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特許7532638インスリン-Fc融合タンパク質及びその応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】インスリン-Fc融合タンパク質及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240805BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20240805BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20240805BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240805BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240805BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240805BHJP
   C07K 14/62 20060101ALN20240805BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240805BHJP
   C12N 9/50 20060101ALN20240805BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240805BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
A61K38/28
A61K47/65
A61P3/10
C12P21/02 E
C12P21/08
C07K14/62
C07K16/18
C12N9/50
C12N15/12
C12N15/13
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023503514
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2021107040
(87)【国際公開番号】W WO2022017309
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】202010723972.9
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521124995
【氏名又は名称】チアンスー ジェンサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ヤーリー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シエン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ルーヤン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】モー、ウェイチョアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チョンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ハオ、ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューヤー
(72)【発明者】
【氏名】チアン、チャオチュイ
(72)【発明者】
【氏名】レン、ツーチア
(72)【発明者】
【氏名】スー、ホンション
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510003(JP,A)
【文献】特表2020-503889(JP,A)
【文献】特表2019-502698(JP,A)
【文献】特表2008-506635(JP,A)
【文献】特表2016-512255(JP,A)
【文献】特表2010-504742(JP,A)
【文献】Applied Microbiology and Biotechnology,2014年,Vol.99,p.327-336
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 19/00
C12P 21/02
C12P 21/08
A61K 38/28
A61K 47/65
A61P 3/10
C07K 14/62
C07K 16/18
C12N 9/50
C12N 15/12
C12N 15/13
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ins-L-Fc構造を有するインスリン-Fc融合タンパク質。
(ただし、Insは、共有結合により連結されたインスリンA鎖とB鎖とを含むインス
リン活性を提供するインスリン部分であり、A鎖及びB鎖は異なるペプチド鎖中にあり、前記共有結合は、ジスルフィド結合であり、
Lは、InsとFcを連結するリンカーであり、Lは、ポリペプチド断片であり、
Lは、1つまたは複数の剛性単位からなり、前記剛性単位は、以下の配列からなる群より選択され、
【表1】


Fcは免疫グロブリンのFc領域であり、前記Fcはヒト免疫グロブリンIgG、IgA、IgD、IgE又はIgMに由来する)
【請求項2】
前記Fc領域は、IgG2に由来するFc領域である、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン又はブタインスリンから選択される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記インスリンは、ヒトインスリンのA鎖及びB鎖からなる、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
B鎖のアミノ酸配列が配列番号87であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号88であるか;
B鎖のアミノ酸配列が配列番号93であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号94であるか;
B鎖のアミノ酸配列が配列番号97であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号98であるか;
B鎖のアミノ酸配列が配列番号99であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号100であるか;
B鎖のアミノ酸配列が配列番号107であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号108であるか;
B鎖のアミノ酸配列が配列番号113であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号114であるか;
B鎖のアミノ酸配列が配列番号115であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号116であるか;又は
B鎖のアミノ酸配列が配列番号117であり、A鎖、L及びFcのアミノ酸配列が配列番号118である、
請求項4に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の融合タンパク質を含む、血糖を降下させるため及び/又は糖尿病を治療するための医薬組成物。
【請求項7】
前記糖尿病がI型又はII型糖尿病である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式(I)の構造を有するインスリン-Fc融合タンパク質と部位特異的プロテアーゼ切断部位を切断可能な部位特異的プロテアーゼとを接触させることを含む、請求項1に記載のインスリン-Fc融合タンパク質の生産方法:
X-E1-Y-E2-Z-L-Fc (I)
(ただし、XとZはそれぞれインスリンのB鎖とA鎖であり、かつ、XがB鎖である場合、ZはA鎖であり、XはA鎖である場合、ZはB鎖であり、
Yは、任意で存在するリンカーペプチドであり、長さは1~100個又はそれ以上のアミノ酸でり、
E1及びE2は、一方又は両方が存在し、部位特異的プロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸の断片であり、
E1及びE2が同時に存在する場合、E1及びE2は、同一または異なる部位特異的プロテアーゼにより切断され、
Yが存在する場合は、E1及びE2の両方が存在し、
前記部位特異的プロテアーゼ切断部位は、Kex2及び/又はフリン(Furin)プロテアーゼの切断部位であり、
Lは、ZとFcを連結するリンカーであり、Lは、ポリペプチド断片であり、
Lは、1つまたは複数の剛性単位からなり、前記剛性単位は、以下の群から選択され、
【表2】


Fcは免疫グロブリンのFc領域であり、Fcはヒト免疫グロブリンIgG、IgA、IgD、IgE又はIgMに由来する)
【請求項9】
前記インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン又はブタインスリンから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記融合タンパク質が、配列番号54、57、59、60、64、67、68及び69からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
この出願は、2020年7月24日に中国特許庁に出願され、発明名称「インスリン-Fc融合タンパク質及びその応用」である中国特許出願202010723972.9の優先権を主張し、その内容は援用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ポリペプチド系薬物の分野に関し、特に、部位特異的プロテアーゼにより切断された後の、増強されたインスリン活性及び延長された生体内半減期を有するインスリン-Fc融合タンパク質、その製造方法及び応用に関する。
【0003】
近年、糖尿病の発症率は年々増加している。1型糖尿病では、主に外因性インスリンによって血糖が制御される。2型糖尿病でも、病状の悪化に伴って、インスリンが主な薬剤として血糖制御に用いられる。従って、インスリンは、糖尿病を治療するために用いられる有効な方法として知られている。
【0004】
インスリン療法は、異常なインスリン分泌(I型)又はインスリン耐性(II型)を有する患者に必要であり、インスリンの投与により血液中のグルコースレベルを正常に調節することができる。しかし、他のタンバク質及びペプチドホルモンと同様に、インスリンは生体内半減期が非常に短いため、繰り返し投与されるという欠点がある。このような頻繁な投与は、患者に激しい痛みや不快感を引き起こす恐れがある。そのため、タンバク質の体内半減期を延長し、投与頻度を低減させることで生活の品質を改善するためには、タンバク質製剤及び化学的抱合(脂肪酸抱合体、ポリエチレンポリマー抱合体)についての研究が多く行われてきた。市販される持効型インスリンとしては、サノフィ・アベンティス社製のインスリングラルギン(lantus、約20時間~22時間持続)、ノボ ノルディスク社製のインスリンデテミル(levemir、約18時間~22時間持続)及びトレシーバ(インスリンデグルデク、約40時間持続)がある。これらの持効型インスリン製剤は、血液中のインスリン濃度のピークを生じないため、基礎インスリンとして適している。しかし、これらの製剤は十分に長い半減期を持たないため、1日1回又は2~3日ごとに注射するという欠点がまだある。従って、長期間のインスリン投与を必要とする糖尿病患者の便利性を向上させるために、週1回の投与頻度という所定の標的を達成するには限界がある。
【0005】
特許公開CN103509118Bには、抗体Fc領域に融合された単鎖インスリンが開示されている。このインスリン-Fc融合タンパク質は、インビトロ実験で半減期が改善されたことが示されているが、この融合インスリンは、体内血糖降下活性が低く、臨床投与に適さない。
【0006】
血糖障害をうまく制御するのは、治療される患者のコンプライアンスと高度に相関しており、必要な注射頻度を減らすことが求められている。しかし、これらの既存の修飾インスリン分子は、活性が低くて臨床使用に適さないか、或いは活性が高くて患者に投与された後に急速な血糖降下作用を示し、低血糖の副作用をもたらす恐れがる。従って、臨床投与に適した新しい持効型インスリンが当分野で緊急に求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねて、部位特異的プロテアーゼにより切断された後に増強されたインスリン活性及び延長された生体内半減期を得るインスリン-Fc融合タンパク質を提供する。驚くべきことに、前記融合タンパク質によれば、体内血糖降下作用がよりフラット及び安定しており、臨床投薬の安全性と患者のコンプライアンスが改善され、それによって血糖管理をより確実に実現し、より良好な生活品質を提供することができる。
【0008】
一態様においては、本発明は、部位特異的プロテアーゼにより切断された後に増強されたインスリン活性及び延長された生体内半減期を有し、下記の式(I)の構造を有するインスリン-Fc融合タンパク質を提供する。
【0009】
X-E1-Y-E2-Z-L-Fc (I)、
ここで、XとZはそれぞれインスリンのB鎖とA鎖であり、かつ、XがB鎖である場合、ZはA鎖であり、XがA鎖である場合、ZはB鎖である。
Yは任意のリンカーペプチドであり、Yの長さは1~100個以上のアミノ酸とすることができ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90、100個、又は上記の任意の2つの数値の間にある個数のアミノ酸とすることができ、例えば、YはインスリンCペプチド又はその変異体又はその断片である。
E1及びE2は、一方又は両方とも存在する場合があり、部位特異的プロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸の断片であり;E1及びE2の長さは1~10個以上のアミノ酸とすることができ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸とすることができ;同時に存在する場合、E1及びE2は、同一または異なる部位特異的プロテアーゼにより切断され得、例えば、同一の部位特異的プロテアーゼにより切断され得、Yが存在する場合、好ましくはE1及びE2の両方が存在することが好ましく、Yが存在しない場合、E1及びE2の一方が存在することが好ましく;前記部位特異的プロテアーゼ切断部位は、Kex2及び/又はフリン(Furin)プロテアーゼの切断部位とすることができ、例えば、Kex2プロテアーゼの切断部位である。
Lは、ZとFcを連結するリンカー(Linker)であり;Lはポリペプチド断片とすることができ、例えば、Lは、Ala、Thr、Gly及びSerから選択される1つ、2つ又はそれ以上のアミノ酸の柔軟性単位(本明細書では柔軟性ペプチドセグメントともいう)を含み、より具体的には、G及びSからなる柔軟性単位であり、Lは、剛性単位(本明細書では剛性ペプチドセグメントともいう)を含むポリペプチド断片であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態においては、前記剛性単位は、剛性アミノ酸を含むか又は主に剛性アミノ酸からなる。前記剛性アミノ酸には、V、P、I、K及びLが含まれるがこれらに限定されない。
【0011】
いくつかの実施例においては、前記剛性単位は、1つまたは複数のPPPX1LP(配列番号125)を含み、X1は任意のアミノ酸である。
【0012】
いくつかの別実施例においては、前記剛性単位は、1つまたは複数のX2APPPX1LP(配列番号126)を含み、X1は任意のアミノ酸、X2はK又はVである。
【0013】
いくつかの別実施例においては、前記剛性単位は、以下の配列から選択されたポリペプチド断片を含む。
PPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号127)
PPPALPAPVRLPGP(配列番号128)
PPPALPAVAPPPALP(配列番号129)
【0014】
いくつかの別実施例においては、前記剛性単位は、以下の配列から選択されたポリペプチド断片を含む。
KAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号130)
VAPPPALPAPVRLPGP(配列番号131)
VAPPPALPAVAPPPALP(配列番号132)
【0015】
いくつかの実施形態においては、Lは剛性単位と柔軟性単位の両方を含み、また3つ以上の単位を含んでも良い。
【0016】
