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特許7532528向上した透過性特性を有するインナーライナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】向上した透過性特性を有するインナーライナ
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20240805BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240805BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20240805BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20240805BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/04
C08K3/34
C08K7/00
B60C1/00 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022540782
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 US2019068919
(87)【国際公開番号】W WO2021137847
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】クリピン コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンス スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】リン ティンドン
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-218321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,B60C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張式物品のためのインナーライナであって、
ゴム成分と、
3未満の平均アスペクト比を有する板状鉱物の粒子と、を含み、少なくとも30%以上の前記板状鉱物の粒子が、2以上のアスペクト比を有し、
前記板状鉱物の前記粒子が、0.8μm以上~3μm以下の平均直径を有する、
インナーライナ。
【請求項2】
前記板状鉱物が、カオリンを含む、請求項1に記載のインナーライナ。
【請求項3】
前記板状鉱物の前記粒子が、0.9μm以上~2μm以下の平均直径を有する、
請求項1または2に記載のインナーライナ。
【請求項4】
少なくとも33%以上の前記板状鉱物の粒子が、2以上のアスペクト比を有する、
請求項1ないし3いずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項5】
前記板状鉱物の前記粒子が、0.4μm2を超える平均面積を有する、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項6】
前記板状鉱物の前記粒子が、0.45μm2を超える平均面積を有する、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項7】
前記ゴム成分が、100ゴム当たり(phr)100パーツの量で前記インナーライナ中に存在し、前記板状鉱物の前記粒子が、10~50phrの量で存在する、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項8】
前記インナーライナが、少なくとも1つの添加剤をさらに含み、前記少なくとも1つの添加剤が、カーボンブラックを含む、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの添加剤が、10phr~60phrの量で前記インナーライナ中に存在する、
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項10】
前記ゴム成分が、ブチルゴム、ニトリルゴム、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項11】
前記ブチルゴムが、50phr~100phrの量で前記ゴム組成物中に存在し、かつ/または前記ニトリルゴムが、0phr~50phrの量で前記ゴム成分中に存在する、
請求項10に記載のインナーライナ。
【請求項12】
前記インナーライナが、165以下のMOCON値を示す、
請求項1ないし11のいずれか一項に記載のインナーライナ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のインナーライナを含む、タイヤ。
【請求項14】
膨張式物品であって、
ゴム成分と、3未満の平均アスペクト比を有する板状鉱物の粒子と、を含み、少なくとも30%以上の前記板状鉱物の粒子が、2以上のアスペクト比を有する、インナーライナを含み、
前記板状鉱物の前記粒子が、0.8μm以上~3μm以下の平均直径を有する、
膨張式物品。
【請求項15】
前記板状鉱物が、カオリンを含む、
請求項14に記載の膨張式物品。
【請求項16】
前記板状鉱物の前記粒子が、0.9μm以上~2μm以下の平均直径を有する、
請求項14または15に記載の膨張式物品。
【請求項17】
前記少なくとも33%以上の前記板状鉱物の粒子が、2以上のアスペクト比を有する、
請求項14~16のいずれか一項に記載の膨張式物品。
【請求項18】
前記板状鉱物の前記粒子が、0.4μm2を超える平均面積を有する、
請求項14~17のいずれか一項に記載の膨張式物品。
【請求項19】
前記板状鉱物の前記粒子が、0.45μm2を超える平均面積を有する、
請求項14~18のいずれか一項に記載の膨張式物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な物品は、空気などのガスを圧力下で保持するように構成されている。これらの物品には、例えば、タイヤ、バスケットボール、フットボールなどの運動球、膨張式ボート、エアマットレスなどが含まれる。これらの物品は、典型的には、いくつかの弾性特性を有する高分子材料から作製される。例えば、タイヤは、典型的には、スチレンブタジエンポリマーなどのエラストマーゴム材料から作製される。
