械的に結合された)シンチレーション検出器506を含んでいる。シンチレーション検出器506は、電磁放射信号(たとえば、送信されたガンマ線光子)を電気信号データに変換する。シンチレーション検出器506は、たとえば、放射線源500によって放出され、流体導管404を通過するガンマ線の強度を測定する。シンチレーション検出器506によって測定されたデータを使用して、
図2及び
図3に関して開示のように、流体導管404内の流体の相の割合を判定することができる。いくつかの実施例では、流体導管404の少なくとも一部は、電磁放射測定システム414の構成要素(たとえば、ハウジング502、シンチレーション検出器506)を、生産流体によって生成される熱から保護するために、断熱材料でコーティングされている。
【0068】
図4及び
図5の電磁放射測定システム414によって生成されたデータは、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して流体分析器108に送信される。
図4及び
図5の実施例では、流体分析器108は、圧力センサ408、410によって生成された圧力データ、温度センサ412によって生成された温度データ、ならびに、
図4及び
図5の電磁放射測定システム414によって生成されたデータを使用して、流体導管404を通って流れる流体を分析する。たとえば、流体分析器108の計算器112は、
図3の例示的なアルゴリズム300に関して開示したように、水または蒸気の割合、流体の総流量、個別の相の流量、及びエンタルピーを計算することができる。
【0069】
いくつかの実施例では、流体分析器108の計算器112は、電磁放射信号の減衰に基づき、流体導管404内の流体の容量のレベルまたは体積率(相の割合α)を判定する。
図6は、
図4及び
図5の流体導管404などの流体導管内の流体の容量を判定するための例示的な方法600のフローチャートである。ブロック602では、
図4及び
図5の例示的な電磁放射測定システム414の放射線源500は、流体分析器108のセンサのオペレータ117によって生成された命令に基づき、流体が内部を通っていない場合に
図4及び
図5の流体導管404を通して電磁放射信号(複数可)(たとえば、ガンマ線)を放出する。ブロック604では、シンチレーション検出器506は、空の流体導管404を通過する電磁放射信号(複数可)に関する較正強度I0を測定する。ブロック606では、電磁放射測定システム414の放射線源500は、流体分析器108のセンサのオペレータ117によって生成された命令に基づき、蒸気/水の流体が流体導管404内を通っている場合に流体導管404を通して電磁放射信号(複数可)(たとえば、ガンマ線)を放出する。ブロック608では、シンチレーション検出器506は、内部に流体を含む流体導管404を通過する電磁放射信号(複数可)に関する強度I(t)を測定する。ブロック610では、流体分析器108の計算器112は、流体導管404内の蒸気/水の流体の混合物の存在に起因する電磁放射減衰信号データの強度レベルI(t)の変化に基づき、流体導管404内の流体の容量のレベル(蒸気の割合α)を判定する。たとえば、計算器112は、以下の式を使用して、流体の存在に起因する電磁放射信号のビームパス長dに沿う減衰λ(t)を判定する。
蒸気の割合αは、以下のように得ることができる。
ここで、
とは、それぞれ、完全に蒸気と完全に水との中の、較正または計算された電磁放射信号の減衰である(Is及びIwは、それぞれ完全に蒸気と完全に水との中での、測定されたか計算された電磁放射信号の強度レベルであり、データベース110に貯蔵される)。
【0070】
たとえば、基準の減衰データλs及びλwと比較しての電磁放射信号(複数可)の減衰レベルに基づき、計算器112は、流体導管404内の流体の内容量のレベル(蒸気の割合α)を判定することができる。
【0071】
電磁放射信号(複数可)(たとえば、ガンマ線)が
図4及び
図5の空の流体導管404を通して送信される場合に、電磁放射測定システム414によって生成された較正強度データI0は、データベース110内に貯蔵され、スケール付着及び/または腐食に関する地熱生産パイプの作動状況を監視するために使用することができる。
図7から
図9は、経時的な地熱生産パイプ(たとえば、
図4の地熱生産パイプ401)の変化を示している。具体的には、
図7は、使用前の地熱生産パイプ700を示している。
図8は、パイプ800を通って流れる流体に起因して、経時的にパイプ800の内側表面上に堆積された、混合されたシリカ及び硫化物のスケール802を含む地熱生産パイプ800を示している。
図9は、腐食部分902を含む、地熱処理パイプ900を示している。
【0072】
図4から
図6に関して開示された空のパイプを通しての放射性信号(たとえば、ガンマ線)の放射の結果として得られた情報を、パイプを調査するために生産ラインから生産パイプを物理的に取り外すことなく(かつ、既知のスケール付着及びパイプ壁厚の評価技術で使用されるような別の設備を使用する必要なしに)、
図7から
図9の地熱生産パイプ(複数可)700、800、900のスケール付着またはダメージ(たとえば、腐食)のインジケータとして使用することができる。同様に、空のパイプを通しての放射性信号の定期的な放射を使用して、データベース110に貯蔵された電磁放射測定システム414に関する較正強度データI0を定期的にアップデートすることができる。
【0073】
生産パイプの作動状況の監視は、経時的な放射線源の放射強度の自然の減衰率に基づくものとすることができる。半減期は、その期間の後に放射の強度が2の因子で割られる持続時間である。半減期は、所与の放射性材料に関して一定である。たとえば、バリウム133の半減期は約5年であり、セシウム137の半減期は約30年である。
【0074】
図10は、空の生産パイプ(たとえば、
図4及び
図7から
図9のパイプ401、700、800、900)を通して送られるガンマ線などの電磁放射信号に関し、経時的に収集される、バリウム133に関する基準の半減期のデータ、及び較正強度データI0の比較を示すグラフ1000である。
図10に示すように、約3年の作動の後に、生産パイプに関するガンマ線の放射強度データ1002の値が、基準半減期データ1004によって示される予想値を逸脱する。この生産パイプから収集された較正強度データに関して予想された値よりも低いことは、パイプを通るガンマ線信号の減衰を生じている、スケール付着の増大を示している。他の実施例では、生産パイプに関する較正強度データの値が、予想された基準データ1004よりも大である場合、較正強度データは、パイプの浸食または腐食を示し得る。
【0075】
図11は、地熱生産パイプ(たとえば、
図4及び
図7から
図9のパイプ401、700、800、900)の作動状況を監視するための例示的な方法1100のフローチャートである。ブロック1102では、
図4及び
図5の例示的な電磁放射測定システム414の放射線源500は、流体分析器108のセンサのオペレータ117によって生成された命令に基づき、流体が内部を通っていない場合に
図4及び
図5の流体導管404を通して定期的に電磁放射信号(複数可)(たとえば、ガンマ線)を放出する。ブロック1104では、シンチレーション検出器506は、それぞれの時間で空の流体導管404を通過する電磁放射信号(複数可)に関する較正強度I0を測定する。ブロック1106では、例示的な流体分析器108の流体導管分析器116は、較正強度データI0を、
図10の例示的なグラフ1000の基準データ1004などの、基準強度データと比較する。ブロック1108では、流体導管分析器116は、較正データと基準データとの比較に基づき、流体導管404(そしてひいては、
