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特許7532516長鎖アルコキシ官能基を有するカチオンを含有する非配位性アニオン活性化剤
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  • 特許-長鎖アルコキシ官能基を有するカチオンを含有する非配位性アニオン活性化剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】長鎖アルコキシ官能基を有するカチオンを含有する非配位性アニオン活性化剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 217/84 20060101AFI20240805BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20240805BHJP
   C08F 4/64 20060101ALI20240805BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20240805BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C07C217/84
C07F5/02 A
C08F4/64
C08F4/6592
C08F10/00 510
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022525029
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 US2020044865
(87)【国際公開番号】W WO2021086467
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】62/926,956
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ファラー キャサリン エイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイリー マーガレット ティー
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0286944(US,A1)
【文献】特開2011-225650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0316303(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0039141(US,A1)
【文献】国際公開第2012/170202(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 217/84
C07F 5/02
C08F 4/64
C08F 4/6592
C08F 10/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。
[Ar(EHR12)(OR3)]d+MQ nd-(I)
[式中、
Arはアリール基であり、
Eは窒素であり、
1は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
2は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
3は、C10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
Mは、ホウ素であり、
dは1であり、nは4であり
Qは、独立して、パーフルオロフェニル、パークロロフェニル、パーフルオロナフチル、またはパークロロナフチルである]
【請求項2】
1がC1-C10直鎖アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである、請求項1または請求項2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
2がC1-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
3がn-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
1、R2、およびR3が合わせて20個以上の炭素原子を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度およびイソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
触媒、および請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物を含む活性化剤を含む、触媒系。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない、溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Catherine A.Faler、Margaret T.Whalley
関連出願の相互参照
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月28日に出願された仮特許出願第62/926,956号の優先権の利益を主張する。
本出願は、第13族金属酸活性化剤、活性化剤を含む触媒系、およびこのような活性化剤を使用してオレフィンを重合化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、これらの強力な物理的特性により商業用に広く使用されている。ポリオレフィンは通常、オレフィンモノマーを重合する触媒を用いて調製される。したがって、改善された特性を有するポリマーが得られる新規触媒および触媒系を発見することに関心が集まっている。
オレフィン重合のための触媒は多くの場合、触媒前駆体としてのメタロセンに基づき、アルモキサンまたは非配位性アニオンを含有する活性化剤のいずれかを用いて活性化される。非配位性アニオン、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートは、触媒の結果として生じる金属カチオンを安定化させることが可能である。このような活性化剤は完全にイオン化され、対応するアニオンは極めて非配位性であるため、このような活性化剤は、オレフィン重合触媒活性化剤として有効となり得る。しかし、これらはイオン性塩であるため、このような活性化剤は、多くの場合脂肪族炭化水素に不溶性であり、芳香族炭化水素には難溶性である。このような溶媒の、オレフィンモノマーとの相容性により、かつ得られるポリマー生成物の芳香族炭化水素含有量を減少させるために、脂肪族炭化水素溶媒中でα-オレフィンの大部分の重合を行うことが望ましい。通常、イオン性塩活性化剤は、トルエンなどの芳香族溶媒中溶液の形態でこのような重合に添加する。たとえ少量でも、この目的のためにこのような芳香族溶媒を使用することは有害である。なぜなら、このような芳香族溶媒は、後重合液化ステップで除去し、他の揮発性構成成分から分離しなければならず、このプロセスによって、任意の市販のプロセスのコストおよび複雑性がかなり増大するからである。加えて、活性化剤は多くの場合、油性、扱いにくい材料の形態で存在し、このような形態は取扱いが容易ではなく、計量するか、または反応混合物に正確な量で組み込まれる。
【0003】
脂肪族炭化水素溶媒中に溶解でき、高い活性レベルでポリオレフィンを生成することが可能な活性化剤に対する必要性が存在する。特に、重合プロセスに芳香族溶媒を使用する必要性を排除して、経済的に調製し、溶解度を保有することができる活性化剤に対する必要性が存在する。
したがって本発明の目的は、活性化剤、これらの活性化剤を含む触媒系、ならびにこのような活性化剤および触媒系を使用してオレフィンを重合するための方法を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載されている活性化剤は、式(I):
[Ar(EHR12)(OR3)]d+[Mk+nd-(I)
[式中、
Arはアリール基であり、
Eは窒素またはリンであり、
1は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
2は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
3は、C10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
dは1、2または3であり、kは1、2、または3であり、nは1、2、3、4、5、または6であり、n-k=dであり、
各Qは、独立して、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである]で表される化合物を含んでいてもよい。
【0005】
本明細書に記載されている活性化剤はまた、式(II):
[Cat]+[MQ4-(II)
[式中、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
Qは、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、
[Cat]+は、
【0006】
【化1】
からなる群から選択される構造で表されるカチオンである]で表される化合物を含んでいてもよい。
【0007】
本明細書に記載されている活性化剤はまた、式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、
Eは窒素またはリンであり、
11、R12、およびR13のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキル基またはアリール基であり、アリール基は、少なくとも1つのC10-C30アルコキシ基で置換されており、R11、R12、およびR13は合わせて、26個以上の炭素原子を含み、
14、R15、R16、およびR17のそれぞれは、独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは、1~7個のフッ素原子で置換されている]で表される化合物を含んでいてもよい。
【0008】
本明細書に記載されている触媒系は、本明細書に記載されている活性化剤および式(IV):
【化2】
[式(IV)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
nは0または1であり、
Tは、S、O、PR’、NR’、SiR”2、CH2、CHR”、またはCR”2から選択される任意の架橋基であり、R’はC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、R”は水素またはC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、
1およびL2は、独立して、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、置換インデニル、テトラヒドロインデニル、置換テトラヒドロインデニル、フルオレニル、または置換フルオレニル基であり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される触媒化合物を含んでいてもよい。
【0009】
本明細書に記載されている触媒系は、本明細書に記載されている活性化剤および式(V):
【化3】
[式(V)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、独立して、水素化物、ハロゲン化物、置換されていてもよいヒドロカルビル、ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよいヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、シリル、ボリル、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオおよびセレノであり、2つ以上のR基が一緒に合わさって環構造を作ってもよく、その環構造は環内に3~100個の非水素原子を有し、
AはC1-C50アルキル基であり、
1およびY2は、独立して、O、S、NRaおよびPRaから選択され、Raは置換されていてもよいヒドロカルビルであり、
Ar1は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、またはフェナントレニルであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される触媒化合物を含んでもよい。
【0010】
本明細書に記載されている触媒系は、本明細書に記載されている活性化剤および式(VIa)または(VIb):
【化4】
【0011】
[式(VIa)または(VIb)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
41、R42、R43、R44、R45は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができ、
zは1、2、3、または4である]で表される触媒化合物を含んでもよい。
【0012】
本明細書に記載されている触媒系は、本明細書に記載されている活性化剤および式(VII):
【化5】
[式(VII)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびY2は、独立して、O、N、NH、またはSであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される触媒化合物を含んでもよい。
【0013】
本明細書中に開示される重合方法は、a)1種または複数のオレフィンモノマーを、i)本明細書に記載されている活性化剤、ii)触媒化合物、およびiii)任意の担体を含む触媒系と接触させることを含んでもよい。
以下の図は、実施形態のある特定の態様を例示するために含まれており、独占的な実施形態とみなされるべきではない。開示された主題は、当業者および本開示の利益を有する者が必要に応じて、形態および機能において有意な修正、改変、組合せ、均等化を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】触媒活性データ、例えば、表1のデータを例示するグラフである。
図2】触媒活性データ、例えば、表3のデータを例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願は、第13族金属酸活性化剤、活性化剤を含む触媒系、およびこのような活性化剤、より具体的には脂肪族溶媒に溶解性のある活性化剤を使用して、オレフィンを重合化するための方法に関する。
本発明の理解を促進するため、いくつかの用語および句が以下に定義される。
【0016】
定義
別途明示されていない限り、すべての溶融温度(Tm)はDSC第2溶融であり、ASTM D3418-03に従い以下のDSC手順を使用して決定される。示差走査熱量測定(DSC)データは、TA InstrumentsモデルQ200機器を使用して得る。約5~約10mgの質量の試料を気密性アルミニウム試料皿内に密閉する。最初に試料を、約10℃/分間の速度で約200℃に徐々に加熱することにより、DSCデータを記録する。試料を、約200℃で約2分間保持し、次いで、約10℃/分間の速度で約-90℃まで冷却し、これに続いて約2分間等温で保ち、約10℃/分間で約200℃に加熱する。第1サイクルの熱イベントも第2サイクルの熱イベントも記録する。本明細書で報告されている融点は、別途明示されていない限り、第2の加熱/冷却サイクル中に得たものである。
【0017】
すべての分子量は、別途明示されていない限り、質重平均(Mw)である。すべての分子量は別途明示されていない限り、g/モルで報告される。他に指摘されていない限り、質量平均分子量(Mw)の測定は、それぞれがUS目的のために参照により完全に本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0173123号、24~25ページ、段落[0334]~[0341]に記載されているゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)手順により決定する。メルトインデックス(MI)は、I2とも呼ばれ、g/10分で報告され、ASTM D-1238に従い、190℃、2.16kg荷重で決定される。高い荷重のメルトインデックス(HLMI)はI21とも呼ばれ、g/10分で報告され、ASTM D-1238に従い、190℃、21.6kg荷重で決定される。メルトインデックス比(MIR)は、ASTM D1238で決定されているように、MIをHLMIで割ったものである。
【0018】
明細書は、遷移金属錯体であることができる触媒について記載している。錯体という用語は、補助配位子が中心の遷移金属原子に配位結合されている分子について記載するために使用される。配位子はかさ高く、遷移金属に安定的に結合することによって、触媒の使用中、例えば、重合中にその影響を維持する。配位子は、共有結合および/または電子供与性配位または中間結合により遷移金属に配位結合することができる。遷移金属錯体は、一般的に活性化に供することで、多くの場合脱離基と呼ばれる、遷移金属からのアニオン性基の除去の結果、カチオンを作り出すと考えられている活性化剤を使用して、これらの重合またはオリゴマー化機能を実施する。
本開示の目的のため、周期表の族に対して新規命番方式が使用される。前記命番方式では、族(縦列)は、fブロックの元素(ランタニドおよびアクチニド)を除いて、左から右へ、1から18まで連番で番号付けされている。この方式では、「遷移金属」という用語は、ランタニドおよびアクチニド元素を含めた、周期表の第3~12族の任意の原子を指す。Ti、Zr、およびHfは、例えば、第4族遷移金属である。
【0019】
本明細書を介して以下の略語が使用される:o-ビフェニルは、構造
【化6】
で表されるオルト-ビフェニル部分であり、dmeは1,2-ジメトキシエタンであり、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Etはエチルであり、Prはプロピルであり、iPrはイソプロピルであり、n-Prはノルマルプロピルであり、cPrはシクロプロピルであり、Buはブチルであり、iBuはイソブチルであり、tBuは第三級ブチルであり、p-tBuはパラ第三級ブチルであり、nBuはノルマルブチルであり、sBuはsec-ブチルであり、TMSはトリメチルシリルであり、TIBALはトリイソブチルアルミニウムであり、TNOALはトリ(n-オクチル)アルミニウムであり、MAOはメチルアルモキサンであり、p-Meはパラ-メチルであり、Phはフェニルであり、Bnはベンジル(すなわち、CH2Ph)であり、THF(thfとも呼ばれる)はテトラヒドロフランであり、RTは室温(他に指摘されていない限り、23℃である)であり、tolはトルエンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、MeCyはメチルシクロヘキサンであり、Cyはシクロヘキシルである。
【0020】
他に指摘されていない限り(例えば、「置換ヒドロカルビル」、「置換芳香族」などの定義)、「置換されている」という用語は、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの非水素基、例えば、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基、例えば、ハロゲン(例えば、Br、Cl、FまたはI)または少なくとも1つの官能基、例えば、-NR* 2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR* 2、-AsR* 2、-SbR* 2、-SR*、-BR* 2、-SiR*、-SiR* 3、-GeR*、-GeR* 3、-SnR*、-SnR* 3、-PbR* 3などで置き換えられ、各R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができ、あるいは少なくとも1個のヘテロ原子が環構造内に挿入されていることを意味する。
【0021】
「ヒドロカルビルラジカル」、「ヒドロカルビル」、および「ヒドロカルビル基」という用語は、本出願全体にわたり交換可能なように使用されている。同様に、「基」、「ラジカル」および「置換基」という用語は、交換可能なように使用することができ、水素および炭素原子のみからなる基を意味すると定義される。好ましいヒドロカルビルは、直鎖、分岐、または環式であってよく、環式の場合、芳香族または非芳香族であってよいC1-C100ラジカルである。このようなラジカルの例として、これらに限定されないが、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、オクチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなど、アリール基、例えば、フェニル、ベンジルナフチルなどが挙げられる。
【0022】
置換ヒドロカルビルラジカルは、ヒドロカルビルラジカルの少なくとも1個の水素原子が、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基、例えば、ハロゲン(例えば、Br、Cl、FまたはI)もしくは少なくとも1つの官能基、例えば、-NR* 2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR* 2、-AsR* 2、-SbR* 2、-SR*、-BR* 2、-SiR*、-SiR* 3、-GeR*、-GeR* 3、-SnR*、-SnR* 3、-PbR* 3などで置き換えられ、各R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができ、または少なくとも1個のヘテロ原子がヒドロカルビル環内に挿入されているラジカルである。
【0023】
置換シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニルまたはフルオレニル基は、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの非水素基、例えば、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基、例えば、ハロゲン(例えば、Br、Cl、FまたはI)または少なくとも1つの官能基、例えば、-NR* 2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR* 2、-AsR* 2、-SbR* 2、-SR*、-BR* 2、-SiR*、-SiR* 3、-GeR*、-GeR* 3、-SnR*、-SnR* 3、-PbR* 3などで置き換えられ、各R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができ、あるいは少なくとも1個のヘテロ原子が環構造内に挿入されている、シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニルまたはフルオレニル基である。
【0024】
ハロカルビルラジカル(ハロカルビル、ハロカルビル基またはハロカルビル置換基とも呼ばれる)は、1個または複数のヒドロカルビル水素原子が、少なくとも1個のハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)またはハロゲン含有基(例えば、CCAT-2)で置換されているラジカルである。置換ハロカルビルラジカルは、少なくとも1個のハロカルビル水素またはハロゲン原子が、少なくとも1つの官能基、例えば、NR* 2、OR*、SeR*、TeR*、PR* 2、AsR* 2、SbR* 2、SR*、BR* 2、SiR* 3、GeR* 3、SnR* 3、PbR* 3などで置換されているか、または少なくとも1個の非炭素原子もしくは基、例えば、--O--、--S--、--Se--、--Te--、--N(R*)--、=N--、--P(R*)--、=P--、--As(R*)--、=As--、--Sb(R*)--、=Sb--、--B(R*)--、=B--、--Si(R*2--、--Ge(R*2--、--Sn(R*2--、--Pb(R*2--などがハロカルビルラジカル内に挿入されているラジカルであり、R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであるが、ただし、少なくとも1個のハロゲン原子が元のハロカルビルラジカルの上に依然として存在するものとする。さらに、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができる。
【0025】
ヒドロカルビルシリル基は、シリルカルビル基とも呼ばれ、1個または複数のヒドロカルビル水素原子が、少なくとも1個のSiR* 3を含有する基で置換されているか、または少なくとも1個の-Si(R*2-がヒドロカルビルラジカル内に挿入されているラジカルであり、R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができる。シリルカルビルラジカルは、ケイ素原子または炭素原子を介して結合していることができる。
【0026】
置換シリルカルビルラジカルは、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの官能基、例えば、NR* 2、OR*、SeR*、TeR*、PR* 2、AsR* 2、SbR* 2、SR*、BR* 2、GeR* 3、SnR* 3、PbR3などで置換されているか、または少なくとも1個の非炭化水素原子もしくは基、例えば、--O--、--S--、--Se--、--Te--、--N(R*)--、=N--、--P(R*)--、=P--、--As(R*)--、=As--、--Sb(R*)--、=Sb--、--B(R*)--、=B--、--Ge(R*2--、--Sn(R*2--、--Pb(R*2--などが、シリルカルビルラジカル内に挿入されているシリルカルビルラジカルであり、R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができる。
【0027】
ゲルミルカルビルラジカル(ゲルミルカルビル、ゲルミルカルビル基またはゲルミルカルビル置換基とも呼ばれる)は、1個または複数のヒドロカルビル水素原子が、少なくとも1個のGeR* 3含有基で置換されているか、または少なくとも1個の-Ge(R*2-が、ヒドロカルビルラジカル内に挿入されているラジカルであり、R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができる。ゲルミルカルビルラジカルは、ゲルマニウム原子または炭素原子を介して結合していることができる。
【0028】
置換ゲルミルカルビルラジカルは、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの官能基、例えば、NR* 2、OR*、SeR*、TeR*、PR* 2、AsR* 2、SbR* 2、SR*、BR* 2、SiR* 3、SnR* 3、PbR3などで置換されているか、または少なくとも1個の非炭化水素原子もしくは基、例えば、--O--、--S--、--Se--、--Te--、--N(R*)--、=N--、--P(R*)--、=P--、--As(R*)--、=As--、--Sb(R*)--、=Sb--、--B(R*)--、=B--、--Si(R*2--、--Sn(R*2--、--Pb(R*2--などが、ゲルミルカルビルラジカル内に挿入されているゲルミルカルビルラジカルであり、R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができる。
【0029】
「アルキルラジカル」および「アルキル」という用語は、本出願全体にわたり交換可能なように使用されている。本出願の目的のため、「アルキルラジカル」とは、直鎖、分岐または環式であってよいC1-C100アルキルと定義される。このようなラジカルの例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、オクチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどを挙げることができる。置換アルキルラジカルは、アルキルラジカルの少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの非水素基、例えば、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基、例えば、ハロゲン(例えば、Br、Cl、FまたはI)または少なくとも1つの官能基、例えば、-NR* 2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR* 2、-AsR* 2、-SbR* 2、-SR*、-BR* 2、-SiR*、-SiR* 3、-GeR*、-GeR* 3、-SnR*、-SnR* 3、-PbR* 3などで置換されているラジカルであり、各R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができ、または少なくとも1個のヘテロ原子がヒドロカルビル環内に挿入されている基である。
【0030】
「分岐アルキル」という用語は、アルキル基が第三級または第四級炭素(第三級炭素とは他の3個の炭素原子に結合している炭素原子である。第四級炭素とは他の4個の炭素原子に結合している炭素原子である)を含有することを意味する。例えば、3,5,5トリメチルヘキシルフェニルは、3つのメチル分岐鎖を有するアルキル基(ヘキシル)であり(したがって、1個の第三級および1個の第四級炭素)、よってフェニル基に結合している分岐アルキルである。
「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素炭素二重結合を有する直鎖、分岐鎖、または環式炭化水素ラジカルを意味する。これらのアルケニルラジカルは置換されていてもよい。適切なアルケニルラジカルの例として、エテニル、プロペニル、アリル、1,4-ブタジエニルシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルなどを挙げることができる。
【0031】
「アリールアルケニル」という用語は、水素がアルケニルまたは置換アルケニル基で置き換えられているアリール基を意味する。例えば、スチリルインデニルはアリールアルケニル基(スチレン基)で置換されているインデンである。
「アルコキシ」、「アルコキシル」、または「アルコキシド」という用語は、酸素原子に結合しているアルキル基、例えば、アルキルエーテルまたはアリールエーテル基/ラジカルを意味し、アルキル基がC1-C10ヒドロカルビルであるものを含むことができる。アルキル基は直鎖、分岐、または環式であってよい。アルキル基は飽和または不飽和であってよい。適切なアルコキシおよびラジカルの例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどを挙げることができる。
【0032】
「アリールオキシ」または「アリールオキシド」という用語は、酸素原子に結合しているアリール基、例えば、アリールエーテル基/ラジカルを意味し、このアリールという用語は本明細書で定義された通りである。適切なアリールオキシラジカルの例として、フェノキシルなどを挙げることができる。
「アリール」または「アリール基」という用語は、炭素含有芳香族環、例えば、フェニルを意味する。同様に、ヘテロアリールは、1個の環炭素原子(または2個もしくは3個の環炭素原子)がヘテロ原子、例えば、N、O、またはSで置き換えられているアリール基を意味する。本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語はまた、芳香族複素環配位子と類似の特性および構造(ほぼ平面)を有するが、定義では芳香族ではない複素環置換基である擬似芳香族複素環も指す。
【0033】
複素環は、1個の環炭素原子(または2個もしくは3個の環炭素原子)がヘテロ原子、例えば、N、O、またはSで置き換えられている環式基を意味する。複素環式環は、環原子上の水素がヘテロ原子で置き換えられているヘテロ原子で置換されている環とは対照的に、環構造内にヘテロ原子を有する環である。例えば、テトラヒドロフランは複素環式環であり、4-N,N-ジメチルアミノ-フェニルはヘテロ原子で置換されている環である。
置換複素環とは、複素環基の少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの非水素基、例えば、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基、例えば、ハロゲン(例えば、Br、Cl、FまたはI)または少なくとも1つの官能基、例えば、-NR* 2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR* 2、-AsR* 2、-SbR* 2、-SR*、-BR* 2、-SiR*、-SiR* 3、-GeR*、-GeR* 3、-SnR*、-SnR* 3、-PbR* 3などで置換されている複素環ラジカルを意味し、各R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルである。
【0034】
置換アリールは、アリール基の少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの非水素基、例えば、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基、例えば、ハロゲン(例えば、Br、Cl、FまたはI)または少なくとも1つの官能基、例えば、-NR* 2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR* 2、-AsR* 2、-SbR* 2、-SR*,-BR* 2、-SiR*、-SiR* 3、-GeR*、-GeR* 3、-SnR*、-SnR* 3、-PbR* 3などで置換されているアリールラジカルであり、各R*は、独立して、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、2つ以上のR*が一緒に連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族環式もしくは多環式の環構造を形成することができ、あるいは少なくとも1個のヘテロ原子が、ヒドロカルビル環内に挿入されている、例えば、3,5-ジメチルフェニルは置換アリール基である。
「置換フェニル」または「置換フェニル基」という用語は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基、例えば、ハロゲン(例えば、Br、Cl、FまたはI)または少なくとも1つの官能基、例えば、-NR* 2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR* 2、-AsR* 2、-SbR* 2、-SR*、-BR* 2、-SiR*、-SiR* 3、-GeR*、-GeR* 3、-SnR*、-SnR* 3、-PbR* 3などで置き換えられている1つまたは複数の水素基を有するフェニル基を意味し、各R*は、独立して、ヒドロカルビル、ハロゲン、またはハロカルビルラジカルである。好ましくは「置換フェニル」基は、式:
【0035】
【化7】
[式中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、およびRa5のそれぞれは、独立して、水素、C1-C40ヒドロカルビルまたはC1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子、例えば、ハロゲン、またはヘテロ原子含有基(ただし、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、およびRa5のうちの少なくとも1つはHではないものとする)から選択される、またはRa1、Ra2、Ra3、Ra4、およびRa5のうちの2つ以上は一緒に連結して、C4-C62環式または多環式の環構造、またはこれらの組合せを形成する]で表される。
【0036】
「置換ナフチル」という用語は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置き換えられている1つ以上の水素基を有するナフチル基を意味する。
「フルオロフェニル」または「フルオロフェニル基」は1、2、3、4または5個のフッ素原子で置換されているフェニル基である。
「置換フルオレニル」という用語は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置き換えられている1個以上の水素基を有するフルオレニル基を意味する。
「アリールアルキル」という用語は、水素がアルキルまたは置換アルキル基で置き換えられているアリール基を意味する。例えば、3,5’-ジ-tert-ブチル-フェニルインデニルは、アリールアルキル基で置換されているインデンである。アリールアルキル基が別の基の上の置換基である場合、これはアリールを介してその基に結合している。例えば、アリール部分はEに結合していてもよい。
【0037】
