(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】直接アンモニア供給式固体酸化物形燃料電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/86 20060101AFI20240805BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20240805BHJP
H01M 4/90 20060101ALI20240805BHJP
H01M 4/92 20060101ALI20240805BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20240805BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240805BHJP
【FI】
H01M4/86 U
H01M4/86 T
H01M4/88 T
H01M4/90 M
H01M4/92
H01M8/0606
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2023500367
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021040481
(87)【国際公開番号】W WO2022010876
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(73)【特許権者】
【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】291,Daehak-ro Yuseong-gu,Daejeon 34141,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】カティカネニ,サイ ピー
(72)【発明者】
【氏名】イ,クンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,カンヨン
(72)【発明者】
【氏名】べ,ジュンミョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ウチョル
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02393320(GB,A)
【文献】特開2014-067564(JP,A)
【文献】Byoung Young Yoon et al.,Effects of infiltrated Sr and Mn doped LaCrO3 on porous La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3-δ scaffolds used as anodes in solid oxide fuel cells,Solid State Ionics,Elsevier,2013年08月03日,Vol.249-250,pp.26-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86- 4/98
H01M 8/00- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固体酸化物形燃料電池と少なくとも1つのアンモニア分解層を含む固体酸化物形燃料電池スタックであって、
各固体酸化物形燃料電池は、正極、負極、および該負極と該正極との間の固体酸化物電解質を備え
、
前記固体酸化物電解質は
、固体酸化物を含み、
前記負極は
、1つ以上の表面を有する多孔質骨格を含み、
前記多孔質骨格は
、金属系触媒を有する固体酸化物を含み、
前記金属系触媒は、前記多孔質骨格の1つ以上の表面下に少なくとも部分的に埋め込まれ、10nmから100nmの大きさを有するナノサイズ粒子であり、
前記少なくとも1つのアンモニア分解層が、
1つ又は複数の固体酸化物形燃料電池の前記多孔質骨格の
1つ以上の表面に近接して配置され
、その後水素を
1つ又は複数の固体酸化物形燃料電池の前記負極に供給するためにアンモニアを水素と窒素に転化するように
構成され、ニッケルを含む金属分解触媒を含み、
前記1つ又は複数の固体酸化物形燃料電池の前記負極は、少なくとも1つのアンモニア分解層上に配置された
固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項2】
前記多孔質骨格が、La
0.75Sr
0.25Cr
0.50Mn
0.50O
3(LSCM)、La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3(LSCF)、La
0.2Sr
0.8TiO
3(LST)ナノ繊維、またはその組合せを含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項3】
前記固体酸化物電解質および前記負極の多孔質骨格が、同じ固体酸化物を含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項4】
前記固体酸化物電解質、前記負極またはその両方が、La
0.8Sr
0.2Ga
0.83Mg
0.17O
2.815(LSGM)、La
0.75Sr
0.25Cr
0.50Mn
0.50O
3(LSCM)、PrBaMn
2O
