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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】貼付装置及び貼付方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 39/14 20060101AFI20240805BHJP
   B27N 3/04 20060101ALI20240805BHJP
   B27N 3/12 20060101ALI20240805BHJP
   D04H 1/732 20120101ALI20240805BHJP
   B32B 39/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65H39/14
B27N3/04 Z
B27N3/12
D04H1/732
B32B39/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023183131
(22)【出願日】2023-10-25
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513301517
【氏名又は名称】甲斐 義浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 義浩
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-516816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0177888(US,A1)
【文献】特開2016-188448(JP,A)
【文献】特開2016-079533(JP,A)
【文献】特開2016-078367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 39/14
B27N 3/04
B27N 3/12
D04H 1/732
B32B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートを搬送しつつその表面に紙製フィルムを貼付して次工程へ送り出す貼付装置であって、
前記シートを前記前工程から前記次工程へ搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトを張設して駆動するベルト支持機構と、
前記シートに散水する散水機構と、
前記無端ベルトによる前記シートの搬送に同期して紙製フィルムを繰り出して前記シートの表面に重ねる給紙機構と、
を有し、
前記ベルト支持機構は、前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間と、前記第1水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間と、前記第1下垂区間の下端で前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する第2水平区間と、前記第2水平区間の終端で下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第2下垂区間と、前記第2下垂区間の下端で前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する送出側区間とを有するように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換ローラ、前記第1下垂区間が前記第2水平区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換補助ローラ、前記第2水平区間が前記第2下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転ローラ、及び、前記第2下垂区間が前記送出側区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転補助ローラを有し、
前記散水機構は、前記第1水平区間の終端の手前側にて前記シートに散水するノズルを有し、
前記給紙機構は、前記ノズルによる散水後で且つ前記第1下垂区間の始端の手前側に紙製フィルムを案内して前記シートの表面に重ねる案内ローラを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間と、前記第1水平区間の終端を越えて鉛直下方から前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間と、前記第1下垂区間の下端で前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する第2水平区間と、前記第2水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第2下垂区間と、前記第2下垂区間の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する送出側区間とを有するように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換ローラ、前記第1下垂区間が前記第2水平区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換補助ローラ、前記第2水平区間が前記第2下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転ローラ、及び、前記第2下垂区間が前記送出側区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転補助ローラを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項3】
請求項2に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間と、前記第1水平区間の終端を越えて鉛直下方から前記第2方向側へ5~25度屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間と、前記第1下垂区間の下端を越えて前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する第2水平区間と、前記第2水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第2下垂区間と、前記第2下垂区間の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する送出側区間とを有するように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換ローラ、前記第1下垂区間が前記第2水平区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換補助ローラ、前記第2水平区間が前記第2下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転ローラ、及び、前記第2下垂区間が前記送出側区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転補助ローラを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項4】
請求項1に於いて、
前記無端ベルトはメッシュ状を成し、
前記散水機構は、前記第2水平区間の終端の手前側にて前記シートに散水する第2のノズルを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項5】
