(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】改善された固定構造及びガス排出構造を有するバッテリーパック、並びにそれを含む電子デバイス及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240805BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/375 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20240805BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240805BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240805BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20240805BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M50/249
H01M50/289
H01M50/342 201
H01M50/375
H01M50/242
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6567
(21)【出願番号】P 2022528279
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2021004903
(87)【国際公開番号】W WO2021221370
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0052832
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】テ-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン-フン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-イル・ユン
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016009930(DE,A1)
【文献】特表2018-527704(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03584877(EP,A1)
【文献】特開2014-135247(JP,A)
【文献】特表2022-500824(JP,A)
【文献】特表2022-515552(JP,A)
【文献】特開2016-072171(JP,A)
【文献】特開2018-006314(JP,A)
【文献】特開2014-107178(JP,A)
【文献】特開2014-160573(JP,A)
【文献】特開2019-133867(JP,A)
【文献】特開2016-100291(JP,A)
【文献】特開平07-215070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0028424(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110190212(CN,A)
【文献】中国実用新案第209561492(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/60-10/667
H01M 50/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両側に備えられた少なくとも一対の固定部を備える複数のバッテリーモジュールと、
前記複数のバッテリーモジュールが装着されたトレイと、
前記トレイの幅方向の両側部を覆い、前記固定部に形成された結合ホールと対応する位置に形成された第1締結ホールを備
える一対のサイドカバーと、
前記トレイの幅方向の中心部に位置し、前記トレイの長手方向に沿って前記トレイの上面を横切って延びた形態を有し、前記固定部に形成された結合ホールと対応する位置に形成された第2締結ホールを備えるモジュール固定バーと、
前記一対のサイドカバーと結合し、前記複数のバッテリーモジュールをカバーする上部カバーと
、
内部に冷媒が流れるように構成された冷却パイプと、
を含
み、
前記サイドカバーは、
前記冷却パイプが内部に収容されるように前記冷却パイプを囲むパイプ収容部をさらに含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記複数のバッテリーモジュールは各々、
