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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】回路形成方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/10 20060101AFI20240805BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H05K3/10 D
H05K3/10 E
H05K3/46 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022501492
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 JP2020006677
(87)【国際公開番号】W WO2021166139
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-03-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】榊原 亮
(72)【発明者】
【氏名】竹内 佑
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】稲葉 崇
【審判官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-76744(JP,A)
【文献】特開2007-158352(JP,A)
【文献】特開2018-107419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/10
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、
前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現した配線を形成する本加熱工程と
を含み、
前記樹脂層形成工程と前記塗布工程と前記仮加熱工程とが繰り返し実行されることで、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を含む樹脂層が複数、積層され、
前記本加熱工程は、
その複数積層された樹脂層を、前記所定温度で前記所定時間、加熱する回路形成方法。
【請求項2】
硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、
前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現して配線と電気的に接続される部材を形成する本加熱工程と
を含み、
前記樹脂層形成工程と前記塗布工程と前記仮加熱工程とが繰り返し実行されることで、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を含む樹脂層が複数、積層され、
前記本加熱工程は、
その複数積層された樹脂層を、前記所定温度で前記所定時間、加熱する回路形成方法。
【請求項3】
前記樹脂層形成工程は、
加熱により粘着性が低下するフィルムの上に、硬化性樹脂により樹脂層を形成する請求項1または請求項2に記載の回路形成方法。
【請求項4】
硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、
前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現した配線を形成する本加熱工程と
を含み、
前記樹脂層形成工程は、
加熱により粘着性が低下するフィルムの上に、硬化性樹脂により樹脂層を形成し、
前記本加熱工程において、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱すると共に、前記フィルムを加熱して、前記フィルムの粘着性を低下させる回路形成方法。
【請求項5】
硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、
前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現して配線と電気的に接続される部材を形成する本加熱工程と
を含み、
前記樹脂層形成工程は、
加熱により粘着性が低下するフィルムの上に、硬化性樹脂により樹脂層を形成し、
前記本加熱工程において、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱すると共に、前記フィルムを加熱して、前記フィルムの粘着性を低下させる回路形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱により導電性を発現する導電性流体を用いて、回路を形成する回路形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献に記載されているように、加熱により導電性を発現する導電性流体を用いて、回路を形成する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/042657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱により導電性を発現する導電性流体を用いて、回路を適切に形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現した配線を形成する本加熱工程とを含み、前記樹脂層形成工程と前記塗布工程と前記仮加熱工程とが繰り返し実行されることで、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を含む樹脂層が複数、積層され、前記本加熱工程は、その複数積層された樹脂層を、前記所定温度で前記所定時間、加熱する回路形成方法を開示する。