請求項4に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間と、前記第1水平区間の終端を越えて鉛直下方から前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間と、前記第1下垂区間の下端を越えて前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する第2水平区間と、前記第2水平区間の終端を越えて鉛直下方から前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第2下垂区間と、前記第2下垂区間の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する送出側区間とを有するように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換ローラ、前記第1下垂区間が前記第2水平区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換補助ローラ、前記第2水平区間が前記第2下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転ローラ、及び、前記第2下垂区間が前記送出側区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転補助ローラを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項6】
請求項5に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間と、前記第1水平区間の終端を越えて鉛直下方から前記第2方向側へ5~25度屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間と、前記第1下垂区間の下端を越えて前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する第2水平区間と、前記第2水平区間の終端を越えて鉛直下方から前記第1方向側へ5~25度屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第2下垂区間と、前記第2下垂区間の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する送出側区間とを有するように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換ローラ、前記第1下垂区間が前記第2水平区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換補助ローラ、前記第2水平区間が前記第2下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転ローラ、及び、前記第2下垂区間が前記送出側区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転補助ローラを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項7】
請求項1に於いて、
前記第1下垂区間の区間長と前記第2下垂区間の区間長は略同一である、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項8】
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートを搬送しつつその表面に紙製フィルムを貼付して次工程へ送り出す貼付装置であって、
前記シートを前記前工程から前記次工程へ搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトを張設して駆動するベルト支持機構と、
前記シートに散水する散水機構と、
前記無端ベルトによる前記シートの搬送に同期して紙製フィルムを繰り出して前記シートの表面に重ねる給紙機構と、
を有し、
前記ベルト支持機構は、前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間と、前記第1水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間と、前記第1下垂区間の下端を越えて前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを前記第2方向へ搬送する転換区間と、前記転換区間の終端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する反転区間とを有するように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換ローラ、前記第1下垂区間が前記転換区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換補助ローラ、及び、前記転換区間が前記反転区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転ローラを有し、
前記散水機構は、前記第1水平区間の終端の手前側にて前記シートに散水するノズルを有し、
前記給紙機構は、前記ノズルによる散水後で且つ前記第1下垂区間の始端の手前側に紙製フィルムを案内して前記シートの表面に重ねる案内ローラを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項9】
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートを搬送しつつその表面に紙製フィルムを貼付して次工程へ送り出す貼付装置であって、
前記シートを前記前工程から前記次工程へ搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトを張設して駆動するベルト支持機構と、
前記シートに散水する散水機構と、
前記無端ベルトによる前記シートの搬送に同期して紙製フィルムを繰り出して前記シートの表面に重ねる給紙機構と、
を有し、
前記ベルト支持機構は、前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間と、前記第1水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを前記第1方向と反対の第2方向側下方へ搬送する転換区間と、前記転換区間の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する反転区間とを有するように、前記第1水平区間が前記転換区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する転換ローラ、及び、前記転換区間が前記反転区間へ屈曲される位置にて前記無端ベルトを支持する反転ローラを有し、
前記散水機構は、前記第1水平区間の終端の手前側にて前記シートに散水するノズルを有し、
前記給紙機構は、前記ノズルによる散水後で且つ前記転換区間の始端の手前側に紙製フィルムを案内して前記シートの表面に重ねる案内ローラを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項10】
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートを無端ベルトで搬送しつつその表面に紙製フィルムを貼付して次工程へ送り出す貼付方法であって、
前記無端ベルトを張設して駆動するベルト支持機構が有する転換ローラ、転換補助ローラ、反転ローラ、及び、反転補助ローラにより、
前記無端ベルトを、
前工程から送り込まれる前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間、
前記第1水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間、
前記第1下垂区間の下端を越えて前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する第2水平区間、
前記第2水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第2下垂区間、
前記第2下垂区間の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する送出側区間、