5+δ(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項5】
前記固体酸化物電解質および前記負極の両方が、La
0.8Sr
0.2Ga
0.83Mg
0.17O
2.815(LSGM)、La
0.75Sr
0.25Cr
0.50Mn
0.50O
3(LSCM)、PrBaMn
2O
5+δ(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項6】
前記正極
も多孔質骨格を含み、
該正極の該多孔質骨格は、該多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項7】
前記金属系触媒が、ニッケル、白金、またはその組合せから選択された金属を含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項8】
前記金属系触媒が、La
0.75Sr
0.25Cr
0.50Mn
0.50O
3(LSCM)、PrBaMn
2O
5+δ(PBMO)、またはその組合せから選択された金属酸化物を含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項9】
前記正極が、La
1-xSr
xMnO
3(LSM)が浸透したLa
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3(LSCF)を含
み、Xは0より大きく1未満である、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項10】
前記
少なくとも1つのアンモニア分解層が、前記
金属分解触媒を支持する金属基体を含む、請求項1記載の固体酸化物形燃料電池
スタック。
【請求項11】
請求項1に記載の固形酸化物形燃料電池スタックを利用する方法であって、
前記固体酸化物形燃料電池
スタックの
前記少なくとも1つのアンモニア分解層にアンモニアを通過させ、それによって、該アンモニアを窒素と水素に転化させる工程
、および
前記水素を前記負極に通過させる工程
であって、前記少なくとも1つのアンモニア分解層が前記負極の上流に配置される工程
を含む方法。
【請求項12】
前記負極が、電子を除去することによって、該負極内で前記水素をイオン化する、請求項
11記載の方法。
【請求項13】
前記固体酸化物形燃料電池の
1つ又は複数の正極を、酸素を含む空気供給物と接触させて、酸素イオンおよび酸素欠乏空気を生成する工程をさらに含む、請求項
11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その全ての内容がここに引用される、2020年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/048260号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
ここに記載された実施の形態は、広く、固体酸化物形燃料電池に関し、より詳しくは、二酸化炭素(CO2)を放出せずに発電するための直接アンモニア供給式固体酸化物形燃料電池に関する。
【背景技術】
【0003】
水素は、温室効果ガス(GHG)排出の主成分である二酸化炭素(CO2)を含まないので、エネルギー源として研究されてきた。しかしながら、水素は、重量エネルギー密度が低く、液化温度が低いために取り扱いが難しい。様々な水素担体が研究されており、最も見込みのあるものの1つにアンモニアがある。具体的に、アンモニアは、室温で液化圧力が低く、効率的に貯蔵し、輸送することができる。それに加え、アンモニアはCO2を含まず、他の液体有機水素担体と比べて、17質量%の高い重量水素容量を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の負極を有効にするための追加の反応工程により、反応速度が遅くなり、提供される電力密度が低くなってしまう。それに加え、負極を形成するために広く使用されている材料であるNi-YSZは、アンモニアを分解するために酸化還元反応せざるを得ず、これにより、負極にNiOとNi3Nが形成され得る。この酸化還元反応は、負極と電解質との間の界面分極を増加させることによって、セルを劣化させたり、さらに電解質を分解したりし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述したことに基づいて、固体酸化物形燃料電池における水素担体としてアンモニアを使用するアプローチが望ましいであろう。ここに記載された様々な実施の形態は、これらの必要性を満たすものであり、CO2を発生させない発電のための進歩した負極セル設計および材料を有する直接アンモニア供給式固体酸化物形燃料電池に関する。実施の形態において、負極は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む多孔質骨格および多孔質骨格のその表面に近接したアンモニア分解層を含む。アンモニア分解層は、その後水素を負極に供給するためにアンモニアを水素と窒素に転化するように作られている。
【0006】
本開示の実施の形態によれば、固体酸化物形燃料電池は、正極、負極、および負極と正極との間の固体酸化物電解質を備える。固体酸化物電解質は固体酸化物を含み、負極は多孔質骨格を含む。多孔質骨格は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む。実施の形態において、少なくとも1つのアンモニア分解層が、多孔質骨格の表面に近接して配置され、その後水素を負極に供給するためにアンモニアを水素と窒素に転化するように作られている。アンモニア分解層は、金属分解触媒も含む。
