(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電池交換装置および電池交換システム
(51)【国際特許分類】
B60L 53/80 20190101AFI20240805BHJP
【FI】
B60L53/80
(21)【出願番号】P 2023518778
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2021119640
(87)【国際公開番号】W WO2023044607
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 霞
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-520173(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03725605(EP,A1)
【文献】「Our lithium battery for electric bus」,YouTube [online] [video],Shang Jack,2013年05月06日,[2024年1月19日検索], <https://www.youtube.com/watch?v=RpVZjq7i-gk>,0:49~2:50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備の電池を交換するための電池交換装置であって、
前記電池交換装置を移動させる移動ベースと、
前記移動ベースに設けられ、前記電池交換装置に2つの前記電池を同時に交換させるように2つの前記電池を搭載するための2つの電池交換機構と、
前記移動ベースに設けられ、前記の2つの電池交換機構の位置置換を駆動するように配置される置換機構と、
を備え
、
前記電池交換機構は、ロック・アンロック部品とカバーとを備え、前記ロック・アンロック部品はベースプレートとロック・アンロックユニットとを含み、前記ロック・アンロックユニットは、前記電池をロックするまたはアンロックするために用いられ、前記カバーは前記ベースプレートの上を覆い、前記カバーには、前記ロック・アンロックユニットがはみ出すための第1の開口部が設けられ、
前記ロック・アンロック部品は、さらに前記電池を位置決めするための位置決め部と、前記電池を支持するための支持部とを備え、前記カバーには、前記位置決め部がはみ出すための第2の開口部と、前記支持部がはみ出すための第3の開口部とが設けられる
ことを特徴とする電池交換装置。
【請求項2】
前記置換機構は駆動部と回転ベースとを備え、前記駆動部は、前記回転ベースを回動させるために用いられ、前記の2つの電池交換機構は、前記回転ベースに取り付けられて前記回転ベースの回動軸線に沿って対称的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池交換装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記移動ベースに固定され、前記置換機構は、さらに互いに噛み合う第1のギヤと第2のギヤとを含み、前記第1のギヤは前記駆動部の出力端に取り付けられ、前記第2のギヤは前記回転ベースに固定されることを特徴とする請求項2に記載の電池交換装置。
【請求項4】
前記の2つの電池交換機構は離間して設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電池交換装置。
【請求項5】
前記カバーの前記ロック・アンロック部品から離れる側には、フォークに挿入されて前記電池をピックアンドプレースするためのスロットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の電池交換装置。
【請求項6】
前記電池交換機構は、さらに前記ロック・アンロック部品をリフトするためのリフト部品を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池交換装置。
【請求項7】
前記ロック・アンロック部品は前記リフト部品に浮動的に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の電池交換装置。
【請求項8】
レール、
前記レールに移動可能に設けられる請求項1から7のいずれか一項に記載の電池交換装置、
前記レールの一方の端に位置する電池交換ステージ、及び
前記レールの他端に位置する電池のピックアンドプレース装置
を備えることを特徴とする電池交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気設備の電池交換の技術分野に関し、具体的には、電池交換装置および電池交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー技術の発展に伴い、電池を用いる設備が増加しているが、電気設備は電気エネルギーが使い切られると、充電設備に接続することにより電気エネルギーを補充することが一般的である。それと同時に、電池交換により電気エネルギーを速く補充することがあるが、通常、専用の装置(電池交換装置と略称する)により電池を交換する必要がある。従来の電池交換装置では、操作が不便で、交換効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術において電池交換の効率が低いという問題を解決するために、本願発明の目的は、電池交換装置および電池交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明の実施形態は、以下のように実現される。
【0005】
第一の態様において、本願発明の実施形態は、電気設備の電池を交換するための電池交換装置であって、前記電池交換装置を移動させる移動ベースと、前記移動ベースに設けられ、前記電池交換装置に2つの前記電池を同時に交換させるように2つの前記電池を搭載するための2つの電池交換機構と、前記移動ベースに設けられ、前記2つの電池交換機構の位置置換を駆動するように配置される置換機構と、を備える。
【0006】
電池交換装置が電気設備まで移動すると、置換機構は、2つの電池交換機構をそれぞれ電気設備の電池取付位置に対応させるように駆動することで、2つの電池交換機構によりそれぞれ電気設備の電池取付位置に対して電池を取り外したり取り付けたりすることにより、電気設備の電池交換を実現する。また、電池交換装置が電池のピックアンドプレース装置まで移動すると、置換機構は、2つの電池交換機構を位置置換するように駆動することで、電池のピックアンドプレース装置のフォークが前後して2つの電池交換機構に対して電池を出したり入れたりすることができるように、2つの電池交換機構が前後して電池のピックアンドプレース装置に近づく。上述した方案によれば、従来の電池交換装置では、2つの電池の交換には少なくとも三回往復する必要があり、2つの電池を同時に交換することができないのに対して、本願発明で提供される電池交換装置は、電気設備と電池のピックアンドプレース装置との間で二回往復することで2つの電池を同時に交換することができる。本願発明は、2つの電池を同時に交換するというニーズを満たせるので、従来技術に比べ、往復回数が減少し、電池交換の効率が向上し、電池交換の効率が低いという問題を解決する。