Fcは免疫グロブリンのFc領域である。前記Fcはヒト免疫グロブリンに由来することができる。前記Fc領域はIgG、IgA、IgD、IgE又はIgMに由来するFc領域とすることができる。好ましくは、前記Fc領域は、IgGに由来するFc領域であり、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4に由来するFc領域である。さらに好ましくは、前記Fc領域は、IgG2に由来するFc領域である。ここで、前記Fc領域は、その由来の配列と比較して、半減期を延長する能力を保持しながら、1つまたは複数の置換、付加及び/又は欠失を有することができ、例えば、ヒトIgGに由来するFc領域であり、かつFcγRへの結合を低減又は除去する変異及び/又はFcRnへの結合を増強する1つまたは複数の変異を有する。前記変異は、N297A、G236R/L328R、L234A/L235A、N434A、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S、T250R/M428Lから選択され得る。前記Fc領域は、グリコシル化されていてもよく、グリコシル化されていなくてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態においては、本発明の融合タンパク質では、前記インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン又はブタインスリンから選択され、好ましくはヒトインスリンである。例えば、前記インスリンのA鎖及びB鎖はヒトインスリンに由来する。
【0018】
いくつかの実施例においては、Yと、E1とE2とも存在するか、又はYは存在せず、E1及びE2のうちの1つは存在する。
【0019】
いくつかの別実施例においては、前記融合タンパク質は、配列番号47~72から選択されたアミノ酸配列を有する。
【0020】
第2の態様においては、本発明は、Ins-L-Fc構造を有するインスリン-Fc融合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態においては、本発明の第1の態様における融合タンパク質は、特異的プロテアーゼの作用下で、C鎖が除去され、本発明の第2の態様における融合タンパク質を生成することができる。いくつかの実施形態においては、前記インスリン-Fc融合タンパク質は、ホモ二量体の形態で存在し、その構造概略図が図3に示される。いくつかの実施形態においては、前記インスリン-Fc融合タンパク質は、天然のインスリンと類似する二次構造及び三次構造を有する。
【0021】
ここで、Insは、インスリン活性を提供するインスリン部分であり、共有結合により連結されたインスリンA鎖及びB鎖を含む。ただし、A鎖及びB鎖は異なるペプチド鎖中にあり、前記共有結合は、好ましくはジスルフィド結合である。
Lは、ZとFcを連結するリンカーである。Lはポリペプチド断片(本明細書のいくつかの実施形態においてリンカーペプチドとも呼ばれる)とすることができる。例えば、Lは、Ala、Thr、Gly及びSerから選択された1つ、2つ又はそれ以上のアミノ酸の柔軟性単位を含む。Lは、剛性単位を含むポリペプチド断片であってもよい。
【0022】
いくつかの実施例においては、前記Lは、剛性単位を1つまたは複数含む。前記剛性単位は、剛性アミノ酸を含むか又は主に剛性アミノ酸からなる。前記剛性アミノ酸には、V、P、I、K及びLが含まれるがこれらに限定されない。
【0023】
いくつかの別実施例においては、前記剛性単位は、PPPX1LP(配列番号125)を1つまたは複数含む。ここでは、X1は任意のアミノ酸である。
【0024】
いくつかの別実施例においては、前記剛性単位は、X2APPPX1LP(配列番号126)を1つまたは複数含む。ここでは、X1は任意のアミノ酸、X2はK又はVである。
【0025】
いくつかの別実施例においては、前記剛性単位は、以下の配列から選択されたポリペプチド断片を含む。
PPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号127)
PPPALPAPVRLPGP(配列番号128)
PPPALPAVAPPPALP(配列番号129)
【0026】
いくつかの別実施例においては、前記剛性単位は、以下の配列から選択されたポリペプチド断片を含む。
KAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号130)
VAPPPALPAPVRLPGP(配列番号131)
VAPPPALPAVAPPPALP(配列番号132)
【0027】
Fcは免疫グロブリンのFc領域である。前記Fcはヒト免疫グロブリンに由来することができる。前記Fc領域はIgG、IgA、IgD、IgE又はIgMに由来するFc領域とすることができる。好ましくは、前記Fc領域は、IgGに由来するFc領域であり、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4に由来するFc領域である。さらに好ましくは、前記Fc領域は、IgG2に由来するFc領域である。ここで、前記Fc領域は、その由来の配列と比較して、半減期を延長する能力を保持しながら、1つまたは複数の置換、付加及び/又は欠失を有することができ、例えば、ヒトIgGに由来するFc領域であり、かつFcγRへの結合を低減又は除去する変異及び/又はFcRnへの結合を増強する1つまたは複数の変異を有する。前記変異は、N297A、G236R/L328R、L234A/L235A、N434A、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S、T250R/M428Lから選択され得る。前記Fc領域は、グリコシル化されていてもよく、グリコシル化されていなくてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態においては、前記インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン又はブタインスリンから選択され、ヒトインスリンであることが好ましい。例えば、前記インスリンのA鎖及びB鎖はヒトインスリンに由来する。
【0029】
いくつかの別実施形態においては、前記Lは、CTPを含み、例えば、1、2、3又はそれ以上のCTPを含む。
【0030】
第3の態様においては、本発明は、増強されたインスリン活性及び延長された半減期を有するインスリン-Fc融合タンパク質の生産方法を提供する。該生産方法は、本発明の第1の態様における融合タンパク質と前記部位を切断可能な特異的プロテアーゼとを接触させることを含む。前記部位特異的プロテアーゼは、Kex2及び/又はフリン(Furin)プロテアーゼであることが好ましい。
【0031】
いくつかの実施形態においては、増強されたインスリン活性及び延長された生体内半減期を有する本発明に係るインスリン-Fc融合タンパク質は、上記の方法により得られる。
【0032】
第4の態様においては、本発明は、前記融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。前記ポリヌクレオチドは、前記融合タンパク質を発現できる発現ベクターであることが好ましい。
【0033】
第5の態様においては、本発明は、上記のポリヌクレオチドを含む、インスリン-Fc融合タンパク質を発現できる細胞を提供する。
【0034】
第6の態様においては、本発明は、インスリン-Fc融合タンパク質の生産方法を提供する。該生産方法は、インスリン-Fc融合タンパク質を発現する条件下で、本発明の第5の態様における細胞を培養する工程を含み、好ましくは、前記インスリン-Fc融合タンパク質を、前記部位を切断可能な特異的プロテアーゼと接触させる工程をさらに含む。ここでは、前記培養工程及び接触酵素切断工程は、同時に又は別々に行うことができる。また、前記方法は、目的融合タンパク質を得るためのタンパク質を精製する工程を含んでもよい。
【0035】
第7の態様においては、本発明は、融合タンパク質の脱グリコシル化分子量の検出及びジスルフィド結合の特徴付けを含む、インスリン-Fc融合タンパク質の構造を特徴付ける方法を提供する。
【0036】
第8の態様においては、本発明は、上記第1及び第3の態様における融合タンパク質、第4の態様におけるポリヌクレオチド、又は第5の態様における細胞を含む医薬組成物を提供する。
【0037】
第9の態様においては、本発明は、第1及び第2の態様における融合タンパク質、第4の態様におけるポリヌクレオチド、又は第5の態様における細胞を必要とする対象に投与することを含む、血糖の低減方法及び/又は糖尿病の治療方法を提供する。好ましくは、前記糖尿病はI型又はII型糖尿病である。なお、本発明の第1の態様における融合タンパク質を投与する場合、適切な部位特異的プロテアーゼの追加投与、又は体内に存在する適切な部位特異的プロテアーゼの利用を考慮してもよい。
【0038】
また、上記の血糖の低減方法及び/又は糖尿病の治療方法に対応して、本発明は、血糖の低減及び/又は糖尿病の治療のための薬剤の調製における前記融合タンパク質、ポリヌクレオチド又は細胞の使用を提供する。また、本発明は、血糖の低減及び/又は糖尿病の治療のための融合タンパク質、ポリヌクレオチド又は細胞を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A図1は、インスリン前駆体融合タンパク質の発現に用いられる本発明のベクターの概略図を示す。ここでは、図1Aは安定トランスフェクション発現ベクター、図1Bは一過性トランスフェクション発現ベクターである。
図1B】同上
図2-1】図2は、実施例3で捕捉されたインスリン-Fc融合タンパク質のSDS-PAGE電気泳動図を示す。ここでは、Mはマーカーを示し、それらの異なるPはクロマトグラフィー過程で段階的に収集された目的タンパク質であり、P+DTTはタンパク質還元後の目的バンドである。SS302-002分子のSDS図のメモはマーカーのサイズであり、他のイメージでも同じのマーカーが使用される。
図2-2】同上
図2-3】同上
図3図3は、本発明に係るインスリン-Fc融合タンパク質が酵素で切断される前(3A)及び酵素で切断された後(3B)の構造概略図を示す。
図4図4は、正常な昆明マウスにおける酵素切断前後のSS 302-002分子の薬効の結果を示す。
図5A図5は、正常なC57マウスに対する異なる融合タンパク質の血糖降下の薬効の結果を示す。図5Aは、SS302-012M、SS302-019M、SS302-029M及びSS302-035Mの結果を示し、図5Bは、SS302-008M、SS302-014M、SS302-015M及びSS302-030Mの結果を示す。
図5B】同上
図6図6は、正常なC57マウスにおけるSS302-035Mの用量反応曲線を示す。
図7A図7は、I型糖尿病モデルマウスにおけるSS302-002M(7A)及びSS302-004M(7B)の血糖降下作用を示す。
図7B】同上
図8A図8A及び8Bは、I型糖尿病モデルマウスにおけるSS302-008M、SS302-012M及びSS302-035Mの血糖降下作用を示す。
図8B】同上
図9図9は、正常なSDラットにおけるSS302-008M及びSS302-012Mの薬効の結果を示す。
図10図10は、SDラットにおけるSS302-008M及びSS302-012Mの薬物動態学結果を示す。
図11A図11は、正常なSDラットにおけるSS302-008M及びSS302-012Mの血糖降下作用(10A)及び血中薬物濃度曲線(10B)を示す。
図11B】同上
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、実施例を参照して本発明についてより詳細に説明するが、説明された実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に入る。
【0041】
用語
インスリン
インスリンは、膵島β細胞から分泌され、グルコースの吸収を促進し、脂肪の分解を抑制するホルモンであり、血糖レベルを制御する役割を果たす。β細胞の細胞核では、11番目の染色体の短腕にあるインスリン遺伝子領域のDNAがmRNAに転写され、mRNAは細胞核から細胞質の小胞体に移動し、N末端に20個の残基程度のシグナルペプチドを持つ、106個のアミノ酸残基からなるプレプロインスリンに翻訳される。プレプロインスリンは小胞体を通過するとき、シグナルペプチドをシグナルペプチダーゼに切断され、86個のアミノ酸からなる長いペプチド鎖のプロインスリンが生成される。インスリンは、ゴルジ体中でタンパク質分解酵素の作用下で、31番目及び32番目の2つのアルギニン残基、64番目のリジン残基及び65番目のアルギニン残基を切断され、鎖の切断で連接部分としてのCペプチドが生成する同時にインスリンが生成し、β細胞外に分泌され、血液循環中に入る。プロテアーゼによって加水分解されなかったプロインスリンは、その一部がインスリンとともに血液循環に入る。プロインスリンは、ほぼ生物活性を持たなく、その生物活性値がインスリンの5%~10%しかない。
【0042】
本発明における「インスリン」としては、天然に存在するインスリンの他に、インスリンの機能的変異体がある。前記機能的変異体とは、インスリンの天然の配列及び/又は構造に対して、1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失及び/又は置換などの修飾を実施することで、得られたインスリン活性(生体中の血糖レベルの調節)を保有するポリペプチドを指す。アミノ酸の置換、付加又は欠失は、天然に存在する変異形態であってもよく、特定の目的として人工的修飾を行うことによって引き起こした変異形態であってもよい。当業者に周知されているように、現実にはインスリン機能的変異体がしばしばインスリンと呼ばれることがある。別の例としては、CN105636979B及びCN201480006998に開示されているインスリン類似体である。本明細書でも現実の状況と合致している。
【0043】
他の側面から言えば、インスリンの機能的変異体とは、天然インスリンと少なくとも80%(好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%)のアミノ酸配列の相同性を有し、インスリン活性を保有するポリペプチドを指す。いくつかの機能的変異体に対しては、特定のアミノ酸残基におけるいくつかの原子・原子団で、化学置換(例えば、α-メチル化、α-ヒドロキシ化)、欠失(例えば、脱アミノ化)又は修飾(例えば、N-メチル化)を行うことができる。
【0044】
インスリン機能的変異体の製造方法及び効果検出方法は、当業者によく知られている。市販されているインスリン類似体としては、例えば、インスリンリスプロ(リリー)、インスリンアスパルト(ノボノルディスク)、インスリングルリシン(Aventis)、インスリングラルギン(サノフィ)、インスリンデテミル(ノボノルディスク)、及びインスリンデグルデク(ノボノルディスク)などが挙げられる。
【0045】
インスリンリスプロ(insulin lispro)は、その他のアミノ酸配列及び構造が変化せずに、ヒトインスリンのB鎖の28位のプロリンと29位のリジンを位置置換したものである。2つのアミノ酸配列の順番が逆転した結果、インスリンの機能は変わっていないが、もともと二量体及び六量体を形成しやすいインスリンは、二量体及び六量体に凝集しにくくなり、単量体の形で存在してきた。このようにすると、皮下注射後に容易に吸収され、迅速に働けるようになる。
【0046】
インスリンアスパルト(insulin aspart)は、同様に速効型インスリンの1つで、ヒトインスリンのB28位のプロリンをアスパラギン酸に置換したものである。これにより、このインスリン類似体は、六量体を形成しにくく、皮下で容易に吸収され、迅速に働くようになる。
【0047】
インスリングルリシンは、B3位のアスパラギンをリジンで置換し、B29位のリジンをグルタミン酸で置換することにより、迅速に働けるようになる。
【0048】
インスリングラルギン(insulin glargine、ランタス、Lantus)は、1)A鎖の21位でのアスパラギン酸がグリシンに置換されていること、及び2)B鎖のC末端に2つのアルギニン残基が付加されていることで、ヒトインスリンとは異なる。この変更の結果、以下の変化が起こる。A21位がグリシンに置換された結果、六量体の結合がより安定し、皮下組織の中性環境下で、溶解度が低下して沈殿が発生し、それによりゆっくり吸収されるようになり、基礎インスリンのピークなしの分泌に類似し、持効型治療に適し、また、少量の亜鉛を添加すれば、その作用時間がさらに延長される。B鎖のC末端に2つのアルギニン残基が付加された結果、インスリンの等電点が変化し、元のpH4.5からpH6.7に上昇することで、皮下組織の中性環境で微小沈殿物が形成し、インスリンの分解、吸収及び作用時間が延びるようになる。
【0049】