図4及び
図7から
図9の生産パイプ401、700、800、900)の作動状況を判定する。たとえば、基準データに比べ、空のパイプを通して放出される電磁放射信号(複数可)の増大した減衰は、スケール付着の増大を示し得る。別の実施例として、基準データに比べ、空のパイプを通して放出される電磁放射信号(複数可)の減少した減衰は、パイプの腐食を示し得る。
【0076】
図12は、蒸気及び液体の水を含む生産流体内の蒸気及び/または液体の水の割合を判定するための流量計1202を含む例示的なシステム1200を示している。流量計1202は、流体導管1203を通って流れる生産流体を監視する。いくつかの実施例では、流量計1202は、たとえば、
図2の流体導管202、または
図4及び
図5の実施例の流体導管404で実施される(たとえば、ベンチュリチューブまたは他の差圧生成デバイスを含む)。
【0077】
図12の例示的な流量計1202は、光を放出するために1または複数の光源1204(たとえば、LED(複数可))を含んでいる。いくつかの実施例では、光源(複数可)1204は、近赤外(NIR:near infrared-red)光源を含んでいる。
図12の実施例では、光源(複数可)1204によって放出される光は、流体導管1203に規定された送信光学ウインドウ1206を通過する。光は、送信パス1207を介して、送信光学ウインドウ1206とは反対側の第1の受信光学ウインドウ1208を通り、流体導管1203の直径に渡って通過する。
図12の例示的な流量計1202は、光の透過率を検出するために1または複数の光検出センサ1210(たとえば、光検出器(複数可)、分光計(複数可))を含んでいる。いくつかの実施例では、流量計1202は、散乱光を検出するために、光の送信パス1207に対するある角度で配置された1または複数の検出センサ(複数可)1211を含んでいる。散乱光は、第2の受信光学ウインドウ1209を通過する。送信光学ウインドウ1206及び受信光学ウインドウ1208、1209は、合成サファイアなどの材料を含むことができる。いくつかの実施例では、光源(複数可)1204は、第1の光ファイバー束1212を介して送信光学ウインドウ1206に結合され、検出センサ(複数可)1210は、第2の光ファイバー束1214を介して受信光学ウインドウ1208に結合される。散乱光検出センサ(複数可)1211は、第3の光ファイバー束1216を介して第3の受信光学ウインドウ1209に結合されている。光ファイバー束1212、1214、1216は、光源(複数可)1204と検出センサ(複数可)1210、1211との間の光の送信を促進する。
【0078】
図1の例示的な流体分析器108は、
図12の流量計1202に通信可能に結合されている。流体分析器108のセンサのオペレータ117は、生産流体内の液体の水に関する第1の吸収レベルに関連する第1の波長で光を放出するように、光源(複数可)1204に指示する。たとえば、第1の波長は1450nmとすることができる。センサのオペレータ117は、1200nmなど、生産流体内の液体の水に関して実質的に非吸収性の波長である第2の波長で光を放出するように、光源(複数可)1204に指示する。いくつかの実施例では、光は、パルス状に放出される。
【0079】
図12の実施例では、検出センサ(複数可)1210、1211は、内部を流れる蒸気/水の流体を含む流体導管1203を通る光の透過率を測定する。検出センサ(複数可)1210、1211によって生成された透過率データは、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して流体分析器108に送信される。流体分析器108の計算器112は、蒸気流内の水の水割合を判定するために光透過率データを使用する。たとえば、計算器112は、散乱の影響を除去するために第1の波長及び第2の波長での光透過率データを分析し、水割合を判定するために、放射された波長(たとえば、1450nm及び1200nm)での基準の透過/吸収の出力を使用することができる。いくつかの実施例では、基準波長データは、光源(複数可)1204から受信される。いくつかの実施例では、計算器112は、散乱の影響に対応するために、散乱光検出センサ1211によって生成された透過率データを使用して、光検出センサ1210(すなわち、送信パス1207に沿う光を検出するセンサ(複数可))によって生成された透過率データを修正する。
【0080】
図13は、蒸気及び水を含む生産流体の蒸気の品質、または、蒸気とフリーの水との総質量流量に対する蒸気流の質量流量の割合を監視するための例示的なシステム1300を示している。例示的なシステム1300は、流量計1302を含んでいる。流量計1302は、流体導管1304を通って流れる生産流体を監視する。いくつかの実施例では、流量計1302は、たとえば、
図2の流体導管202、または
図4及び
図5の実施例の流体導管404で実施される(たとえば、ベンチュリチューブまたは他の差圧生成デバイスを含む)。
【0081】
図13の例示的な流量計1302は、流体導管1304内に規定された第1の送信光学ウインドウ1308を通して光を放出するために第1の光源1306(たとえば、LED(複数可))を含んでいる。第1の送信光学ウインドウ1308を通して送信される光は、流体導管1304の直径に渡り、第1の送信光学ウインドウ1308とは反対側の第1の受信光学ウインドウ1310を通って通過する。第1の光検出器1312(たとえば、光電検出器(複数可)、分光計(複数可))は、第1の受信光学ウインドウ1310において、流体導管1304に渡る光の透過率を測定する。例示的な流量計1302は、第1の送信光学ウインドウ1308の下流の流体導管1304内に規定された第2の送信光学ウインドウ1316を通して光を放出するために第2の光源1314を含んでいる。第2の送信光学ウインドウ1316を通して送信される光は、流体導管1304の直径に渡り、第2の送信光学ウインドウ1316とは反対側の第2の受信光学ウインドウ1318を通って通過する。第2の光検出器1320(たとえば、光電検出器(複数可)、分光計(複数可))は、第2の受信光学ウインドウ1318において、流体導管1304に渡る光の透過率を測定する。
図13に示すように、第1の光源1306/第1の光検出器1312のペアは、第2の光源1314/第2の光検出器1320のペアから軸方向に分離されている。送信光学ウインドウ1308、1310、1316、及び受信光学ウインドウ1318は、合成サファイアなどの材料を含むことができる。
【0082】
光源1306、1314は、近赤外光源を含むことができる。光源1306、1314の動作は、流体分析器108のセンサのオペレータ117によって制御することができる。
図13の実施例では、光源1306、1314は、1200nmなど、生産流体内の液体の水に関して実質的に非吸収性である波長で光を放出する。光検出器1312、1320によって生成された透過率データは、液体の水の相及び蒸気の水の相の流速を判定するために流体分析器108によって使用される。
【0083】
図13の実施例では、計算器112は、既知の軸方向の間隔を伴って、光源検出器の対1306から1312、及び1314から1320によって検出された、送信された光信号の通過時間に基づき、蒸気相内に含まれる速く移動する水滴の流速を判定する。この流速は、蒸気/水蒸気の速度に実質的に対応する。それぞれの光検出器(複数可)1312、1320によって検出された光信号に関する通過時間の遅延は、流速を判定するために計算器112によって使用される。
