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特許75324204-フェニル-5-アルコキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-カルボン酸を調製するための代替方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】4-フェニル-5-アルコキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-カルボン酸を調製するための代替方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240805BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240805BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C07D487/04 144
A61K31/506
A61P1/16
A61P31/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021571985
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020065424
(87)【国際公開番号】W WO2020245246
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/090358
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュロック,ダニエル・ビンセント
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジアンシュウ
(72)【発明者】
【氏名】スパー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッシック,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ジーシアーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,フグイ
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/125729(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/076310(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/140750(WO,A1)
【文献】特表2018-508552(JP,A)
【文献】特表2017-507186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/506
A61P 1/16
A61P 31/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
は、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;
はC1-6アルキルであり;
は-C2x-であり;
xは、1、2、3、4、5、6または7である)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくはジアステレオマーを調製するための方法であって、
以下の工程:
工程a)化合物(III)
【化2】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の形成、
工程b)化合物(III)および化合物(IV)
【化3】
の付加反応を介した尿素(V)
【化4】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の形成、
工程c)尿素(V)の環化反応を介した式(VI)
【化5】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)のヒダントインの形成、
工程d)式(VI)の化合物の選択的還元を介した式(VIII)
【化6】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7であ)の尿素の形成、
工程e)および工程f)式(VIII)の化合物の加水分解を介した式(IX)
【化7】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7であ)の化合物の形成、
工程g)式(IX)の化合物の脱保護による式(X)
【化8】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の化合物の形成、
工程h)酸(XV)の存在下での化合物(XI)、(XII)および(XIII)の反応を介した式(XIV)の化合物の形成
【化9】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)
工程i)式(XVI)
【化10】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)
の化合物の形成、
工程j)式(XVII)
【化11】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルであり;Xはハロゲンであり、好ましくは塩素である)
の化合物の形成、
工程k)式(XVIII)
【化12】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)
の化合物の形成、
工程l)式(XVIII)の化合物の臭素化反応を介した式(XIX)
【化13】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)
の化合物の形成、
工程m)式(XIX)の化合物と式(X)の化合物との置換反応を介した式(I)
【化14】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルであり;Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)
の化合物の形成
の1つ以上を含む、方法。
【請求項2】
がクロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニルもしくはフルオロメチルフェニルであり;Rがメチルもしくはエチルであり;Rがジメチルエチルであり;またはその薬学的に許容され得る塩もしくはジアステレオマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
【化15】
、またはその薬学的に許容され得る塩もしくはジアステレオマーの合成のための請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(X)の化合物
【化16】
(式中、
は-C2x-であり;
xは、1、2、3、4、5、6または7である)、
またはその薬学的に許容され得る塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを調製するための方法であって、
以下の工程:
工程a)化合物(III)
【化17】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)
の形成、
工程b)化合物(III)および化合物(IV)
【化18】
の付加反応を介した尿素(V)
【化19】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)
の形成、
工程c)尿素(V)の環化反応を介した式(VI)
【化20】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)
のヒダントインの形成、
工程d)式(VI)の化合物の選択的還元を介した式(VIII)
【化21】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7であ
の尿素の形成、
工程e)および工程f)式(VIII)の化合物の加水分解を介した式(IX)