【0007】
そして、一つの電池パックのみ交換する場合、従来技術では少なくとも二回往復する必要があるのに対して、本願発明の電池交換装置では一方の電池交換機構により電気設備の電池取付位置から電池を取り外し、他方の電池交換機構により電気設備の電池取付位置に電池を取り付けることになり、2つの電池交換機構は位置を置換でき、電池のピックアンドプレース装置と合わせて電池をピックアンドプレースすることができないという問題がないため、一回の往復で電池交換ができ、電池交換の効率が向上し、電池交換の効率が低いという問題を解決する。
【0008】
本願発明の一つの実施形態において、前記置換機構は、駆動部と回転ベースとを備え、前記駆動部は、前記回転ベースを回動させるために用いられ、前記2つの電池交換機構は、前記回転ベースに取り付けられて前記回転ベースの回動軸線に沿って対称的に設けられている。
【0009】
上述した方案において、2つの電池交換機構は、回転により位置を置換し、回転ベースの回動軸線に沿って対称的に設けられており、回転ベースが180°回動した後、2つの電池交換機構が互いに相手の位置にあることになり、置換操作が簡単で利便であり、電池のピックアンドプレース装置の電池ピックアンドプレースに利便である。また、電気設備の電池取付位置の配置方向が異なる場合、回転ベースを回動させて電池交換機構の位置を変化すればよい。本方案は、様々な電池取付位置の配置方向が異なる電気設備に広く適用できる。
【0010】
本願発明の一つの実施形態において、前記駆動部は、前記移動ベースに固定され、前記置換機構はさらに、互いに噛み合う第1のギヤと第2のギヤとを含み、前記第1のギヤは前記駆動部の出力端に取り付けられ、前記第2のギヤは前記回転ベースに固定される。
【0011】
上述した技術方案において、同一の平面上で伝動するギヤセットにより回転を実現し、回転ベースと移動ベースとの間の距離が小さく、電池交換装置が全体としてコンパクトであり、重心が低く、移動が安定して通過性が良好である。
【0012】
本願発明の一つの実施形態において、前記2つの電池交換機構は離間して設けられる。
【0013】
上述した技術方案において、2つの電池交換機構は、互いに干渉してそれぞれの電池交換に影響を与えることを避けるように離間する。
【0014】
本願発明の一つの実施形態において、前記電池交換機構は、ロック・アンロック部品とカバーとを備え、前記ロック・アンロック部品はベースプレートとロック・アンロックユニットとを含み、前記ロック・アンロックユニットは、前記電池をロックするまたはアンロックするために用いられ、前記カバーは前記ベースプレートの上を覆い、前記カバーには、前記ロック・アンロックユニットがはみ出すための第1の開口部が設けられる。
【0015】
上述した技術方案において、カバーがロック・アンロック部品を遮蔽し、保護作用を果たすが、ロック・アンロックユニットの正常作動に影響を与えない。
【0016】
本願発明の一つの実施形態において、前記ロック・アンロック部品はさらに、前記電池を位置決めするための位置決め部と、前記電池を支持するための支持部とを備え、前記カバーには、前記位置決め部がはみ出すための第2の開口部と、前記支持部がはみ出すための第3の開口部とが設けられる。
【0017】
上述した技術方案において、支持部により電池を支持することで、カバーが受ける力を減少させ、位置決め部により電池をロック・アンロック部品に位置決めし、また位置決め部によりロック・アンロック部品と電気設備の電池取付位置とを対応させることで、電池の取付位置を定め、電池が電気設備の電池取付位置に対応することを確保する。
【0018】
本願発明の一つの実施形態において、前記カバーの前記ロック・アンロック部品から離れる側には、フォークに挿入されて前記電池をピックアンドプレースするためのスロットが設けられる。
【0019】
上述した技術方案において、フォークはスロットにおいて電池の底面以下にあり、上げると電池を取ることができ、スロットを設けることにより、フォークが電池の底面に擦れて電池を傷つけることを避ける。
【0020】
本願発明の一つの実施形態において、前記電池交換機構はさらに、前記ロック・アンロック部品をリフトするためのリフト部品を備える。
【0021】
上述した技術方案において、リフト部品により、電池交換装置は移動するときに高さを低くし、電池交換装置が全体機構としてよりコンパクトで、重心がより低くすることができ、電池交換装置の通過性が向上し、電気設備まで到達すると、リフト部品が電池交換機構をリフトすることで、ロック・アンロック部品が電気設備に近づいて電池のアンロックとロックを行い、電池の取り外しや取り付けを完成できる。
【0022】
本願発明の一つの実施形態において、前記ロック・アンロック部品は前記リフト部品に浮動的に接続されている。
【0023】
上述した技術方案において、2つのロック・アンロック部品はそれぞれ浮動的に設けられているので、各々水平での調整余裕があり、ロック・アンロック部品が電気設備に対して水平位置に誤差がある場合、2つの電池と電気設備の電池位置との対応を確保する。
【0024】
第二の態様において、本願発明の実施形態は、レール、前記レールに移動可能に設けられる前述した電池交換装置、前記レールの一方の端に位置する電池交換ステージ、及び前記レールの他端に位置する電池のピックアンドプレース装置を備える、電池交換システムを提供する。
【0025】
本願発明で提供される電池交換システムは、その電池交換装置が位置を置換できる2つの電池交換機構を有するので、電池のピックアンドプレース装置のフォークが前後して2つの電池交換機構に対して電池を出したり入れたりするように、2つの電池交換機構が前後して電池のピックアンドプレース装置に近づくことができ、2つの電池を同時に交換するニーズに満たし、電池交換の効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願発明の実施形態に係る技術方案をより明らかに説明するために、以下に実施形態で使用される添付図面について簡単に説明するが、以下の添付図面には本願発明のいくつかの実施形態が示されているのみであって、本願発明の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、創作的労働を必要としない前提において、これらの添付図面に基づいてその他の関連図面を得ることができることは、理解されるであろう。
【0027】
【
図1】本願発明の実施形態で提供される電池交換システムの構造模式図である。
【
図2】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置に電池が搭載されてリフトされた状態における側面図である。
【
図3】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置に電池が搭載されている状態における斜視模式図である。
【
図4】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置の斜視模式図である。
【
図5】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置の分解模式図である。