また、上記課題を解決するために、本明細書は、硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現して配線と電気的に接続される部材を形成する本加熱工程とを含み、前記樹脂層形成工程と前記塗布工程と前記仮加熱工程とが繰り返し実行されることで、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を含む樹脂層が複数、積層され、前記本加熱工程は、その複数積層された樹脂層を、前記所定温度で前記所定時間、加熱する回路形成方法を開示する。
また、上記課題を解決するために、本明細書は、硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現した配線を形成する本加熱工程とを含み、前記樹脂層形成工程は、加熱により粘着性が低下するフィルムの上に、硬化性樹脂により樹脂層を形成し、前記本加熱工程において、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱すると共に、前記フィルムを加熱して、前記フィルムの粘着性を低下させる回路形成方法を開示する。
また、上記課題を解決するために、本明細書は、硬化性樹脂により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、所定温度で所定時間、加熱することで、所定の抵抗値以下の適切な導電性を発現する導電性流体を、回路パターンに応じて前記樹脂層の上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程において塗布された導電性流体を、前記所定温度より低い温度で前記所定時間より短い時間加熱することで、適切な導電性を発現しない程度に焼成する仮加熱工程と、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱することで、適切な導電性を発現して配線と電気的に接続される部材を形成する本加熱工程とを含み、前記樹脂層形成工程は、加熱により粘着性が低下するフィルムの上に、硬化性樹脂により樹脂層を形成し、前記本加熱工程において、前記仮加熱工程において加熱された導電性流体を、前記所定温度で前記所定時間加熱すると共に、前記フィルムを加熱して、前記フィルムの粘着性を低下させる回路形成方法を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、導電性流体を、所定温度より低い温度と、所定時間より短い時間との少なくとも一方の条件下で加熱した後に、さらに、導電性流体を、所定温度で所定時間、加熱することで、回路を適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】回路形成装置を示す図である。
図2】制御装置を示すブロック図である。
図3】感熱剥離フィルムを介して粗面フィルムが敷かれた基台を示す断面図である。
図4】樹脂積層体が形成された状態の回路を示す断面図である。
図5】樹脂積層体の上に配線が形成された状態の回路を示す断面図である。
図6】樹脂積層体のキャビティに金属ペーストが吐出された状態の回路を示す断面図である。
図7】樹脂積層体の上に樹脂積層体が積層された状態の回路を示す断面図である。
図8】樹脂積層体の上に配線が形成された状態の回路を示す断面図である。
図9】樹脂積層体の上に樹脂積層体が積層された状態の回路を示す断面図である。
図10】樹脂積層体の上に金属ペーストが吐出された状態の回路を示す断面図である。
図11】電子部品が装着された状態の回路を示す断面図である。
図12】基台から取り外された状態の回路を示す断面図である。
図13】従来の加熱条件での体積抵抗率と新条件での体積抵抗率とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に回路形成装置10を示す。回路形成装置10は、搬送装置20と、第1造形ユニット22と、第2造形ユニット24と、装着ユニット26と、制御装置(図2参照)28とを備える。それら搬送装置20と第1造形ユニット22と第2造形ユニット24と装着ユニット26とは、回路形成装置10のベース29の上に配置されている。ベース29は、概して長方形状をなしており、以下の説明では、ベース29の長手方向をX軸方向、ベース29の短手方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。
【0009】
