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特許7532565血管アクセスのための安定化デバイス及び安定化デバイスを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】血管アクセスのための安定化デバイス及び安定化デバイスを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/02 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A61M25/02 502
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006407
(22)【出願日】2023-01-19
(62)【分割の表示】P 2019565181の分割
【原出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2023052505
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】62/512,332
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515249525
【氏名又は名称】ベラノ バスキュラー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファンク,ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デブゴン,ピッタンバー
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-201904(JP,A)
【文献】米国特許第04517971(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0270994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端部分と、近位端部分と、前記遠位端部分と前記近位端部分との間に延在する長手方向中心線と、を有する安定化デバイスであって、患者の静脈内に少なくとも部分的に配置された血管アクセスデバイスを安定させるように構成された、安定化デバイスを備える装置であって、
前記安定化デバイスは、
前記患者の標的位置と接触して配置され得る輪郭形成部分と、前記輪郭形成部分が前記患者の前記標的位置と接触しているときに前記患者の前記静脈と少なくとも部分的に位置合わせされかつ前記静脈から間隔を空けて配置され得る凹状部分と、を形成する底面と、
前記血管アクセスデバイスの近位端部分に結合されたアダプタと接触して配置されるように構成され、第1部分及び第2部分を含む結合面と、を有し、
前記第1部分は、前記結合面の遠位部分を含み、
前記第2部分は、前記結合面の近位部分を含み、
前記第2部分は、前記安定化デバイスの前記長手方向中心線に対して実質的に垂直に延在する少なくとも1つの側部溝を含み、
前記第1部分は、前記安定化デバイスの前記長手方向中心線に対して実質的に平行に延在しかつ前記アダプタと選択的に係合するように構成された少なくとも1つの突出部を含み、
前記少なくとも1つの突出部は、前記少なくとも1つの側部溝の外側にあるように、前記少なくとも1つの側部溝から遠位側に位置決めされる、装置。
【請求項2】
前記安定化デバイスは、前記結合面に対して固定位置で前記アダプタを保持し、かつ、前記患者の前記標的位置に対して前記アクセスデバイスを安定させるように、前記患者の前記標的位置に固定されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記安定化デバイスは、
前記結合面に対して前記固定位置で前記アダプタを保持し、
前記結合面に対して前記アクセスデバイスを安定させ、
前記アクセスデバイスに関連する挿入の角度に少なくとも部分的に基づいて、前記標的位置に対して所望の角度で前記アダプタを配置する
ように、前記患者の前記標的位置に固定されるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記底面の前記輪郭形成部分は、前記安定化デバイスが前記標的位置に固定されたとき、前記患者の前記標的位置と接触しかつ前記標的位置に第1力を加えるように構成されており、
前記底面の前記凹状部分は、前記安定化デバイスが前記標的位置に固定されたとき、前記標的位置から間隔を空けて配置されるように構成されかつ前記標的位置に力を加えない、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記結合面の前記第1部分は、前記アダプタの一部を受け入れるように構成された切欠きを画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの突出部は、(1)前記結合面の前記第1部分が前記アダプタの遠位端部分と接触しているとき、前記アダプタの一部分が前記結合面の前記第2部分と位置合わせされかつ前記第2部分と接触して配置されるように構成され、かつ、(2)前記結合面の前記第1部分が前記アダプタの近位端部分と接触しているとき、前記アダプタの前記部分が前記結合面の前記第2部分と位置ずれしかつ前記第2部分から間隔を空けて配置されるように、前記アダプタと選択的に係合するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記アダプタは、Tアダプタであり、
前記Tアダプタの前記近位端部分は、近位係止機構を含み、
前記Tアダプタの前記遠位端部分は、遠位係止機構を含み、
前記アダプタの前記結合面の前記第2部分と位置合わせされかつ前記第2部分と接触して配置されるように構成されている前記部分は、前記Tアダプタの側部ポートであり、
前記側部ポートは、前記近位係止機構及び前記遠位係止機構を通って延在する前記Tアダプタの長手方向軸に対して実質的に垂直である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記遠位係止機構が前記結合面の前記遠位部分と接触しているとき、前記Tアダプタの前記長手方向軸に沿った前記側部ポートの位置は、前記安定化デバイスの前記長手方向中心線に沿った前記側部溝の位置と実質的に位置合わせされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記近位係止機構が前記結合面の前記遠位部分と接触しているとき、前記Tアダプタの前記長手方向軸に沿った前記側部ポートの位置は、前記安定化デバイスの前記長手方向中心線に沿った前記側部溝の位置に対して位置ずれする、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
記結合面の前記遠位部分は、前記少なくとも1つの突出部のうちの突出部であって、前記近位係止機構が前記結合面の前記遠位部分と接触しているときに前記近位係止機構と接触する、突出部を含み、
前記突出部と前記近位係止機構との間の前記接触は、前記側部溝に対して前記側部ポートの位置をずらすように作用可能である、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記側部溝は、ある角度で、前記結合面の前記第1部分に隣接する第1端から前記底面に隣接する第2端まで延在する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1001] 本出願は、2017年5月30日に出願された、「Stabilization Devices for Vascular Access and Methods of Using the Same」と題する米国仮特許出願第62/512,332号に対する優先権及びその出願の利益を主張し、その出願の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[1002] 本明細書に記載する実施形態は、概して医療デバイスに関し、より詳細には、静脈カテーテル及び/又は拡張セット等、血管アクセスデバイスを安定させるデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[1003] 多くの医療処置及び/又は外科的介入は、身体の一部にアクセスデバイス又は流体移送デバイスを挿入することを含む。例えば、カテーテル及び/又は他の内腔画定デバイスは、身体の一部にアクセスするために、又は患者の体内から若しくは体内に流体を移送するために、血管構造内に及び/又は血管構造を通して挿入することができる。場合により、例えば、末梢静脈カテーテル(PIV)等の血管アクセスデバイス(VAD)が、(例えば、患者が入院しているとき、又は他の医療処置の間)患者の体内に挿入され、長期間、患者の体内に留まるように設計され及び/又は意図されている。
【0004】
[1004] VADは、通常、体内に部分的に配置される、軟質の生体反応性ポリマーから形成されたカテーテルを含み、カテーテルは、近位端(例えば、体外の端部)においてハブに取り付けられ、ハブはさらに、任意の好適なデバイスを取り付けるためのインタフェースを提供することができる。患者の静脈(又は動脈)内にVAD(例えば、PIVカテーテル等)を留置した後、患者に対してVADを安定させ及び/又は固定することが望ましいことが多い。例えば、場合により、患者に対するVADの移動によって、カテーテルの望ましくない曲げ、たわみ及び/又はキンクがもたらされる可能性がある。他の場合では、VADの(例えば、VADの長手方向軸に沿った)移動により、患者の体内からカテーテルの一部が引き抜かれる可能性があり、それにより、カテーテルのその部分が非滅菌環境にさらされる可能性がある。さらに、VADをその元の位置に戻すことにより、患者の体内にVADカテーテルの汚染されている可能性がある部分が配置される可能性があり、それにより感染の可能性が増大する。
【0005】
[1005] 留置された(placed)又は留置(indwelling)VAD(例えば、PIVカテーテル)の移動を最小限にしようとして、安定化及び/又は固定デバイスが使用されることが多い。しかしながら、いくつかの既知の安定化及び/又は固定デバイスは、使用が複雑であり及び/又は時間がかかり、一方で他のデバイスは、不適切な安定化を提供する可能性がある。さらに、いくつかの既知の安定化及び/又は固定デバイスの形状及び/又は構成は、VADの一部及び/又はカテーテルが配置される静脈(又は動脈)を通る流量に悪影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[1006] したがって、留置された血管アクセスデバイスを安定させる改善されたデバイス及び方法が必要とされている。
【0007】
[1007] 本明細書では、例えば、静脈又は動脈カテーテル等、留置された又は留置血管アクセスデバイスを安定させるデバイス及び方法について記載する。いくつかの実施形態では、装置は、アクセスデバイスの遠位端部分が患者の標的位置を通して挿入されかつ患者の体内の一部に少なくとも部分的に配置されたときに、アクセスデバイスを安定させるように構成された安定化デバイスを含む。安定化デバイスは、結合面、近位面及び底面を含むことができる。結合面は、アクセスデバイスの近位端部分に結合されたアダプタと接触して配置されるように構成されている。近位面は、少なくとも1つの角度を形成し、患者の標的位置への安定化デバイスの固定を容易にするように構成されている。底面は、標的位置と接触して配置されるように構成された輪郭形成部分と、輪郭形成部分が標的位置と接触しているときに標的位置から間隔を空けて配置されるように構成された凹状部分とを形成する。安定化デバイスは、(1)アダプタが結合面に対して固定位置で保持され、かつ(2)アクセスデバイスが患者の標的位置に対して安定化されるように、標的位置に固定されるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[1008]実施形態による安定化デバイスの背面概略図である。
図2】[1008]実施形態による安定化デバイスの右側概略図である。
図3】[1009]実施形態による安定化デバイスの図である。
図4】[1009]実施形態による安定化デバイスの図である。
図5】[1009]実施形態による安定化デバイスの図である。
図6】[1009]実施形態による安定化デバイスの図である。
図7】[1010]血管アクセスデバイスに結合された図3の安定化デバイスの上面図である。
図8】[1011]患者の標的位置に固定された図7の安定化デバイス及び血管アクセスデバイスの右側斜視図である。
図9】[1011]患者の標的位置に固定された図7の安定化デバイス及び血管アクセスデバイスの上面図である。
図10】[1012]実施形態による安定化デバイスの図である。
図11】[1012]実施形態による安定化デバイスの図である。
図12】[1012]実施形態による安定化デバイスの図である。
図13】[1012]実施形態による安定化デバイスの図である。