【
図6】本願発明の実施形態で提供される移動ベースの構造模式図である。
【
図7】本願発明の実施形態で提供される回転ベースの上面模式図である。
【
図8】本願発明の実施形態で提供される回転ベースの下面模式図である。
【
図9】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置のカバーを省略した構造模式図である。
【
図10】本願発明の実施形態で提供される電池交換機構のロック・アンロック部品の構造模式図である。
【
図11】本願発明の実施形態で提供されるカバーの構造模式図である。
【
図12】本願発明の実施形態で提供されるロック・アンロック部品のアンロック原理の模式図である。
【
図13】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置のリフト部品のリフト状態図である。
【
図14】本願発明の実施形態で提供されるシザーズ型支持アームの構造模式図である。
【
図15】本願発明の実施形態で提供されるリフト部品とロック・アンロック部品との接続構造模式図である。
【
図16】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置が車の底部まで移動する過程の模式図である。
【
図17】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置の電池を取り外す前の模式図である。
【
図18】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置の電池を取り外した後の模式図である。
【
図19】本願発明の実施形態で提供される電池交換装置が電池のピックアンドプレース装置まで移動する過程の模式図である。
【
図20】本実施形態で提供される電池のピックアンドプレース装置の電池交換装置に対する電池のピックアンドプレースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら本願発明の技術方案の実施形態について詳しく説明する。以下の実施形態は単に本願発明の技術方案をより明らかに説明するために用いられるものであり、例示に過ぎず、これにより本願発明の保護範囲を制限することはない。
【0029】
別段に定義のない限り、本文で使用されるすべての技術や科学用語は、本願発明の技術分野に属する技術者が通常理解する意味と同じである。また、本文で使用される用語は、具体的な実施形態を説明する目的で用いられ、本願発明を制限する意図はない。また、本願発明の明細書や、特許請求の範囲および上述した添付図面の説明における「備える」と「有する」という用語、並びにそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。
【0030】
本願発明の実施形態の説明において、「第1」、「第2」などという技術用語は、異なる対象を区別するためのものに過ぎず、相対的重要性を指示または示唆する、指示される技術的特徴の数、特定の順番や主従関係を暗示すると理解すべきではない。本願発明の実施形態の説明において、別に明らかに具体的に限定されない限り、「複数」という用語は、2つ以上のことをいう。
【0031】
本文で「実施形態」に言及すると、実施形態により説明される特定の特徴、構造または特性は、本願発明の少なくとも一つの実施形態に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置で出現される当該用語は、必ずしも同じ実施形態をいうことに限らず、その他の実施形態と排他的に独立したまたは予備的な実施形態でもない。当業者であれば、本文で説明される実施形態がその他の実施形態と組み合わせてもよいと暗黙的や明確的に理解される。
【0032】
本願発明の実施形態の説明において、「および/または」という用語はただ関連対象を説明する関連関係であり、三つの関係が存在してもよいことを示し、例えば、Aおよび/またはBとは、Aが単独に存在すること、AとBとが同時に存在すること、Bが単独に存在することという、三つの状況を表してもよい。また、本文における「/」という記号は、一般的に前後の関連対象が「または」という関係にあることを示す。
【0033】
本願発明の実施形態の説明において、「複数個」という用語は、2つ以上(2つを含む)のことをいい、同様に、「複数組」とは二組以上(二組を含む)のことをいい、「複数枚」とは二枚以上(二枚を含む)のことをいう。
【0034】
本願発明の実施形態の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「トップ」、「ボトム」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの技術用語で指示される方位や位置関係は、添付図面に基づく方位や位置関係であり、本願発明の実施形態の説明の利便や簡素化のためのものに過ぎず、それで指す装置や素子が必ず特定の方位を有することや、特定の方位で構成したり操作したりすることを指示または示唆するものではないので、本願発明の実施形態を制限するものと理解すべきではない。
【0035】
本願発明の実施形態の説明において、別に明確な規定や限定がない限り、「取り付ける」、「つながる」、「接続」、「固定」などの技術用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、固定的に接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、一体になってもよい。また、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよい。また、直接つながってもよく、中間媒体を介して間接的につながってもよく、2つの素子の内部の連通や2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況により上述した用語が本願発明の実施形態における具体的な意味を理解することができる。
【0036】
新エネルギー技術の発展に伴い、電池を用いる設備が増加しているが、電気設備は電気エネルギーが使い切られると、充電設備に接続することにより電気エネルギーを補充することは一般的であり、例えば電動車を充電パイルに接続して充電することができる。充電パイルなどの充電設備に接続して電気エネルギーを補充することよりも、電池交換により電気エネルギーの補充をより速く実現することができ、現在電池交換に専用の電池交換システムがあり、電池交換システムには電池のピックアンドプレース装置および移動可能な電池交換装置が設けられており、電池交換装置が電気設備の電池を交換するために用いられる。
【0037】
発明者は、航続能力を向上させるために、いくつかの電気設備の電池数を増やし、例えばいくつかの電動車には2つの電池が設けられるが、従来の電池交換装置は毎回一つの電池しか搭載できず、このような2つの電池が設けられる車に対応するために、電池交換装置が車と電池のピックアンドプレース装置との間で少なくとも三つの往復を走行する必要があることに注目した。そして、車まで移動して近づくたびに、車に対して電池を取り外したり取り付けたりする前に、正確に電池を取り外したり取り付けたりするために電池交換装置を改めて位置決めする必要があり、交換効率が低い。
