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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】移動体および移動体制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20240805BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B66B31/02 Z
B66B31/00 C
B66B31/00 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023147724
(22)【出願日】2023-09-12
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】中谷 竜
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-138838(JP,A)
【文献】特開2019-001612(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073550(WO,A1)
【文献】特開2010-179976(JP,A)
【文献】特開2008-142876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの乗り込み位置を含むエリアを撮影するカメラ装置と、
移動機構と、
前記カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、前記乗客コンベアに乗り込もうとしている利用者を検知すると、前記利用者の後方位置または前方位置に移動することを決定する解析部と、
前記解析部が決定した位置に移動するように前記移動機構を制御する動作制御部と、を備える移動体。
【請求項2】
前記乗客コンベアは、所定方向に移動する踏み面を有し、
前記踏み面に対応する幅を有する筐体をさらに備える、請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記解析部は、前記乗客コンベアに乗り込もうとしている利用者を検知すると、前記利用者の属性情報を取得し、取得した属性情報に基づいて前記利用者の後方位置に移動するかまたは前方位置に移動するかを決定する、請求項1に記載の移動体。
【請求項4】
前記乗客コンベアはエスカレータであり、
前記解析部は、前記カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、
前記利用者の属性情報として、この利用者が、スカートを着用している人であることを示す情報を取得すると、この利用者の後方位置に移動し、この利用者の動作に連動して前記エスカレータに乗り込むことを決定し、
前記利用者の属性情報として、この利用者が、エスカレータへの持ち込みが制限されている荷物を携帯している人であることを示す情報を取得すると、この利用者の前方位置に移動して停止することを決定し、
前記利用者の属性情報として、この利用者が立位姿勢を保つことが困難な人であり、且つ上方向に移動するエスカレータに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、この利用者の後方位置に移動し、この利用者の動作に連動して前記エスカレータに乗り込むことを決定し、
前記利用者の属性情報として、この利用者が立位姿勢を保つことが困難な人であり、且つ下方向に移動するエスカレータに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、この利用者の前方位置に移動し、この利用者の動作に連動して前記エスカレータに乗り込むことを決定し、
前記利用者の属性情報として、この利用者が、床面から所定距離内に下端部があるスカートを着用している人であり、且つ上方向に移動するエスカレータに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、この利用者の前方位置に移動し、この利用者の動作に連動して前記エスカレータに乗り込むことを決定し、
前記利用者の属性情報として、この利用者が、床面から所定距離内に下端部があるスカートを着用している人であり、且つ下方向に移動するエスカレータに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、この利用者の後方位置に移動し、この利用者の動作に連動して前記エスカレータに乗り込むことを決定し、
前記利用者の属性情報として、この利用者が、所定値よりも大きい荷物を携帯している人であり、且つ上方向に移動するエスカレータに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、この利用者の後方位置に移動し、この利用者の動作に連動して前記エスカレータに乗り込むことを決定し、