インスリンデテミル(insulin detemir、Levermir)は、ノボノルディスク社により開発され、構造的にB30位のアミノ酸を除去し、B29位のリジン部位に1つのN-16-アルカン酸基の14炭素数の遊離脂肪酸鎖を連結したものである。亜鉛イオンが存在する薬液においては、インスリン分子は依然として六量体の形で存在し、脂肪酸鎖で修飾されたために皮下吸収が遅くなる。血漿中においては、インスリンデテミルは、脂肪酸が存在するために血漿中のアルブミンと結合するので、遊離のインスリンデテミルだげ血糖降下作用を発揮するので、このように、インスリンの作用時間も延長される。
【0050】
インスリンデグルデクは、B30位のスレオニンを除去し、B29位のリジン部位でグルタミン酸リンカーを介して16炭素数の脂肪二酸の側鎖に連結したものである。インスリンデグルデクは、フェノール及び亜鉛イオンの作用下で、製剤中で二重六量体に重合し、また、皮下注射された後、フェノールの拡散及び亜鉛イオンの徐放に伴い、ゆっくりとかつ連続的にインスリンデグルデク単量体を放出することができ、そして単量体が血中に吸収される。上記の特徴によれば、インスリンデグルデクは、糖尿病患者の体内で、その半減期が25時間程度であるような非常に長い作用時間を持っている。
【0051】
融合タンパク質
本明細書に記載されている融合タンパク質は、アミノ酸からペプチド結合により連結されてなるタンパク質だけでなく、2本以上のペプチド鎖からジスルフィド結合により連結されてなるタンパク質も指す。
【0052】
本発明に係る「インスリン-Fc融合タンパク質」とは、インスリン(その機能的変異体を含む)と免疫グロブリンのFc領域により形成された融合タンパク質を指し、本明細書では「融合タンパク質」と略記することがある。また、リンカーペプチド部分を酵素切断により除去する前後のインスリン-Fc融合タンパク質を区別するため、酵素切断前の前記融合タンパク質は「インスリン前駆体-Fc融合タンパク質」と呼ぶことがあり、それに応じて「インスリン-Fc融合タンパク質」は、酵素切断によりリンカーペプチド部分を除去した後の前記融合タンパク質を指す。ただし、本明細書においては、酵素切断前後の前記融合タンパク質を特に区別しないことが普通であり、この場合、前記融合タンパク質又はインスリン-Fc融合タンパク質は、その酵素切断前の形態と酵素切断後の形態とも包含する。なお、前記融合タンパク質がどの形態を指すのが文脈で理解できる場合は、この形態を指すために「融合タンパク質」又は「インスリン-Fc融合タンパク質」を直接使用することも多い。
【0053】
天然のヒトインスリンのA鎖の配列は以下の通りである。
Gly-Ile-Val-Glu-Gln-Cys-Cys-Thr-Ser-Ile-Cys-Ser-Leu-Tyr-Gln-Leu-Glu-Asn-Tyr-Cys-Asn(配列番号1)
【0054】
天然のヒトインスリンのB鎖の配列以下の通りである。
Phe-Val-Asn-Gln-His-Leu-Cys-Gly-Ser-His-Leu-Val-Glu-Ala-Leu-Tyr-Leu-Val-Cys-Gly-Glu-Arg-Gly-Phe-Phe-Tyr-Thr-Pro-Lys-Thr(配列番号2)
【0055】
本明細書に記載されている融合タンパク質は、例えば、Fc、CTP(C末端ペプチド、C-terminal peptide)、XTEN、SABA(血清アルブミンと結合するダイナクチン、serum albumin binding adnectin)及びPASから選択された1つまたは複数の生体内半減期を延長する追加の配列を含んでも良い。前記追加の配列は、融合タンパク質における末端、リンカー又は他の位置に位置することができる。簡略化のために、本明細書で使用される構造式X-E1-Y-E2-Z-L-Fc及びIns-L-Fcは、前記追加配列が他の位置する場合も含む。
【0056】
リンカーペプチド(Linking Peptide)
インスリンの体内処理中に、インスリンA鎖及びB鎖を連結するリンカーペプチドはCペプチドである。前記Cペプチドには、天然に存在する配列が含まれるし、前記天然に存在する配列に基づいて1つ又はいは複数のアミノ酸の置換、欠失又は付加を行って形成された同じ機能を有する変異体形態も含まれる。
【0057】
ご参照の例として、ヒトインスリンの天然形態のCペプチドの配列は以下の通りである。
Glu-Ala-Glu-Asp-Leu-Gln-Val-Gly-Gln-Val-Glu-Leu-Gly-Gly-Gly-Pro-Gly-Ala-Gly-Ser-Leu-Gln-Pro-Leu-Ala-Leu-Glu-Gly-Ser-Leu-Gln(配列番号3)
【0058】
本発明に係るインスリン-Fc融合タンパク質においては、前記リンカーペプチドは、天然のインスリンのCペプチド又はその変異体/その断片に限定されるものではなく、インスリンA鎖とB鎖を連結する役割を持つ他の適切なポリペプチドであってもよい。いくつかの実施形態においては、前記リンカーペプチドは、長さが1~100個以上のアミノ酸とすることができ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90、100個のアミノ酸又は上記の任意の2つの数値の間にある個数のアミノ酸である。
【0059】
いくつかの実施例においては、リンカーペプチドの配列は以下の以下の通りである。
EAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSL(配列番号4)
Glu-Ala-Glu-Asp-Leu-Gln-Val-Gly-Gln-Val-Glu-Leu-Gly-Gly-Gly-Pro-Gly-Ala-Gly-Ser(配列番号5)
Glu-Ala-Glu-Asp-Leu-Gln-Val-Gly-Gln-Val-Glu-Leu-Gly-Gly-Gly(配列番号6)
EAEDLQVGQVELSLQPLAL(配列番号7)
【0060】
いくつかの別実施例においては、リンカーペプチドは、以下の長さが異なるポリペプチドのうちのいずれか1つの形態としてもよい。
EAED(配列番号8)
YPGDV(配列番号9)
AA(配列番号10)
EW(配列番号11)
【0061】
Fc領域/Fc断片
ヒト免疫グロブリンIgGは、ジスルフィド結合により共有結合された4つのポリペプチド(軽鎖と重鎖の2つのコピー)から構成される。IgG分子がパパインによりタンパク質加水分解されると、2つのFab断片と1つのFc断片が生成する。前記Fc断片は、ジスルフィド結合により連結された2つのポリペプチドから構成される。各ポリペプチドは、N末端からC末端までヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH3ドメインから構成される。前記Fc断片の構造は、すべてのサブタイプのヒト免疫グロブリンでほぼ同一である。IgGは、ヒト血液中に最も豊富に存在するタンパク質の1つであり、ヒト血清中の総免疫グロブリンの70~75%を占めている。
【0062】
免疫グロブリンのFc領域は、体内で代謝された生分解性ポリペプチドであるため、薬物担体として安全に使用することができる。また、免疫グロブリンのFc領域は、免疫グロブリン分子全体に比べて比較的低い分子量を有するため、融合タンパク質の調製、精製及び生産に有利である。免疫グロブリンのFc領域には、Fab断片(そのアミノ酸配列は抗体のサブクラスによっては高度に不均一である)が含まれていないため、免疫グロブリンのFc領域は物質の均一性を大幅に増加させて低い抗原性を有することが期待される。
【0063】
当業者が一般的に考えられているように、「免疫グロブリンのFc領域」という用語は、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域を含まずに、免疫グロブリンの重鎖定常領域2(CH2)及び重鎖定常領域3(CH3)を含むタンバク質セグメントを指す。また、Fc領域は、重鎖定常領域におけるヒンジ領域を含んでも良い。さらに、本発明における免疫グロブリンのFc領域は、天然のタンバク質と実質的に類似又はより優れた生理学的機能を有する限り、重鎖及び軽鎖の可変領域以外の重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域(CL)を含むFc領域の一部又は全部を含んでも良い。さらに、CH2及び/又はCH3のアミノ酸配列の長いほうの部分に欠失した断片であってもよい。例えば、本発明における免疫グロブリンのFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメイン;2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン;5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3又はCLドメイン;6)1つ以上の定常領域ドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はその一部)との組み合わせ;又は7)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域のそれぞれのドメインの二量体、を含むことができる。要するに、本発明における免疫グロブリンのFc領域とは、1つまたは複数の重鎖/軽鎖の定常領域ドメイン又はその変異体形態を有し、生体内半減期を延長する機能を融合タンパク質に与える可能な任意の形態のFc又はその変異体/誘導体を指し、例えば、単鎖Fc、単量体Fcを指す。
【0064】
さらに、本発明における免疫グロブリンのFc領域には、天然のアミノ酸配列及びその配列変異体(突然変異体)が含まれることができる。アミノ酸配列の誘導体は、1つまたは複数のアミノ酸残基の欠失、挿入、非保存的若しくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより、天然のアミノ酸配列とは異なる配列を有する。例えば、IgG Fcでは、214から238位、297から299位、318から322位、又は327から331位における結合に重要と知られているアミノ酸残基を、適切な標的として修飾に使用することができる。さらに、他の可能な誘導体としては、例えば、ジスルフィド結合を形成できる領域が欠失されたもの、天然のFc形態のN末端でいくつかのアミノ酸残基が欠失されたもの、及び天然のFc形態のN末端にメチオニン残基が付加されたものが挙げられる。さらに、エフェクター機能を除去するために、欠失は、C1q結合部位やADCC部位などの補体結合部位で発生することがある。このような免疫グロブリンのFc領域の配列誘導体を調製するための技術としては、WO97/34631及びWO96/32478に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、当業者に周知されているように、Fc領域中の1つまたは複数のアミノ酸を変異させることによってFcRnに対するFcの親和性を増強して血清半減期を延長することができるので、T250Q/M428L変異(CN1798767B)のような変異体形態のFc領域も本発明におけるFc領域の意味範囲内にある。
【0065】
タンバク質及びペプチドにおける一般に分子の活性を変化させないアミノ酸の置換は、当技術分野で知られている(H.Neurath,R.L.Hill,The Proteins,Academic Press,New York,1979)。最もよく発生する置換としては、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu及びAsp/Glyであり、逆方向の置換も可能である。
【0066】
必要であれば、Fc領域は、リン酸化、硫酸化、アクリル酸エステル化、グリコシル化、メチル化、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化、アミド化などにより修飾されることができる。
【0067】
上記のFc誘導体は、本発明におけるFc領域と同じ生物活性又は改善された構造安定性(例えば、熱、pHなどに対する構造安定性)を有する誘導体である。
【0068】
さらに、これらのFc領域は、ヒトや、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット及びモルモットを含む他の動物から単離された天然の形態から得ることができ、又は形質転換された動物細胞又は微生物から得られたその組換え体若しくは誘導体であってもよい。本明細書では、それらは、ヒト又は動物の生体から無傷の免疫グロブリンを単離し、そしてタンパク質分解酵素で処理することにより、天然の免疫グロブリンから得ることができる。天然免疫グロブリンは、パパインでFab領域とFc領域に消化されるが、ペプシンで処理すればpFc’及びF(ab’)2の断片が生成する。例えば、これらの断片をサイズ排除クロマトグラフィーにかけてFc又はpFc’を単離することができる。
【0069】
さらに、本発明における免疫グロブリンのFc領域は、天然の糖鎖を有する形態、天然の形態と比較して糖鎖が増加した形態、又は天然の形態と比較して糖鎖が減少した形態であってもよいし、脱グリコシル化の形態であってもよい。免疫グロブリンFc糖鎖の増加、減少又は除去は、化学法、酵素法、遺伝子工学方法、又はN297グリコシル化部位を変異させる方法など、当技術分野で一般的に用いられる方法により行うことができる。Fc断片から糖鎖を除去することにより、補体(C1q)への結合親和性が著しく低下するし、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が低下又は喪失するようになるので、所望しない体内の免疫応答が誘導される恐れがない。このように、薬物として用いられるためには、脱グリコシル化又は非グリコシル化形態の免疫グロブリンのFc領域が本発明の目的により適している。
【0070】
本発明で使用される「脱グリコシル化」という用語は、Fc領域から糖部分を酵素的に除去することを意味し、「非グリコシル化」という用語は、Fc領域が、グリコシル化されていない形態として原核動物(好ましくは大腸菌)により産生されるか、又はN297グリコシル化部位をG、A又は任意の他のアミノ酸に変異させる方法により産生されるものを意味する。
【0071】
さらに、免疫グロブリンのFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMから誘導体化されたFc領域であってもよいし、それらの組み合わせ又はハイブリダイゼーションにより調製されたものであってもよく、好ましくは、IgG又はIgM(ヒト血液中に最も豊富に存在するタンバク質の1つである)から誘導体化され、最も好ましくは、IgG(リガンド結合タンバク質の半減期を延長することが知られている)から誘導体化される。
【0072】
本発明で使用される「組み合わせ」という用語は、同じ由来の単鎖免疫グロブリンFc領域のポリペプチドと異なる由来の単鎖ポリペプチドとを連結して二量体又は多量体を形成することを意味する。即ち、二量体又は多量体は、IgG Fcセグメント、IgA Fcセグメント、IgM Fcセグメント、IgD Fcセグメント及びIgE Fcセグメントから選択される2つ以上のセグメントから形成することができる。
【0073】
プロテアーゼ分解
プロインスリンは、活性がないか又は活性が非常に低いものであり、従来技術で組換えインスリンを作製するため、大腸菌又は酵母菌で発現させた後、トリプシン又はトリプシンとカルボキシペプチダーゼBを使用して活性分子に処理するというプロセスが通常に用いられている。しかし、このような通常の作製プロセスは、Fcがトリプシンの酵素切断部位を多く含んでプロインスリンの活性分子への処理中に切断されて失効する恐れがあるから、抗体のFc領域を用いてインスリンと抱合体を形成する場合には使用できない。従来技術では上記の問題を回避するために、単鎖インスリンをFc領域に直接連結させている。しかし、本発明者らの研究によると、上記インスリンは、生体内活性が非常に低いことが見られた。
【0074】
本発明者らは、体内のインスリンの成熟機構を模倣し、天然のインスリンにより近い構造を有する(成熟分子中のA鎖とB鎖がジスルフィド結合により結合されている)同時に、Fc領域が連結されていたインスリン抱合体を調製することができれば、インスリンの活性を大幅に向上させる可能性があることを予期せず発見した。出願人は、精力的なスクリーニングの結果、本発明における構造の融合ポリペプチドを調製する場合、Kex2プロテアーゼやフリンプロテアーゼ(Furin)などの酵素切断部位を導入し、前記プロテアーゼを用いて処理することにより活性及び持効型のインスリン抱合体分子が得られることを見出した。
【0075】
本発明に記載されるKex2プロテアーゼは、カルシウムイオン依存性タンパク質分解酵素であり、Arg-Arg、Lys-Argなどの二塩基性アミノ酸のカルボキシ末端のペプチド結合を特異的に認識・切断することができる。トリプシンとは異なり、Kex2は単一の塩基性アミノ酸であるアルギニン又はリジンのカルボキシ末端のペプチド結合を認識・切断することができない。Kex2プロテアーゼは、酵母体内でkiller toxin及びα-factorの前駆体の処理を担っている。Kex2プロテアーゼの活性は、アプロチニン、PMSF、TPCKなどの通常のセリンプロテアーゼ阻害剤からの阻害を受けない。
