(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】生体アッセイを効率的に実施するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
G01N35/00 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077891
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2020527894の分割
【原出願日】2018-12-06
【審査請求日】2023-06-07
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】バワーズ クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ギャリソン ウィリアム ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンシックラー マイケル ティー
(72)【発明者】
【氏名】フェンスケ マイケル
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-037346(JP,A)
【文献】特開2014-199211(JP,A)
【文献】特開2012-075413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体アッセイの高スループット自動化のための電子システムであって、
命令を格納するメモリと、
複数の分析システムにクラウドネットワークを介して通信するように構成されたインタフェースと、
前記クラウドネットワークを介して、1又は2以上の生体サンプルに対する1又は2以上のアッセイ命令を前記1又は2以上の分析システムから受信する段階、
前記アッセイ命令に基づいて前記
1又は2以上の生体サンプル内の各サンプルに対して実施する必要がある複数のアッセイを決定する段階、
前記複数のアッセイ内の各タイプのアッセイを実行するための前記分析システムの作動状態を、前記クラウドネットワークを介して監視する段階、
前記電子システムの1又は2以上の動作メトリックを最大にするために、利用可能である前記アッセイリソース及び前記分析システムに基づいて、前記複数のアッセイ内の各アッセイを実施する順序を決定する段階、及び
前記決定された順序に基づいて前記複数のアッセイのうちの特定のアッセイを実施するように、前記クラウドネットワークを介して、利用可能である前記分析システムの1又は2以上に命令する段階
であって、前記複数のアッセイのうちの同じアッセイリソースを必要とする異なるアッセイに対するアッセイ段階は、まとめてバッチ処理される、段階、
を含む方法を実行するように前記命令によってプログラムされた1又は2以上のプロセッサと、
を含むことを特徴とする電子システム。
【請求項2】
前記複数の分析システムは、前記複数のアッセイを実施するための複数の電子機器を含み、
前記電子機器は、複数の分析モジュール及び関連する分析サブモジュールと、複数の事前分析モジュール及び関連する事前分析サブモジュールとを含むことを特徴する請求項1に記載の電子システム。
【請求項3】
前記電子システムに対する前記動作メトリックは、前記分析システムの各々についての期間当たりの有効アッセイ結果数、期間当たりに検査された生体サンプル数、又はその組合せに関連する動作メトリックを含むことを特徴とする請求項2に記載の電子システム。
【請求項4】
前記有効アッセイ結果数は、前記生体サンプルの生化学安定性とアッセイリソースの生化学安定性とに基づいて決定されることを特徴とする請求項2に記載の電子システム。
【請求項5】
前記期間は、24時間期間を含むことを特徴とする請求項3に記載の電子システム。
【請求項6】
前記動作メトリックは、前記1又は2以上のアッセイを完了するのに必要な消耗品消費量に関連する動作メトリックを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項7】
前記動作メトリックは、1又は2以上の予め決められた条件に関連する動作メトリックを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項8】
前記1又は2以上の予め決められた条件は、アッセイの緊急度、前記少なくとも1つの被検体のプロファイル、前記命令提供者のアイデンティティ、前記複数の分析システムの各々からのアッセイのコスト又はその組合せを含むことを特徴とする請求項7に記載の電子システム。
【請求項9】
前記作動状態は、前記分析システムの各々の利用可能性を含み、
前記1又は2以上のプロセッサは、
複数の生体サンプル内の第1の生体サンプルの第1のアッセイ場所を決定する段階、
前記第1のアッセイ場所で実行される前記複数のアッセイに対して、前記第1のアッセイ場所における前記分析システムの利用可能性を
評価する段階、
前記第1のアッセイ場所が前記複数のアッセイを実行するために利用可能でない場合、
前記第1のアッセイ場所で実行される前記複数のアッセイに対して、異なるアッセイ場所における前記分析システムの利用可能性を
評価する段階、及び
前記異なるアッセイ場所が、前記第1のアッセイ場所で実行されるべき前記複数のアッセイを実行するために利用可能である場合、前記クラウドネットワークを介して、前記第1のアッセイ場所から前記異なるアッセイ場所への前記第1の生体サンプルの搬送を開始する段階、
を更に含む前記方法を実施するようにプログラムされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項10】
前記動作順序を決定する段階は、前記利用可能なアッセイリソースに基づいて前記1又は2以上のアッセイに対する該動作順序を決定する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項11】
前記動作順序を決定する段階は、
複数の生体サンプルを複数のサンプルバッチに編成するように前記1又は2以上の分析システムに命令する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の電子システム。
【請求項12】
第1及び第2の分析システムは、第1及び第2のサンプルのバッチを同時に処理するように構成されることを特徴とする請求項11に記載の電子システム。
【請求項13】
アッセイリソースが、前記第1及び第2の分析システムの第1及び第2の電子計器に、前記第1及び第2のサンプルのバッチを同時に処理するように構成されることを特徴とする請求項12に記載の電子システム。
【請求項14】
前記実施される1又は2以上のアッセイを決定する段階は、前記クラウドネットワークを介して、検査室情報管理システムのデータベースから該1又は2以上のアッセイに関連する情報を取り出す段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項15】
前記作動状態は、故障ステータスを含み、
前記1又は2以上のプロセッサは、更に、
前記故障ステータスを検査室職員に通知する段階、及び
前記分析システムの少なくとも1つの動作メトリックを最大にするために前記1又は2以上のアッセイに対する更新された動作順序を決定する段階、
を含む方法を実行するようにプログラムされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項16】
前記動作順序を決定する段階に使用される前記少なくとも1つの動作メトリックと前記更新された動作順序を決定する段階に使用される該少なくとも1つの動作メトリックとは同一であることを特徴とする請求項15に記載の電子システム。
【請求項17】
前記更新された動作順序を決定する段階は、
実施されなかった前記1又は2以上のアッセイを実施するための前記アッセイリソースの割当てを解除する段階、
前記アッセイリソースの割当てを解除した後で前記1又は2以上のアッセイを実施するのに利用可能なアッセイリソースを更新する段階、及び
前記更新された利用可能なアッセイリソースと前記電子計器の前記作動状態とに基づいて、電子システムに対する前記少なくとも1つの動作メトリックを最大にするために前記1又は2以上のアッセイに対する前記更新された動作順序を決定する段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子システム。
【請求項18】
前記1又は2以上のプロセッサは、更に、
前記決定された順序で前記構成された複数の電子計器のうちの1又は2以上を用いて決定された
複数の生体サンプルのうちの生体サンプルに対する前記1又は2以上のアッセイのうちの第1のアッセイの結果を受信する段階、
前記生体サンプルに対する前記1又は2以上のアッセイのうちの第2のアッセイを実施する必要はないと決定する段階、及び
電子システムの少なくとも1つの動作メトリックを最大にするために前記1又は2以上のアッセイに対する更新された動作順序を決定する段階、
を含む方法を実行するようにプログラムされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項19】
前記1又は2以上のプロセッサは、更に、
前記利用可能なアッセイリソースを追跡する段階、及び
アッセイリソースが利用不能である又は利用不能であることが予想される時に検査室職員に通知する段階、
を含む方法を実行するようにプログラムされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【請求項20】
前記作動状態は、前記分析システムの各々の利用可能性を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2017年12月7日出願の米国仮特許出願第62/596,052号、2017年12月7日出願の米国仮特許出願第62/596,032号、及び2018年2月5日出願の米国仮特許出願第62/626,581号に対する「35 U.S.C.§119(e)」の下での優先権を主張するものである。これらの関連出願の各々の内容は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明の開示は、一般的に診断自動化の分野に関し、より具体的には、生体アッセイの自動化された編成に関する。
【背景技術】
【0003】
生体サンプルの診断検査は、疾患を迅速かつ効果的に診断して治療するという医療産業の労力において有益である。そのような診断検査を実施する臨床検査室は、絶えず高まる要望と共に毎日何百又は何千ものサンプルを受け入れる場合がある。そのような大量のサンプルを管理するという課題は、サンプル分析の自動化によって支援することができる。自動式サンプル分析は、典型的には、診断結果を取得するために生体サンプルに対して多段階処理を実施する一般的に自己完結型システムである自動式アナライザ計器によって実施される。
【0004】
自動式臨床アナライザ計器は、与えられたサンプルに対して実施することができる一連の自動式検査をユーザに提供する。しかし、サンプルが検査室に到着する時に、それらは分析のための調製されていない場合が多い。自動式アナライザ計器を用いた検査に向けてサンプルを調製するために、検査室技師は、典型的に、検査室によって受け入れられた時にサンプルの一定分量を1次容器又はチューブからアナライザ計器に適する2次容器又はチューブに移送する。これに加えて、技師は、典型的に、技師がサンプルと組み合わせるべき検査特定の試薬又は希釈剤を選択することができるように、サンプルに対してどの検査が実施されることになるかを知る必要があると考えられる。これは、時間を費やす場合があり、かつオペレータの過誤及び感染性疾患への露出に至る場合がある。
【0005】
分析に向けてサンプルを調製することを支援し、かつ検査室のサンプルの受け入れとアナライザ計器の検査結果との間の編成から技師を更に解放することを意味する事前分析計器も存在する。しかし、これらの計器の多くは、サンプルを事前分析計器に装填する前、サンプルが事前分析計器によって調製された時、かつアナライザ計器が分析を完了した時のような有意な技師の関与を依然として必要とする。
【0006】
例えば、一部の事前分析計器は、サンプルの一定分量を第1の容器から第2の容器に自動的に移送することができる。しかし、そのようなシステムは、第1及び第2の容器をシステムの中に装填する前にそれらの識別コードを技師が手動で組み合わせることを多くの場合に必要とし、これは、時間を費やす場合があり、かつ過誤が生じやすい。
【0007】
これに加えて、これらのシステムの多くは、1又は2以上のアナライザ計器と統合することができない。この点に関して、技師は、サンプルを事前分析計器からアナライザ計器に、かつ分析が完了した状態でアナライザ計器から保管場所に手動で移送するためにその場に居ることが必要である場合がある。これは、熟練労働力を些細なタスクに向け直すことになり、かつ稼動休止期間を最小にするために準備ができた時にサンプルを移送することに待機するように技師が事前分析計器及びアナライザ計器内のサンプルの推移を常に気に掛けていなければならない点で苛立ちを生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
更に、現在の事前分析計器及びアナライザ計器は、サンプルをそれらがシステムの中に導入される時に一般的に連続ストリームで処理する。すなわち、そのようなシステムは、ユーザによって一般的に設定される予め定められたシーケンスでサンプルを処理する。この点に関して、既存の事前分析計器は、シーケンス内で次にどのサンプルを調製するかを判断する時にユーザによって提供されたもの以外の情報を一般的に考慮しない。更に、事前分析計器は、典型的にアナライザ計器とは異なる速度でサンプルを調製し、これは、事前分析計器とアナライザ計器の間の統合を更に複雑にする。この点に関して、技師は、アナライザ計器への手動移送に向けてサンプルの全バッチが蓄積されるまで、事前分析計器によって調製されるサンプルに絶えず注意を払うことを必要とする場合がある。これに代えて、技師は、部分バッチをアナライザ計器に移すことができ、これは、アナライザ計器の生産性を低減すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示するのは、生体サンプルに対するアッセイの実行及び生体アッセイの高スループット自動化のためのシステム及び方法である。一実施形態では、システムは、命令を格納するメモリと、複数の生体サンプルに対する複数のアッセイ命令を受信する段階、アッセイ命令に基づいて複数の生体サンプル内の各サンプルに対して実施する必要がある複数のアッセイを決定する段階、複数のアッセイを実施するのに利用可能であるアッセイリソースを決定する段階、複数のアッセイを実施する効率を最大にするために利用可能であるアッセイリソースに基づいて複数のアッセイ内の各アッセイを実施する順序を決定する段階、及び決定された順序に基づいて複数のアッセイを実施するように1又は2以上のアナライザ計器に命令する段階を含む方法を実行するように命令によってプログラムされたプロセッサとを含む。
【0010】
一実施形態では、本方法は、複数の生体サンプルに対する複数のアッセイ命令を受信する段階と、アッセイ命令に基づいて複数の生体サンプル内の各サンプルに対して実施する必要がある複数のアッセイを決定する段階と、複数のアッセイを実施するのに利用可能であるアッセイリソースを決定する段階と、複数のアッセイを実施する効率を最大にするために利用可能であるアッセイリソースに基づいて複数のアッセイ内の各アッセイを実施する順序を決定する段階と、決定された順序に基づいて複数のアッセイを実施するように1又は2以上のアナライザ計器に命令する段階とを含む。
【0011】
一実施形態では、システムは、命令を格納するメモリと、複数の生体サンプルに対する複数のアッセイ命令を複数の分析システムから受信する段階、アッセイ命令に基づいて複数の生体サンプル内の各サンプルに対して実施する必要がある複数のアッセイを決定する段階、複数のアッセイ内の各タイプのアッセイを実行するのに利用可能な分析システムを識別する段階、複数のアッセイを実施するのに利用可能である識別された分析システム内のアッセイリソースを決定する段階、複数のアッセイを実施する効率を最大にするために利用可能であるアッセイリソースに基づいて複数のアッセイ内の各アッセイを実施する順序を決定する段階、及び決定された順序に基づいて複数のアッセイのうちの特定のアッセイを実施するように1又は2以上の分析システムに命令する段階を含む方法を実行するように命令によってプログラムされたプロセッサとを含む。
【0012】
一実施形態では、システムは、少なくとも1つの分子アッセイに向けて生体サンプルを調製するように構成された第1の自動式モジュールと第1の自動式モジュールによって調製された生体サンプルを受け入れるためのかつ受け入れた生体サンプルに対して分子アッセイを実施するための少なくとも1つの第2の自動式モジュールとであって、第1の自動式モジュール及び第2の自動式モジュールの各々が、少なくとも1つの自動式計器を含む上記第1の自動式モジュール及び第2の自動式モジュールと、第1の自動式モジュール、第2の自動式モジュール、及び検査室情報システムと通信している編成コアコンピュータデバイスとを含み、編成コアコンピュータデバイスは、生体サンプルを処理するための命令を分析システムから受信し、かつ第1及び第2の自動式デバイスの処理リソースを管理し、編成コアコンピュータデバイスは、少なくとも4つの処理層、すなわち、分析システムと通信していてサービスレベルオブジェクト層である第1の層、編成層、計器モジュール制御層、及び計器モジュール層を含み、計器モジュール層は、第1及び第2の自動式デバイス内の自動式計器と通信しており、自動式計器の状態は、編成層に通信され、分析システムの現在の状態に基づいて編成コアコンピュータデバイスは、2又は3以上の生体サンプルをバッチにグループ分けし、かつサンプルのバッチ処理のための命令を計器モジュール層に通信する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書に説明する一実施形態による分析システムの斜視図である。