【0038】
効率を向上させるために、発明者は、電池交換装置で一回に搭載される電池の数を増やすことを考えたが、電池交換装置が2つの電池を搭載すれば、一方の電池が電池のピックアンドプレース装置のフォークの作動範囲以外にあることとなってしまい、電池のピックアンドプレース装置により電池交換装置で2つの電池をともに回収できず、電池交換装置へ2つの電池を入れることもできない。
【0039】
従来の電池交換装置の電池交換の効率が低いという問題を解決するために、本願発明は、電池交換装置に移動ベース、置換機構および2つの電池交換機構を設け、置換機構と2つの電池交換機構のいずれも移動ベースに設置し、2つの電池交換機構にそれぞれ一つの電池を搭載し、移動ベースにより電池交換装置を移動させて電気設備に近づかせる場合、2つの電池交換機構がそれぞれ電気設備の電池取付位置に合わせることにより、一回の位置決めで2つの電池を同時に取り外したり取り付けたりすることができ、2つの電池交換機構が前後して電池のピックアンドプレース装置のフォークの作動範囲にあるように、置換機構が2つの電池交換機構の位置置換を駆動するために用いられ、2つの電池の回収および更新を行う、という方案を提供する。上述した方案によれば、電池交換装置は、2つの電池の同時交換を実現し、往復して走行する回数が減少され、位置決めする回数が減少され、電池交換の効率が向上する。
【0040】
電池取付位置とは、使用される電気設備に形成される電池を収納するための空間、例えば車台に形成される上へ窪む凹部を指し、当該凹部により、電池がそれに位置する場合、電池の表面が車台の残りの部位とほぼ揃っていることをまず説明しておく。
【0041】
本願発明の実施形態に開示される電池交換装置および電池交換システムは、車の電池の交換に適用されてもよいがそれに限定されず、船、飛行体など、その他の電気設備の電池の交換にも適用され、例えば電動おもちゃ、電動工具、電気自転車、電動自動車、汽船、航空機などに用いられ。中でも電動おもちゃは据置型や携帯型のもの、例えばゲーム機、電動自動車おもちゃ、電動汽船おもちゃおよび電動飛行機おもちゃなどを含んでもよく、電動工具は据置型や携帯型のもの、例えば電動工作機械、電動掃除車などを含んでもよく、航空機は飛行機、ロケット、宇宙飛行機および宇宙船などを含んでもよい。
【0042】
以下、電気設備が車であることを例として、電池交換装置および電池交換システムについて説明する。
【0043】
図1を参照すると、電池交換システム1000は電池交換装置100および電池のピックアンドプレース装置200を含む。
【0044】
電池交換システム1000はさらに、電池2000を置いて充電するための電池充電装置(不図示)を含む。電池のピックアンドプレース装置200は、ロボット、パレタイザなどの装置であってもよく、電池のピックアンドプレース装置200にはフォーク201(ロボットアームに代わってもよい)が設けられており、フォーク201を用いて電池交換装置100における充電する電池2000を出して電池充電装置に入れて回収し、フル充電された電池2000を電池充電装置から取り出して電池交換装置100に入れる。
【0045】
電池交換装置100は車と電池のピックアンドプレース装置200との間で移動し、車における充電する電池2000を取り外して電池のピックアンドプレース装置200まで輸送し、電池のピックアンドプレース装置200で更新されるフル充電された電池2000を車に取り付ける。
【0046】
電気設備が移動型設備、たとえば車である場合には、電池交換システム1000には、車を駐車するための電池交換ステージ300がさらに含まれる。電池交換装置100は、電池交換ステージ300と電池のピックアンドプレース装置200との間で移動する。電池交換ステージ300は、車を全体としてリフトするために用いられ、車は電池交換ステージ300の上方に位置し、電池交換ステージ300には退避口301が形成され、車の電池取付位置(不図示)が退避口301に対応しており、電池交換装置100が車の退避口301の下に停止し、電池交換装置100における電池交換機構2が退避口301を通過して電池2000を取り外したり取り付けたりする。
【0047】
電池交換システム1000はさらに、一方の端が電池のピックアンドプレース装置200のフォーク201の作動範囲内に延び、他端が電池交換ステージ300まで延びるレール400を含む。電池交換装置100には、ローラ12と走行駆動機構13とが設けられており、ローラ12とレール400とが協働し、走行駆動機構13がローラ12を駆動してレール400を転動させる。
【0048】
走行駆動機構13は、駆動モータ、油圧駆動ロッドなどであってもよく、
図2に示すように、本実施形態において、走行駆動機構13は、電池交換装置100に取り付けられる走行モータ131と、走行モータ131の出力端に設けられる走行ギヤ132を含む。
図1および
図2に示すように、電池交換システム1000は、床面に固定されてレール400に沿って延びて走行ギヤ132と噛み合うラック500をさらに含み、走行モータ131は作動するときに走行ギヤ132を駆動してラック500を回動させることにより、電池交換装置100を移動させる。
【0049】
図3、
図4および
図5を参照すると、電池交換装置100は、移動ベース1、置換機構3および2つの電池交換機構2を備える。移動ベース1は、電池交換装置100を移動させるため、すなわち、前述したローラ12、走行駆動機構13を取り付けるために用いられ、置換機構3および2つの電池交換機構2は移動ベース1に設けられる。2つの電池交換機構2は、電池交換装置100に2つの電池2000を同時に交換させるように、それぞれに電池2000を一つずつ搭載するために用いられる。置換機構3は、2つの電池交換機構2を駆動して位置を置換するために用いられる。
【0050】
電池交換装置100は2つの電池2000を交換するために電池のピックアンドプレース装置200と車との間で二回しか往復する必要がない。一回目の往復は、以下のようである。すなわち、電池交換装置100が無負荷で車の底部まで移動し、2つの電池交換機構2が同時に位置決めを行い、車における2つの充電する電池2000を取り外す。その後、電池交換装置100に2つの充電する電池2000を搭載して電池のピックアンドプレース装置200の近くまで移動し、一方の電池交換機構2が先に電池のピックアンドプレース装置200のフォーク201の作動範囲内に位置するようにし、電池のピックアンドプレース装置200が当該電池交換機構2から充電する電池2000を取り出してフル充電された電池2000を入れ、そして置換機構3が2つの電池交換機構2を駆動して位置を置換することで、他方の電池交換機構2が電池のピックアンドプレース装置200のフォーク201の作動範囲内に位置するようにするという操作を、電池のピックアンドプレース装置200が繰り返し、他方の電池交換機構2から充電する電池2000を取り出してフル充電された電池2000を入れる。二回目の往復は、電池交換装置100が2つのフル充電された電池2000を搭載して車の底部まで移動し、2つの電池交換機構2が同時に位置決めを行い、2つのフル充電された電池2000を車の電池取付位置に取り付け、そして無負荷で元の位置に戻し、次の作動を待つ。
【0051】