内部で発生したガスを外部へ排出するための排出ポートを備えることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記トレイは、ガスを外部へ排出する排出口を備えることを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記サイドカバーは、
前記トレイの長手方向に沿って延び、前記トレイの幅方向の一側及び他側に各々位置する本体部と、
前記本体部の内壁面から内側方向へ延びた形態を有し、一部分が開口されて形成され、各々が前記排出ポートと連通する複数の入口及び前記第1締結ホールを備えるガス排出部と、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記ガス排出部は、前記トレイの排出口に近くなるほど断面積が広くなることを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記本体部は、外壁で囲まれた内部空間が形成されており、
前記内部空間には、一側内面から他側内面まで延びた補強リブが備えられたことを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記トレイは、前記冷却パイプから冷媒が漏れ出す場合、前記漏れ出した冷媒が流れ込む臨時保管部を備えることを特徴とする、請求項
1に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記トレイは、前記冷却パイプから冷媒が漏れ出す場合、前記漏れ出した冷媒が流れ込む臨時保管部を備え、
前記トレイは、
前記バッテリーモジュールと直接接触して、流出した前記冷媒が流れ込む隙間を提供するように、幅方向の端部が前記本体部と所定の距離で離隔して位置する載置プレートと、
前記隙間から流れ込んだ冷媒を収容する前記臨時保管部を形成するように前記載置プレートの下方に離隔して位置するベースプレートと、
を含む、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記サイドカバーは、
前記本体部の外側に備えられ、外部器機と結合可能に締結構造を備えるマウント部をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記バッテリーモジュールは、
所定の温度未満では前記排出ポートを密閉し、所定の温度以上では溶けて流失することで前記排出ポートを開放する栓を含むことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含むことを特徴とする、電子デバイス。
【請求項12】
請求項1から
10のいずれか一項に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含むことを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された固定構造及びガス排出構造を有するバッテリーパック、並びにそれを含む電子デバイス及び自動車に関し、より詳しくは、バッテリーモジュールとトレイとの優秀な結合力が確保可能な構造を有し、二次爆発または熱暴走現象の発生が防止可能な構造を有するバッテリーパック、並びにそのバッテリーパックを含む電子デバイス及び自動車に関する。
【0002】
本出願は、2020年4月29日出願の韓国特許出願第10-2020-0052832号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、繰り返し充放電の可能な高性能二次電池についての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材を各々正極活物質と負極活物質に用いる。また、リチウム二次電池は、正極活物質と負極活物質が各々塗布された正極板と負極板とがセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、このような電極組立体を電解液と共に封止収納する外装材、即ち、電池ケースを備える。
【0006】
なお、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に分けられる。
【0007】
特に、最近、電気自動車などに適用される大容量のバッテリーパックの需要が増加しつつある。このような大容量のバッテリーパックは、複数のバッテリーモジュールを備えていることから、複数のバッテリーモジュールのうち一部に火事や熱暴走が発生する場合、隣接する他のバッテリーモジュールへ火事や熱暴走が移される現象が起こる。そこで、バッテリーパックの安全性が問題になっている。
【0008】