【0007】
本開示の少なくとも1つの実施の形態によれば、方法は、正極、負極、および負極と正極との間の固体酸化物電解質を含む固体酸化物形燃料電池のアンモニア分解層にアンモニアを通過させる工程を含む。負極は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む多孔質骨格を含む。アンモニア分解層は、負極の上流に配置され、金属分解触媒を含む。アンモニア分解層にアンモニアを通過させると、アンモニアが窒素と水素に転化される。この方法は、水素を負極に通過させる工程をさらに含む。
【0008】
これらと他の実施の形態が、以下の詳細な説明、並びに添付図面にさらに詳しく記載されている。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示し、説明と共に、請求項の主題の原理と作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、図面における説明に役立つ例を参照する。
【
図1】ここに示され、記載された1つ以上の実施の形態による例示の固体酸化物形燃料電池スタックの説明図
【
図2B】ここに示され、記載された1つ以上の実施の形態による、負極が骨格構造を有する例示の固体酸化物形燃料電池の説明図
【
図2C】ここに示され、記載された1つ以上の実施の形態による、正極と負極が骨格構造を有する例示の固体酸化物形燃料電池の説明図
【
図3】800℃での、
図2A~2CのSOFCに関する、電流密度(X軸、アンペア毎平方センチメートル(A/cm
2))の関数としてのセル電圧(左側のY軸;ボルト(V))と電力密度(右側のY軸;ワット毎平方センチメートル(W/cm
2))のプロット
【
図4】700℃および750℃での、NH
3、75%のH
2と25%のN
2の混合物、または純粋なH
2が供給される負極支持型SOFC(AS-SOFC)に関する、電流密度(X軸、A/cm
2)の関数としてのセル電圧(左側のY軸;ボルト(V))と電力密度(右側のY軸;W/cm
2)のプロット
【
図5】750℃での、ここに開示された実施の形態によるSOFCに関する、電流密度(X軸、アンペア毎平方センチメートル(A/cm
2))の関数としてのセル電圧(左側のY軸;ボルト(V))と電力密度(右側のY軸;ワット毎平方センチメートル(W/cm
2))のプロット
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願の特定の実施の形態をこれから説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で具体化されることがあり、本開示に述べられた実施の形態に限定されると解釈すべきではない。そうではなく、これらの実施の形態は、本開示が、完璧かつ完全であり、主題の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0011】
図1は、例示のSOFCスタック100を示している。SOFCスタック100は、各SOFCが発生する電力を合わせるために直列に接続された複数のSOFCを含む。SOFCスタック100中の各SOFCは、負極102、電解質104、および正極106を備える。SOFCスタック100は、少なくとも1つのアンモニア分解層108をさらに備える。
図2A~2Cは、SOFCの追加の例を示している。詳しくは、
図2Aは、従来のLa
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3(LSCF)正極202、La
0.8Sr
0.2Ga
0.83Mg
0.17O
2.815(LSGM)電解質204、およびLa
0.8Sr
0.2Ga
0.83Mg
0.17O
2.815(LSGM)/La
0.75Sr
0.25Cr
0.50Mn
0.50O
3(LSCM)負極206を備えた従来のSOFCを示している。
図2Bは、従来の負極がLGSM骨格208負極に置換される一方で、正極が従来の正極202である、様々な実施の形態によるSOFCを示している。
図2Cは、従来の負極および従来の正極の各々が、LGSM骨格208で置換されている、様々な実施の形態によるSOFCを示している。
【0012】
様々な実施の形態において、負極102は、多孔質骨格の形態にある。ここに用いられているように、「多孔質」という用語は、気体の流動および金属触媒の含浸を可能にする1つ以上の細孔を含む構造を意味する。様々な実施の形態の多孔質骨格は、固体酸化物である。実施の形態において、固体酸化物は、例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)、La0.2Sr0.8TiO3(LST)ナノ繊維、La0.8Sr0.2Ga0.83Mg0.17O2.815(LSGM)、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、Ce0.9Gd0.1O1.95(GDC)、Sm0.2Ce0.8O1.9(SDC)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、またはその組合せであり得る。様々な実施の形態において、多孔質骨格は、骨格構造内に1つ以上のナノスケールの改良金属触媒を含む。
