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特許7532513外科用ロボットシステムにおける外科用ツールの係合及び/又はホーミング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】外科用ロボットシステムにおける外科用ツールの係合及び/又はホーミング
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240805BHJP
【FI】
A61B34/30
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022523935
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 US2019058477
(87)【国際公開番号】W WO2021080623
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】16/661,590
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516133124
【氏名又は名称】バーブ サージカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Verb Surgical Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ・レンビン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ハオラン
(72)【発明者】
【氏名】コサリ・シーナ・ニア
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-514545(JP,A)
【文献】特表2017-512548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0253360(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30 - 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットシステムにおけるツール係合のための方法であって、
外科用ツールのツール駆動装置への機械的な取り付けを検出することであって、前記外科用ツールが、前記ツール駆動装置の第1の駆動ディスク及び第2の駆動ディスクとそれぞれ係合される第1のツールディスク及び第2のツールディスクを有しており、前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクは、前記外科用ツールのエンドエフェクタに連結されている、検出することと、
前記第1の駆動ディスク及び前記第2の駆動ディスクが互いに反対側に回転するように、前記第1の駆動ディスクを前記ツール駆動装置の第1のモータによって、かつ、前記第2の駆動ディスクを前記ツール駆動装置の第2のモータによって作動させることと、
前記第1のモータ及び前記第2のモータの性能を監視することと、
前記第1のモータ及び前記第2のモータの前記性能の変化に基づいて、前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクと前記第1の駆動ディスク及び前記第2の駆動ディスクとの係合を検出することと、を含み、
前記第1の駆動ディスク及び前記第2の駆動ディスクが互いに反対側に回転するように、前記第1の駆動ディスクを前記ツール駆動装置の第1のモータによって、かつ、前記第2の駆動ディスクを前記ツール駆動装置の第2のモータによって作動させることが、前記外科用ツールの前記第1のツールディスクと前記第2のツールディスクとの間のリンクが、前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクの反対の方向への回転を使用して、前記外科用ツールを所定の方向に回転させる際に、前記第1のモータ及び前記第2のモータを同じ方向に作動させることを含む、方法。
【請求項2】
作動させることが、位置制御モードで前記第1のモータ及び前記第2のモータを作動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外科用ツールの動きが、ハードストップを含まない内視鏡の回転を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出することが、前記第1のモータ及び前記第2のモータへの電流のスパイクを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
検出することが、前記第1のモータ及び前記第2のモータの速度閾値未満の第1及び第2の速度をそれぞれ検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記係合時における前記第1のツールディスクの第1の回転角度が、前記係合時における前記第2のツールディスクの第2の回転角度と反対の符号を有する閾値量内にあることをチェックすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクと係合している間に、前記第1のモータ及び前記第2のモータの第1及び第2の角度から前記係合時における前記外科用ツールの回転角度を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
係合のための外科用ロボットシステムであって、
伝達装置によって第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドに接続された外科用エフェクタであって、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドの回転が前記外科用エフェクタを回転させるように、接続されている、外科用エフェクタと、
前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドとそれぞれ嵌合可能な第1の回転駆動装置及び第2の回転駆動装置を有するツール駆動装置と、
信号の変化によって、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドと前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置それぞれとの嵌合を検出するように構成されたプロセッサと、を備えており、
前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置が互いに反対側に回転するように、前記第1の回転駆動装置は前記ツール駆動装置の第1のモータによって、かつ、前記第2の回転駆動装置は前記ツール駆動装置の第2のモータによって、作動されるように構成されており、前記外科用エフェクタの前記第1の回転ツールパッドと前記第2の回転ツールパッドの間のリンクが、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドの反対の方向への回転を使用して、前記外科用エフェクタを所定の方向に回転させる際に、前記第1のモータ及び前記第2のモータが同じ方向に作動されるように構成されている、外科用ロボットシステム。
【請求項9】
前記外科用エフェクタが、長手方向軸を中心に回転可能な内視鏡を備える、請求項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記第1の回転ツールパッドが前記第1の回転駆動装置によって駆動されて、前記第2の回転ツールパッドが前記第2の回転駆動装置によって駆動されるのとは反対方向に前記外科用エフェクタを回転させるところの前記嵌合を検出するように構成されている、請求項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置の両方を位置制御モードで駆動するように構成されている、請求項10に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項12】
前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置と接続された第1及び第2のエンコーダを更に備え、前記プロセッサが、前記第1及び第2のエンコーダからの情報から前記信号の前記変化を第1及び第2の速度がゼロの閾値量内にあるものとして検出するように構成されている、請求項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項13】
前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置への電流を検出するように接続された電流センサを更に備え、前記プロセッサが、前記信号の前記変化を前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置のための第1及び第2の電流のスパイクとして検出するように構成されている、請求項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記第1の回転駆動装置の第1の回転角度を前記第2の回転駆動装置の第2の回転角度と比較することによって、前記嵌合を検証するように構成されている、請求項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドに嵌合されたときの前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置の回転角度に基づいて、前記外科用エフェクタの回転角度を決定するように構成されている、請求項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項16】
前記第1の回転駆動装置への電流制御モードにおける電流ランプにディザリング電流を印加するように構成された電流源を更に備え、前記プロセッサが、前記電流制御モードにある間、前記第1の回転駆動装置からの前記信号の前記変化から前記嵌合を検出するように構成されている、請求項に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項17】
外科用ロボットシステムにおける外科用ツールの回転位置をホーミングするための方法であって、
第1及び第2の回転ツールパッドと第1及び第2の回転駆動装置との係合を検出することと、
前記第1及び第2の回転ツールパッドに連結された前記外科用ツールの回転角度を決定することであって、前記外科用ツールの前記回転角度が、前記係合が検出されると、前記第1及び第2の回転駆動装置の第1及び第2の回転角度から決定される、決定することと、を含み、
前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置が互いに反対側に回転するように、前記第1の回転駆動装置は第1のモータによって、前記第2の回転駆動装置は第2のモータによって、作動されるように構成されており、前記外科用ツールの前記第1の回転ツールパッドと前記第2の回転ツールパッドの間のリンクが、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドの反対の方向への回転を使用して、前記外科用ツールを所定の方向に回転させる際に、前記第1のモータ及び前記第2のモータが同じ方向に作動されるように構成されている、方法。
【請求項18】
決定することが、較正及びモータエンコーダセンサからの測定された回転角度に基づいて、前記外科用ツールの前記回転角度を決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記係合を検出することが、前記第1及び第2の回転ツールパッドとそれぞれ接触して前記第1及び第2の回転駆動装置を回転させることであって、前記第1及び第2の回転ツールパッドの両方は、前記外科用ツールに連結されており、前記第1及び第2の回転駆動装置は、前記第1及び第2の回転ツールパッドが、前記外科用ツールの回転のために互いに反対側に回転するように回転する、回転させることと、前記第1及び第2の回転駆動装置の性能の変化から、前記第1及び第2の回転駆動装置と前記第1及び第2の回転ツールパッドとの前記係合をそれぞれ検出することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームにおける、外科用ロボットツールと1つ又は2つ以上のアクチュエータとの係合及び/又はホーミングの成功を検出するための制御ユニットに関する。他の実施形態も、記載されている。
【背景技術】
【0002】
外科用ロボットシステムにより、手術医などの操作者又はユーザに、外科用ロボットシステムを使用して外科処置の1つ又は2つ以上の行為を実施する能力が与えられる。外科用ロボットシステムでは、内視鏡、クランプ、切断ツール、スプレッダ、針、エネルギーエミッタなどの外科用ツール又は器具が、外科用ロボットアームのロボット関節に機械的に結合され、その結果、ロボット関節の動き又は作動は、ツールの一部の回転、旋回、又は直線の動き(例えば、内視鏡カメラの回転、把持器具の顎部の旋回、又は針の並進)を直接引き起こす。ツールがアーム内のツール駆動装置に取り付けられる(例えば、接触する)と、操作者コマンドは、クランプの閉鎖、内視鏡の曲げの調整、カニューレ壁の外側の器具の伸長、クランプツールを使用した圧力の印加、並びに他の動き及び行為など、取り付けられたツールの動きを引き起こし、機能を作動させ得る。
【0003】
外科処置の様々な性質のために、異なる外科用ツール又は器具が、外科処置の前及び最中に外科用ロボットシステムの同じアームに選択的に取り付けられ得る。外科処置中の機器の機能不良を回避するために、外科用ツール又は器具が、外科用ロボットアームのロボット関節に取り付けられるだけでなく、機械的に係合されることも重要である。すなわち、運動を付与するか、又は器具の特徴部の作動(例えば、開放、閉鎖、切断、圧力印加など)を可能にする外科用ツールの機構は、外科用ツールが外科処置中に使用される前に、外科用ロボットシステムのアームのツール駆動装置内にあるアクチュエータに機械的に係合されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
前置きとして、以下に記載される好ましい実施形態は、外科用ロボットシステムにおける外科用ツールのモータ制御装置の係合及び/又はホーミングのための方法、システム、命令、及びコンピュータ可読媒体を含む。2つ又は3つ以上のモータが同じ運動を制御する場合、これらのモータを使用して、物理的停止部が提供されない場合でも、係合を検出することができる。モータは、互いに反対側に、又は同じ動きを試みることなく動作し、その結果として、係合のときにモータのうちの1つが他のモータの停止部としての機能を果たす。次いで、モータ動作の変化は、係合を示す。係合されたモータの既知の角度及びモータ駆動装置を外科用ツールに連結する伝達装置は、外科用ツールのホーム位置又は現在の位置を示す。
【0005】
第1の態様では、外科用ロボットシステムにおける外科用ツールのモータ制御装置を係合するための方法が提供される。第1の駆動ディスク及び第2の駆動ディスクとそれぞれ接続された第1のモータ及び第2のモータが回転する。第1の駆動ディスク及び第2の駆動ディスクは、第1のツールディスク及び第2のツールディスクと接触している。第1のツールディスク及び第2のツールディスクの両方が、外科用ツールに連結されている。第1のモータ及び第2のモータは、第1の駆動ディスク及び第2の駆動ディスクが外科用ツールの動きのために互いに反対側に回転するように、回転する。第1のモータ及び第2のモータと第1のディスク及び第2のディスクとの係合は、それぞれ、第1のモータ及び第2のモータの性能の変化から検出される。
【0006】
第2の態様では、ロボット手術システムにおけるモータ制御装置の係合のための外科用ロボットシステムが提供される。外科用ツールは、伝達装置によって、第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドに接続される。外科用ツールは、第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドの回転が外科用ツールを回転させるように接続される。ツール駆動装置は、第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドと嵌合可能な第1の回転駆動装置及び第2の回転駆動装置を有する。プロセッサは、信号の変化によって、第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドと第1の回転駆動装置及び第2の回転駆動装置との嵌合を検出するように構成されている。