図14】[1013]血管アクセスデバイスに結合されかつ患者の標的位置に位置決めされた、図10図13の安定化デバイスの左側斜視図である。
図15】[1013]血管アクセスデバイスに結合されかつ患者の標的位置に位置決めされた、図10図13の安定化デバイスの上面図である。
図16】[1014]実施形態による安定化デバイスを使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1015] いくつかの実施形態では、装置は、アクセスデバイスの遠位端部分が患者の標的位置を通して挿入されかつ患者の体内の一部に少なくとも部分的に配置されたときに、アクセスデバイスを安定させるように構成された安定化デバイスを含む。安定化デバイスは、結合面、近位面及び底面を含むことができる。結合面は、アクセスデバイスの近位端部分に結合されたアダプタと接触して配置されるように構成されている。近位面は、少なくとも1つの角度を形成し、患者の標的位置への安定化デバイスの固定を容易にするように構成されている。底面は、標的位置と接触して配置されるように構成された輪郭形成部分と、輪郭形成部分が標的位置と接触しているときに標的位置から間隔を空けて配置されるように構成された凹状部分とを形成する。安定化デバイスは、(1)アダプタが結合面に対して固定位置で保持され、かつ(2)アクセスデバイスが患者の標的位置に対して安定化されるように、標的位置に固定されるように構成されている。
【0010】
[1016] いくつかの実施形態では、装置は、患者の静脈内に少なくとも部分的に配置された血管アクセスデバイスを安定させるように構成された安定化デバイスを含む。安定化デバイスは、底面及び結合面を含む。底面は、患者の標的位置と接触して配置されるように構成された輪郭形成部分と、輪郭形成部分が標的位置と接触しているときに患者の静脈と少なくとも部分的に位置合わせされかつ静脈から間隔を空けて配置されるように構成された凹状部分とを形成する。結合面は、血管アクセスデバイスの近位端部分に結合されたアダプタと接触して配置されるように構成されている。結合面は第1部分及び第2部分を含む。第1部分は、(1)結合面の第1部分がアダプタの遠位端部分と接触しているとき、アダプタの一部分が結合面の第2部分と位置合わせされかつ第2部分と接触して配置されるように構成され、かつ(2)結合面の第1部分がアダプタの近位端部分と接触しているとき、アダプタの上記部分が、結合面の第2部分と位置ずれしかつ第2部分から間隔を空けて配置されるように、アダプタと選択的に係合するように構成された少なくとも1つの突出部を含む。
【0011】
[1017] いくつかの実施形態では、患者の静脈内に少なくとも部分的に配置された血管アクセスデバイスを安定させる方法は、患者の静脈内に少なくとも部分的に配置された血管アクセスデバイスに安定化デバイスを結合することを含む。安定化デバイスは、安定化デバイスの底面によって形成された凹状部分が静脈と位置合わせされるように、患者の標的位置に位置決めされる。安定化デバイスの近位面に医療テープの第1ストリップが、医療用テープの第1ストリップの第1端部分及び第2端部分の各々が、患者の標的位置と接触しかつ医療用テープの中央部分に対して遠位側であるように、貼られる。医療用テープの第1ストリップ中央部分は、安定化デバイスの近位面と少なくとも部分的に接触し、かつ患者の標的位置と少なくとも部分的に接触する。近位面に対して遠位側の安定化デバイスの一部分に医療用テープの第2ストリップが、医療用テープの第2ストリップが少なくとも医療用テープの第1ストリップの第1端部分及び第2端部分と部分的にオーバーラップするように、貼られる。
【0012】
[1018] いくつかの実施形態では、安定化デバイスは、近位端部分及び遠位端部分を有し、患者の皮膚に固定されるように構成されている。近位端部分は、患者の皮膚への安定化デバイスの固定を容易にするように構成された、少なくとも1つの角度を形成する近位面を含む。安定化デバイスの底面が、患者の皮膚と接触して配置されるように構成される輪郭を形成し、上記輪郭に沿って、患者の皮膚から間隔を空けて配置されるように構成された凹部を画定する。安定化デバイスは、安定化デバイスが患者の皮膚に固定されたときに留置された血管アクセスデバイスを安定させるように、留置された血管アクセスデバイスのハブ、又は、留置された血管アクセスデバイスに結合されたアダプタのうちの少なくとも一方に結合するように構成されている。
【0013】
[1019] 本明細書で用いる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈において明確な別段の指示がない限り、複数の対象部を含む。したがって、例えば、「部材」という用語は、単一の部材又は部材の組合せを意味するように意図され、「材料」は、1種若しくは複数種の材料又は材料の組合せを意味するように意図され、「デバイス」は、単一のデバイス又はデバイスの組合せを意味するように意図される。
【0014】
[1020] 本明細書で用いる「約」及び「およそ」という用語は、同義で使用することができ、概して、述べられている値の±10%を意味することができる。例えば、約0.5は0.45及び0.55を含み、約10は9~11を含み、約1000は900~1100を含む。
【0015】
[1021] 同様に、幾何学的構造及び/又は幾何学的関係に関連して用いる場合の「実質的に」という用語は、そのように定義された構造及び/又は関係が、名目上列挙された構造及び/又は関係であるということを示唆するように意図される。一例として、安定化デバイスの第2部分に対して「実質的に垂直である」と記載される安定化デバイスの第1部分は、垂直関係(例えば、90°の角度又は向きに整列され、配置され、及び/又は他の方法で90°の角度又は向きを形成する)が望ましいが、「実質的に垂直な」関係に幾分かの変動又は非垂直性が発生する可能性があることを示唆するように意図される。別の例として、実質的に位置合わせされていると記載される2つの幾何学的構造物は、幾何学的構造物の位置合わせが望ましいが、幾分かの変動又は位置ずれが発生する可能性があることを示唆するように意図される。場合により、上述した変動等の変動は、例えば、製造公差又は他の実際的な考慮事項からもたらされる可能性がある。したがって、「実質的に」という用語で修飾される幾何学的構造は、述べられている幾何学的構造の±5%の許容差内でこうした幾何学的特性を含む。例えば、「実質的に垂直な」関係は、垂直であることの±5%内である、2つの幾何学的構造物の間の関係である。
【0016】
[1022] 本明細書で用いる「組(セット)」という用語は、複数の特徴、又は複数の部分を備えた単一の特徴を指すことができる。例えば、一組の突出物と言う場合、一組の突出物は、複数の部分を備えた1つの突出物とみなすことができ、又は一組の突出物は、複数の別個の突出物とみなすことができる。したがって、一体構造で構成された物品は、一組の突出物を含む可能性がある。こうした「組」は、互いに連続的であるか又は不連続である複数の部分及び/又は構成要素を含む可能性がある。さらに、「組」はまた、別個に製造され後に(例えば、溶接部、接着剤又は任意の好適な方法を介して)互いに接合される複数の構成要素からも形成することができる。
【0017】
[1023] 本明細書に記載するデバイス及び方法は、患者の体内に直接又は間接的に挿入されるデバイス及び/又はデバイスの構成要素を安定させるように構成される。こうしたデバイスは、本明細書では概して血管アクセスデバイス(VAD)と呼ぶ。VADの非限定的な例としては、末梢静脈カテーテル(PIV)、末梢中心静脈カテーテル(PICC又はPICライン)、ミッドラインカテーテル、長期留置カテーテル(extended dwell catheter)(EDC)等、静脈(IV)アクセスデバイスを挙げることができる。他の実施形態では、VADは、動脈ライン等、動脈アクセスデバイスであり得る。本明細書では、具体的なアクセスデバイスの使用に言及するが、こうした言及は、限定ではなく例として提示されることが理解されるべきである。
【0018】
[1024] 本明細書で用いる「カテーテル」という用語は、カニューレ、チューブ、又は他の内腔画定構造等、通路を画定するように構成された要素を述べる。場合により、カテーテルは、体液を第1位置から第2位置に移動させるために使用することができる(例えば、体液を体外に移動させる流体通路)。カニューレは、患者の体内の容積にカニューレを送達するためのトロカール、ガイドワイヤ又はイントロデューサを受け入れるように構成することができるが、本明細書で言及するカテーテル及び/又はカニューレは、トロカール、ガイドワイヤ又はイントロデューサを含み又は受け入れる必要はなく、例えば、任意の好適な方法を用いて患者の血管系に位置決めし及び/又は挿入することができる。
【0019】
[1025] 本明細書で用いる「拡張セット」という用語は、概して、末梢IVカテーテル等のVADのハブに結合されるデバイス又はアダプタを指す。「拡張セット」は、任意の好適な構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、拡張セットは、シングルポート又はマルチポートアダプタであり得る。具体的な例として、拡張セットは、「Y字型」デュアルポート拡張部とすることができ、及び/又はそれを指すことができる。他の実施形態では、拡張セットは、「T字型」デュアルポート拡張セットとすることができ、及び/又はそれを指すことができる。
【0020】
[1026] 概して、いくつかの既知の拡張セットは、VAD及び/又は任意の好適な医療デバイスのハブの間を結合するように構成され、1つ又は複数の物体、デバイス、薬剤、流体等が(例えば、VADを介して)患者の身体の一部にアクセスするのを可能にすることができる。より詳細には、場合により、拡張セットは、留置アクセスデバイス(例えば、PIV等)に結合することができ、より多くの種類の流体のうちの1種の移送及び/又は収集を容易にすることができる。場合により、流体は、限定されないが、血液、脳脊髄液、胆汁、リンパ液、唾液、滑液、漿液、胸膜液、羊水、粘液、硝子体液、空気等又はそれらの任意の組合せを含む体液であり得る。
【0021】
[1027] いくつかの実施形態では、本明細書に記載する拡張セットのうちの任意のものは、市販されている拡張セットであり得る。すなわち、いくつかの実施形態では、本明細書に記載する安定化デバイスは、市販の拡張セットと使用するように構成することができる。他の実施形態では、本明細書に記載する安定化デバイスのうちの任意のものは、カスタム拡張セット、及び/又は本明細書に記載する安定化器デバイスとの所定の使用のために構成された拡張セットと使用されるように構成することができる。したがって、「拡張セット」という用語は、限定としてではなく単に例として提供されることが理解されるべきである。
【0022】
[1028] 本明細書で用いる「近位」及び「遠位」という語は、デバイスを患者に接触させる術者(user)に対して、それぞれ近づく方向及び離れる方向を指す。したがって、例えば、患者の身体に最初に接触するデバイスの端部は遠位端であり、デバイスの反対側の端部(例えば、術者によって操作されているデバイスの端部)はデバイスの近位端である。さらに、構造物等の位置を示す場合の「近位」及び「遠位」という用語は、例えば、そのように記載されている相対位置構造物を述べるために使用することができる。例えば、デバイスの第1部分の位置がデバイスの第2部分の位置よりデバイスの術者から遠い場合、デバイスの第1部分はデバイスの第2部分に対して遠位位置にあると言うことができる。
【0023】
[1029] 図1及び図2は、実施形態による安定化デバイス100の概略図である。安定化デバイス100は、上述したもの等の留置又は留置された血管アクセスデバイス(VAD)の挿入部位において又はその近くにおいて、患者の皮膚と接触して配置されるように構成されている。安定化デバイス100は、VAD及び/又はVADに結合されたデバイスに結合し及び/又は他の方法で係合するように構成されている。本明細書においてさらに詳細に記載するように、VAD及び/又はVADに結合されたデバイスに結合されると、安定化デバイス100は患者の皮膚に固定することができ、それにより、さらに、VADの少なくとも一部が者に対して固定され及び/又は安定化される。
【0024】
[1030] 安定化デバイス100は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。図1及び図2に示すように、安定化デバイス100は、近位端部分102及び遠位端部分106を有し、底面108及び結合面112を有する。近位端部分102は、所定の及び/又は所望の形状を有する近位面104を有する。例えば、いくつかの実施形態では、近位面104は、角度を付け、テーパ状とし、フレア状とし、湾曲させ、丸くする等が可能である。本明細書においてさらに詳細に記載するように、近位面104の配置及び/又は形状により、(例えば、医療用テープ等を介する)患者の皮膚への安定化デバイス100の結合又は固定を容易にすることができる。
【0025】