【0002】
膨張式物品を作製するために使用される多くのエラストマー材料は、いくつかの状況では、酸素などの気体に対してわずかに透過性を維持し得る。チェックしないままにすると、膨張した物品のガス透過性が物品の性能を損ない、物品が時間の経過とともに収縮を引き起こし得る。さらに、物品を通過する酸素は、エラストマーの酸化を引き起こし、エラストマーの特性に有害な影響を引き起こし得る。例えば、エラストマーは硬化して分解する傾向があり得る。
【0003】
上記を考慮して、タイヤなどのチューブレス膨張式物品は、典型的には、ガス透過性を低減させ、物品を通る酸素移動を阻害することを意図したインナーライナを含む。例えば、過去には、これらのインナーライナは、ブチルゴムを含有する組成物から作製されてきた。しかしながら、その未加工状態のブチルゴムは、依然としてある程度のガス透過性を保持する。したがって、透過性をさらに低減させるために、ブチルゴムを他の材料と組み合わせるための多くの試みが行われてきた。例えば、ブチルゴムのガス透過性を向上しようとする試みは、ゴム材料に充填剤を添加することを伴っていた。
【0004】
現在、インナーライナのガス透過性特性を向上するためには、高い、または非常に高いアスペクト比、および/または板状充填剤の高い負荷量を伴う充填剤粒子が必要であると考えられている。しかしながら、高いアスペクト比および/または高い負荷量を伴う充填剤を使用しても、一貫性のない結果が得られることが多いことが見出されている。したがって、現在の教示および理解に反して、大きなアスペクト比の板状充填剤および/または高い負荷量の板状充填剤は、ガス透過性を所望のレベルに向上することに失敗している。
【0005】
このように、現在、タイヤなどの膨張式物品のための向上したインナーライナの必要性が存在する。向上したインナーライナを備える膨張式物品を提供することは、さらなる利益となるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、概して、膨張式物品のためのインナーライナを対象とする。インナーライナは、ゴム成分と、3未満の平均アスペクト比を有する板状鉱物の粒子と、を含み、少なくとも約30%以上の板状鉱物の粒子が、2以上のアスペクト比を有する。
【0007】
一態様では、板状鉱物は、カオリンを含み、さらなる態様では、板状鉱物は、カオリンである。さらに、一態様では、板状鉱物の粒子は、約0.8μm以上~約3μm以下の平均直径を有する。追加的または代替的に、一態様では、板状鉱物の粒子は、約0.9μm以上~約2μm以下の平均直径を有する。さらなる態様では、少なくとも約33 %以上の板状鉱物の粒子は、2以上のアスペクト比を有し、一態様では、板状鉱物の粒子は、約0.4μm2を超える平均面積を有する。さらに、追加の態様では、板状鉱物の粒子は、約0.45μm2を超える平均面積を有する。
【0008】
それにもかかわらず、一態様では、ゴム成分は、100ゴム当たり(phr)100パーツの量でインナーライナ中に存在し、板状鉱物の粒子が、約10~約50phrの量で存在する。さらなる態様では、インナーライナは、少なくとも1つの添加剤をさらに含み、好ましくは、少なくとも1つの添加剤は、カーボンブラックを含む。追加的または代替的に、少なくとも1つの添加剤は、約10phr~約60phrの量でインナーライナ中に存在する。さらなる態様では、ゴム成分は、ブチルゴム、ニトリルゴム、またはそれらの組み合わせを含む。さらに、一態様では、ブチルゴムは、約50phr~約100phrの量でゴム組成物中に存在し、かつ/またはニトリルゴムは、約0phr~約50phrの量でゴム成分中に存在する。
【0009】
一態様では、本開示によるインナーライナは、約165以下のMOCON値を示す。
【0010】
さらに、一態様では、本開示はまた、概して、本開示によるインナーライナを含む、タイヤを対象とする。
【0011】
本開示はまた、概して、インナーライナを含む、膨張式物品を対象とする。インナーライナは、ゴム成分と、3未満の平均アスペクト比を有する板状鉱物の粒子と、を有し、少なくとも約30%以上の板状鉱物の粒子が、2以上のアスペクト比を有する。
【0012】
一態様では、膨張式物品は、板状鉱物の粒子を有し、板状鉱物は、カオリンを含むか、または一態様では、カオリンである。さらに、一態様では、板状鉱物の粒子は、約0.8μm以上~約3μm以下の平均直径を有する。追加的または代替的に、一態様では、板状鉱物の粒子は、約0.9μm以上~約2μm以下の平均直径を有する。さらに、一態様では、少なくとも約33%以上の板状鉱物の粒子は、2以上のアスペクト比を有する。さらなる態様では、板状鉱物の粒子は、約0.4μm2を超える平均面積を有する。しかしながら、一態様では、板状鉱物の粒子は、約0.45μm2を超える平均面積を有する。
【0013】
本発明の他の特徴および態様は、以下でより詳細に考察される。
当業者へのその最良な様式を含む、本発明の完全かつ可能な開示は、添付の図への参照を含む、本明細書の残りの部分においてより詳細に示される:
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示によるインナーライナの図である。
図2】本開示による方法を示す図である。
図3】インナーライナのSEM図である。
図4】本開示により作製されたインナーライナを組み込んだタイヤの一態様の断面図である。
【0015】
定義
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、または「概して」という用語は、値を修正するために使用される場合、値は10%上昇または低下することができ、開示される実施形態内に留まり、一態様では、5%、例えば、約2.5%、または例えば、1%上昇または低下することができ、開示される実施形態内に留まることを示す。
【0016】
「phr」という用語は、100パーセントのゴム当たりのパーツを意味する。したがって、一態様では、本明細書に記載のインナーライナの成分は、本明細書でより詳細に記載されるすべてのゴム成分の合計に対して測定される。所定の方法で存在する場合、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の異なるゴム成分であるかにかかわらず、すべてのゴム成分の合計phrまたはパーツは常に100phrとして定義される。他のすべての非ゴム成分は、ゴムの100パーツに対して比率され、phrで表される。
