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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】エッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240805BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240805BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20240805BHJP
   H01G 4/33 20060101ALI20240805BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20240805BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01G4/30 547
H01G4/33 102
H01G4/30 541
H01L21/308 B
H01L21/306 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023111329
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2019171157の分割
【原出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2023153775
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 和人
(72)【発明者】
【氏名】下川 一生
(72)【発明者】
【氏名】小幡 進
(72)【発明者】
【氏名】佐野 光雄
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171470(WO,A1)
【文献】特開2018-018965(JP,A)
【文献】特開平05-160109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/33
H01L 21/308
H01L 21/306
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の主面に、貴金属を含んだ第1触媒層を形成することと、
前記半導体基板の他方の主面に、前記貴金属を含み、前記第1触媒層とは単位面積当たりの前記貴金属の質量が異なる第2触媒層を形成することと、
その後、前記一方の主面及び前記他方の主面に、酸化剤と弗化水素とを含んだエッチング剤を供給することと
を含んだエッチング方法。
【請求項2】
前記第1触媒層は、前記一方の主面の一部の領域に形成し、前記第2触媒層は、前記他方の主面のうち、前記一方の主面の前記一部の領域と前記一方の主面の他の一部の領域とに対応した領域に形成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2触媒層が、前記第1触媒層と比較して、より大きな単位面積当たりの前記貴金属の質量を有するように前記第1及び第2触媒層を形成する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッチング剤の供給により、前記一方の主面のうち前記第1触媒層の位置に1以上の第1凹部を形成し、前記他方の主面のうち前記第2触媒層の位置に1以上の第2凹部を形成する請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記1以上の第1凹部は1以上の第1トレンチであり、前記1以上の第2凹部は1以上の第2トレンチであり、前記1以上の第1トレンチの長さ方向と前記1以上の第2トレンチの長さ方向とは互いに交差し、前記1以上の第1トレンチと前記1以上の第2トレンチとは、それらの交差部で互いに繋がっている請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器の小型化及び高機能化に伴い、それらに搭載されるコンデンサには、小型化及び薄型化が求められている。容量密度を維持しつつ、小型化及び薄型化を実現する構造として、基板にトレンチを形成して表面積を増大させたトレンチコンデンサがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-135310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、大きな電気容量を達成可能なコンデンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面によれば、半導体基板の一方の主面に、貴金属を含んだ第1触媒層を形成することと、前記半導体基板の他方の主面に、前記貴金属を含み、前記第1触媒層とは単位面積当たりの前記貴金属の質量が異なる第2触媒層を形成することと、その後、前記一方の主面及び前記他方の主面に、酸化剤と弗化水素とを含んだエッチング剤を供給することとを含んだエッチング方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るコンデンサの上面図。
図2図1に示すコンデンサのII-II線に沿った断面図。
図3図1及び図2に示すコンデンサの製造における一工程を示す断面図。
図4図3の工程を示す他の断面図。
図5図1及び図2に示すコンデンサの製造における他の工程を示す断面図。
図6図5の工程を示す他の断面図。
図7図3乃至図6の工程によって得られる構造を示す断面図。
図8図3の構造を示す他の断面図。
図9】第1及び第2凹部の配置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
図1及び図2に、実施形態に係るコンデンサを示す。
図1及び図2に示すコンデンサ1は、図2に示すように、導電基板CSと、導電層20bと、誘電体層30とを含んでいる。
【0009】
なお、各図において、X方向は導電基板CSの主面に平行な方向であり、Y方向は導電基板CSの主面に平行であり且つX方向に垂直な方向である。また、Z方向は、導電基板CSの厚さ方向、即ち、X方向及びY方向に垂直な方向である。
【0010】