【化22】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7であ
の化合物の形成、
工程g)式(IX)の化合物の脱保護による式(X)
【化23】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)
の化合物の形成
の1つ以上を含む、方法。
【請求項5】
がジメチルエチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
化合物(X)が、その薬学的に許容され得る塩またはジアステレオマーの形態である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
工程a)における化合物(III)の形成が、試薬を含む溶媒中、塩基の存在下で行われ、前記溶媒が、2-MeTHF、THF、IPAc、EA、DCM、DMF、トルエンおよびアニソールから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基が、NaCO、NaOtPent、NaHCO、KCO、NaPO、KPOおよびトリエチルアミン(TEA)から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記試薬が、CDI、ホスゲン、ジホスゲン、ジスクシンイミジルカーボネートおよびトリホスゲンから選択される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程c)における式(VI)のヒダントインの形成が、有機溶媒中、酸の存在下で行われ、前記溶媒が、2-MeTHF、IPAc、EA、トルエン、DCM、アニソールおよびDMFから選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸が、三フッ化ホウ素エーテラート、リン酸、硫酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、HBr、HCl、AlCl、TiCl、SnCl、ZrCl、TMSOTf、塩化ピバロイル、クロロギ酸イソブチルおよび塩化オキサリルから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程d)における式(VIII)の尿素の形成が、触媒ルイス酸および還元剤の存在下で行われ、前記触媒ルイス酸が、InCl、YCl、ZnCl、Zn(OAc)、TMSCl、TiCl、ZrCl、AlCl、BF・THFおよびBF・EtOから選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記還元剤が、水素化リチウムアルミニウム、ジヒドロ-ビス-(2-メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウム、ボランジメチルスルフィド、フェニルシラン、ボラン、ボランジメチルスルフィド錯体およびボランテトラヒドロフラン錯体から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(IX)の化合物が、THF、MeTHF、TBME、トルエン、アニソール、イソプロパノール、メタノールおよびエタノールならびにそれらの水との混合物から選択される溶媒の存在下で合成されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程g)における式(X)の化合物の形成が、溶媒中、HClの存在下で行われることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が、DCM、トルエン、ジオキサン、EtOAc、IPAc、IPA、1-プロパノール、アセトン、MIBKおよびMIBKとアセトンとの混合溶媒から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程h)における式(XV)の酸が、(R)-3,3’-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(S)-3,3’-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-(-)-VAPOLハイドロジェンホスフェート、(+)-CSA、および(S)-(+)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-(-)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程h)における式(XV)の酸が、(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(Ia)の化合物:
【化1】
、特に式(I):
【化2】
(式中、
は、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;
はC1-6アルキルであり;
は-C2x-であり;
xは、1、2、3、4、5、6または7である)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくはジアステレオマーを調製するための代替方法であって、B型肝炎感染またはB型肝炎感染によって引き起こされる疾患に関連する患者におけるウイルス性疾患の予防および処置に有用である、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)の化合物を合成するためのアプローチは、特許国際公開第2015/132276号に開示されている。しかしながら、合成アプローチは、とりわけ、(i)全体的に低い収率、(ii)高価な出発物質、(iii)キラル中間体および最終生成物の面倒な立体化学的分離および精製、ならびに(iv)Swern酸化工程のロバスト性の欠如を含むいくつかの理由のために、商業的プロセスに適していない。
【0003】
技術的規模で適用することもでき、より高い生成物収率および立体化学的純度を可能にするより効率的な合成アプローチが国際公開第2017/140750号に開示された。
【0004】
本発明はここで、プロセス全体の工程数をさらに低減し、廃棄物の発生を実質的に低減し、したがって前述の方法と比較して全体的なコストの面でより好ましい工業規模で適切な式(Ia)の化合物、特に式(I)の化合物を調製するための、さらに改変された合成アプローチを開示する。
【0005】
本発明の第1の態様は、式(X):
【化3】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを調製するための新規方法に関する。
【0006】
本発明の第2の態様は、式(XVIII):
【化4】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを調製するための新規方法に関する。
【0007】
式(X)および(XIX)の化合物は、本明細書に記載の式(I)の薬学的に活性な化合物の合成および製造における重要な中間体である。
【0008】
本発明の第3の態様は、式の化合物式(Ia)の化合物:
【化5】
、特に式(I):
【化6】
(式中、
は、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;
はC1-6アルキルであり;
は-C2x-であり;
xは、1、2、3、4、5、6または7である)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくはジアステレオマーを調製するための新規方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本明細書で使用される場合、「C1-6アルキル」という用語は、1~6個、特に1~5個の炭素原子を含む飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどを意味する。特に「C1-6アルキル」基は、メチルまたはエチルである。
【0010】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特にフッ素または塩素を意味する。
【0011】
「ジアステレオマー」という用語は、キラリティーの中心が2つ以上あり、かつそれらの分子が互いに鏡像ではない立体異性体を表す。