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32とを備えている。そのX軸スライド機構30は、X軸スライドレール34とX軸スライダ36とを有している。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ(図2参照)38を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36がX軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50とステージ52とを有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されており、X軸方向に移動可能とされている。そして、Y軸スライドレール50の一端部が、X軸スライダ36に連結されている。そのY軸スライドレール50には、ステージ52が、Y軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ(図2参照)56を有しており、電磁モータ56の駆動により、ステージ52がY軸方向の任意の位置に移動する。これにより、ステージ52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース29上の任意の位置に移動する。
【0010】
ステージ52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置64とを有している。基台60は、平板状に形成され、上面に基板が載置される。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。そして、基台60に載置された基板のX軸方向の両縁部が、保持装置62によって挟まれることで、基板が固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60を昇降させる。
【0011】
第1造形ユニット22は、回路基板の配線を造形するユニットであり、第1印刷部72と、加熱部74とを有している。第1印刷部72は、インクジェットヘッド(図2参照)76とディスペンスヘッド(図2参照)77とを有している。インクジェットヘッド76が金属インクを線状に吐出する。金属インクは、ナノメートルサイズの金属の微粒子が溶剤中に分散されたものである。また、金属微粒子の表面は分散剤によりコーティングされており、溶剤中での凝集が防止されている。なお、インクジェットヘッド76は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから金属インクを吐出する。
【0012】
また、ディスペンスヘッド77は金属ペーストを吐出する。金属ペーストは、加熱により硬化する樹脂に、マイクロメートルサイズの金属粒子が分散されたものである。ちなみに、金属粒子は、フレーク状とされている。なお、金属ペーストの粘度は、金属インクと比較して、比較的高いため、ディスペンスヘッド77は、インクジェットヘッド76のノズルの径より大きな径の1個のノズルから金属ペーストを吐出する。
【0013】
加熱部74は、ヒータ(図2参照)78を有している。ヒータ78は、インクジェットヘッド76により吐出された金属インクを加熱する装置である。金属インクは、ヒータ78により加熱されることで焼成し、配線が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子の保護膜、つまり、分散剤の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクを焼成することで、金属製の配線が形成される。なお、金属インクのメーカが、金属インクの推奨の加熱温度及び加熱時間(以下、「インク推奨温度」及び「インク推奨時間」)を公表しており、インク推奨温度でインク推奨時間、金属インクを加熱することで、金属インクが好適に焼成し、適切な導電性を発現可能な配線が形成される。ちなみに、適切な導電性を発現可能な配線とは、例えば、所定の抵抗値の配線等を意味する。
【0014】
また、ヒータ78は、ディスペンスヘッド77により吐出された金属ペーストをも加熱する装置である。金属ペーストは、ヒータ78により加熱されることで、樹脂が硬化する。この際、金属ペーストでは、硬化した樹脂が収縮し、その樹脂に分散されたフレーク状の金属粒子が互いに接触する。これにより、金属ペーストが導電性を発現する。なお、金属ペーストのメーカも、金属ペーストの推奨の加熱温度及び加熱時間(以下、「ペースト推奨温度」及び「ペースト推奨時間」)を公表しており、ペースト推奨温度でペースト推奨時間、金属ペーストを加熱することで、樹脂が好適に硬化し、金属ペーストが適切な導電性を発現する。ちなみに、金属ペーストが適切な導電性を発現することで、例えば、金属ペーストの抵抗値が所定の抵抗値まで低くなる。
【0015】
また、第2造形ユニット24は、回路基板の樹脂層を造形するユニットであり、第2印刷部84と、硬化部86とを有している。第2印刷部84は、インクジェットヘッド(図2参照)88を有しており、インクジェットヘッド88は紫外線硬化樹脂を吐出する。紫外線硬化樹脂は、紫外線の照射により硬化する樹脂である。なお、インクジェットヘッド88は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させ複数のノズルから吐出するサーマル方式でもよい。
【0016】