導電基板CSは、少なくとも表面が導電性を有している基板である。導電基板CSは、コンデンサの下部電極としての役割を果たす。
【0011】
導電基板CSは、第1主面S1と、第2主面S2と、第1主面S1の縁から第2主面S2の縁まで延びた端面とを有している。ここでは、導電基板CSは、扁平な略直方体形状を有している。導電基板CSは、他の形状を有していてもよい。
【0012】
第1主面、ここでは導電基板CSの上面には、図1及び図2に示す第1凹部R1が設けられている。第1凹部R1は、第1主面S1の一部の領域にのみ設けられており、第1主面S1の他の領域には設けられていない。ここでは、第1凹部R1は、第1主面S1の中央の領域にのみ設けられている。第1凹部R1は、第1主面S1のうち、中央の領域以外の領域に設けられていてもよい。
【0013】
第1凹部R1は、第1方向に各々が延びた形状を有している第1トレンチである。ここでは、第1凹部R1の長さ方向である第1方向は、Y方向である。第1凹部R1は、第1方向であるY方向に配列した2以上の第1トレンチから各々がなり、第1方向と交差する第2方向、ここではX方向に配列した複数の第1列を形成している。
【0014】
導電基板CSのうち、隣り合った第1列の一方と他方とに挟まれた部分は、第1主壁部である。また、導電基板CSのうち、各第1列において隣り合った第1トレンチに挟まれた部分は、第1部分である第1補助壁部である。第1補助壁部は、隣り合った第1主壁部間に介在しており、それらの倒壊を抑制する役割を果たす。第1トレンチは、第1補助壁部を生じないように配置してもよい。
【0015】
ここでは、第1主面には、複数の第1凹部R1を設けているが、第1凹部R1を1つのみ設けてもよい。また、第1凹部R1は、トレンチ以外の凹部、例えば、開口部が円形又は正方形の凹部であってもよく、第1凹部R1の形状は、前記トレンチの形状に限らない。
【0016】
第2主面S2、ここでは導電基板CSの下面には、第2凹部R2が設けられている。第2凹部R2は、第2主面S2のうち、第1主面S1の第1凹部R1が設けられた上記一部の領域と、第1主面S1の他の一部の領域とに対応した領域に設けられている。ここでは、第2凹部R2は、上記一部の領域に対応した第2主面S2の中央の領域と、これを取り囲んだ領域とを含んだ領域に設けられている。
【0017】
第2凹部R2は、第3方向に各々が延びた形状を有している第2トレンチである。ここでは、第2凹部R2の長さ方向である第3方向は、X方向である。第2凹部R2は、第3方向であるX方向に配列した2以上の第2トレンチから各々がなり、第3方向と交差する第4方向、ここではY方向に配列した複数の第2列を形成している。
【0018】
ここでは、第1方向と第3方向とは直交しているが、それらは斜めに交差していてもよい。また、ここでは、後述するように、第1トレンチと第2トレンチとを繋げることにより、第1トレンチに形成するコンデンサと第2トレンチに形成するコンデンサとを電気的に接続しているが、他の方法でそれらを電気的に接続した場合には、第1方向と第3方向とは平行であってもよい。
【0019】
なお、第1又は第2凹部の「長さ方向」は、導電基板CSの厚さ方向に垂直な平面への第1又は第2凹部の正射影の長さ方向である。従って、第1凹部R1の長さ方向(第1方向)と第2凹部R2の長さ方向(第3方向)とが交差していることは、導電基板CSの厚さ方向に垂直な平面への第1凹部の正射影の長さ方向と、この平面への第2凹部の正射影の長さ方向とが交差していることを意味している。
【0020】
導電基板CSのうち、隣り合った第2列の一方と他方とに挟まれた部分は、第2主壁部である。また、導電基板CSのうち、各第2列において隣り合った第2トレンチに挟まれた部分は、第2部分である第2補助壁部である。第2補助壁部は、隣り合った第2主壁部間に介在しており、それらの倒壊を抑制する役割を果たす。第2トレンチは、第2補助壁部を生じないように配置してもよい。
【0021】
ここでは、第2主面S2には、複数の第2凹部R2を設けているが、第2凹部R2を1つのみ設けてもよい。また、第2凹部R2は、トレンチ以外の凹部、例えば、開口部が円形又は正方形の凹部であってもよく、第2凹部R2の形状は、前記トレンチの形状に限らない。
【0022】
第1凹部R1及び第2凹部R2の開口部の寸法は、0.3μm以上であることが好ましい。なお、第1凹部R1及び第2凹部R2の開口部の寸法は、第1凹部R1及び第2凹部R2の開口部の径又は幅である。ここでは、第1凹部R1及び第2凹部R2の開口部の寸法は、それらの長さ方向に対して垂直な方向における寸法である。これら寸法を小さくすると、より大きな電気容量を達成できる。但し、これら寸法を小さくすると、第1凹部R1及び第2凹部R2内に、誘電体層30と導電層20bとを含んだ積層構造を形成することが難しくなる。
【0023】
第1凹部R1及び第2凹部R2がそれぞれ第1トレンチ及び第2トレンチである場合、それらの開口部の長さは、一例によれば、1乃至1000μmの範囲内にあり、他の例によれば、10乃至500μmの範囲内にある。第1凹部R1及び第2凹部R2がそれぞれ第1トレンチ及び第2トレンチである場合、それらの開口部の幅、即ち、第1補助壁部の第2方向における寸法及び第2補助壁部の第4方向における寸法は、一例によれば、0.3乃至100μmの範囲内にあり、他の例によれば、0.5乃至10μmの範囲内にある。
【0024】
第1凹部R1間の距離及び第2凹部R2間の距離は、0.1μm以上であることが好ましい。これら距離を小さくすると、より大きな電気容量を達成できる。但し、これら距離を小さくすると、導電基板CSのうち、第1凹部R1間に挟まれた部分及び第2凹部R2間に挟まれた部分の破損を生じ易くなる。
【0025】
第1凹部R1及び第2凹部R2がそれぞれ第1トレンチ及び第2トレンチである場合、幅方向に隣り合ったトレンチの開口部間の距離、即ち、第1主壁部の厚さ及び第2主壁部の厚さは、一例によれば、0.1乃至100μmの範囲内にあり、他の例によれば、0.5乃至10μmの範囲内にある。
【0026】
第1凹部R1及び第2凹部R2がそれぞれ第1トレンチ及び第2トレンチである場合、第1補助壁部の第1方向における寸法及び第2補助壁部の第3方向における寸法は、一例によれば、0.1乃至100μmの範囲内にあり、他の例によれば、0.5乃至10μmの範囲内にある。
【0027】