【0012】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、式Iの化合物の生物学的有効性および特性を保持し、適切な非毒性の有機もしくは無機酸または有機もしくは無機塩基から形成される通常の酸付加塩または塩基付加塩を指す。酸付加塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸などの無機酸に由来するもの、ならびにp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸などの有機酸に由来するものなどが含まれる。塩基付加塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウムおよび第四級アンモニウムヒドロキシド、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに由来するものが含まれる。医薬化合物の塩への化学修飾は、化合物の物理的および化学的安定性、吸湿性、流動性ならびに溶解性を改善するために、医薬系化学者に周知の技法である。これは例えば、Bastin R.J.ら、Organic Process Research&Development 2000、4、427~435;またはAnsel,H.ら、「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」第6版(1995)196頁および1456~1457頁に記載されている。
【0013】
略語
ACN アセトニトリル
API 医薬品有効成分
Boc tert-ブトキシカルボニル
(R)BNP酸 (R)-(-)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート
CPME シクロペンチルメチルエーテル
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
eq 当量
GABA γ-アミノ酪酸
IPA イソプロパノール
IPAc イソプロピルアセテート
EtOAcまたはEA 酢酸エチル
MEK 2-ブタノン
2-MeTHF 2-メチルテトラヒドロフラン
MIBK メチルイソブチルケトン
MSA メタンスルホン酸
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
NBS N-ブロモスクシンイミド
NMM N-メチルモルホリン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMP 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン
v/v 体積比
V65 2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)
wt% 重量パーセント
【0014】
本発明は、スキーム1に概説される式(X)の化合物ならびにスキーム2に概説される式(XVIII)および(I)の化合物を調製するための方法を提供する。
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルであり;Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7であり;酸(XV)は、(R)-3,3’-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(S)-3,3’-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-(-)-VAPOLハイドロジェンホスフェート、(+)-CSA、または(S)-(+)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-(-)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートである。好ましくは、工程h)において触媒として機能する式(XV)の酸は、(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートである。
【0017】
合成は、次の工程の1つ以上を含む:
工程a)化合物(III):
【化9】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の形成、
工程b)化合物(III)および化合物(IV)
【化10】
の付加反応を介した尿素(V)
【化11】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の形成、
工程c)尿素(V)の環化反応を介した式(VI)
【化12】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)のヒダントインの形成、
工程d)式(VI)の化合物の選択的還元を介した式(VIII)
【化13】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7であり;RはC1-6アルキルである)の尿素の形成、
工程e)および工程f)式(VIII)の化合物の加水分解を介した式(IX)
【化14】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7であり;RはC1-6アルキルである)の化合物の形成、
工程g)式(IX)の化合物の脱保護による式(X)
【化15】
(式中、Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の化合物の形成、
工程h)酸(XV)の存在下での化合物(XI)、(XII)および(XIII)
【化16】
の反応を介した式(XIV)
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)の化合物の形成、
工程i)式(XVI)
【化17】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)の化合物の形成、
工程j)式(XVII)
【化18】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルであり;Xはハロゲンであり、好ましくは塩素である)の化合物の形成、
工程k)式(XVIII)
【化19】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)の化合物の形成、
工程l)式(XVIII)の化合物の臭素化反応を介した式(XIX)
【化20】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルである)の化合物の形成、
工程m)式(XIX)の化合物と式(X)の化合物との置換反応を介した式(I)
【化21】
(式中、Rは、フェニルであり、それは、非置換であるか、またはハロゲンおよびC1-6アルキルから独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されており;RはC1-6アルキルであり;Rは-C2x-であり;xは、1、2、3、4、5、6または7である)の化合物の形成。
【0018】
方法工程の本発明の詳細な説明は以下の通りである:
【0019】
工程a)化合物(III)の形成
化合物(III)は、化合物(II)および適切な試薬、好ましくは1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)から、適切な溶媒中、適切な塩基の存在下で形成される。変換は、原則として冷却条件下で行われる。
【0020】
適切な溶媒は、2-MeTHF、THF、IPAc、EA、DCM、DMF、トルエンおよびアニソールから選択され、特に適切な溶媒はアニソールである。
【0021】
適切な塩基は、NaCO、NaOtPent、KCO、NaPO、KPOおよびトリエチルアミン(TEA)から選択される。好ましくは、適切な塩基はTEAである。反応の速度は、-20℃と40℃の間、特に0℃と5℃の間の温度で制御される。
【0022】
適切な試薬は、CDI、ホスゲン、ジホスゲン、ジスクシンイミジルカーボネートおよびトリホスゲンから選択され、好ましくは試薬はCDIである。CDIの量は式(II)の化合物の1.0~2.0当量であり、特に1.1~1.5当量である。
