(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】オリゴヌクレオチド仲介型遺伝子修復を使用した標的遺伝子修飾の効率を高めるための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240805BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240805BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240805BHJP
A01H 1/00 20060101ALI20240805BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20240805BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20240805BHJP
A01H 6/00 20180101ALI20240805BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/09 110
C12N5/10
A01H1/00 A
A01H5/00 A
A01H5/10
A01H6/00
(21)【出願番号】P 2022175393
(22)【出願日】2022-11-01
(62)【分割の表示】P 2021150908の分割
【原出願日】2014-03-14
【審査請求日】2022-11-30
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515254909
【氏名又は名称】サイバス ユーエス エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】511276161
【氏名又は名称】サイバス オイローペ ベスローテン ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(72)【発明者】
【氏名】ビーサム,ピーター,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ゴカル,グレゴリー,エフ.ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ショープク,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】サウアー,ノエル,ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】セガミ,ローサ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】モゾルク,ジェリー
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/117249(WO,A1)
【文献】特表2010-539986(JP,A)
【文献】特表平09-506511(JP,A)
【文献】特表2000-512853(JP,A)
【文献】特表2002-514434(JP,A)
【文献】特表2009-523418(JP,A)
【文献】国際公開第2012/018862(WO,A2)
【文献】国際公開第2011/063350(WO,A2)
【文献】Nature Biotechnology,Vol.31, No.3,pp.227-229,published online 2013.1.29
【文献】Nat. Methods,2011年,Vol.8, No.9,pp.753-755
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物細胞中の標的デオキシリボ核酸(DNA)配列に遺伝子修復オリゴ核酸塩基(GRON)仲介型突然変異を導入するための方法であって、
前記細胞へのGRONの送達、ここで該GRONは55塩基長より大きい、と、
前記細胞へのClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat Complex(CRISPR
複合体)の送達
、ここで前記CRISPR複合体はCas9を含み、該Cas9は前記GRONによる変換標的の部位近辺に一本鎖又は二本鎖切断を導入する、と、
を含む方法。
【請求項2】
前記GRONが、前記標的DNAに導入するための2つ以上の突然変異部位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記GRONが、従来型RNAおよびDNAヌクレオチドからの改変を含まない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記GRONが、75-300塩基長である、請求項1-3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記GRONが、100塩基長より大きい、請求項1-3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記GRONが、150塩基長より大きい、請求項1-3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記GRONが、200塩基長より大きい、請求項1-3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ヌクレオチド多量体を使用して前記GRONの全体または一部分を合成するステップをさらに含む、請求項1-
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記標的デオキシリボ核酸(DNA)配列が、前記植物細胞ゲノム内に存在する、請求項1-
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記植物細胞が、キャノーラ、ヒマワリ、コーン、タバコ、テンサイ、ワタ、メイズ、コムギ、オオムギ、イネ、アルファルファ、オオムギ、モロコシ、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、ナシ、イチゴ、バナナ、メロン、ジャガイモ、ニンジン、レタス、タマネギ、ダイズ、ダイズ種、サトウキビ、マメ科植物、ヒヨコマメ、フィールドピー、マメ科マメ、レンズマメ、カブ、スウェーデンカブ、芽キャベツ、ルピナス、カリフラワー、ケール、エンドウマメ、ポプラ、マツ、ユーカリノキ、ブドウ、カンキツ属、ライコムギ、ライムギ、オートムギ、芝生と飼草、アマ、ナタネ、カラシナ、キュウリ、アサガオ、バルサム、コショウ、ナス、マリゴールド、ロータス属、キャベツ、デージー、カーネーション、チューリップ、アヤメ属、およびユリからなる群から選択される種である、請求項1-
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記植物細胞が、トランスジェニックである、請求項1-
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記標的DNA配列が、前記植物細胞の内在性遺伝子である、請求項1-
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記植物細胞から前記GRONによって導入された突然変異を有する植物を再生するステップをさらに含む、請求項1-
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記植物から種子を回収するステップをさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2013年3月15日に出願され
た米国仮特許出願第61/801,333号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は一般に、ゲノムまたは他のヌクレオチド配列中の特定位置に対する、修飾の標
的化の効率を改善するための新規な方法に関する。さらに本発明は、本明細書で開示して
いる手法によって修飾、突然変異または顕在化された標的DNAに関する。本発明は、本
発明の方法によって修飾された細胞、組織、および生物にも関する。
【背景技術】
【0003】
以下の本発明の背景の考察は、本発明を理解する際に読者を手助けするために単に提供
するものであり、本発明以前の従来技術を記載または構成することを認めるものではない
。
【0004】
ゲノムDNAの修飾は、一般にバイオテクノロジーにおける進展、および特にバイオテ
クノロジーに基づく医学的進展の中枢をなすものである。部位特異的ゲノム修飾に有効な
方法は研究用、およびおそらく遺伝子療法用途に望ましい。一手法は、第3の鎖として二
本鎖DNAに配列特異的に結合する三本鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)を利用して
、定方向突然変異誘発を仲介する。このようなTFOは、ソラレンもしくはクロラムブシ
ルなどの変異原性化学物質の送達(Havre et al.,Proc Nat’l
Acad Sci,U.S.A.90:7879-7883,1993;Havre e
t al.,J Virol67:7323-7331,1993;Wang et a
l.,Mol Cell Biol15:1759-1768,1995;Takasu
gi et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.88:5
602-5606,1991;Belousov et al.,Nucleic Ac
ids Res25:3440-3444,1997)、または誤りがちの修復を誘発す
るのに十分なアフィニティーでの結合(Wang et al.,Science271
:802-805,1996)のいずれかによって作用し得る。
【0005】
ゲノム修飾に関する別の戦略は、外来DNA断片と標的遺伝子の間の相同組換えの誘導
を含む。この手法は首尾よく使用され哺乳動物細胞中の選択遺伝子が標的化および妨害さ
れており、特異的遺伝子ノックアウトがあるトランスジェニックマウスの生成が可能にな
っている(Capeechi et al.,Science244:1288-129
2,1989、Wagnerへの米国特許第4,873,191号)。しかしながら、こ
の手法は、選択可能マーカーの導入に頼り所望の組換え体の単離を可能にするものである
。選択がない場合、典型的遺伝子導入実験におけるトランスフェクトDNAの相同と非相
同組み込みの比は低く、通常は1:1000以下の範囲内である(Sedivy et
al.,Gene Targeting,W.H.Freeman and Co.,N
ew York,1992)。相同組み込みのこの低い効率によって、実験用途または遺
伝子療法に関する遺伝子導入の利用が限定される。相同組換えの頻度は、UV照射および
選択発癌性物質が原因の標的部位への損傷(Wang et al.,Mol Cell
Biol8:196-202,1988)によって、ならびに部位特異的エンドヌクレ
アーゼ(Sedivy et al.,Gene Targeting,W.H.Fre
eman and Co.,New York,1992;Rouet et al.,
Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.91:6064-6068,1
994;Segal et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S
.A.92:806-810,1995)によって高まる可能性がある。さらに、三本鎖
対象ソラレン光付加物によって誘導されるDNA損傷は、染色体外ベクター内およびその
間の組換えを刺激する可能性がある(Segal et al.,Proc Nat’l
Acad Sci,U.S.A.92:806-810,1995;Faruqi e
t al.,Mol Cell Biol16:6820-6828,1996、Gla
zerへの米国特許第5,962,426号)。
【0006】
他の研究が、哺乳動物細胞における組換えに影響を与えるパラメーターを決定するのに
役立っている。一般に直鎖状ドナー断片は、それらの環状相当物より組換えの影響を受け
やすい(Folger et al.,Mol Cell Biol2:1372-13
78,1982)。組換えはドナー部位と標的部位両方の間の連続した相同性の長さ部分
によっても影響を受け、短い断片は組換えに関して無力な基質であると思われる(Rub
nitz et al.,Mol Cell Biol4:2253-2258,198
4)。それにもかかわらず、幾つかの近年の試みは、遺伝子補正用のDNAまたはDNA
/RNAハイブリッドの短い断片の使用に焦点を当てている(Kunzelmann e
t al.,Gene Ther3:859-867,1996)。
【0007】
TFOの配列特異的結合性を使用して、DNA中の標的部位に一連の異なる分子を送達
している。例えば、三本鎖相互作用を調べるための診断法は、Fe-EDTA、DNA切
断物質と結合したTFOを利用した(Moser et al.,Science238
:645-650,1987)。他者は、単球菌ヌクレアーゼおよび連鎖球菌ヌクレアー
ゼのような生物学的活性酵素をTFOと結合させ、DNAの部位特異的切断を実証してい
る(Pei et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.8
7:9858-9862,1990;Landgraf et al.,Biochem
istry33:10607-10615,1994)。さらに、部位特異的DNA損傷
および突然変異誘発は、ソラレン(Havre et al.,Proc Nat’l
Acad Sci,U.S.A.90:7879-7883,1993;Takasug
i et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.88:56
02-5606,1991)またはアルキル化剤(Belousov et al.,N
ucleic Acids Res25:3440-3444,1997;Posvic
et al.,J Am Chem Soc112:9428-9430,1990)
のいずれかと結合したTFOを使用して実施することができる。
【0008】
WIPO特許出願WO/2001/025460は、(1)標的DNA配列の少なくと
も6塩基対の第1の断片の配列と同一である配列を有する第1の相同領域、および標的D
NA配列の少なくとも6塩基対の第2の断片の配列と同一である配列を有する第2の相同
領域、ならびに標的DNA配列と異種の少なくとも1個の核酸塩基を含有し第1の相同領
域および第2の相同領域と結合した介在領域を含有する組換え型オリゴ核酸塩基を、植物
の小胞子にエレクトロポレーション処理するステップ、(2)小胞子を培養して胚を生成
させるステップ、および(3)例えば小胞子を培養して体細胞胚を生成させその胚から植
物を再生するステップにより、標的DNA配列の第1の断片と第2の断片の間に位置する
突然変異がある植物を胚から生成させるステップを含む、植物の標的DNA配列を突然変
異させるための方法を記載する。本発明の様々な実施形態において、組換え型オリゴ核酸
塩基はMDONであり、それぞれの相同領域は少なくとも6RNA型ヌクレオチドのRN
Aセグメントを含有し、介在領域は少なくとも3ヌクレオチド長であり、第1のおよびま
たは第2のRNAセグメントは少なくとも8個の隣接2’-置換リボヌクレオチドを含有
する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
生物学的研究の主な目的の一つはゲノムの標的型修飾である。前に記したように、哺乳
動物細胞に遺伝子を送達するための方法は十分開発されているが、修飾および/または相
同組換えの頻度は限られている(Hanson et al.,Mol Cell Bi
o15:45-51 1995)。結果として、遺伝子の修飾は時間を浪費するプロセス
である。ドナーとゲノムDNAの間の修飾および/または組換えを高めるための多くの方
法が企図または試用されている。しかしながら現在の技法は、低い割合の修飾および/ま
たは組換え、または修飾および/または組換えの割合の不一致を示すことが多く、それに
よって研究および遺伝子療法技術を妨げている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ゲノムまたは他のヌクレオチド配列中の特定位置に対する、修飾の標的化の
効率を改善するための新規な方法および組成物を提供する。本明細書で後に記載するよう
に、ゲノムに対して特異的変化を誘導する核酸を様々な手法と組み合せて、修飾の標的で
ある細胞中に存在する天然修復系の構成要素の利用性を高めることができる。
【0011】
第1の態様において本発明は、植物細胞中の標的デオキシリボ核酸(DNA)配列に遺
伝子修復オリゴ核酸塩基(GRON)仲介型突然変異を導入するための方法に関する。こ
れらの方法は特に、植物細胞へのGRONの送達、および/または55塩基長より大きく
標的DNAに導入するための2つ以上の突然変異部位を場合によっては含むGRONの植
物細胞への送達の前に、および/またはそれと同時に1つまたは複数の細胞DNA修復プ
ロセスを増大させる条件下で植物細胞を培養するステップを含む。
【0012】
特定の実施形態では、1つまたは複数の細胞DNA修復プロセスを増大させる条件は、
GRONまたは塩基除去修復の標的である植物細胞DNAへの1つまたは複数の部位の導
入、GRONまたは非相同末端結合の標的である植物細胞DNAへの1つまたは複数の部
位の導入、GRONまたはマイクロホモロジー仲介型末端結合の標的である植物細胞DN
Aへの1つまたは複数の部位の導入、GRONまたは相同組換えの標的である植物細胞D
NAへの1つまたは複数の部位の導入、およびGRONまたは修復を助長する標的である
植物細胞DNAへの1つまたは複数の部位の導入の1つまたは複数を含む。
【0013】
本明細書で後に記載するように、本発明中で使用するためのGRONは、従来型RNA
およびDNAヌクレオチドからの1つまたは複数の以下の改変:
1つまたは複数の無塩基部位ヌクレオチド、
1つまたは複数の8’オキソdAおよび/または8’オキソdGヌクレオチド、
その3’末端における逆向き塩基、
1つまたは複数の2’O-メチルヌクレオチド、
その5’末端における1つまたは複数、および好ましくは2、3、4、5、6、7、8
、9、10個、またはそれより多くの2’O-メチルRNAヌクレオチド、
挿入色素、
5’末端キャップ、
ホスホチオエート修飾、メチルホスホネート修飾、ロックド核酸(LNA)修飾、O-
(2-メトキシエチル)(MOE)修飾、ジPS修飾、およびペプチド核酸(PNA)修
飾からなる群から選択される骨格修飾、
1つまたは複数の鎖間架橋、
好ましくはGRONの5’または3’末端に1つまたは複数の共有結合した蛍光色素、
ハイブリダイゼーションエネルギーを増大させる1つまたは複数の塩基を含み得る。こ
の一覧は限定的であることを意味しない。
【0014】
本明細書で後に記載するように、特定の実施形態においてGRONの質および変換効率
は、ヌクレオチド多量体、例えば二量体、三量体、四量体などを使用してGRONの全体
または一部分を合成することにより、その純度を改善することなどにより改善することが
できる。
【0015】
特定の実施形態では、標的デオキシリボ核酸(DNA)配列が植物細胞ゲノム内に存在
する。植物細胞は非トランスジェニックまたはトランスジェニックであってよく、標的D
NA配列は植物細胞の導入遺伝子または内在性遺伝子であってよい。
【0016】
特定の実施形態では、1つまたは複数の細胞DNA修復プロセスを増大させる条件は、
植物細胞へのGRONの送達の前またはそれと同時に、植物細胞への一本鎖または二本鎖
DNA切断を誘導する1つまたは複数の化合物の導入を含む。例示的な化合物は本明細書
で後に記載する。
【0017】
本明細書で記載する方法および組成物は、一般に植物に適用可能である。例えば、キャ
ノーラ、ヒマワリ、コーン、タバコ、テンサイ、ワタ、メイズ、コムギ、オオムギ、イネ
、アルファルファ、オオムギ、モロコシ、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、ナシ、イチ
ゴ、バナナ、メロン、ジャガイモ、ニンジン、レタス、タマネギ、ダイズ、ダイズ種、サ
トウキビ、マメ科植物、ヒヨコマメ、フィールドピー、マメ科マメ、レンズマメ、カブ、
スウェーデンカブ、芽キャベツ、ルピナス、カリフラワー、ケール、エンドウマメ、ポプ
ラ、マツ、ユーカリノキ、ブドウ、カンキツ属、ライコムギ、アルファルファ、ライムギ
、オートムギ、芝生と飼草、アマ、ナタネ、カラシナ、キュウリ、アサガオ、バルサム、
コショウ、ナス、マリゴールド、ロータス属、キャベツ、デージー、カーネーション、チ
ューリップ、アヤメ属、およびユリからなる群から植物種を選択することができる。これ
らは、細菌、真菌および哺乳動物細胞およびさらにそれらのオルガネラ(例えば、ミトコ
ンドリアと葉緑体)だけには限られないが、それらを含めた他の全ての生物系に全部また
は一部分を適用することもできる。
【0018】
特定の実施形態では、方法は植物細胞からGRONによって導入された突然変異を有す
る植物を再生するステップをさらに含み、植物から種子を回収するステップを含み得る。
【0019】
関連態様において本発明は、本明細書で記載する方法に従いGRONによって導入され
たゲノム修飾を含む植物細胞、本明細書で記載する方法に従いGRONによって導入され
たゲノム修飾を含む植物、または本明細書で記載する方法に従いGRONによって導入さ
れたゲノム修飾を含む種子に関する。
【0020】
本発明の他の実施形態は、以下に詳述する記載、例示的実施形態、および特許請求の範
囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(GRONの各末端に3PS部分を有する)ホスホチオエート(PS)標識GRONおよび5’Cy3/3’idC標識GRONによって仲介されるBFPからGFPへの変換を示す図である。
【
図2】本明細書で「岡崎フラグメントGRON」と呼ぶ、RNA/DNAを含むGRONを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
過去数年間にわたり開発され、オリゴヌクレオチドによって仲介される標的遺伝子修飾
は、欠失、短い挿入、および点突然変異をもたらすためのDNAの短いストレッチの特異
的改変において使用するのに値する技法であることが示されている。これらの方法はDN
A対形成/アニーリング、次にDNA修復/組換え事象を含む。最初に核酸は、細胞タン
パク質因子によって仲介されるプロセスにおいて、二本鎖DNA中のその相補鎖とアニー
リングする。このアニーリングによって(点突然変異の場合)中央に位置するミスマッチ
塩基対を生成し、内在性タンパク質機構を刺激して修復プロセス中に第2のステップ、染
色体配列およびさらにそれらのオルガネラ(例えば、ミトコンドリアと葉緑体)の部位特
異的修飾を開始させる可能性が最も高い構造不安定化をもたらす。この新たに導入された
ミスマッチはDNA修復機構を誘導し、標的部位の最終修正をもたらす第2の修復事象を
実施する。本発明の方法は、DNA修復構成要素の利用性を高め、したがって標的核酸に
対する遺伝子修復仲介型修飾の効率と再現性を高める新規な手法を提供することにより、
これらの方法を改良する。
【0023】
定義
本発明の理解を容易にするため、幾つかの用語を以下のように定義する。
【0024】
本明細書で使用する「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド配
列」は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびそれらの断片もしくは一部
分、および一本鎖もしくは二本鎖であってよくセンス鎖もしくはアンチセンス鎖を表すゲ
ノムもしくは合成起源のDNAまたはRNAを指す。
【0025】
本明細書で使用する用語「オリゴヌクレオチド」および「オリゴマー」は、プローブま
たはアンプリマーとして使用することができる、少なくとも約10ヌクレオチドおよび最
大約201ヌクレオチド、好ましくは約15~30ヌクレオチド、およびより好ましくは
約20~25ヌクレオチドの核酸配列を指す。
【0026】
本明細書で使用する用語「DNA修飾分子」および「DNA修飾試薬」は、細胞のゲノ
ム中の核酸配列を認識しそれに特異的に結合することができ、ゲノム内の標的ヌクレオチ
ド配列を修飾することができ、認識およびDNA修飾分子と核酸配列の特異的結合がタン
パク質非依存的である分子を指す。DNA修飾分子に関して本明細書で使用する用語「タ
ンパク質非依存的」は、DNA修飾分子が核酸配列の認識、および/またはそれとの特異
的結合にタンパク質および/または酵素の存在および/または活性を必要としないことを
意味する。DNA修飾分子は、遺伝子変換の助長を目的とする、三本鎖形成オリゴヌクレ
オチド、ペプチド核酸、ポリアミド、およびオリゴヌクレオチドだけには限られないが、
これらによって例示される。本発明のDNA修飾分子は、相同組換えに使用される従来技
術の核酸配列がタンパク質依存的である点で、相同組換えに使用される従来技術の核酸配
列[Wong and Capecchi,Molec.Cell.Biol.7:22
94-2295,1987]と区別される。分子に関して本明細書で使用する用語「タン
パク質依存的」は、分子が核酸配列の認識、および/またはそれとの特異的結合にタンパ
ク質および/または酵素の存在および/または活性を必要とすることを意味する。DNA
修飾分子が核酸配列の認識、および/またはそれとの特異的結合にタンパク質および/ま
たは酵素の存在および/または活性を必要するかどうか決定するための方法は、当技術分
野の技術の範囲内にある[例えば、Dennis et al.Nucl.Acids
Res.27:4734-4742,1999を参照]。例えばDNA修飾分子は、任意
のタンパク質および/または酵素の不在下で核酸配列と共にin vitroでインキュ
ベートすることができる。DNA修飾分子と核酸配列の間の特異的結合の検出によって、
DNA修飾分子がタンパク質非依存的であることを実証する。他方で、DNA修飾分子と
核酸配列の間の特異的結合の不在は、DNA修飾分子がタンパク質依存的であることおよ
び/または他の因子を必要とすることを実証する。
【0027】
「三本鎖形成オリゴヌクレオチド」(TFO)は、二本鎖DNAまたはRNAヘリック
スの主要溝に結合して三重ヘリックスを形成することができる、DNAまたはRNAの配
列として定義する。TFOは任意の特定長に限定されないが、TFOの好ましい長さは2
00ヌクレオチド以下、より好ましくは100ヌクレオチド以下、さらにより好ましくは
5~50ヌクレオチド、一層より好ましくは10~25ヌクレオチド、および最も好まし
くは15~25ヌクレオチドである。三重ヘリックスの形成のためTFOと二本鎖DNA
の間で一定の度合いの配列特異性が必要であるが、三重ヘリックスが形成可能である限り
、特定度合いの特異性が必要とされるわけではない。同様に、三重ヘリックスが形成可能