「アルキルアリール」という用語は、水素がアリールまたは置換アリール基で置き換えられているアルキル基を意味する。例えば、フェネチルインデニルは、ベンゼン基に結合しているエチル基で置換されたインデンである。アルキルアリール基が別の基の上の置換基である場合、これはアルキルを介してその基に結合している。例えば、アルキル部分はEに結合していてもよい。
特定の異性体(例えば、ブチル)を特定することなく、アルキル、アルケニル、アルコキシド、またはアリール基について言及することは、他に指摘されていない限り、すべての異性体(例えば、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチル)を明示的に開示することである。
「環原子」という用語は、環式環構造の一部である原子を意味する。したがって、ベンジル基は6個の環原子を有し、テトラヒドロフランは5個の環原子を有する。
本明細書で使用される場合、特に明記されていない限り、「Cn」という用語は、分子1個当たりn個の炭素原子(式中、nは正の整数である)を有する炭化水素(複数可)を意味する。
【0038】
「炭化水素」という用語は、炭素に結合している水素を含有する、あるクラスの化合物を意味し、(i)飽和炭化水素化合物、(ii)不飽和炭化水素化合物、および(iii)異なるn値を有する炭化水素化合物の混合物を含む、炭化水素化合物の混合物(飽和および/または不飽和)を包含する。同様に「Cm-Cy」基または化合物とは、その総数がm~yの範囲の炭素原子を含む基または化合物を指す。よって、C1-C50アルキル基とは、その総数が1~50の範囲の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0039】
本開示の目的のため、「触媒系」とは少なくとも1種の触媒化合物、活性化剤、および任意の担持材料の組合せである。触媒系は1種または複数の追加の触媒化合物をさらに含んでもよい。本開示の目的のため、触媒系が中性の安定した形態の構成成分を含むと記載されている場合、構成成分のイオン形態がモノマーと反応して、ポリマーを生成する形態であることは、当業者であれば十分理解している。提示された出願の触媒および式(I)、(II)、および(III)で表される活性化剤は、中性形態の化合物に加えてイオン形態を包含することが意図されている。
「錯体」は、本明細書で使用される場合、また多くの場合、触媒前駆体、プレ触媒、触媒、触媒化合物、遷移金属化合物、または遷移金属錯体と呼ばれる。これらの単語は交換可能なように使用される。
【0040】
スカベンジャーは、不純物を補足することにより重合を促進するために通常添加する化合物である。一部のスカベンジャーは活性化剤としても作用することができ、共活性化剤と呼ぶこともできる。共活性化剤は、スカベンジャーではないが、これも同様に活性化剤と併せて使用することによって、活性のある触媒を形成することができる。一部の実施形態では共活性化剤は、遷移金属化合物と予備混合して、アルキル化遷移金属化合物を形成することができる。
本明細書の記載において、触媒は、触媒前駆体、プレ触媒化合物、触媒化合物または遷移金属化合物と記載することができ、これらの用語は交換可能なように使用される。重合触媒系は、モノマーを重合してポリマーにすることができる触媒系である。「アニオン配位子」は、金属イオンに1個または複数の対の電子を提供する負の電荷をもつ配位子である。「中性ドナー配位子」は、1個または複数の対の電子を金属イオンに提供する中性の電荷をもつ配位子である。
【0041】
メタロセン触媒は、少なくとも1つのπ結合したシクロペンタジエニル部分または置換シクロペンタジエニル部分(例えば、置換または非置換のCp、Ind、またはFlu)、より多くの場合2つ(または3つ)のπ結合したシクロペンタジエニル部分または置換シクロペンタジエニル部分(例えば、置換または非置換のCp、Ind、またはFlu)を有する有機金属化合物と定義される。(Cp=シクロペンタジエニル、Ind=インデニル、Flu=フルオレニル)。
本開示の目的のため、触媒化合物との関連で、「置換」という用語は、水素基がヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基で置き換えられていることを意味する。例えば、メチルシクロペンタジエン(Cp)はメチル基で置換されているCp基である。
「触媒生産性」は、Wgの触媒(cat)を含む重合触媒を、T時間という期間にわたり使用して、何グラムのポリマー(P)が生成されるかの尺度であり、以下の式:P/(TxW)で表し、gPgcat-1時間-1の単位で表すことができる。「転化率」とは、ポリマー生成物に変換されるモノマーの量であり、モル%として報告され、ポリマー収率および反応器に供給されるモノマーの量に基づき計算される。「触媒活性」は、触媒の活性レベルの尺度であり、使用触媒(cat)1モル(またはmmol)当たり生成された生成物ポリマー(P)の質量(kgP/molcatまたはgP/mmolCat)として報告され、触媒活性はまた、単位時間当たり、例えば、毎時(hr)、例えば、(Kg/mmol時間)で表すこともできる。
【0042】
「オレフィン」は、代わりに「アルケン」とも呼ばれ、少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖、分岐、または環式の、炭素および水素の化合物である。本明細書およびこれに付随する特許請求の範囲の目的のため、ポリマーまたはコポリマーがオレフィンを含むと言及された場合、このようなポリマーまたはコポリマー中に存在するオレフィンは、重合した形態のオレフィンである。例えば、コポリマーが35質量%~55質量%の「エチレン」含有量を有すると述べられている場合、コポリマーの反復種単位は、重合反応物中のエチレンから誘導され、前記誘導単位はコポリマーの質量に対して、35質量%~55質量%で存在すると理解される。「ポリマー」は、2つ以上の同じまたは異なる反復種単位を有する。「ホモポリマー」は同一である反復種単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2種以上の反復種単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3種の反復種単位を有するポリマーである。したがって、コポリマーの定義は、本明細書で使用される場合、ターポリマーなどを含む。「異なる」とは、反復種単位を指すために使用された場合、反復種単位は、少なくとも1個の原子だけ互いに異なるか、または異性体が異なることを示す。「エチレンポリマー」または「エチレンコポリマー」は、少なくとも50モル%のエチレン由来単位を含むポリマーまたはコポリマーであり、「プロピレンポリマー」または「プロピレンコポリマー」は、少なくとも50モル%のプロピレン由来単位を含むポリマーまたはコポリマーであり、などである。
【0043】
本明細書で使用される場合、Mnは数平均分子量であり、Mwは質量平均分子量であり、Mzはz平均分子量であり、質量%は質量パーセントであり、モル%はモルパーセントである。分子量分布(MWD)は、多分散指数(PDI)とも呼ばれ、MwをMnで割ったものと定義される。
「連続的」という用語は、ある期間の間、中断または停止することなく作動する、例えば、反応物質が反応ゾーンに絶えず供給され、反応ゾーン内での反応が停止することなく、生成物が絶えずまたは定期的に回収されるような系を意味する。例えば、ポリマーを生成するための連続プロセスとは、反応物質が1個または複数の反応器に絶えず導入され、ポリマー生成物が絶えず回収されたようなプロセスである。
【0044】
「溶液重合」とは、重合が、液体重合媒体、例えば、不活性溶媒もしくはモノマー(複数可)またはこれらのブレンド中で行われる重合プロセスを意味する。溶液重合は通常均一である。均一重合は、ポリマー生成物が重合媒体中に溶解される重合である。このような系は、Oliveira, J. V. et al. (2000) “High-Pressure Phase Equilibria for Polypropylene-Hydrocarbon Systems,” Ind. Eng. Chem. Res., v.39, pp. 4627-4633に記載されているように通常濁っていない。
塊状重合とは、ほとんどまたはまったく不活性溶媒または希釈剤を使用せずに、重合されるモノマーおよび/またはコモノマーを溶媒または希釈剤として使用する重合プロセスを意味する。ほんのわずかの不活性溶媒を触媒およびスカベンジャーのための担体として使用してもよい。塊状重合系は、約25質量%未満の不活性溶媒または希釈剤、例えば、約10質量%未満、例えば、約1質量%未満、例えば、0質量%未満の不活性溶媒または希釈剤を含有する。
【0045】
記載
本開示は、オレフィン重合プロセスに使用することができる活性化剤化合物に関する。例えば、本開示は、活性化剤、触媒化合物および活性化剤を含む触媒系、ならびに前記触媒系を使用してオレフィンを重合化するための方法を提供する。本開示では、従来の活性化剤化合物と比較して、活性化剤の脂肪族溶媒への溶解度を改善するため、長鎖脂肪族ヒドロカルビル基および長鎖脂肪族エーテル基を有するアンモニウムまたはホスホニウム基を特徴とする活性化剤が記載されている。
【0046】
本開示は、オレフィン重合プロセスに使用することができる活性化剤化合物(活性化剤)に関する。例えば、一部の態様では、本開示は、ホウ酸アンモニウム活性化剤、ホウ酸アンモニウム活性化剤を含む触媒系、およびホウ酸アンモニウム活性化剤を使用してオレフィンを重合化するための方法を提供する。本開示では、従来の活性化剤化合物と比較して、活性化剤の脂肪族溶媒への溶解度を改善するため、長鎖脂肪族ヒドロカルビル基および長鎖脂肪族エーテル基を有するアンモニウム基を特徴とする活性化剤が記載されている。本開示の有用なボレート基として、非限定的な例として、フルオロナフチルボレートおよびフルオロフェニルボレートが挙げられる。フルオロナフチルボレートおよびフルオロフェニルボレートアニオンを有する本開示の活性化剤は、従来の活性化剤化合物と比較して、脂肪族溶媒中の改善された溶解度を有することが発見された。本開示の活性化剤は、約50,000g/モル以上の質量平均分子量(Mw)および約50℃以上の溶融温度(Tm)を有するポリオレフィンを提供することができる。
【0047】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の触媒系およびプロセスから得られるポリマー組成物に関する。本開示によるおよび本開示の重合プロセスに使用されている触媒系の構成成分ならびに得られるポリマーは、本明細書で以下により詳細に記載されている。
本開示は、遷移金属化合物および式(I)、(II)、または(III)の活性化剤化合物を含む触媒系、オレフィンを重合化するための触媒系中の遷移金属化合物を活性化するための式(I)、(II)、または(III)の活性化剤化合物の使用、ならびにオレフィンを重合化するためのプロセスに関し、このプロセスは、重合条件下で、1種または複数のオレフィンを、遷移金属化合物および式(I)、(II)、または(III)の活性化剤化合物を含む触媒系と接触させることを含む。
【0048】
本開示はまた重合条件下で、1種または複数のオレフィンを、遷移金属化合物および式(I)、(II)、または(III)の活性化剤化合物を含む触媒系と接触させることを含む、オレフィンを重合化するためのプロセスに関する。形成されるポリマーの質量平均分子量は、所与の反応温度でのモノマー転化率の増加と共に増加し得る。
式(I)、(II)、または(III)の活性化剤化合物は以下にさらに例示される。本明細書に開示されているカチオンと非配位性アニオンの任意の組合せは、本開示のプロセスに使用するのに適しており、よって本明細書に組み込まれている。
【0049】
非配位性アニオン(NCA)活性化剤
非配位性アニオン(NCA)とは、触媒金属カチオンに配位しない、または金属カチオンに配位するが、弱くしか配位しないアニオンを意味する。NCAという用語はまた、多成分性NCA含有活性化剤、例えば、N,N--ジオクタデシルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレートを含むと定義されており、これは酸性カチオン性基および非配位性アニオンを含有する。NCAという用語はまた、中性ルイス酸、例えば、トリス(ペンタフルオロナフチル)ホウ素を含むとも定義されており、このトリス(ペンタフルオロナフチル)ホウ素は触媒と反応して、アニオン性基の引き抜きにより活性化種を形成することができる。NCAは、中性ルイス塩基、例えば、オレフィン系またはアセチレン不飽和モノマーが、それを触媒中心から移動させることができるほど十分弱い程度に配位する。相容性のある、弱く配位する錯体を形成できる任意の金属または半金属を、非配位性アニオンに使用するまたは含有することができる。適切な金属として、アルミニウム、金、および白金を挙げることができる。適切な半金属として、ホウ素、アルミニウム、リン、およびケイ素を挙げることができる。非配位性アニオン活性化剤という用語は、中性活性化剤、イオン性活性化剤、およびルイス酸活性化剤を含む。
【0050】
「相容性の」非配位性アニオンは、最初に形成された錯体が分解する際に、中性へと分解されないアニオンであることができる。さらに、アニオンは、アニオン性置換基または断片をカチオンに移動しないので、アニオンからの、中性遷移金属化合物および中性副産物の形成を引き起こさない。本開示による有用な非配位性アニオンは、相容性があり、そのイオン電荷を+1で平衡に保つという意味で遷移金属カチオンを安定化させ、しかも重合中の置換を許容するのに十分な反応活性度を保持しているものである。
【0051】
活性化剤
本開示は、金属酸または半金属アニオン、例えば、ホウ酸イオンまたはアルミン酸イオンと組み合わせた、長鎖脂肪族ヒドロカルビル基を有するアンモニウムまたはホスホニウム基を含むアンモニウムまたはホスホニウム金属酸または半金属活性化剤化合物などの活性化剤を提供する。本開示の活性化剤が、オレフィン重合において触媒化合物(例えば、第4族メタロセン化合物)と共に使用された場合、異なるカチオン構造を有し、芳香族溶媒により溶解しやすい比較活性化剤を用いて得たものと同等の分子量ならびに溶融温度および活性を有するポリマーが形成され得る。加えて、本開示の活性化剤は脂肪族溶媒に溶解性があることが発見された。
【0052】
本発明の一部の態様では、本明細書に記載されている活性化剤は、メチルシクロヘキサン中、25℃で、少なくとも10mM(または少なくとも20mM、または少なくとも50mM)の溶解度を有する。
本発明の一部の態様では、本明細書に記載されている活性化剤はメチルシクロヘキサン中、25℃で、約10mM~約100mM、または約20mM~約80mM、または約50mM~約75mMの溶解度を有する。
本発明の一部の態様では、本明細書に記載されている活性化剤は、イソヘキサン中、25℃で、少なくとも10mM(または少なくとも20mM、または少なくとも50mM)の溶解度を有する。
【0053】
本発明の一部の態様では、本明細書に記載されている活性化剤は、イソヘキサン中、25℃で、約10mM~約100mM、または約20mM~約80mM、または約50mM~約75mMの溶解度を有する。
本発明の一部の態様では、本明細書に記載されている活性化剤は、メチルシクロヘキサン中、25℃で、少なくとも10mM(または少なくとも20mM、または少なくとも50mM)の溶解度、およびイソヘキサン中、25℃で、少なくとも10mM(または少なくとも20mM、または少なくとも20mM、または少なくとも50mM)の溶解度を有する。
【0054】
本開示は、本明細書に記載されている遷移金属化合物および活性化剤化合物を含む触媒系、オレフィンを重合化するための触媒系において遷移金属化合物を活性化するためのこのような活性化剤化合物の使用、ならびにオレフィンを重合化するためのプロセスに関し、プロセスは重合条件下で1種または複数のオレフィンを、遷移金属化合物およびこのような活性化剤化合物を含む触媒系と接触させることを含み、トルエンなどの芳香族溶媒は存在せず(例えば、ゼロモル%で存在する、あるいは1モル%未満で存在する、好ましくは触媒系、生成される重合反応物および/またはポリマーは、「検出可能な芳香族炭化水素溶媒」、例えば、トルエンを含まない。本開示の目的のため、「検出可能な芳香族炭化水素溶媒」とは、気相クロマトグラフィーで決定される場合、0.1mg/m2以上を意味する。本開示の目的のため、「検出可能なトルエン」とは、ガスクロマトグラフィーで決定される場合、0.1mg/m2以上を意味する。
本明細書で生成されるポリオレフィンは好ましくは、0ppm(あるいは1ppm未満)の芳香族炭化水素を含有する。好ましくは、本明細書で生成されるポリオレフィンは0ppm(あるいは1ppm未満)のトルエンを含有する。
本明細書で使用される触媒系は好ましくは、0ppm(あるいは1ppm未満)の芳香族炭化水素を含有する。好ましくは、本明細書で使用される触媒系は0ppm(あるいは1ppm未満)のトルエンを含有する。
【0055】
本発明は、式(I):
[Ar(EHR12)(OR3)]d+[Mk+nd-(I)
[式中、Arはアリール基であり、Eは窒素またはリンであり、R1はC1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、R2はC1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、R3はC10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、Mは元素周期表の第13族から選択される元素であり、dは1、2または3であり、kは1、2、または3であり、nは1、2、3、4、5、または6であり、n-k=dであり、各Qは、独立して、水素化物、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである]で表される活性化剤化合物にさらに関する。
【0056】
一部の態様では、Arはフェニル基である。さらに、一部の態様では、R1、R2、およびR3は合わせて20個以上の炭素原子を含む。
一部の態様では、R1はC1-C10直鎖アルキル基である。特に、一部の態様では、R1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシルである。一部の態様では、R2はC1-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である。一部の態様では、R3はC10-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である。
一部の態様では、R1はメチルであり、R2はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルであり、R3はn-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである。
【0057】
本明細書の任意の活性化剤の式の一部の態様では、各R1、R2および/またはR3は、独立して、ハロゲン化物、C1-C50アルキル、C5-C50アリール、C6-C35アリールアルキル、またはC6-C35アルキルアリールのうちの少なくとも1つで置換されていてもよいが、ただし、置換R2およびR3基は分岐アルキル基(上で定義された通りである)ではないものとする。
一部の態様では、Qは置換されていてもよいアリール基である。好ましくは、Qはハロゲン置換アリール基であってよい。好ましくは、各Qは、1~30個の炭素原子を有するフッ化ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、各Qはフッ化アリール(例えば、フェニルまたはナフチル)基であり、最も好ましくは、各Qはパーフルオロ化アリール(例えば、フェニルまたはナフチル)基である。特に、少なくとも1つの、好ましくはすべてのQはパーフルオロアリール基であってよい。より具体的には、少なくとも1つの、好ましくはすべてのQは、パーフルオロフェニル基またはパーフルオロナフチル基であってよい。
【0058】
本発明の少なくとも1つの態様では、活性化剤は、式(II):
[Cat]+[MQ4]-(II)
[式中、Mは第13族原子であり、好ましくはBまたはAlであり、Qは水素化物、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである]で表される。
【0059】
一部の態様では、[Cat]+は、
【化8】
からなる群から選択される。
【0060】
一部の態様では、Qは置換されていてもよいアリール基である。好ましくは、Qはハロゲン置換アリール基であってよい。好ましくは、各Qは、1~30個の炭素原子を有するフッ化ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、各Qはフッ化アリール(例えば、フェニルまたはナフチル)基であり、最も好ましくは、各Qはパーフルオロ化アリール(例えば、フェニルまたはナフチル)基である。特に、Qはパーフルオロアリール基であってよい。より具体的には、Qはパーフルオロフェニル基またはパーフルオロナフチル基であってよい。
【0061】
少なくとも1つの態様では、活性化剤は、式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、Eは窒素またはリンであり、R11、R12、およびR13のぞれぞれは独立して、C1-C30直鎖アルキル基またはアリール基であり、アリールは少なくとも1つのC10-C30アルコキシ基で置換されており、R11、R12、およびR13は合わせて、26個以上の炭素原子を含み、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれは、独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは1~7個のフッ素原子で置換されている]で表されるイオン性ホウ酸アンモニウムまたはホウ酸ホスホニウムである。
【0062】
本発明はまた、式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、Eは窒素またはリンであり、R11およびR12のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキルであり、R13はC10-C30アルコキシ基で置換されているアリール基であり、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは1~7個のフッ素原子で置換されている]で表される活性化剤化合物に関する。
本発明はまた、式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、Eは窒素またはリンであり、R11およびR12のそれぞれは独立して、C1-C30直鎖アルキルであり、R13はC10-C30アルコキシ基で置換されているアリール基であり、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは、1~7個のフッ素原子で置換されており、R11、R12、およびR13は合わせて、30個以上の(または40個以上の)炭素原子を含む]で表される活性化剤化合物に関する。
【0063】
本明細書に記載されている任意の態様では、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれは、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を有するフッ化ヒドロカルビル基であり、より好ましくはR14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、フッ化アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、[(C63(C6524B]、またはナフチル)基であり、最も好ましくはR14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、パーフルオロ化アリール(例えば、ビ-フェニル、[(C63(C6524B]、またはナフチル)基である。
本明細書に記載されている任意の態様では、好ましくはR14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、5個のフッ素原子、6個のフッ素原子、または7個のフッ素原子、好ましくは7個のフッ素原子を含むナフチルである。
【0064】
本明細書に記載されている任意の態様では、好ましくはR14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、5個のフッ素原子、好ましくは5個のフッ素原子を含むフェニルである。
少なくとも1つの態様では、R14は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、5個のフッ素原子、6個のフッ素原子、または7個のフッ素原子を含むナフチルである。
少なくとも1つの態様では、R14は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、または5個のフッ素原子を含むナフチルである。
【0065】
少なくとも1つの態様では、R15は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、5個のフッ素原子、6個のフッ素原子、または7個のフッ素原子を含むナフチルである。
少なくとも1つの態様では、R15は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、または5個のフッ素原子を含むナフチルである。
少なくとも1つの態様では、R16は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、5個のフッ素原子、6個のフッ素原子、または7個のフッ素原子を含むナフチルである。
【0066】
少なくとも1つの態様では、R16は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、または5個のフッ素原子を含むナフチルである。
少なくとも1つの態様では、R17は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、5個のフッ素原子、6個のフッ素原子、または7個のフッ素原子を含むナフチルである。
少なくとも1つの態様では、R17は独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、または5個のフッ素原子を含むナフチルである。
「助触媒」および「活性化剤」という用語は交換可能なように本明細書で使用され、中性の触媒化合物を触媒活性のある触媒化合物カチオンに変換することによって、本開示の触媒化合物のうちのいずれか1種を活性化することができる任意の化合物と定義される。
【0067】
本開示の触媒系は、スラリーまたは気相重合での使用のために触媒を支持することによる方式を含めた任意の適切な方式で、触媒を活性化剤と合わせることにより形成することができる。触媒系はまた、溶液重合もしくは塊状重合に(モノマー中、すなわち、ほとんどまたはまったく溶媒なし)添加してもよいし、または溶液重合もしくは塊状重合で生成してもよい。
式(I)、(II)および(III)のカチオン部分、ならびにNCAである、これらのアニオン部分は、さらに以下に例示される。本明細書に開示されているカチオンとNCAの任意の組合せは、本開示のプロセスに使用するのに適しており、よって本明細書に組み込まれる。
【0068】
活性化剤-カチオン
本明細書に記載されている活性化剤(例えば、上記式(I)、(II)および(III))のカチオン構成成分は、アルキルまたはアリールなどの部分を、遷移金属化合物からプロトン化することを可能にし得るプロトン化されたルイス塩基である。よって、中性脱離基の放出により(例えば、活性化剤のカチオン性構成成分から寄与されたプロトンと、遷移金属化合物のアルキル置換基の組合せから得られるアルカン)、触媒活性種である遷移金属カチオンが生じる。
【0069】
式(I)の少なくとも1つの態様では、Eは窒素またはリンであり、Arはオルト、メタ、またはパラ置換フェニルであり、R1およびR2のそれぞれは独立して、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、R3はC10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、R1、R2、およびR3のそれぞれは、ハロゲン、-NR’2、-OR’または-SiR’3(各R’は独立して、水素またはC1-C20ヒドロカルビルである)で置換されていてもよい。好ましくは、Arはパラ置換フェニル基である。一態様では、R1、R2、およびR3は合わせて、20個以上の炭素原子、例えば、26個以上の炭素原子、例えば、27個以上の炭素原子、例えば、43個以上の炭素原子を含む。少なくとも1つの態様では、R1、R2、およびR3は独立して、置換もしくは非置換のC1-C22直鎖アルキル、または置換もしくは非置換のフェニルである。少なくとも1つの実施形態では、R1およびR2のそれぞれは独立して、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、およびn-イコシルから選択される。少なくとも1つの態様では、R3は、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、およびn-イコシルから選択される。
【0070】
別の態様では、R1はメチルであり、R2はC1-C30アルキルであり、R3はC10-C30直鎖アルキルである。
別の態様では、R1はメチルであり、R2はメチル、n-デシル、n-トリデシル、またはn-イコシルであり、R3はC10-C30直鎖アルキルである。
別の態様では、R1はメチルであり、R2はメチル、n-デシル、n-トリデシル、またはn-イコシルであり、R3はn-デシル、n-トリデシル、またはn-イコシルである。
【0071】
式(III)の少なくとも1つの態様では、Eは窒素またはリンであり、R11はメチル基であり、R12はC1-C30アルキルであり、R3は少なくとも1つのC10-C30直鎖アルコキシ基で置換されているアリール基であり、R11、R12、およびR13は合わせて、26個以上の炭素原子、例えば、30個以上の炭素原子、例えば、40個以上の炭素原子を含む。少なくとも1つの態様では、R1およびR2のそれぞれは独立して、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、およびn-イコシルから選択される。少なくとも1つの態様では、R3は、フェニルアルコキシデシル、フェニルアルコキシウンデシル、フェニルアルコキシドデシル、フェニルアルコキシトリデシル、フェニルアルコキシテトラデシル、フェニルアルコキシペンタデシル、フェニルアルコキシヘキサデシル、フェニルアルコキシヘプタデシル、フェニルアルコキシオクタデシル、フェニルアルコキシノナデシル、およびフェニルアルコキシイコシルから選択される。
【0072】
好ましくは、式(I)、(II)、および(III)で表される化合物は、
【化9】
からなる群から選択されるカチオンを含む。
【0073】
活性化剤-アニオン
本明細書に記載されている活性化剤のアニオン構成成分は、式[Mk+n-(式中、kは1、2、または3であり、nは1、2、3、4、5、または6(好ましくは1、2、3、または4)であり(好ましくは、kは3であり、nは4、5、または6であり、好ましくはMがBの場合、nは4である)、Mは元素周期表の第13族から選択される元素であり、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、Qは独立して、水素化物、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、およびハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、前記Qは20個までの炭素原子を有する)で表されるものを含む。好ましくは、各Qはフッ化ヒドロカルビル基であり、任意で1~20個の炭素原子を有し、より好ましくは、各Qはフッ化アリール基であり、最も好ましくは、各Qはパーフルオロ化アリール基である。一態様では、Qは、置換フェニル、例えば、パーフルオロフェニルである。別の態様では、Qは置換ナフチル、例えば、パーフルオロナフチルである。
【0074】
少なくとも1つの態様では、活性化剤のアニオン構成成分は、式[MQ4]-(式中、Qは水素化物、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである)で表されるものを含む。好ましくは、各Qは、任意で1~20個の炭素原子を有するフッ化ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、各Qはフッ化アリール基であり、最も好ましくは、各Qはパーフルオロ化アリール基である。一態様では、Qは置換フェニル、例えば、パーフルオロフェニルである。別の態様では、Qは置換ナフチル、例えば、パーフルオロナフチルである。
【0075】
別の態様では、式(III)で表される活性化剤のボレート部分([BR14151617-)に対して、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、アリール(例えば、フェニルまたはナフチル)であり、R14、R15、R16、およびR17のうちの少なくとも1つは1~7個のフッ素原子で置換されている。少なくとも1つの実施形態では、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれはナフチルであり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは1~7個のフッ素原子で置換されている。
【0076】
少なくとも1つの態様では、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、5個のフッ素原子、6個のフッ素原子、または7個のフッ素原子を含むナフチルである。
少なくとも1つの態様では、R14、R15、R16、およびR17のそれぞれは独立して、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子、3個のフッ素原子、4個のフッ素原子、または5個のフッ素原子を含むフェニルである。
一態様では、ボレート活性化剤はテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含む。
別の態様では、ボレート活性化剤はテトラキス(ヘプタフルオロナフチアレン-2-イル)ボレートを含む。
【0077】
本明細書に記載されている非配位性アニオン活性化剤に使用するのに好ましいアニオンは以下の式(VIII):
【化10】
[式中、
*は、第13族原子、好ましくはBまたはAl、好ましくはBであり、
各R101は、独立して、ハロゲン化物、好ましくはフッ化物であり、
各R102は、独立して、ハロゲン化物、C6-C20置換芳香族ヒドロカルビル基または式-O-Si-Raのシロキシ基(式中、RaはC1-C20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基である)であり、好ましくは、R102はフッ化物またはパーフルオロ化フェニル基であり、
各R103は、ハロゲン化物、C6-C20置換芳香族ヒドロカルビル基または式-O-Si-Raのシロキシ基(式中、RaはC1-C20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基である)であり、好ましくは、R103はフッ化物またはC6パーフルオロ化芳香族ヒドロカルビル基であり、
102およびR103は、1つまたは複数の飽和または不飽和の、置換または非置換の環を形成することができ、好ましくは、R102およびR103はパーフルオロ化フェニル環を形成する]で表されるものを含む。好ましくは、アニオンは、700g/モルを超える分子量を有し、好ましくは、M*原子上の置換基のうちの少なくとも3つは、180立方Åを超える分子体積をそれぞれ有する。
【0078】
「分子体積」は本明細書で、溶液中の活性化剤分子の空間的な立体的かさ高さの近似値として使用されている。分子体積の異なる置換基の比較により、分子体積の小さな置換基は、分子体積の大きな置換基と比較して、「かさ高くない」と考えることができる。逆に、分子体積の大きな置換基は分子体積の小さな置換基「よりもかさ高い」と考えることができる。
【0079】
分子体積は、Girolami, G. S. (1994) "A Simple "Back of the Envelope" Method for Estimating the Densities and Molecular Volumes of Liquids and Solids," Journal of Chemical Education, v.71(11), pp. 962-964に報告されている通り計算することができる。分子体積(MV)は、立方Åの単位で、式:MV=8.3Vs(式中、Vsは縮尺された体積である)を使用して計算する。Vsは、構成原子の相対体積の合計であり、相対体積の以下の表1を使用して、置換基の分子式から計算する。縮合環に対して、Vsは縮合環1つ当たり7.5%低減する。アニオンの全MV計算値は、置換基1つ当たりのMVの合計、例えば、パーフルオロフェニルのMVは183Å3であり、テトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートに対して計算した全MVは183Å3に4をかけたもの、すなわち732Å3である。