【0023】
国際公開第2017/140750号は、イソシアネート中間体の形成においてホスゲン試薬を使用する化合物Xを製造するための代替合成経路を開示している。ホスゲン試薬は、ホスゲン、ジホスゲンおよびトリホスゲンから選択される。これらのホスゲン試薬はすべて非常に毒性が高いことが当技術分野で周知である。本発明による合成プロセスは、いかなるホスゲン試薬も回避し、代わりに、工程a)においては例えばCDIを使用する。
【0024】
工程b)化合物(III)および化合物(IV)の付加反応を介した尿素(V)の形成
尿素(V)は、適切な有機溶媒中で合成される。変換は、原則として穏やかな加熱条件下で行われる。
【0025】
縮合反応は、2-MeTHF、THF、IPAc、EA、DMF、アニソール、トルエンおよびDCMから選択される適切な有機溶媒中で行われる。特に溶媒はアニソールである。
【0026】
反応は、0℃と80℃の間、特に0℃と60℃の間、より詳細には30℃と50℃の間の温度で行われる。
【0027】
本合成では、
【化22】
が、前述の合成(国際公開第2017/140750号)での
【化23】
に代わり、工程b)で使用される。ナトリウム化合物は、前述の合成で使用されるメトキシ化合物よりも大幅に安価である。遊離NHが存在するため、遊離酸からエステルを製造することはより面倒である(数工程を必要とする)。したがって、ナトリウム塩はとても大幅に安価である。
【0028】
工程c)尿素(V)の環化反応を介した式(VI)のヒダントインの形成
式(VI)の化合物は、適切な有機溶媒中、適切な酸の存在下で尿素(V)の環化を介して合成される。変換は、原則として冷却条件下で行われる。
【0029】
適切な溶媒は、2-MeTHF、IPAc、EA、トルエン、DCM、アニソールおよびDMFから選択される。好ましくは、溶媒はアニソールである。
【0030】
適切な酸性脱水剤は、三フッ化ホウ素エーテラート、リン酸、硫酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、HBr、HCl、AlCl、TiCl、SnCl、ZrCl、TMSOTf、塩化ピバロイル、クロロギ酸イソブチルおよび塩化オキサリルから選択される。好ましくは、酸性脱水剤は塩化オキサリルである。反応は、-20℃と20℃の間、特に-5℃と5℃の間の温度で行われる。
【0031】
工程d)式(VI)の化合物の選択的還元を介した式(VIII)の尿素の形成
式(VIII)の化合物は、適切な溶媒中、適切な触媒ルイス酸および適切な還元剤の存在下で合成される。変換は、冷却条件下で行われる。
【0032】
適切な溶媒は、THF、2-MeTHFおよびシクロペンチルメチルエーテルから選択され、特に溶媒は、THFまたは2-MeTHFまたはアニソールである。
【0033】
適切な還元剤は、水素化リチウムアルミニウム、ジヒドロ-ビス-(2-メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウム、ボランジメチルスルフィド、フェニルシラン、ボラン、ボランジメチルスルフィド錯体およびボランテトラヒドロフラン錯体から選択され、特に還元試薬はボランテトラヒドロフラン錯体である。ボランテトラヒドロフラン錯体の量は式(VI)の化合物の1.6~5.0当量であり、特に1.6~2.0当量である。
【0034】
触媒ルイス酸は、InCl、YCl、ZnCl、Zn(OAc)、TMSCl、TiCl、ZrCl、AlCl、BF・THFおよびBF・EtOから選択され、特にルイス酸はBF・EtOである。BF・EtOの量は式(VI)の化合物の0.05~1.1当量であり、特に0.2当量である。
【0035】
反応は、-40と40℃の間、特に10℃と15℃の間の反応温度で行われる。
【0036】
通常4~5当量のボランテトラヒドロフラン錯体は、100%の変換をもたらし得るが、他のカルボニル基よりも低い還元選択性を被る。触媒量のBF・EtOを用いると、選択性が改善されるだけでなく、ボランテトラヒドロフラン錯体の量が4~5当量から1.6~2.0当量に減少する。
【0037】
工程e)および工程f)式(VIII)の化合物の加水分解を介した式(IX)の化合物の形成
式(IX)の化合物は、適切な溶媒中、適切な塩基の存在下、続くワークアップ手順で合成される。
【0038】
適切な溶媒は、THF、MeTHF、TBME、トルエン、アニソール、イソプロパノール、メタノールおよびエタノールならびにそれらの水との混合物から選択される。特に、溶媒は水とアニソールとの混合物である。
【0039】
加水分解に適した塩基は、LiOH、LiOOH、NaOTMS、KOTMS、KOtBu、NaOHおよびKOHから選択される。特に塩基は水性NaOHである。
【0040】
反応は、0℃と70℃の間、特に40℃と60℃の間の温度で行われる。
【0041】
式(IX)の化合物は、相分離、酸性化および得られた遊離酸の単離を含むワークアップ手順を通じて単離される。
【0042】
本発明の一実施形態では、工程a)~f)は、いわゆるワンポット合成として単一の反応容器内で実施される。これにより、工程a)~f)に関連して形成される中間体のいくつかの精製手順が回避され、それによって化学廃棄物が最小限に抑えられ、時間が節約され、エネルギー消費および装置の使用の削減などの化学プロセスの他の側面が単純化される。
【0043】
工程g)式(IX)の化合物の脱保護による式(X)の化合物の形成
式(X)の化合物は、適切な溶媒中、適切な酸の存在下で合成される。
【0044】
適切な溶媒は、DCM、トルエン、ジオキサン、EtOAc、IPAc、IPA、1-プロパノール、アセトン、MIBKおよびMIBKとアセトンとの混合溶媒から選択される。特に溶媒はMIBKである。
【0045】
適切な酸は、TFA、リン酸、MSA、硫酸、HBrおよびHClから選択される。特に、酸はTFAまたはHClであり、より詳細には、酸はHClである。
【0046】
ガス放出を制御することができる間、反応温度を0℃と60℃の間、特に20℃と30℃の間に維持しながら、酸の添加速度を制御する。
【0047】
酸の量は式(IX)の化合物の3~10当量であり、特に3~4当量である。
【0048】
適切な時間、通常0.5~2時間後、HPLCによりモニタリングしながら、反応を完了させる。式(X)の化合物を反応混合物から固体として単離する。式(X)の化合物は反応混合物中に沈殿し、濾過、続いて反応が行われた溶媒を使用した1回以上の洗浄工程によって分離される。
【0049】
本発明の一態様は、少なくとも1つの工程a)~g)を含む式(X)の化合物を製造するための合成プロセスに関する。
【0050】
工程h)酸(XV)の存在下での化合物(XI)、(XII)および(XIII)の反応を介した式(XIV)の化合物の形成
式(XIV)の化合物は、適切な溶媒中、適切な触媒の存在下で合成される。変換は、原則としてディーンスターク水除去条件下(減圧)で行われる。
【0051】
適切な溶媒は、メタノール、エタノール、IPA、tert-BuOH、2,2,2-トリフルオロエタノール、ベンゼン、キシレン、アニソール、クロロベンゼンおよびトルエンから選択され、特に溶媒はトルエンである。
【0052】
エナンチオ選択的なビギネリ反応に使用される適切な有機酸触媒は、(S)-(+)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェート、(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェート、D-(+)-DTTA、L-DTTA、L-酒石酸、D-DBTA、(+)-CSA、(S)-(+)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートおよび(R)-(-)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-3,3’-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(S)-3,3’-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート、(R)-(-)-VAPOLハイドロジェンホスフェートから選択され、特に有機酸は(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートである。
