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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】グリッドレベリング機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240805BHJP
   B65G 1/06 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
B65G1/06 M
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023510418
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2021072536
(87)【国際公開番号】W WO2022034189
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】2012740.3
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2012751.0
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2013968.9
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2016081.8
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2016097.4
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】カークバイ、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ノア、ベンジャミン・アーサー・ポートノイ
(72)【発明者】
【氏名】イングラム-テッド、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ミルウォード、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウィン、レスリー
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/094511(WO,A1)
【文献】特表2003-519611(JP,A)
【文献】登録実用新案第3025818(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/06
B66C 6/00
B66C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に1つ以上の積荷取扱装置30を支持するように構成されたグリッドフレームワーク構造であって、前記グリッドフレームワーク構造は、
i)第1の方向に延在する第1のセットのグリッド部材18と、第2の方向に延在する第2のセットのグリッド部材20と、を備えるグリッド構造40であって、前記第2のセットのグリッド部材20は、複数のグリッドセル17を備えるグリッドパターンにおいて、実質的に水平な平面内で前記第1のセットのグリッド部材18に対して横断方向に延びている、グリッド構造40と、
ii)前記グリッド構造40を支持するための複数の垂直直立材16)と、前記複数の垂直直立材(16)は、1つ以上のコンテナ(10)が、前記垂直直立材(16)の間に積み重ねられ、前記垂直直立材(16)によって垂直方向に案内されるための、複数の垂直保管場所(44)を形成するように配置され、前記複数の垂直直立材(16)は、それらの上端部において、前記第1のセットのグリッド部材(18)及び前記第2のセットのグリッド部材(20)によって相互連結される、
iii)前記グリッド構造40のレベルを調整するための調整可能なグリッドレベリング機構(80、180と、を備え、
前記調整可能なグリッドレベリング機構(80、180が、前記複数の垂直直立材16のうちの少なくとも1つと前記グリッド構造40との間の垂直距離を調整するために、前記複数の垂直直立材16のうちの前記少なくとも1つと前記グリッド構造40との間に介装されるように、前記グリッド構造(40)は、前記複数の垂直直立材(16)の相互連結部のうちの1つ以上において、前記調整可能なグリッドレベリング機構(80、180)に取り付けられていることを特徴とする、グリッドフレームワーク構造。
【請求項2】
前記調整可能なグリッドレベリング機構80、180)は、前記複数の垂直直立材16のうちの前記少なくとも1つに取り付けるための基部82と、前記グリッド構造40をその上に取り付けるための取付けヘッド84と、前記取付けヘッド84が前記基部82に対して移動可能であるように、前記基部82と前記取付けヘッド84との間に介装された伸長可能なセクション86と、を備える、請求項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項3】
前記基部82は、垂直直立材16の上端部において受容可能である挿入部82を備える、請求項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項4】
前記伸長可能なセクション86は、前記基部82に対して伸長又は引っ込められ得るねじ軸90を備える、請求項2又は3に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項5】
前記取付けヘッド84は、前記ねじ軸90が前記基部82に対して伸長又は引っ込められ得るように前記基部82と螺合する前記ねじ軸90に取り付けられている、請求項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項6】
前記伸長可能なセクション86は、対向面又は嵌合面296を有する一対の嵌合ワッシャ292、294を備え、前記一対の嵌合ワッシャ292、294の各々の前記対向面又は嵌合面296は、前記一対の嵌合ワッシャ292、294の少なくとも一方の他方に対する回転が、前記一対の嵌合ワッシャ292、294の高さが調整されることを引き起こすように、円周方向に延在する可変高さを持つプロファイル又は輪郭を有する、請求項2又は3に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項7】
前記一対の嵌合ワッシャ292、294の前記少なくとも一方は、前記垂直直立材16の縦軸を中心に回転する、請求項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項8】
前記一対の嵌合ワッシャ292、294の各々の前記嵌合面296の前記プロファイル又は輪郭は、少なくとも1つのくさび形の面を備える、請求項6又は7に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項9】
前記一対の嵌合ワッシャ292、294の前記嵌合面296は、少なくとも一方の嵌合ワッシャの他方の嵌合ワッシャに対する回転が割り出されるように、割り出し手段又は割り出し機構を備える、請求項6~8のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項10】
前記割り出し手段又は割り出し機構は、少なくとも一方の嵌合ワッシャ292、294の他方の嵌合ワッシャ292、294に対する回転が所望の回転角度において係止されるように、複数の歯298を備える、請求項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項11】
前記基部82は、前記一対の嵌合ワッシャ292、294を着座させるための座部を備える、請求項6~10のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項12】
前記座部は、前記一対の嵌合ワッシャ292、294を受容するように配置された柱190を備える、請求項11に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項13】
前記取付けヘッド84は、前記座部内に受容可能な差込み部62を備える、請求項11又は12に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項14】
前記取付けヘッド84は、少なくとも2つの垂直な端部を備え、前記2つの垂直な端部の各々は、前記第1の方向に延在する前記第1のセットのグリッド部材18のうちの少なくとも1つと、前記第2の方向に延在する前記第2のセットのグリッド部材20のうちの少なくとも1つとに連結するように構成されている、請求項2~13のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項15】
前記複数の垂直直立材16の各々の下端部は、アンカー脚部400によってコンクリート基礎に固着されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項16】
前記アンカー脚部400は、それが前記アンカー脚部400の高さを調整するために伸長又は引っ込められ得るように伸長可能である、請求項15に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項17】
前記第1のセットのグリッド部材18は、第1のセットの軌道22aを備え、前記第2のセットのグリッド部材20は、第2のセットの軌道22bを備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
【請求項18】
前記第1のセットのグリッド部材18は、第1のセットの軌道支持体18を備え、前記第2のセットのグリッド部材20は、第2のセットの軌道支持体20を備える、請求項17に記載のグリッドフレームワーク構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッドフレームワーク構造内に積み重ねられた保管コンテナ又は容器を取り扱うための、グリッドフレームワーク構造上に位置する軌道上の遠隔操作式の積荷取扱装置の分野に関し、より具体的には、遠隔操作式の積荷取扱装置を支持するためのグリッドフレームワーク構造に関する。