図13の実施例では、計算器112は、(たとえば、蒸気流内の水滴の速度に基づき)蒸気の流速を判定するために、光検出器(複数可)1312、1320によって生成されたそれぞれの信号データの相互相関処理を実施する。たとえば、計算器112は、光検出器1312、1320からの信号の相互相関から生成された信号データのピーク(たとえば、ピーク位置、大きさ)を分析して、蒸気相内の速く移動する水滴の速度、及び生産流体内の遅く移動する水壁フィルムの速度を判定する。たとえば、通過時間に対する相互相関された信号のプロットは、2つのピークを含むことができ、第1のピークは時間的に一番目に発生し、所定の閾値より上の第1の大きさを有しており、第2のピークは、時間的に二番目に発生し、所定の閾値より上の第2の大きさを有している。第1のピークは、蒸気相内の速く移動する水滴に関連する、送信された光信号のより速い通過時間(複数可)を示すことができる。第2のピークは、パイプ壁上の遅く移動する水フィルムを示す、送信された光信号のより遅い通過時間(複数可)を示すことができる。相互相関信号処理に基づき、計算器112は、蒸気流及び/または液体の水の流れに関する流速を判定することができる。
【0084】
いくつかの実施例では、第1の光源または第2の光源の1つが、液体の水に関して吸収性の波長(たとえば、1450nm)、及び、液体の水に関して実質的に非吸収性の波長(たとえば、1200nm)で光を放出して、
図12の例示的な流量計1202に関して上に開示したように、水及び蒸気の割合を判定するために使用することができるデータを生成する。そのような実施例では、計算器112は、信号相互相関分析及び水割合を介して判定された流速に基づき、蒸気流の水の流量を判定することができる。いくつかの実施例では、流体分析器108の蒸気最適化分析器114は、水及び蒸気の流量及び/または相の割合に基づいて蒸気の品質を評価し、また、本明細書に開示のように、蒸気流を最適化するために1または複数の命令を生成することができる。
【0085】
いくつかの実施例では、
図12及び/または
図13の流量計1202、1302は、生産流体の流れの特性に関する追加の情報を生成するために、差圧生成デバイス(たとえば、ベンチュリチューブ、フローノズルなど)で使用される。たとえば、流量計1202、1302は、ベンチュリチューブのスロートに配置することができる。そのような実施例では、差圧生成デバイスは、(たとえば、
図4の差圧測定システム406に関して開示したように)差圧データを生成するために使用される。流体分析器の計算器112は、蒸気の質量流量を判定するために圧力データを使用する。そのような実施例では、計算器112は、水/蒸気の質量流量を計算するために、(たとえば、
図3に関して論じたように)ライン圧力データ及びライン温度データに基づき、蒸気の特性の基準データを使用して水及び/または蒸気の相の密度を判定することができる。差圧生成デバイスは、光散乱検出センサ(複数可)1211によってわずかな量の散乱が検出されるか、散乱が検出されない、かつ、流体分析器108の蒸気最適化分析器114が、生産流体が蒸気のみ、または実質的に蒸気のみであることを判定する実施例で、使用することができる。
【0086】
図14は、多相流体流れの蒸気の品質を判定するための例示的な方法1400のフローチャートである。ブロック1402では、
図12及び/または
図13の光源(複数可)1204、1306、1314が、流体内の液体の水に関する第1の吸収性の波長(たとえば、水に関する1450nm)、及び、流体内の液体の水に関する第2の実質的に非吸収性の波長(たとえば、1200nm)で、流体導管1203、1304内に光を放出する。光源(複数可)1204、1306、1314は、流体分析器108のセンサのオペレータ117からの命令(複数可)に基づき、光を放出する。
【0087】
ブロック1404では、流体分析器108の計算器が、流体導管1203、1304を通して光が送信されるのに応じて、
図12及び/または
図13の光検出器(複数可)1210、1211、1312、1320によって生成された透過率データに基づき、水及び/または蒸気の割合を判定する。たとえば、計算器112は、第1の吸収性の波長の放出の間に生成された透過率データに基づき、流体流れ内の蒸気及び/または水割合を判定する。ここで、透過率データは、第2の非吸収性の波長の放出の間に生成された透過率データに基づいて修正される。
【0088】
図14の方法1400のいくつかの実施例は、生産流体内の水及び蒸気の相に関する流速を判定することを含んでいる(ブロック1406)。そのような実施例では、ブロック1408において、流体導管1203、1304にわたって、流体導管1304内の第1の位置に配置された第1の光源1306、及び流体導管1304内の第2の位置に配置された第2の光源1314により、流体に関する非吸収性の波長で光が放出される。光源(複数可)1306、1314は、流体分析器108のセンサのオペレータ117からの命令(複数可)に基づき、光を放出する。
【0089】
ブロック1410では、流体分析器108の計算器112は、それぞれの光源1306、1314による光の放出に応じて、光検出器1312、1320によって生成された、送信された信号データの相互相関を実施する。計算器112は、水及び/または蒸気の流速を判定するために、相互相関から、結果としての信号データを分析する(たとえば、送信時間のピーク分析)。ブロック1412では、計算器1412は、蒸気の品質、または、蒸気及び液体の水の総質量流量に対する水蒸気の流れの質量流量の割合を、流速及び相の割合に基づいて判定する。
【0090】
図2、
図4、及び
図5の例示的な多相流量計204、402、及び/または、
図12及び/または
図13の流量計1202、1302は、システムによる蒸気の生成の最適化を促進するために、地熱生産システムで実施することができる。
図15は、地熱リザーバ1502からの地熱エンタルピー生成を監視し、いくつかの例では最適化するための例示的なシステム1500を示している。例示的なシステム1500は、地熱リザーバ1502のダウンホールに配置された水注入井1504及び蒸気/高温水産出井1506を含んでいる。
図15の実施例では、水注入井1504は、限定された透磁率及び流体の容量を有する地熱リザーバ1502の高温の岩盤1508内に掘られている。水は、表面から注入井1504内に、表面再注入ポンプ1510及び流体導管1511を介して注入される。このことは、リザーバ1502の岩の破砕に繋がる。表面再注入ポンプ1510は、往復ポンプまたは遠心ポンプとすることができる。注入井1504内への水の注入は、注入井1504からリザーバ1502を通る距離を延ばすように、破砕させるために、ある期間にわたって継続することができる。
【0091】
産出井1506は、産出井1506が、注入井1504から延びる刺激された破砕のネットワークを横断することを可能にするように、注入井1504から離れた距離でリザーバ1502に穴が開けられる。
図15の実施例では、水が注入井1504から高温の岩の割れ目を通って移動する。水は、岩から熱を取得し、高温の蒸気/水として産出井1506内に水が出されるまで、リザーバを通って移動する。いくつかの実施例では、ダウンホール生成ポンプまたはコンプレッサ1512が、高温水及び蒸気を産出井1506から表面に移動するために使用される。
【0092】
図15の実施例では、産出井1506によって出された生産流体は、地熱生産パイプ1516を介して発電所1514に送られる。生産流体内の蒸気または高温水からの熱が発電所1514で電気に変換される。いくつかの実施例では、蒸気または高温水が、蒸気タービンによって電気に変換される。
【0093】