【0053】
国際公開第2017/140750号は、式(XVI)の化合物のエナンチオマー塩の形成および再結晶化において、好ましくは(S)-(+)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートまたは(R)-(-)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートのいずれかが使用される、化合物(XIX)を製造するための代替合成経路を開示している。本発明の一実施形態では、(S)-(+)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェートまたは(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェート、好ましくは(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェートのいずれかが工程h)で使用され、式(XIV)の化合物がエナンチオ特異的に形成される。等モル量の(S)-(+)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェートまたは(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェートのいずれかが必要である国際公開第2017/140750号の教示とは対照的に、本発明によるプロセス工程h)で必要とされる対応する1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェートの量は、ちょうど0.01等モルである。したがって、本発明による合成経路を用いると、当技術分野で前述した方法を超えるプロセス廃棄物およびコストの大幅な削減が可能である。
【0054】
工程i)式(XVI)の化合物の形成
式(XVI)の化合物は、適切な溶媒中、適切な試薬を使用して、適切な触媒の存在下、適切なpHで合成される。
【0055】
適切な溶媒は、水とメタノール、エタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、トルエン、ACN、DMF、EtOAcまたはジメチルカーボネートのいずれか2種との混合物から選択され、特に溶媒は水、エタノールおよびACNの混合物である。
【0056】
反応に使用される適切な試薬は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ギ酸、酢酸から選択され、特に触媒は炭酸水素ナトリウムである。
【0057】
この反応に適したpHは5と12の間であり、特にpHは7と10の間である。
【0058】
反応に使用される適切な試薬は、mCPBA、tBuOOH、尿素過酸化水素錯体、ジベンゾイルペルオキシド、オキソン、および過酸化水素の水溶液から選択され、特に試薬は過酸化水素の水溶液である。
【0059】
工程j)式(XVII)の化合物の形成
式(XVII)の化合物は、適切な溶媒中、適切な試薬を使用して合成される。
【0060】
適切な溶媒は、トルエン、キシレネス、クロロベンゼン、ヘプタン、ACN、ジクロロメタンから選択され、特に溶媒はトルエンである。
【0061】
適切な試薬は、塩化オキサリル、PCl、POCl、SOClおよびMsClから選択され、特に試薬はPOClである。
【0062】
工程k)式(XVIII)の化合物の形成
式(XVIII)の化合物は、適切な溶媒中、適切な触媒および適切な試薬を使用して合成され、適切な塩として、好ましくはHBr塩として単離される。
【0063】
適切な触媒は、Xantphosまたはdppfのいずれかとパラジウム(II)塩との錯体から選択され、特に触媒はXantphosPdClである。
【0064】
適切な試薬は、ブロモ(チアゾール-2-イル)マグネシウム、チアゾール-2-イルボロン酸およびブロモ(チアゾール-2-イル)亜鉛から選択され、特に試薬はブロモ(チアゾール-2-イル)亜鉛である。
【0065】
適切な溶媒は、トルエン、キシレネス、クロロベンゼン、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、ACN、ジクロロメタンから選択され、特に溶媒はトルエンである。
【0066】
工程l)式(XVIII)の化合物の臭素化反応を介した式(XIX)の化合物の形成
式(XVIII)の化合物は、適切な有機溶媒中、適切な臭素化試薬の存在下、適切な添加剤とともに、または添加剤なしで合成される。変換は、原則として加熱条件下で行われる。
【0067】
適切な臭素化試薬は、NBS、臭素、ピリジントリブロミドおよび1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインから選択され、特に臭素化試薬はNBSである。臭素化反応は、0℃と80℃の間、特に35℃と40℃の間の温度で行われる。
【0068】
反応は、通常、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、ACN、酢酸、フルオロベンゼン、クロロベンゼンおよびDCMから選択される有機溶媒中で行われ、特に有機溶媒はDCMである。
【0069】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの工程h)~l)を含む式(XIX)の化合物を製造するための合成プロセスに関する。
【0070】
国際公開第2017/140750号は、化合物(XIX)を製造するための代替合成経路を開示している。しかしながら、本発明による合成プロセスは、国際公開第2017/140750号に開示されている方法よりも(i)50%超の廃棄物削減、(ii)20%超の低コスト、および(iii)3工程以上短い大幅に短縮された方法を提供すると推定される。
【0071】
工程m)式(XIX)の化合物と式(X)の化合物との置換反応を介した式(I)の化合物の形成
式(I)の化合物は、適切な有機溶媒中、適切な塩基の存在下で合成される。
【0072】
適切な塩基は、TMP、DIPEA、TEA、トリプロピルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、DBU、NMM、2,6-ルチジン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、テトラメチルピペリジン-4-オール、NaCO、KCO、NaHCOおよびトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンから選択され;特に、塩基はTMPまたはトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンであり;より詳細には、塩基はトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンである。
【0073】
塩基の適切なpKaおよび求核性は、この工程における収率および不純物形成に直接関係する。TMPとトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンの両方が、高い選択性で良好な収率をもたらすことができたが、TMPを塩基として使用する場合、ヒドラジン関連不純物が最終APIに導入される可能性がある。
【0074】
適切な有機溶媒は、THF、IPAc、EtOAc、MTBE、フルオロベンゼン、クロロベンゼンおよびDCMから選択され、特に有機溶媒はDCMである。
【0075】
置換反応は、原則として0℃と40℃の間の温度で、特に10℃と25℃の間の温度で行われる。
【0076】
APIの純度を確保するためには、酸-塩基ワークアップおよび再結晶化を通じた効率的な精製手順が必要である。
【0077】
式(I)の化合物の精製手順は以下を含む:1)適切な溶媒中、適切な酸および適切な塩基を用いた酸-塩基ワークアップ;および2)適切な有機溶媒中、適切なシードの有無にかかわらず実施される再結晶化。
【0078】