【背景技術】
【0002】
その内部で保管コンテナ/容器(bins)が互いに積み重ねられている3次元保管グリッドフレームワーク構造を備える保管システム1は、周知である。PCT公開第WO2015/185628A号(Ocado)には、容器又はコンテナのスタックがグリッドフレームワーク構造内に配置されている、既知の保管及びフルフィルメント又は物流システムが記載されている。容器又はコンテナは、グリッドフレームワーク構造の上部に位置する軌道上で遠隔操作可能な積荷取扱装置によってアクセスされる。このタイプのシステムが、添付図面の図1図3に概略的に例示されている。
【0003】
図1及び図2に示されるように、保管容器又はコンテナ10として知られる積み重ね可能なコンテナが、スタック12を形成するために互いに積み重ねられている。スタック12は、倉庫保管環境又は製造環境におけるグリッドフレームワーク構造14内に配置されている。グリッドフレームワークは、複数の保管カラム(storage columns)又はグリッドカラムで構成される。グリッドフレームワーク構造内の各グリッドは、コンテナのスタックを保管するための少なくとも1つのグリッドカラムを有する。図1は、グリッドフレームワーク構造14の概略斜視図であり、図2は、フレームワーク構造14内に配置された容器10のスタック12を示す上面図である。各容器10は、典型的に、複数の製品アイテム(図示せず)を保持し、容器10内の製品アイテムは、用途に応じて異なる製品タイプのものであり得るか、又は同一であり得る。
【0004】
詳細には、グリッドフレームワーク構造14は、水平グリッド部材18、20を支持する複数の垂直直立材又は直立部材又は直立カラム16を備える。第1のセットの平行な水平グリッド部材18は、第2のセットの平行な水平グリッド部材20に対して垂直に(perpendicularly)配置されて、複数のグリッドセル17を備えるグリッド構造又はグリッド15を形成する。グリッドセルは、積荷取扱装置がグリッドセルを通じてコンテナ又は保管容器を持ち上げることを可能にするための開口部を有する。グリッド構造では、第1のセットの平行な水平グリッド部材18は、節点において第2のセットの平行な水平グリッド部材と交差する。グリッド構造は、節点の各々において、又はグリッド部材が交差する点において、直立部材16によって支持され、その結果、これら直立部材は、交差するグリッド部材によって、それらの上端において相互連結されている。グリッド部材16、18、20は、典型的に、金属から製造され、典型的に、互いに溶接されるか若しくはボルト留めされるか、又は両方の組合せである。保管容器又はコンテナ10は、グリッドフレームワーク構造14の直立部材16の間に積み重ねられ、これにより、直立部材16は、容器10のスタック12の水平移動を防ぎ、保管容器10の垂直移動を案内する。
【0005】
グリッドフレームワーク構造14の最上レベルは、スタック12の上部にわたってグリッドパターンで配置されたレール22を含む。更に図3を参照すると、レール22は、複数の積荷取扱装置30を支持している。第1のセット22aの平行なレール22が、グリッドフレームワーク構造14の上部にわたって第1の方向(例えば、X方向)へのロボット積荷取扱装置30の移動を案内し、第1のセット22aに対して垂直に配置された第2のセット22bの平行なレール22が、第1の方向に対して垂直な第2の方向(例えば、Y方向)への積荷取扱装置30の移動を案内する。このようにして、レール22は、水平なX-Y平面において、2次元での横方向へのロボット積荷取扱装置30の移動を可能にし、その結果、積荷取扱装置30は、どのスタック12の上方の位置へも移動され得る。
【0006】
車体32を備える、図4及び図5に示されるボット30としても知られる既知の積荷取扱装置は、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許公開第WO2015/019055号(Ocado)に記載されており、ここで、各積荷取扱装置30は、グリッドフレームワーク構造14の単一のグリッド空間又はグリッドセルのみをカバーする。ここで、積荷取扱装置30は、第1の方向へのこの装置の移動を案内するための第1のセットのレール又は軌道と係合するための、車体32の前面にある一対の車輪と、車両32の背面にある一対の車輪34と、で構成された第1のセットの車輪34と、第2の方向へのこの装置の移動を案内するための第2のセットのレール又は軌道と係合するための、車両32の各側面にある一対の車輪36で構成された第2のセットの車輪36と、を備える車輪アセンブリを備える。車輪セットの各々は、レールに沿ってそれぞれX方向及びY方向への車両の移動を可能にするように駆動される。一方又は両方のセットの車輪が、垂直方向に移動されて、各セットの車輪をそれぞれのレールから離すように持ち上げ得、それによって、車両が所望の方向、例えば、グリッド構造上のX方向又はY方向に移動することを可能にする。
【0007】
積荷取扱装置30は、上方から保管コンテナを持ち上げるための持ち上げ装置又はクレーン機構を装備している。クレーン機構は、スプール又はリール(図示せず)に巻かれたウィンチテザー又はケーブル38と、持ち上げフレームの形態での把持装置39と、を備える。持ち上げ装置は、垂直方向に延在し、保管コンテナ10への解除可能な連結のための把持装置としても知られる持ち上げフレーム39の4つの角部の近く又はその4つの角部において連結された持ち上げテザー38のセット(把持装置の4つの角部の各々の近くに1つのテザー)を備える。把持装置39は、図1及び図2に示されたタイプの保管システム内のコンテナのスタックから保管コンテナ10を持ち上げるために、保管コンテナ10の上部を解除可能に把持するように構成されている。
【0008】
車輪34、36は、下部において、コンテナ受容凹部40として知られる空洞又は凹部の周囲の周りに配置されている。凹部は、図5(a及びb)に示されるように、コンテナ10がクレーン機構によって持ち上げられたときに、コンテナ10を収容するようにサイズ決定されている。凹部内にあるとき、コンテナは、下のレールから離れて持ち上げられており、その結果、車両は、異なる場所に横方向に移動し得る。目標の場所、例えば、別のスタック、保管システム内のアクセスポイント、又はコンベアベルトに到達すると、容器又はコンテナは、コンテナ収容部分から下降され、把持装置から解除され得る。コンテナ受容空間は、例えば、WO2015/019055(Ocado Innovation Limited)に記載されているように、車体内に配置された空洞又は凹部を備え得る。代替として、積荷取扱装置の車体は、WO2019/238702(Autostore Technology AS)に教示されるようなカンチレバーを備え得、その場合、コンテナ受容空間は、積荷取扱装置のカンチレバーの下に位置する。この場合、把持装置は、カンチレバーによってつり上げられ(hoisted)、これにより、把持装置は、コンテナに係合し、コンテナをスタックからカンチレバーの下のコンテナ受容空間内へと持ち上げることが可能である。
【0009】
当該技術分野におけるグリッドフレームワーク構造を立設するために、複数の垂直直立材が、地面にグリッド状のパターンで個々に配置されている。垂直直立材のサブグループが、グリッドフレームワーク構造に構造的安定性を与えるために、互いにブレース(braced)されている。垂直直立材は、グリッド部材が垂直直立材と同じグリッドパターンを採用するように、グリッド部材によってそれらの上端において相互連結されており、即ち、垂直直立材は、グリッド部材がグリッドパターンにおいて交差する点で、グリッド部材を支持する。本発明の説明を目的として、グリッド部材が交差する又は相互連結される点又は接合部は、グリッド構造の節点を構成し、グリッド構造が垂直直立材によって支持される領域に対応する。結果として得られたグリッドフレームワーク構造は、交差する水平グリッド部材から形成されたグリッドを支持する直立カラムの自立した直線状の集合体(free standing rectilinear assemblage)、即ち、4つの壁形状のフレームワークと考えられ得る。
【0010】
1つ以上の積荷取扱装置がグリッド構造上で動作可能であるので、グリッド構造が実質的に水平な平面内にあることが最重要であり、これは、このことが、コンテナ又は保管容器がグリッドセルを通じて正しい位置へとつり上げられる方向に影響を及ぼすことになるからである。グリッド構造のレベルが水平面から逸脱する場合、これは、グリッド構造上を走行する1つ以上の積荷取扱装置に負担をかけるだけでなく、逸脱の方向に応じて、持ち上げテザーを一方の側に傾かせ、最悪のシナリオでは、把持装置が下方のコンテナ又は保管容器との係合に失敗することを引き起こす。この問題は、グリッドフレームワーク構造が設置される床に凹凸がある(uneven)場合に悪化する。従来、垂直直立材に取り付けられたグリッド構造のレベルは、凹凸がある床を補償するために、垂直直立材の基部又は下端部において、調整可能なレベリング脚部を有することによって調整される。グリッド構造のレベルは、グリッドフレームワーク構造における1つ以上の垂直直立材の基部において、調整可能なレベリング脚部を暫定的に調整し、調整が行われるたびに、例えば、当該技術分野で一般に知られているレーザレベル等の好適なレベリング測定計器を使用することによって、グリッド構造の上部において、グリッド構造のレベルをチェックすることによって調整される。多くの場合、これは、調整可能なレベリング脚部の高さを変化させることを可能にするために、ねじ軸を回転させるための専門的な工具の使用を必要とする。しかしながら、このアプローチに伴う問題は、調整可能な脚部とグリッド構造との間の分離(separation)であり、これは、21個のコンテナ又は保管容器の高さを超え得、この分離により、最も高いレベルでの、グリッド構造のレベルに対する漸増的な調整を困難且つ時間のかかるものにする。更に、グリッドフレームワーク構造がその動作中に連続的に受ける重量及び可変力を仮定すると、当初レベルであったグリッド構造は、経時的に凹凸になり得、グリッド構造のレベルが定期的に調整されることを必要とする。これは、ユーザが、グリッド構造において凹凸がある領域を識別することと、グリッドフレームワーク構造の基部を調整することと、を必要とし、これは、1つ以上の垂直直立材の基部において、1つ以上の調整可能なレベリング脚部を調整することと、上部でグリッド構造のレベルを定期的に点検することと、を伴う。構造の上部でグリッド構造のレベルを定期的に点検し、グリッドフレームワーク構造の基部において、調整可能なレベリング脚部を調整するための時間及び労力は、グリッドのレベルの点検が、調整が行われるリアルタイムでは実際には行われないので、問題になる。