硬化部86は、平坦化装置(図2参照)90と照射装置(図2参照)92とを有している。平坦化装置90は、インクジェットヘッド88によって吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。また、照射装置92は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、樹脂層が形成される。
【0017】
また、装着ユニット26は、回路基板に電子部品を装着するユニットであり、供給部110と、装着部112とを有している。供給部110は、テーピング化された電子部品を1つずつ送り出すテープフィーダ(図2参照)114を複数有しており、供給位置において、電子部品を供給する。なお、供給部110は、テープフィーダ114に限らず、トレイから電子部品をピックアップして供給するトレイ型の供給装置でもよい。また、供給部110は、テープ型とトレイ型との両方、あるいはそれ以外の供給装置を備えた構成でもよい。
【0018】
装着部112は、装着ヘッド(図2参照)116と、移動装置(図2参照)118とを有している。装着ヘッド116は、電子部品(図11参照)119を吸着保持するための吸着ノズル(図示省略)を有する。吸着ノズルは、正負圧供給装置(図示省略)から負圧が供給されることで、エアの吸引により電子部品を吸着保持する。そして、正負圧供給装置から僅かな正圧が供給されることで、電子部品を離脱する。また、移動装置118は、テープフィーダ114による電子部品の供給位置と、基台60との間で、装着ヘッド116を移動させる。これにより、装着部112では、テープフィーダ114から供給された電子部品が、吸着ノズルにより保持され、その吸着ノズルによって保持された電子部品が、回路基板に装着される。
【0019】
また、制御装置28は、図2に示すように、コントローラ120と、複数の駆動回路122とを備えている。複数の駆動回路122は、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド76、ディスペンスヘッド77、ヒータ78、インクジェットヘッド88、平坦化装置90、照射装置92、テープフィーダ114、装着ヘッド116、移動装置118に接続されている。コントローラ120は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、搬送装置20、第1造形ユニット22、第2造形ユニット24、装着ユニット26の作動が、コントローラ120によって制御される。
【0020】
回路形成装置10では、上述した構成によって、基台60の上面に敷かれた粗面フィルム(図3参照)70の上に樹脂積層体が形成され、その樹脂積層体の上面に回路パターンに従って金属インクが印刷される。金属インクは、加熱により導電化され、配線が形成される。また、配線との導通を図るべく、配線上に金属ペーストが吐出され、金属ペーストが加熱されることで、金属ペーストが導電化される。そして、配線と導通するように電子部品が配設されることで、回路基板が形成される。このように、回路形成装置10では、回路基板が形成されるが、金属インク及び金属ペーストの高温での加熱等により、樹脂積層体,基台60等が膨張と収縮とを繰り返すことで、回路基板の基台60からの浮きなどが発生する虞がある。つまり、樹脂積層体,基台60等が膨張と収縮とを繰り返す際に、樹脂積層体,基台60等の熱膨張率の差により、樹脂積層体と基台60との密着面などに応力がかかり、回路基板形成時に、樹脂積層体の基台60からの浮きなどが発生する虞がある。
【0021】
具体的には、ステージ52の基台60の上面に、まず、図3に示すように、感熱剥離フィルム71が敷かれ、その感熱剥離フィルム71の上面に粗面フィルム70が敷かれる。感熱剥離フィルム71は、粘着性を有するため、粗面フィルム70を基台60の上に適切に密着させることができる。また、粗面フィルム70の表面は、平滑でない、ざらつく粗い面とされており、その粗面フィルム70の上に回路基板が形成されることで、回路基板形成時における回路基板のズレ等が防止される。なお、感熱剥離フィルム71は、加熱により粘着性が低下するため、感熱剥離フィルム71が基台60の上面に敷かれ、回路基板が形成された後に、感熱剥離フィルム71が加熱されることで、形成された回路基板を容易に基台60から取り外すことができる。
【0022】
そして、基台60の上に、感熱剥離フィルム71を介して粗面フィルム70が敷かれると、ステージ52が、第2造形ユニット24の下方に移動される。そして、第2造形ユニット24において、図4に示すように、粗面フィルム70の上に樹脂積層体130が形成される。樹脂積層体130は、キャビティ132を有しており、インクジェットヘッド88からの紫外線硬化樹脂の吐出と、吐出された紫外線硬化樹脂への照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることにより形成される。
【0023】
詳しくは、第2造形ユニット24の第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、粗面フィルム70の上面に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。この際、インクジェットヘッド88は、粗面フィルム70の上面の所定の部分が露出するように、紫外線硬化樹脂を吐出する。続いて、紫外線硬化樹脂が薄膜状に吐出されると、硬化部86において、紫外線硬化樹脂の膜厚が均一となるように、紫外線硬化樹脂が平坦化装置90によって平坦化される。そして、照射装置92が、その薄膜状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、粗面フィルム70の上に樹脂の薄膜層134が形成される。