[1031] 底面108は、任意の好適な形状及び/又は構成であり得る。例えば、底面108は、概して凹状である輪郭及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、凹状輪郭及び/又は形状は、少なくとも一部には、患者の解剖学的構造の一部の曲率及び/又は形状に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、底面108は、一部には、患者の手又は前腕(又は他の好適なIV挿入部位)の全体的な輪郭及び/又は曲率に基づく、輪郭及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書においてさらに詳細に記載するように、患者のIV挿入部位の輪郭と同様であるように及び/又は少なくとも部分的にそうした輪郭に基づいて、底面108の輪郭及び/又は形状を形成することにより、例えば、患者の皮膚と接触している底面108の表面積を増大させることができ、それにより、患者の皮膚に固定されたときの安定化デバイス100の安定性を増大させることができる。
【0026】
[1032] 図1に示すように、底面108は、安定化デバイス100の長手方向軸の方向において底面108に沿って延在する凹部110(例えば、切欠き、くぼみ、切取部等)を画定する。言い換えれば、凹部110は、近位-遠位方向において底面108に沿って延在する。いくつかの実施形態では、凹部110は、底面108に沿って、近位端部分102を通ってかつ遠位端部分106を通って(例えば、底面108の長さL(図2)に沿って)延在する。いくつかの実施形態では、安定化デバイス100の底面108が患者の皮膚と接触して配置されるとき、凹部110は、患者の皮膚から間隔を空けて配置する(例えば、患者の皮膚に接触しないようにする)ことができる。他の実施形態では、凹部110を含む底面108は、患者の皮膚と接触することができる。
【0027】
[1033] 安定化デバイス100は、凹部110が患者の静脈と位置合わせされ及び/又は他の方法で静脈の上に配置されるように、患者の皮膚に沿った適所に配置されるように構成されている。場合により、安定化デバイス110は、例えば、IVカテーテルの挿入部位(「標的位置」とも呼ぶ)で又はその近くで患者の皮膚の上に配置することができる。より具体的には、安定化デバイス110は、VAD(例えば、留置IVカテーテル、動脈カテーテル等)が配置される静脈の上に凹部110が配置されるように、患者の皮膚の上に位置決めされるように構成されている。場合により、こうした配置によって、底面108によって静脈に対してかけられる、本来静脈の少なくとも一部を通る流量の低減をもたらす可能性がある力の量を、低減させることができる。例えば、凹部110が患者の皮膚から間隔を空けて配置される実施形態では、安定化デバイス100は、VADが配置される静脈に対して力をかけない(又は、実質的にかけない)。他の実施形態では(例えば、凹部110が患者の皮膚と接触する場合)、VADが配置される静脈に対して凹部110によってかけられる力は、静脈を包囲する患者の領域に対し又はその近くにおいて底面108の他の部分(例えば、非凹部部分)によってかけられる力より小さくすることができる。
【0028】
[1034] 安定化デバイス110の結合面112は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、結合面112は、少なくとも部分的に、血管アクセスデバイス(VAD)150(又はそのハブ)及び/又はVADに結合されたデバイス(例えば、拡張セット等)の形状に基づく、輪郭又は形状を形成することができる。いくつかの実施形態では、結合面112は、VAD150の外面と接触及び/又は係合してそれらの間に摩擦嵌合を形成及び/又は画定するように構成することができる。言い換えれば、結合面112は、VAD150が結合面112と接触しているとき、摩擦嵌合、圧入、締まり嵌め等を形成するようにVAD150に対してわずかに小さいサイズであるサイズ及び/又は形状を有することができる。
【0029】
[1035] いくつかの実施形態では、結合面112の形状及び/又は輪郭は、VAD150の挿入部位において又はその近くで、患者の皮膚に対して所定の、事前定義された及び/又は他の所望の角度でVAD150を配置するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、近位端部分102における又はその近くの結合面112の高さが、遠位端部分106における又はその近くの結合面112の高さより大きいように、結合面112に角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス100の結合面112は、少なくとも一部には、例えばVAD150又はそのカテーテルの挿入の角度に基づいて、任意の好適な角度でVAD150を固定するように配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、結合面112は、VAD150(例えば、VAD150のカテーテル)がキンクするリスク又は可能性を最小限にすることができる角度で、VAD150を配置するように構成することができる。
【0030】
[1036] 上述したように、安定化デバイス100を使用して、例えば、血管アクセスデバイスに結合されたデバイスを固定することができる。例として、いくつかの実施形態では、安定化デバイス100は、IV拡張セットに結合し及び/又はIV拡張セットを固定するように構成することができ、IV拡張セットはさらに、留置又は留置された静脈カテーテルに結合される。図1及び図2には示さないが、こうした実施形態では、結合面112は、Y字型拡張セット、T字型拡張セット等、デュアルポート拡張セットと使用するように構成され及び/又はそうした使用に好適である形状及び/又は輪郭を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、結合面112は、こうした拡張セットのポートのうちの1つ(例えば、T字型拡張セットの側部ポート)を受け入れるように構成された側部溝等を有することができる。いくつかの実施形態では、側部溝等は、結合面112及び/又は結合面112の他の部分に対して実質的に垂直に延在するように構成することができる。
【0031】
[1037] 上述したように、安定化デバイス100は、例えば患者の皮膚にVAD150を固定し及び/又は安定させるように構成されている。例えば、場合により、(1)IVカテーテルの一部が静脈内に配置され、かつ(2)IVカテーテルのハブが患者の体外に配置されるように、患者の手にIVカテーテル(例えば、VAD150)を挿入することができる。場合により、IVカテーテルのハブに、拡張セット(例えば、Tアダプタ、Yアダプタ等)を結合することができる。IVハブに拡張セットが結合された状態で、術者(例えば、医師、看護師、技師、内科医、外科医及び/又は他の医療専門家)は、(例えば、図1及び図2においてVAD150として表す)拡張セットの一部を、安定化デバイス100の結合面112と接触して配置することにより、安定化デバイス100を操作することができる。上述したように、結合面112は、拡張セットの一部との摩擦嵌合等を形成して拡張セットを安定化デバイス100に結合するように構成することができる。拡張セットについて、安定化デバイス100に結合される前にIVハブに結合されるものとして上述したが、他の実施形態では、安定化デバイス100は所望の位置に配置することができ、及び/又は拡張セットをIVハブに結合する前に、安定化デバイス100に拡張セットを結合することができる。
【0032】
[1038] 安定化デバイス100は、拡張セットに結合されると、患者の皮膚の上に(例えば、挿入部位に又はその近くに)位置決めすることができる。この例では、IVカテーテルは、患者の手に挿入され、したがって、安定化デバイス100は、患者の手に対する位置である。したがって、安定化デバイス100の底面108は、挿入部位(例えば、VAD150又はIVカテーテルが患者の体内に入る部位)において又はその近くで患者の皮膚と接触するように配置することができる。場合により、上述したように、凹部110が、IVカテーテルが配置される静脈と位置合わせされ、及び/又はそうした静脈の周囲に若しくは静脈の上に他の方法で配置されるように、安定化デバイス100を調整し及び/又は位置決めすることができる。
【0033】
[1039] 安定化デバイス100を拡張セットに結合し、挿入部位において又はその近くで所望の位置に安定化デバイス100を配置すると、術者は、安定化デバイス100を患者に固定することができる。いくつかの実施形態では、術者は、医療用テープ等を介して安定化デバイス100を固定することができる。例えば、術者は、医療用テープのロールから医療用テープのストリップ(例えば、医療用テープの第1ストリップ)を取り除き、その医療用テープのストリップを安定化デバイス100の近位面104に、医療用テープの第1部分が近位面104に接着し、医療用テープの第2部分が患者の皮膚に接着するように、貼ることができる(図1及び図2には示さず)。場合により、術者は、近位面104に対して医療用テープを実質的に中心合わせすることができる。上述したように、近位面104は、安定化デバイス100の固定を容易にする形状、サイズ及び/又は構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、術者が近位面104に医療用テープを貼るときに、テープが湾曲し、曲がり、形状に従い、及び/又は他の方法で形状を形成し、及び/又は少なくとも部分的に近位面104の形状に基づく経路をたどるように、近位面104に角度を付けることができ、及び/又は、近位面104は相対的に湾曲した輪郭等を有することができる。本明細書においてさらに詳述するように、いくつかの実施形態では、近位面104の配置は、テープの端部分が患者の皮膚に接着し、近位面104に対して遠位に位置決めされるようにすることができる。
【0034】
[1040] 場合により、術者は、医療用テープのロールから医療用テープの第2ストリップ(図1及び図2には示さず)を取り除くことができ、その医療用テープの第2ストリップを、安定化デバイス100及びVAD150の一部を横切って横方向に貼ることができる。場合により、術者は、医療用テープの第1端部分が安定化デバイス100の第1側において患者の皮膚の一部に接着し、医療用テープの第2端部分が、安定化デバイス100の第1側とは実質的に反対側の安定化デバイス100の第2側において、患者の皮膚の一部に接着し、中央部分(例えば、第1端部分と第2端部分との間)が、安定化デバイス100又はVAD150のうちの少なくとも一方に接着するように、医療テープの第2ストリップを貼ることができる。さらに、医療用テープの第2ストリップの第1端部分は、医療用テープの第1ストリップの第1端部分と少なくとも部分的にオーバーラップすることができ、医療用テープの第2ストリップの第2端部分は、医療用テープの第1ストリップの第2端部分と少なくとも部分的にオーバーラップすることができる。
【0035】
[1041] 医療用テープの第1ストリップ及びテープの第2ストリップは、所定順序で貼られるように記載しているが、医療用テープのストリップは、任意の好適な順序で安定化デバイス100及びVAD150に貼ることができることが理解されるべきである。例えば、場合により、術者は、(上述したように)安定化デバイス100及びVAD150の一部を横切って横方向に医療用テープの第2ストリップを貼ることができ、その後、(上述したように)安定化デバイス100の近位面104に医療用テープの第1ストリップを貼ることができる。したがって、こうした場合、医療用テープの第1ストリップの一部は、医療用テープの第2ストリップの一部とオーバーラップする。
【0036】
[1042] 安定化デバイス100を(例えば、医療用テープを介して)患者の皮膚に固定することにより、安定化デバイス100及び/又は医療用テープが、患者に対してVAD150を固定し、安定させ、及び/又は実質的に動かないようにする。すなわち、具体的な実施形態に関して本明細書においてさらに詳細に記載するように、安定化デバイス100の配置は、安定化デバイス100及びVAD150を患者の皮膚に固定することにより、IVカテーテルが少なくとも部分的に配置される静脈に対するVAD150又は少なくともそのIVカテーテルの移動を、低減させ及び/又は実質的に防止することができる、というものである。さらに、底面108に沿った凹部110の配置により、VAD150(例えば、IVカテーテル等)が配置される静脈に対して本来かけられる力を、低減させることができ、及び/又は実質的に排除することができる。
【0037】
[1043] 図3図9は、実施形態による安定化デバイス200を示す。安定化デバイス100に関して上述したように、安定化デバイス200は、留置又は留置された血管アクセスデバイス(VAD)の挿入部位において又はその近くで患者の皮膚と接触して配置されるように構成されている。安定化デバイス200は、VAD及び/又はVADに結合されたデバイス(例えば、拡張セット)に結合し及び/又は他の方法で係合するように構成されている。本明細書においてさらに詳細に記載するように、VAD及び/又はVADに結合されたデバイスに結合されると、安定化デバイス200は患者の皮膚に固定することができ、それにより、患者に対してVADの少なくとも一部を固定し及び/又は安定させる。