【0011】
US10,660,438(Autostore Technology AS)は、隆起した中空カラムを有する基部を備える自己調整レベリング脚部を設けることによって、この問題を軽減しようと試みている。中空カラム内には、バネが配置されている。移動可能な上部部品が、カラムに係合し、バネの力に抗して垂直方向に移動可能である。上部部品は、バネが圧縮されたときに、上部部品の側壁がカラムの側面に重なるように、カラムよりもわずかに大きい。上部部品の側壁の底縁部は、傾斜している。基部と押圧係合され得る略U字形状のくさび装置(generally U-shaped wedge device)が設けられ、これにより、U字の脚部が、カラムの各側面と係合する。U字形状の装置の脚部の上面は、くさび形状に傾斜しており、脚部の上面の角度は、移動可能な上部部品の側壁の角度に対応している。このようにして、上部部品の側壁は、上部部品が荷重下にあるとき、くさび装置の脚部の傾斜した上面に載置されることになる。しかしながら、このグリッドレベリング機構の問題は、床が沈み込んだ場合、支持体の安定した基部を達成するために、U字形状のくさび装置を更に前方に押圧することが必要になることである。先と同様に、これは、上部でのグリッドレベルの測定を必要とする。
【0012】
従って、監視時に、グリッド構造のレベルが容易に調整されることを可能にする、調整可能なグリッドレベリング機構が必要とされている。
【0013】
本願は、2020年8月14日に出願された英国特許出願第GB2012740.3号、2020年8月14日に出願された第GB2012751.0号、2020年9月4日に出願された第GB2013968.9号、2020年10月9日に出願された第GB2016081.8号、及び2020年10月9日に出願された第GB2016097.4号の優先権を主張するものであり、これら内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、グリッドレベルの測定が行われる点に調整可能なグリッドレベリング機構を移すことによって、上記の問題を軽減し、その結果、グリッドレベルの調整は、リアルタイムで、又はグリッドレベルが測定されるのと同時に行われ得る。より具体的には、本発明は、その上に1つ以上の積荷取扱装置を支持するように構成されたグリッドフレームワーク構造を提供し、上記グリッドフレームワーク構造は、
i)第1の方向に延在する第1のセットのグリッド部材と、第2の方向に延在する第2のセットのグリッド部材と、を備えるグリッド構造であって、第2のセットのグリッド部材は、複数のグリッドセルを備えるグリッドパターンにおいて、実質的に水平な平面内で第1のセットのグリッド部材に対して横断方向に延びている、グリッド構造と、
ii)グリッド構造を支持するための複数の垂直直立材と、
iii)グリッド構造のレベルを調整するための調整可能なグリッドレベリング機構と、を備え、
調整可能なグリッドレベリング機構が、複数の垂直直立材のうちの少なくとも1つとグリッド構造との間の垂直距離を調整するために、複数の垂直直立材のうちの少なくとも1つとグリッド構造との間に介装されることを特徴とする。
【0015】
複数の垂直直立材のうちの少なくとも1つとグリッド構造との間に調整可能なグリッドレベリング機構を介装することによって、調整可能なグリッドレベリング機構の測定及び操作が同じ位置から行われ得る。これは、グリッドレベルを測定及び調整するのに、より少ないオペレータが必要とされるという利点を有する。その結果、グリッドレベルの調整は、最初にグリッドレベルを測定して、次いで、後続して必要な調整を行うこと、これは、正確でない可能性があり、更なる調整が垂直直立材の脚部において行われることを必要とする、とは対照的に、リアルタイムで行われ得る。調整可能なグリッドレベリング機構上にグリッド構造を取り付けることの別の利点は、調整可能なグリッドレベリング機構が垂直直立材の上端部に移されているので、調整可能なグリッドレベリング機構の構成要素、特に、伸長可能なセクションが、垂直直立材の全重量を支える必要がないことである。これは、調整可能なグリッドレベリング機構単独で提供され得るよりも横方向の安定性を提供するより堅固な脚部上に垂直直立材の下端部を固着させるより大きな柔軟性をグリッドフレームワーク構造に提供する。本発明の目的のために、グリッドレベルは、水平面におけるグリッド構造の向き(orientation)を表す。グリッド構造の1つ以上の領域での高さを調整することによって、水平面におけるグリッド構造の向きが調整される。
【0016】
グリッド構造の任意のセクション又は部分が、垂直直立材に取り付けられ得る。例えば、4つの相接するグリッドセル(four adjoined grid cells)を備えるグリッド構造のセクションが、5つ以下の垂直直立材によって支持され得る。本発明の目的のために、グリッド構造の文脈における「相接する(adjoined)」という用語は、4つの隣接するグリッドセルの集合に限定され、即ち、このセクションにおけるグリッドセルの各々は、互いに直接隣接する。本発明では、4つの相接するグリッドセルを備えるグリッド構造のセクション又はその少なくとも一部が、5つ以下の垂直直立材によって支持される。4つの相接するグリッドセルのセクションは、グリッド構造内の任意の箇所にあり得る。好ましくは、グリッド構造のこのセクションは、グリッド構造の角部セクションを備える。オプションで、複数の垂直直立材は、1つ以上のコンテナが、直立カラムの間に積み重ねられ、直立カラムによって垂直方向に案内されるための、複数の垂直保管場所を形成するように配置されている。より好ましくは、複数の垂直直立材は、それらの上端において、第1のセットのグリッド部材及び第2のセットのグリッド部材によって相互連結されており、これにより、グリッド構造は、複数の垂直直立材の相互連結部のうちの1つ以上において、調整可能なグリッドレベリング機構に取り付けられている。
【0017】
好ましくは、調整可能なグリッドレベリング機構は、垂直直立材の上部又は上端部に取り付けるための基部と、グリッド構造をその上に取り付けるための取付けヘッドと、取付けヘッドが基部に対して移動可能であるように、基部と取付けヘッドとの間に介装された伸長可能なセクションと、を備える。オプションで、基部は、垂直直立材の上端部において受容可能な挿入部を備える。一般に、垂直直立材の各々は管状である。水平面での横断面において、垂直直立材の各々は、垂直直立材に沿ってコンテナの移動を案内するために、垂直直立材の縦方向の長さに沿って延在する中空セクションの角部において取り付け又は形成された1つ以上の案内部を有する中空セクション(典型的に、箱形セクション)を備える。好ましくは、挿入部は、垂直直立材の上端部において、箱形セクションに受容されるように成形されている。
【0018】
本発明の一実施形態では、伸長可能なセクションは、基部に対して伸長又は引っ込められ得るねじ軸を備える。オプションで、取付けヘッドは、ねじ軸が基部に対して伸長又は引っ込められ得るように基部と螺合するねじ軸に取り付けられている。基部は、ねじ軸と螺合するためのねじ穴を備える。従って、垂直直立材の縦軸を中心にねじ軸を回転させることによって、基部に対する取付けヘッドの高さが調整され得る。ねじ軸は、基部に対するねじ軸の回転を補助するために、1つ以上のねじナットと螺合する。
【0019】
伸長可能なセクションの高さを変更するために伸長又は引っ込められ得るねじ軸を設ける代わりに、本発明の代替の実施形態では、伸長可能なセクションは、対向面又は嵌合面を有する一対の嵌合ワッシャを備える。一対の嵌合ワッシャの各々の対向面又は嵌合面は、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方の他方に対する回転が、一対の嵌合ワッシャの高さが調整されることを引き起こすように、円周方向に又は円周方向周りに延在する可変高さを持つプロファイル又は輪郭を有する。本発明の目的のために、「ワッシャ」という用語は、ワッシャにわたって荷重を分散させるために通常使用される、穴(典型的に、中央にある)を有する任意の形状のプレート又は本体を含むと解釈される。好ましくは、ワッシャは、円環状のプレート又は本体である。その高さ、ひいてはグリッド構造のレベルを調整することの、ねじ軸に対するワッシャの利点は、グリッド構造と、グリッド構造上で動作可能な1つ以上の積荷取扱装置との全重量を支える傾向がある軸のねじ山は、経時的に摩耗し得るということである。これは、ねじ軸が、基部、特に挿入部とクロススレッディング(cross threading)することを生じ、その高さを調整するその能力、即ち、垂直方向に移動するその能力を除去する。このような脆弱性は、伸長可能なセクションが一対の嵌合ワッシャを備える場合には存在せず、これは、ワッシャの嵌合面がより頑丈であり、荷重が、軸のねじ山ではなく、ワッシャの嵌合面のより大きい表面積にわたって分散又は拡散されるからである。一対の嵌合ワッシャの高さ、ひいてはグリッド構造のレベルを調整するために、一対の嵌合ワッシャの各々の嵌合面は、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方の他方に対する回転が、一対の嵌合ワッシャの高さが調整されることを引き起こすように、一対の嵌合ワッシャの円周方向に又は円周方向周りに延在する可変高さを持つプロファイル又は輪郭を有する。使用時に、一対のワッシャの少なくとも一方は、垂直直立材の縦軸を中心に回転する。オプションで、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方の嵌合面のプロファイル又は輪郭は、くさび形である。くさび形の面が嵌合ワッシャの裏面(underside)となす角度は、一対のワッシャの高さ調整を制御し、従って、グリッド構造のレベルの調整の程度を制御する。より急勾配に傾斜したくさび形状は、高さのより粗い調整を提供する。逆に、より緩やかに傾斜したくさび形状は、高さのより細かい調整を提供する。
