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特許7532585情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240805BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023041310
(22)【出願日】2023-03-15
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 孝信
(72)【発明者】
【氏名】土居(関口) 優希
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 康貴
(72)【発明者】
【氏名】市丸 朋史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 絵理子
(72)【発明者】
【氏名】小河 有史
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0158474(US,A1)
【文献】濱上 大基,DataRobotを用いたアップリフトモデリング,[online],2022年10月25日,<URL:https://www.datarobot.com/jp/blog/upliftmodeling/>,[2024年4月12日検索],インターネット,<URL:https://www.datarobot.com/jp/blog/upliftmodeling/>
【文献】清水亮洋,クーポンマーケティングにおけるUplift Modeling適用の問題点と新しい評価指標,[online],2020年06月09日,[2024年4月12日検索],インターネット,<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2020/0/JSAI2020_1H4OS12b02/_pdf/-char/ja>,<参考URL:https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2020/session/1H06-10/detail?lang=ja>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者に利益を提供した場合の利用者の前記関連又は類似するサービスの利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、前記所定のサービスについて利益を提供した場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率と、利益を提供しなかった場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率とを推定する推定部と、
推定されたそれぞれの利用態様の発生確率の差分に基づいて、前記利用者に、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する判定部と、
前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供する提供部と、
モデルを評価する評価部と、
を備え
前記評価部は、
サービスの利用者数の増加を示す指標として、利益を提供した場合のコンバージョン率と利益を提供しなかった場合のコンバージョン率との差分である第1指標値を計測し、
利益提供に係る費用の抑制効果を示す指標として、利益を提供した場合のサービスの利用者数と利益を提供しなかった場合のサービスの利用者数との差分により利益提供に係る費用を割ることで算出可能な第2指標値を計測し、
ABテストを行い、前記第1指標値及び前記第2指標値の改善効果を評価する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記利用者に利益を提供した場合に前記所定のサービスを利用する確率と、前記利用者に利益を提供しなかった場合に前記所定のサービスを利用する確率とを推定し、
前記判定部は、前記利用者に利益を提供した場合に前記所定のサービスを利用する確率と、前記利用者に利益を提供しなかった場合に前記所定のサービスを利用する確率との差分からスコアを算出し、前記スコアに基づいて、前記利用者に、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記差分又は前記スコアに応じて、前記利用者に提供される利益の種別又は内容を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、利益の候補ごとに判定して、前記利用者に提供する利益として、前記スコアが最も高い利益を提供することを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記スコアが所定の閾値を下回る場合には、利益の候補のうち最も低い利益を提供することを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記利用者に利益を提供した場合に前記所定のサービスを利用するかしないかを推定する第1のモデルと、前記利用者に利益を提供しなかった場合に前記所定のサービスを利用するかしないかを推定する第2のモデルとを参照し、
前記第1のモデルを用いて、前記利用者に利益を提供した場合に前記所定のサービスを利用する確率を推定し、前記第2のモデルを用いて、前記利用者に利益を提供しなかった場合に前記所定のサービスを利用する確率を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記利用者が属するグループに、前記所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定し、
前記提供部は、前記所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、前記利用者が属するグループに、前記所定のサービスに関する利益を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記推定部は、勾配ブースティング決定木モデルを用いて、前記利用者の属性又は履歴に基づいて、前記利用者が前記所定のサービスを利用する際に、提供された利益であるクーポンを利用するか否かを推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者に利益を提供した場合の利用者の前記関連又は類似するサービスの利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、前記所定のサービスについて利益を提供した場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率と、利益を提供しなかった場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率とを推定する推定工程と、
推定されたそれぞれの利用態様の発生確率の差分に基づいて、前記利用者に、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する判定工程と、
前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供する提供工程と、
モデルを評価する評価工程と、
を含み、
前記評価工程では、
サービスの利用者数の増加を示す指標として、利益を提供した場合のコンバージョン率と利益を提供しなかった場合のコンバージョン率との差分である第1指標値を計測し、
利益提供に係る費用の抑制効果を示す指標として、利益を提供した場合のサービスの利用者数と利益を提供しなかった場合のサービスの利用者数との差分により利益提供に係る費用を割ることで算出可能な第2指標値を計測し、
ABテストを行い、前記第1指標値及び前記第2指標値の改善効果を評価する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者に利益を提供した場合の利用者の前記関連又は類似するサービスの利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、前記所定のサービスについて利益を提供した場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率と、利益を提供しなかった場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率とを推定する推定手順と、
推定されたそれぞれの利用態様の発生確率の差分に基づいて、前記利用者に、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する判定手順と、
前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供する提供手順と、
モデルを評価する評価手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラムであって、
前記評価手順では、