【0038】
[1044] 安定化デバイス200は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、安定化デバイス200は、少なくとも一部には、安定させるべきVADのサイズ及び/又は形状に基づくサイズ及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス200のサイズ及び/又は形状は、例えば、患者の皮膚に安定化デバイス200を固定するプロセスを簡略化することにより、使いやすさを向上させることができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス200のサイズ及び/又は形状は、人間工学、握り等を向上させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、安定化デバイス200及び/又はその一部により、術者は、VAD、拡張セット及び/又は安定化されている他の任意の好適なデバイスに対して1つ又は複数のデバイスを結合する(又は分離する)際に、安定化デバイス200に対する確実な握りを維持することができる。場合により、こうした結合又は分離プロセス中に確実な握りを維持することにより、本来、患者の標的位置(例えば、IVカテーテル挿入部位)に対して安定化デバイス200を移動させるのに十分である可能性がある、安定化デバイス200にかけられる力を、制限することができる。言い換えれば、安定化デバイス200のサイズ及び/又は形状により、術者がデバイス(例えば、流体移送デバイス等)をVADに対して結合し又は分離する際に、安定化デバイス200に結合されたVADを、安定化デバイス200が安定させ、固定し、及び/又は実質的に動かなくすることができる。
【0039】
[1045] 図3図6に示すように、安定化デバイス200は、近位端部分202及び遠位端部分206を有し、底面208及び結合面212を有する。概して、結合面212は、例えば、Tアダプタ又はTコネクタ等の拡張セット260を受け入れ、保持し、及び/又はそれに他の方法で結合するように構成され、拡張セット260はさらに、留置又は留置されたVADに結合される。この実施形態では、留置又は留置されたVADは、例えば、IVカテーテル250(例えば、図7図9を参照)であり得る。底面208は、IVカテーテル250等の挿入部位(本明細書では、「標的位置」とも呼ぶ)で又はその近くで所定の及び/又は所望の方法で、患者の皮膚と接触して配置されるように構成されている。本明細書においてさらに詳細に記載するように、安定化デバイス200が拡張セット260に結合され、底面208が挿入部位で又はその近くで患者の皮膚と接触すると、安定化デバイス200(及び拡張セット260)を患者の皮膚に固定して(例えば、図7及び図8を参照)、患者、及び/又はIVカテーテル250が配置される静脈に対して、IVカテーテル250の少なくとも一部を固定し及び/又は安定させることができる。
【0040】
[1046] 近位端部分202は、所定の及び/又は所望の形状を有する近位面204を有する。例えば、近位面204は、角度を付け、テーパ状とし、フレア状とし、湾曲させ、丸くする等が可能である。図3図9に示す実施形態では、近位面204は、丸い、湾曲した、放物線状及び/又は実質的にベル形状の外周部を有することができる。さらに、近位端部分202及び/又は近位面204は、安定化デバイス200の中心から離れて横方向に延在する一組の拡張部205(例えば、脚、タブ、パッド、突出部等)を含むことができる。本明細書においてさらに詳細に記載するように、近位面204及び/又は拡張部205の配置及び/又は形状により、(例えば、医療用テープ等を介する)患者の皮膚への安定化デバイス200の結合又は固定を容易にすることができる。
【0041】
[1047] 底面208は、任意の好適な形状及び/又は構成であり得る。例えば、図4及び図5に示すように、底面208は、概して凹状である輪郭及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、凹状輪郭及び/又は形状は、少なくとも一部には、患者の解剖学的構造の一部の曲率及び/又は形状に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、底面208は、少なくとも一部には、患者の手又は前腕(又は他の好適な挿入部位及び/又は標的位置)の全体的な輪郭及び/又は曲率に基づく、輪郭及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書においてさらに詳細に記載するように、患者の標的位置の曲率と同様であるように及び/又は少なくとも部分的にそうした曲率に基づいて、底面208の輪郭及び/又は形状を形成することにより、例えば、患者の皮膚と接触している底面208の表面積を増大させることができ、それにより、患者の皮膚に固定されたときの安定化デバイス200の安定性を向上させることができる。
【0042】
[1048] 図4及び図5に示すように、底面208は、安定化デバイス200の長手方向中心線の方向において底面208に沿って延在する凹部210(例えば、切欠き、くぼみ、切取部等)を画定する。言い換えれば、凹部210は、近位-遠位方向において底面208に沿って延在する。いくつかの実施形態では、凹部210は、図2に示す安定化デバイス100に関して上述したように、底面208に沿って、近位端部分202を通ってかつ遠位端部分206を通って延在する。いくつかの実施形態では、凹部210は、一定の又は可変の曲率半径を有する湾曲断面形状を有することができ、及び/又は形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、凹部210は、放物線状断面形状を有することができ、及び/又は形成することができる。他の実施形態では、凹部210は、例えば、V字型、U字型、W字型、及び/又は他の任意の好適な断面形状等、任意の好適な断面形状を有することができ、及び/又は形成することができる。いくつかの実施形態では、凹部210のサイズ及び/又は形状は、安定化デバイス200の長さに沿って実質的に一定であり得る。他の実施形態では、凹部210のサイズ及び/又は形状は、安定化デバイス200の長さに沿って変化させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、凹部210は、テーパ状とし、近位端部分202における第1サイズから遠位端部分206における第2サイズまでサイズ及び/又は形状を低減させることができる(又はその逆も同様である)。
【0043】
[1049] 安定化デバイス200は、凹部210が、IVカテーテル250が配置される静脈と位置合わせされ、及び/又はそうした静脈の上に他の方法で配置されるように、患者の皮膚に沿った適所に配置されるように構成されている。いくつかの実施形態では、安定化デバイス200の底面208が患者の皮膚と接触して配置されるとき、凹部210は、患者の皮膚から間隔を空けて配置する(例えば、患者の皮膚と接触しないようにする)ことができる。他の実施形態では、凹部210を含む底面208は、患者の皮膚の一部と接触することができる。いくつかの実施形態では、凹部210は、各々が、IVカテーテル250が配置されるべき静脈の直径より大きい、高さ(又は深さ)及び幅を有することができる。言い換えれば、凹部210のサイズ及び/又は形状は、少なくとも一部には、上に安定化デバイス200が配置される静脈のサイズ及び/又は形状に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、凹部210は、およそ0.5ミリメートル(mm)~およそ3.0mmである高さ又は深さと、およそ5.0mm~およそ40.0mmである幅とを有することができる。一例として、凹部210は、およそ2.0mmである高さ又は深さと、およそ20mmである幅とを有することができる。
【0044】
[1050] 凹部210について、例えば、図4及び図5において詳細に示すが、いくつかの実施形態では、凹部210は、任意の好適なサイズ及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、凹部210のサイズ及び/又は形状は、静脈のサイズ、形状及び/又は経路のばらつきを考慮することができる。例えば、場合により、IVカテーテル250が配置される静脈は、それに結合された1つ又は複数の分岐血管を有することができ、非直線状又は湾曲した経路で延在することができ、ある角度で延在することができ、及び/又は、他の方法で、患者の間でサイズ、形状及び/又は配置を変更することができる。したがって、凹部210は、サイズ、形状及び/又は配置が変化する可能性がある静脈の上に凹部210が配置されるのを可能にするのに十分大きい幅を有することができる。いくつかの実施形態では、例えば、凹部210は、底面208の幅よりわずかに小さい幅を有することができる。こうした実施形態では、底面208の相対的に薄い部分を、凹部210の両側に配置することができる。他の実施形態では、底面208は、まとめて間に空間を画定する2つの平行な又は実質的に平行な突出部、でっぱり、隆起部、レール等を含むことができる。こうした実施形態では、2つの突出部等の間に配置された底面208の部分は、凹部210を形成することができ、及び/又は凹部210と同様に機能することができる。
【0045】
[1051] いくつかの実施形態では、凹部210を、IVカテーテル250が配置される静脈より(例えば、高さ及び/又は幅が)大きいように形成し及び/又は画定することにより、例えば、本来底面208によって静脈にかけられる力の量を低減させることができる。場合により、底面208によって静脈にかけられるこうした力は、静脈内の血液の流れを低減させるのに十分である可能性がある。具体的な場合により、こうした流れの低減は、静脈から血液を引き抜く能力に悪影響を与える可能性があり、及び/又は静脈への流体の送達を妨げる可能性がある。したがって、底面208に凹部210を形成することにより、安定化デバイス200が、IVカテーテル250が配置される静脈に対して力をかけず(又は、実質的にかけず)、それにより、安定化デバイス200が、静脈を通る流体の流れを実質的に妨げることなくIVカテーテル250を固定し安定させることができる。
【0046】
[1052] 凹部210は、IVカテーテル250が配置される静脈にかけられる力を低減させ及び/又は実質的に除去するように構成されているように上述したが、いくつかの実施形態では、凹部210は、IVカテーテル250に又はIVカテーテル250のために安定化を提供し続ける一方で、患者の一部の移動及び/又は再構成を可能にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、IVカテーテル(例えば、IVカテーテル250)は、患者の橈側皮静脈又は尺側皮静脈に挿入することができ、安定化デバイス200(例えば、安定化デバイス200)は、患者の肘前窩領域を固定することができる。場合により、患者の腕を(例えば、肘において)曲げることにより、患者の腕に沿って円周方向及び軸方向両方において皮膚の張力、応力及び/又は歪みが変化することになる可能性がある。場合により、こうした張力等の変化により、肘前窩領域において又はその近くで皮膚がこぶ状になるか又は隆起することになる可能性がある。場合により、こうした皮膚のこぶ化又は隆起により、IV挿入部位に対して安定化デバイスが望ましくないように持ち上がるか又は移動することになる可能性があり、それにより、静脈内に配置されたIVカテーテルの望ましくない移動、曲がり、キンク等がもたらされる可能性がある。
【0047】
[1053] しかしながら、いくつかの実施形態では、安定化デバイス200の凹部210の配置は、皮膚の少なくとも一部が、凹部210によって画定される空間内でこぶになるか又は隆起するようにすることができ、それにより、凹部210の空隙を少なくとも部分的に充填し、及び/又は安定化デバイス200の望ましくない持上り又は移動を低減させ及び/又は実質的に防止する。言い換えれば、場合により、安定化デバイス200の配置により、安定化デバイス200が、患者の少なくとも幾分かの移動にも関わらずIVカテーテル250を安定させ、固定し、及び/又は実質的に動かないようにすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、凹部210は、底面208の縁のみ及び/又は底面208から延在する突出部のみが皮膚と接触するように、安定化デバイス200の幅に沿って延在することができる。こうした実施形態では、この配置は、皮膚の移動によってせん断力が加えられる際に、皮膚が軸方向下方にかつ安定化デバイス200のいずれかの側に移動しかつ伸張するようにすることができ、それにより、本来、挿入部位及び/又は標的位置に対する安定化デバイス200の横方向移動をもたらす可能性がある力の量を低減させる。
【0048】