【0017】
組成物に関して特定の成分を「実質的に含まない」とは、特定の成分が、組成物中の成分の約1重量%以下もしくは約1phr以下、例えば、約0.5%以下もしくは約0.5phr%以下、または約0.25重量%以下もしくは約0.25phr以下、または組成物中の成分の約0.1%以下もしくは約0.1phr以下の量で組成物中に含まれることを意味すると定義される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本考察は例示的な実施形態の考察に過ぎず、本発明のより広範な態様を限定するものではないことが当業者に理解されるべきである。
【0019】
概して、本開示は、向上した透過性特性を示す、加圧ガスを保持することを目的とした膨張式エラストマー物品のためのインナーライナを対象とする。例えば、本開示は、板状鉱物を含むインナーライナが、インナーライナ中の板状鉱物の粒子の平均アスペクト比が3未満である場合であっても、インナーライナ中の板状鉱物の粒子の高い割合が約2以上のアスペクト比を有する場合に、向上した透過性特性(例えば、ガスに対するより低い透過性)を示すことを見出した。特に、本開示は、以前の考えに反して、3以上の高いアスペクト比を有する板状鉱物を含むインナーライナは、バリア特性を向上するために必要ではないことを見出した。さらに、一態様では、本開示は、約2以上のアスペクト比を有する高い比率の粒子、および約0.8μm以上などの大きな平均直径の両方を有し、特に、3以上のアスペクト比を有し、アスペクト比分布および/または平均直径が論じられていない板状鉱物の粒子から形成された試料と比較して、透過性特性のさらなる向上を示し得る、板状鉱物の粒子を見出した。特に、本開示は、残存する板状鉱物の粒子の大部分が約2以上のアスペクト比を有すると同時に、3未満の平均アスペクト比、インナーライナの優れた透過性特性、特に高いアスペクト比粒子のみから形成されたインナーライナを超える向上性をさらに有するような、インナーライナ形成プロセスに耐える板状鉱物の能力を見出した。さらに、膨張式物品に組み込まれると、インナーライナは、物品からガスが漏出することを阻害することにより、物品の性能を向上させるだけでなく、例えば、酸素移動による酸化から物品を保護する役割も果たす。
【0020】
したがって、一態様では、板状鉱物の粒子は、インナーライナ処理中に球状または結節状粒子への圧縮型分解によって粒子の大部分を生成する代わりに、さらなる板状粒子への高度の剪断を示す鉱物から形成され得る。もちろん、本開示による板状鉱物は、処理時に依然としていくつかの球状または結節状粒子を形成し得るが、一般に高い割合の板状粒子を形成し得ることを理解されたい。例えば、一態様では、インナーライナ中の板状鉱物の粒子(例えば、インナーライナを形成するための処理後)は、3未満の平均アスペクト比を有し得、約20%以上の粒子が、2を超えるアスペクト比を有し、例えば、約25%以上、例えば、約30%以上、例えば、約35%以上、例えば、約40%以上、例えば、約45%以上、例えば、約50%以上、例えば、約55%以上、例えば、約60%以上、例えば、約65%以上、例えば、約70%以上、例えば、約75%以上、例えば、約80%以上、例えば、約85%以上、例えば、約90%以上、例えば、約95%以上、例えば、最大約100%の粒子が、2を超えるアスペクト比を有する。
【0021】
追加的にまたは代替的に、一態様では、板状鉱物の粒子は、約1.25以上、例えば、約1.5以上、例えば、約1.75以上、例えば、約2以上、例えば、約2.25以上、例えば、約2.5以上、例えば、約2.75以上、または例えば、3未満、例えば、約2.95以下、例えば、約2.9以下、例えば、約2.85以下、例えば、約2.8以下、例えば、約2.7以下、例えば、約2.6以下、例えば、2.5以下、約2.4以下、約2.3以下、約2.2以下、約2.1以下、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値などのインナーライナ中の平均アスペクト比(例えば、インナーライナを形成するための処理後)を有する
【0022】
例えば、図1Aを参照すると、上で考察されたように、バリア100層の透過性を低減する1つの方法は、空気分子がライナーを通って流れるために拡散しなければならない経路長104を増加させる板状材料102でそれを充填することである。したがって、上で考察されたように、一態様では、本開示は、処理後に約2以上のアスペクト比を有する板状鉱物の粒子の高い比率を有し、インナーライナの透過性の優れた低減を示し、3以上の非常に高いアスペクト比を有する粒子を必要としない、板状鉱物を見出した。
【0023】
さらに、概して図2を参照すると、本開示は、インナーライナに組み込まれた板状粒子のアスペクト比を特定する方法も含む。一態様では、本開示によるインナーライナまたはインナーライナを含む膨張式物品のいずれかは、空気の流れに平行な方向に切断される。言い換えれば、膨張式物品またはインナーライナの内面に垂直に切断される。膨張式物品/インナーライナの内面に最も近い試料の部分は、試料の「下部」と呼ばれ、膨張式物品/インナーライナの外面に最も近い試料の部分は、「上部」と呼ばれる。これらの「下部」および「上部」ラベルは、試料および画像を方向付けるために使用され、これは、本開示による板状鉱物の粒子がインナーライナの処理中に整列するので重要である。
【0024】
次に、試料は、走査型電子顕微鏡、例えば、STEM、JEOL JSM-7100Fを使用して、10kVの加速電圧および2000倍の倍率を使用して、画像化した。画像は、画像の下部が試料の下部と一致するように方向付けされる。したがって、空気は画像の下部から上部に流れ、板状鉱物の粒子は画像の下部に平行に整列する。
【0025】
画像は、ImageJ (Rasband,W.S.,ImageJ,U.S.National Institutes of Health,Bethesda,Maryland,USA,https://imagej.nih.gov/ij/,1997-2018)を使用して、以下の手順で分析される:
1.
グローバルスケールは、SEM画像における「スケールの設定(Set Scale)」コマンドおよびスケールバーを使用して設定した。
2.
