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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】表示パネル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240805BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240805BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240805BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240805BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20240805BHJP
   H10K 59/123 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 59/126 20230101ALI20240805BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20240805BHJP
【FI】
H01L29/78 618Z
H01L29/78 612C
H01L29/78 612Z
H01L29/78 618B
H01L29/78 619B
G09F9/33
G09F9/30 349C
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H05B33/14 Z
H10K59/123
H10K59/131
H10K59/126
H10K59/80
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021577831
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2021140579
(87)【国際公開番号】W WO2023115404
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】202111566801.0
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】羅 伝宝
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-108366(JP,A)
【文献】特表2016-534390(JP,A)
【文献】特開2011-54936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
G09F 9/33
G09F 9/30
H05B 33/14
H10K 59/123
H10K 59/131
H10K 59/126
H10K 59/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ソース、第1ドレイン、第1活性層、及び第1ゲートを含む第1薄膜トランジスタと、
第2ソース、第2ドレイン、第2活性層、及び第2ゲートを含む第2薄膜トランジスタと、を含み、
前記第1薄膜トランジスタの前記第1ドレインが前記第2薄膜トランジスタの前記第2ゲートに電気的に接続され、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の電子移動度以上であり、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の閾値電圧シフト量が、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の閾値電圧シフト量以下であり、
前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の材料が希土類金属元素又はフッ素系化合物がドープされた金属酸化物を含む表示パネル。
【請求項2】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の前記電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の電子移動度の1.5倍以上である請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の前記電子移動度が20cm/(V・s)以上である請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記閾値電圧シフト量が1ボルト以下である請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の材料がインジウム酸化物、ガリウム酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、及びこれらの組み合わせを含む請求項1に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1ソースに電気的に接続されるデータ線と、
前記第1薄膜トランジスタの前記第1ゲートに電気的に接続される走査線と、
第1電極と、第1電極と対向する第2電極とを含み、前記第1電極が前記第2薄膜トランジスタの前記第2ソースに電気的に接続される発光ユニットと、をさらに含む請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
第1極板と、前記第1極板と対向する第2極板とを含み、前記第1極板が前記第1薄膜トランジスタの前記第1ドレイン及び前記第2薄膜トランジスタの前記第2ゲートに電気的に接続され、前記第2極板が前記第2薄膜トランジスタの前記第2ソース及び前記発光ユニットに電気的に接続される容量をさらに含む請求項に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第2薄膜トランジスタの下に設けられる遮光層をさらに含む請求項1に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記第1薄膜トランジスタは、前記第1活性層と積層して設けられる第3活性層をさらに含み、前記第3活性層の両端の非チャネル領域が前記第1活性層の両端の非チャネル領域にそれぞれ電気的に接続される請求項1に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層及び前記第3活性層の平均電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記電子移動度以上である請求項に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層及び前記第3活性層の平均電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記電子移動度の1.5倍以上である請求項10に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層及び前記第3活性層の前記平均電子移動度が20cm/(V・s)以上である請求項10に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の材料が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の材料と同じである請求項に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層と、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層とが同じ製造工程により設けられる請求項に記載の表示パネル。
