(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】車両用アクティブサスペンション制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60G 17/015 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B60G17/015
(21)【出願番号】P 2023504461
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021070443
(87)【国際公開番号】W WO2022018164
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-20
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
【住所又は居所原語表記】Abbey Road,Whitley,Coventry,Warwickshire CV3 4LF GB
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・バーチ
(72)【発明者】
【氏名】ジム・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ローセカー
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202019101879(DE,U1)
【文献】特開2002-331816(JP,A)
【文献】特開平07-117443(JP,A)
【文献】特開平03-235712(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0070407(KR,A)
【文献】特開平07-205630(JP,A)
【文献】米国特許第06098996(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 17/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアクティブサスペンションを制御するための制御システムであって、前記制御システムは1つ又は複数のコントローラを含み、前記制御システムは、
前記車両への一時的なサスペンション乱れを検出又は予測し;
前記車両への
前記一時的なサスペンション乱れが前記車両のキャビン内からのものかどうかを判断し;
前記一時的なサスペンション乱れが前記車両の前記キャビン内からのものであるかどうかに依拠して
異なるように、前記アクティブサスペンションの可変力パラメータを制御
し、前記可変力パラメータは、前記アクティブサスペンションが前記車両のキャビン/車体の動きを防止する程度を制御する
ように構成される、制御システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のコントローラは集合的に、
一時的なサスペンション乱れを示す情報を受信するための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサ;及び
前記少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合され、そこに格納された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイス
を含み、
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、前記少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスし、その命令を実行して、前記制御システムに、前記情報に依拠して前記アクティブサスペンションを制御させるように構成される、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
可変力パラメータを制御することは、前記可変力パラメータの上限を変更することを含む、請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記上限を変更することは、前記一時的なサスペンション乱れが前記車両の前記キャビン内からのものであると判断された場合、前記可変力パラメータの前記上限を増加させること、及び前記一時的なサスペンション乱れが前記キャビン内からのものであると判定されない場合、前記上限を増加させないことを含む、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記可変力パラメータは力要求を含み、前記力要求はばね力要求及び/又は減衰力要求を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記可変力パラメータは、前記車両の車輪に対する前記車両の車体の検出されたロール角及び/又はピッチ角及び/又はヒーブの関数である、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記可変力パラメータは、スカイフックコントローラ及び/又はグラウンドフックコントローラの出力である、請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記一時的なサスペンション乱れが前記車両のキャビン内からのものかどうかを判断することは、以下の少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム:
1つ又は複数のキャビンセンサを使用して前記キャビンを監視すること;
検出された車両のロール角及び/又はピッチ角及び/又はヒーブを監視すること;
前記一時的なサスペンション乱れと、計画されたコーナリング及び/又は計画された加速及び/又は計画されたブレーキ及び/又は計画された前記車両の速度及び/又は監視された前記車両外部の環境に関連する、監視された予想される一時的なサスペンション乱れと比較すること;又は
車輪対車体の変位センサを使用して変位を監視すること。
【請求項9】
車両のアクティブサスペンションを制御するための制御システムであって、前記制御システムは1つ又は複数のコントローラを含み、前記制御システムは、
前記車両への一時的なサスペンション乱れが前記車両のキャビン内からのものかどうかを判断し;
前記一時的なサスペンション乱れが前記車両の前記キャビン内からのものであるかどうかに依拠して、前記アクティブサスペンションの可変力パラメータを制御する
ように構成され;
前記制御システムはさらに、
乗員が前記車両に乗っていないかどうかを判断し;
前記車両に搭乗者がいないと判断された場合、前記可変力パラメータを減少させ、前記車両に搭乗者がいないと判断されない場合、前記可変力パラメータを減少させない
ように構成される
、制御システム。
【請求項10】
前記車両へのサスペンション乱れが機械的共振に関連しているかどうかを判断し;
前記サスペンション乱れが機械的共振に関連していると判断された場合、前記可変力パラメータを制御して、前記アクティブサスペンションに関連する固有振動数を変
更し、前記サスペンション乱れが機械的共振に関連していると判定されない場合、前記可変力パラメータを制御せず前記固有振動数を変更しない
ように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の制御システムを含む車両。
【請求項12】
自動運転用に構成されている、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
車両のアクティブサスペンションを制御する方法であって、
前記車両への一時的なサスペンション乱れを検出又は予測すること;
前記車両への
前記一時的なサスペンション乱れが前記車両のキャビン内からのものかどうかを判断すること;及び
前記一時的なサスペンション乱れが前記車両の前記キャビン内からのものであるかどうかに依拠して
異なるように、前記アクティブサスペンションの可変力パラメータを制御すること
を含
み、
前記可変力パラメータは、前記アクティブサスペンションが前記車両のキャビン/車体の動きを防止する程度を制御する、方法。
【請求項14】
実行されると、請求項13に記載の方法を実行するように構成される、コンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両アクティブサスペンション制御システム及び方法に関する。特に、道路車両におけるアクティブサスペンション制御システム及び方法に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
車両用のアクティブサスペンションは知られている。アクティブサスペンションには、油圧作動サスペンション、電子作動油圧サスペンション、空気圧サスペンション、及び電磁サスペンションが含まれる。アクティブサスペンションは、アクティブダンパー(ショックアブソーバー)を含んでもよく、及び/又はアクティブスプリングを含んでもよい。アクティブサスペンションには、制御システムを使用して、使用中にスプリング力及び/又はダンパー力を変更できるという利点がある。これにより、快適性とロードハンドリングの向上との間の適応的なバランスが可能になる。タクシーなどの共有モビリティ車両を含む車両の自動化の増加は、乗客の快適性を向上させるための新たな課題と機会を生み出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、先行技術に関連する欠点の1つ又は複数に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様及び実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載の制御システム、方法、車両、及びコンピュータソフトウェアを提供する。
【0005】
本発明の一態様によれば、車両のアクティブサスペンションを制御するための制御システムが提供され、前記制御システムは1つ又は複数のコントローラを含み、前記制御システムは、前記車両への一時的なサスペンション乱れが前記車両のキャビン内からのものかどうかを判断し;前記一時的なサスペンション乱れが前記車両の前記キャビン内からのものであるかどうかに依拠して、前記アクティブサスペンションの可変力パラメータを制御するように構成される。1つの利点は、車両が、より安定したプラットフォームが有利である場合に、キャビンの荷重の移動のためにより安定したプラットフォームを提供することである。
【0006】
可変力パラメータを制御することは、前記可変力パラメータの上限を変更することを含むことができる。前記上限を変更することは、前記一時的なサスペンション乱れが前記車両の前記キャビン内からのものであると判断された場合、前記可変力パラメータの前記上限を増加させること、及び前記一時的なサスペンション乱れが前記キャビン内からのものであると判定されない場合、前記上限を増加させないことを含むことができる。1つの利点は、乗員が乱れの外部発生源よりも車両の動きを感じ続けるため、動きの知覚が改善されることである。
【0007】
前記可変力パラメータは力要求を含むことができ、前記力要求はばね力要求及び/又は減衰力要求を含む。
【0008】
前記可変力パラメータは、前記車両の車輪に対する前記車両の車体の検出されたロール角及び/又はピッチ角及び/又はヒーブ角の関数であり得る。
【0009】
前記可変力パラメータは、スカイフックコントローラ及び/又はグラウンドフックコントローラの出力であり得る。
【0010】
前記一時的なサスペンション乱れが前記車両のキャビン内からのものかどうかを判断することは、以下の少なくとも1つを含むことができる:1つ又は複数のキャビンセンサを使用して前記キャビンを監視すること;検出された車両のロール角及び/又はピッチ角及び/又はヒーブを監視すること;前記一時的なサスペンション乱れと、計画されたコーナリング及び/又は計画された加速及び/又は計画されたブレーキ及び/又は計画された前記車両の速度及び/又は監視された前記車両外部の環境に関連する、監視された予想される一時的なサスペンション乱れと比較すること;又は車輪対車体の変位センサを使用して変位を監視すること。1つの利点は誤検知が減少することである。