図15の例示的なシステム1500は、発電所1514の下流(たとえば、システムの蒸気タービンの下流)で濃縮された水が、ダウンホールの高温の岩の割れ目を介して再加熱されるように、注入井1504内に戻すように注入されることから、閉ループである。
【0094】
図15の例示的なシステム1500は、産出井1506の下流に設置された第1の多相流量計(MPFM)1518を含んでいる。いくつかの実施例では、第1のMPFM1518は、
図4の例示的なMPFM402と実質的に同じである(たとえば、流体導管404の差圧生成デバイス405、差圧測定システム406、及び電磁放射測定システム414を含んでいる)。
図15に示すように、生産パイプ1516に搬送される生産流体は、第1のMPFM1518を通って流れる。
図15の実施例では、第1のMPFM1518によって生成されたデータは、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して流体分析器108に送信される。流体分析器108は、たとえば、
図3の例示的なアルゴリズム300に関して開示されたように、生産流体内の蒸気及び水の個別の流量、及び流体のエンタルピーを判定するように、第1のMPFM1518からのデータを処理する。
【0095】
いくつかの実施例では、ヒータ1520は、生産流体が生産パイプ1516を通って流れる際に、生産流体を加熱するように、第1のMPFM1518と発電所1514との間に配置されている。ヒータ1520の包含は、たとえば、発電所1514からの産出井1506の距離に基づくことができる。ヒータ1520は、生産流体が産出井1506から離れるように移動する際の熱損失の観点から、生産流体を加熱する。そのような実施例では、第2のMPFM1522は、ヒータ1520の下流に配置されている。
図4のMPFM402と実質的に同じとすることができる第2のMPFM1522は、
図3の例示的なアルゴリズム300に関して開示されたように、蒸気及び液体の水の流量及びエンタルピーなど、ヒータ1520によって加熱された後の多相生産流体の特性を測定するために、流体分析器108によって使用されるデータを生成する。
【0096】
いくつかの実施例では、第1のMPFM1518及び/または第2のMPFM1522は、生産流体を搬送する流体導管にわたる光の透過に基づき、液体の水及び蒸気の流れの流速を測定するために、
図12の流量計1202及び/または
図13の流量計1302を含むことができる。
【0097】
例示的な流体分析器108は、MPFM1518、1522によって生成されたデータに基づいて検出された変化に応じて、たとえばバルブ(複数可)、ポンプ(複数可)、コンプレッサ(複数可)、アクチュエータ(複数可)などを制御するために、ダウンホールポンプ/コンプレッサ1512、ヒータ1520、及び/または表面再注入ポンプ1510などのシステム1500の構成要素に通信可能に結合されている。流体分析器108は、自動化された地熱生産の管理を提供する。いくつかの実施例では、流体分析器108は、地熱生産システム1500の無線管理を提供するために、クラウドネットワークに配置されている。
【0098】
たとえば、経時的に、注入井1504内の水は、熱エネルギを失う場合があり、このことは、産出井1506から生成される流体の組成、そしてひいては蒸気の品質に影響し得る。具体的には、産出井1506は、より少ない蒸気を生成する場合がある。生産流体の組成(たとえば、蒸気の内容量)の変化は、第1のMPFM1518によって生成されたデータに基づき、流体分析器108の蒸気最適化分析器によって検出される。
【0099】
図15の実施例では、流体分析器108の蒸気最適化分析器114は、MPFM1518、1522によって生成されたデータに基づき、蒸気の生成を最適化するように命令(複数可)を生成する。たとえば、蒸気の内容量の低減に応じて、蒸気最適化分析器114は、蒸気の生成を最適化する取組みの中で、水の再注入量を低減させるように、表面再注入ポンプ1510のための命令(複数可)を生成することができる。命令(複数可)は、流体分析器108の発信機118によって、かつ、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して、表面再注入ポンプ1510に送信され得る。
【0100】
他の実施例では、周囲の温度または生産流体の温度の変化に起因して、予期されない冷却が存在し得る。この冷却により、生成される蒸気の量が低減され得る。蒸気の低減は、発電所1514をより低い効率で作動させ得、潜在的にはタービンにダメージを生じ得る。たとえば周囲の温度の変化に起因する冷却は、第2のMPFM1522によって生成されたデータに基づき、蒸気最適化分析器114によって検出される。それに応じて、蒸気最適化分析器114は、生産流体が生産パイプ1516を通って移動する際に、蒸気の内容量を増大させるように、生産流体に伝達される熱を調整するために、ヒータ1520に関する命令(複数可)を生成する。命令(複数可)は、流体分析器108の発信機118によって、かつ、1または複数の有線または無線の通信プロトコルを介して、ヒータ1520に送信され得る。
【0101】
図7から
図11の実施例に関して開示されたように、流体分析器108の流体導管分析器116は、パイプ1516が空である場合に、生産パイプ1516を通る電磁放射信号の放出の強度(たとえば、
図5の放射線源500を介する)の変化に基づき、生産パイプ1516の作動状況の変化を定期的に検出する。
図15の実施例では、流体導管分析器116が、第1のMPFM1518及び/または第2のMPFM1522(たとえば、MPFMの電磁放射測定システム414)によって生成されたデータに基づき、電磁放射信号の放射の強度の変化を検出した場合、流体導管分析器116は、パイプ1516に対するスケール付着またはダメージ(たとえば、腐食)が存在し得ると判定する。それに応じて、蒸気最適化分析器114は、パイプ1516へのダメージを低減させる取組みの中で、修正作業を引き起こすように、例示的なシステム1500の1または複数の構成要素に関する命令(複数可)を生成する。たとえば、蒸気最適化分析器114は、たとえば、ポンプ/コンプレッサ1512の電圧、電流、及び/または供給周波数を調整することにより、生産流体の流体流量及び圧力を調整するように、ダウンホール生成ポンプ/コンプレッサ1512に命令することができる。たとえば、供給周波数の調整は、ダウンホール生成ポンプ/コンプレッサ1512の速度、そしてひいては流体流量を制御するために使用することができる。他の実施例では、流体特性分析器108は、生成され、生産流体に伝達される熱を調整するようにヒータ1520に命令することができる。この熱は流体の成分に影響し得る。生産流体の流量、圧力、及び/または温度の調整は、パイプ1516のスケール堆積または他のダメージを防止及び/または最小化するために実施され得る。
【0102】
蒸気最適化分析器114が、流体流れへの調整によっては、パイプ1516へのダメージを防止するか低減することができないと判定した場合、及び/または、流体導管分析器116が、ダメージが閾値の量を超えていると判定した場合の実施例では、流体分析器108は、パイプライン1516の一部を交換するなど、手作業での矯正作業を行うように、システム1500のユーザ(たとえば、発電所のオペレータ)に対して警告を出力することができる。
【0103】
図16は、
図15の地熱生産システム1500などの地熱生産システムを管理するための例示的な方法1600のフローチャートである。例示的な方法1600は、
図1、
図2、
図4、及び
図12の例示的な流体分析器108によって実施することができる。
【0104】