[1054] 安定化デバイス210の結合面212は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。図3図9に示す実施形態では、結合面212は、少なくとも部分的に拡張セット260の形状に基づく輪郭又は形状を形成することができる。いくつかの実施形態では、結合面212は、拡張セット260の外面と接触及び/又は係合して、それらの間に摩擦嵌合を形成及び/又は画定するように構成することができる。すなわち、結合面212は、拡張セット260が結合面212と接触しているとき、摩擦嵌合、圧入、締まり嵌め等を形成するように、拡張セット260に対してわずかに小さいサイズであるサイズ及び/又は形状を有することができる。
【0049】
[1055] 図3図9に示す実施形態では、結合面212は、T字型アダプタ又はコネクタ(例えば、拡張セット260)を受け入れ及び/又はT字型アダプタ又はコネクタに結合するように構成することができる。例えば、結合面212は、遠位切欠き214と1つ又は複数の側部溝216とを含む。結合面212によって及び/又は結合面212に沿って形成された遠位切欠き214は、拡張セット260の遠位係止機構262(例えば、Luer Lok(登録商標))を収容するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、拡張セット260(例えば、Tアダプタ)は、その遠位端部分に、拡張セット260をIVカテーテル250に物理的にかつ流体的に結合するように構成されている回転式ロックを含むことができる。したがって、遠位切欠き214は、術者が、拡張セット260の遠位係止機構262をIVカテーテル250に結合するか又はIVカテーテル250から分離するために回転式ロックを把持して回転させるのに、十分な空間を提供することができる。さらに、図7に示すように、拡張セット260の近位係止機構261が、安定化デバイス200の近位面204に対して近位側であるように、拡張セット260を結合面212に結合することができる。いくつかの実施形態では、こうした配置は、1つ又は複数のデバイス(例えば、流体移送デバイス、シリンジ、流体リザーバ等)の拡張セット260の近位係止機構261への結合又は近位係止機構261からの分離を容易にすることができる。
【0050】
[1056] 安定化デバイス200の1つ又は複数の側部溝216は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。図3図9に示す実施形態では、安定化デバイス200は、2つの側部溝216を含み、安定化デバイス200の両側に1つの側部溝216があり、例えば安定化デバイス200の長手方向中心線Cに対して垂直及び/又は横方向に延在している(例えば、図6を参照)。側部溝216のうちの少なくとも一方は、拡張セット260の側部ポート263を受け入れるように構成されている(例えば、図7を参照)。例えば、図3図9に示す実施形態では、拡張セット260は、「T字」構成を有するデュアルポート拡張セットであり、そこでは、側部ポート263は、近位係止機構261と遠位係止機構262との間に画定された長手方向軸Aに対して実質的に垂直である(例えば、図7を参照)。したがって、拡張セット260が結合面212に結合されると、安定化デバイス200の長手方向中心線Cと拡張セット260によって画定された長手方向軸Aとが、位置合わせされ及び/又は実質的に同軸であり、拡張セット260の側部ポート263は、安定化デバイス200の左側における又は安定化デバイス200の右側における側部溝216と接触して配置することができ、そうした側部溝216内に配置することができ、及び/又はそうした側部溝216を通って延在することができる。
【0051】
[1057] いくつかの実施形態では、結合面212及び拡張セット260の配置は、拡張セット260が、結合面212と接触して配置され、側部ポート263が側部溝216のうちの一方に配置される位置まで回転するというものであり得る。いくつかの実施形態では、側部溝212を形成及び/又は画定する結合面212の部分が、拡張セット260の側部ポート263の少なくとも一部とスナップフィット又は圧入を形成することができる。さらに、使用時、拡張セット260の側部ポート263は、典型的には、可撓性管265(例えば、図7を参照)等に結合され、したがって、側部溝216は、可撓性管265の過度の曲がり又はキンクをもたらすことなく、可撓性管265の拡張セット260の側部ポート263への結合を可能にするように構成することができる。
【0052】
[1058] いくつかの実施形態では、結合面212の形状及び/又は輪郭は、IVカテーテル250の挿入部位(又は標的位置)において又はその近くで、患者の皮膚に対して所定の、事前定義された及び/又は他の所望の角度で、VAD(例えば、IVカテーテル250)を配置及び/又は維持するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、近位端部分202における又はその近くの結合面212の高さが、遠位端部分206における又はその近くの結合面212の高さより高いように、結合面212に角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、結合面212は、例えば、挿入部位において患者の皮膚に対して約3°~約15°の角度で、IVカテーテル250を受け入れ、IVカテーテル250に結合し、及び/又はIVカテーテルを固定するように構成することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、結合面212は、約10°、約8°、約6°又はそれ未満の角度でIVカテーテル250を受け入れ、IVカテーテル250に結合し、及び/又はIVカテーテル250を固定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス200の結合面212は、少なくとも一部には、例えばIVカテーテルの挿入の角度に基づく任意の好適な角度で、IVカテーテル250を固定するように配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、結合面212は、IVカテーテル250が(例えば、IVカテーテル挿入部位又は皮膚進入部において)キンクするリスク又は可能性を最小限にすることができる角度で、IVカテーテル250を留置及び/又は維持するように構成することができる。
【0053】
[1059] いくつかの実施形態では、安定化デバイス200は、少なくとも一部にはIV挿入部位に基づく角度でIVカテーテル250を固定するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、安定化デバイスは、IVカテーテルが例えば肘前窩に挿入される場合は第1角度、及び、IVカテーテルが例えば手に挿入されるときは、第1角度とは異なる第2角度で、IVカテーテルを固定するように構成することができる。こうした実施形態では、安定化デバイス200は、意図された使用又は意図された挿入部位に関連する指標を術者に提供するように構成された、インジケータを含むことができ、及び/又は色等を有することができる。
【0054】
[1060] 図7図9に示すように、安定化デバイス200は、例えば患者の標的位置に対して、IVカテーテル250を固定し及び/又は安定させるように構成されている。例えば、場合により、(1)IVカテーテル250の一部が静脈内に配置され(IVカテーテル250の挿入は図7図9には示されていない)、かつ(2)IVカテーテル250のハブが患者の体外に配置されるように、患者の手に(例えば、標的位置において又は標的位置に沿って)IVカテーテル250を挿入することができる。場合により、IVカテーテル250のハブに、拡張セット260(例えば、Tアダプタ)を物理的にかつ流体的に結合することができる。
【0055】
[1061] IVハブに拡張セット260が結合された状態で、術者(例えば、医師、看護師、技師、内科医、外科医及び/又は他の医療専門家)は、拡張セット260の一部分を、安定化デバイス200の結合面212と接触して配置することにより、安定化デバイス200を操作することができる。上述したように、結合面212は、拡張セットの上記部分との摩擦嵌合等を形成して拡張セット260を安定化デバイス200に結合するように構成することができる。例えば図7に示すように、拡張セット260の遠位係止機構262等が少なくとも部分的に遠位切欠き214内に配置され及び/又は他の方法で遠位切欠き214に位置合わせされるように、安定化デバイス200の結合面212に拡張セット260を結合することができる。上述したように、こうした配置により、術者は、拡張セット260をIVカテーテル250に結合し又はIVカテーテル250から分離するように、遠位係止機構262を作動させることができる。さらに、拡張セット260の側部ポート263は、側部ポート263に結合された可撓性管265が側部溝216から延出することができるように、側部溝216のうちの一方の中に位置決めすることができる(例えば、図7を参照)。したがって、拡張セット260の側部ポート263を使用して、IVカテーテル250が配置される静脈に流体を送達し又はそうした静脈から流体を引き抜くことができる。さらに、拡張セット260の近位ポート又は係止機構261は、拡張セット260が結合面212に結合されたときに、近位面204に対して近位位置に配置することができる。このように、IVカテーテル250が配置される静脈に流体を送達し、そうした静脈から流体を引き抜き、及び/又は他の方法でそうした静脈にアクセスすることができるように、任意の好適なデバイスが近位ポート又は係止機構261に結合することができる。
【0056】
[1062] 安定化デバイス200は、拡張セット260に結合されると、患者の皮膚の上で(例えば、挿入部位若しくは標的位置において又はその近くで)位置決めすることができる。この例では、IVカテーテル250は、患者の手に挿入され、したがって、安定化デバイス200は、患者の手に対して位置決めされる。したがって、安定化デバイス200の底面208は、IVカテーテル250の挿入部位において若しくはその近くで、及び/又は患者の標的位置において若しくはその近くで、患者の皮膚と接触して配置することができる。上述したように、凹部210が、IVカテーテル250が配置される静脈に位置合わせされ、及び/又はそうした静脈の周囲に若しくは静脈の上に他の方法で配置されるように、安定化デバイス200を調整及び/又は位置決めすることができる。このように、安定化デバイス200を患者の皮膚に固定することにより、底面208が、本来は静脈を通る流れを妨げ及び/又は制限するのに十分であり得る力を、静脈にかけることにならない。
【0057】
[1063] 拡張セット260に安定化デバイス200を結合し、(例えば、凹部210が、IVカテーテル250が配置される静脈と位置合わせされるか又はそうした静脈の上に配置されるように)挿入部位において又はその近くで所望の位置に安定化デバイス200を配置すると、術者は、患者に安定化デバイス200を固定することができる。いくつかの実施形態では、術者は、例えば図8及び図9に示すように、医療用テープ等を介して安定化デバイス200を固定することができる。より詳細には、場合により、術者は、医療用テープのロールから医療用テープの第1ストリップ232を取り除くことができ、医療用テープの第1部分が近位面204に接着し、医療用テープの第2部分が患者の皮膚に接着するように、医療用テープの第1ストリップ232を安定化デバイス200の近位面204に貼ることができる。例えば、場合により、術者は、図8及び図9に示すように、第1ストリップ232の幅の第1部分が安定化デバイス200の近位面204の上に重なり及び/又は近位面204に接着し、一方で、第1ストリップ232の幅の第2部分が患者の皮膚の上に重なり及び/又は皮膚に接着するように、医療用テープの第1ストリップ232を配置することができる。
【0058】
[1064] 上述したように、近位面204は、安定化デバイス200の固定を容易にする形状、サイズ及び/又は構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、術者が近位面204に医療用テープの第1ストリップ232を貼るときに、テープが湾曲し、曲がり、形状に従い、及び/又は他の方法で形状を形成し、及び/又は少なくとも部分的に近位面204の形状に基づく経路をたどるように、近位面204に角度を付けることができ、及び/又は、近位面204は相対的に湾曲した輪郭等を有することができる。図8及び図9に示すように、近位面204の形状及び/又は構成は、医療用テープの第1ストリップの一部が拡張部205の上に重なり及び/又は拡張部205に接着するというものである。さらに、図8及び図9における矢印AAによって示すように、近位面204及び/又は拡張部205の配置は、第1ストリップ232の端部分が患者の皮膚に接着し、例えば第1ストリップ232の中央又は中間部分に対して遠位側に位置決めされるように、医療用テープの第1ストリップ232が湾曲し及び/又は曲がるというものである。
【0059】