【0080】
【表1】

本明細書で有用な例示的アニオンおよびこれらのそれぞれの縮尺した体積および分子体積が以下の表2に示されている。破線で示された結合はホウ素への結合を示す。
【0081】
【表2】

【0082】
活性化剤は、例えば、[M2HTH]+[NCA]-を使用して、イオン対の形態で重合に添加することができ、この場合、ジ(水素添加タロウ)メチルアミン(「M2HTH」)カチオンが遷移金属錯体上の塩基性脱離基と反応して、遷移金属錯体カチオンおよび[NCA]-を形成する。あるいは、遷移金属錯体は、中性NCA前駆体、例えば、B(C1073と反応させることができ、これによって、アニオン性基が錯体から引き抜かれて、活性化種を形成する。有用な活性化剤として、ジ(水素添加タロウ)メチルアミン(パーフルオロナフチル)ボレート(すなわち、[M2HTH]B(C1074)およびジ(オクタデシル)トリルアミン(パーフルオロナフチル)ボレート(すなわち、[DOdTH]B(C1074)が挙げられる。
【0083】
少なくとも1つの態様では、ボレート活性化剤化合物に対して使用されるこれらの塩形態で得られる活性化剤は、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートエーテレート(Li-A1)、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DMAH-A1)、ナトリウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボレート(Na-A2)およびN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボレート(DMAH-A2)である。
少なくとも1つの態様では、本開示の活性化剤は、第4族メタロセン触媒化合物と組み合わせて、活性のあるオレフィン重合触媒を形成する場合、他のホウ酸アニオンを使用する比較活性化剤よりも高い分子量(例えば、Mw)のポリマーを生成する。
【0084】
少なくとも1つの態様では、R1がメチルである本開示の活性化剤は、第4族メタロセンと組み合わせて活性のあるオレフィン重合触媒を形成する場合、他のホウ酸アニオンを使用する比較活性化剤よりも高い分子量(例えば、Mw)のポリマーを生成する。
典型的な活性化剤の触媒に対する比、例えば、すべてのNCA活性化剤の触媒に対する比は約1:1モル比である。代わりの好ましい範囲は、0.1:1~100:1、あるいは0.5:1~200:1、あるいは1:1~500:1あるいは1:1~1000:1を含む。特に有用な範囲は0.5:1~10:1、好ましくは1:1~5:1である。
触媒化合物をアルモキサンと本明細書に記載されている活性化剤の組合せと組み合わせることができることも本開示の範囲内である。
【0085】
合成
一態様では、活性化剤の一般的合成は、3つのステッププロセスを使用して実施することができる。第1ステップでは、エーテル基を含有するアルキル化アミンまたはホスフィンを、水素化ナトリウムの存在下、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で、アミノフェノールまたはホスフィノフェノールおよびブロモアルカンから調製する。得られたアルキル化アミンまたはホスフィンを次いで溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エーテル、ジクロロメタン、トルエン)に溶解し、過剰(例えば、1.2モル当量)の塩化水素を添加して、塩化アンモニウム塩を形成する。この塩を、通常濾過により反応媒体から単離し、減圧下で乾燥させる。次いで、単離した塩化アンモニウムを、1モル当量のアルカリ金属金属酸または半金属(例えば、ボレートまたはアルミネート)と共に、溶媒(例えば、シクロヘキサン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン)中で還流まで加熱して、所望のホウ酸アンモニウムまたはアンモニウムアルミネートを、副生成物のアルカリ金属塩化物と共に形成し、副生成物は通常濾過により除去する。
【0086】
少なくとも1つの態様では、ホウ酸アンモニウム活性化剤の一般的合成は、3つのステッププロセスを使用して実施することができる。第1のステップでは、エーテル基を含有するアルキル化アミンを、アミノフェノールおよびブロモアルカンから、水素化ナトリウムの存在下、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で調製する。第2のステップでは、得られたアルキル化アミンを溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エーテル、ジクロロメタン、トルエン)に溶解し、過剰(例えば、1.2モル当量)の塩化水素を添加して、塩化アンモニウム塩を形成する。この塩を、通常濾過により反応媒体から単離し、減圧下で乾燥させる。単離した塩化アンモニウムを次いで約1モル当量のアルカリ金属ボレートと共に、溶媒(例えばシクロヘキサン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン)中で還流まで加熱して、副生成物のアルカリ金属塩化物と共にホウ酸アンモニウムを形成し、副生成物は通常濾過により除去することができる。
【0087】
少なくとも1つの実施形態では、本開示の活性化剤は、約10mM以上、例えば、約20mM以上、例えば、約30mM以上、例えば、約50mM以上、例えば、約75mM以上、例えば、約100mM以上、例えば、約200mM以上、例えば、約300mM以上の濃度で脂肪族溶媒に溶解性がある。少なくとも1つの実施形態では、本開示の活性化剤は、イソヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに25℃で溶解して、少なくとも10mMの濃度の均一溶液を形成する。
【0088】
少なくとも1つの実施形態では、本開示のボレートまたはアルミネート活性化剤の脂肪族炭化水素溶媒中の溶解度は、カチオン基(すなわち、アンモニウムまたはホスホニウム)の脂肪族炭素の数と共に増加する。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも10mMの溶解度は、約20個以上の脂肪族炭素原子、例えば、約25個以上の脂肪族炭素原子、例えば、約30個以上の炭素原子、例えば、約35個以上の炭素原子のアンモニウムまたはホスホニウム基を有する活性化剤を用いて達成される。
少なくとも1つの実施形態では、本開示のホウ酸アンモニウム活性化剤の脂肪族炭化水素溶媒中の溶解度は、アンモニウム基の脂肪族炭素の数と共に増加する。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも10mMの溶解度は、約20個以上の脂肪族炭素原子、例えば、約25個以上の脂肪族炭素原子、例えば、約30個以上の炭素原子、例えば、約35個以上の炭素原子のアンモニウム基を有する活性化剤を用いて達成される。
【0089】
有用な脂肪族炭化水素溶媒は、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびこれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、ならびにこれらの混合物であることができる。少なくとも1つの実施形態では、芳香族は、溶媒中に、溶媒の質量に対して、1質量%未満、例えば、0.5質量%未満、例えば、0質量%で存在する。本開示の活性化剤は、1種または複数の追加の溶媒に溶解することができる。追加の溶媒はエーテル性ハロゲン化およびN,N-ジメチルホルムアミド溶媒を含む。
少なくとも1つの実施形態では、脂肪族溶媒はイソヘキサンおよび/またはメチルシクロヘキサンである。
【0090】
任意のスカベンジャーまたは共活性化剤
これらの活性化剤化合物に加えて、スカベンジャーまたは共活性化剤を使用することができる。スカベンジャーまたは共活性化剤として利用することができるアルミニウムアルキルまたはオルガノアルミニウムまたは有機亜鉛化合物として、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、およびジエチル亜鉛が挙げられる。
少なくとも1つの実施形態では、エチレンポリマーを生成するプロセスにおいて、ほとんどまたはまったくスカベンジャーが使用されない。スカベンジャー(例えば、トリアルキルアルミニウム)は、ゼロモル%で存在することができ、あるいはスカベンジャーは、スカベンジャー金属の遷移金属に対するモル比100:1未満、例えば、50:1未満、例えば、15:1未満、例えば、10:1未満で存在する。
遷移金属触媒化合物
上に記載されているような活性化剤による活性化の際に、重合反応などの反応を触媒することが可能な任意の遷移金属化合物は、本開示の重合プロセスにおける使用に適している。メタロセンとして公知の遷移金属化合物は本開示による例示的な触媒化合物である。
【0091】
少なくとも1つの実施形態では、本開示は、金属原子を有する触媒化合物を含む触媒系を提供する。触媒化合物はメタロセン触媒化合物であることができる。金属は、第3族~第12族の金属原子、例えば、第3族~第10族の金属原子、またはランタニド基原子であることができる。第3族~第12族の金属原子を有する触媒化合物は、単座または多座、例えば、二座、三座、または四座であることができ、触媒のヘテロ原子、例えば、リン、酸素、窒素、または硫黄は、触媒の金属原子にキレート化される。非限定的例として、ビス(フェノレート)が挙げられる。少なくとも1つの実施形態では、第3族~第12族の金属原子は、第5族、第6族、第8族、または第10族の金属原子から選択される。少なくとも1つの実施形態では、第3族~第10族の金属原子はCr、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、およびNiから選択される。少なくとも1つの実施形態では、金属原子は、第4族、第5族、および第6族の金属原子から選択される。少なくとも1つの実施形態では、金属原子は、Ti、Zr、またはHfから選択される第4族金属原子である。金属原子の酸化状態は0~+7の範囲、例えば+1、+2、+3、+4、または+5、例えば+2、+3、または+4であることができる。
【0092】
メタロセン触媒化合物
「メタロセン」触媒化合物は、好ましくは、遷移金属に結合している、1個、2個または3個の、通常1個または2個の、置換または非置換のシクロペンタジエニル配位子(例えば、置換または非置換のCp、IndまたはFlu)を有する遷移金属触媒化合物である。メタロセン触媒化合物は、本明細書で使用される場合、第3族~第12族の金属錯体、例えば、第4族~第6族の金属錯体、例えば、第4族金属錯体を含むメタロセンを含む。本開示の触媒系のメタロセン触媒化合物は、式:CpACpBM’X’n(式中、各CpAおよびCpBは、独立して、シクロペンタジエニル配位子(例えば、Cp、Ind、またはFlu)およびシクロペンタジエニルとアイソローバルな配位子から選択され、CpAおよびCpBの一方または両方はヘテロ原子を含有してもよく、CpAおよびCpBの一方または両方は1つまたは複数のR’’基で置換されていてもよく、M’は、第3族~第12族の原子およびランタニド基原子から選択され、X’はアニオン性脱離基であり、nは0または1~4の整数であり、各R’’は、独立して、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルキレン、アルカリル、アルカリーレン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロ原子含有基、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、シリル、ボリル、ホスフィノ、ホスフィン、アミノ、アミン、エーテル、およびチオエーテルから選択される)で表される非架橋メタロセン触媒化合物であってよい。
【0093】
少なくとも1つの実施形態では、各CpAおよびCpBは、独立して、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、インダセニル、テトラヒドロインデニル、シクロペンタフェナントレニル、ベンゾインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル、3,4-ベンゾフルオレニル、9-フェニルフルオレニル、8-H-シクロペンタ[a]アセナフチレニル、7-H-ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2-9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、これらの水素添加および置換型から選択される。各CpAおよびCpBは、独立して、インダセニルまたはテトラヒドロインデニルであってよい。
【0094】
メタロセン触媒化合物は、式:CpA(T)CpBM’X’n(式中、各CpAおよびCpBは、独立して、シクロペンタジエニル配位子(例えば、Cp、Ind、またはFlu)およびシクロペンタジエニルとアイソローバルな配位子から選択され、CpAおよびCpBの一方または両方はヘテロ原子を含有してもよく、CpAおよびCpBの一方または両方は、1つまたは複数のR’’基で置換されていてもよく、M’は、第3族~第12族の原子およびランタニド族原子、好ましくは第4族から選択され、X’はアニオン性脱離基であり、nは0または1~4の整数であり、(T)は、二価アルキル、二価置換アルキル、二価ヘテロアルキル、二価アルケニル、二価置換アルケニル、二価ヘテロアルケニル、二価アルキニル、二価置換アルキニル、二価ヘテロアルキニル、二価アルコキシ、二価アリールオキシ、二価アルキルチオ、二価アリールチオ、二価アリール、二価置換アリール、二価ヘテロアリール、二価アラルキル、二価アラルキレン、二価アルカリル、二価アルカリーレン、二価ハロアルキル、二価ハロアルケニル、二価ハロアルキニル、二価ヘテロアルキル、二価複素環、二価ヘテロアリール、二価ヘテロ原子含有基、二価ヒドロカルビル、二価置換ヒドロカルビル、二価ヘテロヒドロカルビル、二価シリル、二価ボリル、二価ホスフィノ、二価ホスフィン、二価アミノ、二価アミン、二価エーテル、二価チオエーテルから選択される架橋基である。R’’は、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルキレン、アルカリル、アルカリーレン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロ原子含有基、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、シリル、ボリル、ホスフィノ、ホスフィン、アミノ、アミン、ゲルマニウム、エーテル、およびチオエーテルから選択される)で表される架橋メタロセン触媒化合物であってよい。
【0095】
少なくとも1つの実施形態では、CpAおよびCpBのそれぞれは、独立して、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、シクロペンタフェナントレニル、ベンゾインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル、3,4-ベンゾフルオレニル、9-フェニルフルオレニル、8-H-シクロペンタ[a]アセナフチレニル、7-H-ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2-9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、これらの水素添加、および置換型、好ましくはシクロペンタジエニル、n-プロピルシクロペンタジエニル、インデニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、およびn-ブチルシクロペンタジエニルから選択される。各CpAおよびCpBは、独立して、インダセニルまたはテトラヒドロインデニルであってよい。
【0096】
(T)は、少なくとも1個の第13族、第14族、第15族、または第16族の元素、特にホウ素または第14族、第15族または第16族の元素を含有する架橋基であり、好ましくは(T)はO、S、NR’、またはSiR’2であり、各R’は、独立して、水素またはC1-C20ヒドロカルビルである。
【0097】
別の実施形態では、メタロセン触媒化合物は、式:
yCpmMGnq
[式中、Cpは、独立して、置換または非置換のシクロペンタジエニル配位子(例えば、置換または非置換のCp、Ind、またはFlu)または置換または非置換の、シクロペンタジエニルとアイソローバルな配位子であり、Mは、第4族遷移金属であり、Gは、式JR* z(式中、JはN、P、OまたはSであり、R*は直鎖、分岐、または環式のC1-C20ヒドロカルビルであり、zは1または2である)で表されるヘテロ原子基であり、Tは架橋基であり、yは0または1であり、Xは脱離基であり、m=1、n=1、2または3、q=0、1、2または3であり、m+n+qの合計は遷移金属の配位数と等しい]で表される。
少なくとも1つの実施形態では、JはNであり、R*はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、シクロオクチル、シクロドデシル、デシル、ウンデシル、ドデシル、アダマンチルまたはこれらの異性体である。
【0098】
少なくとも1つの実施形態では、触媒化合物は、式(IV):
【化11】
[式(IV)中、Mcは金属中心であり、第4族金属、例えば、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、nは0または1であり、TはS、O、PR’、NR’、SiR”2、CH2、CHR”、またはCR”2から選択される任意の架橋基であり、R’は、C1-C30の、置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、R”は水素またはC1-C30の、置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、L1およびL2は、独立して、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、置換インデニル、テトラヒドロインデニル、置換テトラヒドロインデニル、フルオレニル、または置換フルオレニル基であり、X1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される。
【0099】
好ましくは、Tは本明細書の任意の式に存在し、少なくとも1個の第13族、第14族、第15族、または第16族の元素、特に第14族元素を含有する架橋基である。適切な架橋基の例として、P(=S)R’、P(=Se)R’、P(=O)R’、R’2C、R’2Si、R’2Ge、R’2CCR’2、R’2CCR’2CR’2、R’2CCR’2CR’2CR’2、R’C=CR’、R’C=CR’CR’2、R’2CCR’=CR’CR’2、R’C=CR’CR’=CR’、R’C=CR’CR’2CR’2、R’2CSiR’2、R’2SiSiR’2、R’2SiOSiR’2、R’2CSiR’2CR’2、R’2SiCR’2SiR’2、R’C=CR’SiR’2、R’2CGeR’2、R’2GeGeR’2、R’2CGeR’2CR’2、R’2GeCR’2GeR’2、R’2SiGeR’2、R’C=CR’GeR’2、R’B、R’2C-BR’、R’2C-BR’-CR’2、R’2C-O-CR’2、R’2CR’2C-O-CR’2CR’2、R’2C-O-CR’2CR’2、R’2C-O-CR’=CR’、R’2C-S-CR’2、R’2CR’2C-S-CR’2CR’2、R’2C-S-CR’2CR’2、R’2C-S-CR’=CR’、R’2C-Se-CR’2、R’2CR’2C-Se-CR’2CR’2、R’2C-Se-CR’2CR’2、R’2C-Se-CR’=CR’、R’2C-N=CR’、R’2C-NR’-CR’2、R’2C-NR’-CR’2CR’2、R’2C-NR’-CR’=CR’、R’2CR’2C-NR’-CR’2CR’2、R’2C-P=CR’、R’2C-PR’-CR’2、O、S、Se、Te、NR’、PR’、AsR’、SbR’、O-O、S-S、R’N-NR’、R’P-PR’、O-S、O-NR’、O-PR’、S-NR’、S-PR’、およびR’N-PR’(式中、R’は、水素またはC1-C20含有ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビル置換基であり、任意で2個以上の隣接するR’が連結して、置換もしくは非置換の、飽和、部分的に不飽和の、または芳香族、環式もしくは多環式の置換基を形成してもよい)が挙げられる。架橋基Tに対する好ましい例として、CH2、CH2CH2、SiMe2、SiPh2、SiMePh、Si(CH23、Si(CH24、O、S、NPh、PPh、NMe、PMe、NEt、NPr、NBu、PEt、PPr、Me2SiOSiMe2、およびPBuが挙げられる。
【0100】
本出願の一態様では、Tは、式Ra 2Jまたは(Ra 2J)2、[式中、JはC、Si、またはGeであり、各Raは、独立して、水素、ハロゲン、C1-C20ヒドロカルビル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、またはドデシル)またはC1-C20置換ヒドロカルビルであり、2個のRaが、芳香族、部分的に飽和または飽和した、環式または縮合環系を含む環式構造を形成することができる]で表される。好ましくは、Tは、炭素またはケイ素を含む架橋基、例えば、ジアルキルシリルであり、好ましくは、Tは、CH2、CH2CH2、C(CH32、SiMe2、SiPh2、SiMePh、シリルシクロブチル(Si(CH23)、(Ph)2C、(p-(Et)3SiPh)2C、Me2SiOSiMe2、およびシクロペンタシリレン(Si(CH24)から選択される。
【0101】
本出願の一態様では、Tはジアルキルシリル、ジアリールシリル、ジアルキルメチル、ジアリールメチル、エチレニル、またはヒドロカルビルエチレニルから選択される任意の架橋基であり、エチレニル中の水素原子のうちの1個、2個、3個または4個はヒドロカルビルで置換されている。
少なくとも1つの態様では、触媒化合物は、C2対称である対称性を有する。
【0102】
本明細書で有用な適切なメタロセンとして、これらに限定されないが、上記に引用された米国特許に開示および参照されているメタロセン、ならびに、すべてが完全に参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,179,876号;第7,169,864号;第7,157,531号;第7,129,302号;第6,995,109号;第6,958,306号;第6,884,748号;第6,689,847号;US特許公開第2007/0055028号、ならびに公開された国際出願PCT1997/022635号;国際公開第2000/699/22号;国際公開第2001/030860号;国際公開第2001/030861号;国際公開第2002/046246号;国際公開第2002/050088号;国際公開第2004/026921号;および国際公開第2006/019494号に開示および参照されているものが挙げられる。本明細書での使用に適切な追加の触媒として、米国特許第6,309,997号;第6,265,338号;米国特許公開第2006/019925号、および以下の論文:Resconi, L. et al.(2000) “Selectivity in Propene Polymerization with Metallocene Catalysts,” Chem. Rev.,v.100(4), pp.1253-1346;Gibson, V. C. e tal.(2003) “AdvancesinNon-Metallocene Olefin Polymerization Catalysis,” Chem. Rev., v.103(1), pp.283-316;Chem Eur. J. 2006, v.12, p.7546;Nakayama, Y et al.(2004), “Olefin Polymerization Behavior of bis(phenoxy-imine)Zr, Ti, and V complexes with MgCl2-based Cocatalysts,”J. Mol. Catalysis A: Chemical, v.213, pp.141-150;Nakayama, Y.etal.(2005), Propylene Polymerization Behavior of Fluorinate dBis(phenoxy-imine)Ti Complexes with an MgCl2-Based Compound(MgCl2-SupportedTi-Based Catalysts),” Macromol. Chem. Phys., v.206(18), pp.1847-1852;およびMatsui, S. et al.(2001)“A Family of Zirconium Complexes Having TwoP henoxy-Imine Chelate Ligands for Olefin Polymerization,”J. Am. Chem. Soc., v.123(28), pp.6847-6856に参照されているものが挙げられる。
【0103】
本明細書で有用な例示的なメタロセン化合物として、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジメチル、
(n-プロピルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、および
(n-プロピルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルが挙げられる。
【0104】
少なくとも1つの態様では、触媒化合物は、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mcn
ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)Mcn
ジメチルシリルビス(2-メチルフルオレニル)Mcn
ジメチルシリルビス(2-メチル-5,7-プロピルインデニル)Mcn
ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)Mcn
ジメチルシリルビス(2-エチル-5-フェニルインデニル)Mcn
ジメチルシリルビス(2-メチル-4-ビフェニルインデニル)Mcn
ジメチルシリレンビス(2-メチル-4-カルバゾリルインデニル)Mcn
rac-ジメチルシリル-ビス-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-メチル-1H-ベンズ(f)インデン)Mcn
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)Mcn
ビス(メチルシクロペンタジエニル)Mcn
rac-ジメチルシリルビス(2-メチル,3-プロピルインデニル)Mcn
ジメチルシリルビス(インデニル)Mcn
rac-メソ-ジフェニルシリル-ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mcn
1、1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)メチレン-(シクロペンタジエニル)(3,8-ジ-第三級ブチル-1-フルオレニル)Mcn(架橋は1位と考える)、
ビス-トリメチルシリルフェニル-メチレン(シクロペンタジエニル)(ジ-t-ブチルフルオレニル)McXn、
【0105】
ビス-トリメチルシリルフェニル-メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)McXn、
ビスフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ジメチルフルオレニル)McXn、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mcn
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)Mcn
ビス(n-ペンチルシクロペンタジエニル)Mcn
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(n-ブチルシクロペンタジエニル)Mcn
ビス[(2-トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]Mcn
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)Mcn
ジメチルシリルビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mcn
ジメチルシリルビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)Mcn
ビス(1-n-プロピル-2-メチルシクロペンタジエニル)Mcn
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(1-n-プロピル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)Mcn
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)Mcn
ビス(インデニル)Mcn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mcn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mcn
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)(メチレン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)Mcn
【0106】
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mcn
μ-(CH32Si(3-タートブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mcn
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mcn
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mcn
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mcn
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-タートブチルアミド)Mcn
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-タートブチルアミド)Mcn
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mcn
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mcn
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(タートブチルアミド)Mcn
(式中、Mcは、Ti、Zr、およびHfから選択され、Xは、ハロゲン、水素化物、C1-12アルキル、C2-12アルケニル、C6-12アリール、C7-20アルキルアリール、C1-12アルコキシ、C6-16アリールオキシ、C7-18アルキルアリールオキシ、C1-12フルオロアルキル、C6-12フルオロアリール、およびC1-12ヘテロ原子含有炭化水素、これらの置換誘導体、ならびにこれらの組合せからなる群から選択され、nはゼロまたは1~4の整数であり、好ましくは、Xは、ハロゲン(例えば、臭化物、フッ化物、塩化物)、またはC1-C20アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびペンチル)から選択され、nは1または2であり、好ましくは2である)から選択することができる。
【0107】
本発明の他の実施形態では、触媒は、
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(インデニル)Mc(R)2
ビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)(メチレン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)Mc(R)2
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
【0108】
μ-(CH32Si(3-タートブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(タートブチルアミド)Mc(R)2
(式中、McはTi、Zr、およびHfから選択され、RはハロゲンまたはC1-C5アルキルから選択される)のうちの1つまたは複数である。
【0109】
本出願の好ましい態様では、触媒化合物は、
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジメチル;
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジメチル;
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジメチル;
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(CH32Si(3-タートブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-タートブチルアミド)チタニウムジメチル2
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-タートブチルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)チタニウムジメチル;
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)チタニウムジメチル;および/または
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(タートブチルアミド)チタニウムジメチル
のうちの1つまたは複数である。
【0110】
少なくとも1つの態様では、触媒は、rac-ジメチルシリル-ビス(インデニル)ハフニウムジメチルおよび/または1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)メチレン-(シクロペンタジエニル)(3,8-di-第三級ブチル-1-フルオレニル)ハフニウムジメチルおよび/またはジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチルである。
【0111】
少なくとも1つの実施形態では、触媒化合物は、
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、
ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(インデニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチルフルオレニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチルフルオレニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチル-5,7-プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-エチル-5-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチル-4-ビフェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリレンビス(2-メチル-4-カルバゾリルインデニル)ジルコニウムジメチル、
【0112】
rac-ジメチルシリル-ビス-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-メチル-1H-ベンズ(f)インデン)ハフニウムジメチル、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリルビス(2-メチル,3-プロピルインデニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルrac-ジメチルシリル-ビス-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-メチル-1H-ベンズ(f)インデン)ハフニウムジメチル、
rac-メソ-ジフェニルシリル-ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)メチレン-(シクロペンタジエニル)(3,8-ジ-第三級ブチル-1-フルオレニル)ハフニウムジメチル、