サービスの利用者数の増加を示す指標として、利益を提供した場合のコンバージョン率と利益を提供しなかった場合のコンバージョン率との差分である第1指標値を計測し、
利益提供に係る費用の抑制効果を示す指標として、利益を提供した場合のサービスの利用者数と利益を提供しなかった場合のサービスの利用者数との差分により利益提供に係る費用を割ることで算出可能な第2指標値を計測し、
ABテストを行い、前記第1指標値及び前記第2指標値の改善効果を評価する
ことを特徴とする情報処理プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インセンティブが付与された場合にユーザが所定の行動を行う可能性と、インセンティブが付与されなかった場合にユーザが所定の行動を行う可能性とに基づいて、ユーザにインセンティブを付与する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-177262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、店舗を利用又は商品を購入したことはあるが定着には至っていないユーザを対象にクーポンを配布して購買促進させ、定着を図るために更なる改善の余地があった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、店舗を利用又は商品を購入したことはあるが定着には至っていないユーザを対象にクーポンを配布して購買促進させ、定着を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者に利益を提供した場合の利用者の前記関連又は類似するサービスの利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、前記所定のサービスについて利益を提供した場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率と、利益を提供しなかった場合の前記利用者の前記所定のサービスの利用態様の発生確率とを推定する推定部と、推定されたそれぞれの利用態様の発生確率の差分に基づいて、前記利用者に、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する判定部と、前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、前記利用者に、前記所定のサービスに関する利益を提供する提供部と、モデルを評価する評価部と、を備え、前記評価部は、サービスの利用者数の増加を示す指標として、利益を提供した場合のコンバージョン率と利益を提供しなかった場合のコンバージョン率との差分である第1指標値を計測し、利益提供に係る費用の抑制効果を示す指標として、利益を提供した場合のサービスの利用者数と利益を提供しなかった場合のサービスの利用者数との差分により利益提供に係る費用を割ることで算出可能な第2指標値を計測し、ABテストを行い、前記第1指標値及び前記第2指標値の改善効果を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、店舗を利用又は商品を購入したことはあるが定着には至っていないユーザを対象にクーポンを配布して購買促進させ、定着を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。
図2図2は、アップリフトモデルの概要を示す説明図である。
図3図3は、各指標の計算方法の概要を示す説明図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るサーバ装置の構成例を示す図である。
図7図7は、利用者情報データベースの一例を示す図である。
図8図8は、履歴情報データベースの一例を示す図である。
図9図9は、スコア情報データベースの一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
図11図11は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理方法の概要〕
まず、図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の概要について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。なお、図1では、店舗を利用又は商品を購入したことはあるが定着には至っていないユーザを対象にクーポンを配布して購買促進させ、定着を図る場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10とサーバ装置100とを含む。端末装置10とサーバ装置100とは、ネットワークN(図4参照)を介して有線又は無線で互いに通信可能に接続される。本実施形態では、端末装置10は、サーバ装置100と連携する。
【0012】
端末装置10は、利用者U(ユーザ)により使用されるスマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイスであり、5G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者Uから指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受付ける。なお、画面のうち、コンテンツが表示されている領域上で行われた操作を、コンテンツに対する操作としてもよい。また、端末装置10は、スマートデバイスのみならず、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0013】
サーバ装置100は、各利用者Uの端末装置10と連携し、各利用者Uの端末装置10に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、コンピュータやクラウドシステム等により実現される。
【0014】
また、サーバ装置100は、各利用者Uの端末装置10に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、サーバ装置100は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引(EC:Electronic Commerce)、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、サーバ装置100は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0015】
なお、サーバ装置100は、利用者Uに関する利用者情報を取得可能である。例えば、サーバ装置100は、利用者Uの性別、年代、居住地域といった利用者Uの属性に関する情報を取得する。そして、サーバ装置100は、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)とともに利用者Uの属性に関する情報を記憶して管理する。
【0016】
また、サーバ装置100は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、サーバ装置100は、利用者Uの位置や日時の履歴である位置履歴を端末装置10から取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を検索サーバ(検索エンジン)から取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴をコンテンツサーバから取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uの商品購入や決済処理の履歴である購入履歴(決済履歴)を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uのマーケットプレイスへの出品の履歴である出品履歴や販売履歴を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得してもよい。また、サーバ装置100は、利用者Uの投稿の履歴である投稿履歴を口コミの投稿サービスを提供する投稿サーバやSNSサーバから取得する。なお、上記の各種サーバ等は、サーバ装置100自体であってもよい。すなわち、サーバ装置100が上記の各種サーバ等として機能してもよい。
【0017】
〔1-1.クーポン配布による顧客育成の最適化〕
例えば、図1に示すように、サーバ装置100は、不特定多数の利用者Uが利用している各種サービスで利用者Uに利益を提供した場合の利用者Uの各種サービスの利用態様の特徴に関する情報を取得する(ステップS1)。
【0018】
例えば、サーバ装置100は、各種サービスの利用履歴から、利用者Uの各種サービスの利用態様の特徴に関する情報を取得してもよいし、各種サービスで利用者Uに利益を提供した際に、その都度、利用者Uの各種サービスの利用態様の特徴に関する情報を収集してもよい。
【0019】
なお、各種サービスは、後述する所定のサービスと関連又は類似するサービスであってもよい。なお、所定のサービスと関連又は類似するサービスには、所定のサービス自体又は所定のサービスと同一のサービスも含まれていてもよい。また、利用者Uに提供される利益とは、例えば、クーポン、特典、キャッシュバック、金銭、ポイント、電子マネー、ギフト、おまけなどのインセンティブ(Incentive)であり、ユーザに還元可能なものであればどのようなものであってもよい。本実施形態では、利用者Uに提供される利益として、クーポンを例に説明する。