が形成されるように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲する位置、前記第1下垂区間が前記第2水平区間へ屈曲する位置、前記第2水平区間が前記第2下垂区間へ屈曲する位置、及び、前記第2下垂区間が前記送出側区間へ屈曲する位置にて支持し、
前記第1水平区間の終端の手前側にて前記シートに散水し、
前記散水後で且つ前記第1下垂区間の始端の手前側に紙製フィルムを案内ローラにより案内して前記シートの表面に重ね、
前記第1下垂区間、第2水平区間、第2下垂区間、及び、送出側区間を経て搬送することで、前記シートの表面に前記紙製フィルムを貼付する、
ことを特徴とする貼付方法。
【請求項11】
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートを無端ベルトで搬送しつつその表面に紙製フィルムを貼付して次工程へ送り出す貼付方法であって、
前記無端ベルトを張設して駆動するベルト支持機構が有する転換ローラ、転換補助ローラ、及び、反転ローラにより、
前記無端ベルトを、
前工程から送り込まれる前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間、
前記第1水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間、
前記第1下垂区間の下端を越えて前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを前記第2方向へ搬送する転換区間、
前記転換区間の終端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する反転区間、
が形成されるように、前記第1水平区間が前記第1下垂区間へ屈曲する位置、前記第1下垂区間が前記転換区間へ屈曲する位置、及び、前記転換区間が前記反転区間へ屈曲する位置にて支持し、
前記第1水平区間の終端の手前側にて前記シートに散水し、
前記散水後で且つ前記第1下垂区間の始端の手前側に紙製フィルムを案内ローラにより案内して前記シートの表面に重ね、
前記第1下垂区間、転換区間、及び、反転区間を経て搬送することで、前記シートの表面に前記紙製フィルムを貼付する、
ことを特徴とする貼付方法。
【請求項12】
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートを無端ベルトで搬送しつつその表面に紙製フィルムを貼付して次工程へ送り出す貼付方法であって、
前記無端ベルトを張設して駆動するベルト支持機構が有する転換ローラ、及び、反転ローラにより、
前記無端ベルトを、
前記シートを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間、
前記第1水平区間の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートを前記第1方向と反対の第2方向側下方へ搬送する転換区間、
前記転換区間の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートを水平に搬送する反転区間、
が形成されるように、前記第1水平区間が前記転換区間へ屈曲する位置、及び、前記転換区間が前記反転区間へ屈曲する位置にて支持し、
前記第1水平区間の終端の手前側にて前記シートに散水し、
前記散水後で且つ前記転換区間の始端の手前側に紙製フィルムを案内ローラにより案内して前記シートの表面に重ね、
前記転換区間、及び、反転区間を経て搬送することで、前記シートの表面に前記紙製フィルムを貼付する、
ことを特徴とする貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物繊維を堆積して成るシート(エアレイドシート)の表面に、紙製フィルムを貼付(貼着)する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
解繊した植物繊維と樹脂繊維を混合して堆積・形成したシート(エアレイドシート)の表面にフィルムを貼付した後、プレス成形して紙製皿等の所望の紙製成形品を製造する乾式成形手法が知られている。
近年、環境汚染抑制等の観点から、樹脂繊維を含まない天然由来の植物繊維のみで所望の紙製成形品を得たいという要請があり、シート表面に貼付するフィルムとしても、ティッシュペーパー等の紙製フィルムが試みられている。
特開2016-188448号公報(特許文献1)には、シートを切り離したり、折り目を付け易いシートを容易に製造できる製造装置について記載されている。
特開2016-079533号公報(特許文献2)や、特開2016-078367号公報(特許文献3)には、繊維を堆積させたウェブに水分を添加する際に、ウェブを形成する繊維の脱離が生じにくいシート製造装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-188448号公報
【文献】特開2016-079533号公報
【文献】特開2016-078367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物繊維を堆積して成るシート(エアレイドシート)に散水し、紙製フィルム(例:ティッシュペーパー)を重ねて水で一体化させる場合、当該のシート表面に水が存在することが必要であるが、エアレイドシートの場合、散水された水が略水平搬送されているシートの内部に速やかに滲み込んで表面から消失する結果、一体化が不十分になって、貼付が強固でなくなるという不具合がある。
このため、シートを急傾斜させ、又は、略鉛直に立て、その状態で散水して紙製フィルムを重ねて貼付することも試みられているが、その場合には、水がシート表面を伝って流れ落ちてしまって表面に残り難くなり、結果的に同様の不具合が生じ易くなる。
【0005】
そこで、本出願人は、略水平なシートに散水しつつ速やかに紙製フィルムを重ねるとともに、続いてシートの搬送方向を略鉛直下方に向けることにより、上述の不具合を解消することに思い至った。ここで、水平から鉛直下方へのシート搬送方向の転換は、シート搬送用の無端ベルトを支持するローラを用いて実現することとした。
しかるに、この方法によると、ローラによる方向転換時に、エアレイドシートの厚みのため、内輪・外輪差(シート内輪側と外輪側の周長の差)に起因してシートに歪みや皺が生じ易くなり、結果、最終の成形品にも歪みや皺が残存する等の不具合が生じた。
なお、エアレイドシートの厚みは、後工程であるプレス成形後の最終製品の厚みによっても異なるが、例えば、最終製品が厚さ1mm程度の紙製皿の場合、シートの厚みは30mm程度である。このため、内輪・外輪差により、かなりの歪みや皺が生起する。
【0006】
本願は上述の不具合に鑑みたものであり、以下を目的とする。
*植物繊維を堆積して成るエアレイドシートの表面に、紙製フィルムを、水によって強固に一体化する、即ち、良好に貼り付け得るようにする。
*無端ベルトの方向をローラで転換する際に、当該無端ベルトで搬送中のエアレイドシートの厚みによる内輪・外輪差に起因して、当該シートや、当該シート表面に水で貼付した紙製フィルムに、歪みが蓄積したり皺が生じたりしないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成を、下記[1]~[12]に記す。なお、この項([課題を解決するための手段])と次項([発明の効果])に於いて、符号は理解を容易にするために付したものであり、本発明を符号の構成に限定する趣旨ではない。
【0008】
[1]発明1(図1、2、4、5)
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートSを搬送しつつその表面に紙製フィルム610を貼付して次工程へ送り出す貼付装置であって、
前記シートSを前記前工程から前記次工程へ搬送する無端ベルトMBと、
前記無端ベルトMBを張設して駆動するベルト支持機構と、
前記シートSに散水する散水機構と、
前記無端ベルトMBによる前記シートSの搬送に同期して紙製フィルム610を繰り出して前記シートの表面に重ねる給紙機構と、
を有し、