ブロック1602では、流体分析器108の計算器112が、第1のMPFM1518及び/または第2のMPFM1522から得られたデータに基づき、例示的な地熱生産システム1500の生産パイプ1516を通って流れる生産流体の特性を判定する。たとえば、計算器112は、
図3のアルゴリズム300に関して開示したように、生産流体のエンタルピーを判定する。いくつかの実施例では、計算器112は、
図14に関して開示したように、流速を判定する。いくつかの実施例では、計算器112は、流体導管内の流体のレベルを検出するために、内部を通って流れる流体を伴う、及び伴わずに、流体導管(たとえば、
図4の流体導管404)を通る電磁放射信号(複数可)(たとえば、ガンマ線放射)の強度レベルの変化を検出する。いくつかの実施例では、計算器112は、経時的に、基準強度データに対し、空の流体導管を通る電磁放射信号(複数可)の強度レベルの変化を検出する。
【0105】
ブロック1604では、流体分析器108の蒸気最適化分析器114は、たとえば、蒸気の内容量、エンタルピー、流速などに関する生産流体の特性を分析する。いくつかの実施例では、流体分析器108の流体導管分析器116は、空の流体導管を通る電磁放射信号レベルの変化を分析し、スケール付着などのパイプの状態の変化を検出する。
【0106】
ブロック1606では、流体分析器108の蒸気最適化分析器114及び/または流体導管分析器116は、蒸気の生成を最適化するため、及び/または生産パイプへのダメージを防止するか低減させるために、生産流体の特性を調整するべきであるかを判定する。たとえば、蒸気最適化分析器114は、蒸気の生成に影響するように、
図15のダウンホールポンプ/コンプレッサ1512、及び/または
図15のヒータ1520の動作に作用する命令を生成することができる。いくつかの実施例では、蒸気最適化分析器114は、生産パイプ1516へのダメージ(たとえば、スケール付着)を低減させるために、地熱生産システム1500の1または複数の構成要素の動作、そしてひいては、生産流体の特性に作用する命令を生成する。いくつかの実施例では、命令(複数可)は、生産パイプ1516が手作業で修理されるべきであることを示す警告を含むことができる。
【0107】
ブロック1608では、流体分析器108の発信機118は、蒸気最適化分析器114によって生成された命令(複数可)を地熱生産システム1500の構成要素(複数可)(たとえば、表面再注入ポンプ1510、ダウンホールポンプ/コンプレッサ1512、ヒータ1520)に送信して、システムの動作、そしてひいては、生産流体の産出を調整する。
【0108】
図3、
図6、
図11、
図14、及び/または
図16のフローチャートは、
図1、
図2、
図4、
図12、
図13、及び/または
図15の流体分析器108を実施するために、例示的なハードウェアロジック、機械が読取り可能な命令、ハードウェアで実施される状態機械、及び/またはこれらの任意の組合せを示すものである。機械が読取り可能な命令は、
図17に関して以下に論じる例示的なプロセッサプラットフォーム1700に示されるプロセッサ1712などのコンピュータプロセッサによる実行のための、1または複数の実行可能なプログラムまたは実行可能なプログラムの一部(複数可)である場合がある。プログラムは、CD-ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、DVD、Blu-ray(登録商標)ディスク、またはプロセッサ1712に関連するメモリなどの非一時的なコンピュータ可読貯蔵媒体に貯蔵されたソフトウェアに埋め込まれる場合があるが、プログラム全体及び/またはその各部は、代替的に、プロセッサ1712以外のデバイスによって実行することができる、及び/または、ファームウェアまたは専用のハードウェアに埋め込むことができる。さらに、例示的なプログラムが、
図3、
図6、
図11、
図14、及び/または
図16に示すフローチャートを参照して記載されているが、例示的な流体分析器108を実施する多くの他の方法が、代替的に使用される場合がある。たとえば、ブロックの実行の順番は、変更される場合があり、及び/または、記載のブロックのいくつかは、変更されるか、除去されるか、合わせられる場合がある。追加的または代替的に、ブロックのいずれかまたはすべては、ソフトウェアまたはファームウェアを実行することなく、対応する動作を実施するように構築された1または複数のハードウェア回路(たとえば、別個の、及び/または統合されたアナログ及び/またはデジタル回路構成、FPGA、ASIC、コンパレータ、演算増幅器(オペアンプ)、論理回路など)によって実施される場合がある。
【0109】
本明細書に記載の機械が読取り可能な命令は、圧縮されたフォーマット、暗号化されたフォーマット、断片にされたフォーマット、コンパイルされたフォーマット、実行可能なフォーマット、パッケージングされたフォーマットなどの1または複数で貯蔵される場合がある。本明細書に記載の機械が読取り可能な命令は、マシンが実行可能な命令を生成、製造、及び/または提供するために利用される場合があるデータ(たとえば、命令の各部、コード、コードの表示など)として貯蔵される場合がある。たとえば、機械が読取り可能な命令は、断片にされ、1または複数の貯蔵デバイス及び/またはコンピュータデバイス(たとえば、サーバ)に貯蔵される場合がある。機械が読取り可能な命令は、これら命令を、コンピュータデバイス及び/または他の機械によって直接読取り可能、解釈可能、及び/または実行可能にするために、インストール、変更、適用、アップデート、組合せ、追加、構成、暗号解読、解凍、アンパッキング、分配、再アサイン、コンパイルなどの1または複数を必要とする場合がある。たとえば、機械が読取り可能な命令は、複数のパーツ内に貯蔵される場合があり、これらは、別々のコンピュータデバイス上で個別に圧縮、暗号化、及び貯蔵される。ここで、各パーツは、暗号化、解凍、及び組合せがされる場合、本明細書に記載のものなどのプログラムを実施する、実行可能な命令のセットを形成する。
【0110】
別の実施例では、機械が読取り可能な命令は、コンピュータによって読み取られる場合がある状態で貯蔵される場合があるが、特定のコンピュータデバイスまたは他のデバイス上で命令を実行するために、ライブラリ(たとえば、ダイナミックリンクライブラリ(DLL))、ソフトウェア開発キット(SDK)、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)などを追加する必要がある。別の実施例では、機械が読取り可能な命令は、機械が読取り可能な命令及び/または対応するプログラム(複数可)を全体的または部分的に実行できる前に、構成する(たとえば、貯蔵された設定、データ入力、記録されたネットワークアドレスなど)必要がある場合がある。このため、開示の機械が読取り可能な命令及び/または対応するプログラム(複数可)は、貯蔵されているか別様に待機状態または移行されている場合、機械が読取り可能な命令及び/またはプログラム(複数可)の特定のフォーマットまたは状態に関わらず、そのような機械が読取り可能な命令及び/またはプログラム(複数可)を包含することが意図されている。
【0111】
本明細書に記載の機械が読取り可能な命令は、任意の過去、現在、または未来の命令言語、スクリプト言語、プログラミング言語などによって示すことができる。たとえば、機械が読取り可能な命令は、C、C++、Java、C#、パール、Python、JavaScript、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、構造化照会言語(SQL)、Swiftなどの言語のいずれかを使用して示される場合がある。
【0112】
上述のように、