【0007】
第3の態様では、外科用ロボットシステムにおける外科用ツールの回転位置をホーミングするための方法が提供される。第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドと第1の回転駆動装置及び第2の回転駆動装置との係合が検出される。第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドに連結された外科用ツールの回転角度は、係合が検出されると、第1の回転駆動装置及び第2の回転駆動装置の第1の回転角度及び第2の回転角度から決定される。
【0008】
本発明は、以下の請求項によって定義され、この項におけるいずれも、これらの請求項の制限としてとられるべきではない。本発明の更なる態様及び利点は、好ましい実施形態と併せて以下に考察され、その後独立して、又は組み合わせて特許請求され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施形態は、添付図面の図において、限定としてではなく例として示され、図中、同様の参照記号は類似の要素を示す。本開示における本発明の「1つの(an)」又は「1つの(one)」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、それらは、少なくとも1つを意味することに留意されたい。また、簡潔さ及び図の総数を減らす目的で、所与の図が、本発明の1つより多くの実施形態の特徴を例示するために使用され得、図中のすべての要素が、所与の実施形態に必要とされるわけではない場合がある。
図1】手術室内の例示的な外科用ロボットシステムの描写図である。
図2】外科用ロボットアームのツール駆動装置に対する外科用ツールの係合を検出するためのシステムの図である。
図3】外科用ツール、ツール駆動装置、及び制御ユニットを示すブロック図である。
図4A】係合プロセス中のツールディスク及び駆動ディスクの異なる状態を示す図である。
図4B】係合プロセス中のツールディスク及び駆動ディスクの異なる状態を示す図である。
図4C】係合プロセス中のツールディスク及び駆動ディスクの異なる状態を示す図である。
図5A】外科用ツールをツール駆動装置と係合させるために制御ユニットによって実施されるプロセスを示すフロー図である。
図5B】駆動ディスクを駆動しているアクチュエータの1つ又は2つ以上の動作パラメータに基づいて駆動ディスクに対するツールディスクの係合を検出する制御ユニットの別のプロセスを示すフロー図である。
図5C】外科用ツールと、外科用ロボットシステムのツール駆動装置との係合を検出するための制御ユニットの別のプロセスを示すフロー図である。
図6】フィードバックループのブロック図である。
図7】フィードバックループで使用するためのコントローラのブロック図である。
図8】モータと、対応する駆動ディスク、ツールディスク、及び外科用ツールとの間の回転角度関係の例を示す図である。
図9】係合に使用される駆動電流の一実施形態を示す図である。
図10】制御ユニットが係合を検出するための、及び/又はホーミングための別のプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
取り外し可能な外科用ロボットツールの、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームのツール駆動装置に対する係合を検出するための装置、システム、及び方法の実施形態が、本明細書に記載される。下記の説明には、本実施形態を十分に理解してもらうために、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本明細書に記載される技術が、特定の詳細のうちの1つ又は2つ以上、若しくは他の方法、構成要素、材料などを用いることなく実施され得ることを認識するであろう。他の例では、周知の構造、材料、又は動作は、ある特定の態様を不明瞭にすることを回避するために詳細に図示又は説明されない。
【0011】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。更に、異なる図面に示されるような特定の特徴、構造、又は特性を、1つ又は2つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0012】
図1を参照すると、これは、手術室内の例示的な外科用ロボットシステム100の描写図である。外科用ロボットシステム100は、ユーザコンソール102と、制御タワー103と、外科用プラットフォーム105、例えば、手術台、ベッドなどにある1つ又は2つ以上の外科用ロボットアーム104と、を備える。外科用ロボットシステム100は、患者106に対して手術を実施するために使用される任意の数のデバイス、ツール、又は付属品を組み込むことができる。例えば、外科用ロボットシステム100は、手術を実施するために使用される1つ又は2つ以上の外科用ツール107を備えてもよい。外科用ツール107は、切断、把持、ポーキング、又はエネルギー放出などの外科手術を実行するために、その遠位端に(外科用ツール107が取り付けられているロボット外科用アーム4の遠位端にも)エンドエフェクタを有してもよい。
【0013】
各外科用ツール107は、手術中に、手動で、ロボットで、又はその両方で操作されてもよい。例えば、外科用ツール107は、患者106の内部解剖学的構造に入る、それを見る、又は操作するために使用されるツールであってもよい。ある実施形態では、外科用ツール106は、患者の組織を把持することができる把持器具である。外科用ツール106は、ベッドのそばの操作者108の手によって直接手動で制御されてもよいし、又は外科用ツール106が取り付けられている外科用ロボットアーム104の動きを作動させるための電子コマンドを送ることを介して、ロボット制御されてもよい。外科用ロボットアーム104は、手術台に装着されたシステムとして示されているが、他の構成では、外科用ロボットアーム104は、カート、天井、若しくは側壁、又は別の好適な構造的支持体に装着され得る。
【0014】
一般に、外科医などの遠隔操作者109は、ユーザコンソール102を使用して、外科用ロボットアーム104及び取り付けられた外科用ツール107を遠隔操作、例えば、遠距離操作してもよい。ユーザコンソール102は、図1に示されるように、外科用ロボットシステム100の残りの部分と同じ手術室内に位置してもよい。しかしながら、その他の環境では、ユーザコンソール102は、隣接する部屋若しくは近くの部屋に位置してもよいし、又は遠隔地、例えば、異なる建物、都市、若しくは国にあってもよい。ユーザコンソール102は、シート110と、足踏み式制御装置113と、1つ又は2つ以上のハンドヘルド型ユーザインターフェースデバイス、UID114と、例えば、患者106内の手術部位の視野を表示するように構成された少なくとも1つのユーザディスプレイ115と、を備えてもよい。例示的なユーザコンソール102では、遠隔操作者109は、外科用ロボットアーム104及び(外科用アームの遠位端に装着された)外科用ツール107を遠隔制御するために、足踏み式制御装置113及びハンドヘルド型UID114を操作しながら、シート110に座ってユーザディスプレイ115を見ている。
【0015】
いくつかの変形例では、ベッドのそばの操作者108はまた、ベッドのそばの操作者108(ユーザ)がここで患者106の傍らにいて、i)例えば、片手に保持したハンドヘルド型UID114で、外科用ロボットアーム104に取り付けられた(エンドエフェクタを有する)ロボット駆動型ツールと、ii)手動腹腔鏡ツールと、を同時に操作している、「ベッド対面」モードで外科用ロボットシステム100を操作し得る。例えば、ベッドのそばの操作者の左手は、外科用ロボット構成要素を制御するためにハンドヘルド型UIDを操作していてもよく、一方で、ベッドのそばの操作者の右手は、手動腹腔鏡ツールを操作していてもよい。したがって、これらの変形例では、ベッドのそばの操作者108は、患者106に対してロボット支援型低侵襲手術及び手動腹腔鏡手術の両方を実施してもよい。
【0016】
例示的な処置(手術)の間、患者106は、麻酔を達成するために、滅菌されて準備され覆われている。手術部位への初期アクセスは、(手術部位へのアクセスを容易にするために)外科用ロボットシステム100のアームが収容構成又は撤収構成にある間に、手動で実施され得る。アクセスが完了すると、外科用ロボットアーム104を含む外科用ロボットシステム100の初期位置付け又は準備が実施され得る。次に、ユーザコンソール102の遠隔操作者109は、足踏み式制御装置113及びUID114を利用して様々なエンドエフェクタ及びおそらくは撮像システムを操作して手術を実施して、手術を続ける。手動支援はまた、組織の引き込み、手動再位置付けの実施、及び外科用ロボットアーム104のうちの1つ又は2つ以上に対するツール交換などのタスクを実施し得る、滅菌ガウンを着たベッドのそばの要員、例えば、ベッドのそばの操作者108によって、処置ベッド又は手術台で提供され得る。また、ユーザコンソール102の遠隔操作者109を支援するために、非滅菌要員が存在し得る。処置又は手術が完了すると、外科用ロボットシステム100及びユーザコンソール102は、洗浄又は滅菌などの術後処置及びユーザコンソール102を介した医療記録の入力又は印刷を容易にする状態に構成又は設定されてもよい。
【0017】
一実施形態では、遠隔操作者109は、UID114を保持して動かして、外科用ロボットシステム100のロボットアームアクチュエータ117を動かすための入力コマンドを提供する。UID114は、例えば、コンソールコンピュータシステム116を介して、外科用ロボットシステム100の残りの部分に通信可能に結合されてもよい。UID114は、UID114の動き、例えば、UIDのハンドヘルド型ハウジングの位置及び向きに対応する空間状態信号を生成することができ、空間状態信号は、ロボットアームアクチュエータ117の運動を制御するための入力信号であってもよい。外科用ロボットシステム100は、空間状態信号から導出された制御信号を使用して、アクチュエータ117の比例運動を制御してもよい。一実施形態では、コンソールコンピュータシステム116のコンソールプロセッサは、空間状態信号を受信し、対応する制御信号を生成する。外科用ロボットアーム104のセグメントを動かすためにアクチュエータ117がどのように通電されるかを制御するこれらの制御信号に基づいて、アームに取り付けられた対応する外科用ツールの動きは、UID114の動きを模倣し得る。同様に、遠隔操作者109とUID114との間の相互作用により、例えば、外科用ツール107の把持器具の顎部を閉鎖させて患者106の組織を掴む、掴み制御信号を生成することができる。
【0018】
外科用ロボットシステム100は、いくつかのUID114を含んでもよく、その場合、それぞれの外科用ロボットアーム104のアクチュエータ及び外科用ツール(エンドエフェクタ)を制御するそれぞれの制御信号は、UIDごとに生成される。例えば、遠隔操作者109は、第1のUID114を動かして、左ロボットアーム内にあるアクチュエータ117の運動を制御してもよく、アクチュエータは、その外科用ロボットアーム104の連結部、歯車などを動かすことによって応答する。同様に、遠隔操作者109による第2のUID114の動きは、別のアクチュエータ117の運動を制御し、これは、次いで外科用ロボットシステム100の他の連結部、歯車などを動かす。外科用ロボットシステム100は、患者の右側でベッド又は手術台に固定された右外科用ロボットアーム104と、患者の左側にある左外科用ロボットアーム104と、を含んでもよい。アクチュエータ117は、1つ又は2つ以上のモータを含んでもよく、各モータは、例えば、患者に対して、そのアームに取り付けられた外科用ツール107の内視鏡又は把持器具の向きを変化させるために、外科用ロボットアーム104の関節の回転を駆動するように制御される。同じ外科用ロボットアーム104におけるいくつかのアクチュエータ117の運動は、特定のUID114から生成された空間状態信号によって制御することができる。UID114はまた、それぞれの外科用ツール把持器具の運動を制御することができる。例えば、各UID114は、患者106内の組織を掴むために外科用ツール107の遠位端にある把持器具の顎部を開放又は閉鎖するアクチュエータ、例えば、線形アクチュエータの運動を制御するための、それぞれの掴み信号を生成することができる。
【0019】
いくつかの態様では、外科用プラットフォーム105とユーザコンソール102との間の通信は、制御タワー103を通じたものであってもよく、制御タワー103は、ユーザコンソール102から(より具体的には、コンソールコンピュータシステム116から)受信したユーザコマンドを外科用プラットフォーム105上の外科用ロボットアーム104に送信されるロボット制御コマンドに変換することができる。制御タワー103はまた、外科用プラットフォーム105からユーザコンソール102に状態及びフィードバックを送信して戻してもよい。外科用プラットフォーム105と、ユーザコンソール102と、制御タワー103との間の通信接続は、様々のデータ通信プロトコルの任意の好適なものを使用して、有線及び/又は無線リンクを介してもよい。任意の有線接続が、手術室の床及び/又は壁若しくは天井に任意選択的に内蔵されていてもよい。外科用ロボットシステム100は、手術室内のディスプレイ、並びにインターネット又はその他のネットワークを介してアクセス可能である遠隔ディスプレイを含む、1つ又は2つ以上のディスプレイにビデオ出力を提供してもよい。ビデオ出力又はフィードはまた、プライバシーを確保するために暗号化されてもよく、ビデオ出力のすべて又は部分は、サーバ又は電子医療記録システムに保存されてもよい。
【0020】
図2は、外科用ロボットアーム220のツール駆動装置230に対する外科用ツール240の係合を検出するための、外科用ロボットシステム100のサブシステム又は一部の図である。外科用ロボットアーム220は、図1に関して図示及び考察された外科用ロボットシステム100の外科用ロボットアーム104のうちの1つであり得る。制御ユニット201は、例えば、図1の制御タワーの一部であってもよい。本明細書でより詳細に考察されるように、係合は、ツール駆動装置230における1つ又は2つ以上のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ238-j)の1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータに基づいて、制御ユニット210によって検出され得る。
【0021】
異なる外科用ツール(例えば、外科用ツール240、並びに他の取り外し可能な外科用ツール-図示されていない)を選択的に取り付ける(一度に1つずつ)ことができるツール駆動装置230が存在する。これは、例えば、人間のユーザが外科用ツール240のハウジングを手で保持し、この外科用ツール240を、1つ又は2つ以上のツールディスク(例えば、ツールディスク244-i)が存在する外科用ツール240の外面が、1つ又は2つ以上の駆動ディスク(例えば、駆動ディスク234-j)が存在するツール駆動装置230の外面と接触するまで、矢印280の方向に移動させることによって行われてもよい。図示の例では、ツール駆動装置230は、外科用ロボットアーム220の遠位端部分における外科用ロボットアーム220のセグメントである。アーム220の近位端部分は、図2には示されていないが、上述の図1においてその例を見ることができる手術台など、外科用ロボットプラットフォームに固定されている。
【0022】