である限り、TFOと二本鎖ヘリックスの間で特異的度合いのアビディティーまたはアフ
ィニティーが必要とされるわけではない。TFOが特異的に結合するヌクレオチド配列の
長さを限定する目的ではないが、一実施形態において、TFOが特異的に結合するヌクレ
オチド配列は1~100、より好ましくは5~50、さらにより好ましくは10~25、
および最も好ましくは15~25ヌクレオチドである。さらに「三重ヘリックス」は、二
重らせん核酸内の標的配列と結合したオリゴヌクレオチドを含む二重らせん核酸として定
義する。「二重らせん」核酸は、二本鎖DNA、二本鎖RNA、およびDNAとRNAの
混合二本鎖を含めた任意の二本鎖核酸であってよい。二本鎖核酸は任意の特定長に限定さ
れない。しかしながら好ましい実施形態では、二本鎖核酸は500bpを超える、より好
ましくは1kbを超える、および最も好ましくは約5kbを超える長さを有する。多くの
適用例において、二重らせん核酸は細胞、ゲノム核酸である。三本鎖形成オリゴヌクレオ
チドは、パラレルまたはアンチパラレル形式で標的配列に結合することができる。
【0028】
「ペプチド核酸」、「ポリアミド」または「PNA」は、リン酸骨格がN-アミノエチ
ルグリシン系ポリアミド構造に置換された核酸である。ワトソン-クリックの塩基対形成
法則に従うと、PNAはそれら本来の相当物より相補核酸に対して高いアフィニティーを
有する。PNAは以下の化学量論比のDNAとの非常に安定した三重ヘリックス構造を形
成し得る:(PNA)2.DNA。ペプチド核酸およびポリアミドは任意の特定長に限定
されないが、ペプチド核酸およびポリアミドの好ましい長さは200ヌクレオチド以下、
より好ましくは100ヌクレオチド以下、および最も好ましくは5~50ヌクレオチド長
である。ペプチド核酸およびポリアミドが特異的に結合するヌクレオチド配列の長さを限
定する目的ではないが、一実施形態において、ペプチド核酸およびポリアミドが特異的に
結合するヌクレオチド配列は1~100、より好ましくは5~50、さらにより好ましく
は5~25、および最も好ましくは5~20ヌクレオチドである。
【0029】
用語「細胞」は単細胞を指す。用語「細胞(複数)」は細胞の集団を指す。集団は1つ
の細胞型を含む純粋な集団であってよい。同様に、集団は2つ以上の細胞型を含み得る。
本発明では、一細胞集団が含み得る細胞型の数に制限はない。
【0030】
細胞のサンプルを言及するときの用語「同調させる」または「同調した」、または「同
調細胞」もしくは「同調細胞集団」は、細胞周期の同じ時期に細胞集団が存在するように
処置した複数の細胞を指す。サンプル内の全ての細胞が同調状態である必要はない。わず
かな割合の細胞がサンプル内の大部分の細胞と同調していない可能性がある。同調状態で
ある細胞の好ましい範囲は10~100%である。より好ましい範囲は30~100%で
ある。さらに、細胞が一細胞型の純粋な集団である必要はない。2つ以上の細胞型がサン
プル内に含有される可能性がある。この点において、サンプル内の別の細胞型と比較して
、一細胞型のみが同調状態である、または細胞周期の異なる時期に存在する可能性がある
。
【0031】
単細胞を言及するときの用語「同調細胞」は、操作前の細胞の細胞周期の時期と異なる
細胞周期の時期に細胞が存在するように、細胞を操作したことを意味する。あるいは「同
調細胞」は、対照細胞(例えば、操作がない状態の細胞)と比較して、操作前の細胞が存
在した細胞周期の時期の時間を改変(すなわち、延長または縮小)するよう操作した細胞
を指す。
【0032】
用語「細胞周期」は、分裂(すなわち、増殖)時に細胞が経る生理的および形態的変化
の進行を指す。細胞周期は一般に、「分裂間期」、「前期」、「中期」、「後期」、およ
び「終期」と呼ばれる時期で構成されると認識されている。さらに、細胞周期の一部分は
「M(有糸分裂期)」、「S(合成期)」、「G0」、「G1(ギャップ1)」および「
G2(ギャップ2)」と呼ぶことができる。さらに細胞周期は、前述の名称の時期の間に
存在する進行期間を含む。
【0033】
用語「細胞周期抑制」は、細胞または細胞集団における細胞周期進行の休止を指す。細
胞周期抑制は通常、細胞生理の態様に干渉する作用物質(化学物質、タンパク質またはそ
の他)への細胞の露出によって誘導され細胞周期の続行を妨げる。
【0034】
「増殖」または「細胞増殖」は、2つの娘細胞に繰り返し分裂し、それによって集団に
おける全体的な細胞の増大をもたらす親細胞の能力を指す。細胞集団は生物中、または培
養装置中に存在してよい。
【0035】
用語「DNA修飾可能」または「DNA修飾手段」は、標的DNAセグメントのヌクレ
オチド配列に対する変化を誘導する能力がある、またはその誘導を手助けすることができ
る手順、および内在もしくは外来作用物質もしくは試薬を指す。標的DNAセグメント上
の1つまたは複数の塩基の欠失、付加または置換によって、このような変化を施すことが
できる。DNA配列の変化が、標的配列によってコードされる任意の遺伝子に対する機能
的変化をもたらすことは必要とされない。さらに、任意の特定部分または割合の細胞にD
NAに対する変化を施すことは必要とされない。
【0036】
用語「対象のヌクレオチド配列」は、当業者によるその操作が何らかの理由で望ましい
と思われる可能性のある、任意のヌクレオチド配列を指す。このようなヌクレオチド配列
には、構造遺伝子(例えば、レポーター遺伝子、選択マーカー遺伝子、癌遺伝子、薬剤耐
性遺伝子、増殖因子など)のコード配列、およびmRNAまたはタンパク質産物をコード
していない非コード制御配列(例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、ポリアデ
ニル化配列、終止配列、miRNAなどの制御RNA)があるが、これらだけには限られ
ない。
【0037】
「アミノ酸配列」、「ポリペプチド配列」、「ペプチド配列」および「ペプチド」は本
明細書中で交互に使用してアミノ酸の配列を指す。
【0038】
本明細書で使用する「標的配列」は、好ましくは8ヌクレオチド長を超えるが201ヌ
クレオチド長未満の配列を含む二重らせん核酸を指す。幾つかの実施形態では、標的配列
は8~30塩基であることが好ましい。一般に標的配列は、二重らせん核酸上の一鎖上の
ヌクレオチド配列によって定義される。
【0039】
本明細書で使用する「プリンリッチ配列」または「ポリプリン配列」は、二重らせん核
酸配列の一鎖上のヌクレオチド配列を言及するとき、標的配列の50%を超えるヌクレオ
チドがプリン塩基を含有するヌクレオチドの隣接配列として定義する。しかしながら、プ
リンリッチ標的配列は、60%を超えるプリンヌクレオチド、より好ましくは75%を超
えるプリンヌクレオチド、次いで最も好ましくは90%を超えるプリンヌクレオチド、お
よび最も好ましくは100%のプリンヌクレオチドを含有することが好ましい。
【0040】
本明細書で使用する「ピリミジンリッチ配列」または「ポリピリミジン配列」は、二重
らせん核酸配列の一鎖上のヌクレオチド配列を言及するとき、標的配列の50%を超える
ヌクレオチドがピリミジン塩基を含有するヌクレオチドの隣接配列として定義する。しか
しながら、ピリミジンリッチ標的配列は、60%を超えるピリミジンヌクレオチド、およ
びより好ましくは75%を超えるピリミジンヌクレオチドを含有することが好ましい。幾
つかの実施形態では、配列は90%を超えるピリミジンヌクレオチドを含有することが好
ましく、他の実施形態では、100%ピリミジンヌクレオチドであることが最も好ましい
。
【0041】
第1のヌクレオチド配列の「変異体」は、(例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ
の使用またはDNA配列決定の使用によって検出可能である、1つまたは複数の欠失、挿
入、または置換を有することにより)第1のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列
として定義する。この定義内に含まれるのは、第1のヌクレオチド配列のゲノム配列に対
する改変または修飾の検出である。例えば、ハイブリダイゼーションアッセイを使用して
、(1)ゲノム中に含まれるとき第1のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることがで
きる制限酵素断片のパターンの改変(すなわちRFLP分析)、(2)第1のヌクレオチ
ド配列を含有するゲノムDNAのサンプルに第1のヌクレオチド配列の選択部分がハイブ
リダイズできないこと(例えば、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを使用)
、(3)第1のヌクレオチド配列に関する正常染色体遺伝子座以外の遺伝子座とのハイブ
リダイゼーションなどの、不適切または予想外なハイブリダイゼーションを検出すること
ができる(例えば、中期染色体分布に対する蛍光in situハイブリダイゼーション
(FISH)などを使用)。変異体の一例は突然変異野生型配列である。
【0042】
本明細書で使用する用語「核酸」および「非修飾核酸」は、周知の4デオキシリボ核酸
塩基(すなわち、グアニン、アデニン、シトシン、およびチミン)のいずれか1つを指す
。用語「修飾核酸」は、非修飾核酸の構造に対してその構造が改変された核酸を指す。こ
のような修飾の例示は、塩基の置換、共有結合修飾、アミノおよび窒素環のアルキル化、
ならびに二重結合の飽和などであると思われる。
【0043】
本明細書で使用する用語「突然変異」および「修飾」およびこれらと文法上同等な用語
は、核酸配列に関して使用するとき、交互に使用して欠失、挿入、置換、鎖切断、および
/または付加体の導入を指す。「欠失」は、1つまたは複数のヌクレオチドが無い核酸配
列の変化として定義する。「挿入」または「付加」は、1つまたは複数のヌクレオチドの
付加が起こった核酸配列の変化である。「置換」は、交換対象の1つまたは複数のヌクレ
オチドとは異なる分子である分子と、1つまたは複数のヌクレオチドの交換から生じる。
例えば、シトシン、アデニン、グアニン、またはウリジンとチミンの交換によって例示さ
れるように、一核酸は異なる核酸と交換することができる。ピリミジンからピリミジン(
例えば、CからTまたはTからCのヌクレオチド置換)またはプリンからプリン(例えば
、GからAまたはAからGのヌクレオチド置換)はトランジションと呼ばれ、一方ピリミ
ジンからプリンまたはプリンからピリミジン(例えば、GからTまたはGからCまたはA
からTまたはAからC)はトランスバージョンと呼ばれる。あるいは、チミンとチミング
リコールの交換によって例示されるように、一核酸は修飾核酸と交換することができる。
突然変異はミスマッチをもたらす可能性がある。用語「ミスマッチ」は、それぞれの核酸
が異なるポリ核酸配列上に存在する2核酸間の非共有結合相互作用を指し、これは塩基対
形成の法則に従わない。例えば、部分的相補配列5’-AGT-3’および5’-AAT
-3’に関しては、G-Aミスマッチ(トランジション)が存在する。用語「付加体の導
入」または「付加体形成」は、結合が(好ましくは10%~100%、より好ましくは5
0%~100%、および最も好ましくは75%~100%の)DNA複製および/または
転写レベルの低下をもたらすような、DNA配列中の1つまたは複数のヌクレオチドと分
子の共有結合または非共有結合を指す。
【0044】
用語「鎖切断」は、二本鎖核酸配列を言及するとき、一本鎖切断および/または二本鎖
切断を含む。一本鎖切断(ニック)は、二本鎖核酸配列の二本鎖の一本における妨害を指
す。これは、二本鎖核酸配列の両鎖における妨害を指す二本鎖切断とは対照的である。鎖
切断は、(例えば、電離放射線もしくは特定化学物質を用いた処置により)直接的にまた
は(例えば、核酸塩基における酵素での切断により)間接的に、二本鎖核酸配列に導入す
ることができる。
【0045】
用語「突然変異細胞」および「修飾細胞」は、細胞のゲノム配列中に少なくとも1つの
修飾を含有する細胞を指す。
【0046】
用語「一部分」は、ヌクレオチド配列の言及において使用するとき、そのヌクレオチド
配列の断片を指す。断片は、5ヌクレオチド残基~ヌクレオチド配列全体マイナス1核酸
残基の大きさの範囲であり得る。
【0047】
DNA分子は「5’末端」および「3’末端」を有すると言える。1つのモノヌクレオ
チドペントース環の5’リン酸がホスホジエステル結合を介して一方向でその近隣の3’
酸素に結合するような形式で、モノヌクレオチドが反応してオリゴヌクレオチドを形成す
るからである。したがって、その5’リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素
と結合しない場合、オリゴヌクレオチドの末端は「5’末端」と呼ばれる。その3’酸素
が別のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸と結合しない場合、オリゴヌクレオチ
ドの末端は「3’末端」と呼ばれる。本明細書で使用する核酸配列は、多量オリゴヌクレ
オチド内部の場合でさえ、5’末端および3’末端を有すると言うこともできる。直鎖状
または環状DNA分子のいずれかにおいて、不連続なエレメントは「上流」または「下流
」の5’または3’エレメントであると言える。この述語は、転写がDNA鎖に沿って5
’から3’方向に進行することを表す。関連遺伝子の転写を誘導するプロモーターおよび
エンハンサーエレメントは、一般にコード領域の5’または上流に位置する。しかしなが
ら、プロモーターエレメントおよびコード領域の3’に位置するときでさえ、エンハンサ
ーエレメントはその効果を発揮し得る。転写終結およびポリアデニル化シグナルはコード
領域の3’または下流に位置する。
【0048】
本明細書で使用する用語「組換えDNA分子」は、分子生物学の技法により1つに接合
したDNAのセグメントで構成されるDNA分子を指す。
【0049】
本明細書で使用する用語「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」は、組換
えDNA分子を使用して発現されるタンパク質分子を指す。
【0050】
本明細書で使用する用語「ベクター」と「運搬体」は、一細胞から別の細胞にDNAセ
グメント(複数可)を移動させる核酸分子を言及する際に交互に使用する。
【0051】
本明細書で使用する用語「作動可能な組合せで」、「作動可能な順序で」および「作動
可能に連結した」は、所与の遺伝子の転写の誘導および/または所望のタンパク質分子の
合成が可能な核酸分子を生成するような形式での核酸配列の結合を指す。これらの用語は
、機能的タンパク質を生成するような形式でのアミノ酸配列の結合も指す。
【0052】
本明細書で使用する用語「トランスフェクション」は、細胞中への外来DNAの導入を
指す。リン酸カルシウム-DNA共沈、DEAE-デキストラン仲介トランスフェクショ
ン、ポリブレン仲介トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェ
クション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感
染、バイオリスティック(すなわち、パーティクルボンバードメント)などを含めた当業
者に知られている様々な手段によって、トランスフェクションを実施することができる。
【0053】
本明細書で使用する用語「相補的」または「相補性」は、塩基対形成の法則によって関
連付けられる(ヌクレオチドの配列を指す交換可能な用語である)「ポリヌクレオチド」
および「オリゴヌクレオチド」を言及する際に使用する。例えば、配列「5’-CAGT
-3’」は配列「5’-ACTG-3’」と相補的である。相補性は「部分的」または「
全体的」であってよい。「部分的」相補性は、塩基対形成の法則に従い1つまたは複数の
核酸塩基がマッチしない場合である。核酸間の「全体的」または「完全」相補性は、塩基
対形成の法則の下、それぞれ個々の核酸塩基が別の塩基とマッチする場合である。核酸鎖
間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強度に対して有意な影
響がある可能性がある。これは増幅反応、および核酸間の結合に依存する検出法において
特に重要である可能性がある。便宜上、用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレ
オチド」はヌクレオシドを含む分子を含む。
【0054】
ヌクレオチド配列を言及する際に本明細書で使用する用語「相同性」および「相同的」
は、他のヌクレオチド配列との相補性の程度を指す。部分的相同性または完全相同性(す
なわち同一性)が存在し得る。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列を言
及する際に使用するとき、用語「実質的に相同的」は、前述の低ストリンジェンシーの条
件下で二本鎖核酸配列の一方または両方の鎖にハイブリダイズすることができる、任意の
核酸配列(例えばプローブ)を指す。核酸配列と部分的に相補的、すなわち「実質的に相
同的」であるヌクレオチド配列は、標的核酸配列と完全相補配列がハイブリダイズするの
を少なくとも部分的に阻害するヌクレオチド配列である。標的配列と完全相補配列のハイ
ブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェンシーの条件下においてハイブリダイゼー
ションアッセイ(サザンまたはノーザンブロット、溶液ハイブリダイゼーションなど)を
使用して調べることができる。実質的に相同的な配列またはプローブは、低ストリンジェ
ンシーの条件下における完全相同配列と標的配列の結合(すなわち、ハイブリダイゼーシ
ョン)に関して競合しそれを阻害する。低ストリンジェンシーの条件は非特異的結合が許
容されるような条件であるとは言えず、低ストリンジェンシー条件は、2配列の互いの結
合が特異的(すなわち選択的)相互作用であることを必要とする。非特異的結合の不在は
、部分的な割合の相補性さえ欠く(例えば、約30%未満の同一性の)第2の標的配列の
使用によって試験することができ、非特異的結合の不在下では、プローブは第2の非相補
的標的とハイブリダイズしない。
【0055】
低ストリンジェンシー条件は、約100~約1000ヌクレオチド長のプローブを利用
するとき、5×SSPE(43.8g/lのNaCl、6.9g/lのNaH2PO4・H
2Oおよび1.85g/lのEDTA、NaOHでpH7.4に調節)、0.1%のSD
S、5×デンハルト試薬(50×デンハルト試薬は500ml当たり:5gのFicol
l(Type400、Phrmacia)、5gのBSA(FractionV;Sig
ma))および100μg/mlの変性サケ精子DNAからなる溶液中での68℃におけ
る結合またはハイブリダイゼーション、次に2.0×SSPE、0.1%SDSを含む溶
液中での室温における洗浄と同等な条件を含む。
【0056】
さらに、高ストリンジェンシーの条件下でのハイブリダイゼーションを促進する条件(
例えば、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄ステップの温度の増大、ハイブリダ
イゼーション溶液におけるホルムアミドの使用など)は当技術分野でよく知られている。
高ストリンジェンシー条件は、核酸ハイブリダイゼーションを言及する際に使用するとき
、約100~約1000ヌクレオチド長のプローブを利用するとき、5×SSPE、1%
のSDS、5×デンハルト試薬および100μg/mlの変性サケ精子DNAからなる溶
液中での68℃における結合またはハイブリダイゼーション、次に0.1%×SSPEお
よび0.1%SDSを含む溶液中での68℃における洗浄と同等な条件を含む。
【0057】
低ストリンジェンシー条件、プローブの長さおよび性質(DNA、RNA、塩基組成)
、および標的の性質(溶液中または固定状態で存在するDNA、RNA、塩基組成など)
、ならびに塩および他の構成要素の濃度(例えば、ホルムアミド、硫酸デキストラン、ポ
リエチレングリコールの有無)、ならびに前述の条件とは異なるが同等である低ストリン
ジェンシーハイブリダイゼーション条件を得るため変更することができるハイブリダイゼ
ーション溶液の構成要素などの要因を含む、多くの同等な条件を利用することができるこ
とは当技術分野でよく知られている。
【0058】
用語「同等」は、対象のハイブリダイゼーション条件と関連があるハイブリダイゼーシ
ョン条件を言及するとき、そのハイブリダイゼーション条件と対象のハイブリダイゼーシ
ョン条件が、同じ範囲の割合(%)の相同性を有する核酸配列のハイブリダイゼーション
をもたらすことを意味する。例えば、対象のハイブリダイゼーション条件が、第1の核酸
配列と50%~70%の相同性を有する他の核酸配列と第1の核酸配列のハイブリダイゼ
ーションをもたらす場合、したがって別のハイブリダイゼーション条件は、この他のハイ
ブリダイゼーション条件も、第1の核酸配列と50%~70%の相同性を有する他の核酸
配列と第1の核酸配列のハイブリダイゼーションをもたらす場合、対象のハイブリダイゼ
ーション条件と同等であると言える。
【0059】
本明細書で使用する用語「ハイブリダイゼーション」は、核酸の鎖を塩基対形成により
相補鎖と接合させハイブリダイゼーション複合体を形成する任意のプロセスを使用した、
相補核酸の対形成を言及する際に使用する。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイ
ゼーションの強度(すなわち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関連ス
トリンジェンシー条件、形成されるハイブリッドのTm、および核酸内のG:C比などの
要因によって影響を受ける。
【0060】
本明細書で使用する用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補G塩基とC塩基の
間および相補A塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、2核酸配列間で形成され
る複合体を指し、これらの水素結合は塩基スタッキング相互作用によってさらに安定化さ
れ得る。2つの相補核酸にはアンチパラレル形状で水素結合が並ぶ。ハイブリダイゼーシ
ョン複合体は溶液中(例えば、CotもしくはRot分析)、または溶液中に存在する一
核酸配列と固形支持体(例えば、サザンおよびノーザンブロッティング、ドットブロッテ
ィングにおいて利用されるナイロン膜もしくはニトロセルロースフィルター、またはFI
SH(蛍光in situハイブリダイゼーション)を含めたin situハイブリダ
イゼーションにおいて利用されるスライドグラス)に固定された別の核酸配列の間で形成
され得る。
【0061】
本明細書で使用する用語「Tm」は「融解温度」を言及する際に使用する。融解温度は
、二本鎖核酸分子の集団が半分になり一本鎖に解離する温度である。核酸のTmを計算す
るための等式は当技術分野でよく知られている。標準参照によって示されるように、核酸
が1MNaClで水溶液中に存在するとき、Tm値の単純推定値は等式:Tm=81.5
+0.41(%G+C)によって計算することができる(例えば、Anderson a
nd Young,Quantitative Filter Hybridizati
on,in Nucleic Acid Hybridization,1985参照)
。他の参照は、Tm計算用に構造および配列特性を考慮に入れたさらに精巧な計算法を含
む。
【0062】
本明細書で使用する用語「ストリンジェンシー」は、その下で核酸ハイブリダイゼーシ
ョンが実施される、温度、イオン強度、および有機溶媒などの他の化合物の存在の条件を
言及する際に使用する。ストリンジェンシーは、典型的にはほぼTm℃からTmより約2
0℃~25℃低い範囲に存在する。当業者によって理解されるように、ストリンジェント
なハイブリダイゼーションを使用して同一ポリヌクレオチド配列を同定もしくは検出する
ことができ、または類似もしくは関連ポリヌクレオチド配列を同定もしくは検出すること
ができる。
【0063】
用語「特異的結合」、「結合特異性」、およびこれらと文法上同等な用語は、第1のヌ
クレオチド配列と第2のヌクレオチド配列の結合を言及するとき、第2のヌクレオチド配
列と第3のヌクレオチド配列の間の相互作用と比較した、第1のヌクレオチド配列と第2
のヌクレオチド配列の間の優先的相互作用を指す。特異的結合は結合の絶対的特異性を必
要としない相対語である。言い換えると、用語「特異的結合」は、第2のヌクレオチド配
列と第3のヌクレオチド配列の間の相互作用の不在下で、第2のヌクレオチド配列が第1
のヌクレオチド配列と相互作用することを必要としない。そうではなくて、それは第1の
ヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列の間の相互作用のレベルが、第2のヌクレオ
チド配列と第3のヌクレオチド配列の間の相互作用のレベルを超えることで十分である。
第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列の「特異的結合」は、第1のヌクレオ
チド配列と第2のヌクレオチド配列の間の相互作用が、第1のヌクレオチド配列上または
内部の特定構造の存在に依存することも意味する。言い換えると、第2のヌクレオチド配
列は、一般に核酸またはヌクレオチド配列ではなく、第1のヌクレオチド配列上または内
部の特定構造を認識しそれに結合している。例えば、第2のヌクレオチド配列が第1のヌ
クレオチド配列上または内部に存在する構造「A」に特異的である場合、構造Aを含有す
る第3の核酸配列の存在によって第1のヌクレオチド配列と結合する第2のヌクレオチド
配列の量が減少する。
【0064】
本明細書で使用する用語「増幅可能な核酸」は、任意の増幅法によって増幅することが
できる核酸を言及する際に使用する。「増幅可能な核酸」は「サンプル鋳型」を通常含む
と企図される。
【0065】
用語「異種核酸配列」または「異種DNA」を交互に使用して、それが本来連結してい
ない、またはそれが本来と異なる位置で連結した核酸配列と連結したヌクレオチド配列を
指す。異種DNAはそれが導入される細胞には内在せず、別の細胞から入手される。一般
に、必ずとは言えないが、このような異種DNAは、それが発現される細胞により通常生
成されないRNAおよびタンパク質をコードする。異種DNAの例には、レポーター遺伝
子、転写および翻訳制御配列、選択可能マーカータンパク質(例えば、薬剤耐性をもたら
すタンパク質)などがある。
【0066】
「増幅」は核酸配列の追加コピーの生成として定義し、当技術分野でよく知られている
ポリメラーゼ連鎖反応の技術を使用して一般に実施される(Dieffenbach C
W and GS Dveksler(1995)PCR Primer、a Labo
ratory Manual,Cold Spring Harbor Press,P
lainview,N.Y.)。本明細書で使用する用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(「
PCR」)は、クローニングまたは精製無しでゲノムDNAの混合物中の標的配列セグメ
ントの濃度を高めるための方法を記載する、参照により本明細書に組み込まれているK.