【請求項15】
前記第1薄膜トランジスタの前記第3活性層の材料がインジウム酸化物、ガリウム酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、及びこれらの組み合わせを含む請求項に記載の表示パネル。
【請求項16】
前記第1薄膜トランジスタにおいて、前記第1活性層の材料が、前記第3活性層の前記材料と異なる請求項15に記載の表示パネル。
【請求項17】
前記第1薄膜トランジスタの前記第1ソースに電気的に接続されるデータ線と、
前記第1薄膜トランジスタの前記第1ゲートに電気的に接続される走査線と、
第1電極と、第1電極と対向する第2電極とを含み、前記第1電極が前記第2薄膜トランジスタの前記第2ソースに電気的に接続される発光ユニットと、をさらに含む請求項に記載の表示パネル。
【請求項18】
第1極板と、前記第1極板と対向する第2極板とを含み、前記第1極板が前記第1薄膜トランジスタの前記第1ドレイン及び前記第2薄膜トランジスタの前記第2ゲートに電気的に接続され、前記第2極板が前記第2薄膜トランジスタの前記第2ソース及び前記発光ユニットに電気的に接続される容量をさらに含む請求項17に記載の表示パネル。
【請求項19】
前記第2薄膜トランジスタの下に設けられる遮光層をさらに含む請求項に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示の技術分野に関し、特に大型表示装置に適用できて2薄膜トランジスタを有する表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
低温ポリシリコン(low-temperature polycrystalline silicon,LTPS)薄膜トランジスタは、その高い電子移動度及び短い応答時間の駆動特性のため、スマートフォン及びタブレット型パソコンなどの小型表示装置の表示パネルに広く用いられている。しかしながら、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタのリーク電流が大きいため、前記表示パネルの画像遅延が発生して表示画面の切り替えに影響を与えることを防止するために、高リフレッシュレートに設定され、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタの充電時間が短くなってしまう。
【0003】
また、インジウムガリウム亜鉛酸化物(indium gallium zinc oxide,IGZO)等の金属酸化物を用いた薄膜トランジスタは、リーク電流が小さく、安定性が高いため、前記表示パネルのリフレッシュレートを低減することができる。しかしながら、前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタの電子移動度は、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタの前記電子移動度に比べて低いため、前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタは、高い駆動電圧を必要とする。
【0004】
前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタの高い電子移動度、及び前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタの低リーク電流の特性を十分に活かすために、従来技術は、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタと前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタとを組み合わせた表示パネル、即ち低温ポリシリコン酸化物(low-temperature polycrystalline oxide,LTPO)表示パネルを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタは、P型シリコン(P-Si)半導体とN型シリコン(N-Si)半導体との界面のダングリングボンドをパッシベーションして、前記P型シリコン半導体とN型シリコン半導体との界面の欠陥を減少させるために、所定割合の水素(H)原子を必要とする。前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタにおいて、水素原子の割合が高いと、前記インジウムガリウム亜鉛酸化物中の酸素(O)原子空孔及び金属原子と酸素原子との化学結合(Metal-O)のバランスを崩し、更に前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタの閾値電圧シフト量(Vth)のマイナスシフトを引き起こす。このため、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタ及び前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタは、互いに互換性が低く、製造難易度が高い。
【0006】
前記低温ポリシリコン酸化物表示パネルの製造工程は複雑であるため、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタの製造工程は、前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタの製造工程と別々に行わなければならない。従来技術において、プロセスレシピを調整することにより、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタ及び前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタをスムーズに結合させることができるが、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタは、大型表示装置の製造工程において、前記低温ポリシリコンの結晶均一性が悪いため、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタの前記電子移動度及び閾値電圧シフト量に影響を及ぼす。そして、前記低温ポリシリコン薄膜トランジスタ及び前記インジウムガリウム亜鉛酸化物薄膜トランジスタの互換性のため、前記低温ポリシリコン酸化物表示パネルが前記大型表示装置に適用されることが困難となる。このため、現在、前記低温ポリシリコン酸化物表示パネルは、スマートウォッチ、スマートブレスレット等の小型表示装置にしか適用できなかった。
【0007】