従来の電池交換装置では2つの電池を交換するには少なくとも三回往復する必要があり、電池を取り外したり取り付けたりする前に車の底部で位置決めする必要があり、電池交換の全過程において、従来の電池交換装置に車の底部で四回位置決めする必要があり、一回で一つの電池しか交換できない。従来の電池交換装置に比べ、本実施形態で提供される電池交換装置100によれば、2つの電池2000の同時交換を実現でき、往復回数が減少し、電池交換装置100が車の底部で位置決めする回数が減少し、2つの電池2000の取り外し作動が同期して進み、また2つの電池2000の取り付け作動が同期して進むので、電池交換の効率を効果的に向上させ、電池交換の効率が低いという問題を解決する。
【0052】
本実施形態で提供される電池交換装置100は、2つの電池2000を同時に交換するために用いられるだけでなく、一つの電池2000を携帯している車の電池を交換する場合にも、電池交換の効率を向上させることができる。電池交換装置100は一方の電池交換機構2を無負荷にし、他方の電池交換機構2にフル充電された電池2000を搭載し、車の底部まで移動し、無負荷の電池交換機構2を位置決めして充電する電池2000を取り外してから、置換機構3が2つの電池交換機構2の位置置換を駆動し、他方のフル充電された電池2000を搭載している電池交換機構2を位置決めし、フル充電された電池2000を車に取り付けた後、電池交換装置100が当該充電する電池2000を携帯して電池のピックアンドプレース装置200まで移動する。従来の電池交換装置では少なくとも二回往復する必要があるのに対して、本実施形態では一回しか往復する必要がないため、電池交換の効率を効果的に向上させ、電池交換の効率が低いという問題を解決する。そして、2つの電池交換機構2の位置を置換することができるので、無負荷の電池交換機構2が正確に位置決めした限り、フル充電された電池2000を搭載している電池交換機構2は、置換機構3で位置を置換することで正確に位置決めすることができ、位置決めする困難度が低下し、位置決めする速度が向上し、電池交換の効率を向上させることができる。
【0053】
図5に示すように、置換機構3は駆動部32と回転ベース31とを備え、駆動部32は回転ベース31を駆動して移動ベース1上を回動させるために用いられ、2つの電池交換機構2が回転ベース31に取り付けられ、回転ベース31が回動することにより2つの電池交換機構2が位置置換を行う。
図5には回転ベース31の回動軸線aが示されており、2つの電池交換機構2が回転ベース31の回動軸線aに沿って対称的に設けられている。
【0054】
図5および
図6に示すように、回転ベース31は一方の側が移動ベース1に接続され、他方の側が2つの電池交換機構2を取り付けるために用いられ、回転ベース31の回動軸線aが水平面に垂直であり、回転ベース31が回動すると2つの電池交換機構2の位置が変化する。
【0055】
2つの電池交換機構2は回転ベース31に沿って対称的であるので、回転ベース31が180°水平回転すれば、2つの電池交換機構2が位置を置換し、すなわち2つの電池交換機構2が互いに相手の位置にあるようになり、置換方法が簡単で利便である。
【0056】
現在の車において、電池取付位置の長さ方向が車体の長さ方向に垂直(すなわち横方向に配置)である車があり、電池取付位置の長さ方向が車体の長さ方向に沿っている(すなわち縦方向に配置)車もあるが、本実施形態で提供される電池交換装置100は、その回転ベース31が90°回動する場合、2つの電池交換機構2に搭載されている電池2000を対応する横方向または縦方向に切り替えることができる。車の電池取付位置が車体に対して他の方向配置にある場合、回転ベース31の回転角度を他の角度に調整してもよい。そのため、車の電池取付位置が如何に配置されても、駆動部32により回転ベース31を適当な角度を回動するように駆動することで、2つの電池交換機構2およびそれに搭載されている電池2000を車体の電池取付位置の配置方向に対応させることができ、本実施形態で提供される電池交換装置100は電池交換の効率を向上させることができるだけでなく、幅広い適用性も持つ。
【0057】
本願発明の別の実施形態において、別の方法で2つの電池交換機構2の位置置換を実現してもよく、例えば、置換機構3はベルトとロッキングレバーとを備え、ベルトが移動ベース1に取り付けられ、2つの電池交換機構2がいずれもベルトに位置してベルトの移動方向に並べられ、説明の便宜上、2つの電池交換機構2をそれぞれ第1の電池交換機構2と第2の電池交換機構2と呼び、ロッキングレバーは一方の端が移動ベース1に接続され、他端が第1の電池交換機構2に接続されており、ロッキングレバーが揺れる場合、第1の電池交換機構2を上げて空間を空けるようにベルトから離脱させることで、ベルトにより第2の電池交換機構2を第1の電池交換機構2の位置まで移動させ、その後ロッキングレバーが揺れ続いて第1の電池交換機構2を第2の電池交換機構2の位置に置く。
【0058】
図6、
図7および
図8に示すように、駆動部32は移動ベース1に固定され、置換機構3はさらに互いに噛み合う第1のギヤ321と第2のギヤ311とを備え、第1のギヤ321が駆動部32の出力端に取り付けられ、第2のギヤ311が回転ベース31に固定される。
【0059】
図6に示すように、移動ベース1はベース本体11と台座14とを備え、台座14がベース本体11に設けられ、台座14には軸受141が設けられている。前述したローラ12、走行駆動機構13はいずれもベース本体11に取り付けられ、駆動部32はベース本体11に取り付けられるサーボモータであり、サーボモータの出力端が第1のギヤ321の回転軸に接続され、第1のギヤ321の回動を駆動する。第2のギヤ311は回転ベース31の移動ベース1に近い側に固定され、軸受141に接続し、かつ第1のギヤ321と噛み合う。このように、駆動部32が第1のギヤ321を駆動して回動させると、第2のギヤ311はそれに伴って回動し、回転ベース31を回転させる。
【0060】
第1のギヤ321と第2のギヤ311とが同一の平面に配置されているので、回転ベース31と移動ベース1との間の距離が小さく、電池交換装置100は全体構造としてコンパクトで、重心が低く、安定して移動し、かつ通過性が良好であり、車の底部まで移動することに有利である。
【0061】
選択肢として、サーボモータの出力軸が水平方向に延び、第1のギヤ321の回転軸が鉛直方向に延び、サーボモータの出力軸と第1のギヤ321の回転軸とがベベルギヤセットで伝動されることにより、縦方向の空間占用をさらに減少させる。
【0062】
いくつかの実施形態において、駆動部32はその他の駆動部品であってもよく、例えば、駆動部32はエアシリンダとラック500とを備え、ラック500は第1のギヤ321と噛み合い、エアシリンダの出力端に接続し、エアシリンダの出力端によりラック500を駆動して移動させることで、第1のギヤ321を回動させる。
【0063】
いくつかの実施形態において、
図9に示すように、2つの電池交換機構2は離間して設けられ、すなわち2つの電池交換機構2間に一定距離の間隔がある。当該間隔の距離で2つの電池交換機構2が互いに干渉することを避け、2つの電池交換機構2に搭載される2つの電池2000が干渉することを防止することができ、2つの電池交換機構2が独立して電池2000を交換することを確保する。