制御ユニット210は、外科用ロボットアーム220(駆動ディスク234を含む)における様々な電動関節の運動を制御することを担当し、これを通じて、ユーザ入力デバイスの動作を模倣するエンドエフェクタ246の動作(その位置及び向き並びにその外科機能)が達成される。これは、外科用ツール240がツール駆動装置230から力又はトルクを伝達するように係合されているときに、外科用ツール240における機械的伝達を介して達成される。制御ユニット210は、例えば、図1の制御タワー103の一部として、プログラムされたプロセッサとして実装され得る。制御ユニット210は、ローカル又は遠隔ユーザ入力(例えば、ジョイスティック、タッチ制御装置、ウェアラブルデバイス、又はコンソールコンピュータシステム116を介して通信する他のユーザ入力デバイス)を介して受信された1つ又は2つ以上のユーザコマンドに応答することができる。代替的に、制御ユニット210は、(例えば、制御ユニット210によって、若しくはコンソールコンピュータシステム116によって実行されている訓練された外科用機械学習モデルから受信した)1つ又は2つ以上の自律コマンド若しくは制御、又はそれらの組み合わせに応答することができる。コマンドは、ロボットアーム220の動き及びその取り付けられたエンドエフェクタ246の動作を指示する。
【0023】
エンドエフェクタ246は、顎部、切断ツール、内視鏡、スプレッダ、インプラントツールなどの任意の外科用器具であってもよい。異なるエンドエフェクタを各々有する異なる外科用ツールは、外科処置又は他の医療処置中に使用するために、ロボットアーム220に選択的に取り付ける(一度に1つずつ)ことができる。図2の例に示されるエンドエフェクタ246は、外科用ツール240の遠位端に位置し、図示のようにカニューレ(例えば、外科処置を受けている患者に挿入され得る薄いチューブ)内に引き込まれるか、又はそこから伸長し得る顎部である。
【0024】
ロボットアーム220は、アクチュエータ238-jなどの1つ又は2つ以上のアクチュエータが内部に存在するツール駆動装置230を備える。各アクチュエータは、1つ又は2つ以上のそれぞれの電気モータ(例えば、ブラシレス永久磁石dcモータ)を有する線形又は回転アクチュエータであり得、その駆動シャフトは、伝達装置(例えば、所与の歯車減少比を達成する歯車列-図示せず)を介してそれぞれの駆動ディスク234-jに結合され得る。ツール駆動装置230は、ツール駆動装置230の平面又は平坦な表面上に配置され得る1つ又は2つ以上の駆動ディスク234を含み、この図は、平坦な表面の同じ平面上に配置されたいくつかのそのような駆動ディスクを示している。各駆動ディスク(例えば、駆動ディスク234-j)は、ツール駆動装置230の外面上に露出されており、(例えば、スナップ、摩擦、又は他の嵌合特徴部を介してしっかりと締結するために)外科用ツール240の嵌合ツールディスク244-jを機械的に係合するように設計されており、これら2つの間の直接トルク伝達を可能にする。トルク伝達は、例えば、外科用ツール240の平面又は平坦な表面と、ツール駆動装置230の対応する又は嵌合する平面若しくは平坦な表面とを互いに接触させたときに起こり得る。
【0025】
更に、モータドライバ回路(図示されていないが、例えば、ツール駆動装置230内に、又は外科用ロボットアーム220内の他の場所に設置され得る)は、アクチュエータ238のうちの1つ又は2つ以上の構成モータの入力駆動端子に電気的に結合されている。モータドライバ回路は、制御ユニット210によって設定又は制御することができるモータドライバ回路入力に従って、例えば、モータ又はそのトルクの速さを調節するためにモータによって引き出される動力を操作し、これにより、関連付けられた駆動ディスク(例えば、駆動ディスク234-j)の電動回転がもたらされる。
【0026】
嵌合駆動ディスク234-jがそれぞれのツールディスク244-jに機械的に係合されると、駆動ディスク234-jの電動回転は、ツールディスク244-jを回転させ、例えば、これら2つのディスクが、一体となって回転し、それにより、伝達手段に機械的に結合され得るエンドエフェクタ246の動き及び動作を制御するための、外科用ツール240内の、例えば、連結部、歯車、ケーブル、チェーン、又は他の伝達手段に運動を付与する。
【0027】
異なる外科用ツールは、回転、関節接合、開放、閉鎖、伸長、引き込み、圧力印加などの動きのタイプ及びこれらの動きがエンドエフェクタによって実施される自由度に基づいて、異なる数のツールディスクを有し得る。
【0028】
更に、外科用ツール240内で、2つ以上のツールディスク244が、嵌合駆動ディスク234をそれぞれ駆動している2つ又は3つ以上のモータによる負荷分散などの目標を達成するために、エンドエフェクタ246の単一の運動に寄与し得る。
【0029】
別の態様では、ツール駆動装置230内には、2つ又は3つ以上のモータが存在してもよく、それらの駆動シャフトは、負荷を分散させるために(伝達装置を介して)結合されて同じ出力シャフト(又は駆動ディスク234)を回転させる。
【0030】
更に別の態様では、外科用ツール240内には、同じ自由度で相補的な行為を実施するために、(それぞれのツールディスク244を介して)2つの駆動ディスク234からのトルクを変換する伝達装置が存在し得、例えば、第1の駆動ディスク234-iは、外科用ツール230のハウジング内のドラムを回転させて、ケーブルの一端を取り込み、第2の駆動ディスク234-jは、外科用ツール230のハウジング内の別のドラムを回転させて、ケーブルの他端を取り込む。別の例として、単一の軸に沿ったエンドエフェクタの伸長及び短縮は、2つのツールディスク234-i、234-jを使用して達成されてもよく、例えば、異なるケーブルを介して、1つのケーブルは伸長を実施して、別のケーブルは引き込みを実施する。これは、同様に1つの自由度(例えば、単一の動き軸に沿って長手方向に伸長及び短縮する)で動くが、その全運動範囲を制御するために単一のツールディスクのみを必要とするエフェクタとは対照的である。別の例として、複数の自由度(例えば、手関節運動する(wristed)動き、複数の軸に沿った動き、エンドエフェクタの動きに加えてエネルギーエミッタの作動など)で動くエフェクタは、いくつかのツールディスク(各々がそれぞれの駆動ディスクに係合されている)の使用を必要とし得る。別のタイプの外科用ツール240では、単一のツールディスク244が、直接入力(例えば、歯車)を介して、伸長運動及び引き込み運動の両方を実施するのに十分である。別の例として、エンドエフェクタ246が顎部である場合、2つ又は3つ以上のツールディスク244は、本明細書でより詳細に考察されるように、負荷分散のために、顎部の運動を協働的に制御することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ツールディスクが実質的に同一平面上にもたらされ、対応する駆動ディスクと同軸に整列するように、外科用ツール240が最初にツール駆動装置230に取り付けられるか、又はツール駆動装置230上に設置されると(ツール及び駆動ディスクはおそらく、まだ首尾よく係合されていないが)、制御ユニット210は、最初に外科用ツール240のタイプを検出する。一実施形態では、外科用ツール240は、ツール又はエンドエフェクタタイプの識別、固有のツール又はエンドエフェクタID、使用されるツールディスクの数、使用されているそれらのツールディスクの場所(例えば、合計6つの可能性のあるツールディスク244-e、244-f、244-g、244-h、244-i、244-jから)、ツールディスクのための伝達装置のタイプ(例えば、直接的な駆動装置、ケーブル駆動型など)、ツールディスクがエンドエフェクタに与える運動あるいは作動、1つ又は2つ以上のツール較正値(例えば、ツールの係数試験/組み立て中に決定されるような、ツールディスクの回転位置)、エンドエフェクタの運動が最大又は最小の動きによって制約されているかどうか、並びに他のツール属性のうちの1つ又は2つ以上など、そのツール又はエンドエフェクタ情報を識別する、ソリッドステートメモリ、RFIDタグ、バーコード(二次元若しくはマトリックスバーコードを含む)などの情報記憶ユニット242を有する。一実施形態では、情報記憶ユニット242は、ツールIDなどの最小情報を識別し、その制御ユニット210は、様々なツール属性のルックアップを実施するために使用され得る。
【0032】
ツール駆動装置230は、情報記憶ユニット242から情報を読み取り、かつ情報を制御ユニット210に送るための通信インターフェース232(例えば、メモリライタ、近距離通信、NFC、トランシーバ、RFIDスキャナ、バーコードリーダなど)を含み得る。更に、いくつかの実施形態では、各ツールディスク244と関連付けられた1つの情報記憶ユニットなど、外科用ツール240内に2つ以上の情報記憶ユニットが存在し得る。この実施形態では、ツール駆動装置230はまた、所与のツールに存在するであろう各可能な情報記憶ユニットのための対応するセンサを含み得る。
【0033】
係合
ツールディスクが整列させられ、対応する駆動ディスクに重ね合わせられるように(必ずしも機械的に係合される必要はないが)外科用ツール240がツール駆動装置230に取り付けられた後、また、ツールディスク情報が得られた後、例えば、制御ユニット210によって読み取られた後、制御ユニット210は、それぞれの駆動ディスクに取り付けられることが予想されるツールディスクのすべてが、それらの対応の駆動ディスクと機械的に係合される(例えば、それらの機械的係合が達成されているか、又はツール駆動装置が、ここで、ツールと係合したとみなされる)ときを検出するための係合プロセスを実施する。すなわち、外科用ツール240をツール駆動装置230に取り付けることは、必ずしも、対応する駆動ディスクとのツールディスクの機械的係合に必要な適切な嵌合を保証しない(例えば、嵌合特徴部の位置ずれによって)。係合プロセスは、対応する駆動ディスク234-jを駆動するアクチュエータ(例えば、アクチュエータ238-j)の1つ又は2つ以上のモータを作動させることを含み得る。次に、アクチュエータ238-jの1つ又は2つ以上の監視されたモータ動作パラメータに基づいて、アクチュエータ238-jが駆動ディスク234-jを駆動している間、以下でより詳細に考察されるように、ツールディスク244-iと駆動ディスク234-jとの機械的係合を検出することができる。このプロセスは、(例えば、現在取り付けられている特定の外科用ツール240について得られたツールディスク情報に基づいて決定して)それぞれのツールディスク244に現在取り付けられていると予想される(ツール駆動装置230の)すべての駆動ディスク234に対して繰り返され得る。
【0034】
特定のタイプの外科用ツール240がツール駆動装置230に取り付けられていることを検出すると、制御ユニット210は、そのタイプの外科用ツール240と前もって関連付けられているツール駆動装置230の1つ又は2つ以上のアクチュエータ(例えば、モータ)を作動させる。いくつかの実施形態では、外科用ツール240の対応する駆動ディスク234と関連付けられた各アクチュエータは、同時に、連続的に、又は同時作動と連続的な作動との組み合わせで作動され得る。図3は、ハウジングの嵌合表面上に同一平面的に配置された、ツールディスク244-iなどの4つのツールディスクを利用する外科用ツール240の例を示す。各ツールディスクは、エンドエフェクタ246の動き及び/又は作動の少なくとも一部に寄与する。外科用ツール240とツール駆動装置230との取り付け(例えば、それぞれのハウジングの嵌合面の接合)を検出すると、制御ユニット210(又は係合制御装置316としてメモリ314に記憶されている命令を実行している間のプロセッサ312)は、駆動ディスク234-jなどの対応する4つの駆動ディスクのみを回す必要がある(対応するアクチュエータ238-jを作動させる必要がある-図2を参照)と決定するプロセスを実施して、係合プロセスを実施する。
【0035】
図2に戻ると、アクチュエータ238-jの動作中、外科用ツール240とツール駆動装置230との取り付けが検出された後、1つ又は2つ以上のセンサ236-jは、それらのモータが動き始めるように信号伝達されるときに、アクチュエータ238-jの1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータを測定する。一実施形態では、アクチュエータ238-jは、ケーブル駆動型外科用ツールのために、その取り付けられた(まだ係合していないが)ツールディスク244-iにツール240の伝達ハウジング内のケーブルを巻き取らせる方向に回ることとなる。一例として、図4Aを参照すると、ツールディスク244の運動445は、ケーブル446の巻き戻しを回避し、それにより、ツールディスク244を所定の場所に保持するか、又はツールディスク244を(ケーブル446を巻き取る)運動方向445に回し始める。図4B及び図4Cに関連して以下で更に説明されるように、ツールディスク244のこの回転は、係合が達成されるまで継続する。
【0036】
別の実施形態では、選択されたアクチュエータは、ツールディスク244に接続されたエンドエフェクタ246が物理的制約に向かって動くように(例えば、顎部が、カニューレ壁に対して停止するまで開放される、完全に開放された位置でハードストップにぶつかるときに運動範囲の最大値が達成されるなど)、その取り付けられたツールディスク244が回転を引き起こすように回るように信号伝達される。2つのアクチュエータが内視鏡カメラを回転させる負荷を分散し、内視鏡カメラにはカメラの回転に対するハードストップが存在しない場合がある内視鏡の実施形態などの更に別の実施形態では、選択されたアクチュエータは、その取り付けられたツールディスク244-iを、ツール240の伝達ハウジング内の同じ出力シャフトにも回転可能に結合される別のツールディスク244-jの運動に対抗する方向に回転させる。その場合、ツールディスク244-i、244-jの一方が係合するとすぐに、他のツールディスクに対して物理的制約としての機能を果たす。本明細書の考察と一致する他の所定の運動方向もまた使用され得る。
【0037】
更に、いくつかの実施形態では、アクチュエータの動きは、制御ユニット210によって徐々に傾斜又は増加される(例えば、制御ユニット210は、動き開始時に低速で回転し始めるようにアクチュエータに信号伝達するか、又は指令し、次いで、速度を漸進的に増加させ、その後、係合が検出されると速度を漸進的に減少させる)。
【0038】
一実施形態では、ツールの係合を促進するために、外科用ツール246の情報記憶ユニット242に記憶された較正値を使用してもよい。例えば、較正値は、製品の組み立て又は試験中に記録された、特定のツールディスク244-jの工場で決定された位置(角度)を含むことができる。係合プロセスは、対応する駆動ディスク234-jのホーム位置の知識を有することを必要とし得る。この知識は、ツールドライバ較正ルーチンを実施する制御ユニット210によって得ることができ、ここで、制御ユニット210は、特定の駆動ディスク234-jの位置がホーム位置に到達したときを決定し(制御ユニットが駆動ディスク234-jを作動させるときに)、その結果、この駆動ディスク234-jの位置は制御ユニット210に既知となる。制御ユニット210は、ツール駆動装置230内にある位置センサからの出力にのみ依存しながらこれを行ってもよく、ツール240自体は、その中に電子センサを有さないという点において受動的であり得ることに留意されたい。
【0039】
次に、制御ユニット210は、駆動ディスク234-jの位置変数が工場で決定された位置に近接するまで駆動ディスク234-jが高速で回るように、駆動ディスク234-jの対応するアクチュエータを作動させてもよい。駆動ディスクが、工場で決定された位置(例えば、ツールディスクのホーム位置)に対して、ツールディスク及び駆動ディスクの嵌合特徴部がほぼ整列することを意味する閾値距離を満たすと、速度は、嵌合特徴部が最初の遭遇時に互いに係合する可能性を高めるように減少され得る。このプロセスは、直接的な伝達装置、並びにケーブルを利用してエフェクタを駆動するツールディスク(図4Aのようなもの)の両方に有効である。ツールディスクの場合、較正値は、ケーブルの最大巻き取り長を超えないこと、又は係合されたツールディスク244-j及び駆動ディスク234-jの回転角度を超えないことを確実にするために、係合が検出された時点で駆動ディスク234-jの継続的な回転を制限するために使用することができる回転数(例えば、モータ駆動シャフトの全回転数)を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、制御ユニット210(センサ236を介して)によって監視されるモータ動作パラメータは、ツールディスクと駆動ディスクとの機械的係合の成功を意味すると解釈される。これらの動作パラメータは、トルク又は力センサによって測定されるような、アクチュエータ238-jによって印加されるトルクの測定値、ある特定の速度で動くようにアクチュエータを駆動しようと試みるとき(例えば、センサ236-jが、モータ入力駆動端子と直列の電流感知抵抗を含み得る場合)にアクチュエータ238-jのモータに供給される電流の測定値、ある特定の速度で動くようにモータを駆動しようと試みるとき(例えば、センサ236-jが、モータ入力駆動端子の電圧を測定するための電圧感知回路も含み得る場合)に、アクチュエータのモータの入力駆動端子に見られるような電気インピーダンスの測定値、アクチュエータ238-jの速度(例えば、センサ236-jが、アクチュエータ238-jの出力シャフト上又はモータの駆動シャフト上に位置エンコーダ(センサ)を含み得る場合)、並びに、本明細書ではモータ動作パラメータと呼ばれる他のパラメータを含むことができる。特定のアクチュエータの1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータを監視する間、これらのパラメータのうちの1つ又は2つ以上が所定の条件又は閾値を満たす(例えば、クリアするか、又はこれらに達する)とき、そのような状況の検出は、制御ユニット210によって機械的係合事象と解釈されることができる。所定の条件を満たすことは、例えば、監視されている動作パラメータが、同じアクチュエータ238-jの一部であるか、又は係合検出プロセス中に制御ユニット210によって同時に制御されている別のアクチュエータ238-iの一部である別のモータの動作パラメータに対して、閾値に従って特定の変化を示すことを意味する場合があることに留意されたい。