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)メチレン-(シクロペンタジエニル)(3,8-ジ-第三級ブチル-1-フルオレニル)ハフニウムXn(架橋は1位と考える)、
ビス-トリメチルシリルフェニル-メチレン(シクロペンタジエニル)(ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチル、
ビス-トリメチルシリルフェニル-メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、
ビスフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ジメチルフルオレニル)ハフニウムジメチル、
【0113】
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(n-ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス[(2-トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムジメチル、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(1-n-プロピル-2-メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、および
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(1-n-プロピル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(n-ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス[(2-トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムジメチル、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ビス(1-n-プロピル-2-メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(1-n-プロピル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、および
ジメチルシリル(3-n-プロピルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルのうちの1つまたは複数である。
【0114】
本開示の重合に使用される例示的メタロセン触媒は、式(CAT-1)、(CAT-2)、(CAT-3)、および(CAT-4):
【化12】
で表すことができる。
【0115】
非メタロセン触媒化合物
重合プロセスのための遷移金属錯体は任意のオレフィン重合触媒を含むことができる。適切な触媒構成成分は、シクロペンタジエニルアニオンまたは置換シクロペンタジエニルアニオンドナー(例えば、シクロペンタジエニル、フルオレニル、インデニル、メチルシクロペンタジエニル)を特徴としない、遷移金属錯体であると定義される「非メタロセン錯体」を含み得る。適切となり得る非メタロセン錯体のファミリーの例として、後期遷移金属ピリジルビシミン(例えば、米国特許第7,087,686号)、第4族ピリジルジアミド(例えば、米国特許第7,973,116号)、キノリニルジアミド(例えば、米国特許出願公開第2018/0002352号)、ピリジルアミド(例えば、米国特許第7,087,690号)、フェノキシイミン(例えば、Makio, H. et al. (2009) “Development and Application of FI Catalysts for Olefin Polymerization: Unique Catalysis and Distinctive Polymer Formation,” Accounts of Chemical Research, v.42(10), pp. 1532-1544)、および架橋二芳香族錯体(例えば、米国特許第7,091,292号)を挙げることができ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
本明細書に記載されている活性化剤と組み合わせて使用するのに適した触媒錯体として、ジフェノレート錯体;オキサジアゾリルフェノレート錯体;ジエチレントリアミン錯体;およびオキシビス(エチルアミン)錯体;またはメタロセン錯体との任意の組合せを含むこれらの任意の組合せが挙げられる。
「ビスフェノレート錯体」または「ビスフェノレート触媒」という用語は、2個の中性ルイス塩基性ドナー原子(例えば、酸素架橋部分)および2個のアニオン性アリールオキシ(すなわち、脱プロトン化フェノキシ)ドナーを介して金属中心に配位結合している二価陰イオンの四座配位子を特徴とする、米国特許第6,841,502号、国際公開第2017/004462号、およびWO2006/020624に記載のクラスの配位化合物を指す。
【0117】
「フェノキシイミン錯体」または「フェノキシイミン触媒」という用語は、1個の中性ルイス塩基性ドナー原子(例えば、イミン部分)およびアニオン性アリールオキシ(すなわち、脱プロトン化フェノキシ)ドナーを介して金属中心に配位結合しているモノアニオン性二座配位子を特徴とする、欧州特許出願公開第0874005号に記載のクラスの配位化合物を指す。通常これら二座フェノキシイミン配位子のうちの2個が第4族金属に配位結合して、触媒構成成分として有用な錯体を形成する。
「オキサジアゾリルフェノレート錯体」または「オキサジアゾリルフェノレート触媒」という用語は、フェノレート酸素およびオキサジアゾリル窒素原子および2個の他のアニオン配位子を介して二座のオキサジアゾリルフェノレートアニオンに配位結合している金属中心を特徴とするクラスの配位化合物を指す。
「ジエチレントリアミン錯体」または「ジエチレントリアミン錯体」という用語は、三座ジエチレントリアミン配位子および2個の他のアニオン配位子に配位結合している金属中心を特徴とするクラスの配位化合物を指す。
「オキシビス(エチルアミン)錯体」または「オキシビス(エチルアミン)錯体」という用語は、2個のアミノ基の窒素およびエーテル基の酸素および2個の他のアニオン配位子を介して三座オキシビス(エチルアミン)配位子に配位結合している金属中心を特徴とするクラスの配位化合物を指す。
【0118】
適切な非メタロセン錯体として、ジルコニウムおよびハフニウム非メタロセン錯体を挙げることができる。少なくとも1つの実施形態では、本開示に対する非メタロセン錯体として、4個のアニオン性ドナー原子および1個または2個の中性ドナー原子を含む第4族非メタロセン錯体が挙げられる。本開示に適した非メタロセン錯体として、アニオン性フェノレートドナーを含む第4族非メタロセン錯体が挙げられる。本開示に適した非メタロセン錯として、アニオン性アミノドナー原子を含む第4族非メタロセン錯体が挙げられる。本開示に適した非メタロセン錯体として、2個のアニオン性アリールオキシドドナー原子および2個の追加の中性ドナー原子を含む第4族非メタロセン錯体が挙げられる。
【0119】
触媒化合物は、式(V):
【化13】
[式中、
cは、第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、または第12族金属、例えば、第4族金属であり、
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、独立して、水素化物、ハロゲン化物、置換されていてもよいヒドロカルビル、ヘテロ原子含有、置換されていてもよいヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、シリル、ボリル、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオおよびセレノであり、2個以上のR基は、一緒に合わさって、環内に3~100個の非水素原子を有するような環構造を有する環構造を作ってもよく、
AはC1-C50アルキル基であり、
1およびY2は、独立して、O、S、NRaおよびPRaから選択され、Raは置換されていてもよいヒドロカルビルであり、
Ar1は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、またはフェナントレニルであり、
【0120】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表されるジフェノレート遷移金属錯体であることができる。
【0121】
少なくとも1つの態様では、Mcは、第4族金属、例えば、ジルコニウムまたはハフニウムであり、例えば、Mcはジルコニウムである。
少なくとも1つの態様では、Y1およびY2はOである。
1およびX2は、独立して、アルキル(例えば、1~10個の炭素を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびこれらの異性体)、アリール、アルキルアリール(例えば、ベンジル)、水素化物、アルキルシラン、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トリフレート、カルボキシレート、アミド(例えば、NMe2)、またはアルキルスルホネートであってよい。
【0122】
少なくとも1つの態様では、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、独立して、水素化物またはアルキルである。
22は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびこれらの異性体であってよい。
Ar1はビフェニル基であってよい。
Aは、アルキル基、例えば、プロピルまたはブチルであってよい。
【0123】
本開示の重合に使用される例示的な触媒は、式(CAT-5)で表すことができる。
【化14】
【0124】
本開示の重合に使用される別の例示的な触媒は、式(CAT-6)で表すことができる。
【化15】
【0125】
別の態様では、オキサジアゾリルフェノレート触媒化合物は、式(VIa)または(VIb):
【化16】
[式(VIa)または(VIb)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
41、R42、R43、R44、R45は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
【0126】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができ、
zは1、2、3、または4である]で表される。
【0127】
少なくとも1つの態様では、Mcは、第4族金属、例えば、ジルコニウムまたはハフニウムであり、例えば、Mcはジルコニウムである。
少なくとも1つの態様では、X1およびX2は、独立して、アルキル(例えば、1~10個の炭素を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびこれらの異性体)、アリール、アルキルアリール(例えば、ベンジル)、水素化物、アルキルシラン、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トリフレート、カルボキシレート、アミド(例えば、NMe2)、またはアルキルスルホネートである。
少なくとも1つの態様では、R41、R42、R43、R44、R45は、独立して、水素化物、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである。
【0128】
41およびR45は、独立して、置換アリール基、例えば、ハロゲン置換フェニルまたはハロアルキル置換フェニルであってよく、R42およびR43は水素であってよく、R43は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびこれらの異性体であってよい。
少なくとも1つの態様では、R41は、フルオロアリール基、例えば、メタ-トリフルオロフェニル基であってよく、R42およびR43は水素であってよく、R43はブチル基、例えば、tert-ブチル基ブチルであってよく、R45はクロロアリール基、例えば、ジクロロフェニル基であってよい。
【0129】
本開示の重合のために使用されている例示的オキサジアゾリルフェノレート触媒は、式(CAT-7)で表すことができる。
【化17】
【0130】
別の態様では、ジエチレントリアミンおよびオキシビス(エチルアミン)触媒化合物は、式(VII):
【化18】
[式(VII)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり
51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびY2は、独立して、O、N、NH、またはSであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される。
【0131】
少なくとも1つの態様では、Mcは、第4族金属、例えば、ジルコニウムまたはハフニウムであり、例えば、Mcはジルコニウムである。
少なくとも1つの態様では、Y1およびY2は、独立して、OまたはNである。
少なくとも1つの態様では、X1およびX2は、独立して、アルキル(例えば、1~10個の炭素を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびこれらの異性体)、アリール、アルキルアリール(例えば、ベンジル)、水素化物、アルキルシラン、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トリフレート、カルボキシレート、アミド(例えば、NMe2)、またはアルキルスルホネートである。
【0132】
少なくとも1つの態様では、R51、R52、R53、R54、R5556、R57、R58、R59、およびR60は、独立して、水素化物、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリール基である。
少なくとも1つの態様では、R51、R52、R53、R54、R5556、R57、R58、R59、およびR60は、アルキル基、例えば、メチル基である。
【0133】
本開示の重合のために使用される例示的なオキシビス(エチルアミン)触媒は、式(CAT-8)
【化19】
で表すことができる。
【0134】
本開示の重合のために使用される例示的ジエチレントリアミン触媒は、式(CAT-9)
【化20】
で表すことができる。
【0135】
一部の態様では、共活性化剤は、触媒化合物(例えば、上記に記載されているハロゲン化触媒化合物)と合わせて、アルキル化触媒化合物を形成する。共活性化剤として利用することができるオルガノアルミニウム化合物として、例えば、トリアルキルアルミニウム化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムなど、またはアルモキサンが挙げられる。
【0136】
一部の態様では、2種以上の異なる触媒化合物が本明細書で使用されている触媒系に存在する。一部の実施形態では、2種以上の異なる触媒化合物が、本明細書に記載されているプロセス(複数可)が生じる反応ゾーンに存在する。2種の遷移金属化合物ベースの触媒が1つの反応器内で混合触媒系として使用される場合、これら2種遷移金属化合物は好ましくは、2種が相容性であるように選択される。単純なスクリーニング法、例えば、1Hまたは13CNMRは、当業者に公知であり、どの遷移金属化合物が相容性であるかを決定するために使用することができる。遷移金属化合物に対して同じ活性化剤を使用することが好ましいが、2種の異なる活性化剤を組み合わせて使用することもできる。1種または複数の遷移金属化合物が、水素化物、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルではない脱離基としてアニオン配位子を含有する場合、アルモキサンまたは他のアルキルアルミニウムは通常、非配位性アニオン活性化剤の添加前に遷移金属化合物と接触させる。
【0137】
2種の遷移金属化合物(プレ触媒)は任意の比率で使用することができる。(A)遷移金属化合物の(B)遷移金属化合物に対する好ましいモル比は、1:1000~1000:1、あるいは1:100~500:1、あるいは1:10~200:1、あるいは1:1~100:1、およびあるいは1:1~75:1、あるいは5:1~50:1の(A:B)の範囲内に入る。選択する特定の比率は、選択する正確なプレ触媒、活性化の方法、および所望の最終生成物に依存する。特定の実施形態では、2種のプレ触媒を使用する場合、両方とも同じ活性化剤で活性化されるとすると、有用なモルパーセントは、プレ触媒の分子量に対して、10~99.9%のA対0.1~90%のB、あるいは25~99%のA対0.5~50%のB、あるいは50~99%のA対1~25%のB、あるいは75~99%のA対1~10%のBである。
【0138】
担持材料
本明細書の実施形態では、触媒系は担持材料を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、担持材料は多孔質担持材料、例えば、タルク、または無機酸化物である。他の担持材料として、ゼオライト、粘土、オルガノ粘土、または任意の他の適切な有機または無機担持材料など、またはこれらの混合物が挙げられる。
少なくとも1つの実施形態では、担持材料は無機酸化物である。本明細書の触媒系で使用するのに適した無機酸化物として、第2族、第4族、第13族、および第14族金属酸化物、例えば、シリカ、アルミナ、およびこれらの混合物が挙げられる。単独でまたはシリカ、もしくはアルミナと組み合わせて利用することができる他の無機酸化物は、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどである。しかし、他の適切な担持材料、例えば、官能化ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレンも使用することができる。担持材料として、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト、フィロシリケート、ゼオライト、タルク、粘土などを挙げることもできる。また、これらの担持材料の組合せ、例えば、シリカ-クロム、シリカ-アルミナ、シリカ-チタニアなども使用することができる。担持材料としてまた、Al23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、またはこれらの混合物も挙げられる。
【0139】
担持材料、最も好ましくは、無機酸化物は、約10~約700m2/gの範囲の表面積、約0.1~約4.0cc/gの範囲の細孔体積および約5~約500μmの範囲の平均粒径を有することが好ましい。より好ましくは、担持材料の表面積は約50~約500m2/gの範囲であり、細孔体積は約0.5~約3.5cc/gの範囲であり、平均粒径は約10~約200μmの範囲である。最も好ましくは、担持材料の表面積は約100~約400m2/gの範囲であり、細孔体積は約0.8~約3.0cc/gの範囲であり、平均粒径は約5~約100μmの範囲である。本発明に有用な担持材料の平均細孔サイズは10~1000Å、好ましくは50~約500Å、最も好ましくは75~約350Åの範囲である。一部の実施形態では、担持材料は高表面積の非晶質シリカ(表面積=300m2/gm;細孔体積1.65cm3/gm)である。好ましいシリカは、Davison(商標)952またはDavison(商標)955の商標名で、Davison Chemical Division of W.R.Grace and Companyから市販されている。他の実施形態では、DAVISON(商標)948を使用してもよい。
【0140】
担持材料は、乾燥している、すなわち、吸収した水を含まない方がよい。担持材料の乾燥は、約100℃~約1,000℃、好ましくは少なくとも約600℃での加熱またはか焼により実行することができる。担持材料がシリカの場合、これを、少なくとも200℃、好ましくは約200℃~約850℃、最も好ましくは約600℃に、約1分間~約100時間、約12時間~約72時間、または約24時間~約60時間の時間にわたり加熱する。か焼した担持材料は、少なくともいくつかの反応性ヒドロキシル(OH)基を有することによって、本発明の担持触媒系を生成することができる。次いで、か焼した担持材料は、少なくとも1種の触媒化合物および活性化剤を含む少なくとも1種の重合触媒系と接触させる。
【0141】
反応性表面基、通常ヒドロキシル基を有する担持材料は、非極性溶媒中でスラリー化し、得られたスラリーは、触媒化合物および活性化剤の溶液と接触させる。一部の実施形態では、担持材料のスラリーは、最初に活性化剤と、約0.5時間~約24時間、約2時間~約16時間、または約4時間~約8時間の範囲の期間にわたり接触させる。次いで、触媒化合物の溶液を、この単離した担体/活性化剤と接触させる。一部の実施形態では、担持触媒系はin situで生成する。代替の実施形態では、担持材料のスラリーは、最初に約0.5時間~約24時間、約2時間~約16時間、または約4時間~約8時間の範囲の期間にわたり、触媒化合物と接触させる。次いで、担持触媒化合物のスラリーを活性化剤溶液と接触させる。
【0142】
触媒、活性化剤および担体の混合物は約0℃~約70℃、好ましくは約23℃~約60℃に、好ましくは室温で加熱する。接触時間は通常約0.5時間~約24時間、約2時間~約16時間、または約4時間~約8時間の範囲である。
適切な非極性溶媒は、本明細書で使用されている反応物質のすべて、すなわち、活性化剤、および触媒化合物が少なくとも部分的に溶解性があり、反応温度で液体の材料である。好ましい非極性の溶媒は、アルカン、例えば、イソペンタン、ヘキサン、n-ヘプタン、オクタン、ノナン、およびデカンであるが、ただし、シクロアルカン、例えば、シクロヘキサン、芳香族、例えば、ベンゼン、トルエン、およびエチルベンゼンを含む様々な他の材料もまた利用することができる。好ましくは、芳香族溶媒は本開示では除外される。
【0143】
少なくとも1つの実施形態では、担持材料は電子求引性アニオンで処理した担持材料を含む。担持材料はシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、シリカ-ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、リン酸アルミニウム、ヘテロポリタングステート、チタニア、マグネシア、ボリア、酸化亜鉛、これらの混合酸化物、またはこれらの混合物であることができ、電子求引性アニオンは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、リン酸イオン、トリフル酸イオン、重硫酸イオン、硫酸イオン、またはこれらの任意の組合せから選択される。
【0144】
担持材料を処理するために使用される電子求引性構成成分は、処理により担持材料のルイス酸性度またはブレンステッド酸性度を増加させる(少なくとも1種の電子求引性アニオンで処理されていない担持材料と比較した場合)任意の構成成分であることができる。少なくとも1つの実施形態では、電子求引性構成成分は、塩、酸、または他の化合物から誘導される電子求引性アニオン、例えば、そのアニオンに対する供給源または前駆体として機能する揮発性有機化合物から誘導される電子求引性アニオンである。本出願の少なくとも1つの実施形態において、電子求引性アニオンは、硫酸イオン、重硫酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フルオロ硫酸イオン、フルオロホウ酸イオン、リン酸イオン、フルオロリン酸イオン、トリフルオロ酢酸塩、トリフル酸塩、フルオロジルコン酸イオン、フルオロチタン酸イオン、ホスホ-タングステン酸イオン、またはこれらの混合物、またはこれらの組合せであることができる。電子求引性アニオンは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、リン酸イオン、トリフル酸イオン、重硫酸イオン、もしくは硫酸イオン、またはこれらの任意の組合せ、であることができる。少なくとも1つの実施形態では、電子求引性アニオンは、硫酸イオン、重硫酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フルオロ硫酸イオン、フルオロホウ酸イオン、リン酸イオン、フルオロリン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフル酸イオン、フルオロジルコン酸イオン、フルオロチタン酸イオン、またはこれらの組合せである。
【0145】
よって、例えば、本開示の触媒系に使用するのに適した担持材料は、フッ化物化アルミナ、塩化物化アルミナ、臭化物化アルミナ、硫酸化アルミナ、フッ化物化シリカ-アルミナ、塩化物化シリカ-アルミナ、臭化物化シリカ-アルミナ、硫酸化シリカ-アルミナ、フッ化物化シリカ-ジルコニア、塩化物化シリカ-ジルコニア、臭化物化シリカ-ジルコニア、硫酸化シリカ-ジルコニア、フッ化物化シリカ-チタニア、フッ化物化シリカ-コーティングしたアルミナ、硫酸化シリカコーティングアルミナ、リン酸化シリカコーティングアルミナ、またはこれらの組合せのうちの1種または複数であることができる。少なくとも1つの実施形態では、活性化剤-担体は、フッ化物化アルミナ、硫酸化アルミナ、フッ化物化シリカ-アルミナ、硫酸化シリカ-アルミナ、フッ化物化シリカコーティングアルミナ、硫酸化シリカコーティングアルミナ、リン酸化シリカコーティングアルミナ、またはこれらの組合せであることができるか、またはこれらを含むことができる。別の実施形態では、担持材料として、ヘキサフルオロチタン酸で処理したアルミナ、ヘキサフルオロチタン酸で処理したシリカコーティングアルミナ、ヘキサフルオロジルコニウム酸で処理したシリカ-アルミナ、トリフルオロ酢酸で処理したシリカ-アルミナ、フッ化物化ボリア-アルミナ、テトラフルオロホウ酸で処理したシリカ、テトラフルオロホウ酸で処理したアルミナ、ヘキサフルオロリン酸で処理したアルミナ、またはこれらの組合せが挙げられる。さらに、これらの活性化剤-担体のいずれも、任意で、金属イオンで処理することができる。
【0146】
電子求引性アニオンの塩の中で、本開示に使用するのに適したカチオンの非限定的例として、アンモニウム、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウム、H+、[H(OEt22+、またはこれらの組合せが挙げられる。
さらに、1種または複数の異なる電子求引性アニオンの異なる割合での組合せを使用して、担持材料の特定の酸性度を所望のレベルに調整することができる。電子求引性構成成分の組合せは、担持材料と同時にまたは個々に、および所望の化学的に処理された担持材料の酸性度をもたらす任意の順序で接触させることができる。例えば、少なくとも1つの実施形態では、2種以上の電子求引性アニオン供給源は、2つ以上の別個の接触ステップで混ぜ合わせる。
【0147】
本開示の少なくとも1つの実施形態では、化学的に処理された担持材料が調製されるプロセスの一例は以下の通りである:選択された担持材料、または担持材料の組合せを、第1の電子求引性アニオン供給源化合物と接触させて、第1の混合物を形成することができ、このような第1の混合物を、か焼し、次いで第2の電子求引性アニオン供給源化合物と接触させて、第2の混合物を形成することができ、次いで第2の混合物をか焼して、処理された担持材料を形成することができる。このようなプロセスでは、第1および第2の電子求引性アニオン供給源化合物は同じまたは異なる化合物であることができる。
酸化物を、電子求引性構成成分、通常電子求引性アニオンの塩または酸と接触させる方法は、ゲル化、共ゲル化、一方の化合物の別の化合物への含浸、またはこれらの組合せを含むことができる。接触方法の後、担持材料、電子求引性アニオン、および任意の金属イオンの接触混合物はか焼することができる。
【0148】
本開示の別の実施形態によれば、担持材料は、(i)担持材料を第1の電子求引性アニオン供給源化合物と接触させて、第1の混合物を形成するステップ;(ii)第1の混合物をか焼して、か焼した第1の混合物を生成するステップ;(iii)か焼した第1の混合物を第2の電子求引性アニオン供給源化合物と接触させて、第2の混合物を形成するステップ、ならびに(iv)第2の混合物をか焼して、処理された担持材料を形成するステップを含むプロセスで処理することができる。
【0149】
重合プロセス
本明細書の実施形態では、本開示は、モノマー(例えば、プロピレンまたはエチレン)、および任意でコモノマーを、上に記載されているような活性化剤および少なくとも1種の触媒化合物を含む触媒系と接触させる重合プロセスを提供する。触媒化合物および活性化剤は任意の順序で合わせることができ、通常モノマーとの接触前に合わせる。
少なくとも1つの実施形態では、重合プロセスは、a)1種または複数のオレフィンモノマーを、i)活性化剤およびii)本開示の触媒化合物を含む触媒系と接触させることを含む。活性化剤は非配位アニオン活性化剤である。1種または複数のオレフィンモノマーはプロピレンおよび/またはエチレンであってよく、重合プロセスは、1種または複数のオレフィンモノマーおよび触媒系を70℃以上に加熱して、プロピレンポリマーまたはエチレンポリマー、例えば、プロピレンポリマーを形成することをさらに含む。
【0150】
本明細書で有用なモノマーとして、置換または非置換のC2-C40アルファオレフィン、例えば、C2-C20アルファオレフィン、例えば、C2-C12アルファオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンおよびこれらの異性体が挙げられる。少なくとも1つの実施形態では、モノマーは、プロピレンおよび1種または複数のプロピレンまたはC4-C40オレフィン、例えば、C4-C20オレフィン、例えば、C6-C12オレフィンを含む任意のコモノマーを含む。C4-C40オレフィンモノマーは直鎖、分岐、または環式であってよい。C4-C40環式オレフィンは、歪んだまたは歪みのない、単環式または多環式であってよく、任意でヘテロ原子および/または1種または複数の官能基を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、モノマーはプロピレンおよび1つまたは複数のC3-C40オレフィン、例えば、C4-C20オレフィン、例えば、C6-C12オレフィンを含む任意のコモノマーを含む。C3-C40オレフィンモノマーは直鎖、分岐、または環式であってよい。C3-C40環式オレフィンは、歪んだまたは歪みのない、単環式または多環式であってよく、任意でヘテロ原子および/または1つまたは複数の官能基を含んでもよい。
【0151】
例示的なC2-C40オレフィンモノマーおよび任意のコモノマーとして、プロピレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7-オキサノルボルネン、7-オキサノルボルナジエン、これらの置換誘導体、およびこれらの異性体、例えば、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5-シクロオクタジエン、1-ヒドロキシ-4-シクロオクテン、1-アセトキシ-4-シクロオクテン、5-メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、およびこれらのそれぞれのホモログおよび誘導体、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、およびジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0152】
少なくとも1つの実施形態では、1つまたは複数のジエンは、本明細書で生成されたポリマー中に、組成物の総質量に対して、10質量%まで、例えば、0.00001~1.0質量%、例えば、0.002~0.5質量%、例えば、0.003~0.2質量%で存在する。一部の実施形態では、500ppm以下のジエン、例えば、400ppm以下、例えば、300ppm以下のジエンが重合に添加される。他の実施形態では少なくとも50ppmのジエン、または100ppm以上、または150ppm以上のジエンが重合に添加される。
【0153】
ジエンモノマーには、例えば、C4-C30、少なくとも2つの不飽和の結合を有する任意の炭化水素構造が含まれ、不飽和の結合の少なくとも2つは立体特異性または非立体特異性触媒(複数)のうちのいずれかによりポリマーに容易に組み込まれる。ジエンモノマーは、アルファ、オメガ-ジエンモノマー(すなわちジ-ビニルモノマー)から選択することができる。ジオレフィンモノマーは直鎖ジ-ビニルモノマー、例えば、4~30個の炭素原子を含有するものである。ジエンの例として、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘンエイコサジエン(heneicosadiene)、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン、および低分子量のポリブタジエン(1,000g/モル未満のMw)が挙げられる。環状ジエンには、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエンまたは様々な環位置で置換基を有する、または有さない、高級環含有ジオレフィンが含まれる。
【0154】
本開示の重合プロセスは任意の適切な方式で行うことができる。任意の適切な懸濁、均一、塊状、溶液、スラリー、または気相重合プロセスを使用することができる。このようなプロセスは、バッチ、半バッチ、または連続モードで作動することができる。均一重合プロセスおよびスラリープロセスを実施することができる。(有用な均一重合プロセスとは、少なくとも90質量%の生成物が反応媒体中に溶解するものである)。塊状均一プロセスを使用することができる。(例示的塊状プロセスは、反応器へのすべての供給物中のモノマー濃度が70体積%以上であるものである)。あるいは、反応媒体中にはいかなる溶媒または希釈剤も存在せず、添加もされない(触媒系または他の添加剤のための担体として少量使用されているもの、またはモノマー中に通常見出される量のもの;例えば、プロピレン中のプロパンは除く)。少なくとも1つの実施形態では、プロセスはスラリー重合プロセスである。本明細書で使用される場合、「スラリー重合プロセス」という用語は、担持触媒が利用され、モノマーが担持触媒粒子上に重合される重合プロセスを意味する。担持触媒から誘導される少なくとも95質量%のポリマー生成物は、固体粒子として顆粒状形態である(希釈剤に溶解しない)。
【0155】
重合に適した希釈剤/溶媒として、非配位性、不活性液体が挙げられる。例として、直鎖および分岐鎖の炭化水素、例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびこれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびこれらの混合物、例えば、市販のものなど(Isopar(商標));過ハロゲン化炭化水素、例えば、パーフルオロ化C4-C10アルカン、クロロベンゼン、ならびに芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、メシチレン、およびキシレンが挙げられる。適切な溶媒として、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、およびこれらの混合物を含むモノマーまたはコモノマーとして作用し得る液体オレフィンもまた挙げられる。少なくとも1つの実施形態では、溶媒は芳香族ではなく、よって、芳香族は、溶媒の質量に対して、1質量%未満、例えば、0.5質量%未満、例えば、0質量%未満の質量で溶媒中に存在する。
少なくとも1つの実施形態では、重合に対するモノマーおよびコモノマーの供給濃度は、供給流の総量に対して、60容量%以下の溶媒、例えば、40容量%以下、例えば、20容量%以下の溶媒である。重合は塊状プロセスで実施することができる。
【0156】
重合は、所望のポリマー、例えば、エチレンおよびまたはプロピレンポリマーを得るのに適した任意の温度および/または圧力で実施することができる。典型的な温度および/または圧力には、0℃~300℃の範囲、例えば、20℃~200℃、例えば、35℃~150℃、例えば、40℃~120℃、例えば、45℃~80℃の範囲、例えば約74℃の温度、および0.35MPa~10MPaの範囲、例えば、0.45MPa~6MPa、例えば、0.5MPa~4MPaの範囲の圧力が含まれる。
典型的な重合では、反応の作動時間は300分間まで、例えば、5~250分間、例えば、10~120分間の範囲である。
【0157】
少なくとも1つの実施形態では、水素は、重合反応器内に0.001~50psig(0.007~345kPa)、例えば、0.01~25psig(0.07~172kPa)、例えば、0.1~10psig(0.7~70kPa)の分圧で存在する。
少なくとも1つの実施形態では、触媒の活性は、少なくとも50g/mmol/時間、好ましくは500g/mmol/時間以上、好ましくは5,000g/mmol/時間以上、好ましくは50,000g/mmol/時間以上である。代替の実施形態では、オレフィンモノマーの転化率は、ポリマー収率および反応ゾーンに入るモノマーの質量に対して、少なくとも10%、好ましくは20%以上、好ましくは30%以上、好ましくは50%以上、好ましくは80%以上である。