【0064】
図4、
図5、
図10および
図11に示すように、電池交換機構2は、ベースプレート211とロック・アンロックユニット212とを含むロック・アンロック部品21を備え、ロック・アンロックユニット212はベースプレート211に取り付けられる。電池交換機構2はさらに、ベースプレート211の上を覆うカバー22を含み、カバー22には第1の開口部221が設けられ、第1の開口部221は、ロック・アンロックユニット212が電池2000に対してロックまたはアンロックするように、ロック・アンロックユニット212がはみ出すために用いられ、電池2000を車の電池取付位置に固定し、または電池2000を車の電池取付位置から取り外す。
【0065】
図12に示すように、一般的には、電池2000に締め付けボルト2001が設けられ、車台に移動ナット3001が設けられ、締め付けボルト2001と移動ナット3001とがねじで螺合し、ロック・アンロックユニット212は締め付けボルト2001を移動ナット3001にねじ込むことにより電池2000を電池取付位置に固定して取り付け、また締め付けボルト2001を移動ナット3001から緩めて電池2000を取り外す。例えば、ロック・アンロックユニット212は、ロック・アンロック駆動モータ2121とボルトスリーブ2122とを備え、ボルトスリーブ2122の一方の端がロック・アンロック駆動モータ2121の出力端に接続し、ボルトスリーブ2122の他端が締め付けボルト2001に合っており、ロック・アンロック駆動モータ2121によりボルトスリーブ2122を正方向または逆方向に回動するように駆動し、締め付けボルト2001を移動ナット3001に対してねじ込んだり緩めたりする。別の実施形態において、ロック・アンロックユニット212は他の電池2000をロックやアンロックする方法を採用してもよい。
【0066】
カバー22はロック・アンロック部品21を外部から遮蔽することにより、ロック・アンロック部品21を保護し、例えば、パレタイザのフォーク201で電池交換機構2に対して電池2000をピックアンドプレースする場合、カバー22はフォーク201がロック・アンロック部品21に直接当たることを防止し、ロック・アンロック部品21が傷付くことを避け、かつカバー22は、ロック・アンロックユニット212により電池2000をロックまたはアンロックすることに影響しない。
【0067】
図4、
図10および
図11に示すように、ロック・アンロック部品21はさらに位置決め部214と支持部213とを含み、位置決め部214と支持部213とがいずれもベースプレート211に取り付けられ、カバー22には第2の開口部222および第3の開口部223が設けられ、位置決め部214は第2の開口部222からはみ出し、支持部213は第3の開口部223からはみ出す。位置決め部214は電池2000を位置決めするために用いられ、支持部213は電池2000を支持するために用いられる。
【0068】
図4に示すように、各々の電池交換機構2は複数の支持部213を有し、複数の支持部213は一緒に一つの電池2000を支持する。各々の電池2000は複数点で支持する方法で電池交換機構2に置かれ、電池2000が安定して置かれることを確保する。支持部213の作用で、カバー22が受ける力が減少し、傷付きにくい。
【0069】
図12に示すように、電池2000の外周には第1のピンホール2002が設けられ、位置決め部214が第1のピンホール2002に穿設することにより、電池2000がロック・アンロック部品21に対して位置決めされる。選択肢として、車台3000には第2のピンホール(不図示)が設けられ、位置決め部214が第1のピンホール2002を通過して第2のピンホールに入ることにより、電池2000を車台3000に位置決めする。位置決め部214はピンとして配置され、ピンの端部がテーパー形状に形成され、テーパー形状の外周が傾斜面を形成してピンを第1のピンホール2002と第2のピンホールに案内することに寄与し、位置決めする困難度を低下させる。
【0070】
位置決め部214と支持部213との組合せにより、ロック・アンロック部品21、電池2000および車台3000を位置決め、電池2000と車台3000での電池取付位置とが対応することを確保する。
【0071】
選択肢として、支持部213は第1の支持ブロック2131、第2の支持ブロック2132および弾性部2133を含み、弾性部2133は第1の支持ブロック2131と第2の支持ブロック2132との間に接続される。第1の支持ブロック2131はベースプレート211に固定接続され、弾性部2133により第2の支持ブロック2132が支持されてカバー22の第3の開口部223から弾性的にはみ出し、電池2000の底面に接触する。
【0072】
支持部213により電池2000とロック・アンロックユニット212との間縦方向における移動余裕があり、外力を受けると支持部213が圧縮され、電池2000がロック・アンロックユニット212に近づき、ロック・アンロックユニット212と電池2000の締め付けボルト2001とが合っている。また、外力が消失すると支持部213が変形を回復し、電池2000がロック・アンロックユニット212から相対的に離れ、ロック・アンロックユニット212と締め付けボルト2001とが分離する。支持部213の作用で、電池2000のロック・アンロックを制御することが利便であり、ロック・アンロックユニット212と電池2000との干渉を避け、電池交換機構2に対して電池2000を出したり入れたりすることが利便となる。
【0073】
ロック・アンロック部品21と電池2000とをより保護するために、
図11に示すように、カバー22にはスロット224がさらに設けられ、スロット224はカバー22のロック・アンロック部品21から離れる側に位置し、フォーク201に電池2000をピックアンドプレースするように挿入される。
【0074】
パレタイザのフォーク201には2つのアームがあり(
図1参照)、
図11に示すように、各々のカバー22には平行で離間しているスロット224が二本形成され、電池交換機構2に電池2000が搭載されている場合、スロット224が電池2000の下方に位置し(
図3参照)、フォーク201の2つのアームがそれぞれ2つのスロット224の端部から水平に入ることを許容するように各々のスロット224の両端が開放されることで、2つのアームが電池2000の底部に位置するようになり、2つのアームを上げることにより電池2000を電池交換機構2からリフトして取り出す。電池交換機構2に電池2000を入れる必要がある場合、2つのアームを下げて電池2000を支持部213に接触させ、この際、2つのアームはそれぞれ2つのスロット224に入ることになる。2つのアームが2つのスロット224から水平に出ることにより、電池のピックアンドプレース装置200はフルに充電される電池2000を電池交換機構2に入れる動作を完了する。
【0075】
スロット224を設けることにより、フォーク201が電池2000をピックアンドプレースすることが利便となる。さらには、フォーク201は電池2000の底面よりも低く下げてから、水平に移動してスロット224に出入れる。フォーク201は水平に移動する過程において電池2000の底面と接触せず、電池2000を磨耗させることはない。
【0076】