【0041】
いくつかの実施形態では、i)トルク閾値を満たす(例えば、上昇し、到達する)トルク、ii)電流閾値を満たす(例えば、上昇し、到達する)モータ電流、iii)インピーダンス閾値を下回るインピーダンス、iv)モータ速度閾値を下回るモータ速度、又はそれらの組み合わせ、のうちの1つ又は2つ以上など、アクチュエータ238-jの動作中のある特定のモータ動作パラメータの検出は、駆動ディスク234-jに対するツールディスク244-jの機械的係合が生じたことを決定するために、制御ユニット210によって使用される。以下は、そのようなプロセスのいくつかの例である。
【0042】
一実施形態では、ツールディスク244-jがケーブル446を使用してそのエンドエフェクタ246の動きを制御する場合、アクチュエータ238-j(対応する駆動ディスク234-jを駆動する)は、ケーブルを巻き取る方向(本明細書では、制御ユニット210が前もって特定されたツール240のタイプに基づいて、知識を有し得る運動方向445)に動く。図4Aは、ツールディスク244のディスク面上に一対の結合特徴部447a、447bを有するツールディスク244を示し、結合特徴部は中空円として示されている。各結合特徴部447a、447bは、ディスク面に形成された別個の円筒形空洞であり得る。運動方向445は、ケーブル446をその周りに巻き取り、ここで、この初期状態では、ケーブル446は、図のように、ケーブル446が運動方向445に巻き取られているときに消失するいくらかのたるみを有する。
【0043】
駆動ディスク234は、図4Bに見られるように、ツールディスク244と同心円状に整列されている。すなわち、図4Bは、ツールディスク244及び駆動ディスク234のそれぞれのディスク面が互いに接触するように、駆動ディスク234がツールディスク244の上に整列されて重ね合わされているところを示す。駆動ディスク234は、塗りつぶされた円として示される一対の結合特徴部448a、448bをそのディスク面上に有する。各結合特徴部448a、448bは、ディスク面上に形成された別個の円筒形ピンであり得る。この特定の例では、結合特徴部448の各々は、(2つの相補的な特徴部が整列されると)特徴部447のいずれかに容易に適合するようにサイズ決定されている。図4Bでは、特徴部447a、447bと特徴部448a、448bとは、それぞれのツール及び駆動ディスクの面が互いに接触しているにもかかわらず、位置がずれている。言い換えれば、図4Bでは、特徴部447a-448a、又は特徴部447a-448bなどの特徴部の1つ又は2つ以上の嵌合又は相補的な対は、まだ互いに機械的に係合されていない。そのような状態の間、駆動ディスク234はそのアクチュエータ238によって駆動され続け、機械的係合が図4Cに示される状態に達するまで運動方向445に移動する(回る)。
【0044】
図4Cに示されるように、駆動ディスク234は回りながら、結合特徴部447a-448a及び結合特徴部447b-448bの両方が、図示のように互いに機械的に係合されている点に到達し、その結果、それらがここでは一体となって動いている(駆動ディスク234が回り続ける場合)。本明細書での例では、この図に示されるように、各ピン空洞の対がここではインターロックされいる。加えて、この時点で、ケーブル446は、巻き取られた後にここで教示されており、したがって、駆動ディスク234が運動方向445に回り続けるとき、ツールディスク244を所定の場所に保持する(その回転を防止する)のを助ける働きをすることができる。図4Cの状態で駆動ディスク234を更に回すと、ケーブル446はそのエンドエフェクタ246を引き寄せるので、ケーブル446がハードストップに達するまでケーブル446の張力が増加し得、これにより、現在係合されている駆動ディスク234の運動方向445への更なる動きに対する物理的制約が生じる。
【0045】
駆動ディスク234を更に回すことに対する物理的制約は、モータ動作パラメータの測定、及び係合を示すと予め決定されている場合がある1つ又は2つ以上の閾値との比較を行う制御ユニット210による、機械的係合事象の検出を可能にする。例えば、モータは、巻線方向の更なる動きが制約されるため、1つ又は2つ以上の閾値を下回るモータ速度/速さは、係合を示す。別の例として、係合は、モータによって印加されるトルクが、自由に動くモータよりも大きい値まで増加するとき、及び/又は、ツールディスク及び駆動ディスク並びに/又は取り付け特徴部が係合前に互いに対してこすれる又は摺動することに起因する摩擦よりも大きい値まで増加するときに、生じる。同様に、他の実施形態では、係合が生じるとき、及び駆動ディスクの所定の方向への動きを継続しようとする試みにおいて、動力がモータに供給され続けるときに、測定された電流及び/又はインピーダンスが所定の最大値に近づく、また、達する場合がある。これらの閾値のうちの1つ又は2つ以上が満たされると、制御ユニット210は、ツールディスクとドライブディスクとの間で係合が生じたと結論付けることができる。
【0046】
駆動ディスクとツールディスクとの係合の成功を検出するために、制御ユニット210は他の形態の物理的制約を使用することができる。例えば、エンドエフェクタの関節(例えば、-45~45度の軸を中心にのみ回転することができる関節)によって課される運動範囲の機械的限界又は動きに対する物理的障壁(例えば、エンドエフェクタの動きを妨げるカニューレ壁)などの運動制約はまた、ケーブル駆動型ツール又はケーブル非駆動型ツールのいずれかについて、上記の物理的制約/ハードストップとして利用され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、外科用ツール240は、モータ動作パラメータを測定することができる動きの少なくとも1つの自由度で、物理的制約/ハードストップを有さなくてもよい。例えば、ツールディスク244-jは、軸を中心にエンドエフェクタ246要素の制約されていない回転を付与することを担当してもよい。しかしながら、そのような制約されていない動きでも、制御ユニット210は、係合検出プロセス中の1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータの変化を検出することによって、駆動ディスク234-jのツールディスク244-jへの係合を依然として検出し得る。例えば、特徴部488を通過して回転する(したがって、互いに係合していない)特徴部447によって引き起こされる繰り返しトルクスパイクなどのモータ動作パラメータパターンは、係合の欠如を示す。したがって、(駆動ディスク234-jが回り続ける間の)トルクスパイクパターンの停止又は非存在は、制御ユニット210が、ツールディスクと駆動ディスクとの係合を検出したことを意味する。
【0048】
いくつかの実施形態では、物理的制約は、複数の駆動ディスクの動きを調整することの使用、及び/又は第2の駆動ディスクを係合する前に単一の駆動ディスクを係合させることによって生じ得る。例えば、2つ又は3つ以上のツールディスク(外科用ツール240の同じハウジング内の)が、切断ツール又はクランプツールが単一のアクチュエータ238-jが供給できる力を超える力を印加する必要がある場合などに同じ方向に回るときに、ツール240のハウジング内の伝達装置によって接続されて負荷(エンドエフェクタ246)を分散させる場合について考察する。そのようなある実施形態では、同じ方向に回っている2つ又は3つ以上のアクチュエータ(それらのそれぞれの駆動ディスクが同じ方向に回っている)は、(対応するツールディスクに接続された外科用ツール240の伝達装置により)外科用ツール240の内側にある同じ出力シャフトを駆動している。ここで、2つのアクチュエータが、反対方向に動くように信号伝達された場合、駆動ディスクのうちの1つがその対応するツールディスクに係合するとすぐに、これは、他方の駆動ディスクに対する物理的制約になる(他方の駆動ディスクがその対応するツールディスクに係合している場合)。2つ又は3つ以上のアクチュエータのうちの1つが係合する(その駆動ディスクがその対応するツールディスクに係合する)と、制御ユニット210は、例えば、位置保持状態に入るために、係合されたアクチュエータに信号伝達することによって、他のアクチュエータに対して制約を生じさせる。すなわち、第1のアクチュエータ238-jは、その位置を保持するように制御ユニット210によって指令されるが、他方の係合されていないアクチュエータ238-iは、駆動するための信号伝達が継続され、したがって(その駆動ディスク234-iとツールディスク244-iとの間の係合に向かって)回るか、又は動く。この実施形態では、アクチュエータのモータ動作パラメータの一方又は両方を監視して、ツールディスクと駆動ディスクの対との間の係合を検出することができる。更に、ハードストップが存在する場合(制御ユニット210は、この特定のツール240がハードストップを有することを予想している又は知っている)、係合された駆動ディスクのアクチュエータは、ハードストップが検出されるまで、駆動し続けるか、又は同じ方向に回り続けるように信号伝達されることができる。他のアクチュエータは、反対方向に回り続け、既に係合されたアクチュエータがハードストップでその位置を保持する間に係合しようと試みてもよい。
【0049】
図2に戻ると、上記のように、制御ユニット210によって実施されるツール識別は、制御ユニット210が外科用ツール240のエンドエフェクタ246の特性の知識を得ることを可能にする。例えば、制御ユニット210は、その識別プロセスを使用して、ツール240内の2つ(又は3つ以上)のツールディスクがエンドエフェクタの動きを付与するために協働して作動するかどうか、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上の動きがハードストップ又は物理的制約を受けるかどうか、エンドエフェクタの動き範囲はどうか、ツール240によってどのようなアクチュエータが使用されるか、及びツールディスクのホーム位置など、工場で定義された較正値を決定してもよい。較正値は、例えば、290度+/-4度の範囲を含み得ることに留意されたい。そのような較正値、例えば、ツールディスク244-iのホーム位置に基づいて、また、対応する駆動ディスク234-iの現在位置に基づいて(ツール駆動装置230内の位置エンコーダを使用して決定される)、制御ユニット210は、(アクチュエータが回るように信号伝達されるときに)係合プロセス中の差異を追跡することができる。差異が所定の閾値よりも大きい限り、アクチュエータは、急速に回る(速い回転)ように信号伝達され、その後、差異が閾値よりも小さくなることに応答して(駆動ディスクが較正値であるホーム位置に近づいていることを意味する)、アクチュエータは、ゆっくりと回る(遅い回転)ように信号伝達される。これにより、信頼できる係合が検出される可能性が高まることが予想される。
【0050】
いくつかの実施形態では、係合が制御ユニット210によって検出された後、制御ユニット210は、エンドエフェクタ246に対して1つ又は2つ以上の追加の動作行い、係合を確認してもよい。例えば、制御ユニット210は、係合を試験するために、駆動ディスクを逆方向に回すように信号伝達し、それにより、係合プロセス中に行われていた方向とは反対方向にエンドエフェクタを動かす、予想される最大運動度を達成するためにエンドエフェクタを動かすなど、所定の1つ又は2つ以上の運動のセットをエンドエフェクタに課してもよい。このような動きは、制御ユニット210が、例えば、1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータに基づいて本明細書で考察されるように検出されるハードストップに到達するか又は物理的制約に再び到達して、ツールディスクと駆動ディスクとの間の機械的係合を確認することを可能にする。
【0051】
更に、いくつかの実施形態では、制御ユニット210は、ハードストップ又は物理的制約を利用して、エンドエフェクタの参照位置を設定してもよい。例えば、エンドエフェクタがある特定の方向で270°の回転に達したときにハードストップが発生することを知ることにより、制御ユニット210は、対応するアクチュエータ又は駆動ディスクの位置の較正値を設定することができる。次いで、駆動ディスクの回転数、モータシャフト、歯車比、駆動ディスク/モータ指標などに基づいて、アクチュエータ又は駆動ディスクの動きを追跡することができる。
【0052】
更に、いくつかの実施形態では、制御ユニット210は、ツールディスクと駆動ディスクとの係合を達成しようと試みるときに、指定された回数、指定された回転数、又はそれらの組み合わせで1つ又は2つ以上のモータが作動するように信号伝達してもよい。閾値時間量、回転数など範囲内で係合が達成されない場合、制御ユニット210は、外科用ロボットシステムの操作者(例えば、図1のシステム100の操作者)に、外科用ツール240を取り外し、次いで再取り付けして、係合プロセスを再開するように警告を発してもよい。
【0053】
駆動ディスクとツールディスクとの機械的係合が制御ユニット210によって検出された後、操作者は、外科用ロボットアーム220の1つ又は2つ以上の関節の運動を指示してもよい。上記のように、コマンドが、対応する制御信号に変換されるUIDからの空間状態信号として、1つ又は2つ以上のUID(例えば、UID114)から受信され、又はUIDから発信され、これらコマンドは、エンドエフェクタの姿勢、位置、又は他の状態を変化させるツール駆動装置230の1つ又は2つ以上のアクチュエータに通電するために制御ユニット210が提供する対応する制御信号(例えば、所望のモータ速さ又は電流及び回転方向)に変換される。一実施形態では、2つ又は3つ以上のツールディスクが同じ自由度でエンドエフェクタの運動を付与するときなど、2つ又は3つ以上のアクチュエータがエンドエフェクタの運動を協働的に制御している場合、制御ユニット210は、アクチュエータが、エンドエフェクタを動かすときに相補的に動作し、エンドエフェクタの動作と関連付けられた負荷を分散し、そのような運動を付与する際に互いに抵抗せず、あるアクチュエータが他のアクチュエータよりも継続的に多く又は少なく作動しないようにアクチュエータ間のバランスを維持することを確実にするための協働制御技術を更に実施する。例えば、2つ又は3つ以上のアクチュエータがエンドエフェクタ246の顎部の開放、閉鎖、及び掴み力の印加を制御するために使用されるとき、制御ユニットは、2つ又は3つ以上のアクチュエータのうちの第1のアクチュエータをマスタアクチュエータとして識別し、残りの1つ又は2つ以上のアクチュエータをスレーブアクチュエータとして識別するマルチアクチュエータ動作制御技術を利用する。次いで、マスタアクチュエータに信号伝達してエンドエフェクタ246を指令された位置に動かすために提供された位置コマンドが、スレーブアクチュエータにも信号伝達されて、エンドエフェクタ246を同じ指令された位置に動かす。例えば、マスタアクチュエータ及びスレーブアクチュエータが複製される場合、マスタアクチュエータがある特定の極性(そのモータの回転方向)及びある特定のモータ電流値を受信して所与のエンドエフェクタ位置コマンドを満たす場合、同じ極性及び電流値も、スレーブアクチュエータの各々に供給され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、本明細書でより詳細に考察されるように、マスタアクチュエータとスレーブアクチュエータの回転方向が異なるときにスレーブの極性を反転させる、モータの属性が異なるときに(例えば、指令されたモータ電流の)ゲインを調整するなど、アクチュエータの運動が互いに補完される方法についてのいくつかの相補性が存在してもよい。