【0158】
少なくとも1つの実施形態では、本開示の触媒系はポリオレフィンを生成することが可能である。少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィンはエチレンまたはプロピレンのホモポリマー、またはエチレンのコポリマー、例えば、0.1~25質量%(例えば、0.5~20質量%、例えば、1~15質量%、例えば、5~17質量%)のエチレンを有し、残りのバランスが1種または複数のC3-C20オレフィン-コモノマー(例えば、C3-C12アルファ-オレフィン、例えば、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、例えば、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)であるエチレンのコポリマーである。ポリオレフィンは、プロピレンのコポリマー、例えば、0.1~25質量%(例えば、0.5~20質量%、例えば、1~15質量%、例えば、3~10質量%)のプロピレンと、99.9~75質量%の1種または複数のC2またはC4-C20オレフィン-コモノマー(例えば、エチレンまたはC4-C12アルファ-オレフィン、例えば、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、例えば、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)とを有するプロピレンのコポリマーであることができる。
【0159】
少なくとも1つの実施形態では、本開示の触媒系は、500~2,500,000、例えば、5,000~2,000,000、例えば、25,000~1,500,000、例えば、40,000~1,000,000、例えば、50,000~900,000、例えば、60,000~800,000のMwを有するポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、iPP)、またはエチレン-オクテンコポリマーを生成することが可能である。
少なくとも1つの実施形態では、本開示の触媒系は、ポリオレフィン、例えば、1~10、例えば、1.5~9、例えば、2~7、例えば、2~4、例えば、2.5~3、例えば、約2のMw/Mn値を有するポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、iPP)、またはエチレン-オクテンコポリマーを生成することが可能である。
【0160】
少なくとも1つの実施形態では、本開示の触媒系は、140℃未満、または30℃~150℃、例えば、40℃~140℃、例えば、45℃~135℃、例えば、50℃~135℃の溶融温度(Tm)を有するポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、iPP)、またはエチレン-オクテンコポリマーを生成することが可能である。
少なくとも1つの実施形態では、プロピレンポリマーなどのポリマーを生成するプロセスに、ほとんどまたはまったくスカベンジャーは使用されない。スカベンジャー(例えば、トリアルキルアルミニウム)は、ゼロモル%で存在することができ、あるいはスカベンジャーは、スカベンジャー金属の遷移金属に対するモル比100:1未満、例えば、50:1未満、例えば、15:1未満、例えば、10:1未満で存在する。
【0161】
少なくとも1つの実施形態では、重合は、1)温度0~300℃(好ましくは25~150℃、好ましくは40~120℃、好ましくは45~80℃)で行われる;2)大気圧10MPaまで(好ましくは0.35~10MPa、好ましくは0.45~6MPa、好ましくは0.5~4MPa)で行われる;3)脂肪族炭化水素溶媒中(例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびこれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびこれらの混合物;好ましくは芳香族が、溶媒の質量に対して、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、好ましくは0質量%未満で溶媒中に好ましくは存在する)で行われる;4)0.5モル%未満、好ましくは0モル%アルモキサンを含む、あるいはアルモキサンがアルミニウムの遷移金属に対するモル比500:1未満、好ましくは300:1未満、好ましくは100:1未満、好ましくは1:1未満で存在する触媒系が重合に使用される;5)重合が好ましくは1つの反応ゾーン内で生じる;6)触媒化合物の生産性が少なくとも80,000g/mmol/時間(好ましくは少なくとも150,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも200,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも250,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも300,000g/mmol/時間)である;7)任意でスカベンジャー(例えば、トリアルキルアルミニウム化合物)が存在しない(例えば、ゼロモル%で存在する、あるいはスカベンジャーがスカベンジャー金属の遷移金属に対するモル比100:1未満で、好ましくは50:1未満、好ましくは15:1未満、好ましくは10:1未満で存在する);ならびに8)任意で水素が重合反応器内に0.001~50psig(0.007~345kPa)(好ましくは0.01~25psig(0.07~172kPa)、より好ましくは0.1~10psig(0.7~70kPa))の分圧で存在する。好ましい実施形態では、重合に使用される触媒系は1種以下の触媒化合物を含む。
【0162】
少なくとも1つの実施形態では、重合に使用される触媒系は、1種だけの触媒化合物を含む。「重合ゾーン」とも呼ばれる「反応ゾーン」は、重合が行われる容器、例えばバッチ式反応器である。複数の反応器が直列または並行配置のいずれかで使用される場合、各反応器は別個の重合ゾーンと考えられる。バッチ式反応器と連続反応器の両方における多段階重合に対して、各重合段階は別個の重合ゾーンと考えられる。少なくとも1つの実施形態では、重合は1つの反応ゾーンで生じる。室温は、別途明示されていない限り23℃である。
【0163】
所望する場合、他の添加剤、例えば、1種または複数のスカベンジャー、促進剤、重合調整剤、連鎖移動剤(例えば、ジエチル亜鉛)、水素、またはアルミニウムアルキルも重合に使用することができる。有用な連鎖移動剤は通常アルキルアルモキサン、すなわち式AlR3、ZnR2(式中、各Rは、独立して、C1-C8脂肪族ラジカル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ヘキシル、オクチルまたはこれらの異性体である)で表される化合物、またはこれらの組合せ、例えば、ジエチル亜鉛、メチルアルモキサン、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、またはこれらの組合せである。
【0164】
気相重合
一般的に、ポリマーを生成するために使用される気体流動床プロセスにおいて、1種または複数のモノマーを含有する気体流は、反応条件下、触媒の存在下で流動床を介して連続的に循環させる。気体流は流動床から回収し、反応器に戻して再循環させる。同時に、ポリマー生成物を反応器から回収し、新鮮なモノマーを添加して、重合したモノマーと置き換える。(例えば、すべてが完全に参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,543,399号;第4,588,790号;第5,028,670号;第5,317,036号;第5,352,749号;第5,405,922号;第5,436,304号;第5,453,471号;第5,462,999号;第5,616,661号;および第5,668,228号を参照されたい)
【0165】
スラリー相重合
スラリー重合プロセスは一般的に、1~約50の間の大気圧範囲(15psi~735psi、103kPa~5,068kPa)またはそれよりも上で、0℃~約120℃の範囲の温度で作動する。スラリー重合では、固体、微粒子ポリマーの懸濁液が液体重合希釈剤媒体中に形成され、これにモノマーおよびコモノマーを、触媒と共に添加する。希釈剤を含む懸濁液は、揮発性構成成分がポリマーから分離される反応器から断続的にまたは連続的に除去され、任意で蒸留後、反応器に再循環させる。重合媒体に使用される液体希釈剤は通常、3~7個の炭素原子を有するアルカン、例えば、分岐アルカンである。利用する媒体は重合条件下で液体であり、比較的に不活性であるべきである。プロパン媒体が使用される場合、プロセスは反応希釈剤の臨界温度および圧力よりも上で作動しなければならない。例えば、ヘキサンまたはイソブタン媒体を利用する。
【0166】
少なくとも1つの実施形態では、重合プロセスは粒子形態重合、またはスラリープロセスであり、この場合温度は、ポリマーが溶液になる温度より下に保持する。このような技術は当技術分野で周知であり、例えば、完全に参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,248,179号に記載されている。粒子形態プロセスにおける温度は約85℃~約110℃であることができる。スラリープロセスに対する2種の例示的重合方法は、ループ反応器を使用する方法と、複数の撹拌反応器を直列に、並行して、またはこれらを組み合わせて利用する方法である。スラリープロセスの非限定的例には、連続ループまたは撹拌タンクプロセスが含まれる。また、スラリープロセスの他の例は、本明細書で参照により完全に組み込まれる米国特許第4,613,484号に記載されている。
【0167】
別の実施形態では、スラリープロセスはループ反応器内で連続的に行われる。触媒は、イソヘキサン中のスラリーとして、または乾燥した自由流動性粉末として、反応器ループに定期的に注入され、この反応器ループ自体は、モノマーおよび任意のコモノマーを含有するイソヘキサンの希釈剤中で成長するポリマー粒子の循環スラリーが充填されている。水素は、任意で、分子量の制御として添加してもよい。(一実施形態では水素は、50ppm~500ppm、例えば、100ppm~400ppm、例えば、150ppm~300ppmを添加する。)
反応器は、所望のポリマー溶融特徴に応じて、圧力2,000kPa~5,000kPa、例えば、3,620kPa~4,309kPaで、温度約60℃~約120℃で維持することができる。反応器の大半は二重ジャケット付きパイプの形態なので、ループ壁を介して反応熱は除去される。スラリーは定期的な間隔でまたは連続的に反応器から離脱して、加熱した低圧フラッシュ容器、回転式乾燥器および窒素パージカラムへと順に送られ、イソヘキサン希釈剤ならびにすべての未反応モノマーおよびコモノマーが除去される。次いで、生成した炭化水素を含まない粉末は、様々な用途での使用のために混ぜ合わせる。
所望する場合、他の添加剤、例えば、1種または複数のスカベンジャー、促進剤、重合調整剤、連鎖移動剤(例えば、ジエチル亜鉛)、還元剤、酸化剤、水素、アルミニウムアルキル、またはシランも重合に使用することができる。
【0168】
有用な連鎖移動剤は通常アルキルアルモキサンであり、これは式AlR3、ZnR2(式中、各Rは、独立して、C1-C8ヒドロカルビル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペニル、ヘキシルオクチルまたはこれらの異性体である)で表される化合物である。例として、ジエチル亜鉛、メチルアルモキサン、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、またはこれらの組合せを挙げることができる。
【0169】
溶液重合
溶液重合とは、ポリマーが液体重合媒体、例えば、不活性溶媒またはモノマー(複数可)またはこれらのブレンドに溶解する、重合プロセスである。溶液重合は通常均一である。均一重合とは、ポリマー生成物が重合媒体に溶解する重合である。このような系は通常、Oliveira, J. V. et al. (2000) “High-Pressure Phase Equilibria for Polypropylene-Hydrocarbon Systems,” Ind. Eng. Chem. Res., v.39, pp. 4627-4633に記載されているように濁っていない。一般的に溶液重合は連続反応器内での重合を含み、この反応器内で、形成されたポリマーならびに供給された出発モノマーおよび触媒材料を撹拌して、濃度勾配を減少させるか、または回避し、モノマーは希釈剤もしくは溶媒として作用させるか、または炭化水素が使用されている場合、希釈剤もしくは溶媒として作用させる。適切なプロセスは通常、温度約0℃~約250℃、例えば、約10℃~約150℃、例えば、約40℃~約140℃、例えば、約50℃~約120℃で、および圧力約0.1MPa以上、例えば、2MPa以上で作動する。圧力上限は厳密には制約されないが、通常約200MPa以下、例えば、120MPa以下であることができる。反応器内の温度制御は一般的に、重合熱と、反応器の内容物を冷却するための反応器ジャケットまたは冷却コイルによる反応器の冷却と共に、自動冷却、予冷供給物、液体媒体(希釈剤、モノマーまたは溶媒)の気化、または3種すべての組合せとを平衡に保つことにより得ることができる。予冷供給物と共に断熱性反応器を使用することもできる。溶媒の純度、種類、および量を、特定の種類の重合に対する最大触媒生産性に対して最適化することができる。溶媒はまた触媒担体として導入することもできる。溶媒は、圧力および温度に応じて気相または液相として導入することができる。有利には、溶媒は液相で保持し、液体として導入することができる。溶媒は重合反応器への供給物に入れて導入することができる。
【0170】
ポリオレフィン生成物
本開示はまた、本明細書に記載されている方法で生成することができる物質の組成物を提供する。
少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィンは、プロピレンホモポリマー、エチレンホモポリマーまたはエチレンコポリマー、例えば、プロピレン-エチレンおよび/またはエチレン-アルファオレフィン(例えば、C4-C20)コポリマー(例えば、エチレン-ヘキセンコポリマーまたはエチレン-オクテンコポリマー)である。ポリオレフィンは、1を超えるMw/Mnを有することができる。
【0171】
少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィンは、エチレンもしくはプロピレンホモポリマーのホモポリマー、またはエチレンのコポリマー、例えば、0.1~25質量%(例えば、0.5~20質量%、例えば、1~15質量%、例えば、5~17質量%)のエチレンを有し、残りのバランスが1種または複数のC3-C20オレフィンコモノマー(例えば、C3-C12アルファ-オレフィン、例えば、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、例えば、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)であるエチレンのコポリマーである。ポリオレフィンは、プロピレンのコポリマー、例えば、0.1~25質量%(例えば、0.5~20質量%、例えば、1~15質量%、例えば、3~10質量%)のプロピレンと、99.9~75質量%の1つまたは複数のC2-C20またはC4-C20オレフィンコモノマー(例えば、エチレンまたはC4-C12アルファ-オレフィン、例えば、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、例えば、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)とを有するプロピレンのコポリマーであることができる。
【0172】
少なくとも1つの実施形態では、本開示の触媒系は、500~2,500,000、例えば、20,000~2,000,000、例えば、30,000~1,500,000、例えば、40,000~1,000,000、例えば、50,000~900,000、例えば、60,000~800,000のMwを有するポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、iPP)、またはエチレン-オクテンコポリマーを生成することが可能である。
【0173】
少なくとも1つの実施形態では、本開示の触媒系は、1~10、例えば、1.5~9、例えば、2~7、例えば、2~4、例えば、2.5~3、例えば、約2のMw/Mn値を有するポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、iPP)、またはエチレン-オクテンコポリマーを生成することが可能である。
少なくとも1つの実施形態では、本開示の触媒系は、ポリオレフィン、例えば、溶融温度(Tm)140℃未満、または30℃~150℃、例えば、40℃~140℃、例えば、45℃~135℃、例えば、50℃~135℃を有するポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、iPP)、またはエチレン-オクテンコポリマーを生成することが可能である。
少なくとも1つの実施形態では、本開示のポリマーは、0.9を超える、例えば、0.92を超える、例えば、0.95を超えるg’visを有する。
【0174】
少なくとも1つの実施形態では、ポリマーはエチレンコポリマーであり、コモノマーは、コモノマー含有量1質量%~18質量%でのオクテン、例えば、5質量%~15質量%、例えば、8質量%~13質量%、例えば、9質量%~12質量%でのオクテンである。
少なくとも1つの実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で決定される場合、単峰性または多峰性分子量分布を有する。「単峰性」とは、GPCトレースが1つのピークまたは屈曲点を有することを意味する。「多峰性」とはGPCトレースが少なくとも2つのピークまたは屈曲点を有することを意味する。n屈曲点とは、曲線の二次導関数の符号が変わる点である(例えば、負から正へ、または正から負へ)。
他に指摘されていない限り、Mw、Mn、MWDは、米国特許第2006/0173123号、24~25ページ、段落[0334]~[0341]に記載されているように、GPCで決定する。
【0175】
少なくとも1つの実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、組成分布幅指数(CDBI)50%以上、例えば、60%以上、例えば、70%以上を有する。CDBIとは、ポリマー鎖内のモノマーの組成分布の尺度であり、1993年2月18日に公開されたPCT刊行物国際公開第1993/003093号、具体的には欄7および8、ならびにWild, L. et al. (1982) “Determinatino of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers,” J. Poly. Sci., Poly. Phys. Ed., v.20(3), pp. 441-455;および米国特許第5,008,204に記載されている手順により測定され、これにはCDBIを決定する際、15,000未満の質量平均分子量(Mw)を有する画分は無視することが含まれる。
本開示のコポリマーは、逆転コモノマー指数を有することができる。逆転コモノマー指数(RCI,m)は、分子量の関数として、x2(モル%コモノマーC3、C4、C6、C8など)から計算し、x2は、以下の式[式中、nはコモノマー中の炭素原子の数である(C3に対して3、C4に対して4、C6に対して6など)]から得る:
【0176】
【数1】
次いで、分子質量分布W(z)(式中、z=log10M)は、Wの最大値の5%未満であるWのポイントを0に設定することにより、W’(Z)に修正する。これは合成信号のS/Nが低いポイントを効果的に除去することである。また、2000gm/モル未満の分子量に対しては、W’のポイントを0に設定する。次いでW’を
【0177】
【数2】
のように再度正規化して、分子量を効果的に減少させた範囲にわたり、修正した質量-平均分子量((Mw’)を以下の通り計算する:
【0178】
【数3】
【0179】
次いで、RCI,mを
【数4】
として計算する。
【0180】
逆転コモノマー指数(RCI,w)もまた質量分率コモノマーシグナル(w2/100)に基づき定義され、以下の通り計算される:
【数5】
上記定積分において、積分区間は一般原理の目的で、可能な限り幅広い;しかし、実際には、関数は、残りの非取得範囲における関数を0と考えて、データが取得された有限範囲にわたり積分されるだけであることに留意されたい。また、W’が得られた方式によっては、W’は不連続関数である可能性があり、上記積分は区分的に行う必要がある。
CDR-1,w、CDR-2,w、およびCDR-3,wと表される、3つのコモノマー分布比もまた、%質量(w2)コモノマーシグナルに基づき、以下の通り定義される:
【0181】
【数6】
(式中、w2(Mw)は、分子量Mwに対応するコモノマーシグナルの%質量であり、w2(Mz)分子量Mzに対応するコモノマーシグナルの%質量であり、w2[(Mw+Mn)/2)]は分子量(Mw+Mn)/2に対応するコモノマーシグナルの%質量であり、w2[(Mz+Mw)/2]は、Mz+Mw/2の分子量に対応するコモノマーシグナルの%質量であり、Mwは質量-平均分子量であり、Mnは数-平均分子量であり、Mzはz-平均分子量である。
【0182】
したがって、コモノマー分布比はまた、コモノマーシグナルの%モルを利用して、CDR-1,m、CDR-2,m、CDR-3,mを以下のように定義することもできる:
【数7】
(式中、x2(Mw)は分子量Mwに対応するコモノマーシグナルの%モルであり、x2(Mz)は分子量Mzに対応するコモノマーシグナルの%モルであり、x2[(Mw+Mn)/2)]は分子量(Mw+Mn)/2に対応するコモノマーシグナルの%モルであり、x2[(Mz+Mw)/2]は分子量Mz+Mw/2に対応するコモノマーシグナルの%モルであり、Mwは質量-平均分子量であり、Mnは数-平均分子量であり、Mzはz-平均分子量である)。
【0183】
本開示の少なくとも1つの実施形態では、本明細書に記載されているプロセスで生成されるポリマーは、エチレンおよび1種または複数のコモノマーを含み、ポリマーは以下を有する:1)30以上のRCI,m(あるいは30~250)。
【0184】
複数の検出器を備えたPolymer Char GPC-IRによる分子量、コモノマー組成および長鎖分岐の決定
分子量(Mw、Mn、Mw/Mnなど)の分布およびモーメント、コモノマー含有量(C2、C3、C6、など)および長鎖分岐(g’)は、マルチチャネルバンドフィルターベースの赤外線検出器IR5、18アングル光散乱検出器および粘度計を備えた高温ゲル浸透クロマトグラフィー(Polymer Char GPC-IR)を使用することにより決定する。3つのAgilent PLgel 10μm Mixed-B LSカラムを使用して、ポリマー分離を達成する。Aldrich試薬等級1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を、300ppmの抗酸化剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)と共に移動相として使用する。0.1μmテフロンフィルターを介してTCB混合物を濾過し、GPC装置に入る前に、オンライン脱ガス装置で脱気する。設定流量は1.0mL/分であり、公称注入量は200μLである。移動ライン、カラム、検出器を含む系全体を、145℃で維持したオーブン内に入れる。所与量のポリマー試料を秤量し、80μLのフローマーカー(ヘプタン)を添加した標準バイアル内に密閉する。バイアルをオートサンプラーに載せた後、ポリマーは、8mLのTCB溶媒を添加した装置内で自動的に溶解する。大部分のPE試料に対して約1時間またはPP試料に対して2時間連続的に振盪しながら、ポリマーを160℃で溶解する。濃度計算に使用されるTCB密度は、室温で1.463g/mlであり、145℃で1.284g/mlである。試料溶液濃度は0.2~2.0mg/mlであり、試料の分子量が高いほど、低い濃度を使用する。
【0185】
クロマトグラムの各ポイントにおける濃度(c)は、ベースラインを差し引いたIR5ブロードバンドシグナル強度(I)から以下の方程式を使用して計算する:
c=βI
(式中、βは、PEまたはPP標準物質で決定された質量定数である)。質量回収は、溶出体積に対する濃度クロマトグラフィーの積分面積と、所定の濃度を注入ループ量で掛けたものと等しい注入質量との比から計算する。
従来の分子量(IR MW)は、極めて一般的である較正関係を、700~10Mの範囲の一連の単分散ポリスチレン(PS)標準物質を用いて実施したカラム較正と合わせることにより決定する。各溶出体積でのMWを以下の方程式を用いて計算する;
【0186】
【数8】
(式中、下付き文字「PS」を有する変数はポリスチレンを表し、下付き文字のないものは試験試料に対するものである)。この方法では、aPS=0.67およびKPS=0.000175であり、aおよびKは、公開された文献に記載されているように計算されるが(Sun, T. et al. (2001) “Effect of Short Chain Branching on the Coil Dimensions of Polyolefins in Dilute Solutions,” Macromolecules, v.34(19), pp. 6812-6820)、ただし、本発明およびその特許請求の範囲の目的に対しては、直鎖エチレンポリマーに対してα=0.695およびK=0.000579であり、直鎖プロピレンポリマーに対してα=0.705およびK=0.0002288であり、エチレン-プロピレンコポリマーに対してα=0.695+(0.01*(質量分率プロピレン))およびK=0.000579-(0.0003502*(質量分率プロピレン))であるものとする。別途明示されていない限り、濃度はg/cm3で表され、分子量はg/モルで表され、固有粘度(したがって、Mark-Houwink方程式のK)はdL/gで表される。
【0187】
コモノマー組成物は、公称値がNMRまたはFTIRにより予め決定されている、一連のPEおよびPPホモ/コポリマー標準物質、例えば、LLDPE、Vistamaxx、ICPなどについてのEMCC商用グレードで較正されたCH2およびCH3チャネルに対応するIR5検出器強度の比率により決定される。
LS検出器は18-アングルWyatt Technology High Temperature DAWN HELEOSIIである。クロマトグラムの各ポイントのLS分子量(M)は、静的光散乱のためのZimmモデルを使用してLS出力を分析することによって決定する(M.B. Huglin, Light Scattering from Polymer Solutions, Academic Press, 1971):
【0188】
【数9】
式中、ΔR(θ)は、散乱角θで測定される過剰のレイリー散乱強度であり、cはIR5分析から決定されるポリマー濃度であり、A2は第2のビリアル係数である。P(θ)は、単分散ランダムコイルに対する形状因子であり、Koは系に対する光学定数である:
【0189】
【数10】
式中、NAはアボガドロ数であり、(dn/dc)は系に対する屈折率増加分である。TCBに対しては、145℃およびλ=665nmで、屈折率n=1.500である。
2つの圧力トランスデューサーを有するWheatstoneブリッジ構成で配置された4つのキャピラリーを有する高温Agilent(またはViscotek Corporation)粘度計を使用して、比粘度を決定する。一方のトランスデューサーは、検出器を横断する全圧力降下を測定し、他方は、ブリッジの2側面の間に配置され、圧力差を測定する。粘度計を介して流れる溶液に対する比粘度、ηsをこれらの出力から計算する。クロマトグラムの各ポイントの固有粘度[η]は、以下の方程式から計算する:
[η]=ηs/c
式中、cは濃度であり、IR5ブロードバンドチャネル出力より決定する。各ポイントでの粘度MWは以下の方程式から計算する:
【0190】
【数11】
分枝指数(g’vis)は、GPC-IR5-LS-VIS法の出力を使用して以下の通り計算する。試料の平均固有粘度、[η]avgは、以下により計算する:
【0191】
【数12】
式中、和は、積分区間の間のクロマトグラフィーのスライスi全体にわたる。分枝指数g’visは以下のように定義される:
【0192】
【数13】
vは、LS分析で決定された分子量に基づく粘度-平均分子量である。K/aは、上に記載されているような基準直鎖ポリマーに対するものである。
別途明示されていない限り、すべての濃度はg/cm3で表され、分子量はg/モルで表され、および固有粘度はdL/gで表される。
別途明示されていない限り、すべての分子量は、g/モルで報告される。
【0193】
示差走査熱量測定(DSC-手順2)。溶融温度Tmは、DSCQ200単位を使用して示差走査熱量測定(「DSC」)で測定する。試料は最初に25℃で平衡化し、続いて、10℃/分の加熱速度を使用して220℃に加熱する(第1加熱)。試料を220℃で3分間保持する。続いて、10℃/分の一定冷却速度で試料を-100℃に冷却する(第1冷却)。試料を-100℃で平衡化してから、一定加熱速度10℃/分で220℃に加熱する(第2加熱)。TA Universal Analysisソフトウエアを使用して結晶化の発熱ピーク(第1冷却)を分析し、10℃/分の冷却速度に対応するものを決定する。TA Universal Analysisソフトウエアを使用して溶融の吸熱ピーク(第2加熱)も分析し、10℃/分の加熱速度に対応するピーク溶融温度(Tm)を決定する。DSC手順-1とDSC手順-2の間で矛盾が生じる場合、DSC手順-2を使用する。
【0194】
ブレンド
別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマー(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)を、フィルム、成型部品または他の物品へと形成する前に、1種または複数の追加のポリマーと組み合わせる。他の有用なポリマーとして、ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、高アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンおよびエチレン、および/もしくはブテン、および/もしくはヘキセンのランダムコポリマー、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸メチル、アクリル酸のコポリマー、ポリメタクリル酸メチルまたは高圧フリーラジカルプロセスで重合可能な任意の他のポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリブテン-1、アイソタクチックポリブテン、ABS樹脂、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、加硫処理したEPR、EPDM、ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールのコポリマー(EVOH)、芳香族モノマーのポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリ-1エステル、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレングリコール、ならびに/またはポリイソブチレンが挙げられる。
【0195】
少なくとも1つの実施形態では、ポリマー(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)は、上記ブレンド中に、ブレンド中のポリマーの質量に対して、10~99質量%、例えば、20~95質量%、例えば、少なくとも30~90質量%、例えば、少なくとも40~90質量%、例えば、少なくとも50~90質量%、例えば、少なくとも60~90質量%、例えば、少なくとも70~90質量%で存在する。
上記に記載されているブレンドは、本開示のポリマーを1種または複数のポリマー(上に記載)と混合することによって、反応器を一緒に直列に結合して、反応器ブレンドを生成することによって、または1種より多くの触媒を同じ反応器内で使用して、複数種のポリマーを生成することによって生成することができる。ポリマーは、押出し機に入れる前に一緒に混合することもできるし、または押出し機内で混合することもできる。
【0196】
ブレンドは、従来の装置および方法を使用して、例えば、個々の構成成分を乾式混合し、続いてミキサー内で溶融混合することによって、または構成成分をミキサー、例えば、バンバリーミキサー、Haakeミキサー、Brabender内部混合器、または1軸もしくは2軸押出し機(これには、フィルム押出し機のホッパーで樹脂の粉末またはペレットをブレンドすることを含み得る重合プロセスの下流で直接使用されているコンパウンディング押出し機およびサイドアーム押出し機も含まれる)内で直接一緒に混合することにより形成することができる。さらに、所望する場合、添加剤は、ブレンド、ブレンドの1種または複数の構成成分、および/またはブレンドから形成される生成物、例えば、フィルムに含めることもできる。このような添加剤は当技術分野で周知であり、例えば、以下を挙げることができる:充填剤;抗酸化剤(例えば、ヒンダードフェノール、例えば、IRGANOX(商標)1010またはIRGANOX(商標)1076、Ciba-Geigyから入手可能);ホスフィット(例えば、IRGAFOS(商標)168、Ciba-Geigyから入手可能);粘着防止剤;粘着付与剤、例えば、ポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、アルカリ金属およびグリセロールステアレート、ならびに水素化ロジン;UV安定剤;熱安定剤;ブロッキング防止剤;剥離剤;帯電防止剤;顔料;着色剤;染料;ワックス;シリカ;充填剤;およびタルク。
【0197】
フィルム
前述のポリマー、例えば、前述のポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらのブレンドのうちの1種または複数は、様々な最終用途に使用することができる。このような用途として、例えば、単層もしくは多層インフレートフィルム、押出フィルム、および/またはシュリンクフィルムが挙げられる。これらのフィルムは、多数の周知の押出しまたは共押出技術、例えば、インフレートフィルム気泡フィルム加工技術で形成することができ、この場合、組成物は、溶融状態で環状ダイを介して押し出し、次いで膨張させて、一軸配向または二軸配向溶融物を形成してから冷却し、管状のインフレートフィルムを形成し、次いでこれを軸方向に切り開き、広げてフラットフィルムを形成することができる。続いて、フィルムは非配向であってもよいし、同じもしくは異なる程度まで一軸配向、または二軸配向を行ってもよい。フィルムの1つまたは複数の層を横方向および/または縦方向に同じまたは異なる程度まで配向してもよい。一軸配向は、典型的な冷間引抜または熱間引抜法を使用して達成することができる。二軸配向は、幅出し機の装置またはダブルバブルプロセスを使用して達成することができ、個々の層を一緒にする前または後に行ってもよい。例えば、ポリエチレン層は、押出しコーティングするか、または配向ポリプロピレン層の上に積層するか、またはポリエチレンおよびポリプロピレンを一緒に共押し出して、フィルムにしてから配向することもできる。同様に、配向ポリプロピレンを配向ポリエチレンに積層するか、または配向ポリエチレンをポリプロピレン上にコーティングしてから、任意でこの組合せをさらに配向させることもできる。通常フィルムは、縦方向(MD)に、15の比まで、例えば、5~7の間の比で配向させ、横方向(TD)に15の比まで、例えば、7~9の比で配向させる。しかし、少なくとも1つの実施形態では、フィルムはMDとTDの両方向に同程度配向させる。
【0198】
フィルムは、意図した用途に応じて厚さを変えることができる。しかし、1μm~50μmの厚さのフィルムが普通適切である。包装を目的とするフィルムは普通厚さ10μm~50μmである。密閉層の厚さは通常0.2μm~50μmである。フィルムの内面と外面の両方に密閉層があってもよいし、または密閉層が内面のみもしくは外面のみに存在してもよい。
少なくとも1つの実施形態では、1つまたは複数の層は、コロナ処理、電子ビーム照射、ガンマ線照射、火炎処理、またはマイクロ波で改変してもよい。少なくとも1つの実施形態では、表面層の一方または両方をコロナ処理で改変する。
全体的には、本開示の活性化剤、触媒系、および方法は、従来の活性化剤化合物および触媒系と比較して、脂肪族溶媒中の改善された溶解度を提供することができる。本開示の活性化剤、触媒系、および方法は、約25,000~約2,500,000g/モルの質量平均分子量(Mw)および約100℃以上の溶融温度(Tm)を有するポリオレフィンを提供することができる。
【0199】
例示的実施形態
本明細書に開示されている実施形態は以下を含む:
A.式(I):
[Ar(EHR12)(OR3)]d+[Mk+nd-(I)
(式中、
Arはアリール基であり、
Eは窒素またはリンであり、
1は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