式(I)の化合物の精製のための酸-塩基ワークアップに使用される酸は、HCl、HBr、HSO、HPO、MSA、トルエンスルホン酸およびカンファースルホン酸から選択され、特に酸はHPOである。水性HPOの濃度は、15重量%~60重量%から選択され、特に水性HPOの濃度は35重量%~40重量%である。HPOの量は、APIの最大回収率および最少の不純物を得るために不可欠であり、慎重に設計される。
【0079】
式(I)の化合物の精製のための酸-塩基ワークアップに使用される塩基は、NaOH、KOH、KCOおよびNaCOから選択され、特に塩基はNaOHである。
【0080】
式(I)の化合物の精製のための酸-塩基ワークアップにおいて不純物を抽出するために使用される適切な有機溶媒は、MTBE、EA、IPAc、酢酸ブチル、トルエンおよびDCMから選択され;特に有機溶媒はEAまたはDCMであり;より詳細には、溶媒はDCMである。
【0081】
式(I)の化合物の再結晶化に適した溶媒は、IPA、エタノール、EtOAc、IPAc、酢酸ブチル、トルエン、MIBK、アセトンと水の混合溶媒、IPAと水の混合溶媒、およびエタノールと水の混合溶媒から選択され、特に溶媒はエタノールと水との混合溶媒である。シーズ量は、0.1~5重量%の式(I)の化合物であり、特にシーズ量は1重量%である。
【実施例
【0082】
実施例1
C15050794-Gの調製(実施例1):
【化24】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化25】
【0083】
C15050794-Gの製造を2バッチで実施した。C15050794-G17601については、1243.4kgのC15050794-Gのアニソール溶液を、118.35kgのC15050794-SM6および90.0kgのC15050794-SM5から、92.8%の純度、12.6%のアッセイ、96.6% e.e.、収率87%で得た。C15050794-G17602については、1214.6kgのC15050794-Gのアニソール溶液を、117.35kgのC15050794-SM6および88.9kgのC15050794-SM5から、93.3%の純度、12.2%のアッセイ、97.5% e.e.、収率83%で得た。詳細を以下の表に要約する。
C15050794-G17601の調製のための原料
【表1】
C15050794-G17602の調製のための原料
【表2】
C15050794-Gの調製のためのプラント結果
【表3】
C15050794-G17601~G17602の調製用装置
【表4】
C15050794-Gの詳細な方法の説明
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0084】
C15050794-G(実施例1):
MS計算値C18 H29 N3 O6 [M+Na]+:406.2、実測値:406.4、1H NMR(300MHz、CDCl3)δ ppm 4.50(br s、1H)、4.23-4.01(m、4H)、3.96(dd、J=4.7、11.2Hz、1H)、3.66(s、2H)、3.01(dt、J=3.8、12.8Hz、1H)、2.81-2.59(m、2H)、1.55-1.42(m、9H)、1.37-1.23(m、6H)、1.21(s、6H)
【0085】
実施例2
C15050794-Kの調製(実施例2):
【化26】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化27】
【0086】
C15050794-Kの製造を2バッチで実施した。C15050794-K17601については、56.75kg(純度:100.0%、アッセイ:100.0%、e.e.%:99.2%)および36.70kg(純度:100.0%、アッセイ:99.5%、e.e.%:99.1%)のC15050794-Kを、1239.0kgのC15050794-Gのアニソール溶液(アッセイ:12.60%)から収率67%で得た。C15050794-K17602については、54.45kg(純度:100.0%、アッセイ:98.6%、e.e.%:99.4%)および50.05kg(純度:100.0%、アッセイ:99.6%、e.e.%:99.4%)のC15050794-Kを、1214.6kgのC15050794-Gのアニソール溶液(アッセイ:12.20%)から収率78%で得た。詳細を以下の表に要約する。
C15050794-K17601の調製のための原料
【表6】
C15050794-K17602の調製のための原料
【表7】
C15050794-Kの調製のためのプラント結果
【表8】
C15050794-K17601~K17602の調製用装置
【表9】
C15050794-Kの詳細な方法の説明
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【0087】
C15050794-K(実施例2):
HRMS計算値C16 H27 N3 O5[M+H]+:341.1951、実測値:341.1976、1H NMR(600MHz、クロロホルム-d)δ ppm 3.90-4.36(m、2H)、3.70-3.84(m、1H)、3.53-3.63(m、1H)、3.46-3.52(m、1H)、3.29-3.43(m、2H)、3.02(dd、J=9.1、4.7Hz、1H)、2.36-2.92(m、3H)、1.40-1.50(m、9H)、1.15-1.30(m、6H)
【0088】
実施例3
C15050794-SM2の調製(実施例3):
【化28】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化29】
【0089】
C15050794-SM2の製造を1バッチで実施した。C15050794-SM2 17601については、157.25kgのC15050794-SM2を197.20kgのC15050794-Kから、99.9%の純度、92.1%のアッセイ、99.3% e.e.、収率90%で得た。詳細を以下の表に要約する。
C15050794-SM2 17601の調製のための原料
【表11】
C15050794-SM2 17601の調製のためのプラント結果
【表12】
C15050794-SM2 17601の調製用装置
【表13】
C15050794-SM2 17601の詳細な方法の説明
【表14-1】
【表14-2】
【0090】
C15050794-SM2(実施例3):
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ ppm 12.10-12.59(m、1H)、9.32-9.78(m、2H)、3.85-3.95(m、1H)、3.75-3.76(m、1H)、3.68-3.76(m、1H)、3.41-3.47(m、1H)、3.23-3.27(m、1H)、3.15-3.18(m、1H)、3.13-3.30(m、2H)、3.13-3.17(m、1H)、3.00-3.06(m、1H)、2.69-2.79(m、1H)、2.66-2.75(m、1H)、1.08(d、J=7.8Hz、6H);HRMS計算値C11 H19 N3 O3[M+H]+:241.1426、実測値:241.1429
【0091】
実施例4
エチル4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレートの調製(実施例4):
【化30】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化31】
【0092】
ディーンスターク水除去用に構成された反応器中で、チオ尿素(12.73g、167.2mmol、1.05当量)、3-フルオロ-2-メチル-ベンズアルデヒド(22.0g、159.3mmol、1.00当量)およびアセト酢酸エチル(24.87g、191.1mmol、1.20当量)、(R)-(-)-3,3’-ビス(トリフェニルシリル)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェン-ホスフェート(1.38g、1.59mmol、0.01当量)およびトルエン(76.1g)から懸濁液を調製した。この混合物を減圧下、80℃のジャケット温度で撹拌して、15~18時間にわたって反応中に生成した水の穏やかな還流およびディーンスターク除去を達成した。反応が完了したら、懸濁液を15℃に冷却し、少なくとも2時間撹拌した。結晶をフィルタにかけ、予冷したトルエン(26g)で洗浄し、減圧下50℃で乾燥させた。単離収率は、95%の光学純度で40.6g(82%)であった。1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ ppm 10.30(m、1H)、9.56(br d、J=0.8Hz、1H)、7.23(m、1H)、7.07(m、1H)、7.02(dd、J=8.1、0.9Hz、1H)、5.43(d、J=3.2Hz、1H)、3.92(q、J=7.1Hz、2H)、2.33(d、J=1.6Hz、3H)、2.32(d、J=0.5Hz、3H)、1.00(t、J=7.1Hz、3H)HRMS計算値C15 H17 N2 O2 S[M+H]+:308.0995、実測値:308.1002
