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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】チャネル競合方法及び関連機器
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/0816 20240101AFI20240805BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240805BHJP
   H04W 72/54 20230101ALI20240805BHJP
   H04W 84/12 20090101ALN20240805BHJP
【FI】
H04W74/0816
H04W72/0457 110
H04W72/54 110
H04W84/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023510452
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2021107596
(87)【国際公開番号】W WO2022033283
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】202010820609.9
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リー,イーチーン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユインボー
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ユイチェン
(72)【発明者】
【氏名】ガン,ミーン
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111147165(CN,A)
【文献】Insun Jang (LG Electronics),Non-AP MLD Initiated Aggregation: Opportunity in TXOP, IEEE 802.11-20/0739r1 ,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-0739-01-00be-non-ap-mld-initiated-aggregation-opportunity-in-txop.pptx>,2020年08月03日,1-17 Slides
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル競合方法であって、前記方法は、
第1リンク上のデータ送信が完了した後、又は前記第1リンク上でデータに対応するブロック確認応答を受信した後に、第1マルチリンク装置の第1非アクセスポイント局により、第1期間内に第2リンク上でクリアチャネル評価CCA検出を実行するステップであって、前記第1期間に対応する開始時点は、前記第1リンク上の前記データ送信が完了した時点と同じである、ステップと、
前記第2リンク上の前記CCA検出が失敗したときに、前記第1非アクセスポイント局により、CCA検出の失敗が成功に変化した時点から第2期間の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
CCA閾値が-82dbm、-72dbm、又は-62dbmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2期間の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するステップは、
前記第2リンク上で前記CCA検出が失敗し、物理層プロトコルデータユニットPPDUの開始が検出されなかった場合に行われる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
第2期間の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するステップは、
前記第2期間に対応する終了時点が前記第1期間に対応する終了時点よりも早い場合、前記第1非アクセスポイント局によって、前記第2期間に対応する前記終了時点の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するステップを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第2期間の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するステップは、
前記第2期間に対応する終了時点が前記第1期間に対応する終了時点よりも遅い場合、前記第1非アクセスポイント局によって、前記第1期間に対応する前記終了時点の後に又は前記第2期間に対応する前記終了時点の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するステップを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2期間は、拡張フレーム間隔EIFS時間である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
通信機器であって、前記通信機器は、
第1リンクでデータ送信が完了した後、又は前記第1リンクでデータに対応するブロック確認応答を受信した後に、第1期間に第2リンクでクリアチャネル評価CCA検出を行うように構成された処理ユニットであって、前記第1期間に対応する開始時点は、前記第1リンクで前記データ送信が完了した時点と同じである、処理ユニットを含み、
前記処理ユニットは、前記第2リンクで前記CCA検出が失敗したときに、CCA検出の失敗が成功に変化した時点から第2期間の後に前記第2リンクでチャネル競合を実行するように更に構成される、通信機器。
【請求項8】
CCA閾値が-82dbm、-72dbm、又は-62dbmである、請求項に記載の機器。
【請求項9】
前記第2期間の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するステップは、
前記第2リンク上で前記CCA検出が失敗し、物理層プロトコルデータユニットPPDUの開始が検出されなかった場合に行われる、請求項7~8のいずれかに記載の機器。
【請求項10】
前記第2期間の後に前記第2リンク上でチャネル競合が実行されるとき、
前記第2期間に対応する終了時点が前記第1期間に対応する終了時点よりも早い場合、前記処理ユニットは、前記第2期間に対応する前記終了時点の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するよう構成される、請求項7~8のいずれか一項に記載の機器。
【請求項11】
前記第2期間の後に前記第2リンク上でチャネル競合が実行されるとき、
前記第2期間に対応する終了時点が前記第1期間に対応する終了時点よりも遅い場合、前記処理ユニットは、前記第1期間に対応する前記終了時点の後に、又は前記第2期間に対応する前記終了時点の後に前記第2リンク上でチャネル競合を実行するよう構成される、請求項7~8のいずれか一項に記載の機器。
【請求項12】
前記第2期間は、拡張フレーム間隔EIFS時間である、請求項7~11のいずれか一項に記載の機器。
【請求項13】
通信機器であって、
プロセッサと、
命令を格納するよう構成されるメモリと、
を含み、
前記プロセッサが前記命令を実行すると、前記通信機器は、請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実行可能にされる、通信機器。
【請求項14】
無線通信システムであって、第1マルチリンク装置を含み、前記第1マルチリンク装置は、請求項7~12のいずれか一項に記載の通信機器を含む、システム。
【請求項15】
可読記憶媒体であって、前記可読記憶媒体はプログラム命令を格納し、前記プログラム命令が実行されると、請求項1~のいずれか一項に記載の方法が実行される、可読記憶媒体。
【請求項16】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは命令を含み、前記命令がコンピュータで実行されると、前記コンピュータは請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実行可能にされる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月14日に中国国家知的所有権庁に出願された「CHANNEL CONTENTION METHOD AND RELATED APPARATUS」と題された中国特許出願第202010820609.9号の優先権を主張しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[技術分野]
本願は、通信技術の分野に関し、特に、チャネル競合方法及び関連する機器に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、次世代無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network, WLAN)又はセルラネットワークは、スループットを継続的に向上させるという継続的な技術目標のために開発及び進化している。WLANシステムのプロトコルは、主に米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE))標準化グループによって議論された。次世代Wi-Fi規格であるIEEE802.11beは、従来の標準プロトコルであるIEEE802.11a/b/g/n/ac/axをベースに、超高スループット(extremely high throughput, EHT)を技術目標としており、主要技術、つまりマルチリンク(multi-link)通信に関するものである。マルチリンク通信の核となる考え方は、次世代IEEE802.11規格に対応したWLAN装置が、マルチバンド(multi-band)送受信機能を備えているため、データ送信により大きな帯域幅を使用してスループットを大幅に向上させるというものである。複数の帯域には、2.4GHz Wi-Fi帯域、5GHz Wi-Fi帯域、及び6GHz Wi-Fi帯域が含まれるが、これらに限定されない。通信装置がアクセスと送信を行う周波数帯域を1つのリンクと呼ぶことがある。通信装置がアクセスと送信を行う複数の周波数帯域をマルチリンクと呼ぶことがある。複数のリンクで次世代IEEE802.11規格に対応した局装置をマルチリンク装置(multi-link device, MLD)と呼ぶ。マルチリンク装置はマルチリンク通信に対応できる。例えば、図1は、本願の実施形態によるマルチリンク通信シナリオの概略図である。図1に示すように、アクセスポイント(access point, AP)マルチリンク装置(multi-link device)は、AP1及びAP2を含む。非アクセスポイント局(non-Access Point Station, non-AP STA)MLDは、非AP STA1と非AP STA2を含む。AP1はリンク1で非AP STA1と通信する。AP2はリンク2で非AP STA2と通信する。AP MLDとSTA MLD間の通信はマルチリンク通信であると理解できる。
【0004】
ただし、幾つかのマルチリンク装置は、幾つかの場合には、複数のリンクでの同時送受信(simultaneous transmit and receive, STR)に対応していない場合がある。非STR(non-simultaneous transmit and receive)マルチリンク装置(以下、STRに対応していないマルチリンク装置と呼ぶ)が対応している複数の周波数帯域間の周波数間隔が小さい場合、1つのリンクでデータを送信するときに、チャネル干渉が別のリンクのクリアチャネル評価(clear channel assessment, CCA)に影響を与えることがある。その結果、別のリンクがブラインド期間(blindness period、又はdeaf period)内にあると決定されることがある。ブラインド期間とは、チャネル上の情報を監視できないことを意味する。この場合、既存のソリューションでは、データ送信が完了した後、非STR MLDが別のリンクに中同期遅延(medium sync delay)タイマを設定し、決定されるべき(to be decided, TBD)エネルギ検出(energy detection, ED)閾値に基づいてタイマ内の別のリンクでCCAを実行できることが、規格802.11-20/1009r1で提案されている。別のリンクの1つのリンクでCCA検出が失敗した場合、そのリンクで重複する基本サービスセット(overlapping basic service set, OBSS)フレームが送信されていることを意味する。OBSSフレームの伝送が終了すると、非STR MLDはチャネルの競合を開始し、拡張分散チャネルアクセス(enhanced distributed channel access, EDCA)を開始する。
【0005】
ただし、OBSSフレームの伝送終了した後、リンクに対応する送信機会(transmission opportunity, TXOP)が終了しない場合がある。その結果、チャネルにアクセスした後、非STR MLDはOBSSフレームに対応する確認応答(ACK)フレームと衝突する。そのため、EDCA中にフレーム間の衝突や干渉を回避する方法は、現在早急に解決する必要がある技術的な問題となる。
【発明の概要】
【0006】
本願は、チャネル競合中のフレーム間の衝突と干渉を減らすために、非同時送受信マルチリンク装置をサポートするチャネル競合方法と関連機器を提供する。これにより、通信効率が向上する。
【0007】
第1態様によると、本願の実施形態は、チャネル競合方法を提供する。方法は、以下を含む。第1リンク上のデータ送信が完了した後、又は前記第1リンク上でデータに対応するブロック確認応答を受信した後に、第1マルチリンク装置の第1非アクセスポイント局は、第1期間内に第2リンク上でクリアチャネル評価CCA検出を実行し、前記第1期間に対応する開始時点は、前記第1リンク上の前記データ送信が完了した時点と同じであり、前記第2リンク上の前記CCA検出が失敗したときに、前記第1非アクセスポイント局は、第2期間に基づいて前記第2リンク上でチャネル競合を実行する。
【0008】