【
図2A】本明細書に説明する一実施形態による検査室情報システムと通信している分散分析システムのブロック図である。
【
図2B】本明細書に説明する一実施形態による検査室情報システムと通信している集中型分析システムのブロック図である。
【
図3A】本明細書に説明する一実施形態による編成コアコンピュータデバイスアーキテクチャのブロック図である。
【
図3B】本明細書に説明する別の実施形態による編成コアコンピュータデバイスアーキテクチャのブロック図である。
【
図4】本明細書に説明する一実施形態による編成コアアプリケーションの構成要素のブロック図である。
【
図5A】本明細書に説明する一実施形態による編成コアアプリケーション及び編成サブ-アプリケーションのブロック図である。
【
図5B】本明細書に説明する別の実施形態による編成コアアプリケーション及び編成サブ-アプリケーションのブロック図である。
【
図6-1】本明細書に説明する編成コアアプリケーションの一実施形態を示す図である。
【
図6-2】本明細書に説明する編成コアアプリケーションの一実施形態を示す図である。
【
図7】分析システムに関する様々な計器状態を示すブロック図である。
【
図8】分析システムに関する様々な計器状態を示すブロック図である。
【
図9】分析システムに関する例示的アッセイ状態を示すブロック図である。
【
図10】分析システム内の動作を最大にするためにサンプルに対するアッセイ又はアッセイ段階の動作順序を決定する一例示的方法の流れ図である。
【
図11】分析システム内の動作を最大にするためにサンプルに対するアッセイ段階の動作順序を決定する一例のブロック図である。
【
図12】新しいアッセイ命令を分析システムに受け入れた後にアッセイ又はアッセイ段階の更新された動作順序を決定する一例示的方法の流れ図である。
【
図13】動作メトリックを最大にするためにアッセイ又はアッセイ段階の動作順序及び更新された動作順序を決定する一例示的方法の流れ図である。
【
図14】動作メトリックを最大にするためにアッセイ又はアッセイ段階の動作順序及び更新された動作順序を決定する別の例示的方法の流れ図である。
【
図15】ネットワーク上で病院情報システム及び検査室情報システムと分析システムとに通信している編成コアアプリケーションのブロック図である。
【
図16】自動式サンプル処理及び分析を調整するために編成検査室アプリケーションと通信しているクラウドサーバベースの編成コアアプリケーションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細説明では、その一部を構成する添付図面を参照する。図面では、コンテキストが別途指定しない限り、類似の記号は、典型的に類似の構成要素を識別する。詳細説明、図面、及び特許請求の範囲に説明する例示的実施形態は、限定であることを意味しない。本明細書に提示する主題の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、他の変更を加えることができる。本明細書に一般的に説明して図に例示するような本発明の開示の態様は、広範な異なる構成に配置、置換、結合、分離、かつ設計することができ、その全てが本明細書で明示的に想定されて本明細書の開示の一部を成すことは容易に理解されるであろう。
【0015】
概要
本発明の開示は、生体サンプルの処理及び分析を実施するデバイス、システム、及び方法を説明する。特に、高度の自動化を有する複数の分析デバイス又はシステムの間で自動式サンプル処理を調整するシステムアーキテクチャを説明する。検査室情報システムからの入力は、複数の分析システム及びアナライザ計器(アナライザ及びアッセイデバイスとも呼ぶ)上でアッセイを実行する段階の全体効率を高めるために情報に基づくかつ効率的な方式でサンプルを処理するように1又は2以上のアナライザ計器及び事前分析計器の作動を調整する編成コンピュータデバイスによって受け入れられる。編成コンピュータデバイスの中への様々な個別入力が想定されており、入力の集合体は、最小限のオペレータ入力及び関与での効率的かつ迅速なサンプル処理に備えるものである。
【0016】
サンプル処理及び分析システム
図1は、例示的分析システム100を示している。分析システム100は、生体外診断システムであるか又は生体外診断デバイスを含むことができる。そのようなシステムは、描写するように、事前分析計器104と、第1のアナライザ計器108aと、第2のアナライザ計器108bとを含む。事前分析計器104は、ユーザ入力を受け入れるためのユーザインタフェース112と、サンプルを受け入れるための投入窓116とを含むことができる。これらのユニット104、108a、及び108bの各々は、モジュール式である。すなわち、事前分析計器104は、1又は2以上のアナライザ計器に結合することができる。これに加えて、事前分析計器104と通信している(処理に向けて情報を交換する及びサンプルを交換するその両方に関して)各アナライザ計器は、同じか又は異なる作動を実施する。例えば、第1のアナライザ計器108aは、ヒトパピローマウイルス(「HPV」)アッセイのようなウイルスアッセイを実施することができ、一方で第2のアナライザ計器108bは、トラコーマクラミジア、淋菌、腟トリコモナス、B群連鎖球菌、腸内細菌、及び腸内寄生虫を検出するためのもののような細菌及び寄生虫アッセイを実施することができる。しかし、一部の実施形態では、分析システム100は、第1及び第2のアナライザ計器108a、108bが類似であり、かつ同じか又は類似のアッセイを実施することができるように構成することができる。そのような計器モジュール性は、臨床検査室が分析システム100をその特定の必要性に対して調整することを可能にする。分析システム100は、本明細書では電子システムとして参照する。
【0017】
事前分析計器104及びアナライザ計器108a、108bの各々は、指定作動をそれらに実施させるハードウエア構成要素を有する。例えば、一実施形態では、事前分析計器104は、アナライザ計器108a、108bによる分析に向けてサンプルを調製するように生体サンプルを前処理するように構成することができる。この点に関して、事前分析計器104は、サンプル容器のトレイ/シャトルを計器内の1つの場所から別の場所にかつ隣接アナライザ計器に搬送することができるトレイ/シャトル取り扱いロボットと、個々のサンプル容器を搬送する及び/又はキャップを取ることができるサンプル容器操作ロボットと、サンプルを1つの容器から別の容器の中に吸引することができるピペットロボットと、サンプルを希釈するための希釈剤ディスペンサと、サンプルをボルテックスするためのボルテクサと、サンプルを温めるための熱板と、サンプルを冷却するための冷却ユニットとを有することができる。アナライザ計器108a、108bはまた、それらの個々の計器内の容器を事前分析計器104からかつ事前分析計器104に戻るように移動することができるロボット技術を有することができる。アナライザ計器108a、108bはまた、ピペットロボットと、サンプル容器操作ロボットと、磁気抽出器(サンプル精製に向けて使用される(サンプルに追加される常磁性粒子と共に)磁場をサンプル容器に与えるための)と、計器作動を実施するのに必要であるあらゆる他のハードウエア構成要素とを含むことができる。
【0018】
ハードウエア構成要素に加えて、事前分析計器104は、中継又は蓄積区域を含む。これらの区域は、サンプル容器及び他の消耗品が、それらがワークフローの中への投入に向けて指定されるまで保管される場所である。これらの蓄積区域は、編成コアアプリケーションがサンプルに処理情報を割り当てることができ、そのために計器が以下で更に説明するように編成制御アプリケーションの命令に従ってサンプルを処理することができるように編成コアアプリケーションと通信している。
【0019】
図2Aは、本明細書に説明する一実施形態による検査室情報システムと通信している分析システムのブロック図である。一実施形態では、分析システム100は、少なくとも1つの事前分析計器104と、1又は2以上の自動式アナライザ計器108とを含むことができる。事前分析計器104は、アナライザ計器104での分析に向けてサンプルを処理することができる。アナライザ計器108は、生体サンプルに対してアッセイを実施するように構成することができ、一方で事前分析計器104は、アナライザ計器108による分析に向けてサンプルを調製するように構成することができる。例えば、事前分析計器104は、生体サンプルを1つの容器からアナライザ計器108による使用に適する別の容器に移送することができ、かつ実施されるアッセイに依存してサンプルをボルテックスする、事前に温める、及び冷却することもできる。そのようなアナライザ計器108及び事前分析計器104の各々は、互いに結合された時に個々のユニット間で生体サンプルを前後に移動することができるロボット技術を有するモジュール式独立ユニットとすることができる。
【0020】
分析システム100は、ネットワーク208上で検査室情報システム204と通信することができる。検査室情報システム204は、医療施設又は独立臨床検査室によって運用される既存の情報システムである場合がある。そのような検査室情報システムは、サンプルアッセイ命令212に関する情報と、依頼されたアッセイ216に対する要件と、患者情報とを分析システムに提供することができる。一部の実施では、分析システム100は、患者情報を病院情報システムから受信することができる。
【0021】
分析システム100は、アナライザ計器108及び事前分析計器104と計器間インタフェース228を通して及び検査室情報システム204とネットワーク208を通して通信する編成コアコンピュータデバイス224によって実行される編成コアアプリケーション220を含むことができる。分析システム100は、ファイアウォールの背後にあるか、又は分析システム100を隔離して分析システム100の動作を阻害又は変更する可能性がある偶然の又は悪意のあるあらゆるソフトウエアからそれを保護するために別のコンピュータシステムを通してネットワーク208に接続することができる。
【0022】
編成コアアプリケーション220は、利用可能なリソースの効率的な使用を達成し、かつこれらのリソースの活動を予め決められた閾値レベル又はその上に保つために1又は2以上のアナライザ計器108及び事前分析計器104の間で処理を調整してリソースを管理することができる。分析システム100の動作は、動作メトリックに基づいて決定することができる。例えば、動作メトリックは、所与の時点で要求を処理するのに利用可能な処理リソースの最大使用百分率である場合がある。これに加えて、編成コアアプリケーション220は、検査室情報システム204、アナライザ計器108、及び事前分析計器104から受信した情報を利用してオペレータ関与を低減、有意に低減、又は更に排除し、絶えず変化する状況に基づいて各計器内で起こることになる活動に関する高レベルの判断を行う。
【0023】
一実施では、事前分析計器104及びアナライザ計器108のコンピュータデバイス232、236は、編成サブ-アプリケーション240、244を実行する。そのような編成サブ-アプリケーション240、244は、編成コアアプリケーション224によって与えられる命令を実施するために編成コアアプリケーション220にリンクされる。この点に関して、判断及びそのような判断を実施するための命令は、命令されたアクションを実施する特定のハードウエア構成要素に編成コアアプリケーション220から上から下に通信される。これらの命令は、編成コアアプリケーションから個々のハードウエアデバイスにチェーンを下って移動する時により具体的になる。情報は、編成コアアプリケーションが判断決定処理を通知する状態更新を頻繁に受信するように、個々のハードウエアデバイスから編成コアアプリケーションに下から上にも通信される。
【0024】
編成コアアプリケーション220及び編成サブ-アプリケーション240、244は、それら独自のスレッド上で作動する状態機械を含むことができる。この点に関して、コアアプリケーション220及びサブ-アプリケーション240、244は、状態の変化が判断決定処理と干渉しないように、判断に使用されるロックダウン状態を有することができる。
【0025】
編成コアアプリケーション220及び編成サブ-アプリケーション240、244は、アナライザ計器108及び事前分析計器104の効率的な使用を達成するように作動する。目標は、システムリソースの遊休時間が全体動作を損なうので、そのような計器内のハードウエアリソースの望ましい利用率を取得することである。
【0026】
編成コアアプリケーション220は、事前分析計器及びアナライザ計器104、108によって処理及び評価されることになる生体サンプルに関する検査室情報システム204からの情報に基づいて判断を行う。編成コアアプリケーション220は、事前分析計器104内で個々の生体サンプルをバッチに編成し、これは、全体スループットを最大にすることを支援する。サンプルは、バッチ内のサンプルに対する処理条件(例えば、熱循環条件)のアイデンティティに基づいてバッチの中に置かれる。可能な範囲まで、バッチ内の各サンプルは、同じ処理条件(例えば、温度、光周波数)が課せられる。しかし、処理の均一性は必要とされない。例えば、バッチ内のサンプル容器及び対照容器が既に事前に温められている場合に、これらのサンプルは、事前に温める段階を受けないことになる。すなわち、個々のサンプルに関する情報は、編成コアアプリケーション220によって「追跡」されるだけでなく、個々のサンプルがそれによって処理されるバッチに関する情報も追跡される。言い換えれば、バッチとサンプルの間の「一対多」関係が存在する。一部の情報は、サンプルに特定であり、他の情報は、一律にバッチ内の各サンプルに適用される。
【0027】
サンプルのバッチ処理を実施するのに加えて、編成コアアプリケーション220は、事前分析計器及び分析計器104、108の処理リソース248、252を制御及び調整するのに様々なソースから豊富な情報入力を取得する。そのような情報は、計器のための消耗品256、260の在庫及び待ち行列にある処理に対する在庫の割当てと、計器ハードウエアの作動状態と、サンプルに対して実施するように依頼されたアッセイと、サンプル利用可能性、すなわち、既に処理中のバッチ、サンプル持続時間、及び事前分析計器及び分析計器104、108の利用可能性と、事前分析計器及び分析計器104、108の計器デバイス264、268の利用可能性と、サンプル及び試薬272、276の生体安定性と、特定の検査室の商習慣又は法令遵守慣習とを含む。本明細書では事前分析計器及び分析計器104、108を計器デバイスとも呼ぶ。一実施形態では、分析システム100は、分析システム100が、ハードウエアが置換されて消耗品が補充される間に作動し続けることができるように、冗長ハードウエア及び消耗品を含む。
【0028】
編成コアアプリケーション220は、検査室情報システム204、病院情報システム、及び別の分析システムのような様々な異なる外部システムからアッセイ命令を受信する。一部の実施では、事前分析計器104は、サンプルに何をすべきかをそれが事前分析計器104に到着した時に正確に知っている。実際の処理に関する判断は、大体は事前に行うことができる。すなわち、バッチ化、タイミング、アッセイ、及び必要な消耗品リソースに関する判断は、サンプルが事前分析計器に到着する時までに全て編成コアアプリケーション220に織り込まれることになる。
【0029】
編成コアアプリケーション220は、3つの構成要素、すなわち、編成状態構成要素、編成判断器構成要素、及び編成エンジン構成要素を含むことができる。各構成要素は、事前分析及び分析計器デバイス264、268のリソースを管理してその作動を制御するのに明確な割り当てられた役割を有する。編成状態構成要素は、状態情報を格納する。編成状態構成要素は、システムのハードウエア及び計器デバイス264、268の作動状態を受信するように構成される。従って、各計器及び各計器内のサブモジュールは、その状態に関する情報を通信して出力し、この状態情報は、編成状態モジュールに直接的に、より典型的には、適用可能な計器の論理部を通してそのいずれかで通信される。編成判断器構成要素は、状態情報を用いて判断を行う。編成エンジン構成要素は、判断を実施し、判断されている間に編成状態構成要素が更新されることから保護する。
【0030】
この点に関して、編成コアアプリケーション220は、消耗品在庫を追跡する。同様に、消耗品量のどの程度が処理中のバッチに割り当てられるかを決定するようにも構成される。そのような情報を用いて、編成コアアプリケーション220は、正味の消耗品在庫を決定し、かつ消耗品利用可能性がない状態でサンプルが処理されないことを保証するために正味の在庫量に基づいて処理フロー決定を行うように構成される。更に、編成コアアプリケーション220は、ある一定の消耗品を計器内に補充する必要があることをユーザに通知するように構成される。そのような消耗品256、260は、少数の例を挙げれば、希釈剤と、試薬と、アッセイ対照サンプルと、ピペット先端と、空のサンプル容器と、抽出容器と、PCR板とを含むことができる。そのような消耗品256、260を追跡するためにバルク希釈剤に対する液位センサのような様々なセンサを実施することができる。同様に、編成コアアプリケーション220は、正味の値を決定するために開始消耗品在庫、及びそこからどれ程の量の消耗品256、260が使用されてきたかを追跡することができる。
【0031】