電池交換機構2はさらに、ロック・アンロック部品21をリフトするためのリフト部品23を備える。
【0077】
図13および
図14に示すように、リフト部品23はシザーズ型支持アーム231、昇降駆動部232および取付ベース233を含む。ロック・アンロック部品21は取付ベース233に取り付けられ、シザーズ型支持アーム231は上端が取付ベース233に接続し、下端が回転ベース31に接続し、昇降駆動部232は、取付ベース233上のロック・アンロック部品21を昇降させるように、シザーズ型支持アーム231の昇降を駆動するために用いられる。
【0078】
シザーズ型支持アーム231は第1の支持ロッド2311、第2の支持ロッド2312、第1の軸受台2313、第2の軸受台2314、第1のスライドレール2315および第2のスライドレール2316を含む。第1の支持ロッド2311と第2の支持ロッド2312との中央部が回転軸により接続される。また、第1の支持ロッド2311は一方の端が第1の軸受台2313に接続し、他端に第1のスライダ23111が設けられ、第1のスライダ23111が第1のスライドレール2315にスライド接続されている。また、第2の支持ロッド2312は一方の端が第2の軸受台2314に接続し、他端に第2のスライダ23121が設けられ、第2のスライダ23121が第2のスライドレール2316にスライド接続されている。第1の軸受台2313と第2のスライドレール2316とは回転ベース31に固定され、第2の軸受台2314と第1のスライドレール2315とは取付ベース233に固定されている。
【0079】
昇降駆動部232は昇降モータ2321、送りねじ2322およびナット2323を含み、昇降モータ2321と送りねじ2322は回転ベース31に取り付けられ、送りねじ2322は第1のスライドレール2315および第2のスライドレール2316に平行であり、昇降モータ2321の出力端には送りねじ2322の回動を駆動するように送りねじ2322が接続され、ナット2323と送りねじ2322とは螺合し、かつナット2323と第2のスライダ23121とは固定接続されている。
【0080】
昇降モータ2321が作動すると、送りねじ2322が回動し、ナット2323が送りねじ2322に沿って移動し、第2のスライダ23121を第2のスライドレール2316に沿って移動させ、さらに第1の支持ロッド2311と第2の支持ロッド2312を駆動し、取付ベース233に設けられるロック・アンロック部品21を昇降させる。
【0081】
昇降部品は油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダ、送りねじ2322、ナット2323などで昇降を駆動する装置を採用してもよく、すなわち油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダ、送りねじ2322、ナット2323などでシザーズ型支持アーム231を駆動する、またはロック・アンロック部品21を油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダ、送りねじ2322、ナット2323などの出力端に直接取り付ける。
【0082】
リフト部品23を設けることにより、電池交換装置100は移動する過程において高さを下げることができ、電池交換装置100が全体機構としてよりコンパクトで、重心がより低く、電池交換装置100の通過性を高める。また、電池交換装置100が電気設備まで到達すると、リフト部品23が電池交換機構2をリフトすることで、ロック・アンロック部品21が車台3000に近づき、位置決め動作、電池2000のアンロックおよびロック動作を行い、電池2000の取り外しおよび取り付けを完了する。
【0083】
いくつかの実施形態において、ロック・アンロック部品はリフト部品23に浮動的に接続される。
【0084】
図15に示すように、ロック・アンロック部品21のベースプレート211は取付ベース233の上方に位置し、ベースプレート211と取付ベース233との間は離間しており、ベースプレート211には複数の支持コラム2111が設けられ、支持コラム2111が曲がって取付ベース233の下方まで延び、支持コラム2111と取付ベース233とはチェーン2112により接続される。チェーン2112は支持コラム2111よりも長さが小さく、それによりベースプレート211と取付ベース233との間隔を保持し、ベースプレート211を取付ベース233の上方で浮上させる。
【0085】
本実施形態において、ベースプレート211は矩形であり、取付ベース233はベースプレート211よりも面積が小さく、ベースプレート211の水平投影は取付ベース233をカバーし、ベースプレート211には四つの支持コラム2111が設けられ、四つの支持コラム2111はそれぞれ矩形の四隅にあり、取付ベース233には対応して四本のチェーン2112が設けられ、各支持コラム2111はL型であり、L型の一端がベースプレート211に接続され、他端がチェーン2112に接続される。四つの支持コラム2111と四つのチェーン2112とは一緒に作用し、ベースプレート211、四つの支持コラム2111はいずれも取付ベース233に接触せず、ロック・アンロック部品21のフローティングが阻害されることを避ける。
【0086】
2つのロック・アンロック部品21はそれぞれリフト部品23に浮動的に設けられるので、位置決めする過程においてそれぞれに水平に調整する余裕があり、ロック・アンロック部品21が車の電池取付位置に対して誤差がある場合、水平に移動して位置を調整することができ、2つの電池2000はそれぞれ車の電池取付位置と対応することを確保する。
【0087】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、本願発明は、
図1に示すように、レール400、前述した電池交換装置100、電池交換ステージ300および電池のピックアンドプレース装置200を備える電池交換システム1000を提供する。電池交換ステージ300はレール400の一端に位置し、電池のピックアンドプレース装置200はレール400の他端に位置し、電池交換装置100はレール400に移動可能に設けられる。
【0088】
電池交換装置100は、2つの電池2000を同時に交換することができ、かつ、電池交換の効率が高い。また、電池交換装置100は一つの電池2000のみを交換する場合、電池交換の効率も高い。また、電池交換装置100の置換機構3はさらに、異なる車の電池取付位置に適応させるように電池交換機構2およびそれに搭載される電池2000の位置を調整することができる。そのため、本願発明の実施形態で提供される電池交換システム1000は広く適用され、様々なタイプの車(またはその他の電気設備)の電池交換ニーズを満たすことができ、かつ、電池交換の効率が高い。
【0089】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、
図3から