第1凹部R1に関する寸法と第2凹部R2に関する寸法とは、互いに等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0028】
また、第2トレンチ、第2主壁部及び第2補助壁部の寸法は、それぞれ、第1トレンチ、第1主壁部及び第1補助壁部の寸法と同じであってもよい。或いは、第2トレンチ、第2主壁部及び第2補助壁部の寸法の1以上は、第1トレンチ、第1主壁部及び第1補助壁部の寸法の1以上と異なっていてもよい。
【0029】
例えば、第2トレンチの長さを第1トレンチの長さよりも小さくするか、又は、第2トレンチの幅を第1トレンチの幅よりも大きくしてもよい。第2トレンチの深さが第1トレンチの深さと比較してより大きい場合、第2主壁部は、第1主壁部と比較して倒壊などの破壊を生じ易い。上記の構造を採用すると、第2主壁部の破壊を生じ難くすることができる。
【0030】
第1凹部R1の深さd1は、一例によれば、1乃至500μmの範囲内にあり、他の例によれば、10乃至200μmの範囲内にある。また、第2凹部R2の深さd2は、一例によれば、1乃至500μmの範囲内にあり、他の例によれば、10乃至200μmの範囲内にある。
【0031】
第2凹部の深さd2は、第1凹部の深さd1と比較してより大きいことが好ましい。一例によれば、深さd2と深さd1との比d2/d1は、1乃至10の範囲内にあり、他の例によれば、1乃至3の範囲内にある。電気容量を大きくする観点では、比d2/d1は大きいことが好ましい。但し、比d2/d1を大きくすると、第2主壁部の破壊が生じ易くなる。
【0032】
第1凹部R1の深さd1と第2凹部R2の深さd2との和d1+d2は、導電基板CSの厚さT以上である。この構成を採用すると、第1凹部R1と第2凹部R2とは、それらが交差した位置で互いに繋がり、貫通孔を形成する。
【0033】
和d1+d2と厚さTとの比(d1+d2)/Tは、1乃至1.4の範囲内にあることが好ましく、1.1乃至1.3の範囲内にあることがより好ましい。電気容量を大きくする観点では、比(d1+d2)/Tは大きいことが好ましい。また、導電層20bのうち、第1凹部R1の側壁及び底面上に位置した部分と第2凹部R2の側壁及び底面上に位置した部分との電気的接続を良好にする観点でも、比(d1+d2)/Tは大きいことが好ましい。但し、深さd1及びd2を大きくすると、コンデンサ1の機械的強度が低下する。
【0034】
なお、比(d1+d2)/Tは1未満であってもよい。この場合、第1凹部R1と第2凹部R2とは、それらが交差した位置で、貫通孔を形成することはない。従って、この場合、第1凹部R1及び第2凹部R2を設けるのに加え、基板10の何れかの位置に貫通孔を設ける。
【0035】
第1凹部R1及び第2凹部R2は、様々な形状を有し得る。例えば、第1凹部R1及び第2凹部R2は、Z方向に垂直な平面への正射影が、互いに交差していれば、湾曲又は屈曲した形状を有していてもよく、円形又は正方形であってもよい。
【0036】
また、ここでは、第1凹部R1及び第2凹部R2の深さ方向に平行な断面は矩形状である。これら断面は矩形状でなくてもよい。例えば、これら断面は、先細りした形状を有していてもよい。
【0037】
導電基板CSは、基板10と導電層20aとを含んでいる。
基板10は、導電基板CSと同様の形状を有している。基板10は、例えば、絶縁性基板、半導体基板、又は導電性基板である。基板10は、半導体基板であることが好ましい。また、基板10は、シリコン基板などのシリコンを含んだ基板であることが好ましい。そのような基板は、半導体プロセスを利用した加工が可能である。
【0038】
導電層20aは、基板10上に設けられている。例えば、導電層20aは、導電性を高めるために不純物がドーピングされたポリシリコン、又は、モリブデン、アルミニウム、金、タングステン、白金、ニッケル及び銅などの金属若しくは合金からなる。導電層20aは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0039】
導電層20aの厚さは、0.05μm乃至5μmの範囲内にあることが好ましく、0.1μm乃至2μmの範囲内にあることがより好ましい。導電層20aが薄いと、導電層20aに不連続部を生じるか、又は、導電層20aのシート抵抗が過剰に大きくなる可能性がある。導電層20aを厚くすると、製造コストが増加する。
【0040】
ここでは、基板10はシリコン基板などの半導体基板であり、導電層20aは、半導体基板の表面領域に不純物を高濃度にドーピングした高濃度ドーピング層である。この場合、第1及び第2主壁部は、十分に薄ければ、それらの全体が不純物で高濃度にドーピングされ得る。
【0041】
また、基板10の導電率が高い場合には、導電層20aを省略し、基板10を導電基板CSとして用いてもよい。例えば、基板10が、P型又はN型の不純物がドープされた半導体からなる半導体基板又は金属基板である場合、導電層20aは省略することができる。この場合、基板10の少なくとも表面領域、例えば、基板10の全体が導電層20aの役割を果たす。
【0042】
導電層20bは、コンデンサの上部電極としての役割を果たす。導電層20bは、第1主面S1と、第2主面S2と、第1凹部R1の側壁及び底面と、第2凹部R2の側壁及び底面とを覆っている。
【0043】
導電層20bは、例えば、導電性を高めるために不純物がドーピングされたポリシリコン、又は、モリブデン、アルミニウム、金、タングステン、白金、ニッケル及び銅などの金属若しくは合金からなる。導電層20bは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0044】
導電層20bの厚さは、0.05μm乃至5μmの範囲内にあることが好ましく、0.1μm乃至2μmの範囲内にあることがより好ましい。導電層20bが薄いと、導電層20bに不連続部を生じるか、又は、導電層20bのシート抵抗が過剰に大きくなる可能性がある。導電層20bが厚いと、導電層20bのパターン形成の精度が低くなる、あるいは、パターン形成自体が困難となる。また、導電層20a及び誘電体層30を十分な厚さに形成することが難しい場合がある。
【0045】
なお、図2では、導電層20bは、第1凹部R1及び第2凹部R2が、導電層20bと誘電体層30とによって完全に埋め込まれるように設けられている。導電層20bは、導電基板CSの表面に対してコンフォーマルな層であってもよい。即ち、導電層20bは、略均一な厚さを有する層であってもよい。この場合、第1凹部R1及び第2凹部R2は、導電層20bと誘電体層30とによって完全には埋め込まれない。