【0013】
例えば、負極102は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒も含む。実施の形態において、この金属系触媒は、多孔質骨格の表面下または表面内に少なくとも部分的に埋め込まれている。例えば、ナノスケール触媒(例えば、LSCF、LST、LSCM、PBMOなど)は、骨格構造の製造後に骨格構造に触媒を含浸させることによって骨格構造内に埋め込むことができる。したがって、ナノスケール触媒の凝集を避けることができ、触媒の表面積が高いためにペロブスカイト材料を使用するにもかかわらず、高性能を得ることができる。この文脈において、「埋め込まれた」と「浸透した」は、同義であることがある。この金属系触媒は、負極(または多孔質骨格)「中に浸透した」または「内に埋め込まれた」と称されることがあり、その負極は、「金属浸透」または「金属埋め込み」負極と称されることがある。
【0014】
様々な実施の形態において、金属系触媒は、金属または金属酸化物であり得る。触媒として使用するのに適した金属の例としては、ニッケル、白金、またはその組合せが挙げられる。触媒として使用するのに適した金属酸化物の例としては、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、またはその組合せが挙げられる。実施の形態において、金属系触媒は、ナノサイズ粒子、例えば、10nmから100nmの粒子の形態にある。理論で束縛されるものではないが、骨格にナノサイズ触媒粒子が浸透すると、三相界面(TPB)長さが増加することによって、高い電気化学性能および耐久性を達成できると考えられる。詳しくは、骨格の多くの表面に沿って触媒が分散することにより、SOFCの電気化学反応のための反応部位が数多く与えられる。
【0015】
電解質104は、負極102と正極106との間に挟まれた緻密な固体酸化物から作られた固体酸化物電解質である。ここに用いられているように、「緻密な」電解質は、酸素と水素が通過できず、2つの気体を完全に分離する電解質である。この固体酸化物電解質の例としては、La0.8Sr0.2Ga0.83Mg0.17O2.815(LSGM)、Ce0.9Gd0.1O1.95(GDC)、Sm0.2Ce0.8O1.9(SDC)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、またはその組合せが挙げられるであろう。実施の形態において、固体酸化物電解質の固体酸化物は、負極の多孔質骨格中に含まれているのと同じ固体酸化物である。
【0016】
様々な実施の形態において、正極106は、正極/電解質界面に向かって気体酸素を拡散させる空気電極である。正極106の例としては、ペロブスカイト材料、例えば、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)系ペロブスカイトが挙げられる。他の例示の正極組成物としては、Sr添加ランタンフェライト(LSF)材料およびSr添加ランタンフェロコバルタイト(LSCF)材料が挙げられる。実施の形態において、正極としては、La
1-xSr
xMnO
3(LSM)が浸透したLa
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3(LSCF)が挙げられる。
図2Cに示された実施の形態などの実施の形態において、正極106は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物から作られた多孔質骨格を含む。そのような実施の形態において、固体酸化物および金属系触媒は、負極102の構造に関して上述したようなものであることがある。以下により詳しく記載されるように、負極102と正極106の両方に骨格構造を使用すると、従来のSOFCを上回って、電力密度を増加させ、性能を改善することができる。しかしながら、
図2Bに示された実施の形態などの実施の形態において、正極106は従来の空気電極であって差し支えなく、一方で、負極102は骨格構造を有し、それでも、従来のSOFCを上回る電力密度の増加および性能の改善を観察することができる。
【0017】
実施の形態において、アンモニア分解層108が、負極102の多孔質骨格の表面に近接して配置されており、以下の反応:
2NH3 → 2H2+N2
にしたがって、アンモニア(NH3)を水素ガス(H2)と窒素ガス(N2)に転化するように作られている。SOFCがスタック配置を有する実施の形態において、相互接続構成要素により、水素と酸素の物理的分離が可能になり、生じた電力が伝達される。したがって、アンモニア分解層は、負極102の表面上に堆積される代わりに、独立したアンモニア分解層として存在してもよい。アンモニア分解層108により生じた水素ガス(H2)は、負極102への水素ガスの供給物として提供される。
【0018】
様々な実施の形態において、アンモニア分解層108は、金属分解触媒を含む。この金属分解触媒は、例えば、ニッケル、鉄、コバルト、またはその組合せであり得る。実施の形態において、金属分解触媒は、金属基体、例えば、アルミニウム基体、酸化マグネシウム(MgO)基体、二酸化ケイ素(SiO2)基体、または二酸化ジルコニウム(ZrO2)基体上に支持されている。選択される特別な基体は、特定の実施の形態に応じて様々であってよい。何故ならば、その基体は、活性金属の分散とその活性を変え得るからである。さらに、基体の表面積が、活性金属触媒の分散およびその触媒の対応する固有活性に影響することがある。しかしながら、実施の形態において、金属分解触媒は、別個の支持体なくしてアンモニア分解層108を形成することができる。