【0011】
制御システムは、乗員が前記車両に乗っていないかどうかを判断し;前記車両に搭乗者がいないと判断された場合、前記可変力パラメータを減少させ、前記車両に搭乗者がいないと判断されない場合、前記可変力パラメータを減少させないように構成され得る。1つの利点は、乗員が車両に乗っていないときにエネルギーが節約されることである。
【0012】
前記制御システムは、前記車両へのサスペンション乱れが機械的共振に関連しているかどうかを判断し;前記サスペンション乱れが機械的共振に関連していると判断された場合、前記可変力パラメータを制御して前記アクティブサスペンションに関連する固有振動数を変更し、前記サスペンション乱れが機械的共振に関連していると判定されない場合、前記可変力パラメータを制御せず前記固有振動数を変更しないように構成され得る。1つの利点は、車両が転倒しにくくなるため、安定性が向上することである。
【0013】
本発明の別の態様によれば、前記制御システムを含む車両が提供される。
【0014】
いくつかの例では、前記車両は自動運転用に構成されている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、車両のアクティブサスペンションを制御する方法が提供され、前記方法は、前記車両への一時的なサスペンション乱れが前記車両のキャビン内からのものかどうかを判断すること;及び前記一時的なサスペンション乱れが前記車両の前記キャビン内からのものであるかどうかに依拠して、前記アクティブサスペンションの可変力パラメータを制御することを含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、実行されると、本明細書に記載の方法のいずれか1つ又は複数を実行するように構成されたコンピュータソフトウェアが提供される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の方法のいずれか1つ又は複数を実行するように構成された制御システムが提供される。
【0018】
前記1つ又は複数のコントローラは集合的に、一時的なサスペンション乱れを示す情報を受信するための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサ;及び前記少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合され、そこに格納された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイスを含むことができ;前記少なくとも1つの電子プロセッサは、前記少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスし、その命令を実行して、前記制御システムに、前記情報に依拠して前記アクティブサスペンションを制御させるように構成される。
【0019】
本出願の範囲内において、前の段落、特許請求の範囲、及び/又は以下の説明及び図面、特にその個々の特徴に記載されているさまざまな態様、実施形態、例、及び代替案は、独立して、又は任意の組み合わせで解釈できることが明示的に意図される。すなわち、すべての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、最初に提出された請求項を変更する権利、又はそれに応じて新しい請求項を提出する権利を留保する。これには、最初に提出された請求項を修正して、他の請求項に依拠するように修正する権利、及び/又は当初そのような方法で請求されていたかどうかにかかわらず、他の請求項の特徴を組み込む権利が含まれる。
【0020】
ここで、本発明の1つ又は複数の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図2Aは制御システムの例を示す図であり、
図2Bは非一時的なコンピュータ可読媒体の例を示す図である。
【
図3】
図3は車両のキャビンの一例を示す図である。
【
図4】
図4は車両用システムの一例を示す図である。
【
図6】
図6Aは、左方向の横加速度に対して正の片勾配効果を提供するために左にロールする車両の例を示し、
図6Bは、右方向の横加速度に対して正の片勾配効果を提供するために右にロールする車両の例を示す。
【
図8】
図8Aは、正の縦加速度に対する第1の回転方向の車両ピッチングの例を示し、
図8Bは、負の縦加速度に対する第2の回転方向における車両のピッチングの例を示す。
【
図13】
図13Aは、横傾斜に水平な乗降プラットフォームを提供する車両の例を示し、
図13Bは、縦傾斜に水平な乗降プラットフォームを提供する車両の例を示す。
【
図15】
図15Aは、乗降面のキャンバに一致するように傾いていない車両の例を示し、
図15Bは、乗降面のキャンバに一致するように傾いている車両の例を示す。
【
図17】
図17は、トラクションバッテリーの充電インターフェースに近づいている間にライドハイトを下げる車両の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施形態を実装できる路面車両10(ここでは「車両」)の例を示している。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、車両10は、乗用車両又は自動車とも呼ばれる乗用車である。他の例では、車両10は、バンなどの貨物車両であってもよい。乗用車両とバンの車両重量は一般的に4000kg未満である。乗用車両とバンの長さは通常7メートル未満である。他の例では、本発明の実施形態は、産業用又は商用車などの他の用途のために実装することができる。
【0023】
図1は、3つの垂直軸とオイラー角を定義する車上3D座標系も示している。座標系は縦方向のx軸を含む。車両10は、正のx方向に走行し(正の加速度)、負のx方向に後進する(負の加速度=減速)ように構成される。x軸はロール軸も定義する。車両は、車体と車輪との間に配置されたサスペンションシステムを介してサスペンドされたキャビンを含む車体を含むことが理解される。サスペンションシステムの動作により、車輪と車体との間の相対的な垂直運動が可能になり、これにより、車輪に対する車体のローリングと車体のピッチングをある程度制御することができる。
【0024】
座標系は、側面の横方向のy軸を含む。車両10は、y軸に横加速度を加えるために、移動中に操舵するように構成されている。車両10は、正のy方向に左に操舵し、負のy方向に右に操舵するように構成される。y軸は、ピッチ軸も定義する。車両10は、前輪操舵、後輪操舵、又は四輪操舵用に構成することができる。車両10は、ラックアンドピニオンステアリング/アッカーマンステアリングなどを使用して横行するように構成され得る。いくつかの例では、車両10は、車両10のステアリングヨー(例えば、横滑り、クラビング)によって横行するように構成され得る。
【0025】
座標系は、垂直のz軸を含む。車両10のライドハイトは、正のz方向で増加し、負のz方向で減少する。車両のヒーブ挙動は、z軸の動きである。z軸はヨー軸も定義する。
【0026】
図2Aは、制御システム2を示す。制御システム2は、1つ又は複数のコントローラを含む。一例として、1つのコントローラ20が示されている。
【0027】
図2Aのコントローラ20は、少なくとも1つの電子プロセッサ22、及び電子プロセッサ22に電気的に結合され、命令26(例えば、コンピュータプログラム)が格納されている少なくとも1つの電子メモリデバイス24を備える。少なくとも1つの電子メモリデバイス24と、少なくとも1つの電子プロセッサ22を用いて、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ又は複数を実行させるように構成された命令26とを含む。制御システム2の例示的なコントローラ20は、アクティブサスペンションのアクチュエータを制御するためのアクティブサスペンションコントローラである。
【0028】
図2Bは、命令26(コンピュータソフトウェア)を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体28を示す。
【0029】
図3は、車両10の例を示しており、そのキャビン300及びパワートレインを示している。図示のキャビン300は、車両10の本体302によって少なくとも部分的に取り囲まれた車両10の内部を含む。キャビン300は、少なくとも1つのドア304からアクセス可能である。ドア304は、スライドドア又はスイングドアであり得る。
【0030】
キャビン300は、座る乗客のための乗客シート306を含む。キャビン300は、立つ乗客用のハンドル308を含むことができる。ハンドル308はグラブハンドルであってもよい。立つ乗客用のグラブハンドル308は、シート306から手の届かない場所に配置することができる。立つ乗客は、座る乗客よりも予期しない車両の動きによってバランスを崩しやすくなる。
【0031】
図では、少なくとも1つの乗客シート306が、少なくとも1つの他の乗客シート306とは異なる方向を向いている。図示のシート306は、反対方向を向いている。このシート配置により、車内のレッグルームとラゲッジルームが広がり、見知らぬ乗客のためのより多くのパーソナルスペースが確保される。しかしながら、車両10の進行方向に直接向いていない乗客は、乗り物酔いを経験する可能性が高く、及び/又は車両の動きを予測することができない。
【0032】
図3は、少なくとも1つのシート306又はシート306の列が車両10の車軸の上に配置されるレイアウトを示す。車軸は、この例では、横方向に分離された1組の車輪に対応する。車軸の上又は車軸から張り出した位置にある乗客は、車両10のホイールベース内に位置する乗客よりも、車両のサスペンションの動きによる大きなヒーブ(z軸の移動)を経験する。
【0033】
図示のキャビン配置は、多くの可能なキャビン配置の一例である。
【0034】
別の例では、車両10は貨物車両である。キャビン300は、車両10が自動運転車両である場合、より少ないシート、又は乗客のシートを含まなくてもよい。一部の貨物は壊れやすく、キャビン内での過度の加速に敏感な場合がある。
【0035】
いくつかの例では、
図3の車両10は共有モビリティ車両であり得る。共有モビリティ車両は、時間及び/又は距離の自動監視に基づいて、行程の請求書を決定するための請求モジュール(図示せず)を含むことができる。車両にドライバーがいない場合、顧客の支払いは、オンボードの支払い端末を介して、及び/又はユーザカウントと支払いを管理する外部サーバーとの自動(ジオフェンストリガーなど)通信(配車アプリなど)を介して処理され得る。請求モジュールは、オンボードプリンタを介してチケット又はレシートを発行することができ、及び/又は自動通信を介してチケット又はレシートを発行することができる。
【0036】
いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、共有モビリティ車両はポッドとして実装されてもよい。本明細書では、ポッドは、バス又は列車と比較して制限された積載のために構成され、3つ以上の車輪を含む共有モビリティ車両として定義される。例えば、ポッドには、実装に応じて、1人~6人の乗客用のスペースがある場合がある。ポッドは、1席~6席の間で構成され得る。ポッドは、歩行者専用エリアを所定の最高速度まで運転するように構成することができる。ポッドは、所定の最大速度以上でオンロードを走行するように構成することができる。
【0037】
図3によれば、必ずしもすべての例ではないが、車両10は、トラクションバッテリー312及び電気トラクションモーター(1つ又は複数)310を含む。したがって、車両10は、完全電気自動車(EV)又はハイブリッド電気自動車(HEV)であってもよい。他の例では、車両10は、内燃機関又は他のトルク源を含むことができる。車両10は、重力駆動であってもよく、トルク源を欠いていてもよい。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、車両10は、鉄道車両、磁気浮上車両などの非道路車両であってもよい。