前記利用者の属性情報として、この利用者が、所定値よりも大きい荷物を携帯している人であり、且つ下方向に移動するエスカレータに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、この利用者の前方位置に移動し、この利用者の動作に連動して前記エスカレータに乗り込むことを決定する、請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記エスカレータの踏み面は、階段状の踏段で構成され、
前記踏段複数段分の高さの筐体をさらに備える、請求項4に記載の移動体。
【請求項6】
表示装置をさらに備え、
前記動作制御部は、前記乗客コンベアの利用者への報知情報を前記表示装置に表示させる、請求項1に記載の移動体。
【請求項7】
前記乗客コンベア内の清掃を行うための清掃用部材をさらに備える、請求項1に記載の移動体。
【請求項8】
前記乗客コンベアの制御装置に通信可能に接続され、
前記解析部は、前記カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、前記乗客コンベアの混雑状況を示す情報を生成し、
前記動作制御部は、前記乗客コンベアの混雑状況を示す情報を、前記乗客コンベアの制御装置に送信する、請求項1に記載の移動体。
【請求項9】
自装置の幅方向または高さ方向の形状を変化させる機構をさらに備える、請求項1に記載の移動体。
【請求項10】
乗客コンベアの乗り込み位置を含むエリアを撮影するカメラ装置と、移動機構とを備える移動体が、
前記カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、前記乗客コンベアに乗り込もうとしている利用者を検知すると、前記利用者の後方位置または前方位置に移動することを決定し、決定した位置に移動するように前記移動機構を制御する、移動体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、移動体および移動体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に広く普及している乗客コンベア、例えばエスカレータは、自動で前方に移動する踏段を有している。利用者は、踏段が移動している状態でエスカレータアの乗り口から踏段に乗り込み、移動先で踏段から降り口に降りることで、少ない労力で所望の場所まで移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-115312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者は、エスカレータを利用する際、特に移動している踏段へ乗り込むとき、および移動している踏段から降りるときには、身体のバランスを崩しやすく、注意を払う必要がある。また利用者は、エスカレータに乗っている間も、安全性および快適性を保つためには、踏段内で歩行を行わないようにする、周囲の利用者に迷惑がかからないようにする等の注意を払う必要がある。
【0005】
しかし利用者によってはこれらの注意を払うことを充分に意識していない場合があり、本人にとって不都合となるのみならず、周囲の利用者にも迷惑がかかる場合があるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗客コンベアの利用者が安全且つ快適に乗客コンベアを利用できるように支援するための移動体および移動体制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によれば移動体は、カメラ装置と移動機構と解析部と動作制御部とを備える。カメラ装置は、乗客コンベアの乗り込み位置を含むエリアを撮影する。解析部は、カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、乗客コンベアに乗り込もうとしている利用者を検知すると、利用者の後方位置または前方位置に移動することを決定する。動作制御部は、解析部が決定した位置に移動するように移動機構を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1および第2実施形態による移動体であるロボット装置の構成を示す外観図である。
図2】第1および第2実施形態による移動体であるロボット装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態による移動体であるロボット装置の動作を示すフローチャートである。
図4】(a)は、第1実施形態による移動体が利用者の前方位置に移動してエスカレータを利用している状態を示す図であり、(b)は、移動体が利用者の後方位置に移動してエスカレータを利用している状態を示す図である。
図5】第2実施形態による移動体であるロボット装置の動作を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態による移動体であるロボット装置の構成を示す外観図である。