【0093】
実施例5
エチル(4S)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-ピリミジン-5-カルボキシレートの調製(実施例5):
【化32】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化33】
【0094】
アセトニトリル(59.9g)、エタノール(58.95g)、重炭酸ナトリウム(32.79g、389.1mmol、4当量)および水(390g)に懸濁したエチル(4S)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-2-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-ピリミジン-5-カルボキシレート(30g、97.3mmol、1.0当量)を室温で30分間撹拌した。懸濁液を5~10℃に冷却し、過酸化水素(hydogen peroxide)(水中3重量%の溶液、75.64g、778mmol、8当量)を4時間にわたって添加した。この添加速度で最小の発泡が観察された。得られた懸濁液を、5~10℃で15~18時間撹拌した。反応が完了したら、水(150g)を添加し、懸濁液を25℃に加温し、さらに5時間撹拌した。結晶をフィルタにかけ、9:1 v/vの水/アセトニトリル(合計120mL)で2回洗浄し、減圧下50℃で乾燥させた。単離収率は、約92%のアッセイで25.8g(90.8%)であった。出発物質で観察されたキラル純度は保存されていた。
【0095】
この材料を再結晶化するために、粗固体(25.8g)をMeTHF(500mL)に溶解し、ポリッシュ濾過し、次いで、減圧下(ジャケット温度30℃)で約300mLに部分的に濃縮した。n-ヘプタン(600mL)を30分間かけて添加し、得られた白色懸濁液を10~15℃(内部温度)に冷却し、フィルタにかけ、乾燥させた。全収量は、約100%のアッセイで21.4g(75.3%)でであった。キラル純度は変化しなかった。1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ ppm 9.20(d、J=1.3Hz、1H)、7.66(t、J=2.3Hz、1H)、7.20(m、1H)、6.98-7.06(m、2H)、5.42(d、J=2.6Hz、1H)、3.89(m、2H)、2.30(d、J=1.7Hz、3H)、2.29(d、J=0.6Hz、3H)、0.99(t、J=7.1Hz、3H);HRMS計算値C15 H17 N2 O3[M+H]+:239.1296、実測値:293.1301
【0096】
実施例6
エチル(4S)-2-クロロ-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレートの調製(実施例6):
【化34】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化35】
【0097】
エチル(4S)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-ピリミジン-5-カルボキシレート(20g、68.4mmol、1.0当量、アッセイ最小92%)をトルエン(43.2g)および塩化ホスホリル(34.47g、205.3mmol、3.0当量)に懸濁した。追加のトルエン(8.7g)を使用して添加漏斗をすすいだ。白色懸濁液を100℃(内部温度)に加熱し、約15分後に黄色溶液が得られ、最終的に赤色溶液になった。反応物を24時間撹拌し、次いで、トルエン(51.9g)で希釈し、0℃に冷却した。この溶液を、トルエン(51.9g)およびKHPO(5% w/wの水溶液、60.0g)の激しく撹拌している混合物を含む第2の容器に0℃で60分間にわたって投入した。クエンチ容器を15℃(内部温度)未満に維持し、KOH(48% w/wの水溶液、230.3g)の可変速度共投入によってpHを7.0~8.5の範囲に維持した。KOH溶液の添加速度を反応混合物の投入の後も継続して、pH範囲を維持した(終端pHは約7.8であった)。得られた二相混合物を23℃(ジャケット温度)に加温し、1時間撹拌した。下部の水層を除去し、有機層をKHPO(5% w/wの水溶液、合計200g)で2回洗浄した。有機溶液をポリッシュ濾過し、フィルタをトルエン(17.3g)ですすいだ。トルエン溶液を25℃(ジャケット温度)を維持しながら減圧下で蒸留し、無水になるまで新鮮なトルエンと置換し、200mLの最終体積とした。トルエン中、0.34Mのエチル(4S)-2-クロロ-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート溶液を直接使用した(アッセイのために補正せず)。1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ ppm 9.81-10.33(m、1H)、7.16-7.28(m、1H)、7.05(t、J=9.0Hz、1H)、7.00(d、J=7.7Hz、1H)、5.74(s、1H)、3.91(d、J=7.1Hz、2H)、2.24-2.38(m、6H)、0.98(t、J=7.1Hz、3H);HRMS計算値C15 H16 Cl F N2 O2[M+H]+:310.0898、実測値:310.0884
【0098】
実施例7
THF中のブロモ(チアゾール-2-イル)亜鉛溶液の調製(実施例7):
【化36】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化37】
【0099】
不活性雰囲気下で、THF(200mL)を含む反応器に亜鉛(21.9g、335mmol、1.1当量)を加え、添加ポートを追加のTHF(50mL)ですすいだ。23℃(内部温度)で激しく撹拌しながら、TMSCl(1.7g、15.2mmol、0.05当量)を約25分間にわたってゆっくり添加し、添加ラインをTHF(10mL)ですすいだ。激しい撹拌を30分間継続し、次いで、2-ブロモチアゾール(50g、304.8mmol、1.0当量)を2時間にわたって添加し、添加ラインをTHF(10mL)ですすいだ。撹拌を継続し、反応を、2-ブロモチアゾール出発物質の完全な消費についてGC分析によってモニターした。必要に応じて、反応物を加熱還流して、変換を完了させた。THF中のブロモ(チアゾール-2-イル)亜鉛の溶液は、周囲温度で不活性雰囲気下でフィルタにかけ、残留亜鉛を除去するか、または濾過せずに直接使用することができる。THFの添加によって体積を調整して305mLの最終体積とし、不活性雰囲気下で保存した場合に室温で安定な1Mのストック溶液を得た。
【0100】
実施例8
エチル(4S)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレートハイドロブロミドの調製(実施例8):
【化38】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化39】
【0101】