[1065] 医療用テープの第1ストリップ232を固定した後、術者は、医療用テープのロールから医療用テープの第2ストリップ234を取り除くことができ、図8及び図9における矢印BBによって示すように、安定化デバイス200及びIVカテーテル250の一部を横切って横方向に医療用テープの第2ストリップ234を貼ることができる。図示するように、術者は、医療用テープの第2ストリップ234の第1端部分が安定化デバイス200の第1側において患者の皮膚の一部に接着し、医療用テープの第2ストリップ234の第2端部分が、安定化デバイス200の第1側とは実質的に反対側の安定化デバイス200の第2側において患者の皮膚の一部に接着し、中央又は中間部分(例えば、第1端部分と第2端部分との間)が安定化デバイス200又はIVカテーテル250のうちの少なくとも一方に接着するように、医療用テープの第2ストリップ234を貼ることができる。さらに、図8及び図9に示すように、医療用テープの第2ストリップ234の第1端部分は、医療用テープの第1ストリップ232の第1端部分の上に少なくとも部分的にオーバーラップすることができ、医療用テープの第2ストリップ234の第2端部分は、医療用テープの第1ストリップ232の第2端部分の上に少なくとも部分的にオーバーラップすることができる。いくつかの実施形態では、医療用テープの第1ストリップ232の一部の上に医療用テープの第2ストリップ234の一部を位置決めすることにより、第1ストリップ232又は第2ストリップ234のうちの少なくとも一方の接着を強化することができる。言い換えれば、医療用テープの第2ストリップ234の一部を医療用テープの第1ストリップ232の一部の上に位置決めすることにより、医療用テープの第1ストリップ232のその部分が緩んで作動し、分離し、及び/又は他の方法で接着結合を破断する可能性を低減させることができる。
【0060】
[1066] 上述したように、患者の皮膚に(例えば、医療用テープのストリップ232及び234を介して)安定化デバイス200を固定することにより、安定化デバイス200及び/又は医療用テープが、患者に対してIVカテーテル250を固定し、安定させ、及び/又は実質的に動かないようにする。すなわち、安定化デバイス200の配置は、本明細書において具体的な実施形態に関してさらに詳細に記載するように、患者の皮膚に安定化デバイス200及びIVカテーテル250を固定することにより、IVカテーテルが少なくとも部分的に配置される静脈に対するIVカテーテル250又は少なくともそのIVカテーテルの移動を低減させ及び/又は実質的に防止することができるというものである。さらに、底面208に沿った凹部210の配置は、患者の皮膚に安定化デバイス200を固定及び/又は接着することにより、IVカテーテル250が配置される静脈に対して力をかけず、それにより、本来こうした力もたらされるいかなる妨げ及び/又は制限も低減させ及び/又は実質的になくすというものである。
【0061】
[1067] 図7図9を参照して、安定化デバイス200が、例えば医療用テープの2つのストリップを介して、患者の皮膚に固定されるものとして上述したが、安定化デバイス200は、任意の好適な方法で患者の皮膚に固定することができることが理解されるべきである。例えば、図示しないが、いくつかの実施形態では、安定化デバイス200は、例えばTegadermTM等、透明ドレッシング等を介して、皮膚に固定することができる。こうした場合、透明ドレッシングは、ドレッシングの外周部の周囲に、又はドレッシングの1つ又は複数の縁に沿って配置された接着剤等を含むことができる。いくつかの実施形態では、透明ドレッシングは、安定化デバイス200と使用されるようなサイズ及び/又は形状とすることができる。例えば、透明ドレッシングは、(例えば、図8及び図9に示す医療用テープと同様に)例えば拡張セット260又はIVカテーテル250の近位ポートへのアクセスを可能にしながら、ドレッシングが少なくともIV挿入部位を覆うのを可能にするサイズ又は形状を有することができる。場合により、例えば、透明ドレッシング及び医療用テープの組合せ、及び/又は他の任意の好適な固定方法(接着剤等)等、皮膚に対して安定化デバイス200を固定する複数の方法を使用することができる。
【0062】
[1068] 図10図15は、実施形態による安定化デバイス300を示す。安定化デバイス100及び/又は200に関して上述したように、安定化デバイス300は、留置又は留置された血管アクセスデバイス(VAD)の挿入部位において又はその近くで患者の皮膚と接触して配置されるように構成されている。安定化デバイス300は、VAD及び/又はVADに結合されたデバイス若しくはアダプタ(例えば、拡張セット)に結合し及び/又は他の方法で係合するように構成されている。本明細書にさらに詳細に記載するように、VAD及び/又はVADに結合されたデバイス若しくはアダプタに結合されると、安定化デバイス300は、患者の皮膚に固定することができ、それにより、患者に対してVADの少なくとも一部を固定し及び/又は安定させる。
【0063】
[1069] 安定化デバイス300は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、安定化デバイス300は、少なくとも一部には、安定させるべきVADのサイズ及び/又は形状に基づくサイズ及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス300のサイズ及び/又は形状は、例えば、VAD、VADに結合されたデバイス若しくはアダプタ、及び/又は患者の皮膚に安定化デバイス300を固定するプロセスを簡略化することにより、使いやすさを向上させることができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス300のサイズ及び/又は形状は、人間工学、握り等を向上させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、安定化デバイス200に関して上述したように、安定化デバイス300及び/又はその一部により、術者は、VAD、拡張セット及び/又は安定化されている他の任意の好適なデバイスに対して1つ又は複数のデバイスを結合する(又は分離する)際に、安定化デバイス300に対する確実な握りを維持することができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス300の態様及び/又は部分は、安定化デバイス200の対応する態様及び/又は部分と実質的に同様であり得る。したがって、安定化デバイス300のこうした態様及び/又は部分については、ここではこれ以上詳細に説明しない。
【0064】
[1070] 図10図13に示すように、安定化デバイス300は、近位端部分302及び遠位端部分306を有し、底面308及び結合面312を有する。概して、安定化デバイス200の結合面212に関して上述したように、結合面312は、例えばTアダプタ又はTコネクタ等の拡張セット360を受け入れ、保持し、及び/又は他の方法で拡張セット360に結合するように構成され、拡張セット360はさらに、留置又は留置されたVADに結合される。この実施形態では、留置又は留置されたVADは、例えば、IVカテーテル350であり得る(例えば、図14及び図15を参照)。底面308は、IVカテーテル350等の挿入部位(本明細書では「標的位置」とも呼ぶ)において又はその近くで所定の及び/又は所望の方法で患者の皮膚と接触して配置されるように構成されている。安定化デバイス200に関して上述したように、安定化デバイス300が拡張セット360に結合され、底面308が挿入部位において又はその近くで患者の皮膚と接触すると、安定化デバイス300(及び拡張セット360)は、患者、及び/又はIVカテーテル350が配置される静脈に対して、IVカテーテル350の少なくとも一部を固定し及び/又は安定させるように、患者の皮膚に固定することができる。
【0065】
[1071] 近位端部分302は、所定の及び/又は所望の形状を有する近位面304を有する。例えば、近位面304は、角度を付け、テーパ状とし、フレア状とし、湾曲させ、丸くする等が可能である(例えば、図10図12を参照)。いくつかの実施形態では、近位面304は、丸い、湾曲した、放物線状及び/又は実質的にベル形状の外周部を有することができる(例えば、図13を参照)。さらに、近位端部分302及び/又は近位面304は、安定化デバイス300の中心から離れて横方向に延在する一組の拡張部305(例えば、脚、タブ、パッド、突出部等)を含むことができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス200に関して詳細に上述したように、近位面304及び/又は拡張部305の配置及び/又は形状により、(例えば、医療用テープ等を介する)患者の皮膚への安定化デバイス300の結合又は固定を容易にすることができる。
【0066】
[1072] 底面308は、任意の好適な形状及び/又は構成であり得る。例えば、図12及び図13に示すように、底面308は、概して凹状である輪郭及び/又は形状を有することができる。いくつかの実施形態では、凹状輪郭及び/又は形状は、少なくとも一部には、患者の解剖学的構造の一部の曲率及び/又は形状に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、底面308は、少なくとも一部には、患者の標的位置及び/又はIV挿入部位の全体的な輪郭及び/又は曲率に基づく輪郭及び/又は形状を有することができる。例えば、安定化デバイス200の底面208に関して上述したように、いくつかの実施形態では、輪郭及び/又は曲率は、患者の手又は前腕(又は他の好適な挿入部位及び/又は標的位置)の形状及び/又は湾曲に基づくことができる。
【0067】
[1073] 図13に示すように、底面308は、安定化デバイス300の長手方向中心線の方向において底面308に沿って延在する凹部310(例えば、切欠き、くぼみ、切取部等)を画定する。言い換えれば、凹部310は、近位-遠位方向において底面308に沿って延在する。いくつかの実施形態では、安定化デバイス100及び/又は200に関して上述したように、凹部310は、近位端部分302を通ってかつ遠位端部分306を通って底面308に沿って延在する。いくつかの実施形態では、底面308及び凹部310は、安定化デバイス200のそれぞれ底面208及び凹部210と同様であり及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、底面308及び/又は凹部310のサイズ、形状、構成及び/又は形態については、ここではこれ以上詳細には説明しない。
【0068】
[1074] 安定化デバイス200に関して上述したように、安定化デバイス300は、凹部310が、IVカテーテル350が配置される静脈と位置合わせされ及び/又は他の方法でそうした静脈の上に配置されるように、標的位置における又は標的位置の上の適所において(例えば、IV挿入部位において又はその近くで患者の皮膚に沿って)配置されるように構成されている。いくつかの実施形態では、安定化デバイス300の底面308が患者の皮膚と接触して配置されるとき、凹部310は、患者の皮膚から間隔を空けて配置する(例えば、患者の皮膚と接触しないようにする)ことができる。いくつかの実施形態では、凹部310は、各々、IVカテーテル350が配置されるべき静脈の直径より大きい、高さ(又は深さ)及び幅を有することができる。言い換えれば、凹部310のサイズ及び/又は形状は、少なくとも一部には、上に安定化デバイス300が配置される静脈のサイズ及び/又は形状に基づくことができる。したがって、凹部310は、凹部310が、サイズ、形状及び/又は配置が変化する可能性がある静脈の上に及び/又は上方に若しくは周囲に配置されるのを可能にするほど十分に大きい、高さ及び/又は幅を有することができる。さらに、安定化デバイス200に関して詳細に上述したように、凹部310を、IVカテーテル350が配置される静脈より(例えば、高さ及び/又は幅が)大きいように形成及び/又は画定することにより、例えば、本来底面308によって静脈にかけられる力の量を低減させることができ、及び/又は、IVカテーテル350に又はIVカテーテル350のために安定化を提供し続けながら、患者の一部の移動及び/又は再構成を可能にすることができる。
【0069】
[1075] 安定化デバイス310の結合面312は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。図10図15に示す実施形態では、結合面312は、少なくとも部分的に拡張セット360の形状に基づく、輪郭又は形状を形成することができる。いくつかの実施形態では、結合面312は、拡張セット360の外面と接触及び/又は係合して、それらの間に摩擦嵌合を形成及び/又は画定するように構成することができる。すなわち、結合面312の少なくとも一部は、拡張セット360が結合面312と接触しているとき、摩擦嵌合、圧入、締まり嵌め等を形成するように、拡張セット360の対応する部分に対してわずかにサイズが小さいサイズ及び/又は形状を有することができる。
【0070】