オリジナルの画像ファイルは、凡例を削除するためにトリミングした。次いで、「スムーズ(Smooth)」コマンドを使用して平滑化し、参照文字202によって示されるような画像が得られた。
3.
画像は、参照文字204によって一般的に示されるように、ImageJ「閾値(Threshold)」コマンドを使用して、グレースケール画像から二元画像に変換され、Xと255との間の画素値を0に、他のすべてを1に変換する。Xは、粒子の総面積%が、混合物中のカオリンの体積パーセンテージ、例えば、10%に等しいように選択した。
4.
「測定値を設定する…(Set Measurements…)」コマンドは、測定値を「面積(Area)」および「外接矩形(Bounding Rectangle)」(例えば、画像208に示されるような外接矩形210)に設定するために使用され、後者は、「幅(Width)」および「高さ(Height)」からなる。
5.
「粒子の分析(Analyze Particles)」コマンドは、面積0.1μm-無限大のすべての粒子の測定値を自動的に集計するために使用した。プログラムは、206に示される粒子の輪郭を生成する。以下の測定値が抽出した:
a.「幅」/「高さ」として定義される、「アスペクト比」(または「AR」)
b.2を超えるアスペクト比を有するすべての粒子のパーセントとして定義される、「AR>2%」
c.「直径」は、2を超えるアスペクト比、2*平方根(「面積」/π)を有するすべての粒子の平均幾何学的直径である。
【0026】
したがって、本開示の一態様では、アスペクト比測定値は、上記プロセス、特に外接矩形に基づいて決定され、粒子のレーザ径測定に依存しない。さらに、図1Aに示されるように、一態様では、粒子の少なくとも一部は、空気の流れに垂直であるか、またはインナーライナ100の内面106に平行である最長の寸法を有する。したがって、かかる態様では、外接矩形は、空気の流れに垂直であるか、またはインナーライナの内面106に平行である幅を有し得る。さらなる態様では、アスペクト比(AR)を測定するために使用される少なくとも約50%の外接矩形は、空気の流れに垂直であるか、またはインナーライナの内面106に平行である幅を有し、例えば、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約70%、例えば、少なくとも約80%、例えば、少なくとも約90%の外接矩形は、空気の流れに垂直であるか、またはインナーライナの内面106に平行である幅を有し、一態様では、実質的にすべての外接矩形は、空気の流れに垂直であるか、またはインナーライナの内面106に平行である幅を有し、したがって、板状鉱物の粒子はまた、外接矩形に関して考察されたパーセンテージに従って、最長寸法が空気の流れに垂直であるような配向を有し得る。
【0027】
さらに、本開示による鉱物の粒子は、約0.8μm以上、例えば、約0.82μm以上、例えば、約0.85μm以上、例えば、約0.87μm以上、例えば、約0.9μm以上、例えば、約0.92μm以上、例えば、約0.95μm、約0.97μm以上、例えば、約1μm以上、例えば、約1.2μm以上、例えば、約1.5μm以上、例えば、約1.8μm以上、例えば、約2μm以上、または例えば、約3μm以下、例えば、約2.8μm以下、例えば、約2.5μm以下、例えば、約2.2μm以下、例えば、約2μm以下、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のインナーライナ(例えば、インナーライナ形成後)における平均粒子直径(例えば、上記の外接矩形法による幅)を有し得る。
【0028】
追加的または代替的に、本開示による板状鉱物の粒子は、約0.4μm2以上、例えば、約0.42μm2以上、例えば、約0.45μm2以上、例えば、約0.47μm2以上、例えば、約0.5μm2以上、例えば、約0.55μm2以上、例えば、約0.6μm2以上、または約1μm2未満、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値のインナーライナ(例えば、混合後)中の平均粒子面積を有し得る。
【0029】
選択されるアスペクト比またはサイズに関係なく、一態様では、板状鉱物は、天然鉱物または合成鉱物であり得る。一態様では、板状鉱物は、フィロシリケートなどのシリケートを含み得る。かかる材料には、例えば、スメクタイト粘土鉱物および他の様々な粘土材料が含まれる。特定の例には、カオリン、ナトリウムモンモリロナイトなどのモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、ラポナイト、サウコナイト、ソボカイト(sobockite)、ステベンサイト、スビンフォルダイト(svinfordite)、バーミキュライト、ベントナイトなどが含まれる。使用され得る他の材料としては、イライトおよび混合層状イライト/スメクタイト鉱物などの雲母鉱物、例えば、レディカイト(ledikite)およびイライトおよび上述の粘土鉱物の混合物などが含まれる。
【0030】
本発明における使用に好適であり得る他の粒子には、アルソニウム、スチボニウム、セレノニウム、およびスチボニウム化合物が含まれる。
【0031】
一態様では、有機修飾充填剤が使用され得る。例えば、有機修飾フィロシリケートは、本発明の組成物に組み込むことができる。特定の一実施形態では、充填剤が会合している有機構造は、界面活性剤である。界面活性剤は、例えば、以下の式で表すことができ、
-M+123
式中、Mは、窒素、硫黄、リン、またはピリジニウムを示し、R1、R2、およびR3は独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアリル基を示し、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0032】