【0046】
導電層20bは、第1主面S1のうち第1凹部R1が設けられた領域を、誘電体層30を間に挟んで覆っている。導電層20bは、第1主面S1の他の領域を覆っていない。
【0047】
誘電体層30は、導電基板CSと導電層20bとの間に介在している。誘電体層30は、導電基板CSの表面に対してコンフォーマルな層である。誘電体層30は、導電基板CSと導電層20bとを互いから電気的に絶縁している。
【0048】
誘電体層30は、例えば、有機誘電体又は無機誘電体からなる。有機誘電体としては、例えば、ポリイミドを使用することができる。無機誘電体としては、強誘電体も用いることができるが、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、チタン酸化物、及びタンタル酸化物などの常誘電体が好ましい。これらの常誘電体は、温度による誘電率の変化が小さい。そのため、常誘電体を誘電体層30に使用すると、コンデンサ1の耐熱性を高めることができる。
【0049】
誘電体層30の厚さは、0.005μm乃至0.5μmの範囲内にあることが好ましく、0.01μm乃至0.1μmの範囲内にあることがより好ましい。誘電体層30が薄いと、誘電体層30に不連続部を生じ、導電基板CSと導電層20bとが短絡する可能性がある。また、誘電体層30を薄くすると、例え短絡していなくても耐圧が低くなり、電圧を印加した際に短絡する可能性が高まる。誘電体層30を厚くすると、耐圧は高くなるが電気容量が小さくなる。
【0050】
誘電体層30は、第1主面S1のうち、第1凹部R1が設けられていない領域、即ち、導電層20bによって覆われていない領域の位置で開口している。即ち、誘電体層30は、この位置で、導電層20aを露出させている。ここでは、誘電体層30のうち、第1主面S1上に設けられた部分は、枠形状に開口している。
【0051】
このコンデンサ1は、絶縁層50と、絶縁層60と、第1内部電極70aと、第2内部電極70bと、第1外部電極70cと、第2外部電極70dとを更に含んでいる。
【0052】
第1内部電極70aは、第1主面S1のうち、第1凹部R1が設けられた領域上に設けられている。第1内部電極70aは、導電層20bと電気的に接続されている。ここでは、第1内部電極70aは、導電層20bのうち、誘電体層30を間に挟んで第1主面S1の中央の領域を覆った部分の上に設けられた矩形状の電極である。
【0053】
第2内部電極70bは、第1主面S1のうち、第1凹部R1が設けられていない領域上に設けられている。第2内部電極70bは、導電基板CSと電気的に接続されている。第2内部電極70bは、導電層20aのうち、第1主面S1上に設けられ且つ導電層20bから露出した部分の上に設けられている。ここでは、第2内部電極70bは、第1内部電極70aを取り囲むように配置された枠形状の電極である。
【0054】
第1内部電極70a及び第2内部電極70bは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。第1内部電極70a及び第2内部電極70bを構成している各層は、例えば、モリブデン、アルミニウム、金、タングステン、白金、銅、ニッケル、チタン及びそれらの1以上を含んだ合金などの金属からなる。
【0055】
絶縁層60は、導電層20b及び誘電体層30のうち第1主面S1上に位置した部分と、第1内部電極70aと、第2内部電極70bとを覆っている。絶縁層60は、第1内部電極70aの一部の位置と、第2内部電極70bの一部の位置とで、部分的に開口している。
【0056】
絶縁層60は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。絶縁層60を構成している各層は、例えば、シリコン窒化物及びシリコン酸化物などの無機絶縁体、又は、ポリイミド及びノボラック樹脂などの有機絶縁体からなる。
【0057】
第1外部電極70cは、絶縁層60上に設けられている。第1外部電極70cは、絶縁層60に設けられた1以上の開口の位置で、第1内部電極70aと接触している。これにより、第1外部電極70cは、第1内部電極70aに電気的に接続されている。なお、図1において、領域70R1は、第1外部電極70cと第1内部電極70aとが接触している領域である。
【0058】
第2外部電極70dは、絶縁層60上に設けられている。第2外部電極70dは、絶縁層60に設けられた残りの開口の位置で、第2内部電極70bと接触している。これにより、第2外部電極70dは、第2内部電極70bに電気的に接続されている。なお、図1において、領域70R2は、第2外部電極70dと第2内部電極70bとが接触している領域である。
【0059】
第1外部電極70cは、第1金属層70c1と第2金属層70c2とを含んだ積層構造を有している。第2外部電極70dは、第1金属層70d1と第2金属層70d2とを含んだ積層構造を有している。
【0060】
第1金属層70c1及び70d1は、例えば、アルミニウムからなる。第2金属層70c2及び70d2は、それぞれ、第1金属層70c1及び70d1の上面及び端面を被覆している。第2金属層70c2及び70d2は、例えば、ニッケル又はニッケル合金層と金層との積層膜又は金層とパラジウム層との積層膜からなる。第2金属層70c2及び70d2は省略することができる。
【0061】
第1外部電極70c又は第1内部電極70aは、それらの間の界面に隣接する位置に、バリア層を更に含んでいてもよい。また、第2外部電極70d又は第2内部電極70bも、それらの間の界面に隣接する位置に、バリア層を更に含んでいてもよい。バリア層の材料としては、例えば、チタンを使用することができる。
【0062】
絶縁層50は、導電層20bのうち、第2主面S2側に位置した部分を被覆している。絶縁層50は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。絶縁層50を構成している各層は、例えば、シリコン窒化物及びシリコン酸化物などの無機絶縁体、又は、ポリイミド及びノボラック樹脂などの有機絶縁体からなる。
【0063】
このコンデンサ1は、例えば、以下の方法により製造する。以下、図3乃至図9を参照しながら、コンデンサ1の製造方法の一例を説明する。