【0038】
図4は、車両10の制御システム2、センサ、インターフェース、及びアクチュエータを含むシステム400を示す。車両10は、
図1及び3の車両10であってもよい。
【0039】
車両10は、アクティブサスペンション402を含み、その例が
図4に示されている。アクティブサスペンション402は、アクティブダンピングのために構成され得る。アクティブダンピングは、ポンプ制御の油圧回路又は同等のものを使用して制御できる。衝突力及び/又は反発力は、個別に制御可能であり得る。
【0040】
アクティブサスペンション402は、アクティブスプリング制御のために構成され得る。アクティブスプリング制御は、ポンプ制御の空気圧システム又は同等のものを使用して制御できる。ばね力(バネレート)は制御可能であり得る。ライドハイトは制御可能であり得る。アクティブサスペンション402は、1つ又は複数の車軸で、アクティブロール制御及び/又はアクティブピッチ制御を可能にすることができる。
【0041】
アクティブサスペンション402は、制御システム2によって、任意選択でさらなる低レベルコントローラを介して制御され得る。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、アクティブサスペンション402は、可変力パラメータを使用して制御され得る。可変力パラメータは、アクティブサスペンション402が車両10のキャビン/車体の動きを防止する程度を制御する。可変力パラメータは、力要求(ゲイン)であってもよい。力要求は、ばね剛性を制御するためのばね力要求を含むことができ、及び/又は力要求は、衝突力及び/又は反発力を制御するための減衰力要求を含むことができる。サスペンション流体ポンプ及び/又はフローリストリクタ(ダンピング)の制御は、力要求に依拠し得る。力要求を増加させると、ばね力及び/又は減衰力が増加し、その結果、サスペンションが「硬く」なる。1つの力要求は、複数の車輪又は1つの車輪のアクティブサスペンション設定を制御することができる。
【0042】
力要求は、検出されたキャビンの動きの関数であり得る。キャビンの動きを検出することは、ロール及び/又はピッチ及び/又はヒーブなどのキャビンの動きを示す慣性信号を監視することを含むことができる。
【0043】
上記の力要求は、複数のコントローラによって要求された複数の個々の力要求に依拠する協定の力要求であってもよい。複数のコントローラは、予測コントローラ及び反応コントローラを含むことができる。コントローラは、スカイフックコントローラ及び/又はグラウンドフックコントローラを含むことができる。協定の力要求は、個々の力要求を、例えば加算、優先度、及び/又は平均に基づいて混合することによって計算することができる。スカイフックコントローラは、車体が空に対して安定した姿勢を維持し、地面の状態に影響されない状況を近似する。車体が地面の状態の影響をまったく受けない状況は現実的ではないことを理解すべきである。そのため、スカイフックコントローラは、エネルギーやその他の現実世界の要件を考慮しながら、この条件を近似する。グラウンドフックコントローラは、車両の車輪を地面に対して相対的に制御することで同じ目標を達成し、車体が地面の状態の影響を受けないようにする。
【0044】
図4のシステム400のアクティブサスペンション402は、アクティブダンパー及び/又はアクティブスプリングなど、車輪FL、FR、RL、RRごとに1つ又は複数のアクティブ構成要素を含む。アクティブサスペンション402は、アクティブダンパー及びパッシブスプリング、又はアクティブスプリング及びパッシブダンパーを備えたセミアクティブサスペンションであり得る。アクティブサスペンション402のサブシステムは図示されていないが、本明細書に記載の方法の1つ又は複数によって必要とされる、アクティブサスペンション402の必要な制御を達成するための任意の適切な配置で設けることができる。
【0045】
車両10は自動運転車両であってもよい。車両10は、完全自動運転車両であってもよい。完全自動運転車両10は、自動運転専用に構成された無人車両である。完全自動運転車両10には、アクセルペダル、ブレーキペダル、及び/又はハンドルがない場合がある。したがって、完全自動運転車には認識可能な運転席がない場合がある。車両は、ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ(SAE)標準J3016で定義されているように、レベル5の自動運転用に構成できる。
【0046】
あるいは、車両10は、少なくとも1つの運転タスク(操舵/加速/制動)のための下位レベルの自動運転モードと、非自動運転モードとを含むことができる。
【0047】
制御システム2は、センサ依拠情報をセンサから直接的又は間接的に受信するように構成され、制御システム2が現在の車両コンテキストに基づいてアクティブサスペンション402を制御できるようにする。
図4は、以下を含む、本明細書に記載の方法によって参照されるセンサの例を示す:
・慣性測定ユニット(IMU408)。IMU408は、キャビンの動きを示す。例えば、IMU408は、ロール、ピッチ及び/又はヒーブを示すことができる。
・少なくとも1つのキャビンセンサ410。キャビンセンサ410は、車両の積載率及び/又は乗員の行動を示すことができる。キャビンセンサ410は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る:キャビン300内の車両乗員を撮像するためのキャビンカメラ;シートベルトが着用されているかどうかを検出するためのシートベルトセンサ;シートの占有を検出するためのシート重量センサなど。
・少なくとも1つの位置特定センサ406。位置特定センサ406は、自動運転車両コントローラ(図示せず)が運転環境内で車両10の位置を特定できるようにする情報を提供する。したがって、自動運転車両コントローラは、位置特定情報に基づいて、車両10の車両操縦(加速及び/又はブレーキ及び/又はステアリング)を計画する。操縦計画は、位置特定センサ情報に基づいて、障害物回避及び経路の要求などに関連するコスト/報酬関数を適用することを含むことができる。少なくとも1つの位置特定センサ406は、車両10の周囲の環境を特定の範囲(例えば、50~500m)まで、特定の視野(例えば、360度)で画像化するための、外部に面するオンボードビジョンシステム(例えば、カメラ、ライダー、レーダー)を含むことができる。追加的又は代替的に、少なくとも1つの位置特定センサ406は、車両対車両(V2V)又は車両対インフラ(V2I)通信のためのインターフェースを含むことができる。
・少なくとも1つの車輪センサ。車輪センサは、特定の車輪に関するサスペンション状態を示す。車輪センサは、サスペンションの圧縮/伸張(力を示す)を感知するための車輪対車体変位センサ404;ホイール位置センサ;ホイールハブ加速度計などを含む。
・少なくとも1つのユーザインターフェース412。図示のユーザインターフェース412は、オンボードユーザインターフェース、すなわち乗員インターフェースである。キャビン300は、乗員インターフェースを提供するヒューマンマシンインターフェースを含むことができる。乗員インターフェースは、自動運転車両10に停止してユーザを降ろすように要求するための乗降の要求ボタンを備えることができる。乗員インターフェースは、ドアの開閉ボタンを含むことができる。乗員インターフェースは、嗜好及び/又は経路の要求などのユーザ依拠情報を受信するためのタッチスクリーンディスプレイ/音声インターフェースを含むことができる。いくつかの例では、少なくとも1つのユーザインターフェース412は、スマートフォンなどのユーザデバイスとインターフェースするように構成され得、ユーザデバイスは、上記の機能のうちの少なくとも1つのためのヒューマンマシンインターフェースを含む。
【0048】
本明細書で説明する「ユーザ」という用語は、車両10の現在の、潜在的な、又は以前の乗員(乗客)を指す。
【0049】
例示的な使用事例では、上記のシステム400により、ユーザは、目的地(降車位置)及び任意選択でピックアップ位置(乗車位置)などの経路の要求を入力することができる。制御システムは、ユーザ依拠ルートを生成して経路の要求を満たすように構成することができる。したがって、経路及び任意の乗降位置は、アドホック共有モビリティ車両10(例えば、自動タクシー)を定義するように構成可能である。
【0050】
アクティブサスペンション402を使用する様々な方法を以下に説明する。これらの方法は、より大きな効果を達成するために、個別に、又は組み合わせて実装することができる。
【0051】
モーションフィードバック
図5及び7は、快適さを改善し、加速が始まろうとしていることを乗員に知らせる制御方法500、700を示す。この方法は、小さな知覚可能な動き(ここでは「モーションフィードバック」)を乗員に伝え、より大きな加速が始まろうとしていることを知らせる。調査によると、聴覚/視覚/触覚フィードバックではなく、知覚可能なモーションフィードバックが提供された場合、人間は頭の動きをよりよく予測できることが明らかになっている。これは、モーションフィードバックが前庭系をトリガーして、より大きな加速が始まる前に閉ループの筋肉制御を開始するためである。聴覚/視覚/触覚刺激は、フィードフォワードの筋肉制御のみをもたらすが、これはそれほど効果的ではなく、前庭制御が閉ループに移行する前に、不要なヘッドジャークが発生する可能性がある。
【0052】
図5の制御方法500は横加速度に関連し、
図7の制御方法700は縦加速度に関連する。両方の制御方法は、快適性を改善する方法500、700として一般化でき、この方法は、
第1の軸における正又は負の車両加速度の要求を示す情報を受信し;
アクティブサスペンション402を制御して、車両加速の開始前に、指示の受信に応じて、第1の軸に垂直な第2の軸を中心に車体の角度の修正を開始することを含む。この初期のタイミングは、モーションフィードバックを提供する。
【0053】
方法500、700のさらなる利点は、キャビン300の基準フレームが車両加速度の方向に対して回転し、したがって非垂直加速度成分が減少し、垂直(頭からつま先まで)成分が増加することである。これにより、ヘッドジャークが減少する。
【0054】
横加速度のモーションフィードバック
図5の横加速度制御方法500は、ブロック502で開始し、車両加速度の要求を示す情報を受信し、車両加速度は横加速度を含む。一例では、この方法は、車両10の将来の横加速度を予測するために情報を利用する。車両加速の要求を示す情報は、自動運転車両加速の要求を示す情報を含むことができる。この情報は、コーナリングなどの操縦の計画を担当する自動運転車のコントローラからのものであり得る。いくつかの例では、車両10は非自動で運転される場合があり、情報は、例えば外部に面するビジョンシステムによる、車両10の周囲の環境の感知に基づいて、横加速度の要求を予測することができる。
【0055】
任意選択の判断ブロックが示されている。判断ブロック504で、方法500は、要求される車両加速度の大きさを判断することを含む。この方法では、少なくとも大きさが閾値を超えていることを要求する。大きさが閾値を超えていると判断された場合、方法500は進む。大きさが閾値未満であると判断された場合、方法500はブロック514で終了する。
【0056】
ブロック504と同様に、方法500は、要求される車両加速の持続時間を判断することができる(フローチャートには示されていない)。この方法では、少なくとも期間が閾値を超えていることを要求する。持続時間が閾値を超えている場合、方法500が進む。持続時間が閾値を下回る場合、方法500は終了する。持続時間閾値は大きさに応じて変化し、及び/又は大きさの閾値は例えば制御マップを介して持続時間に依拠して変化し得る。
【0057】
判断ブロック506において、方法500は、別の条件が満たされているかどうかを判断することを含む。この方法は、少なくとも条件が満たされることを要求する。条件は、横軸における車両加速の完了と、横軸における次の車両加速の開始との近接に関連する。条件が満たされた場合、サスペンション角度は、次のモーションフィードバックを開始する前に修正されていない状態に戻るのに十分な時間がない可能性があるため、方法500は終了する。条件が満たされない場合、方法500は継続する。