【0020】
すなわち、各種サービスで利用者Uに利益を提供した場合の利用者Uの各種サービスの利用態様の特徴とは、クーポンを配布した際に利用者Uがクーポンを受け取るか受け取らないか、また、クーポンを受け取った場合に商品を購入するかしないか、クーポンを受け取らなかった場合に商品を購入するかしないか等である。
【0021】
続いて、サーバ装置100は、利用者Uの各種サービスの利用態様の特徴を学習して生成・更新された利用者Uの各種サービスの利用態様の推定モデルを参照する(ステップS2)。
【0022】
例えば、利用者Uの各種サービスの利用態様の推定モデルは、各種サービスについて、利益を提供した場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様と、利益を提供しなかった場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様とを学習して得られたモデルである。本実施形態では、サーバ装置100は、事前に生成・用意されたモデルを参照する。なお、サーバ装置100は、モデルが存在しない場合には、利用者Uの各種サービスの利用態様の特徴を学習してモデルを生成してもよい。ただし、モデルは毎回生成する必要はない。また、サーバ装置100は、定期的に学習してモデルを更新してもよい。
【0023】
本実施形態では、サーバ装置100は、利用者Uにクーポンを配布した際に買うか買わないかを推定する第1のモデルと、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買うか買わないかを推定する第2のモデルとの2種類のモデルを参照する。なお、第1のモデル及び第2のモデルは便宜上・概念上の区分であり、実際には同じモデル(1つのモデル)であってもよい。1つのモデルである場合、サーバ装置100は、利用者Uにクーポンを配布した際に買うか買わないかを推定するとともに、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買うか買わないかを推定するモデルを参照する。
【0024】
続いて、サーバ装置100は、参照された推定モデルを用いて、所定のサービスについて利益を提供した場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様(第1利用態様)の発生確率を推定する(ステップS3)。
【0025】
例えば、サーバ装置100は、利用者Uにクーポンを配布した際に買うか買わないかを推定する第1のモデルを用いて、利用者Uにクーポンを配布した際に買う確率を推定する。
【0026】
また、サーバ装置100は、参照された推定モデルを用いて、所定のサービスについて利益を提供しなかった場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様(第2利用態様)の発生確率を推定する(ステップS4)。
【0027】
例えば、サーバ装置100は、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買うか買わないかを推定する第2のモデルを用いて、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買う確率を推定する。
【0028】
続いて、サーバ装置100は、推定されたそれぞれの利用態様(第1利用態様と第2利用態様)の発生確率の差分に基づいて、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する(ステップS5)。
【0029】
例えば、サーバ装置100は、利用者Uにクーポンを配布した際に買う確率と、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買う確率との差分に基づいて、利用者Uに、クーポンを配布するか否かを判定する。
【0030】
続いて、サーバ装置100は、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供する場合、利用者Uの端末装置10に、利用者Uに応じた所定のサービスに関する利益を提供する(ステップS6)。
【0031】
例えば、サーバ装置100は、利用者Uに、クーポンを配布すると判定した場合、利用者Uに、クーポンを配布する。なお、クーポンの配布方法は、利用者Uの端末装置10にクーポンのデータを送信(又は利用者Uがダウンロード)してもよいし、決済アプリ用のクーポンをサーバ上で管理して利用者Uが決済アプリを用いて購入した際にクーポンを自動適用するようにしてもよい。
【0032】
図2は、アップリフトモデルの概要を示す説明図である。本実施形態では、図2に示すようなアップリフトモデル(Uplift model)において、クーポンを配布しないと購入しないが、クーポンを配布すると購入してくれる「説得可能」のユーザ群を見つけて、「説得可能」のユーザ群を対象として効果的なクーポンを配布することで定着を図る。
【0033】
そこで、図1に示すように、ユーザにクーポンを配ったときに買う確率P(1)が、ユーザにクーポンを配らなかったときに買う確率P(0)よりも大きい方が配る効果が大きい(説得可能)として、アップリフトスコア「Uplift score=P(1)-P(0)」を算出し、スコアに応じてクーポン配布を決定し、クーポン配布による顧客育成の最適化を図る。
【0034】
このように、本実施形態では、サーバ装置100は、所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者Uに利益を提供(例えば、クーポンを配布)した際に、関連又は類似するサービスの利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、所定のサービスについて利益を提供した際に所定のサービスの利用態様の発生確率と、提供しなかった際の利用態様の発生確率とを推定する。そして、サーバ装置100は、推定された利用態様の発生確率の差分に基づいて、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する。
【0035】
また、サーバ装置100は、利用者Uにクーポンを配布(提供)した場合に、利用者Uが所定のサービスを利用する際に配布されたクーポンを利用するか否かの確率を求める。そして、サーバ装置100は、利用者Uが所定のサービスを利用する際にクーポンを利用する確率と、利用者Uが所定のサービスを利用する際にクーポンを利用しない確率との差分が所定の閾値を超える場合、利用者Uにクーポンを配布すると判定する。なお、サーバ装置100は、利用者Uが所定のサービスを利用する際にクーポンを利用する確率と、利用者Uが所定のサービスを利用する際にクーポンを利用しない確率との差分に応じて、利用者Uに配布されるクーポンの種別・内容を判定してもよい。
【0036】
このとき、サーバ装置100は、モデルを用いて、利用者Uの属性や履歴等に基づいて、利用者Uが所定のサービスを利用する際に配布されたクーポンを利用するか否かを推定する。モデルは、例えばGBDT(Gradient Boosting Decision Tree:勾配ブースティング決定木)モデル等である。GBDTとは、「勾配降下法(Gradient)」と「ブースティング(Boosting)」、「決定木(Decision Tree)」を組み合わせた手法である。
【0037】
また、サーバ装置100は、モデルを用いて、利用者Uに配布するクーポンの種別・内容を推定してもよい。例えば、サーバ装置100は、利用者Uに、300円割引クーポンを配布するか、500円割引クーポンを配布するかを推定してもよい。また、サーバ装置100は、クーポンの割引額の候補ごとに推定して、利用者Uに配布するクーポンとして、スコアが一番高い(最適な)割引額のクーポンを配布することを推定してもよい。このとき、サーバ装置100は、スコアが所定の閾値を下回る場合には、クーポンを配布しなくても購入するユーザであると推定し、一番安い割引額のクーポンを配布する(又はクーポン自体を配布しない)ことを推定してもよい。
【0038】
なお、サーバ装置100は、クーポンの候補ごとのモデルを参照してもよいし、全てのクーポンの候補に対応した1つのモデルを参照してもよい。また、サーバ装置100は、上記のモデルを生成・更新してもよい。また、サーバ装置100は、利用者Uに配布されるクーポンが、何に適用できるクーポンか、いつまで使えるクーポンかを推定してもよい。すなわち、サーバ装置100は、配布予定のクーポンの利用対象や有効期限を推定してもよい。
【0039】
サーバ装置100は、各種サービスでクーポンを配布する際に、利用者U個人に対してではなく、利用者Uが属するグループに対してクーポンを配布するか否かを推定してもよい。例えば、サーバ装置100は、グループの誰かにクーポンを配布した場合、配布された当人ではなくても、グループに属する他の誰かがクーポンを使ってくれるか否かを推定し、誰かがクーポンを使ってくれる場合にクーポンを配布してもよい。また、サーバ装置100は、利用者Uが属するグループに配布するクーポンの種別・内容を推定してもよい。