さらに、自動車に搭載されるバッテリーパックは、自動車の衝突のような大きい衝撃に備える必要がある。これによって、バッテリーパックには、外部衝撃による内部構成の損傷や、二次電池の火事や爆発などの問題を解決する必要があった。特に、冷却部材に損傷が発生する場合、冷却部材の内部の冷媒が漏れ出してバッテリーモジュール同士の電気的短絡を起こす問題が発生することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、冷却水流路として機能するトレイの底面に応力が集中することを防止し、バッテリーパックの二次爆発または熱暴走現象が隣接するバッテリーモジュールへ伝播することを防止することで、使用上の安全性を向上させたバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明によるバッテリーパックは、長手方向の両側に備えられた少なくとも一対の固定部を備える複数のバッテリーモジュールと、複数のバッテリーモジュールが装着されるトレイと、トレイの幅方向の両側部を覆い、固定部に形成された結合ホールと対応する位置に形成される第1締結ホールを備える一対のサイドカバーと、トレイの幅方向の中心部に位置し、トレイの長手方向に沿ってトレイの上面を横切って延びた形態を有し、固定部に形成された結合ホールと対応する位置に形成される第2締結ホールを備えるモジュール固定バーと、を含む。
【0012】
複数のバッテリーモジュールは各々、内部で発生したガスを外部へ排出するための排出ポートを備え得る。
【0013】
トレイは、ガスを外部へ排出する排出口を備え得る。
【0014】
サイドカバーは、トレイの長手方向に沿って延び、トレイの幅方向の一側及び他側に各々位置した本体部と、本体部の内壁面から内側方向へ延びた形態を有し、一部分が開口されて形成され、各々が排出ポートと連通する複数の入口及び第1締結ホールを備えるガス排出部と、を含み得る。
【0015】
ガス排出部は、トレイの排出口に近くなるほど断面積が広くなり得る。
【0016】
本体部は、外壁で囲まれた内部空間が形成され、内部空間には、一側内面から他側内面まで延びた補強リブが備えられ得る。
【0017】
バッテリーパックは、内部に冷媒が流れるように構成された冷却パイプをさらに含み、サイドカバーは、冷却パイプが内部に収容されるように冷却パイプを囲むパイプ収容部をさらに含み得る。
【0018】
トレイは、冷却パイプから冷媒が漏れ出す場合、漏れ出した冷媒が流れ込む臨時保管部を備え得る。
【0019】
トレイは、バッテリーモジュールと直接接触して流出された冷媒が流れ込む隙間を提供するように、幅方向の端部が本体部と所定の距離で離隔して位置する載置プレートと、隙間から流れ込んだ冷媒を収容する臨時保管部を形成するように載置プレートの下方に離隔して位置するベースプレートと、を含み得る。
【0020】
サイドカバーは、本体部の外側に備えられ、外部器機と結合可能に締結構造を備えるマウント部をさらに含み得る。
【0021】
バッテリーモジュールは、所定の温度未満では排出ポートを密閉し、所定の温度以上では溶けて流失されることで排出ポートを開放する栓を含み得る。
なお、上記の課題を解決するための本発明による電子デバイス及び自動車は、ドカバーは、バッテリーパックを少なくとも一つ含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一面によれば、複数のバッテリーモジュールがトレイの底面に直接固定されず、ガスの排出のためにトレイの幅方向の両側部に各々備えられたガス排出部及びトレイの幅方向中心部を横切って設置されるサポート部によって固定されることで、冷却水の流路として機能するトレイ底面に応力が集中することを防止することができる。したがって、本発明の一面によれば、外部の衝撃によってバッテリーモジュールの固定部位が破損されても、冷却水の流失によるバッテリーパック冷却機能の低下を防止することができる。
【0023】
本発明の他面によれば、本発明は、トレイの長手方向に沿って延び、トレイの幅方向の一側及び他側に各々位置したガス排出部を備えることで、複数のバッテリーモジュールのうち少なくともいずれか一つで発生した高温のガスが、隣接するバッテリーモジュールを昇温させることなくガス排出部から外部へ排出可能な構造を有するため、バッテリーパックの安全性を高めることができる。
【0024】
さらに、本発明のさらに他面によれば、本発明のサイドカバーは、冷却パイプが内部に収容されるように外壁形態に形成されたパイプ収容部を備え、このようなサイドカバーは冷却パイプの周りを囲んで保護し、外部衝撃による冷却パイプの損傷を防止できる。