前記ベルト支持機構は、前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1と、前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて下方側へ屈曲する位置を始端VBEとして前記シートSを下方へ搬送する第1下垂区間SV1と、前記第1下垂区間SV1の下端を越えて前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する第2水平区間SH2と、前記第2水平区間SH2の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを下方へ搬送する第2下垂区間SV2と、前記第2下垂区間SV2の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する送出側区間SH3とを有するように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換ローラ65a、前記第1下垂区間SV1が前記第2水平区間SH2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換補助ローラ65b、前記第2水平区間SH2が前記第2下垂区間SV2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転ローラ65c、及び、前記第2下垂区間SV2が前記送出側区間SH3へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転補助ローラ65dを有し、
前記散水機構は、前記第1水平区間SH1の終端HTEの手前側にて前記シートSに散水するノズル51を有し、
前記給紙機構は、前記ノズル51による散水後で且つ前記第1下垂区間SV1の始端VBEの手前側に紙製フィルム610を案内して前記シートSの表面に重ねる案内ローラ61aを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
【0009】
上記では、第1水平区間SH1で散水されるため、水がシートSの表面を伝って流れ落ちることが防止される。また、散水位置が終端HTEの手前側であり、散水後、速やかに第1下垂区間SV1に移動するため、シートSの内部に滲み入って紙製フィルム610の貼付に寄与しなくなる水の量も、さほど多くない。
また、第1下垂区間SV1では、シートSの方向が下向きとなるため、第1水平区間SH1で散水された水は無端ベルトMB方向に移動し難くなり(滲み入り難くなり)、その反射的作用によってシートS表面の紙製フィルム610の側に滞留し易くなる。言い換えれば、シートSの内部に滲み入って紙製フィルム610の貼付に寄与しなくなる水の量が低減される。その結果、紙製フィルム610がシートSの表面に貼付され易くなる。
また、転換ローラ65aや転換補助ローラ65bでの回転時のシートSの内輪と外輪の周長差に起因するシートSの歪みや紙製フィルム610の皺は、反転ローラ65cや反転補助ローラ65dでの逆向きの回転で吸収されるため、十分に抑制される。
【0010】
前記に於いて、「水平」とは、鉛直線に直交する正確な水平に限定されない。散水された水の一部がシートSの表面を伝って流れ落ちることなく表面に止まることができればよく、残部はシートSの内部へ滲み入ることができればよい。これは、シートSの厚みやシートSを構成する植物繊維の密度、散水位置から第1水平区間SH1の終端HTEまでの距離やシートSの搬送速度によっても異なるが、正確な水平から例えば「±45度」程度傾いていたとしても、上記の条件を満たせば「水平」である。例えば、図4(b)(c)の第1水平区間、同図(b)~(d)の第2水平区間や第3水平区間の「水平」も、ここで言う「水平」である。以下の各発明で同様とする。
また、前記に於いて、「第1水平区間SH1の終端HTEを越えて下方側へ屈曲する」の「下方側へ屈曲」とは、図4(a)のように鉛直下方へ屈曲する場合ばかりでなく、同図(b)のように第1方向側へ傾斜する場合や、同図(c)(d)のように第2方向側へ傾斜する場合も含む。以下の発明4、7~9、10~12で同様とする。
また、前記に於いて、「第2水平区間SH2の終端を越えて下方側へ屈曲する」の「下方側へ屈曲」とは、図4(a)のように鉛直下方へ屈曲する場合ばかりでなく、同図(c)のように第1方向側へ傾斜する場合や、同図(b)(d)のように第2方向側へ傾斜する場合も含む。以下の発明2~4、7、10で同様とする。
また、前記に於いて、前記給紙機構が紙製フィルム610を案内して重ねる「第1下垂区間SV1の始端VBEの手前側」は、好ましくは「第1水平区間SH1の終端HTEの手前側」である。紙製フィルム610が重ねられるべきシートSの表面が水平な方が、水が表面を伝って流れ落ちる現象が生じ難く、良好に重ねられるためである。以下の発明2~11で同様とし、発明12でも略同様とする。
【0011】
[2]発明2(図2
発明1に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1と、前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて鉛直下方Pv1から前記第2方向側へ屈曲(θv1)する位置を始端VBEとして前記シートSを下方へ搬送する第1下垂区間SV1と、前記第1下垂区間SV1の下端で前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する第2水平区間SH2と、前記第2水平区間SH2の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを下方へ搬送する第2下垂区間SV2と、前記第2下垂区間SV2の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する送出側区間SH3とを有するように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換ローラ65a、前記第1下垂区間SV1が前記第2水平区間SH2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換補助ローラ65b、前記第2水平区間SH2が前記第2下垂区間SV2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転ローラ65c、及び、前記第2下垂区間SV2が前記送出側区間SH3へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転補助ローラ65dを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
上記に於いて、「第1水平区間SH1の終端HTEを越えて鉛直下方Pv1から前記第2方向側へ屈曲(θv1)する」とは、図2に示すように第1水平区間SH1が正確な水平の場合、第1水平区間SH1から下方・第2方向側への屈曲角θ1が90度以上であることを言う。言い換えれば、紙製フィルム610の被貼付面が、無端ベルトMBの下方側に位置するように、屈曲されることを言う。紙製フィルム610の被貼付面が無端ベルトMBの下方側になると、シートS内に滲み込んだ水が紙製フィルム610の被貼付面の方へ移動し易くなるため、被貼付面側の水が増えて、貼付が強固となる。後掲の発明5で同様とする。
[3]発明3(図2