【0020】
一対の嵌合ワッシャの一方の他方の嵌合ワッシャに対する回転を、所望の回転角度、ひいては一対の嵌合ワッシャの所望の高さで係止するために、好ましくは、一対の嵌合ワッシャの嵌合面は、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方の他方に対する回転中に互いに係合する係合特徴を備える。好ましくは、一対の嵌合ワッシャの嵌合面は、少なくとも一方のワッシャの他方のワッシャに対する回転が割り出されるように、割り出し手段又は割り出し機構を備える。割り出し手段又は割り出し機構は、ラチェット機構を提供し、これにより、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方は、垂直直立材の縦軸を中心に一方向に回転することができるが、逆方向に回転することを阻止される。例えば、割り出し手段又は割り出し機構は、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方が、垂直直立材の縦軸を中心に反時計回り方向に回転して、一対の嵌合ワッシャの高さを増大させることを可能にするが、時計回り方向に回転することを阻止され、それによって、一対の嵌合ワッシャの回転を所望の高さで係止する。オプションで、割り出し手段又は割り出し機構は、複数のくさび面を備える。より好ましくは、一対の嵌合ワッシャの嵌合面は、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方が、一対の嵌合ワッシャの他方に対して回転するときに、一対の嵌合ワッシャの回転を係止するために互いを乗り越える(ride over)複数のくさび面又は歯を備える。係止を解除し、それによって、一対の嵌合ワッシャの高さを低減させることを可能にするために、一対の嵌合ワッシャは、複数のくさび面又は歯を係合解除するために、強制的に分離され得る。
【0021】
好ましくは、基部は、一対の嵌合ワッシャを着座させるための座部を備える。より好ましくは、座部は、一対の嵌合ワッシャを受容するように配置された柱を備える。オプションで、取付けヘッドは、座部内に受容可能な差込み部(spigot)を備える。オプションで、取付けヘッドは、4つの垂直な端部を備え、4つの垂直な端部の各々は、第1の方向に延在する第1のセットのグリッド部材のうちの少なくとも1つ、および第2の方向に延在する第2のセットのグリッド部材のうちの少なくとも1つに連結するように構成されている。
【0022】
1つ以上の垂直直立材が第1及び第2のセットのグリッド部材と相互連結する、1つ以上の垂直直立材の上端部において、グリッド構造のレベルを調整する能力は、垂直直立材の下端部又は脚部が、グリッドフレームワーク構造の重量を支え得るより安定したアンカー脚部によって、コンクリート基礎に固着されることを可能にする。アンカー脚部は、1つ以上のボルトによってコンクリート基礎に固着され得る。異なるタイプのアンカー脚部が、グリッドフレームワーク構造の横方向の安定性を提供するために使用され得る。例えば、アンカー脚部は、所定のセットの荷重について所定の設計空間内での材料レイアウトを最適化するようにトポロジ最適化され得る。アンカー脚部のトポロジ最適化において考慮される荷重は、垂直直立材からの荷重、及びブレーシング部材(bracing members)が垂直直立材を連結していることの結果としての荷重である。
【0023】
オプションで、1つ以上の垂直直立材の上端部においてグリッド構造のレベルを調整することに加えて、調整は、垂直直立材の下端部又は脚部において行われ得る。オプションで、アンカー脚部は、伸長可能であり、アンカー脚部の高さ、ひいてはグリッド構造のレベルを調整するために、伸長又は引っ込められ得る。これは、グリッドレベルのより粗い調整が、1つ以上の垂直直立材の脚部において行われ、グリッド構造のチューニング又はレベルに対するより細かい調整が、グリッド構造のレベルが測定される、垂直直立材の上端部において行われることを可能にする。
【0024】
オプションで、第1のセットのグリッド部材は、第1のセットの軌道を備え、第2のセットのグリッド部材は、第2のセットの軌道を備える。オプションで、第1のセットのグリッド部材は、第1のセットの軌道支持体を備え、第2のセットのグリッド部材は、第2のセットの軌道支持体を備える。オプションで、第1のセットの軌道は、第1のセットの軌道支持体にスナップ嵌めされ、第2のセットの軌道は、第2のセットの軌道支持体にスナップ嵌めされる。本発明において同様に妥当であるのは、グリッド構造のグリッド部材が軌道と軌道支持体との両方を備えるように、複数の軌道が、第1及び第2のセットの軌道支持体に一体化され得るということである。
【0025】
本発明の更なる特徴及び態様は、図面を参照してなされる例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、既知のシステムによるグリッドフレームワーク構造の概略図である。
図2図2は、図1のフレームワーク構造内に配置された容器のスタックを示す上面図の概略図である。
図3図3は、グリッドフレームワーク構造上で動作する積荷取扱装置の既知の保管システムの概略図である。
図4図4は、上方からコンテナを把持する持ち上げ装置を示す、積荷取扱装置の概略斜視図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、図4の積荷取扱装置の概略斜視切欠図であり、(a)積荷取扱装置のコンテナ受容空間内に収容されたコンテナ、及び(b)積荷取扱装置のコンテナ受容空間を示す。
図6図6は、キャッププレートによって、それらの節点又は交差部(intersections)において相互連結された軌道及び軌道支持体の配置を示す斜視図である。
図7図7は、軌道支持体の斜視図である。
図8図8は、節点において垂直直立材をグリッド部材に相互連結させるためのキャッププレートの斜視図である。
図9図9は、節点におけるキャッププレートによるグリッド部材への垂直直立材の相互連結部の斜視断面図である。
図10図10は、軌道又はレールの斜視図である。
図11図11は、グリッドフレームワーク構造内の保管空間又は保管カラムを構成する4つの垂直直立材を示す斜視図である。
図12図12は、垂直直立材の脚部における既知の調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図である。
図13図13は、図12に示される既知の調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図である。
図14図14は、調整可能なグリッドレベリング機構による垂直直立材へのグリッド構造の取り付けを示す、グリッドフレームワーク構造のセクションの斜視図である。
図15図15は、本発明の第1の実施形態による調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図である。
図16図16は、本発明の第1の実施形態による、グリッド構造の一部と垂直直立材との間に介装された調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図である。
図17図17は、本発明の第2の実施形態による調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図であり、(a)は引っ込められた構成、及び(b)は伸長された構成を示す。
図18図18は、図17に示される本発明の実施形態による、軌道支持体に締結された軌道を示すグリッドフレームワーク構造のセクションの斜視図である。
図19図19は、図18に示される実施形態による、節点における軌道の連結部の拡大図である。
図20図20は、本発明の第3の実施形態による調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図であり、嵌合ワッシャの組み立て及び基部上の嵌合ワッシャの着座を示す。
図21図21は、本発明の第3の実施形態による、グリッド構造の一部と垂直直立材との間に介装された図20の調整可能なグリッドレベリング機構の展開図である。
図22図22は、本発明の第3の実施形態による、グリッド構造の一部と垂直直立材との間に介装された調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図である。