【0054】
図3は、外科用ツール240、ツール駆動装置230、及び制御ユニット210の例を示すブロック図である。外科用ツール240は、それぞれのハウジングの相補的な表面又は嵌合表面を互いに接触させることによって、ツール駆動装置230に取り付けられ得る。取り付けはまた、ハウジングを互いに締結することを含み得る。更に、ツール駆動装置230の1つ又は2つ以上のセンサ(図示せず)が、取り付けを検出するために制御ユニット210によって使用され得、検出には、外科用ツール240を識別する、どのツールディスク(例えば、ツールディスク244-j)がエンドエフェクタ246の動きを制御するために使用されているかを示す、較正値を含む、ツールがハードストップを有するかどうかを示す、又はどのツールディスクが外科用ツール240における他のツールディスクの動きに寄与するか、若しくは伝達装置によって他のツールディスクに接続されているかを示す、外科用ツール240からのデータを読み取ることが含まれる。データは、制御ユニット210の通信インターフェース318とツール駆動装置230内のセンサ読み出し回路(図示せず)との間に確立された通信リンク(例えば、有線又は無線リンク)を介して、制御ユニット210に伝達され得る。次いで、データは、係合制御プログラム(係合制御装置316)の一部としてメモリ314に記憶されてもよく、特定の外科用ツール240がツール駆動装置230に取り付けられたままである限り、特定の外科用ツール240と関連付けられてもよい。
【0055】
プログラムされたプロセッサ312を含む制御ユニット210は、例えば、制御タワー103内の共有マイクロプロセッサ及びプログラムメモリとして、外科用ロボットシステム100(図1)に組み込まれてもよい。代替的に、制御ユニット210は、手術室とは異なる部屋、又は図1に示される手術室とは異なる建物などにある遠隔コンピュータに実装されてもよい。更に、制御ユニット210はまた、図示されていないが、ロボットアーム及びその取り付けられたツール240、電源デバイス(例えば、バッテリ)、並びに外科用ロボットシステムを制御するための電子デバイスと典型的に関連付けられた他の構成要素の手動制御を可能にし得るユーザインターフェースハードウェア(例えば、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、スピーカ)も含んでもよい。
【0056】
メモリ314は、1つ又は2つ以上のプロセッサ312(簡略化するために本明細書では「プロセッサ」と総称的に呼ばれる)に結合されて、プロセッサ312による実行のための命令を記憶する。いくつかの実施形態では、メモリは、非一時的であり、ツール制御装置320及び係合制御装置316を含む1つ又は2つ以上のプログラムモジュールを記憶し得、その命令は、本明細書に記載される係合プロセスを実施するようにプロセッサ312を構成する。言い換えれば、プロセッサ312は、ツール制御装置320及び係合制御装置316の一部としてメモリ314に記憶されたプログラム、ルーチン、又は命令の実行の制御下で動作して、本明細書に記載される態様及び特徴に従って方法又はプロセスを実行してもよい。
【0057】
外科用ツール240とツール駆動装置230との取り付けを検出することに応答して、係合制御装置316は、ツールディスク344-iと対応する駆動ディスク334-iとの係合など、ツールディスクと対応する駆動ディスク(アクチュエータ駆動型である)との機械的係合を検出するためのプロセスを実施する(又はむしろ実施するためのプロセッサ312を構成する)。係合制御装置316は、ツール駆動装置230のアクチュエータのうちの1つ又は2つ以上が、それらのそれぞれの駆動ディスクの運動を付与するように(ツール制御装置320を通じて)信号伝達することができる。いくつかの実施形態では、これらの指示又は信号は、ある特定の電圧コマンド、電流コマンドなどを適用することによって、モータが特定の量のトルクを生成若しくは印加し、駆動ディスクを特定の速さ及び方向で回転させるように、モータに通電する、モータを作動させる、又はその他の方法でモータに動力を供給するための命令を含む。更に、各駆動ディスクの運動は、係合検出プロセス中に最初は急速に開始し、次いで係合が近くなるか、又は嵌合特徴部の整列が近いことが検出されるか、若しくは係合を検出せずに所定の時間制限に達すると、ゆっくりとランプダウンするように制御することができる。例えば、駆動ディスクのツールディスクに対する相対位置(既知の較正値に基づき得る)に基づいて、アクチュエータ速さは、所定の速さまでランプダウンされる(例えば、駆動ディスクが、嵌合特徴部が整列される場所の閾値距離内となるまで。
【0058】
係合制御装置316は、ツール駆動装置230のアクチュエータのモータの1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータを監視する。本明細書で考察されるように、モータ動作パラメータには、モータによって付与されるトルク、モータに供給される電圧、ある特定の速度で動かすためにモータを駆動しようと試みるときにモータの入力駆動端子上に見られるようなインピーダンス、モータ速さ、並びに他のモータ動作パラメータを含めることができる。これらのパラメータのうちの1つ又は2つ以上は、それらを閾値と比較することによって監視されてもよく、その結果、閾値に達したときに、機械的係合事象が発生したとみなされる(例えば、ツールディスク344-iと駆動ディスク334-iとの間で)。本明細書で考察されるように、機械的係合は、ツールディスク及び駆動ディスクの対応する各嵌合特徴部が整列し、互いに締結されて、駆動ディスクの回転が、例えば、機械的に係合されたツールディスクの(駆動ディスクと一体となった)即時回転及び比例回転の両方を引き起こすことになるときに、検出されると予想される。そのような係合は、モータ動作パラメータのうちの1つ又は2つ以上が閾値を満たす(例えば、ハードストップに達したことを示す閾値、最大トルク、電圧、若しくはインピーダンス値、ツール240がツール駆動装置230に最初に取り付けられたときに最初に現れる摩擦を克服するために必要とされるものよりも大きいであろうトルク、電圧、あるいはインピーダンス値に達するか、又はこれを超える)ときに検出されると予想される。したがって、係合制御装置316は、ツールディスク344-iと駆動ディスク334-jとが互いに係合されている(例えば、それぞれのディスク嵌合特徴部が互いに締結されている)ことを推測又は推定する。
【0059】
係合制御装置316は、ツール駆動装置230から入手できるモータパラメータのすべてについてセンサ読み取り値を監視する必要はないことに留意されたい。代わりに、係合と関連付けられた閾値がいつ満たされるかを決定するために、係合制御装置316は、例えば、外科用ツール240が任意のハードストップ又は物理的動き制約を受けるかどうか、1つ又は2つ以上のツールディスクが外科用ツール240に動きを付与するために協働して動作する(互いに協働する)かどうか、ツールディスクがケーブルを介して若しくは直接(例えば、歯車ボックスを通じて)外科用ツール240に動きを付与するかどうか、又はそれらの組み合わせに基づいて、関心のある1つ又は2つ以上の特性のみを監視することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、係合制御装置316は、駆動ディスク234-jがツールディスク244-jの上で回転するが機械的係合を伴わない結果であるトルク、電圧、モータ速さ、インピーダンスなどのパターンなど、モータ動作パラメータのパターンを監視する。すなわち、自由に動く駆動ディスク(外科用ツール240がツール駆動装置230に取り付けられていない場合)によって示されるものよりも大きく、機械的に係合された駆動ディスクよりは小さい(例えば、ツールハウジングとツール駆動ハウジングが接触しているが係合せずに、ツールディスク及び駆動ディスクのそれぞれの嵌合特徴部が互いに通過する)、ある量のトルク、力、電圧などが測定され得る。このモータパラメータパターンが、ハードストップ又は物理的運動制約に遭遇するなどにより検出されるように変化したとき、係合制御装置316は、機械的係合を検出したとされる。監視及び解釈パターンベースのモータ動作パターンはまた、ハードストップ又は運動制約が利用可能でないときであっても、又は駆動ディスクをツールのハードストップ又は他の運動制約に対して駆動する必要なしに、係合制御装置316が(ツールディスク344-jと駆動ディスク334-jとの間の)係合を検出することを可能にする。
【0061】
いくつかの実施形態では、係合制御装置316が、ツールディスクと駆動ディスクとの機械的係合を検出すると、これによりツール駆動装置230のアクチュエータが1つ又は2つ以上の運動の所定のセットを受けるように信号伝達される検証プロセス又は係合チェックが開始して、検出された係合を検証することもできる。例えば、アクチュエータは、それらのそれぞれの駆動ディスクを係合方向とは反対の方向に回転させるように命令され得る(係合方向とは、係合が最初に検出されたときに、例えば、図4Aに見られる運動方向445に駆動ディスクが回転していた方向である)。次に、駆動ディスクは、第2の係合が検出されるまで(例えば、特定のモータパラメータが、ツールディスクがハードストップ又は運動制約に達するのと一致する閾値に達するとき、特定のモータパラメータが、摩擦(ツールディスクと対応する駆動ディスクとの間の摩擦)のみによって生じるものではない、回転ツールディスクに対する抵抗と一致する閾値に達するとき、又はそれらの組み合わせ)、係合方向に回転して戻ってもよい。
【0062】
係合制御装置316は、ツールディスクの駆動ディスクへの係合が検出されたことに基づいて、又は係合を検出することなく期限切れになったカウントダウンタイマに基づいて、外科用ロボットシステムの操作者への通知を生成する。通知は、外科用ツール240の使用準備ができていること、又は係合が生じていないこと、又は外科用ツール240が再取り付けされるべきであることを示すことができる。
【0063】
図5Aは、本開示のある実施形態による、外科用ロボットシステムのツール駆動装置と外科用ツールとを係合するためのプロセス500を示すフロー図である。プロセス500は、メモリに記憶されたソフトウェアに従って構成されているプログラムされたプロセッサ(本明細書では処理ロジックとも呼ばれる)によって実施され得る(例えば、図3のプロセッサ312及びメモリ314であり、プロセッサ312は、ツール制御装置320及び係合制御装置316の命令に従って構成されている)。
【0064】
図5Aを参照すると、処理ロジックは、ツール駆動装置の駆動ディスクを回転させるためにツール駆動装置のアクチュエータを作動させることによって開始する(処理ブロック502)。例えば、処理ロジックは、ツール駆動装置(例えば、ツール駆動装置230)の線形アクチュエータ又は回転アクチュエータを作動させて、駆動ディスク(例えば、駆動ディスク234-j)を回すか又は回転させ得る。更に、本明細書で考察されるように、機械的に係合されると、駆動ディスク(例えば、ディスク234-j)の回転は、外科用ツール(例えば、外科用ツール240)の対応するツールディスク(例えば、ディスク244-j)の即時又は直接回転を引き起こす。
【0065】
処理ロジックは、モータを起動させながら駆動ディスクの回転を引き起こすアクチュエータの1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータを監視する(処理ブロック504)。いくつかの実施形態では、監視されているモータの動作パラメータは、トルク、モータ電流、モータ速度、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0066】
1つ又は2つ以上の監視されているモータ動作パラメータに基づいて、処理ロジックは、駆動ディスクがツールディスクと機械的に係合したときを検出する(処理ブロック506)。一実施形態では、検出は、監視されている1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータのうちの少なくとも1つが対応する条件又は閾値を満たすときに又はそれに応答して行われる。例えば、条件は、モータがツールディスクの更なる回転に対して物理的制約に達する(例えば、動きに対する物理的障壁に遭遇したときに運動範囲の機械的な限界に達する、ツールのエンドエフェクタの最大運動度に到達する、別の起動されたモータアクチュエータとの対向が発生するなど)ことに応答して発生するモータ動作パラメータの値と関連付けることができる。別の例として、条件は、回転中に駆動ディスクがツールディスクに接触して摺動することによる摩擦があるが、駆動ディスクをツールディスクに機械的にラッチ又は締結しないときに示されるモータ動作パラメータを表し得る。本明細書で考察される実施形態では、駆動ディスクとツールディスクとの機械的係合が検出されると、システム又は操作者通知を生成すること、1つ又は2つ以上の係合検証動作を開始すること、参照値を格納することなどの1つ又は2つ以上の追加の動作が、処理ロジックによって実施され得る。
【0067】
図5Bは、駆動ディスクを駆動しているアクチュエータの1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータに基づいて、ツールディスクと駆動ディスクとの係合を検出するためのプロセス550を示すフローチャートである。プロセス550は、ハードワイヤード回路とプログラムされたプロセッサとの任意の組み合わせを含み得る処理ロジックによって実施され、例えば、プロセス550は、上述のツール制御装置320及び係合制御装置316に従ってプログラムされたプロセッサ312によって実施され得る。プロセスは、取り外し可能な外科用ツールが外科用ロボットシステムのロボットアームのツール駆動装置に取り付けられていることを検出することで開始することができる(処理ブロック552)。取り付けは、無線検出範囲内に入る、又は取り外し可能な外科用ツールに内の情報記憶ユニットと導電接続されている、ツール駆動装置のセンサに基づいて検出され得る。本明細書で考察されるように、情報記憶ユニットは、ツール識別子を含んでもよく、また、ツールハウジング内の複数の利用可能なツールディスクのうちのどれがハウジング内の伝達装置によって取り外し可能な外科用ツールのエンドエフェクタに実際に接続されているか、ツール内のどのタイプの伝達装置がエンドエフェクタの動きを制御するか(例えば、ケーブル駆動型、直接駆動など)、どの方向の動き又は回転が許可されるか、そのような動き又は回転の任意の範囲がある場合の較正値(例えば、ケーブル長、現在のケーブル長、最大巻き上げ、ツールディスクの回転位置又はツールディスクのホーム位置など)など、追加のツール属性、並びに本明細書で考察される他のツール属性も含んでもよい。
【0068】
次いで、ツール駆動装置のうちの少なくとも1つのモータが起動され、少なくとも1つのモータに、ツールディスク(これは、外科用ツール内の伝達装置によって、エンドエフェクタの運動を制御するために接続されている)に対応する関連付けられた駆動ディスクを回転させる(処理ブロック554)。一実施形態では、モータに供給される電流、モータによって達成されるトルク、又は動きの方向がツール制御装置320に信号伝達され、その結果、モータは、駆動ディスクを所定の方向に所定の速度で回転させる。言い換えれば、処理ロジックは、信号をモータドライバ回路に送り、モータドライバ回路に指令して、モータに動力を印加するか、又はモータに通電する。いくつかの実施形態では、所定の速さは、例えば、ツールのタイプ、ツール駆動伝達装置のタイプ(例えば、ケーブル駆動型、直接駆動など)、遭遇する拘束のタイプ(例えば、ハードストップ、物理的制約、対向運動制約)、又はそのような要因の組み合わせに関する、ツール駆動装置と、取り外し可能な外科用ツールとの取り付けが検出された時点での決定に基づいて設定される。次いで、ツール駆動装置の少なくとも1つのモータの1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータが監視される(処理ブロック556)。監視されているモータ動作パラメータは、モータの運動を引き起こすための処理ロジックによって制御されるものに対応し得る(例えば、トルク、速さ)。