編成コアアプリケーション220は、アナライザ計器108及び事前分析計器104自体の作動状態も追跡する。編成コアアプリケーション220は、どのサンプルを処理することができるか及びこの情報に基づいて処理をどの時点で開始すべきであるかを判断を行う。計器デバイス264、268は、編成コアアプリケーション220が各計器内のハードウエアの作動状態を追跡することを支援するモーター符号器、集積回路、及びソレノイドなどのような物理的ハードウエア構成要素を含むことができる。作動状態の一態様は、特定の構成要素の作動において故障又はエラーが存在するか否かである。そのような事象では、編成コアアプリケーション220は、システム内の冗長デバイスを知っており、構成要素作動エラー又は故障の事象ではそのような冗長デバイスを調整又は起動する。この点に関して、編成コアアプリケーション220は、構成要素の作動エラー又は故障の事象で実行することになる予め決められたエラープロトコルを有する。編成コアアプリケーション220によって実施される別の機能は、所与のバッチを処理するのに必要な計器、デバイス、及び個々の構成要素を理解し、ハードウエア構成要素、事前分析計器、及びアナライザ計器が現時点で処理に携わっているか又は割り当てられているか否かを理解するその両方である。
【0032】
編成コアアプリケーション220は、サンプルアッセイ命令212を取得するために1又は2以上の情報システムと通信する。そのようなシステムは、病院情報システムと、検査室情報システム204と、情報処理システムと、別の分析システムとを含むことができる。編成コアアプリケーション220は、サンプルが事前分析計器104内に実際に走査入力される前にサンプル処理に関して判断を行うように上述の情報を可能な限り早期に取得するように構成される。この点に関して、検査室技師は、サンプルアッセイ依頼情報を取得する必要はなく、それによってユーザエラーが低減し、技師が他のタスクに向けて解放される。
【0033】
編成コアアプリケーション220は、アッセイプロトコルの実行の様々な状態でアッセイ対照及び試薬、並びに生体サンプル自体のような消耗品在庫及びサンプルの生物学的/化学的/機械的寿命を追跡するようにも構成される。サンプル及び消耗品の有用寿命の限度を超えることは、アッセイ結果の完全性に悪影響を及ぼす場合がある。そのような寿命は、時間が進行する時に短縮し、試薬又はサンプルの持続時間が特定の閾値を超えた場合に、これらの試薬又はサンプルの生化学性が変更される場合がある。編成コアアプリケーション220は、試薬又はサンプルがその寿命を超える前のアッセイプロトコルの完了を保証するために、複数のサンプルを優先順位付けすることができる。
【0034】
編成コアアプリケーション220は、サンプル処理を通してこれらのサンプルを追跡することを可能にすることになる情報を事前分析システム及び分析システム104、108から受信するように更に構成することができる。この追跡段階は、サンプル処理と、1つの計器から別のものへのサンプル搬送、例えば、事前分析計器104からアナライザ計器108への(及びその逆の)サンプル搬送とに向けて取得されて異なる容器に分注されるサンプルの一定分量を追跡する段階を含む。これは、検査室技師がサンプルの場所とそのアッセイ進行状況とに関してシステム及び計器に照会することを可能にする。単一患者サンプルに対して複数のアッセイが依頼される場合に、編成コアアプリケーション220は、アッセイを実施する段階の全体効率を最大にするか又は少なくとも高めるために、ユーザ関与なく単一サンプルに対する複数のアッセイの実行を調整及び追跡する。
【0035】
図2Bは、本明細書に説明する一実施形態による検査室情報システムと通信している集中型分析システム100bのブロック図である。
図2Bでの分析システム100bは、
図2Aを参照して説明した分析システム100と類似である。下記でより詳細に説明するように、
図2Bでの分析システム100bは、編成コアコンピュータデバイス224bによって実施される編成サブ-アプリケーション240b、244bの機能を有する集中型システムである。
【0036】
一実施形態では、分析システム100bは、少なくとも1つの事前分析計器104bと1又は2以上の自動式アナライザ計器108bとを含むことができる。事前分析計器104bは、アナライザ計器104bでの分析に向けてサンプルを処理することができる。アナライザ計器108bは、生体サンプルに対してアッセイを実施するように構成することができ、一方で事前分析計器104bは、アナライザ計器108bによる分析に向けてサンプルを調製するように構成することができる。分析システム100bは、ネットワーク208b上で検査室情報システム204bと通信することができる。分析システム100bは、アナライザ計器108b及び事前分析計器104bと計器間インタフェース、デバイス間インタフェース、又はデバイス内インタフェースのようなインタフェース228bを通して通信する編成コアコンピュータデバイス224bによって実行される編成コアアプリケーション220bを含むことができる。分析システム100bは、検査室情報システム204bとネットワーク208bを通して通信することができる。編成コアアプリケーション220bは、利用可能なリソースの効率的な使用を達成し、これらのリソースの活動を予め決められた閾値レベル又はその上に保つために1又は2以上のアナライザ計器108b及び事前分析計器104bの間で処理を調整してリソースを管理することができる。
【0037】
編成コアコンピュータデバイス224bは、編成サブ-アプリケーション240b、244bを実行する。そのような編成サブ-アプリケーション240b、244bは、編成コアアプリケーション220bによって与えられる命令を実施するために編成コアアプリケーション220bにリンクされる。この点に関して、判断及びそのような判断を実施するための命令は、編成コアアプリケーション220bから編成サブ-アプリケーション240b、244bにかつ命令されたアクションを実施する特定のハードウエア構成要素に上から下に通信される。これらの命令は、編成コアアプリケーション220bから編成サブ-アプリケーション240b、244bにかつ個々のハードウエアデバイスにチェーンを下る時により具体的になる。情報は、編成コアアプリケーション224b及びサブ-アプリケーション240b、244bが、判断決定処理を通知する状態更新を頻繁に受信するように、個々のハードウエアデバイスから編成コアサブ-アプリケーション240b、244bにかつ編成コアアプリケーション220bに下から上にも通信される。
【0038】
編成コアアプリケーション220b及び編成サブ-アプリケーション240b、244bは、アナライザ計器108b及び事前分析計器104bの効率的な使用を達成するように作動する。編成コアアプリケーション220bは、事前分析計器及び分析計器104b、108bによって処理及び評価される検査室情報システム204bからの生体サンプルに関する情報に基づいて判断を行う。サンプルのバッチ処理を実施するのに加えて、編成コアアプリケーション220bは、事前分析計器及び分析計器104b、108bの処理リソース248b、252bを制御及び調整するのに様々なソースから広範な情報入力を取得する。編成コアアプリケーション220bは、検査室情報システム204b、病院情報システム、及び別の分析システムのような様々な異なる外部システムからアッセイ命令を受信する。
【0039】
編成コアアプリケーション220bは、3つの構成要素、すなわち、編成状態構成要素、編成判断器構成要素、及び編成エンジン構成要素を含むことができる。編成コアアプリケーション220bは、消耗品在庫を追跡することができる。編成コアアプリケーション220bは、アナライザ計器108b及び事前分析計器104b自体の作動状態も追跡する。編成コアアプリケーション220bは、アッセイプロトコルの実行の様々な状態でアッセイ対照及び試薬、並びに生体サンプル自体のような消耗品在庫及びサンプルの生物学的/化学的/機械的寿命を追跡するようにも構成される。編成コアアプリケーション220bは、サンプル処理を通してこれらのサンプルを追跡することを可能にすることになる情報を事前分析システム及び分析システム104b、108bから編成サブ-アプリケーション240b、244bを通して受信するように更に構成することができる。
【0040】
図2Bに示す実施形態では、編成コアアプリケーション220bと、編成サブ-アプリケーション240bと、編成サブ-アプリケーション244bとを編成コアコンピュータデバイス224bの3つの構成要素として例示している。しかし、これは例示的ものに過ぎず、限定であるように意図したものではない。別の実施形態では、編成コアコンピュータデバイス224bは、編成サブ-アプリケーション240b、244bの機能を実施することができる編成コアアプリケーション220bを実施することができる。一実施形態では、編成コアコンピュータデバイス224bは、編成コアアプリケーション220bによって与えられる命令を実施するために編成コアアプリケーション220bにリンクされた1つの編成サブ-アプリケーションを含む。
【0041】
編成コアシステムアーキテクチャ
図3は、
図2Aを参照して説明した分析システム100のような分析システム100をサポートする本発明の開示の実施形態による編成コアコンピュータデバイスアーキテクチャ300を示している。一般的に、アーキテクチャは、ユーザがそれと通信を行うことを可能にするユーザインタフェース112のようなユーザインタフェースを有する編成コアコンピュータデバイス224を含む。編成コアコンピュータデバイス224は、サンプル容器又はサンプルラック上のサンプル識別子(例えば、バーコード、QRコード(登録商標))を読み取るための1又は2以上のコードスキャナ304を含むことができる。編成コアコンピュータデバイス224は、事前分析計器104の事前分析計器コンピュータ制御デバイス232及び分析計器108a、108bの1又は2以上のアナライザコンピュータ制御デバイス236a1、236a2(この図では各アナライザ計器に対して1つずつ2つのそのような制御デバイスを示す)と通信している。図示のように、編成コアコンピュータデバイス224は、ネットワーク208に接続され、ネットワーク208は、更に検査室情報システム204(「LIS」)に接続される。LIS204は、診断検査室又は医療施設に付属し、取りわけ、患者記録、医師が依頼したアッセイを格納して維持する既存の汎用又は専用システムとすることができる。ネットワーク208は、編成コンピュータコアコンピュータデバイス224がLIS204と通信的に結合されてこれらの間で情報を共有することを可能にする。編成コアコンピュータデバイス224は、計器間インタフェース228を通して計器104、108a、及び108bの計器制御デバイス232、236a1、及び236a2にも通信的に結合される。しかし、これらのデバイスがシステムと情報を共有することを可能にするコンピュータ制御デバイス232、236a1、及び236a2と編成コアコンピュータデバイス224との間の他の相互接続機構が想定される。
【0042】
事前分析計器コンピュータ制御デバイス232は、計器間インタフェース228に接続されるのに加えて、システム100の事前分析計器デバイス264に接続されたモジュールインタフェース308に接続され、コンピュータ制御デバイス232が事前分析計器デバイス264と通信することが可能になる。事前分析計器コンピュータデバイス232は、システム100内でのサンプルの調製及び前処理に関して利用される物理的作動の制御を含む命令をデバイスのプロセッサに与えるデバイスのメモリに格納されたアプリケーションを含む。この点に関して、このアプリケーションは、事前分析計器コンピュータ制御デバイス232のプロセッサによって事前分析計器モジュール/デバイス264内の各計器/デバイスを制御することを支援する。
【0043】
アナライザコンピュータデバイス236a1、236a2も、各々がプロセッサとメモリとを含むことができる。アナライザコンピュータデバイス236a1は、計器間インタフェース228に接続されるのに加えて、アナライザ計器A1のアナライザデバイス268aに接続されたモジュールインタフェース312a1に接続され、アナライザコンピュータデバイス236a1がアナライザデバイス268aと通信することが可能になる。アナライザコンピュータデバイス236a1は、システム100によってアナライザ計器A1に与えられるサンプルの分析に対して利用される物理的作動の制御に関わる命令をデバイスのプロセッサに与えるデバイスのメモリに格納されたアプリケーションを含む。この点に関して、アナライザコンピュータデバイス236a1は、そのプロセッサを通じて、アナライザ計器A1内の各計器/デバイスを制御することを支援する。アナライザコンピュータデバイス236a2は、そのそれぞれのアナライザ計器に関して類似に構成される。
【0044】
すなわち、
図3Aに示すように、編成コアコンピュータデバイス224は、複数の入力から情報を受信し、必要に応じて情報を配信する。これは、システム100を1又は2以上のアナライザ計器と、更に情報共有ネットワークとに完全に統合することを可能にし、それによってシステム100が複数の異なる容器に含有された複数の異なるサンプルの調製及び前処理を巧みに実施することが可能になる。
【0045】
アーキテクチャ300の別の実施形態では、事前分析計器コンピュータデバイス232又はアナライザコンピュータデバイス236a1、236a2は、編成コアコンピュータデバイス224として作用することもできる。
【0046】
デバイス232、236a1、236a2、編成コアコンピュータデバイス224、及びLIS204の各々は、ネットワーク208の異なるノードにあり、かつ互いに直接的又は間接的に通信することができる。しかし、描写するように、一般的に、編成コアコンピュータデバイス224は、LIS204と、アナライザ計器108a、108b及び事前分析計器104のコンピュータデバイス232、236a1、236a2との間の制御インタフェースとして作動する。ネットワーク208内のコンピュータデバイス232、236a1、236a2と、編成コアコンピュータデバイス224と、LISとは、様々なプロトコル及びシステムを用いて相互接続することができる。ネットワーク208は、イーサネット及びWi-Fiのような標準通信プロトコル、並びに1又は2以上の企業専用プロトコル、更にこれらの様々な組合せを利用することができる。検査室情報システム204と分析システム100の間の通信は、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)のような通信プロトコルを通じたものとすることができる。情報が送信又は受信される時に上述のようにある一定の利点が取得されるが、本明細書に説明するシステムは、いずれの特定の通信プロトコルにも限定されない。
【0047】
図3Bは、
図2Bを参照して説明した実施形態による編成コアコンピュータデバイスアーキテクチャ300bのブロック図である。
図3Bでの編成コアコンピュータデバイスのアーキテクチャ300bは、
図3Aを参照して説明した編成コアコンピュータデバイスのアーキテクチャ300bと類似である。
図2Bでの分析システム100bは、編成サブ-アプリケーション240b、244bの機能が事前分析計器104b及びアナライザ計器108bではなく編成コアコンピュータデバイス224bによって実施される分散システムであるので、編成コアコンピュータデバイス224bは、計器間インタフェース、デバイス間インタフェース、又はデバイス内インタフェースのようなインタフェース228bを通して事前分析計器デバイス264b及び分析計器デバイス268b1、268b2と通信する及び/又はこれらを制御する。
【0048】
編成コアアプリケーション及びサブ-アプリケーション状態
図4は、編成コアアプリケーション又はサブ-アプリケーションの状態を示している。
図4は、計器間インタフェース228と双方向通信している複数の通信インタフェース404a~404cを示している。これらの通信インタフェースは、各々がプロセッサを有する。これらのインタフェース404a~404cは、分析システム236a1、236a2及び事前分析システム232の各々での作動が編成コアコンピュータデバイス224とそれを通して調整されるプロセッサである。通信インタフェース404a~404cの各々は、アナライザコンピュータデバイス236a1、236a2又は事前分析コンピュータ制御デバイス232のいずれかのためのものである。この点に関して、404a~404cでの各コンピュータデバイスは、1又は2以上のプロセッサと、メモリと、汎用コンピュータデバイス内に典型的に存在する他の構成要素とを含有する。
【0049】
通信インタフェース404a~404cは、分析及び事前分析計器内の状態変化に関する情報を事前分析計器コンピュータデバイス232の一部である編成状態構成要素408に、又はアナライザコンピュータデバイス236a1又は236a2の一方に転送する。編成状態構成要素408は、状態変化を事前分析計器コンピュータデバイス232の編成エンジン構成要素412に、又はアナライザコンピュータデバイス236a1又は236a2の一方に通信する。編成エンジン構成要素412は、事前分析計器コンピュータデバイス232の編成判断器構成要素416に、又はアナライザコンピュータデバイス236a1又は236a2の一方に双方向通信している。編成エンジン構成要素412からの要求に応答して、編成判断器構成要素416は、編成エンジン構成要素412が分析デバイス及び事前分析デバイス108、104に命令を送信するか否かを決定する。
【0050】
通信インタフェース404a~404cの各々のメモリは、1又は2以上のプロセッサによって実行することができる命令を含む1又は2以上のプロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる。上述の編成エンジンスレッドは、通信インタフェース404a~404c内のいずれかの利用可能なプロセッサコア上で実行されることになる。上述のように、編成エンジン構成要素412は、編成判断器構成要素416からの判断を要求する。判断が戻される場合に、編成エンジン構成要素412は、適切な通信インタフェース404a~404cにアクションを送出する。通信インタフェース404a~404cは、状態を含むメッセージを受信すると、編成エンジン構成要素412から状態を取得し、この新しい状態で編成状態構成要素408を更新する。編成状態構成要素408内の新しい編成状態は、次に、編成エンジン構成要素412をトリガして稼働させる。