本開示の1つの特定の態様では、例えば、有機修飾モンモリロナイト系粘土が使用され得る。モンモリロナイト粘土は、例えば、ジメチル-二水素化獣脂-四級アンモニウム塩で有機的に修飾することができる。上述のような有機修飾モンモリロナイト系粘土は、CLOISITE 6A、10A、20A、15A、25A、および30Bの商品名でSouthern Clay Productsから市販されている。例えば、CLOISITE 6Aは、約50~約300nmの粒子サイズを有し、140meq/100gのジメチル二水素化獣脂四級アンモニウム塩の粘土を含有する。ジメチル-二水素化獣脂-四級アンモニウム塩に加えて、他の実施形態では、粘土はまた、オクタデシルアミンまたはメチル-獣脂-ビス-2-ヒドロキシエチル四級アンモニウム塩で有機的に修飾され得る。粒子を修飾するために使用することができるさらに他の界面活性剤には、ジメチルジタロウアンモニウム、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、ジメチルベンジル水素化獣脂四級アンモニウム、ジメチル二水素化獣脂四級アンモニウム、ジメチル水素化獣脂2-エチルヘキシル四級アンモニウム、メチル二水素化獣脂アンモニウムなどが含まれる。
【0033】
モンモリロナイト系粘土に加えて、板状鉱物は、合成雲母、ベントロナイト系粘土、またはシラン修飾粘土を含み得る。合成マイカは、SOMASIFという商品名でCo-Op Chemical Co.,Ltd.から市販されている。ベントナイト系粘土は、BENTONEという商品名でElemntis Specialties/Rheox, Inc.から市販されている。シランカップリング剤でエッジ処理された透過性低減粒子は、NANOMER I.30PSという商品名でNanocor,Inc.、Arlington Heights,Illinoisから市販されている。
【0034】
しかしながら、上記の板状鉱物のいずれかを使用することができるが、一態様では、板状鉱物は、カオリンまたは雲母である。さらに、一態様では、板状鉱物は、カオリンである。
【0035】
上で考察されたアスペクト比およびサイズ範囲に加えて、本開示は、本開示による板状鉱物を使用する場合、優れた透過性特性を示すインナーライナを有するために板状鉱物の高負荷が必要とされないことを見出した。例えば、一態様では、板状鉱物は、約10phr以上、例えば、約15phr以上、例えば、約20phr以上、例えば、約25phr以上、例えば、約30phr以上、例えば、約50phr以下、約45phr以下、約40phr以下、約35phr以下、または約10phr~約40phr、例えば、約15phr~約35phr、例えば、約20phr~約30phr、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の量でインナーライナ中に含まれ得る。
【0036】
それにもかかわらず、使用される板状鉱物に関係なく、本発明のインナーライナを形成するために使用される組成物は、概してエラストマーを含む。
エラストマーは、所望の透過性特性を有する任意の好適なゴム様材料を含み得る。一実施形態では、例えば、エラストマーは、ビニル系ポリマーを含み得る。例えば、一実施形態において、エラストマーは、以下の一般式で表されるビニル系ポリマーであり得、
- [CH2-C(R1)(R2)]n
式中、R1およびR2は独立して、水素、アルキル基、アリール基、またはアリル基であり、R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
上記のポリマーを形成するために使用されるモノマーには、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレン、およびアルファ-メチルスチレンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0038】
特定の実施形態では、エラストマーは、極性官能基を有し得る。例えば、一実施形態では、エラストマーは、ハロゲン化され得、臭素、塩素またはフッ素などのハロゲン官能基を含有し得る。
【0039】
いくつかの用途では、エラストマーは、ジエンゴムを含む。「ジエン」エラストマーまたはゴムは、既知の方法では、ジエンモノマー(共役であるか否かにかかわらず、2つの二重炭素-炭素結合を有するモノマー)から少なくとも部分的に(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)生じるエラストマーを意味すると理解される。
【0040】
概して、「本質的に不飽和」のジエンエラストマーは、本明細書では、少なくとも部分的に共役ジエンモノマーから生じ、15%(mol%)を超えるジエン起源の部材または単位(共役ジエン)の含有量を有するジエンエラストマーを意味すると理解される。
【0041】
したがって、例えば、ジエンエラストマー、例えば、ブチルゴム、またはジエンおよびEPDMタイプのアルファ-オレフィンのコポリマーは、前述の定義には該当せず、特に「本質的に飽和」のジエンエラストマー(ジエン起源の単位の含有量が常に15%未満である、低または非常に低い)として記載され得る。
【0042】
「本質的に不飽和」のジエンエラストマーのカテゴリー内で、「高度に不飽和」ジエンエラストマーは、特に、50%を超えるジエン起源の単位(共役ジエン)の含有量のを有するジエンエラストマーを意味すると理解される。
【0043】
以下の定義は、より詳細には、本発明による組成物中で使用可能なジエンエラストマーを意味すると理解される:
(a)4~12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合により得られる任意のホモポリマー;
(b)一緒にまたは8~20個の炭素原子を有する1つ以上のビニル芳香族化合物と共役した1つ以上のジエンの共重合によって得られる任意のコポリマー;
(c)3~6個の炭素原子を有するα-オレフィンと、6~12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマー、例えば、エチレンから、前述のタイプの非共役ジエンモノマーを有するプロピレン、特に、1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、またはジシクロペンタジエンなどから得られるエラストマーとの共重合によって得られる三元コポリマー;