【0025】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例によるバッテリーパックを示した結合斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるバッテリーパックを示した分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例によるバッテリーパックに適用される複数の二次電池が積層されて形成されたセル積層体を示した斜視図である。
【
図4】
図1のバッテリーパックのC-C線に沿って切断した様子を示した部分断面図である。
【
図5】本発明の一実施例によるバッテリーパックのガス排出路の一部を概略的に示した断面図である。
【
図6】本発明の一実施例によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールを示した底面図である。
【
図7】
図6に示した排出ポートを示した底面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0028】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0029】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーパック300は、複数のバッテリーモジュール200と、トレイ320と、上部カバー310と、一対のサイドカバー330(330a、330b)とを含む。
【0030】
具体的には、バッテリーモジュール200は、複数の二次電池100を備え得る。二次電池100は、電極組立体(図示せず)、電解液(図示せず)及びこれらを内部に収容したパウチケース116を備えたパウチ型の二次電池100であり得る。例えば、
図3に示したように、F方向(
図1に示す)から見たとき、一つのバッテリーモジュール200の内部には21個のパウチ型の二次電池100がバッテリーパック300の長手方向(
図2のX軸に平行な方向)に沿って積層された状態でモジュールハウジング210内に収容され得る。
【0031】
また、
図3に示したように、正極リード112と負極リード111は、バッテリーパック300の幅方向(
図2のY軸に平行な方向)に沿って互いに反対方向へ引き出され得る。即ち、正極リード112は、二次電池100の中心を基準にして一端部に備えられ得る。また、負極リード111は、二次電池100の中心を基準にして他端部に備えられ得る。
【0032】
そして、二次電池100は、本体が水平面(
図2のX-Y平面)に対して垂直に直立するように備えられ得る。二次電池100は、本体がバッテリーパック300の幅方向(
図2のY軸に平行な方向)に沿って長く延びた形態であり得る。また、複数の二次電池100は、火事や熱暴走などの異常挙動の発生時、バッテリーパック300の幅方向に沿って一側方向及び/または他側方向へガスを排出するように構成され得る。例えば、二次電池100がパウチ型のバッテリーセルである場合、パウチケース116の長手方向の一側または他側の封止部の一部B1は、封止力が弱く形成され得る。または、パウチの長手方向の一側または他側の封止部の一部は、封止面積の幅が残りの部分よりも狭く形成され得る。
【0033】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明は、複数の二次電池100は、異常挙動の発生時、長手方向の一側方向または他側方向へガスを排出するように構成することで、バッテリーモジュール200の内部でガスの排出方向を意図する方向(下記の排出ポートに向かって)へ誘導可能な利点がある。これによって、バッテリーモジュール200の内部でガスが停滞することを減少させることができ、バッテリーモジュール200内部の二次電池100に二次爆発が発生するか、または火事の規模がさらに大きくなることを効果的に防止することができる。
【0034】
しかし、本発明によるバッテリーパック300には、前述したパウチ型のバッテリーセル100のみが適用されることではなく、本願発明の出願時点における公知の多様なタイプのバッテリーセルが採用され得る。
【0035】
バッテリーパック300は、複数の二次電池100を電気的に相互に接続するように構成された少なくとも一つ以上のバスバー(図示せず)を備え得る。具体的には、バスバーは伝導性金属を含み得、例えば、銅、アルミニウム、ニッケルなどを含み得る。
【0036】
さらに、バッテリーパック300は、複数のバッテリーモジュール200を互いに電気的に接続するワイヤ型のバスバー(図示せず)を備え得る。
【0037】
一方、複数のバッテリーモジュール200は各々排出ポート215を備え得る。排出ポート215には、バッテリーモジュール200の内部で発生したガスを外部へ排出するように開口が備えられ得る。排出ポート215は、バッテリーモジュール200の一側のみに形成することが望ましい。排出ポート215は、バッテリーモジュール200の長手方向(