【0024】
続いて、インクジェットヘッド88が、その薄膜層134の上の部分にのみ紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。つまり、インクジェットヘッド88は、粗面フィルム70の上面の所定の部分が露出するように、薄膜層134の上に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。そして、平坦化装置90によって薄膜状の紫外線硬化樹脂が平坦化され、照射装置92が、その薄膜状に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで、薄膜層134の上に薄膜層134が積層される。このように、薄膜層134の上への紫外線硬化樹脂の吐出と、紫外線の照射とが繰り返され、複数の薄膜層134が積層されることで、キャビティ132を有する樹脂積層体130が形成される。なお、キャビティ132は、樹脂積層体130を上下方向に貫通している。
【0025】
上述した手順により樹脂積層体130が形成されると、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。そして、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、インクジェットヘッド76が、図5に示すように、樹脂積層体130の上面及びキャビティ132の内部に金属インク136を線状に吐出する。この際、インクジェットヘッド76は、1つのキャビティ132の内部から、樹脂積層体130の上面を経由して、そのキャビティ132の隣のキャビティ132の内部に至るまで、金属インク136を吐出する。つまり、隣り合う2つのキャビティ132を繋ぐように、金属インク136が吐出されている。なお、樹脂積層体130に4つのキャビティ132が形成されており、4つのキャビティ132のうちの隣り合う2つのキャビティ132を繋ぐように金属インク136が吐出されており、残りの隣り合う2つのキャビティ132を繋ぐように金属インク136が吐出されている。そして、第1造形ユニット22の加熱部74において、金属インク136が、ヒータ78により加熱される。これにより、金属インク136が焼成し、配線138が形成される。つまり、4つのキャビティ132のうちの隣り合う2つのキャビティ132を繋ぐ配線138aと、残りの隣り合う2つのキャビティ132を繋ぐ配線138bとの2本の配線138が形成される。なお、インク推奨温度は、110~150度とされており、インク推奨時間は、40~80分間とされている。このため、従来、ヒータ78は、110~150度で40~80分間、金属インク136を加熱する。これにより、適切な導電性を発現可能な配線138、例えば、体積抵抗値が4~8(μΩ・cm)程度の配線138が形成される。
【0026】
続いて、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、ディスペンスヘッド77が、図6に示すように、キャビティ132の内部に金属ペースト140を吐出する。この際、ディスペンスヘッド77は、キャビティ132の内部において配線138と接触するように、金属ペースト140を吐出する。そして、第1造形ユニット22の加熱部74において、金属ペースト140が、ヒータ78により加熱される。これにより、金属ペースト140が硬化し、金属ペースト140が導電化する。なお、ペースト推奨温度は、110~150度とされており、ペースト推奨時間は、40~80分間とされている。このため、従来、ヒータ78は、110~150度で40~80分間、金属ペースト140を加熱する。これにより、樹脂が好適に硬化し、金属ペースト140が適切な導電性を発現し、例えば、金属ペースト140の体積抵抗値が4~8(μΩ・cm)程度となる。
【0027】
次に、ステージ52が、第2造形ユニット24の下方に移動される。そして、第2造形ユニット24において、図7に示すように、樹脂積層体130の上に樹脂積層体150が形成される。樹脂積層体150は、樹脂積層体130のキャビティ132の内部を埋めるように形成されている。ただし、樹脂積層体150もキャビティ152を有しており、そのキャビティ152において、樹脂積層体130の上面に形成された配線138の一部が露出している。なお、樹脂積層体150には、2つのキャビティ152a,bが形成されており、1つのキャビティ152aにおいて、配線138aの一部が露出し、もう1つのキャビティ152bにおいて、配線138bの一部が露出している。なお、樹脂積層体150は、樹脂積層体130と同様に、インクジェットヘッド88による紫外線硬化樹脂の吐出と、照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることで、形成される。
【0028】