発明2に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1と、前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて鉛直下方Pv1から前記第2方向側へ5~25度屈曲(θv1)する位置を始端VBEとして前記シートSを下方へ搬送する第1下垂区間SV1と、前記第1下垂区間SV1の下端を越えて前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する第2水平区間SH2と、前記第2水平区間SH2の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを下方へ搬送する第2下垂区間SV2と、前記第2下垂区間SV2の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する送出側区間SH3とを有するように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換ローラ65a、前記第1下垂区間SV1が前記第2水平区間SH2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換補助ローラ65b、前記第2水平区間SH2が前記第2下垂区間SV2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転ローラ65c、及び、前記第2下垂区間SV2が前記送出側区間SH3へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転補助ローラ65dを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
上記に於いて、「第1水平区間SH1の終端HTEを越えて鉛直下方Pv1から前記第2方向側へ5~25度屈曲(θv1)する」とは、図2に示すように第1水平区間SH1が正確な水平の場合、第1水平区間SH1から下方・第2方向側への屈曲角θ1が95~115度であることを言う。この範囲では、貼付がさらに強固になる。後掲の発明6で同様とする。
【0012】
[4]発明4(1、2、4、5)
発明1に於いて、
前記無端ベルトMBはメッシュ状を成し、
前記散水機構は、前記第2水平区間SH2の終端の手前側にて前記シートSに散水する第2のノズル52を有する、
ことを特徴とする貼付装置。
無端ベルトMBがメッシュ状であれば、無端ベルトMBが被貼付面より上方となる第2水平区間SH2にてノズル52から散水された水は、シートSへ滲み込む。シートSの両面側から散水される結果、シートS内の水の分布がより均一化され、後段のプレス工程での処理がより良好となって、製品がより良好となる。
[5]発明5
発明4に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1と、前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて鉛直下方Pv1から前記第2方向側へ屈曲(θv1)する位置を始端VBEとして前記シートSを下方へ搬送する第1下垂区間SV1と、前記第1下垂区間SV1の下端を越えて前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する第2水平区間SH2と、前記第2水平区間SH2の終端を越えて鉛直下方Pv2から前記第1方向側へ屈曲(θv2)する位置を始端として前記シートSを下方へ搬送する第2下垂区間SV2と、前記第2下垂区間SV2の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する送出側区間SH3とを有するように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換ローラ65a、前記第1下垂区間SV1が前記第2水平区間SH2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換補助ローラ65b、前記第2水平区間SH2が前記第2下垂区間SV2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転ローラ65c、及び、前記第2下垂区間SV2が前記送出側区間SH3へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転補助ローラ65dを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
[6]発明6
発明5に於いて、
前記ベルト支持機構は、前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1と、前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて鉛直下方Pv1から前記第2方向側へ5~25度屈曲(θv1)する位置を始端として前記シートSを下方へ搬送する第1下垂区間SV1と、前記第1下垂区間SV1の下端を越えて前記第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する第2水平区間SH2と、前記第2水平区間SH2の終端を越えて鉛直下方Pv2から前記第1方向側へ5~25度屈曲(θv2)する位置を始端として前記シートSを下方へ搬送する第2下垂区間SV2と、前記第2下垂区間SV2の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する送出側区間SH3とを有するように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換ローラ65a、前記第1下垂区間SV1が前記第2水平区間SH2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換補助ローラ65b、前記第2水平区間SH2が前記第2下垂区間SV2へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転ローラ65c、及び、前記第2下垂区間SV2が前記送出側区間SH3へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転補助ローラ65dを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
[7]発明7(図2
発明1に於いて、
前記第1下垂区間SV1の区間長と前記第2下垂区間SV2の区間長は略同一である、
ことを特徴とする貼付装置。
【0013】
[8]発明8(図6
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートSを搬送しつつその表面に紙製フィルム610を貼付して次工程へ送り出す貼付装置であって、
前記シートSを前記前工程から前記次工程へ搬送する無端ベルトMBと、
前記無端ベルトMBを張設して駆動するベルト支持機構と、
前記シートSに散水する散水機構と、
前記無端ベルトMBによる前記シートSの搬送に同期して紙製フィルム610を繰り出して前記シートSの表面に重ねる給紙機構と、
を有し、
前記ベルト支持機構は、前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1と、前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて下方側へ屈曲する位置を始端VBEとして前記シートを下方へ搬送する第1下垂区間SV1と、前記第1下垂区間SV1の下端を越えて前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを前記第2方向へ搬送する転換区間STと、前記転換区間STの終端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する反転区間SRとを有するように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換ローラ65a、前記第1下垂区間SV1が前記転換区間STへ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換補助ローラ65b、及び、前記転換区間STが前記反転区間SRへ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転ローラ65hを有し、
前記散水機構は、前記第1水平区間SH1の終端HTEの手前側にて前記シートSに散水するノズル51を有し、
前記給紙機構は、前記ノズル51による散水後で且つ前記第1下垂区間SV1の始端VBEの手前側に紙製フィルム610を案内して前記シートSの表面に重ねる案内ローラ61aを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