(d)イソブテンおよびイソプレン(ブチルゴム)のコポリマー、ならびに特にこのタイプのコポリマーのハロゲン化または臭素化バージョン。
【0044】
好適な共役ジエンは、特に、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジ(C1-C5アルキル)-1,3-ブタジエン、例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン、アリール-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、および2,4-ヘキサジエンである。好適なビニル芳香族化合物は、例えば、スチレン、オルト、メタ、およびパラメチルスチレン、商用混合物「ビニルトルエン」、パラ-tert-ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、およびビニルナフタレンである。
【0045】
コポリマーは、99重量%~20重量%のジエン単位、および1重量%~80重量%のビニル芳香族単位を含み得る。エラストマーは、使用される重合条件、特に修飾剤および/またはランダム化剤の存在または非存在、ならびに使用される修飾剤および/またはランダム化剤の量の関数である任意の微細構造を有し得る。エラストマーは、例えば、ブロック、統計的、連続的、またはマイクロ連続的エラストマーであり得、分散液または溶液中で調製され得、それらは、共役および/もしくはスター化(starred)、または代替的に、カップリング剤および/もしくはスター化剤もしくは官能化剤で官能化され得る。
【0046】
ポリブタジエン(PB)が、好適であり、詳細には、4%~80%の1,2-単位含有量を有するもの、または80%を超えるシス-1,4含有量を有するもの、ポリイソプレン、ブタジエン-スチレンコポリマー、特に、5~50重量%のスチレン含有量を有するもの、より詳細には、20%~40%、4%~65%のブタジエン部分の1,2-結合の含有量、20%~80%のトランス-1,4結合の含有量、ブタジエン-イソプレンコポリマー、詳細には、5重量%~90重量%のイソプレン含有量、および-40℃~-80℃のガラス転移温度(ASTM D3418-82に従って測定された「Tg」)を有するもの、イソプレン-スチレンコポリマー、詳細には、5重量%~50重量%のスチレン含有量、および-25℃~-50℃のTgを有するものである。
【0047】
ブタジエン-スチレン-イソプレンコポリマーの場合、好適なものは、詳細には、5重量%~50重量%、より詳細には、10重量%~40重量%のスチレン含有量、15重量%~60重量%、より詳細には、20重量%~50重量%のイソプレン含有量、5重量%~50重量%、より詳細には、20重量%~40重量%のブタジエン含有量、4%~85%のブタジエン部分の1,2-単位含有量、6%~80%のブタジエン部分のトランス-1,4単位含有量、5%~70%のイソプレン部分の1,2-および3,4-単位の含有量、10%~50%のイソプレン部分のトランス-1,4単位の含有量、より詳細には、-20℃~-70℃のTgを有するブタジエン-スチレン-イソプレンコポリマーを有するものである。
【0048】
さらなる態様では、エラストマーは、ニトリル-ブタジエンゴムなどのニトリルゴムを含み得る。ニトリル-ブタジエンゴムは、少なくとも1つのブタジエンモノマーおよびニトリルモノマー、すなわち、ニトリル機能を有するモノマーに基づくコポリマーとして定義される。一態様では、ニトリル-ブタジエンゴム中のブタジエン含有量は、コポリマーの約40重量%~約90重量%、例えば、約45重量%~約85重量%、例えば、約50重量%~約80重量%である。好適なブタジエンモノマーは、特に、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、またはこれらのジエンの混合物である。これらの共役ジエンのうち、好ましくは、1,3-ブタジエンまたは2-メチル-1,3-ブタジエン、より好ましくは、1,3-ブタジエンが使用される。ニトリルモノマーは、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチルアクリロニトリル、クロトノニトリル、2-ペンテノニトリルまたはそれらの混合物であり、その中でアクリロニトリルが好ましい。
【0049】
要約すると、ジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、およびこれらのエラストマーの混合物を含む、非常に不飽和なジエンエラストマーの群から選択され得る。
【0050】
かかるコポリマーは、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBR)、ブタジエン-イソプレンコポリマー(BIR)、イソプレン-スチレンコポリマー(SIR)、およびイソプレン-ブタジエン-スチレンコポリマー(SBIR)を含む群から選択される。
【0051】
1つの特定の実施形態では、エラストマーは、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含む。SBRは、約11~約63重量%のビニル含有量を有し得る。SBRエラストマーのガラス転移温度は、約-20℃~約-70℃の範囲であり得る。
【0052】