【0051】
メモリは、プロセッサによって取り出し、操作、又は格納することができるデータを含む。メモリは、ハード-ドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD-ROM、書込可能メモリ、及び読取専用メモリのようなプロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができるいずれかの非一時的なタイプのものとすることができる。
【0052】
命令は、1又は2以上のプロセッサによって直接的に実行される命令、例えば機械コード、又は間接的に実行される命令、例えばスクリプトのいずれかのセットとすることができる。この点に関して、本明細書では「命令」、「アプリケーション」、「段階」、及び「プログラム」という用語を交換可能に使用することができる。命令は、プロセッサによる直接処理のためのオブジェクトコードフォーマットで、又はオンデマンドで解釈される又は予めコンパイルされるスクリプト又はソースコードモジュールの集合を含むあらゆる他のコンピュータデバイス言語で格納することができる。これらの命令の機能、方法、及びルーチンを下記でより詳細に説明する。
【0053】
データは、命令に従って1又は2以上のプロセッサが取り出し、格納し、又は修正することができる。例えば、本明細書に説明する主題は、いずれの特定のデータ構造によっても限定されないが、データは、コンピュータレジスタ内、リレーショナルデータベース内に多くの異なるフィールド及び記録又はXML文書を有する表として格納することができる。データは、バイナリ値、ASCII、又はユニコード等であるがこれらに限定されないいずれかのコンピュータデバイス可読フォーマットでフォーマット設定することができる。更に、データは、数字、記述テキスト、専用コード、ポインタ、他のネットワークの場所のような他のメモリに格納されたデータへの参照記号のような関連情報を識別するほど十分なあらゆる情報、又は関連データを計算するための機能によって使用される情報を含むことができる。
【0054】
通信インタフェース232、236a1、及び236a2の各々によって実施される1又は2以上のプロセッサは、市販のCPUのようないずれかの従来のプロセッサとすることができる。これに代えて、プロセッサは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)又は他のハードウエアベースのプロセッサのような専用構成要素とすることができる。
【0055】
一部の実施形態では、プロセッサ又はメモリは、同じ物理的ハウジングに格納してもしなくてもよい複数のプロセッサ及び/又はメモリを実際に含むことができる。例えば、メモリは、プロセッサとは異なるハウジング内に位置付けられたハードドライブ又は他のストレージ媒体とすることができる。すなわち、プロセッサ、コンピュータデバイス、又はメモリへの言及は、並列に作動する又はしないプロセッサ、コンピュータデバイス、又はメモリの集合への言及を含むと理解されるであろう。
【0056】
図2Aに描く実施形態では、アナライザコンピュータデバイス236a1、236a2及び事前分析コンピュータデバイス232は、それらのそれぞれの計器内に位置付けられる。編成コアコンピュータデバイス224の場所は、ほぼ設計上の選択の問題である。図示のように、編成コアコンピュータデバイス224は、コードスキャナ304及び事前分析計器104のユーザインタフェース112と通信することができる(
図2A)。コードスキャナ304は、事前分析計器104の投入窓116内に位置付けられる。一実施形態では、ユーザインタフェース112は、事前分析計器104のシェルに装着されたタッチ画面デバイスである(
図2Aに示す)。しかし、ユーザインタフェース112は、編成コアコンピュータデバイス224に例えばWi-Fiなどを通して無線接続することができるモバイルデバイスを含むことができることを理解しなければならない。単なる例として、ユーザインタフェース112は、ネットワーク208上で情報を取得することができる携帯電話又は無線対応PDA、タブレットPC、又はネットブックとすることができる。別の例では、編成デバイスコンピュータデバイス224は、分析システム100から離れた物理的場所に位置付けられたデスクトップデバイスとすることができる。
【0057】
編成コアアプリケーション
図4に示すように、編成コアアプリケーション220は、通信インタフェース404a~404c、編成判断器構成要素416、編成エンジン構成要素412、及び編成状態構成要素408のような情報フローのための構成要素を含む。編成状態構成要素408は、編成状態(すなわち、事前分析システムと分析システムとを含むシステム100に関するサンプル処理及び分析の状態)に関する全ての情報を受信して保持する。編成判断器構成要素416は、編成状態構成要素408から受信した編成状態に基づいて取るべき次のアクションを決定するアルゴリズムを実施する。通信インタフェース404a~404cには、分析及び事前分析計器から到着する編成状態を更新するのに使用される情報を処理するという役割が課せられる。
【0058】
編成エンジン構成要素412は、編成状態への保護付きアクセスを与え、編成判断器構成要素416を作動させ、編成判断器構成要素416によって行われた判断をコンピュータデバイス232、236a1、及び236a2に配信される命令の形態で実行する。上述のように、編成コアアプリケーション220は状態機械である。すなわち、判断決定処理中に発生する状態変化がこの判断を無効にする。編成エンジン構成要素412は、編成コアアプリケーション220によって行われるこれらの判断がアトミック判断(一度に1つの判断)であるように、判断が行われる間に編成状態構成要素408への保護付きアクセスを与える。
【0059】
一実施形態では、そのような判断がアトミックであることを保証するために、編成エンジン構成要素412は、その独自のスレッド上で実行され、判断決定処理中の状態更新を防止するための1又は2以上の戦略を実施するように構成される。他の実施形態では、スレッドは、実行中に構成可能ではない。例えば、一実施形態では、編成エンジン構成要素412は、編成状態のコピーが生成される間に編成状態をロックするように構成される。編成状態のそのようなコピーは、判断決定処理に使用される。これは、短い期間にわたって適用されることになる編成状態に対するロックを可能にし、判断決定処理で複数個の状態データが変化する時に発生する可能性がある競合条件の機会を制限する。例えば、判断の開始時には1つのバッチと30個の患者サンプルがあり、判断の終了時には2つのバッチと60個のサンプルがある。これらの状態の両方は整合性を有する。編成状態が編成エンジン構成要素412によって制御されない場合に、1つのバッチと60個のサンプルとの不整合状態が見られ、すなわち、「無効な」判断が行われる場合がある。
【0060】
別の実施形態では、編成エンジン構成要素412は、最初にどのアクションを実施するかを決定し、次に、このアクションを実行するように構成することができる。更に、編成エンジン構成要素412は、判断決定処理中に編成状態にロックを適用するように構成することができる。この構成は、どのアクションが実施されるかに関する判断が迅速であるという前提で短い期間にわたってロックを適用することを可能にすることができる。遅い判断は、処理を遅延させ、状態を更新することを停止させる場合がある。
【0061】
更に別の実施形態では、全ての状態変化が待ち行列の中に自動的に入れられる。編成エンジン構成要素412は、待機状態から目覚めて、例えば、待機状態又は休止状態を抜けて待ち行列内の変化の各々を処理するように構成することができる。待ち行列が空になった状態で、次に、編成判断器構成要素416を稼働して判断を実行するように編成エンジン構成要素412を構成することができる。
【0062】
別の実施形態では、編成コアコンピュータデバイス224によって実施することができる編成コアアプリケーション220は、編成エンジン構成要素412及び編成状態構成要素408の全体にロックを適用するように構成される。ロックは、編成エンジン構成要素412が待機状態にある場合に解除され、それによってロックダウン状態に関連付けられた全ての活動が完了したことが示される。この実施形態では、ロックは、より長い時間にわたって保持され、編成エンジン構成要素412がビジー状態にある場合に他のスレッドが実行されることを防止することができる。より長いロックに起因して、競合条件の可能性が高い。
【0063】
編成サブ-アプリケーションシステム
図5Aに描くように、アナライザ計器108a1及び108a2、並びに事前分析計器104は、編成サブ-アプリケーション240、244a1、244a2を含む。これらのアプリケーション240、244a1、及び244a2は、コンピュータデバイス232、236a1、及び236a2のそれぞれのメモリに格納され、ユニット104、108a1、及び108a2内の上述したハードウエアデバイスのようなハードウエアデバイスの調整及び制御を含む命令をこれらのコンピュータデバイスのプロセッサに与える。編成サブシステム240、244a1、及び244a2は、編成コアアプリケーション220と計器104、108a1、及び108a2内の個々の構成要素/サブシステム/ハードウエアの間の通信リンクである。この点に関して、サブ-アプリケーション240、244a1、及び244a2は、編成コアアプリケーション220によって与えられた命令を実行することを支援し、各計器104、108a1、及び108a2のモジュール性を与える。すなわち、図示のように、命令は、編成コアアプリケーション220から計器104、108a1、及び108a2の個々のデバイスに流れる。そのような一般的な命令は、それがハードウエアデバイスに向う方向に通信される時に、個別デバイスによって権限委譲によるプログラミングを通してターゲットアクションに変換される。例えば、事前分析計器104がサンプルのラックを受け入れる時に、編成サブ-アプリケーション240のうちの1又は2以上は、サンプルのラックを事前分析計器104の中に受け入れる段階をサポートするのに必要なタスクをもたらすための特定の命令を特定のデバイス264に出す。この点に関して、個々のデバイス264から編成コアアプリケーション220に情報が流れる。そのような情報は、デバイス264の作動状態、消耗品の現在のレベル、及び特定のサンプルの場所を含むことができる。このピラミッド構造は、編成コアアプリケーション220が高レベル判断と情報収集とにフォーカスすることを可能にする。
【0064】
編成サブ-アプリケーション240、244a1、及び244a2は、編成コアアプリケーション220と同じく各ユニット104、108a1、108a2内の様々なデバイスの間で、更にユニット104、108a1、108a2を通しても活動を調整するように構成することができる。例えば、事前分析計器104のコンベヤマネージャサブ-アプリケーション及び第2のアナライザ計器108a2のロボットアームマネージャサブ-アプリケーションは、事前分析計器104のコンベヤからアナライザ計器108a2のロボットアームにサンプル容器を手渡すようにそれぞれのコンベヤ及びロボットアームの利用可能性及び作動を調整することができる。
【0065】
更に、サブ-アプリケーション240、244a1、244a2は、独自のスレッド上で作動する状態機械とすることができる。例えば、事前分析計器104は、独自のスレッド上で作動する状態機械であるラックマネージャサブ-アプリケーションを有することができる。ラックマネージャサブ-アプリケーションは、事前分析計器104を通してサンプルのラックを移動する活動を調整する役割を受け持つことができる。例えば、ラックマネージャサブ-アプリケーションは、ラックが何処にあるか及びラックに対してどのような作動が実施されているかを示す単一の一覧表とすることができるラックオブジェクトに割り当てられたラック状態値に基づいてラックオブジェクトを保持し、かつ判断を行うことができる。そのような判断は、どのサンプルのラックが移動されるか及びそれが何処に移動されるかを含むことができる。更に、ラックマネージャサブ-アプリケーションは、事前分析計器104内のサンプル移行ステーション又はラックエレベーターのような他の構成要素又はステーションとのラックの手渡しを調整する。
【0066】
しかし、ラックマネージャサブ-アプリケーションは状態機械であるので、判断決定処理中に発生する状態変化は、この判断を無効にする。そのような判断がアトミックであることを保証するために、ラックマネージャサブ-アプリケーションは、判断決定処理中の状態更新を防止するための1又は2以上の戦略を実施するように構成される。例えば、一実施形態では、ラックマネージャサブ-アプリケーションは、ラック状態のコピーが生成される間にラック状態にロックを適用するように構成される。そのようなコピーは判断決定処理に使用される。これは、短い期間にわたってロックを適用し、競合条件の機会を制限することを可能にする。
【0067】
図5Bは、
図2B及び
図3Bを参照して説明した集中型分析システムの編成コアアプリケーション及び編成サブ-アプリケーションのブロック図である。
図5Bに描くように、編成サブシステム240b、244b1、及び244b2は、編成コアアプリケーション220bと計器104b、108b1、及び108b2内の個々の構成要素/サブシステム/ハードウエアとの間の通信リンクである。編成サブ-アプリケーション240b、244b1、及び244b2は、編成コアアプリケーション220bと同じく各ユニット104b、108b1、108b2内の様々なデバイスの間で、更にユニット104b、108b1、108b2を通しても活動を調整するように構成することができる。サブ-アプリケーション240b、244b1、244b2は、独自のスレッド上で作動する状態機械とすることができる。コアアプリケーション220bは、独自のスレッド上で作動する状態機械とすることができる。
【0068】
多層編成コアアプリケーションアーキテクチャ
図6-1及び6-2は、図示のように多計器サービス層610と、編成層620と、計器モジュール層630とを有する編成コアアプリケーション220に対するアーキテクチャを示している。各層は、各々が別個のユーザ作動カテゴリを封入する複数のシステムユーザオブジェクトから組み立てられる。複数のシステムユーザオブジェクトは、
図6-1及び6-2に示すシステムに対するモジュールサービスベースモジュール614を含む(1)サービスレベルオブジェクト層610を有利に含む。サービスレベルオブジェクト層610は、編成層620と、計器モジュール制御層630と、計器モジュール層650内のモジュールと通信している編成制御アプリケーションサービスモジュール612の一部である。編成制御アプリケーションサービスモジュール612は、サンプル情報を要求するモジュール646、バッチを調整するモジュール642、モジュール登録を管理するモジュール636、及び在庫コンテキストを更新するモジュール632と通信している。編成制御アプリケーションサービスモジュール612は、その層内の他のモジュールと(すなわち、モジュールサービスベースモジュール614と、更にモジュールサービスベースモジュール614を通してサービスベースモジュール616と)通信する。
【0069】
一実施形態では、編成エンジンモジュール(又は構成要素)624は、編成制御アプリケーションサービスモジュール612からも命令を受信するモジュールサービスベースモジュール614と通信する。編成エンジンモジュール624は、編成状態モジュール622から編成状態を取得する。編成状態モジュール622は、層630内の全てのモジュールから、更に間接的に層650内の全てのモジュールから状態情報を受信する。これらのモジュールは、在庫状態更新器モジュール632、利用可能消耗品毎アッセイモジュール634、モジュール登録マネージャ636、モジュール状態モジュール638、バッチモジュール540、バッチ調整モジュール642、サンプルモジュール644、及びサンプル情報要求モジュール646である。編成エンジンモジュール624からの要求に応答して、編成判断器モジュール626は、編成エンジンモジュール624が他のモジュールに命令を送信するか否かを決定する。
【0070】
サンプル情報要求モジュール646は、計器内の個々のサンプルの登録及び追跡に関して命令を与えて情報を取得するために計器登録モジュール658と通信する。一実施形態では、サンプル情報は、計器が受信したサンプル容器上のサンプルコードを読み取ることによって取得される。移送容器上のサンプルコードは、計器内で移送容器を識別及び追跡するために更に登録される。編成制御アプリケーションサービスモジュール612は、サンプル要求モジュール646からのサンプル情報要求を開始し、その結果、計器登録モジュール658がサンプル容器及び移送容器に関する情報を取得することに注意されたい。サンプル情報が取得された状態で、サンプル情報モジュール644内のサンプル情報が更新される。更新されたサンプル情報は、編成状態モジュール622に通信される。
【0071】
層630は、計器内の計器バッチ調整モジュール656と通信することによってバッチを調整するモジュール642を有する。層630内のバッチ調整モジュールとのインタフェースを通して、計器バッチ調整モジュール656は、編成制御アプリケーションサービスモジュール612によって同じバッチ内であるように指定されたサンプルをシャトルに投入する。更に、バッチ調整モジュール642は、計器バッチ調整モジュール656内のバッチハンドラ装置を開始するためのかつ計器バッチ調整モジュール656がシャトルの移送を開始するための命令を計器バッチ調整モジュール656に与える。バッチ調整モジュール642は、編成状態モジュール622と通信し、それと共にバッチモジュール640と通信する(更にバッチモジュール640は編成状態モジュール622と通信する)。