このソリューションでは、第1リンクでのデータ送信が完了した後、又は第1リンクでデータに対応するブロックACKを受信した後、第2リンクでCCA検出が実行され、第2リンク上のCCA検出が失敗した場合、第2期間に基づき第2リンクでチャネル競合が実行され、第2リンクでのデータ送信が完了したと決定された後に、第2リンクでのチャネル競合によるフレーム間の衝突と干渉を回避する。これにより、フレーム間の衝突と干渉が減少し、通信効率が向上する。
【0009】
任意で、第1期間の第2リンクでクリアチャネル評価CCA検出を実行するステップは、
第1非アクセスポイント局が、調整されたCCA閾値を取得するためにCCA閾値を調整し、調整されたCCA閾値がCCA閾値より小さく、
第1非アクセスポイント局が、調整されたCCA閾値に基づいて第1期間の第2リンクでCCA検出を実行することを含む。
【0010】
このソリューションでは、第2リンクでCCA検出が実行されるときに、より厳しいCCA閾値を使用して第2リンクでCCA検出を実行し、第2リンクでデータ送信が完了したと決定された後に第2リンクでチャネル競合が実行されたときに発生する後続のフレーム間の衝突と干渉を回避できることが理解できる。
【0011】
任意で、CCA閾値にはエネルギ検出閾値又は中間エネルギ検出閾値が含まれる。
【0012】
任意で、第2期間に基づき第2リンクでチャネル競合を実行するステップは、
第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも前の場合、第1非アクセスポイント局は、第2期間に対応する終了時点の後の第2リンクでチャネル競合を実行する、又は、
第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも後の場合、第1非アクセスポイント局は、第1期間に対応する終了時点の後又は第2期間に対応する終了時点の後の第2リンクでチャネル競合を実行することを含む。
【0013】
このソリューションでは、第1期間に対応する終了時点の後又は第2期間に対応する終了時点の後に、異なるケースでは第2リンクでチャネル競合を実行することで、第2リンクでデータ送信が完了したと決定された後に第2リンクでチャネル競合が実行されたときに発生するフレーム間の衝突と干渉を回避すると理解できる。これにより、フレーム間の衝突と干渉が減少し、通信効率が向上する。
【0014】
任意で、方法は、
第1非アクセスポイント局は、無線フレームに基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新して更新されたNAVを取得するステップであって、無線フレームは、データが第1リンクで送信されているとき、又はデータに対応するブロックACKが第1リンクで送信されているときに、第2リンクの第2非アクセスポイント局に送信される無線フレームであり、第2非アクセスポイント局は、第1マルチリンク装置の第1非アクセスポイント局以外の非アクセスポイント局であり、
第1非アクセスポイント局は、更新されたNAVに基づいて第2リンクでチャネル競合を実行することを更に含む。
【0015】
このソリューションでは、更新されたNAVに基づき第2リンクでチャネル競合検出が実行され、第2リンクでデータ送信が完了したと決定された後に第2リンクでチャネル競合が実行されたときに発生するフレーム間の衝突と干渉を回避されることが理解できる。これにより、フレーム間の衝突と干渉が減少し、通信効率が向上する。
【0016】
任意で、更新されたNAVに基づき第2リンクでチャネル競合を実行するステップは、
更新されたNAVが、第1リンクでデータ送信が完了する時点又は第1リンクでブロックACKを受信する時点に満たない場合、第1非アクセスポイント局は、第1期間に第2リンク上でCCA検出を実行し、
第2リンクでCCA検出が失敗した場合、第1非アクセスポイント局は、第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を実行し、又は、
更新されたNAVが、第1リンクでデータ送信が完了した時点又は第1リンクでブロックACKを受信した時点よりも大きい場合、第1非アクセスポイント局は、更新されたNAVが0にバックオフしたときに第2リンクでチャネル競合を実行することを含む。
【0017】
このソリューションでは、異なる場合に、第2リンクでチャネル競合検出が実行され、第2リンクでデータ送信が完了したと決定された後に第2リンクでチャネル競合が実行されたときに発生するフレーム間の衝突と干渉を回避されることが理解できる。これにより、フレーム間の衝突と干渉が減少し、通信効率が向上する。
【0018】
任意で、第2期間は、拡張フレーム間隔EIFS時間である。
【0019】
第2態様によると、本願の実施形態は、第1マルチリンク装置に適用される通信機器を提供する。通信機器は、第1マルチリンク装置、又は第1マルチリンク装置内のチップ、例えばWi-Fiチップである場合がある。通信機器は、処理ユニットを含み、前記処理ユニットは、
第1リンク上のデータ送信が完了した後、又は前記第1リンク上でデータに対応するブロック確認応答を受信した後に、第1マルチリンク装置の第1非アクセスポイント局により、第1期間内に第2リンク上でクリアチャネル評価CCA検出を実行するよう構成され、前記第1期間に対応する開始時点は、前記第1リンク上の前記データ送信が完了した時点と同じであり、
前記処理ユニットは、前記第2リンク上の前記CCA検出が失敗したときに、前記第1非アクセスポイント局により、第2期間に基づいて前記第2リンク上でチャネル競合を実行するよう更に構成される。
【0020】
任意で、クリアチャネル評価CCA検出が第1期間に第2リンクで実行されるとき、前記処理ユニットは、
調整されたCCA閾値を取得するためにCCA閾値を調整し、調整されたCCA閾値がCCA閾値より小さく、
調整されたCCA閾値に基づいて第1期間に第2リンクでCCA検出を実行するよう構成される。
【0021】
任意で、CCA閾値にはエネルギ検出閾値又は中間エネルギ検出閾値が含まれる。
【0022】
任意で、第2期間に基づき第2リンクでチャネル競合が実行されるとき、
第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも前の場合、処理ユニットは、第2期間に対応する終了時点の後の第2リンクでチャネル競合を実行するよう構成される、又は、
第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも後の場合、処理ユニットは、第1期間に対応する終了時点の後又は第2期間に対応する終了時点の後の第2リンクでチャネル競合を実行するよう構成される。
【0023】
任意で、処理ユニットは、
無線フレームに基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新して更新されたNAVを取得し、無線フレームは、データが第1リンクで送信されているとき、又はデータに対応するブロックACKが第1リンクで送信されているときに、第2リンクの第2非アクセスポイント局に送信される無線フレームであり、第2非アクセスポイント局は、第1マルチリンク装置の第1非アクセスポイント局以外の非アクセスポイント局であり、
更新されたNAVに基づいて第2リンクでチャネル競合を実行するよう更に構成される。
【0024】
任意で、更新されたNAVに基づき第2リンクでチャネル競合がされるとき、
更新されたNAVが、第1リンクでデータ送信が完了する時点又は第1リンクでブロックACKを受信する時点に満たない場合、処理ユニットは、第1期間に第2リンク上でCCA検出を実行し、
第2リンクでCCA検出が失敗した場合、第1非アクセスポイント局により、第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を実行するよう構成される、又は、
更新されたNAVが、第1リンクでデータ送信が完了した時点又は第1リンクでブロックACKを受信した時点よりも大きい場合、処理ユニットは、更新されたNAVが0にバックオフしたときに第2リンクでチャネル競合を実行するよう構成される。
【0025】
任意で、第2期間は、拡張フレーム間隔EIFS時間である。
【0026】
第3態様によると、本願の実施形態は、具体的には第1マルチリンク装置である通信機器を提供する。当該第1マルチリンク装置は、前述の方法の中の第1マルチリンク装置の動作を実施する機能を有する。該機能は、ハードウェアにより実装されてよく、又は応答するソフトウェアを実行するハードウェアにより実装されてよい。前記ハードウェア又は前記ソフトウェアは、前述の機能に対応する1つ以上のモジュールを含む。
【0027】
可能な設計では、第1マルチリンク装置はプロセッサとトランシーバを含む。プロセッサは、前述の方法で対応する機能を実行する際に第1マルチリンク装置をサポートするように構成される。トランシーバは、第1マルチリンク装置の通信をサポートし、前述の方法で情報、フレーム、データパケット、又は命令を受信するように構成される。第1マルチリンク装置は、メモリを更に含んでよい。メモリは、プロセッサに結合され、第1マルチリンク装置のために必要なプログラム命令及びデータを格納する。
【0028】
第4の態様によると、本願の実施形態は、無線通信システムを提供する。システムは第3態様に第1マルチリンク装置を含む。
【0029】
第5の態様によると、本願の実施形態は、入出力インタフェースと処理回路を含む、チップ又はチップシステムを提供する。入出力インタフェースは、情報又はデータ交換に使用される。処理回路は、命令を実行するように構成されており、チップ又はチップシステムが搭載された機器は、上記のいずれかの態様でチャネル競合方法を実行する。
【0030】
第6の態様によると、本願の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体は命令を格納する。命令は、処理回路上の1つ以上のプロセッサによって実行されることができる。命令がコンピュータで実行されると、コンピュータは、前述の態様のいずれか1つにおけるチャネル競合方法を実行可能にされる。
【0031】
第7の態様によると、本願は、命令を含むコンピュータプログラムプロダクトを提供する。命令がコンピュータで実行されると、コンピュータは、前述の態様のいずれか1つにおけるチャネル競合方法を実行可能にされる。
【0032】
第8態様による態様によると、本願は、チップシステムを提供する。チップシステムはプロセッサを含み、上記のいずれかの態様でチャネル競合方法を実装する際に、例えば上記のチャネル競合方法でフレーム及び/又は情報を処理する際に、チップシステムが搭載される機器をサポートするように構成される。可能な設計では、チップシステムは、メモリを更に含む。メモリは、データ送信装置のために必要なプログラム命令及びデータを格納するよう構成される。チップシステムは、チップを含んでよく、又はチップ及び別の個別コンポーネントを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下は、実施形態又は従来技術で使用される添付の図面を簡単に説明する。
【0034】
図1】本願の実施形態によるマルチリンク通信シナリオの概略図である。
【0035】
図2A】本願の実施形態によるNAVの設定の概略図である。
【0036】
図2B】本願の実施形態によるNAVの設定の別の概略図である。
【0037】
図3】本願の実施形態による無線通信システムのアーキテクチャの概略図である。
【0038】
図4】本願の実施形態によるマルチリンク装置の構造の概略図である。
【0039】
図5】本願の実施形態によるマルチリンク装置の別の構造の概略図である。
【0040】
図6】本願の実施形態による競合チャネルの概略図である。
【0041】
図7】本願の実施形態による別の競合チャネルの概略図である。
【0042】
図8】本願の実施形態によるチャネル競合方法の概略図である。
【0043】
図9】本願の実施形態によるチャネル競合方法の時系列の概略図である。
【0044】
図10】本願の実施形態によるチャネル競合方法の別の時系列の概略図である。
【0045】
図11】本願の実施形態による別のチャネル競合方法の概略図である。
【0046】
図12】本願の実施形態によるチャネル競合方法の別の時系列の概略図である。
【0047】
図13】本願の実施形態によるチャネル競合方法の別の時系列の概略図である。
【0048】
図14】本願の実施形態による通信機器の構造の概略図である。
【0049】
図15】本願の実施形態による通信機器の別の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下は、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的ソリューションを説明する。
【0051】
本出願の実施例における技術的ソリューションを理解しやすくするため、以下は、本出願の実施形態における幾つかの名詞(又は用語)の意味を簡単に説明する。
【0052】
1.送信機会(transmission opportunity, TXOP)
【0053】
TXOP継続時間とは、送信機会を得た後、局(ここでは、局はアクセスポイント又は非アクセスポイント局を表すことがある)が干渉せずにデータ送信を行う時間の期間である。TXOPを得る局は、TXOPホルダー(TXOP holder)と呼ばれることがある。TXOP継続時間には、TXOPホルダーが1つ以上のデータと、対応する即時応答フレーム(ここでいう即時応答フレームとは、ACKフレーム、ブロックACKなどを表すことがある)とを送信するために必要な継続時間が含まれる。国や地域の法令により、TXOP継続時間は上限を超えることはできない。上限はTXOP limit(TXOP限度)と呼ばれる。TXOP限度の値は国及び/又は地域の法令に従う。
【0054】
任意で、APはビーコン(beacon)フレーム又はプローブ応答(probe response)フレームを使用してTXOP限度の値をブロードキャストすることができる。
【0055】
任意で、TXOP限度は、競合によって送信機会が得られるアクセスカテゴリ(access category, AC、又はアクセスタイプと呼ばれる)に更に関連している。具体的には、表1に、4つの異なるアクセスカテゴリに対応するTXOP限度の値を示す。ここで、AC_VOはアクセスカテゴリ(又はaccess category)が音声(voice)ストリームであることを示し、AC_VIはアクセスカテゴリがビデオ(video)ストリームであることを示し、AC_BEはアクセスカテゴリがベストエフォート(best effort)ストリームであることを示し、AC_BKはアクセスカテゴリがバックグラウンド(background)ストリームであることを示す。
表1:異なるアクセスカテゴリに対応するTXOP limit