B.Mullis、米国特許第4,683,195号、および同4,683,202号の
方法を指す。所望標的配列の増幅セグメントの長さは2オリゴヌクレオチドプライマーの
互いに対する相対的位置によって決定され、したがってこの長さは制御可能なパラメータ
ーである。プロセスの反復態様のため、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(本明細書
で以後「PCR」)と呼ぶ。標的配列の所望増幅セグメントは(濃度の点で)混合物中の
主要配列となるので、それらは「PCR増幅された」と言える。
【0067】
PCRによって、ゲノムDNAにおける特異的標的配列の1コピーを、幾つかの異なる
方法(例えば、標識プローブとのハイブリダイゼーション、ビオチニル化プライマーの取
り込み、次にアビジン-酵素コンジュゲートの検出、増幅セグメントへのdCTPまたは
dATPなどの32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の取り込み)により検出可能な
レベルまで増幅することができる。ゲノムDNA以外に、適切なセットのプライマー分子
で任意のオリゴヌクレオチド配列を増幅することができる。特に、PCRプロセス独力に
よって作製した増幅セグメントはそれら自体、後のPCR増幅に有効な鋳型である。
【0068】
特に市販品用途の、1つのこのような好ましい方法は広く使用されているTaqMan
(登録商標)リアルタイムPCR技術に基づき、対立遺伝子特異的PCRとブロッキング
試薬(ASB-PCR)を組み合せて野生型対立遺伝子の増幅を抑制する。ホルマリン固
定パラフィン包埋腫瘍試料を含めた任意の組織型から抽出したDNAもしくはRNAのい
ずれか、生殖細胞系列または体細胞突然変異の検出にASB-PCRを使用することがで
きる。1000倍以上過剰に野生型対立遺伝子のバックグラウンドに対する一点置換、挿
入、または欠失の感受性および選択的検出を可能にする、一組の試薬設計法則が開発され
ている。(Morlan J,Baker J,Sinicropi D Mutati
on Detection by Real-TimePCR:A Simple、Ro
bust and Highly Selective Method.PLoS ON
E4(2):e4584,2009)
【0069】
用語「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応」および「RT-PCR」は、RNA配列を逆転写
してcDNA配列の混合物を生成させ、次にクローニングまたは精製無しで混合物中の転
写cDNA配列の所望セグメントの濃度を高めるための方法を指す。典型的には、2プラ
イマーを使用した転写DNAの所望セグメントのPCR増幅の前に、1つのプライマー(
例えばオリゴ-dTプライマー)を使用してRNAを逆転写する。
【0070】
本明細書で使用する用語「プライマー」は、精製制限酵素消化産物に原型で存在しよう
と合成によって生じようと、核酸鎖と相補的なプライマー延長産物の合成が誘導される条
件下(すなわち、適切な温度およびpHでヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの
誘導剤の存在下)に置いたとき、合成の開始地点として作用することができるオリゴヌク
レオチドを指す。プライマーは最大増幅効率のため一本鎖であることが好ましいが、代替
的に二本鎖であってよい。二本鎖の場合、延長産物の調製に使用する前に、プライマーを
最初に処理してその鎖を分離させる。プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドであ
ることが好ましい。プライマーは、誘導剤の存在下で延長産物の合成を引き起こすほど十
分長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの源および使用
法を含めた多くの要因に依存する。
【0071】
本明細書で使用する用語「プローブ」は、精製制限酵素消化産物に原型で存在しようと
、合成、組換えまたはPCR増幅によって生じようと、対象の別のオリゴヌクレオチドに
ハイブリダイズすることができる、オリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列
)を指す。プローブは一本鎖または二本鎖であってよい。プローブは、特定遺伝子配列の
検出、同定および単離において有用である。本発明において使用する任意のプローブは任
意の「レポーター分子」で標識され、したがってそれは、酵素(例えばELISA、およ
び酵素系組織化学アッセイ)、蛍光、放射活性、および発光システムだけには限られない
が、これらを含めた任意の検出システムで検出可能であることが企図される。本発明が何
らかの特定検出システムまたは標識に限定されることを意図するものではない。
【0072】
本明細書で使用する用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は、その各々
が特定ヌクレオチド配列もしくはその近辺で二本鎖もしくは一本鎖DNAを切断するかま
たはそれに切れ目を入れる細菌酵素を指し、例えばKim et al.,1996,P
roc.Nat’l.Acad.Sci.USA,6:1 156-60によって教示さ
れたように、IIS型制限エンドヌクレアーゼ(例えばFokI)のエンドヌクレアーゼ
ドメインを使用することができる。
【0073】
本明細書で使用する用語「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレ
オチド」は、遺伝子のコード領域を含む核酸配列、すなわち遺伝子産物をコードする核酸
配列を意味する。コード領域はcDNA、ゲノムDNAまたはRNA型のいずれかで存在
し得る。DNA型で存在するとき、オリゴヌクレオチドは一本鎖(すなわちセンス鎖)ま
たは二本鎖であり得る。さらに「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオリゴヌ
クレオチド」は、転写の正確な開始および/または一次RNA転写産物の正確なプロセシ
ングを可能にすることが必要な場合、エンハンサー、プロモーター、スプライスジャンク
ション、ポリアデニル化シグナルなどの適切な制御エレメントを含み得る。さらになお、
本発明のコード領域は内在エンハンサー、スプライスジャンクション、介在配列、ポリア
デニル化シグナルなどを含有し得る。
【0074】
真核生物における転写制御シグナルは「エンハンサー」エレメントを含む。エンハンサ
ーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用する短いDNA配列アレイから
なる(Maniatis,T.et al.,Science236:1237,198
7)。エンハンサーエレメントは、植物、酵母、昆虫および哺乳動物細胞ならびにウイル
スにおける遺伝子を含めた、様々な真核生物供給源から単離されている。個々のエンハン
サーの選択は、対象のタンパク質を発現させるのにどの細胞型を使用するかに依存する。
【0075】
発現ベクターにおける「スプライシングシグナル」の存在は、組換え転写産物の高レベ
ルの発現をもたらすことが多い。スプライシングシグナルは一次RNA転写産物からのイ
ントロンの除去を仲介し、スプライスドナーおよびアクセプタードナー部位からなる(S
ambrook,J.et al.,Molecular Cloning:A Lab
oratory Manual,2nded.,Cold Spring Harbor
Laboratory Press,New York,pp.16.7-16.8,
1989)。一般に使用されるスプライスドナーおよびアクセプタードナー部位は、SV
40の16SRNA由来のスプライスジャンクションである。
【0076】
真核生物細胞における組換えDNA配列の有効な発現は、有効な終結と生成転写産物の
ポリアデニル化を誘導するシグナルの発現を必要とする。転写終結シグナルは一般にポリ
アデニル化シグナルの下流で見られ、数百ヌクレオチド長である。本明細書で使用する用
語「ポリA部位」または「ポリA配列」は、終結と発生期RNA転写産物のポリアデニル
化の両方を誘導するDNA配列を示す。ポリA尾部を欠く転写産物は不安定であり急速に
分解されるので、組換え転写産物の有効なポリアデニル化が望ましい。発現ベクターにお
いて利用されるポリAシグナルは「異種」または「内在」であり得る。内在ポリAシグナ
ルは、ゲノム中の所与遺伝子のコード領域の3’末端で本来見られるシグナルである。異
種ポリAシグナルは、一遺伝子から単離され別の遺伝子の3’末端に配置されたシグナル
である。
【0077】
本明細書で使用する用語「プロモーター」、「プロモーターエレメント」または「プロ
モーター配列」は、オリゴヌクレオチド配列の5’末端に置かれる(すなわち上位に位置
する)とき、そのオリゴヌクレオチド配列のmRNAへの転写を制御することができるD
NA配列を指す。典型的にはプロモーターは、mRNAへのその転写を制御するオリゴヌ
クレオチド配列の5’(すなわち上流)に位置し、RNAポリメラーゼによる特異的結合
および転写開始に関する部位をもたらす。
【0078】
用語「プロモーター活性」は、核酸配列を言及するとき、mRNAへのオリゴヌクレオ
チド配列の転写を開始させる核酸配列の能力を指す。
【0079】
用語「組織特異的」は、プロモーターに適用するとき、異型組織中での同じオリゴヌク
レオチドの発現の相対的不在下で、特異的型の組織に対するオリゴヌクレオチド配列の選
択的発現を誘導することができるプロモーターを指す。プロモーターの組織特異性は、例
えば、レポーター遺伝子とプロモーター配列を作動可能に連結させレポーター構築物を生
成させ、生成するトランスジェニック動物の各組織にレポーター構築物が組み込まれるよ
うに植物または動物のゲノムにレポーター構築物を導入し、トランスジェニック植物また
は動物の異なる組織におけるレポーター遺伝子の発現を検出する(例えば、mRNA、タ
ンパク質、またはレポーター遺伝子によりコードされるタンパク質の活性を検出する)こ
とによって評価することができる。選択性は絶対的である必要はない。他の組織中でのレ
ポーター遺伝子の発現レベルに対する、1つまたは複数の組織中でのより高レベルのレポ
ーター遺伝子の発現の検出によって、より高レベルの発現が検出される組織にプロモータ
ーが特異的であることを示す。
【0080】
用語「細胞型特異的」は、プロモーターに適用するとき、同じ組織内の異型細胞での同
じオリゴヌクレオチド配列の発現の相対的不在下で、特異的型の細胞におけるオリゴヌク
レオチド配列の選択的発現を誘導することができるプロモーターを指す。用語「細胞型特
異的」は、プロモーターに適用するとき、一組織内の領域におけるオリゴヌクレオチドの
選択的発現を促進することができるプロモーターも意味する。再度、選択性は絶対的であ
る必要はない。プロモーターの細胞型特異性は、当技術分野でよく知られている方法、例
えば本明細書に記載する免疫組織化学的染色法を使用して評価することができる。簡単に
言うと、組織切片をパラフィンに包埋し、パラフィン切片を、その発現がプロモーターに
よって制御されるオリゴヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド産物に特異的
な一次抗体と反応させる。パラフィン切片の代替として、サンプルを凍結切片化すること
ができる。例えば、切片化の前および最中に切片を凍結させ、残留パラフィンにより起こ
り得る干渉を回避することができる。一次抗体に特異的な標識(例えば、ペルオキシダー
ゼ結合)二次抗体は(例えば、アビジン/ビオチンを用いた)切片化組織との結合、およ
び顕微鏡検査による特異的結合の検出を可能にする。
【0081】
用語「選択的発現」、「選択的に発現」、およびそれらの文法上同等な用語は、2箇所
以上の対象領域における発現の相対的レベルの比較を指す。例えば「選択的発現」は、組
織と関連付けて使用するとき、別組織中での同じ遺伝子の発現レベル、およびそれを発現
する細胞数とそれぞれ比較した、特定組織における対象遺伝子の実質的に高い発現レベル
、またはその組織内で遺伝子を発現する細胞の実質的に多い数を指す(すなわち、選択性
は絶対的である必要はない)。選択的発現は、特定組織における対象遺伝子の発現および
別組織中での同じ遺伝子の発現の完全不在を必要としないが、それらを含み得る。同様に
、本明細書で細胞型を言及する際に使用する「選択的発現」は、別細胞型中での遺伝子の
発現レベル、およびそれを発現する細胞数とそれぞれ比較したときの、特定細胞型におけ
る対象遺伝子の実質的に高い発現レベル、またはそれを発現する細胞の実質的に多い数を
指す。
【0082】
用語「隣接」は、2つ以上のヌクレオチド配列を言及する際に使用するとき、1つまた
は複数の制御エレメントを含まない介在配列の不在下、またはそれらの存在下のいずれか
で、ヌクレオチド配列がタンデムに連結した状態であることを意味する。
【0083】
本明細書で使用する用語「核酸分子コード」、「ヌクレオチドコード」、「DNA配列
コード」および「DNAコード」は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレ
オチドの順序または配列を指す。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序によって、ポ
リペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序が決まる。したがってDNA配列は
アミノ酸配列をコードする。
【0084】
用語「単離」は、「単離オリゴヌクレオチド」など核酸に関して使用するとき、その元
の供給源と通常結合した少なくとも1つの汚染物質核酸から分離した核酸配列を指す。単
離核酸は、それが本来見られるのと異なる型または設定で存在する核酸である。対照的に
、非単離核酸は、それらが本来存在する状態において見られるDNAおよびRNAなどの
核酸である。例えば、所与のDNA配列(例えば遺伝子)は隣接遺伝子付近の宿主細胞染
色体上に見られ、特異的タンパク質をコードする特異的mRNA配列などのRNA配列は
、多数のタンパク質をコードする多くの他のmRNAとの混合物として細胞中に見られる
。しかしながら、対象のポリペプチドをコードする単離核酸は、例えば対象のポリペプチ
ドを通常発現する細胞中の核酸などを含み、この場合核酸は元の細胞のそれとは異なる染
色体内もしくは染色体外位置に存在し、または他の場合は本来見られるのと異なる核酸配
列に隣接する。単離核酸またはオリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖型で存在し得る
。単離核酸は、(望む場合)様々な技法(例えば、ハイブリダイゼーション、ドットブロ
ッティングなど)によって容易に確認することができる。単離核酸またはオリゴヌクレオ
チドを利用してタンパク質を発現させるとき、オリゴヌクレオチドはセンス鎖またはコー
ド鎖を少なくとも含有し得る(すなわち、オリゴヌクレオチドは一本鎖であり得る)。あ
るいはオリゴヌクレオチドはセンス鎖とアンチセンス鎖の両方を含有し得る(すなわち、
オリゴヌクレオチドは二本鎖であり得る)。
【0085】
本明細書で使用する用語「精製した」または「精製すること」は、サンプルからの1つ
または複数の(望ましくない)成分の除去を指す。例えば、細菌宿主細胞中で組換えポリ
ペプチドを発現させる場合、宿主細胞タンパク質を除去し、それによってサンプル中の組
換えポリペプチドの割合を高めることによりポリペプチドを精製する。
【0086】
本明細書で使用する用語「実質的に精製された」は、それらの本来の環境から除去、単
離または分離し、それらが本来結合していた他の成分を少なくとも60%含まない、好ま
しくは75%含まない、およびより好ましくは90%含まない、核酸またはアミノ酸配列
いずれかの分子を指す。したがって「単離ポリヌクレオチド」は実質的に精製されたポリ
ヌクレオチドである。
【0087】
本明細書で使用する用語「コード領域」は、構造遺伝子を言及する際に使用するとき、
mRNA分子の翻訳の結果として発生期ポリペプチドにおいて見られるアミノ酸をコード
するヌクレオチド配列を指す。コード領域は、真核生物では、一般にイニシエーターメチ
オニンをコードするヌクレオチドトリプレット「ATG」により5’側、および停止コド
ンを指定する3トリプレット(すなわち、TAA、TAG、TGA)の1つにより3’側
に存在する。
【0088】
「コード配列」によって、転写および/または翻訳してmRNAおよび/またはポリペ
プチドまたはその断片を生成することができる、核酸の配列またはその相補配列、または
その一部分を意味する。コード配列は、ゲノムDNAまたは未熟一次RNA転写産物中で
、細胞の生化学的機構により1つに接合して成熟mRNAとなるエクソンを含む。アンチ
センス鎖はこのような核酸の相補鎖であり、コード配列はそこから推測することができる
。
【0089】
「非コード配列」によって、in vivoでアミノ酸に転写されない、またはtRN
Aが相互作用してアミノ酸を置換しないもしくは置換しようとしない場合の、核酸の配列
またはその相補配列、またはその一部分を意味する。非コード配列は、ゲノムDNAまた
は未熟一次RNA転写産物中のイントロン配列と、例えばプロモーター、エンハンサー、
サイレンサーなどの遺伝子関連配列の両方を含む。
【0090】
本明細書で使用する用語「構造遺伝子」または「構造ヌクレオチド配列」は、他の遺伝
子の発現を制御しないRNAまたはタンパク質をコードするDNA配列を指す。対照的に
、「制御遺伝子」または「制御配列」は、他の遺伝子の発現を制御する産物(例えば、転
写因子)をコードする構造遺伝子である。
【0091】
本明細書で使用する用語「制御エレメント」は、核酸配列のある程度の発現態様を制御
する遺伝子エレメントを指す。例えばプロモーターは、作動可能に連結したコード領域の
転写の開始を容易にする制御エレメントである。他の制御エレメントには、スプライシン
グシグナル、ポリアデニル化シグナル、終結シグナルなどがある。
【0092】
本明細書で使用する用語「ペプチド転写因子結合部位」または「転写因子結合部位」は
、タンパク質転写因子と結合し、それによって核酸配列のある程度の発現態様を制御する
ヌクレオチド配列を指す。例えば、Sp-1およびAP1(アクチベータータンパク質1
)結合部位はペプチド転写因子結合部位の例である。
【0093】
本明細書で使用する用語「遺伝子」は、構造遺伝子のコード領域を含むデオキシリボヌ
クレオチド配列を意味する。「遺伝子」は、遺伝子が完全長mRNAの長さに相当するよ
うに、5’末端と3’末端の両方でコード領域に隣接して位置する非翻訳配列も含み得る
。コード領域の5’に位置しmRNA上に存在する配列は5’非翻訳配列と呼ばれる。コ
ード領域の3’または下流に位置しmRNA上に存在する配列は3’非翻訳配列と呼ばれ
る。用語「遺伝子」はcDNAとゲノム型両方の遺伝子を包含する。遺伝子のゲノム型ま
たはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と呼ばれる非コ
ード配列で妨害されるコード領域を含有する。イントロンは異種核RNA(hnRNA)
に転写される遺伝子のセグメントであり、イントロンはエンハンサーなどの制御エレメン
トを含有し得る。イントロンは核または一次転写産物から除去または「スプライシング除
去」され、したがってイントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物中には存
在しない。mRNAは翻訳中に働いて、発生期ポリペプチドにおけるアミノ酸の配列また
は順序を指定する。
【0094】
イントロンを含有する以外に、ゲノム型の遺伝子は、RNA転写産物上に存在する配列
の5’末端と3’末端の両方に位置する配列も含み得る。これらの配列は「隣接」配列ま
たは領域と呼ばれる(これらの隣接配列はmRNA転写産物上に存在する非翻訳配列に対
して5’または3’に位置する)。5’隣接領域は、遺伝子の転写を制御するまたはそれ
に影響を与える、プロモーターおよびエンハンサーなどの制御配列を含有し得る。3’隣
接領域は、転写の終結、転写後の切断およびポリアデニル化を誘導する配列を含有し得る
。
【0095】
「非ヒト動物」はヒトではない任意の動物を指し、例えばげっ歯動物、非ヒト霊長類、
ヒツジ、ウシ属、反芻動物、ウサギ目、ブタ、ヤギ、ウマ科、イヌ科、ネコ科、鳥類など
の脊椎動物を含む。好ましい非ヒト動物はげっ歯動物目から選択される。さらに「非ヒト