【0040】
〔1-2.評価〕
クーポンの役割の1つとして、短期的視点では購買促進があるが、長期的視点では顧客育成による定着もある。本実施形態では、1回購入しただけのビギナー層や、2~4回購入しているがまだ定着していないライト層の顧客(ユーザ)をクーポン配布により育成して定着させることを目的とする。そのため、クーポン配布によって購入ユーザ数を増やすことと、クーポン費用を抑えることと、クーポン配布によって継続利用ユーザ数を増やすことが課題として挙げられる。
【0041】
図3は、各指標の計算方法の概要を示す説明図である。購入ユーザ数の増加の計測方法として、図3の(A)に示すように、クーポン配布による顧客転換率(CVR:Conversion Rate)を考慮した第1指標値を計測する方法がある。例えば、第1指標値は、クーポン配布した場合のユーザCVR(uCVR)とクーポン配布しなかった場合のユーザCVR(uCVR)との差分である。
【0042】
クーポン費用の抑制の計測方法として、図3の(B)に示すように、クーポン配布による顧客獲得単価(CPA:Cost Per Acquisitione)を考慮した第2指標値を計測する方法がある。例えば、第2指標値は、クーポン配布した場合の購入ユーザ数とクーポン配布しなかった場合の購入ユーザ数との差分によりクーポン費用を割ることで算出可能である。クーポン費用は、[クーポン金額×利用枚数]の費用である。
【0043】
また、CV(コンバージョン)予測モデルの学習では、AUC(Area Under the Curve)の最大化を目指す。AUCは、ROC曲線(Receiver Operating Characteristic curve)の下部分の面積である。また、学習データとして、クーポンを配ったユーザ群の行動ログとCV情報と、クーポンを配らなかったユーザ群の行動ログとCV情報とを使用した。
【0044】
また、アップリフトモデル(Uplift model)評価には、「AUUC(Area Under the Uplift Curve)」を使用した。例えば、縦軸:クーポンを配った場合のCVの増加数、横軸:アップリフトスコア(Uplift score)順に並び替えたユーザとして、ランダムにクーポンを配る場合のCVの増加数と、アップリフトスコアの高い順にクーポンを配る場合のCVの増加数とのそれぞれのAUUCの値をグラフ化したところ、全体的に、ランダムにクーポンを配る場合のCVの増加数よりも、アップリフトスコアの高い順にクーポンを配る場合のCVの増加数の方がAUUCの値が大きいことがわかった。AUUCの値が大きい方がアップリフトモデルの性能が良いとされる。
【0045】
本実施形態の適用前と適用後とでABテストを行った結果、第1指標値と第2指標値に関して顕著な改善効果が確認された。
【0046】
以上説明してきたように、本実施形態では、店舗を利用又は商品を購入したことはあるが定着には至っていないユーザを対象にクーポンを配布して購買促進させ、定着を図る。
【0047】
〔2.情報処理システムの構成例〕
次に、図4を用いて、実施形態に係るサーバ装置100が含まれる情報処理システム1の構成について説明する。図4は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。図4に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、端末装置10とサーバ装置100とを含む。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0048】
また、図4に示す情報処理システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、図4では、図示の簡略化のため、端末装置10を1台のみ示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、2台以上であってもよい。
【0049】
端末装置10は、利用者Uによって使用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末等のスマートデバイス、フィーチャーフォン(ガラケー・ガラホ)等の携帯電話、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたゲーム機やAV機器、情報家電・デジタル家電、カーナビゲーションシステム、スマートウォッチやヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブルデバイス(Wearable Device)、スマートグラス等である。また、端末装置10は、IOT(Internet of Things)に対応した住宅・建物、車、家電製品、電子機器等であってもよい。
【0050】
また、かかる端末装置10は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)等の無線通信網や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、サーバ装置100と通信することができる。
【0051】
サーバ装置100は、例えばPCやブレードサーバ(blade server)等のコンピュータ、あるいはメインフレーム又はワークステーション等である。なお、サーバ装置100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0052】
〔3.端末装置の構成例〕
次に、図5を用いて、端末装置10の構成について説明する。図5は、端末装置10の構成例を示す図である。図5に示すように、端末装置10は、通信部11と、表示部12と、入力部13と、測位部14と、センサ部20と、制御部30(コントローラ)と、記憶部40とを備える。
【0053】
(通信部11)
通信部11は、ネットワークN(図4参照)と有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、サーバ装置100との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)やアンテナ等によって実現される。
【0054】
(表示部12)
表示部12は、位置情報等の各種情報を表示する表示デバイスである。例えば、表示部12は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display)である。また、表示部12は、タッチパネル式のディスプレイであるが、これに限定されるものではない。
【0055】
(入力部13)
入力部13は、利用者Uから各種操作を受け付ける入力デバイスである。例えば、入力部13は、文字や数字等を入力するためのボタン等を有する。なお、入力部13は、入出力ポート(I/O port)やUSB(Universal Serial Bus)ポート等であってもよい。また、表示部12がタッチパネル式のディスプレイである場合、表示部12の一部が入力部13として機能する。また、入力部13は、利用者Uから音声入力を受け付けるマイク等であってもよい。マイクはワイヤレスであってもよい。
【0056】
(測位部14)
測位部14は、GPS(Global Positioning System)の衛星から送出される信号(電波)を受信し、受信した信号に基づいて、自装置である端末装置10の現在位置を示す位置情報(例えば、緯度及び経度)を取得する。すなわち、測位部14は、端末装置10の位置を測位する。なお、GPSは、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例に過ぎない。
【0057】
また、測位部14は、GPS以外にも、種々の手法により位置を測位することができる。例えば、測位部14は、位置補正等のための補助的な測位手段として、下記のように、端末装置10の様々な通信機能を利用して位置を測位してもよい。
【0058】
(Wi-Fi測位)
例えば、測位部14は、端末装置10のWi-Fi(登録商標)通信機能や、各通信会社が備える通信網を利用して、端末装置10の位置を測位する。具体的には、測位部14は、Wi-Fi通信等を行い、付近の基地局やアクセスポイントとの距離を測位することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0059】
(ビーコン測位)
また、測位部14は、端末装置10のBluetooth(登録商標)機能を利用して位置を測位してもよい。例えば、測位部14は、Bluetooth(登録商標)機能によって接続されるビーコン(beacon)発信機と接続することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0060】
(地磁気測位)
また、測位部14は、予め測定された構造物の地磁気のパターンと、端末装置10が備える地磁気センサとに基づいて、端末装置10の位置を測位する。
【0061】
(RFID測位)