【表1】
【0056】
任意で、音声ストリームの優先度、ビデオストリームの優先度、ベストエフォートストリームの優先度、及びバックグラウンドストリームの優先度が順番に減少する。つまり、優先順位は高い順にAC_VO、AC_VI、AC_BE、AC_BKとなる。優先順位が高いほど、チャネルプリエンプション機能が高いことを示していると理解できる。
【0057】
本願の実施形態で言及されている「データ送信」及び「送信データ」は、一般的に通信を表すと理解できる。「データ」は、一般的には通信情報を表し、データ情報に限定されず、シグナリング情報などであってもよい。
【0058】
2.ネットワーク割り当てベクトル(network allocation vector, NAV)
【0059】
仮想キャリア検知(virtual carrier sense)はキャリア検知の一種である。チャネルの状態は、実際に物理チャネルを検出するのではなく、制御情報を通じて学習される。具体的には、仮想キャリア検知は、媒体アクセス制御(medium access control, MAC)フレームで伝送される関連情報に基づいて論理的予測を実施する。つまり、各フレームは送信局の次のフレームの継続時間(duration)情報を伝送し、送信局に関連する各局は、継続時間情報に基づいてチャネル占有率を予測する。局が継続時間情報を監視しない場合、例えば、キャリアが感知されたときに、フレームの継続時間フィールドが送信されている場合、局は物理層の検出にのみ依存する可能性がある。
【0060】
仮想キャリア検知は、ネットワーク割り当てベクトルNAVを使用して実装できる。NAVは、基本的にカウントダウンタイマであり、時間の経過とともに徐々に減少する。NAVが0までカウントダウンされると、媒体はアイドル状態と見なされる。そのため、NAVのタイミング値は、適切な時に適切な値で仮想キャリア検知によって設定され更新される。具体的には、局がフレームを受信した後、フレームの受信者アドレスが局でない場合、局は受信したフレームの継続時間(duration)フィールドに基づいてNAVを更新できる。フレームの受信者アドレスが局である場合、局が受信局であり、NAVを更新できない可能性があることを示す。
【0061】
任意で、NAVが更新される前に、現在のフレームのdurationフィールドの値が局の現在のNAV値よりも大きいかどうかを更に決定できる。値が現在のNAV値よりも大きい場合、NAVが更新される。反対に、値が現在のNAV値以下である場合、NAVが更新されない。NAV値は、受信したフレームの終了時点から始まる。
【0062】
durationフィールドは、別の非受信局がチャネルにアクセスしてデータを送信するのを防ぐために、チャネルが占有されている継続時間を別の非受信局に通知するために使用できることが理解できる。
【0063】
任意で、TXOPを取得した後、送信局は、TXOP継続時間がTXOP limitを超えないように、durationフィールドの値を設定できる。
【0064】
図2Aは、本願の実施形態によるNAVの設定の概略図である。図2Aに示すように、送信局は、TXOPを取得した後、TXOP durationがTXOP limitを超えないように、第1送信フレーム(例えば、図2Aの送信要求(request to send, RTS)フレーム)にdurationフィールドの値を設定する。そして、後続フレームにdurationフィールドの値を設定し、後続フレームのdurationフィールドに対応する終了時点が、前フレームのdurationフィールドに対応する終了時点と同じになるようにする。なお、RTSフレームにはdurationフィールドが含まれ、集約媒体アクセス制御プロトコルデータユニット(Aggregate Medium Access Control Protocol Data Unit, A-MPDU)1にはdurationフィールドが含まれ、A-MPDU2にもdurationフィールドが含まれる。RTSフレームの場合、RTSフレームのdurationフィールドの数値はA-MPDU1のdurationフィールドの数値より大きく、A-MPDU1のdurationフィールドの数値はA-MPDU2のdurationフィールドの数値より大きい。ただし、図2Aに示すように、RTSフレームに対応するNAV、A-MPDU1に対応するNAV、A-MPDU2に対応するNAVは、同じ終了時点を持つことが分かる。つまり、非受信局がRTSフレームに含まれるdurationフィールド、A-MPDU1に含まれるdurationフィールド、及びA-MPDU2に含まれるdurationフィールドに基づいてNAVを個別に更新した後、RTSフレームに対応するNAV、A-MPDU1に対応するNAV、及びA-MPDU2に対応するNAVは、同じ終了時点を持つことになる。図2Aでは、RTSフレームに含まれるdurationフィールドの値は、TXOP継続時間と同じであってもよいことが理解できる。
【0065】
図2Bは、本願の実施形態によるNAVの設定の別の概略図である。図2Bに示すように、送信局がTXOPを取得した後、第1送信フレーム(例えば、図2BのRTSフレーム)に設定されたdurationフィールドの値がTXOP limitよりも小さい場合、又は最初に設定されたTXOP継続時間がTXOP limitよりも小さい場合、durationフィールドの値を後続のフレームに設定することができ、現在のTXOP継続時間は前のTXOP継続時間の終了時点を超えるようになる。ただし、最初に設定されたTXOP継続時間から開始して、合計TXOP継続時間はTXOP limitを超えることはできない。なお、RTSフレームにはdurationフィールドが含まれ、A-MPDU1にはdurationフィールドが含まれる。図2Bに示すように、RTSフレームに対応するNAVの終了時点1は、A-MPDU1に対応するNAVの終了時点2よりも早いことが分かる。つまり、非受信局がRTSフレームに含まれるdurationフィールド及びA-MPDU1に含まれるdurationフィールドに基づいてNAVを個別に更新した後、RTSフレームに対応するNAVの終了時点1は、A-MPDU1に対応するNAVの終了時点2より早くなる。また、RTSフレームに対応するNAVの終了時点1とA-MPDU1に対応するNAVの終了時点2は、いずれもTXOP limitよりも早くなる。これは、RTSフレームの送信時点の後に送信されるフレームに対応するNAVの終了時点も、TXOP limitよりも早くなることを示している。つまり、最初に設定されたTXOP継続時間から開始して、合計TXOP継続時間はTXOP limitを超えることはできない。非受信局は、受信した各フレームに基づいてNAVを更新することが分かる。
【0066】
前述の内容は、本願の実施形態における幾つかの名詞(又は用語)の意味を簡単に説明した。本願の実施形態で提供されるチャネル競合方法をよりよく理解するために、以下は、本願の実施形態で提供されるチャネル競合方法のシステムアーキテクチャ及び/又は適用シナリオについて説明する。本願の実施形態で説明されるシナリオは、本願の実施形態における技術的ソリューションをより明確に説明することを意図しており、本願の実施形態で提供される技術的ソリューションに対する限定を構成しないことが理解できる。
【0067】
本願の実施形態における技術的ソリューション方法は、無線通信システムに適用されてよい。無線通信システムは、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network, WLAN)又はセルラネットワークであってよい。本願の実施形態における方法は、無線通信システム内の通信装置又は通信装置内のチップ又はプロセッサによって実装されて本願の実施形態におけるよい。通信装置は、STRをサポートしない無線通信装置であってもよい。例えば、通信装置は、マルチリンク装置(Multi-link device)又はマルチ帯域装置(Multi-band device)と呼ばれることがある。シングルリンク送信のみをサポートする通信装置と比較して、マルチリンク装置は送信効率が高く、スループットが高い。
【0068】
マルチリンク装置は、1つ以上の従属局(affiliated STA)を含む。従属局は論理局であり、1つのリンクで動作する場合がある。従属局は、アクセスポイント(Access Point, AP)又は非アクセスポイント局(non-Access Point Station, non-AP STA)であってよい。説明を容易にするために、本願では、APを従属局とするマルチリンク装置を、マルチリンクAP、マルチリンクAP装置、又はAPマルチリンク装置(AP multi-link device, AP MLD)と呼ぶことがある。Non-AP STAを従属局とするマルチリンク装置を、マルチリンクSTA、マルチリンクSTA装置、又はSTAマルチリンク装置(STA multi-link device, STA MLD)と呼ぶことがある。説明を容易にするため、本願の実施形態では、「マルチリンク装置は、従属局を含む」は、「マルチリンク装置は、局を含む」とも簡単に記載される。
【0069】
任意で、マルチリンク装置は、複数の論理局を含む。各論理局は1つのリンクで動作するが、複数の論理局が同じリンクで動作することが許可されている。後述のリンク識別子は、1つのリンクで動作する1つの局を表す。つまり、1つのリンクに複数の局がある場合、複数のリンク識別子が複数の局を表す必要がある。以下で言及されるリンクは、時に、そのリンク上で動作する局も表す。
【0070】
データ送信中、APマルチリンク装置とSTAマルチリンク装置は、リンク識別子を使用して、1つのリンク又は1つのリンク上の局を識別する場合がある。通信の前に、APマルチリンク装置とSTAマルチリンク装置は、リンク識別子と1つのリンク又は1つのリンク上の局との間の対応について、相互に交渉又は通信する場合がある。そのため、データ送信中に、リンク識別子は、リンク又はリンク上の局を示す大量のシグナリング情報を送信せずに運ばれる。これにより、シグナリングオーバヘッドが削減され、送信効率が向上する。
【0071】
例では、APマルチリンク装置が基本サービスセット(basic service set, BSS)を確立するとき、送信される管理フレーム(例えばbeaconフレーム)は、複数のリンク識別子情報フィールドを含む要素を伝送する。各リンク識別子情報フィールドは、リンク識別子とリンク上で動作する局との対応を示すことができる。各リンク識別子情報フィールドにはリンク識別子が含まれ、更にMACアドレス、動作セット、及びチャネル番号のうちの1つ以上が含まれ、MACアドレス、動作セット、及びチャネル番号のうちの1つ以上がリンクを示すことができる。別の例として、マルチリンク関連付け処理において、APマルチリンク装置とSTAマルチリンク装置は、複数のリンク識別子情報フィールドについて交渉する。その後の通信では、APマルチリンク装置又はSTAマルチリンク装置は、リンク識別子を使用してマルチリンク装置内の局を識別し又は表す。リンク識別子は、局のMACアドレス、動作セット、及びチャネル番号のうちの1つ以上の属性を更に表すことができる。MACアドレスは、代替として、関連付けられたAPマルチリンク装置の関連付け識別子(association identifier, AID)であってよい。
【0072】
1つのリンク上で複数の局が動作している場合、リンク識別子(これは数値IDである)は、動作セットとリンクのチャネル番号を含み、更にリンク上で動作している局の識別子、例えば、局のMACアドレス又は関連付け識別子AIDを含む。
【0073】
マルチリンク装置は、IEEE802.11シリーズプロトコルに準拠する無線通信を実装することができる。例えば、マルチリンク装置は、超高スループットに準拠した局であってよく、又はIEEE802.11beに基づいた又はIEEE802.11beと互換性のある局であってよく、別の装置との通信を実施する。
【0074】
本願の実施形態で提供されるチャネル競合方法は、1つのノードが1つ以上のノードとデータ送信を行うシナリオに適用される場合があり、又はシングルユーザのアップリンク/ダウンリンクデータ送信シナリオやマルチユーザのアップリンク/ダウンリンクデータ送信シナリオに適用される場合があり、又は装置間(device to device, D2D)データ送信シナリオに適用される場合もある。
【0075】
前述のノードのいずれか1つがAPマルチリンク装置であってよく、又はマルチリンクNon-AP装置であってよい。例えば、シナリオは、APマルチリンク装置が1つ以上のNon-APマルチリンク装置とデータ送信を実行するシナリオ、又は、Non-APマルチリンク装置が1つ以上のAPマルチリンク装置とデータ送信を実行するシナリオ、又は、Non-APマルチリンク装置がNon-APマルチリンク装置とデータ送信を実行するシナリオ、又は、APマルチリンク装置がAPマルチリンク装置とデータ送信を実行するシナリオ、であってよい。これは、本願の本実施形態において限定されない。更に、本願の実施形態で提供されるチャネル競合方法は、シングルリンクでのみ送信をサポートするレガシー局に更に適用される場合がある。これは、ここでは限定されない。
【0076】
図3は、本願の実施形態による無線通信システムのアーキテクチャの概略図である。図3は、例として無線ローカルエリアネットワークを使用している。無線通信システムは、1つのAPマルチリンク装置100と1つ以上のNon-APマルチリンク装置(例えば、図3のNon-APマルチリンク装置200、Non-APマルチリンク装置300、及びNon-APマルチリンク装置400)を含む。APマルチリンク装置は、Non-APマルチリンク装置にサービスを提供するマルチリンク装置であり、Non-APマルチリンク装置は、スループットを向上させるために、複数のリンクでAPマルチリンク装置と通信することができる。図3のAPマルチリンク装置の数とNon-APマルチリンク装置の数は、単なる例である。
【0077】