この発明8は、前記発明1を引用する発明2、3(第1下垂区間SV1の角度範囲を好適化した構成)や、発明4~6(反転ローラの手前にて、第2のノズルにより散水する構成)と同様の考え方で下位概念化した構成を当然に含む。なお、反転ローラとしては65hを用い、第2のノズルとしては52aを用いる。
[9]発明9(図7
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートSを搬送しつつその表面に紙製フィルム610を貼付して次工程へ送り出す貼付装置であって、
前記シートSを前記前工程から前記次工程へ搬送する無端ベルトMBと、
前記無端ベルトMBを張設して駆動するベルト支持機構と、
前記シートSに散水する散水機構と、
前記無端ベルトMBによる前記シートSの搬送に同期して紙製フィルム610を繰り出して前記シートSの表面に重ねる給紙機構と、
を有し、
前記ベルト支持機構は、前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1と、前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて下方側へ屈曲する位置を始端VBEとして前記シートSを前記第1方向と反対の第2方向側下方へ搬送する転換区間STと、前記転換区間STの下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する反転区間SRとを有するように、前記第1水平区間SH1が前記転換区間STへ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する転換ローラ65a、及び、前記転換区間STが前記反転区間SRへ屈曲される位置にて前記無端ベルトMBを支持する反転ローラ65jを有し、
前記散水機構は、前記第1水平区間SH1の終端HTEの手前側にて前記シートSに散水するノズル51を有し、
前記給紙機構は、前記ノズルによる散水後で且つ前記転換区間の始端VBEの手前側に紙製フィルム610を案内して前記シートSの表面に重ねる案内ローラ61aを有する、
ことを特徴とする貼付装置。
この発明9は、前記発明1を引用する発明4(反転ローラの手前にて、第2のノズルにより散水する構成)と同様の考え方で下位概念化した構成を当然に含む。なお、反転ローラとしては65jを用い、第2のノズルとしては52bを用いる。
【0014】
[10]発明10
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートSを無端ベルトMBで搬送しつつその表面に紙製フィルム610を貼付して次工程へ送り出す貼付方法であって、
前記無端ベルトMBを張設して駆動するベルト支持機構が有する転換ローラ65a、転換補助ローラ65b、反転ローラ65c、及び、反転補助ローラ65dにより、
前記無端ベルトMBを、
前工程から送り込まれる前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1、
前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて下方側へ屈曲する位置を始端VBEとして前記シートSを下方へ搬送する第1下垂区間SV1、
前記第1下垂区間SV1の下端を越えて前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する第2水平区間SH2、
前記第2水平区間SH2の終端を越えて下方側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを下方へ搬送する第2下垂区間SV2、
前記第2下垂区間SV2の下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する送出側区間SH3、
が形成されるように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲する位置、前記第1下垂区間SV1が前記第2水平区間SH2へ屈曲する位置、前記第2水平区間SH2が前記第2下垂区間SV2へ屈曲する位置、及び、前記第2下垂区間SV2が前記送出側区間SH3へ屈曲する位置にて支持し、
前記第1水平区間SH1の終端HTEの手前側にて前記シートSに散水し、
前記散水後で且つ前記第1下垂区間SV1の始端VBEの手前側に紙製フィルム610を案内ローラ61aにより案内して前記シートSの表面に重ね、
前記第1下垂区間SV1、第2水平区間SH2、第2下垂区間SV2、及び、送出側区間SH3を経て搬送することで、前記シートSの表面に前記紙製フィルム610を貼付する、
ことを特徴とする貼付方法。
この発明10は、前記発明1を引用する発明2、3(第1下垂区間SV1の角度範囲を好適化した構成)や、発明4~6(反転ローラ65cの手前にて第2のノズル52により散水する構成)と同様の考え方により、発明10の貼付方法を下位概念化した方法の発明を、当然に含む。
[11]発明11
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートSを無端ベルトMBで搬送しつつその表面に紙製フィルム610を貼付して次工程へ送り出す貼付方法であって、
前記無端ベルトMBを張設して駆動するベルト支持機構が有する転換ローラ65a、転換補助ローラ65b、及び、反転ローラ65hにより、
前記無端ベルトMBを、
前工程から送り込まれる前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1、
前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて下方側へ屈曲する位置を始端VREとして前記シートSを下方へ搬送する第1下垂区間SV1、
前記第1下垂区間SV1の下端を越えて前記第1方向と反対の第2方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを前記第2方向へ搬送する転換区間ST、
前記転換区間STの終端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する反転区間SR
が形成されるように、前記第1水平区間SH1が前記第1下垂区間SV1へ屈曲する位置、前記第1下垂区間SV1が前記転換区間STへ屈曲する位置、及び、前記転換区間STが前記反転区間SRへ屈曲する位置にて支持し、
前記第1水平区間SH1の終端HTEの手前側にて前記シートSに散水し、
前記散水後で且つ前記第1下垂区間SV1の始端VBEの手前側に紙製フィルム610を案内ローラ61aにより案内して前記シートSの表面に重ね、
前記第1下垂区間SV1、転換区間ST、及び、反転区間SRを経て搬送することで、前記シートSの表面に前記紙製フィルム610を貼付する、
ことを特徴とする貼付方法。
この発明11は、前記発明1を引用する発明2、3(第1下垂区間SV1の角度範囲を好適化した構成)や、発明4~6(反転ローラの手前にて第2のノズルにより散水する構成)と同様の考え方により、発明11の貼付方法を下位概念化した方法の発明を、当然に含む。なお、反転ローラとしては65hを用い、第2のノズルとしては52aを用いる。
[12]発明12
植物繊維を堆積して成り前工程から送り込まれるシートSを無端ベルトMBで搬送しつつその表面に紙製フィルム610を貼付して次工程へ送り出す貼付方法であって、
前記無端ベルトMBを張設して駆動するベルト支持機構が有する転換ローラ65a、及び、反転ローラ65jにより、
前記無端ベルトMBを、
前記シートSを第1方向へ水平に搬送する第1水平区間SH1、
前記第1水平区間SH1の終端HTEを越えて下方側へ屈曲する位置を始端VBEとして前記シートSを前記第1方向と反対の第2方向側下方へ搬送する転換区間ST、
前記転換区間STの下端を越えて前記第1方向側へ屈曲する位置を始端として前記シートSを水平に搬送する反転区間SR、
が形成されるように、前記第1水平区間SH1が前記転換区間STへ屈曲する位置、及び、前記転換区間STが前記反転区間SRへ屈曲する位置にて支持し、
前記第1水平区間SH1の終端HTEの手前側にて前記シートSに散水し、
前記散水後で且つ前記転換区間STの始端VBEの手前側に紙製フィルム610を案内ローラ61aにより案内して前記シートSの表面に重ね、