[1076] いくつかの実施形態では、結合面312は、T字型アダプタ又はコネクタ(例えば、拡張セット360)を受け入れ及び/又はT字型アダプタ又はコネクタに結合するように構成することができ、T字型アダプタ又はコネクタはさらにVAD(例えば、IVカテーテル350)に結合される。したがって、安定化デバイス300は、結合面312が、T字型アダプタ、コネクタ及び/又は拡張セット360と接触して配置されると、VAD又はIVカテーテル350を安定させ、支持し、及び/又は固定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、結合面312の形状及び/又は輪郭は、IVカテーテル350の挿入部位(又は標的位置)において又はその近くで患者の皮膚に対して所定の、事前定義された及び/又は他の所望の角度でVAD(例えば、IVカテーテル350)を留置し及び/又は維持するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、近位端部分302における又はその近くの結合面312の高さが、遠位端部分306における又はその近くの結合面312の高さより高いように、結合面312に角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、結合面312は、例えば、挿入部位において又はその近くで患者の皮膚に対して約3°~約15°の角度で、IVカテーテル350を受け入れ、IVカテーテル350に結合し、及び/又はIVカテーテル350を固定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイス200に関して詳細に上述したように、安定化デバイス300の結合面312は、少なくとも一部には、例えばIVカテーテル350及び/又は患者の挿入部位の挿入の角度に基づく任意の好適な角度で、IVカテーテル350を固定するように配置することができる。
【0071】
[1077] 例えば図12に示すように、結合面312は、遠位切欠き314と、1つ又は複数の側部溝316と、1つ又は複数の突出部318とを含む。結合面312により及び/又は結合面312に沿って形成された遠位切欠き314は、拡張セット360の遠位係止機構362(例えば、Luer Lok(登録商標))を収容するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、拡張セット360(例えば、Tアダプタ)は、その遠位端部分に、拡張セット360をIVカテーテル350に物理的にかつ流体的に結合するように構成されている回転式ロックを含むことができる。したがって、安定化デバイス200の結合面212に関して上述したように、遠位切欠き314は、術者が、拡張セット360の遠位係止機構362をIVカテーテル350に結合し又はIVカテーテル350から分離するように、回転式ロックを把持して回転させるのに十分な空間を提供することができる。
【0072】
[1078] 安定化デバイス300の1つ又は複数の側部溝316は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。図10図15に示す実施形態では、安定化デバイス300は、2つの側部溝316を含み、安定化デバイス200の両側に1つの側部溝316があり、例えば、安定化デバイス300の長手方向中心線Cに対して垂直及び/又は横切る方向において延在している(例えば、図12を参照)。側部溝316のうちの少なくとも一方は、拡張セット360の側部ポート363を受け入れるように構成されている。例えば、図14及び図15に示すように、拡張セット360は、「T字」構成を有するデュアルポート拡張セットとすることができ、そこでは、側部ポート363は、近位係止機構361と遠位係止機構362との間に画定された長手方向軸Aに対して実質的に垂直である(例えば、図15を参照)。したがって、拡張セット360が結合面312に結合されると、安定化デバイス300の長手方向中心線Cと拡張セット360によって画定された長手方向軸Aとが、位置合わせされ及び/又は実質的に同軸であり、拡張セット360の側部ポート363は、安定化デバイス300の左側における又は安定化デバイス300の右側における側部溝316と接触して配置することができ、そうした側部溝316内に配置することができ、及び/又はそうした側部溝316を通って延在することができる。
【0073】
[1079] いくつかの実施形態では、結合面312及び拡張セット360の配置は、拡張セット360が、結合面312と接触して配置され、側部ポート363が側部溝316のうちの一方に配置される位置まで回転するというものであり得る。いくつかの実施形態では、側部溝312を形成及び/又は画定する結合面312の部分が、拡張セット360の側部ポート363の少なくとも一部とスナップフィット又は圧入を形成することができる。さらに、使用時、拡張セット360の側部ポート363は、典型的には、可撓性管365(例えば、図14及び図15を参照)等に結合され、したがって、側部溝316は、可撓性管365の過度の曲がり又はキンクをもたらすことなく、可撓性管365の拡張セット360の側部ポート363への結合を可能にするように構成することができる。
【0074】
[1080] いくつかの実施形態では、結合面312の1つ又は複数の突出部318は、結合面312が拡張セット360と接触して配置されたときに安定化デバイス300が所望の向きにあり、及び/又は所望の方向に面していることを確実にするように、配置し及び/又は構成することができる。例えば、図12に示すように、結合面312は、側部溝316に対して遠位側である、結合面312の一部から延在する一組の突出部318を含むことができる。突出部318の組は、任意の好適な構成及び/または配置であり得る。例えば、結合面312は、3つの突出部318の組を含むものとして示すが、他の実施形態では、結合面312は、任意の数の突出部318(例えば、1つの突出部、2つの突出部、4つの突出部、5つの突出部、又はそれより多く)を含むことができる。いくつかの実施形態では、突出部318は、実質的に均一であり得るか、又は、1つ若しくは複数の異なる高さ、幅、長さ等を有することができる。
【0075】
[1081] いくつかの実施形態では、突出部318は、結合面312が拡張セット360に対して所望の位置及び/又は向きに配置されるように、拡張セット360の一部と選択的に係合するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、突出部318の配置は、安定化デバイス300の遠位端部分306が遠位係止機構362と位置合わせされるか又は接触するように配置されるとき、拡張セット360の側部ポート363が側部溝316と位置合わせされるというものであり得る。より具体的には、図14及び図15に示すように、遠位係止機構362の一部が、結合面312によって画定された遠位切欠き314内に配置され及び/又は遠位切欠き314と位置合わせされるように、結合面312が拡張セット360と接触して配置されるとき、拡張セット360の側部ポート363が、側部溝316のうちの1つと位置合わせされかつその中に配置され得る。言い換えれば、安定化デバイス300の遠位端部分306及び遠位係止機構362が同じ向きに配置されるとき(例えば、安定化デバイス300及び拡張セット360が同じ方向に面しているとき)、拡張セット360の側部ポート363は、側部溝316のうちの1つの中に位置決めすることができる。さらに言い換えれば、遠位係止機構362が、結合面312によって画定された遠位切欠き314内に配置され及び/または遠位切欠き314と位置合わせされると、拡張セット360の長手方向軸Aに沿った側部ポート363の位置は、安定化デバイス300の長手方向中心線Cに沿った側部溝316の位置と実質的に位置合わせされ、それにより、側部ポート363を側部溝316のうちの1つの中に配置することができる。
【0076】
[1082] 上述したように、突出部318の配置は、安定化デバイス300が拡張セットに対して所望の向きにあるとき、結合面312が拡張セット360と接触して配置され及び/又は拡張セット360に結合されるのを可能にすることができ、及び/又は可能にするように構成することができる。逆に、突出部318の配置は、安定化デバイス300が拡張セット360に対して望ましくない向きに配置された場合、結合面312と拡張セット360との間の接触を制限することができ、及び/又はそれらの間の結合を制限し及び/又は阻止することができるというものであり得る。例えば、安定化デバイス300の遠位端部分306及び遠位係止機構362が位置合せされていない場合、突出部318は、拡張セット360の一部と選択的に係合することができ、それにより、拡張セット360の側部ポート363が、側部溝316に対して位置ずれすることになる。
【0077】
[1083] いくつかの実施形態では、側部ポート363と側部溝316との間の位置ずれにより、結合面312が拡張セット360と接触して配置されること及び/又は拡張セット360に結合されることを制限し及び/又は実質的に阻止することができ、それは、術者に対して、安定化デバイス300が拡張セット360に対して(及び/又はその逆)望ましくない向きにあるという指標を提供することができる。例えば、場合により、突出部318は、安定化デバイス300及び拡張セット360が反対の方向及び/又は向きに配置されたとき、側部溝316に対して側部ポート363の位置をずらすように拡張セット360の一部と選択的に係合することができる。より詳細には、突出部318は、安定化デバイス300の結合面312が、拡張セット360の近位係止機構361が結合面312によって画定された遠位切欠き314と位置合わせされ及び/又は遠位切欠き314内に配置されるように、少なくとも部分的に拡張セット360と接触するように配置されると、側部溝316に対して側部ポート363の位置をずらすように、拡張セット360の一部と選択的に係合することができる。言い換えれば、拡張セット360の近位係止機構361が、結合面312によって画定された遠位切欠き314内に配置され及び/又は遠位切欠き314と位置合わせされると、拡張セット360の長手方向軸Aに沿った側部ポート363の位置が、安定化デバイス300の長手方向中心線Cに沿った側部溝316の位置に対して位置ずれし、それにより、側部ポート363が側部溝316のうちの1つの中に配置されるのを制限し及び/又は実質的に阻止することができる。簡単に言えば、いくつかの実施形態では、安定化デバイス300が拡張セット360に対して後方の向きにある間、突出部318は、安定化デバイス300が拡張セット360と望ましいように接触して配置され又は拡張セット360に結合されるのを制限し及び/又は実質的に阻止することができる。
【0078】
[1084] 安定化デバイス200に関して上述したように、安定化デバイス300は、例えば患者の標的位置に対して、IVカテーテル350を固定し及び/又は安定させるように構成される。例えば、場合により、IVカテーテル350は、(1)IVカテーテル350の一部が静脈内に配置され、かつ(2)IVカテーテル350のハブが患者の体外に配置されるように、患者の手に(例えば、標的位置において又は標的位置に沿って)挿入することができる。場合により、拡張セット360(例えば、Tアダプタ)は、IVカテーテル350のハブに物理的にかつ流体的に結合することができる。
【0079】
[1085] 拡張セット360がIVハブに結合された状態で、術者(例えば、医師、看護師、技師、内科医、外科医及び/又は他の医療専門家)は、拡張セット360の一部を、安定化デバイス300の結合面312と接触して配置することにより、安定化デバイス300を操作することができる。上述したように、結合面312は、拡張セットの一部との摩擦嵌合等を形成して拡張セット360を安定化デバイス300に結合するように構成することができる。さらに、詳細に上述したように、突出部318の配置は、術者が、安定化デバイス300及び拡張セット360が互いに対して所望の向きに配置されているか否かを視覚的に点検することができるように、拡張セット360と選択的に係合するように構成することができる。したがって、詳細に上述しかつ例えば図14及び図15に示したように、安定化デバイス300は、拡張セット360と接触して配置し及び/又は拡張セット360に結合することができる。
【0080】
[1086] 安定化デバイス300は、拡張セット360に結合されると、患者の皮膚に(例えば、挿入部位若しくは標的位置において又はその近くで)位置決めすることができる。この例では、IVカテーテル350は患者の手に挿入され、したがって、安定化デバイス300は、患者の手に対して位置決めされる。したがって、安定化デバイス300の底面308は、IVカテーテル350の挿入部位において若しくはその近くで、及び/又は患者の標的位置においてもしくはその近くで、患者の皮膚と接触して配置することができる。上述したように、凹部310が、IVカテーテル350が配置される静脈と位置合わせされ及び/又は他の方法でそうした静脈の周囲に若しくは上に配置されるように、安定化デバイス300を調整し及び/又は位置決めすることができる。このように、患者の皮膚に安定化デバイス300を固定することにより、底面308が、本来、静脈を通る流れを妨げ及び/又は制限するのに十分である可能性がある力を静脈にかけることにならない。