【0064】
この方法では、先ず、図3及び図4に示す基板10を準備する。ここでは、一例として、基板10は単結晶シリコンウェハであるとする。単結晶シリコンウェハの面方位は特に問わないが、本例では、一主面が(100)面であるシリコンウェハを用いる。基板10としては、一主面が(110)面であるシリコンウェハを用いることもできる。
【0065】
次に、MacEtch(Metal-Assisted Chemical Etching)により、基板10に凹部を形成する。
即ち、先ず、図3及び図4に示すように、基板10上に、貴金属を各々が含んだ第1触媒層80a及び第2触媒層80bを形成する。第1触媒層80a及び第2触媒層80bは、それぞれ、基板10の一方の主面(以下、第1面という)及び他方の主面(以下、第2面という)を部分的に覆うように形成する。
【0066】
具体的には、先ず、基板10の第1面上に、第1マスク層90aを形成する。
第1マスク層90aは、第1凹部R1に対応した位置で開口している。第1マスク層90aは、第1面のうち第1マスク層90aによって覆われた部分が、後述する貴金属と接触するのを防止する。
【0067】
第1マスク層90aの材料としては、例えば、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びノボラック樹脂などの有機材料や、酸化シリコン及び窒化シリコンなどの無機材料が挙げられる。
【0068】
第1マスク層90aは、例えば、既存の半導体プロセスによって形成することができる。有機材料からなる第1マスク層90aは、例えば、フォトリソグラフィによって形成することができる。無機材料からなる第1マスク層90aは、例えば、気相堆積法による無機材料層の成膜と、フォトリソグラフィによるマスクの形成と、エッチングによる無機材料層のパターニングとによって成形することができる。或いは、無機材料からなる第1マスク層90aは、基板10の表面領域の酸化又は窒化と、フォトリソグラフィによるマスク形成と、エッチングによる酸化物又は窒化物層のパターニングとによって形成することができる。第1マスク層90aは、省略可能である。
【0069】
次に、第1面のうち第1マスク層90aによって覆われていない領域上に、第1触媒層80aを形成する。第1触媒層80aは、例えば、貴金属を含んだ不連続層である。ここでは、一例として、第1触媒層80aは、貴金属を含んだ第1触媒粒子81aからなる粒状層であるとする。
【0070】
貴金属は、例えば、金、銀、白金、ロジウム、パラジウム、及びルテニウムの1以上である。第1触媒層80a及び第1触媒粒子81aは、チタンなどの貴金属以外の金属を更に含んでいてもよい。
【0071】
第1触媒層80aは、例えば、電解めっき、還元めっき、又は置換めっきによって形成することができる。第1触媒層80aは、貴金属粒子を含む分散液の塗布、又は、蒸着及びスパッタリング等の気相堆積法を用いて形成してもよい。また、微細な貴金属粒子を用いてインクジェット法やエアロゾル法などで形成してもよい。これら手法の中でも、置換めっきは、第1面のうち第1マスク層90aによって覆われていない領域に、貴金属を直接的且つ一様に析出させることができるため特に好ましい。
【0072】
次に、第2面上に、第2マスク層90bを形成する。
第2マスク層90bは、第2凹部R2に対応した位置で開口している。第2マスク層90bは、第2面のうち第2マスク層90bによって覆われた部分が、貴金属と接触するのを防止する。
【0073】
第2マスク層90bの材料としては、例えば、第1マスク層90aについて例示したものを使用することができる。第2マスク層90bは、例えば、第1マスク層90aについて上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0074】
次に、第2面のうち第2マスク層90bによって覆われていない領域上に、第2触媒層80bを形成する。第2触媒層80bは、例えば、貴金属を含んだ不連続層である。ここでは、一例として、第2触媒層80bは、貴金属を含んだ第2触媒粒子81bからなる粒状層であるとする。
【0075】
第2触媒層80b及び第2触媒粒子81bの材料には、例えば、第1触媒層80a及び第1触媒粒子81aについて例示したものを使用することができる。第2触媒層80bは、例えば、第1触媒層80aについて上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0076】
第1凹部R1の深さd1と第2凹部R2の深さd2とを異ならしめる場合、第2触媒層80bは、第1触媒層80aとは単位面積当たりの貴金属の質量が異なるように形成してもよい。例えば、第2凹部R2の深さd2を第1凹部R1の深さd1よりも大きくする場合は、第2触媒層80bは、第1触媒層80aと比較して、単位面積当たりの貴金属の質量が多くなるように形成してもよい。貴金属の量を異ならしめることにより、触媒の表面積を異ならしめることができる。
【0077】
第2凹部R2の深さd2を第1凹部R1の深さd1よりも大きくする場合、第1触媒層80aにおける単位面積当たりの貴金属の質量M1は、貴金属として金を用いた一例によれば、10乃至100g/mの範囲内とする。また、この場合、第2触媒層80bにおける単位面積当たりの貴金属の質量M2は、一例によれば、50乃至150g/mの範囲内とする。そして、この場合、比M2/M1は、一例によれば、1乃至15の範囲内とする。
【0078】
このように、半導体基板の一方の主面に形成する触媒層と、他方の主面に形成する触媒層とで、単位面積当たりの貴金属の量を異ならしめるエッチング方法は、上述したコンデンサ1の製造だけでなく、他の構造体の製造にも利用可能である。
【0079】
なお、第1面及び第2面上にそれぞれ第1マスク層90a及び第2マスク層90bを形成し、続いて、第1触媒層80a及び第2触媒層80bの一方を形成し、その後、それらの他方を形成してもよい。或いは、第2面上に第2マスク層90bを形成し、次いで、第2触媒層80bを形成し、続いて、第1面上に第1マスク層90aを形成し、その後、第1触媒層80aを形成してもよい。
【0080】
次に、貴金属の触媒としての作用のもとで基板10をエッチングして、第1面及び第2面の各々に凹部を形成する。
【0081】