【0076】
本発明に記載されるフリンプロテアーゼ(Furin)は、真核生物細胞における重要なエンドプロテアーゼであり、ゴルジ体の外側の網に位置し、外分泌経路の主要なタンバク質転化酵素であり、特定のアミノ酸配列を認識することができ、小胞体-ゴルジ体で2回に自己せん断して活性化された後、分泌経路中の多くの重要なポリペプチド及びタンパク質の前駆体に対して、せん断処理を行って生物活性を有させるように働いている。フリンプロテアーゼは、そのコード遺伝子(fur)が癌原遺伝子fes/fepsの上流に位置することから知られている。具体的には、フリンプロテアーゼは、元のタンパク質におけるArg-Xaa-Yaa-Argカルボキシ末端のペプチド結合(ただし、Xaaは任意のアミノ酸、YaaはArg又はLysである)を触媒して切断し、成熟のタンバク質を生成する。
【0077】
本発明に係る融合ポリペプチドは、プロテアーゼで処理された後、A鎖とB鎖の間のリンカーペプチドが切断され、そしてA鎖とB鎖の間に天然のインスリンと類似の形態でジスルフィド結合が生じ、例えば、A7(Cys)-B7(Cys)、A20(Cys)-B19(Cys)の4つのシステインにおけるチオール基が2つのジスルフィド結合を形成して、A鎖とB鎖の2つの鎖を連結させる。また、A鎖の内部のA6(Cys)とA11(Cys)との間にジスルフィド結合が1つ存在することが好ましい。本発明者らは、A鎖又はB鎖とFc領域との接続が存在しても、A鎖とB鎖との間にジスルフィド結合の接続及び空間折り畳みが正確に生じ、Fc領域に融合したインスリンが形成することを驚き見出し、そして本発明を完成に至った。
【0078】
リンカー(Linker)
本発明の融合タンパク質においては、リンカーLはインスリンのA鎖又はB鎖とFc領域とを連接する役割を果たしており、ポリペプチドであってもよく、非ペプチド鎖の化学構造であってもよい。
【0079】
いくつかの実施形態においては、リンカーはポリペプチドである。前記ポリペプチドは、主にA、T、G及び/又はSからなる柔軟性単位(柔軟性ペプチドセグメント)であるか又はそれを含み、より具体的には、G及びSからなる柔軟性単位である。前記柔軟性単位の長さは、2~50個以上のアミノ酸とすることができ、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45又は50個のアミノ酸である。
【0080】
いくつかの別実施形態では、リンカーは、主に剛性アミノ酸からなる剛性単位(剛性ペプチドセグメント)を含むポリペプチドである。前記剛性アミノ酸には、V、P、I、K及びLが含まれるがこれらに限定されない。
【0081】
構造特徴付け
インスリン-Fc融合タンパク質は、CHO細胞により発酵・分泌され、融合タンパク質がCHO細胞中で転写及び翻訳された後、プロリンのヒドロキシ化、O糖、N糖、C末端のリジン欠失などの翻訳後の修飾を含む一連の処理を受ける。ただし、これらの修飾は、インスリンB鎖及びA鎖以外の配列に発生する。また、インスリン-Fc融合タンパク質は、その構造を安定させるようにCHO細胞のオルガネラでジスルフィド結合を形成する。
【0082】
インスリン-Fc融合タンパク質のジスルフィド結合は、2つのシステイン(Cys)の残基間に生じる。そのジスルフィド結合は、位置によって、インスリンに存在する部分と、Fcに存在する部分との2つの部分に分けられる。インスリンのジスルフィド結合は、B鎖とA鎖にあり、N末端からC末端までの順でB鎖とA鎖のアミノ酸を位置(X)として表す場合、それぞれBXとAXである。いくつかの実施例においては、ジスルフィド結合は、CysA7-CysB7、CysA20-CysB19、CysA6-CysA11である。Fc領域は、同じアミノ酸配列を有する2つの単鎖から構成される。いくつかの実施例においては、各単鎖において2対のジスルフィド結合があり、2つの単鎖の間に2対の鎖間ジスルフィド結合があり、Fcに合計6対のジスルフィド結合がある。
【0083】
UPLC-QTOFは、生体高分子の構造を分析するための通常の機器であり、主な機能モジュールとしてUPLCとQTOFを含む。UPLCにより分離された後の試料が溶液の状態でイオン源に入ってイオン化され、電荷イオンになり、加速電場の作用の下で、質量分析器QTOFに入り、電場及び磁場の作用下で、トリプル四重極(Q)及び飛行時間型質量分析(TOF)の2つの質量分析器により様々なイオンのm/zが捕捉され、ソフトウェアの計算により正確な分子量を算出し、そして複雑な生体高分子タンパク質の構造解析を実現する。本発明では、融合タンパク質を分析するための手段として、高分解能、高感度を有する一般的に使用される装置法であるUPLC-QTOFを採用し、融合タンパク質の脱糖及び脱糖還元分子量、ジスルフィド結合及びジスルフィド結合ミスマッチ率を分析して特徴付けた。
【0084】
その結果、いくつかの実施例におけるインスリン-Fc融合タンパク質は、分子量及びジスルフィド結合が理論と一致しており、ミスマッチ率が低く、プロリンのヒドロキシ化、Oグリコシル化、Nグリコシル化、C末端のリジン欠失などの翻訳後の修飾が存在することが示される。
【実施例
【0085】
実施例1:インスリン前駆体融合タンパク質の発現ベクターの構築
本実施例にはインスリン前駆体融合タンパク質の分子構築方法を説明する。本明細書では、インスリン前駆体融合タンパク質はインスリン融合タンパク質とも呼ばれることがある。このインスリン前駆体融合タンパク質は、分子形態がproINS-L-Fcであり、酵母又は真核細胞(CHO、HEK293など)で分泌及び発現されることができ、発現したタンパク質がホモ二量体の形で存在する。タンパク質の分泌及び発現を促進するために、シグナルペプチド及び/又はプロペプチドをタンパク質のN末端に付加することができる。シグナルペプチドには、以下の表1に示される配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
【表1】
【0087】
proINSは、ヒト又は他に由来する天然のインスリン前駆体又はその類似体を指す。前記類似体には、例えば、A14E\B16E\B25H\desB30変異体、A14E\B16H\B25H\desB30変異体又はA14E\desB30変異体などの、挿入、欠失、短縮又は変異されたインスリン前駆体が含まれる。前記類似体は、例えば、インスリンの免疫原性を低下させるか、プロテアーゼ分解を低下させてインスリンの安定性を高めるか、又はインスリンとインスリン受容体(IR)との親和性を低下させて生体内半減期を延長する目的として用いられる。
【0088】
本実施例のインスリン前駆体は、Kex2や、Furin、トリプシンなどのプロテアーゼにより成熟インスリンに処理されることができる。本実施例のインスリン前駆体は、最適化されたCペプチドによってタンパク質の正しい折り畳みと処理を促進することもできる。本実施例で選択されるインスリン前駆体類似体には、以下の表3に示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
【表2】
【0090】
Lは、proINSとFcとの間のリンカーを表し、0から任意の長さまでのアミノ酸で構成することができ、柔軟性ポリペプチドであってもよく、剛性ポリペプチドであってもよい。Lは、Fcのホモ二量体に結合した2つのインスリン分子がそれぞれに正しい空間構造を形成するのに寄与することができる。好ましくは、前記Lの配列には、表4、表5に示される配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
Fcは、ヒトIgGであることが好ましく、ADCC及びCDC活性のないヒトIgG及びその変異体、例えばIgG2及びIGg4であることがより好ましく、変異された半減期が延長されたヒトIgGであることが特に好ましい。Fcは、Fcの断片又はFcと他のタンパク質/タンパク質の断片との融合であってもよい。本発明により選択されるFcには、以下の配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
Fc1:ヒトIgG1 Fc
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号36)
【0095】
Fc2:ヒトIgG2 Fc、T250Q/P331S/M428L
VECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号37)
【0096】
Fc3:ヒトIgG4 Fc、S228P
ESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号38)
【0097】
Fc4:ヒトIgG2 Fc、T250Q/ N297A/P331S/M428L
VECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号39)
【0098】
Fc5:ヒトIgG2 Fc、M252Y/S254T/T256E/N297A
VECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号40)
【0099】
Fc6:ヒトIgG2 Fc、N297A/M428L/N434S
VECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSPGK(配列番号41)
【0100】
Fc7:ヒトIgG4 Fc、S228P/F234A/L235A
ESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号42)
【0101】
Fc8:ヒトIgG4 Fc、S228P/M252Y/S254T/T256E/N297A
ESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号43)
【0102】
Fc9:ヒトIgG4 Fc、S228P/N297A/M428L/N434S
ESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSLG(配列番号44)
【0103】
Fc15:ヒトIgG4 Fc、S228P/F234A/L235A
ESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号45)
【0104】
Fc16:ヒトIgG2 Fc
VECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号46)
【0105】
本発明により構築された一部のインスリン前駆体融合タンパク質のアミノ酸配列の特徴を表6に示す。
【0106】
【表5】
【0107】
インスリン前駆体融合タンパク質は、Kex2、Furin、トリプシンなどのプロテアーゼにより処理してCペプチドなどの配列を除去し、成熟インスリン融合タンパク質に変換することができる。本出願のすべての実施例においては、酵素切断処理後のタンパク質の名前は、前駆体タンパク質の名称の末端に文字M(mature)を追加したものである。例えば、インスリン前駆体融合タンパク質SS302-002がプロテアーゼKex2により処理された後、成熟タンパク質がSS302-002Mと命名される。本発明で記載されているいくつかのインスリン前駆体融合タンパク質がプロテアーゼにより処理されて得られた成熟インスリン融合タンパク質のアミノ酸配列は以下の通りである。
【0108】
SS302-001M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号73)
A鎖-L-Fc1:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号74)。
【0109】
SS302-002M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号75)
A鎖-L-Fc2:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号76)
【0110】
SS302-003M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号77)
A鎖-L-Fc3:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号78)
【0111】
SS302-004M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号79)
A鎖-L-Fc2:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号80)
【0112】
SS302-005M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号81)
A鎖-L-Fc4:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号82)
【0113】
SS302-006M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号83)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNSASSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号84)
【0114】
SS302-007M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号85)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号86)
【0115】
SS302-008M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号87)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNSASSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号88)
【0116】
SS302-009M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号89)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPASSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号90)
【0117】
SS302-011M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号91)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAVAPPPALPASSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92)
【0118】
SS302-012M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号93)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号94)
【0119】
SS302-013M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号95)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号96)。
【0120】
SS302-014M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号97)
A鎖-L-Fc5:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号98)
【0121】
SS302-015M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号99)
A鎖-L-Fc6:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSPGK(配列番号100)
【0122】
SS302-016M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号101)
A鎖-L-Fc7:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号102)
【0123】
SS302-017M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号103)