続いて、樹脂積層体150が形成されると、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。そして、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、インクジェットヘッド76が、図8に示すように、キャビティ152の内部で露出する配線138から樹脂積層体150の上面に至るまで金属インク160を線状に吐出する。なお、キャビティ152aの内部の配線138aから樹脂積層体150の上面に至る金属インク160aと、キャビティ152bの内部の配線138bから樹脂積層体150の上面に至る金属インク160bとは、互いに接近するように吐出されているが、接触はしていない。そして、第1造形ユニット22の加熱部74において、金属インク160が、ヒータ78により加熱される。この際、ヒータ78は、インク推奨温度(110~150度)でインク推奨時間(40~80分間)、金属インク160を加熱する。これにより、適切な導電性を発現可能な配線162、例えば、体積抵抗値が4~8(μΩ・cm)程度の配線162が形成される。
【0029】
次に、ステージ52が、第2造形ユニット24の下方に移動される。そして、第2造形ユニット24において、図9に示すように、樹脂積層体150の上に樹脂積層体170が形成される。樹脂積層体170は、樹脂積層体150のキャビティ152の内部を埋めるように作成されている。ただし、樹脂積層体170もキャビティ172を有しており、そのキャビティ172において、樹脂積層体170の上面に形成された2本の配線162a,bの端部が露出している。なお、樹脂積層体170も、樹脂積層体130,150と同様に、インクジェットヘッド88による紫外線硬化樹脂の吐出と、照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることで、形成される。
【0030】
続いて、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。そして、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、ディスペンスヘッド77が、図10に示すように、キャビティ172の内部に金属ペースト180を吐出する。この際、ディスペンスヘッド77は、キャビティ172の内部において配線162aの端部の上と配線162bの端部の上との2箇所に、金属ペースト180を吐出する。
【0031】
このように、金属ペースト180が配線162の上に吐出されると、ステージ52が装着ユニット26の下方に移動される。装着ユニット26では、テープフィーダ114により電子部品119が供給され、その電子部品119が装着ヘッド116の吸着ノズルによって、保持される。なお、図11に示すように、電子部品119は、部品本体182と、部品本体182の下面に配設された2個の電極184とにより構成されている。そして、装着ヘッド116が、移動装置118によって移動され、吸着ノズルにより保持された電子部品119が、キャビティ172の内部において、樹脂積層体150の上面に装着される。この際、電子部品119の電極184が、配線162の上に吐出された金属ペースト180に接触するように、電子部品119は樹脂積層体150の上面に装着される。
【0032】
次に、電子部品119が装着されると、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。そして、第1造形ユニット22の加熱部74において、金属ペースト180が、ヒータ78により加熱される。この際、ヒータ78は、ペースト推奨温度(110~150度)でペースト推奨時間(40~80分間)、金属ペースト180を加熱する。これにより、金属ペースト180が適切な導電性を発現し、例えば、金属ペースト180の堆積抵抗値が4~8(μΩ・cm)程度となる。
【0033】
このように、3つの樹脂積層体130,150,170が積層され、樹脂積層体間が配線138,162により導通されており、配線162に電子部品119が導通されることで回路基板190が形成される。そして、回路基板190が形成されると、回路基板190を基台60から取り外すべく、感熱剥離フィルム71がヒータ78により加熱される。なお、感熱剥離フィルム71の粘着性を低下させるための推奨温度及び推奨加熱時間は、金属インク及び金属ペーストと同じ温度及び時間とされている。このため、ヒータ78は、110~150度で40~80分間、感熱剥離フィルム71を加熱する。これにより、感熱剥離フィルム71の粘着性が低下し、図12に示すように、回路基板190を、粗面フィルム70とともに、感熱剥離フィルム71から容易に剥がすことができる。なお、粗面フィルム70は、元々、粘着性を有していないため、回路基板190から容易に剥がすことができる。
【0034】
このように、回路基板190が従来の手法により形成される際には、金属インク136,金属ペースト140,金属インク160,金属ペースト180,感熱剥離フィルム71の加熱時の各々において、110~150度で40~80分間、加熱される。つまり、5回の工程の各々において、高温かつ長時間加熱される。また、各加熱工程の後には、ある程度の時間、冷却工程も行われている。このように、高温かつ長時間での加熱工程と、冷却工程とが繰り返し実行されることで、回路基板の形成時において、樹脂積層体130の基台60からの浮きが生じる虞がある。また、樹脂積層体130等の造形物に反りが生じる虞もある。さらに言えば、高温かつ長時間での加熱工程により樹脂積層体130等の造形物に大きなストレスがかかる。