【0058】
ブロック506を実装する1つの方法は、車両10の前方の2つ以上の横方向操縦についてモーションフィードバックを計画することを含む。条件が満たされるためには、操縦が閾値近辺にあることが必要になる場合がある。特定の例では、閾値の近辺はオーバーラップ点を定義することができる。オーバーラップは、最初の操縦のモーションフィードバックの完了予定時刻(戻り回転の完了)が、次の操縦のモーションフィードバックの開始予定時刻の後に発生する場合に定義される。隣接するモーションフィードバックイベントがオーバーラップしない場合、条件が満たされ、方法500が続行される。それらがオーバーラップする場合、条件は満たされないので、方法500は終了し得る。いくつかの例では、両方の操縦がブロック504を満たす(十分な大きさ)かどうか、条件をチェックすることができる。いくつかの例では、操縦が反対方向への横加速度を含むかどうか(例えば、スイッチバックカーブ)、条件をチェックすることができる。
【0059】
判断ブロック508において、方法500は、要求される横加速度が正(例えば左)又は負(例えば右)の横加速度であるかどうかを判断することを含む。これにより、制御方法500は、車両の乗員に正の片勾配効果をもたらす回転方向に車体をローリングする(傾ける)ことができる。正の片勾配効果により、頭からつま先までの加速度成分が増加し、車両の乗員が感じる横加速度が減少する。
【0060】
横加速度が左(正のy軸)であると判断された場合、方法500はブロック510に進み、アクティブサスペンション402を制御して、
図6Aに示すようにロール軸(x軸)を中心に第1の回転方向(
図6Aでは反時計回り)に車体を傾け始めることを含む。これにより、コーナリング中に乗員が受ける横加速度が減少する。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、ロール修正により、ロール軸を中心として車体の下の表面に対する車体の平行度が低くなる。
【0061】
横加速度が右(負のy軸)であると判断された場合、方法500はブロック512に進み、アクティブサスペンション402を制御して、
図6Bに示すようにロール軸(x軸)を中心に第2の回転方向(
図6Bでは時計回り)に車体を傾斜させ始めることを含む。これにより、コーナリング中に乗員が受ける横加速度が減少する。
【0062】
ブロック510及び512での傾きは、車両の横加速度の開始前に上記の回転方向の角度の修正を開始して、知覚可能な動きのフィードバックを提供し、その後、車両の横加速度の開始前に戻り回転方向に角度の修正を開始することにより、修正されていない角度に戻すことを含むことができる。修正されていない角度に戻る速度は異なる速度であり得る。戻り回転方向の傾き速度は異なっていてもよく、例えば遅くてもよい。特定の実施形態では、戻り回転方向の傾き速度は、車両の横加速度の開始前の傾き速度の半分であり得る。これにより、乗員は、別のコーナーへの新しい回転ではなく、戻りの回転が発生していることを理解できる。
【0063】
ブロック510及び512での車両加速の開始前の傾きの速度(速度、加速度及び/又はジャーク)及び/又は大きさ(角変位)は、任意選択で、横加速度の大きさに依拠し得る。第1の加速度の大きさは、傾き変化の第1の速度/大きさをもたらし得る。第2の加速度の大きさは、傾き変化の第2の速度/大きさをもたらし得る。いくつかの例では、傾きの速度/程度は、横加速度の大きさに比例し得る。比例性は、複数の粒度レベルを含むことができる。比例性により、ユーザはより大きな加速を予測できる。所定の限界(例えば、第2の加速度の大きさ)に達すると、傾きの速度/程度を制限(飽和)することができる。加速度の大きさが第2の加速度の大きさよりも大きい第3の加速度の大きさに達する場合、傾き変化は第2の速度/大きさに制限され得る。所定の限度は、乗員の不快感を避けるために較正され得る。
【0064】
ブロック510及び512での傾きは、例えば、スピーカー、ディスプレイ、又は触覚アクチュエータを介してキャビン300への知覚可能な聴覚/視覚/触覚フィードバックを伴って、横加速度に対する乗客の予測を促進することができる。追加のフィードバックは、加速前の所定の時間に出力されてもよい。
【0065】
上記の方法500によれば、少なくともモーションフィードバックは横加速度が始まる前に始まる。傾きは、車両加速の開始前の所定の時間に開始することができ、所定の時間は、約0.5秒~約2秒の範囲である。下限は、ユーザが次のコーナーを予測するのに十分な時間を提供する。上限は、未知の環境での操縦計画の不確実性を考慮しており、急速に変化する環境では1秒以下にもなり得る。所定の時間は、固定の単一値であってもよいし、可変であってもよい。
【0066】
上記の方法500の代替として、傾きは、横加速度の開始と同時に、又は開始後に開始することができ、アクティブな片勾配を反応的に提供するが、事前のモーションフィードバックを伴わない。したがって、本発明の一態様によれば、第1の軸における正又は負の車両加速度の要求を示す情報を受信し(第1の軸は横方向の軸である)、アクティブサスペンション402を制御して、指示の受信に応じて、第1の軸に垂直な第2の軸を中心に車体の角度の修正を開始すること(第2の軸は縦方向の軸であり、角度がロールである)を含む方法も提供される。
【0067】
横加速度自体を滑らかに制御してもよい。例えば、車両10の速度及び経路は、快適コスト関数を最小化するため、及び/又は所定の加速度閾値及び/又はジャーク閾値を超えることを回避するために、自律的に制御され得る。
【0068】
縦加速度のモーションフィードバック
次に、
図7の縦加速度制御方法700を参照すると、方法700は、正又は負の縦方向の車両加速度の開始前にモーションフィードバックを提供し、次に来る加速を準備し、乗員に通知する。
【0069】
方法700はブロック702で開始し、車両加速の要求を示す情報を受信し、車両加速度は縦加速度を含む。一例では、情報は、車両10の将来の縦加速度を予測する。車両加速の要求を示す情報は、自動運転車両加速の要求を示す情報を含むことができる。この情報は、加速やブレーキなどの操縦の計画を担当する自動運転車のコントローラからのものであり得る。いくつかの例では、車両10は非自動で運転される場合があり、情報は、例えば外部に面するビジョンシステムによる、車両10の周囲の環境の感知に基づいて、縦加速度の要求を予測することができる。
【0070】
任意選択の判断ブロックが示されている。判断ブロック704で、方法700は、加速度が車両10の停止状態と車両10の移動状態との間の遷移に関連するかどうかを判断することを含む。この例では、方法700は少なくともこの遷移を要求する。加速度が停止状態と移動状態との間の遷移に関連していると判定された場合、方法700が進む。加速が停止状態と移動状態との間の遷移に関連付けられていないと判定された場合、方法700はブロック714で終了する。
【0071】
ブロック704の結果として、方法700は、停止から加速する場合及び/又は停止まで減速する場合にのみ実行される。停止からの/停止への加速は、例えば摩擦ブレーキのグラブやトルクパスのラッシュクロッシングが原因で、より高いジャークに関連付けられるため、早期のモーションフィードバックがより有利である。
【0072】
代替的な実施形態では、ブロック704が省略され、車両10が停止しているかどうかに関わらずモーションフィードバックが適用される。車両10は、加速の前後で動いていてもよい。
【0073】
判断ブロック706において、方法700は、要求される車両加速度の大きさを判断することを含む。方法700は、少なくとも大きさが閾値を上回ることを要求する。大きさが閾値を超えていると判断された場合、方法700は進む。大きさが閾値未満であるという判断された場合、方法700はブロック714で終了する。
【0074】
ブロック706と同様に、方法700は、要求される車両加速の持続時間を判断することができる(フローチャートには示されていない)。方法700は少なくとも期間が閾値を超えていることを要求する。持続時間が閾値を超えている場合、方法700は進む。持続時間が閾値を下回る場合、方法700は終了する。持続時間閾値は大きさに応じて変化し、及び/又は大きさの閾値は例えば制御マップを介して持続時間に依拠して変化し得る。
【0075】
判断ブロック708において、方法700は、要求が正(例えば前方加速)又は負(例えば減速/減速)の加速かを判断することを含む。これにより、制御方法700は、車体を特定の回転方向にピッチングして、次に来る加速度が正か負かを示すことができる。ピッチングは、ユーザの非垂直加速度成分を減らして、ヘッドジャークを低減する。
【0076】
縦加速度が正(正のx軸)であると判断された場合、方法700はブロック710に進み、アクティブサスペンション402を制御して、
図8Aに示すように、ピッチ軸(y軸)を中心に第1の回転方向に車体をピッチングし始めることを含む。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、ピッチの修正により、ピッチ軸を中心に車体が車体の下の表面との平行度が低くなる。車体をピッチングするとモーションフィードバックが提供され、加速中に乗員が遭遇する縦加速度が減少する。
図8Aによれば、第1の回転方向は、正の加速度下での体重移動の物理学に従って、スクワット方向(後部下降及び/又は前部上昇)である。ただし、車両の物理にあまり詳しくない乗員は、第1の回転方向がダイビング方向(後部上昇及び/又は前部下降)であると、より直感的に感じるかもしれない。したがって、第1の回転方向は、実装によっては、スクワット、又はダイビングであり得る。
【0077】
縦加速度が負(負のx軸)であると判断された場合、方法700はブロック712に進み、アクティブサスペンション402を制御して、
図8Bに示すように、ピッチ軸(y軸)を中心に第2の回転方向に車体をピッチングし始めることを含む。第2の回転方向は、第1の回転方向と反対である。車両をピッチングすると、モーションフィードバックが提供され、減速中に車両の乗員が遭遇する縦減速が減少する。
【0078】
ブロック710及び712でのピッチングは、モーションフィードバックを提供するために、車両加速の開始前に上記の第1の回転方向の角度の修正を開始し、次に車両加速の開始前に戻り回転方向に角度の修正を開始することにより、修正されていない角度に戻すことを含むことができる。修正されていない角度に戻る速度は、同じでも異なっていてもよい。
【0079】
ブロック710及び712におけるピッチの修正速度は、知覚可能なモーションフィードバックを提供するように制御され、生物学的閉ループバランス制御をトリガーする。一例によれば、第1の回転方向におけるピッチの平均修正速度は、ほとんどの実装において、毎秒約2度、又は2度からプラスマイナス1度の値である。異なる実装では異なる速度が必要であり、一例では、速度は毎秒約0.5度~毎秒約5度の範囲の値であり、ヒーブなどの過剰なZ軸の動きなしで、知覚可能なモーションフィードバックを提供する。
【0080】
ブロック710及び712における修正角度に向かう第1の回転方向のピッチングの割合(速度、加速度及び/又はジャーク)及び/又は大きさ(角変位)は、任意選択で、縦加速度の大きさに依拠し得る。第1の加速度の大きさは、ピッチ変化の第1の速度/大きさをもたらし得る。第2の加速度の大きさは、ピッチ変化の第2の速度/大きさをもたらし得る。いくつかの例では、ピッチングの速度/程度は、縦加速度の大きさに比例し得る。比例性は、複数の粒度レベルを含むことができる。比例性により、ユーザはより大きな加速を予測できる。所定の限界(例えば、第2の加速度の大きさ)に達すると、傾き変化の速度/程度を制限(飽和)することができる。加速度の大きさが第2の加速度の大きさよりも大きい第3の加速度の大きさに達する場合、ピッチの変化は第2の速度/大きさに制限され得る。所定の限度は、乗員の不快感を避けるために較正され得る。
【0081】