図7】第3実施形態による移動体であるロボット装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態として、移動体であるロボット装置が、乗客コンベアであるエスカレータEの利用者の利用支援を行う場合の処理について、説明する。エスカレータEは、所定方向に移動する踏み面として、階段状の踏段を有している。この踏段は、所定幅および段ごとの所定高さを有し、エスカレータE内で上方向または下方向に移動する。
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるロボット装置の構成〉
図1は、第1実施形態によるロボット装置1Aの構成を示す外観図であり、図2は、ロボット装置1Aの詳細な構成を示す機能ブロック図である。ロボット装置1Aは、エスカレータEの踏段に対応する幅を有する筐体10と、筐体10に設置されたカメラ装置11、移動機構12、およびCPU13Aとを備える。筐体10は、エスカレータEの踏段と同等の幅、またはエスカレータEの踏段に対して所定の割合の幅、例えば踏段の半分の幅を有する。
【0011】
カメラ装置11は、エスカレータEの乗り込み口を含むエリアを撮影する。移動機構12は、ロボット装置1Aを移動させる機構である。
【0012】
CPU13Aは、例えば汎用のマイクロコンピュータが備えるCPU(中央処理装置)であって、所定の移動体制御プログラムをインストールして実行することにより、以下に示す1又は2以上の情報処理部を構成する。
【0013】
CPU13Aは、撮像情報取得部131と、解析部132Aと、動作制御部133Aとを有する。撮像情報取得部131は、カメラ装置11が撮影した撮像情報を取得する。解析部132Aは、撮像情報取得部131が取得した撮像情報を解析してエスカレータEの利用状況を監視し、エスカレータEに乗り込もうとする利用者の有無を判定する。解析部132Aは、エスカレータEに乗り込もうとする利用者を検知すると、ロボット装置1Aを利用者の前方位置に移動させることを決定する。動作制御部133Aは、解析部132Aが決定した位置にロボット装置1Aを移動させるように、移動機構12を制御する。
【0014】
〈第1実施形態によるロボット装置の動作〉
図3は、ロボット装置1Aの動作を示すフローチャートである。ロボット装置1Aは、待機時は、エレベータE付近の所定位置、例えば充電スポットに停止して待機するかまたは、エレベータEの周辺を徘徊して待機する。ロボット装置1Aは、待機中に、カメラ装置11がエスカレータEの乗り込み位置を含むエリアを撮影する。撮像情報取得部131は、カメラ装置11が撮影した撮像情報を取得し、解析部132Aに送出する。
【0015】
解析部132Aは、取得した撮像情報を解析して、エスカレータEに乗り込もうとしている利用者がいるか否かを監視する(S1)。解析部132Aは、エスカレータEに乗り込もうとしている利用者X1がいることを検知すると(S1の「YES」)、ロボット装置1Aが利用者X1の前方位置に移動し、利用者の動作に連動してエスカレータEに乗り込むことを決定する(S2)。
【0016】
動作制御部133Aは、解析部132Aが決定したように、ロボット装置1Aが利用者X1の前方位置に移動し、利用者の動作に連動してエスカレータEに乗り込むように、移動機構12を制御する(S3)。これにより、ロボット装置1Aは利用者X1の前方位置にある状態で利用者X1の動作に連動して乗り込み口からエスカレータEに自動で乗り込み、図4(a)に示すようにエスカレータEを利用する。ロボット装置1Aは、エスカレータEの降り口に到着すると、自動で降車して利用者X1から離れる。
【0017】
このようにして、ロボット装置1Aが動作することで、利用者X1がエスカレータEに乗車中に、前方に向かって踏段を歩行することを防止し、利用者同士の接触を回避することができる。
【0018】
動作制御部133Aは、解析部132Aによる撮像情報の解析結果からエスカレータEの混雑状況を認識し、認識した内容に基づいて移動するタイミングを決定してもよい。例えば動作制御部133Aは、撮像情報の解析処理により複数の利用者が所定距離以内で連続して検出された場合、これらの利用者のうち先頭の利用者を選択し、この利用者の前方位置に移動し、この利用者の動作に連動してエスカレータEに乗り込むように、移動機構12を制御する。
【0019】
このように制御することで、エスカレータEに連続して乗り込んだ複数の利用者が、乗車中に、前方に向かって踏段を歩行することを防止し、利用者同士の接触を回避することができる。
【0020】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるロボット装置の構成〉
第2実施形態によるロボット装置1Bは、第1実施形態で説明したロボット装置1Aと同様の構成を有するため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0021】
本実施形態においてロボット装置1BのCPU13Bの解析部132Bは、エスカレータEに乗り込もうとする利用者を検知すると、この利用者の属性情報等を取得し、取得した属性情報に基づいてロボット装置1Bの動作内容を決定する。解析部132Bは例えば、取得した属性情報に基づいて、ロボット装置1Bが利用者の後方位置に移動するかまたは前方位置に移動するかを決定する。