図23図23は、本発明の第3の実施形態による、垂直直立材のスプライスジョイント(splice joint)に介装された調整可能なグリッドレベリング機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、図1図5を参照して上記で説明されたグリッドフレームワーク構造及び積荷取扱装置等の、保管システムの既知の特徴に対して考案されたものである。図6に示されるように、1つ以上の積荷取扱装置の移動を案内するためのグリッド構造40は、第1の方向に延在する第1のセットの平行なグリッド部材と、第2の方向に延在する第2のセットの平行なグリッド部材と、を備え、第1の方向は、グリッドセルを構成する複数の長方形又は正方形のフレームを形成するために、第2の方向に実質的に垂直である。より具体的には、第1のセットのグリッド部材が、第1の方向に延在し、第2のセットのグリッド部材が、第2の方向に延在し、第2のセットのグリッド部材は、実質的に水平な平面内で第1のセットのグリッド部材に対して横断方向に延びており、即ち、グリッド構造は、X方向及びY方向におけるデカルト座標によって表される。グリッド部材の各々が、軌道支持体18、20及び/又は軌道若しくはレール22a、22bを備え得、これにより、軌道若しくはレール22a、22bは、軌道支持体18、20に取り付けられている。積荷取扱装置が、本発明の軌道又はレール22a、22bに沿って移動するように動作可能である。代替として、軌道22a、22bは、例えば、押出成形によって、単体として軌道支持体18、20に一体化され得る。本発明の特定の実施形態では、グリッド部材は、軌道支持体18、20と、軌道22a、22bと、を備え、これにより、軌道又はレール22a、22bは、軌道支持体18、20に取り付けられている。
【0028】
典型的に、セット内の少なくとも1つのグリッド部材、例えば、単一のグリッド部材が、第1の方向又は第2の方向に延在するグリッド部材を形成するために、共に接合又はリンクされ得る個別のグリッド要素に細分又は区分され得る。グリッド部材が軌道支持体18、20を備える場合、軌道支持体もまた、軌道支持体を形成するために共にリンクされる個別の軌道支持要素に細分され得る。第1の軸方向及び第2の軸方向に延在する軌道支持体を構成する個別の軌道支持要素が、図6に示されている。軌道支持体18、20を構成するために使用される個々の軌道支持要素56が、図7に示されている。軌道支持体18、20は、横断面において、C字形状若しくはU字形状若しくはI字形状の断面のソリッド支持体であり得るか、又は二重C字形状若しくは二重U字形状の支持体でさえもあり得る。本発明の特定の実施形態では、軌道支持要素56は、互いにボルト留めされた二重の背中合わせのC字セクションを備える。
【0029】
図6及び図8に示されるような連結プレート又はキャッププレート58は、複数の軌道支持要素がグリッド構造40において交差する接合部で、第1の方向と第2の方向との両方において、個々の軌道支持要素56を共にリンク又は接合するために使用され得、即ち、キャッププレート58は、これら軌道支持要素56を共に垂直直立材16に連結するために使用される。その結果、垂直直立材16は、キャッププレート58によって、複数の軌道支持要素がグリッド構造40において交わる接合部で、それらの上端部において相互連結されており、即ち、キャッププレートは、グリッド構造40の節点50に位置する。本発明の説明を目的として、図6に示されるように、グリッド部材が交差又は交わる点又は領域は、節点又は交差部50として定義され得る。図6に示される、単一のグリッドセル44を構成する既知のグリッド構造40の少なくとも一部又はセクションのレイアウトから、グリッド構造40の各交差部又は節点50が垂直直立材16によって支持されることは、明確に明らかである。
【0030】
図8に示されるように、キャッププレート58は、軌道支持要素56の交差部50において、軌道支持要素56の端部又は長さに沿った任意の箇所に連結するための4つの連結部分60を有する十字形状である。キャッププレート58による、節点における垂直直立材への軌道支持要素の相互連結は、図9に示される節点50の断面プロファイルにおいて示されている。キャッププレート58は、図9に示されるように、複数の直立カラムを軌道支持要素に相互連結するために、垂直直立材16の中空セクション46内に密嵌して着座するようにサイズ決定された差込み部又は突出部62を備える。図9には、第1の方向(x方向)及び第2の方向(y方向)に対応する両方の垂直方向に延在する軌道支持要素56a、56bも示されている。連結部分60は、第1の方向及び第2の方向に延在する軌道支持要素56a、56bに連結するために、互いに垂直である。キャッププレート58は、軌道支持要素56a、56bの端部にボルト留めされるか、又は軌道支持要素の長さに沿ってボルト留めされるように構成されている。軌道支持要素56a、56bは、本発明によるグリッド構造40を形成するために、節点において互いにインターロックするように配置されている。これを達成するために、軌道支持要素56a、56bの各々の遠位端又は対向端は、隣接する軌道支持要素の対応する係止特徴(locking feature)66に相互連結するための係止特徴64を備える。本発明の特定の実施形態では、1つ以上の軌道支持要素の対向端又は遠位端は、グリッド構造40において軌道支持要素が交わる接合部において、隣接する軌道支持要素56の中間にある開口部又はスロット66内に受容可能な少なくとも1つのフック又は舌部(tongue)64を備える。図9と組み合わせて図7に戻って参照すると、軌道支持要素56の端部にあるフック64は、軌道支持要素56が交わる接合部において、垂直直立材16にわたって延在する、隣接する軌道支持要素の開口部66に受容されて示されている。ここで、これらフック64は、軌道支持要素56bの両側の開口部66まで提供される。本発明の特定の実施形態では、開口部66は、軌道支持要素56の長さに沿って半分のところにあり、その結果、共に組み立てられたとき、第1の方向及び第2の方向における隣接する平行な軌道支持要素56は、少なくとも1つのグリッドセル分だけオフセットされる。これは、図6に示されている。
【0031】
グリッド構造40を完成させるために、軌道支持要素56が互いにインターロックされて、第1の方向に延在する軌道支持体18と、第2の方向に延在する軌道支持体20と、を備えるグリッドパターンを形成すると、軌道22a、22bが、軌道支持要素56に取り付けられる。軌道22a、22bは、摺動嵌め配置で軌道支持体18、20上に嵌め込まれる及び/又はスナップ嵌めされるのいずれかである(図6参照)。本発明の軌道支持体と同様に、軌道は、第1の方向に延在する第1のセットの軌道22aと、第2の方向に延在する第2のセットの軌道22bと、を備え、第1の方向は、第2の方向に対して垂直である。第1のセットの軌道22aは、組み立てられたときに、第1の方向において隣接する平行な軌道要素が、少なくとも1つのグリッドセル分だけオフセットされるように、第1の方向において複数の軌道要素68に細分される。同様に、第2のセットの軌道22bは、組み立てられたときに、第2の方向において隣接する軌道要素が、少なくとも1つのグリッドセル分だけオフセットされるように、第2の方向において複数の軌道要素68に細分される。これは、図6に示されている。単一の軌道要素68の例が、図10に示されている。軌道支持要素と同様に、第1の方向及び第2の方向における複数の軌道要素は、両方向における軌道を形成するために、共に敷設される。軌道要素68を軌道支持体18、20に嵌め込むことは、軌道支持体18、20の上部を抱え込むか、又はそれに重なるように成形された逆U字形状の断面プロファイルを備える。U字形状プロファイルの各ブランチから延在する1つ以上の出張り(lugs)が、軌道支持体18、20の端部とスナップ嵌め配置で係合する。本発明において同様に妥当であるのは、軌道22a、22bが、別個の構成要素であるのではなく、軌道支持体18、20に一体化され得ることである。
【0032】
図11に示されるように、垂直直立材は、典型的に、単一のグリッドセル44が4つの垂直直立材16によって支持されて、1つ以上のコンテナ10をスタック状に保管するための単一の保管カラム44を形成するように配置されている。図2の保管場所44の水平面での横断面は、個々の保管カラム44が、コンテナ又は保管容器10の角部において配置された4つの垂直直立材16で構成されていることを示す。保管カラム44は、単一のグリッドセルに対応する。垂直直立材16の断面は、垂直直立材の全長にわたって一定である。図2の水平面におけるコンテナ又は保管容器の外周は、4つの角部を有するコンテナ又は保管容器と、保管カラム44内のコンテナ又は保管容器のこれら角部における4つの垂直直立材16の配置とを示す。4つの垂直直立材の各々から1つずつの、4つの垂直直立材の各々の角部セクションは、保管カラム44内に保管されたコンテナ又は保管容器が、この保管カラム内に保管された任意のコンテナ又は保管容器及び周囲の保管カラム内のコンテナ又は保管容器のスタックに対して、正しい位置に案内されることを確実にする。グリッド構造40上で動作可能な積荷取扱装置(図示せず)は、コンテナ又は保管容器がグリッドセル44を通って垂直直立材16に沿って案内されるにつれて、コンテナ又は保管容器を持ち上げることができる。
【0033】
「垂直直立材(複数可)」、「直立部材(複数可)」、及び「直立カラム(複数可)」という用語は、同じものを意味するように、本説明において交換可能に使用される。垂直直立材16の各々は、概して管状である。詳細には、図2に示されるように、垂直直立材16の各々は、保管カラム44に沿ったコンテナの移動を案内するために、垂直直立材16の縦方向の長さに沿って延在する中空セクション46の角部に取り付け又は形成された1つ以上の案内部48を有する中空セクション46(典型的に、箱形セクション)を備える。1つ以上の案内部48は、2つの垂直なコンテナ案内プレートを備える。2つの垂直なコンテナ案内プレートは、コンテナの角部又はコンテナのスタックの角部を収容するように配置されている。換言すれば、中空セクション46の角部の各々は、コンテナ又は保管容器の角部を収容し得る実質的に三角形の領域の2つの辺を画定する。これら角部は、複数の垂直直立材16が複数の隣接する保管カラムを提供し得るように、中空セクション46の周りに均等に配置され、ここで、各垂直直立材16は、最大4つの別個の保管カラムのために共通又は共有され得る。
【0034】