例えば、マルチリンク装置(例えば、図3のAPマルチリンク装置100、Non-APマルチリンク装置200、Non-APマルチリンク装置300、又はNon-APマルチリンク装置400のうちの任意のマルチリンク装置)は、無線通信機能を有する装置である。機器は装置全体であってもよいし、装置全体の中に搭載されたチップ、処理システム、などであってもよい。チップ又は処理システムが搭載された装置は、チップ又は処理システムの制御下で、本願の本実施形態における方法及び機能を実装してもよい。例えば、本願の実施形態におけるNon-APマルチリンク装置は、無線トランシーバ機能を持ち、802.11シリーズプロトコルをサポートしてよく、APマルチリンク装置又は別のAPマルチリンク装置と通信することができる。例えば、Non-APマルチリンク装置は、ユーザがAPと通信し、更にWLANと通信できる任意のユーザ通信装置である。例えば、Non-APマルチリンク装置は、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートコンピュータ、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ(Ultra-mobile Personal Computer, UMPC)、ハンドヘルドコンピュータ、ネットブック、パーソナルデジタルアシスタント(Personal Digital Assistant, PDA)、携帯電話などのネットワークに接続できるユーザ機器であったり、モノのインターネットにおけるモノのインターネットノードであったり、車両のインターネットにおける車載通信機器であったりする。Non-APマルチリンク装置は、代替として、上記の端末内のチップ及び処理システムでもよい。本願の実施形態におけるAPマルチリンク装置は、Non-APマルチリンク装置にサービスを提供する機器であり、802.11シリーズプロトコルをサポートする場合がある。例えば、APマルチリンク装置は、通信サーバ、ルータ、スイッチ、ブリッジなどの通信エンティティであってもよく、又は、APマルチリンク装置は、マクロ基地局、マイクロ基地局、中継局などの様々な形態を含んでもよい。勿論、APマルチリンク装置は、代替として、本願の実施形態における方法及び機能を実装するために、様々な形態の装置におけるチップと処理システムであってよい。
【0078】
マルチリンク装置は、高速で低遅延の送信をサポートする場合があることが理解できる。無線ローカルエリアネットワークの適用シナリオの継続的な進化に伴い、マルチリンク装置は更に多くのシナリオに適用される可能性があり、例えば、スマートシティにおけるセンサノード(例えば、スマートメーター、スマート電気メーター、スマート空気検知ノード)、スマートホームにおけるスマート装置(例えば、スマートカメラ、プロジェクター、ディスプレイ、テレビ、ステレオ、冷蔵庫、洗濯機)、モノのインターネットにおけるノード、娯楽端末(例えば、AR及びVRなどのウェアラブル装置)、スマートオフィスにおけるスマート装置(プリンター及びプロジェクターなど)、車両のインターネットにおける車両のインターネット装置、日常生活シナリオにおける幾つかのインフラストラクチャ(例えば、自動販売機、スーパーマーケットのセルフサービスナビゲーション局、セルフサービス会計レジ装置、セルフサービスの注文機など)がある。Non-APマルチリンク装置及びAPマルチリンク装置の特定の形式は、本願の実施形態では制限されず、ここでは単なる例として説明される。802.11プロトコルは、802.11beをサポートする又は802.11beと互換性があるプロトコルであってよい。
【0079】
任意で、図4は、本願の実施形態によるマルチリンク装置の構造の概略図である。IEEE802.11規格は、マルチリンク装置内の802.11物理層(physical layer, PHY)部分と媒体アクセス制御(media access control, MAC)層部分に焦点を当てている。図4に示すように、マルチリンク装置に含まれる複数のNon-AP STAは、下位MAC(Low MAC)層とPHY層で互いに独立しており、上位MAC(High MAC)層でも互いに独立している。図5は、本願の実施形態によるマルチリンク装置の別の構造の概略図である。図5に示すように、マルチリンク装置に含まれる複数のNon-APは、下位MAC(Low MAC)層とPHY層で互いに独立しており、上位MAC(High MAC)層を共有している。勿論、マルチリンク通信処理では、Non-APマルチリンク装置は、上位MAC層が互いに独立した構造を使用してよく、APマルチリンク装置は、上位MAC層が共有される構造を使用する。代替として、Non-APマルチリンク装置は上位MAC層を共有する構造を使用してよく、APマルチリンク装置は上位MAC層が互いに独立した構造を使用する。代替として、Non-APマルチリンク装置とAPマルチリンク装置の両方が上位MAC層を共有する構造を使用することがある。代替として、Non-APマルチリンク装置とAPマルチリンク装置の両方が上位MAC層が互いに独立した構造を使用することがある。マルチリンク装置の内部構造の概略図は、本願の実施形態では制限されない。図4及び図5は、説明のための単なる例である。例えば、上位MAC層又は下位MAC層は、マルチリンク装置のチップシステム内の1つのプロセッサによって実装される場合もあれば、チップシステム内の異なる処理モジュールによって実装される場合もある。
【0080】
例えば、本願の実施形態におけるマルチリンク装置は、単一アンテナ装置であってもよいし、マルチアンテナ装置であってもよい。例えば、マルチリンク装置は、2つ以上のアンテナを持つ装置である場合がある。マルチリンク装置に含まれるアンテナの数は、本願の実施形態では制限されない。本願の実施形態では、マルチリンク装置は、同じアクセスカテゴリのサービスを異なるリンクで送信することを可能にしたり、同じデータパケットを異なるリンクで送信することも可能にできる。代替として、マルチリンク装置は、同じアクセスカテゴリのサービスを異なるリンクで送信することを許可しないが、異なるアクセスカテゴリのサービスを異なるリンクで送信することを許可してよい。
【0081】
マルチリンク装置が動作する周波数帯域には、サブ1GHz、2.4GHz、5GHz、6GHz、及び高周波60GHzのうちの1つ以上の周波数帯域が含まれる。
【0082】
任意で、図6は、本願の実施形態による競合チャネルの概略図である。図6に示すように、AP MLDにはAP1とAP2が含まれていることがわかる。AP MLDにはAP3は含まれていない。AP3は単一の装置であってよく、又は別のAP MLDに従属してもよい。AP1はリンク1(link1)で動作し、AP2はリンク2(link2)で動作する。Non-AP MLDには、Non-AP STA1とNon-AP STA2が含まれる。Non-AP MLDにはNon-AP3は含まれていない。Non-AP3は単一の装置であってよく、又は別のNon-AP MLDに従属してもよい。Non-AP STA1はリンク1(link1)で動作し、Non-AP STA2及びNon-AP STA3はリンク2(link2)で動作する。Non-AP STA1は、リンク1でAP1に送信要求(Request To Send, RTS)フレームを送信する。リンク1で送信要求フレームを受信した後に、AP1は、リンク1でNon-AP STA1に対して送信可(Clear To Send, CTS)フレームで応答してよい。リンク1で送信可フレームを受信した後に、Non-AP STA1は、リンク1でAP1にデータ(data)フレームを送信してよい。リンク1でデータフレームを受信した後に、AP1は、リンク1でNon-AP STA1に対してブロックACK(block ACK)を送信してよい。
【0083】
なお、リンク1とリンク2の周波数帯域間の周波数間隔は小さいため、リンク1上でデータを送信する場合、チャネル干渉がリンク2上のCCAに影響を与える可能性がある。この場合、リンク2のチャネル情報を受信できないことがある。つまり、リンク2はブラインド期間(blindness period又はdeaf period)にある。ブラインド期間とは、チャネル上の情報を監視できないことを意味する。また、リンク1でデータを送信する場合、Non-AP STA2がリンク2でフレーム送信要求を送信しても、チャネル干渉によりフレーム送信要求を受信できないことがある。その結果、Non-AP STA2は、ネットワーク割り当てベクトル(network allocation vector, NAV)の更新を見逃す可能性がある。
【0084】
また、図6に示すように、リンク1でのデータ送信が完了した後、Non-AP STA3がチャネルの競合を開始することが分かる。更に、Non-AP STA3はリンク2でフレーム送信要求を送信し、Non-AP STA3もリンク2でフレーム送信可を受信する。その後、Non-AP STA3はリンク2でAP2にデータフレームを送信できる。このとき、リンク2上でフレーム送信要求が送信されている。つまり、Non-AP STA3がリンク2でAP2に送信したデータフレームは、リンク2上のフレーム送信要求と衝突する。したがって、この場合の衝突問題はブラインド問題である。
【0085】
前述の問題を解決するために、データ送信が完了した後、非STR MLDが別のリンクに中同期遅延(medium sync delay)タイマを設定し、決定されるべき(to be decided, TBD)エネルギ検出(energy detection, ED)閾値に基づいてタイマ内の別のリンクでCCAを実行できることが、規格802.11-20/1009r1で提案されている。別のリンクの1つのリンクでCCA検出が失敗した場合、そのリンクで重複する基本サービスセット(overlapping basic service set, OBSS)フレームが送信されていることを意味する。OBSSフレームの伝送が終了すると、非STR MLDはチャネルの競合を開始し、拡張分散チャネルアクセス(enhanced distributed channel access, EDCA)を開始する。つまり、OBSSフレームの送信が終了すると、リンク上でフレーム送信要求が送信される。ただし、リンク上のOBSSフレームに対応する送信機会(transmission opportunity, TXOP)は終了しない場合がある。つまり、OBSSフレームに対応するブロックACKがリンク上で送信されている。そのため、リンク上のOBSSフレームに対応するブロックACKは、リンク上のフレーム送信要求と衝突する。
【0086】
図7は、本願の実施形態による別の競合チャネルの概略図である。図7に示すように、STRAP MLDにはAP1とAP2が含まれる。STR AP MLDにはAP3は含まれていない。AP3は単一の装置であってよく、又は別のAP MLDに従属してもよい。AP1はリンク1(link1)で動作し、AP2とAP3はリンク2(link2)で動作する。Non-STR Non-AP MLDには、Non-AP STA1とNon-AP STA2が含まれる。Non-STR Non-AP MLDにはNon-AP3は含まれていない。Non-AP3は単一の装置であってよく、又は別のNon-AP MLDに従属してもよい。Non-AP STA1はリンク1(link1)で動作し、Non-AP STA2及びNon-AP STA3はリンク2(link2)で動作する。
【0087】
Non-AP STA1がリンク1でAP1にアップリンクPPDUを送信する場合、リンク1とリンク2の周波数帯域間の周波数間隔が小さいため、リンク2はブラインド期間(図7のNon-AP STA2のブラインド期間を参照)にある。リンク1上のデータ送信が完了すると、Non-AP STA2は中同期遅延(medium sync delay)タイマを開始する。つまり、リンク1上のアップリンクPPDUの終了時点は、中同期遅延の開始時点と揃う/同じである。中同期遅延内で、Non-AP STA2は、例えば、-82dbmから-62dbmであるTBD(To be decided)エネルギ検出(energy detection, ED)閾値に基づいて、リンク2上でCCA検出を実行する。この場合、リンク2上でダウンリンクPPDUが送信されている場合、つまり、リンク2上のダウンリンクPPDUの開始時点が、リンク2上でCCA検出が実行される時点よりも早く、リンク2上のダウンリンクPPDUの終了時点が、CCA検出が成功する時点と揃う/同じである場合、Non-AP STA2は、リンク2がビジー状態であると決定する。図7に示すように、Non-AP STA2がリンク2がビジー状態であると決定したということは、Non-AP STA2が、ダウンリンクPPDUの終了時点(TAはAP3を示し、RAはNon-AP STA3を示す)の前に、リンク2が「CCAビジー」であるとみなしたことを意味する。ダウンリンクPPDUの終了時点は、「CCA検出成功」の開始時点でもあり、「CCA検出成功」は、Non-AP STA2が、リンク2がビジー状態ではなくなったと決定又は検出したことを意味する。この場合、Non-AP STA2はバックオフを開始する。つまり、リンク2でのダウンリンクPPDUの送信が完了すると、Non-AP STA2はリンク2でEDCAを開始する。図7に示すように、リンク2上のNon-AP STA2 backoffの開始時点は、ダウンリンクPPDUの送信が完了する時点であり、図9のNon-AP STA2 backoffの開始時点とは異なる。より厳しいED閾値を使用することもできることに注意する必要がある。その結果、Non-AP STA2は、リンク2がビジー状態であると決定する。当業者は、CCAビジーとは、検出された信号がED閾値を超えていることを意味し、CCAアイドルとは、検出された信号がED閾値を超えていないことを意味することを知っている。Non-AP STA2は、パケットヘッダを見逃す可能性がある。その結果、NAVを更新できなくなる。そのため、更新されたNAVが終了した後、Non-AP STA2はリンク2でEDCAを開始できない。図7に示すように、図7に示すNon-AP STA2では、リンク2のダウンリンクPPDU(TAはAP3を示し、RAはNon-AP STA3を示す)の開始時点はブラインド状態にある。この場合、Non-AP STA2はDL PPDUを検出又は受信できない。
【0088】
更に、Non-AP STA2は、リンク2上のAP2にフレーム送信要求を送信する場合がある。フレーム送信要求については、図7のRTSを参照のこと(TAはNon-AP STA2を示し、RAはAP2を示す)。ただし、リンク2上のダウンリンクPPDUに対応する送信機会(transmission opportunity, TXOP)は終了しない場合がある。つまり、リンク2でダウンリンクPPDUに対応するブロックACKが送信されている(ブロックACKがNon-STR Non-AP MLDによって検知されない可能性があり、その結果、NAVを更新できない)。ブロックACKについては、図7のBAを参照のこと(TAはNon-AP STA3を示し、RAはAP3を示す)。図7に示すように、リンク2上のダウンリンクPPDUに対応するブロックACKの開始時点は、リンク2上のAP2に送信されたフレーム送信要求の開始時点と揃う/同じであることが分かる。つまり、リンク2上のダウンリンクPPDUに対応するブロックACKは、リンク2上のAP2に送信されたフレーム送信要求と衝突する。図7に示すように、前述の「衝突」とは、具体的には、リンク2上のダウンリンクPPDUに対応するブロックACKの開始時点と、リンク2上のAP2に送信されたフレーム送信要求の継続時間が少なくとも重複することを意味する。