従来技術の前記低温ポリシリコン酸化物表示パネルは、前記大型表示装置に適用できないという技術的課題を有しており、上記の技術的課題を解決するために、大型表示装置に適用できて2薄膜トランジスタを有する表示パネルが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、大型表示装置に適用できて2薄膜トランジスタを有する表示パネルを提供する。前記表示パネルは、第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタを含む。前記第1薄膜トランジスタは、第1ソース、第1ドレイン、第1活性層、及び第1ゲートを含む。前記第2薄膜トランジスタは、第2ソース、第2ドレイン、第2活性層、及び第2ゲートを含む。前記第1薄膜トランジスタの前記第1ドレインが前記第2薄膜トランジスタの前記第2ゲートに電気的に接続される。前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の電子移動度以上である。前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の閾値電圧シフト量が、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の閾値電圧シフト量以下である。
【0009】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の前記電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の電子移動度の1.5倍以上である。
【0010】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の前記電子移動度が20cm/(V・s)以上である。
【0011】
本実施例において、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記閾値電圧シフト量が1ボルト以下である。
【0012】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の材料がインジウム酸化物、ガリウム酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、及びこれらの組み合わせを含む。
【0013】
本実施例において、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の材料が希土類金属元素又はフッ素系化合物がドープされた金属酸化物を含む。
【0014】
他の実施例において、前記第1薄膜トランジスタが第3活性層をさらに含む。前記第3活性層が前記第1活性層と積層して設けられる。前記第3活性層の両端の非チャネル領域が前記第1活性層の両端の非チャネル領域にそれぞれ電気的に接続される。
【0015】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層及び前記第3活性層の平均電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記電子移動度以上である。
【0016】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層及び前記第3活性層の平均電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記電子移動度の1.5倍以上である。
【0017】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層及び前記第3活性層の前記平均電子移動度が20cm/(V・s)以上である。
【0018】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の材料が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の材料と同じである。
【0019】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層と、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層とが同じ製造工程により設けられる。
【0020】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタの前記第3活性層の材料がインジウム酸化物、ガリウム酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、及びこれらの組み合わせを含む。
【0021】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタにおいて、前記第1活性層の材料が、前記第3活性層の前記材料と異なる。
【0022】
他の実施例において、前記表示パネルは、データ線、走査線、及び発光ユニットをさらに含む。前記データ線が前記第1薄膜トランジスタの前記第1ソースに電気的に接続される。前記走査線が前記第1薄膜トランジスタの前記第1ゲートに電気的に接続される。前記発光ユニットは、第1電極と、第1電極と対向する第2電極とを含む。前記第1電極が前記第2薄膜トランジスタの前記第2ソースに電気的に接続される。
【0023】
本実施例において、前記表示パネルは、容量をさらに含む。前記容量が第1極板と、前記第1極板と対向する第2極板とを含む。前記第1極板が前記第1薄膜トランジスタの前記第1ドレイン及び前記第2薄膜トランジスタの前記第2ゲートに電気的に接続される。前記第2極板が前記第2薄膜トランジスタの前記第2ソース及び前記発光ユニットに電気的に接続される。
【0024】
他の実施例において、前記表示パネルは、遮光層をさらに含む。前記遮光層が前記第2薄膜トランジスタの下に設けられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る大型表示装置に適用できる前記表示パネルは、第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタを含む。前記第1薄膜トランジスタは、前記第1ソース、前記第1ドレイン、前記第1活性層、及び前記第1ゲートを含む。前記第2薄膜トランジスタは、前記第2ソース、前記第2ドレイン、前記第2活性層、及び前記第2ゲートを含む。前記第1薄膜トランジスタの前記第1ドレインが前記第2薄膜トランジスタの前記第2ゲートに電気的に接続される。前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の前記電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記電子移動度以上である。前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記閾値電圧シフト量が、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層の前記閾値電圧シフト量以下である。さらに、前記第1薄膜トランジスタが第3活性層をさらに含む。前記第3活性層が前記第1活性層と積層して設けられることにより、前記第1薄膜トランジスタの前記第1活性層及び前記第3活性層の前記平均電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタの前記第2活性層の前記電子移動度以上である。前記表示パネルの2薄膜トランジスタの構成設計、及び前記第1薄膜トランジスタの2活性層の構成設計により、本発明は、前記第1薄膜トランジスタを応答時間の短いスイッチング薄膜トランジスタとするとともに、前記第2薄膜トランジスタを安定性の高い駆動トランジスタとする。そして、2活性層の前記第1薄膜トランジスタは、製造歩留まりを向上させることができ、さらに、従来技術の低温ポリシリコン酸化物表示パネルが大型表示装置に適用できないという課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は本発明の表示パネルの回路構成図である。