また、図11には、垂直直立材16の各々が、基部と、凹凸がある床を補償するために伸長又は引っ込められ得るねじ軸と、を備える垂直直立材の脚部にある調整可能なグリッドレベリング機構70に取り付けられていることも示されている。調整可能なグリッドレベリング機構の更なる詳細が、以下で説明される。本発明は、グリッド構造の交差部又は節点の各々において支持されているグリッド構造に限定されないことに留意されたい。グリッド構造は、グリッド構造の任意のセクション又は部分において支持され得る。例えば、グリッド構造は、グリッド構造の角部においてのみ(just at the corners)支持され得る。この場合、連結プレート又はキャッププレート58は、例えば、グリッド構造の角部において等、軌道支持要素の交差部50において、軌道支持要素の端部に、又は軌道支持要素の長さに沿った任意の箇所に連結するための少なくとも2つの垂直な連結部分60を備える。
【0035】
図11に示され、図12及び図13に詳細に示されるように、垂直直立材は、凹凸がある床を補償するために伸長又は引っ込められ得るねじ軸72を備える調整可能な脚部70によって、床、より具体的には、コンクリート基礎に固着されている。その名前から、調整可能な脚部又は調整可能なアンカー脚部70は、垂直直立材16の下端部に取り付けられている。図13に示されるような調整可能な脚部70は、基部プレート74と、別個の押込嵌めキャップ又はプラグ76と螺合可能なねじスピンドル又はねじ棒72と、を備える。押込嵌めキャップ76は、垂直直立材16の高さを調整するために、垂直直立材16の下端部に密嵌して嵌合されるように配置されている。図12及び図13に示されるような押込嵌めキャップ76は、垂直直立材16の下端部を着座させるように、より具体的には、箱形セクションの周りに配置された屈曲部を備える。使用時に、ねじスピンドル72は、押込嵌めキャップ76のねじ穴78と螺合する。ねじスピンドル72の回転は、床に置かれた基部プレート74と押込嵌めキャップ76との間の距離を変化させ、それによって、グリッドフレームワーク構造における垂直直立材16の高さを変化させる。従来、グリッドレベルは、垂直直立材の下端部において、調整可能な脚部70に対して調整が行われるたびに、垂直直立材の上端部で測定されてきた。その結果、グリッド構造のレベルを修正するには、2人のオペレータが必要であり、1人は、グリッド構造40のレベルを測定するために、グリッドフレームワーク構造の上部にいて、もう1人は、垂直直立材の高さに対して必要な調整を行うために、グリッドフレームワーク構造の底部にいる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、調整可能なグリッドレベリング機構が、垂直直立材の上部とグリッド構造との間に介装される。これは、グリッドレベルの調整が、グリッドレベルの測定が行われている点で行われることを可能にする。従って、グリッドレベルの調整は、グリッドレベルが測定されると、その場で又はリアルタイムで行われ得る。調整可能なグリッドレベリング機構を、垂直直立材の上端部における、グリッド構造140との連結部に移した例が、図14に示されている。図14に示される本発明の特定の実施形態では、グリッド部材は、調整可能なグリッドレベリング機構80によってグリッド構造140の節点又は交差部50において互いに連結された軌道支持体118、120を備える。また、図14には、軌道支持体118、120に取り付けられた軌道122a、122bも示されている。
【0037】
図15に示される個々の調整可能なグリッドレベリング機構80が、垂直直立材の上端に取り付けるための基部82と、グリッド構造に取り付けるための取付けヘッド84と、取付けヘッド84が基部82に対して移動可能であるように、基部82と取付けヘッド84との間に介装された伸長可能なセクション86と、を備える。基部82は、垂直直立材16の上端部に取り付けられるように構成されている。図16に示される本発明の特定の実施形態では、基部82は、垂直直立材16の上端部における箱形セクションの開口端に受容されるように構成された挿入部を備える。挿入部82は、1つ以上のボルト88によって、垂直直立材の上端部にしっかりと固定されている。基部82と取付けヘッド84との間には、伸長可能なセクション86が介装される。図16に示される本発明の例では、伸長可能なセクション86は、挿入部82、より具体的には、挿入部82におけるねじ穴と螺合するように配置されたねじ軸又はねじスピンドル90を備える。ねじ軸又はねじスピンドル90には、取付けヘッド84が取り付けられている。従って、ねじ軸又はねじスピンドル90の回転は、ねじ軸90を伸長させるか、又は挿入部82内に引っ込めさせ、従って、挿入部82に対する取付けヘッド84の高さを変更する。ねじ軸90の回転を補助するために、ねじ軸90は、ナットの回転がねじ軸90を回転させるように、スパナ等の工具がナット92と係合することを可能にするためのナット92を備える。図16に示される特定の例では、ナット92は、スパナがナット92と係合することを可能にするために、六角形の形状を有する。
【0038】
グリッド構造140又はグリッド構造の少なくとも一部を、調整可能なグリッドレベリング機構80に取り付けるための取付けヘッド84が、ねじ軸90に取り付けられている。図15及び図16に示される本発明の第1の実施形態では、取付けヘッド84は、ねじ軸90に取り付けられるように適合された、図8を参照して上記で説明されたキャッププレートを備える。従って、キャッププレートが垂直直立材の上端部に取り付けられることを可能にするための差込み部62の代わりに、キャッププレートの下端部は、図15に示されるように、ねじ軸90を受容するように適合されている。グリッド部材の節点又は交差部におけるグリッド構造へのキャッププレート84の連結は、図8を参照して上記で説明されたものと同じであり得る。図16に示されるような本発明の特定の実施形態では、キャッププレート84は、1つ以上のボルト94によってグリッド構造140の節点においてグリッド部材118、120に連結するための4つの連結部分を備える。図16に示されるグリッド部材118、120は、軌道又はレール122a、122bが取り付けられる軌道支持体118、120を備える。軌道支持体118、120は、グリッド構造140に必要な構造的支持を提供するために、I形鋼の形態である。軌道支持体118、120は、1つ以上のボルト94によってキャッププレート84に取り付けられている。軌道支持体118、120には、第1の方向及び第2の方向に延在する、グリッド構造140上の1つ以上の積荷取扱装置を案内するための軌道122a、122bが取り付けられる。
【0039】
垂直直立材16の縦軸を中心としたねじ軸90の回転は、ねじ軸90を基部82に対して伸長又は引っ込めさせる。取付けヘッド84がねじ軸90の上端部に取り付けられると、ねじ軸90の伸長又は引っ込めは、取付けヘッド84、ひいてはその上に取り付けられたグリッド構造140が、垂直方向に調整されることをもたらす。
【0040】
使用時に、グリッド高さでのグリッド構造140のレベルを測定するオペレータは、グリッド構造が実質的に水平面内にあることを確実にするために、グリッド高さでのグリッドレベルに対して定期調整を行い得る。特定の実施形態が、取付けヘッド84がキャッププレートを備えることを示している一方で、その上にグリッド構造を取り付けるための他の取り付けヘッドも、本発明において適用可能である。図8を参照して上記で説明されたキャッププレート84の代替として、図17に示される本発明の第2の実施形態による調整可能なグリッドレベリング機構180は、中央柱又は軸190に取り付けられた小塊(nodules)又は成形ボス160を備える取付けヘッド184を備える。この実施形態では、軌道支持体は、管状であり、より具体的には、箱形セクションである。小塊又は成形ボス160は、グリッド構造の交差部又は節点において、軌道支持体118、120の開口端における箱形セクション内に受容可能であるように成形されている。4つの小塊又はボス160は、中央柱又は軸190から垂直方向に延在し、節点又は交差部50において、4つの軌道支持体内に受容可能であるように配置されて示されている。図15を参照して上記で説明された調整可能なグリッドレベリング機構と同様に、中央柱190は、垂直直立材16の中空セクションに受容可能な挿入部182と螺合する。中央柱190は、取付けヘッド184の高さ、ひいては節点又は交差部におけるグリッド構造のレベルを調整するために、挿入部182に対して伸長又は引っ込められ得る。図17(a)は、引っ込められた構成での調整可能なグリッドレベリング機構180の取付けヘッド184を示し、図17(b)は、挿入部182に対して伸長された構成での調整可能なグリッドレベリング機構180の取付けヘッド180を示す。ねじ柱又はねじ軸190は、その高さ、ひいてはその上に取り付けられた軌道支持体のレベルを調整するために、挿入部182に対して伸長又は引っ込められ得る。取付けヘッド184の小塊又はボス160が軌道支持体の箱形セクション内に受容されると、調整可能なグリッドレベリング機構180に軌道支持体を更にしっかりと固定するために、小塊160の各々は、その端部に近接した軌道支持体118、120内の穴を通ってねじ込まれるボルトを受容するための穴162を備える。本発明の第2の実施形態による調整可能なグリッドレベリング機構180は、グリッド構造140の交差部又は節点50において、軌道支持体118、120を垂直直立材16に接合するために使用される。軌道122a、122bは、グリッド構造上の1つ以上の積荷取扱装置を案内するために、軌道支持体118、120に取り付けられている。1つ以上の締結具119が、軌道122a、122bを軌道支持体118、120にしっかりと固定するために使用され得る。軌道122a、122bは、軌道支持体118、120がグリッド構造140において交差する節点において、軌道支持体118、120にしっかりと固定されている。図18に示される特定の実施形態では、軌道122a、122bは、調整可能なグリッドレベリング機構の取付けヘッド184と螺合するねじボルトによって、軌道支持体118、120にしっかりと固定されている。また、図18に示され、図19に明示されるように、軌道の端部121は、安定した接合を提供するために、軌道がグリッド構造の節点において交差するところで交わる、実質的に45°の角度を有するV字形状である。軌道の端部のV字形状は、軌道が節点において交わる交差部での軌道の安定性を改善する。