図3、
図6、
図11、
図14、及び/または
図16の例示的なプロセスは、任意の持続時間(たとえば、延長された期間、恒久的、短時間の事例に関して、一時的なバッファリングに関して、及び/または、情報のキャッシングに関して)の間、情報が貯蔵されている、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、及び/または任意の他の貯蔵デバイスまたは貯蔵ディスクなどの、非一時的なコンピュータ及び/またはマシン可読媒体に貯蔵された、実行可能な命令(たとえば、コンピュータ及び/または機械が読取り可能な命令)を使用して実施される場合がある。本明細書で使用される場合、非一時的なコンピュータ可読媒体との用語は、任意のタイプのコンピュータ可読貯蔵デバイス及び/または貯蔵ディスクを含み、かつ伝播する信号を除き、かつ伝送媒体を除くように、明確に規定される。
【0113】
図17は、
図3、
図6、
図11、
図14、及び/または
図16の例示的な流体分析器108を実施するために、
図3、
図6、
図11、
図14、及び/または
図16の命令を実行するように構築された例示的なプロセッサプラットフォーム1700のブロック図である。プロセッサプラットフォーム1700は、たとえば、サーバ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、エッジコンピュータデバイス、クラウドコンピューティングプラットフォーム、セルフラーニングマシン(たとえば、ニューラルネットワーク、モバイルデバイス(たとえば、移動電話、スマートフォン、iPad(登録商標)などのタブレット)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、インターネットアプライアンス、産業上のモノのインターネット(IIoT)、または任意の他のタイプのコンピュータデバイスとすることができる。
【0114】
図示の実施例のプロセッサプラットフォーム1700は、プロセッサ1712を含んでいる。図示の実施例のプロセッサ1712はハードウェアである。たとえば、プロセッサ1712は、任意の所望の集団または製造業者からの、1または複数の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、FPGA、GPU、DSP、またはコントローラによって実施され得る。ハードウェアプロセッサは、半導体ベース(たとえば、シリコンベース)のデバイスである場合がある。本実施例では、プロセッサは、例示的な計算器112、例示的な蒸気最適化分析器114、例示的な流体導管分析器116、例示的なセンサのオペレータ117、及び例示的な発信機118を実施する。
【0115】
図示の実施例のプロセッサ1712は、ローカルメモリ1713(たとえば、キャッシュ)を含んでいる。図示の実施例のプロセッサ1712は、バス1718を介して、揮発性メモリ1714及び不揮発性メモリ1716を含むメインメモリと通信している。揮発性メモリ1714は、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUS(登録商標)ダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM(登録商標))、及び/または任意の他のタイプのランダムアクセスメモリデバイスによって実施される場合がある。不揮発性メモリ1716は、フラッシュメモリ及び/または任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実施される場合がある。メインメモリ1714、1716へのアクセスは、メモリコントローラによって制御される。
【0116】
図示の実施例のプロセッサプラットフォーム1700は、インターフェース回路1720をも含んでいる。インターフェース回路1720は、イーサネットインターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、Bluetooth(登録商標)インターフェース、近距離無線通信(NFC)インターフェース、及び/またはPCIエクスプレスインターフェースなどの任意のタイプのインターフェース規格によって実施される場合がある。
【0117】
図示の実施例では、1または複数の入力デバイス1722は、インターフェース回路1720に接続されている。入力デバイス(複数可)1722は、ユーザが、データ及び/またはコマンドをプロセッサ1712に入力することを許容する。入力デバイス(複数可)は、たとえば、オーディオセンサ、マイク、カメラ(スチールカメラまたはビデオカメラ)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、isopoint、及び/または音声認識システムによって実施することができる。
【0118】
1または複数の出力デバイス1724は、図示の実施例のインターフェース回路1720にも接続されている。出力デバイス1724は、たとえば、ディスプレイデバイス(たとえば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、in-place switching(IPS)ディスプレイ、タッチスクリーンなど)、タクティール出力デバイス、プリンタ、及び/またはスピーカによって実施され得る。このため、図示の実施例のインターフェース回路1720は、通常、グラフィックドライバカード、グラフィックドライバチップ、及び/またはグラフィックドライバプロセッサを含んでいる。
【0119】
図示の実施例のインターフェース回路1720は、ネットワーク1726を介しての外部のマシン(たとえば、任意の種類のコンピュータデバイス)とのデータのやりとりを促進するために、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、モデム、レジデンシャルゲートウェイ、無線アクセスポイント、及び/またはネットワークインターフェースなどの通信デバイスをも含んでいる。通信は、たとえば、イーサネット接続、デジタルサブスクライバーライン(DSL)接続、電話線接続、同軸ケーブルシステム、衛星システム、高低線無線システム、セル電話システムなどを介するものとすることができる。
【0120】
図示の実施例のプロセッサプラットフォーム1700は、ソフトウェア及び/またはデータを貯蔵するための1または複数のマスストレージデバイス1728をも含んでいる。そのようなマスストレージデバイス1728の実施例は、フロッピーディスクドライブ、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライブ、Blu-ray(登録商標)ディスクドライブ、個別のディスクの冗長アレイ(RAID)システム、及びデジタルビデオディスク(DVD)ドライブを含んでいる。
【0121】
図17のコーディングされた命令1732は、マスストレージデバイス1728内、揮発性メモリ1714内、不揮発性メモリ1716内、及び/または、CDまたはDVDなどの取外し可能な非一時的なコンピュータ可読貯蔵媒体に貯蔵される場合がある。
【0122】