図2のY軸と平行な方向)の両側端部のうちバッテリーパック300の外側方向のみに形成することが望ましい。これは、対向する一対のバッテリーモジュール200が、その間における高温のガス排出ラインに隣接することを防止するためである。
【0038】
即ち、本発明によるバッテリーパック300は、トレイ320の上にバッテリーパック300の幅方向(Y軸と平行な方向)に沿って一対のバッテリーモジュール200が互いに対向するように配置され、バッテリーパック300の長手方向(X軸と平行な方向)に沿って少なくとも二つ以上のバッテリーモジュール200が連続的に配置された形態を有する。このようなバッテリーパック300において、互いに対向するバッテリーモジュール200が高温のガスを互いに向けて排出する構造を有するようになると、バッテリーパック300内部の温度を上昇させる要因になるので、高温のガスを排出することにおいてバッテリーパック300の外側に向けて排出するようにバッテリーパック300の外側のみに排出ポート215を形成するのである。
【0039】
一方、排出ポート215は、サイドカバー330に向けて突出した管状であり得る。排出ポート215は、管状の端部がサイドカバー330の内部と連通するように入口E1と連結されるように構成され得る。
【0040】
また、トレイ320は、複数のバッテリーモジュール200が搭載されるように構成され得る。トレイ320は、水平方向(X-Y平面と平行な方向)へ延びた載置プレート323を備え得る。さらに、トレイ320は、載置プレート323の下部と結合するベースプレート324を備え得る。トレイ320は、上下方向(Z軸と平行な方向)へ直立したプレート形態の前方フレーム325及び後方フレーム326を備え得る。前方フレーム325は、載置プレート323の長手方向(X軸と平行な方向)の一側端部に結合し得る。後方フレーム326は、載置プレート323の長手方向(X軸と平行な方向)の他側端部に結合し得る。
【0041】
さらに、トレイ320には、ガスを外部へ排出する排出口E2が備えられ得る。例えば、
図2に示したように、排出口E2は、前方フレーム325の長手方向(Y軸と平行な方向)の両側端部に各々形成され得る。排出口E2は、バッテリーパック300の内部と外部が連通するように開口された形態であり得る。
【0042】
そして、上部カバー310は、トレイ320の上部に結合し得る。上部カバー310は、トレイ320に搭載された複数のバッテリーモジュール200を覆う大きさを有し得る。
【0043】
図2と共に
図4を参照すると、サイドカバー330は、一方向(X軸方向)へ長く延びた形態を有し得る。サイドカバー330は、その形態が押出成形によって形成され得る。サイドカバー330の長手方向(X軸と平行な方向)の一側端部は、前方フレーム325と結合し得る。サイドカバー330の長手方向の他側端部は、後方フレーム326と結合し得る。
【0044】
さらに、サイドカバー330は、トレイ320の載置プレート323の幅方向(Y軸と平行な方向)の一側端部及び他側端部に各々位置し得る。例えば、
図2及び
図4に示したように、二つのサイドカバー330は、載置プレート323の幅方向の一側端部及び他側端部に各々位置した本体部333を備え得る。これによって、本体部333は、バッテリーパック300の左側壁及び右側壁の役割を果たし得る。本体部333は、前後方向(X軸と平行な方向)へ延びた形態を有し得る。例えば、本体部333は、押出成形によって前後方向へ延びたプレート状であり得る。本体部333は、上下方向(Z軸と平行な方向)に沿って直立した形態を有し得る。本体部333は、内部が空いているプレート状であり得る。
【0045】
また、サイドカバー330は、一部が開口されて形成された入口E1を備え得る。例えば、入口E1は、後述するガス排出部335の一部が開口されて形成され得る。入口E1は、サイドカバー330の外部と内部が連通するように構成され得る。複数の入口E1は、各々が排出ポート215と連結され得る。即ち、入口E1は、排出ポート215の開口と対面し、ガス排出部335と排出ポート215とが互いに連通するように構成され得る。
【0046】
さらに、ガス排出部335は、入口E1から流れ込んだガスを排出口E2まで移送するように一方向へ延びた形態を有し得る。ガス排出部335は、本体部333の内側に形成され得る。即ち、ガス排出部335は、本体部333の内壁面から内側方向へ延びた形態を有し得る。ガス排出部335は、押出工法によって前後方向へ延びて内部が空いている管状であり得る。例えば、