【0022】
〈第2実施形態によるロボット装置の動作〉
図5は、ロボット装置1Bの動作を示すフローチャートである。ロボット装置1Bは、待機中に、カメラ装置11がエスカレータEの乗り込み位置を含むエリアを撮影する。撮像情報取得部131は、カメラ装置11が撮影した撮像情報を取得し、解析部132Bに送出する。
【0023】
解析部132Bは、取得した撮像情報を解析して、エスカレータEに乗り込もうとしている利用者がいるか否かを監視する(S11)。解析部132Bは、エスカレータEに乗り込もうとしている利用者X2がいることを検知すると(S11の「YES」)、撮像情報をさらに解析して、この利用者X2の属性情報等を取得する(S12)。
【0024】
解析部132Bは、取得した属性情報に基づいて、ロボット装置1Bの動作内容を決定する(S13)。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する(S14)。
【0025】
解析部132Bが決定するロボット装置1Bの動作内容、および決定した内容によるロボット装置1Bの動作の具体例として、以下の動作例(1)~(6)を挙げて説明する。
【0026】
[動作例(1)]
解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2がスカートを着用している人であることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の後方位置に移動し、利用者X2の動作に連動してエレベータEに乗り込むことを決定する。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0027】
これにより、ロボット装置1Bは利用者X2の後方位置にある状態で利用者X2の動作に連動して乗り込み口からエスカレータEに自動で乗り込み、図4(b)に示すようにエスカレータEを利用する。このようにロボット装置1Bが動作することで、利用者X2がスカートを着用している人である場合、利用者X2の直後に他の利用者が乗り込むことができなくなり、利用者X2に対する盗撮を防止することができる。
【0028】
ロボット装置1Bの高さを、踏段3段分程度(例えば600mm程度)とすることで、ロボット装置1Bの後部の踏段に乗り込んでいる他の利用者からも、利用者X2に対する盗撮を防止することができる。
【0029】
[動作例(2)]
解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2がエスカレータEへの持ち込みが制限されている荷物を携帯している人であることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の前方位置に移動して停止することを決定する。エスカレータEへの持ち込みが制限されている荷物とは、例えば、ベビーカー、カート、または所定長以上の長さを有する長尺物等である。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0030】
このようにロボット装置1Bが動作することで、エスカレータEへの持ち込みが制限されている荷物を携帯する利用者X2がエスカレータEに乗り込むことを阻止することができる。
【0031】
ロボット装置1Bは、エスカレータEへの持ち込みが制限されている荷物を携帯する利用者を、エレベータ(図示せず)の設置場所まで誘導するように移動してもよい。
【0032】
[動作例(3)]
解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2が高齢者、松葉づえ使用者、障がい者、または酩酊状態等の立位姿勢を保つことが困難な人であり、且つ上方向に移動するエスカレータEに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の後方位置に移動し、利用者X2の動作に連動してエスカレータEに乗り込むことを決定する。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0033】
このようにロボット装置1Bが動作することで、立位姿勢を保つことが困難な人が上方向に移動するエスカレータEを利用する場合に、ロボット装置1Bが利用者X2を後方から支える等の支援を行って利用者X2の安全を確保することができる。
【0034】
[動作例(4)]
解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2が高齢者、松葉づえ使用者、障がい者、または酩酊状態等の立位姿勢を保つことが困難な人であり、且つ下方向に移動するエスカレータEに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の前方位置に移動し、利用者X2の動作に連動してエスカレータEに乗り込むことを決定する。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0035】