【0019】
動作において、空気供給物が、酸素を含む空気を通気口を通じてシステムに流し込む。空気が正極に接触するときに、酸素原子が正極層内で還元されて、酸素イオン(O2-)を作り、これが、固体酸化物電解質に向かって流れる。正極による空気中の酸素の還元は、以下の反応:
O2+4e- → 2O2-
にしたがって進行する。
【0020】
酸素欠乏空気は、システムから排出される。酸素イオン(O2-)は、固体酸化物電解質を通って負極に移動し、そこで、以下の反応:
H2+O2- → H2O+2e-
にしたがって、水素ガス(H2)と反応して、H2Oと電子(e-)を生成する。電子(e-)は、負極から電子回路に流れ、正極に戻り、そこで、空気供給物中のO2を還元するために使用される。電子回路は、電子の流れを使用して、装置に電力を供給する。
【0021】
様々な実施の形態において、骨格は、基体の上部にペーストが印刷される、スクリーン印刷法によって作られる。このペーストは、骨格材料をインクビヒクルと混合することによって、作られる。このインクビヒクルは、様々な実施の形態において、アルファ-テルピネオール、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコールから構成される。印刷後、ペーストを乾燥させ、1000℃と1250℃の間の高温で焼結し、骨格を形成する。次いで、触媒前駆体溶液(硝酸塩またはクエン酸塩など)を骨格中に浸透させ、500℃でか焼する。触媒の量が骨格の質量の25~30質量%に到達するまで、浸透を繰り返す。
【0022】
ある態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、固体酸化物形燃料電池は、正極、負極、および負極と正極との間の固体酸化物電解質を備える。固体酸化物電解質は固体酸化物を含む。負極は多孔質骨格を含み、この多孔質骨格は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む。少なくとも1つのアンモニア分解層が、多孔質骨格の表面に近接して配置され、その後水素を負極に供給するためにアンモニアを水素と窒素に転化するように作られており、このアンモニア分解層は金属分解触媒を含む。
【0023】
第2の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、金属系触媒は、多孔質骨格の表面下に少なくとも部分的に埋め込まれている。
【0024】
第3の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、多孔質骨格は、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)、La0.2Sr0.8TiO3(LST)ナノ繊維、またはその組合せを含む。
【0025】
第4の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、固体酸化物電解質および負極の多孔質骨格は、同じ固体酸化物を含む。
【0026】
第5の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、固体酸化物電解質、負極またはその両方は、La0.8Sr0.2Ga0.83Mg0.17O2.815(LSGM)、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む。
【0027】
第6の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、固体酸化物電解質および負極の両方とも、La0.8Sr0.2Ga0.83Mg0.17O2.815(LSGM)、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む。
【0028】
第7の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、正極は多孔質骨格を含み、この多孔質骨格は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む。
【0029】
第8の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、金属系触媒は、ニッケル、白金、またはその組合せから選択された金属を含む。
【0030】
第9の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、金属系触媒は、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、またはその組合せから選択された金属酸化物を含む。
【0031】
第10の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、金属分解触媒はニッケルを含む。
【0032】
第11の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、正極は、La1-xSrxMnO3(LSM)が浸透したLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)を含む。
【0033】