【0035】
そこで、回路形成装置10では、金属インク136,金属ペースト140,金属インク160,金属ペースト180の各々の加熱工程において、ヒータ78による加熱温度を下げるとともに、加熱時間を短縮している。つまり、推奨温度より低い温度で、推奨時間より短い時間、金属インク136,金属ペースト140,金属インク160,金属ペースト180の各々を加熱している。そして、感熱剥離フィルム71の加熱時に、推奨温度での推奨時間の加熱を行うことで、金属インク136と金属ペースト140と金属インク160と金属ペースト180と感熱剥離フィルム71とを纏めて加熱している。
【0036】
具体的には、従来の手法と同様に、図3に示すように、基台60の上面に、感熱剥離フィルム71を介して、粗面フィルム70が敷かれる。その粗面フィルム70の上面に、図5に示すように、樹脂積層体130が形成され、2つのキャビティ132を繋ぐように、金属インク136が吐出される。そして、金属インク136が加熱されるが、インク推奨温度の35~90%程度、例えば、70~100度程度の温度で、インク推奨時間の35~90%程度、例えば、5~30分間程度の時間、金属インク136が加熱される。このように、金属インク136がインク推奨温度より低い温度で、インク推奨時間より短い時間、加熱されると、金属インク136は、ある程度、焼成するため、配線138となるが、その配線138は、適切な導電性を発現せず、例えば、体積抵抗値が10(μΩ・cm)以上の配線138が形成される。
【0037】
次に、図6に示すように、樹脂積層体130のキャビティ132の内部に、金属ペースト140が吐出される。そして、金属ペースト140が加熱されるが、ペースト推奨温度の35~90%程度、例えば、70~100度程度の温度で、ペースト推奨時間の35~90%程度、例えば、5~30分間程度の時間、金属ペースト140が加熱される。このように、金属ペースト140がペースト推奨温度より低い温度で、ペースト推奨時間より短い時間、加熱されると、金属ペースト140は、ある程度硬化し、導電化するが、その金属ペースト140は、適切な導電性を発現せず、例えば、体積抵抗値が10(μΩ・cm)以上となる。
【0038】
続いて、図7に示すように、樹脂積層体130の上に、従来の手法と同様に、樹脂積層体150が作成される。そして、図8に示すように、樹脂積層体150のキャビティ152の内部で露出する配線138から樹脂積層体150の上面に至るまで金属インク160が吐出される。次に、金属インク160が加熱されるが、金属インク160も、金属インク136と同様に、インク推奨温度の35~90%程度、例えば、70~100度程度の温度で、インク推奨時間の35~90%程度、例えば、5~30分間程度の時間、加熱される。これにより、金属インク160は、ある程度、焼成するため、配線162となるが、その配線162も、適切な導電性を発現せず、例えば、体積抵抗値が10(μΩ・cm)以上の配線となる。
【0039】
続いて、図9に示すように、樹脂積層体150の上に、従来の手法と同様に、樹脂積層体170が作成される。そして、図10に示すように、配線162の端部に、金属ペースト180が吐出される。続いて、図11に示すように、電子部品119の電極184が、配線162の上に吐出された金属ペースト180に接触するように、電子部品119が樹脂積層体150の上面に装着される。そして、金属ペースト180が加熱されるが、金属ペースト180も、金属ペースト140と同様に、ペースト推奨温度の35~90%程度、例えば、70~100度程度の温度で、ペースト推奨時間の35~90%程度、例えば、5~30分間程度の時間、加熱される。これにより、金属ペースト180は、ある程度硬化し、導電化するが、その金属ペースト180は、適切な導電性を発現せず、例えば、体積抵抗値が10(μΩ・cm)以上となる。
【0040】
そして、最後に、感熱剥離フィルム71の粘着性を低下させるべく、従来の手法と同様に、110~150度で40~80分間、感熱剥離フィルム71が加熱される。これにより、図12に示すように、回路基板190が粗面フィルム70とともに基台60から取り外される。また、感熱剥離フィルム71の加熱時には、感熱剥離フィルム71だけでなく、配線138,金属ペースト140,配線162,金属ペースト180も、110~150度で40~80分間、加熱される。これにより、配線138,162が充分に焼成し、適切な導電性を発現可能な配線、例えば、体積抵抗値が4~8(μΩ・cm)程度の配線となる。また、金属ペースト140,180が充分に硬化し、適切な導電性を発現することで、例えば、金属ペースト140及び金属ペースト180の体積抵抗値が4~8(μΩ・cm)となる。
【0041】
このように、金属インク136,160及び金属ペースト140,180の各々が、各々の推奨温度より低い温度で、推奨時間より短い時間、加熱されることで、回路基板190の基台60からの浮き,樹脂積層体130等の反りを防止するとともに、樹脂積層体130等へのストレスを軽減することが可能となる。また、低い温度での加熱により、加熱に要するエネルギーを抑制することが可能となる。さらに言えば、加熱時間の短縮により、タクトタイムの短縮を図ることも可能となる。
【0042】