【0072】
層630は、編成状態モジュール622にモジュール状態を通信するモジュール640を更に有する。モジュール状態モジュール638は、層610内の編成制御アプリケーションサービスモジュール612から命令及び指図を受信するモジュール登録マネージャ636から情報を取得する。モジュール登録マネージャ636はまた、編成状態モジュール622に情報を通信する。編成制御アプリケーションサービスモジュール612からの命令に基づいて、モジュール登録マネージャ636は、計器デバイス登録モジュール654と通信する。
【0073】
上述のように、層630は、在庫状態を更新するモジュール632を有する。在庫状態モジュール632は、編成制御アプリケーションサービスモジュール612からインスタンス化命令を受信し、いずれかの状態更新を用いて編成状態モジュール622を更新する。在庫状態更新モジュール632は、事前分析計器内の消耗品の状態に関する様々な情報を取得するようにこの計器内の在庫モジュール652を制御する。これらの情報は、利用可能な消耗品、必要に応じて消耗品を取り出すこと、消耗品を確保すること、消耗品を復旧すること、在庫を入れ替えることに関する在庫情報を含む。
【0074】
別の実施形態では、ラックマネージャサブ-アプリケーションは、実施されるアクションを最初に決定し、次に、そのようなアクションを実行するように構成することができる。更に、ラックマネージャサブ-アプリケーションは、判断決定処理中にラック状態にロックを適用するように構成することができる。この構成は、どのアクションが実施されるかに関する判断が迅速であるという前提で短い期間にわたってロックを適用することを可能にすることができる。
【0075】
更に別の実施形態では、全てのラック状態変化が待ち行列の中に自動的に入れられる。ラックマネージャサブ-アプリケーションは、待機状態から目覚めて待ち行列内の変化の各々を処理するように構成することができる。待ち行列が空になった状態で、判断を実行するようにラックマネージャサブ-アプリケーションを構成することができる。
【0076】
更に別の実施形態では、ラックマネージャサブ-アプリケーションは、ラックマネージャサブ-アプリケーションを通してロックを適用するように構成することができる。ロックは、ラックマネージャサブ-アプリケーションが待機状態にある場合に解除され、それによってロックダウン状態に関連付けられた全ての活動が完了したことが示される。
【0077】
計器及びアッセイ状態
一実施形態では、計器には、定められた状態が与えられる。例えば、計器状態は、表1に示すように定めることができる。
【表1】
【0078】
図7及び
図8を参照して、1つの状態を別の状態に変化させることになる指令を示している。例えば、計器が電源オフ状態にある時に、電源投入するための指令は、状態を「オフライン アイドル」に変化させることになる。オフラインアイドル状態は、オフライン手順(例えば、計器サービス、ソフトウエア更新のような)が実行されている時に「オフライン ビジー」にも変えることができ、この場合、オフラインアイドル状態は、オフライン手順が完了されるまで維持される。状態がオフラインアイドルからオンラインアイドルに変化することを防止するオフライン手順が存在しない場合に、計器をオンラインにする指令がオンラインアイドルに状態を変化させることになる。オンラインアイドル状態では、手順を開始するように計器に命令することができる。完了した状態で、計器はオンラインアイドル状態に戻される。実行中に計器が一時停止された場合(一時停止 ビジー)は、この状態がオンラインビジーに戻され、手順が完了するまで新しい手順を開始することができない。計器がオンラインアイドル状態にある時に、それは、それが新しい手順を開始することができないか又は計器をオフラインにする命令が受信される一時停止アイドル状態に入らない限り、更に別の活動のための指令を受け入れるのに利用可能な状態に留まることになる。
【0079】
システムはまた、定義されたアッセイ状態を有する。一実施形態では、アッセイは、下記の表2に示す状態のうちの1つを有することができる。
【表2】
【0080】
図9は、特定のアッセイに関する状態がどのように格納されるかを示している。アッセイ状態が「不可」の場合に、このアッセイに対して地域規則が適用され、この場合、このアッセイを実施することを可能にすることにはなるが、アッセイ結果が患者適格ではないことになる「不適格」状態がこのアッセイに与えられる。適格を達成するために、実施されたものが検証される。状態が適格であるが、このアッセイの新しいバージョンが公開された場合に、新しいバージョンが適格になるまで、このアッセイの古いバージョンが実施される。
【0081】
アッセイ又はアッセイ段階順序の決定
編成コアアプリケーション220は、受け入れたサンプル、依頼されたアッセイ、及びリソース248、252の利用可能性に基づいてアッセイ又はアッセイ段階の動作順序を決定することができる。
図10は、動作を最大にするためにサンプルに対するアッセイ又はアッセイ段階の動作順序を決定する非限定的例示的方法1000のブロック図である。一実施形態では、編成コアアプリケーション220は、方法1000又はその一部を実施することができる。ブロック1004での開始後に、ブロック1008では、方法1000は、走査されたサンプルコードを受信する。例えば、容器内のサンプルのラックが分析システム100の投入窓116に到着した後に、分析システム100のコードスキャナ304は、サンプルの容器に添付されたバーコード及び2次元コードのようなサンプル識別子を走査することができる。方法1000は、スキャナ304によって走査された走査サンプルコードを受信することができる。判断ブロック1012では、スキャナ304が追加のサンプルコードを走査して受信する場合に、方法1000は、ブロック1008に戻って追加のサンプルコードを受信することができる。追加のサンプルコードは、分析システム100が受け入れたものと同じサンプルのラック又は別のサンプルのラックからのものとすることができる。
【0082】
判断ブロック1012では、追加のサンプルコードが走査されず、かつ受信されない場合に、方法1000は、ブロック1016に進行することができ、そこでは、受け入れられたかつ走査されたサンプルに対して実施されるアッセイを決定する。例えば、方法1000は、受け入れられた及び走査されたサンプルに関するアッセイ命令を検査室情報システム204又は病院情報システムから受信することができる。方法1000は、サンプルコード及びアッセイ命令から決定されたサンプルアイデンティティに基づいてサンプルに対して実施されるアッセイを決定することができる。例えば、医者は、患者に関して3つの検査A、B、及びCを依頼することができ、患者のサンプルを含有する容器は、それ自体に添付されたサンプルコード123456を有することができる。方法1000は、サンプルコード123456を受信した後に、サンプル(すなわち、患者のサンプル)のアイデンティティを決定し、かつ医者が患者に関して3つのアッセイを依頼又は命令したと決定する。
【0083】
方法1000は、判断ブロック1020に進行し、そこで、各サンプルの条件が、サンプルに対して依頼された1又は2以上のアッセイの要件を満たすか否かを決定する。サンプルの条件は、サンプル容積、サンプル持続時間、サンプル品質(例えば、サンプル不透明度)とすることができる。例えば、患者に関して医者が依頼した3つのアッセイA、B、及びCは、それぞれ1ml、5ml、及び10mlを必要とする。しかし、事前分析計器104によって決定された患者のサンプルの容積は、15mlしかない場合がある。すなわち、患者のサンプルの容積が2つのアッセイに対してしか十分ではないので、患者のサンプルの容積は、依頼された3つのアッセイの全体要件を満たさない。サンプルが、依頼された1又は2以上のアッセイの要件を満たさない場合に、方法1000は、ブロック1024に進行し、そこで、サンプル条件が、依頼されたアッセイの要件を満たさないことを通知する。例えば、編成コアアプリケーション220は、分析システム100のユーザインタフェース112を用いてエラーメッセージを表示することができる。次に、方法1000は、ブロック1028で終了する。
【0084】
一部の実施では、サンプルに対するアッセイ命令は、実施されるアッセイの優先順位を含むことができる。方法1000は、サンプルの条件がサンプルに対して依頼された全てのアッセイの要件を満たさない場合であっても、サンプルに対して実施されるアッセイを決定することができる。例えば、患者のサンプルのアッセイ命令は、アッセイA及びBの結果を互いに解釈することしかできないことを示す場合がある。アッセイ命令は、アッセイAがアッセイCよりも重要であることを示す可能性もある。すなわち、方法1000は、ブロック1020から進んでアッセイA及びBを実施し、アッセイCが実施されることにはならないことをユーザに通知することができる。一部の実施では、方法1000は、サンプルに対して実施することができる可能なアッセイを表示し、実施されるアッセイに関するユーザ入力を要求することができる。
【0085】
判断ブロック1020では、サンプル条件が、依頼されたアッセイの要件を満たす場合に、方法1000は、判断ブロック1032に進行し、そこで事前分析計器104及びアナライザ計器108を含む分析システム100は、依頼された全てのアッセイを実施するほど十分なリソースを有するか否かを決定する。分析システム100が十分なリソースを含有しない場合に、方法1000は、ブロック1024に進行し、そこで分析システム100が依頼されたアッセイを実施するほど十分なリソースを含有しないことがユーザに通知される。次に、方法1000は、ブロック1028に進行し、そこで終了する。例えば、事前分析計器104は、患者のサンプルをサンプル容器から3つのより小さい容器の中に分注する必要がある場合がある。しかし、事前分析計器104は、ピペット先端を切らしている場合があり、又は2つのより小さい容器のみを有する場合がある。方法1000は、ユーザインタフェース112を通してユーザにユーザが事前分析計器104により多くのピペット先端及び容器を在庫する必要があることを通知することができる。
【0086】
表3は、各リソースを1つのサンプル又は1つのサンプルバッチの調製又は分析に使用することしかできないように限定されたアクセスを必要とする場合がある分析システム100の例示的リソースを示している。これらのリソースのうちの一部は、分析システム100によって自動的に開始することができる。これらのリソースのうちの一部は、恐らくはユーザが選択するためのオプションを分析システム100がユーザに提示した後に、特定のユーザ開始又はユーザアクションを必要とする場合がある。例えば、ユーザは、分析システム100の廃棄物容器の内容物排出段階を開始することができる。別の例として、日常保守中に、分析システム100は、抽出区域が清掃されたことをユーザが認識するまで一時停止することができる。表4は、分析システム100の例示的な追加のリソースを示している。
【表3】
【表4】
【0087】
一実施では、方法1000は、システムリソースの不足を前提として実施することができるアッセイの組合せを決定し、実施されるアッセイをユーザに決定させる。別の実施では、アッセイ命令は、アッセイ及びサンプルの優先順位を含むことができ、それによって方法1000は、システムリソースの欠如をユーザに通知し、判断ブロック1032から進んでアッセイ及びサンプルの優先順位に基づいてアッセイを実施することができる。
【0088】
判断ブロック1032では、分析システム100が十分なリソースを含有する場合に、方法1000は、ブロック1036に進行し、そこで分析システム100が同時に実施することができるアッセイ段階又はアッセイが決定される。例えば、患者に関して依頼されたアッセイA及びBがそれぞれ65℃及び95℃の加熱を必要とし、更にアナライザ計器108がサンプルを加熱するための熱板を1つのみ含有する場合に、これら2つの段階は同時に実施することができない。しかし、アナライザ計器108が2又は3以上の熱板を含有する場合に、これら2つのアッセイ段階は、同時に実施することができる。
【0089】
方法1000は、判断ブロック1040に進行し、アッセイ命令がいずれかの特殊命令を含むか否かを決定する。例えば、特殊命令は、特定の患者に関するアッセイ命令が至急命令であり、最も高い優先順位を有することを陳述することができる。別の例として、特殊命令は、2つのアッセイが両方共に実施されるか又はいずれも実施されないかのいずれかであることを示す場合がある(恐らくは患者に関するアッセイの結果が互いに解釈することを必要とするので)。特殊命令がない場合に、方法1000は、ブロック1044に進行し、動作メトリックを最大にするために動作順序を決定する。動作メトリックは、全てのアッセイを実施するための継続時間、全てのアッセイを実施するのに使用されるエネルギ、及びアッセイ結果の品質又は精度のような1又は2以上のファクタに基づく場合がある。動作順序は、予定された事象による影響を受ける場合がある。例えば、予定された事象は、日常保守、予定されたファームウエア更新又はソフトウエア更新、予定されたハードウエア更新、及び予定された電源停止とすることができる。動作順序は、分析システム100の構成要素の物理構成又は論理構成による影響を受ける場合がある。例えば、動作順序は、事前分析計器104、アナライザ計器108、及び電子計器264、268の物理構成又は局所構成による影響を受ける場合がある。動作順序は、サンプルの要素を識別するサンプル容器又は他のもののタイプによる影響を受ける場合がある。例えば、受け入れたサンプルを含有する容器は、サンプルに対して依頼されたアッセイのタイプに対して好ましいものではない場合がある。動作順序は、受け入れたサンプル容器からサンプルをより適切なサンプル容器に移送する段階を含む場合がある。方法1000は、ブロック1028で終了することができる。
【0090】
判断ブロック1040では、アッセイ命令が特殊命令を含む場合に、方法1000は、ブロック1048に進行し、動作メトリックを最大に高めながら特殊命令が優先される場合の実施されるアッセイの動作順序を決定する。例えば、患者に関するアッセイ依頼が至急依頼である場合に、方法1000は、至急命令に対するアッセイのもの以外のアッセイの動作を最大にする動作順序を決定することができる。一部の実施形態では、全ての至急命令が最初に実施されない限りアッセイの動作は最小にされる。次に、方法1000は、ブロック1028で終了する。
【0091】
例示的順序決定
図11は、動作を最大にするためにサンプルに対するアッセイ段階の動作順序を決定する段階の非限定例の概略図である。分析システム100は、3つのリソースA、B、及びCを含むことができる。3つのリソースは、例えば、ボルテックサ、ピペット、及び熱板とすることができる。アッセイ1、2、及び3は、A、B、及びC、A、C、及びB、及びB、A、及びCの順序でのこれら3つのリソースの使用を必要とする。動作を最大にするために、同じリソースを必要とする様々なアッセイに対するアッセイ段階は、互いにバッチ処理することができる。
図11は、アッセイ段階の可能な動作順序を示している。
図11に示すように、動作順序(1)は、動作順序(2)及び(3)と比較して長い実行時間を必要とする。しかし、動作順序(1)は、至急命令がアッセイ1を含む場合に動作メトリックを最大にすることができる。
図11では、至急命令を最初に実施しながら合計実行時間を最小にするためにリソースBを必要とするアッセイ段階をバッチ処理することができる。
【0092】
動作順序(2)と(3)は、同じ実行時間を必要とすることが示されている。動作メトリックが時間に基づくものであり、リソースA、B、及びCを必要とするアッセイ段階を順次実施しなければならない場合に、動作メトリックを最大にする動作順序は、動作順序(2)とすることができる。動作メトリックがエネルギに基づくものであり、リソースBがリソースCよりも多いエネルギを使用する場合に、動作メトリックを最大にする動作順序は、動作順序(3)とすることができる。
【0093】
更新されたアッセイ又はアッセイ段階順序の決定
編成コアアプリケーション220が動作順序を決定した後で、分析システム100は、サンプルに対するアッセイの実施が完了する前に検査室情報システム204又は病院情報システムから新しいアッセイ命令を受信する場合がある。新しいアッセイ命令は、分析システム100がサンプルを処理及び分析する段階を開始した後又は前に受信することができる。
図12は、新しいアッセイ命令を受信した後にアッセイ又はアッセイ段階の更新された動作順序を決定する非限定的な例示的方法1200のブロック図である。一実施では、編成コアアプリケーション220は、方法1200又はその一部を実施することができる。ブロック1204で開始された後に、方法1200は、ブロック1208に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、サンプルに対して依頼されたアッセイの動作順序を決定する。編成コアアプリケーション220は、
図10を参照して説明した方法1000に基づいてアッセイの動作順序を決定することができる。
【0094】