動物」は、両生類(例えばツメガエル属)、爬虫類、昆虫(例えばキイロショウジョウバ
エ属)、および他の非哺乳動物種を指す。
【0096】
本明細書で使用する用語「トランスジェニック」は、植物または動物の体細胞および/
または生殖系列細胞のいずれかのゲノムに組み込まれた状態で挿入された、別の生物由来
のDNAを有する生物または細胞を指す。「導入遺伝子」は、それが見られる植物または
動物と部分的もしくは完全に異種である(すなわち、本来存在しない)、または内在配列
(すなわち、動物中に本来見られる配列)と相同であり植物または動物ゲノム中の本来存
在する配列のそれと異なる位置に挿入されたDNA配列を意味する。1つまたは複数の導
入遺伝子を含むトランスジェニック植物または動物は本発明の範囲内にある。さらに、本
明細書で使用する「トランスジェニック」は、本発明の方法によって、相同組換え、TF
O突然変異によって、または類似の方法によって、1つまたは複数の遺伝子が修飾および
/または「ノックアウトされた」(非機能的状態になったまたは低レベルでの機能状態に
なった、すなわち「ノックアウト」突然変異)動物を指す。例えば幾つかの実施形態では
、トランスジェニック生物または細胞は、外来プロモーターおよび/またはコード領域を
含む挿入DNAを含む。
【0097】
「形質転換細胞」は、多世代にわたり細胞培養中に増殖する能力、軟寒天中で増殖する
能力、および/または細胞間接触による細胞増殖を抑制しない能力を獲得した細胞または
細胞系である。この点で形質転換は、細胞または生物への外来遺伝子物質の導入を指す。
細胞中への核酸の首尾良い導入を可能にして導入核酸の発現をもたらす任意の周知の方法
によって、形質転換を実施することができる。「形質転換」は、トランスフェクション、
マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクションおよびリポ
フェクション(リポソーム仲介遺伝子導入)などの方法だけには限られないが、これらを
含む。任意の発現ベクターを使用することにより、形質転換を実施することができる。例
えば、昆虫細胞に外来核酸を導入するためのバキュロウイルスの使用が企図される。用語
「形質転換」は、完全昆虫のPエレメント仲介生殖細胞系列形質転換などの方法も含む。
さらに形質転換は、通常遺伝子突然変異により、自然に形質転換された細胞を指す。
【0098】
本明細書で使用する「外因性」は、タンパク質をコードする遺伝子が通常細胞中で発現
されないことを意味する。さらに「外因性」は、その遺伝子の正常(すなわち本来)レベ
ルの発現を高めるために細胞にトランスフェクトされる遺伝子を指す。
【0099】
ペプチド配列およびヌクレオチド配列は「内在」または「異種」(すなわち外来)であ
ってよい。用語「内在」は、それが本来存在する配列に対して何らかの修飾を含有しない
限り、それが導入される細胞中で本来見られる配列を指す。用語「異種」は、それが導入
される細胞に内在しない配列を指す。例えば異種DNAは、それが本来連結していない、
またはそれが本来と異なる位置で連結した核酸配列と連結した、または連結状態に操作し
たヌクレオチド配列を含む。異種DNAは、それが導入される細胞中で本来見られ本来存
在する配列に対して何らかの修飾を含有するヌクレオチド配列も含む。一般に、必ずとは
言えないが、異種DNAは、それが導入される細胞により通常生成されない異種RNAお
よび異種タンパク質をコードする。異種DNAの例には、レポーター遺伝子、転写および
翻訳制御配列、選択可能マーカータンパク質(例えば、薬剤耐性をもたらすタンパク質)
をコードするDNA配列などがある。
【0100】
構築物
本明細書で開示している核酸分子(例えば、部位特異的ヌクレアーゼ、またはCRIS
PRのガイドRNA)は、組換え核酸構築物の生成において使用することができる。一実
施形態では、本開示の核酸分子を、核酸構築物、例えば対象植物における発現用の発現カ
セットの調製において使用することができる。例えば構築物が宿主ゲノム中に組み込まれ
ない、またはそれが組み込まれた状態の場合はプロモーターによってもたらされる制御下
で宿主のゲノム内の構築物の位置に維持されるとき、この発現は一過的である可能性があ
る。
【0101】
発現カセットは、本明細書で開示している部位特異的ヌクレアーゼまたはガイドRNA
配列と作動可能に連結した制御配列を含み得る。カセットは、生物に同時形質転換される
少なくとも1つの別の遺伝子を別に含有し得る。あるいは、多数の発現カセットに別の遺
伝子(複数可)を提供することができる。
【0102】
制御領域の転写制御下にある部位特異的ヌクレアーゼコード配列の挿入用の複数の制限
部位を有する、核酸構築物を提供することができる。核酸構築物は、選択可能マーカー遺
伝子をコードする核酸分子を別に含有し得る。
【0103】
任意のプロモーターを、核酸構築物の生成において使用することができる。プロモータ
ーは、本明細書で開示している植物宿主核酸配列に固有もしくは類似、または外来もしく
は異種であってよい。さらに、プロモーターは天然配列、または代替的に合成配列であっ
てよい。プロモーターが「外来」または植物宿主と「異種」である場合、プロモーターは
それが導入される元の植物中で見られないと考えられる。本明細書で使用するキメラ遺伝
子は、コード配列と異種である転写開始領域と作動可能に連結したコード配列を含む。
【0104】
本明細書で開示している部位特異的ヌクレアーゼ配列は、異種プロモーターを使用して
発現させることが可能である。
【0105】
植物において構成的、組織優先的、誘導的発現をもたらすプロモーター、または他のプ
ロモーターなどの任意のプロモーターを、部位特異的ヌクレアーゼ配列の発現を制御する
ための構築物の調製において使用することができる。構成的プロモーターは、例えばRs
yn7プロモーターのコアプロモーターおよびWO99/43838と米国特許第6,0
72,050号中に開示された他の構成的プロモーター、コアCaMV35Sプロモータ
ー(Odell et al.Nature313:810-812;1985)、イネ
アクチンプロモーター(McElroy et al.,Plant Cell2:16
3-171,1990)、ユビキチンプロモーター(Christensen et a
l.,Plant Mol.Biol.12:619-632,1989およびChri
stensen et al.,Plant Mol.Biol.18:675-689
,1992)、pEMUプロモーター(Last et al.,Theor.Appl
.Genet.81:581-588,1991)、MASプロモーター(Velten
et al.,EMBOJ.3:2723-2730,1984)、ALSプロモータ
ー(米国特許第5,659,026号)などを含む。他の構成的プロモーターには、例え
ば米国特許第5,608,149号、同第5,608,144号、同第5,604,12
1号、同第5,569,597号、同第5,466,785号、同第5,399,680
号、同第5,268,463号、同第5,608,142号および同第6,177,61
1号のプロモーターを含む。
【0106】
組織優先的プロモーターを利用して、特定植物組織内の部位特異的ヌクレアーゼの発現
を誘導することができる。このような組織優先的プロモーターには、葉優先的プロモータ
ー、根優先的プロモーター、種子優先的プロモーター、および茎優先的プロモーターがあ
るが、これらだけには限られない。組織優先的プロモーターには、Yamamoto e
t al.,Plant J.12(2):255-265,1997;Kawamat
aet et al.,Plant Cell Physiol.38(7):792-
803,1997;Hansen et al.,Mol.Gen Genet.254
(3):337-343,1997;Russell et al.,Transgen
ic Res.6(2):157-168,1997;Rinehart et al.
,Plant Physiol.112(3):1331-1341,1996;Van
Camp et al.,Plant Physiol.112(2):525-53
5,1996;Canevascini et al.,Plant Physiol.
112(2):513-524,1996;Yamamoto et al.,Plan
t Cell Physiol.35(5):773-778,1994;Lam,Re
sults Probl.Cell Differ.20:181-196,1994;
Orozco et al.Plant Mol Biol.23(6):1129-1
138,1993;Matsuoka et al.,Proc Nat’l.Acad
.Sci.USA90(20):9586-9590,1993およびGuevara-
Garcia et al.,Plant J.4(3):495-505,1993の
プロモーターがある。
【0107】
核酸構築物は転写終結領域も含み得る。転写終結領域を使用する場合、任意の終結領域
を核酸構築物の調製において使用することができる。例えば、終結領域は別の供給源(す
なわち、外来またはプロモーターと異種)に由来する可能性がある。本開示の構築物中で
の使用に利用することができる終結領域の例には、オクトピンシンターゼおよびノパリン
シンターゼ終結領域などの、エーツメファシエンス(A.tumefaciens)のT
i-プラスミド由来の終結領域がある。Guerineau et al.,Mol.G
en.Genet.262:141-144,1991;Proudfoot,Cell
64:671-674,1991;Sanfacon et al.,Genes De
v.5:141-149,1991;Mogen et al.,Plant Cell
2:1261-1272,1990;Munroe et al.,Gene91:15
1-158,1990;Ballas et al.,Nucleic Acids R
es.17:7891-7903,1989;およびJoshi et al.,Nuc
leic Acids Res.15:9627-9639,1987も参照。
【0108】
本明細書で開示している任意の態様、実施形態、方法および/または組成物に関して、
形質転換植物中での発現を高めるために核酸を最適化することができる。すなわち、部位
特異的ヌクレアーゼタンパク質をコードする核酸を、発現改善用の植物優先的コドンを使
用して合成することができる。例えば、宿主優先的コドン使用頻度の考察に関する、Ca
mpbell and Gowri,(Plant Physiol.92:1-11,
1990)を参照。植物優先的遺伝子の合成に関する当技術分野の方法が利用可能である
。例えば、米国特許第5,380,831号、および米国特許第5,436,391号、
およびMurray et al.,Nucleic Acids Res.17:47
7-498,1989を参照。
【0109】
さらに、他の配列修飾を本明細書で開示している核酸に施すことができる。例えば、細
胞宿主における遺伝子発現を高めるための、別の配列修飾が知られている。これらは、擬
似ポリアデニル化シグナル、エクソン/イントロンスプライス部位シグナル、トランスポ
ゾン様反復単位をコードする配列、および遺伝子発現に有害であり得る他のこのような十
分特徴付けられた配列の排除を含む。配列のG-C含有量は、宿主細胞中で発現される周
知の遺伝子を参照することにより計算した、標的細胞宿主の平均レベルに調節することも
できる。さらに、配列を修飾して予想ヘアピン二次mRNA構造を回避することができる
。
【0110】
他の核酸配列を本開示の構築物の調製において使用して、例えば部位特異的ヌクレアー
ゼコード配列の発現を高めることもできる。このような核酸配列には、メイズAdhI、
イントロン1遺伝子のイントロン(Callis et al.,Genes and
Development1:1183-1200,1987)、ならびにタバコモザイク
ウイルス(TMV)、メイズ萎黄病ウイルスおよびアルファルファモザイクウイルス由来
のリーダー配列(W-配列)がある(Gallie et al.,Nucleic A
cids Res.15:8693-8711,1987およびSkuzeski et
al.,Plant Mol.Biol.15:65-79,1990)。メイズの収
縮1型遺伝子座由来の第1のイントロンは、キメラ遺伝子構築物における遺伝子の発現を
高めることが示されている。米国特許第5,424,412号および米国特許第5,59
3,874号は遺伝子発現構築物における特異的イントロンの使用を開示しており、Ga
llie et al.(Plant Physiol.106:929-939,19
94)は、イントロンが組織特異的偏位で遺伝子発現を制御するのに有用であることも示
している。部位特異的ヌクレアーゼ遺伝子発現をさらに高めるまたは最適化するため、本
明細書で開示している植物用発現ベクターは、マトリックス結合領域(MAR)を含有す
るDNA配列も含有することができる。したがって、このような修飾発現系で形質転換し
た植物細胞は、本開示のヌクレオチド配列の過剰発現または構成的発現を示す可能性があ
る。
【0111】
本明細書で開示している発現構築物は、葉緑体に対する部位特異的ヌクレアーゼ配列の
発現を誘導することができる核酸配列も含み得る。このような核酸配列には、植物細胞葉
緑体に対象遺伝子産物を誘導する葉緑体輸送ペプチドをコードする葉緑体標的配列がある
。このような輸送ペプチドは当技術分野で知られている。葉緑体標的配列に関して、「作
動可能に連結した」は、輸送ペプチドをコードする核酸配列(すなわち、葉緑体標的配列
)が、2配列が隣接し同じリーディングフレームに存在するように、本明細書で開示して
いる部位特異的ヌクレアーゼ核酸分子と連結していることを意味する。例えば、Von
Heijne et al.,Plant Mol.Biol.Rep.9:104-1
26,1991;Clark et al.,J.Biol.Chem.264:175
44-17550,1989;Della-Cioppa et al.,Plant
Physiol.84:965-968,1987;Romer et al.,Bio
chem.Biophys.Res.Commun.196:1414-1421,19
93およびShah et al.,Science233:478-481,1986
を参照。
【0112】
葉緑体標的配列は当技術分野でよく知られており、リブロース-1,5-ビスリン酸カ
ルボキシラーゼ(Rubisco)(de Castro Silva Filho e
t al.,Plant Mol.Biol.30:769-780,1996;Sch
nell et al.,J.Biol.Chem.266(5):3335-3342
,1991)、5-(エノールピルビル)シキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS
)(Archer et al.,J.Bioenerg.Biomemb.22(6)
:789-810,1990)、トリプトファンシンターゼ(Zhao et al.,
J.Biol.Chem.270(11):6081-6087,1995)、プラスト
シアニン(Lawrence et al.,J.Biol.Chem.272(33)
:20357-20363,1997)、コリスミ酸シンターゼ(Schmidt et
al.,J.Biol.Chem.268(36):27447-27457,199
3)、および光吸収性クロロフィルa/b結合タンパク質(LHBP)(Lamppa
et al.,J.Biol.Chem.263:14996-14999,1988)
の葉緑体小サブユニットを含む。Von Heijne et al.,Plant M
ol.Biol.Rep.9:104-126,1991;Clark et al.,
J.Biol.Chem.264:17544-17550,1989;Della-C
ioppa et al.,Plant Ohysiol.84:965-968,19
87;Romer et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm
un.196:1414-1421,1993およびShah et al.,Scie
nce233:478-481,1986も参照。
【0113】
本明細書で開示している任意の態様、実施形態、方法および/または組成物に関して、
核酸構築物を調製して、植物細胞葉緑体由来の突然変異部位特異的ヌクレアーゼコード配
列の発現を誘導することができる。葉緑体を形質転換するための方法は当技術分野で知ら
れている。例えば、Svab et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci
.USA87:8526-8530,1990;Svab and Maliga,Pr
oc.Nat’l.Acad.Sci.USA90:913-917,1993;Sva
b and Maliga,EMBOJ.12:601-606,1993を参照。この
方法は、選択可能マーカーを含有するDNAのパーティクルガン送達法、および相同組換
えによるプラスチドゲノムへのDNAの標的化を利用する。さらに、核コードおよびプラ
スチド対象RNAポリメラーゼの組織優先的発現によるサイレントプラスチド媒介導入遺
伝子のトランス作用によって、プラスチド形質転換を実施することができる。このような
システムはMcBride et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.
USA91:7301-7305,1994中で報告されている。
【0114】
葉緑体を標的化する対象の核酸を、植物の核とこのオルガネラの間のコドン使用頻度の
違いを考慮して、葉緑体での発現用に最適化することができる。このようにして、葉緑体
優先的コドンを使用して対象の核酸を合成することができる。例えば、参照により本明細
書に組み込まれている米国特許第5,380,831号を参照。
【0115】
核酸構築物を使用して植物細胞を形質転換し、部位特異的ヌクレアーゼコード配列を含
むトランスジェニック植物を再生することができる。植物形質転換用の多数の植物形質転
換ベクターおよび方法が利用可能である。例えば、米国特許第6,753,458号、A
n,G.et al.,Plant Physiol.,81:301-305,198
6;Fry,J.et al.,Plant Cell Rep.6:321-325,
1987;Block,M.,Theor.Appl Genet.76:767-77
4,1988;Hinchee et al.,Stadler.Genet.Symp
.203212.203-212,1990;Cousins et al.,Aust
.J.Plant Physiol.18:481-494,1991;Chee,P.
P.and Slightom,J.L.,Gene.118:255-260,199
2;Christou et al.,Trends.Biotechnol.10:2
39-246,1992;D’Halluin et al.,Bio/Technol
.10:309-314,1992;Dhiret et al.,Plant Phy
siol.99:81-88,1992;Casas et al.,Proc.Nat
’l.Acad.Sci.USA90:11212-11216,1993;Chris
tou,P.,In Vitro Cell.Dev.Biol.-Plant29P:
119-124,1993;Davies,et al.,Plant Cell Re
p.12:180-183,1993;Dong,J.A.and Mc Hughen
,A.,Plant Sci91:139-148,1993;Franklin,C.
I.and Trieu,T.N.,Plant Physiol.102:167,1
993;Golovkin et al.,Plant Sci.90:41-52,1
993;Guo Chin Sci.Bull.38:2072-2078;Asano
et al.,Plant Cell Rep.13,1994;Ayeres N.
M.and Park,W.D.,Crit.Rev.Plant.Sci.13:21
9-239,1994;Barcelo et al.,Plant.J.5:583-
592,1994;Becker et al.,Plant.J.5:299-307
,1994;Borkowska et al.,Acta.Physiol Plan
t。16:225-230,1994;Christou,P.,Agro.Food.