また、従来の手法では、金属インク及び金属ペーストの各々が、各々の推奨温度で推奨時間、加熱されることで、回路基板190の造形途中での金属インク及び金属ペーストの体積抵抗値は、図13に示すように、例えば、6(μΩ・cm)とされている。そして、感熱剥離フィルム71が加熱され、回路基板190が基台60から取り外されることで、回路基板190が完成した際の金属インク及び金属ペーストの体積抵抗値も、例えば、6(μΩ・cm)とされている。
【0043】
一方、新たな条件下、つまり、金属インク及び金属ペーストの各々が、各々の推奨温度より低い温度で、推奨時間より短い時間、加熱されることで、回路基板190の造形途中での体積抵抗値は、例えば、12(μΩ・cm)とされている。そして、感熱剥離フィルム71が推奨温度で推奨時間、加熱され、回路基板190が基台60から取り外されることで、回路基板190が完成した際の体積抵抗値は、例えば、6(μΩ・cm)まで低下する。
【0044】
このように、金属インク及び金属ペーストが、推奨温度より低い温度で、推奨時間より短い時間、加熱された場合であっても、感熱剥離フィルム71の加熱時において、感熱剥離フィルム71とともに、金属インク及び金属ペーストが推奨温度で推奨時間、加熱されることで、体積抵抗値は6(μΩ・cm)となる。つまり、回路基板190の造形途中では、金属インク及び金属ペーストは適切な導電性を発現しないが、回路基板190の完成時において、金属インク及び金属ペーストは適切な導電性を発現する。これにより、適切な回路基板190の造形を担保しつつ、回路基板190の基台60からの浮き,樹脂積層体130等の反りを防止するとともに、樹脂積層体130等へのストレスを軽減することが可能となる。
【0045】
なお、制御装置28のコントローラ120は、図2に示すように、積層体形成部200と、流体吐出部202と、仮加熱部204と、本加熱部206とを有している。積層体形成部200は、樹脂積層体130,150,170を形成するための機能部である。流体吐出部202は、金属インク及び金属ペーストを吐出するための機能部である。仮加熱部204は、金属インク及び金属ペーストを、推奨温度より低い温度で、推奨時間より短い時間、加熱するための機能部である。本加熱部206は、金属インク及び金属ペーストを、推奨温度で推奨時間、加熱するための機能部である。
【0046】
なお、上記実施例において、感熱剥離フィルム71は、フィルムの一例である。樹脂積層体130,150,170は、樹脂層の一例である。金属インク136,160は、導電性流体の一例である。金属ペースト140,180は、導電性流体の一例である。積層体形成部200により実行される工程は、樹脂層形成工程の一例である。流体吐出部202により実行される工程は、塗布工程の一例である。仮加熱部204により実行される工程は、仮加熱工程の一例である。本加熱部206により実行される工程は、本加熱工程の一例である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記実施例では、金属インク及び金属ペーストが、推奨温度より低い温度で、推奨時間より短い時間、加熱されているが、加熱温度の低減と加熱時間の短縮との少なくとも一方が実行されればよい。つまり、金属インク及び金属ペーストが、推奨温度より低い温度で、推奨時間、加熱されてもよく、金属インク及び金属ペーストが、推奨温度で、推奨時間より短い時間、加熱されてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、感熱剥離フィルム71の加熱工程において、金属インク及び金属ペーストが、感熱剥離フィルム71とともに、推奨温度で推奨時間、加熱されているが、種々の加熱工程において、金属インク及び金属ペーストが、推奨温度で推奨時間、加熱されてもよい。ただし、推奨温度での推奨時間の加熱工程は、最終の加熱工程で行われることが好ましい。例えば、上記実施形態において、感熱剥離フィルム71の加熱工程が無い場合には、金属ペースト180の加熱工程において、推奨温度で推奨時間、金属ペースト180が加熱されてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、ヒータ78により、金属インク及び金属ペーストが加熱されているが、レーザ光等の照射により、金属インク及び金属ペーストが加熱されてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、金属ペースト140,180が、ディスペンスヘッド77により樹脂積層体130に吐出されているが、スタンプ等により金属ペースト140,180が樹脂積層体130に転写されてもよい。また、スクリーン印刷により、金属インク若しくは金属ペーストが樹脂積層体130に印刷されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
71:感熱剥離フィルム 130:樹脂積層体 136:金属インク 140:金属ペースト 150:樹脂積層体 160:金属インク 170:樹脂積層体 180:金属ペースト 200:積層体形成部 202:流体吐出部 204:仮加熱部 206:本加熱部
図1
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図10
図11
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図13