具体的には、図5及び図6に示すように、基板10をエッチング剤100でエッチングする。例えば、基板10を液状のエッチング剤100に浸漬させて、エッチング剤100を基板10と接触させる。
【0082】
エッチング剤100は、酸化剤と弗化水素とを含んでいる。
エッチング剤100における弗化水素の濃度は、1mol/L乃至20mol/Lの範囲内にあることが好ましく、5mol/L乃至10mol/Lの範囲内にあることがより好ましく、3mol/L乃至7mol/Lの範囲内にあることが更に好ましい。弗化水素濃度が低い場合、高いエッチングレートを達成することが難しい。弗化水素濃度が高い場合、過剰なサイドエッチングを生じる可能性がある。
【0083】
酸化剤は、例えば、過酸化水素、硝酸、AgNO、KAuCl、HAuCl、KPtCl、HPtCl、Fe(NO、Ni(NO、Mg(NO、Na、K、KMnO及びKCrから選択することができる。有害な副生成物が発生せず、半導体素子の汚染も生じないことから、酸化剤としては過酸化水素が好ましい。
【0084】
エッチング剤100における酸化剤の濃度は、0.2mol/L乃至8mol/Lの範囲内にあることが好ましく、2mol/L乃至4mol/Lの範囲内にあることがより好ましく、3mol/L乃至4mol/Lの範囲内にあることが更に好ましい。
【0085】
エッチング剤100は、緩衝剤を更に含んでいてもよい。緩衝剤は、例えば、弗化アンモニウム及びアンモニアの少なくとも一方を含んでいる。一例によれば、緩衝剤は、弗化アンモニウムである。他の例によれば、緩衝剤は、弗化アンモニウムとアンモニアとの混合物である。
エッチング剤100は、水などの他の成分を更に含んでいてもよい。
【0086】
このようなエッチング剤100を使用した場合、基板10のうち第1触媒粒子81a又は第2触媒粒子81bと近接している領域においてのみ、基板10の材料、ここではシリコンが酸化される。そして、これによって生じた酸化物は、弗化水素酸により溶解除去される。そのため、第1触媒粒子81a又は第2触媒粒子81bと近接している部分のみが選択的にエッチングされる。
【0087】
第1触媒粒子81aは、エッチングの進行とともに第2面へ向けて移動し、そこで上記と同様のエッチングが行われる。その結果、図5に示すように、第1触媒層80aの位置では、第1面から第2面へ向けて、第1面に対して垂直な方向にエッチングが進む。
【0088】
他方、第2触媒粒子81bは、エッチングの進行とともに第1面へ向けて移動し、そこで上記と同様のエッチングが行われる。その結果、図6に示すように、第2触媒層80bの位置では、第2面から第1面へ向けて、第2面に対して垂直な方向にエッチングが進む。
【0089】
このようにして、図7及び図8に示すように、第1凹部を第1面に形成するとともに、第2凹部R2を第2面に形成する。これら凹部の深さの和が基板10の厚さ以上であると、これら凹部は、それらが交差した位置で互いに繋がる。このようにして、上記の交差部に貫通孔を形成する。
【0090】
その後、第1マスク層90a及び第2マスク層90b並びに第1触媒層80a及び第2触媒層80bを基板10から除去する。第1マスク層90a及び第2マスク層90b並びに第1触媒層80a及び第2触媒層80bの1以上は、基板10から除去しなくてもよい。
【0091】
次に、基板10上に、図2に示す導電層20aを形成して、導電基板CSを得る。導電層20aは、例えば、基板10の表面領域へ不純物を高濃度にドーピングすることにより形成することができる。ポリシリコンからなる導電層20aは、例えば、LPCVD(low pressure chemical vapor deposition)によって形成することができる。金属からなる導電層20aは、例えば、電解めっき、還元めっき、又は置換めっきによって形成することができる。
【0092】
めっき液は、被めっき金属の塩を含んだ液体である。めっき液としては、硫酸銅五水和物と硫酸とを含んだ硫酸銅めっき液、ピロリン酸銅とピロリン酸カリウムとを含んだピロリン酸銅めっき液、及び、スルファミン酸ニッケルと硼素とを含んだスルファミン酸ニッケルめっき液などの一般的なめっき液を使用することができる。
【0093】
導電層20aは、被めっき金属の塩と界面活性剤と超臨界又は亜臨界状態の二酸化炭素とを含んだめっき液を用いためっき法により形成することが好ましい。このめっき法では、界面活性剤は、超臨界二酸化炭素からなる粒子と、被めっき金属の塩を含んだ溶液からなる連続相との間に介在させる。即ち、めっき液中で、界面活性剤にミセルを形成させ、超臨界二酸化炭素はこれらミセルに取り込ませる。
【0094】
通常のめっき法では、凹部の底部近傍への被めっき金属の供給が不十分となることがある。これは、凹部の深さDと幅又は径Wとの比D/Wが大きい場合に、特に顕著である。
【0095】
超臨界二酸化炭素を取り込んだミセルは、狭い隙間にも容易に入り込むことができる。そして、これらミセルの移動に伴い、被めっき金属の塩を含んだ溶液も移動する。それ故、被めっき金属の塩と界面活性剤と超臨界又は亜臨界状態の二酸化炭素とを含んだめっき液を用いためっき法によれば、厚さが均一な導電層20aを容易に形成することができる。
【0096】
次に、導電層20a上に、誘電体層30を形成する。誘電体層30は、例えば、CVD(chemical vapor deposition)によって形成することができる。或いは、誘電体層30は、導電層20aの表面を、酸化、窒化、又は酸窒化することにより形成することができる。
【0097】
次いで、誘電体層30上に、導電層20bを形成する。導電層20bとしては、例えば、ポリシリコン又は金属からなる導電層を形成する。そのような導電層20bは、例えば、導電層20aについて上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0098】
次に、導電層20bをパターニングした後、誘電体層30に、開口部を形成する。開口部は、第1主面S1のうち、第1凹部R1が設けられていない領域の位置に形成する。ここでは、誘電体層30のうち第1主面S1上に位置した部分を、枠形状に開口させる。この開口部は、例えば、フォトリソグラフィによるマスクの形成と、エッチングによるパターニングとによって形成することができる。
【0099】