【0069】
図5Bに戻ると、処理ロジックは、係合条件が満たされているかどうか、例えば、監視されているモータ動作パラメータが閾値に達しているかどうかを確認するために、繰り返しチェックする(処理ブロック558)。係合条件が満たされている場合、機械的係合事象がフラグ付けされ、駆動ディスクがその対応するツールディスクと機械的に係合していることを示す(処理ブロック564)。本明細書で考察されるように、閾値は、駆動ディスクの機械的係合と関連付けられた条件を示す。例えば、機械的係合は、所定の速度又は速さでモータと関連付けられたトルク、電流、又はインピーダンスが、モータ遭遇ツールがツールディスクの摩擦のみに関連している値を超えるときに、予想される。閾値は、そのような摩擦を克服するために必要なトルク、電圧、インピーダンスなどよりも大きい値であり得る。別の例として、エンドエフェクタの動きは、関節運動の最大範囲、ハードストップ(例えば、カニューレ壁によって課される)、別の駆動ディスクの対向運動、並びに他の物理的制約などの物理的制約を受ける場合がある。その場合、モータの動きの速さ及び方向は、エンドエフェクタ又はツールディスクを物理的制約に向かって前進させるように選択される。次いで、物理的制約に達すると、監視されているトルク、電流、インピーダンスは、最大にスパイクされ、一方で速度はゼロに低下する。この例では、1つの閾値は、ほぼその最大値に設定されたトルク又はモータ電流を指し得、別の閾値は、駆動ディスクの回転中のモータの公称速さよりも低く設定された速度、例えば、実質的にゼロを指し得る。したがって、2つの閾値は、互いに対するチェックとしての機能を果たし、係合の検出をより堅牢にする。
【0070】
駆動ディスクと対応するツールディスクとの係合が検出されたことに応答して、駆動ディスクの運動が停止される(処理ブロック566)。一実施形態では、運動が停止されると、エンドエフェクタの位置又は状態と関連付けられた1つ又は2つ以上の参照値が、後で参照及び使用するために格納され得る。例えば、物理的制約を使用して係合を検出した場合、その瞬間のモータの指標値、回転数などを格納することができ、その後、物理的制約に又はその近くにエンドエフェクタを再配置するために使用することができる。物理的制約は、例えば、最大ケーブル長、カニューレ壁、最大運動範囲などであり得る。更に、ケーブル駆動型ツールの場合には、ケーブルの過度の張力を防止するために、駆動ディスクの運動が停止され得るか、又はモータが、ブロック558で実施される検出に応答して同時に若しくはほぼ同時に作動停止される。
【0071】
関連する駆動ディスク(特定の外科用ツールの使用中のツールディスクに対応する駆動ディスク)のすべての係合が処理ブロック567で検出されると(ブロック554-556-558-564-566で上述されたプロセスが駆動ディスクごとに実施されていてもよい)、次に、ツール係合の通知が生成される(処理ブロック568)。通知は、視覚的通知(例えば、グラフィカルユーザインターフェース通知)、可聴通知(例えば、音調、音声など)、感覚(例えば、触覚通知)、又は外科用ロボットシステムのユーザインターフェースハードウェアによって生成されたそのような通知の組み合わせであってもよい。
【0072】
処理ブロック558に簡潔に戻ると、係合条件が満たされない(例えば、監視されているモータ動作パラメータが閾値を満たしておらず、その結果、ツールディスクと、対応する駆動ディスクとの機械的係合が生じていない)とき、時間又は回転限界に達しているかどうかの判定が実施される(処理ブロック560)。係合の失敗は、破壊されたケーブル、係合を可能にするために互いに十分に近接して位置付けられていないツールディスク及び駆動ディスクに起因し得る。)時間限界は、ツールディスクとの機械的係合を検出することなく駆動ディスクを回転させることができる所定の最大時間間隔(カウントダウンタイマ値)であり得る。同様に、回転限界は、そのそれぞれの駆動ディスクの1つ又は2つ以上の全回転を付与するために必要なモータ回転数であり得る。例えば、回転限界が駆動ディスクの1つの全回転と関連付けられている場合、駆動ディスクの単一の回転運動内で係合が生じるべきであると想定される。時間限界、回転限界、又は限界のいくつかの組み合わせに到達しない場合(処理ブロック560)、1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータ値の監視が継続する(処理ブロック556に戻る。)しかしながら、1つ又は2つ以上の限界に達した場合(処理ブロック560)、エラーが発生し、ツールの係合が失敗したという、処理ブロック568の通知と同様の通知が生成される(処理ブロック562)。この場合、外科用システムの操作者は、外科用ツールをツール駆動装置から取り外し、次いで、それらを再度取り付けて、図5Bの係合プロセスを再開するように命令され得る。
【0073】
ここで図5Cに戻ると、これは、外科用ロボットシステムの一部として、外科用ロボットツールをツール駆動装置と係合するために制御ユニットによって実施されるプロセスの図である。システムは、図2に図示される外科用ロボットツール240を備え、図示のように、外科用ロボットツール240の近位端には1つ又は2つ以上のツールディスクを、またその遠位端にはエンドエフェクタを有する。ツール駆動装置(例えば、ツール駆動装置230)は、図示のように、外科用ロボットアーム220の遠位端に装着され、ここで、ツール駆動装置230は、ツール駆動装置のハウジング内の回転モータによって各々駆動される1つ又は2つ以上の駆動ディスク234を有する。各駆動ディスク234は、外科用ツール240のツールディスク244に取り付けられて、エンドエフェクタ246に運動を付与する。
【0074】
図5Cに留まると、ツールディスクを駆動ディスクと係合するためのプロセスは、制御ユニットによって、具体的には、係合を行うように構成されている(又はプログラムされている)制御ユニットの1つ又は2つ以上のプロセッサによって実施される。動作は、外科用ツールがツール駆動装置に取り付けられたことを検出することで開始することができ(ブロック582)、これは、無線で又は有線接続を介してツールの識別又は他の属性を読み取るプロセッサによって行われ得、ツールは、ツールディスクが対応する又はそれぞれの駆動ディスクと接触するようにツール駆動装置と接触している。次いで、制御ユニットは、回転モータを通じて各駆動ディスクを作動させ(ブロック584)、作動中に、駆動ディスクがそれぞれのツールディスクに係合されたことを検出することができる(ブロック586)。駆動ディスクは、駆動ディスク及びツールディスクの一対の(複数の対、例えば、図4A図4Cに示されるように2対、若しくはそれ以上であってもよい)結合特徴部がインターロックされるときにツールディスクに係合されるとされる。係合を検出するために、制御ユニットは、回転モータの速度が所定の速度閾値を下回り、回転モータのトルクが所定のトルク閾値を超えて上昇することを含む、モータ状態(アクチュエータの状態、又はそのモータ動作パラメータ)の感知された変化を認識する。速度閾値は、モータが実質的に停止される速度に対応し得、トルク閾値は、i)モータが、係合前の駆動ディスクとツールディスクとの間の摩擦を克服するための最小トルクと、ii)モータが生成する最大トルクと、の間の値である。モータ状態の変化は、エンドエフェクタが関節限界に達する、エンドエフェクタに加わる外力、ツール駆動装置の別のモータが起動されることに起因する運動制約、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって引き起こされ得る。特定の外科用ツールに応じて、エンドエフェクタを動作させるために使用される2つ以上のツールディスクが存在し得る。その場合、上述の係合プロセスはまた、追加のツールディスク(ツール駆動装置内に対応する駆動ディスクを有する)ごとに実施される。次いで、プロセスは、ブロック588に続き、ここで、制御ユニットは、例えば、外科用ロボットシステムのユーザインターフェースサブシステムに信号伝達して、外科用ツールの係合を報告するが、特定のツールに使用されているツールディスクのすべてがそれらのそれぞれの駆動ディスクと係合されているものとして検出された場合にのみ、その係合を報告する。
【0075】
一実施形態では、フィードバックループを使用して、1つ又は2つ以上のモータ動作パラメータを監視し、閾値に到達したときを検出してもよい。図6は、速度フィードバックを使用してツール駆動装置のモータの速度を制御するために使用されるフィードバックループのブロック図を示す。フィードバックループは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせに実装され得る。速度コマンドは、コントローラ602によって受信される。コントローラ602は、例えば、適切なモータ電流(例えば、コントローラ出力、コントローラアウト)を提供して、速度コマンド(速度設定値とも呼ばれる)の速度で及びその方向にモータ/アクチュエータ604を駆動するためにループ/フィードバック機構を提供する比例積分偏差コントローラ(例えば、図7のPIDコントローラ702)であってもよい。例えば、方向は、ケーブル駆動型ツールディスク244-jの巻線方向であってもよい。別の例として、方向は、取り付けられたツールディスク244-iがツールディスク244-jと協働するべきである別のモータの運動に対抗する方向であってもよい。更に別の例として、方向は、モータがエンドエフェクタを物理的障壁又は運動範囲の機械的限界などのハードストップに向かって前進させる方向であってもよい。一実施形態では、コントローラ602は、モータ/アクチュエータ604へのコントローラの電流出力を生成するための尺度として、速度を達成するための所望のトルク、速度を達成するための電流、速度を示すインピーダンスなどの様々な値を使用することができる。
【0076】
トルクセンサ、速度センサ、又はセンサの組み合わせなどのセンサは、モータ/アクチュエータの実際の速度を測定する。次いで、実際の速度は、コントローラ602に戻るフィードバックとして提供され、コントローラ602は、モータの実際の速度と、指令された速度との間の差違に基づいてエラーを計算し得る。コントローラ602は、自らのコントローラ出力、例えば、モータ/アクチュエータ604を速度コマンド又は設定値に向かって動かすことになるモータ/アクチュエータ604へのモータ電流コマンド、モータ/アクチュエータ604によって達成されるトルク、インピーダンス値などを調整することによる差違に応答する。いくつかの実施形態では、コントローラ602は、フィードバックループを実行した結果として計算された、トルク、電流、インピーダンス、速度などのモータ動作パラメータを出力し得る。
【0077】
別の実施形態では、コントローラ602は、コントローラ出力(例えば、モータ電流を制御する値)が閾値、例えば、電流閾値、トルク閾値、インピーダンス閾値を超えないことを確実にするために、飽和ブロック(図示せず)を含むことができる。飽和ブロックによって使用されるか、又は飽和ブロックに入力される値は、二重目的であってもよい、すなわち、(係合プロセス中に監視される目的で)プロセッサに供給されるモータ動作パラメータ値としても使用されてもよい。
【0078】
図7は、ツール駆動装置のモータの速度を制御するためのコントローラ702を含むフィードバックループのブロック図を示す。一実施形態では、コントローラ702は、比例積分(proportional-integral、PI)コントローラであり、コントローラ602内で使用され得、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして部分的に実装され得る。
【0079】
速度コマンド(例えば、制御可変設定値)は、コントローラ702によって受信される。コントローラ702は、適切な電流(例えば、コントローラ出力)を調整及び提供して、速度コマンド/設定値の速度で、及びそれらの方向にモータ/アクチュエータ704を駆動するためのループ/フィードバック機構を提供する。例えば、方向は、ケーブル駆動型外科用ツールのツールディスクの巻線方向であってもよい。別の例として、方向は、ツール駆動装置の別のモータの運動に対抗する方向であってもよい。更に別の例として、方向は、モータがエンドエフェクタを物理的障壁又は運動範囲の機械的限界などのハードストップに向かって前進させる方向であってもよい。一実施形態では、コントローラ702は、モータ/アクチュエータ704へのコントローラの電流出力を生成するための尺度として、速度を達成するための所望のトルク、速度を達成するための電流、速度を示すインピーダンスなどの様々な値を使用を使用することができる。
【0080】
(例えば、フィードバックによって決定されるような)エラーに比例して速度を調整するための比例調整(例えば、ブロックk)、並びに経時的に積分された過去のエラーを考慮するように速度を調整するための積分調整(例えば、ブロックk)など、元の速度コマンドに対して調整が行われる。積分調整は、積分調整の値を更に調整するために、逆巻き取りのためのフィードバックループ内にあるブロックkによって生成された復元期間を使用して、更に調整され得る。積分調整値は、(例えば、比例設定値調整値に追加される前にブロック1/sによって更に調整され得る。一実施形態では、モータに供給される電流を制御する値が閾値、例えば、電流閾値、トルク閾値、インピーダンス閾値などを超えないことを確実にするために、図示のように、飽和ブロックがコントローラ702内で使用されてもよい。上記のブロックによって調整が行われ、結果として得られた電流コマンド値が飽和ブロックで設定された値を超えないようにした後、電流コマンド(例えば、フィードバック及びPI調整に基づいて訂正されている調整後のコマンド)を電流増幅器に供給し、その結果、モータアクチュエータ704に指令された電流が係数によって増幅できるようにする。係数は、モータ/アクチュエータ704などからのフィードバックに基づいて、モータ/アクチュエータ704の特性に基づいて固定されてもよい。モータ/アクチュエータ704は、増幅された電流に従って起動され、モータ/アクチュエータ704の速度応答に対するフィードバック(例えば、モータと結合されたセンサによって決定される、速さ、トルク、速度など)は、図示のようにコントローラ702によって実装されたフィードバックループに提供される。
【0081】
上記のように、飽和ブロックによって使用される(又は飽和ブロックに入力される)値は、係合プロセス中に監視する目的でプロセッサに供給されるモータ動作パラメータ値として使用されてもよく、例えば、現在のモータ電流又は現在のモータインピーダンスを表す。
【0082】
別の実施形態では、フィードバックは、係合プロセス中に監視する目的でプロセッサに供給されるモータ動作パラメータ値として使用されてもよい。コントローラ702で算出された(例えば、調整された、調整されていない)他の変数は、監視されているモータ動作パラメータとして使用され得る。
【0083】
上記の一実施形態では、2つのアクチュエータは、内視鏡を回転させるために負荷を分散するなど、外科用ツールを動かす際に負荷を分散する。外科用ツール(例えば、内視鏡)は、エンコーダのない回転関節を有し得るため、その位置は、モータ又はアクチュエータの角度から決定される。係合することなく、外科用ツールの回転角度を決定することはできない。回転関節に機械的なハードストップは存在しないため、ハードストップは、ホーミングには使用されない場合がある。回転関節は、ツールドライバ上の2つのモータと結合される。通常動作では、これら2つのモータは、回転関節を駆動するように協働的に動作する。例えば、係合及びホーミング後の遠距離操作において、一方のモータは一次的であり、位置モードで制御され、他方のモータは二次的であり、位置モード又は電流(トルク)モードで制御される。両方のモータは、同じ方向に外科用ツールの動きを駆動する。2つのモータが内視鏡回転関節を駆動する前に、モータは、両方とも回転関節に係合される必要があり、内視鏡関節角度は、係合の完了時にモータ関節位置に基づいて計算(すなわち、ホーミング)される。
【0084】