図2に示したように、二つのサイドカバー330は各々ガス排出部335を備え、ガス排出部335は、前後方向へ延びた形態を有し得る。ガス排出部335の前端部、即ち、長手方向(X軸と平行な方向)の一側端部は、前方フレーム325に備えられた排出口E2と連結されるように構成され得る。
【0047】
そして、ガス排出部335は、後述するパイプ収容部339の上部に位置し得る。これによって、ガス排出部335は、バッテリーパック300の内部における上下方向(Z軸方向)の空間を活用でき、より多い容量のバッテリーモジュール200をトレイ320に搭載できる。即ち、バッテリーパック300のエネルギー密度を高めることができる。
【0048】
このように、本発明は、一方向へ長く延び、トレイ320の一側及び他側に各々位置した本体部333と、一部が開口されて形成され、各々が排出ポート215と連結された複数の入口E1と、入口E1から流れ込んだガスを排出口E2まで移送するように構成されたガス排出部335と、を備えた一対のサイドカバー330a、330bを備える。したがって、本発明によるバッテリーパック300は、複数のバッテリーモジュール200のうちいずれか一つの火事または熱暴走などの異常挙動によって発生した高温のガスが、隣接するバッテリーモジュール200を昇温させることなくガス排出部335から外部へ排出され、これによってバッテリーパック300の安全性を向上させることができる。
【0049】
即ち、本発明は、バッテリーモジュール200から発生した高温のガスを他のバッテリーモジュール200が位置する箇所の反対位置のサイドカバー330へ移送でき、高温ガスの影響を最小化することができる。これによって、一つのバッテリーモジュール200に火事や熱暴走が発生した場合、隣接する他のバッテリーモジュール200への連鎖的な熱暴走や火事を効果的に防止することができる。
【0050】
さらに、サイドカバー330は、トレイ320の幅方向の一側または他側に位置することで、前後方向と左右方向の衝撃から複数のバッテリーモジュール200を保護し得る。これによって、バッテリーパック300の安定性を高めることができる。
【0051】
図5は、本発明の一実施例によるバッテリーパックのガス排出部の一部を概略的に示した断面図である。
【0052】
図2及び
図4と共に
図5を参照すると、本発明に適用されるガス排出部335Aは、トレイ320の排出口E2から遠い位置から近くの位置に向かうほど内部管の断面積が広くなるように構成され得る。即ち、ガス排出部335Aは、トレイ320の排出口E2に遠い箇所に位置した内部管の内径D1が排出口E2に近い内径D2よりも小さい。
【0053】
これによって、ガス排出部335Aの内部圧力において、排出口E2から遠く位置する部分と比較して排出口E2に近く位置する部分の内圧が小さくなる。これによって、ガス排出部335Aへ流れ込んだガスが、比較的低い圧力が形成されるガス排出部335Aの排出口E2が位置する方向へ移動するように誘導できる。
【0054】
本発明のこのような構成によると、ガス排出が円滑に行われるようになり、バッテリーパック300の使用上の安全性を高めることができる。
【0055】
一方、
図2と共に
図4をさらに参照すると、サイドカバー330の本体部333には、外壁で囲まれた内部空間が形成され得る。内部空間には、一側内面から他側内面まで延びた補強リブR1が備えられ得る。例えば、
図4に示したように、サイドカバー330の本体部333の内部には、外壁で囲まれた内部空間が形成され得る。内部空間には少なくとも一つ以上の補強リブR1が一側内面から他側内面まで延びた形態を有し得る。
【0056】
補強リブR1は、本体部333の前端部から後端部まで長く延びた形態であり得る。補強リブR1は、サイドカバー330の本体部333のみならず、ガス排出部335、後述するマウント部337及びパイプ収容部339にも備えられ得る。即ち、ガス排出部335、マウント部337、及びパイプ収容部339は、サイドカバー330の構成要素であって、バッテリーパック300の外部衝撃の発生時、補強リブR1によって剛性をさらに確保することで、内部のバッテリーモジュール200及びその他の構成要素を保護できる。
【0057】
このように、本発明は、サイドカバー330の内部空間に補強リブR1を形成することで、サイドカバー330の機械的剛性を効果的に高めることができる。これによって、バッテリーパック300は、左右方向及び前後方向の外部衝撃から複数のバッテリーモジュール200及びその他の構成要素を安全に保護できる。
【0058】
図6は、本発明の一実施例によるバッテリーパックのバッテリーモジュールを概略的に示した底面図である。
【0059】
一方、
図2及び