次いで、金属層を成膜し、これをパターニングして、第1内部電極70a及び第2内部電極70bを得る。第1内部電極70a及び第2内部電極70bは、例えば、スパッタリングやめっきによる成膜と、フォトリソグラフィとの組み合わせにより形成することができる。
【0100】
その後、絶縁層60を形成する。絶縁層60は、第1内部電極70aの一部及び第2内部電極70bの一部に対応した位置で開口させる。絶縁層60は、例えば、CVDによる成膜と、フォトリソグラフィとの組み合わせにより形成することができる。
【0101】
次に、絶縁層60上に、第1外部電極70c及び第2外部電極70dを形成する。具体的には、先ず、第1金属層70c1及び70d1を形成する。次に、第2金属層70c2及び70d2を形成する。第1金属層70c1及び70d1並びに第2金属層70c2及び70d2は、例えば、スパッタリングやめっきによる成膜と、フォトリソグラフィとの組み合わせにより形成することができる。
【0102】
その後、絶縁層50を形成する。更に、このようにして得られた構造をダイシングする。以上のようにして、図1及び図2に示すコンデンサ1を得る。
【0103】
この方法では、第1凹部R1及び第2凹部R2を、図9に示すように形成することが好ましい。
【0104】
図9では、第1凹部R1は、第1方向であるY方向へ各々が伸びた第1トレンチである。これら第1トレンチは、第1方向に配列した2以上の第1トレンチから各々がなり、第1方向と交差する第2方向、ここではX方向に配列した複数の第1列を形成している。第1列の隣り合った各2つは、第1方向に配列した2以上の第1トレンチに挟まれた第1部分B1の位置が異なっている。
【0105】
また、第2凹部R2は、第3方向であるX方向へ各々が伸びた第2トレンチである。これら第2トレンチは、第3方向に配列した2以上の第2トレンチから各々がなり、第3方向と交差する第4方向、ここではY方向に配列した複数の第2列を形成している。第2列の隣り合った各2つは、第3方向に配列した2以上の第2トレンチに挟まれた第2部分B2の位置が異なっている。
【0106】
なお、ここで、「第1部分の位置」は、第1方向における位置である。また、「第2部分の位置」は、第3方向における位置である。
【0107】
上記の方法では、第1触媒層80a及び第2触媒層80bは、例えば、めっきによって形成する。この場合、第1触媒層80a及び第2触媒層80bの材料は、めっき液から供給される。
【0108】
第1マスク層90aに占める開口部の割合が小さい領域では、第1マスク層90aに占める開口部の割合が大きい領域と比較して、開口部の位置で露出した第1面に供給される上記材料の量が多くなる。それ故、第1マスク層90aに占める開口部の割合が小さい領域では、第1マスク層90aに占める開口部の割合が大きい領域と比較して、第1触媒層80aの単位面積当たりの第1触媒粒子81aの量が多くなる。
【0109】
同様に、第2マスク層90bに占める開口部の割合が小さい領域では、第2マスク層90bに占める開口部の割合が大きい領域と比較して、開口部の位置で露出した第2面に供給される上記材料の量が多くなる。それ故、第2マスク層90bに占める開口部の割合が小さい領域では、第2マスク層90bに占める開口部の割合が大きい領域と比較して、第2触媒層80bの単位面積当たりの第2触媒粒子81bの量が多くなる。
【0110】
触媒粒子の量は、エッチングレートに影響を及ぼす。即ち、触媒粒子の量が多いほど、エッチングレートは高くなる。
【0111】
第1列の隣り合った各2つの間で第1部分B1の位置を等しくした場合、第1部分B1に対応した位置の近傍の領域と他の領域との間における、第1マスク層90aに占める開口部の割合の差が大きい。それ故、この場合、第1部分B1の近傍の領域と他の領域との間で、第1凹部R1の深さに大きな差を生じ得る。
【0112】
同様に、第2列の隣り合った各2つの間で第2部分B2の位置を等しくした場合、第2部分B2に対応した位置の近傍の領域と他の領域との間における、第2マスク層90bに占める開口部の割合の差が大きい。それ故、この場合、第2部分B2の近傍の領域と他の領域との間で、第2凹部R2の深さに大きな差を生じ得る。
【0113】
図9に示す配置では、第1列の隣り合った各2つの間で第1部分B1の位置が異なっている。それ故、第1列の隣り合った各2つの間で第1部分B1の位置を等しくした場合と比較して、第1部分B1に対応した位置の近傍の領域と他の領域との間における、第1マスク層90aに占める開口部の割合の差が小さい。従って、図9に示す配置を採用すると、第1凹部R1の深さのばらつきを小さくすることができる。
【0114】
同様に、図9に示す配置では、第2列の隣り合った各2つの間で第2部分B2の位置が異なっている。それ故、第2列の隣り合った各2つの間で第2部分B2の位置を等しくした場合と比較して、第2部分B2に対応した位置の近傍の領域と他の領域との間における、第2マスク層90bに占める開口部の割合の差が小さい。従って、図9に示す配置を採用すると、第2凹部R2の深さのばらつきを小さくすることができる。
【0115】
また、図9に示す配置を採用した場合、第1凹部R1及び第2凹部R2を形成した後に行う成膜においても、例えば、堆積材料をより均一に供給することができる。従って、高い膜厚均一性を達成できる。
【0116】
上述した方法では、第1凹部R1を形成するためのエッチングと、第2凹部R2を形成するためのエッチングとを同時に行っている。それらエッチングは、別々に行ってもよい。この場合、第1触媒層80aと第2触媒層80bとの間で、単位面積当たりの貴金属の量を等しくしてもよい。
【0117】
また、上述した方法では、MacEtchによって第1凹部R1及び第2凹部R2を形成しているが、第1凹部R1及び第2凹部R2の少なくとも一方は、他の方法で形成してもよい。例えば、深さが小さな凹部を形成する場合や、幅又は径が大きな凹部を互いから十分な距離を隔てて形成する場合は、反応性イオンエッチング(RIE)などのMacEtch以外のエッチング法を利用してもよい。
【0118】
このコンデンサ1では、誘電体層30と導電層20bとを含んだ積層構造は、第1主面S1上及び第1凹部R1内だけでなく、第2主面S2上及び第2凹部R2内にも設けられている。それ故、このコンデンサ1は、大きな電気容量を達成し得る。
【0119】
また、このコンデンサ1は、以下に説明するように、製造が容易である。