このようにロボット装置1Bが動作することで、立位姿勢を保つことが困難な人が下方向に移動するエスカレータEを利用する場合に、ロボット装置1Bが利用者X2を前方から支える等の支援を行って利用者X2の安全を確保することができる。
【0036】
[動作例(5)]
解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2が床面から所定距離内に下端部がある裾の長いスカートを着用している人であり、且つ上方向に移動するエスカレータEに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の前方位置に移動し、利用者X2の動作に連動してエスカレータEに乗り込むことを決定する。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0037】
動作制御部133Bは、利用者X2とともにエスカレータEに乗り込んでいる間、スカートの巻き込みが予測される箇所、例えば利用者X2前方の踏段同士の隙間、または踏段と欄干下部のスカートガード(図示せず)との隙間に向けてガード部材(図示せず)を送出させてもよい。また動作制御部133Bは、スカートの裾の巻き込みに注意が必要であることを利用者に報知する報知情報を、出力装置(図示せず)から出力させてもよい。
【0038】
また解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2が床面から所定距離内に下端部がある裾の長いスカートを着用している人であり、且つ下方向に移動するエスカレータEに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の後方位置に移動し、利用者X2の動作に連動してエスカレータEに乗り込むことを決定する。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0039】
動作制御部133Bは、利用者X2とともにエスカレータEに乗り込んでいる間、スカートの巻き込みが予測される箇所、例えば利用者X2後方の踏段同士の隙間、または踏段と欄干下部のスカートガード(図示せず)との隙間に向けてガード部材(図示せず)を送出させてもよい。また動作制御部133Bは、スカートの裾の巻き込みに注意が必要であることを利用者に報知する報知情報を、出力装置から出力させてもよい。
【0040】
このようにロボット装置1Bが動作することで、利用者X2がエスカレータを利用する際に、利用者X2が着用している裾の長いスカートが踏段同士の隙間または踏段と欄干下部のスカートガードとの隙間に巻き込まれることを防止することができる。
【0041】
[動作例(6)]
解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2が所定値よりも大きい荷物を携帯している人であり、且つ上方向に移動するエスカレータEに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の後方位置に移動し、利用者X2の動作に連動してエスカレータEに乗り込むことを決定する。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0042】
また解析部132Bは、利用者X2の属性情報として、利用者X2が所定値よりも大きい荷物を携帯している人であり、且つ下方向に移動するエスカレータEに乗り込もうとしていることを示す情報を取得すると、ロボット装置1Bが利用者X2の前方位置に移動し、利用者X2の動作に連動してエスカレータEに乗り込むことを決定する。動作制御部133Bは、解析部132Bが決定した内容でロボット装置1Bを動作させるように、移動機構12を制御する。
【0043】
このようにロボット装置1Bが動作することで、大きな荷物を持つ利用者がエスカレータEを利用中に、荷物が手から落ちた場合にもロボット装置1Bにより下方に転がることが制止される。ロボット装置1Bは、利用者の荷物を載置または把持する部材を有していてもよい。
【0044】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるロボット装置の構成〉
図6は、第3実施形態によるロボット装置1Cの構成を示す外観図であり、図7は、ロボット装置1Cの詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【0045】
第3実施形態によるロボット装置1Cは、表示装置14およびエスカレータE内の清掃を行うための清掃用部材15をさらに備える他は、第1実施形態で説明したロボット装置1Aと同様の構成を有するため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0046】
表示装置14は、例えば液晶ディスプレイで構成される。動作制御部133Cは、表示装置14に所定の情報を表示させる。清掃用部材15は、ブラシ状の部材であり、ブラシの先端が床面に接するようにロボット装置1Cの下部に設置される。
【0047】
〈第3実施形態によるロボット装置の動作〉