Ind.Hi Tech.5:17-27,1994;Eapen et al.,Pl
ant Cell Rep.13:582-586,1994;Hartman et
al.,Bio-Technology12:919923,1994;Ritala
et al.,Plant.Mol.Biol.24:317-325,1994および
Wan,Y.C.and Lemaux,P.G.,Plant Physiol.10
4:3748,1994を参照。相同組換えを使用して、構築物を植物細胞に形質転換す
ることもできる。
【0116】
用語「野生型」は、ペプチド配列およびヌクレオチド配列を言及するとき、本来存在す
る供給源から単離したときのペプチド配列およびヌクレオチド配列の特徴を有する、ペプ
チド配列およびヌクレオチド配列(遺伝子座/遺伝子/対立遺伝子)をそれぞれ指す。野
生型ペプチド配列およびヌクレオチド配列は集団内で最も頻繁に観察される配列であり、
したがって任意でそれぞれ「正常」または「野生型」形のペプチド配列およびヌクレオチ
ド配列と示される。「野生型」は、1つまたは複数の特異的ヌクレオチド位置における配
列、または1つまたは複数の特定コドン位置における配列、または1つまたは複数の特定
アミノ酸位置における配列を指すこともできる。
【0117】
「コンセンサス配列」は、同一アミノ酸もしくはヌクレオチドまたは少なくとも25%
の配列に関して機能上同等なアミノ酸もしくはヌクレオチドを含有する、アミノ酸または
ヌクレオチドの配列として定義する。同一または機能上同等なアミノ酸またはヌクレオチ
ドが隣接している必要はない。
【0118】
本明細書で使用する用語「アブラナ」はアブラナ属の植物を指す。例示的なアブラナ種
には、ビーカリナタ(B.carinata)、ビーエロンゲート(B.elongat
e)、ビーフルチクローサ(B.fruticulosa)、ビージュンセア(B.ju
ncea)、ビーナプス(B.napus)、ビーナリノーサ(B.narinosa)
、ビーニグラ(B.nigra)、ビーオレラセア(B.oleracea)、ビーペリ
ビリディス(B.perviridis)、ビーレーパ(B.rapa)(合成ビーカム
ペストリス(synB.campestris))、ビールペストリス(B.rupes
tris)、ビーセプティセプス(B.septiceps)、およびビートウルネフォ
ルティ(B.tournefortii)があるが、これらだけには限られない。
【0119】
核酸塩基は、特定の好ましい実施形態においてプリン、ピリミジン、またはそれらの誘
導体もしくはアナログである塩基である。ヌクレオシドは、ペントースフラノシル成分を
含有する核酸塩基、例えば場合によっては置換されたリボシドまたは2’-デオキシリボ
シドである。ヌクレオシドは数個の連結成分の1つによって連結することができ、それは
亜リン酸を含有し得るかまたは含有し得ない。非置換ホスホジエステル結合によって結合
したヌクレオシドはヌクレオチドと呼ばれる。本明細書で使用する用語「核酸塩基」は、
ペプチド核酸塩基、ペプチド核酸のサブユニット、およびモルホリン核酸塩基、ならびに
ヌクレオシドとヌクレオチドを含む。
【0120】
オリゴ核酸塩基は核酸塩基を含むポリマーであり、その少なくとも一部分は相補配列を
有するDNAとワトソン-クリック塩基対形成によりハイブリダイズ可能であることが好
ましい。オリゴ核酸塩基鎖は、ポリマーの末端核酸塩基である一本鎖5’末端と3’末端
を有し得る。特定オリゴ核酸塩基鎖は全タイプの核酸塩基を含有することができる。オリ
ゴ核酸塩基化合物は、相補的でありワトソン-クリック塩基対形成によりハイブリダイズ
可能である1つまたは複数のオリゴ核酸塩基鎖を含む化合物である。リボ型核酸塩基は、
2’炭素がヒドロキシ、アルキルオキシまたはハロゲンで置換されたメチレンであるペン
トースフラノシル含有核酸塩基を含む。デオキシリボ型核酸塩基はリボ型核酸塩基以外の
核酸塩基であり、ペントースフラノシル成分を含有しない全ての核酸塩基を含む。
【0121】
特定の実施形態では、オリゴ核酸塩基鎖部分は、オリゴ核酸塩基鎖とオリゴ核酸塩基鎖
のセグメントまたは領域の両方を含み得る。オリゴ核酸塩基鎖部分は3’末端と5’末端
を有することができ、オリゴ核酸塩基鎖部分が鎖と共に延長するとき、鎖部分の3’末端
と5’末端は鎖の3’末端と5’末端でもある。
【0122】
本明細書で使用する用語「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、混合型二本鎖オリゴヌクレ
オチド、非ヌクレオチド含有分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドおよび他の遺伝子
修復分子を含めたオリゴ核酸塩基を示す。
【0123】
本明細書で使用する用語「コドン」は、タンパク質合成中のポリペプチド鎖における指
定アミノ酸の挿入またはタンパク質合成を停止させるためのシグナルを決定する遺伝子コ
ードを構成する、3個の隣接ヌクレオチドの配列(RNAまたはDNAのいずれか)を指
す。用語「コドン」は、元のDNAが転写されるメッセンジャーRNAにおける3ヌクレ
オチドの対応(および相補)配列を指すためにも使用する。
【0124】
本明細書で使用する用語「相同性」は、タンパク質とDNAの間の配列類似性を指す。
用語「相同性」または「相同的」は同一性の程度を指す。部分的相同性または完全相同性
が存在し得る。部分的に相同的な配列は、別の配列と比較したとき100%未満の配列同
一性を有する配列である。
【0125】
「ヘテロ接合型」は、相同染色体セグメントにおける1つまたは複数の遺伝子座に異な
る対立遺伝子を有することを指す。本明細書で使用する「ヘテロ接合型」は、1つまたは
複数の遺伝子座に異なる対立遺伝子が検出可能であるサンプル、細胞、細胞集団または生
物も指すことができる。ヘテロ接合型サンプルを、例えば核酸配列決定などの、当技術分
野で知られている方法によって決定することもできる。例えば、配列決定エレクトロフェ
ログラムが1つの遺伝子座で2つのピークを示し、2つのピークがほぼ同じサイズである
場合、サンプルはヘテロ接合型として特徴付けることができる。または、1つのピークが
他方より小さいが、大きなピークの少なくとも約25%のサイズである場合、サンプルは
ヘテロ接合型として特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、小さなピークは大
きなピークの少なくとも約15%である。他の実施形態では、小さなピークは大きなピー
クの少なくとも約10%である。他の実施形態では、小さなピークは大きなピークの少な
くとも約5%である。他の実施形態では、最小量の小さなピークが検出される。
【0126】
本明細書で使用する「ホモ接合型」は、相同染色体セグメントにおける1つまたは複数
の遺伝子座に同一対立遺伝子を有することを指す。「ホモ接合型」は、1つまたは複数の
遺伝子座に同じ対立遺伝子が検出可能であるサンプル、細胞、細胞集団または生物も指す
ことができる。ホモ接合型サンプルを、例えば核酸配列決定などの、当技術分野で知られ
ている方法によって決定することができる。例えば、配列決定エレクトロフェログラムが
特定遺伝子座で1つのピークを示す場合、サンプルはその遺伝子座に関して「ホモ接合型
」と呼ぶことができる。
【0127】
用語「ヘミ接合型」は、第2の対立遺伝子が欠失状態であるため細胞または生物の遺伝
子型に一回のみ存在する、遺伝子または遺伝子セグメントを指す。本明細書で使用する「
ヘミ接合型」は、遺伝子型に一回のみ存在する、1つまたは複数の遺伝子座における対立
遺伝子が検出可能であるサンプル、細胞、細胞集団または生物も指すことができる。
【0128】
本明細書で使用する用語「接合状態」は、サンプル、細胞集団、または生物が、当技術
分野で知られており本明細書に記載する試験法により決定される、ヘテロ接合型、ホモ接
合型、またはヘミ接合型と考えられることを指す。用語「核酸の接合状態」は、核酸の供
給源がヘテロ接合型、ホモ接合型、またはヘミ接合型と考えられるかどうかの決定を意味
する。「接合状態」は配列中の1ヌクレオチドの違いを指すことができる。幾つかの方法
では、一突然変異に関するサンプルの接合状態を、ホモ接合野生型、ヘテロ接合型(すな
わち、1つの野生型対立遺伝子と1つの突然変異対立遺伝子)、ホモ接合突然変異型、ま
たはヘミ接合型(すなわち、野生型もしくは突然変異対立遺伝子いずれかの1コピー)と
して分類することができる。
【0129】
本明細書で使用する用語「RTDS」は、Cibusによって開発されたThe Ra
pid Trait Development System(商標)(RTDS)を指
す。RTDSは、外来遺伝子または対照配列の取り込み無しで遺伝子配列に正確な改変を
施す際に有効である、部位特異的遺伝子修飾システムである。
【0130】
本明細書で使用する用語「約」は、プラスマイナス10%の量を表す用語である。例え
ば「約3%」は2.7~3.3%を包含し、「約10%」は9~11%を包含する。
【0131】
修復オリゴヌクレオチド
本発明は一般に、ゲノムまたは他のヌクレオチド配列中の特定位置に対する、修飾の標
的化の効率を改善するための新規な方法に関する。さらに本発明は、本明細書で開示して
いる手法により修飾、突然変異または顕在化された標的DNAに関する。本発明はさらに
、本発明の方法によって修飾された細胞、組織、および生物に関する。本発明は、成功し
た変換システム、the Rapid Trait Development Syst
em(RTDS(商標)、Cibus US LLC)と部分的に関連する組成物および
方法の開発に基づく。
【0132】
RTDSは、細胞独自の遺伝子修復システムを利用し、外来DNAおよび遺伝子発現制
御配列を挿入せずにin situで遺伝子配列を特異的に修飾することによる、標的遺
伝子の改変に基づく。この手順は遺伝子配列の正確な改変に影響を与え、一方でゲノムの
残り部分は不変状態である。従来のトランスジェニックGMOと対照的に、外来遺伝子物
質の組み込みがなく、如何なる外来遺伝子物質も植物中に残っていない。RTDSによっ
て導入される遺伝子配列の改変はランダムに挿入されない。影響を受ける遺伝子はその元
の位置に留まるので、ランダム、制御不能または有害なパターンの発現は起こらない。
【0133】
この改変に影響を与えるRTDSは、DNAと修飾RNA塩基の両方、ならびに他の化
学成分で構成され得る化学的に合成されたオリゴヌクレオチドであり、標的遺伝子位置で
ハイブリダイズしてミスマッチ塩基対(複数可)を形成するよう設計されている。このミ
スマッチ塩基対は細胞独自の天然遺伝子修復システムをその部位に向けるシグナルとして
働き、遺伝子内の指定ヌクレオチド(複数可)を補正する(置換、挿入または欠失)。補
正プロセスが終了した後、RTDS分子は分解され、現在修飾または修復中の遺伝子は、
その遺伝子の通常の内在制御機構の下で発現される。
【0134】
本明細書で開示している方法および組成物は、以下で詳細に記載する立体配座および化
学的性質を有する「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」(GRON)を用いて実施または作製す
ることができる。本明細書で企図する「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、「組換え可能オ
リゴ核酸塩基」、「RNA/DNAキメラオリゴヌクレオチド」、「キメラオリゴヌクレ
オチド」、「混合型二本鎖オリゴヌクレオチド」(MDON)、「RNADNAオリゴヌ
クレオチド(RDO)」、「遺伝子標的化オリゴヌクレオチド」、「ゲノプラスト」、「
一本鎖修飾オリゴヌクレオチド」、「一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドミューテーター
ベクター」(SSOMV)、「二本鎖突然変異ベクター」、および「ヘテロ二本鎖突然変
異ベクター」を含めた他の名称を使用して、刊行済みの科学誌および特許文献中にも記載
されている。遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、マイクロキャリア(バイオリスティックデリ
バリー)、マイクロファイバー、ポリエチレングリコール(PEG)仲介取り込み、エレ
クトロポレーション、およびマイクロインジェクションだけには限られないが、これらを
含めた、当技術分野で一般に使用される任意の方法を使用して植物細胞に導入することが
できる。
【0135】
一実施形態において、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、2’-ヒドロキシルとフルオロ、
クロロもしくはブロモ官能基の置換または2’-O上の置換基の配置によって混合型二本
鎖オリゴヌクレオチドのRNA型ヌクレオチドがRNase耐性になった、混合型二本鎖
オリゴヌクレオチド(MDON)である。適切な置換基はKmiecIIによって教示さ
れた置換基を含む。別の置換基には、米国特許第5,334,711号(Sproat)
によって教示された置換基と特許公開EP629387およびEP679657(まとめ
て、Martin Applications)によって教示された置換基があり、これ
らは参照により本明細書に組み込まれている。本明細書で使用する、リボヌクレオチドの
2’-フルオロ、クロロもしくはブロモ誘導体、またはMartin Applicat
ionsもしくはSproat中に記載された置換基で置換されたT-OHを有するリボ
ヌクレオチドは「T-置換リボヌクレオチド」と呼ばれる。本明細書で使用する用語「R
NA型ヌクレオチド」は、非置換ホスホジエステル結合またはKmiecIもしくはKm
iecIIによって教示された任意の非天然結合によって混合型二本鎖オリゴヌクレオチ
ドの他のヌクレオチドと結合した、T-ヒドロキシルまたは2’-置換ヌクレオチドを意
味する。本明細書で使用する用語「デオキシリボ型ヌクレオチド」は、非置換ホスホジエ
ステル結合またはKmiecIもしくはKmiecIIによって教示された任意の非天然
結合によって遺伝子修復オリゴ核酸塩基の他のヌクレオチドと結合することができる、T
-Hを有するヌクレオチドを意味する。
【0136】
本発明の特定の実施形態では、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、非置換ホスホジエステル
結合によってのみ結合した混合型二本鎖オリゴヌクレオチド(MDON)である。代替実
施形態では、結合は置換ホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体、およびKmiec
IIによって教示された非亜リン酸系結合による結合である。さらに別の実施形態では、
混合型二本鎖オリゴヌクレオチド中の各RNA型ヌクレオチドは2’-置換ヌクレオチド
である。2’-置換リボヌクレオチドの特に好ましい実施形態は、2’-フルオロ、T-
メトキシ、2’-プロピルオキシ、2’-アリルオキシ、2’-ヒドロキシルエチルオキ
シ、2’-メトキシエチルオキシ、T-フルオロプロピルオキシおよび2’-トリフルオ
ロプロピルオキシ置換リボヌクレオチドである。2’-置換リボヌクレオチドのより好ま
しい実施形態は、2’-フルオロ、2’-メトキシ、2’-メトキシエチルオキシ、およ
び2’-アリルオキシ置換ヌクレオチドである。別の実施形態では、混合型二本鎖オリゴ
ヌクレオチドは非置換ホスホジエステル結合によって結合している。
【0137】
1型の2’-置換RNA型ヌクレオチドのみを有する混合型二本鎖オリゴヌクレオチド
(MDON)はより好都合に合成されるが、本発明の方法は、2型以上のRNA型ヌクレ
オチドを有する混合型二本鎖オリゴヌクレオチドで実施することができる。RNAセグメ
ントの機能が、2つのRNA型トリヌクレオチド間へのデオキシヌクレオチドの導入によ
り引き起こされる介入によって影響を受ける可能性はなく、したがって用語RNAセグメ
ントは「介入RNAセグメント」などの用語を包含する。非介入RNAセグメントは隣接
RNAセグメントと呼ばれる。代替実施形態では、RNAセグメントは改変RNase耐
性および非置換2’-OHヌクレオチドを含有し得る。混合型二本鎖オリゴヌクレオチド
は、好ましくは100個より少ないヌクレオチド、およびより好ましくは85個より少な
いヌクレオチド、ただし50個を超えるヌクレオチドを有する。第1の鎖部分と第2の鎖
部分はワトソン-クリックの法則に従い塩基対形成する。一実施形態では、混合型二本鎖
オリゴヌクレオチドの鎖部分は、第1の鎖部分と第2の鎖部分が1つの3’末端と1つの
5’末端を有する一本のオリゴヌクレオチド鎖のセグメントであるように、一本鎖ヘキサ
、ペンタまたはテトラヌクレオチドなどのリンカーによって共有結合する。3’末端と5
’末端は「ヘアピンキャップ」の付加によって保護することができ、これにより3’末端
と5’末端ヌクレオチドはワトソン-クリックの法則に従い隣接ヌクレオチドと塩基対形
成する。さらに第2のヘアピンキャップを、第1の鎖部分と第2の鎖部分の間のワトソン
-クリックの法則に従う塩基対形成が安定するように、3’末端と5’末端から離れた第
1の鎖部分と第2の鎖部分の間の接合部に置くことができる。
【0138】
第1の鎖部分と第2の鎖部分は、標的遺伝子の2セグメントと相同的である2領域を含
有する、すなわち標的遺伝子と同じ配列を有する。相同領域はRNAセグメントのヌクレ
オチドを含有し、結合DNAセグメントの1つまたは複数のDNA型ヌクレオチドを含有
する可能性があり、介在DNAセグメント内に存在しないDNA型ヌクレオチドを含有す
る可能性もある。2つの相同領域は、「異種領域」と呼ばれる標的遺伝子の配列と異なる
配列を有する領域によって隔てられ、それぞれ隣接している。異種領域は1、2または3
個のミスマッチヌクレオチドを含有し得る。ミスマッチヌクレオチドは隣接する可能性が
あり、または代替的に、標的遺伝子と相同的である1個または2個のヌクレオチドによっ
て隔てられる可能性がある。あるいは異種領域は、挿入物、または1、2、3もしくは5
個以下のヌクレオチドも含有し得る。あるいは、混合型二本鎖オリゴヌクレオチドの配列
は、混合型二本鎖オリゴヌクレオチド由来の1、2、3もしくは5個以下のヌクレオチド
の欠失のみ標的遺伝子の配列と異なる可能性がある。異種領域の長さと位置は、この場合
、異種領域内に混合型二本鎖オリゴヌクレオチドのヌクレオチドが存在しないが、欠失部
分の長さであると考えられる。2つの相同領域と相補的である標的遺伝子の断片間の距離
は、1つまたは複数の置換が考えられる異種領域の長さと同一である。異種領域が挿入物
を含有する場合、相同領域は、遺伝子中のそれらの相補相同断片より遠く混合型二本鎖オ
リゴヌクレオチド中でそれによって隔てられており、異種領域が欠失をコードするときは
逆のことが当てはまる。
【0139】
混合型二本鎖オリゴヌクレオチドのRNAセグメントは、それぞれ相同領域、すなわち
標的遺伝子の断片と配列が同一である領域の一部分であり、これらのセグメントは、好ま
しくは少なくとも13のRNA型ヌクレオチド、および好ましくは16~25のRNA型
ヌクレオチド、またはさらにより好ましくは18~22のRNA型ヌクレオチド、または
最も好ましくは20のヌクレオチドを全体として含有する。一実施形態では、相同領域の
RNAセグメントは隔てられ、介在DNAセグメントと隣接、すなわち「結合」している
。一実施形態では、異種領域のそれぞれのヌクレオチドは介在DNAセグメントのヌクレ
オチドである。混合型二本鎖オリゴヌクレオチドの異種領域を含有する介在DNAセグメ
ントは、「ミューテーターセグメント」と呼ばれる。
【0140】
本発明の別の実施形態では、遺伝子修復オリゴ核酸塩基(GRON)は一本鎖オリゴデ
オキシヌクレオチドミューテーターベクター(SSOMV)であり、それは、その全容が
参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願PCT/USOO/23457、
米国特許第6,271,360号、同第6,479,292号、および同第7,060,
500号中に開示されている。SSOMVの配列は、米国特許第5,756,325号、
同第5,871,984号、同第5,760,012号、同第5,888,983号、同
第5,795,972号、同第5,780,296号、同第5,945,339号、同第
6,004,804号、および同第6,010,907号中、ならびに国際公開Nos.