図2図2は本発明の前記表示パネルの第1実施例の構造概略図である。
図3図3は本発明の前記表示パネルの第2実施例の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の上記及びその他の目的、特徴、利点をより明らかにするために、以下、本発明の好ましい実施例を挙げて、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
本発明の表示パネルの回路構成図である図1を参照されたい。本発明の前記表示パネルは、第1薄膜トランジスタ100及び第2薄膜トランジスタ200を含む。前記第1薄膜トランジスタ100は、第1ソース110、第1ドレイン120、第1活性層(図示せず)、及び第1ゲート140を含む。前記第2薄膜トランジスタ200は、第2ソース210、第2ドレイン220、第2活性層(図示せず)、及び第2ゲート240を含む。
【0029】
図1に示すように、前記表示パネルは、データ線D、走査線S、及び発光ユニット300をさらに含む。前記データ線Dが前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1ソース110に電気的に接続される。前記走査線Sが前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1ゲート140に電気的に接続される。前記第1薄膜トランジスタ100は、前記表示パネルの前記データ線D及び前記走査線Sにより転送される表示信号を受信するためのものであり、前記第1ゲート140の入力電圧を制御することにより、前記第1薄膜トランジスタ100は前記第1ソース110及び前記第1ドレイン120の両端の電流のオン・オフを制御することができる。
【0030】
また、図1に示すように、前記表示パネルは、共通アノードVdd及び共通カソードVssをさらに含む。前記共通アノードVddが前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ドレイン220に電気的に接続される。前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1ドレイン120が前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ゲート240に電気的に接続される。前記発光ユニット300の両端が前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ソース210及び前記共通カソードVssに電気的に接続される。前記第2薄膜トランジスタ200は、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1ドレイン120のスイッチング信号を受信するためのものであり、前記第2ゲート240の入力電圧を制御することにより、前記第2薄膜トランジスタ200は前記第2ソース210及び前記第2ドレイン220の両端の電流のオン・オフを制御することができる。前記共通アノードVddの電流が前記第2薄膜トランジスタ200を介して前記発光ユニット300に入力すると、前記発光ユニット300が発光することができ、前記表示パネルに画像を表示させることができる。
【0031】
これにより、前記第1薄膜トランジスタ100及び前記第2薄膜トランジスタ200のうち、前記第1薄膜トランジスタ100は前記第2薄膜トランジスタをオン・オフするスイッチング薄膜トランジスタとして用いられて、前記第2薄膜トランジスタ200は前記発光ユニット300を駆動する駆動薄膜トランジスタとして用いられる。
【0032】
一実施例において、図1に示すように、前記表示パネルは、容量400をさらに含む。前記容量400が第1極板410と、前記第1極板410と対向する第2極板420とを含む。前記第1極板410が前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1ドレイン120及び前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ゲート240に電気的に接続される。前記第2極板420が前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ソース210及び前記発光ユニット300に電気的に接続される。前記容量は、前記第1薄膜トランジスタ100により入力されるスイッチング信号を記憶するためのものであり、前記スイッチング信号を前記発光ユニット300が発光するのに要する電流信号に変換することにより、異なる階調値を表示する。
【0033】
実際に実施する際に、前記発光ユニット300は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode,OLED)、ミニ発光ダイオード(mini-light-emitting diode,mini-LED)、マイクロ発光ダイオード(micro-light-emitting diode,micro-LED)、又は量子ドット発光型エレクトロルミネセンス(electroluminescent quantum dots,ELQDs)等を含む。
【0034】
(第1実施例)
【0035】
本発明の前記表示パネルの第1実施例の構造概略図である図2を参照されたい。
【0036】
本実施例において、前記表示パネルは、下基板510及び上基板520を含み、前記表示パネル内の全ての素子を保護するためのものであり、前記下基板510及び前記上基板520が、リジッド基板又はフレキシブル基板であってもよいガラス基板又はポリイミド基板を含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本実施例の前記表示パネルは、前記第1薄膜トランジスタ100及び前記第2薄膜トランジスタ200を含む。前記第1薄膜トランジスタ100は、順次積層される前記第1活性層131、第1ゲート絶縁層150、及び前記第1ゲート140を含むとともに、前記第1活性層131の両端に電気的に接続される前記第1ソース110及び前記第1ドレイン120をさらに含む。前記第2薄膜トランジスタ200は、順次積層される前記第2活性層230、第2ゲート絶縁層250、及び前記第2ゲート240を含むとともに、前記第2活性層230の両端に電気的に接続される前記第2ソース210及び前記第2ドレイン220をさらに含む。
【0038】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタ100及び前記第2薄膜トランジスタ200がトップゲート型薄膜トランジスタを含む。製造プロセスの進歩により、前記トップゲート型薄膜トランジスタは、前記表示パネルの製造工程を減少させて、前記表示パネルの製造コストを削減する。