前述から、上に開示の装置、システム、及び方法が、地熱生産システムでの蒸気の生成の監視、評価、及び制御を提供することを理解されたい。本明細書に開示の例示的な流量計は、液体の水及び蒸気の流量、相の割合、流体のエンタルピー、蒸気の品質などの、生産流体の様々な特性の監視を提供する。サンプルを収集し、外でサンプルを分析するよりむしろ、ここに開示される実施例は、生産パイプラインに組み込まれた流量計を使用して、生産流体をインラインで、かつ実質的にリアルタイムで分析することを可能にする。本明細書に開示のいくつかの例示的な流量計は、流体を搬送する生産パイプの作動状況の監視を提供し、ひいては、パイプに対するダメージにより効率的な検出を提供する。本明細書に開示の実施例は、流量計によって生成されたデータに基づき、蒸気生成の自動制御及び最適化を提供するために、地熱生産システムで実施することができる。このため、本明細書に開示の実施例は、地熱生産システムの効率的な管理を提供する。本明細書に開示の例示的な地熱生産監視システムは、集中型クラウドコンピューティングサーバ(複数可)内、または、地熱生産測定出力データの変化に応じてアクチュエータ(複数可)を介して作動及び/または制御されることになる製造設備(たとえば、バルブ(複数可)、ポンプ(複数可)、コンプレッサ(複数可)など)の近くに配置された、分散されたエッジコンピュータデバイス(複数可)内に収容されたプロセッシングメカニズム(複数可)を含むことができる。迅速に応答するエッジコンピュータデバイスを使用することにより、実質的にリアルタイムの蒸気の製造の最適化が提供され得る。地熱フィールドに設置された複数のMPFMからのデータは、データ分析アルゴリズム(複数可)を使用した処理のために、有線または無線チャンネルを介して1または複数の地熱生産システムに送信することができる。本明細書に開示の実施例は、地熱フィールド(複数可)の製造及び予後の調子の管理(PHM)に関する、すぐに作用可能な見識を提供する。
【0123】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、「結合される」との用語は、「直接ともに結合される」または「1または複数の要素を介してともに結合される」を意味するために使用される。「含んでいる」及び「備えている」(ならびに、それらのすべての形態及び時制)は、オープンエンドの用語として本明細書で使用される。このため、請求項が「含む」または「備える」の任意の形態(たとえば、備える、含む、備えている、含んでいる、有しているなど)を、プリアンブルとして、または任意の種類の請求項の詳述で採用する場合はいつでも、さらなる要素、用語などが、対応する請求項または詳述の範囲外となることなく、存在し得ることを理解されたい。本明細書で使用される場合、「少なくとも」とのフレーズが、たとえば請求項のプリアンブルにおいて、移行語として使用される場合、「備えている」及び「含んでいる」がオープンエンドであるのと同じ方式で、オープンエンドである。「及び/または」との用語は、たとえばA、B、及び/またはCなどの形態で使用される場合、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AとB、(5)AとC、(6)BとC、及び(7)AとBとCなどの、A、B、Cの任意の組合せまたはサブセットに言及する。構造、構成要素、アイテム、オブジェクト、及び/または物を記載する文脈において、本明細書で使用される場合、「A及びBの少なくとも1つ」とのフレーズは、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、及び(3)少なくとも1つのAと少なくとも1つのBのいずれかを含む実施態様に言及することが意図されている。同様に、構造、構成要素、アイテム、オブジェクト、及び/または物を記載する文脈において、本明細書で使用される場合、「AまたはBの少なくとも1つ」とのフレーズは、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、及び(3)少なくとも1つのAと少なくとも1つのBのいずれかを含む実施態様に言及することが意図されている。プロセス、命令、アクション、動作、及び/またはステップの遂行または実行を記載する文脈において、本明細書で使用される場合、「A及びBの少なくとも1つ」とのフレーズは、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、及び(3)少なくとも1つのAと少なくとも1つのBのいずれかを含む実施態様に言及することが意図されている。同様に、プロセス、命令、アクション、動作、及び/またはステップの遂行または実行を記載する文脈において、本明細書で使用される場合、「AまたはBの少なくとも1つ」とのフレーズは、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、及び(3)少なくとも1つのAと少なくとも1つのBのいずれかを含む実施態様に言及することが意図されている。
【0124】
本明細書で使用される場合、単数の参照(たとえば、「a」、「an」、「第1の」、「第2の」など)は、複数であることを除外しない。「a」または「an」の存在の用語は、本明細書で使用される場合、それら存在の1または複数に言及する。「a」(または「an」)、「1または複数の」、及び「少なくとも1つの」との用語は、本明細書では相互交換可能に使用することができる。さらに、個別に列挙されているが、複数の手段、要素、または方法のアクションは、たとえば、単一のユニットまたはプロセッサによって実施される場合がある。さらに、個別の特徴が異なる実施例または請求項に含まれる場合があるが、これらは、場合によっては合わせられる場合があり、また、異なる実施例または請求項に含まれることは、特徴の組合せが実現可能ではない、及び/または有利ではないことを暗示してはいない。
【0125】
以下のパラグラフは、本明細書に開示の実施例の様々な実施例を提供する。
【0126】
実施例1は、産出井と、注入井と、産出井からの蒸気を含む多相流体の生産を制御するためのダウンホールポンプまたはダウンホールコンプレッサと、多相流体を産出井から輸送するための第1の流体導管と、第1の流体導管の下流に配置された表面ポンプと、第2の流体導管と、を含むシステムを含んでいる。表面ポンプは、第2の流体導管を介して注入井内に水を注入するためのものである。流量計は、第1の流体導管に流体結合されている。例示的なシステムは、第1の流量計によって生成された流体特性データに応じて、(a)ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプの、少なくとも1つを制御する、プロセッサを含んでいる。
【0127】
実施例2は、第1の流体導管に結合されたヒータをさらに含む、実施例1に記載のシステムを含んでいる。
【0128】
実施例3は、流量計が第1の流量計及び第2の流量計を含み、多相流体がヒータに曝された後に第2の流量計を通って流れ、プロセッサが、第1の流量計によって生成された流体特性データの1または複数に応じて、または、第2の流量計によって生成された流体特性データに応じて、ヒータによって生成される熱の量を調整する、実施例2に記載のシステムを含んでいる。
【0129】
実施例4は、流量計が放射線源及び放射性光子信号検出器を含み、放射線源が第1の流体導管を通して放射性光子信号を放出し、プロセッサが、放射性光子信号検出器によって検出された放射性光子信号の強度に基づき、第1の流体導管の作動状況を判定する、実施例1に記載のシステムを含んでいる。
【0130】
実施例5は、第1の流体導管の作動状況が、第1の流体導管内のスケール付着、または第1の流体導管の腐食を示す、実施例4に記載のシステムを含んでいる。
【0131】
実施例6は、プロセッサが、流体特性データに基づき、多相流体の蒸気の流量、多相流体内の液体の水の流量、多相流体の蒸気の品質、または多相流体のエンタルピーの、1または複数を判定する、実施例1に記載のシステムを含んでいる。
【0132】