WO98/49350、WO99/07865、WO99/58723、WO99/58
702、およびWO99/40789中に記載されたミューテーターベクターと同じ原理
に基づく。SSOMVの配列は、ミューテーター領域と呼ばれる所望の遺伝子改変を含有
する領域によって隔てられた、標的配列と相同的である2領域を含有する。ミューテータ
ー領域は、標的配列中の相同領域を隔てる配列と同じ長さであるが、異なる配列を有する
配列を有し得る。このようなミューテーター領域は置換を引き起こす可能性がある。ある
いは、SSOMV中の相同領域は互いに隣接している可能性があり、一方同じ配列を有す
る標的遺伝子中の領域は1個、2個以上のヌクレオチドにより隔てられている。このよう
なSSOMVは、SSOMVが不在のヌクレオチドの標的遺伝子からの欠失を引き起こす
。最後に、相同領域と同一である標的遺伝子の配列は標的遺伝子中では隣接しているが、
SSOMVの配列中では1個、2個以上のヌクレオチドにより隔てられている可能性があ
る。このようなSSOMVは標的遺伝子の配列における挿入を引き起こす。
【0141】
SSOMVのヌクレオチドは、非修飾ホスホジエステル結合によって結合したデオキシ
リボヌクレオチドであるが、ただし1つの3’末端および/または5’末端ヌクレオチド
間結合、または代替的に2つの3’末端および/または5’末端ヌクレオチド間結合がホ
スホロチオエートまたはホスホアミデートであり得る。本明細書で使用するヌクレオチド
間結合は、SSOMVのヌクレオチドの間の結合であり、3’末端ヌクレオチドまたは5
’末端ヌクレオチドとブロッキング置換基の間の結合は含まない。具体的実施形態では、
SSOMVの長さは21~55デオキシヌクレオチドであり、したがって相同領域の長さ
は全長少なくとも20デオキシヌクレオチドであり、少なくとも2つの相同領域は少なく
とも8デオキシヌクレオチドの長さをそれぞれ有するはずである。
【0142】
標的遺伝子のコード鎖または非コード鎖のいずれかと相補的であるように、SSOMV
を設計することができる。所望の突然変異が一塩基の置換であるとき、ミューテーターヌ
クレオチドと標的ヌクレオチドの両方がピリミジンであることが好ましい。所望の機能的
結果の獲得と一致する範囲で、相補鎖中のミューテーターヌクレオチドと標的ヌクレオチ
ドの両方がピリミジンであることが好ましい。特に好ましいのは、トランスバージョン突
然変異をコードする、すなわちそれぞれ相補鎖中のCまたはTヌクレオチドとCまたはT
ミューテーターヌクレオチドがミスマッチである、SSOMVである。
【0143】
効率の改善
本発明は、修復オリゴヌクレオチドを使用する、標的遺伝子の転換の有効性を高めるた
めの幾つかの手法を記載し、それらは単独でまたは互いに組み合せて使用することができ
る。これらは以下を含む:
1.標的(ミスマッチ)部位にDNA修復機構を向ける修復オリゴヌクレオチドに対す
る修飾の導入。
A.オリゴヌクレオチド(例えば、10塩基以内、およびより好ましくは所望ミスマッ
チ部位の5塩基)における1つまたは複数の無塩基部位の導入により塩基切除修復(BE
R)中の中間体である損傷が生じ、それによってBER機構を修復オリゴヌクレオチドに
よる転換標的の部位近辺に向ける。dスペーサー(無塩基フラン)修飾オリゴヌクレオチ
ドは、例えばTakeshita et al.,J.Biol.Chem.,262:
10171-79,1987中に記載されたように調製することができる。
B.オリゴヌクレオチド中へのまたはオリゴヌクレオチドと一緒のいずれかの、一本鎖
または二本鎖切断を誘導する化合物の封入によって、非相同末端結合(NHEJ)、マイ
クロホモロジー仲介末端結合(MMEJ)、および相同組換えにより修復される損傷が生
じる。例えば、ブレオマイシンファミリーの抗生物質、ジンクフィンガー、FokI(ま
たは任意のIIS型クラスの制限酵素)および他のヌクレアーゼを修復オリゴヌクレオチ
ドの3’末端または5’末端に共有結合させて、修復オリゴヌクレオチドによる転換標的
の部位近辺に二本鎖切断を導入することが可能である。ブレオマイシンファミリーの抗生
物質は、ブレオマイシン、ゼオシン、フレオマイシン、タリソマイシン、ペプレオマイシ
ンおよびその他を含めたDNA切断糖ペプチドである。
C.オリゴヌクレオチド(例えば、10塩基以内、およびより好ましくは所望ミスマッ
チ部位の5塩基)に取り込まれる1つまたは複数の8’オキソdAまたはdGの導入によ
って、反応性酸素種によって生成する損傷と類似した損傷が生じる。これらの損傷はいわ
ゆる「助長型修復」系を誘導する。例えば、Kim et al.,J.Biochem
.Mol.Biol.37:657-62,2004を参照。
2.修復オリゴヌクレオチドの安定性の増大:
修復オリゴヌクレオチド上に3’ブロッキング末端を作製するためのオリゴヌクレオチ
ドの3’末端における逆向き塩基(idC)の導入。
修復オリゴヌクレオチドの5’および/または3’末端における、ハイブリダイゼーシ
ョンエネルギーを増大させる1つまたは複数の2’O-メチルヌクレオチドまたは塩基の
導入(例えば、WO2007/073149参照)。
修復オリゴヌクレオチドの5’末端における複数の2’O-メチルRNAヌクレオチド
の導入、所望のミスマッチ部位をもたらすDNA塩基が生じ、それによって岡崎フラグメ
ント様核酸構造を生成する。
アクリジン、ソラレン、臭化エチジウムおよびサイバー染色液などの結合(5’または
3’)挿入色素。
T/Aクランプ、コレステロール成分、SIMA(HEX)、リボCおよびアミダイト
などの5’末端キャップの導入。
ホスホチオエート、2’O-メチル、メチルホスホネート、ロックド核酸(LNA)、
(MOE)(メトキシエチル)、ジPSおよびペプチド核酸(PNA)などの骨格修飾。
例えばシスプラチンおよびマイトマイシンCなどの鎖間架橋試薬物質による、修復オリ
ゴヌクレオチドの架橋。
Cy3、DY547、Cy3.5、Cy3B、Cy5およびDY647などの蛍光色素
との結合。
3.ハイブリダイゼーションエネルギーを増大させる塩基の取り込みによる、修復オリ
ゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションエネルギーの増大(例えば、WO2007/0
73149参照)。
4.合成用の構成単位としてヌクレオチドマルチマー(ジマー、トリマー、テトラマー
など)を使用することによる、修復オリゴヌクレオチド合成の質の向上。これによって、
より少ないカップリングステップ、および構成単位からの完全長産物の容易な分離をもた
らす。
5.好ましくは修復オリゴヌクレオチド中に2個以上の標的突然変異がある、長鎖修復
オリゴヌクレオチド(すなわち、55ヌクレオチド長を超える、好ましくは75~300
ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも100ヌクレオチド長、さらにより好ましく
は少なくとも150ヌクレオチド長、および最も好ましくは少なくとも200ヌクレオチ
ド長)の使用。
【0144】
前述の手法の例を以下の表中に与える。
【0145】
【0146】
前述の修飾は、メチル化、5’挿入色素、5’と3’末端に対する修飾、骨格修飾、架
橋剤、環化、および「キャップ」、およびイノシンなどのアナログと1つまたは複数の天
然に存在するヌクレオチドの置換などの、周知のヌクレオチド修飾も含み得る。ヌクレオ
チドの修飾は、アクリジン、アミン、ビオチン、カスケードブルー、コレステロール、C
y3@、Cy5@、Cy5.5@、ダボイル、ジゴキシゲニン、ジニトロフェニル、エダ
ンス、6-FAM、フルオレセイン、3’-グリセリル、HEX、IRD-700、IR
D-800、JOE、ホスフェートソラレン、ローダミン、ROX、チオール(SH)、
スペーサー、TAMRA、TET、AMCA-S’’、SE、BODIPY°、マリーナ
ブルー@、パシフィックブルー@、オレゴングリーン@、ローダミングリーン@、ローダ
ミンレッド@、ロドールグリーン@およびテキサスレッド@の付加を含む。ポリヌクレオ
チド骨格修飾には、メチルホスホネート、2’-OMeメチルホスホネートRNA、ホス
ホロチオレート、RNA、2’-OMeRNAがある。塩基修飾には、2-アミノ-dA
、2-アミノプリン、3’-(ddA)、3’dA(コルジセピン)、7-デアザ-dA
、8-Br-dA、8-オキソ-dA、N6-Me-dA、無塩基部位(dスペーサー)
、ビオチンdT、2’-OMe-5Me-C、2’-OMe-プロピニル-C、3’-(
5-Me-dC)、3’-(ddC)、5-Br-dC、5-1-duc、5-Me-d
C、5-F-dC、カルボキシ-dT、転換可能dA、転換可能dC、転換可能dG、転
換可能dT、転換可能dU、7-デアザ-dG、8-Br-dG、8-オキソ-dG、O
6-Me-dG、S6-DNP-dG、4-メチル-インドール、5-ニトロインドール
、2’-OMe-イノシン、2’-dl、o6-フェニル-dl、4-メチル-インドー
ル、2’-デオキシネブラリン、5-ニトロインドール、2-アミノプリン、dP(プリ
ンアナログ)、dK(ピリミジンアナログ)、3-ニトロピロール、2-チオ-dT、4
-チオ-dT、ビオチン-dT、カルボキシ-dT、04-Me-dT、04-トリアゾ
ール-dT、2’-OMe-プロピニル-U、5-Br-dU、2’-dU、5-F-d
U、5-l-dU、04-トリアゾール-dUがある。前記用語は、ペプチド核酸(PN
A)、その骨格が糖ではなくN-(2-アミノエチル)-グリシン単位からなる擬似ペプ
チドであるDNAアナログも包含する。PNAはDNAの挙動を模倣し、相補核酸鎖と結
合する。PNAの中性骨格は、通常得られるものより強い結合と高い特異性をもたらす。
さらに、強力な生体分子ツール、アンチセンスおよび抗原物質、分子プローブおよびバイ
オセンサーを生み出すため、PNAの独自の化学的、物理的および生物学的性質が利用さ
れている。
【0147】
オリゴ核酸塩基は、ニック(複数可)、ギャップ(複数可)、修飾オリゴヌクレオチド
骨格、無塩基部位ヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチド、または他の化学成分を有する可
能性がある。さらなる実施形態では、オリゴ核酸塩基の少なくとも一本の鎖は、少なくと
も1つの他の修飾ヌクレオチド、例えばMOE(メトキシエチル)などの2’-O-メチ
ル修飾ヌクレオチド、5’-ホスホロチオエート基を有するヌクレオチド、コレステリル
誘導体と結合した末端ヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチド
、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、無塩基部位ヌクレオチド
(核酸塩基は欠失状態であるかまたはその代わりにヒドロキシル基を有する)(例えば、
Glen Research、http://www.glenresearch.co
m/GlenReports/GR21-14.htmlを参照)、2’-アミノ-修飾
ヌクレオチド、2’-アルキル-修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホラ
ミダイト、および非天然塩基含有ヌクレオチドを含む。様々な塩、混合塩および遊離酸型
も含まれる。
【0148】
好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格には、例えばホスホロチオエート、キラルホスホ
ロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリ
エステル、メチルおよび3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート
およびキラルホスホネートを含めた他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-
アミノホスホラミダイトおよびアミノアルキルホスホラミダイト、チオノホスホラミダイ
トを含めたホスホラミダイト、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリ
エステル、正常3’-5’結合を有するセレノホスフェートおよびボラノホスフェート、
これらの2’-5’結合アナログ、ならびに反転極性を有し1つまたは複数のヌクレオチ
ド間結合が3’-3’、5’-5’または2’-2’結合である骨格がある。反転極性を
有する好ましいオリゴヌクレオチドは、3’の大部分のヌクレオチド間結合に1つの3’
-3’結合、すなわち無塩基であり得る(核酸塩基が欠失状態であるかまたはその代わり
にヒドロキシル基を有する)1つの反転ヌクレオシド残基を含む。結合反転の最も一般的
な用途は、ホスホロチオエート骨格を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの末端への
3’-3’結合の付加である。3’-3’結合は、2個の5’-OH末端と0個の3’-
OH末端を有するオリゴヌクレオチドを作製することによって、エクソヌクレアーゼ分解
に対してアンチセンスオリゴヌクレオチドをさらに安定化させる。結合反転は、「逆ホス
ホラミダイト」を使用することによって、オリゴヌクレオチド合成中に特定位置に導入す
ることができる。これらの試薬は5’-OH位置にホスホラミダイト基、および3’-O
H位置にジメトキシトリチル(DMT)保護基を有する。通常、DMT保護基は5’-O
H位置に存在し、ホスホラミダイト基は3’-OH位置に存在する。
【0149】
修飾塩基の例には、2-アミノプリン、2’-アミノ-ブチリルピレン-ウリジン、2
’-アミノウリジン、2’-デオキシウリジン、2’-フルオロ-シチジン、2’-フル
オロ-ウリジン、2,6-ジアミノプリン、4-チオ-ウリジン、5-ブロモ-ウリジン
、5-フルオロ-シチジン、5-フルオロウリジン、5-インド-ウリジン、5-メチル
-シチジン、イノシン、N3-メチル-ウリジン、7-デアザ-グアニン、8-アミノヘ
キシル-アミノ-アデニン、6-チオ-グアニン、4-チオ-チミン、2-チオ-チミン
、5-ヨード-ウリジン、5-ヨード-シチジン、8-ブロモ-グアニン、8-ブロモ-
アデニン、7-デアザ-アデニン、7-ジアザ-グアニン、8-オキソ-グアニン、5,
6-ジヒドロ-ウリジン、および5-ヒドロキシメチル-ウリジンがあるが、これらだけ
には限られない。これらの合成単位は市販されており(例えば、Glen Resear
ch Companyから購入可能)、化学合成によりDNAに取り込むことができる。
【0150】
糖成分の修飾の例は、3’-デオキシ化、2’-フルオロ化、およびアラビノシド化で
あるが、しかしながらこれらに限られると解釈すべきではない。DNA中へのこれらの取
り込みも化学合成によって可能である。
【0151】
5’末端修飾の例は、5’-アミノ化、5’-ビオチニル化、5’-フルオレセイン化
、5’-テトラフルオロフルオレセイン化、5’-チオール化、および5’-ダブシル化
であるが、しかしながらこれらに限られると解釈すべきではない。
【0152】
3’末端修飾の例は、3’-アミノ化、3’-ビオチニル化、2,3-ジデオキシ化、
3’-チオール化、3’-ダブシル化、3’-カルボキシル化、および3’-コレステリ
ル化であるが、しかしながらこれらに限られると解釈すべきではない。
【0153】
好ましい一実施形態において、オリゴ核酸塩基は、リンカーを介して5’末端炭素に結
合した5’ブロッキング置換基を含有することができる。リンカーの化学的性質はその長
さ以外は重要ではなく、長さは好ましくは少なくとも6原子長でなければならず、リンカ
ーは柔軟性でなければならない。ビオチン、コレステロールもしくは他のステロイドなど
の様々な非毒性置換基、または非挿入剤カチオン性蛍光色素を使用することができる。オ
リゴ核酸塩基を作製するのに特に好ましい試薬は、Glen Research,Ste
rling Va.(現在GE Healthcare)によってCy3(商標)および
Cy5(商標)として販売されている試薬であり、これらは、オリゴヌクレオチドへの取
り込みによって、3,3,3’,3’-テトラメチルN,N’-イソプロピル置換インド
モノカルボシアニンおよびインドジカルボシアニン色素をそれぞれ生成するブロッキング
ホスホラミダイトである。Cy3が特に好ましい。インドカルボシアニンがN-オキシア
ルキル置換状態であるとき、5’末端ホスフェートを有するホスホジエステルとしてオリ
ゴデオキシヌクレオチドの5’末端とそれを好都合に結合させることが可能である。市販
のCy3ホスホラミダイトを指示通り使用するとき、生じる5’修飾はブロッキング置換
基とリンカーからなり、それらはまとめてN-ヒドロキシプロピル,N’-ホスファチジ
ルプロピル3,3,3’,3’-テトラメチルインドモノカルボシアニンである。企図さ
れる他の色素には、ローダミン6G、テトラメチルローダミン、スルホローダミン101
、メロシアニン540、Atto565、Atto55026、Cy3.5、Dy547
、Dy548、Dy549、Dy554、Dy555、Dy556、Dy560、mSt
rawberryおよびmCherryがある。
【0154】
好ましい実施形態では、インドカルボシアニン色素はインドール環の3および3’位置
でテトラ置換されている。理論について制限されずに、これらの置換基は色素が挿入色素
となるのを妨げる。これらの位置における置換基の同一性は重要ではない。
【0155】
本明細書に記載するオリゴ設計は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、Transcri
ption Activator-Like Effector Nucleases(
TALENs)またはClustered Regularly Interspace
d Short Palindromic Repeats(CRISPRs)による部
位特異的相同組換えを使用する遺伝子標的化だけには限られないが、これらを含めた他の
DNA編集または組換え技術と組み合せて、より有効なドナー鋳型としても有用であり得
る。
【0156】
本発明は一般に、ゲノム細胞DNAの効率良い修飾および/または細胞のゲノムDNA
へのDNAの組換えのための方法に関する。任意の特定用途に限られず、本発明の方法は
、例えば、細胞に対する修飾の影響を決定する目的で細胞のゲノムに修飾を導入する際に
有用である。例えば、酵素をコードするヌクレオチド配列に修飾を導入して、修飾が酵素
の酵素活性を変えるかどうかを決定する、および/または酵素の触媒領域の位置を決定す
ることができる。あるいは、DNA結合タンパク質のコード配列に修飾を導入して、タン
パク質のDNA結合活性が変わるかどうかを決定することができ、したがってタンパク質
内の特定DNA結合領域をたどることができる。さらに別の代替は、非コード制御配列(
例えば、プロモーター、エンハンサー、制御RNA配列(miRNA)など)に修飾を導
入して、非コード制御配列と作動可能に連結した第2の配列の発現レベルに対する修飾の
影響を決定することである。これは例えば、制御活性を有する特定配列を画定するのに望
ましい可能性がある。
【0157】
標的遺伝子の妨害をもたらすための一戦略は、部位特異的エンドヌクレアーゼにより引
き起こされる一本鎖または二本鎖DNA切断の発生によるものである。エンドヌクレアー
ゼは、藻類、植物、およびヒトを含めた巨大動物モデルなどの、より従来型の遺伝子標的
法の影響を従来受けにくい生物における、標的遺伝子の妨害に最も頻繁に使用される。例
えば、HIV感染を治療および予防するための、ジンクフィンガーヌクレアーゼに関する
現在進行中のヒト臨床試験が存在する。さらに、エンドヌクレアーゼ操作は、穀物中に望
ましくない表現型をもたらす遺伝子を妨害する試みにおいて現在使用されている。
【0158】
メガヌクレアーゼとしても知られるホーミングエンドヌクレアーゼは、それらの大きな
(例えば14bpを超える)切断部位のため、高度の特異性でゲノムDNAにおいて二本
鎖切断を発生させる配列特異的エンドヌクレアーゼである。それらの標的部位に対するホ
ーミングエンドヌクレアーゼの特異性によって誘導型DNA切断の正確な標的化が可能に
なるが、ホーミングエンドヌクレアーゼの切断部位は希少であり、標的遺伝子中の本来存
在する切断部位を発見する確率は低い。
【0159】
1クラスの人工エンドヌクレアーゼはジンクフィンガーエンドヌクレアーゼである。ジ
ンクフィンガーエンドヌクレアーゼは、非特異的切断ドメイン、典型的にはFokIエン
ドヌクレアーゼのドメインと、特異的DNA配列と結合するように操作したジンクフィン
ガータンパク質ドメインを組み合せる。ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼのモジュラ
ー構造によって、それらはゲノムに部位特異的二本鎖切断をもたらす用途の広い基盤とな
る。ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼの1つの制約は、標的部位に対する低い特異性
またはゲノムにおける多数の標的部位の存在が、オフターゲット切断事象をもたらし得る
ことである。FokIエンドヌクレアーゼはジマーとして切断するので、オフターゲット
切断事象を予防するための一戦略は、隣接9塩基対部位で結合するジンクフィンガードメ
インの設計となっている。
【0160】
TALENは、特異的DNA部位への一本鎖および二本鎖切断の誘導に使用される標的
化可能ヌクレアーゼであり、次いでそれらは切断部位に配列変化を作製するのに利用可能
な機構により修復される。
【0161】
TALENのDNA結合領域を操作するのに使用される基本構成単位は、キサントモナ
ス種プロテオバクテリアによってコードされる、天然に存在するTALE由来の高度に保
存された反復ドメインである。TALENによるDNA結合は、反復単位のアミノ末端と
カルボキシ末端で別のTALE由来ドメインと隣接した、高度に保存された33~35ア
ミノ酸反復単位のアレイによって仲介される。
【0162】
これらのTALE反復単位はDNAの一塩基と特異的に結合し、その同一性は、反復単
位の位置12と13に典型的に見られる2つの超可変残基、および所望標的核酸の長さに
相当するアレイ中の反復単位の数、標的核酸配列とマッチするよう選択した反復単位の同
一性によって決定される。標的部位の選択性を最大にするため、標的核酸は15~20塩
基対であることが好ましい。標的核酸の切断は、典型的にTALEN結合の50塩基対以
内で起こる。TALEN認識部位設計に関するコンピュータプログラムは当技術分野で記
載されている。例えば、Cermak et al.,Nucleic Acids R
es.2011 July;39(12):e82を参照。
【0163】
所望標的配列とマッチするよう設計した後、TALENを組換えによって発現させ、外
来タンパク質としてプロトプラストに導入し、またはプロトプラスト内でプラスミドから
発現させることが可能である。
【0164】
別のクラスの人工エンドヌクレアーゼは操作型メガヌクレアーゼである。操作型ホーミ
ングエンドヌクレアーゼは、既存のホーミングエンドヌクレアーゼの特異性を改変するこ
とにより生成する。一手法では、本来存在するホーミングエンドヌクレアーゼのアミノ酸
配列に変異を導入し、次いで生成した操作型ホーミングエンドヌクレアーゼをスクリーニ
ングして、標的結合部位を切断する機能性タンパク質を選択する。別の手法では、キメラ
ホーミングエンドヌクレアーゼを、2つの異なるホーミングエンドヌクレアーゼの認識部
位を組み合せて各ホーミングエンドヌクレアーゼの半分の部位で構成される新たな認識部
位を作製することによって操作する。
【0165】
他のDNA修飾分子を標的遺伝子組換えにおいて使用することができる。例えば、ペプ
チド核酸を使用して、1つまたは複数の標的細胞のゲノムに対する修飾を誘導することが
できる(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Eckerへの米国特許第5
,986,053号を参照)。簡単に言うと、部分的ペプチド骨格を少なくとも含む合成
ヌクレオチドを使用して、相同ゲノムヌクレオチド配列を標的化する。二重らせんDNA
との結合によって、またはペプチド核酸と連結した変異原性化学物質を介して、標的DN
A配列の修飾および/または組換えが起こるよう誘導する。標的特異性は、標的配列とゲ
ノム配列の間の配列相同性の程度によって決定する。
【0166】
さらに本発明は、ゲノム配列の修飾を実施するため本明細書で使用する個々の方法に限
られない。実際、幾つかの方法が企図される。例えば、三重ヘリックス形成オリゴヌクレ
オチド(TFO)を使用して遺伝子を標的化することができる。TFOは合成により、例
えばPCRにより、または遺伝子合成装置の使用により作製することができる。さらに、
適切な天然配列が見られる場合、ゲノムDNAからTFOを単離することができる。例え
ばソラレンまたはクロラムブシルだけには限られないがこれらなどの変異原性化学物質と
の結合を含めた、幾つかの方法においてTFOを使用することができる(例えば、Hav
re et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.90:7
879-7883,1993;Havre et al.,J Virol67:732
3-7331,1993;Wang et al.,Mol Cell Biol 15
:1759-1768,1995;Takasugi et al.,Proc Nat
’l Acad Sci,U.S.A.88:5602-5606,1991;Belo
usov et al.,Nucleic Acids Res25:3440-344
4,1997を参照)。さらに例えば、TFOはドナー二本鎖DNAと結合させることが
可能である(例えば、Chan et al.,J Biol Chem272:115
41-11548,1999を参照)。TFOは誤りがちの修復を誘発するのに十分なア
フィニティーでの結合により作用することもできる(Wang et al.,Scie
nce271:802-805,1996)。
【0167】
本発明の方法は、使用するDNA修復試薬の性質または型に制約を受けない。例えば、
このようなDNA修復試薬はラジカルを放出し、これによってDNA鎖切断をもたらす。
あるいは、試薬はDNAをアルキル化して、複製および転写を遮断し得る付加体を形成す
る。別の代替では、試薬は細胞酵素を阻害する架橋または分子をもたらし、鎖切断をもた
らす。オリゴヌクレオチドに結合してTFOを形成するDNA修復試薬の例には、インド
ロカルバゾール、ナフタレンジイミド(NDI)、トランスプラチン、ブレオマイシン、
シクロプロパピロールインドールのアナログ、およびフェナントジヒドロジオキシンがあ
るが、これらだけには限られない。特に、インドロカルバゾールはトポイソメラーゼI阻
害剤である。これらの酵素の阻害は、鎖切断およびDNAタンパク質付加体形成をもたら
す[Arimondo et al.,Bioorganic and Medicin
al Chem.8,777,2000]。NDIはグアニンを酸化することができる光
酸化剤であり、これはグアニン残基の部位に突然変異を引き起こす可能性がある[Nun
ez,et al.,Biochemistry,39,6190,2000]。TFO
が試薬と結合したとき、トランスプラチンが三本鎖標的中のDNAと反応することが示さ
れている。この反応は、突然変異誘発性であるDNA付加体の形成を引き起こす[Col
umbier,et al.,Nucleic Acids Research,24:
4519,1996]。ブレオマイシンは、放射性模倣体として広く使用されているDN
A切断物質である。それはオリゴヌクレオチドと結合し、その形式で切断物質として活性
があることが示されている[Sergeyev,Nucleic Acids Rese
arch23,4400,1995;Kane,et al.,Biochemistr
y,34,16715,1995]。シクロプロパピロールインドールのアナログはTF
Oと結合し、三本鎖標的配列中のDNAをアルキル化することが示されている。したがっ
てアルキル化DNAは、突然変異誘発性である化学的付加体を含有する[Lukhtan
ov,et al.,Nucleic Acids Research,25,5077
,1997]。フェナントジヒドロジオキシンは、光活性化によりラジカル種を放出する
遮蔽キノンである。それらはTFOと結合し、光活性化により二本鎖DNAに切断をもた
らすことが示されている[Bendinskas et al.,Bioconjuga
te Chem.9,555,1998]。
【0168】
修飾および/または組換えを誘導する他の方法は本発明によって企図される。例えば別
の実施形態は、外来DNA断片と標的遺伝子の間の、または標的部位に対するアフィニテ
ィーがあるペプチド核酸(PNA)の使用による相同組換えの誘導に関する(例えば、C
apecchi et al.,Science244:1288-1292,1989
を参照)。さらに他の方法は、ポリアミドによる配列特異的DNA認識および標的化(例
えば、Dervan et al.,Curr Opin Chem Biol3:68
8-693,1999;Biochemistry38:2143-2151,1999
を参照)、および部位特異的活性を有するヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガータン
パク質、TALEN、メガヌクレアーゼおよび/またはCRISPR)の使用を含む。
【0169】
本発明は、任意の特定の修飾および/または組換え頻度に限られない。本発明の方法は
、標的ヌクレオチド配列において0.2%~3%の修飾頻度をもたらす。それでもなお、
任意の(すなわち、0%と100%の間の)修飾および/または組換え頻度が本発明の範
囲内にあると企図される。修飾および/または組換え頻度は、修飾および/または組換え
を誘導するために使用する方法、使用する細胞型、特異的標的遺伝子、および存在する場
合使用するDNA突然変異誘発試薬に依存する。さらに、修飾および/または組換えを検
出するために使用する方法は、検出法における制約のため、全ての修飾および/または組
換えの発生を検出できるわけではない。その上、幾つかの修飾および/または組換え事象
はサイレント状態であり、修飾および/または組換えが生じた検出可能な指標を与えない
可能性がある。サイレント状態の修飾および/または組換え事象の検出不能は、修飾およ
び/または組換えの人為的に低い推定値をもたらす。これらの理由、および他の理由のた
め、本発明は任意の特定の修飾および/または組換え頻度に限られない。一実施形態では
、修飾および/または組換え頻度は0.01%と100%の間である。別の実施形態では
、修飾および/または組換え頻度は0.01%と50%の間である。さらに別の実施形態
では、修飾および/または組換え頻度は0.1%と10%の間である。他のさらに別の実
施形態では、修飾および/または組換え頻度は0.1%と5%の間である。
【0170】
本明細書で使用する用語「突然変異の頻度」は、細胞のゲノム中の標的部位に突然変異
を導入することができるDNA修飾分子で処置した細胞の集団を言及する際には、DNA
修飾分子で処置した細胞の合計数と比較した、標的部位に突然変異を含有する処置集団中
の細胞の数を指す。例えば、細胞のゲノム中の標的部位に突然変異を導入するよう設計し
たソラレン結合DNA修飾分子TFOで処置した細胞の集団に関しては、5%の突然変異
の頻度は、TFO-ソラレンで処置した合計100細胞のうち、5細胞が標的部位に突然
変異を含有することを意味する。
【0171】
本発明は細胞中のDNAの任意の精度の修飾および/または組換えに限られず、本発明
の幾つかの実施形態は、望む結果に応じてより高い精度を必要とすることが企図される。
例えば、遺伝子修復を必要とする特異的配列変化(例えば、特定塩基の変化)は、遺伝子
の妨害のみが必要である遺伝子ノックアウトの発生と比較して、より高い精度を必要とす
る。本発明の方法を用いると、従来技術の方法を用いるより、高レベルの修飾および/ま
たは相同組換え技法の精度を得る可能性が高くなる。
【0172】
植物細胞への遺伝子修復オリゴ核酸塩基の送達
植物細胞を形質転換するのに使用される任意の一般に知られる方法を、遺伝子修復オリ
ゴ核酸塩基の送達に使用することができる。例示的な方法を以下に列挙する。本発明は、
1つまたは複数のDNA修飾試薬で細胞をトランスフェクトするための多くの方法を企図
する。実際本発明は、任意の特定の方法に限られない。1つまたは複数の細胞にDNA修
飾試薬を導入するための方法は当技術分野でよく知られており、マイクロインジェクショ
ン、エレクトロポレーション、受動吸着、リン酸カルシウム-DNA共沈殿法、DEAE
デキストラン仲介トランスフェクション、ポリブレン仲介トランスフェクション、リポソ
ーム融合、リポフェクション、ヌクレオフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイ
ルス感染、バイオリスティクス(すなわち、パーティクルボンバードメント)などだけに
は限られないが、これらを含む。
【0173】
投射浸透によりセルロース細胞壁を有する植物細胞にDNAの巨大断片を導入するため
の金属製マイクロキャリア(ミクロスフェア)の使用は、当業者にはよく知られている(
以後バイオリスティック送達)。米国特許第4,945,050号、同第5,100,7
92号および同第5,204,253号は、それらの投射用マイクロキャリアおよびデバ
イスの選択に関する一般的な技法を記載する。
【0174】
本発明の方法におけるマイクロキャリアの使用に関する具体的条件は国際公開WO99
/07865中に記載されている。例示的一技法では、氷冷マイクロキャリア(60mg
/mL)、混合型二本鎖オリゴヌクレオチド(60mg/mL)、2.5MのCaCl2
および0.1Mのスペルミジンをこの順で加え、混合物を軽く撹拌し、例えば10分間撹
拌し、次いで室温で10分間放置し、この場合マイクロキャリアは5倍体積のエタノール
に希釈し、遠心分離し100%エタノールに再懸濁する。マイクロキャリア8~10μg
/μL、混合型二本鎖オリゴヌクレオチド14~17μg/mL、CaCl21.1~1
.4Mおよびスペルミジン18~22mMの接着溶液中濃度で良い結果を得ることができ
る。マイクロキャリア8μg/μL、混合型二本鎖オリゴヌクレオチド16.5μg/m
L、CaCl21.3Mおよびスペルミジン21mMの条件下で最適な結果を観察した。
【0175】
細胞壁および細胞膜に浸透させるためのマイクロファイバーを使用して本発明を実施す
るため、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を植物細胞に導入することもできる。Coffee
et alへの米国特許第5,302,523号は、ブラックメキシカンスイートトウモ
ロコシの懸濁培養物の形質転換を容易にするための炭化珪素繊維の使用を記載する。マイ
クロファイバーを使用した植物細胞の形質転換のためのDNA導入に使用することができ
る任意の機械的技法を使用して、トランスミューテーション用の遺伝子修復オリゴ核酸塩
基を送達することができる。
【0176】
遺伝子修復オリゴ核酸塩基のマイクロファイバー送達に関する例示的な技法は以下の通
りである。滅菌マイクロファイバー(2μg)を、約10μgの混合型二本鎖オリゴヌク
レオチドを含有する150μLの植物培養培地に懸濁させる。懸濁培養物を沈殿させ、同
体積の充填細胞および滅菌ファイバー/ヌクレオチド懸濁液を10分間撹拌し平板培養す
る。個々の形質に適したように、選択培地に直後に、または最大約120時間遅らせて施
用する。
【0177】
代替実施形態では、植物の一部に由来するプロトプラストのエレクトロポレーションに
より、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を植物細胞に送達することができる。当業者によく知ら
れる技法に従い、プロトプラストは植物の一部、特に葉の酵素処置によって形成される。
例えば、Gallois et al,1996,in Methods in Mol
ecular Biology55:89-107,Humana Press,Tot
owa,N.J.;Kipp et al.,1999,in Methods in
Molecular Biology133:213-221,Humana Pres
s,Totowa,NJを参照。エレクトロポレーション前に、プロトプラストを増殖培
地中で培養する必要はない。エレクトロポレーションに関する例示的な条件は、3回、0
.3mLの合計体積中に10.懸濁液、5.プロトプラスト、および0.6~4μg/m
Lの遺伝子修復オリゴ核酸塩基濃度である。
【0178】
代替実施形態では、当業者によく知られる技法に従い、膜修飾物質ポリエチレングリコ
ールの存在下で植物プロトプラストに核酸を取り込ませる。別の代替実施形態では、マイ
クロキャピラリーを用いて植物細胞またはプロトプラストにそれを注入することにより、
遺伝子修復オリゴ核酸塩基を送達することができる。
【0179】
代替実施形態では、アルギン酸カルシウムで構成されるマイクロビーズ中に核酸を包埋
し、膜修飾物質ポリエチレングリコールの存在下で植物プロトプラストに取り込ませる(
例えば、Sone et al.,2002,Liu et al.,2004を参照)
。
【0180】
代替実施形態では、核酸を水中で凝固させ、マイクロ粒子の型でボンバードメントによ
り植物細胞に導入する(例えば、Gilmore,1991,米国特許第5,219,7
46号;Brinegar et al.を参照)。
【0181】
代替実施形態では、ナノ粒子と結合した核酸を、ナノ粒子を含有する懸濁液中での細胞
のインキュベーションによって(例えば、Pasupathy et al.,2008
を参照)、またはパーティクルボンバードメントを介して完全細胞にそれらを送達するこ
とにより、または共インキュベーションによりプロトプラストに送達することにより(例
えば、Torney et al.,2007を参照)、完全植物細胞中に導入する。
【0182】
代替実施形態では、核酸は浸透ペプチドと複合体形成し、共インキュベーションにより
細胞に送達する(例えば、Chugh et al.,2008,WO20081482
23 A1;Eudes and Chughを参照)。
【0183】
代替実施形態では、エレクトロポレーションを介して完全細胞に核酸を導入する(例え
ば、He et al.,1998,US2003/0115641Al,Dobres
et al.を参照)。
【0184】
代替実施形態では、核酸を含む溶液中にそれらを浸すことにより、乾燥胚の細胞に核酸
を送達する(例えば、Topfer et al.,1989,Senaratna e
t al.,1991を参照)。
【0185】
植物の選択
様々な実施形態において、本明細書で開示している植物は、高木もしくは低木として成
長する任意の樹木植物種、任意の草本植物種、または可食果実、種子もしくは野菜を生成
する任意の種、または有色もしくは芳香性品種の花を生成する任意の種を含めた、任意の
種の双子葉植物、単子葉植物または裸子植物であってよい。例えば植物は、それらが既に
具体的に言及されていない限り、キャノーラ、ヒマワリ、コーン、タバコ、テンサイ、ワ
タ、メイズ、コムギ、オオムギ、イネ、アルファルファ、オオムギ、モロコシ、トマト、
マンゴー、モモ、リンゴ、ナシ、イチゴ、バナナ、メロン、ジャガイモ、ニンジン、レタ
ス、タマネギ、ダイズ、ダイズ種、サトウキビ、マメ科植物、ヒヨコマメ、フィールドピ
ー、マメ科マメ、レンズマメ、カブ、スウェーデンカブ、芽キャベツ、ルピナス、カリフ
ラワー、ケール、エンドウマメ、ポプラ、マツ、ユーカリノキ、ブドウ、カンキツ属、ラ
イコムギ、アルファルファ、ライムギ、オートムギ、芝生と飼草、アマ、ナタネ、カラシ
ナ、キュウリ、アサガオ、バルサム、コショウ、ナス、マリゴールド、ロータス属、キャ
ベツ、デージー、カーネーション、チューリップ、アヤメ属、ユリ、および堅果産生植物
からなる群の植物種から選択することができる。
【0186】
植物および植物細胞は、当技術分野で一般的に知られている方法を使用して、例えば除
草剤の存在下で植物または植物細胞を成長させ、除草剤の不在下での成長速度と比較した
成長速度を測定することによって、除草剤に対する抵抗性または耐性に関して試験するこ
とができる。
【0187】
本明細書で使用する、植物、植物器官、植物組織または植物細胞の実質的に正常な成長
は、対応する植物、植物器官、植物組織、または野生型AHASタンパク質を発現する植
物細胞における成長速度または細胞分裂速度の少なくとも35%、少なくとも50%、少
なくとも60%、または少なくとも75%である、植物、植物器官、植物組織または植物
細胞の成長速度または細胞分裂速度として定義する。
【0188】
本明細書で使用する、植物、植物器官、植物組織または植物細胞の実質的に正常な発生
は、対応する植物、植物器官、植物組織、または野生型タンパク質を発現する植物細胞で
起こる事象と実質的に同じ、植物、植物器官、植物組織または植物細胞における1つまた
は複数の発生事象の出現として定義する。
【0189】
特定の実施形態において、本明細書で提供する植物器官には、葉、茎、根、枝芽、花芽
、分裂組織、胚、子葉、内胚乳、がく片、花弁、めしべ、心皮、おしべ、やく、小胞子、
花粉、花粉管、胚珠、子房および果実、またはこれらから得る切片、薄片もしくは薄板が
あるが、これらだけには限られない。植物組織には、カルス組織、地下組織、脈管組織、
貯蔵組織、分裂組織、葉組織、苗条組織、根組織、菌こぶ組織、植物腫瘍組織、および生
殖組織があるが、これらだけには限られない。植物細胞には、細胞壁を有する単離細胞、
様々な大きさのそれらの凝集体、およびプロトプラストがあるが、これらだけには限られ
ない。
【0190】
植物に除草剤を施用し、同様に施用した非耐性の同様の植物によって与えられる曲線と
の比較時に右に移動した用量/応答曲線を与えるとき、植物は関連除草剤に実質的に「耐
性がある」。このような用量/応答曲線はX軸にプロットされた「用量」、およびY軸に
プロットされた「殺傷率」、「除草剤効果」などを有する。耐性植物は、所与の除草剤効
果をもたらすのに、非耐性の同様の植物より多量の除草剤を必要とし得る。除草剤に実質
的に「抵抗性がある」植物は、原野の雑草を殺傷するため農薬散布地域により典型的に利
用される濃度と割合で除草剤を施用すると、示す場合でも、わずかな壊死、溶解、萎黄病
または他の損傷を示す。除草剤に抵抗性がある植物は除草剤耐性でもある。
【0191】
植物の作製
植物種の様々な組織の組織培養、およびそこからの植物の再生は知られている。例えば
、組織培養によるキャノーラ品種の繁殖は、以下のいずれか、Chuong et al
.,「A Simple Culture Methods for Brassica
hypocotyls Protoplasts,」Plant Cell Repo
rts4:4-6,1985;Barsby,T.L.et al.,「A Rapid
and Efficient Alternative Procedure for
the Regeneration of Plants from Hypocot
yl Protoplasts of Brassica napus,」Plant
Cell Reports(Spring,1996);Kartha,K.,et a
l.,「In vitro Plant Formation from Stem E
xplants of Rape,「Physiol.Plant,31:217-22
0,1974;Narasimhulu,S.,et al.,「Species Sp
ecific Shoot Regeneration Response of Co
tyledonary Explants of Brassicas,」Plant
Cell Reports(Spring1988);Swanson,E.,「Mic
rospore Culture in Brassica,」Methods in
Molecular Biology,Vol.6,Chapter17,p.159,
1990だけには限られないが、これらのいずれかに記載されている。
【0192】
変種のさらなる生殖を組織培養および再生によって行うことができる。ダイズの様々な
組織の組織培養およびそこからの植物の再生は、よく知られており広く公開されている。
例えば、Komatsuda,T.et al.,「Genotype X Sucro
se Interactions for Somatic Embryogenesi
s in Soybean」,Crop Sci.31:333-337,1991;S
tephens,P.A.,et al.,「Agronomic Evaluatio
n of Tissue-Culture-Derived Soybean Plan
ts」,Theor.Appl.Genet.82:633-635,1991;Kom
atsuda,T.et al.,「Maturation and Germinat
ion of Somatic Embryos as Affected by Su
crose and Plant Growth Regulators in Soy
beans Glycine gracilis Skvortz and Glyci
ne max(L.)Merr.」Plant Cell,Tissue and Or
gan Culture,28:103-113,1992;Dhir,S.et al
.,「Regeneration of Fertile Plants from P
rotoplasts of Soybean(Glycine max L.Merr
.);Genotypic Differences in Culture Resp
onse」、Plant Cell Reports11:285-289,1992;
Pandey,P.et al.,「Plant Regeneration from
Leaf and Hypocotyl Explants of Glycine
wightii(W.and A.)VERDC.var.longicauda」,J
apan J.Breed.42:1-5,1992;and Shetty,K.,e
t al.,「Stimulation of In Vitro Shoot Org
anogenesis in Glycine max(Merrill.)by Al
lantoin and Amides」,Plant Science81:245-
251,1992を参照することができる。1991年6月18日に発行されたColl
ins et alへの米国特許第5,024,944号および1991年4月16日に
発行されたRanch et alへの米国特許第5,008,200号の開示は、参照
によりそれらの全容が本明細書に組み込まれている。
【実施例1】
【0193】
GRONの長さ
Sommer et al.,(Mol Biotechnol.33:115-22
,2006)は、一ヌクレオチド変化を利用し緑色蛍光タンパク質(GFP)変異体にお
いて青色蛍光と緑色蛍光を転換する、in vivo遺伝子転換を検出するためのレポー
ターシステムを記載する。このレポーターシステムを、モデル種としてシロイヌナズナ(
Arabidopsis thaliana)を使用しGRON長修飾後のGRON転換
の効率を評価した、以下の実験中での使用に適合させた。
【0194】
要約すると、この実施例および後の実施例用に、青色蛍光タンパク質遺伝子の多数のコ
ピーを有するシロイヌナズナ系統を、当業者に知られる方法によって作製した(例えば、
Clough and Brent,1998を参照)。根部由来分裂組織培養物をこの
系統で樹立し、これをプロトプラスト単離および培養に使用した(例えば、Mathur
et al.,1995を参照)。プロトプラストへのGRON送達は、プロトプラス
トへのポリエチレングリコール(PEG)仲介GRON取り込みによって実施した。Fu
jiwara and Kato(2007)によって記載された方法と類似した、96
ウエル形式を使用する方法を使用した。以下に、そのプロトコールを簡潔に記載する。所
与の体積は、96ウエル皿の個々のウエルに施用した体積である。
【0195】
1.96ウエルプレートの各ウエルにおいて、5×106細胞/mlで6.25μlの
GRON(80μM)と25μlのシロイヌナズナBFPトランスジェニック根部分裂組
織由来プロトプラストを混合する。
【0196】
2.31.25μlの40%PEG溶液を加えプロトプラストを混合した。
【0197】
3.処置した細胞を氷上で30分間インキュベートした。
【0198】
4.各ウエルに200μlのW5溶液を加え細胞を混合した。
【0199】
5.プレートを氷上で30分間インキュベートし、各ウエルの底部にプロトプラストを
沈殿させた。
【0200】
6.沈殿したプロトプラスト上の培地200μlを除去した。
【0201】
7.85μlの培養培地(MSAP,Mathur et al.,1995)を加え
た。
【0202】
8.プレートは48時間暗所において室温でインキュベートした。培養培地添加後のG
RONの最終濃度は8μMである。
【0203】
GRON送達後48時間で、サンプルをフローサイトメトリーによって分析し、その緑
色蛍光と黄色蛍光が対照プロトプラストのそれと異なるプロトプラストを検出した(BF
P0はBFP標的と比較して変化がない非標的GRONを示し、Cはコード鎖設計であり
、NCは非コード鎖設計である)。BFP4分子の中心においてC→Tの1ヌクレオチド
差(コード鎖)またはG→Aのヌクレオチド標的突然変異(非コード鎖)。緑色蛍光はB
FP遺伝子における標的突然変異の導入によって引き起こされ、GFPの合成をもたらす
。結果は
図1中に示す。
【0204】
以下の表は、青色蛍光タンパク質(BFP)遺伝子から緑色蛍光への転換用に設計した
、例示的な101量体および201量体BFP4/NC5’-3PS/3’-3PSGR
ONの配列を示す。(3PSは、5’と3’オリゴ末端それぞれにおける3個のホスホチ
オエート結合を示す)。
【0205】
【実施例2】
【0206】
5’Cy3/3’idC標識GRONを使用した転換率
この実験系の目的は、(GRONの各末端に3PS成分を有する)ホスホチオエート(
PS)標識GRONと、5’Cy3/3’idC標識GRONの効率を比較することであ
る。5’Cy3/3’idC標識GRONは、5’Cy3フルオロフォア(アミダイト)
および3’idC逆向き塩基を有する。青色蛍光タンパク質(BFP)から緑色蛍光への
転換を使用して効率を評価した。
【0207】
個々のファルコンチューブ中(「チューブ」で標識)または96ウエルプレート(「9
6ウエル皿」で標識)のいずれかにおいてプロトプラストへのGRONのPEG送達によ
り行った、3つ全ての実験において、サイトメトリーにより測定して、BFPからGFP
への転換効率において異なるGRONの化学的性質の間に有意な差はなかった(
図1)。
【実施例3】
【0208】
41量体BFP4/NC5’-3PS/3’-3PSGRONと岡崎フラグメントGR
ONの間の比較
この実験系の目的は、DNA切断を誘導するブレオマイシンファミリーのメンバー、ゼ
オシン(商標)(1mg/ml)の有無の下で、GRONの各末端に3PS成分を有する
ホスホチオエート(PS)標識GRONと「岡崎フラグメントGRON」の転換効率を比
較することである。これらのGRONの設計は
図2中に示す。GRONはPEG処置によ
りシロイヌナズナBEPプロトプラストに送達し、BFPからGFPへの転換は処置後2
4時間でサイトメトリーにより測定した。ゼオシン(1mg/ml)で処置したサンプル
は、PEG処置前に氷上で90分間ゼオシンとインキュベートした。
【0209】
一般に、サイトメトリーにより測定して、ゼオシン(1mg/ml)の存在によってB
FPからGFPへの転換は増大した(表2)。ゼオシンの存在下と不在下の両方で、GR
ONの5’末端における第1のRNA塩基上に1つの2’-OMe基を含有するNC岡崎
フラグメントGRONは、第1の9個の5’RNA塩基のそれぞれに1つの2’-OMe
基を含有するNC岡崎フラグメントGRONと比較したとき、BFPからGFPへの転換
においてより有効であった(
図2および表2)。
【0210】
全ての実験において、サイトメトリーにより測定して、1mg/mlのゼオシンの存在
下と不在下の両方でBFPからGFPへの転換において、41量体BFP4/NC5’3
PS/3’3PSと、第1の5’RNA塩基上に1つの5’2’-Ome基を含有する7
1量体岡崎フラグメントBFP4/NCGRON(BFP471量体(1)NCと示す)
の間に有意な差はなかった(
図2および表2)。ゼオシン(およびおそらくブレオマイシ
ン、フレオマイシン、タリソマイシン、ペプレオマイシンおよびこの抗生物質ファミリー
の他のメンバー)の存在下において、転換は鎖非依存的になる(すなわち、これらの実験
中で試験した設計を有するCGRONとNCGRONの両方がほぼ同じ活性を示す)こと
を記すことは重要である。
【0211】
【実施例4】
【0212】
41量体、101量体、および201量体BFP4/NC5’-3PS/3’-3PS
GRONの間の比較
この実験系の目的は、(ゼオシンの有無の下で)、異なる長さのGRONの各末端に3
PS成分を有するホスホチオエート(PS)標識GRONの転換効率を比較することであ
った。41量体、101量体、および201量体を表1中に示す。再度、サイトメトリー
により測定して、ゼオシン(1mg/ml)の存在によってBFPからGFPへの転換率
は増大した(表3)。3つの実験全てにおける大まかな傾向は、ゼオシンの存在下と不在
下の両方でNCGRON長の増大に比例した。ゼオシン存在下でのBFP-4/NC/1
01とBFP-4/C/101以外、これは41量体NCGRONとほぼ等しいがそれよ
りは低い転換率を有していた。これは、BFP-4/41コードおよび非コードGRON
を使用した前の全ての実験とは対照的であり、この場合非コードGRONは常にコードG
RONより優れていた。転換頻度のこの非対称性は、この実験系で使用したBFP-4/
201GRONにも当てはまった。
【0213】
【実施例5】
【0214】
植物における転換を改善するためGRONと組み合せたCRISPR。
CRISPR複合体を構築する際に、3つの設計成分、Cas9、gRNA(ガイドR
NA)、および標的領域(内在標的遺伝子中のプロト-スペーサー)を考慮に入れなけれ
ばならない。
【0215】
Cas9
- それぞれ35Sまたはコーンユビキチンによって誘導される、シロイヌナズナまた
はコーンに最適化させた化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogene
s)コドンからのCas9遺伝子の一過的発現。最適化遺伝子はGenewizまたはD
NA2.0によって合成された。NBは隠れイントロンが生成されないことを確実にしな
ければならない。
- G1155に従うRBCSE9ターミネーター
- C末端融合体としての1つのSV40NLS(PKKRKV)