ブロック710及び712でのピッチングは、例えば、スピーカー、ディスプレイ、又は触覚アクチュエータを介してキャビン300への知覚可能な聴覚/視覚/触覚フィードバックを伴って、縦加速度に対する乗客の予測を促進することができる。追加のフィードバックは、ドア304が閉じられると、加速前の所定の時間に出力されてもよい。
【0082】
上記の方法700によれば、少なくともモーションフィードバックは縦加速度が始まる前に始まる。ピッチングは、車両加速の開始前の所定の時間に開始することができ、所定の時間は、約0.5秒~約2秒の範囲である。下限は、ユーザが次の縦加速度を予測するのに十分な時間を提供する。上限は、未知の環境での操縦計画の不確実性を考慮しており、急速に変化する環境では1秒以下にもなり得る。所定の時間は、固定の単一値であってもよいし、可変であってもよい。縦加速度の所定の時間は、横加速度の所定時間と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0083】
縦加速度自体を滑らかに制御してもよい。例えば、車両10の速度及び経路は、快適コスト関数を最小化するため、及び/又は所定の加速度閾値及び/又はジャーク閾値を超えることを回避するために、自律的に制御され得る。
【0084】
上述の縦方向及び横方向の加速度制御方法500、700は、加速度の予測をさらに改善し、非垂直な頭部加速度をさらに低減するために、同時な傾き及びピッチングなどの組み合わせた傾き及びピッチングのために、組み合わせることができる。
【0085】
キャビン荷重の移動に対する補償
図9は、本発明のさらなる態様による、乗員の快適性を改善する別の制御方法900を示している。
図9は、以下を含む方法900を実施する例である:
一時的なサスペンション乱れが車両10のキャビン300内からのものであるかどうかを判断すること(ブロック902);
一時的なサスペンション乱れが車両10のキャビン300内からのものであるかどうかに依拠して、アクティブサスペンション402の可変力パラメータを制御すること(ブロック904)。
【0086】
サスペンション乱れは、アクティブサスペンション402を通して伝達される力である。力は、少なくとも1つの車輪に関連する力が変化するときの一時的な乱れである。一時的なサスペンション乱れは、力の単一の変化、力の不規則なシーケンスに対応するか、又はそれに関連する周波数を有する可能性がある。
【0087】
一使用例では、乗員は、キャビン300内で重量が移動するときに車両が揺れないことを好む。揺れは、可変力パラメータを使用して有利にほぼ排除することができる。しかしながら、可変力パラメータが、キャビン300の外側のサスペンション乱れの原因に対して同程度に制御される場合、車両キャビン300は、道路から孤立しすぎているように感じる場合があり、これは乗り物酔いに影響を及ぼし得る。乗り物酔いは、道路のうねり、くぼみ、隆起、テクスチャなどのサスペンション乱れの外部要因に応じてキャビンの動きを許可することで軽減できる。
【0088】
図9の方法900は、ブロック902で始まり、これは、一時的なサスペンション乱れが車両10のキャビン300内からのものであるかどうかを判断することを含む。一時的なサスペンション乱れがキャビン300内からのものであると判断された場合、方法900は継続する。一時的なサスペンション乱れがキャビン300内からのものではない(例えば、外部/未知)と判断された場合、方法900はブロック906で終了する。
【0089】
一時的なサスペンション乱れは、検出された、又は予測された一時的なサスペンション乱れであり得る。制御システム2は、予測される一時的なサスペンション乱れに基づいてアクティブサスペンション402を予測的に制御するための予測コントローラを含むことができる。制御システム2は、検出された一時的なサスペンション乱れに基づいて、アクティブサスペンション402を反応的に制御するための反応コントローラを含むことができる。制御システム2は、予測コントローラと反応コントローラの両方を含むことができ、反応コントローラは、予測コントローラによる不正確な予測を補償する。
図9の方法900は、予測コントローラ、反応コントローラ、又はそれらの組み合わせを使用して実装することができる。
【0090】
一例では、方法900は、一時的なサスペンション乱れがサスペンション乱れの閾値大きさ及び/又は閾値速度を超えるとき、乱れが車両10のキャビン300内からのものであるかどうかを判断することができる。方法900は、少なくとも大きさ/速度が閾値を上回ること要求し得る。
【0091】
一時的なサスペンション乱れの検出又は予測は、適切なセンサを使用して実行される。例を示す。
【0092】
IMU408を監視して、車体のロール、ピッチ及び/又はヒーブを検出することができる。車輪対車体変位センサ404からの信号は、一時的なサスペンション乱れも検出することができる。生の信号は、サスペンション乱れの発生源に依拠しない。ただし、信号を参照データと比較して、ソースを特定することはできる。制御システムは、基準データを提供するために、車両10が空である間に車両10のIMU/変位データを経時的に記録することができる。制御システムは、搭乗されている間の車両10のデータを空の間の車両10の基準データと比較し、ピッチ、ロール及び/又はヒーブ、及び/又は車輪対車体の変位における個別の乱れを探すことができる。
【0093】
カメラなどのキャビンセンサ410が存在する場合、画像分析を実行して、検出又は予測された乱れの発生源を特定することができる。例えば、人や貨物などの物体が識別され得る。ベクトルなどの移動識別子を物体に関連付けることができる。移動識別子に基づいて、キャビン300からの検出又は予測される一時的なサスペンション乱れを判断することができる。
【0094】
他のキャビンセンサ410は、シートベルトセンサ、シート重量圧力センサ、及び床圧力センサなどの車両搭乗センサを含む。シートベルトの取り外し及び/又はシート重量の変更は、車両10内の既知の位置で検出又は予測される一時的なサスペンション乱れの発生源に対応する。別のキャビンセンサ410は、音センサを含む。
【0095】
ユーザインターフェース412からの情報を使用することができる。例えば、ユーザデバイスは、車両内に(ユーザとともに)その存在を示すことができる。ドアの開閉ボタンを押すと、一時的なサスペンション乱れが検出又は予測され得る。
【0096】
いくつかの例では、制御システム2は、発生源がキャビン300からのものであったかどうかを判断するために、一時的なサスペンション乱れの発生源がキャビン300の外部にあったかどうかを識別し得る。IMU408及び/又は車輪対車体変位センサ404の分析により、外部発生源を特定することができる。位置特定センサ406は、一時的なサスペンション乱れの外部発生源を検出/予測することを可能にする。風速及び/又は風向センサを使用して、キャビンの動きに対する風の影響を判断できる。
【0097】
いくつかの例では、制御システム2は、発生源がキャビン300からのものであったかどうかを判断するために、操縦計画に関連する予想される一時的なサスペンション乱れを監視することができる。予想される一時的なサスペンション乱れは、車両10の予想されるコーナリング及び/又は加速及び/又は制動及び/又は速度を含むことができる。操縦計画は、位置特定センサ406を使用して実行される。制御システム2が、一時的なサスペンション乱れを予想される一時的なサスペンション乱れと比較して関連付ける場合、一時的なサスペンション乱れはキャビン300からのものではない。
【0098】
いくつかの例では、ブロック902の判断は、乱れの発生源にとらわれない少なくとも1つのセンサに基づいて決定論的に行うことができる。上述のキャビンセンサ410及び/又はユーザインターフェース412は、決定論的アプローチを可能にする。
【0099】
いくつかの例では、ブロック902の判断は、確率論的に行うことができる。判断は、複数の感知モード(上記のセンサ/分析の組み合わせ)に依拠し得る。判断は、マルチモーダル情報からの組み合わされた確率を、一時的なサスペンション乱れの異なる発生源に関連する確率閾値と組み合わせることを含むことができる。
【0100】
一時的なサスペンション乱れがキャビン300内からのものである場合、方法900はブロック904に進む。ブロック904は、アクティブサスペンション402の可変力パラメータを制御することを含む。可変力パラメータは、上述の力要求であってもよい。
【0101】
力要求自体は、一時的なサスペンション乱れがキャビン300の内部からのものであるか外部からのものであるかに依拠しないままであり得る。しかし、ブロック904で力要求を制御することは、力要求の上限を変更することを含んでもよい。上限の変更は増加であり得る。上限を大きくすることにより、制御システム2は、他のより小さな乱れに一貫して応答しながら、キャビンに起因される揺れを制御できるようになり、乗員の快適性が向上する。キャビンに起因する乱れが予測よりも重度でない場合、限度には達せず、車両10は予測通りに挙動し続ける。乗員は、車両の挙動が補償していることに気付かず、乗員/荷物が動いても本質的に揺れない車両10に乗っていることを感じ取ることがある。この揺れがないことにより、バスのような大量の車両に乗っているような感覚が得られる。これは、小型の自動輸送車両を顧客が受け入れるのに有利である。しかしながら、方法900の別の実装では、ブロック904は力要求自体を増加させることができる。
【0102】
上限を上げることは、アクティブサスペンションのどの部分がアクティブであるかに応じて、ばね力及び/又は減衰力の上限を上げることを含んでもよい。ばね力の上限は、減衰力の上限と同じであっても異なっていてもよい。
【0103】
省エネモード
図10は、本発明のさらなる態様による、乗員の快適性を改善する別の制御方法1000を示している。制御方法1000は、以下を含む:
乗員が車両10に乗っていないかどうかを判断すること(ブロック1002);
乗員が車両10に乗っていないと判断された場合、可変力パラメータを減少させ(ブロック1004)、乗員が車両10に乗っていないと判断されない場合、可変力パラメータを減少させないこと(ブロック1006)。ブロック1006は、本明細書に記載された他の制御方法を実行することにつながり得る。
【0104】
乗員が車両10に乗っていないかどうかの判断は、キャビンセンサ410及び/又はユーザインターフェース及び/又は車輪対車体変位センサ404を使用して実行することができる。例えば、以下の場合、乗員は搭乗していない:キャビンカメラ画像の画像分析が乗員を認識しない;シート重量センサがすべて、閾値未満の重量を示す;シートベルトセンサはすべて、シートベルトが外されていることを示す;ユーザ依拠(乗客依拠)の経路の要求が有効になっていない;車輪対車体の変位が無負荷条件を満たす;など。
【0105】
可変力パラメータを減少させることは、力要求(1つ又は複数)(ゲイン)を減少させることを含み得る。スカイフック/グラウンドフックゲインなどのゲインを減らすと、エネルギー消費が削減される。例えば、ポンプ制御のフルイドアクティブサスペンションでは、ゲインが低いほどポンプの使用が少なくて済む。ゲインはゼロ以外の低い値に減らすことができる。いくつかの例では、可変力パラメータを減少させることは、ポンプを停止させることを含み得る。
【0106】
共振乱れに対する安定性
図11は、本発明のさらなる態様による、車両の安定性を改善する別の制御方法1100を示している。制御方法1100は、以下を含む:
一時的なサスペンション乱れが機械的共振に関連しているかどうかを判断すること(ブロック1102);
一時的なサスペンション乱れが機械的共振に関連していると判定された場合に、可変力パラメータを制御して、アクティブサスペンション402に関連する固有振動数を変更し(ブロック1104)、一時的なサスペンション乱れが機械的共振に関連していると判定されない場合、可変力パラメータを制御せず固有振動数を変更しないこと(ブロック1106)。
【0107】
この制御方法1100は、固有振動数を機械共振の高調波ではない固有振動数に変更する。これにより、車両10は、例えば、破壊者又は暴徒によってひっくり返されにくくなる。完全無人車両は、監視が不足しているため、ドライバー付き車両よりも故意の損傷を受けやすい可能性がある。
【0108】