【0089】
当業者は、Non-AP STA2が「パケットヘッダを見逃す」とは、Non-AP STA2がPPDUのパケットヘッダを検出又は受信しないことを意味することを理解できる。当業者は、PPDUのパケットヘッダがプリアンブル(preamble)であり、L-LTF、L-STF、L-SIGなどの少なくともフィールドを含むことを知っている。PPDUのヘッダが検出されないことは、Non-AP STA2がPPDUが開始しない(no start of a PPDU)と見なすことと同等である。
【0090】
したがって、本願では、チャネル競合中のフレーム間の衝突と干渉を回避するために、チャネル競合方法を提案し、チャネル競合中のフレーム間の衝突と干渉を軽減する非同時送受信マルチリンク装置をサポートする。これにより、通信効率が向上する。
【0091】
以下は、本願の本実施形態で提供されるチャネル競合方法を、図8図13を参照して詳細に説明する。本願の実施形態では、第1マルチリンク装置を使用して方法を説明する。
【0092】
幾つかの実現可能な実装では、本願の本実施形態における第1マルチリンク装置及び第2マルチリンク装置のうちの1つ以上は、複数のリンクでの同時送受信(simultaneous transmit and receive (STR))をサポートしていない。本願で説明されている「STRをサポートする」とは、マルチリンク装置がSTR機能を持ち、この通信でSTR機能を使用することを意味する場合があること、及び「STRをサポートしない」とは、マルチリンク装置がSTR機能を持たない場合がある、又はマルチリンク装置がSTR機能を持つが、この通信でSTR機能を使用しないことを意味する場合があることが理解できる。更に、場合によっては、マルチリンク装置がSTRと非STRの間の切り換え、すなわち、STRをサポートすることからSTRをサポートしないことへの切り換え、又はSTRをサポートしないことからSTRをサポートすることへの切り換えを実装している場合もあることが理解できる。以下では、第1マルチリンク装置がSTRをサポートせず、第2マルチリンク装置がSTRをサポートする例を用いて、本願のこの実施形態で提供されるチャネル競合方法について説明する。
【0093】
任意で、本願のこの実施形態で言及されている第1マルチリンク装置は、図3のNon-APマルチリンク装置200であってもよく、第2マルチリンク装置は、図3のAPマルチリンク装置100であってもよい。説明を簡単にするために、以下では、Non-APマルチリンク装置200が2つのNon-AP STAを含む例について説明すると理解してよい。本願のこの実施形態で言及されている第1非アクセスポイント局は、Non-APマルチリンク装置200内の任意のSTAであってもよく、第2非アクセスポイント局は、Non-APマルチリンク装置200内の別のSTAである。本願のこの実施形態で言及されている第1アクセスポイントは、APマルチリンク装置100内の任意のAPである。本願のこの実施形態では、2つのリンクが説明のための例として使用される。実際の適用中には、複数(2つ以上)のリンクが存在する場合がある。複数のリンクの実装については、本願の本実施形態で提供されている2つのリンクの実装を参照のこと。詳細はここで再び記載されない。
【0094】
図8は、本願の実施形態によるチャネル競合方法の概略図である。図8に示すように、本願の本実施形態で提供されるチャネル競合方法は、限定ではないが以下のステップを含む:
【0095】
801:第1リンクでのデータ送信が完了した後、又は第1リンクでデータに対応するブロックACKを受信した後、第1マルチリンク装置の第1非アクセスポイント局は、第1期間に第2リンクでクリアチャネル評価CCA検出を実行する。
【0096】
第1リンクで送信されるデータは、データフレーム又は管理フレームなどの無線フレームであってよい。これは、ここでは限定されない。
【0097】
第1期間に対応する開始時点は、第1リンク上のデータ送信が完了する時点と揃う/同じである。
【0098】
また、第1リンク上のデータ送信が完了した後、第1非アクセスポイント局は、第1期間に第2リンク上でCCA検出を実行する。第1期間に対応する開始時点は、第1リンクでデータに対応するブロックACKを受信する時点よりも早い。
【0099】
本願のこの実施形態における「揃う」は、時間同期を意味する場合があると理解できる。例えば、送信開始時点が揃えられている(すなわち、同じである)及び/又は送信終了時点が揃えられている(すなわち、同じである)。また、本願の実施形態における「揃う」、「同期」、「同時」、及び「同一時点」は、厳密な意味で完全に同じという意味ではない。実際の実装では、異なるPPDU送信パラメータ、異なるアクセス時間、及び2つのリンク上のトランシーバ処理能力などの要因により、ここでの「揃う」、「同期」、「同時」は、例えば短いフレーム間隔(short inter-frame space SIFS)時間を超えない小さなオフセットを許容する。
【0100】
なお、第1期間は、カウントダウンタイマに対応する期間である。第1リンクのデータ送信が完了すると、第1非アクセスポイント局がカウントダウンタイマを開始する。例えば、図9に示すように、リンク1のUL PPDUの送信が終了すると、「第1期間」が開始される。
【0101】
任意で、第1期間に対応する開始時点を中同期遅延タイマ(Medium Sync Delay タイマについては、802.11-20/1009r1の媒体同期遅延タイマに関する説明を参照のこと)に対応する開始時点とすることができ、第1期間に対応する終了時点を中同期遅延タイマに対応する終了時点とすることができる。つまり、第1リンクのデータ送信が完了した時点に基づいて、第1非アクセスポイント局が中同期遅延タイマを開始すると理解できる。
【0102】
また、代替として、第1期間に対応する開始時点は、第2マルチリンク装置又は第2マルチリンク装置の第1アクセスポイントによって設定することもできる。例えば、第1リンクと第2リンクに対して、第2マルチリンク装置は、第1期間に対応する同じ開始時点又は異なる開始時点を設定することができる。更に、第1アクセスポイントは第2リンクで動作する。
【0103】
802:第2リンクでCCA検出が失敗すると、第1非アクセスポイント局は、第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を実行する。
【0104】
第2期間の開始時点は、CCAの終了時点と揃う/同じになる。CCA検出の開始時点は、第1リンクのデータ送信が完了した時点と揃う/同じになる。又は、CCA検出の開始時点は、第1リンクでデータに対応するブロックACKを受信した時点と揃う/同じになる。なお、第2期間の開始時点の前の時点で、第1非アクセスポイント局が第2リンクでCCA検出を実行すると、CCA検出は失敗する。又は、第2期間の開始時点の後の時点で、第1非アクセスポイント局が第2リンクでCCA検出を実行すると、CCA検出は成功する。第1非アクセスポイント局は、例えば、図9のNon-AP STA2である。CCA検出が失敗したことは、図9のリンク2のCCA Busy状態を示し、CCA Busy状態は図9の「第2期間」まで続く。CCA検出が成功したことは、図9のリンク2のCCA Busyが終了した後の状態を示す。この場合、状態は非CCA Busy、つまりCCA Idleとして理解できる。「第2期間」は、CCA BusyからCCA Idleへの切り換えから始まる。
【0105】
第2期間は、拡張フレーム間隔EIFS時間であると理解できる。EIFS時間は、aSIFSTime+AckTxTime+aSIFSTimeとすることができる。ここで、aSIFSTimeは短フレーム間隔SIFS時間を示し、AckTxTimeは確認応答(ACK)フレームの送信時間を示す。
【0106】
また、第2期間の最小値は、aSIFSTime+AckTxTime+aSIFSTimeでもよい。
【0107】
第2リンクでCCA検出が成功すると、802.11-20/1009r1に従って第2リンクでチャネル競合が実行できることが理解できる。ここで「802.11-20/1009r1に従う」ソリューションは、図7で前述したソリューションを表す。図7のソリューションは、図9のソリューションと異なる。図9に示すソリューションでは、チャネル競合、すなわち図9に示すNon-AP STA2 backoffは、「第2期間」の後にのみ実行することができる。図9のソリューションに従って、衝突の可能性を減らすことができることは明らかである。
【0108】
本願では、第2リンクで実行中のチャネル競合に次のものが含まれる場合があることに注意する:第1非アクセスポイント局は、搬送波感知多元接続/衝突回避(carrier sense multiple access with collision avoidance, CSMA/CA)メカニズム又は拡張分散チャネルアクセス(enhanced distributed channel access, EDCA)メカニズムに従って、第2リンクでチャネル競合を実行する。これは、ここでは限定されない。
【0109】
アクセスポイントと非アクセスポイント局が互いに衝突することなく無線媒体(wireless medium)にアクセスできるようにするために、802.11ではCSMA/CAメカニズムが使用される。このメカニズムは、分散調整機能(distributed coordination function, DCF)とも呼ばれる。CSMA/CAメカニズムは、具体的には次のとおりである:データを送信する前に、非アクセスポイント局は無線媒体でクリアチャネル評価(clear channel assessment, CCA)を実行する必要がある。無線媒体がある期間(例えば、distributed inter-frame space (DIFS))アイドルである場合、非アクセスポイント局はランダムなバックオフ手順を開始することがある。無線媒体がある期間ビジー状態の場合、非アクセスポイント局は、無線媒体がアイドル状態に変わりある期間(例えばDIFS)アイドルのままになるまで待機してから、ランダムなバックオフ手順を開始する必要がある。ランダムなバックオフ手順が終了した後、非アクセスポイント局はフレーム交換を実行できる。ランダムバックオフ手順のバックオフ(backoff)時間(backoff time)は、ランダムバックオフ値とスロット(slot)時間の積に等しい。ランダムバックオフ値は、均等に分散された競合ウィンドウ[0、CW]からランダムに選択された値である。ランダムバックオフ手順におけるバックオフ時間は、チャネル競合におけるバックオフタイマの初期値に等しいと理解することができる。
【0110】
任意で、CSMA/CAメカニズムにおける競合ウィンドウ(contention window, CW)には複数の値がある。非アクセスポイント局が最初にチャネルの競合を試みるとき(Initial Attempt)、CWの値は最小値、すなわちCWminである。各送信が失敗したとき(例えば、衝突が発生する)、再送信(retransmission)を行う必要があり、再びチャネル競合が行われる。CWの値はCWの最大値、すなわちCWmaxに達するまで徐々に増加する。データの送信に成功又は送信が成功すると、CWの値はCWminにリセット(reset)される。
【0111】
EDCAメカニズムはDCFの拡張であり、異なるアクセスクラスのサービスが異なるEDCAパラメータセットを持つことを可能にする。EDCAパラメータセットには、CWmin、CWmax、及び調停フレーム間隔(Arbitration Inter-Frame Space, AIFS)などのパラメータが含まれる。異なるアクセスクラスのEDCAパラメータを表2に示す。AC_VOはアクセスクラスが音声(voice)ストリームであることを示し、AC_VIはアクセスクラスがビデオ(video)ストリームであることを示し、AC_BEはアクセスクラスがベストエフォート(best effort)ストリームであることを示し、AC_BKはアクセスクラスがバックグラウンド(background)ストリームであることを示す。
表2:異なるアクセスクラスのEDCAパラメータ
【表2】
【0112】
特定のアクセスクラスのサービスの場合、ランダムバックオフ手順は基本的にDCFのものと同じである。違いは、AIFSがDCFのDIFSを置き換えることである。つまり、チャネルがアイドルに戻ると、AIFSでチャネルがアイドルのままになった後でのみ、ランダムバックオフ手順を実行できる。AIFSは、短フレーム間空間(short inter-frame space, SIFS)と、調停フレーム間隔番号(AIFS number, AIFSN)とスロット時間(a Slot Time)の積との合計、つまりAIFS[AC]=aSIFStime+AIFSN[AC]*(a Slot Time)に等しい場合がある。AIFSとSIFSの両方の単位が時間単位であることが分かる。
【0113】
任意で、第1期間の第2リンクでクリアチャネル評価CCA検出を実行することは、以下を含む:
第1非アクセスポイント局が、調整されたCCA閾値を取得するためにCCA閾値を調整し、調整されたCCA閾値が未調整CCA閾値より小さく、
第1非アクセスポイント局が、調整されたCCA閾値に基づいて第1期間の第2リンクでCCA検出を実行する。
【0114】
CCA閾値にはエネルギ検出閾値又は中間エネルギ検出閾値が含まれる。
【0115】
この実装では、未調整のエネルギ検出閾値は-82dbmから-62dbmの範囲であることに注意する必要がある。未調整の中間エネルギ検出閾値は-72dbmの場合がある。更に、調整された中間エネルギ検出閾値は-72dbm未満の値の場合がある。例えば、調整された中間エネルギ検出閾値は-82dbmの場合がある。
【0116】
実装では、調整されたCCA閾値に基づいてリンクでCCA検出を実行する方法を拡張CCAと呼ぶことがある。具体的な名称はここで限定されない。また、本願では、CCAには拡張CCA又は拡張CCA以外のCCAも含まれる。例えば、拡張CCA以外のCCAは、未調整のエネルギ検出閾値又は未調整の中間エネルギ検出閾値に基づいてリンクでCCA検出を実行する方法である。第1非アクセスポイント局は、第1期間に第2リンクでCCA検出を実行する場合があるということは、以下を含むと理解できる:第1非アクセスポイント局は、第1期間の第2リンクで拡張CCA検出又は拡張CCA検出以外のCCA検出を実行する。第2リンクで拡張CCA検出、又は拡張CCA検出以外のCCA検出が失敗すると、第1非アクセスポイント局は、第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を実行してよい。