不活性雰囲気下の反応器に、エチル(4S)-2-クロロ-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(21.26g、68.41mmol、1.0当量)のトルエン(0.36M溶液、総体積200mL)中溶液、次いで、THF(6.8mL、0.1当量)中の一部のブロモ(チアゾール-2-イル)亜鉛の1M溶液を加え、次いで、触媒ジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(II)(1.03g、1.4mmol、0.02当量)を固体として添加し、添加ポートをTHF(8.9g)ですすいだ。得られた赤色溶液を70℃(内部温度)に加熱した。THF(130mL、1.9当量)中のブロモ(チアゾール-2-イル)亜鉛1M溶液の残りの部分を注入ポンプを介して2時間にわたって添加し、添加ラインをTHF(8.9g)ですすいだ。反応物をさらに1時間撹拌し、その時点で、反応は典型的には完了していた。反応物を23℃(ジャケット温度)に冷却することによって迅速にワークアップし、次いで、クエン酸水溶液(100gの水に溶解した13.14gのクエン酸)で洗浄し、続いて水(合計200mL)で2回洗浄した。有機溶液を60mLの体積に減圧下で部分的に濃縮し、次いで、アセトニトリル(157.2g)を添加し、反応混合物を再び60mLに濃縮した。アセトニトリル(125.8g)を添加し、得られた混合物をポリッシュ濾過した。濾過したアセトニトリル溶液を65℃に加温し、次いで、水性HBr(水中11.53gの48% w/wの溶液、68.4mmol、1.0当量)を添加した。水を減圧下(75~85℃のジャケット温度)での蒸留によって除去し、アセトニトリルで溶媒を置換した。反応物を最小体積(約40mL)に濃縮し、次いで、トルエン(100mL)を20分間にわたって添加した(ジャケット温度85℃)。得られたスラリーを1時間撹拌し、次いで、3時間にわたって0℃に冷却し、1時間撹拌し、オフホワイトから茶色の固体を濾過によって単離した。固体を5:1のトルエン:アセトニトリル(全体積40mL)の3つの部分で洗浄し、次いで、減圧下、50℃で乾燥させて、18.78g(2工程で収率67.7%)の表題化合物を得た。(注:エチル(4S)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-2-チオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-ピリミジン-5-カルボキシレート出発物質の92%アッセイに対して補正した収率)1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ ppm 10.18-12.25(m、1H)、8.23(m、1H)、8.18(m、1H)、7.23-7.29(m、1H)、7.18-7.22(m、1H)、7.08-7.15(m、1H)、5.91(m、1H)、3.85-4.05(m、2H)、2.49(m、3H)、2.43(d、J=1.7Hz、3H)、1.04(t、J=7.1Hz、3H);HRMS計算値C18 H18 F N3 O2 S[M+H]+:360.1177、実測値:360.1181
【0102】
実施例9
3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸の調製(実施例9):
【化40】
表題化合物を、以下のスキームに従って調製した:
【化41】
工程1)エチル(4S)-6-(ブロモメチル)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物10-b)の調製:
【0103】
メカニカルスターラー、温度計および窒素バブラーを備えた10Lフラスコに、工程1)のエチル(4S)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(706mmol、化合物10-a))のDCM(4.0L)溶液を加えた。32~37に加熱した反応混合物に、温度を35~40で維持しながら、NBS(125.6g、706mmol)を小分けにして添加した。0.5時間後、さらなるバッチのNBS(12.6g、70.6mmol)を反応混合物に添加し、これを変換率が95%超になるまでHPLCで慎重にモニターした。得られた化合物10-bの溶液を10~20に冷却し、次の工程に直接使用した。MS m/e=436.1/438.0[M+H]
工程2)3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸の調製(実施例9):
【0104】
メカニカルスターラー、温度計および窒素バブラーを備えた10Lフラスコに、最後の工程からのエチル(4S)-6-(ブロモメチル)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレートのDCM溶液を加えた。10~20℃に冷却した反応混合物に、3-[(8aS)-3-オキソ-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸塩酸塩(193g、635mmol、純度:91.6wt%、実施例3)を添加し、続いてDCM(350mL)中のトリエタノールアミン(329g、2.33モル)を25℃未満で小分けにして添加した。反応混合物を20℃~30℃で16時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物に水(1.25L)を添加し、水層をHPO(85wt%)を使用してpH=3~4に調整した。相分離後、有機相を酸性水(1.25L、pH=2~3のHPO溶液)で洗浄した。相分離後、有機相をHPO水溶液(35wt%、1980g)で1回、HPO水溶液(35wt%、990g)で1回抽出した。合わせた水層をDCM(500mL)で抽出した。0~10に冷却した水層に、DCM(2.0L)を添加した。次いで、水層をNaOH水溶液(50wt%、770g)でpH=3~4に調整した。相分離後、有機相を水(1.5L)で洗浄し、セライト(celite)(25g)を通してフィルタにかけ、次いで、真空中で約500mLに濃縮した。残渣をエタノール(500mL)で希釈し、真空中で約500mLに濃縮し、この方法をもう一度繰り返した。次いで、残渣をエタノール(1700mL)で再び希釈し、すべての固体が溶解するまで70~80℃に加熱した。内部温度を60℃と78℃の間に維持しながら、添加漏斗を介して水(2.20L)を前の溶液に添加した。次いで、反応混合物を2時間にわたって55℃に冷却し、50℃~55℃で1時間維持し、次いで、3時間にわたって25℃に冷却し、25℃でさらに1時間撹拌した。固体を濾過によって回収し、エタノール/水(v/v=1/1、250g)で洗浄した。ウェットケーキを真空オーブン(45℃~55℃/窒素ブリードを伴うおよそ0.1MPa)で35時間乾燥させて、生成物実施例9(260.0g、純度:99.1%、キラル純度:99.8%、収率:61.5%)を淡黄色固体として得た。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ 12.35(s、1H)、9.60(s、1H)、8.01(d、J=3.2Hz、2H)、7.93(d、J=3.2Hz、2H)、7.15-7.19(m、1H)、7.01-7.05(m、2H)、5.89(s、1H)、3.87-4.00(m、4H)、3.62-3.73(m、2H)、3.33-3.39(m、1H)、3.27(d、J=14.0Hz、1H)、3.16(d、J=14.0Hz、1H)、2.93-3.00(m、2H)、2.77-2.82(m、2H)、2.45(t、J=1.6Hz、3H)、2.15(d、J=11.2Hz、1H)、2.02(d、J=11.2Hz、1H)、1.03-1.08(m、9H);MS m/e=599.6[M+H]
【0105】
実施例10
工程l)の酸-塩基ワークアップにおけるHPO濃度および当量スクリーニング
工程l)の酸-塩基ワークアップにおけるHPOの量は、APIの最大回収率および最少の不純物を得るために不可欠であり、慎重に設計される。実施例9の工程2)におけるHPOの濃度および当量を表1に従ってスクリーニングした。主な不純物は、以下に示す不純物2であった。
【化42】
【0106】
最初のHPO溶液の洗浄(pH=3~4およびpH=2~3)後、有機層中の純度は生成物/不純物2(Rt(不純物)=19.4分)=71.9/1.38(ピーク面積%)であり、様々なHPO濃度および当量を用いたさらなる抽出の選択した例を試験し、表1に示した。
【表15】
【0107】
上記の研究を、表2に示す以下のHPLCパラメータで試験した。
【表16】
【0108】
表1に示される結果によれば、工程m)の酸-塩基ワークアップにおけるHPOの量は、APIの回収および不純物の量に直接関係している。したがって、HPOの特定の濃度は、35重量%~40重量%および10~15当量の式(XVIII)の化合物であった。