【0041】
図14図17を参照して説明された本発明の第1及び第2の実施形態の両方において、調整可能なグリッドレベリング機構の伸長可能なセクションは、挿入部と螺合するねじ軸を備える。軸のねじ山は、その上に取り付けられたグリッドと、グリッド構造上で動作する1つ以上の積荷取扱装置との全重量を支える。ねじ山は、クロススレッディングされるか、又は摩耗して、伸長又は引っ込められるその能力を除去するというリスクがあり得る。
【0042】
図20に示される本発明の第3の実施形態では、調整可能なグリッドレベリング機構280、より具体的には、グリッド構造のレベルを調整するための伸長可能なセクション又は部分290は、一対の嵌合ワッシャ292、294(第1の嵌合ワッシャ292及び第2の嵌合ワッシャ294)を備え得、ここにおいて、一対の嵌合ワッシャ292、294の各々の嵌合面又は対向面296は、一対の嵌合ワッシャ292、294の一方の他方に対する回転が、一対の嵌合ワッシャ292、294の高さが調整されることを引き起こすように、円周方向に又は円周方向周りに延在する可変高さを持つプロファイル又は輪郭を有する。グリッド構造の重量を支えるねじ軸と比較して、一対の嵌合ワッシャ292、294の利点は、荷重が嵌合ワッシャ292、294の嵌合面296にわたって分散され、ねじ軸に存在するクロススレッディングの可能性を除去することである。
【0043】
図20に示されるように、一対の嵌合ワッシャ292、294の各々は、円環形状を有する。嵌合ワッシャ292、294は、それらの嵌合面又は嵌合ワッシャ292、294の対向面296が協働するように、互いの上に着座又は組み立てられる。図20に示される本発明の特定の実施形態では、この対における嵌合ワッシャ292、294(第1及び第2の嵌合ワッシャ)の両方の嵌合面又は対向面296は、一対の嵌合ワッシャの一方(即ち、第1又は第2の嵌合ワッシャ)の他方に対する回転が、一対の嵌合ワッシャ292、294の高さが調整されることを引き起こすように、嵌合ワッシャの各々の円周方向周りに延在する可変高さを持つプロファイル又は輪郭を有する。より具体的には、回転軸X-Xは、この対における両方の嵌合ワッシャ292、294に共通である。一対の嵌合ワッシャは同軸であり、これにより、垂直直立材16の縦軸X-Xを中心とした、一対の嵌合ワッシャの一方の回転中、一対の嵌合ワッシャの一方(第1の嵌合ワッシャ)の嵌合面296は、一対の嵌合ワッシャの他方(第2の嵌合ワッシャ)の嵌合面296に乗り上げる(rides over)。
【0044】
嵌合面の円周方向周りに延在する可変高さのプロファイル又は輪郭は、嵌合ワッシャの一方が他方のワッシャに対して回転されるにつれて、嵌合ワッシャ292、294の高さHが変化することを引き起こす(図20参照)。一例では、嵌合面の輪郭又はプロファイルは、高プロファイル297aと、低プロファイル297bと、を備えるように起伏する。嵌合面292、294の各々の起伏は、少なくとも1つの高い部分297aと、少なくとも1つの低い部分297bと、を備える。嵌合面296の各々の少なくとも1つの高い部分297aは、嵌合ワッシャの高さを増大させるために、嵌合ワッシャ292、294の一方が他方に対して回転するにつれて協働する。同様に、低い部分297bは、嵌合ワッシャ292、294の高さを低くするために協働する。嵌合ワッシャの高さの調整は、それらの嵌合面が高い部分と低い部分との間で回転するので、変化させることができる。別の例では、嵌合面の輪郭又はプロファイルは、1つ以上のくさび面を備える。くさび形の面296が嵌合ワッシャ292、294の少なくとも一方の裏面となす角度は、一対の嵌合ワッシャ292、294の高さHの調整を制御する。より具体的には、嵌合ワッシャの少なくとも一方が位置する水平面に対してくさび形の面296がなす傾斜角が、一対の嵌合ワッシャ292、294の高さHの調整を制御する。より急勾配に傾斜した角度は、高さのより粗い調整を提供し、くさび形の面296のより緩やかな角度は、高さHのより細かい調整を提供する。
【0045】
嵌合又対向する嵌合面296はまた、割り出し手段又は割り出し機構298を備え得、これにより、少なくとも一方の嵌合ワッシャ292、294の他方の嵌合ワッシャに対する回転は、所望の回転角度、ひいてはこれらワッシャの所望の高さで、一対の嵌合ワッシャの一方を他方に対して係止するように割り出され、即ち、この場合、嵌合ワッシャは、嵌合係止ワッシャ292、294として定義され得る。図20に示される本発明の特定の実施形態では、一対の嵌合係止ワッシャ292、294の各々の、対向する嵌合面296は、一対の嵌合係止ワッシャ292、294の一方の、他方の嵌合係止ワッシャに対する回転を割り出すために、互いを乗り越える歯298を備える。歯298は、円周方向に延在するいくつかのくさび形の面であり得る。歯は、一対の嵌合ワッシャの少なくとも一方が、一方向(例えば、反時計回り)に回転することを可能にするが、他方向(例えば、時計回り)の回転を阻止する。これは、一対の嵌合係止ワッシャの少なくとも一方が、所望の回転角度、ひいては一対の嵌合係止ワッシャの所望の高さで係止することを可能にする。係止を解除し、嵌合係止ワッシャ292、294が、他方向、例えば、逆方向に回転することを可能にするために、一対の嵌合ワッシャ292、294は、係合特徴を解除するめに、こじ開けられ(prised apart)得る。
【0046】
一対の嵌合ワッシャ292、294は、図21及び図22に示されるように、垂直直立材の箱形セクション又は中空セクション内に受容可能な下部283を有する挿入部282上にそれらを着座させることを可能にする円環状の構成を有する。挿入部282の上部285は、一対の嵌合ワッシャ292、294を着座させるための成形された柱287を備え、挿入部282の下部283は、垂直直立材の箱形セクション内に受容可能であるように成形されている。座部は、一対の嵌合ワッシャ292、294を着座させるためのカラー又は円周フランジ289を備える。次いで、グリッド構造240を取り付けるための取付けヘッド284が、一対の嵌合ワッシャ292、294に取り付けられ得る。図21に示される特定の実施形態では、取付けヘッド284は、図8を参照して上記で説明された、グリッド部材118、120を垂直支柱に相互連結するためのキャッププレートと同じように機能するキャッププレートである。図21に示される特定の実施形態では、グリッド部材は、軌道支持体218、220と、その上に取り付けられるか、又は軌道支持体に一体化される軌道222a、222bと、を備える。キャッププレート284は、一対の嵌合ワッシャ292、294の一方の側面又は面に載置されるように、挿入部282の上部285に取り付けられ、これにより、嵌合ワッシャの少なくとも一方の、他方の嵌合ワッシャに対する回転が、一対の嵌合ワッシャの高さ、ひいてはキャッププレート284の高さが挿入部282に対して調整されることを引き起こす。キャッププレート284の差込み部62は、挿入部282の上部285における開口内に受容可能である。軌道支持体218、220を備えるグリッド部材は、図21に示されるように、1つ以上のボルト94によって、節点においてキャッププレート284に固定されている。同様に、垂直直立材16の箱形セクション内に受容可能な挿入部282の下部283は、1つ以上のボルト88によって、垂直直立材16の上端部に固定されている。垂直直立材16の上端部とグリッド構造との間に介装された一対の嵌合ワッシャ292、294を備える調整可能なグリッドレベリング機構280の組み立てが図22に示されている。
【0047】
オプションで、図20に示されるように、追加のワッシャ295が、一対の嵌合ワッシャ292、294の外面の上に着座され、これにより、調整可能なグリッドレベリング機構280は、追加のワッシャ295と挿入部282のフランジ289との間に挟まれる。少なくとも一方の嵌合ワッシャの回転は、追加のワッシャ295にキャッププレート284を持ち上げさせる。嵌合ワッシャの少なくとも一方を他方に対して回転させるために、特別な工具は必要ない。図20に示される特定の実施形態では、係止ワッシャの側部又は縁部は、少なくとも一方の嵌合ワッシャの他方に対する回転を駆動して、その結果、それらの嵌合面が互いに乗り上げるようにするピン又は棒を受容するための開口299を備える。
【0048】
グリッド部材が、調整可能なグリッドレベリング機構280上に直接取り付けられる代わりに、スペーサ302が、調整可能なグリッドレベリング機構280とグリッド構造との間に組み込まれ得る。図23に示される特定の実施形態では、スペーサ302は、垂直直立材の上端部における調整可能なグリッドレベリング機構280とグリッド構造との間に介装されて示されている。スペーサ302は、スペーサ302の下端部304において、調整可能なグリッドレベリング機構280の一方の側面にボルト留めされて示されている。取付けヘッド、例えば、キャッププレートは、スペーサ302の上端部306に固定されている。調整可能なグリッドレベリング機構の高さの変化は、スペーサ302及びその上に取り付けられた取付けヘッドの垂直方向への移動を引き起こす。
【0049】
本発明のなお別の例では、調整可能なグリッドレベリング機構は、垂直直立材において設けられたスプライスジョイント(図示せず)に組み込まれ得る。垂直直立材の一部が、端と端をつないだ部材(end to end members)を提供するために、継ぎ合わされ得る。少なくとも1つのスプライスジョイントが、1つ以上の垂直直立材に組み込まれ得る。スプライスジョイントの間には、本発明の調整可能なグリッドレベリング機構が介装される。調整可能なグリッドレベリング機構は、スプライスジョイントの端と端をつないだ部材の間に介装される。調整可能なグリッドレベリング機構は、上記で説明された調整可能なグリッドレベリング機構の異なる実施形態のいずれかであり得る。例えば、調整可能なグリッドレベリング機構が上記で説明された一対の嵌合ワッシャを備える場合、一対の嵌合ワッシャは、係止ワッシャの少なくとも一方の回転が、垂直直立材の長さ、ひいては高さを伸長させるように、スプライスジョイントの端部間に介装され得る。