2は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
3は、C10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
dは1、2または3であり、kは1、2、または3であり、nは1、2、3、4、5、または6であり、n-k=dであり、
各Qは、独立して、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである]で表される化合物。
【0200】
実施形態Aは、以下の追加要素のうちの1つまたは複数を任意の組合せで有することができる:
要素1:R1はC1-C10直鎖アルキル基である。
要素2:R1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである。
要素3:R2はC1-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である。
要素4:R3はC10-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である。
【0201】
要素5:R1はメチルである。
要素6:R2は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである。
要素7:R3は、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである。
要素8:Eは窒素である。
【0202】
要素9:Mはホウ素であり、kは3である。
要素10:Mはホウ素であり、Eは窒素である。
要素11:Qは置換されていてもよいアリール基である。
要素12:Qはハロゲン置換アリール基である。
要素13:Qはパーフルオロアリール基である。
要素14:Qはパーフルオロフェニル基である。
【0203】
要素15:Qはパーフルオロナフチル基である。
要素16:R1、R2、およびR3は合わせて20個以上の炭素原子を含む。
要素17:Arはフェニル基である。
Aに適用可能な例示的組合せは、これらに限定されないが、1または5および3;1または5および4;5、6、および7;1または5および3、8、または10;8および9;5~7および10;ならびに5~7、10および12、13、14または15を含む。
B.式(II):
[Cat]+[MQ4-(II)
[式中、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
Qは、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、
[Cat]+は、
【0204】
【化21】
からなる群から選択される構造で表されるカチオンである]で表される化合物。
【0205】
実施形態Bは、以下の追加の要素のうちの1つまたは複数を任意の組合せで有することができる:
要素18:Qは置換されていてもよいアリール基である。
要素19:Qはハロゲン置換アリール基である。
要素20:Qはパーフルオロアリール基である。
要素21:Qはパーフルオロフェニル基である。
要素22:Qはパーフルオロナフチル基である。
【0206】
要素23:Mはホウ素である。
Bに適用可能な例示的組合せは、これらに限定されないが、18および23;19および23;20および23;21および23;ならびに22および23を含む。
C.式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、
Eは窒素またはリンであり、
11、R12、およびR13のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキル基またはアリール基であり、アリール基は、少なくとも1つのC10-C30アルコキシ基で置換されており、R11、R12、およびR13は合わせて、26個以上の炭素原子を含み、
14、R15、R16、およびR17のそれぞれは、独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは、1~7個のフッ素原子で置換されている]で表される化合物。
【0207】
実施形態Cは、以下の追加の要素のうちの1つまたは複数を任意の組合せで有することができる:
要素24:R11およびR12のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキルであり、R13はC10-C30アルコキシ基で置換されているアリール基である。
要素25:R11、12、およびR13は合わせて30個以上の炭素原子を含む。
要素26:R11、R12、およびR13は合わせて40個以上の炭素原子を含む。
要素27:Eは窒素である。
Cに適用可能な例示的組合せは、これらに限定されないが、24および25または26;24および27;ならびに25または26および27を含む。
要素1~17、要素18~23、または要素24~27のうちの1つまたは複数とそれぞれ組み合わせた実施形態A、B、およびCのそれぞれは、以下の追加の要素のうちの1つまたは複数を任意の組合せで有することができる:
【0208】
要素28:化合物は、メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する。
要素29:化合物は、イソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する。
【0209】
要素30:化合物は、メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有し、イソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する。
実施形態D:触媒と、要素1~17、要素18~23、または要素24~27のうちの1つまたは複数、ならびに要素28~30のうちの1つまたは複数とをそれぞれ組み合わせた実施形態A、B、およびCの化合物を含む活性化剤を含む触媒系。
実施形態Dは、以下の追加の要素のうちの1つまたは複数を任意の組合せで有することができる:
要素31:担持材料をさらに含む。
要素32:担持材料は、Al23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、およびこれらの混合物から選択される。
【0210】
要素33:触媒は、式(IV):
【化22】
[式(IV)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
nは0または1であり、
Tは、S、O、PR’、NR’、SiR”2、CH2、CHR”、またはCR”2から選択される任意の架橋基であり、R’はC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、R”は水素またはC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、
1およびL2は、独立して、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、置換インデニル、テトラヒドロインデニル、置換テトラヒドロインデニル、フルオレニル、または置換フルオレニル基であり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される。
【0211】
要素34:Tは、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、ジアルキルメチル、ジアリールメチル、エチレニル、またはヒドロカルビルエチレニルから選択される任意の架橋基であり、エチレニル中の1個、2個、3個または4個の水素原子はヒドロカルビルで置換されている。
要素35:触媒はC2対称である。
【0212】
要素36:触媒は、
ジメチルシリルビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)(メチレン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)Mc(R)2
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(3-タートブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
【0213】
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-タートブチルアミドMc(R)2
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(タートブチルアミド)Mc(R)2(式中、Mcは、Ti、Zr、およびHfから選択され、Rは、ハロゲンまたはC1-C5アルキルから選択される)のうちの1つまたは複数である。
要素37:触媒はrac-ジメチルシリル-ビス(インデニル)ハフニウムジメチルである。
【0214】
要素38:触媒は、式(CAT-2):
【化23】
で表される。
【0215】
要素39:触媒は、式(CAT-3):
【化24】
で表される。
【0216】
要素40:触媒は、式(CAT-4):
【化25】
で表される。
【0217】
要素41:触媒は、式(V):
【化26】
[式(V)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり;
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、独立して、水素化物、ハロゲン化物、置換されていてもよいヒドロカルビル、ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよいヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、シリル、ボリル、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオおよびセレノであり、2つ以上のR基が一緒に合わさって環構造を作ってもよく、その環構造は環内に3~100個の非水素原子を有し、
AはC1-C50アルキル基であり、
1およびY2は、独立して、O、S、NRaおよびPRaから選択され、Raは置換されていてもよいヒドロカルビルであり、
Ar1は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、またはフェナントレニルであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される。
【0218】
要素42:McはZrである。
要素43:Y1およびY2はOである。
要素44:X1およびX2はベンジルである。
要素45:Aはプロピルまたはブチルである。
【0219】
要素46:触媒は式(CAT-5):
【化27】
で表される。
【0220】
要素47:触媒は式(CAT-6):
【化28】
で表される。
【0221】
要素48:触媒は、式(VIa)または(VIb):
【化29】
[式(VIa)または(VIb)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
41、R42、R43、R44、R45は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
【0222】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができ、
zは、1、2、3、または4である]で表される。
【0223】
要素49:McはZrである。
要素50:X1およびX2はベンジルである。
要素51:触媒は式(CAT-7):
【0224】
【化30】
で表される。
【0225】
要素52:触媒は、式(VII):
【化31】
[式(VII)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびY2は、独立して、O、N、NH、またはSであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される。
【0226】
要素53:触媒は、式(CAT-8):
【化32】
で表される。
要素54:触媒は、式(CAT-9):
【0227】
【化33】
で表される。Dに適用可能な例示的組合せは、これらに限定されないが、31および33;31および36;31および38;31および39;31および40;31および41;31および46;31および47;31および48;31および51;31および52;ならびに31および53を含む。
【0228】
E:少なくとも1種のオレフィンを、要素31~54のうちの1つまたは複数と組み合わせた実施形態Dの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む方法。
実施形態Eは、以下の追加の要素のうちの1つまたは複数を任意の組合せで有することができる:
要素55:少なくとも1種のオレフィンはプロピレンを含む。
要素56:ポリオレフィンは、約25,000~約300,000g/モルのMwおよび約100℃~約130℃の溶融温度を有する。
要素57:少なくとも1種のオレフィンはエチレンを含む。
要素58:ポリオレフィンは約250,000~約2,500,000g/モルのMwおよび約120℃~約140℃の溶融温度を有する。
【0229】
Eに適用可能な例示的組合せは、これらに限定されないが、55および56;および57および58を含む。
F:2種以上の異なるオレフィンを、要素31~54のうちの1つまたは複数と組み合わせた実施形態Dの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む方法。
【0230】
実施形態Fは、以下の追加の要素のうちの1つまたは複数を任意の組合せで有することができる:
要素59:2種以上のオレフィンはエチレンおよびオクテンである。
要素60:ポリオレフィンは、約50,000~約1,500,000g/モルのMwおよび約25℃~約100℃の溶融温度を有する。
実施形態EおよびFは、以下の追加の要素のうちの1つまたは複数を有することができる:
要素61:接触は気相またはスラリー相内で実施される。
G:要素1~17、要素18~23、または要素24~27のうちの1つまたは複数と組み合わせた実施形態A、B、またはCのいずれか1種の化合物および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
H:要素31~54のうちの1つまたは複数と組み合わせた実施形態Dの触媒系、および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
【0231】
本開示はまた以下に関する
1.式(I):
[Ar(EHR12)(OR3)]d+[Mk+nd-(I)
[式中:
Arはアリール基であり、
Eは窒素またはリンであり、
1であり、C1-C30、置換されていてもよい、直鎖アルキル基あり、
2は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
3は、C10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
dは1、2または3であり、kは1、2、または3であり、nは1、2、3、4、5、または6であり、n-k=dであり、
各Qは、独立して、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである]で表される化合物。
2.R1がC1-C10直鎖アルキル基である、段落1の化合物。
3.R1が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである、段落1または段落2のいずれかの化合物。
【0232】
4.R2がC1-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である、段落1~3のいずれか1つの化合物。
5.R3がC10-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である、段落1~4のいずれか1つの化合物。
6.R1がメチルである、段落1~5のいずれか1つの化合物。
7.R2が、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである、段落1~6のいずれか1つの化合物。
8.R3が、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである、段落1~7のいずれか1つの化合物。
9.Eが窒素である、段落1~8のいずれか1つの化合物。
10.Mがホウ素であり、kが3である、段落1~9のいずれか1つの化合物。
11.Mがホウ素およびEが窒素である、段落1~10のいずれか1つの化合物。
12.Qが置換されていてもよいアリール基である、段落1~11のいずれか1つの化合物。
13.Qがハロゲン置換アリール基である、段落1~12のいずれか1つの化合物。
14.Qがパーフルオロアリール基である、段落1~13のいずれか1つの化合物。
15.Qがパーフルオロフェニル基である、段落1~14のいずれか1つの化合物。
16.Qがパーフルオロナフチル基である、段落1~14のいずれか1つの化合物。
17.R1、R2、およびR3が合わせて20個以上の炭素原子を含む、段落1~16のいずれか1つの化合物。
18.Arがフェニル基である、段落1~16のいずれか1つの化合物。
19.式(II):
[Cat]+[MQ4-(II)
[式中、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
Qは、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、
[Cat]+は、
【0233】
【化34】
からなる群から選択される構造で表されるカチオンである]で表される化合物。
20.Qが置換されていてもよいアリール基である、段落19の化合物。
21.Qがハロゲン置換アリール基である、段落19~20のいずれか1つの化合物。
22.Qがパーフルオロアリール基である、段落19~21のいずれか1つの化合物。
23.Qがパーフルオロフェニル基である、段落19~22のいずれか1つの化合物。
24.Qがパーフルオロナフチル基である、段落19~22のいずれか1つの化合物。
25.Mがホウ素である、段落19~24のいずれか1つの化合物。
26.式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、
Eは窒素またはリンであり、
11、R12、およびR13のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキル基またはアリール基であり、アリール基は、少なくとも1つのC10-C30アルコキシ基で置換されており、R11、R12、およびR13は合わせて、26個以上の炭素原子を含み、
14、R15、R16、およびR17のそれぞれは、独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは、1~7個のフッ素原子で置換されている]で表される化合物。
27.R11およびR12のそれぞれが、独立して、C1-C30直鎖アルキルであり、R13がC10-C30アルコキシ基で置換されているアリール基である、段落26の化合物。
【0234】
28.R11、R12、およびR13が合わせて30個以上の炭素原子を含む、段落26~27のいずれか1つの化合物。
29.R11、R12、およびR13が合わせて40個以上の炭素原子を含む、段落26~28のいずれか1つの化合物。
30.Eが窒素である、段落26~29のいずれか1つの化合物。
31.メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1~30のいずれか1つの化合物。
32.イソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1~30のいずれか1つの化合物。
33.メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度およびイソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1~30のいずれか1つの化合物。
34.触媒および段落1~33のいずれか1つの化合物を含む活性化剤を含む触媒系。
35.担持材料をさらに含む、段落34の触媒系。
36.担持材料がAl23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、およびこれらの混合物から選択される、段落35の触媒系。
37.触媒が式(IV):
【0235】
【化35】
[式(IV)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
nは0または1であり、
Tは、S、O、PR’、NR’、SiR”2、CH2、CHR”、またはCR”2から選択される任意の架橋基であり、R’はC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、R”は水素またはC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、
1およびL2は、独立して、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、置換インデニル、テトラヒドロインデニル、置換テトラヒドロインデニル、フルオレニル、または置換フルオレニル基であり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される、段落34~36のいずれか1つの触媒系。
【0236】
38.Tが、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、ジアルキルメチル、ジアリールメチル、エチレニル、またはヒドロカルビルエチレニルから選択される任意の架橋基であり、エチレニル中の1個、2個、3個または4個の水素原子がヒドロカルビルで置換されている、段落37の触媒系。
39.触媒がC2対称である、段落37の触媒系。
40.触媒が、
ジメチルシリルビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)(メチレン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)Mc(R)2
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
【0237】
μ-(CH32Si(3-タートブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(タートブチルアミド)Mc(R)2(式中、Mcは、Ti、Zr、およびHfから選択され、Rは、ハロゲンまたはC1-C5アルキルから選択される)のうちの1種または複数である、段落37の触媒系。
41.触媒がrac-ジメチルシリル-ビス(インデニル)ハフニウムジメチルである、段落37~40のいずれかの触媒系。
42.触媒が、式(CAT-2):
【0238】
【化36】
で表される、段落37の触媒系。
43.触媒が、式(CAT-3):
【0239】
【化37】
で表される、段落37の触媒系。
44.触媒が、式(CAT-4):
【0240】
【化38】
で表される、段落37の触媒系。
45.触媒が、式(V):
【0241】
【化39】
[式(V)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、独立して、水素化物、ハロゲン化物、置換されていてもよいヒドロカルビル、ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよいヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、シリル、ボリル、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオおよびセレノであり、2つ以上のR基が一緒に合わさって環構造を作ってもよく、その環構造は環内に3~100個の非水素原子を有し、
AはC1-C50アルキル基であり、
1およびY2は、独立して、O、S、NRaおよびPRaから選択され、Raは置換されていてもよいヒドロカルビルであり、
Ar1は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、またはフェナントレニルであり、
【0242】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される段落37の触媒系。
46.McがZrである、段落45の触媒系。
47.Y1およびY2がOである、段落45~46のいずれか1つの触媒系。
48.X1およびX2がベンジルである、段落45~47のいずれか1つの触媒系。
49.Aがプロピルまたはブチルである、段落45~48のいずれか1つの触媒系。
50.触媒が式(CAT-5):
【0243】
【化40】
で表される、段落45~49のいずれか1つの触媒系。
51.触媒が式(CAT-6):
【0244】
【化41】
で表される、段落45~49のいずれか1つの触媒系
52.触媒が式(VIa)または(VIb):
【0245】
【化42】
[式(VIa)または(VIb)中、
cは元素周期表の第4族から選択される元素であり、
41、R42、R43、R44、R45は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
【0246】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができ、
zは1、2、3、または4である]で表される段落34~36のいずれか1つの触媒系。
53.McがZrである、段落52の触媒系。
54.X1およびX2がベンジルである、段落52~53のいずれかの触媒系。
55.触媒が式(CAT-7):
【0247】
【化43】
で表される、段落52~54のいずれか1つの触媒系。
56.触媒が式(VII):
【0248】
【化44】
[式(VII)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり
51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびY2は、独立して、O、N、NH、またはSであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される、段落34~36のいずれかの触媒系。
57.触媒が、式(CAT-8):
【0249】
【化45】
で表される、段落56の触媒系。
58.触媒が、式(CAT-9):
【0250】
【化46】
で表される、段落56の触媒系。
59.少なくとも1種のオレフィンを、段落34~58のいずれか1つの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む方法。
60.少なくとも1種のオレフィンがプロピレンを含む、段落59の方法。
61.ポリオレフィンが、約25,000~約300,000g/モルのMwおよび約100℃~約130℃の溶融温度を有する、段落60の方法。
62.少なくとも1種のオレフィンがエチレンを含む、段落59の方法。
63.ポリオレフィンが、約250,000~約2,500,000g/モルのMwおよび約120℃~約140℃の溶融温度を有する、段落62の方法。
64.2種以上の異なるオレフィンを、段落34~58のいずれか1つの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む、方法。
65.2種以上のオレフィンがエチレンおよびオクテンである、段落64の方法。
66.ポリオレフィンが、約50,000~約1,500,000g/モルのMwおよび約25℃~約100℃の溶融温度を有する、段落65の方法。
67.接触が気相またはスラリー相内で実施される、段落59~66のいずれか1つの方法。
68.段落1~33のいずれか1つの化合物および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
69.段落34~57のいずれか1つの触媒系および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
【0251】
本開示は、以下にさらに関する
1A.式(I):
[Ar(EHR12)(OR3)]d+[Mk+nd-(I)
[式中、
Arはアリール基であり、
Eは窒素またはリンであり、
1はC1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
2はC1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
3はC10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
dは1、2または3であり、kは1、2、または3であり、nは1、2、3、4、5、または6であり、n-k=dであり、
各Qは、独立して、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである]で表される化合物。
2A.R1がC1-C10直鎖アルキル基である、段落1Aの化合物。
3A.R1がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである、段落1Aまたは段落2Aの化合物。
4A.R2がC1-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である、段落1Aまたは段落2Aの化合物。
【0252】
5A.R3がC10-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である、段落1Aまたは段落2Aの化合物。
6A.R1がメチルである、段落1Aの化合物。
7A.R2がメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである、段落6Aの化合物。
8A.R3が、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである、段落7Aの化合物。
9A.Eが窒素である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
10A.Mがホウ素であり、kが3である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
11A.Mがホウ素であり、Eが窒素である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
12A.Qが置換されていてもよいアリール基である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
13A.Qがハロゲン置換アリール基である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
14A.Qがパーフルオロアリール基である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
15A.Qがパーフルオロフェニル基である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
16A.Qがパーフルオロナフチル基である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
17A.R1、R2、およびR3が合わせて20個以上の炭素原子を含む、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
18A.Arがフェニル基である、段落1A、2Aまたは6A~8Aのいずれか1つの化合物。
19A.式(II):
[Cat]+[MQ4-(II)
[式中、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
Qは、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、
[Cat]+は、
【0253】
【化47】
からなる群から選択される構造で表されるカチオンである]で表される化合物。
20A.Qが置換されていてもよいアリール基である、段落19Aの化合物。
21A.Qがハロゲン置換アリール基である、段落20Aの化合物。
22A.Qがパーフルオロアリール基である、段落19A~21Aのいずれか1つの化合物。
23A.Qがパーフルオロフェニル基である、段落19A~21Aのいずれか1つの化合物。
24A.Qがパーフルオロナフチル基である、段落19A~21Aのいずれか1つの化合物。
25A.Mがホウ素である、段落19A~21Aのいずれか1つの化合物。
26A.式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、
Eは窒素またはリンであり、
11、R12、およびR13のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキル基またはアリール基であり、アリール基は、少なくとも1つのC10-C30アルコキシ基で置換されており、R11、R12、およびR13は合わせて、26個以上の炭素原子を含み、
【0254】
14、R15、R16、およびR17のそれぞれは、独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは、1~7個のフッ素原子で置換されている]で表される化合物。
27A.R11およびR12のそれぞれが独立して、C1-C30直鎖アルキルであり、R13がC10-C30アルコキシ基で置換されているアリール基である、段落26Aの化合物。
28A.R11、R12、およびR13が合わせて30個以上の炭素原子を含む、段落27Aの化合物。
29A.R11、R12、およびR13が合わせて40個以上の炭素原子を含む、段落27Aの化合物。
30A.Eが窒素である、段落26A~29Aのいずれか1つの化合物。
31A.メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1A、2A、6A~8A、または19A~29Aのいずれか1つの化合物。
32A.イソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1A、2A、6A-8A、または19A~29Aのいずれか1つの化合物。
33A.メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度およびイソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1A、2A、6A~8A、または19A~29Aのいずれか1つの化合物。
34A.触媒、および段落1A、2A、6A~8A、または19A~29Aのいずれか1つの化合物を含む活性化剤を含む触媒系。
35A.担持材料をさらに含む、段落34Aの触媒系。
36A.担持材料がAl23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、およびこれらの混合物から選択される、段落35Aの触媒系。
37A.触媒が、式(IV):
【0255】
【化48】
[式(IV)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり;
nは0または1であり、
Tは、S、O、PR’、NR’、SiR”2、CH2、CHR”、またはCR”2から選択される任意の架橋基であり、R’はC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、R”は水素またはC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、
1およびL2は、独立して、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、置換インデニル、テトラヒドロインデニル、置換テトラヒドロインデニル、フルオレニル、または置換フルオレニル基であり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される段落34A~36Aのいずれか1つの触媒系。
38A.Tが、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、ジアルキルメチル、ジアリールメチル、エチレニル、またはヒドロカルビルエチレニルから選択される任意の架橋基であり、エチレニル中の1個、2個、3個または4個の水素原子がヒドロカルビルで置換されている、段落37Aの触媒系。
【0256】
39A.触媒がC2対称である、段落37Aの触媒系。
40A.触媒が、
ジメチルシリルビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)(メチレン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)Mc(R)2
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
【0257】
μ-(CH32Si(3-タートブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(タートブチルアミド)Mc(R)2(式中、Mcは、Ti、Zr、およびHfから選択され、Rは、ハロゲンまたはC1-C5アルキルから選択される)のうちの1つまたは複数である、段落37Aの触媒系。