方法1200は、ブロック1212に進行し、新しいアッセイ命令を受信する。例えば、編成コアアプリケーション220は、新しいアッセイ命令を検査室情報システム204からネットワーク208を通じて受信することができる。受信される新しいアッセイ命令は、新しいサンプル又は既存のサンプルに対するものである場合がある。例えば、新しいアッセイ命令は、分析システム100が過去に受け入れて走査した既存のサンプルに対するものである場合がある。新しいアッセイ命令を受信する時に、分析システム100は、このサンプルに対して既に依頼を受けている1又は2以上のアッセイを実施する処理中である場合があり、又はこのサンプルに対して既に依頼を受けている1又は2以上のアッセイを実施する前に計器デバイス264、268が利用可能になることを待っている場合がある。別の例として、新しいアッセイ命令は、受け入れて走査したことがないサンプル100に対するものである場合がある。
【0095】
方法1200は、判断ブロック1216に進行し、新しいアッセイ命令が既存のサンプル又は新しいサンプルのいずれに対するものであるかを決定する。新しいアッセイ命令が新しいサンプルに対するものである場合に、方法1200は、ブロック1220に進行し、そこで編成コアアプリケーション220がバーコード又は2次元コードのような新しいサンプル識別子を受信する。例えば、分析システム100は、分析システムの投入窓116を通して新しいサンプルを受け入れることができる。編成コアアプリケーション220は、コードスキャナ304を用いて走査されたサンプルコードを受信することができる。新しいサンプルコードを受け入れた後に、方法1200は、ブロック1124に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、新しい動作順序を決定することができる。新し動作順序は、現在実施されているアッセイ又はアッセイ段階に照合して分析システム100によって実施することができるアッセイ又はアッセイ段階に基づく場合がある。表5は、現在実施されている他のアッセイ又はアッセイ段階に照合して同時に実施することができるアッセイ又はアッセイ段階に関する4つの状態を示している。現在実施されている最も限定的なアッセイ又はアッセイ段階は、予定のアッセイ又はアッセイ段階に影響を及ぼす場合がある。一部の実施形態では、現在実施されている最も限定的なアッセイ又はアッセイ段階は、実施することができる予定のアッセイ又はアッセイ段階を決定する。表5での4つの状態は、最も限定的でないものから最も限定的なものに順序付けしたものである。最も限定的でない状態は、分析システム100のリソースに関して実施することが最も高価である。
【表5】
【0096】
判断ブロック1216では、新しいアッセイ命令が新しいサンプルに対するものである場合に、方法1200は、ブロック1220に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、新しい動作順序を決定することができる。編成コアアプリケーション220は、
図10を参照して説明した方法1000に基づいてアッセイの新しい動作順序を決定することができる。本方法は、ブロック1228で終了する。決定された新しい動作順序は、アッセイを完了するのに必要な時間又はエネルギ又はアッセイの優先順位のような動作メトリックを最大にすることができる。
【0097】
一実施形態では、方法1200は、ブロック1120で新しいサンプルコードを受信する前に既存のサンプル及び新しいサンプルに対する新しい動作順序を決定することができる。方法1200は、新しいサンプルコードを受信するまで新しい動作順序を継続的に決定することができる。すなわち、分析システム100は、新しいサンプルを受け入れ、方法1200は、新しい動作順序を決定するのにいずれの時間遅延も必要とすることなく動作を最大にするためにアッセイを実施し続けることができる。
【0098】
アッセイ又はアッセイ段階の動作順序の決定
編成コアアプリケーション220は、受け入れたサンプル、依頼されたアッセイ、リソース248、252の利用可能性、及び電子計器264、268の作動状態に基づいてアッセイ又はアッセイ段階の動作順序を決定することができる。
図13は、1又は2以上の動作メトリックを最大にするためにアッセイ又はアッセイ段階の動作順序及び更新された動作順序を決定する一例示的方法1300の流れ図である。一実施形態では、編成コアアプリケーション220は、方法1300又はその一部を実施することができる。ブロック1304で開始した後に、方法1300は、ブロック1308に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、患者のような1又は2以上の被検体の生体サンプルに対するアッセイ命令を受信する。アッセイ命令は、1又は2以上の生体サンプルの各々に対して1又は2以上のアッセイを実施する段階を含むことができる。例えば、アッセイ命令は、全血球数(CBC)、血液化学検査、血液酵素検査、及び被検体のサンプルに関する心疾患リスクを評価するための血液検査を実施する段階、並びに心疾患リスクを評価するための血液検査を実施する段階を含むことができる。編成コアアプリケーション220は、医療提供者又は検査室職員、例えば、検査室技師のような命令提供者からアッセイ命令を受信することができる。
【0099】
アッセイ命令を受信した後に、方法1300は、ブロック1312に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、生体サンプルに対して電子計器264、268上で実施されるアッセイをアッセイ命令に基づいて決定する。実施されるアッセイを決定する段階は、アッセイに関連する情報を検査室情報管理システムのデータベースから取り出す段階を含むことができる。
【0100】
方法1300は、ブロック1312からブロック1316に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、利用可能なアッセイリソースと電子計器264、268の作動状態とを決定する。アッセイリソースは、希釈剤、試薬、アッセイ対照サンプル、ピペット先端、サンプルチューブ、抽出チューブ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)板、廃棄物容器内の利用可能な空間、又はそのあらゆる組合せを含むことができる。
【0101】
ブロック1320では、編成コアアプリケーション220は、アッセイに対する動作順序を決定することができる。例えば、動作順序は、ブロック1316で決定された利用可能なアッセイリソースと電子計器264、268の作動状態とに基づく場合がある。編成コアアプリケーション220は、分析システム100の1又は2以上の動作メトリックを最大にするために動作順序を決定することができる。一実施では、編成コアアプリケーション220は、受け入れたサンプルを決定し、更に受け入れたサンプルに対する動作順序を決定するためにサンプル走査コードを任意的に受信することができる。
【0102】
電子システムに対する動作メトリックは、期間当たりの有効アッセイ結果数を含むか又はそれに基づいて決定することができる。有効アッセイ結果数は、期間(例えば、1回の8時間交代勤務時間、24期間、1週間、又はそれよりも長い)当たりの生体サンプルの生化学安定性及びアッセイリソースの生化学安定性に基づいて決定することができる。例えば、動作メトリックは、期間当たりの使用可能アッセイ結果数に基づいて決定することができる。例えば、終了時生化学安定性の前でのアッセイ結果の生成を保証するために、有効アッセイ結果数を最適化又は最大にすることができる。生体サンプルに対して実施されるアッセイの全ての段階を実施することによって臨床的に有利な結果が保証されるわけではない。様々なファクタが結果を無効にする場合がある。例えば、編成コアアプリケーション220は、アッセイプロトコルの実行の様々な状態で在庫及びサンプルの生化学的寿命を追跡することができる。これらの寿命限度よりも長いことにより、不確定アッセイ結果がもたらされ、すなわち、機械のスループットが低下する場合がある。すなわち、編成コアアプリケーション220は、患者サンプル、アッセイ対照、アッセイ試薬などの存続性を追跡することができる。これらの寿命は、アッセイが実施され、サンプルの生化学性がアッセイ段階によって変更される時に変化する。編成コアアプリケーション220は、開始された後かつ患者サンプルの有効性が失効する前の全てのアッセイ又はアッセイ段階の完了を保証するように計画することができる。
【0103】
動作メトリックは、単位期間当たりに検査された生体サンプルの数を含むことができる。例えば、主メトリックは、期間当たりに検査されたサンプルの数、例えば、1日当たりに検査されたサンプルの数とすることができる。編成コアアプリケーション220は、全ての分析モジュール268及びサブモジュールと事前分析モジュール264及びサブモジュールとをビジーに保つように試みることができる。これらのハードウエアリソースの完全利用は、システムがその最大スループットをもたらすことを達成することができる。いずれのモジュール又はサブモジュールのアイドル時間も、全体動作に悪影響を及ぼす場合がある。
【0104】
一実施では、動作メトリックは、単位期間当たりに分析システム100を作動させるのに必要である検査室職員の労力又は時間を含む。編成コアアプリケーション220は、サンプルをその処理を通して追跡することができる。編成コアアプリケーション220は、サンプルを異なる容器への移行にわたって、かつ異なるモジュール、すなわち、分析モジュール、分析サブモジュール、及び事前分析モジュールにわたって追跡することができる。すなわち、検査室職員をこの役割から解放することができ、一連の処理から人的過誤を排除することができる。更に、検査室職員は、患者サンプルの場所及びアッセイ進行状況を照会することができる。単一患者サンプルに対して複数のアッセイが依頼された場合に、編成は、検査室職員が関与することを必要とせずに複数のアッセイの実行を調整及び追跡することができる。動作メトリックは、電子システムが検査室職員の入力を必要としない最大時間量、及び/又は電子システムが期間当たりに検査室職員の入力を必要とする最小回数を含むことができる。例えば、動作メトリックは、ユーザがシステムに戻らなければならなくなる前に許される最長時間、所与の期間の範囲でユーザがシステムに戻らなければならない最小回数に基づいて決定することができる。
【0105】
必要な労力は、期間当たりの電子システムの中断回数に基づいて決定することができる。例えば、システムによって使用される第2に重要なメトリックは、分析システム100を作動させるのに必要である労力とすることができる。分析システム100は、交代勤務時間当たりの検査室職員の中断回数を最小にするように設計することができる。人為操作の量をグループ分けすることにより、特定の検査室機能の中断を最小にすることができる。これは、最も高いスループットを達成することに対して均衡が取られ、これは、オペレータが、より多いアッセイに向けて計器を在庫して準備することを必要とする場合がある。
【0106】
動作メトリックは、アッセイの緊急度、被検体のプロファイル、命令提供者のアイデンティティ、又はその組合せのような1又は2以上の予め決められた条件に基づいて決定することができる。これらの条件は、サービス水準合意によって指定されたアッセイの緊急度を決定することができる。実施されるアッセイ又は完了される検査の緊急度は、患者管理での緊急度のような臨床診療の観点からのものである場合がある。別の例として、実施されるアッセイの緊急度は、患者の人口統計的特性のような患者プロファイルと、アッセイ及び被検体の統計的属性とに基づいて決定することができる。例えば、実施されるアッセイの緊急度は、システムを作動させる検査室の業務処理と、検査室と検査室顧客のような命令提供者との間のサービス水準合意を満たす必要性とによる影響を受ける場合がある。別の例として、条件は、検査室職員によってサンプルが一時的に誤配置されることのような単発事象とすることができる。
【0107】
一実施形態では、動作メトリックは、昇順又は降順で重み付けされた単位期間当たりの有効アッセイ結果数、単位期間当たりに検査された生体サンプル数、単位期間当たりに電子システムを作動させるのに必要である労力、及び/又は本明細書に開示する他の変数又はファクタを有する重み付き行列を含む。一実施形態では、動作メトリックは、アッセイの継続時間、生体サンプルの優先順位、各生体サンプルの生化学安定性、電子計器の状態、複数のアッセイを実施するのに必要である複数のアッセイリソースの同時性、又はそのあらゆる組合せに対応するメトリックを含む。別の実施形態では、動作メトリックは、サンプル及びアッセイに対して予め決められた指針を反映する。例えば、アッセイ命令は、例えば、結果緊急度、サンプル有効期限、ユーザ定義パラメータのようなパラメータを含むことができる。動作メトリックは、そのようなパラメータを反映することができる。検査室職員は、処理される個々のサンプル又はサンプル群の優先順位を変更することができる。
【0108】
動作順序を決定する段階は、1又は2以上のアッセイに対する動作順序を利用可能なアッセイリソースに基づいて決定する段階を含むことができる。編成コアアプリケーションは、利用可能な在庫、ハードウエア構成要素の作動状態、患者依頼アッセイ、サンプル利用可能性、サンプル持続時間、既に処理中のバッチ、分析モジュール、分析サブモジュール、及び事前分析モジュールの利用可能性、生化学安定性、及び/又は検査室業務慣習を考慮することができる。効率的な編成は、消耗品消費量、アイドル状態の分析モジュール、分析サブモジュール、及び事前分析モジュール、並びに不確定結果を最小にすることができる。
【0109】
動作順序を決定する段階は、複数の生体サンプルを複数のサンプルバッチに編成する段階を含むことができる。電子計器は、サンプルバッチを同時に処理するように構成することができる。アッセイリソースは、電子計器がサンプルバッチを同時に処理するように構成することができる。例えば、熱循環実施では、全てのサンプルが温度の同じ変化及び周期に露出されるので類似のアッセイが必要である。すなわち、サンプルをバッチに編成することができる。消耗品及び計器デバイス264、268は、サンプルをアッセイ毎に個別バッチサイズで処理するように設計することができる。例えば、計器デバイス264、268は、96個のサンプルを96-ウェル板フォーマットで処理するように設計することができる。すなわち、全体スループットを最大にするためには、アッセイに対する各パッチが96個のサンプルを含まなければならない。
【0110】
ブロック1324では、編成コアアプリケーション220は、実施されるアッセイにアッセイリソースを割り当てることができる。編成コアアプリケーション220は、利用可能なアッセイリソースを追跡し、アッセイリソースが利用不能である時又は利用不能になることが予想される時に検査室職員に通知することができる。例えば、編成コアアプリケーション220は、各分析モジュール及び事前分析モジュール内の現在の消耗品在庫レベルを追跡することができる。編成コアアプリケーション220は、処理中のバッチに既に割り当てられている量を知っている。編成コアアプリケーション220は、各アッセイタイプのバッチに必要とされる消耗品在庫の量を知っている。この知識は、編成コアアプリケーション220が、どのサンプルが処理されるか及びいつ開始されるかに関する判断を行うことを可能にする。
【0111】
アッセイリソースを割り当てた後に、方法1300は、ブロック1328に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、ブロック1320で決定した動作順序に基づいて電子計器264、268を構成することができる。例えば、編成コアアプリケーション220は、ブロック1320で決定した動作順序に基づいてアッセイを実施するように電子計器264、268を予定することができる。
【0112】
ブロック1332では、分析システム100は、動作順序に基づいて構成した電子計器を用いて生体サンプルに対してアッセイを実施することができる。編成コアアプリケーション220は、アッセイを実施しながら電子計器264、268の作動状態を追跡することができる。モジュール式アッセイ計器は複雑な機械である。電気的、機械的、及び空圧的なシステムは故障を起こす場合がある。毎日当たり最高サンプルメトリックを達成するために、編成コアアプリケーション220は、機器の健全性をモニタすることができ、アッセイの実行は、作動的ハードウエアに適応される。例えば、編成コアアプリケーション220は、電子計器264、268の作動状態をモニタすることができる。電子計器264、268の作動状態は、故障ステータス、オフラインステータス、オンラインステータス、一時停止ステータス、電源オフステータス、ビジーステータス、アイドルステータス、又はそのあらゆる組合せを含むことができる。編成コアアプリケーション220は、電子計器264、268のうちの1つの作動状態が故障ステータスにあるという表示を決定した又は受信した時に故障ステータスを検査室職員に通知することができる。
【0113】
これに代えて又はこれに加えて、編成コアアプリケーション220は、分析システム100内にいつ何が在庫補充されるかを検査室職員に通知することができる。在庫項目は、希釈剤と、試薬と、アッセイ対照サンプルと、ピペット先端と、サンプルチューブと、抽出チューブと、PCR板とを含む。利用可能なリソースは、様々な廃棄物容器内の利用可能な空間を含むことができる。
【0114】
判断ブロック1336では、電子計器264、268のうちの1つの作動状態が故障ステータスにある場合に、方法1300は、ブロック1340に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、完了しなかったアッセイを実施するのに割り当てられたアッセイリソースの割当てを解除する。アッセイリソースの割当てを解除した後に、方法1300は、ブロック1316に進行し、そこで編成コアアプリケーション220は、利用可能な更新されたアッセイリソースと、電子計器264、268のうちの1つの利用不能な作動状態を含む電子計器264、268の更新された作動状態とを決定し、利用可能な更新されたアッセイリソースと電子計器265、268の更新された作動状態とに基づいて不完全なアッセイの更新された動作順序を決定することができる。一実施形態では、編成コアアプリケーション220は、更新された動作順序を継続的に決定し、リソースの割当てを解除する及び割り当てる。更新された動作順序は、電子計器264、268の作動状態と、利用可能なリソースと、新しいアッセイ命令及び受け入れた新しいサンプルとに基づく場合がある。