別の特定の実施形態では、エラストマーは、ブチルゴムを含む。ブチルゴムは、ブチレンポリマーまたはコポリマーであり得る。例えば、ブチレンは、イソブチレンおよびイソプレン(IIR)のコポリマーであり得る。ブチルゴムはまた、上述のようにハロゲン化され得る。例えば、ブチルゴムは臭素化または塩素化され得るが、一態様では、ブチルゴムはハロゲン化されていないか、または実質的にハロゲン化合物を含まないことが理解されるべきである。ハロゲン化ブチルゴムの例としては、使用される場合、臭素化ポリイソブチレンイソプレンコポリマー(BIIR)または臭素化イソブチレンメチルスチレンコポリマー(BIMS)が含まれる。本発明に従って使用され得る市販のBIMSエラストマーの1つは、Exxon Corporationから入手可能なEXXPROである。他の市販のブチルゴムは、Bayer Chemical Corporationから入手可能である。
【0053】
様々なエラストマーが詳細に考察されてきたが、一態様では、エラストマーの少なくとも一部分は、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムなどのブチル系ゴムを含む。したがって、一態様では、100phrのゴムは、約50phr~約100phrのブチル系ゴム、例えば、約55prh~約95prh、例えば、約60phr~90phr、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値を含む。さらに、一態様では、エラストマーの少なくとも一部分は、ニトリル-ブタジエンゴムなどのニトリルゴムを含む。したがって、一態様では、100phrのゴムは、約0phr~約50phrのニトリルゴム、例えば、約5phr、約45phr、例えば、約10prh~約40phr、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値を含む。
しかしながら、一態様では、エラストマーは、ブチルゴムのみから形成され得、概して他のゴムを含まなくてもよく、あるいは、一態様では、約90phrのブチルゴムおよび約10phrのニトリルゴムを含み得る。
【0054】
エラストマーおよび板状鉱物の粒子に加えて、本開示のインナーライナは、酸化防止剤、促進剤、および処理助剤などの他の様々な材料を含有することができる。さらに、カーボンブラックまたはシリカなどの様々な他の充填剤を組成物に組み込むことができる。
【0055】
例えば、一態様では、インナーライナは、約10phr~約60prhのカーボンブラック、例えば、約15prh~約55prh、例えば、約20prh~約50phr、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値を含み得る。
【0056】
選択されるエラストマーおよび/または板状鉱物の粒子に関係なく、一態様では、本開示によるインナーライナは、約165以下、例えば、約160以下、例えば、約155以下、例えば、約150以下、例えば、約145以下、例えば、約140以下、例えば、約135以下、例えば、約130以下、例えば、約125以上、またはそれらの間の任意の値もしくは範囲のMOCON試験(以下の試験方法で記載される)による酸素透過性を示し得る。したがって、一態様では、本開示によるインナーライナは、MOCON試験によって測定されるように、約125~約155MOCONと非常に低い酸素に対する非常に良好な不透過性を示し得る。
【0057】
さらに、以下の実施例と関連してより詳細に考察されるように、酸素透過性特性は、板状粒子を伴わない証拠に対して、証拠または対照と比較して、約10%以上、例えば、約15%以上、例えば、約20%以上、例えば、約25%以上、例えば、約30%以上、例えば、約35%以上、最大約40%の酸素透過性の向上を示す。
【0058】
上述の組成物中でインナーライナを形成するために、成分は、Farrel Corp、Ansonia、CTから市販されているBanburyミキサまたはC.W.Brabender Instruments Inc.、New Jerseyから市販されているBrabenderミキサなどの標準的なミキサで一緒に混合することができる。混合プロセス中に、板状鉱物の粒子が、エラストマー中に挿入および/または剥離される。剥離プロセスは、図3に示されるような、板状鉱物の粒子302の良好な分散を生成する。
【0059】
混合後、配合物は、押出しなどのプロセスによって層またはフィルムに形成され得る。形成されるフィルムまたは層はまた、ゴム中の剥離された粒子に好ましい配向を付与するようにカレンダ処理されてもよい。例えば、カレンダ処理することは、板状鉱物の粒子がガス移動の方向に垂直に配向するのを支援し、上述のように層の透過性特性をさらに向上することができる。
【0060】
フィルムもしくは層に形成された後、またはフィルムもしくは層に形成されている間に、組成物は、次に、ゴムを加硫するために硬化され得る。一実施形態では、組成物は、硬化プロセス中に約160℃で約30分間、約16バールの圧力で加熱され得る。
【0061】
本開示に従って作製されたインナーライナは、多数の物品に組み込まれ得る。例えば、一実施形態では、本発明に従って作製されたインナーライナは、ガスで膨張させることを意図されたエラストマー物品に組み込まれ得る。これらの用途において、インナーライナは、物品の壁を通るガス流を阻害する。本発明によるインナーライナを組み込むことができる物品の特定の例には、フットボール、バスケットボールなどの運動球、膨張式ボート、エアマットレスなどの浮揚デバイスが含まれる。
【0062】
1つの特定の実施形態では、本開示に従って作製されたインナーライナは、タイヤに組み込まれ得る。例えば、図4を参照すると、一般的なタイヤ10の断面図が示される。タイヤ10は、トレッド14を規定するカーカス12を含む。カーカス12はゴム材料から作製され、示されているように、一般にU字形の断面を有する。カーカス12は、第1の側壁16および第2の側壁18を含む。側壁16および18は、一端でトレッド14と接続され、反対側の端で終端して、第1のビード20および第2のビード22を形成する。ビード20および22は、取付リム24に固定される。
【0063】