第12の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、アンモニア分解層は、その分解触媒を支持する金属基体を含む。
【0034】
第13の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、方法は、固体酸化物形燃料電池の少なくとも1つのアンモニア分解層にアンモニアを通過させ、それによって、アンモニアを窒素と水素に転化させる工程、および水素を負極に通過させる工程を含む。固体酸化物形燃料電池は、正極、負極、および負極と正極との間の固体酸化物電解質を含む。固体酸化物電解質は固体酸化物を含む。負極は多孔質骨格を含み、この多孔質骨格は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む。少なくとも1つのアンモニア分解層は、負極の上流に配置され、金属分解触媒を含む。
【0035】
第14の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、負極は、電子を除去することによって、負極内で水素をイオン化する。
【0036】
第15の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、前記方法は、固体酸化物形燃料電池の正極を、酸素を含む空気供給物と接触させて、酸素イオンおよび酸素欠乏空気を生成する工程をさらに含む。
【0037】
第16の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、金属系触媒は、多孔質骨格の表面下に少なくとも部分的に埋め込まれている。
【0038】
第17の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、多孔質骨格は、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)、La0.2Sr0.8TiO3(LST)ナノ繊維、またはその組合せを含む。
【0039】
第18の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、固体酸化物電解質および負極の多孔質骨格は、同じ固体酸化物を含む。
【0040】
第19の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、固体酸化物電解質、負極またはその両方は、La0.8Sr0.2Ga0.83Mg0.17O2.815(LSGM)、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む。
【0041】
第20の態様によれば、固体酸化物電解質および負極の両方とも、La0.8Sr0.2Ga0.83Mg0.17O2.815(LSGM)、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む。
【0042】
第21の態様によれば、正極は多孔質骨格を含み、この多孔質骨格は、多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む。
【0043】
第22の態様によれば、金属系触媒は、ニッケル、白金、またはその組合せから選択された金属を含む。
【0044】
第23の態様によれば、金属系触媒は、La0.75Sr0.25Cr0.50Mn0.50O3(LSCM)、PrBaMn2O5+δ(PBMO)、またはその組合せから選択された金属酸化物を含む。
【0045】
第24の態様によれば、金属分解触媒はニッケルを含む。
【0046】
第25の態様によれば、正極は、La1-xSrxMnO3(LSM)が浸透したLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)を含む。
【0047】
第26の態様によれば、アンモニア分解層は、分解触媒を支持する金属基体を含む。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は、本開示の特徴を示しているが、本開示の範囲を限定する意図はない。
【0049】
実施例1
電力密度とセル電圧に対する負極および/または正極の設計の影響を決定するために、各々が約1ミリメートル(mm)厚の電解質を有し、負極に水素が供給され、正極に空気が供給される、
図2A~2Cに示されたSOFCに関して、800℃で0から約0.7A/cm
2の電流密度について、定電位電解装置を使用して、電力密度とセル電圧を測定した。その結果が
図3に示されている。
【0050】
図3に示されるように、電力密度は、負極と正極の両方が、従来の構造を持つ代わりに、骨格から構築された場合に約4倍に増加する。
図3は、負極だけを骨格構造と置換した場合でさえ、特に0.1A/cm
2超の電流密度について、従来のSOFCを上回る電力密度の著しい改善がもたらされることも示す。
【0051】
実施例2
アンモニアの分解速度に対する負極の厚さの影響を観察するために、典型的なAS-SOFCを試験した。この実施例では、厚さが約300μmの負極を有するAS-SOFCを、純粋なH
2、75%のH
2と25%のN
2の混合物、およびNH
3の供給物について、700℃と750℃で評価した。その結果が
図4に示されている。
【0052】
図4は、アンモニア供給式SOFCの発電性能の改善を示す。詳しくは、NH
3供給式SOFCは、H