【0117】
当業者は、「CCA検出が失敗した」という前述の説明に次のものが含まれることを理解する:検出された信号の強度が前述のCCA閾値よりも大きい。この場合、状態はCCA Busyとして記録される。前述のCCA閾値は、例えばエネルギ検出(CCA-ED)閾値又は中間エネルギ検出(midamble-ED)閾値である。同様に、「CCA検出が成功する」ことは、検出された信号の強度が前述のCCA閾値より大きくないことを意味する。この場合、その状態はCCA Idleとして記録される。詳細については、IEEE Std802.11-2016、19.3.19.5.1CCA-Energy Detect(CCA-ED)の関連規則を参照のこと。
【0118】
CCA-EDは、受信信号強度が、プライマリ20MHzチャネルのdot11OFDMEDTThreshold及びセカンダリ20MHzチャネルのdot11OFDMEDTThreshold(存在する場合)によって与えられるCCA-ED閾値を超えた場合に、チャネルビジー状態を検出するものとする。CCA-EDを必要とする動作クラスのCCA-ED閾値は、D.2.5の基準に従う。(CCA-EDは、受信信号強度が、プライマリ20MHzチャネルのdot11OFDMEDThreshold及びセカンダリ20MHzチャネルのdot11OFDMEDThreshold(存在する場合)によって与えられるCCA-ED閾値を超えた場合に、チャネルビジー状態を検出するものとする。CCA-EDを必要とする動作クラスのCCA-ED閾値は、D.2.5の基準に従う。)
【0119】
任意で、第2期間に基づく第2リンクで実行中のチャネル競合には、次のものが含まれる:第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも早い場合、第1非アクセスポイント局は、第2期間に対応する終了時点の後に第2リンク上でチャネル競合を実行する。図9で説明したソリューションでは、第2リンクでCCA検出が失敗すると、第1非アクセスポイント局は、第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を実行する」という前述の説明は、以下を意味する:第1非アクセスポイント局(図9のNon-AP STA2)がCCA Busyから非CCA Busy(CCA Idle)に切り換えられたことを検出した後、第1非アクセスポイント局が第2期間の後にバックオフ(図9のNon-AP STA2 backoff)を実行し始める(図9の内容は、前述の「第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも早い」という記述に一致する)。これは、図7のソリューションと異なる。図7のソリューションでは、CCA Busyが非CCA Busy(CCA Idle)に切り替わったことを検出した後、第1非アクセスポイント局(図7のNon-AP STA2)がすぐにバックオフを開始する場合がある。第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも遅い場合、第1非アクセスポイント局は、第1期間に対応する終了時点の後に、又は第2期間に対応する終了時点の後に、第2リンク上でチャネル競合を実行する。図10で説明したソリューションでは、第2リンクでCCA検出が失敗すると、第1非アクセスポイント局は、第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を実行する」という前述の説明は、以下を意味する:第1非アクセスポイント局(図10のNon-AP STA2)がCCA Busyから非CCA Busy(CCA Idle)に切り換えられたことを検出した後、第1非アクセスポイント局(図10のNon-AP STA2)が2つの時点:第1期間の終了時点及び第2期間の終了時点のうちの一方においてのみ、バックオフ(図10のNon-AP STA2 backoff)を実行し始めることがある。これは、図7のソリューションと異なる。図7のソリューションでは、CCA Busyが非CCA Busy(CCA Idle)に切り替わったことを検出した後、第1非アクセスポイント局(図7のNon-AP STA2)がすぐにバックオフを開始する場合がある。
【0120】
なお、第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも早い場合、第1非アクセスポイント局は、第2期間に対応する終了時点においてバックオフを開始できる。第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも遅い場合、第1非アクセスポイント局は、第1期間に対応する終了時点でバックオフを開始してよく、又は第2期間に対応する終了時点でバックオフを開始してよい。
【0121】
図8は、本願のこの実施形態で提供されているチャネル競合方法の単なる手順であり、本願のチャネル競合方法は、別の手順で代替的に実装されてもよいことが理解できる。以下では、幾つかの具体例を参照して、本願のチャネル競合方法の時系列手順を簡単に説明する。以下の具体例は、理解を容易にするための単なる例である。実際の適用では、本願におけるチャネル競合方法の時系列手順は、以下の具体例の手順よりも長くなったり短くなったりすることがある。
【0122】
説明を容易にするため、以下の具体例では、第1マルチリンク装置(例えば、Non-AP MLD)にNon-AP STA1とNon-AP STA2が含まれているものとする。第1マルチリンク装置にはNon-AP3は含まれていない。Non-AP3は単一の装置であってよく、又は別のNon-AP MLDに従属してもよい。Non-AP STA1はリンク1(link1)で動作し、Non-AP STA2及びNon-AP STA3はリンク2(link2)で動作する。第2マルチリンク装置(例えば、AP MLD)は、AP1とAP2を含む。第2マルチリンク装置にはAP3は含まれていない。AP3は単一の装置であってよく、又は別のAP MLDに従属してもよい。AP1はリンク1で動作し、AP2とAP3はリンク2で動作する。第1マルチリンク装置はSTRをサポートせず、第2マルチリンク装置はSTRをサポートする。
【0123】
例では、図9は、本願の実施形態によるチャネル競合方法の時系列の概略図である。図9に示すように、Non-AP STA1はリンク1でAP1にアップリンクPPDUを送信する。リンク1とリンク2の周波数帯域間の周波数間隔は小さいため、リンク1上でデータを送信する場合、チャネル干渉がリンク2上のCCAに影響を与える可能性がある。そのため、リンク2のチャネル情報を監視できない。つまり、リンク2はブラインド期間にある。ブラインド期間は、図9に示すblindness for non-AP STA 2である。図9に示す実施形態では、リンク2上でNon-AP STA2がブラインド期間にある場合、AP3はリンク2でNon-AP STA3にDL PPDUを送信する。この場合、Non-AP STA2はDL PPDUの開始を検出できない。
【0124】
図9に示すように、リンク1上のアップリンクPPDUの送信時点は、リンク2のブラインド期間の開始時点と揃う/同じであり、リンク1上のアップリンクPPDUの終了時点は、リンク2のブラインド期間の終了時点と揃う/同じであることが分かる。したがって、リンク1上のアップリンクPPDUの送信が完了した後、AP1はリンク1上のNon-AP STA1にブロックACKを送信する場合がある。また、リンク1上のアップリンクPPDUの送信が完了した後、リンク2はブラインド期間ではない。つまり、リンク2のチャネル情報が監視できる。リンク1のアップリンクPPDUの送信が完了した後、Non-AP STA2は、第1期間に対応する開始時点に基づいてカウントダウンを開始することができることが理解できる。つまり、Non-AP STA2はカウントダウンタイマを開始する。カウントダウンタイマに対応する期間が第1期間である。第1期間では、Non-AP STA2がリンク2でCCA検出を実行する場合がある。
【0125】
更に、リンク2でCCA検出を実行すると、AP3がリンク2上のNon-AP STA3にダウンリンクPPDUを送信しているため、リンク2でのCCA検出は失敗する。「CCA検出が失敗する」ことは、図9の「CCA Busy」を示す。ダウンリンクPPDUの送信が完了した後に、リンク2のCCA検出が成功することが分かる。「CCA検出が成功する」ことは、図9で「CCA Busy」が終了し、「CCA Idle」が開始されることを意味する。図9に示すように、下りPPDUの送信終了時点は、リンク2でのCCA検出が成功した時点と同じ/揃い、第2期間に対応する開始時点は、リンク2でのCCA検出が成功した時点と同じ/揃うことが分かる。更に、第2期間に、ダウンリンクPPDUに対応するブロックACK BAがリンク2で送信されている。リンク2のダウンリンクPPDUに対応するブロックACKの送信が完了した時点が、第2期間に対応する終了時点よりも早く、かつ、第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも早い場合、Non-AP STA2は、第2期間に対応する終了時点でバックオフを開始する。この場合、フレーム間の衝突及び干渉は回避される。
【0126】
別の例では、図10は、本願の実施形態によるチャネル競合方法の時系列の概略図である。図10に示すように、Non-AP STA1はリンク1でAP1にアップリンクPPDUを送信する。リンク1とリンク2の周波数帯域間の周波数間隔は小さいため、リンク1上でデータを送信する場合、チャネル干渉がリンク2上のCCA検出に影響を与える可能性がある。そのため、リンク2のチャネル情報を監視できない。つまり、リンク2はブラインド期間にある。ブラインド期間は、図10に示すblindness for non-AP STA 2である。図10に示す実施形態では、リンク2上でNon-AP STA2がブラインド期間にある場合、AP3はリンク2でNon-AP STA3にDL PPDUを送信する。この場合、Non-AP STA2はDL PPDUの開始を検出できない。
【0127】
図10に示すように、リンク1上のアップリンクPPDUの送信時点は、リンク2のブラインド期間の開始時点と揃う/同じであり、リンク1上のアップリンクPPDUの終了時点は、リンク2のブラインド期間の終了時点と揃う/同じであることが分かる。したがって、リンク1上のアップリンクPPDUの送信が完了した後、AP1はリンク1上のNon-AP STA1にブロックACKを送信する場合がある。また、リンク1上のアップリンクPPDUの送信が完了した後、リンク2はブラインド期間ではない。つまり、リンク2のチャネル情報が監視できる。リンク1のアップリンクPPDUの送信が完了した後、Non-AP STA2は、第1期間に対応する開始時点に基づいてカウントダウンを開始することができることが理解できる。つまり、Non-AP STA2はカウントダウンタイマを開始する。カウントダウンタイマに対応する期間が第1期間である。第1期間では、Non-AP STA2がリンク2でCCA検出を実行する場合がある。
【0128】
さらに、リンク2でCCA検出を実行すると、AP3がリンク2上のNon-AP STA3にダウンリンクPPDUを送信しているため、リンク2でのCCA検出は失敗する。「CCA検出が失敗する」ことは、図10の「CCA Busy」を示す。ダウンリンクPPDUの送信が完了した後に、リンク2のCCA検出が成功することが分かる。「CCA検出が成功する」ことは、図10で「CCA Busy」が終了し、「CCA Idle」が開始されることを意味する。図10に示すように、下りPPDUの送信終了時点は、リンク2でのCCA検出が成功した時点と同じ/揃い、第2期間に対応する開始時点は、リンク2でのCCA検出が成功した時点と同じ/揃うことが分かる。更に、第2期間に、ダウンリンクPPDUに対応するブロックACK がリンク2で送信されている。リンク2のダウンリンクPPDUに対応するブロックACKの送信が完了した時点が、第2期間に対応する終了時点よりも早く、かつ、第2期間に対応する終了時点が第1期間に対応する終了時点よりも遅い場合、Non-AP STA2は、第2期間に対応する終了時点又は第1期間に対応する終了時点でバックオフを開始する。この場合も、フレーム間の衝突及び干渉は回避される。
【0129】
図11は、本願の実施形態による別のチャネル競合方法の概略図である。図11に示すように、本願の本実施形態で提供される別のチャネル競合方法は、限定ではないが以下のステップを含む:
【0130】
1101:第1非アクセスポイント局は、無線フレームに基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新し、更新されたNAVを取得する。
【0131】
無線フレームは、データが第1リンクで送信されているとき、又はデータに対応するブロックACKが第1リンクで送信されているときに、第2リンクで第2非アクセスポイント局に送信される無線フレームである。第2非アクセスポイント局は、第1マルチリンク装置内の第1非アクセスポイント局以外の非アクセスポイント局である。無線フレームは、第2リンクがブラインド期間にあるときに受信された無線フレームであり、第1非アクセスポイント局は、無線フレームに基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新し、更新されたNAVを取得できることが理解できる。
【0132】
データについては、図8のステップ801のデータの説明を参照する。詳細はここで再び記載されない。
【0133】
無線フレームには、例えば、ブロックACK、データフレーム、管理フレーム、及びトリガ(trigger)フレームが含まれる場合がある。これは、ここでは限定されない。
【0134】
更に、第1非アクセスポイント局は、無線フレーム内で伝送される継続時間情報に基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新し、更新されたNAVを取得する。更新する前に、継続時間情報はNAVよりも大きくなる。つまり、更新されたNAVはNAVよりも大きくなる。無線フレームには、継続時間(duration)フィールドが含まれている場合があることが分かる。durationフィールドは、継続時間情報を示す。第1非アクセスポイント局は、無線フレームに含まれる継続時間情報に基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新し、更新されたNAVを取得する。特定の更新方法は、本願において限定されない。