一時的なサスペンション乱れが機械的共振に関連しているかどうかの判断は、さまざまな方法で実施できる。機械的共振を検出するために、時間分析を使用して、IMU408及び/又は車輪対車体変位信号の時間変動を分析することができる。
【0109】
いくつかの実装形態では、関連付けは、一時的なサスペンション乱れの発生源を特定することによって行うことができる。発生源が車両10の本体302を押し込むことを含む場合、関連付けが行われる。押し込みの検出は、(透明な窓を介して)キャビンカメラからの画像の画像分析及び/又は外向きビジョンシステムを使用して、及び/又は本体302上/車両キャビン300内の圧力センサを使用して達成することができる。
【0110】
ブロック1104は、機械的共振の一部として振動の大きさが増大していることが検出された場合に実行され得る。振動が減少している、又は増加していない場合、制御システム2は、少なくとも振動の大きさが増加しない限り、又は増加するまで、ブロック1104を実行しないと決定することができる。
【0111】
可変力パラメータを制御して、アクティブサスペンション402に関連する固有振動数を変更することは、さまざまな方法で実施することができる。固有振動数を変更することは、少なくとも1つの車輪に対する力要求を変更することを含むことができる。力要求は、ばね力及び/又は減衰力に対応し得る。固有振動数の変更は、1回の判断に応じて、1回でも複数回でもよい。いくつかの例では、固有振動数は、所定の期間内に複数回変更され得る。
【0112】
固有振動数の変化は、任意であってもよいし、閉ループ制御プロセスによるものであってもよい。いくつかの例では、修正された固有振動数は、閉ループフィードバックに基づいて機械的共振と位相がずれるように制御され得る。閉ループ制御プロセスは、機械的共振増幅に対するピーク抵抗を提供するために必要な力要求を判断し、次にその力要求を提供することを含むことができる。
【0113】
斜面での水平プラットフォーム
図12は、本発明のさらなる態様による、車両のアクセシビリティを改善する別の制御方法1200を示している。制御方法1200は、少なくとも以下を含む:
乗客及び/又は貨物の乗降の要求を示す情報を受信すること(ブロック1202);
乗降が傾斜面1300上の車両10で発生することを示す情報を受信すること(ブロック1204);
傾斜面1300での乗降時に、アクティブサスペンション402を制御して、水平に対する前記車体の角度を減少させること(ブロック1212又は1214)。
【0114】
方法1200は、車両10が、例えば、ドア304が開く前に、乗降する前に、地平線に対して水平なプラットフォームを提供することを可能にする。これにより、急な坂道での乗降が容易になり、貨物が滑ったり転がったりすることを防ぐ。水平なプラットフォームを提供できるかどうかは、サスペンションの最大移動距離によって制限される。
【0115】
傾斜面1300は横傾斜を含んでもよく、アクティブサスペンション402は、
図13Aに示すように、水平に対する車体の角度を減少させるためにロール軸(x軸)を中心に車体を傾けるように構成される。追加的又は代替的に、傾斜面1300は縦傾斜を含んでもよく、アクティブサスペンション402は、
図13Bに示すように、水平に対する車体の角度を減少させるためにピッチ軸(y軸)を中心に車体をピッチングするように構成される。
【0116】
乗降の要求を判断するには、さまざまな方法がある。例えば、ユーザインターフェース412は、ユーザが乗降を要求できるようにすることができる。ユーザは、乗降の要求ボタンを押すことができる。ユーザは、ドアの開閉ボタンを押すことができる。ユーザの要求は、車両10のヒューマンマシンインターフェースから、又はユーザのデバイスからのものであり得る。ユーザは、要求が乗車に対するものか降車に対するものかに応じて、車両10の乗員である場合もそうでない場合もある。
【0117】
乗降の要求は、経路の要求など、他のユーザ依拠の情報に基づいて判断することができる。例えば、制御システム2のナビゲーション機能は、車両10が経路の要求によって指定された目的地(例えば、ジオフェンス)に到達したことを判断することができる。
【0118】
要求の指示が受信されると、方法1200は、ブロック1204で、傾斜面1300上の車両10で乗降が発生することを示す情報を受信する。例えば、情報は、位置特定センサ406による運転環境の監視に基づくことができる。情報は、傾斜情報を含む地図データの監視に基づくことができる。
【0119】
判断ブロック1204は、乗降が傾斜面1300上の車両10で発生するかどうかを判断することを含むことができる。車両10が傾斜面1300上で乗降を行う場合、方法1200が継続する。そうでない場合、方法1200はブロック1216で終了し、乗降のために傾斜していない表面に対して実質的に平行な角度を維持する。
【0120】
ブロック1204の判断は、反応的又は予測的であり得る。予測的判断により、車両10がまだ動いている間、アクティブサスペンション402を穏やかに制御することが可能になる。車両10が停止間近又は停止中に、反応的判断を実行してもよい。
【0121】
反応的判断を行うことは、傾斜計を使用して信号を監視することを含み得る。IMU408の加速度計は、傾斜計として機能することができる。予測的判断を行うことは、運転環境内の乗降位置を判断し、乗降位置で傾斜を判断することに基づいて実行することができる。表面が傾斜しているかどうかを判断することは、位置特定センサ406からの入力を監視すること、及び/又は地図データに傾斜情報を問い合わせることを含むことができる。
【0122】
判断ブロック1206は、表面の傾斜の大きさを判断することを含む。方法1200は、少なくとも大きさが閾値を上回ることを要求する。大きさが閾値を上回る場合、方法1200は継続する。大きさが閾値未満である場合、方法1200は終了する。これは、傾斜が急なほど平坦なプラットフォームの方が有利だからである。大きさは、IMU408、マップデータ、位置特定センサ406、又はそれらの組み合わせから判断され得る。
【0123】
判断ブロック1208は、少なくとも1つの乗降特性を示す情報をポーリングすることを含む。この例では、方法1200は、少なくともポーリングによってそのような情報が取得されないことを要求する。そのような情報が取得されない場合、方法1200は継続する。情報が取得された場合、方法1200は終了する。傾斜面1300に対して平行な角度を維持するユーザベースの理由がない場合、方法は継続する。
【0124】
少なくとも1つの乗降特性を示す情報の一例は、車両への物体の輪転による乗降に関連する輪転乗降の要求を含む。人、貨物、又はベビーカーのフレームなどの物体を車両10に輪転で運ぶには、傾斜路が必要な場合がある。いくつかの例では、車輪の乗降要求は、車椅子の乗降要求及び/又はベビーカーの乗降要求であってもよい。車両10及び/又はユーザデバイスにおけるヒューマンマシンインターフェースは、ユーザが輪転乗降要求を入力できるように構成され得る。ユーザが入力を行う場合、条件は満たされておらず、方法1200は終了する。あるいは、キャビンカメラ又は外部に面した視覚システムからの画像の画像処理を使用して、車いすやベビーカーなどの物体を認識することにより、輪転乗降要求を検出することができる。
【0125】
少なくとも1つの乗降特性を示す情報の別の例は、車両への貨物の積み込み/積み下ろしに関連する貨物の積み込み/積み下ろし要求を含む。貨物の積み込み/積み下ろし要求は、手動要求による貨物の積み込み/積み下ろし及び/又は機械要求による貨物の積み込み/積み下ろしを含むことができる。貨物エリアのアクセスポイント(例:ドア)が地面に低いと、手で貨物を積み込むのが容易になる。車体が機械と同じ角度になっていると、機械での積み込みが容易になる。機械は、フォークリフト又はその他の機械であり得る。ユーザが貨物要求の積み込み/積み下ろしを入力できるようにするために、専用のヒューマンマシンインターフェースを提供することができる。ユーザが入力を行う場合、条件は満たされておらず、方法1200は終了する。あるいは、キャビンカメラ又は外部に面したビジョンシステムからの画像の画像処理を使用して、貨物の積み込み/積み下ろしが行われているかどうか、及びそうであれば、貨物が手動又は機械で積み込み/積み下ろしされているかどうかを検出することができる。
【0126】
判断ブロック1210は、表面が第1の方向に傾斜しているか、又は反対の第2の方向に傾斜しているかを判断することを含む。一例では、第1の方向は、縦方向の上り坂の傾斜であってもよい。第2の方向は、縦方向の下り坂の傾斜であってもよい。アクティブサスペンション402は、図示のように、表面が上り坂か下り坂かに基づいて異なるように制御することができる。別の実装では、角度が変更される量は、傾斜の方向に依拠しない。
【0127】
表面が上り坂の場合、方法1200はブロック1212に進み、アクティブサスペンション402を制御して、水平に対する車体の角度を第1の限界まで減少させる。表面が下り坂になっている場合、方法1200は代わりにブロック1214に進み、アクティブサスペンション402を制御して、水平に対する車体の角度を第2の限界まで減少させる。第2の量は第1の量より少なくてもよく、これにより、乗員が依然として車両10のフロントウィンドウから地面を見ることができるようにし、見当識障害を低減する。
【0128】
ブロック1212及び1214について説明したようにアクティブサスペンション402を制御することは、車両と水平(例えば、傾斜計に関連付けられた仮想水平線)との間の角度の差を判断することを含み得る。制御システム2は、差を決定し、アクティブサスペンション402を制御して差を減少させるように構成され得る。この差をなくすことができるかどうかは、サスペンションの最大移動量によって制限される。
【0129】
角度を減少させるためのアクティブサスペンション402の制御は、車両10が停止した後、又は車両10が停止する閾値時間前に開始することができる。
【0130】
縁石のマッチングとニーリング
図14は、本発明のさらなる態様による、車両のアクセシビリティを改善する別の制御方法1400を示している。制御方法1400は、少なくとも以下を含む:
車体と乗降面1500との間の高低差及び/又は角度差を判断すること(ブロック1402);
アクティブサスペンション402を制御して、高低差を減少させること、及び/又はアクティブサスペンション402を制御して車体の角度差を減少させること(ブロック1410又は1412)。
【0131】
上記の方法1400は、ユーザが乗降するために取らなければならない足踏みの幅を減らすためにニーリング機能を提供する。乗降面1500は、ユーザが車両10に乗降する舗装(歩道)又は他の場所であってもよく、これは車両10の下ではない。乗降面1500は、縁石を検出することによって近似することができる。あるいは、乗降面1500は、外向きの視覚システムを介して、舗装面を認識すること、及び/又は人々が立っている場所を認識することによって決定され得る。乗降面1500の位置は、経路の要求(目的地/乗車場所)、及び停車するのに適切な場所を見つけるための位置特定情報に基づいて判断することができる。
【0132】
縁石の例を使用すると、方法1400は縁石が低い場合にライドハイトを下げることができる。方法1400は、縁石が高い場合にライドハイトを高くすることができる。角度が、車両10が乗降のために停止する表面と異なる場合、車体ロール角は、乗降面1500のキャンバに一致するように、及び/又はピッチは、乗降面1500の縦方向の傾斜に一致するように調整され得る。多くの場合、舗装は道路とは異なるキャンバを持ち、縁石は路面に対して規則的に上下する。
【0133】
方法1400は、任意選択で、
図12の方法1200と同様に実行され得る。そうである場合、ブロック1212又は1214(水平に対する角度を減少させる)との衝突を回避するために、角度差を減少させることを制御することができる。例えば、角度差を減少させることは、1つの軸(例えば、x軸、ロール)についてであり、一方、
図12の方法1200の水平に対する差を減少させることは、別の軸(例えば、y軸、ピッチ)についてである。
【0134】