前記転換区間ST、及び、反転区間SRを経て搬送することで、前記シートSの表面に前記紙製フィルム610を貼付する、
ことを特徴とする貼付方法。
この発明12は、前記発明1を引用する発明4(反転ローラの手前にて、第2のノズルにより散水する構成)と同様の考え方により、発明12の貼付方法を下位概念化した方法の発明を、当然に含む。なお、反転ローラとしては65jを用い、第2のノズルとしては52bを用いる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、植物繊維を堆積して成るシート(エアレイドシート)を水平状態で搬送中に水を散布するとともに紙製フィルム(例:ティッシュペーパー)を重ねることで、水がシート表面を伝って流れ落ちることを防止して、貼付に必要なシート表面側(紙製フィルムが重ねられた側)の水量を確保している。また、紙製フィルムを重ねた後、速やかに搬送方向を転換ローラで転換して下方に向けることで、水がシート内部に滲み込む量を低減して、貼付に必要なシート表面側の水量を確保している。さらに、転換ローラでの回転時に内輪・外輪差(周長差)に起因して生ずるシートの歪みや紙製フィルムの皺を、反転ローラでの回転により速やかに吸収している。
このため、本願発明によると、シートの表面に、紙製フィルムを、水によって強固に一体化して貼り付けることができる。また、転換ローラによる回転時に内輪・外輪差に起因して生ずるシートの歪みや紙製フィルムの皺を、反転ローラでの回転により速やかに吸収でき、良好な品質の製品(プレス成形後の最終製品)を得ることができる。
また、発明4~6では、反転ローラの直前で、紙製フィルムの貼付面と逆側の面に散水してシート内部に滲み込ませているため、シート内部の水の分布状態を略均一化でき、プレス後の最終製品の品質をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態の貼付装置の側面と、該貼付装置の前段側及び後段側を示す模式図。無端ベルトMBで搬送中のシートSは主要範囲のみを図示し、前段側(エアレイド部)から貼付装置にて受け入れるまでの範囲や、貼付装置の送出部分から後段側(成形部)に至る範囲では、図示を省略している。無端ベルトMBを回帰させるための回帰ローラ65f~65f間には、シートSは無く、無端ベルトMB(太・一転鎖線)のみが存する。
図2図1の貼付装置の要部の側面を示すとともに、区間や角度範囲を説明するための模式図。シートSは主要範囲のみを図示し、貼付装置にて受け入れる付近や、貼付装置から送り出す付近では、図示を省略している。無端ベルトMBを回帰させる回帰ローラ65f~65f間には、シートSは無く、無端ベルトMB(太・一転鎖線)のみが存する。
図3図1の貼付装置の要部を示す斜視図。
図4図1の貼付装置のベルト支持機構の変形例を示す模式図。(a)では前段側からの受入部分と後段側への送出部分を併せて示す。(a)は第1下垂区間と第2下垂区間を鉛直に下垂させた構成例を示し、(b)~(d)は第1下垂区間と第2下垂区間を適宜の角度で鉛直から傾斜させた構成例を示す。また、(b)(c)では、第1水平区間及び第2水平区間、さらに、送出側区間を、鉛直と直交する正確な水平から傾斜させている。また、(d)では、第1水平区間のみを正確な水平とし、第2水平区間及び送出側区間を傾斜させている。
図5】(a)は図2の貼付装置の第1水平区間SH1の終端HTE付近と第1下垂区間SV1の始端VBE付近を示す拡大図、(b)は無端ベルトMBの平面の部分範囲の模式図。
図6図1の貼付装置のベルト支持機構の変形例であって、図4とは異なる変形例(第2下垂区間を無くした変形例)を示す模式図。(a)では前段側からの受入部分と後段側への送出部分を併せて示す。(a)は第1下垂区間を鉛直に下垂させ、第2水平区間に代えて転換区間を設け、第2下垂区間と送出側区間に代えて反転区間を設けた構成例を示す。(b)~(d)は(a)と略同様であるが、第1下垂区間を鉛直を外れて適宜の角度で傾斜させ、転換区間及び反転区間を適宜の角度で傾斜させた構成例である。
図7図1の貼付装置のベルト支持機構の変形例であって、図4図6とは異なる変形例(第1下垂区間、第2下垂区間を無くした変形例)を示す模式図。(a)では前段側からの受入部分と後段側への送出部分を併せて示す。(a)は第1水平区間と反転区間を正確な水平に設定した構成例を示す。(b)(c)は(a)と略同様であるが、第1水平区間、転換区間、反転区間を、適宜の角度で傾斜させた構成例、(d)は転換区間及び反転区間を適宜の角度で傾斜させた構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(1)実施形態1
図1は、実施形態1の貼付装置の側面を示すとともに、該貼付装置の前段側(エアレイド部)及び後段側(成形部)を示す模式図である。図2は、図1の貼付装置の要部の側面を示すとともに、区間や角度範囲を説明するための模式図である。図3図1の貼付装置の変形例の要部の斜視図である。図5(a)は図2の貼付装置の第1水平区間SH1の終端HTE付近と第1下垂区間SV1の始端VBE付近を示す拡大図であり、(b)は無端ベルトMBの部分範囲の平面を示す模式図である。
図示のように、本貼付装置は、前段側(エアレイド部)から1点鎖線矢印の如く搬送されて来るシートSに、給紙ロール61から繰り出される紙製フィルム(ティッシュペーパー)610を水で貼付(貼着)して、後段側(成形部)へ送り出す装置である。
【0018】
前段側のエアレイド部では、解繊された状態で供給される植物繊維を分散して、メッシュ状(図5(b)参照)の無端ベルトの上に堆積させる。この堆積時、無端ベルトの下方から、吸引を行うように構成してもよい。
この堆積体、又は、堆積後に適宜の圧力で押圧されて厚みを所定の厚さに調整された堆積体が、シート(エアレイドシート)Sである。シートSの厚みは、最終製品(成形部によるプレス成形後の成形品)の厚みによっても異なるが、例えば、3~40mm程度とすることができる。具体的一例としては、最終製品が厚さ1mmの紙製皿の場合、シートSの厚みは30mm程度である。
植物繊維としては、例えば、広葉樹、針葉樹、イネ、葦等の草本類の繊維を用いることが可能であり、その利用形態としては、パルプ繊維になったもの、古紙由来のパルプ、古紙等も可能である。
メッシュ状の無端ベルト上に植物繊維を堆積させてシートSと成すエアレイド部の構成は公知であるため、これ以上の説明は割愛する。
【0019】
エアレイド部で形成されたシートSは、図4に示すようにローラ25a,25bにより張設される無端ベルトMB2によって搬送され、本貼付装置の受入部にて、本貼付装置の無端ベルトMB上に移載される。即ち、無端ベルトMB上の第1水平区間SH1に移載される。
【0020】
無端ベルトMB上に移載されたシートSは、無端ベルトMBにより、矢印方向(第1方向)へ搬送されて、第1水平区間SH1の終端HTEの手前付近で、ノズル51により散水される。ノズル51として、本実施形態では、2列のノズルが設けられている。水源からノズル51に給水して、適宜の強さでシートS表面の適切な部位に散水させる散水機構の構成は、公知であるため、説明は割愛する。
第1水平区間SV1は、図1図2図4(a)では鉛直線に直交する正確な水平として描かれているが、ノズル51から散水された水(水の大部分)がシートSの表面を伝って流れ落ちることを防止できる程度であれば、多少の傾斜は許容される。つまり、その程度の傾斜であれば、水平として扱ってよい。例えば、転換ローラ65aに至る区間の傾斜が図4(b)(c)程度であれば、「第1水平区間SH1」としてよい。
【0021】
給紙ロール61から、無端ベルトMBの駆動に同期して繰り出される紙製フィルム610が、案内ローラ61aにより案内されて、ノズル51による散水直後の位置にて、シートSの表面に重ねられる。このとき、紙製フィルム610は、案内ローラ61aと案内補助ローラ61bとにより、適宜の圧力で押圧される。このため、ノズル51からの散水で濡れているシートSの表面に、紙製フィルム610がピッタリと貼り付く。なお、「無端ベルトMBに同期して」とは、「シートSに重ねられるときの紙製フィルム610の速度が、無端ベルトMBの速度と同速度になるようにして」という意味である。
【0022】