【0135】
例えば、第1マルチリンク装置内の第1非アクセスポイント局と第2非アクセスポイント局以外の非アクセスポイント局が、第2リンクでPPDUを送信した場合、第1非アクセスポイント局は、PPDUで伝送されるブロックACKに基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新し、更新されたNAVを取得できる。ブロックACKは継続時間情報を伝送する。つまり、第1非アクセスポイント局は、ブロックACK内で伝送される継続時間情報に基づいてネットワーク割り当てベクトルNAVを更新し、更新されたNAVを取得する。
【0136】
1102:第1非アクセスポイント局は、更新されたNAVに基づいて第2リンクでチャネル競合を実行する。
【0137】
任意で、更新されたNAVに基づき第2リンクで実行中のチャネル競合には、次のものが含まれる:
更新されたNAVが、第1リンクでデータ送信が完了する時点又は第1リンクでブロックACKを受信する時点に満たない場合、第1非アクセスポイント局は、第1期間に第2リンク上でCCA検出を実行し、
第2リンクでCCA検出が失敗した場合、第1非アクセスポイント局は、第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を実行し、又は、
更新されたNAVが、第1リンクでデータ送信が完了した時点又は第1リンクでブロックACKを受信した時点よりも大きい場合、第1非アクセスポイント局は、更新されたNAVが0にバックオフしたときに第2リンクでチャネル競合を実行する。
【0138】
第1期間については、図8のステップ801の第1期間の説明を参照する。詳細はここで再び記載されない。第2期間については、図8のステップ802の第2期間の説明を参照する。詳細はここで再び記載されない。また、CCA検出に失敗した場合、第1非アクセスポイント局が第2期間に基づいて第2リンクでチャネル競合を行うことについては、図8のステップ802の関連説明を参照のこと。詳細はここで再び記載されない。
【0139】
なお、更新されたNAVが、第1リンクでデータ送信が完了した時点又は第1リンクでブロックACKを受信した時点よりも大きい場合、第1非アクセスポイント局は、更新されたNAVに基づいてバックオフを開始する。更新されたNAVが0にバックオフする前に第1リンクでデータ送信が完了したかどうかに関係なく、更新されたNAVが0にバックオフすると、第1非アクセスポイント局は第2リンクでチャネル競合を実行してよい。更に、更新されたNAVが0にバックオフすると、第1非アクセスポイント局は第2リンクで拡張CCA以外のCCA検出を実行する。第2リンクでCCA検出が成功すると、第1非アクセスポイント局は第2リンクでフレーム交換を実行できる。
【0140】
更新されたNAVが0にバックオフする時点は、第1リンクでデータ送信が完了する時点よりも早いか、又はそれ以降であると理解できる。これは、ここでは限定されない。更に、第1リンクのデータ送信が完了すると、第1非アクセスポイント局がカウントダウンタイマを開始する。カウントダウンタイマに対応する期間が第1期間である。
【0141】
任意で、第1リンクでのデータ送信が完了したときに、更新されたNAVが0にバックオフするかどうかに関係なく、第1非アクセスポイント局がカウントダウンタイマを開始する場合がある。カウントダウンタイマに対応する期間が第1期間である。
【0142】
また、更新されたNAVが0にバックオフする時点が、第1リンクのデータ送信が完了する時点よりも遅れる可能性がある場合、第1非アクセスポイント局は第1期間にチャネル競合を実行する場合がある。更に、更新されたNAVが0にバックオフすると、第1非アクセスポイント局は第1期間に第2リンクで拡張CCA以外のCCA検出を実行してよい。CCA検出が成功すると、第1非アクセスポイント局は第2リンクでフレーム交換を実行できる。
【0143】
図11は、本願のこの実施形態で提供されているチャネル競合方法の単なる手順であり、本願のチャネル競合方法は、別の手順で代替的に実装されてもよいことが理解できる。以下では、幾つかの具体例を参照して、本願のチャネル競合方法の時系列手順を簡単に説明する。以下の具体例は、理解を容易にするための単なる例である。実際の適用では、本願におけるチャネル競合方法の時系列手順は、以下の具体例の手順よりも長くなったり短くなったりすることがある。
【0144】
説明を容易にするため、以下の具体例では、第1マルチリンク装置(例えば、Non-AP MLD)にNon-AP STA1とNon-AP STA2が含まれているものとする。第1マルチリンク装置にはNon-AP3は含まれていない。Non-AP3は単一の装置であってよく、又は別のNon-AP MLDに従属してもよい。Non-AP STA1はリンク1(link1)で動作し、Non-AP STA2及びNon-AP STA3はリンク2(link2)で動作する。第2マルチリンク装置(例えば、AP MLD)は、AP1とAP2を含む。第2マルチリンク装置にはAP3は含まれていない。AP3は単一の装置であってよく、又は別のAP MLDに従属してもよい。AP1はリンク1で動作し、AP2とAP3はリンク2で動作する。第1マルチリンク装置はSTRをサポートせず、第2マルチリンク装置はSTRをサポートする。
【0145】
例では、図12は、本願の実施形態によるチャネル競合方法の時系列の概略図である。図12に示すように、Non-AP STA1はリンク1でAP1にPPDU1を送信する。リンク1とリンク2の周波数帯域間の周波数間隔は小さいため、リンク1上でデータを送信する場合、チャネル干渉がリンク2上のCCAに影響を与える可能性がある。そのため、リンク2のチャネル情報を監視できない。つまり、リンク2はブラインド期間にある。図12に示すように、リンク1上のPPDU1の送信時点は、リンク2のブラインド期間の開始時点と揃う/同じであり、リンク1上のPPDU1の終了時点は、リンク2のブラインド期間の終了時点と揃う/同じであることが分かる。したがって、リンク1上のPPDU1の送信が完了した後、AP1はリンク1上のNon-AP STA1にブロックACK1を送信する場合がある。また、リンク1上のPPDU1の送信が完了した後、リンク2はブラインド期間ではない。つまり、リンク2のチャネル情報が監視できる。リンク1のPPDU1の送信が完了した後、Non-AP STA2は、第1期間に対応する開始時点に基づいてカウントダウンを開始することができることが理解できる。つまり、Non-AP STA2はカウントダウンタイマを開始する。カウントダウンタイマに対応する期間が第1期間である。
【0146】
更に、リンク2がブラインド期間にあるとき、AP3はリンク2でNon-AP STA3にPPDU2を送信している。図12に示すように、リンク2上のPPDU2の送信時点は、リンク2のブラインド期間の開始時点より遅く、リンク2上のPPDU2の終了時点は、リンク2のブラインド期間の終了時点より早いことが分かる。つまり、リンク2がブラインド期間にあるとき、PPDU2はNon-AP STA3によって受信される。更に、Non-AP STA3がPPDU2を受信すると、Non-AP STA2はPPDU2に基づいてNAVを更新する場合がある。任意で、リンク2でのPPDU2の受信終了時点は、リンク2のブラインド期間の終了時点よりも早いか、それ以降である場合がある。これは、ここでは限定されない。
【0147】
PPDU2の送信が完了した後に、リンク2のCCA検出が成功することが分かる。図12に示すように、PPDU2の送信の終了時点は、リンク2でのCCA検出が成功する時点と同じ/揃うことが分かる。更に、Non-AP STA3は、PPDU2を受信した後、第2リンクでAP3にブロックACK2を送信してもよい。Non-AP STA2は、ブロックACK2に基づいてNAVを再更新する。その後、Non-AP STA2は、再更新されたNAVに基づいてバックオフを実行する場合がある。再更新されたNAVが0にバックオフすると、Non-AP STA2は第2リンクで拡張CCA以外のCCA検出を実行する。CCA検出が成功すると、第1非アクセスポイント局は第2リンクでフレーム交換を実行できる。
【0148】
また、図12に示すように、第1リンクでのデータ送信が完了すると、再更新されたNAVがゼロにバックオフするかどうかに関係なく、第1非アクセスポイント局は第1期間に対応する開始時点に基づいてカウントダウンを開始することが分かる。つまり、第1リンクのデータ送信が完了すると、第1非アクセスポイント局がカウントダウンタイマを開始する。カウントダウンタイマに対応する期間が第1期間である。
【0149】
PPDU2に対応するNAVの終了時点は、ブロックACK2に対応するNAVの終了時点よりも早いことが分かる。任意で、ブロックACK2の後にAP3から別のPPDUを受信した場合、Non-AP STA2は、別のPPDUに基づいてNAVを更に再更新できる。
【0150】
例では、図13は、本願の実施形態によるチャネル競合方法の時系列の概略図である。図13に示すように、Non-AP STA1はリンク1でAP1にPPDU1を送信する。リンク1とリンク2の周波数帯域間の周波数間隔は小さいため、リンク1上でデータを送信する場合、チャネル干渉がリンク2上のCCAに影響を与える可能性がある。そのため、リンク2のチャネル情報を監視できない。つまり、リンク2はブラインド期間にある。図13に示すように、リンク1上のPPDU1の送信時点は、リンク2のブラインド期間の開始時点と揃う/同じであり、リンク1上のPPDU1の終了時点は、リンク2のブラインド期間の終了時点と揃う/同じであることが分かる。したがって、リンク1上のPPDU1の送信が完了した後、AP1はリンク1上のNon-AP STA1にブロックACK1を送信する場合がある。また、リンク1上のPPDU1の送信が完了した後、リンク2はブラインド期間ではない。つまり、リンク2のチャネル情報が監視できる。
【0151】
更に、AP3はリンク2でNon-AP STA3にPPDU2を送信している。PPDU2の送信時点はリンク2のブラインド期間の開始時点より遅く、PPDU2の受信時点はリンク2のブラインド期間の終了時点より早いことが分かる。つまり、PPDU2は、リンク2がブラインド期間にあるとき受信されるPPDUである。更に、Non-AP STA3がPPDU2を受信すると、Non-AP STA2はPPDU2に基づいてNAVを更新する。更に、Non-AP STA3は、PPDU2を受信した後、第2リンクでAP3にブロックACK2を送信してもよい。Non-AP STA2は、ブロックACK2に基づいてNAVを再更新してよい。その後、Non-AP STA2は、再更新されたNAVに基づいてバックオフを実行する場合がある。再更新されたNAVが0にバックオフすると、Non-AP STA2は第2リンクで拡張CCA以外のCCA検出を実行する。CCA検出が成功すると、第1非アクセスポイント局は第2リンクでフレーム交換を実行できる。任意で、リンク2でのPPDU2の受信終了時点は、リンク2のブラインド期間の終了時点よりも早いか、それ以降である場合がある。これは、ここでは限定されない。
【0152】
また、図13に示すように、第1リンクでのデータ送信が完了すると、再更新されたNAVがゼロにバックオフするかどうかに関係なく、第1非アクセスポイント局は第1期間に対応する開始時点に基づいてカウントダウンを開始することが分かる。つまり、第1リンクのデータ送信が完了すると、第1非アクセスポイント局がカウントダウンタイマを開始する。カウントダウンタイマに対応する期間が第1期間である。
【0153】
PPDU2に対応するNAVの終了時点は、ブロックACK2に対応するNAVの終了時点と同じであることが分かる。任意で、ブロックACK2の後にAP3から別のPPDUを受信した場合、Non-AP STA2は、別のPPDUに基づいてNAVを更に再更新できる。
【0154】
技術分野で知られている基準によると、上記の実装で説明されているCCA検出には、少なくともPPDUによって占有されるプライマリ20MHzチャネル(Primary 20 MHz channel)での検出が含まれる。詳細については、IEEEStd802.11-2016、10.22.2.5などのセクションを参照のこと。STAと、STAがメンバーになっているBSSの両方が複数のチャネル幅をサポートしている場合、EDCA TXOPはプライマリチャネルのアクティビティのみに基づいて取得される。このサブクラウズの「アイドル媒体」は、「アイドルプライマリチャネル」を意味する。同様に、「ビジー媒体」は「ビジープライマリチャネル」を意味する。このサブクラウズに従ってEDCA TXOPが取得されると、セカンダリチャネル、セカンダリ40MHzチャネル、又はセカンダリ80MHzチャネルのCCAの状態に基づいて、11.16.9及び10.22.3で定義されているさらなる制約によって、TXOP中の送信幅が制限され、又はチャネルアクセスが拒否される可能性がある。(STAと、STAがメンバーになっているBSSの両方が複数のチャネル幅をサポートしている場合、EDCA TXOPはプライマリチャネルのアクティビティのみに基づいて取得される。このサブクラウズの「アイドル媒体」は、「アイドルプライマリチャネル」を意味する。同様に、「ビジー媒体」は「ビジープライマリチャネル」を意味する。このサブクラウズに従ってEDCA TXOPが取得されると、セカンダリチャネル、セカンダリ40MHzチャネル、又はセカンダリ80MHzチャネルのCCAの状態に基づいて、11.16.9及び10.22.3で定義されているさらなる制約によって、TXOP中の送信幅が制限され、又はチャネルアクセスが拒否される可能性がある。)
【0155】
上記の内容は、本願で提供される方法について詳しく説明した。本願の実施形態において前述のソリューションをよりよく実装するために、本願の実施形態は、対応する機器又は装置を更に提供する。
【0156】
図14は、本願の実施形態による通信機器の構造の概略図である。図14に示すように、通信機器1400は、上記の実施形態における第1マルチリンク装置であってもよいし、第1マルチリンク装置内のチップ又は処理システムであってもよく、上記のいずれかの実施形態における方法及び機能を実装してもよい。集積度の違いにより、通信機器1400は、図14に示すコンポーネントのうちの1つ以上含む場合がある。図14に示すコンポーネントは、少なくとも1つのプロセッサ1401、メモリ1402、トランシーバ1403、及び通信バス1404を含むことができる。プロセッサ、トランシーバ、メモリなどはバスを介して接続される。前述のコンポーネントの間の特定の接続は、本願の本実施形態において限定されない。