【0115】
アッセイの実施中に電子計器264、268の作動状態が故障ステータスを含まない場合に、分析システム100は、全てのアッセイ又はアッセイ段階が完了するまで生体サンプルに対してアッセイを実施し続けることができ、完了時に方法1300は、ブロック1344で終了する。
【0116】
図14は、1又は2以上の動作メトリックを最大にするためにアッセイ又はアッセイ段階の動作順序及び更新された動作順序を決定する一例示的方法1400の流れ図である。一実施形態では、編成コアアプリケーション220は、方法1400又はその一部を実施することができる。ブロック1404で開始した後に、方法1400は、ブロック1308、1312、1316、1320、1324、1328、及び1332を参照して上述したようにブロック1408、1412、1416、1420、1424、1428、及び1432に進行することができる。
【0117】
判断ブロック1436では、編成コアアプリケーションは、サンプルに対するアッセイがもはや必要とされないと決定することができる。次に、方法1400は、ブロック1440に進行することができ、そこで編成コアアプリケーションは、
図13でのブロック1340を参照して上述したように、完了しなかったアッセイを実施するのに割り当てられたアッセイの割当てを解除する。例えば、編成コアアプリケーションは、決定された順序を用いて電子計器のうちの1又は2以上を用いて決定された生体サンプルに対するアッセイの結果を受信することができる。編成コアアプリケーションは、実施する必要のない生体サンプル又は別の生体サンプルの第2のアッセイを決定することができる。例えば、先行アッセイ結果からの推測結果に起因して、1又は2以上のアッセイを含む場合がある1単位の仕事を中止することができる。第2の/保留中のアッセイは実施する必要はないので、そのような中止は、コスト又は時間の節約を達成することができる。編成コアアプリケーションは、保留中のアッセイが規則セットによって臨床診断にもはや有意ではないと決定することができる。例えば、生理的条件又は状態を決定するための第1の廉価なアッセイが低い偽陽性率と高い偽陰性率とを有する場合があり、同じ生理的条件を決定するための第2の高価なアッセイは、低い偽陽性率と低い偽陰性率とを有する場合がある。編成によって受信される命令は、サンプルに対して両方のアッセイを実施する段階を含む場合があり、編成コアアプリケーションは、第2のアッセイを実施する前に第1のアッセイを実施しなければならないと決定することができる。第1のアッセイの結果が陰性であった場合に、第2のアッセイを実施することができる。第1のアッセイの結果が陽性であった場合に、編成コアアプリケーションは、第2のアッセイを実施する必要はないと決定することができる。編成コアアプリケーションは、分析システムの少なくとも1つの動作メトリックを最大にするために、サンプルに対して第2のアッセイを実施する段階を除いた更新された動作順序を決定することができる。更新された動作順序に基づいて、リソースの割当てを解除することができる。
【0118】
全てのアッセイを必要とする場合に、分析システムは、全てのアッセイ又はアッセイ段階が完了するまで生体サンプルに対してアッセイを実施し続けることができ、完了時に、方法1400は、ブロック1444で終了する。
【0119】
追加の特徴
アッセイ結果の格納。分析システム100又は100Aは、検査室情報システムから受信したアッセイ依頼と編成コアアプリケーションによって決定された動作順序とに基づいてアッセイを実施することができる。以下に列記するモジュールは、
図2Aに示す分析システム100に関連するが、これらの同じアッセイは、
図2Bでの分析システム100Aによって実施することができる。アッセイの完了後に、分析システム100は、アッセイ結果をネットワーク208上で検査室情報システム204に送信することができる。アッセイ結果が利用可能である時に、ネットワーク又は他の問題に起因して分析システム100がネットワーク208上で検査室情報システム204との接続を確立することができない場合がある。この実施形態では、分析システム100は、アッセイ結果をローカルに格納し、後に接続が確立された時に検査室情報システム204に結果を送信することができる。分析システム100は、接続を再確立する試みを定期的に行うことができる。接続を再確立することができない場合に、故障ステータスは、検査室職員に通知することができる。この通知は、例えば、結果が検査室情報システム204に送信されなかったという電子メール、文字、音、又は他の表示とすることができる。分析システム100は、アッセイ結果を非暗号化フォーマット又は対称鍵方式を用いた暗号化フォーマットで格納することができる。
【0120】
在庫及び作動完全性のモニタ。編成コアアプリケーション220は、受け入れたサンプルと、依頼されたアッセイと、リソース248、252の利用可能性と、電子計器264、268の作動状態とに基づいてアッセイ又はアッセイ段階の動作順序を決定することができる。編成コアアプリケーション220、事前分析計器104の編成サブ-アプリケーション240、又は分析的命令108の編成サブ-アプリケーション244は、利用可能なアッセイリソースを追跡することができる。アッセイリソースは、消耗品256、268と試薬272、276とを含むことができる。アッセイリソースは、希釈剤、試薬、アッセイ対照サンプル、ピペット先端、サンプルチューブ、抽出チューブ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)板、廃棄物容器内の利用可能な空間、又はそのあらゆる組合せを含むことができる。
【0121】
モジュール式アッセイ計器は複雑な機械である。電気的、機械的、及び空圧的なシステムは故障を起こす場合がある。最も高い動作を達成するために、編成コアアプリケーション220は、機器の健全性と電子計器264、268の完全性とをモニタし、実施されている各アッセイの実行を作動的ハードウエアに適応させることができる。例えば、編成コアアプリケーション220は、電子計器264、268の作動状態をモニタすることができる。電子計器264、268の作動状態は、故障ステータス、オフラインステータス、オンラインステータス、一時停止ステータス、電源オフステータス、ビジーステータス、アイドルステータス、又はそのあらゆる組合せを含むことができる。別の例として、分析システム100は、外部又は内部に装着された無停電電源(UPS)を含むことができる。編成コアアプリケーション200は、UPSの健全性をモニタすることができる。編成コアアプリケーション220は、電子計器264、268のうちの1つの作動状態が故障ステータスにあるという表示を決定した又は受信した時に、故障ステータスを検査室職員に通知することができる。
【0122】
分析システム100は、在庫と電子計器264、268の作動完全性との報告を発生させることができる。例えば、電子計器264、268の構成要素が故障ステータスを有すると編成コアアプリケーション220が決定した時に、分析システム100は、特定の構成要素が故障を起こし、修理点検又は交換する必要があることを示す診断データ及び診断コードを有する報告を発生させることができる。編成コアアプリケーション220は、この故障に基づいて動作順序を再決定することができる。一部のアッセイは一時停止することができ、一方で他のアッセイは繰り返すことができる。
【0123】
編成コアアプリケーション220は、単一サンプルを正しく調製して分析するために計器にわたるハードウエア及び消耗品の利用可能性を必要とする独立であるが接続された複数の計器の作動を調整することができる。独立かつ接続された計器は、事前分析計器104と、分析計器108と、計器デバイス264、268とを含むことができる。例えば、サンプルに対してアッセイを実施するために、サンプルは、ピペット採取されなければならない場合がある。事前分析計器104のピペットロボット又はピペット先端、又は分析計器108の消耗品268及び試薬276のうちのいずれかが利用不能である場合に、編成コアアプリケーション220は、サンプルに対してこのアッセイを実施する段階を除外するように動作順序を決定することができる。
【0124】
ステータスインジケータ。分析システム100は、独立であるが接続された複数の計器にわたる複数の視覚インジケータを含むことができる。分析システム100は、システム100によるユーザの注意が必要であることをシステム100のユーザに示すために視覚インジケータを使用することができる。例えば、分析システム100に関する視覚インジケータは、全体システム故障がある時に赤色を点滅させることができる。別の例として、事前分析システム104に関するインジケータは、ピペット先端のような消耗品256を早急に補填する必要がある時に黄色を点滅させることができる。
【0125】
ログ。分析システム100は、独立であるが接続された複数の計器のログファイルを後の取り出しに向けて集約して格納することができる。例えば、分析システム100は、実施されたアッセイ、計器104、108及びデバイス264、268の作動状態、並びに消耗品256、268及び試薬272、276のレベルのログファイルを集約して格納することができる。別の例として、ログファイルは、実施されているアッセイの結果又は中間結果を含むことができる。分析システム100は、ログの解析を通じた遠隔トラブルシューティングを可能にするためにログファイルデータを中央又は遠隔データストレージデバイスに転送することができる。例えば、事前分析計器104の構成要素が故障ステータスを有する時に、分析システム100は、そのような故障ステータスを含むログファイルを事前分析計器104から取り出し、このログファイルを故障ステータスの診断に向けて検査室情報システム204に転送することができる。ログファイル情報は、その重要度又はタイミングに基づいて転送することができる。例えば、全体分析システム100の故障ステータスを含むログファイル情報には、消耗品を早急に補填しなければならないことを示すログファイル情報よりも高い優先順位を付けることができる。
【0126】
作動座標及びパラメータの決定。計器デバイス264、268は、モーター符号器、集積回路、及びソレノイドなどのような物理的ハードウエア構成要素を含むことができ、すなわち、編成コアアプリケーション220は、各計器内のハードウエアの作動状態を追跡することができる。一実施では、計器デバイス264、268は、対話型位置プローブ及びカメラを含むことができ、編成コアアプリケーション220は、計器デバイス264、268又はその構成要素の正しい作動座標及びパラメータを決定することができる。例えば、事前分析計器104は、位置プローブを有するピペットロボットを含むことができる。事前分析計器104は、位置プローブの画像を取り込むカメラを含むことができる。編成コアアプリケーション220は、位置プローブの画像を用いてピペットロボットの座標及びパラメータを決定することができる。別の例として、ピペットロボットは、複数の位置プローブを含むことができ、事前分析計器104は、互いに直交する3つのカメラを含むことができる。編成コアアプリケーション220は、直交カメラによって取り込まれた画像を用いてピペットロボットの座標及びパラメータを3次元で決定することができる。取り込まれた画像は、計器デバイス264、268の構成要素を較正するために使用することができる。位置プローブは、構成要素上に固定するか又は移動可能とすることができる。構成要素の作動座標及びパラメータを決定するのに移動可能位置プローブはより少ない個数しか必要とされない。位置プローブは、そのステータス、例えば、使用中又は故障を示すために様々な色を使用することができる。
【0127】
無停電電源。分析システム100、事前分析計器104、分析計器108、又は計器デバイス264、268は、外部又は内部に装着された無停電電源(UPS)を含むことができる。電力故障の場合に、UPSは、全てのデータが固体ドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)のような非一時的ストレージデバイスに格納されることを保証するほど十分な電力を分析システム100又はその構成要素に供給することができる。電力故障の場合にデータストレージデバイスに格納されるデータは、実施されているアッセイの結果又は中間結果を含むことができる。データは、分析システム100及びその構成要素の状態及びパラメータを含むことができる。
【0128】
ビデオ監視。分析システム100は、その内側作業のビデオ監視データを取り込む内部カメラを含むことができる。分析システム100は、ビデオ監視データを格納し、システム100のユーザ又は技師に対してビデオオンデマンドを表示することができる。一実施形態では、ビデオ監視データは、後の取り出しに向けて非一時的内部ストレージデバイスに格納される。
【0129】
例えば、検査室職員又は技師は、分析システム100の構成要素の故障ステータスが検出された時に取り込まれたビデオを精査したいと望む場合がある。別の例として、検査室職員は、サンプルに対する不正変更が発生しなかったことを保証するために当該のサンプルを追跡するビデオを精査したいと望む場合がある。分析システム100は、エラー又は問題の遠隔評価をサポートするためにビデオをログ及び他のデータと共に自動的にパッケージ化することができる。
【0130】
他のコンピュータシステム又はサブシステムとの調整。一実施形態では、編成コアアプリケーション220は、分析システム100に関連付けられた他のシステムと調整することができる。例えば、編成コアアプリケーション220は、事前分析計器104及び分析計器108の作動状態に基づいて動作順序を決定することができる。別の例として、1つの分析システム100の編成コアアプリケーション220は、別の分析システム100の作動状態に基づいて動作順序を決定することができる。一実施形態では、事前分析計器104の編成サブ-アプリケーション240は、事前分析計器104及び分析計器108に対して編成コアアプリケーション220によって決定された動作順序に影響を及ぼすことができ、その逆も同様である。
【0131】
サンプルの作業リスト。編成コアアプリケーション220は、分析システム100又はその構成要素の公称作動に対応する存在するサンプルの群として処理するためのサンプル作業リストを自動的に構築して公開することができる。例えば、編成コアアプリケーション200は、デバイスの公称作動に対応する存在するサンプルの群として処理に関して、かつ曜日、日付、時刻、又はそのあらゆる組合せに基づくユーザ定義規則に従ってサンプルの作業リストを自動的に構築して公開することができる。別の例として、編成コアアプリケーション220は、デバイスの公称作動に対応するサンプルの群として処理に関して、かつ曜日、日付、時刻、又はそのあらゆる組合せに基づくユーザ定義規則に従って、各サンプルに対して依頼された特定の検査に適用される存在するサンプルの作業リストを自動的に構築して公開することができる。
【0132】
サンプル除去。編成コアアプリケーション220は、サンプルの処理及び分析をモニタし、かつ検査室職員によって除去中の又は既に除去されたオリジナルサンプル容器が更に別の精査及び評価に向けて回収される時に検査室職員に警告することができる。例えば、編成コアアプリケーションは、システムから既に除去されたオリジナルサンプル容器が更に別の精査及び評価に向けて回収される時にユーザに警告し、容易なサンプル回収に向けてサンプル情報及び場所を検査室職員に提示することができる。サンプル情報及び場所は、サンプル識別子と、ラック上の場所のようなサンプルの場所とを含むことができる。編成コアアプリケーション220は、サンプルが分析システム100に戻された時に動作順序を再決定することができる。
【0133】
クラウドベースの編成コアアプリケーション
図15は、ネットワーク上で検査室情報システム及び複数の分析システムと通信している分析システムのブロック図である。病院1504aは、病院データを格納及び処理する病院情報システム1508aを含むことができる。例えば、病院情報システム1508aは、患者データと処方依頼情報とを格納することができる。病院1504aは、検査室情報システム204aと分析システム100aとを有する病院内検査室1512aを有することができる。検査室情報システム204aは、病院情報システム1508aからアッセイ命令212と患者情報とを受信することができる。検査室情報システム204aは、分析システム100aによって実施することができるアッセイの要件を格納することができる。分析システム100aは、汎用癌パネルのようなある一定のアッセイを実施することができる場合がある。編成コアアプリケーション220を2つの分析システムを制御するように示すが、編成コアアプリケーション220は、異なる地点に置かれた異なる機能を有する多くの分析システムを制御することができる。分析システム100a、100bは、
図2A及び/又は
図2Bでの分析システムとすることができる。
【0134】
独立した検査室のような検査室1512bは、検査室情報システム204bと分析システム100bとを含むことができる。検査室情報システム204bは、分析システム100aによって実施することができるアッセイの要件を格納することができる。分析システム100bの機能と分析システム100aの機能は、同じか又は異なる場合がある。例えば、検査室1512bの分析システム100bは、汎用癌パネルと専用癌命令を実施することができる場合がある。
【0135】