図6をさらに参照すると、本発明にかかるバッテリーパック300のバッテリーモジュール200は、モジュールハウジング210を備え得る。モジュールハウジング210は、複数の二次電池100を内部に収容する内部空間を有し得る。モジュールハウジング210は、サイドカバー330と結合するように構成された固定部217を備え得る。固定部217は、モジュールハウジング210の長手方向の一側及び他側に各々備えられる。
【0060】
固定部217には、結合ホールH3が形成される。サイドカバー330には、結合ホールH3と対応する位置に締結ホールH1が形成される。具体的には、締結ホールH1は、サイドカバー330を構成するガス排出部335に形成される。即ち、ガス排出部335の上面にはガス排出部335の長手方向(X軸と平行な方向)に沿って複数の締結ホールH1及び入口E1が相互に離隔した状態で備えられる。
【0061】
相互に対向する一対のバッテリーモジュール200に各々備えられた一対の外側の固定部217は、締結ホールH1及び結合ホールH3に挿入される締結ボルト(図示せず)によってガス排出部335の上に結合し得る。一方、互いに対向する一対のバッテリーモジュール200に各々備えられた一対の内側の固定部217、即ち、互いに対向する一対の固定部217をトレイ320に固定するためには、トレイ320に別の構造物がさらに必要である。
【0062】
このために、トレイ320の幅方向(Y軸と平行な方向)中心部には、トレイ320の長手方向(X軸と平行な方向)に沿ってトレイ320の上面を横切って延びた形態を有し、ガス排出部355と同じ高さを有するモジュール固定バー328がさらに備えられる。モジュール固定バー328の上面には、モジュール固定バー328の幅方向(Y軸と平行な方向)に沿って一対の締結ホールH1が備えられ、このような締結ホールH1には互いに対向する一対のバッテリーモジュール200に各々備えられた一対の固定部217が締結される。
【0063】
このように、本発明において、バッテリーモジュール200とトレイ320との締結は、トレイ320の底面、即ち、載置プレート323とバッテリーモジュール200とが直接的に締結される方式ではなく、載置プレート323に設けられた別の構造物を用いてバッテリーモジュール200が間接的に締結される方式が適用される。これによって、バッテリーモジュール200とトレイ320との締結のためにトレイ320の底面に応力が集中する現象を防止でき、これによって、外部の衝撃によってトレイ320の底面に形成された冷却流路を流れる冷媒が流失して冷却性能に支障をもたらすことを防止することができる。即ち、本発明によるバッテリーパック300は、トレイ320の底面をなす載置プレート323に形成された冷媒インレット323b及び冷媒アウトレット323cを備え得、バッテリーモジュール200の底面がこのような冷媒インレット323b及び冷媒アウトレット323cと連結されて冷媒を受け、かつ排出できる。即ち、冷媒インレット323b及び冷媒アウトレット323cは、トレイ320の底面をなす載置プレート232に形成された冷媒流路(図示せず)と連通し、このような冷媒流路は後述する冷却パイプ350と連通する。
【0064】
一方、
図1及び
図2と
図4をさらに参照すると、バッテリーパック300は、内部に冷媒が流れるように構成された冷却パイプ350をさらに含み得る。冷媒として、例えば、水が用いられ得る。
【0065】
また、サイドカバー330は、冷却パイプ350を内部に収容するパイプ収容部339を含む。パイプ収容部339は、冷却パイプ350を囲むように形成された外壁形態を有し得る。例えば、
図4に示したように、パイプ収容部339は、外壁が本体部333の内側壁から内側方向へ延びた水平プレート339aと、水平プレート339aの端部から下方へ延びた垂直プレート339bと、を含み得る。水平プレート339aと垂直プレート339bは、個別的に備えられて溶接などによって接合されるか、または一体に形成され得る。
【0066】
このように、本発明は、サイドカバー330が冷却パイプ350を内部に収容するパイプ収容部339を備えることで、外部衝撃によって冷却パイプ350が損傷することを防止することができる。
【0067】
一方、
図4をさらに参照すると、トレイ320には、臨時保管部327が備えられ得る。具体的には、臨時保管部327は、冷却パイプ350から冷媒が漏れた場合、漏れ出した冷媒が流れ込むように構成され得る。例えば、
図4に示したように、臨時保管部327は、載置プレート323とベースプレート324との間の空間に形成され得る。
【0068】
そして、載置プレート323の長手方向の一側端部323aは、サイドカバー330の本体部333と離隔することで、漏れ出した冷却水が臨時保管部327へ流れ込む通路を提供する。即ち、冷却パイプ350から冷媒が漏れた場合、漏れ出した冷媒がこのような載置プレート323の端部323aとサイドカバー330との離隔による隙間を通して臨時保管部327の内部へ流れ込むことができる。