図2は、ロボット手術システムにおけるモータ制御装置の係合及び/又はホーミングのための例示的な外科用ロボットシステムを示す。広くは、2つ又は3つ以上の駆動ディスク234は、それぞれ2つ又は3つ以上のツールパッド又はディスク244と係合する。パッドは、プラス(「+」)形状など、ディスク以外の他の形状を有してもよい。本明細書の実施例では、ディスクを使用する。
【0085】
外科用ツール240は、医学で使用されるか又は本明細書で考察される外科用ツールのいずれかなどの外科用ツールである。一実施形態では、外科用ツール240は、内視鏡である。外科用ツール240は、ハサミ、クランプ、又は他のツールを有するのではなく、遠位端にエンドエフェクタ246としてカメラを有する。内視鏡シャフトは、ハードストップなしで360度回転することができる。回転に対してハードストップ又は物理的制約がないため、任意の回転数が可能であり得る。回転又は他の動きのための他のツールを使用することができる。
【0086】
ロボット外科用ツール240は、近位端から遠位端まで、ハウジング、シャフト、及びエンドエフェクタ246を備える。ツールディスク244は、ハウジング内に位置付けられ、(例えば、ケーブル、ロッド、及び/又は他の伝達装置によって)エンドエフェクタ246に連結され、エンドエフェクタ246は、適切に係合された後に、ツールディスク244及び伝達装置を通じて駆動ディスク234によって駆動される。
【0087】
回転ツールディスク244は、外科用ツール240のシャフトに接続されて外科用ツール240を回転させる。2つ又は3つ以上の回転ツールディスク244は、伝達装置を通じて接続されて、ツールディスク244を外科用ツール240に連結する。歯車装置、クラッチ、ケーブル、ベルト、及び/又は他の連結部は、2つ又は3つ以上のツールディスク244から、回転力などの力を受容して外科用ツール240を回転させる。外科用ツールを回転させる動力は分散される。一実施形態では、同じ方向に回転する両方のツールディスク244は、これらの両方ともが、外科用ツール240を同じ方向又は反対方向に回転させるのに寄与する。別の実施形態では、伝達装置は、反対方向に回転する2つのツールディスク244がこれらの方向のうちの1つに外科用ツール240を回転させるように、連結する。
【0088】
ツール駆動装置230は、直接又は伝達装置を通じて駆動ディスク234に接続されたアクチュエータ238(例えば、モータ)を含む。アクチュエータ238及び駆動ディスク234は、ツールディスク244と嵌合可能である(例えば、結合特徴部447及び448に係合する)回転モータ駆動装置を形成する。駆動ディスク234は、ツールディスク244と嵌合する。係合又は嵌合は、外科用ツール240がツール駆動装置230に接続されると生じる。
【0089】
センサ236は、1つ又は2つ以上の異なるセンサである。例えば、センサ236は、モータシャフト及び/又は駆動ディスク234の角度位置などの位置を検出するためのエンコーダである。エンコーダは、プロセッサが位置の時間微分から速度を決定し得るように、位置情報を出力してもよい。別の例として、センサ236は、アクチュエータ238によって提供され、かつ/又はアクチュエータ238によって引き出される電流の振幅を検出するための電流センサ(例えば、モータ入力駆動端子と直列の電流感知抵抗器)である。電流センサ及びエンコーダの両方を提供するなど、各アクチュエータ238に追加の異なる、又はより少ないセンサ236を提供してもよい。
【0090】
図9に示されるように、電流源901が提供され得る。電流源901は、アクチュエータ238に電流を出力する。制御信号に基づいて、電流源901は、アクチュエータ238を適切な位置、トルク(例えば、電流)又は他の制御モードで動かすための電流を提供する。アクチュエータ238は、電流が供給されて、所与の角度位置(位置モード)に回転を引き起こすか、又は所与の速度(例えば、電流モード)で動く。他の制御モードが使用されてもよい。
【0091】
図9に示される一実施形態では、電流源901は、高周波(例えば、60Hz以上(例えば、100Hz))の正弦波電流などのディザリング電流902を追加する。ディザリング電流902は、最大電流908の10%以下などの低振幅である。ディザリング電流902は、アクチュエータ238に提供されるランプアップ電流900に追加される。ディザリング電流902は、ランプアップ電流の初期部分中に追加され、ランピングの完了のために除去される。他の実施形態では、ディザリング電流902は、ランプアップ電流を開始した後に追加される、かつ/又は定常状態電流904に到達した後に除去されるなど、他の範囲にわたって追加される。ディザリング電流902は、係合するためにツールディスク244と駆動ディスク234との間で接触中の静止摩擦を低減する際に支援し得る。
【0092】
制御ユニット210のプロセッサ312は、信号の変化によって、回転ツールディスク244と、それぞれの回転駆動装置(例えば、回転駆動ディスク234)との嵌合を検出するように構成されている。駆動ディスク234とツールディスク244との係合が検出される。モータ又はアクチュエータ238からの動力下での駆動ディスク234は、係合されるまでツールディスク244に対して摺動し得、その時点で、ツールディスク234及び駆動ディスク244が一緒に回転する。
【0093】
プロセッサ312は、アクチュエータ238の信号又は性能の変化からの嵌合を検出するように構成されている。電流及び/又は速度などのセンサ236からの信号は、係合を検出するために使用される。一旦係合すると、信号は変化する。例えば、速度は、ゼロ又は閾値速度未満に低下する。別の例として、電流は、スパイクする又は閾値電流を超える。別の例では、低速度及び電流スパイクの両方が、係合又は嵌合を表すように検出される。
【0094】
2つ又は3つ以上のアクチュエータ238が組み合わされて外科用ツール240を駆動するため、係合を検出するための信号の変化は、両方のモータ駆動装置に対して実施され得る。例えば、各アクチュエータ238の電流及び/又は速度は、嵌合を検出するために監視される。外科用ツール240に対する各アクチュエータ238の嵌合が検出される。
【0095】
ハードストップが提供されない場合、アクチュエータ238は、互いに反対側に駆動され得る。モータ駆動装置は、外科用ツール240を一緒に回転させようと試みるのではなく、互いに対向する反対方向及び/又は異なる速さで回転させようと試みる場合がある。各アクチュエータ238は、外科用ツール240を駆動するためのものである。互いに反対側に動作することにより、アクチュエータ238は、外科用ツール240を反対方向に、かつ/又は異なる速さで回転させようと試みる場合がある。駆動は、位置制御モードであるが、電流制御モード又は他の制御モードを使用してもよい。
【0096】
初期駆動ディスク234が対応するツールディスク244と嵌合するとき、この初期駆動ディスク234は、ツールを回転させる唯一の駆動装置であるため、そのアクチュエータ又は駆動モータの信号は、ほとんど変化しない場合がある。外科用ツール240を回転させる際の抵抗によって電流及び/又は速度が変化し得るが、速度は、速度閾値未満に変化しない場合があり、かつ/又は電流は、電流閾値を超えるようにスパイクしない場合がある。他方又は後続の駆動ディスク235が対応するツールディスク244と嵌合すると、2つのモータ駆動装置は、両方とも係合され、外科用ツール240を反対方向に、かつ/又は異なる速さで回転させようと試みる。結果として、両方のモータの速度は閾値を下回る、及び/又は両方のモータの電流はスパイクする。モータ駆動は互いに抵抗し、相互のハードストップ又はソフトストップとしての機能を果たす。モータが等しい強度又は動力を有し、互いに反対側に同じ速さで回転している場合、速度はゼロに低下し、電流が最大にスパイクする。モータが設計又は許容値及び/又は異なる速さに起因して異なる動力を有する場合、それぞれ、依然として速度閾値未満であり、かつ/又は電流閾値を超えながら、より大きな速度及び/又はより低い電流スパイクが提供され得る。
【0097】
プロセッサ312は、係合を検証するように構成されている。嵌合が検出された後、係合が検証され得る。エンコーダは、係合されると、ツールディスク244の回転位置を示す。ツールディスク244は同じ外科用ツール240に連結するため、ツールディスクは、互いに対して既知の相対回転を有する。例えば、ツールディスク244は、外科用ツール240の任意の所与の回転位置に対して、同じ角度であるが反対の符号を有するように設計されている。他の例では、角度の任意の相対的な組み合わせが使用され得る。係合により、駆動ディスク234の位置は、ツールディスク244の位置に対応する。係合する角度が設計された角度と一致する場合、係合が検証される。
【0098】
プロセッサ312は、外科用ツール240の回転角度をホーミングするように構成されている。外科用ツール240の現在の回転角度は、一度係合されると決定される。外科用ツール240は、外科用ツール240の各回転角度に対する回転ツールディスク244の角度が既知であるように較正される。係合すると、プロセッサ312は、係合された回転駆動装置(例えば、アクチュエータ238、駆動ディスク234、及び/又はツールディスク244)の嵌合時の回転角度に基づいて、外科用ツールの回転角度を決定する。較正により、係合された回転駆動装置の角度を外科用ツール240の角度に関連付ける。図8を参照すると、係合の完了時に、外科用ツール(例えば、内視鏡)がホーム(ゼロ)位置θTにあるとき、関節(例えば、ツールディスク)角度は、それぞれ、α1、及びα2である。α1及びα2の両方は、事前に較正され、2つのモータM1、M2のエンコーダベースの角度θ1及びθ2から測定される。
【0099】
図8及び図9は、外科用ツール240の同じ動きを制御するために作動する2つのモータ駆動装置の係合を検出する別の実施形態を示す。位置モードと電流制御モードの組み合わせを使用して、信号の変化からの嵌合を検出する。
【0100】
係合後の運動の運動学的方程式は、次のように表すことができる。
【0101】
【数1】
この運動学的方程式は、係合検出及び/又はホーミングに使用され得る。
【0102】
第1のステップでは、モータM2は、位置制御モードで動作するように設定される。目標位置は、現在の位置になるように設定されているため、モータM2は、動かぬように又は現在の場所に保持される。
【0103】
第2のステップでは、モータM1は、電流制御モードで動作するように設定される。図9に示されるように、電流900は、速度が電流900の水平部分904によって表される閾値に達するまでランプアップされる。水平部分904の最大電流908及びランプアップの傾きからのオフセットは、実験的に決定され得る。
【0104】
ディザリング電流902は、電流900に追加される。例えば、高周波(例えば、100Hz)の正弦波電流は、低振幅ディザリングを提供し、ランプアップ電流に重ね合わされる。この高周波電流は、ディスク234、244間の静止摩擦を克服するのに役立つ。アクチュエータ238及び駆動ディスク234の角速度906はランプアップし、その後、この電流制御に基づいて動かぬように保持される。電流コマンドの方向(すなわち、回転方向)は、任意である。最大電流限界908は、モータのみを駆動するための最大電流と、結合されたモータ及び内視鏡を駆動するための最小電流との間に設定される。この限界は、実験的に決定され得る。
【0105】
この第2のステップの間、モータM1の係合が検出される。モータM1が決して動かない場合、すなわち、電流コマンドが最大電流までランプアップした場合に、係合が検出される。これは、接続時又は接触配置時にツールディスク244が駆動ディスク234に嵌合する場合に生じ得る。所望の速度に達する前又は所望の速度に達した後の、モータM1が停止する場合に、係合が検出される。エンコーダによって検出された全回転後にモータM1が停止しない場合、速度限界は、低減され得(例えば、1/2だけ)、第2のステップが繰り返される。第2のステップが再び係合を検出することができない場合、エラーが報告され、プロセスが停止される。
【0106】
第3のステップでは、モータM1は、位置モードに設定され、目標位置は、モータM1を所定の場所に保持するために、現在の位置θ1に設定される。第4のステップでは、モータM2は、電流制御モードになるように設定される。第2のステップで使用された同じ電流プロファイル(図9を参照)を使用する。電流の回転方向は、-(θ1-α1)+α2に向かうより短い方向になるように設定される。同じ速度及び/又は運動条件を使用して、モータM2の係合が生じたかどうかを判定する。
【0107】
第2及び第4のステップでは、停止をチェックする代わりに、速度変化を使用して、係合状態を検出してもよい。係合が確認されると、電流コマンドは直ちにゼロに設定され、次のステップに進む。
【0108】
電流飽和による速度閉ループ制御を使用して、第2及び第4のステップで電流ランプアップ制御を置き換えてもよい。第2のステップでは、モータM1は、速度制御モードに設定され、目標速度は、事前定義された値に設定される。速度の方向は、任意に選ばれる。係合状態は、モータM1が停止するか、又はモータ電流測定値に突然のジャンプがある場合に検出される。第4のステップでは、モータM2は、速度制御モードに設定され、目標速度は、事前定義された値に設定される。速度の方向は、-(θ1-α1)+α2に対してより短い距離である。
【0109】
第5のステップでは、モータM1は、位置制御モードに留まり、モータM2は、電流制御モードに留まる。モータM1及びM2の関節角度をチェックして、運動学的方程式が満たされていることを実証する。角度が設計角度に一致する完全な係合が確認される。係合が立て続けに2回失敗する、かつ/又は検証が失敗する場合、係合プロセスが停止され、エラーが報告され得る。
【0110】
係合の成功後、ホーミングが確立され得る。ゼロ位置に対する内視鏡接合角度は、運動学的方程式を使用してモータM1の関節角度から計算され得る。
【0111】
図10は、外科用ロボットシステムにおける外科用ツールのモータ制御装置を係合するための方法の一実施形態を示す。本方法はまた、外科用ロボットシステムにおける外科用ツールの回転位置をホーミングすることを含む。例えば、内視鏡とツールドライバモータ(M1、M2)との係合及び/又はホーミングが提供される。係合は、両方のモータ関節シャフトが、キー及び/又はキー穴若しくは別の結合を通じて内視鏡シャフトとしっかりと結合されるまで、モータを駆動する。ホーミングにより、内視鏡回転関節のゼロ位置と、一次関節エンコーダ位置との間の関節角度が見出される。
【0112】
本方法は、図2及び図3の外科用ロボットシステム又は別の外科用ロボットシステムによって実施される。本方法は、2つのモータが、内視鏡による同じ方向での回転など、外科用ツールの同じ運動を駆動する場合に実施される。制御ユニットのプロセッサ又は他のコントローラは、外科用ツール240をツール駆動装置230に接続する際に本方法を実施する。外科用ツール240の特性が、同じ動きを駆動するために動力又は運動を組み合わせる2つ又は3つ以上のモータを有するものであると決定されると、プロセッサは、係合検出及び/又はホーミングを実施する。
【0113】
これらの動作は、図示の順序又は異なる順序で実施される。例えば、動作1002及び1004は、同時に実施される。別の例として、動作1002及び1004は、異なるモータの係合を検出するために繰り返される。追加の、異なる、又はより少ない動作が提供され得る。例えば、動作1006及び/又は1008は、係合の検出のために提供されるものではない。別の例として、他の係合検出が使用される場合、動作1002及び1004は提供されない。更に別の例では、動作1006は提供されない。他の例では、係合及びホーミングされた内視鏡又は別の外科用ツールの遠距離操作又は外科的使用のための動作が提供される。一実施形態では、外科用ツールのツール駆動装置への取り付けが検出され(図5Bの動作552及び図5Cの動作582を参照)、次に、ディスクの係合の検出をトリガする。
【0114】
動作1000では、プロセッサ(例えば、コントローラ又は制御ユニット)は、2つ又は3つ以上の回転ツールパッド又はディスク244と、それぞれ2つ又は3つ以上の回転駆動装置(例えば、アクチュエータ238及び駆動パッド又はディスク234)との係合を検出する。解放可能な(例えば、ばね荷重、物理的障壁、又は摩擦嵌合)取付具を使用して、駆動ディスク234は、ツールディスク244と嵌合される。
【0115】