また、例えば、端末装置10が駅改札や店舗等で使用される非接触型ICカードと同等のRFID(Radio Frequency Identification)タグの機能を備えている場合、もしくはRFIDタグを読み取る機能を備えている場合、端末装置10によって決済等が行われた情報とともに、使用された位置が記録される。測位部14は、かかる情報を取得することで、端末装置10の位置を測位してもよい。また、位置は、端末装置10が備える光学式センサや、赤外線センサ等によって測位されてもよい。
【0062】
測位部14は、必要に応じて、上述した測位手段の一つ又は組合せを用いて、端末装置10の位置を測位してもよい。
【0063】
(センサ部20)
センサ部20は、端末装置10に搭載又は接続される各種のセンサを含む。なお、接続は、有線接続、無線接続を問わない。例えば、センサ類は、ウェアラブルデバイスやワイヤレスデバイス等、端末装置10以外の検知装置であってもよい。図5に示す例では、センサ部20は、加速度センサ21と、ジャイロセンサ22と、気圧センサ23と、気温センサ24と、音センサ25と、光センサ26と、磁気センサ27と、画像センサ(カメラ)28とを備える。
【0064】
なお、上記した各センサ21~28は、あくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、センサ部20は、各センサ21~28のうちの一部を備える構成であってもよいし、各センサ21~28に加えてあるいは代えて、湿度センサ等その他のセンサを備えてもよい。
【0065】
加速度センサ21は、例えば、3軸加速度センサであり、端末装置10の移動方向、速度、及び、加速度等の端末装置10の物理的な動きを検知する。ジャイロセンサ22は、端末装置10の角速度等に基づいて3軸方向の傾き等の端末装置10の物理的な動きを検知する。気圧センサ23は、例えば端末装置10の周囲の気圧を検知する。
【0066】
端末装置10は、上記した加速度センサ21やジャイロセンサ22、気圧センサ23等を備えることから、これらの各センサ21~23等を利用した歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead-Reckoning)等の技術を用いて端末装置10の位置を測位することが可能になる。これにより、GPS等の測位システムでは取得することが困難な屋内での位置情報を取得することが可能になる。
【0067】
例えば、加速度センサ21を利用した歩数計により、歩数や歩くスピード、歩いた距離を算出することができる。また、ジャイロセンサ22を利用して、利用者Uの進行方向や視線の方向、体の傾きを知ることができる。また、気圧センサ23で検知した気圧から、利用者Uの端末装置10が存在する高度やフロアの階数を知ることもできる。
【0068】
気温センサ24は、例えば端末装置10の周囲の気温を検知する。音センサ25は、例えば端末装置10の周囲の音を検知する。光センサ26は、端末装置10の周囲の照度を検知する。磁気センサ27は、例えば端末装置10の周囲の地磁気を検知する。画像センサ28は、端末装置10の周囲の画像を撮像する。
【0069】
上記した気圧センサ23、気温センサ24、音センサ25、光センサ26及び画像センサ28は、それぞれ気圧、気温、音、照度を検知したり、周囲の画像を撮像したりすることで、端末装置10の周囲の環境や状況等を検知することができる。また、端末装置10の周囲の環境や状況等から、端末装置10の位置情報の精度を向上させることが可能になる。
【0070】
(制御部30)
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポート等を有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等のハードウェアで構成されてもよい。制御部30は、送信部31と、受信部32と、処理部33とを有する。
【0071】
(送信部31)
送信部31は、例えば入力部13を用いて利用者Uにより入力された各種情報や、端末装置10に搭載又は接続された各センサ21~28によって検知された各種情報、測位部14によって測位された端末装置10の位置情報等を、通信部11を介してサーバ装置100へ送信することができる。
【0072】
(受信部32)
受信部32は、通信部11を介して、サーバ装置100から提供される各種情報や、サーバ装置100からの各種情報の要求を受信することができる。
【0073】
(処理部33)
処理部33は、表示部12等を含め、端末装置10全体を制御する。例えば、処理部33は、送信部31によって送信される各種情報や、受信部32によって受信されたサーバ装置100からの各種情報を表示部12へ出力して表示させることができる。
【0074】
(記憶部40)
記憶部40は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部40には、各種プログラムや各種データ等が記憶される。
【0075】
〔4.サーバ装置の構成例〕
次に、図6を用いて、実施形態に係るサーバ装置100の構成について説明する。図6は、実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示す図である。図6に示すように、サーバ装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0076】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークN(図4参照)と有線又は無線で接続される。
【0077】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、HDD、SSD、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図6に示すように、記憶部120は、利用者情報データベース121と、履歴情報データベース122と、スコア情報データベース123とを有する。
【0078】
(利用者情報データベース121)
利用者情報データベース121は、利用者Uに関する利用者情報を記憶する。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの属性等の種々の情報を記憶する。図7は、利用者情報データベース121の一例を示す図である。図7に示した例では、利用者情報データベース121は、「利用者ID(Identifier)」、「年齢」、「性別」、「興味」といった項目を有する。
【0079】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。なお、「利用者ID」は、利用者Uの連絡先(電話番号、メールアドレス等)であってもよいし、利用者Uの端末装置10を識別するための識別情報であってもよい。
【0080】
また、「年齢」は、利用者IDにより識別される利用者Uの年齢を示す。なお、「年齢」は、利用者Uの具体的な年齢(例えば35歳など)を示す情報であってもよいし、利用者Uの年代(例えば30代など)を示す情報であってもよい。あるいは、「年齢」は、利用者Uの生年月日を示す情報であってもよいし、利用者Uの世代(例えば80年代生まれなど)を示す情報であってもよい。また、「性別」は、利用者IDにより識別される利用者Uの性別を示す。
【0081】
また、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uの興味を示す。すなわち、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uが関心の高い対象を示す。例えば、「興味」は、利用者Uが検索エンジンに入力して検索した検索クエリ(キーワード)等であってもよい。なお、図7に示す例では、「興味」は、各利用者Uに1つずつ図示するが、複数であってもよい。
【0082】
例えば、図7に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uの年齢は、「20代」であり、性別は、「男性」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「スポーツ」に興味があることを示す。
【0083】
ここで、図7に示す例では、「U1」」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な値を図示する場合がある。
【0084】
なお、利用者情報データベース121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの端末装置10に関する各種情報を記憶してもよい。また、利用者情報データベース121は、利用者Uのデモグラフィック(人口統計学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)、ジオグラフィック(地理学的属性)、ベヘイビオラル(行動学的属性)等の属性に関する情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、氏名、家族構成、住所、出身地(地元)、勤務先、職業、職位、収入、資格、居住形態(戸建、マンション等)、車の有無、通学・通勤時間、通学・通勤経路、定期券区間(駅、路線等)、利用頻度の高い駅(自宅・勤務地の最寄駅以外)、習い事(場所、時間帯等)、趣味、興味、ライフスタイル等の情報を記憶してもよい。
【0085】
(履歴情報データベース122)