【0039】
本実施例の前記表示パネルは、前記発光ユニット300をさらに含む。本実施例は、前記発光ユニット300を有機発光ダイオードとして例に挙げて説明し、前記発光ユニット300は、第1電極310と、第1電極310と対向する第2電極320と、発光層330とを含む。前記第1電極310が前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ソース210に電気的に接続される。前記第2薄膜トランジスタ200が電流を制御して前記発光ユニット300をオンにすると、アノードとしての前記第1電極310とカソードとしての前記第2電極320との間を前記電流が流れる。前記電流の作用下で、前記発光ユニット300における電子と正孔とが前記発光層330で結合されて光を励起することにより、前記表示パネルの画像表示を達成する。
【0040】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタ100を応答時間の短い前記スイッチング薄膜トランジスタとし、前記第2薄膜トランジスタ200を安定性の高い前記駆動トランジスタとする。したがって、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131が電子移動度の高い材料を用いるとともに、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の材料がリーク電流の低い材料を用いる。つまり、本実施例の前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の電子移動度以上であり、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の閾値電圧シフト量が、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の閾値電圧シフト量以下である。
【0041】
本実施例において、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の前記材料がインジウム酸化物、ガリウム酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、前記第1活性層131の前記材料がインジウムガリウムスズ酸化物(indium gallium zinc oxide,IGZO)、インジウムガリウム亜鉛スズ酸化物(indium gallium zinc tin oxide,IGZTO)、又はインジウム亜鉛スズ酸化物(indium zinc tin oxide,IZTO)などの高電子移動度を有する前記材料であってもよい。発明者らの実験によれば、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の前記電子移動度が少なくとも20cm/(V・s)以上である。本実施例において、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の前記電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の電子移動度の1.5倍以上に達することができる。
【0042】
前記電子移動度が大きいほど、前記第1薄膜トランジスタ100の前記応答時間が短くなることで、前記スイッチング薄膜トランジスタとしての前記第1薄膜トランジスタ100は優れた技術的利点を有する。
【0043】
本実施例において、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記材料が希土類金属元素又はフッ素系化合物がドープされた金属酸化物を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、前記第2活性層230の前記材料が、プラセオジム(Pr)、セリウム(Ce)、又はランタン(La)などのランタノイドがドープされた金属酸化物であってもよいし、三フッ化窒素(NF)、四フッ化炭素(CF)、又は六フッ化硫黄(SF)がドープされた金属酸化物などの低リーク電流を有する前記材料であってもよく、前記金属酸化物がインジウム含有量の低い金属酸化物であってもよい。発明者らの実験によれば、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記閾値電圧シフト量が1ボルト以下である。前記閾値電圧シフト量が小さいほど、前記第2薄膜トランジスタ200の安定性が高くなることで、前記駆動薄膜トランジスタとしての前記第2薄膜トランジスタ200が優れた技術的利点を有する。
【0044】
そして、本実施例は、前記第2薄膜トランジスタ200の安定性をいっそう増加させるために、前記表示パネルは遮光層600をさらに含む。前記第2活性層230の材料特性が前記光の影響を受けやすいため、本実施例は前記第2薄膜トランジスタ200の下に前記遮光層600を設けることにより、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230に照射する可能な光を遮蔽して、前記第2薄膜トランジスタ200が有する高安定性を維持する。そして、前記遮光層600は、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ソース210の配線として機能することで、前記表示パネルの構造を簡略化することができる。
【0045】
(第2実施例)
【0046】
本発明の前記表示パネルの第2実施例の構造概略図である図3を参照されたい。
【0047】
本実施例において、前記表示パネルにおける主要な構成は、例えば、前記下基板510、前記上基板520、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1ソース110及び前記第1ドレイン120、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ソース210及び前記第2ドレイン220、前記遮光層600、及び前記発光ユニット300などの材料特性、対応位置、及び接続関係が同じである。また、好ましくは、前記表示パネルの製造工程を減少させて、前記表示パネルの製造コストを削減するように、前記第1薄膜トランジスタ100及び前記第2薄膜トランジスタ200が同様に前記トップゲート型薄膜トランジスタである。
【0048】
しかしながら、本実施例の相違点は、第1実施例に比べて、前記第1薄膜トランジスタ100が第3活性層をさらに含む。前記第3活性層が前記第1活性層131と積層して設けられるとともに、前記第1活性層131上に設けられる。前記第3活性層の両端の非チャネル領域132a及び132bが前記第1活性層131の両端の非チャネル領域131a及び131bにそれぞれ電気的に接続される。本実施例は、前記第3活性層の前記非チャネル領域132a及び前記第1活性層131の前記非チャネル領域131aを導体化するとともに、前記第3活性層の前記非チャネル領域132b及び前記第1活性層131の前記非チャネル領域131bを導体化する。したがって、前記第1薄膜トランジスタ100において、前記第1ソース110は、導体化された前記第3活性層の前記非チャネル領域132a及び前記第1活性層131の前記非チャネル領域131aを介して前記第3活性層及び前記第1活性層131に同時に電気的に接続され、前記第1ドレイン120は、導体化された前記第3活性層の前記非チャネル領域132b及び前記第1活性層131の前記非チャネル領域131bを介して前記第3活性層及び前記第1活性層131に同時に電気的に接続される。