給紙機構(給紙ロール61が紙製フィルム610を繰り出す機構;公知のため給紙ロール61以外は不図示)が紙製フィルム610をシートSに重ねるべき位置は、第1下垂区間SV1の始端VBEの手前側であればよいが、好ましくは、第1水平区間SH1の終端HTEの手前側である。紙製フィルム610が重ねられるべきシートSの表面が水平な方が、水がシートSの表面を伝って流れ落ちる現象が生じ難く、良好に重ねて貼付することができるためである。
【0023】
紙製フィルム610を貼付されたシートSは、転換ローラ65aによって搬送方向を転換される。即ち、搬送方向が、図2に示すように、鉛直下方Pv1の向きから角度θv1だけ第2方向側(第1方向と反対の方向)を向く方向となるように、転換される。「鉛直下方Pv1の向きから角度θv1だけ第2方向側を向く方向」は、第1水平区間SH1が鉛直線と直交する正確な水平の場合、「第1水平区間SH1から第1下垂区間SV1への屈曲角θ1が90度以上となる方向」と同義である。
【0024】
このような角度で屈曲される結果、第1下垂区間SV1では、紙製フィルム610の被貼付面が、無端ベルトMBが存する側の面の下方に位置する。このため、シートS内に滲み込んだ水が、紙製フィルム610の被貼付面の方へ移動し易くなり、その結果、被貼付面側の水量が増えて、貼付が強固となる。
なお、鉛直下方Pv1からの屈曲角度θv1を5~25度の範囲(=正確な水平からの屈曲角度θ1を95~115度の範囲)に設定すると、シートSの紙製フィルム貼付面側の水量を適切にできるとともに、シートS内部に滲み込む水量ふその分布を適切にでき、その結果、さらに良好な製品(プレス成形後の製品)を得ることができる。
【0025】
表面に紙製フィルム610を貼付されたシートSは、第1下垂区間SV1の下端に至ると、転換補助ローラ65bにより、搬送方向を第2方向へ転換されて、第2水平区間SH2となる。この第2水平区間SH2では、無端ベルトMBが上面側となる。第1下垂区間SV1の下端や第2水平区間SH2の始端は、図5(a)に示す第1水平区間SH1の終端HTEや第1下垂区間の始端VBEと同様に、それぞれ、屈曲開始直前までの平坦部の終端、屈曲終了直後からの平坦部の始端として定義される。
【0026】
第2水平区間の終端の手前位置に第2のノズル52が設けられており、シートSに散水される。無端ベルトMB側が上面であるが、無端ベルトMBは図5(b)に示すメッシュ状であるため、散水された水は、無端ベルトMBを通してシートSに至り、その内部へ滲み入る。前述のように、ノズル51から散水された水の一部は紙製フィルム610が貼付された側からシートSの内部へ滲み込んでいる。ここで、反対面である無端ベルトMBの側からも滲み込むため、シートSの内部の水の分布がより均一化され、その結果、後段のプレス工程でのプレスが良好となる。第2水平区間SH2は、図1、2、4(a)では正確な水平であるが、図4(b)~(d)のように多少の傾斜があってもよい。要は、ノズル52から散水された水が表面を伝って流れ落ちることが抑制され、シートSの内部へ滲み入ることができる程度の傾斜であれば、許容される。
【0027】
第2水平区間SH2の終端に至ると、反転ローラ65cによりシートSの搬送方向が下方へ向けられて、第2下垂区間SV2となる。屈曲の方向は、前述の「第1水平区間SH1から第1下垂区間SV1への屈曲と、略同様である。即ち、鉛直下方Pv2から角度θv2だけ、第1方向側へ屈曲される。言い換えれば、第2水平区間SH2が鉛直線と直交する正確な水平である場合、該第2水平区間SH2からの屈曲角度θ3が90度以上となるように、屈曲される。この角度は、好ましくは、θv2が5~25度、即ち、θ3が95~115度である。
第2水平区間SH2の終端や第2下垂区間SV2の始端は、図5(a)に示す第1水平区間SH1の終端HTEや第1下垂区間の始端VBEと同様に、それぞれ、屈曲開始直前までの平坦部の終端、屈曲終了直後からの平坦部の始端として定義される。
【0028】
第2下垂区間SV2の下端に至ると、反転補助ローラ65dにより、シートSの搬送方向が第1方向へ向けられて、送出側区間SH3となる。送出側区間SH3では、紙製フィルム610が貼付された側が上面側となる。送出側区間SH3は、図1、2、4(a)では鉛直線と直交する正確な水平であるが、図4(b)~(d)のように多少の傾斜があってもよい。
送出側区間SH3の終端から送出されるシートSは、ローラ95a,95bにより張設されている無端ベルトMB9によって搬送されて、後段側の成形部に送り込まれる。
公知の金型等によって構成される成形部では、公知の手法のプレス成形が行われ、例えば、紙製皿に成形される。
【0029】
シートSは、その厚みが30mm程度あるので、前記転換ローラ65a及び転換補助ローラ65bでの回転時に、内輪・外輪差に起因する周長差のため、シートSに歪みが生ずるとともに、シートS表面の紙製フィルム610に皺が生ずるのであるが、この歪みや皺は、内輪・外輪の関係性が反対となる転換ローラ65c及び転換補助ローラ65dでの回転によって吸収される。このため、プレス成形後の最終製品に歪みや皺に起因する不具合が生ずることが防止される。
【0030】
上記では、第1水平区間SV1、第1下垂区間SV1、第2水平区間SH2、第2下垂区間SV2、送出側区間SH3に区間分けする貼付装置について説明しているが、本発明は、このような区間分けに限定されない。
【0031】
例えば、図6に示すように、第1水平区間SV1、第1下垂区間SV1、第2水平区間SH2に代えて転換区間ST、第2下垂区間SV2及び送出側区間SH3に代えて反転区間SR、という4区間に区間分けする構成としてもよい。52aは、転換区間STの終端の手前に設けられた第2の散水用ノズルである。また、65hは、第2方向に向かう転換区間STを第1方向へ屈曲させて反転区間SRとするための反転ローラである。
【0032】
或いは、図7に示すように、第1水平区間SV1、第1下垂区間SV1及び第2水平区間SH2に代えて転換区間ST、第2下垂区間SV2及び送出側区間SH3に代えて反転区間SR、という3区間に区間分けする構成としてもよい。52bは、転換区間STの終端の手前に設けられた第2の散水用ノズルである。また、65jは、第2方向に向かう転換区間STを第1方向へ屈曲させて反転区間SRとするための反転ローラである。
【0033】
図6図7の構成の場合も、図12の構成と同様に、水がシート表面を流れ落ちることを防止できる水平な状態で散水するとともに、水で濡れたシート表面に紙性フィルムを重ね、その直後に、水がシート内部へ過剰に滲み入ることがないようにできる。
【0034】
また、図6図7の構成の場合も、図2の構成と同様に、転換ローラ65aでの内輪・外輪差に起因して生ずるシートの歪みや紙製フィルムの皺を、反転ローラ65h/65jによって吸収することができる。
【符号の説明】
【0035】
25a,25b (前段側と連携する)受入側の無端ベルト支持ローラ
51 ノズル
52,52a,52b 第2のノズル
61 給紙ロール
610 紙製フィルム
61a 案内ローラ
61b 案内補助ローラ
65a 転換ローラ
65b 転換補助ローラ
65c,65h,65j 反転ローラ
65d 反転補助ローラ
65f 回帰ローラ
95a,95b (後段側に連携する)送出側の無端ベルト支持ローラ
MB,MB2,MB9 無端ベルト
S シート
SH1 第1水平区間
SV1 第1下垂区間
SH2 第2水平区間
SV2 第2下垂区間
SH3 送出側区間
ST 転換区間
SR 反転区間
HTE 終端
VBE 始端
【要約】
【課題】 無端ベルトMB上を搬送されるエアレイドシートS表面に紙製フィルム610を水で貼り付ける。ベルト支持ローラでの屈曲時の内輪・外輪差に起因する歪みや皺を防止する。
【解決手段】 シートS表面に紙製フィルム610を水で貼付する貼付装置。無端ベルト支持機構は、第1水平区間SH1、第1下垂区間SV1、第2水平区間SH2、第2下垂区間SV2、送出側区間SH3を有するように、転換ローラ65a、転換補助ローラ65b、反転ローラ65c、反転補助ローラ65dで、区間分け支持する。第1水平区間SH1の終端の手前側でシートSに散水し、散水後で且つ第1下垂区間SV1の始端の手前側で、紙製フィルム610をシートS表面に重ねる。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7