履歴情報データベース122は、利用者Uの行動を示す履歴情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。図8は、履歴情報データベース122の一例を示す図である。図8に示した例では、履歴情報データベース122は、「利用者ID」、「検索履歴」、「閲覧履歴」、「購入履歴」、「投稿履歴」といった項目を有する。
【0086】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。また、「検索履歴」は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を示す。また、「閲覧履歴」は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴を示す。また、「購入履歴」は、利用者Uによる購入の履歴である購入履歴を示す。また、「投稿履歴」は、利用者Uによる投稿の履歴である投稿履歴を示す。なお、「投稿履歴」は、利用者Uの所有物に関する質問を含んでいてもよい。
【0087】
例えば、図8に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「検索履歴#1」の通りに検索し、「閲覧履歴#1」の通りにコンテンツを閲覧し、「購入履歴#1」の通りに所定の店舗等で所定の商品等を購入し、「投稿履歴#1」の通りに投稿したことを示す。
【0088】
ここで、図8に示す例では、「U1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購入履歴#1」及び「投稿履歴#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購入履歴#1」及び「投稿履歴#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0089】
なお、履歴情報データベース122は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、履歴情報データベース122は、利用者Uの所定のサービスの利用履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報データベース122は、利用者Uの実店舗の来店履歴又は施設の訪問履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報データベース122は、利用者Uの端末装置10を用いた決済(電子決済)での決済履歴等を記憶してもよい。
【0090】
(スコア情報データベース123)
スコア情報データベース123は、利用者Uの行動を示す履歴情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。図9は、スコア情報データベース123の一例を示す図である。図9に示した例では、スコア情報データベース123は、「利用者ID」、「利益」、「第1の確率」、「第2の確率」、「スコア」、「提供可否」といった項目を有する。
【0091】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。また、「利益」は、利用者Uが利用するサービスで利用者に提供される利益を示す。例えば、利益は、クーポンを示す。また、「第1の確率」は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率を示す。例えば、第1の確率は、利用者Uにクーポンを配布した際に買う確率を示す。また、「第2の確率」は、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率を示す。例えば、第2の確率は、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買う確率を示す。また、「スコア」は、第1の確率と第2の確率との差分から算出されるスコアを示す。例えば、スコアは、アップリフトスコア「Uplift score=P(1)-P(0)」を示す。また、「提供可否」は、スコアに基づく判定結果から、利用者Uに利益を提供するか否かを示す。例えば、利用者Uにクーポンを配布するか否かを示す。
【0092】
例えば、図9に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uに、利益「クーポン#1」を配布した際に購入する確率(第1の確率)「P(1)#1」と、利益「クーポン#1」を配布しなかった際に購入する確率(第2の確率)「P(0)#1」との差分から算出されたスコア「US#1」に基づいて提供可否「する」と判定されたことを示す。
【0093】
ここで、図9に示す例では、「U1」、「クーポン#1」、「P(1)#1」、「P(0)#1」及び「US#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「クーポン#1」、「P(1)#1」、「P(0)#1」及び「US#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0094】
なお、スコア情報データベース123は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、スコア情報データベース123は、利用者Uにクーポンを配布した際に買うか買わないかを推定する第1のモデル(又はその格納場所又は識別情報)と、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買うか買わないかを推定する第2のモデル(又はその格納場所又は識別情報)とを記憶してもよい。なお、第1のモデル及び第2のモデルは便宜上・概念上の区分であり、実際には同じモデル(1つのモデル)であってもよい。また、スコア情報データベース123は、利用者Uの属性情報や履歴情報に基づいて、利用者Uに応じたクーポンを推定するモデル(又はその格納場所又は識別情報)を記憶してもよい。
【0095】
(制御部130)
図6に戻り、説明を続ける。制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、サーバ装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。図6に示す例では、制御部130は、取得部131と、推定部132と、判定部133と、提供部134とを有する。
【0096】
(取得部131)
取得部131は、利用者U(ユーザ)により入力された検索クエリを取得する。例えば、取得部131は、利用者Uが検索エンジン等に検索クエリを入力してキーワード検索を行った際に、通信部110を介して、当該検索クエリを取得する。すなわち、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uにより検索エンジンやサイト又はアプリの検索窓に入力されたキーワードを取得する。
【0097】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uに関する利用者情報を取得する。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)や、利用者Uの位置情報、利用者Uの属性情報等を取得する。また、取得部131は、利用者Uのユーザ登録時に、利用者Uを示す識別情報や、利用者Uの属性情報等を取得してもよい。そして、取得部131は、利用者情報を、記憶部120の利用者情報データベース121に登録する。
【0098】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報を取得する。そして、取得部131は、各種の履歴情報を、記憶部120の履歴情報データベース122に登録する。
【0099】
また、取得部131は、通信部110を介して、所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者Uに利益を提供した場合の利用者Uの関連又は類似するサービスの利用態様の特徴に関する情報を取得する。
【0100】
(推定部132)
推定部132は、所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者Uに利益を提供した場合の利用者Uの関連又は類似するサービスの利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、所定のサービスについて利益を提供した場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様の発生確率と、利益を提供しなかった場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様の発生確率とを推定する。なお、推定部132は、機械学習によりモデルを生成・更新する学習部を含んでいてもよい。
【0101】
利用者Uに提供される利益とは、例えば、クーポン、特典、キャッシュバック、金銭、ポイント、電子マネー、ギフト、おまけなどのインセンティブ(Incentive)であり、ユーザに還元可能なものであればどのようなものであってもよい。
【0102】