分析システム100a又は分析システム100bに対する動作順序を決定するために、編成コアアプリケーション220は、病院情報システム1508a、検査室情報システム204a、又は検査室情報システム204bからアッセイ命令を受信することができる。編成コアコンピュータアプリケーション220は、分析システム100a、100bの機能を追跡することができる。例えば、分析システム100aのリソースが一時的に利用可能になる場合があり、分析システム100aは、この情報を編成コアアプリケーション220に提供することができる。
【0136】
受信したアッセイ命令と走査したサンプルとを所与として、編成コアアプリケーション220は、動作メトリックを最大にするために分析システム100a、100bに対する動作順序を決定することができる。例えば、病院1204aは、その分析システム100aがコストを最小にするために可能な限り多くのアッセイを実施することが好ましい場合がある。しかし、分析システム100aの利用可能性と機能とに基づいて、編成コアアプリケーション220は、ある一定のアッセイ又はある一定のサンプルに対するある一定のアッセイを分析システム100bによって実施しなければならないと決定する場合がある。
【0137】
別の例として、アッセイ命令は、患者が癌のリスクにあることを汎用癌パネルが決定した後に専用癌パネルを実施しなければならないことを陳述する場合がある。編成コアアプリケーション220によって決定された分析システム100a、100bに対する最初の動作順序は、病院1504aの分析システム100aによって汎用癌パネルを実施する段階を含むことができる。分析システム100a、100bに対する動作順序は、
図10及び
図12それぞれを参照して説明した方法1000及び1200を用いて決定することができる。患者が癌のリスクにあることを汎用癌パネルの結果が示した場合に、編成コアアプリケーション220は、検査室1512bの分析システム100cに対する新しい動作順序を決定することができる。この新しい動作順序は、病院1504aから検査室1512bにサンプルを搬送するのに必要である時間を考慮することができる。編成コアアプリケーション220は、
図10及び
図12それぞれを参照して説明した方法1000及び1200を用いて新しい動作順序を決定することができる。例えば、汎用癌パネルの結果が利用可能になる時に、分析システム100bは、他のサンプルに対するアッセイを実施している場合がある。分析システム100cに対する新しい動作順序は、分析システム100cの動作又は分析システム100a、100bの組合せ動作を最大にするように決定することができる。
【0138】
一実施形態では、編成コアアプリケーション220は、分析システム100bが利用不能になるという表示を受信することができる。分析システム100bは、分析システム100bへの編成コアアプリケーション220の接続が失われた場合又は至急アッセイ命令を実施している場合に利用不能になる場合がある。分析システム100bの利用不能性に基づいて、編成コアアプリケーション220は、分析システム100aに対する新しい動作順序を決定することができる。一実施形態では、編成コアアプリケーション220は、アッセイサンプルを処理する全体効率を高めるために、一部の分析システムに関連する動作メトリックを最大にするようにこれらの分析システムに対する動作順序を決定する。例えば、病院1504aは、分析システム100a、100bに対する動作順序がこれら2つの分析システム100a、100bに関連する動作メトリックを最大にするように決定されるような検査室1512bとの契約関係を有することができる。
【0139】
図16は、自動式サンプル処理及び分析を調整するために編成検査室アプリケーションと通信しているクラウドベースのサーバに格納された編成コアアプリケーションの概略図である。病院1504は、病院データを格納及び処理する病院情報システム1508を含むことができる。例えば、病院情報システム1508は、患者データと処方依頼情報を格納することができる。病院150aは、検査室情報システム204と複数の分析システム100a、100bとを有する病院内検査室1512を有することができる。検査室情報システム204は、病院情報システム1508からアッセイ命令と患者情報とを受信することができる。検査室情報システム204は、分析システム100a、100bによって実施することができるアッセイの要件を格納することができる。
【0140】
クラウドシステム1600上の編成コアアプリケーション220は、分析システム100a、100bを用いた自動式サンプル処理及び分析を調整するために検査室情報システム204上の編成検査室アプリケーション1604と通信することができる。編成コアアプリケーション220が利用可能である時に、編成検査室アプリケーション1604は、受信したアッセイ命令と走査したサンプルとを編成コアアプリケーション220に送信することができる。編成検査室アプリケーション1604から受信した情報と他の編成検査室アプリケーションから受信した類似の情報とに基づいて、編成コアアプリケーション220は、編成検査室アプリケーション1604によって制御される分析システム100a、100bと他の編成検査室アプリケーションによって制御される分析システムとに対する動作順序を決定することができる。その結果、編成コアアプリケーション220によって決定された動作順序は、受信されたアッセイ命令と走査されたサンプルとを所与として動作メトリックを最大にすることができる。編成コアアプリケーション220が利用不能である時には、編成検査室アプリケーション1604が、受信したアッセイ命令と走査したサンプルとを所与として動作メトリックを最大にするために分析システム100a、100b対する動作順序を決定することができる場合がある。
【0141】
この分散アーキテクチャを使用すると、編成コアアプリケーション220と編成検査室アプリケーション1604は、利用可能な情報とリソースとを所与として動作メトリックを最大にすることができる。例えば、編成コアアプリケーション220によって決定される動作順序は、検査室1512及び別の検査室内の分析システム100a、100bの機能に基づく場合がある。各検査室は、汎用癌パネルを実施することができる。しかし、検査室1512内の分析システムを用いて汎用癌パネルを実施するのは高価である場合がある。癌パネルを実施するコストを低減するために、編成コアアプリケーション220は、他の検査室の分析システムを用いて汎用癌パネルを実施すると決定することができる。癌パネルのためのサンプル(又はその一部分)が他の検査室に送られる前に、編成検査室アプリケーション1604は、編成コアアプリケーション220への接続を失う場合がある。編成検査室アプリケーション1604は、サンプル(又はその一部分)が他の検査室に送られた場合であっても汎用癌パネルを完了することができるか否かが保証されないので、分析システム100a、100bに対する新しい動作順序を決定する場合がある。
【0142】
一実施形態では、クラウドシステム1600は、その編成コアアプリケーション220を通して、分析システム100a、100bによって発生されたデータ又は検査結果を編成検査室アプリケーション1604から受信することができる。編成コアアプリケーション220を2つの分析システム100a、100bを制御するように示すが、編成コアアプリケーション220は、異なる地点に置かれた異なる機能を有する多くの分析システムを制御することができる。
【0143】
検査室1512は、自動機能を持たないいくつかの従来システム1608を含むことができる。これらの従来システム1608は、検査室プラットフォームと他のITシステムの間に高利用可能性かつ高動作のリンクを設ける検査室ベースのミドルウェアシステムによって制御することができる。このリンクは、主としてローカル検査室作動を稼働するために使用することができる。クラウドシステム1600は、その従来システムインタフェース1612を通して、これらの従来システム1608によって発生されたデータ又は検査結果を検査室情報システム204の従来システム検査室インタフェース1616から受信することができる。従来システム検査室インタフェース1616は、従来システム1608によって発生されたデータを検査室ベースのミドルウェアシステムから受信することができる。一実施形態では、クラウドシステム1600は、ポイント-オブ-ケア(POC)デバイスによって発生されたデータ又は検査結果をPOCインタフェースを通して受信することができる。
【0144】
分析システム100a、100bを制御し、かつ分析システム100a、100b、従来システム1608、及びPOCデバイス1615によって発生されたデータ及び検査結果を受信することにより、クラウドシステム1600は、関連検査室データの企業規模管理、並びに検査室のための遠隔微生物学研究の運用機能を有する。全ての病院、検査室、及び患者にわたるデータの集約は、付加価値サービスを可能にし、病院、検査室、及び患者の使用への見識を提供する。付加価値サービスの例は、ピアベンチマーキング及び広域監視を含む。受信したデータ及び検査結果は、広域臨床及び診断集約が可能なデータマートである。一実施形態では、異なる病院、機関、又は系列の病院又は機関に関するデータは、異なる場所1632a~1632eにある異なるデータベース1624a、1624bに格納される。
【0145】
クラウド機能へのアクセスは、従来デバイスとモバイルデバイスの両方をサポートするアプリケーションポータル1640を通して分散されたアプリ1636を通して提供することができる。アプリケーションポータル1640は、集中的に管理することができ、ユーザを関連技術特定のアプリストアに向け直すことができる。これらのアプリストアは、クラウドシステム1600のアーキテクチャに準拠する恐らくは第三者開発者によって開発されたアプリ1636の分散を可能にすることができる。恐らくは第三者開発者によって開発されたアプリ1636は、カスタムデータ管理要件により柔軟を対処することができる。
【0146】
一実施形態では、クラウドシステム1600は、病院と検査室と患者とのより良好な関わり合いを可能にするためにソーシャルネットワーク接続を利用する。クラウドシステム1600は、サービス及びトレーニングからインバウンド及びアウトバウンドのマーケティング活動の機会にわたるより良好な顧客関係管理活動を可能にすることができる。
【0147】
クラウドシステム1600のアーキテクチャは、変化する市場要求を満たすように拡張可能である。一実施形態では、アーキテクチャは、パブリックとローカル(プライベート)の両方のクラウドをサポートし、それによって全てのデータが自分のファイアウォールの背後にあることを望むユーザに対するデータ主権の異議が排除される。クラウドシステム1600はセキュアであり、すなわち、データ、HIPAAプライバシー、及び規制準拠に関する懸念に対処する。クラウドシステム1600はまた、拡張可能であり、新しい/更新されたデバイス及びモジュールをサポートすることができる。
【0148】
これまでに説明した実施形態の少なくとも一部では、実施形態で使用される1又は2以上の要素を別の実施形態で交換可能に使用することは、そのような交換が技術的に実現不能でない限り可能である。当業者は、上述した方法及び構造に様々な他の除外、追加、及び修正を加えることが主張する主題の範囲から逸脱することなく可能であることを認めるであろう。全てのそのような修正及び変更は、特許請求の範囲によって定める主題の範囲に収まるように意図している。
【0149】
本明細書での実質的にあらゆる複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、コンテキスト及び/又は用途に関して適切である場合は複数から単数に及び/又は単数から複数に変換することができる。様々な単数/複数の置換を明瞭化の目的で本明細書に明示的に示す場合がある。本明細書及び特許請求の範囲に対して使用する場合に、コンテキストが別途明確に指定しない限り、「a」、「an」、及び「the」は単数及び複数の参照物を含む。本明細書での「又は」のいずれの記載も、特に断らない限り「及び/又は」を包含するように意図している。
【0150】
当業者は、一般的に、本明細書おいて、特に特許請求の範囲(例えば、特許請求の範囲の本文)に対して使用する用語が一般的に「非限定的」用語であることを理解するであろう(例えば、「を含む」という用語は、「を含むが限定されない」として、「を有する」という用語は「少なくとも有する」として、更に類似の用語を類似として解釈しなければならない)。更に、当業者は、導入する請求項の記載の特定の数の使用が意図される場合に、そのような記述を請求項内に明示的に説明することにし、そのような記載が不在の場合に、そのような記述が存在いないことを理解するであろう。例えば、理解の一助として、以下の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するために「少なくとも1つ」及び「1又は2以上」という導入句の使用を含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項記載の導入がそのような導入された請求項記載を含むいずれかを特定の請求項を1つのそのような記載のみを含む実施形態に限定することを意味するように解釈すべきではなく、同じ1つの請求項が「1又は2以上」又は「少なくとも1つ」という導入句を有する請求項記載と「a」又は「an」のような不定冠詞の請求項記載とを含む場合であってもそのように解釈すべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1又は2以上」を意味するように解釈すべきである)。更に、導入する請求項記載の特定の数を明示的に説明する場合に、当業者は、そのような記載が少なくとも記載の数のものであることを意味するものと解釈しなければならないことを認識するであろう(例えば、他の修飾語句を伴わない「2つの記載」という記載のみの場合に、少なくとも2つの記載又は2又は3以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」と類似の慣用表現を使用する場合に、一般的に、そのような構文は、当業者がこの慣用表現を理解することになる意味であるように意図したものである(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、例えば、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、及び/又はAとBとCとを併せて有するシステムを含むことになるがこれらに限定されない)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」と類似の慣用表現を使用する場合に、一般的に、そのような構文は、当業者がこの慣用表現を理解することになる意味であるように意図したものである(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、例えば、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、及び/又はAとBとCとを併せて有するシステムを含むことになるがこれらに限定されない)。当業者は、本明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれであるかに関わらず、2又は3以上の別の用語を提示する事実上あらゆる離接的な用語及び/又は句は、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又は両方の用語を含む可能性が考えられるとして理解しなければならないことを更に理解するであろう。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むように理解されるであろう。
【0151】
これに加えて、本発明の開示の特徴又は態様をマーカッシュ群に関して説明する場合に、当業者は、この説明によって本発明の開示が当該マーカッシュ群のいずれかの個々の構成要素又は構成要素の部分群に関しても説明されていることを認識するであろう。
【0152】
当業者には理解されるように、書面による明細を提示することなどに関するあらゆる全ての目的に対して、本明細書に開示する全ての範囲は、可能なあらゆる全ての部分範囲及び部分範囲の組合せも包含する。列記するあらゆる範囲は、十分に明細なものであり、当該範囲を少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分等に分割することを可能にするものであることは容易に認識することができるであろう。非限定例として、本明細書で解説する各範囲は、下三分の一、中三分の一、及び上中三分の一等に容易に分割することができる。同じく当業者には理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「よりも大きい」、及び「よりも小さい」などのような全ての文言は、説明する数値を含み、上述のように部分範囲に後に分割することができる範囲を意味する。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々の成分を含む。すなわち、例えば、1~3の物品を有する群は、1、2、又は3の物品を有する群を意味する。同様に、1~5の物品を有する群は、1、2、3、4、又は5の物品を有する群を意味し、以下同様である。
【0153】
本明細書に様々な態様及び実施形態を開示したが、当業者には他の態様及び実施形態が明らかであろう。本明細書に開示した様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、限定であるように意図しておらず、真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示されている。
【符号の説明】
【0154】
100b 分析システム
104b 事前分析計器
108b 分析計器
204b 検査室情報システム
220b 編成コアアプリケーション