【0081】
[1087] 拡張セット360に安定化デバイス300を結合し、(例えば、凹部310が、IVカテーテル350が配置される静脈と位置合わせされ又はそうした静脈の上に配置されるように)安定化デバイス300を挿入部位において又はその近くで所望の位置に配置すると、術者は、患者に安定化デバイス300を固定することができる。例えば、図14及び図15には示さないが、場合により、術者は、医療用テープ等を介して患者の標的位置に安定化デバイス300を固定することができる。より詳細には、場合により、術者は、安定化デバイス200に関してかつ図8及び図9を参照して詳細に上述したように、医療用テープの2つのストリップを使用して、患者の標的位置に安定化デバイス300を固定することができる。安定化デバイス300は、例えば医療用テープの2つのストリップを介して、患者の標的位置に固定されているように記載しているが、安定化デバイス300が、安定化デバイス200に関して上述した方法等の任意の好適な方法で患者の標的位置(例えば、IV挿入部位における又はその近くの患者の皮膚)に固定することができる。したがって、安定化デバイス300を患者の標的位置に固定するプロセスについては、ここではこれ以上詳細には説明しない。
【0082】
[1088] 上述したように、患者の皮膚に(例えば、医療用テープのストリップ332及び334を介して)安定化デバイス300を固定することにより、安定化デバイス300及び/又は医療用テープが、患者に対してIVカテーテル350を固定し、安定させ、及び/又は実質的に動かないようにする。すなわち、安定化デバイス300の配置は、本明細書において具体的な実施形態に関してさらに詳細に記載するように、IVカテーテルが少なくとも部分的に配置される静脈に対する、IVカテーテル350又は少なくともそのIVカテーテルの移動を低減させ及び/又は実質的に防止することができるというものである。さらに、底面308に沿った凹部310の配置は、安定化デバイス300を患者の皮膚に固定し及び/又は接着することにより、IVカテーテル350が配置される静脈に対して力がかからないというものである。
【0083】
[1089] 図16は、実施形態による安定化デバイスを使用する方法10を示すフローチャートである。安定化デバイスは、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、安定化デバイスは、上述した安定化デバイス100、200及び/又は300と実質的に同様であり得る。したがって、安定化デバイスを使用して、少なくとも部分的に患者の体内に配置された血管アクセスデバイス(VAD)を固定し及び/又は安定させることができる。上述したように、VADは、任意の好適なデバイス又はデバイスの組であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、VADはIVカテーテルであり得る。他の実施形態では、VADは、留置又は留置されたIVカテーテルに結合されたアダプタ又はコネクタ(例えば、拡張セット)であり得る。
【0084】
[1090] 図16に示すように、方法10は、11において、患者の静脈内に少なくとも部分的に配置されたVADに安定化デバイスを結合することを含む。安定化デバイス200及び/又は300に関して上述したように、安定化デバイスは、VADの一部を受け入れ及び/又はVADの一部に結合するように構成された結合面(例えば、結合面212及び/又は312)を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、VADは、IV拡張セット等に結合されるIVカテーテルを含むことができ、及び/又はそうしたIVカテーテルであり得る。安定化デバイス200及び/又は300に関して上述したように、拡張セットは、例えばT字構成等を有するデュアルポート拡張セット又はアダプタであり得る。こうした実施形態では、VADへの安定化デバイスの結合は、拡張セットの側部ポート等が、結合面に含まれ及び/又は結合面によって形成された側部溝と位置合わせされ及び/又は接触するように、拡張セットを安定化デバイスの結合面と接触して配置することを含むことができる(例えば、図7図14及び/又は図15を参照)。
【0085】
[1091] いくつかの実施形態では、結合面は、結合面312に関して上述したように、例えば、安定化デバイス、VAD及び/又はアダプタが望ましくない向き等にある場合、VAD又はアダプタの一部と選択的に係合するように構成された、1つ又は複数の特徴、突出部、部材等を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、VADへの安定化デバイスの結合は、拡張セットに安定化デバイスを結合することと、(例えば、長手方向軸及び長手方向中心線が、同軸であり、平行であり、及び/又は他の方法で実質的に同様の方向に延在しているように)安定化デバイスの長手方向中心線に拡張セットの長手方向軸を位置合わせすることと、拡張セットを安定化デバイスの結合面と接触して配置することとを含む。上述したように、安定化デバイス及び/又は拡張セットが、所望の向きにあり及び/又は他の方法で同じ方向に面しているとき、拡張セットの側部ポートは、結合面の側部溝と位置合わせしかつ接触して配置することができる。しかしながら、安定化及び/又は拡張セットが所望の方向になく及び/又は他の方法で反対方向に面している場合、結合面の特徴、突出部、部材等は拡張セットの一部に係合することができ、それにより、(安定化デバイス300に関して詳細に上述したように)拡張セットの側部ポートは側面チャネルに対して位置ずれし、それにより、側面チャネルと接触して配置されることを実質的に阻止することができる。他の実施形態では、安定化デバイスの結合面はこうした特徴等を含む必要はない。
【0086】
[1092] VADに安定化デバイスを結合した後、12において、安定化デバイスは、安定化デバイスの底面によって形成された凹状部分が静脈と位置合わせされるように、患者の皮膚の上に(例えば、標的位置において)位置決めされる。安定化デバイス100、200及び/又は300に関して上述したように、凹状部分は、安定化デバイスが患者の皮膚に固定されたとき、底面が患者の静脈に対して望ましくない力をかけるのを低減させ及び/又は実質的に防止するように構成することができる。したがって、凹状部分が静脈と位置合わせされ及び/又は静脈の上方に若しくは周囲に配置されるまで、標的位置及び/又はIV挿入部位に対する安定化デバイスの位置を調整することができる。
【0087】
[1093] 安定化デバイスが所望の位置にある状態で、13において、医療用テープの第1ストリップの第1端部分及び第2端部分の各々が、患者の標的部位に接触し、かつ医療用テープの第1ストリップの中央部分に対して遠位であるように、医療用テープの第1ストリップが安定化デバイスの近位面に貼られる。安定化デバイス200に関して上述したように、医療用テープの第1ストリップの一部が安定化デバイスの近位面の少なくとも一部の上に重なり及び/又はそうした少なくとも一部に接着するように、第1ストリップを安定化デバイスに貼ることができる。いくつかの実施形態では、安定化デバイスの近位面は、(例えば、図8及び図9を参照して上述したように)近位面に貼られたときに医療用テープの第1ストリップの曲がり又は弓なりをもたらすように構成されるサイズ及び/又は形状を有することができる。そして、医療用テープの第1ストリップの曲がり及び/又は弓なりにより、医療用テープの第1端部分及び第2端部分の各々が、安定化デバイスの近位面に対する遠位部分において患者の標的位置に(例えば、IV挿入部位において又はその近くにおいて患者の皮膚に)固定されることになる。さらに、医療用テープの第1ストリップの中央部分(例えば、中間部分)は、安定化デバイスの近位面に少なくとも部分的に、かつ標的位置において又はその近くで患者の皮膚と少なくとも部分的に接触する(例えば、図8及び図9を参照)。
【0088】
[1094] 方法10は、14において、医療用テープの第2ストリップが少なくとも医療用テープの第1ストリップの第1端部分及び第2端部分と部分的にオーバーラップするように、安定化デバイスの一部分に医療用テープの第2ストリップを貼ることを含む。例えば、図8及び図9を参照して上述したように、医療用テープの第2ストリップは、医療用テープの第2ストリップの第1端部分が、患者の皮膚に接着し、かつ医療用テープの第1ストリップの第1端部分と少なくとも部分的にオーバーラップし、医療用テープの第2ストリップの第2端部分が、患者の皮膚に接着し、かつ医療用テープの第1ストリップの第2端部分と少なくとも部分的にオーバーラップし、医療用テープの第2ストリップの中央又は中間部分が、安定化デバイスの上記部分に及び/又は拡張セットに接着するように、安定化デバイスのその部分に対して横方向に貼ることができる。さらに、安定化デバイスの上記部分は、医療用テープの第1ストリップが接着する近位面に対して遠位側である。いくつかの実施形態では、医療用テープの第1ストリップの一部の上に医療用テープの第2ストリップの一部を位置決めすることにより、第1ストリップ又は第2ストリップのうちの少なくとも一方の接着を強化することができる。言い換えれば、医療用テープの第1ストリップの一部の上に医療用テープの第2ストリップの一部を位置決めすることにより、医療用テープの第1ストリップのその部分が緩んで作動し、分離し、及び/又は他の方法で接着結合を破断させる可能性を低減させることができる。
【0089】
[1095] いくつかの実施形態では、医療用テープの第1ストリップ及び医療用テープの第2ストリップの配置は、拡張セットの近位係止機構が、例えば、医療用テープの第1ストリップの中央部分及び医療用テープの第2ストリップの中央部分と医療用テープの第2ストリップの中央部分との間に画定された空間、間隙及び/又は分離点の間を及び/又はそれを通って延在すると言うものであり得る(例えば、図8及び図9を参照)。言い換えれば、医療用テープの第1ストリップ及び第2ストリップのいずれも、拡張セットの近位係止機構を妨げない。したがって、安定化デバイスが患者の標的位置に固定されたとき、拡張セットの近位係止機構に任意の好適なデバイス等を結合することができる。
【0090】
[1096] 上述したように、標的位置において又はその近くで(例えば、医療用テープのストリップを介して)患者の皮膚に安定化デバイスを固定することにより、安定化デバイスが、患者の標的位置に対してIVカテーテルを固定し、安定させ、及び/又は実質的に動かないようにする。すなわち、安定化デバイスの配置は、具体的な実施形態に関して本明細書においてさらに詳述したように、IVカテーテルが少なくとも部分的に配置される静脈に対するIVカテーテル又は少なくともそのIVカテーテルの移動を低減させ及び/又は実質的に防止することができるというものである。さらに、底面に沿った凹状部分の配置は、患者の皮膚に安定化デバイスを固定し及び/又は接着することにより、IVカテーテルが配置される静脈に力がかからず、それにより、本来こうした力からもたらされるいかなる妨げ及び/又は制限も低減し及び/又は実質的になくなるというものである。
【0091】
[1097] さまざまな実施形態について上述したが、それらは、限定としてではなく単に例として提示されていることが理解されるべきである。上述した概略図及び/又は実施形態が、いくつかの向き又は位置に配置されたいくつかの構成要素を示す場合、構成要素の配置は変更することができる。さまざまな実施形態について特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして記載したが、上述した実施形態のうちの任意のものからの任意の特徴及び/又は構成要素の組合せを有する他の実施形態があり得る。実施形態を特に示し記載したが、形態及び細部のさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。
【0092】
[1098] いくつかの実施形態では、さまざまな構成要素の具体的な構成もまたは変更することができる。例えば、さまざまな構成要素のサイズ及び具体的な形状は、本明細書に記載した機能を依然として提供しながら、示した実施形態とは異なり得る。より具体的には、さまざまな構成要素のサイズ及び形状は、流体リザーバ内への体液流の所望の速度及び/又は容量に対して具体的に選択することができる。同様に、さまざまな構成要素のサイズ及び/又は形状は、所望の又は意図された使用に対して具体的に選択することができる。
【0093】
[1099] 上述した方法及び/又は概略図は、所定の順序で発生する所定の事象及び/又は流れパターンを示すが、所定の事象及び/又は流れパターの順序付けは変更することができる。さらに、所定の事象は、可能な場合は並行プロセスで同時に実行することができるとともに、逐次実行することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16