例えば、推定部132は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率と、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率とを推定する。
【0103】
このとき、推定部132は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定する第1のモデルと、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定する第2のモデルとを参照する。なお、第1のモデル及び第2のモデルは便宜上・概念上の区分であり、実際には同じモデル(1つのモデル)であってもよい。1つのモデルである場合、推定部132は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定するとともに、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定するモデルを参照する。そして、推定部132は、第1のモデルを用いて、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率を推定し、第2のモデルを用いて、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率を推定する。
【0104】
また、推定部132は、勾配ブースティング決定木モデルを用いて、利用者Uの属性又は履歴に基づいて、利用者Uが所定のサービスを利用する際に、提供された利益であるクーポンを利用するか否かを推定する。
【0105】
(判定部133)
判定部133は、推定されたそれぞれの利用態様の発生確率の差分に基づいて、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する。なお、判定部133は、上記の推定部132と同一、又は推定部132の一部であってもよい。
【0106】
例えば、判定部133は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率と、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率との差分からスコアを算出し、スコアに基づいて、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する。
【0107】
また、判定部133は、差分又はスコアに応じて、利用者Uに提供される利益の種別又は内容を判定する。
【0108】
また、判定部133は、利益の候補ごとに判定して、利用者Uに提供する利益として、スコアが最も高い利益を提供することを判定する。
【0109】
判定部133は、利用者Uが属するグループに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する。
【0110】
また、判定部133は、スコアが所定の閾値を下回る場合には、利益の候補のうち最も低い利益を提供することを判定する。
【0111】
(提供部134)
提供部134は、利用者Uに対して、所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供する。このとき、提供部134は、利用者Uに応じた利益を提供する。すなわち、利用者Uに提供される利益は、利用者Uに応じて変更され得る。
【0112】
また、提供部134は、利用者Uが属するグループに対して、所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、利用者Uが属するグループに、所定のサービスに関する利益を提供する。
【0113】
〔5.処理手順〕
次に、図10を用いて実施形態に係るサーバ装置100による処理手順について説明する。図10は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、サーバ装置100の制御部130によって繰り返し実行される。
【0114】
例えば、図10に示すように、サーバ装置100の取得部131は、通信部110を介して、所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者Uに利益を提供した場合の利用者Uの関連又は類似するサービスの利用態様の特徴に関する情報を取得する(ステップS101)。ここでは、取得部131は、クーポンの配布の有無に伴う利用者の動向(買う、買わない)に関する情報を取得する。
【0115】
続いて、サーバ装置100の推定部132は、サービスの利用態様の特徴を学習して生成・更新されたモデルであって、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定する第1のモデルを参照する(ステップS102)。
【0116】
また、サーバ装置100の推定部132は、サービスの利用態様の特徴を学習して生成・更新されたモデルであって、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定する第2のモデルを参照する(ステップS103)。
【0117】
なお、第1のモデル及び第2のモデルは便宜上・概念上の区分であり、実際には同じモデル(1つのモデル)であってもよい。1つのモデルである場合、ステップS102とステップS103は1つの処理であり、推定部132は、第1のモデル及び第2のモデルとして、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定するとともに、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定するモデルを参照する。
【0118】
続いて、サーバ装置100の推定部132は、第1のモデルを用いて、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率(第1の確率)を推定する(ステップS104)。ここでは、推定部132は、第1のモデルを用いて、利用者Uにクーポンを配布した際に買う確率を推定する。
【0119】
続いて、サーバ装置100の推定部132は、第2のモデルを用いて、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率(第2の確率)を推定する(ステップS105)。ここでは、推定部132は、第2のモデルを用いて、利用者Uにクーポンを配布しなかった際に買う確率を推定する。
【0120】
続いて、サーバ装置100の判定部133は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率(第1の確率)と、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率(第2の確率)との差分からスコアを算出し、スコアに基づいて、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する(ステップS106)。なお、判定部133は、利用者Uに対して、所定のサービスに関する利益を提供しないと判定した場合(ステップS106:No)、一連の処理を終了する。ここでは、判定部133は、第1の確率と第2の確率との差分からスコアを算出し、スコアに基づいて、利用者Uに、クーポンを配布するか否かを判定する。
【0121】
続いて、サーバ装置100の提供部134は、利用者Uに対して、所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合(ステップS106:Yes)、利用者Uに応じた所定のサービスに関する利益を提供する(ステップS107)。ここでは、提供部134は、利用者Uに応じたクーポンを配布する。
【0122】
以降、上記の処理を繰り返し、第1のモデル及び第2のモデルの精度を向上させる。
【0123】
〔6.変形例〕
上述した端末装置10及びサーバ装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、実施形態の変形例について説明する。
【0124】
上記の実施形態において、サーバ装置100が実行している処理の一部又は全部は、実際には、端末装置10が実行してもよい。例えば、スタンドアローン(Stand-alone)で(端末装置10単体で)処理が完結してもよい。この場合、端末装置10に、上記の実施形態におけるサーバ装置100の機能が備わっているものとする。また、上記の実施形態では、端末装置10はサーバ装置100と連携しているため、利用者Uから見れば、サーバ装置100の処理も端末装置10が実行しているように見える。すなわち、他の観点では、端末装置10は、サーバ装置100を備えているともいえる。
【0125】
また、上記の実施形態において、サーバ装置100は、ユーザにクーポンを配布したときに買わない確率(第3の確率)と、ユーザにクーポンを配布しなかったときに買わない確率(第4の確率)との差分からスコアを算出し、このスコアに基づいて、利用者Uに、クーポンを配布するか否かを判定してもよい。
【0126】
また、上記の実施形態において、サーバ装置100は、クーポン以外にも、複数の利益を同時に利用者Uに提供してもよい。このとき、サーバ装置100は、利用者Uに対していくつの利益を提供するかを推定してもよい。また、サーバ装置100は、モデルを用いて、利用者Uに提供する個々の利益の種別・内容を推定してもよい。