第1凹部R1を第1主面S1の全体に設け、第1内部電極70a及び第2内部電極70bを第1主面S1と向き合うように配置する場合、複雑な構造を採用する必要を生じる。例えば、第2内部電極70bを導電層20bから電気的に絶縁するための絶縁層が必要になり、この絶縁層に、第2内部電極70bを導電基板CSへ電気的に接続するための貫通孔を形成する必要を生じる。そして、第2内部電極70bを導電基板CSへ電気的に接続するために、この絶縁層及び誘電体層30に形成する貫通孔の位置は、第1主壁部上としなければならない。第1主壁部が薄い場合には、これら貫通孔の形成には、高い位置精度が要求される。
【0120】
図1及び図2を参照しながら説明したコンデンサ1では、第1凹部R1は、第1主面S1の一部の領域にのみ設けられている。第2凹部R2は、第2主面S2のうち、第1主面S1の上記一部の領域と第1主面S1の他の一部の領域とに対応した領域に設けられている。また、第1内部電極70aは、第1主面S1の上記一部の領域上に設けられ、導電層20bと電気的に接続されている。そして、第2内部電極70bは、第1主面S1の上記他の一部の領域上に設けられており、導電基板CSと電気的に接続されている。
【0121】
第1凹部R1は第1主面S1の一部の領域にのみ設けられているので、第1主面S1のうち第1凹部R1が設けられていない領域は、導電層20bで被覆する必要がない。それ故、第2内部電極70bを導電層20bから電気的に絶縁するための絶縁層を省略することができ、この場合、この絶縁層に貫通孔を形成する必要は生じ得ない。
【0122】
また、図1及び図2を参照しながら説明したコンデンサ1では、第2内部電極70bと導電基板CSとの電気的接続は、第1凹部R1を設けていない領域で行っている。第2内部電極70bを導電基板CSへ電気的に接続するために誘電体層30を開口させるプロセスにおいて、高い位置精度は要求されない。
【0123】
また、このコンデンサ1では、第1凹部R1及び第2凹部R2は、長さ方向が互いに交差した第1及び第2トレンチであり、それらの深さの和は導電基板CSの厚さ以上である。それ故、第1凹部R1及び第2凹部R2を形成すると、それらが交差している位置に、図9に示す貫通孔THが生じる。従って、第1凹部R1及び第2凹部R2を形成する工程の他に、貫通孔を別途形成する工程を行う必要がない。
【0124】
そして、このコンデンサ1では、上記積層構造のうち、第1主面S1上に位置した部分と第2主面S2上に位置した部分との電気的接続を、貫通孔THを利用して行っている。それ故、第1内部電極70a及び第2内部電極70bの双方を、コンデンサ1の片側に配置することができる。そのような構成を採用したコンデンサ1は、比較的少ない工程数で製造することが可能である。
【0125】
更に、このコンデンサ1では、第1内部電極70a及び第2内部電極70bの双方を、コンデンサ1の片側に配置している。それ故、第1外部電極70c及び第2外部電極70dも、コンデンサ1の片側に配置することができる。このような構成を採用したコンデンサ1は、配線基板などへの実装が容易である。
【0126】
以下に、原出願の当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
第1主面と第2主面とを有し、前記第1主面の一部の領域に1以上の第1凹部が設けられ、前記第2主面のうち、前記第1主面の前記一部の領域と前記第1主面の他の一部の領域とに対応した領域に1以上の第2凹部が設けられた導電基板と、
前記第1主面と、前記第2主面と、前記1以上の第1凹部の側壁及び底面と、前記1以上の第2凹部の側壁及び底面とを覆った導電層と、
前記導電基板と前記導電層との間に介在した誘電体層と、
前記第1主面の前記一部の領域上に設けられ、前記導電層と電気的に接続された第1内部電極と、
前記第1主面の前記他の一部の領域上に設けられ、前記導電基板と電気的に接続された第2内部電極と
を備えたコンデンサ。
[2]
前記1以上の第2凹部の深さは、前記1以上の第1凹部の深さと比較してより大きい項1に記載のコンデンサ。
[3]
前記1以上の第1凹部は1以上の第1トレンチであり、前記1以上の第2凹部は1以上の第2トレンチであり、前記1以上の第1トレンチの長さ方向と前記1以上の第2トレンチの長さ方向とは互いに交差し、前記1以上の第1トレンチと前記1以上の第2トレンチとは、それらの交差部で互いに繋がっている項1又は2に記載のコンデンサ。
[4]
前記1以上の第1凹部は、第1方向へ各々が伸びた複数の第1トレンチであり、前記複数の第1トレンチは、前記第1方向に配列した2以上の第1トレンチから各々がなり、前記第1方向と交差する第2方向に配列した複数の第1列を形成し、前記複数の第1列の隣り合った各2つは、前記第1方向に配列した前記2以上の第1トレンチに挟まれた第1部分の位置が異なっており、
前記1以上の第2凹部は、第3方向へ各々が伸びた複数の第2トレンチであり、前記複数の第2トレンチは、前記第3方向に配列した2以上の第2トレンチから各々がなり、前記第3方向と交差する第4方向に配列した複数の第2列を形成し、前記複数の第2列の隣り合った各2つは、前記第3方向に配列した前記2以上の第2トレンチに挟まれた第2部分の位置が異なっている項1乃至3の何れか1項に記載のコンデンサ。
[5]
半導体基板の一方の主面に、貴金属を含んだ第1触媒層を形成することと、
前記半導体基板の他方の主面に、前記貴金属を含み、前記第1触媒層とは単位面積当たりの前記貴金属の質量が異なる第2触媒層を形成することと、
その後、前記一方の主面及び前記他方の主面に、酸化剤と弗化水素とを含んだエッチング剤を供給することと
を含んだエッチング方法。
【符号の説明】
【0127】
1…コンデンサ、10…基板、20a…導電層、20b…導電層、30…誘電体層、50…絶縁層、60…絶縁層、70a…第1内部電極、70b…第2内部電極、70c…第1外部電極、70c1…第1金属層、70c2…第2金属層、70d…第2外部電極、70d1…第1金属層、70d2…第2金属層、70R1…領域、70R2…領域、80a…第1触媒層、80b…第2触媒層、81a…第1触媒粒子、81b…第2触媒粒子、90a…第1マスク層、90b…第2マスク層、100…エッチング剤、B1…第1部分、B2…第2部分、CS…導電基板、R1…第1凹部、R2…第2凹部、S1…第1主面、S2…第2主面、TH…貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9