動作1002では、モータ(例えば、アクチュエータ238)が回転する。モータの回転は、位置制御下で実施されるが、他の制御モードが使用されてもよい。外科用ツールを一方向に回転又は並進させるための遠距離操作中、ツールディスク244から外科用ツール240への伝達装置又は他の連結部に応じて、2つのモータは、特定の方向に回転する(例えば、両方のモータが同じ方向に回転するか、又は一方のモータが一方向に回転し、別のモータが異なる方向に回転する)。係合のために、モータは、互いに反対側に回転する。例えば、一方のモータを時計回りに回転させ、他方のモータを反時計回りに回転させることによって、内視鏡を時計回りに回転させる。互いに反対側に回転するために、モータは、一方のモータが内視鏡を時計回りに回転させようと試み、他方が内視鏡を反時計回りに回転させようと試みるように、同じ方向に回転する。内視鏡は、回転に対するハードストップ又は物理的なリミッタを含まないため、動きを分散するモータの反対回転は、互いに抵抗し、係合すると停止部としての機能を果たす。
【0116】
モータの回転により、モータに直接又は歯車装置を介して接続された駆動ディスク234が回転する。駆動ディスク234は、ツールディスク244と摩擦接触している。回転は、静止摩擦を克服するのに十分な力を有するので、駆動ディスク234は、ツールディスク244に対して回転し、ツールディスク244は、外科用ツール(例えば、外科用ツール240又は内視鏡)に連結される。回転は、最終的に、ツールディスク234及び駆動ディスク244上の物理的な係合機構(例えば、突出部及び窪み、成形された伸長部及びスロット、突出部、及び停止部、及び/又はスナップ嵌めホルダ及び伸長部)の係合をもたらすべきである。
【0117】
電流、位置、及び/又は他の制御モードでのディザリングが使用され得る。コマンド信号をディザリングすることにより、静止摩擦は、駆動ディスク234が係合のためにツールディスク244よりも大きな速度で回転するように、より容易に克服され得る。
【0118】
の又は複数対のツールディスク234及び駆動ディスク244の両方が嵌合されるか、又は係合されると、反対側の回転は停止部としての機能を果たす。一旦係合されると、各モータからの回転力は、ツールディスク234を連結する連結部又は伝達装置を通じて伝達され、動きの抵抗を引き起こす。
【0119】
代替の実施形態では、モータのうちの1つは、他のモータが係合するように回転する間に回転しないように位置モードで制御される。1つのモータが係合されると、係合されたモータ駆動装置は、他のモータが係合する間は回転しない。例えば、図9を参照して上述のステップが実施される。
【0120】
動作1004では、プロセッサ(例えば、制御ユニット又はコントローラ)は、モータ(例えば、アクチュエータ238)と、それぞれのツールディスク244との係合を監視及び検出する。検出は、モータの性能の変化の監視に基づく。変化は、閾値を超える性能の差異(例えば、電流が倍増したか、又はX量を超えて増加した)などの差異として表され得る。変化は、閾値速度(例えば、ゼロになる速度)及び/又は閾値を超える電流遷移(例えば、電流スパイク)未満の速度など、閾値に対する絶対値として表され得る。
【0121】
モータの各々に対する1つ又は2つ以上のパラメータ(例えば、電流及び速度の両方)を使用した性能変化が発生すると、係合が検出される。係合は、モータのすべて又はサブセットによる係合として検出され得る。モータの各々又はモータのサブセットの各々の性能特性が変化すると、外科用ツールの係合が検出される。代替的に、係合は、モータごとに別個に検出される。すべての所望のモータが係合されると、係合プロセスが終了する。
【0122】
動作1006では、プロセッサ(例えば、コントローラ又は制御ユニット)は、係合をチェック又は検証する。係合が検出されると、適切な係合を検証するためのチェックが実施される。チェックは、ツールディスク244と外科用ツール240との間の伝達装置又は連結部に依存する。両方のツールディスク244が同じ運動を駆動するため、ツールディスク244の互いの角度は固定されているか、又は許容範囲内にある。係合するための機構は、ツールディスク244及び駆動ディスク234上に固定された向きを有するため、係合されるツールディスク244は、両方が係合される固定された向きを有する。駆動ディスク234及び対応するモータシャフトの角度は、センサ236(例えば、エンコーダ)によって測定される。係合により、角度は、ツールディスク244の角度に対応する。
【0123】
回転角度が比較される。閾値内の予想角度又は回転角度が検出された場合、係合が検証される。例えば、ツールディスク244間の伝達装置又は連結部は、外科用ツール240(例えば、内視鏡)の任意の回転位置に関して反対の符号を有する同じ角度を有するように設計されている。係合されると、モータ及び駆動ディスク234の回転位置は、同じ角度(例えば、異なる符号を有する同じ絶対角度)を有する。他の角度の組み合わせが使用されてもよい。
【0124】
動作1008では、プロセッサ(例えば、コントローラ又は制御ユニット)は、係合されると外科用ツールの現在の回転角度を決定する。このホーミングにより、係合時における医療器具の回転角度が決定される。
【0125】
回転角度は、モータ及びそれぞれの駆動ディスク234の角度から決定される。係合されると、センサ236からの駆動ディスク234の角度は、ツールディスク244の角度である。較正からのルックアップテーブル又は他の関数は、外科用ツールの角度にツールディスク244(及び/又は駆動ディスク234)の角度をマッピングする。伝達装置は、ツールディスク244の角度を外科用ツールの角度又は位置に関連付け、較正は、この関係性を測定する。モータ駆動装置の各々のディスク234、244の角度が決定されると、較正を使用して、外科用ツール240の角度を見出す。
【0126】
次いで、係合及び/又はホーミングプロセスが終了する。動作1000で係合が検出されない場合、動作1006のチェックにおいて係合は検証されない、かつ/又は動作1008のホーミングに失敗し、係合のためのプロセスが繰り返されるか、又は異なる係合プロセスが実施され得る。複数の失敗が発生した場合、エラーメッセージが送られる。係合及び/又はホーミングが首尾よく実施された場合、外科用ツール240及びモータ駆動装置は、手術における遠距離操作の準備ができている。
【0127】
本発明の例示的な実施形態に関する上記の説明は、以下の要約に記載されるものを含め、包括的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本発明の特定の実施形態及び実施例は、例示目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な修正が可能である。例えば、図4A図4Cでは、ツールディスク244をエンドエフェクタ(図示せず)に接続するケーブル駆動型の伝達装置を有する外科用ツール240を図示しているが、上述の係合プロセスはまた、異なる伝達装置(必ずしもケーブル駆動型ではない)を有する他のタイプの外科用ツールにも適用可能である。これらの修正は、上記の詳細な説明に照らして本発明に対して行うことができる。下記の特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を本明細書に開示される特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、下記の特許請求の範囲によって全体的に決定され、これは、請求項解釈の確立された原則に従って解釈されるものである。
【0128】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ロボットシステムにおけるツール係合のための方法であって、
外科用ツールのツール駆動装置への機械的な取り付けを検出することであって、前記ツールが、前記ツール駆動装置の第1の駆動ディスク及び第2の駆動ディスクとそれぞれ係合される第1のツールディスク及び第2のツールディスクを有しており、前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクは、前記外科用ツールのエンドエフェクタに連結されている、検出することと、
前記第1の駆動ディスク及び前記第2の駆動ディスクが互いに反対側に回転するように、前記第1の駆動ディスクを前記ツール駆動装置の第1のモータによって、かつ、前記第2の駆動ディスクを前記ツール駆動装置の第2のモータによって作動させることと、
前記第1のモータ及び前記第2のモータの性能を監視することと、
前記第1のモータ及び前記第2のモータの前記性能の変化に基づいて、前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクと前記第1の駆動ディスク及び前記第2の駆動ディスクとの係合を検出することと、を含む、方法。
(2) 作動させることが、位置制御モードで前記第1のモータ及び前記第2のモータを作動させることを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第1の駆動ディスク及び前記第2の駆動ディスクを作動させることが、前記第1のモータ及び前記第2のモータを同じ方向に作動させることを含み、前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクと前記外科用ツールとの間の連結が、前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクのそれぞれ反対の方向への回転を使用して、前記外科用ツールを同じ方向に回転させる、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記外科用ツールの動きが、ハードストップを含まない内視鏡の回転を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 検出することが、前記第1のモータ及び前記第2のモータへの電流のスパイクを検出することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0129】
(6) 検出することが、前記第1のモータ及び前記第2のモータの速度閾値未満の第1及び第2の速度をそれぞれ検出することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記係合時における前記第1のツールディスクの第1の回転角度が、前記係合時における前記第2のツールディスクの第2の回転角度と反対の符号を有する閾値量内にあることをチェックすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記第1のツールディスク及び前記第2のツールディスクと係合している間に、前記第1のモータ及び前記第2のモータの第1及び第2の角度からの前記係合時における前記外科用ツールの回転角度を決定することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 決定することが、較正に基づいて前記回転角度を決定することを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 係合のための外科用ロボットシステムであって、
伝達装置によって第1の回転ツールパッド及び第2の回転ツールパッドに接続された外科用エフェクタであって、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドの回転が前記外科用エフェクタを回転させるように、接続されている、外科用エフェクタと、
前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドとそれぞれ嵌合可能な第1の回転駆動装置及び第2の回転駆動装置を有するツール駆動装置と、
信号の変化によって、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドと前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置それぞれとの嵌合を検出するように構成されたプロセッサと、を備える、外科用ロボットシステム。
【0130】
(11) 前記外科用エフェクタが、長手方向軸を中心に回転可能な内視鏡を備える、実施態様10に記載の外科用ロボットシステム。
(12) 前記プロセッサが、前記第1の回転ツールパッドが前記第1の回転駆動装置によって駆動されて、前記第2の回転ツールパッドが前記第2の回転駆動装置によって駆動されるのとは反対方向に前記外科用エフェクタを回転させるところの前記嵌合を検出するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ロボットシステム。
(13) 前記プロセッサが、前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置の両方を位置制御モードで駆動するように構成されている、実施態様12に記載の外科用ロボットシステム。
(14) 前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置と接続された第1及び第2のエンコーダを更に備え、前記プロセッサが、前記第1及び第2のエンコーダからの情報から前記信号の前記変化を第1及び第2の速度がゼロの閾値量内にあるものとして検出するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ロボットシステム。
(15) 前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置への電流を検出するように接続された電流センサを更に備え、前記プロセッサが、前記信号の前記変化を前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置のための第1及び第2の電流のスパイクとして検出するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ロボットシステム。
【0131】
(16) 前記プロセッサが、前記第1の回転駆動装置の第1の回転角度を前記第2の回転駆動装置の第2の回転角度と比較することによって、前記嵌合を検証するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ロボットシステム。
(17) 前記プロセッサが、前記第1の回転ツールパッド及び前記第2の回転ツールパッドに嵌合されたときの前記第1の回転駆動装置及び前記第2の回転駆動装置の回転角度に基づいて、前記外科用エフェクタの回転角度を決定するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ロボットシステム。
(18) 前記第1の回転駆動装置への電流制御モードにおける電流ランプにディザリング電流を印加するように構成された電流源を更に備え、前記プロセッサが、前記電流制御モードにある間、前記第1の回転駆動装置からの前記信号の前記変化から前記嵌合を検出するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ロボットシステム。
(19) 外科用ロボットシステムにおける外科用ツールの回転位置をホーミングするための方法であって、
第1及び第2の回転ツールパッドと第1及び第2の回転駆動装置との係合を検出することと、
前記第1及び第2の回転ツールパッドに連結された前記外科用ツールの回転角度を決定することであって、前記外科用ツールの前記回転角度が、前記係合が検出されると、前記第1及び第2の回転駆動装置の第1及び第2の回転角度から決定される、決定することと、を含む、方法。
(20) 決定することが、較正及びモータエンコーダセンサからの測定された回転角度に基づいて、前記外科用ツールの前記回転角度を決定することを含む、実施態様19に記載の方法。
【0132】
(21) 前記係合を検出することが、前記第1及び第2の回転ツールパッドとそれぞれ接触して前記第1及び第2の回転駆動装置を回転させることであって、前記第1及び第2の回転ツールパッドの両方は、前記外科用ツールに連結されており、前記第1及び第2の回転駆動装置は、前記第1及び第2の回転ツールパッドが、前記外科用ツールの回転のために互いに反対側に回転するように回転する、回転させることと、前記第1及び第2の回転駆動装置の性能の変化から、前記第1及び第2の回転駆動装置と前記第1及び第2の回転ツールパッドとの前記係合をそれぞれ検出することと、を含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10