車体と乗降面1500との間の高低/角度差を判断することは、様々な方法で行うことができる。乗降面1500の位置を判断することができる。乗降面1500の高低/角度を示す情報を判断することができる。3Dポイントクラウド/デプスマップ又はその他の位置特定情報を使用できる。縁石については、より単純な縁石の高さ検出器も存在する。乗降場所10における車体の高さ/角度を示す情報も同様に判断することができる。高低及び/又は角度差を破断することができる。任意選択で、方法1400が進むためには、差が少なくとも最小閾値を超えることが要求される場合がある。
【0135】
任意選択の判断ブロック1404は、
図12の方法1200のブロック1208と同様に、少なくとも1つの乗降特性を示す情報をポーリングする。
【0136】
任意選択のブロック1406は、乗降面1500のキャンバを示す情報を受信することを含む。キャンバとは、車両10の側面から離れた横方向の傾斜、例えば、車両10が縦列駐車され、x軸の前方を向いている場合のy軸方向の傾斜を指す。キャンバの情報は、ブロック1402について上述した手法を使用して判断することができる。アクティブサスペンション402は、キャンバに依拠して異なるように制御され得る。例えば、キャンバが下向きである場合(車両10からのy軸距離の増加に伴って負のz軸)、方法1400は、
図15Bに示されるように角度差を減少させて、車両からの足踏み距離を減少させることができる。キャンバが正(車両10からのy軸距離の増加に伴う正のz軸)である場合、方法1400は、
図15Aに示されるように、角度差を減少させることなく、ブロック1410で終了してもよく、又は角度差をある程度減少させることができる。別の実装では、角度差はキャンバの方向に依拠せず、及び/又は角度はまったく変更されない。
【0137】
誘導充電
図16は、本発明のさらなる態様による、車両の快適性を改善する別の制御方法1600を示している。制御方法1600は、少なくとも以下を含む:
車両10がトラクションバッテリー充電インターフェース1700に到達することを示す情報を受信すること(ブロック1602);
図17に示すように、受信情報に応じて、車両10がトラクションバッテリー充電インターフェース1700に近づくとき、車両10がトラクションバッテリー充電インターフェース1700に到達する前に、アクティブサスペンション402を制御して、複数の車輪に対する車体の高さ及び/又は角度を、トラクションバッテリーの充電に関連する必要な高さ及び/又は角度に向けて修正し始めること(ブロック1608)。
【0138】
いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、トラクションバッテリー充電インターフェース1700は、ワイヤレス誘導充電のために構成される。充電インターフェース1700は、充電パッドを含むことができる。充電インターフェースは、車体の下側に取り付けることができ、トラクションバッテリーを充電するために充電パッドと誘導的に結合するように配置することができる充電コイルを含むことができる。必要な高さ/角度は、ワイヤレス誘導充電の設定点であり得る。設定点は、共振誘導結合を最適化するためのものであり得る。設定点の高さ/角度は、最良の充電効率を提供する。高さだけでなく角度を変えることで、公道などの凹凸のある路面でも効率よく充電できるというメリットがある。
【0139】
充電インターフェース1700は、車両10が走行している路面の上又は下に配置することができる。充電インターフェース1700は、タクシー乗り場や信号機の待ち行列エリアなど、車両10が頻繁に一時停止する待機場所に配置されてもよい。車両10の各経路中に、車両10は、複数の充電インターフェース1700に遭遇することがある。したがって、トラクションバッテリー312は、経路の停止中、定期的に少量の充電ブーストを受けることができる。これは、タクシーなどの車両をより長く連続して稼働させるのに役立つ。しかしながら、乗員は、車両10が充電インターフェース1700に到達した後に高さ/角度が変化し始めるかどうかに気付くことがある。これは予想外で、快適ではない可能性がある。したがって、高さ/角度は、車両10が充電インターフェース1700に到達する前に変化し始める。
【0140】
ブロック1602では、車両10がトラクションバッテリー充電インターフェース1700に到達することを示す情報を受信することは、様々な方法で実施され得る。制御システム2は、車両10が充電インターフェース1700に到達しているかどうかを判断することができる。そうである場合、方法1600は継続することができる。そうでない場合、方法1600は終了することができる。充電インターフェース1700の位置は、例えば、マップデータで、又は外向きの視覚システムデータからの標識認識を介して示され得る。車両10のルートは、操縦計画及びユーザ依拠の経路の要求から知ることができる。ルートは、充電インターフェースの場所に一致させることができる。車両10は、車両10が充電インターフェース1700への閾値近接に到達することに依拠して、充電インターフェース1700に到達していると判定され得る。この例では、方法1600は、少なくとも車両10が閾値近接に到達することを要求する。閾値近接は、ジオフェンス、充電インターフェース1700に到達するのにかかる時間、又はそれらの組み合わせを使用して定義され得る。
【0141】
方法1600は、任意選択の判断ブロックを含む。ブロック1604は、車両10が充電インターフェース1700を介してトラクションバッテリー充電のために停止できるかどうかを判断することを含む。そうである場合、方法1600は継続する。そうでない場合、方法1600は終了する。この判断は、充電を行うために車両10を停止しなければならない場合に実行される。一実装形態では、車両10の将来の停止位置は、自律操縦計画から知られる。停止位置が充電インターフェース位置と一致する場合、方法1600は続行する。停止位置は、監視された信号機の状態、監視された他の道路利用者の移動速度などに応じて決定され得る。車両10が移動中に充電できる場合、ブロック1604を省略又は実装して、充電場所にいる間に車両10の速度が閾値を下回るかどうかを判断することができる。
【0142】
判断ブロック1606は、車両10がトラクションバッテリー充電インターフェース1700に動作可能に結合される予想期間を判断することを含む。この例では、方法1600は、少なくとも期間が閾値を超えることを要求する。持続時間が閾値を超えている場合、方法1600は継続する。持続時間が閾値を下回る場合、方法1600は終了する。期間は、時間依拠のパラメータを使用して表すことができる。時間依拠パラメータは、費やされた時間として、又は充電インターフェース1700で得られる充電の予測量として、及び/又はその他のものとして表すことができる。
【0143】
いくつかの例では、予想期間を判断することは、車両10の経路に関連する交通移動の監視、又は動的通行権情報の監視のうちの少なくとも1つに依拠する。車両10の経路は、操縦計画から知られている。交通移動は、例えば、車両10が入っている、又は接近している列を監視することによって監視することができる。位置特定センサ情報を使用して、交通移動を監視できる。動的通行権情報は、車両10の経路における信号機、優先標識、及び他の道路指示を示し、異なる交通流への条件付き及び/又は時限通行権を提供する。信号機が青になるか、行列が順調に進んでいる場合、車両10は充電できない可能性がある。車両10が列に並んで待たなければならない場合、車両10は充電することができる。
【0144】
信号機の使用事例では、充電インターフェース1700は信号機に関連付けられており、持続時間をチェックすることは、車両10が充電インターフェース1700に到達した後、信号機が赤/譲れを示す時間を示す信号機パラメータを判断することを含むことができる。信号機パラメータは、例えば、信号機コントローラとのV2I通信を介して取得することができる。横断歩道の使用事例の場合、持続時間を確認することは、位置特定センサ情報から横断歩道の利用を判断することを含むことができる。
【0145】
予想期間を決定することは、車両10の使用状況を判断することを含むことができる。使用状況は、検出された車両の乗員数に依拠することがある。いくつかの例では、使用状況は、時刻表などのスケジュール、及び時刻に依拠し得る。車両10が搭乗されていない間、及び/又はサービスを提供していない間、及び/又はオフピーク時に、予想期間は増加することができる。
【0146】
いくつかの例では、車両10は、誘導充電機能を用いて、タクシー乗り場又は乗客の停留所などの1つ又は複数の所定の停車場所に停車することができる。予想期間を決定することは、停車場所の等級(例えば、旅客停留所ではなくタクシー乗り場)、停車場所での平均停車時間など、停車場所に関連する情報を判断することを含むことができる。
【0147】
任意選択のさらなる判断(図示せず)は、トラッキングバッテリー312の予測された充電状態の電流が閾値を下回るかどうかを判断することを含むことができる。この例では、方法1600は、少なくとも充電状態が閾値未満であることを要求する。充電状態が閾値を下回る場合、方法1600は継続することができる。充電状態が閾値を上回る場合、方法1600は終了することができる。閾値は、満充電の80%~100%の範囲の値であり得る。予測は、経路に依拠し得る。すなわち、ユーザ依拠の経路の要求に基づいている。
【0148】
上記の要件がすべて満たされると、ブロック1608は、アクティブサスペンション402を制御して、車体の高さ/角度を設定点に向けて修正し始めることを含む。一使用例では、通常、走行中の車体のライドハイトは、ワイヤレス誘導充電に最適な高さよりも高くなる。したがって、ブロック1608は、少なくとも車両10の平均高さ(ライドハイト)を下げることを含むことができる。60~100mmの範囲のライドハイトは、一般に、効率的な無線誘導充電に関連する。
【0149】
制御システム2は、充電インターフェース1700に到達する前の所定の時間にブロック1608を開始することを決定することができる。所定の時間は少なくとも約0.5秒である。いくつかの例では、所定の時間は、約0.5秒~10秒の範囲の値である。時間が長いほど変化速度が遅くなり、快適になるが、条件が予期せず変化した場合、中断する可能性が高くなる。0.5~1秒程度の短い時間では、アクティブサスペンション制御が開始したときに、車両10がまだ動いていて減速している可能性が高くなる。したがって、開始ブロック1608に関連するキャビン加速度及び特にジャークは、減速力及び道路誘導キャビン運動に関連する合成キャビン加速度/ジャークの知覚できない成分である。充電インターフェース1700に到達する時間が所定の時間に達したかどうかを判断することは、充電インターフェース1700までの距離を車両10の予測速度で割った値を判断することを含むことができる。予測される速度と距離は、操縦計画及び/又は地図データから知ることができる。
【0150】
高さの変更速度は、快適さのために、閾値又は限界未満になるように制御することができる。
【0151】
車両10はまだ充電インターフェース1700に到達していないので、開ループ制御プロセスを介して設定高さ/角度を最初に計算することができる。開ループ設定点は、充電インターフェース1700ごとに同じであっても異なっていてもよい。異なる場合、充電インターフェース1700ごとの開ループ設定点は、充電インターフェース1700での車両10の以前の充電中の設定点の以前の値の履歴データを使用して決定され得る。設定点は、V2V通信を使用した他の車両の充電に応じて決定することができる。設定点は、V2I通信によって提供され得る。
【0152】
設定点は、車両10が充電インターフェース1700に到達すると、充電効率に関する閉ループフィードバックを使用してさらに制御され、共振誘導結合をさらに最適化し、ピーク充電効率を見つけることができる。
【0153】
ブロック1610は、充電インターフェース1700を介して車両10の充電を開始することを含む。充電は、車両10のオンボード充電インターフェース1702が充電インターフェース1700と縦方向(x軸)及び/又は横方向(y軸)に位置合わせされると開始することができる。充電は、車両10の高さ及び/又は角度が設定点に達する前又は後に開始することができる。