41A.触媒がrac-ジメチルシリル-ビス(インデニル)ハフニウムジメチルである、段落37Aの触媒系。
42A.触媒が、式(CAT-2):
【0258】
【化49】
で表される、段落37Aの触媒系。
43A.触媒が、式(CAT-3):
【0259】
【化50】
で表される、段落37Aの触媒系。
44A.触媒が、式(CAT-4):
【0260】
【化51】
で表される、段落37Aの触媒系。
45A.触媒が、式(V):
【0261】
【化52】
[式(V)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり;
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、独立して、水素化物、ハロゲン化物、置換されていてもよいヒドロカルビル、ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよいヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、シリル、ボリル、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオおよびセレノであり、2つ以上のR基が一緒に合わさって環構造を作ってもよく、その環構造は環内に3~100個の非水素原子を有し、
AはC1-C50アルキル基であり、
1およびY2は、独立して、O、S、NRaおよびPRaから選択され、Raは置換されていてもよいヒドロカルビルであり、
Ar1は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、またはフェナントレニルであり、
【0262】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される段落37Aの触媒系。
46A.McがZrである、段落45Aの触媒系。
47A.Y1およびY2がOである、段落45Aの触媒系。
48A.X1およびX2がベンジルである、段落45Aの触媒系。
49A.Aがプロピルまたはブチルである、段落45Aの触媒系。
50A.触媒が、式(CAT-5):
【0263】
【化53】
で表される、段落45Aの触媒系。
51A.触媒が、式(CAT-6):
【0264】
【化54】
で表される、段落45Aの触媒系。
52A.触媒が、式(VIa)または(VIb):
【0265】
【化55】
[式(VIa)または(VIb)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
41、R42、R43、R44、R45は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され。
【0266】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができ、
zは1、2、3、または4である]で表される、段落34Aの触媒系。
53A.McがZrである、段落52Aの触媒系。
54A.X1およびX2がベンジルである、段落52Aの触媒系。
55A.触媒が、式(CAT-7):
【0267】
【化56】
で表される段落52Aの触媒系。
56A.触媒が、式(VII):
【0268】
【化57】
[式(VII)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびY2は、独立して、O、N、NH、またはSであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される段落34Aの触媒系。
57A.触媒が、式(CAT-8):
【0269】
【化58】
で表される、段落56Aの触媒系。
58A.触媒が、式(CAT-9):
【0270】
【化59】
で表される、段落56Aの触媒系。
59A.少なくとも1種のオレフィンを、段落34Aの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む方法。
60A.少なくとも1種のオレフィンがプロピレンを含む、段落59Aの方法。
61A.ポリオレフィンが、約25,000~約300,000g/モルのMwおよび約100℃~約130℃の溶融温度を有する、段落60Aの方法。
62A.少なくとも1種のオレフィンがエチレンを含む、段落59Aの方法。
63A.ポリオレフィンが約250,000~約2,500,000g/モルのMwおよび約120℃~約140℃の溶融温度を有する、段落62Aの方法。
64A.2種以上の異なるオレフィンを、段落34Aの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む方法。
65A.2種以上のオレフィンがエチレンおよびオクテンである、段落64Aの方法。
66A.ポリオレフィンが、約50,000~約1,500,000g/モルのMwおよび約25℃~約100℃の溶融温度を有する、段落65Aの方法。
67A.接触が気相またはスラリー相内で実施される、段落59Aの方法。
68A.接触が気相またはスラリー相内で実施される、段落64Aの方法。
69A.段落1A、2A、6A~8A、または19A~29Aのいずれか1つの化合物および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
70A.段落34Aの触媒系および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
【0271】
本開示はまたさらに以下に関する
1B.式(I):
[Ar(EHR12)(OR3)]d+[Mk+nd-(I)
[式中、
Arはアリール基;
Eは窒素またはリン;
1は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
2は、C1-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
3は、C10-C30の、置換されていてもよい直鎖アルキル基であり、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
dは1、2または3であり、kは1、2、または3であり、nは1、2、3、4、5、または6であり、n-k=dであり、
各Qは、独立して、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルである]で表される化合物。
2B.R1がC1-C10直鎖アルキル基である、段落1Bの化合物。
3B.R1が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである、段落1Bの化合物。
4B.R2がC1-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基.である、段落2Bの化合物。
5B.R3がC10-C20の、置換されていてもよい直鎖アルキル基である、段落2Bの化合物。
【0272】
6B.R1がメチルである、段落1Bの化合物。
7B.R2が、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである、段落6Bの化合物。
8B.R3が、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、またはn-イコシルである、段落7Bの化合物。
9B.Eが窒素である、段落1Bの化合物。
10B.Mがホウ素であり、kが3である、段落1Bの化合物。
11B.Mがホウ素であり、Eが窒素である、段落1Bの化合物。
12B.Qが置換されていてもよいアリール基である、段落11Bの化合物。
13B.Qがハロゲン置換アリール基である、段落11Bの化合物。
14B.Qがパーフルオロアリール基である、段落11Bの化合物。
15B.Qがパーフルオロフェニル基である、段落11Bの化合物。
16B.Qがパーフルオロナフチル基である、段落11Bの化合物。
17B.R1、R2、およびR3が合わせて20個以上の炭素原子を含む、段落11Bの化合物。
18B.Arがフェニル基である、段落1Bの化合物。
19B.式(II):
[Cat]+[MQ4-(II)
[式中、
Mは、元素周期表の第13族から選択される元素であり、
Qは、水素化物、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、またはハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、
[Cat]+は、
【0273】
【化60】
からなる群から選択される構造で表されるカチオンである]で表される化合物。
20B.Qが置換されていてもよいアリール基である、段落19Bの化合物。
21B.Qがハロゲン置換アリール基である、段落20Bの化合物。
22B.Qがパーフルオロアリール基である、段落19Bの化合物。
23B.Qがパーフルオロフェニル基である、段落19Bの化合物。
24B.Qがパーフルオロナフチル基である、段落19Bの化合物。
25B.Mがホウ素である、段落19Bの化合物。
26B.式(III):
[R111213EH]+[BR14151617-(III)
[式中、
Eは窒素またはリンであり、
11、R12、およびR13のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキル基またはアリール基であり、アリール基は、少なくとも1つのC10-C30アルコキシ基で置換されており、R11、R12、およびR13は合わせて、26個以上の炭素原子を含み、
14、R15、R16、およびR17のそれぞれは、独立して、アリール基であり、R14、R15、R16、およびR17の少なくとも1つは、1~7個のフッ素原子で置換されている]で表される化合物。
27B.R11およびR12のそれぞれは、独立して、C1-C30直鎖アルキルであり、R13はC10-C30アルコキシ基で置換されているアリール基である、段落26Bの化合物。
【0274】
28B.R11、R12、およびR13が合わせて30個以上の炭素原子を含む、段落27Bの化合物。
29B.R11、R12、およびR13が合わせて40個以上の炭素原子を含む、段落27Bの化合物。
30B.Eが窒素である、段落26Bの化合物。
31B.化合物がメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1Bの化合物。
32B.化合物がイソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1Bの化合物。
33B.化合物が、メチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度およびイソヘキサン中、25℃で少なくとも10mMの溶解度を有する、段落1Bの化合物。
34B.触媒および段落1Bの化合物を含む活性化剤を含む触媒系。
35B.担持材料をさらに含む、段落34Bの触媒系。
36B.担持材料が、Al23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、およびこれらの混合物から選択される、段落35Bの触媒系。
37B.触媒が、式(IV):
【0275】
【化61】
[式(IV)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
nは0または1であり、
Tは、S、O、PR’、NR’、SiR”2、CH2、CHR”、またはCR”2から選択される任意の架橋基であり、R’はC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、R”は水素またはC1-C30の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、
1およびL2は、独立して、シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、インデニル、置換インデニル、テトラヒドロインデニル、置換テトラヒドロインデニル、フルオレニル、または置換フルオレニル基であり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される段落34Bの触媒系。
38B.Tが、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、ジアルキルメチル、ジアリールメチル、エチレニル、またはヒドロカルビルエチレニルから選択される任意の架橋基であり、エチレニル中の1個、2個、3個または4個の水素原子がヒドロカルビルで置換されている、段落37Bの触媒系。
39B.触媒がC2対称である、段落37Bの触媒系。
【0276】
40B.触媒が、
ジメチルシリルビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(1-メチル、3-n-ブチルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ビス(インデニル)Mc(R)2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)Mc(R)2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)Mc(R)2
1,1’-ビス(4-トリエチルシリルフェニル)(メチレン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)Mc(R)2
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(3-タートブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
【0277】
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-タートブチルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)Mc(R)2
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(タートブチルアミド)Mc(R)2(式中、Mcは、Ti、Zr、およびHfから選択され、Rは、ハロゲンまたはC1-C5アルキルから選択される)のうちの1つまたは複数である、段落37Bの触媒系。
41B.触媒がrac-ジメチルシリル-ビス(インデニル)ハフニウムジメチルである、段落37Bの触媒系。
42B.触媒が、式(CAT-2):
【0278】
【化62】
で表される、段落37Bの触媒系。
43B.触媒が、式(CAT-3):
【0279】
【化63】
で表される、段落37Bの触媒系。
44B.触媒が、式(CAT-4):
【0280】
【化64】
で表される、段落37Bの触媒系。
45B.触媒が、式(V):
【0281】
【化65】
[式(V)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり;
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、独立して、水素化物、ハロゲン化物、置換されていてもよいヒドロカルビル、ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよいヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、シリル、ボリル、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオおよびセレノであり、2つ以上のR基が一緒に合わさって環構造を作ってもよく、その環構造は環内に3~100個の非水素原子を有し、
AはC1-C50アルキル基であり、
1およびY2は、独立して、O、S、NRaおよびPRaから選択され、Raは置換されていてもよいヒドロカルビルであり、
Ar1は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、またはフェナントレニルであり、
【0282】
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される、段落37Bの触媒系。
46B.McがZrである、段落45Bの触媒系。
47B.Y1およびY2がOである、段落45Bの触媒系。
48B.X1およびX2がベンジルである、段落45Bの触媒系。
49B.Aがプロピルまたはブチルである、段落45Bの触媒系。
50B.触媒が、式(CAT-5):
【0283】
【化66】
で表される、段落45Bの触媒系。
51B.触媒が、式(CAT-6):
【0284】
【化67】
で表される、段落45Bの触媒系。
52B.触媒が、式(VIa)または(VIb):
【0285】
【化68】
[式(VIa)または(VIb)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
41、R42、R43、R44、R45は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができ、
zは1、2、3、または4である]で表される、段落34Bの触媒系。
53B.McがZrである、段落52Bの触媒系。
54B.X1およびX2がベンジルである、段落52Bの触媒系。
55B.触媒が、式(CAT-7):
【0286】
【化69】
で表される、段落52Bの触媒系。
56B.触媒が、式(VII):
【0287】
【化70】

[式(VII)中、
cは、元素周期表の第4族から選択される元素であり、
51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオアルキル、チオアリール、ニトロ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、
1およびY2は、独立して、O、N、NH、またはSであり、
1およびX2は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビル、置換ゲルミルカルビル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ボリル、アミノ、ホスフィノ、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、カルボキシレート、アルキルチオ、アリールチオ、1,3-ジオネート、オキサレート、カーボネート、ニトレート、もしくはスルフェートであるか、またはX1とX2の両方が連結し、金属原子と結合して、約3~約20個の炭素原子を含有する金属環を形成するか、または両方が一緒になって、オレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であることができる]で表される、段落34Bの触媒系。
57B.触媒が、式(CAT-8):
【0288】
【化71】
で表される、段落56Bの触媒系。
58B.触媒が、式(CAT-9):
【0289】
【化72】
で表される、段落56Bの触媒系。
59B.少なくとも1種のオレフィンを、段落34Bの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む方法。
60B.少なくとも1種のオレフィンがプロピレンを含む、段落59Bの方法。
61B.ポリオレフィンが、約25,000~約300,000g/モルのMwおよび約100℃~約130℃の溶融温度を有する、段落60Bの方法。
62B.少なくとも1種のオレフィンがエチレンを含む方法。
63B.ポリオレフィンが約250,000~約2,500,000g/モルのMwおよび約120℃~約140℃の溶融温度を有する、段落62Bの方法。
64B.2種以上の異なるオレフィンを、段落34Bの触媒系と接触させること、およびポリオレフィンを得ることを含む方法。
65B.2種以上のオレフィンがエチレンおよびオクテンである、段落64Bの方法。
66B.ポリオレフィンが約50,000~約1,500,000g/モルのMwおよび約25℃~約100℃の溶融温度を有する、段落65Bの方法。
67B.接触が気相またはスラリー相内で実施される、段落59Bの方法。
68B.接触が気相またはスラリー相内で実施される、段落64Bの方法。
69B.段落1Bの化合物および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
70B.段落34Bの触媒系および脂肪族溶媒を含む溶液であって、芳香族溶媒が存在しない溶液。
【0290】
本発明の実施形態のより良い理解を促進するため、好ましいまたは代表的な実施形態の以下の実施例が付与される。以下の実施例は本発明の範囲を制限、または定義するものであると決して解釈されるべきではない。
【実施例
【0291】
実験
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウムエーテレート(Li-BF20)をBoulder Scientificから購入した。N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DMAH-A1)をGrace Davisonから購入し、トルエン中で水素化ナトリウムと反応させることによって、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ホウ酸ナトリウム(Na-BF28)に変換した。テトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ホウ酸N,N-ジメチルアニリニウム(DMAH-A2)をGrace Davisonから購入した。EXXAL(商標)13はExxonMobil Chemical Company、Houston、Texasで生産されたオキソアルコールであり、異性体の混合物である。すべての他の試薬は、SIGMA-Aldrichから購入し、そのまま使用した。すべての無水溶媒はSIGMA-Aldrichから購入した。溶媒(SIGMA-Aldrich)は窒素を注入し、モレキュラーシーブ上で貯蔵した。
【0292】
化合物特性評価のための1H NMR:化学構造は1H NMRで決定した。1H NMRデータは、5mmプローブ内、室温で(例えば、23℃)収集した。1HNMR測定は、400MHzまたは500MHz Bruker 分光器で記録し、化学シフトは残留溶媒ピーク(CDCl31Hに対して7.27ppm、13Cに対して77.23ppm)を参照した。
実施例
活性化剤構成成分として使用したホウ酸アニオンおよびアンモニウムカチオンを表3に示す。
【0293】
【表3】
【0294】
活性化剤の合成
ホウ酸アンモニウム活性化剤の一般的な合成:3ステッププロセスを使用して、ホウ酸アンモニウム活性化剤を調製した。第1ステップでは、エーテル基を含有するアルキル化アミンを、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中、水素化ナトリウムの存在下で、アミノフェノールおよびブロモアルカンから調製した。次いで、生成したアルキル化アミンを溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エーテル、ジクロロメタン、トルエン)に溶解し、過剰の(約1.2モル当量)の塩化水素を添加して、塩化アンモニウム塩を形成した。この塩を反応媒体から濾過で単離し、減圧下で乾燥させた。次いで、単離した塩化アンモニウムを、1モル当量のアルカリ金属ホウ酸塩と共に、溶媒(例えばシクロヘキサン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン)中で加熱還流して、副生成物アルカリ金属塩化物と共にホウ酸アンモニウムを形成した。副生成物は通常濾過で除去する。選択されたホウ酸アンモニウムに対する合成の詳細を記載する実施例が以下に付与されている。
【0295】
N-メチル-N-オクタデシル-4-(オクタデシルオキシ)アニリン:
【化73】
4-(メチルアミノ)フェノールヘミスルフェートおよびブロモオクタデカンをTHFに溶解した。水素化ナトリウムをゆっくりと添加した。反応物を終夜撹拌させておき、次いで氷水およびエーテルでクエンチした。エーテル部分を濃縮し、残渣をシリカゲルプラグ(0~10%アセトン/イソヘキサン)に通して精製することによって、アルキル生成物を綿毛状の白色の固体として収率60%で得た:1H NMR (500 MHz, C6D6, δ): 0.90 (m, 6H), 1.33 (m, 58H), 1.45 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 2.64 (s, 3H), 3.08 (m, 2H), 3.80 (m, 2H), 6.72 (m, 2H), 6.98 (m, 2H); 13C NMR: 14.0 (2C), 22.8 (2C), 26.2 - 32.0 (30C), 38.6, 53.9, 68.2, 114.7 (2C), 115.6 (2C), 144.8, 151.9.
【0296】
N-メチル-N-オクタデシル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムクロリド:上記オキシアニリン(3.0g、4.77mmol)を50mLのヘキサンに溶解した。エーテルのHCl(2.86mL、2M)を添加すると、白色の沈殿物が10分以内に形成された。反応物を終夜撹拌してから、固体の塩を収集した。
N-メチル-N-オクタデシル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(C4-A1):55℃で1.5時間加熱しながら、上記N-メチル-N-オクタデシル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムクロリド塩(0.5g、0.75mmol)を20mLのイソヘキサン中で、Li-BF20(0.52g、0.75mmol)を用いてスラリー化した。周辺温度に冷却した時点で、溶液を濾過し、透明な無色の油状物質へと濃縮した。ホウ酸塩を収率89%で得た。
N-メチル-N-オクタデシル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボレート(C4-A2):55℃で1.5時間加熱しながら、上記N-メチル-N-オクタデシル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムクロリド塩(0.5g、0.75mmol)を20mLのイソヘキサン中でNa-BF28(0.78g、0.75mmol)を用いてスラリー化した。周辺温度に冷却した時点で、溶液を濾過し、褐色の油状物質へと濃縮した。ホウ酸塩を収率89%で得た。
【0297】
トリデシルブロミド:オキソアルコールEXXAL(登録商標)13(ExxonMobilから入手可能)(45.0g、225mmol)およびトリフェニルホスフィン(117.8g、449mmol)を塩化メチレン(200mL)に溶解した。四臭化炭素(89.3g、270mmol)を遅い速度で添加して、還流を防止した。完了時にジエチルエーテルを添加すると、白色の沈殿物が生じ、これを濾過して取り除いた。濾液を白色の固体へと濃縮し、固体をペンタンで抽出した。ペンタンの画分を無色の油状物質へと濃縮した。NMR分析がトリフェニルホスフィンオキシドの存在を示したので、この油状物質をさらに2回ペンタンで抽出した。臭化物を、収率60%で淡黄色の油状物質として得た。
【0298】
N-メチル-N-トリデシル-4-(トリデシルオキシ)アニリン:
【化74】
4-(メチルアミノ)フェノールヘミスルフェート(2.0g、11.6mmol)およびトリデシルブロミド(6.42g、24.4mmol)を200mLのTHFに溶解した。水素化ナトリウム(95%、0.95g、37.7mmol)をゆっくりと添加し、反応物を70℃で終夜温めた。冷却して、エーテルを添加し、反応を氷水でクエンチした。エーテル層を暗色の油状物質に濃縮して、これをシリカゲルプラグ(10%アセトン/イソヘキサン)に通すことにより精製した。1H NMR (500 MHz, C6D6, δ): 1.25 (m, 50H), 2.64 (s, 3H), 3.08 (m, 2H), 3.79 (m, 2H), 6.73 (m, 2H), 6.99 (m, 2H).
【0299】
N-メチル-N-トリデシル-4-(トリデシルオキシ)アニリニウムクロリド:アルキル化オキシアニリン(0.47g、0.96mmol)を5mLのイソヘキサンに溶解し、エーテルのHCl(0.57mL、2M)を添加した。反応物を終夜撹拌し、次いで薄黄色の油状物質へと濃縮した。1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 1.26 (m, 50H), 3.12 (s, 3H), 3.42 (m, 2H), 3.97 (m, 2H), 6.98 (m, 2H), 7.67 (m, 2H).
【0300】
N-メチル-N-トリデシル-4-(トリデシルオキシ)アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(C2-A1):80℃で1.5時間加熱しながら、N-メチル-N-トリデシル-4-(トリデシルオキ)アニリニウムクロリド塩(0.27g、0.52mmol)を、20mLのイソヘキサン中でLi-BF20(0.39g、0.52mmol)を用いてスラリー化した。周辺温度に冷却した時点で、溶液を濾過し、薄い黄褐色の固体へと濃縮した。ホウ酸塩を収率56%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 0.89 - 1.68 (m, 46H), 3.28 (s, 3H), 3.57 (m, 4H), 4.03 (m, 2H), 7.05 (m, 2H), 7.15 (m, 2H).
【0301】
N-メチル-N-デシル-4-(デシルオキシ)アニリン:
【化75】
4-(メチルアミノ)フェノールヘミスルフェート(5.0g)およびヨードデカン(13.9mL、65.33mmol)をTHFに溶解した。水素化ナトリウム(1.8g、72.5mmol)をゆっくりと添加した。反応物を終夜撹拌させておき、次いで氷水およびエーテルでクエンチした。エーテル部分を濃縮し、残渣をシリカゲルプラグ(0~10%アセトン/イソヘキサン)に通すことにより精製して、アルキル生成物を透明な無色の油状物質として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3, δ): 0.90 (m, 6H), 1.25 (m, 26H), 1.46 (m, 4H), 1.70 (m, 2H), 2.63 (s, 3H), 3.07 (m, 2H), 3.79 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 6.72 (d, J = 9 Hz, 2H), 6.98 (d, J = 9 Hz, 2H); 13C NMR: 14.0 (2C), 22.7 (2C), 26.2, 26.7, 27.2, 29.4 - 29.7 (9C), 31.9 (2C), 38.6, 53.8 (2C), 68.2 (2C), 114.7 (2C), 115.6 (2C), 144.7, 151.6.
【0302】
N-メチル-N-デシル-4-(デシルオキシ)アニリニウムクロリド:100mLのイソヘキサンに溶解した上記アニリン(1.47g、3.64mmol)に、2MエーテルのHCl(2.18mL、4.37mmol)を添加した。溶液を周辺温度で終夜撹拌させておき、次いで透明な粘性の油状物質へと濃縮した。HCl塩を粗収率99%で得た。
N-メチル-N-デシル-4-(デシルオキシ)アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(C1-A1):80℃で1.5時間加熱しながら、上記N-メチル-N-デシル-4-(デシルオキシ)アニリニウムクロリド塩(0.25g、0.56mmol)を、20mLのシクロヘキサン中で、Li-BF20(0.43g、0.56mmol)を用いてスラリー化した。周辺温度に冷却した時点で、追加のシクロヘキサンを添加し、溶液を濾過し、透明な無色の油状物質へと濃縮した。ホウ酸塩を収率28%で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 0.88 (m, 6H), 1.27 (m, 30H), 1.81 (m, 2H), 3.22 (s, 3H), 3.48 (m, 2H), 3.98 (m, 2H), 7.01 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.19 (d, J = 8.0 Hz, 2H).
【0303】
N-メチル-N-デシル-4-(デシルオキシ)アニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ホウ酸塩(C1-A2):80℃で1.5時間加熱しながら、上記N-メチル-N-デシル-4-(デシルオキシ)アニリニウムクロリド塩(0.25g、0.56mmol)を、20mLのシクロヘキサン中で、Na-BF28(0.59g、0.56mmol)を用いてスラリー化した。周辺温度に冷却した時点で、油状物質が溶液から分離し、これを塩化メチレンに溶解し、濾過し、収率66%でホウ酸塩へと濃縮した。
【0304】
N,N-ジメチル-4-(オクタデシルオキシ)アニリン:
【化76】
4-(ジメチルアミノ)フェノール(1.0g、7.3mmol)およびブロモオクタデカン(2.9g、8.7mmol)を200mLのTHFに溶解した。水素化ナトリウム(95%、0.24g、9.4mmol)をゆっくりと添加し、溶液を2日間にわたり加熱還流した。反応を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、2回に分けてエーテルで抽出した。合わせた有機画分を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、茶色がかった固体へと濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10%アセトン/イソヘキサン)での精製により、アニリンを収率98%で、薄茶色がかった黄色の固体として得た。1H NMR (500 MHz, C6D6, δ): 0.90 (m, 3H), 1.33 (m, 26H), 1.52 (m, 2H), 1.70 (m, 2H), 2.55 (s, 6H), 3.77 (m, 2H), 6.66 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.95 (d, J = 9.0 Hz, 2H); 1H NMR (500 MHz, C6D6, δ): 14.0, 22.7 - 32.0 (16C), 41.1 (2C), 68.1, 114.7 (2C), 115.4 (2C), 145.7, 151.9.
【0305】
N,N-ジメチル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムクロリド:100mLのイソヘキサンに溶解した上記アニリン(2.8g、7.18mmol)に、エーテルのHCl(4.3mL、8.62mmol)を添加した。沈殿物が直ちに形成され、混合物周辺温度で終夜撹拌させておいた。次いでこれを濾過し、新鮮なイソヘキサンで洗浄して、HCl塩を収率68%で得た。
N,N-ジメチル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(C3-A1):80℃で1.5時間加熱しながら、上記N,N-ジメチル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムクロリド塩(1.16g、2.72mmol)を、50mLのシクロヘキサン中で、Li-BF20(2.07g、2.72mmol)を用いてスラリー化した。周辺温度に冷却した時点で、セライトを介して溶液を濾過し、粘性の油状物質へと濃縮した。この油状物質を塩化メチレンに再び溶解し、濾過し、濃縮して、ホウ酸塩を収率81%で得た。1H NMR (400 MHz, C6D6, δ): 0.88 (m, 3H), 1.25 (m, 30H), 1.81 (m, 2H), 3.29 (m, 5H), 3.99 (m, 2H), 7.01 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 8.0 Hz, 2H).
【0306】
N,N-ジメチル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボレート(C3-A2):80℃で1.5時間加熱しながら、上記N,N-ジメチル-4-(オクタデシルオキシ)アニリニウムクロリド塩(0.50g、1.17mmol)を、50mLのイソヘキサン中で、Na-BF28(1.22g、1.17mmol)を用いてスラリー化した。周辺温度に冷却した時点で、溶液から分離した油状物質を塩化メチレンに溶解し、濾過し、灰色の固体へと濃縮した。ホウ酸塩を収率57%で得た。1H NMR (400 MHz, C6D6, δ): 0.87 (m, 3H), 1.25 (m, 30H), 1.78 (m, 2H), 3.22 (s, 6H), 3.87 (m, 2H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.25 (m, 2H).