【0157】
以下は、図14を参照して、通信機器1400のコンポーネントを具体的に説明する。
【0158】
プロセッサ1401は、通信機器1400の制御センタであり、1つのプロセッサであっても、複数の処理要素の総称であってもよい。例えば、プロセッサ1401は、中央処理装置(central processing unit, CPU)又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit, ASIC)であり、あるいは、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ(digital signal processor, DSP)又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array, FPGA)など、本願の実施形態を実装する1つ以上の集積回路として構成される。プロセッサ1401は、メモリ1402に格納されたソフトウェアプログラムを実行又は実行し、メモリ1402に格納されたデータを呼び出すことによって、通信装置の様々な機能を実装することができる。特定の実装の間、実施形態において、プロセッサ1401は、1つ以上のCPU、例えば図14のCPU0及びCPU1を含んでよい。
【0159】
特定の実装の間、実施形態において、通信機器1400は、複数のプロセッサ、例えば図14のプロセッサ1401及びプロセッサ1405を含んでよい。プロセッサの各々は、シングルコアプロセッサ(single-CPU)であってよく、又はマルチコアプロセッサ(multi-CPU)であってもよい。プロセッサは、ここでは、データ(例えば、コンピュータプログラム命令)を処理するよう構成される1つ以上の通信装置、回路、及び/又は処理コアであってよい。
【0160】
メモリ1402は、読み出し専用メモリ(read-only memory, ROM)、静的情報及び命令を格納できる別の種類の静的記憶通信装置、ランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)、又は情報及び命令を格納できる別の種類の動的記憶通信装置であってよく、又は電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory, EEPROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory, CD-ROM)、又は別のコンパクトディスク記憶装置、光ディスク記憶装置(コンパクトディスク、レーザディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク、ブルーレイディスク、等を含む)、ディスク記憶媒体又は別のディスク記憶通信装置、又は命令若しくはデータ構造の形式で期待されるプログラムコードを運び又は格納するために使用でき且つコンピュータによりアクセス可能な任意の他の媒体であってよいが、これらに限定されない。メモリ1402は独立に存在してよく、通信バス1404を通じてプロセッサ1401に接続される。代替として、メモリ1402は、プロセッサ1401に統合されてよい。メモリ1402は、本願のソリューションを実行するためのソフトウェアプログラムを格納するよう構成され、プロセッサ1401は実行を制御する。
【0161】
トランシーバ1403は、別の装置(例えば、第2マルチリンク装置)と通信するように構成される。勿論、トランシーバ1403は、通信ネットワークと通信するように更に構成することができる。通信ネットワークは、例えば、イーサネット、無線アクセスネットワーク(radio access network, RAN)、又は無線ローカルエリアネットワークである。トランシーバ1403は、受信機能を実現するための受信ユニットと、送信機能を実現するための送信ユニットを含むことができる。
【0162】
通信バス1404は、業界標準アーキテクチャ(Industry Standard Architecture, ISA)バス、周辺機器相互接続(Peripheral Component interconnect, PCI)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture, EISA)バスなどである。バスは、アドレスバス、データバス、制御バス、等に分類されてよい。提示を容易にするために、1本の太線だけが、図14でバスを表すために使用されるが、これは、1本のバスのみ又は1種類のバスのみが存在することを意味しない。
【0163】
例では、通信機器1400はデバイス全体であってもよく、通信機器はプロセッサ1401、メモリ1402、トランシーバ1403、通信バス1404を含んでもよい。任意で、ディスプレイ画面、ユーザインタフェース、又は信号検出器などの別のコンポーネントが更に含まれていてもよい。任意で、通信機器1400は第1マルチリンク装置であり、前述の実施形態の第1マルチリンク装置に関連する方法と機能を実装するように構成することができる。例えば、メモリは命令を格納し、プロセッサが命令を呼び出すと、前述の方法及び機能が実装される。例えば、プロセッサは信号又はフレームを生成するように構成され、トランシーバは信号又はフレームを送信するように構成される。例えば、プロセッサはステップS141、S201などを実行するように構成され、トランシーバはステップS142、S202、S207などを実行するように構成される。
【0164】
別の例では、通信機器1500は、第1マルチリンク装置内のチップシステム又は処理システムであってよく、その結果、チップシステム又は処理システムを搭載した装置が、上記の実施形態のいずれかの方法及び機能を実装する。この場合、通信機器1400には、図14に示す幾つかのコンポーネントが含まれていてもよい。例えば、通信機器1400はプロセッサを含む。プロセッサは、メモリに結合され、メモリ内の命令を呼び出し、その命令を実行することができるため、チップシステム又は処理システムが構成された又はそれをインストールされた装置は、上記の実施形態の方法及び機能を実装する。任意で、メモリはチップシステム又は処理システム内のコンポーネントである場合もあれば、チップシステム又は処理システムの外部に結合されたコンポーネントである場合もある。例では、チップシステム又は処理システムは、第1マルチリンク装置にインストールされるため、第1マルチリンク装置は、前述の実施形態の対応する方法と機能を実装することができる。
【0165】
チップシステム又は処理システムは、802.11シリーズプロトコル、例えば、802.11be、802.11ax、及び802.11acに従って通信をサポートしてよい。チップシステムは、WLAN送信シナリオをサポートする様々な装置にインストールされる場合がある。WLAN送信シナリオの装置は、本願の明細書で説明されている。詳細はここで再び記載されない。
【0166】
本願の本実施形態では、第1マルチリンク装置又は第2マルチシ装置は、前述の方法の例に基づき機能モジュールに分割されてよい。例えば、機能モジュールは、対応する機能に基づき分割を通じ得られてよく、又は2つ以上の機能が1つの処理モジュールに統合されてよい。統合されたモジュールは、ハードウェアの形式で実装されてよく、又はソフトウェア機能モジュールの形式で実装されてよい。留意すべきことに、本願の本実施形態では、モジュールへの分割は一例であり、単なる論理的機能分割である。実際の実装では、別の分割方法が使用されてよい。
【0167】
統合ユニットを使用する場合、図15は、本願の実施形態による通信機器の別の構造の概略図である。図15に示すように、通信機器1500は、マルチリンク装置内のチップ又は処理システムであってよい。上記の方法の実施形態では、通信機器1500が第1マルチリンク装置の動作を実行してよい。通信機器1500は、処理ユニット1501を含む。
【0168】
例では、通信機器1500は、第1マルチリンク装置内の非アクセスポイント局である。
【0169】
処理ユニット1501は、通信機器1500の動作を制御及び管理するように構成されている場合がある。例えば、CCAの検出は、第1期間に第2リンクで行われる。任意で、通信機器1500が記憶ユニットを含む場合、処理ユニット1501は、記憶ユニットに格納されているプログラム又は命令を更に実行して、その結果、通信機器1500が上記のいずれかの実施形態の方法及び機能を実装することができる。
【0170】
例えば、処理ユニット1501は、例えば図8のステップ801、又は図8のステップ801及び/又は本明細書に記載されている技術の別の処理を実行するよう構成されてよい。前述の方法の実施形態におけるステップの全ての関連する内容は、対応する機能モジュールの機能説明において引用されてよい。詳細はここで再び記載されない。
【0171】
例えば、通信機器1500は、図14に示す通信機器であってよい。処理ユニット1501は、図14のプロセッサ1401であってよい。更に、通信機器1500は、トランシーバユニットを含んでよい。トランシーバユニットは、図14のトランシーバ1403であってよい。任意で、通信機器1500は、メモリを更に含んでよい。メモリは、通信機器1500がマルチリンク装置間で前述のチャネル競合方法のいずれかを行うための、対応するプログラムコードとデータを格納するように構成されている。通信機器1500の対応するコンポーネントの機能説明には、図14のコンポーネントの関連するすべての内容の説明を引用することができる。詳細はここで再び記載されない。
【0172】
例えば、通信機器1500は代替としてチップ又はプロセッサであってよい。処理ユニット1501はチップ又はプロセッサ内の処理回路であってもよい。トランシーバユニットはチップ又はプロセッサ内の入出力回路であってもよい。入出力回路はチップ又はプロセッサと別の結合されたコンポーネントとの間の相互通信又はデータ交換のためのインタフェースである。信号又はデータ情報又はプログラム命令が処理のためにチップ又はプロセッサに入力され、処理されたデータ又は処理された信号が別の結合されたコンポーネントに出力され、チップ又はプロセッサがインストールされている第1マルチリンク装置が機能を実装するよう制御されるようにしてよい。
【0173】
本願の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体を更に提供する。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータプログラムコードを格納する。前述のプロセッサがコンピュータプログラムコードを実行するとき、電子装置は、図8及び図11の上記の実施形態のいずれかにおける方法を実行する。
【0174】
本願の実施形態は、コンピュータプログラムプロダクトを更に提供する。コンピュータプログラムプロダクトがコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、図8及び図11の上記の実施形態のいずれかにおける方法を実行可能にされる。
【0175】
本願の実施形態は、通信機器を更に提供する。機器はチップの製品形態の中に存在してよい。機器の構造は、プロセッサ及びインタフェース回路を含む。プロセッサは、インタフェース回路を通じて別の機器と通信するよう構成され、その結果、機器が図8及び図11の前述の実施形態のうちのいずれかの方法を実行する。
【0176】
本願の実施形態は、第1マルチリンク装置及び第2マルチリンク装置を含む通信システムを更に提供する。第1マルチリンク装置及び第2マルチリンク装置は、図8及び図11の前述の実施形態のいずれかの方法を実行することができる。
【0177】
本願で開示された内容と関連して説明された方法又はアルゴリズムステップは、ハードウェアにより実装されてよく、又はソフトウェア命令を実行することによりプロセッサにより実装されてよい。ソフトウェア命令は、対応するソフトウェアモジュールを含んでよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory, RAM)、フラッシュメモリ、消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(Erasable PROM, EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な-読み出し専用メモリ(Electrically EPROM, EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ハードディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は当分野でよく知られている任意の他の形式の記憶媒体に格納することができる。例えば、記憶媒体はプロセッサに結合され、その結果、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、又は記憶媒体に情報を書き込むことができる。もちろん、記憶媒体は、プロセッサのコンポーネントであってよい。プロセッサ及び記憶媒体は、ASIC内に配置されてよい。更に、ASICは、コアネットワークインタフェース装置内に配置されてよい。もちろん、プロセッサ及び記憶媒体は、個別コンポーネントとしてコアネットワークインタフェース装置内に存在してよい。
【0178】
当業者は、前述の1つ以上の例において、本願に記載されている機能がハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって実装されてよいことを認識すべきである。機能がソフトウェアにより実装される場合、前述の機能は、コンピュータ可読媒体に格納されるか、又はコンピュータ可読媒体に1つ以上の命令若しくはコードとして送信されてよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体及び通信媒体を含んでよく、コンピュータプログラムの場所から別の場所への送信を実現する任意の媒体を更に含む。記憶媒体は、汎用又は専用コンピュータによりアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってよい。
【0179】
前述の具体的な実装では、本願の目的、技術的ソリューション、及び有益な効果が更に詳細に説明されている。理解されるべきことに前述の説明は、単に本願の特定の実装であり、本願の保護範囲を限定することを意図しない。本願の技術的ソリューションに基づき行われる任意の変形、均等な置換又は改良は、本願の保護範囲の中に包含されるべきである。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15