【0069】
このように、トレイ320は、冷却パイプ350から冷媒が漏れ出す場合、漏れ出した冷媒が流れ込むように構成された臨時保管部327を備えることで、漏れ出した冷媒がバッテリーモジュール200の内部へ流入することを防止して、冷媒によるバッテリーモジュール200の短絡発生を防止することができる。
【0070】
一方、
図2をさらに参照すると、サイドカバー330は、マウント部337をさらに備え得る。マウント部337は、外部器機と結合するように本体部333の外側に備えられ得る。マウント部337には、外部機器に結合するように締結構造が形成され得る。例えば、マウント部337は、自動車の車体と結合し得る。マウント部337には、ボルトの挿入のためのボルト締結口H2が形成され得る。
【0071】
このように本発明は、マウント部337をさらに含むことで、例えば、車体のような外部機器にバッテリーパック300を安定的に固定し得る。
【0072】
さらに、マウント部337は、外部衝撃から内部に位置した複数のバッテリーモジュール200を保護するように構成され得る。このために、マウント部337は、本体部333の外側方向へ突出した形態を有し得る。マウント部337は、内部が空いている形態を有し得る。即ち、マウント部337は、バッテリーパック300の左右方向の側部に衝撃が加えられる場合、これを吸収または防御するように外側へ突出した形態を有し得る。
【0073】
図4及び
図6と共に
図7を参照すると、本発明他の実施例によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュール200Bは、排出ポート215に栓360が備えられ得る。栓360は、所定の温度以下で排出ポート215の出口を密閉し得る。栓360は、所定の温度以上では溶けて流失されるように構成され得る。例えば、栓360は、融点が200℃以上である材質を含み得る。例えば、栓360は、パラフィン素材を含み得る。栓360は、例えば、200℃で溶けて流失されることで排出ポート215を開放し得る。
【0074】
このように、本発明のバッテリーモジュール200Bは、所定の温度以下で排出ポート215を密閉し、所定の温度以上では溶けて流失されることで排出ポート215を開放するように構成された栓360を備えることで、火事や熱暴走が発生したバッテリーモジュール200Bの高温のガスが栓360を溶かして流失されるようにし、これによって排出ポート215が開放されて高温のガスを外部へ排出することができる。所定の温度以上の内部温度を維持する正常の使用状態では排出ポート215を密閉し、外部物質(特に、伝導性物質)がバッテリーモジュール200Bへ流れ込むことを防止できる。
【0075】
さらに、本発明のバッテリーモジュール200Bは、栓360を適用して、火事や熱暴走が発生したバッテリーモジュール200Bから高温のガスが排出された場合、ガス排出部335へ移動するガスが隣接する他のバッテリーモジュール200Bの排出ポート215からバッテリーモジュール200Bの内部へ流れ込むことを防止できる。
【0076】
一方、本発明の一実施例によるバッテリーパック300は、バッテリーモジュール200の充放電を制御するための各種装置(図示せず)、例えば、BMS(Battery Management System)、電流センサー、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0077】
一方、本発明の一実施例による電子デバイス(図示せず)は、前述したバッテリーパック300を少なくとも一つ以上含む。電子デバイスは、バッテリーパック300を収納するための収納空間が備えられたデバイスハウジング(図示せず)及び使用者がバッテリーパック300の充電状態を確認できる表示部をさらに含み得る。
【0078】
また、本発明の一実施例によるバッテリーパック300は、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に含まれ得る。即ち、本発明の一実施例による自動車は、前述した本発明の一実施例によるバッテリーパック300を車体内部に搭載し得る。この際、サイドカバー330は、自動車の車体と結合するように構成され得る。
【0079】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0080】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
200 バッテリーモジュール
217 固定部
320 トレイ
328 モジュール固定バー
300バッテリーパック
330 サイドカバー
H1 締結ホール
H3 結合ホール