A鎖-L-Fc8:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号104)
【0124】
SS302-018M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号105)
A鎖-L-Fc9:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSLG(配列番号106)
【0125】
SS302-019M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKTRR(配列番号107)
A鎖-L-Fc7:GIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号108)。
【0126】
SS302-022M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTKRIKR(配列番号109)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号110)
【0127】
SS302-023M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTDDDDK(配列番号111)
A鎖-L-Fc16:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号112)
【0128】
SS302-029M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKTRR(配列番号113)
A鎖-L-Fc8:GIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号114)
【0129】
SS302-030M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKTRR(配列番号115)
A鎖-L-Fc9:GIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSLG(配列番号116)
【0130】
SS302-035M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALHLVCGERGFHYTPKR(配列番号117)
A鎖-L-Fc15:GIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号118)
【0131】
SS302-036M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKR(配列番号119)
A鎖-L-Fc15:GIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号120)
【0132】
SS302-037M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKR(配列番号121)
A鎖-L-Fc15:GIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号122)
【0133】
SS302-038M
B鎖:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR(配列番号123)
A鎖-L-Fc15:GIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号124)
【0134】
「分子クローニング実験手引き(第三版)」に記載されている方法に従って、インスリン前駆体融合タンパク質の発現ベクターを構築した。
【0135】
各インスリン前駆体融合タンパク質の配列は、CHO細胞のコドンバイアスに従ってコドンを最適化された。
【0136】
最適化されたDNA配列の全ゲノムを合成した後、HindIII及びEcoRI部位を介して真核発現ベクターpFRL3.0又はpTS1にクローニングした。pFRL3.0ベクターは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolatereductase、DHFR)の遺伝子を含み、DHFRと目的遺伝子の共増幅によりタンパク質の高レベル発現を実現することができ、このベクターをCHO細胞にトランスフェクションした後、MTX加圧スクリーニングにより安定発現細胞系を構築する。pTS1は、一過性トランスフェクションプラスミドであり、加圧スクリーニングのマーカーを含まず、初期の分子同定のために少量のインスリン前駆体融合タンパク質を迅速に得ることができる。インスリン前駆体融合タンパク質の発現ベクターの概略図を図1A及び1Bに示す。
【0137】
実施例2:インスリン融合タンパク質の発現
1.一過性トランスフェクションによる目的タンパク質の調製
実施例1で調製したインスリン前駆体-Fc融合タンパク質を部分的に発現したプラスミドをヒト胎児腎細胞HEK-293に導入し、目的タンパク質を一過性に発現させた。HEK-293細胞を蘇生させ、細胞培養振とうフラスコに入れて継代培養し、継代播種の密度を1.0×10細胞/mLとし、培地をOPM-293 CD05 Medium(Shanghai OPM Biosciences Co., Ltd.)とし、培養条件を37℃、120rpm、COとし、2日おきに継代し、1週間培養後に一過性トランスフェクションに使用した。トランスフェクションの当日に細胞密度が4.0×10細胞/ml程度になるように、トランスフェクション前に細胞密度を調整した。FectoPROキット(Polyplus Transfection)を用いてプラスミドをHEK-293細胞に一過性トランスフェクションした。ここでは、DNAとFectoPRO(登録商標)Reagentの比率を1:1(μg/μL)とし、細胞1ミリリットルあたり1μgのDNAをトランスフェクションし、1μLのFectoPRO(登録商標)Reagentに相当した。プラスミドを一過性トランスフェクションの総体積10%の室温Opti-MEM(Gibco)で希釈し、振とう混合した。プラスミド希釈液をFectoPRO(登録商標)Reagentの遠心管に一括的に添加し、直ちに混合し、室温で10分間インキュベートした。調製したプラスミドとトランスフェクション試薬の混合物を、調整したHEK-293細胞懸濁液に一括的に添加し、混合し、細胞培養振とうフラスコをインキュベーターに入れ、温度37℃、5%CO、シェーカー速度120rpmとした培養条件下で、培養を行った。細胞を4時間トランスフェクション培養した後、Volume of FectoPRO(登録商標)Boosterを添加し、細胞1ミリリットルあたり0.5μLを添加した。24時間培養後、培養条件を温度31℃、5%CO、120rpm発酵培養に変更し、3~5日間培養し、細胞生存能力が90%未満である際、遠心分離して上清(3000rpm)を回収し、発現量を検出し、次の精製を行い、目的タンパク質を得た。
【0138】
2.安定発現細胞株のトランスフェクション及び高発現細胞株のスクリーニング
実施例1で調製したインスリン前駆体-Fc融合タンパク質を部分的に発現したプラスミドをチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO DG44)(インビトロジェン )に導入し、安定発現細胞系を構築し、そこから高収量の細胞株をスクリーニングして流加培養して目的タンパク質を調製した。
【0139】
完全培地で宿主細胞DG44を蘇生して培養した。完全培地の組成をCDM1N(Shanghai OPM Biosciences Co., Ltd.)に1%HT(インビトロジェン)を加えたものとし、培養条件を37℃、5%COとし、シェーカー速度を120rpmとした。毎日一定量の細胞懸濁液を無菌的に吸引してカウントし、細胞密度が3×10~4×10細胞/mLに達した時点で継代培養を行い、継代後の細胞の初期密度を1×10細胞/mL程度に維持した。細胞の総量がトランスフェクション要件を満たしたら、細胞を収集してコトランスフェクション試験を行った。Bio-Radエレクトロポレーション装置を用い、エレクトロポレーションに4mmのエレクトロポレーションカップを選択し、電圧が290V、パルス長さが20ミリ秒、エレクトロポレーションの回数が1回であった具体的なエレクトロポレーションパラメータにした電気穿孔法で、宿主細胞(CHO DG44)にトランスフェクションした。毎回のエレクトロポレーションで、1×10細胞、プラスミド40μg、総体積0.8mLとした。エレクトロポレーション後、細胞を15mLの回復培地(CDM1N+1%HT)に移し、細胞培養皿で48時間静置培養した。48時間後、細胞を遠心分離してスクリーニング培地(CDM1N+100nM MTX)に再懸濁し、細胞を1×10細胞/mL程度に希釈し、細胞希釈液を100μL/ウェルで96ウェルプレートに播種し、細胞をインキュベーターに置いて静置培養し、培養温度37℃、5%COとした。細胞を5日間培養した後、50μLのスクリーニング培地を追加し、クローンコンフルエンスが80%以上に達した時点で、ドットブロッティング(Dot Blotting)により発現量を分析し、抗体をヤギ抗ヒトIgGHRP標識抗体とし、発現量の高いクローンをスクリーニングし、発現量の高いクローンを96ウェルプレートから24ウェルに移して培養を継続し、1mLのスクリーニング培地を追加した。同様の方法を用いて12ウェルプレートと10cm細胞培養皿で高収量クローンのスクリーニングと増幅を行った。
【0140】
融合タンパク質の収量を高めるために、MTX濃度を増加する加圧法を用いて細胞を培養した。MTXによるDHFR遺伝子の阻害により、DHFR遺伝子と融合タンパク質遺伝子の共増幅を実現した。スクリーニングプロセスは、当業者に公知の方法を採用し、詳細は、1.楊薇,王迪,陳克清等.プラスミド電気穿孔法トランスフェクション条件の選択[J].華中科技大学学報,2009,38(6):858-860.;2.谷欣,黎燕.哺乳類動物細胞DG44-CHOをコトランスフェクションする方法の検討[J].生物技術通信,2008,19(1):87;3.Jun,Kim,Baik,Hwang,Lee:Selection strategies for the establishment of recombinant Chinese hamster ovary cell line with dihydrofolate reductase-mediated gene amplification.Appl Microbiol Biotechnol.2005,69(2):162-169.10.1007/s00253-005-1972-8に参考されたい。
【0141】
10cmの細胞培養皿中のクローンプールをスクリーニングした後、高収量のクローンを細胞培養振とうフラスコに移して、培養温度37℃、5%CO、シェーカー速度120rpmで培養した。高収量の細胞クローンが一定数に成長した後、一部の細胞を収集して凍結保存し、残りの細胞を流加培養した。バッチで基質を供給する際、播種密度を1×10細胞/mlとし、細胞を細胞培養振とうフラスコで培養温度37℃、5%CO、シェーカー速度120rpmで培養した。播種後、毎日サンプリングしてカウントし、細胞密度と生存能力を記録した。培養3日目から補充を開始し、1日1回補充した。3~8日目、補充量がそれぞれ初期体積の2%、3%、4%、3%、3%、3%で、9日目以降の補充量が2%であり、総補充量の割合が20%~30%であった。1日1回グルコースを補充し、培養系内のグルコース濃度を3~4g/Lに維持した。培養期間を12~14日とし、培養終了後、遠心分離(3000rpm)により上清を回収し、発現量を検出し、目的タンパク質を得るために次の精製を行った。
【0142】
実施例3:インスリン-Fc融合タンパク質の精製
1.インスリン前駆体-Fc融合タンパク質の捕捉
実施例2で発現された各インスリン前駆体-Fc融合タンパク質(SS302-002、SS302-004、SS302-005、SS302-008、SS302-012、SS302-014、SS302-015、SS302-019、SS302-029、SS302-030、SS302-035)の細胞発酵ブロスを遠心分離し、0.22μmのフィルターを通してろ過して細胞破片を除去した後、アフィニティークロマトグラフィーにより捕捉した。ボルグロンproteinAをアフィニティ媒体として、ベースラインが安定するまで、カラム体積の3~5倍の緩衝液(20mMのNaHPO4-クエン酸、pH7.5)でproteinAクロマトカラムを平衡化し、処理された発酵ブロスの上清をロードし(ロード量3~8g/L)、ロードした後、不純物タンパク質を洗浄緩衝液(20mMのTris、1.5MのNaCl、2MのUrea、pH7.5)でベースラインまで洗浄し、最後に20mMのNaHPO-クエン酸、0.4MのArg、pH3.5の溶出緩衝液で溶出し、紫外線検出器の読み取りに従って段階的に収集した。収集は、UV280nm吸収値が0.15AUよりも高くなった時に開始し、0.20AUよりも低くなった時に停止した。収集したサンプルをすぐに2.0mol/LのTris-HCl緩衝液に加え、ゆっくり攪拌し、サンプルをpH6.5~7.0に調整した。サンプルを-80℃で保存し、その後のSDS-PAGE分析(図2)及び構造同定(実施例4を参照のこと)を行った。
【0143】
SDS-PAGEの結果を図2に示す。ここでは、ロードはクロマトグラフィーにロードしたサンプルを表し、FTはフロースルーサンプル(flow throug時間)を表し、washはリンスサンプルを表し、P1、P2、P3などはクロマトグラフィープロセスに段階的に収集した目的タンパク質のサンプルを表し、「P合」は段階的に収集したサンプルを収集体積の体積比に従って合併したサンプルを表し、NaOHはカラム洗浄から収集したサンプルを表し、DTTは還元後の目的タンパク質を表し、Mは分子量マーカー(maker)を表し、A:SS302-002、B:SS302-004、C:SS302-005、D:SS302-008、E:SS302-014、F:SS302-019、G:SS302-030、H:SS302-012、I:SS302-015、J:SS302-029、K:SS302-035。図2から分かるように、SS302-002タンパク質には明らかな上部バンド(約130KD)と下部バンド(95と130KDとの間)があり、高分子量の形態(>170KD)が存在する。純度が90%を超える上部バンド(130KD)の収率は約60%であった。SS302-004タンパク質は明らかな上部バンド(95~130KD)と下部バンド(約95KD)を有する。その中の下部バンドP1~4の合併サンプルと上部バンドP13~15の合併サンプルをそれぞれ構造同定のために質量分析に供した(実施例4)。この分子は、捕捉タンパク質中の大部分が95KDの下部バンドであり、95と130KDとの間で純度が90%を超える上部バンドが捕捉されたタンパク質中の収率が低かった(15%程度)。SS302-005タンパク質は72~95KDの間で、電気泳動バンドが広く拡散状を呈している。以上の分子は、共通の特徴としてGS柔軟性リンカーを含むが、SS302-008、SS302-012、SS302-015などの他の分子は、基本的に単一のバンドであり、これらの分子の共通の特徴としてCTP、C1などの剛性リンカーを含む。さらに、質量分析の同定結果(実施例4を参照のこと)から示されるように、柔軟性リンカー(例えば、GS)を含むインスリン前駆体-Fc融合タンパク質のジスルフィド結合は、一定のミスマッチ率を有し、正しいバンドの回収率が低かったが、柔軟性リンカー(例えば、GS)を含むインスリン前駆体-Fc融合タンパク質に対する剛性リンカーを含むインスリン前駆体-Fc融合タンパク質のジスルフィド結合は、ミスマッチが低く、得られたタンパク質中の正しく折り畳まれたインスリン前駆体タンパク質の含有量が比較的に高かった。
【0144】
2.インスリン前駆体-Fc融合タンパク質の酵素切断
ステップ1で捕捉されたタンパク質をG25、緩衝液50mMTris、150mMのNaCl、pH8.0を使用して液交換を行い、液交換後、各タンパク質に対してKex2でCペプチドを酵素切断してインスリン-Fc融合タンパク質を得た。なお、SS302-002及びSS302-004の酵素切断の条件は:タンパク質の最終濃度1mg/mL、フィード比(質量比)200:1(前駆体:Kex2)、CaCl最終濃度20mM/L、総反応体積5mL及び3mL、37℃水浴6時間酵素切断とした。SS302-008、SS302-012の3つのタンパク質の酵素切断の条件は:タンパク質最終濃度1mg/mL、フィード比(質量比)50:1(前駆体:Kex2)、CaCl最終濃度20mM/L、総反応体積190mL、37℃水浴6時間反応とした。SS302-014、SS302-015、SS302-019、SS302-029、SS302-030、SS302-035の酵素切断の条件は、タンパク質最終濃度1mg/mL、フィード比(質量比)1:25(Kex2:前駆体)、CaCl最終濃度20mM/L、総反応体積60~180mL(異なるタンパク質の反応体積はわずかに異なる)、37℃水浴6時間とした。各インスリン前駆体-Fc融合タンパク質酵素の切断後のインスリン-Fc融合タンパク質はS302-002M、SS302-004M、SS302-005M、SS302-008M、SS302-012M、SS302-014M、SS302-015M、SS302-019M、SS302-029M、SS302-030M、及びSS302-035Mと命名された。