2供給式SOFCの電力の約94%を生成し、分解された窒素の希釈効果を考えると、この差はほとんど無視できる。これらの実施例は、アンモニアは、700℃を超える温度で、容易に分解でき、SOFCにより完全に利用できることも示す。
【0053】
実施例1および2のアンモニア供給式SOFCは、酸化還元反応および負極側でNH3を分解する余計な反応工程のために、純粋なH2供給式SOFCよりも、高い劣化速度および低い電力密度により制限された。実施例1および2で観察されたアンモニアの分解に基づいて、アンモニア分解層を組み込むことによって、固体酸化物形燃料電池の耐久性が改善すると考えられる。
【0054】
実施例3
負極にニッケルナノ粒子を浸透させる効果を実証するために、SOFCを調製し、ニッケルを浸透させ、次に、実施例1におけるように特徴付けた。具体的に、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)負極を備えた2つの燃料電池を調製した。次に、一方の燃料電池の負極にニッケルを浸透させ、二番目の燃料電池には、ニッケルを添加しなかった。
【0055】
上述したように調製したSOFCに関して、750℃で0から約0.7A/cm
2の電流密度について、定電位電解装置を使用して、電力密度とセル電圧を測定した。試料Aは、負極にニッケルが浸透され、約1ミリメートル(mm)厚の電解質を有しており、負極に水素が供給され、正極に空気が供給された。試料Bは、負極にニッケルが浸透されておらず、約1ミリメートル(mm)厚の電解質を有しており、負極に水素が供給され、正極に空気が供給された。試料Cは、負極にニッケルが浸透され、約1ミリメートル(mm)厚の電解質を有しており、負極にアンモニアが供給され、正極に空気が供給された。試料Dは、負極にニッケルが浸透されておらず、約1ミリメートル(mm)厚の電解質を有しており、負極にアンモニアが供給され、正極に空気が供給された。したがって、試料BおよびDは、比較例である。その結果が
図5に示されている。
【0056】
図5に示されるように、負極にニッケルを浸透させた場合、セルの電力密度は、H
2雰囲気下で23.6%増加する。この効果は、浸透型セルの電力密度を非浸透型セルの電力密度で除算し、100%を乗じることにより計算して、ニッケルの浸透がセルの電力密度における37.5%の増加に寄与した、アンモニア雰囲気下でさらにいっそう顕著である。どの特定の理論で束縛する意図もないが、H
2雰囲気とアンモニア雰囲気による結果の間の差は、ニッケルを浸透させた負極でのアンモニアの分解のほうが、同じ負極によるH
2の分解と比べて、エネルギー的により好ましいことによって、少なくとも部分的に生じたと考えられる。
【0057】
本開示の主題を詳細に、特定の実施の形態を参照して説明してきたが、本開示に記載された様々な詳細は、特定の要素が本記載に伴う図面の各々に示されている場合でさえ、これらの詳細は、本開示に記載された様々な実施の形態の必須の構成要素である要素に関連することを暗示するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。そうではなく、ここに付随する特許請求の範囲が、本開示の広さおよび本開示に記載された様々な実施の形態の対応する範囲の唯一の説明と解釈されるべきである。さらに、付随の特許請求の範囲から逸脱せずに、改変および変更が可能であることが明らかであろう。
【0058】
名詞は、特に明記のない限り、複数の対象を含む。
【0059】
本開示を説明し、定義する目的で、「約」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に帰属するであろう固有の不確実性の程度を表すために、本開示に利用されることに留意されたい。「約」という用語は、定量的表現が、問題の主題の基本的な機能を変化させずに、述べられた基準から変動するかもしれない程度を表すためにも本開示に使用されている。
【0060】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「構成する」、「有する」および「含む」という用語、並びにそれらの全ての文法的変形の各々は、追加の要素または工程を除外しない、開放的で非限定的な意味を有する意図がある。
【0061】
それに加え、「から実質的になる」という用語は、本開示の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しない定量的な値を指すために本開示で使用される。例えば、特定の化学成分または化学成分の群から「実質的になる」化学流は、その化学流がその特定の化学成分または化学成分の群を少なくとも約99.5%含むことを意味すると理解されるべきである。
【0062】
特性に割り当てられた任意の2つの定量値は、その特性の範囲を構成することができ、所与の特性の全ての述べられた定量値から形成される範囲の全ての組合せが、この開示で考えられることを理解すべきである。
【0063】
本開示で使用されるように、「第1」および「第2」などの用語は、任意に割り当てられ、単に2つ以上の場合または構成要素を区別することを意図している。「第1」および「第2」という単語は、他の目的を果たさず、構成要素の名称や説明の一部ではなく、また、構成要素の相対的な場所、位置、または順序を必ずしも定義するものではないことを理解すべきである。さらに、「第1」および「第2」という用語の単なる使用は、任意の「第3」の構成要素が存在することを必要としないが、その可能性は本開示の範囲内で考えられることを理解すべきである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