【0050】
本発明の全ての実施形態において、グリッドフレームワーク構造におけるこれら垂直直立材のうちの1つ以上の下端部は、アンカー脚部によって、床、例えばコンクリート基礎に固着されている。アンカー脚部は、1つ以上のアンカーボルトによって床にしっかりと固定されている。垂直直立材を床に固定して動かないように固着させるための様々なタイプのアンカー脚部が、本発明において適用可能である。アンカー脚部は、垂直直立材と、垂直直立材の任意のブレーシング荷重と、を支えるように機能する。アンカー脚部400の一例が、図16図19及び図20に示されており、ここで、アンカー脚部400は、垂直直立材の基部において経験される荷重に基づいて、所定の物理的制約内でトポロジ最適化されている。図16図21及び図22に示される本発明の特定の実施形態では、アンカー脚部400は、アンカー脚部400を床又はコンクリート基礎にボルト留めするための4つのアンカー点402と、垂直直立材16の下端部を受容するための開口部404と、を有し、そこで、垂直直立材16の下端部が、開口部404に挿入される。垂直直立材の下端部は、追加の2つのボルト406によって、アンカー脚部にしっかりと固定されている。
【0051】
アンカー脚部は、アンカー脚部の高さを調整するために、伸長又は引っ込められ得るように、伸長可能にされ得る。グリッド構造と垂直直立材の上端部との間に介装された調整可能なグリッドレベリング機構は、グリッド構造のレベルを調整するために、垂直直立材の下端部においてアンカー脚部と共に使用され得る。例えば、アンカー脚部400は、伸長可能な部分(図示せず)を備え得、これにより、アンカー脚部の伸長可能な部分は、1つ以上の垂直直立材の脚部において粗いレベリング調整を提供するように構成され得る。グリッド構造のレベルは、地面の凹凸により経時的に変化するので、この場合、グリッドレベルのより細かい調整又はチューニングが、この凹凸を補償するために、グリッド構造における本発明の調整可能なグリッドレベリング機構に対して行われ得る。逆も同様に適用可能であり、これにより、アンカー脚部の伸長可能な部分が、グリッドレベルに対してより細かい調整を提供し、グリッド構造における調整可能なグリッドレベリング機構が、より粗いグリッドレベル調整を提供する。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] その上に1つ以上の積荷取扱装置30を支持するように構成されたグリッドフレームワーク構造であって、前記グリッドフレームワーク構造は、
i)第1の方向に延在する第1のセットのグリッド部材18と、第2の方向に延在する第2のセットのグリッド部材20と、を備えるグリッド構造40であって、前記第2のセットのグリッド部材20は、複数のグリッドセル17を備えるグリッドパターンにおいて、実質的に水平な平面内で前記第1のセットのグリッド部材18に対して横断方向に延びている、グリッド構造40と、
ii)前記グリッド構造40を支持するための複数の垂直直立材16と、
iii)前記グリッド構造40のレベルを調整するための調整可能なグリッドレベリング機構180と、を備え、
前記調整可能なグリッドレベリング機構180が、前記複数の垂直直立材16のうちの少なくとも1つと前記グリッド構造40との間の垂直距離を調整するために、前記複数の垂直直立材16のうちの前記少なくとも1つと前記グリッド構造40との間に介装されることを特徴とする、グリッドフレームワーク構造。
[2] 前記複数の垂直直立材16は、1つ以上のコンテナ10が、前記垂直直立材16の間に積み重ねられ、前記垂直直立材16によって垂直方向に案内されるための、複数の垂直保管場所44を形成するように配置されている、[1]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[3] 前記複数の垂直直立材16は、それらの上端部において、前記第1のセットのグリッド部材18及び前記第2のセットのグリッド部材20によって相互連結されており、これにより、前記グリッド構造40は、前記複数の垂直直立材16の相互連結部のうちの1つ以上において、前記調整可能なグリッドレベリング機構180に取り付けられている、[1]又は[2]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[4] 前記調整可能なグリッドレベリング機構80は、前記複数の垂直直立材16のうちの前記少なくとも1つに取り付けるための基部82と、前記グリッド構造40をその上に取り付けるための取付けヘッド84と、前記取付けヘッド84が前記基部82に対して移動可能であるように、前記基部82と前記取付けヘッド84との間に介装された伸長可能なセクション86と、を備える、[1]~[3]のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
[5] 前記基部82は、垂直直立材16の上端部において受容可能である挿入部82を備える、[4]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[6] 前記伸長可能なセクション86は、前記基部82に対して伸長又は引っ込められ得るねじ軸90を備える、[4]又は[5]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[7] 前記取付けヘッド84は、前記ねじ軸90が前記基部82に対して伸長又は引っ込められ得るように前記基部82と螺合する前記ねじ軸90に取り付けられている、[6]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[8] 前記伸長可能なセクション86は、対向面又は嵌合面296を有する一対の嵌合ワッシャ292、294を備え、前記一対の嵌合ワッシャ292、294の各々の前記対向面又は嵌合面296は、前記一対の嵌合ワッシャ292、294の少なくとも一方の他方に対する回転が、前記一対の嵌合ワッシャ292、294の高さが調整されることを引き起こすように、円周方向に延在する可変高さを持つプロファイル又は輪郭を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
[9] 前記一対の嵌合ワッシャ292、294の前記少なくとも一方は、前記垂直直立材16の縦軸を中心に回転する、[8]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[10] 前記一対の嵌合ワッシャ292、294の各々の前記嵌合面296の前記プロファイル又は輪郭は、少なくとも1つのくさび形の面を備える、[8]又は[9]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[11] 前記一対の嵌合ワッシャ292、294の前記嵌合面296は、少なくとも一方の嵌合ワッシャの他方の嵌合ワッシャに対する回転が割り出されるように、割り出し手段又は割り出し機構を備える、[8]~[10]のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
[12] 前記割り出し手段又は割り出し機構は、少なくとも一方の嵌合ワッシャ292、294の他方の嵌合ワッシャ292、294に対する回転が所望の回転角度において係止されるように、複数の歯298を備える、[11]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[13] 前記基部82は、前記一対の嵌合ワッシャ292、294を着座させるための座部を備える、[8]~[12]のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
[14] 前記座部は、前記一対の嵌合ワッシャ292、294を受容するように配置された柱190を備える、[13]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[15] 前記取付けヘッド84は、前記座部内に受容可能な差込み部62を備える、[13]又は[14]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[16] 前記取付けヘッド84は、少なくとも2つの垂直な端部を備え、前記2つの垂直な端部の各々は、前記第1の方向に延在する前記第1のセットのグリッド部材18のうちの少なくとも1つと、前記第2の方向に延在する前記第2のセットのグリッド部材20のうちの少なくとも1つとに連結するように構成されている、[1]~[15]のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
[17] 前記複数の垂直直立材16の各々の下端部は、アンカー脚部400によってコンクリート基礎に固着されている、[1]~[16]のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
[18] 前記アンカー脚部400は、それが前記アンカー脚部400の高さを調整するために伸長又は引っ込められ得るように伸長可能である、[17]に記載のグリッドフレームワーク構造。
[19] 前記第1のセットのグリッド部材18は、第1のセットの軌道22aを備え、前記第2のセットのグリッド部材20は、第2のセットの軌道22bを備える、[1]~[18]のいずれか一項に記載のグリッドフレームワーク構造。
[20] 前記第1のセットのグリッド部材18は、第1のセットの軌道支持体18を備え、前記第2のセットのグリッド部材20は、第2のセットの軌道支持体20を備える、[19]に記載のグリッドフレームワーク構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17(a)】
図17(b)】
図18
図19
図20
図21
図22
図23