タイヤ10を補強するために、カーカス12は、第1のビード20内に埋め込まれた第1のビードワイヤ26と、第2のビード22内に埋め込まれた第2のビードワイヤ28と、をさらに含む。ビードワイヤ26および28は、例えば、金属ワイヤまたはケーブルから作製することができる。ラジアルカーカス補強部30は、ビードワイヤ26および28によって巻き付けられ、固定される。タイヤ10は、例えば、トレッド14の下に配置された複数のベルトを含み得るクラウン補強部32をさらに含む。クラウン補強部32は、例えば、各プライ内で互いに平行な金属ワイヤまたはケーブルの少なくとも2つのプライを含み得る。
【0064】
本開示によれば、タイヤ10は、この実施形態では、タイヤのインナーライナの周りに内張りを形成するインナーライナ50をさらに含む。インナーライナ50は、加圧されたガスがタイヤの壁を通って移動することを阻害するためのものである。本開示によれば、インナーライナ50は、エラストマーおよび板状鉱物の粒子の混合物から作製される。図4に示されるようにタイヤに組み込まれる場合、インナーライナ50は、特定の用途および構築されるタイヤのタイプに応じて変化する厚さを有することができる。いくつかの用途では、例えば、インナーライナは、約3mm未満の厚さを有し得る。例えば、インナーライナは、約0.1mm~約3mm、例えば、約0.25mm~約1.5mmの厚さを有し得る。しかしながら、他の実施形態では、インナーライナは、約3mmを超える厚さを有し得ることが理解されるべきである。
【0065】
図4に示す実施形態では、インナーライナ50は、タイヤ10の内表面に配置される。しかしながら、他の実施形態では、インナーライナは、他の位置に配置することができることを理解されたい。例えば、代替的に、インナーライナは、タイヤ10のカーカスの中央に組み込むことができる。
【0066】
図4に示すように、タイヤ10を形成するために、任意の数の従来のプロセスを使用することができる。概して、タイヤ10のカーカス12は、Banburyミキサなどの高剪断ミキサで、スチレンポリブタジエンゴムなどのエラストマーを様々な添加剤と組み合わせることによって作製される。例えば、一実施形態では、ゴムの約75~125パーツが、カーボンブラックおよび/またはシリカなどの少なくとも1つの補強充填剤と組み合わされる。例えば、一実施形態では、約50パーツ~約70パーツのカーボンブラックおよびシリカがゴムと組み合わされる。
【0067】
充填剤に加えて、元素硫黄および可塑剤を配合物に組み合わせることができる。硫黄は、例えば、約1~約15重量パーツの量で存在し得る。炭化水素油を含み得る可塑剤は、約1~約20重量パーツの量で存在し得る。
【0068】
上記に加えて、他の様々な微量成分が配合物中に含有され得る。例えば、典型的なゴム配合物は、促進剤、酸化防止剤、および少なくとも1つの粘着性樹脂をさらに含有する。
【0069】
上記成分を一緒に混合した後、組成物をシートに押出し、カレンダ処理する。次いで、シートは、タイヤを形成するための様々な補強要素の周りの成形型に配置される。
【0070】
本開示は、以下の実施例に関連してより良く理解され得る。
【実施例
【0071】
以下の試料を、本開示に従って作製したインナーライナの利益および利点を実証するために形成ならびに分析した。
【0072】
以下の実施例では、以下の試験方法を使用して、提示されるデータを取得した。
【0073】
透過性:酸素透過値を、MOCON OX-TRAN 2/60透過性試験機を用いて40℃で測定した。測定された厚さ(約0.8~1.0mm)の硬化した試料ディスクを機器に乗せ、真空グリースで密封した。10psiの窒素をディスクの一方の側に保持し、10psiの酸素/窒素混合物を10/90の比率で他方の側に保持した。窒素側でCoulox酸素検出器を使用して、酸素濃度の上昇を監視した。酸素がディスクを透過するのに必要な時間、または窒素側の酸素濃度が一定値に達するのに必要な時間のいずれかを記録し、酸素透過性を決定するために使用した。
【0074】
さらに、特に断りのない限り(例えば、分析がレーザ径によって行われたという表記などによって)、直径、アスペクト比、および面積の測定値は、上述のバウンディングボックス法に従って取得した。
【0075】
実施例1:
【0076】
この実施例では、90phrのブチルゴムを10phrのニトリルゴムと組み合わせて、100phrのゴムを形成した。表1に示すように、11個のカオリン試料および1個のカオリン対照を試験した。各カオリン試料(または対照)を30phrの量でエラストマーと組み合わせ、以下のプロセスに従ってインナーライナに形成した:
【0077】
成分を、GK4(4リットル)Banburyミキサで混合した。エラストマー、カオリン、カーボンブラック、および任意の添加剤を添加した。次いで、ロータ速度を65RPMに増加させた。混合物を反転させるために95℃でピストン上昇を1回行い、最終的に混合物を120℃でミキサから落とした。ピストン圧力は5バールで一定であり、ロータ温度は55℃であった。プラークを、150℃でMDRレオメータによって決定した最適な硬化条件を使用して、機械的特性試験のために硬化させた。次いで、インナーライナ試料を、上記方法で記載したように空気の流れに平行に切断し、上記方法に従って分析した。結果を表1に示す。MOCON試験は、各配合物の2つの別々の試料を使用して、各試料について2回実施した。
【表1】
【0078】
表1に示されるように、非常に高いアスペクト比(例えば、3以上のアスペクト比)は、向上した性能のために必要ではない。代わりに、少なくとも約20%以上の粒子が2を超えるアスペクト比(w/AR>2%)を有する、一貫したサイズを維持した試料は、透過性において最大の向上を示した。
【0079】
本発明のこれらおよび他の修正および変形は、添付の特許請求の範囲により詳細に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的または部分的の両方で互換性であり得ることを理解されたい。さらに、当業者は、前述の記載が単なる例に過ぎず、かかる添付の特許請求の範囲にさらに記載されるように本発明を限定することを意図しないことを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4