【0154】
ブロック1612は、車両10がトラクションバッテリー充電インターフェース1700から離れ、トラクションバッテリーの充電を停止することを示す情報を受信することを含む。ブロック1612は、充電中に、この情報が受信されたかどうかを判断することができる。この情報は、車両10の経路に関連する交通移動の監視及び/又は信号機などの動的な通行権情報の監視を介して受信することができる。
【0155】
ブロック1612の情報が受信されると、方法1600はブロック1614に進み、アクティブサスペンション402を制御して、トラクションバッテリーの充電に関連しない車両10の第2の要求される高さ及び/又は角度に到達することを含む。第2の要求される高さ及び/又は角度は、充電インターフェース1700に依拠しない。第2の要求される高さ/角度は、ブロック1608の前の高さ/角度と同じ又は同様であり得る。
【0156】
ブロック1614は、車両10がトラクションバッテリー充電インターフェース1700から離れ始めた後に開始するように制御されて、車両の乗員に気付かれないようにすることができる。第2の要求される高さ/角度への変化速度は、ブロック1608に関連する速度とは異なり得る。
【0157】
上記の方法1600の他の実装では、無線誘導充電以外の充電技術を使用できることを理解される。例えば、充電インターフェースは、車両10上のコンタクタとガルバニック接触するように構成することができ、車両10の高さ/角度を変更することにより、ガルバニ接触を可能にすることができる。
【0158】
乗降のための方法1200及び1400は、誘導充電のための本方法1600よりも高い優先度を有し得る。制御システムは、車両10が充電インターフェース1700上で停止している間に乗降が発生するかどうかを決定することができる。例えば、制御システムは、乗降要求が受信されたかどうかを判断することができる。乗降が発生する場合、方法1600はブロック1608の前に終了することができる。代わりに、方法1200及び/又は1400を実行することができる。いくつかの例では、サスペンションは、乗降が完了した後、車両10が充電インターフェース1700で停止している間に、誘導充電のために下降することができる(ブロック1608)。
【0159】
所定の位置でのロック
図18は、本発明のさらなる態様による、車両のアクセシビリティを改善する別の制御方法1800を示している。制御方法1800は、少なくとも以下を含む:
車両10が静止することを示す情報を受信すること(ブロック1802);
車両10が静止することを示す受信情報に応じて、アクティブサスペンション402の力を増大させること(ブロック1806)。
【0160】
車両10が静止しているため、乗員が車両10から乗降するか、又はキャビン300内で動き回る可能性が高い場合、力を増加させると、より硬く、より安定したプラットフォームが提供される。剛性の高いプラットフォームにより、車体の揺れが少なくなる。この揺れがないことにより、バスのような大量の車両に乗っているような感覚が得られる。これは、小型の自動輸送車両を顧客が受け入れるのに有利である。揺れが減少することにより、乗降中のユーザと車両10の本体302との間の意図しない押し合いの可能性も減少する。
【0161】
ブロック1802において、車両10が静止することを示す情報を受信することは、様々な方法で実施することができる。制御システム2は、車両10が移動状態から静止(停止)状態に移行しているかどうかを判断することができる。そうである場合、方法1800は継続する。そうでない場合、方法1800は終了する。指示情報は、検出又は予測され得る。車両10が静止したことを検出することは、例えば車輪速度信号から車両10が静止したことを検出することを含むことができる。車両10が静止することを予測することは、操縦計画によって可能になる。
【0162】
いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、制御システム2は、車両10が乗降のために停止しているかどうかを判断し、乗降が行われる場合にのみ方法1800を実行することができる。これは、乗降が、キャビン300への/からのより大きな荷重の移動に関連するためである。
【0163】
車両10が静止している期間を判断することを含む、任意選択の決定ブロック1804が示されている。この方法では、少なくとも期間が閾値を超えていることを要求する。持続時間が閾値を超えている場合、方法1800は継続する。持続時間が閾値未満である場合、方法1800はブロック1812に終了することができる。持続時間は、車両10がすでに静止している検出された持続時間であってもよく、閾値は、例えば、約0.5秒~約5秒の範囲の値であってもよい。持続時間は、車両10が静止している予想期間とすることができ、閾値は、少なくとも約5秒の値とすることができる。
【0164】
次いで、方法1800はブロック1806に進み、アクティブサスペンション402の力を増加させる。力を増加させることは、前述の可変力パラメータを増加させることを含み得る。例えば、力を増加させることは、ばね力要求及び/又は減衰力要求を増加させることを含み得る力要求を増加させることを含み得る。他の例では、アクティブサスペンション402は、アクティブサスペンション402の全体的な力を増加させるために地面に向かって降りる支柱を備えてもよい。
【0165】
一実装形態では、ブロック1806は、例えば以前の予測を確認するために、車両10が静止したかどうかを判断することを含むことができる。車両10が静止していると検出された場合、力は増加する。車両10が停止するまで力を増加させないことにより、乗員は、車両10が停止する際、より硬いサスペンションに関連するキャビンの振動又は不快感の増加を経験しない。
【0166】
ブロック1808において、方法1800は、車両10が動き始めたことを示す情報を受信することを含む。ブロック1802と同様に、情報は予測又は検出され得る。指示情報が受信されたとき、力は戻り方向に減少され得る。ブロック1810において、力は、ブロック1808に応答して、ブロック1806の前の力と同一又は類似である通常の「走行」値まで低減される。
【0167】
上記の方法の多くは、サスペンションの高さ及び/又は角度の制御に言及している。これにより、サスペンションの高さが低くなる可能性がある。したがって、サスペンションの高さ及び/又は角度を制御する前に、任意選択の判断を行うことができる。この判断は、車両10の達成可能な最小の高さを示すことができる。この判断は、充電インターフェースで検出された路面に依拠することができる。この判断は、車両10の外部に面するビジョンシステムを介して、隆起、うねり、又は物体などの突起の検知に依拠し得る。
【0168】
高さの任意の変化は、車両10の1つ又は複数のコーナーでアクティブサスペンション402を最小高さ以上の高さまで下げることに制約され得る。加えて、又は代わりに、所定の最小高さが検出された路上物体の結果である場合(分類されているかどうかにかかわらず)、又は所定の最小高さが閾値を超えている場合、方法は終了され得る。いくつかの例では、車両10が移動している間にライドハイトを下げることは、可変力パラメータの増加を伴い得る。
【0169】
本明細書の方法で説明される様々な閾値及び所定の時間は、固定又は可変であり得る。固定閾値/固定所定時間は、不快なサスペンションの変化を減らすために、較正によって決定され得る。可変閾値/可変所定時間は、ユーザ依拠又はコンテキスト依拠であり得る。
【0170】
上述の制御方法はすべて、上述のような制御システム2によって実行される。したがって、制御方法は、コンピュータによって実装される方法として定義される。これらの方法のステップは、複数のネットワーク化された制御システムにわたって集中的に、又は分散して実行することができる。
【0171】
条件が満たされているかどうかを判断する制御システム2への参照(判断ブロック)は、次のいずれかをカバーする:制御システム2が、生の未処理データを取得し、内部で決定を行うこと;及び制御システム2が外部からの判定結果を取得すること。上記の方法について説明したように、コンテキストを示す情報を受信する制御システム2への言及は、次のいずれかをカバーする:制御システム2が、生の未処理データを取得し、コンテキストが存在するかどうかを内部的に判断すること;制御システム2が、コンテキストの存在という外部からの判定結果を取得すること。
【0172】
本開示の目的のために、本明細書に記載のコントローラ20はそれぞれ、1つ又は複数の電子プロセッサ22を有する制御ユニット又は計算装置を含むことができることを理解されたい。車両10及び/又はその制御システム2は、単一の制御ユニット又は電子コントローラを含んでもよく、あるいは、コントローラの異なる機能が、異なる制御ユニット又はコントローラで具現化又はホストされてもよい。実行されると、前記コントローラ又は制御ユニットに本明細書に記載の制御技術(記載の方法を含む)を実施させ命令セット26を提供することができる。命令セットは、1つ又は複数の電子プロセッサに内蔵されてもよく、あるいは、命令セットは、1つ又は複数の電子プロセッサによって実行されるソフトウェアとして提供されてもよい。例えば、第1のコントローラは、1つ又は複数の電子プロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装されてもよく、1つ又は複数の他のコントローラも、1つ又は複数の電子プロセッサ、1つ又は複数のプロセッサ(任意選択で第1のコントローラと同じ)で実行されるソフトウェアで実装されてもよい。しかし、他の構成も有用であり、したがって、本開示は特定の構成に限定されることを意図していないことを理解されたい。いずれにしても、上述の命令セットは、機械又は電子プロセッサ/計算デバイスによって読み取り可能な形式で情報を格納するための任意のメカニズムを含むことができる、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)に埋め込むことができ、これらには、以下が含まれるが、これらに限定されない:磁気記憶媒体(例:フロッピーディスク);光学記憶媒体(例:CD-ROM);光磁気記憶媒体;読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);消去可能なプログラム可能なメモリ(例:EPROM及びEEPROM);フラッシュメモリー;又は、そのような情報/指示を保存するための電気的又はその他の種類の媒体。
【0173】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【0174】
フローチャートに示されるブロックは、方法におけるステップ及び/又はコンピュータプログラム26におけるコードのセクションを表すことができる。ブロックに対する特定の順序の説明は、ブロックに必要な順序又は好ましい順序が存在することを必ずしも意味するものではなく、ブロックの順序及び配置は変更可能である。さらに、一部の手順を省略できる場合もある。
【0175】
「発明の態様」として記述された各節は、現在又は将来の独立請求項に適した自己完結型の記述であり、追加の特徴を必要としない。
【0176】
本発明の実施形態は、様々な例を参照して前の段落で説明されたが、与えられた例への変更は、特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解されたい。上記の説明で説明した特徴は、明示的に説明した組み合わせ以外の組み合わせで使用することもできる。特定の特徴を参照して機能を説明してきたが、それらの機能は、説明されているかどうかにかかわらず、他の特徴によって実行可能である場合がある。特定の実施形態を参照して特徴を説明してきたが、これらの特徴は、説明の有無にかかわらず、他の実施形態にも存在し得る。前述の明細書では、特に重要であると考えられる本発明の特徴に注意を向けるように意図されているが、出願人は、特に強調されているかどうかにかかわらず、本明細書で先に参照及び/又は図面に示された特許可能な特徴又は特徴の組み合わせに関して、保護を主張することを理解されたい。