ロボット装置1Cは、第1実施形態または第2実施形態と同様に、解析部132Cがカメラ装置11の撮像情報に基づいてロボット装置1Cの動作内容を決定し、決定した内容に基づいて動作制御部133Cが移動機構12を制御する。
【0048】
これらの動作に加え、動作制御部133Cは、適宜設定された表示情報、例えば広告情報、公共交通機関の発車時刻情報、または商業施設の館内案内情報等を報知するための表示情報を、表示装置14に表示させる。
【0049】
このようにロボット装置1Cの表示装置14に各種情報を表示させることで、エスカレータEの利用者およびエスカレータEの付近にいる人に対し、有用な情報を提供することができる。
【0050】
また、解析部132Cが、カメラ装置11で撮影した撮像情報を解析することでエスカレータEに対していたずらを行っている人、喧嘩をしている人、踏段に座り込んでいる人、踏段の移動方向に対して逆方向に歩行している人等、安全な運転に支障がある行為を行っている人を検知したときに、動作制御部133Cが、これらの人に注意喚起する情報を表示装置14に表示させてもよい。また、ロボット装置1Cがスピーカ装置(図示せず)を備え、これらの情報を音声で出力してもよい。これにより、エスカレータE内の利用環境を安全な状態に保つことができる。
【0051】
また、動作制御部133Cは、ロボット装置1CがエスカレータEの踏段上に乗り込んでいる間に、踏段上で所定方向に所定距離の移動を繰り返すように移動機構12を制御することで、清掃用部材15により踏段溝の清掃を実行させるようにしてもよい。
【0052】
また、ロボット装置1CがエスカレータEの欄干を清掃する清掃用部材(図示せず)を備え、ロボット装置1CがエスカレータEの踏段上に乗り込んでいる間に、動作制御部133Cがこの清掃用部材を欄干に接触させるように移動機構12を制御することで、この清掃用部材により欄干の清掃を実行させるようにしてもよい。
【0053】
このようにロボット装置1Cを構成することで、ロボット装置1CがエスカレータEの利用者の支援を行いつつ、エスカレータE内の清掃を行うことができる。
【0054】
上述した第1~第3実施形態において、1台のエスカレータ、または同一エリアに設置された複数のエスカレータに対して複数のロボット装置を待機させ、これらの複数のロボット装置が1台または複数台のエスカレータに同時に乗り込むようにしてもよい。これにより、多数の利用者に対して同時に、エスカレータの利用支援を行うことができる。
【0055】
また上述した第1~第3実施形態において、ロボット装置がエスカレータの制御装置に通信可能に接続され、ロボット装置がカメラ装置で撮影した撮像情報を解析することでエスカレータの混雑状況を示す情報を生成し、生成した情報をエスカレータの制御装置(図示せず)に送信してもよい。エスカレータの制御装置は例えば、ロボット装置から取得した情報に基づいて、エスカレータの動作内容を変更することができる。エスカレータの制御装置は、ロボット装置から取得した情報に基づいてエスカレータの混雑度が所定値以上であることを検知すると、エスカレータの移動速度を所定値下げてもよい。
【0056】
これにより、エスカレータの制御装置が適宜エスカレータの混雑状況を示す情報を取得し、取得した情報に基づいてエスカレータの動作を適切に制御することができる。
【0057】
また上述した第1~第3実施形態において、ロボット装置が形状を変化させる機構を有し、乗り込むエスカレータの型式または利用者への支援内容に応じて、ロボット装置の形状、例えば幅方向または高さ方向の大きさを適宜変化させてもよい。
【0058】
また上述した第1~第3実施形態においてロボット装置は、エスカレータが設置されている店舗等の施設の入口付近で待機し、入場者をエスカレータに誘導するように移動動作を行ってもよい。
【0059】
また上述した第1~第3実施形態においては乗客コンベアがエスカレータである場合について説明したが、乗客コンベアが動く歩道である場合に適用することも可能である。
【0060】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1A、1B、1C…ロボット装置、10…筐体、11…カメラ装置、12…移動機構、13A,13B,13C…CPU、14…表示装置、15…清掃用部材、131…撮像情報取得部、132A,132B,132C…解析部、133A,133B,133C…動作制御部
【要約】
【課題】 乗客コンベアの利用者が安全且つ快適に乗客コンベアを利用できるように支援するための移動体および移動体制御方法を提供する。
【解決手段】 移動体は、カメラ装置と移動機構と解析部と動作制御部とを備える。カメラ装置は、乗客コンベアの乗り込み位置を含むエリアを撮影する。解析部は、カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、乗客コンベアに乗り込もうとしている利用者を検知すると、利用者の後方位置または前方位置に移動することを決定する。動作制御部は、解析部が決定した位置に移動するように移動機構を制御する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7