- ベクター骨格は、いずれも本発明者らの一過的発現系-G1155に従うものであ
る。
【0216】
gRNA
- LeCong et al.,2013およびJinek et al.,201
3に従うキメラトレーサーRNA-プレ-creRNAの使用の提案。LeCong e
t alが、原型完全長トレーサー+プレ-creRNA複合体が、キメラ型よりはるか
に効率良く切断したことを示したことを記す。したがって一つの選択肢は、完全長(89
bp)トレーサーRNAを使用したキメラの作製である。
- gRNAの配列((N)20はガイド配列を表す)。括弧付きの配列は完全長89b
p型を含む。
NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTTTTAGAGCTAGAAATAG
CAAGTTAAAATAAGGCTAGTCCG(TTATGTTCTTGAAAAA
AGTGAGTGGCACCGAGTCGGTGGTGCTTTTTT)
【0217】
Cong et alからの以下の図は原型複合体とキメラを示す:
【0218】
【0219】
- gRNAはシロイヌナズナにおいてAtU6RNApolIIIプロモーターの下
で発現する(配列は以下に与える)。コーンでは、ZmU6RNApolIIIプロモー
ターが使用可能である。これらの選択はWang et al.2008に基づく。
- G1155に従うRBCSE9ターミネーターまたはWang et al.20
13に従う一連のターミネーター、および一成分手法を以下に示す。
【0220】
Wang et alからのU6プロモーター配列
標的領域
-ガイド配列の特異性を標的領域配列によって定義する。モデル生物の選択とは無関係
に、これはBFPのY66H遺伝子座である。Y66H近辺のPAM(NGG)配列は唯
一の設計制限配列である。さらに、3’における12bpのガイド配列にY66H位置(
「シード配列」)を含めることは、修復が実施された後、その部位は再度切断されないこ
とを意味する。
【0221】
【0222】
G1155と異なるベクター骨格が、Cas9とgRNAの同時送達を可能にするため
必要となる。この問題は一成分手法を用いて回避される。
【0223】
一成分手法
LeCong et al.(2013)は、以下に略述するような、polIIIU
6プロモーターの誘導により1つの一過的構築物としてgRNAとCas9の両方を発現
させる、簡略化された手法を使用した。このように、所与の穀物に関して、ガイド挿入配
列を単に交換することによって多数の遺伝子を標的化することができる。本発明者らは、
EF1αプロモーターを穀物に適したプロモーターと交換する(pMASとAt、Ubi
とZim)。ターミネーターに関して、本発明者らはRBCSE9を使用する。植物にお
いて使用するNLSは、前に略述した1つのC末端SV40である。
【0224】
以下の構築物において、トレーサーRNA領域が含まれない切断型gRNAを使用する
ことを記す。著者らは、ヒト中で、これはCas9の誘導において完全長型より有効性が
低かったことを示した。したがって、ここでは完全長gRNAを使用することを提案する
。特に、酵母においてCRISPRを使用した後の論文において、DiCarlo et
al.(2013)は完全長型を使用した。カセットはG1155バックグラウンドに
クローニングされ得る。
【0225】
【0226】
キメラcrRNA用発現ベクターの概略。アニーリングオリゴヌクレオチドを使用して
、ガイド配列を2BbsI部位間に挿入することができる。ベクターは、部分的誘導反復
単位(グレー)および部分的トレーサーRNA(赤)配列を既に含有する。WPRE、ウ
ッドチャック肝炎ウイルスの転写後制御エレメント。
【0227】
In vivoアッセイ
一過的選択肢
- 植物において標的認識およびヌクレアーゼ活性を確認するための一手法は、TAL
ENに関してZhang et al.(2013)が使用したYFP一本鎖アニーリン
グアッセイに匹敵する。スペーサー配列(標的配列)およびPAMはYFPまたは同等遺
伝子に挿入する必要がある。
一過的選択肢
- TALEN-BFPシステムを対照として使用することが可能である。
- 前述の手法は、所与のスペーサー配列に関する所与のCRISPRシステムの機能
を確認するための現在のツールであるが、植物におけるCRISPRの活性の概念を証明
するのはGFPシステムの使用である。
- 本明細書においてBFP→GFPに使用した設計は、G1155と一緒に、および
GRONなしでAtに同時形質転換することが可能である。切断が十分有効であった場合
、GFP発現の低下は明らかであると思われる。これはおそらく、プラスミドローディン
グの最適化を必要とする可能性が高い。
- 活性を確認した後、ゲノムBFP標的を映像および配列ベースの読み出しで標的化
する。
【0228】
In vitroアッセイ
- CRISPRシステムの活性を迅速に確認するため、Jinek et al.2
012に従いin vitroアッセイを使用することが可能である。本明細書において
予め作製し精製した化膿性連鎖球菌Cas9を、合成gRNAおよび認識配列含有プラス
ミドと共にインキュベートする。切断の成功はゲル電気泳動により分析し切断プラスミド
を検索する。
詳細なプロトコール:
【0229】
プラスミドDNA切断アッセイ。合成またはin vitro転写トレーサーRNAお
よびcrRNAを、95℃まで加熱し室温にゆっくりと冷却することにより、反応前に予
めアニーリング状態にした。原型または制限酵素消化した直鎖状プラスミドDNA(30
0ng(約8nM))を、10mMのMgCl2有りまたは無しのCas9プラスミド切
断用バッファー(20mMのHEPES pH7.5、150mMのKCl、0.5mM
のDTT、0.1mMのEDTA)中で、精製Cas9タンパク質(50~500nM)
およびトレーサーRNA:crRNA二本鎖(50~500nM、1:1)と共に37℃
で60分間インキュベートした。反応は250mMのEDTAを含有する5×DNAロー
ディングバッファーで停止させ、0.8または1%アガロースゲル電気泳動により解像し
、臭化エチジウム染色により目に見える状態にした。Cas9突然変異体切断アッセイ用
に、アガロースゲルへのローディング前に、反応を5×SDSローディングバッファー(
30%のグリセロール、1.2%のSDS、250mMのEDTA)で停止させた。
【0230】
穀物における形質標的
CRISPR認識配列の柔軟性を考慮すると、3’NGGPAM配列によって定義され
る潜在的プロトスペーサー配列を見つけるのは難しくない。
ZmEPSPS
【0231】
以下の実施例は、ZmEPSPSの触媒部位においてDS切断をもたらすのに適したプ
ロトスペーサー配列(黄色)およびPAM(青色)を示し、この場合T97とP101に
おける突然変異はグリホサート耐性を引き起こすことが知られている。後の切断のオリゴ
仲介修復(ODM)は所望の変化をもたらす。
【0232】
【0233】
以下の表は、対象穀物における対象遺伝子のプロトスペーサー配列を与える。
【0234】
【0235】
設計の拘束制約は、ODMにより改変される12塩基対ヌクレオチド内にNGG配列を
見つけるのに困難が多いことである。これが当てはまる場合、首尾良いODMは、プロト
スペーサーシード配列が変わるため後の切断が可能でないことを意味するので、これは重
要である。Jinek et al.(2012)は、これが切断効率を損ねたことを示
した。
【0236】
参考文献
【0237】
LeCong et al 2013 Science:vol.339no.612
1pp.819-823.
【0238】
Jinek et al 2012 Science.337:816-21
【0239】
Wang et al 2008 RNA14:903-913
【0240】
Zhang et al 2013.Plant Physiol.161:20-2
7
【0241】
当業者は、本発明が目的を実行し、言及する目的および利点、ならびに本発明に固有の
目的および利点を得るのに十分適応していることを容易に理解する。本明細書で提供する
例は好ましい実施形態の代表的なものであり、例示的であり、本発明の範囲を制限するも
のとして考えない。
【0242】
本明細書で開示している本発明に対する様々な置換および修正を、本発明の範囲および
精神から逸脱せずに施すことができることは、当業者には容易に明らかとなる。
【0243】
本明細書中で言及した全ての特許および刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者の
レベルを示す。全ての特許および刊行物は、それぞれ個々の刊行物が具体的かつ個別に参
照により組み込まれている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0244】
本明細書で適切に例示的に記載した本発明は、本明細書で具体的に開示していない如何
なる1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制約の不在下でも実施することができる。
したがって、例えば本明細書中でのそれぞれの場合において、用語「含む」、「から本質
的になる」および「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかと交換することが
できる。利用している用語および表現は、制約ではなく記載のための用語として使用し、
このような用語および表現の使用において、示し記載する特徴の任意の均等物、またはそ
れらの一部分の排除を意図するものではないが、特許請求する本発明の範囲内で様々な修
正が可能であることが認識される。したがって、好ましい実施形態および任意選択の特徴
によって本発明を具体的に開示してきたが、本明細書で開示している概念の修正および変
更は当業者に委ねることができ、このような修正および変更は、添付の特許請求の範囲に
よって定義する本発明の範囲内にあると考えられることが理解されるはずである。
【0245】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内で言及する。
SEQUENCE LISTING
<110> CIBUS US LLC
CIBUS EUROPE B.V.
<120> METHODS AND COMPOSITIONS FOR INCREASING EFFICIENCY OF TARGETED
GENE MODIFICATION USING OLIGONUCLEOTIDE-MEDIATED GENE REPAIR
<130> PC24-0017D
<150> US 61/801,333
<151> 2013-03-15
<160> 38
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 99
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (96)..(99)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 1
gtcgtgctgc ttcatgtggc ggggtagcgg ctgaagcact gcacgccgta ggtgaaggtg 60
gtcacgaggg tgggccaggc acgggcagct tgccggtgg 99
<210> 2
<211> 101
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (98)..(101)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 2
gtcgtgctgc ttcatgtggt cggggtagcg gctgaagcac tgcacgccgt gggtgaaggt 60
ggtcacgagg gtgggccagg gcacgggcag cttgccggtg g 101
<210> 3
<211> 101
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (98)..(101)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 3
ccaccggcaa gctgcccgtg ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc tacggcgtgc 60
agtgcttcag ccgctacccc gaccacatga agcagcacga c 101
<210> 4
<211> 101
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (98)..(101)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 4
ccaccggcaa gctgcccgtg ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc cacggcgtgc 60
agtgcttcag ccgctacccc gaccacatga agcagcacga c 101
<210> 5
<211> 201
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (198)..(201)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 5
aagatggtgc gctcctggac gtagccttcg ggcatggcgg acttgaagaa gtcgtgctgc 60
ttcatgtggt cggggtagcg gctgaagcac tgcacgccgt aggtgaaggt ggtcacgagg 120
gtgggccagg gcacgggcag cttgccggtg gtgcagatga acttcagggt cagcttgccg 180
taggtggcat cgccctcgcc c 201
<210> 6
<211> 201
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (198)..(201)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 6
aagatggtgc gctcctggac gtagccttcg ggcatggcgg acttgaagaa gtcgtgctgc 60
ttcatgtggt cggggtagcg gctgaagcac tgcacgccgt gggtgaaggt ggtcacgagg 120
gtgggccagg gcacgggcag cttgccggtg gtgcagatga acttcagggt cagcttgccg 180
taggtggcat cgccctcgcc c 201
<210> 7
<211> 201
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (198)..(201)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 7
gggcgagggc gatgccacct acggcaagct gaccctgaag ttcatctgca ccaccggcaa 60
gctgcccgtg ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc tacggcgtgc agtgcttcag 120
ccgctacccc gaccacatga agcagcacga cttcttcaag tccgccatgc ccgaaggcta 180
cgtccaggag cgcaccatct t 201
<210> 8
<211> 201
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(4)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<220>
<221> misc_feature
<222> (198)..(201)
<223> Phosphothioate linkage between nucleotides
<400> 8
gggcgagggc gatgccacct acggcaagct gaccctgaag ttcatctgca ccaccggcaa 60
gctgcccgtg ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc cacggcgtgc agtgcttcag 120
ccgctacccc gaccacatga agcagcacga cttcttcaag tccgccatgc ccgaaggcta 180
cgtccaggag cgcaccatct t 201
<210> 9
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 9
Pro Lys Lys Arg Lys Val
1 5
<210> 10
<211> 110
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polynucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(20)
<223> a, c, t, g, unknown or other
<400> 10
nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn gttttagagc tagaaatagc aagttaaaat aaggctagtc 60
cgttatgttc ttgaaaaaag tgagtggcac cgagtcggtg gtgctttttt 110
<210> 11
<211> 48
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (3)..(32)
<223> a, c, u, g, unknown or other
<400> 11
acnnnnnnnn nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn nnguuuuaga gcuaugcu 48
<210> 12
<211> 67
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<400> 12
agcauagcaa guuaaaauaa ggctaguccg uuaucaacuu gaaaaagugg caccgagucg 60
gugcuuu 67
<210> 13
<211> 62
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(20)
<223> a, c, u, g, unknown or other
<400> 13
nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn guuuuagagc uagaaauagc aaguuaaaau aaggcuaguc 60
cg 62
<210> 14
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 14
tcgtgaccac cttcacccac ggc 23
<210> 15
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 15
Gly Val Thr Thr Phe Thr Tyr
1 5
<210> 16
<211> 84
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 16
gtggaaagga cgaaacaccg ggtcttcgag aagacctgtt ttagagctag aaatagcaag 60
ttaaaataag gctagtccgt tttt 84
<210> 17
<211> 84
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 17
aaaaacggac tagccttatt ttaacttgct atttctagct ctaaaacagg tcttctcgaa 60
gacccggtgt ttcgtccttt ccac 84
<210> 18
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (6)..(24)
<223> a, c, t, g, unknown or other
<400> 18
caccgnnnnn nnnnnnnnnn nnnn 24
<210> 19
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (5)..(23)
<223> a, c, t, g, unknown or other
<400> 19
aaacnnnnnn nnnnnnnnnn nnnc 24
<210> 20
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 20
Thr Ala Met Arg Pro Leu Thr Val Ala Ala Val
1 5 10
<210> 21
<211> 41
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 21
actgcaatgc ggccattgac agcagctgtt actgctgctg g 41
<210> 22
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 22
ccgctgccgt tactgctgca 20
<210> 23
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 23
cggctgcagt tactgctgct 20
<210> 24
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 24
ccgctgcagt tactgctgca 20
<210> 25
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 25
ccgctgcagt tacagctgca 20
<210> 26
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 26
cagctgctgt aacagccgct 20
<210> 27
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 27
cagcagcagt tgctgtagct 20
<210> 28
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 28
cagcagcagt tacagtagct 20
<210> 29
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 29
tgcgcctcgc tttgtcttgt 20
<210> 30
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<400> 30
attttacagg tgtttacgcc 20
<210> 31
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(1)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 31
uucauguggu cggggtagcg gctgaagcac tgcacgccgt aggtgaaggt ggtcacgagg 60
gtgggccagg g 71
<210> 32
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(1)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 32
uucauguggu cggggtagcg gctgaagcac tgcacgccgt gggtgaaggt ggtcacgagg 60
gtgggccagg g 71
<210> 33
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(1)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 33
gcugcccgug ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc tacggcgtgc agtgcttcag 60
ccgctacccc g 71
<210> 34
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(1)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 34
gcugcccgug ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc cacggcgtgc agtgcttcag 60
ccgctacccc g 71
<210> 35
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(9)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 35
uucauguggu cggggtagcg gctgaagcac tgcacgccgt aggtgaaggt ggtcacgagg 60
gtgggccagg g 71
<210> 36
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(9)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 36
uucauguggu cggggtagcg gctgaagcac tgcacgccgt gggtgaaggt ggtcacgagg 60
gtgggccagg g 71
<210> 37
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(9)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 37
gcugcccgug ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc tacggcgtgc agtgcttcag 60
ccgctacccc g 71
<210> 38
<211> 71
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: Synthetic
oligonucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (1)..(9)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(71)
<223> 2'-O-Me modified nucleotide
<400> 38
gcugcccgug ccctggccca ccctcgtgac caccttcacc cacggcgtgc agtgcttcag 60
ccgctacccc g 71
【配列表】