【0145】
3.酵素切断後のインスリン-Fc融合タンパク質の精製
プロテアーゼ及び反応後の不純物を除去し、より純度が高く正しく折り畳まれたインスリン-Fc融合タンパク質を得るために、SS302-004M及びSS302-005Mを酵素で切断した後に10KD限外ろ過チューブを用いてプロテアーゼ及び他の不純物を除去し、純度の高いインスリン-Fc融合タンパク質を得た。SS302-008M、SS302-012M、SS302-014M、SS302-015M、SS302-029M、SS302-030Mを酵素で切断した後に疎水性クロマトグラフィーを用いて不純物を除去した。3~5倍のカラム体積の20mMのTris、1Mの(NHSO、pH7.5緩衝液で疎水性クロマトグラフィー媒体Butyl HP(ボルグロン)を平衡化し、平衡化が完成した後に試料注入を開始し(注入量3~8g/L)、試料注入後、20mMのTris、pH7.5緩衝液で直線的に溶出し(0~100%、20倍のカラム体積)、紫外線検出器の読み取りに従って段階的に収集し、サンプリングして検出した。SS302-019M、SS302-035Mを酵素で切断した後に2段階に分けて不純物を除去し、第1ステップでは陰イオンクロマトグラフィーを採用し、3~5倍のカラム体積の20mMのTris、pH8.5緩衝液を用いて陰イオンクロマトグラフィー媒体Q HP(ボルグロン)を平衡化し、平衡化が完成した後に試料注入を開始し(注入量5g/L)、試料注入後、20mMのTris、0.5MのNaCl、pH8.5緩衝液を用いて3ml/minの流速で0~60%B 15CV直線的に溶出し、紫外線検出器の読み取りに従って段階的に収集し(上記と同じの方法)、サンプリングして検出し、純度の高いほうのサンプルを併用して次の疎水性クロマトグラフィーに供した。3~5倍のカラム体積の20mMのTris、1MのNaCl、pH8.0緩衝液を用いて疎水性クロマトグラフィー媒体Butyl HP(ボルグロン)を平衡化し、平衡化が完了した後に試料注入を開始し、注入量を3~8g/Lとし、試料注入後、20mMのTris、pH8.0緩衝液を用いて1ml/minの流速で0~100%B 15CV直線的に溶出し、紫外線検出器の読み取りに従って段階的に収集し(上記と同じの方法)、サンプリングして構造分析し、UPLC-QTOFを用いてその分子量とジスルフィド結合を特徴付けた。詳細については実施例4を参照のこと。
【0146】
実施例4:融合タンパク質の分子構造の解析
インスリン融合タンパク質前駆体の構造はproINS-L-Fcであり、proINSはヒトインスリン前駆体(B-C-Aを含む)、Lはリンカー(linker)であり、その概略図を図3Aに示す。インスリン融合タンパク質前駆体は酵素加水分解されると、インスリン(B-A)-L-Fc構造の成熟タンパク質を形成し、その概略図を図3Bに示す。インスリン融合タンパク質に用いられるリンカーには、柔軟性リンカー(例えば、GS)又は剛性リンカー(例えば、CTP、C1)がある。CHO細胞で発酵すると、プロペプチド、剛性リンカー(例えば、CTP、C1)におけるS及びTにはOグリコシル化を生じる可能性があり、C1のようなリンカーにおけるPにはプロリンのヒドロキシ化を生じる可能性があり、GSのような柔軟性リンカーには翻訳後の修飾をほとんど生じない。この構造の解析では、UPLC-QTOFを採用してその分子量とジスルフィド結合を特徴付けた。インスリン-Fc融合タンパク質分子(糖修飾を含有する)を脱糖して脱糖還元し後、分析に容易な無糖の修飾分子を得た。SS302-002(約130KD)、SS302-002(95と130KDとの間)、SS302-008、SS302-008M、SS302-012、SS302-012M、SS302-014、SS302-014M、SS302-015、SS302-015M、SS302-019、SS302-019M、SS302-029、SS302-029M、SS302-030、SS302-030M、SS302-035、SS302-035Mに対して、完全に脱糖し、脱糖分子と還元分子の検出を行い、SS302-004(95と130KDとの間)、SS302-004(約95KD)、SS302-005に対して完全性、還元分子の検出を行った結果、インスリン-Fc融合タンパク質の分子量は理論と一致した。
【0147】
インスリン-Fc融合タンパク質の空間構造は、2つのシステイン(Cys)残基のチオール基間に形成されたジスルフィド結合によりサポートされて安定化された。そのジスルフィド結合は、インスリン部分のジスルフィド結合とFc部分のジスルフィド結合の2つの部分に分けられた。インスリン部分のジスルフィド結合はB鎖とA鎖にあり、N末端からC末端の順でB鎖とA鎖のアミノ酸をそれぞれBXとAXとして命名した(ただし、Xはアミノ酸の配列番号、ジスルフィド結合はCysA7-CysB7、CysA20-CysB19、CysA6-CysA11である)。Fcは同じ配列を持つ2つのポリペプチド鎖で構成され、各ポリペプチド鎖には2対のジスルフィド結合が含まれ、2つのポリペプチド鎖には合計4対のジスルフィド結合が含まれ、2つのポリペプチド鎖の間には2対の鎖間ジスルフィド結合があるため、Fcには6対のジスルフィド結合があった。理論的には、インスリン-Fc融合タンパク質のジスルフィド結合は、kex2酵素加水分解プロセスの影響を受けない。インスリン-Fc融合タンパク質のジスルフィド結合の構造解析は、非還元変性により液交換し、制限エンドヌクレアーゼで切断処理を行い、UNIFIソフトウェア分析を併用することにより完成した。前処理には2つの方法がある。UNIFIソフトウェアで分析する際、インスリン-Fc融合タンパク質前駆体の2つの鎖をそれぞれ1鎖及び2鎖と命名した。前処理方法1によりGlu-C酵素加水分解後に形成されたペプチドセグメントUNIFIソフトウェアを1:VN、2:VNとして命名した(表8~表11を参照のこと)。前処理方法2によりGlu-C酵素及びトリプシン酵素加水分解後に形成されたペプチドセグメントUNIFIソフトウェアを1:VTN、2:VTNとして命名した(表15を参照のこと)。インスリン-Fc融合タンパク質の成熟タンパク質については、2つのB鎖をそれぞれ1鎖及び3鎖として命名し、2つのA+Fc鎖をそれぞれ2鎖及び4鎖として命名し、前処理方法2によりGlu-C酵素及びトリプシン酵素加水分解後に形成されたペプチドセグメントUNIFIソフトウェアを1:VTN、2:VTN、3:VTN、4:VTNとして命名し(表12~表14、表16を参照のこと)。ここでは、Nはタンパク質酵素分解後のペプチドセグメントのソフトウェア番号であり、番号規則としてN末端からC末端まで順次に「1、2、3、...」であり、また、UNIFIソフトウェアのジスルフィド結合を「=」として表す。鎖間ジスルフィド結合は2つのペプチドセグメントの間に位置し、鎖内ジスルフィド結合はペプチドセグメントの右側に位置した。
【0148】
SS302-002(約130KD)、SS302-002(95と130KDとの間)、SS302-004(95と130KDとの間)、SS302-004(約95KD)、SS302-005では、前処理方法1を用いてジスルフィド結合解析を行った。前処理方法1の手順は以下の通りである。SS302タンパク質サンプルを0.5mLの10kD限外ろ過チューブに入れ、4℃、12000rpmの条件下で5mg/mLに濃縮した。このように濃縮したサンプル30μLに8Mグアニジン塩酸塩18μL(pH7.5)及び1MのIAA(ヨードアセトアミド)0.48μLを加え、ボルテックス混合し、室温で暗所で40分間インキュベートした。このように得たサンプル1.8μLを採取し、このサンプルを希釈するために50mMのTris-HCl 23μL(pH8)緩衝液を加え、タンパク質:酵素=25:1(μg:μg)になるように0.1mg/mLのGlu-C酵素2.25μLを加え、37℃で一晩水浴し、翌日10%FA(ギ酸)3μLを加えて反応を停止させ、UPLC-QTOFで検出した。前処理方法1の場合は、変性が不完全であるため、リンカー領域は酵素加水分解されにくく、インスリンにおけるジスルフィド結合とヒンジ領域のジスルフィド結合がリンカーペプチドで結合され、分子量が大きくなり、整合させるのが困難である。だから、この方法では、重要なジスルフィド結合の情報が欠けており、SS302-002(約130KD)とSS302-002(95と130KDとの間)の2つのバンド、およびSS302-004(95と130KDとの間)とSS302-004(約95KD)の2つのバンドの間のジスルフィド結合のミスマッチ状況の違いを比較するためによく使用されている。
【0149】
SS302-008、SS302-012、SS302-012M、SS302-014、SS302-014M、SS302-015、SS302-015M、SS302-019M、SS302-029M、SS302-030M、SS302-035、SS302-035Mでは、前処理方法2を用いてジスルフィド結合解析を行った。前処理方法2の手順は次の通りである。SS302タンパク質サンプル40μLに8Mグアニジン塩酸塩120μLを加え、60℃で1時間水浴し、室温まで冷却した後、1MのIAA3.2μLを加え、室温で暗所で45分間インキュベートし、0.5mLの10kD限外ろ過チューブを用いて12000rpm、4℃条件下で3回液交換して50mMのTris-HCl(pH8)緩衝液に交換し、液交換後のサンプル濃度が約0.62mg/mLになるようにした。このように得られたサンプル40μLに、タンパク質:酵素=25:1(μg:μg)となるように2μLのGlu-C酵素(0.5mg/mL)及び2μLのTrypsin酵素(0.5mg/mL)を加え、37℃で一晩水浴し、翌日5μLの10%FAを加えて反応を停止させ、UPLC-QTOFで検出した。前処理方法2ではトリプシンとGlu-C酵素を共に用いて酵素加水分解を行い、上記SS302分子のリンカー領域の酵素加水分解が実現され、正しいジスルフィド結合が整合され、この方法によるミスマッチジスルフィド結合の計算結果がより確実であると考えられる。
【0150】
UNIFIソフトウェアを併用してUPLC-QTOFのジスルフィド結合の検出結果を分析することにより、正しいジスルフィド結合及びミスマッチジスルフィド結合を解析し、そのジスルフィド結合のミスマッチを総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率で表した。ただし、総ミスマッチ率はすべてのジスルフィド結合ペプチドセグメントの総XICピーク面積に対するミスマッチジスルフィド結合ペプチドセグメントの総XICピーク面積の比率であり、インスリンミスマッチ率はすべてのジスルフィド結合ペプチドセグメントの総XICピーク面積に対するインスリン部分のミスマッチジスルフィド結合の総XICピーク面積の比である。SS302-002、SS302-004、SS302-005、SS302-008、SS302-012、SS302-012M、SS302-014、SS302-014M、SS302-015、SS302-015M、SS302-019M、SS302-029M、SS302-030M、SS302-035、SS302-035Mのミスマッチ率を表7に示す。
【0151】
柔軟性リンカーを含む融合タンパク質(SS302-004、SS302-005)では、SS302-005のミスマッチ率がすべての分子の中で最も高く、SS302-004は目的バンド(95と130KDとの間)のミスマッチ率が比較的低いが、ミスマッチ率の高いほうの組分と単離しにくいため、その収率は高くない。リンカーに柔軟性部分と剛性部分の両方を含む融合タンパク質(SS302-002)については、その目的バンドが柔軟性リンカーを含む融合タンパク質(SS302-004)との総ミスマッチ率およびインスリンとのミスマッチ率に相当し、両者とも総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率の高いほうの組分を含み、精製・単離されるのが困難である。一方、剛性リンカーを含む前駆体タンパク質及び成熟タンパク質(SS302-008、SS302-012、SS302-012M、SS302-014、SS302-014M、SS302-015、SS302-015M、SS302-019M、SS302-029M、SS302-030M、SS302-035、SS302-035M)では、総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率が8%未満であった。実施例4におけるSS302-002、SS302-004、SS302-012M、SS302-019M、SS302-030M、SS302-035、SS302-035Mのジスルフィド結合結果について詳細に説明し、結果を表8~16に示す。
【0152】
このように、剛性リンカーは、CHO細胞におけるインスリン融合タンパク質の構造発現の精度に大きな正の効果を有し、剛性が強いほど、その分子構造発現の精度が高くなることが示された。
【0153】
【表6】
【0154】
1.SS302-002
SDS-PAGE技術を併用し、この分子を精製して約130KDのバンド及び95と130KDとの間のバンドを得た。これら2つのバンドについてそれぞれジスルフィド結合の同定を行い、ジスルフィド結合の総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率を推定した。その結果、約130KDバンドの総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率は9%であり、95と130KDとの間のバンドの総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率は29%であった。約130KDバンドのジスルフィド結合結果を表8に、95と130KDとの間のバンドのジスルフィド結合結果を表9に示す。ミスマッチジスルフィド結合は、主にインスリンB鎖の自己結合とインスリンの2つのB鎖のミスマッチに反映された。
【0155】
【表7】
【0156】
【表8】
【0157】
2.SS302-004
この分子は精製して95と130KDとの間のバンド(P1~4合併サンプル)及び約95KDバンド(P13~15合併サンプル)が得られた。これらの2つのバンドについてそれぞれジスルフィド結合同定を行った結果、95と130KDとの間のバンドの総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率はともに4%、約95KDバンドの総ミスマッチ率及びインスリンミスマッチ率はともに37%であった。95と130KDとの間のバンドのジスルフィド結合結果を表10に、約95KDバンドのジスルフィド結合結果を表11に示し、ミスマッチジスルフィド結合は、主にインスリンB鎖の自己結合とインスリンの2つのB鎖のミスマッチに反映された。
【0158】
【表9】
【0159】
【表10】

3.SS302-012M
【0160】
この分子のジスルフィド結合は、総ミスマッチ率が2.9%であり、インスリンミスマッチ率が2.2%であり、理論と一致している。そのジスルフィド結合結果を表12に示す。
【0161】
【表11】
【0162】
4.SS302-019M
この分子のジスルフィド結合は、総ミスマッチ率が2.8%で、インスリンミスマッチ率が1.2%であり、理論と一致している。そのジスルフィド結合結果を表13に示す。
【0163】
【表12】
【0164】
5.SS302-030M
この分子のジスルフィド結合は、総ミスマッチ率が1.7%であり、インスリンミスマッチ率が0%であり、理論と一致している。そのジスルフィド結合結果を表14に示す。
【0165】
【表13】
【0166】
6.SS302-035
この分子のジスルフィド結合は、総ミスマッチ率が4.3%であり、インスリンミスマッチ率が2.2%であり、理論と一致している。そのジスルフィド結合結果を表15に示す。
【0167】
【表14】
【0168】
7.SS302-035M
この分子のジスルフィド結合は、総ミスマッチ率が2.5%で、インスリンミスマッチ率が2.0%であり、理論と一致している。そのジスルフィド結合結果を表16に示す。
【0169】
【表15】
【0170】
実施例5:昆明マウスに対するSS302-002及びSS302-002Mの血糖降下作用