【0307】
テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸アニオンの金属塩
【化77】
テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩は、ヘプタフルオロナフタレニル求核剤と適当なホウ素試薬との反応により調製することができる。これら金属テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩(式中、Mpは金属含有カチオン性基であってよい)は、米国特許第9,834,569号に例示されたオレフィン重合触媒構成成分の調製に有用な中間体である。テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレート基を含有するこれらの触媒構成成分は、US2002/0137959およびUS2002/0007025に記載されているようなオレフィンの工業用重合に対して有用である。
【0308】
ヘプタフルオロナフタレニル求核剤
【化78】
【0309】
ヘプタフルオロナフタレニル求核剤(Mpは金属含有カチオン性基である)は、2-X-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレン(X=クロロ、ブロモ、またはヨード)と、還元金属または反応性金属試薬のいずれかとの反応により調製することができる。適切な還元金属は、第1族、第2族、第11族、第12族、もしくは第13族金属、または2種以上の異なる金属の組合せを含み得る。還元金属として、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Al、およびCuが挙げられる。反応性金属試薬として、第1族アルキル、グリニャール試薬、ハロゲン化リチウムと組み合わせたグリニャール試薬、およびアルカリ金属ナフタレニドが挙げられる。反応性金属試薬として、BuLi、iPrMgBr、iPrMgCl、iPrMgCl-LiCl、Bu2Mg、EtMgCl、EtMgBr、BnK、K(ナフタレン)、およびK(グラファイト)が挙げられる。ヘプタフルオロナフタレニル求核剤はまた、1,2,3,4,5,6,8-ヘプタフルオロナフタレンと、強塩基、例えば、BuLi、LiOtBu、またはBuNaとの反応により調製することもできる。2-X-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレンと還元金属または反応性金属試薬との反応は、添加剤の存在下で実施することができる。添加剤として、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化亜鉛、銅ハロゲン化物、縮合芳香族、またはルイス塩基を挙げることができる。例えば、Mg金属、CuBr、および三フッ化ホウ素エーテレートを含有する混合物への2-ブロモ-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレンの添加は、MathurおよびStricklerによりUS9,738,662において記載された有用なテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレート求核剤を形成する。この例では、臭化銅(I)が添加剤として使用された。恐らく反応は、グリニャール試薬の最初の形成、これに続くCuBrとの金属交換反応により進行して、Cu含有生成物を形成する。
【0310】
【化79】
【0311】
カチオン性基Mp1を含有する第1族または第2族金属を含有するヘプタフルオロナフタレニル金属種を第11族または12金属試薬と反応させて、第11族または第12族金属ヘプタフルオロナフタネニル種(式中、Mp2はカチオン性基を含有する第11族または第12族金属である)を形成することができる。カチオン性基Mp1を含有する第1族または第2族金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、ハロゲン化マグネシウム、マグネシウムアルキル、マグネシウムアリール、マグネシウムアルコキシド、マグネシウムカルボキシレート、MgCl、MgBr、ハロゲン化カルシウム、またはハロゲン化ストロンチウムであってよい。カチオン性基Mp2を含有する遷移金属は銅、ハロゲン化亜鉛、アルキル亜鉛、またはアリール亜鉛であってよい。例えば、ヘプタフルオロナフタレニル塩化マグネシウムは、ハロゲン化銅、例えば、CuBrと反応させて、ヘプタフルオロナフタネニル銅を形成することができる。
【0312】
上述の方法で調製することができるヘプタフルオロナフタネニル求核剤として、(パーフルオロナフタレン-2-イル)リチウム、(パーフルオロナフタレン-2-イル)ナトリウム、(パーフルオロナフタレン-2-イル)カリウム、(パーフルオロナフタレン-2-イル)ルビジウム、(パーフルオロナフタレン-2-イル)セシウム、(パーフルオロナフタレン-2-イル)マグネシウムフルオリド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)カルシウムクロリド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)マグネシウムブロミド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)マグネシウムヨージド、ビス(パーフルオロナフタレン-2-イル)マグネシウム、(パーフルオロナフタレン-2-イル)カルシウムフルオリド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)カルシウムクロリド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)カルシウムブロミド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)カルシウムヨージド、ビス(パーフルオロナフタレン-2-イル)カルシウム、(パーフルオロナフタレン-2-イル)亜鉛フルオリド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)亜鉛クロリド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)亜鉛ブロミド、(パーフルオロナフタレン-2-イル)亜鉛ヨージド、ビス(パーフルオロナフタレン-2-イル)亜鉛、リチウムジクロロ(パーフルオロナフタレン-2-イル)ジンケート、リチウムトリス(パーフルオロナフタレン-2-イル)ジンケート、クロロマグネシウムトリス(パーフルオロナフタレン-2-イル)ジンケート、(パーフルオロナフタレン-2-イル)銅、リチウムビス(パーフルオロナフタレン-2-イル)クプレート、クロロマグネシウムビス(パーフルオロナフタレン-2-イル)クプレート、ブロモマグネシウムビス(パーフルオロナフタレン-2-イル)クプレート、ビス(パーフルオロナフタレン-2-イル)カドミウムが挙げられる。
【0313】
ホウ素試薬
ヘプタフルオロナフタレニル求核剤と反応してテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩を生成できるホウ素試薬として、ハロゲン化ホウ素、トリアルキルボレート、およびアルカリ金属テトラハロボレートが挙げられる。ヘプタフルオロナフタレニル求核剤と反応して、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩を生成することができるホウ素試薬として、一般式B(X)3(L)(式中、各Xは、独立して、ハロゲン、アルコキシド、カルボキシレート、アルキルスルホネート、および水素化物から選択され、Lはルイス塩基である)の錯体が挙げられる。ヘプタフルオロナフタレニル求核剤と反応して、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩を生成することができるホウ素試薬として、一般式J[B(X)4](式中、各Xは、独立して、ハロゲン、アルコキシド、カルボキシレート、アルキルスルホネート、および水素化物から選択され、Jは、第1族または第2族金属を含有するカチオン性基である)の錯体が挙げられる。ヘプタフルオロナフタレニル求核剤と反応して、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩を生成することができるホウ素試薬として、BCl3、BBr3、BF3、BF3(OEt2)、B(OMe)3、B(OEt)3、B(OiPr)3、B(OBu)3、B(OMe)2Cl、B(OiPr)2Cl、LiBF4、NaBF4、LiBCl4、NaBCl4が挙げられる。
【0314】
テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩の合成
【化80】
【0315】
テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩を生成するためのヘプタフルオロナフタレニル求核剤とホウ素試薬との反応は、様々な方式で実施することができる。ヘプタフルオロナフタレニル求核剤は、ホウ素試薬との反応前に単離することができる。代わりに、ヘプタフルオロナフタレニル求核剤は、in situで作り、次いでホウ素試薬と反応させてもよい。さらに代わりに、ヘプタフルオロナフタレニル求核剤をホウ素試薬の存在下で作ることもできる。
【0316】
ヘプタフルオロナフタレニル求核剤(Mpは金属含有カチオン性基である)とホウ素試薬(例えば、BX3(L)またはJ[BX4])との間の反応は、ボラン(m=1~3)およびホウ酸塩(n=1~4)を含む様々な生成物を生成することができる。これらの生成物のいくつかは、ヘプタフルオロナフタレニル求核剤とのさらなる反応により、所望のテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩へと続いて変換することができる中間体と考えることができる。様々な要因が、反応において形成される各生成物の収率および選択性に影響を与える。これらは、反応物質の化学量論、反応条件(例えば、反応の温度、濃度、期間)、使用される溶媒(複数可)、試薬の選択、添加剤および/または触媒の存在を含む。理想的には、ヘプタフルオロナフタレニルボレート求核剤の、反応に使用されるホウ素に対するモル比はおよそ4である。反応に対して有用となり得る溶媒として、トルエン、ヘキサン、アイソパーC、ヘプタン、ペンタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N,N-ジメチルフラン、フルオロベンゼン、脂肪族炭化水素、および上述の溶媒の混合物が挙げられる。
【0317】
テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレート混合金属塩
ジエチルエーテルおよび塩化イソプロピルマグネシウム塩化リチウム錯体を合わせて、溶液を形成する。2-ブロモ-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレンを添加し、混合物およびそれを撹拌して、リチウムブロモクロロ(ヘプタフルオロナフタレニル)マグネシエートを形成する。次いで、三塩化ホウ素を混合物に添加して、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレートを混合した金属塩として形成する。
リチウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレート
トルエンおよびブチルリチウムを合わせて、溶液を形成し、これを-20℃に冷却する。2-ブロモ-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレンを添加し、混合物およびそれを撹拌して、ヘプタフルオロナフタレニルリチウムを形成する。次いで、三塩化ホウ素を混合物に添加して、リチウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレートを形成する。
【0318】
テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩
マグネシウム金属、ジエチルエーテル、およびヨウ素の小さな結晶を合わせる。混合物を1時間撹拌し、次いで2-ブロモ-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレンのジエチルエーテル中溶液を滴下添加して、ヘプタフルオロナフタレニルマグネシウムブロミドを形成する。次いで、ホウ酸トリイソプロピルを混合物に添加して、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ホウ酸塩を形成する。
リチウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレート
テトラヒドロフランおよび1,2,3,4,5,6,8-ヘプタフルオロナフタレンを合わせて、溶液を形成する。この混合物にリチウムtert-ブトキシドを添加し、混合物を加熱して、ヘプタフルオロナフタレニルリチウムを形成する。次いで、三塩化ホウ素を混合物に添加して、リチウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレートを形成する。
【0319】
テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレート金属塩
トルエン、2-ブロモ-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレンおよび塩化銅(I)を合わせる。次いでブチルリチウムを滴下添加し、混合物およびそれを撹拌する。次いで、三塩化ホウ素を混合物に添加して、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレートを金属塩として形成する。
混合した金属塩としてのテトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレート
ヘキサンおよびジブチルマグネシウムを合わせて、溶液を形成する。2-ブロモ-1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロナフタレンを添加し、混合物およびそれを撹拌して、ビス(ヘプタフルオロナフタレニル)マグネシウムを形成する。次いで、臭化銅(I)および三塩化ホウ素を混合物に添加して、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレニル)ボレートを混合金属塩として形成する。
【0320】
並行圧力反応容器内での重合
溶媒、重合等級トルエン、およびイソヘキサンはExxonMobi lChemical Companyから供給され、一連のカラムを通過させることで精製した:2個の直列のLabclear(Oakland、Calif.)製500cc Oxyclearシリンダー、これに続いて、乾燥3Åモレキュラーシーブ(8~12メッシュ;Aldrich Chemical Company)を充填した、2個の直列の500ccカラム、および乾燥5Åモレキュラーシーブ(8~12メッシュ;Aldrich Chemical Company)を充填した、2個の直列の500ccカラム。NaK上で終夜撹拌することで、1-オクテン(C8)および1-ヘキセン(C6)(98%、Aldrich Chemical Company)を乾燥させ、これに続いて塩基性アルミナ(Aldrich Chemica lCompany、Brockman Basic 1)を介して濾過した。
【0321】
重合等級エチレン(C2)を使用し、一連のカラムに気体を通すことによりさらに精製した:Labclear製(Oakland、CA)500cc Oxyclearシリンダー、これに続いて、乾燥3Åモレキュラーシーブ(8~12メッシュ;Aldrich Chemical Company)を充填した500ccカラム、および乾燥5Åモレキュラーシーブ(8~12メッシュ;Aldrich Chemical Company)を充填した500ccカラム。
重合等級プロピレン(C3)を使用し、一連のカラムを通過させることでさらに精製した:Labclear製2,250cc Oxiclearシリンダー、これに続いて3Åモレキュラーシーブ(8~12メッシュ;Aldrich Chemica lCompany)を充填した2,250ccカラム、次いで5Åモレキュラーシーブ(8~12メッシュ;Aldrich Chemical Company)を充填した2個の直列の500ccカラム、次いでSelexsorb CD(BASF)を充填した500ccカラム、最後にSelexsorb COS(BASF)を充填した500ccカラム。
【0322】
トルエンまたはメチルシクロヘキサンを使用して、金属錯体および活性化剤の溶液をドライボックス内で調製した。濃度は通常0.2mmol/Lであった。トリ-n-オクチルアルミニウム(TNOAL、純粋、AkzoNobel)を通常スカベンジャーとして使用した。トルエン中のTNOAL溶液の濃度は0.5~2.0mmol/Lの範囲であった。
重合は、並行圧力反応容器内で、それぞれが完全に参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,306,658号;第6,455,316号;第6,489,168号;WO2000/009255;およびMurphy, V. et al. (2003) “A Fully Integrated High-Throughput Screening Methodology for the Discovery of New Polyolefin Catalysts: Discovery of a New Class of High Temperature Single-Site Group (IV) Copolymerization Catalysts,” J. Am. Chem Soc., v.125, pp. 4306-4317に全般的に記載されているように行なった。実験は、不活性雰囲気(N2)のドライボックス内で、温度制御用外部ヒーター、ガラス挿入部(C2およびC2/C8に対する反応器の内部体積=23.5mL;C3実験に対する反応器の内部体積は22.5mL)、セプタム入口を備え、窒素、エチレンおよびプロピレンの供給が調節され、使い捨てPEEK機械撹拌装置(800RPM)を備えたオートクレーブを使用して行なった。オートクレーブは、110℃または115℃で5時間、次いで25℃で5時間、乾燥窒素でパージすることにより準備した。特定の量、温度、溶媒、反応物質、反応物質比、圧力、および他の変数は多くの場合、重合実験ごとに変化するが、以下は並行圧力反応容器で実施される典型的な重合について記載する。
以下の重合例では、他に特定されていない限り、溶液中に溶解した触媒系を使用した。
触媒。以下の重合例に使用されている触媒は、以下に示す構造CAT-1~CAT-9を有するメタロセンおよび非メタロセン触媒を含む。
【0323】
【化81】



エチレン-オクテン共重合(EO)。一連のエチレン-オクテン重合を並行圧力反応容器で実施した。これらの実験では、触媒をホウ酸アンモニウム活性化剤と共に使用した。典型的な実験では、自動化シリンジを使用して、以下の試薬を反応器に導入したが、利用する場合には、以下の順序で導入した:イソヘキサン(0.50mL)、1-オクテン(100μL)、追加のイソヘキサン(0.50mL)、ホウ酸アンモニウム活性化剤(0.005M、100μL)を含有するセルに注入されるTNOALスカベンジャーのイソヘキサン溶液、追加のイソヘキサン(0.50mL)、それぞれの重合触媒のトルエン溶液(50μL、0.4mM)、追加のイソヘキサン(0.50mL)、それぞれの活性化剤のトルエン溶液(55μL、0.4mM)、次いでそれぞれの実験に対する全溶媒体積が5mLとなるような量での追加のイソヘキサン。触媒およびホウ酸アンモニウム活性化剤を1:1.1比で使用した。各反応は、約100psigのエチレン(モノマー)気体を適用しながら、50~120℃の間の特定された温度範囲、通常100℃で実施した。各反応を作動させる時間は約20分間(約1,200秒)またはおよそ20psigのエチレン気体の取り込みが観察されるまでであり、この時点で、空気(約300psig)で反応をクエンチした。十分なポリマー収率が達成された場合(例えば、少なくとも約10mg)、ポリエチレン生成物を以下に記載されているRapid GPCで分析した。作動条件およびデータは以下の表に報告されている。
【0324】
エチレン単独重合(PE)。上に記載されているように並行圧力反応容器を準備し、エチレンでパージした。これらの重合では、触媒をいくつかの異なるホウ酸アンモニウム活性化剤と共に使用した。活性化剤はトルエン溶液中に調製した。次いで、イソヘキサンを各容器に室温で注入し、これに続いてエチレン気体を注入した。800rpmで撹拌しながら、反応器を設定温度に加熱し、スカベンジャー、活性化剤および触媒溶液を各容器に逐次的に注入した。重合を以前に記載したように進行させた。各反応は、約20分間(約1,200秒)またはおよそ20psigのエチレン気体の取り込みが観察されるまで作動させた。作動条件およびデータは以下の表に報告されている。
【0325】
プロピレン単独重合(PP)。並行圧力反応容器を、上に記載されているように準備し、プロピレンでパージした。これらの重合では、触媒をいくつかの異なるホウ酸アンモニウム活性化剤と共に使用した。活性化剤はトルエン溶液中に調製した。次いで、イソヘキサンを各容器に室温で注入し、これに続いて既定量のプロピレン気体を注入した。800rpmで撹拌しながら、反応器を設定温度に加熱し、スカベンジャー、活性化剤および触媒溶液を各容器に逐次的に注入した。重合を以前に記載したように進行させた。各反応は、約20分間(約1,200秒)またはおよそ4psigのプロピレン気体の取り込みが観察されるまで作動させた。作動条件およびデータは以下の表に報告されている。
【0326】
ポリマー特性評価。ポリマーを、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT、99%、Aldrich製)を含有する1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB、純度99+%、SIGMA-Aldrich製)に、振盪機オーブン内、165℃でおよそ3時間溶解することによりポリマー試料溶液を調製した。溶液中のポリマーの典型的濃度は0.1~0.9mg/mLの間であり、BHTの濃度は、TCB中1.25mgBHT/mLであった。
【0327】
GPCで様々な分子量関連値を決定するため、それぞれが完全に参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,491,816号;第6,491,823号;第6,475,391号;第6,461,515号;第6,436,292号;第6,406,632号;第6,175,409号;第6,454,947号;第6,260,407号;および第6,294,388号に一般的に記載されているように、自動化「Rapid GPC」システムを使用して、高温サイズ排除クロマトグラフィーを実施した。この装置は、それぞれがPLgel 10μm、Mix Bを含有する、一連の3個の30cm×7.5mm溶離液カラムを有する。GPCシステムは、580~3,390,000g/モルの範囲のポリスチレン標準物質を使用して較正した。システムは、溶離液流速2.0mL/分およびオーブン温度165℃で作動した。1,2,4-トリクロロベンゼンを溶離液として使用した。ポリマー試料を1,2,4-トリクロロベンゼンに濃度0.28mg/mLで溶解し、400uLのポリマー溶液をシステムに注入した。蒸発光散乱検出器を使用して、溶離液中のポリマー濃度をモニターした。提示された分子量は、別途示されていない限り、直鎖ポリスチレン標準物質に対するものであり、未補正である。
【0328】
示差走査熱量測定(DSC手順1)測定を、TA-Q100装置で実施して、ポリマーの融点(Tm)を決定した。試料を220℃で15分間プレアニールし、次いで終夜、室温まで冷却させておいた。次いで、試料を100℃/分の速度で220℃に加熱し、次いで50℃/分の速度で冷却した。加熱時間の間、融点を収集した。
ポリマーに組み込まれたエチレンの質量パーセントは、Bruker Equinox 55+ IRの反射モードで、高速FT-IR分光法により決定した。蒸着技術により薄膜フォーマットで試料を調製した。公知のエチレン含有範囲質量%を有する一連の試料を使用して、FT-IR法を較正した。エチレン-1-オクテンコポリマーに対して、約1,375cm-1におけるメチル変形バンドの測定を介して、コポリマー中のオクテン質量%を決定した。このバンドのピーク高さを約4,321cm-1での組合せおよび倍音帯により正規化した。これを路長差について補正する。
【0329】
CAT-1触媒およびC4活性化剤を用いた重合
一連の重合および共重合を、Symyx Technologies、Inc.が開発した並行圧力反応容器(PPR)内で実施した。これらの重合では、メタロセンrac-ジメチルシリル-ビス(インデニル)ハフニウムジメチル(CAT-1)を、いくつかの異なるホウ酸アンモニウム活性化剤と共に使用した。重合は100℃および100psiで実施した。データおよび作動条件は表4~6に示されている。
【0330】
【表4】
【0331】
図1は、表4の例に対して観察された触媒活性の差異を例示している。
【表5】
【0332】
【表6】

図2は、表6の例に対して観察された触媒活性の差異を例示している。
【0333】
CAT-2触媒およびC2およびC4活性化剤を用いた重合
別の一連の重合および共重合を実施した。これらの重合で使用した触媒はCAT-2であった。重合は100℃および100psiで実施した。データおよび作動条件は表7および8に示されている。
【0334】
【表7】
【0335】
重合実験1~8において、CAT-2およびDMAH-A1を使用した制御条件は、オクテン組込み(39.7±5.0質量%)パーセントが高く、反復全体を通して誤差の高い、高Mwのポリマー(846,000±67,000g/モル)を生成している。重合実験1~8の制御条件はまた、300.1±21.7kg/mmol*時間の活性を有するポリマーを生成している。重合実験9~24に見られるように、活性化剤C2-A1およびC4-A1を使用する触媒系は、より低い活性、164.7kg/(mmol*時間)および248.5kg/(mmol*時間)のポリマーをそれぞれ生成する。しかし、C2-A1系で生成されたポリマーは確かに様々である。ポリマー分子量は1,037,000±217,000g/モルで高いが、セル間の再現性が低いため、これが有意に異なるということはない。C4-A1で生成されたポリマーは、同様のMw、%オクテン組込みおよびTmを有し、対照系で生成されたものと一致する。
【0336】
【表8】
【0337】
表7および8に示されている通り、アニリニウムボレートを変化させても、セル間の再現性の誤差限界を考慮すると、触媒の活性に対する作用は最小である。高分子量ポリエチレンは、すべての系により、132.8~133.7℃の間の一貫した融点で生成された。C2-A1を含有する触媒系により生成されたポリマーは、DMAH-A1(1,764,000±129,000)より高い分子量(1,963,000±97,000g/モル)を有するポリマーを実際に生成した。
【0338】
CAT-1およびCAT-2触媒およびC3活性化剤を用いた重合
別の一連の共重合反応を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、CAT-1およびCAT-2を、DMAH-A1、DMAH-A2、C3-A1、およびC3-A2活性化剤と共に使用した。重合は100℃および100psiで実施した。データおよび作動条件は表9に示されている。
【0339】
【表9】


【0340】
表9の重合実験1~46では、4種の活性化剤を2種の触媒と共に試験した。一般的に、比較活性化剤の活性は、ここで見られるように、DMAH-A1がDMAH-A2より高い値で作動することを示す。しかし、実験的C3-A1は、C3-A2より低い速度で作動する。活性値は、CAT-2触媒に比べてCAT-1触媒が全体的に高かった。
分子量については、比較活性化剤による傾向とは反対の傾向がまた見られた。DMAH-A1活性化剤と比べて、DMAH-A2活性化剤でより高い分子量ポリマーが生成された。しかし、C3-A2活性化剤と比べて、C3-A1活性化剤でより高い分子量ポリマーが生成された。2種の触媒を比較すると、CAT-1は、より狭い分布でより低い分子量のポリマーを生成した。CAT-2は、大きな標準偏差でより高い分子量のポリマーを生成した。
【0341】
オクテン組込みは、活性化剤のアニリニウムまたはボレート構成成分により、または触媒により影響を受けなかった。平均組込み値は25.6~29.4質量%の範囲だった。
標準偏差が大きいためこれ以上結論付けができなかった。融点は、分子量およびコモノマー組込みにおける傾向と全般的に一致した。
CAT-1およびCAT-2触媒およびC1活性化剤を用いた重合
別の一連の共重合を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、CAT-1およびCAT-2をDMAH-A1、DMAH-A2、C1-A1、およびC1-A2活性化剤と共に使用した。重合は100℃および100psiで実施した。データおよび作動条件は表10に示されている。
【0342】
【表10】
【0343】
表10は、実験的C1活性化剤(重合実験9~16および25~32)に対する活性値は、比較DMAH実施例(重合実験1~8および17~24)の活性値と同様であったことを示している。ポリマー分子量は一般的傾向に従い、BF28ボレートを含有する活性化剤はわずかにより高い分子量のポリマーを生成した。コモノマーの組込みは活性化剤または触媒により影響を受けず、平均オクテン組込みは30質量%周辺でであった。CAT-2触媒系で生成されたポリマー間の溶融温度の標準偏差により、いかなる結論を出すこともできなかった。CAT-1で生成されたポリマーについては、溶融温度は分子量の傾向に従うものであった。
【0344】
CAT-3触媒およびC4活性化剤を用いた重合
別の一連のプロピレン単独重合反応を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、CAT-3およびOMC1を触媒として使用した。DMAH-A1、C4-A1、およびM2HTH-A1(ジ(水素添加タロウ)メチルアミン-BF20)を活性化剤として使用した。重合は100℃および160psiで実施した。データおよび作動条件は表11に示されている。
【0345】
【表11】
【0346】
CAT-4触媒およびC4-A2活性化剤を用いた重合
別の一連のプロピレン単独重合反応を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、CAT-4を触媒として使用した。DMAH-A2およびC4-A2を活性化剤として使用した。重合は100℃および160psiで実施した。データおよび作動条件は表12に示されている。
【0347】
【表12】
【0348】
アニリニウムボレートを変化させても、触媒の活性に対する作用は最小である。また、ボレートを変化させると、生成されたポリマーは分子量、PDIおよび融点の点からわずかな影響を受けた。触媒は低分子量ポリプロピレン(20K~30Kg/モル)を生成した。
CAT-5およびCAT-6触媒およびC2およびC4活性化剤を用いた重合
別の一連のエチレン-オクテン共重合反応を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、CAT-5およびCAT-6を触媒として使用した。重合は100℃および100psiで実施した。データおよび作動条件は表13に示されている。
【0349】
【表13】
【0350】
表13の重合実験1~16は、触媒CAT-5で得た結果を示している。完全な特性評価に対して十分なポリマーを提供したセルはわずかしかなかった。全般的に、分子量300,000~320,000g/モルのポリマーが生成された。オクテンは7.1~8.6質量%の範囲の質量パーセントで組み込まれた。融点は108.0~109.8℃の範囲であった。
表13の重合実験17~32は触媒CAT-6で得た結果を示している。この触媒は、C4活性化剤と共にうまく機能し、1,000,000~1,100,000g/モル周辺で高分子量ポリマーを生成した。ポリマーにおけるオクテン組込みは、CAT-4で生成されたものと同様であり、6.4~10.9質量%の範囲であった。融点は、より高い分子量により、109.5~115.3℃と相応して高かった。
【0351】
オキサジアゾールCAT-7触媒ならびにC2およびC4活性化剤を用いた重合
別の一連のプロピレン単独重合反応を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、活性化剤としてのC2およびC4と共に、オキサジアゾールCAT-7を触媒として使用した。重合は100℃および160psiで実施した。データおよび作動条件は表14に示されている。
【0352】
【表14】
【0353】
表14は、C2およびC4活性化剤と共にオキサジアゾールCAT-7触媒を使用したプロピレン単独重合で得た結果を示している。活性値は非常に低く、セル間の反復性は低かった。全体的には、対照活性化剤でさえも、触媒は低い活性の低分子量のオリゴマーを生成した。活性化剤を変えても、反応性を有意に改善することはなく、または生成物の分子量に影響を与えなかった。これらの結果は、2,000g/モル未満のMwのポリプロピレンポリマーが同様の条件下で生成されたことが示された、SymyxによりPCT/US2005/045766、WO2006/066126で報告された結果と一致した。
【0354】
CAT-8触媒およびC2およびC4活性化剤を用いた重合
別の一連のエチレン-オクテン共重合反応を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、CAT-8を触媒として使用した。重合は100℃および100psiで実施した。データおよび作動条件は表15で示されている。
【0355】
【表15】
【0356】
表15に詳述された実験は、マルチセル実験の全域で活性および反復性における全体的な低下を示した。これは、C4-A1を除いて、各活性化剤に対する活性値における標準偏差に大きく影響を与えた。対照DMAH-A1活性化剤を含有する触媒系に対する活性値は特に低かった。ポリマー分子量は、低分子量材料を生成したDMAH活性化剤に対するボレートの識別情報によって、全般的に影響を受けなかった。これらのポリマーに対する分子量は平均約67,000g/モルであった。しかし、ポリマー分子量は、対応するA1ボレート(約65,000g/モル)よりも、C4-A2およびC2-A2系(約72,000g/モル)に対してより高かった。オクテン組込みは、ボレートの識別情報により影響を受けず、すべての系がほぼ同じ範囲のパーセントのオクテン(約5.5~7.5%)を組み込んだ。驚くことに、DMAH-A1を使用して生成したポリマーは、A1活性化剤(平均117℃)を使用して生成した他のポリマーより非常に高いピーク融点(平均121.7℃)を有した。これは、分子量およびオクテン組込みの点では同様であることを考慮すると驚くべきことであった。
【0357】
CAT-9触媒およびC2およびC4活性化剤を用いた重合
別の一連のエチレン-オクテン共重合反応を並行圧力反応容器内で実施した。これらの重合では、CAT-9を触媒として使用した。活性化剤はメチルアルモキサン(MAO)、DMAH-A1、DMAH-A2、C4-A1、C4-A2、C2-A1、およびC2-A2であった。重合は100℃および100psiで実施した。データおよび作動条件は表16および17に示されている。
【0358】
【表16】
【0359】
表16では、対照活性化剤MAOおよびDMAH-A1およびDMAH-A2と同等の活性を有するが、A1/A2ボレート間の反応性にはわずかな差異がある、C4-A2活性化剤を使用して重合実験24~31を実施した。ボレートを含有する重合実験9~31の触媒/活性化剤系は、MAO系(重合実験1~8)よりもずっと小さな範囲の分子量のポリマーを生成した。ボレートを変化させても、生成したポリマーの分子量に対する作用は最小であった。しかし、オクテン組込みはA1活性化剤に対してより高く、これによりA1系よりもポリマーの融点は低下した。
【0360】
【表17】

【0361】
表17の重合実験19~47に示されている通り、C4-A1/A2、およびC2-A1/A2活性化剤は、対照MAOおよびDMAH-A1/A2活性化剤と同等またはより高い活性でうまく機能した。ホウ酸アンモニウム活性化剤系で生成されたポリマーは非常に狭い分子量分布を有した。表13の結果と同様に、MAOで生成されたポリマーは、分子量の非常に大きな範囲を有する。ポリマー分子量はA1とA2の間でのボレートの変化により影響を受けなかった。オクテン組込みはボレートにより影響を受け、A2活性化剤(15~18%)を使用した作製したポリマーに比べて、A1活性化剤はわずかに高いオクテン%(16~21%)を有するポリマーを生成した。相応して、オクテンパーセントの高いポリマーはピーク融点が低かった。C4-A2の2つのバッチは、生成された活性およびポリマーの点から同等であるように見えた。
【0362】
本明細書に記載されているすべての文書は、いかなる優先権書類および/または試験手順を含めて、本テキストと矛盾しない範囲内に限り、参照により本明細書に組み込まれている。前述の一般的記載および特定の実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示および記載されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正を加えることができる。したがって、本開示はこれらによって限定されることを意図するわけではない。同様に、「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」いう用語と同じ意味であると考えられる。同様に組成物、要素または要素の群に移行句「含む(comprising)」が先行する場合にはいつでも、組成物、要素、または複数の要素の列挙に先行する移行句「本質的に~からなる」、「からなる」、「からなる群から選択される」または「~である」を有する同じ組成物または要素の群もまた想定されること、および逆もまた同様であることを理解している。
【0363】
他に指摘されていない限り、本発明の明細書および付随する特許請求の範囲に使用されている成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表現するすべての数は、すべての事例において「約」という用語で修正されていることを理解されたい。したがって、特にそれとは反対の指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメーターは、本発明の実施形態で得ようとされた所望の特性に応じて異なり得る近似値である。少なくとも、および特許請求の範囲と均等の原則の適用を制限しようと試みることなく、各数値パラメーターは、報告された有効桁の数を考慮して、および普通の四捨五入技術を適用することにより、少なくとも解釈されるべきである。
【0364】
本明細書に開示されている本発明の実施形態を組み込んだ1つまたは複数の例示的実施形態が本明細書で提示されている。明確化のため、物理的実施のすべての特徴が本出願に記載または示されているわけではない。本発明の実施形態を組み込んだ物理的実施形態の開発において、開発者のゴール、例えば、実施によりおよびその都度異なる、システムに関連した、事業に関連した、政府に関連したおよびその他の制約とのコンプライアンスを達成するため、多くの実施に特異的な決定がなされなければならないことを理解されたい。開発者の努力は多大な時間を必要とするが、それにもかかわらず、このような努力は、当業者および本開示の利益を有する者にとっては所定の活動である。
図1
図2