正極、負極、および該負極と該正極との間の固体酸化物電解質を備える固体酸化物形燃料電池であって、
前記固体酸化物電解質は固体酸化物を含み、
前記負極は多孔質骨格を含み、該多孔質骨格は、該多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含み、
少なくとも1つのアンモニア分解層が、前記多孔質骨格の表面に近接して配置され、その後水素を前記負極に供給するためにアンモニアを水素と窒素に転化するように作られており、該アンモニア分解層は金属分解触媒を含む、
固体酸化物形燃料電池。
実施形態2
前記金属系触媒が、前記多孔質骨格の表面下に少なくとも部分的に埋め込まれている、実施形態1に記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態3
前記多孔質骨格が、La
0.75
Sr
0.25
Cr
0.50
Mn
0.50
O
3
(LSCM)、La
0.6
Sr
0.4
Co
0.2
Fe
0.8
O
3
(LSCF)、La
0.2
Sr
0.8
TiO
3
(LST)ナノ繊維、またはその組合せを含む、実施形態1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態4
前記固体酸化物電解質および前記負極の多孔質骨格が、同じ固体酸化物を含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態5
前記固体酸化物電解質、前記負極またはその両方が、La
0.8
Sr
0.2
Ga
0.83
Mg
0.17
O
2.815
(LSGM)、La
0.75
Sr
0.25
Cr
0.50
Mn
0.50
O
3
(LSCM)、PrBaMn
2
O
5+δ
(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む、実施形態1から4いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態6
前記固体酸化物電解質および前記負極の両方が、La
0.8
Sr
0.2
Ga
0.83
Mg
0.17
O
2.815
(LSGM)、La
0.75
Sr
0.25
Cr
0.50
Mn
0.50
O
3
(LSCM)、PrBaMn
2
O
5+δ
(PBMO)、安定化Zr、またはその組合せを含む、実施形態1から5いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態7
前記正極が多孔質骨格を含み、該多孔質骨格は、該多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含む、実施形態1から6いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態8
前記金属系触媒が、ニッケル、白金、またはその組合せから選択された金属を含む、実施形態1から7いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態9
前記金属系触媒が、La
0.75
Sr
0.25
Cr
0.50
Mn
0.50
O
3
(LSCM)、PrBaMn
2
O
5+δ
(PBMO)、またはその組合せから選択された金属酸化物を含む、実施形態1から8いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態10
前記金属分解触媒がニッケルを含む、実施形態1から9いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態11
前記正極が、La
1-x
Sr
x
MnO
3
(LSM)が浸透したLa
0.6
Sr
0.4
Co
0.2
Fe
0.8
O
3
(LSCF)を含む、実施形態1から10いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態12
前記アンモニア分解層が、前記分解触媒を支持する金属基体を含む、実施形態1から11いずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
実施形態13
方法であって、
固体酸化物形燃料電池の少なくとも1つのアンモニア分解層にアンモニアを通過させ、それによって、該アンモニアを窒素と水素に転化させる工程であって、該固体酸化物形燃料電池は、正極、負極、および該負極と該正極との間の固体酸化物電解質を含み、
前記固体酸化物電解質は固体酸化物を含み、
前記負極は多孔質骨格を含み、該多孔質骨格は、該多孔質骨格の1つ以上の表面に配置された金属系触媒を有する固体酸化物を含み、
少なくとも1つのアンモニア分解層が、前記負極の上流に配置され、金属分解触媒を含む、工程、および
前記水素を前記負極に通過させる工程、
を含む方法。
実施形態14
前記負極が、電子を除去することによって、該負極内で前記水素をイオン化する、実施形態13に記載の方法。
実施形態15
前記固体酸化物形燃料電池の正極を、酸素を含む空気供給物と接触させて、酸素イオンおよび酸素欠乏空気を生成する工程をさらに含む、実施形態13または14に記載の方法。
【符号の説明】
【0064】
100 SOFCスタック
102、206 負極
104、204 電解質
106、202 正極
108 アンモニア分解層
208 LGSM骨格