24匹の健康なオスの昆明マウス(22~28g)を6匹/群として、(1)SS302-002M-24nmol/kg、(2)SS302-002-24nmol/kg、(3)インスリングラルギン-48nmol/kg、(4)陰性対照群という4つの群に無作為に分けた。被検品を首の皮下に注射投与した後、それぞれ0、1、2、4、6、8、10、12、24、36、48、60、72、96時間で血糖値を検出した。実験中、マウスを絶食させず、十分な水と食物を与えた。
【0171】
図4に示すように、インスリングラルギンの薬効は4時間まで持続した。SS302-002群は、投与後4時間で血糖降下作用を明らかに示し始めたが、SS302-002群は、血糖降下作用及び薬効の持続時間がSS302-002M群より有意に弱かった。SS302-002群およびSS302-002M群は、最大血糖降下作用がそれぞれ5.33と2.97mmol/L)であり、薬効の持続時間がそれぞれ36時間と72時間であった。上記データ分析により、Cペプチドが切除されたインスリン融合タンパク質は力価がより高く、血糖降下作用がより優れたことが明らかになった。
【0172】
実施例6:正常なC57マウスに対するSS302-008M、SS302-012M、SS302-014M、SS302-015M、SS302-019M、SS302-029M、SS302-030M及びSS302-035Mの血糖降下作用
8~10週齢、体重22~28gの50匹の健康なオスのC57マウスを、5匹/群として、SS302-008M群、SS302-012M群、SS302-014M群、SS302-015M群、SS302-019M群、SS302-029M群、SS302-030M群、SS302-035M群、インスリンデグルデク群、及び対照群という10群に無作為に分けた。被検薬を15nmol/kgで首の皮下に投与し、インスリンデグルデク用量を30nmol/kgとし、投与前後の異なる時点で血糖値を検出した。実験中、マウスを絶食させなかった。実験データをGraphpad prism7.0でプロットし、Mann-whiteney統計により差異性を分析した。
【0173】
図5A及び5Bに示すように、対照群と比較して、投与群のマウスには明らかな血糖降下作用が示された。インスリンデグルデク(30nmol/kg)の薬効は12時間まで持続した。様々なインスリン融合タンパク質は、15nmol/kgの用量で、正常なC57マウスに対する薬効持続時間がSS302-035M/SS302-030M/SS302-019M/SS302-008M(96時間)>SS302-012M(72時間)>SS302-015M(48時間)>SS302-029M/SS302-014M(24時間)であった。
【0174】
実施例7:正常なC57マウスにおける異なる用量のSS302-035Mの血糖降下作用
8~10週齢、体重22~28gの25匹の健康なオスのC57マウスを、5匹/群として、5つの群に無作為に分けた。SS302-035Mをそれぞれ5、7.5、10、12.5nmol/kgで首の皮下に投与した後、0、4、24、48、72、96、120時間で血糖値を検出した。実験中、マウスを絶食させなかった。実験結果データをGraphpad prism7.0でプロットし、Mann-whiteney統計により差異性を分析した。
【0175】
図6に示すように、正常なC57マウスにおいては、SS302-035Mの血糖降下作用が明らかな用量依存的関係を有する。SS302-035M-5nmol/kg群では、血糖値の最低値が4.3mmol/Lで、薬効が72時間まで持続した。SSS302-035M-7.5nmol/kg群では、血糖値の最低値が3.2mmol/Lで、薬効が72時間まで持続した。SSS302-035M-10nmol/kg群では、血糖値の最低値が2.8mmol/Lで、薬効が96時間まで持続した。SSS302-035M-12.5nmol/kg群では、血糖値の最低値が2.5mmol/Lで、薬効が96時間まで持続した。
【0176】
実施例8:糖尿病モデルマウスにおけるSS302-004M及びSS302-002Mの血糖降下作用
1.STZで誘導されたI型糖尿病のマウスモデル
C57BL/6jマウス(8週齢、体重22~28g)にクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液で調製した0.4%ストレプトゾトシン(STZ)溶液を腹腔内注射し、40mg/kgを5日間連続投与し、1日1回、最終投与後7~10日目に空腹時血糖値を検出した。空腹時血糖値>13.8mmol/L(空腹時間は8:00a.m~14:00p.m)の場合はモデル構築に成功したと見なされた。
2.生体内活性及び長期有効性の検出
【0177】
35匹のSTZ誘導のI型糖尿病マウスを、血糖値に基づいて、(1~2)SS302-002Mの高用量群と低用量群、(3~4)SS302-004Mの高用量群と低用量群、(5~6)インスリングラルギン(Glargine Insulin)の高用量群と低用量群、(7)対照群(20mMのTris+300mMのNaCl)という7つの群に無作為に分けた。SS302-002M及びSS302-004Mの高用量群および低用量群では、被検薬をそれぞれ12.5nmol/kg及び6.25nmol/kgで首の皮下に注射投与し、インスリングラルギンの高用量群および低用量群では、被検薬をそれぞれ25nmol/kg及び12.5nmol/kgで首の皮下に注射投与した。投与前後の異なる時点で血糖値の変化をそれぞれモニターした。実験中、マウスを絶食させず、十分な水と食物を与えた。
【0178】
結果を図7A(SS302-002M)及び7B(SS302-004M)に示す。SS302-002M、SS302-004Mは、STZで誘導されたI型糖尿病マウスに投与した後、明らかな血糖降下薬効を示した。その薬効は、S302-002Mの低用量群で120時間まで維持され、高用量群で192時間まで維持された。その薬効は、S302-004Mの低用量群で84時間まで維持され、高用量群で144時間まで維持された。
【0179】
なお、SS302-002M及びSS302-004M群に比べて、インスリングラルギン群は、同じモル数のインスリン、即ち、25nmol/kgの投与量の場合、血糖値がより迅速に低下及び回復し、投与後1時間前後で血糖値が最低点(約5mmol/L)まで低下し、正常なC57血糖値(約8mmol/L)よりも低く、その後急速に上昇し、6時間で初期の血糖値に戻った。これは、SS302-002M、SS302-004Mがよりフラットで安定したPDスペクトルを持ち、臨床安全性がより高いことを示唆している。
【0180】
実施例9:糖尿病モデルマウスにおけるSS302-008M、SS302-012M及びSS302-035Mの血糖降下作用
1.STZで誘導されたマウスI型糖尿病モデル
C57BL/6jマウス(12週齢、体重22~28g)にクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液で調製した0.4%ストレプトゾトシン(STZ)溶液を腹腔内注射し、40mg/kgを5日間連続投与し、1日1回、最後投与後7~10日目に空腹時血糖値>13.8mmol/L(空腹時間は8:00a.m~14:00p.m)と検出し、モデル構築にに成功したと見なされた。
2.生体内活性及び長期有効性の検出
【0181】
STZによるモデル構築した40匹のI型糖尿病マウスを、血糖値に基づいて、(1)SS302-008M-7.5nmol/kg群、(2)SS302-012M-7.5nmol/kg群、(3)SS302-035M-7.5nmol/kg群、(4)SS302-008M-15nmol/kg群、(5)SS302-012M-15nmol/kg群、(6)SS302-035M-15nmol/kg群、(7)インスリンデグルデク-30nmol/kg、(8)緩衝液対照群(20mMのTris+150mMのNaCl)という8つの群に無作為に分けた。投与前後の異なる時点で血糖値を検出した。実験中、マウスを絶食させなかった。実験結果をGraphpad prism7.0でプロットし、Mann-whiteney統計により差異性を分析した。
【0182】
図8A及び8Bに示すように、同じ用量の場合、SS302-035Mは、SS302-008M及びS302-012Mより薬効維持時間に有意に優れており、特に、低用量7.5nmol/kg群(144時間vs.72時間)でより顕著であった。図8Bに示すように、インスリンデグルデクを30nmol/kg投与した後、糖尿病マウスの血糖値は迅速に低下して回復し、1時間前後で最低点に低下し、24時間で初期血糖値に戻った。これは、SS302-008M、SS302-012M、SS302-035Mのほうがより長いPDスペクトルを持ち、インスリンデグルデクより薬効維持時間に優れたことを示唆している。
【0183】
実施例10:SDラットにおけるSS302-008M及びSS302-012Mの薬力学(PD)及び薬物動態学(PK)実験
10匹のSDラット(8~10週齢、体重250~350g)を無作為に2つの群に分け、各群3♂/2♀とし、SS302-008M、SS302-012Mをそれぞれ20nmol/kgで首の皮下に投与した。投与前後の異なる時点で血糖値を検出し、全血を採取し、PK検出のために血清を単離した。実験中、ラットを絶食せず、十分な水と食物を与えた。データをGraphpad prism7.0でプロットし、Mann-whiteney統計により差異性を分析した。
【0184】
2.ELISA検出
マウス抗インスリンモノクローナル抗体(abcam、ab8302)をPBSで1ug/mLに希釈し、100μL/ウェルでELISAプレートに加え、4℃で一晩放置して被覆した。被覆液を除去し、プレートをPBSTで4回洗浄した後、4%BSAを加え、250μl/ウェル、37℃で2時間ブロッキングし、ブロッキング液を除去した後、プレートをPBSTで4回洗浄した。SS302-008M/SS302-012Mの標準品を2%BSAで希釈し、200ng/mlから合計8つの倍加希釈勾配を使用して標準曲線を確立した。ラット血清を2%BSAで様々な倍数に希釈した。陰性対照として正常ラット血清を使用した。上記サンプルを100μl/ウェルでELISAプレートに加え、37℃で1時間インキュベートし、プレートをPBSTで4回洗浄し、2%BSAで希釈した第2の抗体(Mouse monoclonal Anti-Human IgG2 Fc(HRP)、1:3000)(abcam、ab99779)を加え、100μL/ウェル、37℃で1時間インキュベートし、プレートをPBSTで4回洗浄した後、TMB発色液を加え、100μl/ウェル、37℃で暗所で10分間発色させた。2MのHSOを50μL/ウェルで加えて反応を終了させ、マイクロプレートリーダーでOD450/630値を検出した。
【0185】
3.薬力学実験の結果
図9に示すように、SS302-008M及びSS302-012Mは、SDラットに投与した後、明らかな血糖降下作用を示した。SS302-008Mの薬効は96時間まで維持されるが、SS302-012Mの薬効は72時間まで維持された。
【0186】
4.薬物動態学の結果と分析
SDラットにおけるSS302-008M及びSS302-012Mの薬物動態学の結果を図10に示す。SDラットにおけるSS302-008M及びSS302-012Mの半減期(T1/2)は、それぞれ16.32±0.77時間及び13.39±0.43時間であった。具体的なPKパラメータを表17に示す。
【0187】
【表16】
【0188】
実施例11:ビーグル犬におけるSS302-035Mの薬力学(PD)及び薬物動態学(PK)実験
2.5nmol/kgのSS302-035Mを8~12kgのオスの健康な一般グレードのビーグル犬(4匹)に単回皮下投与した後、薬力学及び薬物動態パラメータを評価した。投与前後の異なる時点で、四肢の末梢静脈から血液サンプルを採取した。各時点で約1mLの全血を採取し、EDTA-K2を含む抗凝固チューブに入れ、その後、4℃条件下で3000g/minで10分間遠心分離して血漿を収集した。投与前0時間及び投与後1、2、3、4、6、24、48、72、96、120、144及び168時間で全血を1滴採取し、迅速血糖測定器(Roche ACCU-CHEK Performa)及び血糖試験紙(Roche ACCU-CHEK Performa)で動物の血糖値を測定した。薬力学(PD)の結果を図10Aに示し、薬物動態学(PK)の結果を図10Bに示す。実験中、動物を0~6時間以内に絶食させ、その後、食物と水を自由に摂取させた。WinNonlin8.2ソフトウェアを使用して薬物動態パラメータ(非コンパートメントモデル)を算出し、関連するPKパラメータを表18に示す。PD結果によると、SS302-035Mは2.5nmol/kg用量でビーグル犬のランダム血糖値を有意に下げることができ、血糖降下の効果が120時間まで持続し、明らかな低血糖の症状が見られなかった。PK結果によると、SS302-035Mは、2.5nmol/kg用量で、正常なビーグル犬における生体内半減期が37.65±7.36時間であった。
【0189】
【表17】
【0190】
本発明の実施例において構築された融合タンパク質前駆体の全長配列は以下の通りである。
1) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-001 配列番号47
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
2) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-002 配列番号48
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-003 配列番号49
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
4) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-004 配列番号50
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK
5) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-005 配列番号51
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDQLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPASIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0191】
6) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-006 配列番号52
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNSASSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
7) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-007 配列番号53
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
8) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-008 配列番号54
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNSASSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
9) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-009 配列番号55
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPASSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
10) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-011 配列番号56
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAVAPPPALPASSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0192】
11) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-012 配列番号57
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
12) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-013 配列番号58
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
13) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-014 配列番号59
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
14) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-015 配列番号60
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSPGK
15) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-016 配列番号61
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
【0193】
16) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-017 配列番号62
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
17) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-018 配列番号63
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSLG
18) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-019 配列番号64
FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
19) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-022 配列番号65
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTKRIKREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRIKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
20) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-023 配列番号66
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTDDDDKEAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRDDDDKGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGGSVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0194】
21) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-029 配列番号67
FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
22) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-030 配列番号68
FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVLHEALHSHYTQKSLSLSLG
23) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-035 配列番号69
FVNQHLCGSHLVEALHLVCGERGFHYTPKREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
24) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-036 配列番号70
FVNQHLCGSHLVEALELVCGERGFHYTPKREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLKRGIVEQCCTSICSLEQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
25) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-037 配列番号71
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【0195】
26) インスリン前駆体融合タンパク質SS302-038 配列番号72
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCNGGAAVAPPPALPAPVRLPGPAVAPPPALPAPVRLPGPAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
本願発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1>
第1の部分と第2の部分とを含むインスリン-Fc融合タンパク質であって、前記第1の部分がインスリン活性を提供するインスリン部分であり、前記第2の部分が前記第1の部分の生体内半減期を延長する作用を有するFc部分であり、前記第1の部分と前記第2の部分が共有結合により連結され、前記インスリン-Fc融合タンパク質が切断された後にインスリン活性を有する、インスリン-Fc融合タンパク質。
<2>
下記の式(I)の構造を有する、<1>に記載のインスリン-Fc融合タンパク質。
X-E1-Y-E2-Z-L-Fc (I)
(ただし、XとZはそれぞれインスリンのB鎖とA鎖であり、かつ、XがB鎖である場合、ZはA鎖であり、XはA鎖である場合、ZはB鎖であり、
Yは、任意のリンカーペプチドであり、Yの長さは1~100個以上のアミノ酸であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90、100個、又は上記の任意の2つの数値の間にある個数のアミノ酸であり、例えば、YはインスリンCペプチド又はその変異体又はその断片であり、
E1及びE2は、一方又は両方とも存在する場合があり、部位特異的プロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸の断片であり、E1及びE2の長さは1~10個以上のアミノ酸であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸であり、
同時に存在する場合、E1及びE2は、同一または異なる部位特異的プロテアーゼにより切断され、例えば、同一の部位特異的プロテアーゼにより切断され、
Yが存在する場合は、E1及びE2の両方が存在することが好ましく、Yが存在しない場合は、E1及びE2の一方が存在することが好ましく、
前記部位特異的プロテアーゼ切断部位は、Kex2及び/又はフリン(Furin)プロテアーゼの切断部位であり、例えば、Kex2プロテアーゼの切断部位であり、
Lは、ZとFcを連結するリンカーであり、アミノ酸断片又は非ペプチド鎖の化学構造であり、
Fcは免疫グロブリンのFc領域であり、前記Fcはヒト免疫グロブリンに由来し、前記Fc領域はIgG、IgA、IgD、IgE又はIgMに由来するFc領域であり、IgGに由来するFc領域であることが好ましく、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4に由来するFc領域であり、IgG2に由来するFc領域であることがさらに好ましく、
前記Fc領域は、その由来の配列と比較して、半減期を延長する能力を保持しながら1つまたは複数の置換、付加及び/又は欠失を有し、例えば、ヒトIgGに由来するFc領域でありながらFcγRへの結合を低減又は除去する変異及び/又はFcRnへの結合を増強する1つまたは複数の変異を有し、
前記変異は、N297A、G236R/L328R、L234A/L235A、N434A、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S、T250R/M428Lから選択され、
前記Fc領域は、グリコシル化されているか又は非グリコシル化されている。)
<3>
前記Lがポリペプチド断片であり、
好ましくは、前記Lは、Ala、Thr、Gly及びSerから選択された1つ又は2つ以上のアミノ酸の柔軟性ペプチドセグメントを含み、例えば、GとSからなる柔軟性ペプチドセグメントを含み、
前記柔軟性ペプチドセグメントの長さは、2~50個以上のアミノ酸であり、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45又は50個のアミノ酸であり、
好ましくは、前記Lは、剛性単位を1つまたは複数含み、前記剛性単位は剛性アミノ酸を含むか又は本質的に剛性アミノ酸からなり、前記剛性アミノ酸にはV、P、I、K及びLが含まれるがこれらに限定されなく、
より好ましくは、前記剛性単位は、PPPX LP(配列番号125)を1つまたは複数含み、X は任意のアミノ酸であり、
より好ましくは、前記剛性単位は、X APPPX LP(配列番号126)を1つまたは複数含み、X は任意のアミノ酸で、X はK又はVである、<1>又は<2>に記載の融合タンパク質。
<4>
前記剛性単位が以下の配列:
PPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号127)、
PPPALPAPVRLPGP(配列番号128)、および
PPPALPAVAPPPALP(配列番号129)から選択されたポリペプチド断片を含み、
好ましくは、前記剛性単位が以下の配列:
KAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号130)、
VAPPPALPAPVRLPGP(配列番号131)、及び
VAPPPALPAVAPPPALP(配列番号132)から選択されたポリペプチド断片を含む、<3>に記載の融合タンパク質。
<5>
前記Lが以下の配列:

から選択されたポリペプチド断片を含む、<1>~<4>に記載の融合タンパク質。
<6>
前記インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン又はブタインスリンから選択され、好ましくはヒトインスリンであり、例えば、前記インスリンのA鎖及びB鎖がヒトインスリンに由来する、<1>~<5>のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
<7>
Y、E1及びE2がすべて存在するか、又はYが存在せず、E1及びE2のうちの1つが存在する、<1>~<6>のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
<8>
配列番号47~72から選択されたアミノ酸配列を有する、<1>~<7>のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
<9>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の融合タンパク質と前記部位特異的プロテアーゼ切断部位を切断可能な部位特異的プロテアーゼとを接触させることを含み、好ましくは前記部位特異的プロテアーゼがKex2及び/又はFurinプロテアーゼである、増強されたインスリン活性及び延長された半減期を有するインスリン-Fc融合タンパク質の生産方法。
<10>
<9>に記載の方法より得られる、インスリン-Fc融合タンパク質。
<11>
Ins-L-Fc構造を有するインスリン-Fc融合タンパク質。
(ただし、Insは、共有結合により連結されたインスリンA鎖とB鎖とを含むインスリン活性を提供するインスリン部分であり、A鎖及びB鎖は異なるペプチド鎖中にあり、前記共有結合は、好ましくはジスルフィド結合であり、
Lは、ZとFcを連結するリンカーであり、アミノ酸断片であるか又は非ペプチド鎖の化学構造であり、
Fcは免疫グロブリンのFc領域であり、前記Fcはヒト免疫グロブリンに由来し、前記Fc領域はIgG、IgA、IgD、IgE又はIgMに由来するFc領域であり、IgGに由来するFc領域であることが好ましく、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4に由来するFc領域であり、IgG2に由来するFc領域であることがさらに好ましく、
前記Fc領域は、その由来の配列と比較して、半減期を延長する能力を保持しながら1つまたは複数の置換、付加及び/又は欠失を有し、例えば、ヒトIgGに由来するFc領域でありながらFcγRへの結合を低減又は除去する変異及び/又はFcRnへの結合を増強する1つまたは複数の変異を有し、
前記変異は、N297A、G236R/L328R、L234A/L235A、N434A、M252Y/S254T/T256E、M428L/N434S、T250R/M428Lから選択され、
前記Fc領域は、グリコシル化されているか又は非グリコシル化されている。)
<12>
前記インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン又はブタインスリンから選択され、好ましくはヒトインスリンであり、例えば、前記インスリンのA鎖及びB鎖がヒトインスリンに由来する、<11>に記載の融合タンパク質。
<13>
前記Lがポリペプチド断片であり、
好ましくは、前記Lは、Ala、Thr、Gly及びSerから選択された1つ又は2つ以上のアミノ酸の柔軟性ペプチドセグメントを含み、例えば、GとSからなる柔軟性ペプチドセグメントを含み、前記柔軟性ペプチドセグメントの長さは、2~50個以上のアミノ酸であり、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45又は50個のアミノ酸であり、
好ましくは、前記Lは、剛性単位を1つまたは複数含み、前記剛性単位は剛性アミノ酸を含むか又は本質的に剛性アミノ酸からなり、前記剛性アミノ酸にはV、P、I、K及びLが含まれるがこれらに限定されなく、
より好ましくは、前記剛性単位は、PPPX LP(配列番号125)を1つまたは複数含み、X は任意のアミノ酸であり、
より好ましくは、前記剛性単位は、X APPPX LP(配列番号126)を1つまたは複数含み、X は任意のアミノ酸で、X はK又はVである、<11>又は<12>に記載の融合タンパク質。
<14>
前記剛性単位が以下の配列:
PPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号127)、
PPPALPAPVRLPGP(配列番号128)、及び
PPPALPAVAPPPALP(配列番号129)から選択されたポリペプチド断片を含み、
好ましくは、前記剛性単位が以下の配列:
KAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号130)、
VAPPPALPAPVRLPGP(配列番号131)、及び
VAPPPALPAVAPPPALP(配列番号132)から選択されたポリペプチド断片を含む、<13>に記載の融合タンパク質。
<15>
前記Lが以下の配列:

から選択されたポリペプチド断片を含む、<11>~<14>のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
<16>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
<17>
<16>に記載のポリヌクレオチドを含み、好ましくは、CHO細胞である、インスリン-Fc融合タンパク質を発現する細胞。
<18>
インスリン-Fc融合タンパク質を発現する条件下で、<17>に記載の細胞を培養する工程を含み、
好ましくは、前記インスリン-Fc融合タンパク質を、前記部位特異的プロテアーゼ切断部位を切断可能な部位特異的プロテアーゼと接触させる工程をさらに含み、
前記培養工程及び接触工程が同時に又は別々に行われる、インスリン-Fc融合タンパク質の生産方法。
<19>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の融合タンパク質又は<10>~<15>のいずれか1項に記載の融合タンパク質を含む、医薬組成物。
<20>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の融合タンパク質又は<10>~<15>のいずれか1項に記載の融合タンパク質を必要とする対象に投与することを含み、好ましくは、前記糖尿病がI型又はII型糖尿病である、血糖の低減方法及び/又は糖尿病の治療方法。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
【配列表】
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