実施例7は、プロセッサで命令を実行することにより、流体導管に結合された流量計によって生成されたセンサデータに基づき、流体導管を通って流れる多相生産流体内の蒸気の特性を判定することであって、生産流体が、ダウンホールポンプまたはダウンホールコンプレッサの少なくとも1つを含む産出井を介して生成される、判定することと、プロセッサで命令を実行することにより、蒸気の特性に応じて、ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプの、少なくとも1つに関するコマンドを判定することと、プロセッサで命令を実行することにより、(a)ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプの、少なくとも1つにコマンドを送信して、蒸気の特性を調整させることと、を含む、方法を含んでいる。
【0133】
実施例8は、特性が、センサデータに基づく、多相流体内の蒸気の流量、または多相流体の蒸気の品質、または多相流体のエンタルピーの、1または複数を含む、実施例7に記載の方法を含んでいる。
【0134】
実施例9は、センサデータが、流体導管を通して放出された電磁放射信号の強度の測定値を含み、強度の測定値に基づき、流体導管の作動状況を判定することをさらに含む、実施例7または実施例8に記載の方法を含んでいる。
【0135】
実施例10は、コマンドが第1のコマンドであり、(a)ダウンホールポンプもしくはダウンホールコンプレッサ、または、(b)表面ポンプの、少なくとも1つに関する第2のコマンドを判定することをさらに含み、第2のコマンドが、流体導管の作動状況に応じて、多相生産流体の流れの調整を生じさせる、実施例9に記載の方法を含んでいる。
【0136】
実施例11は、コマンドが第1のコマンドであり、ヒータに関する第2のコマンドを生成することをさらに含み、第2のコマンドが、ヒータによって生成される熱の量を調整させ、多相生成ヒータが、流体導管を介してヒータに曝される、実施例7から実施例9のいずれかに記載の方法を含んでいる。
【0137】
実施例12は、流体導管に沿う第1の位置に配置された第1の圧力センサと、流体導管に沿う第2の位置に配置された第2の圧力センサと、流体導管に沿う第3の位置に配置された温度センサと、電磁放射信号を放出する、流体導管に結合された放射線源と、送信された放射性光子信号を検出し、検出に基づき、信号検出データを生成する、流体導管に結合された検出器と、を含む流量計を含む装置を含んでいる。例示的な装置は、第1の圧力センサによって生成された圧力データ、第2の圧力センサによって生成された圧力データ、温度センサによって生成された温度データ、及び検出器によって生成された信号検出データに基づき、導管内を流れる多相流体の特性を判定するプロセッサを含んでいる。
【0138】
実施例13は、特性が、多相流体のエンタルピーを含む、実施例12に記載の装置を含んでいる。
【0139】
実施例14は、特性が、多相流体内の液体の水の流量と、多相流体内の蒸気の流量とを含む、実施例12または実施例13に記載の装置を含んでいる。
【0140】
実施例15は、プロセッサが、検出器によって生成された信号検出データに基づき、流体導管の作動状況を判定する、実施例12に記載の装置を含んでいる。
【0141】
実施例16は、プロセッサが、信号検出データに基づき、流体導管内の流体の体積率を判定する、実施例12に記載の装置を含んでいる。
【0142】
実施例17は、流体導管が差圧生成デバイスと、差圧生成デバイスの上流に配置された第1の圧力センサと、差圧生成デバイスのスロート領域もしくは差圧生成デバイスの下流に配置された第2の圧力センサとを含む、実施例12から実施例16のいずれかに記載の装置を含んでいる。
【0143】
実施例18は、差圧生成デバイスがベンチュリチューブまたはフローノズルを含む、実施例17に記載の装置を含んでいる。
【0144】
実施例19は、放射線源及び検出器が、差圧生成デバイスの上流、差圧生成デバイスのスロート領域、または差圧生成デバイスの下流に配置されている、実施例17に記載の装置を含んでいる。
【0145】
実施例20は、放射線源及び検出器が、第2の圧力センサの下流に配置されている、実施例19に記載の装置を含んでいる。
【0146】
実施例21は、流体導管と、第1の波長での第1の光及び第2の波長での第2の光を放出する第1の光源と、を含む流量計を含む装置を含んでいる。第1の光及び第2の光は流体導管を通過する。例示的な装置は、(a)流体導管を通過する第1の光を検出し、第1の光の検出に応じて第1の透過率データを生成することと、(b)流体導管を通過する第2の光を検出し、第2の光の検出に応じて第2の透過率データを生成することと、を行う第1の光検出器を含んでいる。例示的な装置は、第1の透過率データ及び第2の透過率データに基づき、流体導管を通って流れる蒸気流内の水の水割合を判定するプロセッサを含んでいる。
【0147】
実施例22は、第1の波長が、流体内の液体の水に関する吸収性の波長であり、第2の波長が、流体内の液体の水に関する実質的に非吸収性の波長である、実施例21に記載の装置を含んでいる。
【0148】
実施例23は、流量計が第2の光源及び第2の光検出器を含み、第2の光が第3の光を放出し、第2の光検出器が、第3の光の検出に応じて第3の透過率データを生成し、プロセッサが、第3の透過率データと、第1の透過率データまたは第2の透過率データの一方とに基づき、蒸気流の速度を判定する、実施例21に記載の装置を含んでいる。
【0149】
実施例24は、プロセッサが、第3の透過率データと、第1の透過率データまたは第2の透過率データの一方との相互相関を実施することによって速度を判定する、実施例23に記載の装置を含んでいる。
【0150】
実施例25は、流体導管内に配置された圧力生成デバイスと、蒸気流に関する第1の圧力データを生成する第1の圧力センサと、蒸気流に関する第2の圧力データを生成する第2の圧力センサと、をさらに含む、実施例21から実施例24のいずれかに記載の装置を含んでいる。プロセッサは、第1の圧力データと第2の圧力データとの差、及び蒸気の密度に基づき、蒸気の質量流量を判定する。
【0151】
実施例26は、流体導管が、内部に規定された第1の光学ウインドウ及び第2の光学ウインドウを含み、光が、第1の光源から第1の光検出器に、第1の光学ウインドウ及び第2の光学ウインドウを通過する、実施例21から実施例24のいずれかに記載の装置を含んでいる。
【0152】
上の記載は、いくつかの実施形態の特徴の概要を述べており、それにより、当業者が、本開示の態様をよりよく理解する場合があるようになっている。当業者には、同じ目的を実行するため、または本明細書に導入した実施形態の同じ利点を達成するために、他のプロセス及び構造を設計または変更するための基礎として、当業者が本開示を容易に使用する場合があることを理解されたい。当業者には、そのような均等の構成が、本開示の精神及び範囲から逸脱しないこと、ならびに、当業者が、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に様々な変更、代替、及び変形を行う場合があることをも理解されたい。
【0153】
前述の記載が、特定の手段、材料、及び実施形態を参照して本明細書で記載されてきたが、本明細書に開示の詳細に限定することは意図されていない。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲内にあるものなど、機能的に均等の構造、方法、及び用途のすべてに拡大される。
【0154】
添付の特許請求の範囲は、この参照により、本明細書によってこの詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、本開示の別々の実施形態として、それ自体で自立している。