【0049】
本発明の第1実施例と同様に、本実施例は前記第1薄膜トランジスタ100を応答時間の短い前記スイッチング薄膜トランジスタとし、前記第2薄膜トランジスタ200を安定性の高い前記駆動トランジスタとする。したがって、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第3活性層が電子移動度の高い材料を用いるとともに、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の材料がリーク電流の低い材料を用いる。つまり、本実施例の前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131及び前記第3活性層の平均電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記電子移動度以上であり、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記閾値電圧シフト量が、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131及び前記第3活性層の平均閾値電圧シフト量以下である。
【0050】
本実施例は、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131及び前記第3活性層の前記平均電子移動度をいっそう向上させるために、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第3活性層の前記材料がインジウム酸化物、ガリウム酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、前記第1活性層131の前記材料及び前記第3活性層の前記材料がそれぞれ前記インジウムガリウム亜鉛酸化物及び前記インジウムスズ酸化物であってもよく、又は、それぞれ前記インジウムガリウム亜鉛酸化物及びインジウムガリウムスズ酸化物等の高電子移動度を有する前記材料であってもよい。発明者らの実験によれば、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131及び前記第3活性層の前記平均電子移動度が少なくとも20cm/(V・s)以上であり、ひいては前記第1実施例の前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の前記電子移動度の2~3倍よりも高くすることができる。前記電子移動度が大きいほど、前記第1薄膜トランジスタ100の前記応答時間が短くなることで、前記スイッチング薄膜トランジスタとしての前記第1薄膜トランジスタ100は優れた技術的利点を有する。
【0051】
なお、前記第1薄膜トランジスタ100において、上述した実施形態に記載の前記第1活性層131の材料が、前記第3活性層の前記材料と異なる。しかしながら、本実施例に記載の「異なる」とは、異なる材料からなることを意味し、前記第1活性層131のベース材料が前記第3活性層のベース材料と同じであってもよく、両者が異なる割合の金属元素をドープすることにより異なる前記第1活性層131の前記材料及び前記第3活性層の前記材料を形成することができる。
【0052】
本実施例において、前記表示パネルの製造フローを簡略化するために、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の材料が、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の材料と同じであるように構成されてもよい。したがって、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131が、同一の製造工程において前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230と同時に形成されてもよく、これにより前記表示パネルの製造フローを簡略化して製造効率を向上させる。
【0053】
本実施例において、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記材料及びその特性は、第1実施例の記載と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0054】
本発明に係る大型表示装置に適用できる前記表示パネルは、第1薄膜トランジスタ100及び第2薄膜トランジスタ200を含む。前記第1薄膜トランジスタ100は、前記第1ソース110、前記第1ドレイン120、前記第1活性層131、及び前記第1ゲート140を含む。前記第2薄膜トランジスタ200は、前記第2ソース210、前記第2ドレイン220、前記第2活性層230、及び前記第2ゲート240を含む。前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1ドレイン120が前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2ゲート240に電気的に接続される。前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の前記電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記電子移動度以上である。前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記閾値電圧シフト量が、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131の前記閾値電圧シフト量以下である。さらに、前記第1薄膜トランジスタ100が第3活性層をさらに含む。前記第3活性層が前記第1活性層131と積層して設けられることにより、前記第1薄膜トランジスタ100の前記第1活性層131及び前記第3活性層の前記平均電子移動度が、前記第2薄膜トランジスタ200の前記第2活性層230の前記電子移動度以上である。前記表示パネルの2薄膜トランジスタの構成設計、及び前記第1薄膜トランジスタ100の2活性層の構成設計により、本発明は、前記第1薄膜トランジスタ100を応答時間の短い前記スイッチング薄膜トランジスタとするとともに、前記第2薄膜トランジスタ200を安定性の高い前記駆動トランジスタとする。そして、2活性層の前記第1薄膜トランジスタ100は、製造歩留まりを向上させることができ、さらに、従来技術の低温ポリシリコン酸化物表示パネルが大型表示装置に適用できないという課題を解決することができる。
【0055】
上記は、単に本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとっては、本発明の趣旨から逸脱することがない限り、更なる改良及び変形を行うことができ、これらの改良及び変形も本発明の保護範囲と見なされるべきであることに留意されたい。
図1
図2
図3