【0127】
〔7.効果〕
上述してきたように、本願に係る情報処理装置(端末装置10及びサーバ装置100)は、所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者Uに利益を提供した場合の利用者Uの関連又は類似するサービスの利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、所定のサービスについて利益を提供した場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様の発生確率と、利益を提供しなかった場合の利用者Uの所定のサービスの利用態様の発生確率とを推定する推定部132と、推定されたそれぞれの利用態様の発生確率の差分に基づいて、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する判定部133と、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供する提供部134と、を備えることを特徴とする。
【0128】
推定部132は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率と、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率とを推定する。
判定部133は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率と、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率との差分からスコアを算出し、スコアに基づいて、利用者Uに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する。
【0129】
判定部133は、差分又はスコアに応じて、利用者Uに提供される利益の種別又は内容を判定する。
【0130】
判定部133は、利益の候補ごとに判定して、利用者Uに提供する利益として、スコアが最も高い利益を提供することを判定する。
【0131】
判定部133は、スコアが所定の閾値を下回る場合には、利益の候補のうち最も低い利益を提供することを判定する。
【0132】
推定部132は、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定する第1のモデルと、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用するかしないかを推定する第2のモデルとを参照する。そして、推定部132は、第1のモデルを用いて、利用者Uに利益を提供した場合に所定のサービスを利用する確率を推定し、第2のモデルを用いて、利用者Uに利益を提供しなかった場合に所定のサービスを利用する確率を推定する。
【0133】
判定部133は、利用者Uが属するグループに、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する。
提供部134は、所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、利用者Uが属するグループに、所定のサービスに関する利益を提供する。
【0134】
推定部132は、勾配ブースティング決定木モデルを用いて、利用者Uの属性又は履歴に基づいて、利用者Uが所定のサービスを利用する際に、提供された利益であるクーポンを利用するか否かを推定する。
【0135】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、店舗を利用又は商品を購入したことはあるが定着には至っていないユーザを対象にクーポンを配布して購買促進させ、定着を図ることができる。
【0136】
〔8.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る端末装置10やサーバ装置100は、例えば図11に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、サーバ装置100を例に挙げて説明する。図11は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0137】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。演算装置1030は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0138】
一次記憶装置1040は、RAM(Random Access Memory)等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。二次記憶装置1050は、内蔵ストレージであってもよいし、外付けストレージであってもよい。また、二次記憶装置1050は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体であってもよい。また、二次記憶装置1050は、クラウドストレージ(オンラインストレージ)やNAS(Network Attached Storage)、ファイルサーバ等であってもよい。
【0139】
出力I/F1060は、ディスプレイ、プロジェクタ、及びプリンタ等といった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、キーパッド、ボタン、及びスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0140】
また、出力I/F1060及び入力I/F1070はそれぞれ出力装置1010及び入力装置1020と無線で接続してもよい。すなわち、出力装置1010及び入力装置1020は、ワイヤレス機器であってもよい。
【0141】
また、出力装置1010及び入力装置1020は、タッチパネルのように一体化していてもよい。この場合、出力I/F1060及び入力I/F1070も、入出力I/Fとして一体化していてもよい。
【0142】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。
【0143】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0144】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0145】
例えば、コンピュータ1000がサーバ装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器から取得したプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行してもよい。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器と連携し、プログラムの機能やデータ等を他の機器の他のプログラムから呼び出して利用してもよい。
【0146】
〔9.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0147】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0148】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0149】
例えば、上述したサーバ装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0150】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0151】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0152】
1 情報処理システム
10 端末装置
100 サーバ装置
110 通信部
120 記憶部
121 利用者情報データベース
122 履歴情報データベース
123 スコア情報データベース
130 制御部
131 取得部
132 推定部
133 判定部
134 提供部
【要約】
【課題】店舗を利用又は商品を購入したことはあるが定着には至っていないユーザを対象にクーポンを配布して購買促進させ、定着を図る。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、所定のサービスと関連又は類似するサービスで利用者に利益を提供した場合の利用者の利用態様の特徴を学習したモデルを用いて、所定のサービスについて利益を提供した場合の利用者の所定のサービスの利用態様の発生確率と、利益を提供しなかった場合の利用者の所定のサービスの利用態様の発生確率とを推定する推定部と、推定されたそれぞれの利用態様の発生確率の差分に基づいて、利用者に、所定のサービスに関する利益を提供するか否かを判定する判定部と、所定のサービスに関する利益を提供すると判定された場合、利用者に、所定のサービスに関する利益を提供する提供部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11