図15に示すように、本願発明は、移動ベース1、置換機構3および2つの電池交換機構2を備え、置換機構3および2つの電池交換機構2が移動ベース1に設けられ、電池交換装置100により2つの電池2000を同時に交換するように2つの電池交換機構2が2つの電池2000を搭載するために用いられ、置換機構3が2つの電池交換機構2を駆動して位置を置換するために用いられる、電池交換装置100を提供する。中でも、置換機構3は移動ベース1に取り付けられる駆動部32および回転ベース31を含み、駆動部32が回転ベース31を駆動して移動ベース1で鉛直な回動軸線a回りに回動させる。駆動部32はサーボモータであり、
図2に示すように、サーボモータの出力端に第1のギヤ321が設けられ、回転ベース31に第2のギヤ311が設けられ、第1のギヤ321と第2のギヤ311とは噛み合い、サーボモータは第1のギヤ321および第2のギヤ311により回転ベース31の回動を駆動する。
図9に示すように、2つの電池交換機構2は離間して回転ベース31に設けられ、2つの電池交換機構2は回転ベース31の回動軸線aに沿って対称的である。
【0090】
各電池交換機構2はいずれもリフト部品23、ロック・アンロック部品21およびカバー22を含み、リフト部品23は回転ベース31に接続し、ロック・アンロック部品21はリフト部品23に接続され、カバー22はロック・アンロック部品21を覆って設けられる。リフト部品23はシザーズ型支持アーム231、昇降駆動部232および取付ベース233を含み、シザーズ型支持アーム231は回転ベース31と取付ベース233とを接続し、昇降駆動部232はシザーズ型支持アーム231の動作を駆動し、取付ベース233を回転ベース31に対して上昇または降下させる。ロック・アンロック部品21はベースプレート211、四つのロック・アンロックユニット212、四つの位置決め部214および六つの支持部213を含み、四つのロック・アンロックユニット212、四つの位置決め部214および六つの支持部213はいずれもベースプレート211に取り付けられる。ベースプレート211はチェーン2112および支持コラム2111により取付ベース233に浮動的に接続され、それによりロック・アンロック部品21が全体として取付ベース233に対して水平に移動する余裕がある。カバー22はベースプレート211に接続され、カバー22には四つの第1の開口部221、四つの第2の開口部222および六つの第3の開口部223が設けられ、そのうち四つの第1の開口部221と四つのロック・アンロックユニット212とは位置が対応し、四つの第2の開口部222と四つの位置決め部214とは位置が対応し、六つの第3の開口部223と六つの支持部213とは位置が対応する。六つの支持部213は六つの第3の開口部223からはみ出して電池2000を支持し、四つの位置決め部214は四つの第2の開口部222からはみ出して車上の位置決め構造と合わせて電池2000を位置決め、四つのロック・アンロックユニット212は四つの第1の開口部221からはみ出して電池2000の外部に設けられる締め付けボルト2001の回動を駆動する。
【0091】
本実施形態において、六つの支持部213はいずれもベースプレート211の中央部に設けられ、それにより電池2000へ均一に支持力を提供する。
図4に示すように、四つの支持部213は電池2000の四隅を支持するために用いられ、2つの支持部213は電池2000の中央部位置を支持するために用いられる。四つの位置決め部214は、空間を空けて電池2000を置くためにベースプレート211の縁に分散して設けられる。四つのロック・アンロック部品21は四つの支持部213に近づけて設けられ、それにより電池2000の外周に近づき、電池2000の外部に設けられる締め付けボルト2001を駆動する。
【0092】
【0093】
本実施形態では、2つの電池2000がいずれも横置きである車の電池交換過程を例として説明する。電池2000が横置きである車では、電池2000の長さ方向は車体の長さ方向に垂直であり、2つの電池2000は車体の長さ方向に沿って並べられ、車が電池交換ステージ300で駐車している場合、車体の長さ方向はレール400に垂直であり、車台における電池取付位置は電池交換ステージ300の退避口301の上方にある。また、本願発明で言及される車体の長さ方向はヘッドからテールへの方向である。すなわち、車が電池交換ステージ300で駐車している場合、ヘッドがレール400の一方の側の上方に、テールがレール400の他方の側の上方にあり、2つの電池2000がヘッドからテールへの方向に沿って並べられて車台における電池取付位置に接続され、電池2000が退避口301の上方に位置する。
【0094】
図16に示すように、電池交換装置100はレール400に沿って無負荷で電池交換ステージ300へ移動し、電池交換ステージ300の退避口301の下方まで移動すると、駆動部32は回転ベース31を駆動して90°回動させ、2つの電池交換機構2が位置を調整し、
図17に示すように、2つの電池交換機構2がそれぞれ車台で横置きの2つの電池取付位置に対応するようにする。
【0095】
次に、リフト部品23はロック・アンロック部品21をリフトし、ロック・アンロック部品21における位置決め部214は車台における位置決め構造(すなわち、第2のピンホール)と協働し、位置決め部214は端部が円錐状のピンであり、ロック・アンロック部品21の位置に誤差がある場合、第2のピンホールの内壁がピンの円錐状部に作用して案内力を生じ、ベースプレート211を取付ベース233に対して水平移動させることにより、第2のピンホールとピンとを揃え、さらにロック・アンロック部品21が正確な位置まで自己整合的に調整される。
【0096】
リフト部品23のリフトが続くと、ロック・アンロック部品21における支持部213が電池2000に接触し、リフト部品23が所定の位置までリフトすると、電池2000は支持部213を圧縮し、ロック・アンロックユニット212と電池2000における締め付けボルト2001とが協働し、ロック・アンロックユニット212により締め付けボルト2001を車台から緩め、充電する電池2000をアンロックする。
【0097】
図18に示すように、2つの電池交換機構2のロック・アンロック部品21によりそれぞれ電池2000をアンロックした後、リフト部品23は降下し、2つの電池交換機構2に各々アンロックした充電する電池2000が搭載される。次に、
図19に示すように、駆動部32は回転ベース31を駆動して90°回動させることにより、2つの電池交換機構2の位置を調整し、電池交換装置100はレール400に沿って電池のピックアンドプレース装置200へ移動する。
【0098】
図20に示すように、電池交換装置100は全体としてレール400に沿って電池のピックアンドプレース装置200まで戻り、一方の電池交換機構2は電池のピックアンドプレース装置200のフォーク201の作動範囲に近づき、フォーク201を当該電池交換機構2のカバー22のスロット224に挿入し、充電する電池2000を電池交換機構2から上へリフトし、電池充電装置まで戻してから、フル充電された電池2000を当該電池交換機構2に置く。フル充電された電池2000を置く過程において、ロック・アンロック部品21における位置決め部214と電池2000における第1のピンホール2002とが協働し、電池2000の位置に誤差がある場合、第1のピンホール2002の内壁はピンの円錐状部に作用して案内力を生じ、ベースプレート211を取付ベース233に対して水平移動させることにより、第1のピンホール2002とピンとをそろえ、さらに電池2000を正確に位置決めする。
【0099】
そして、駆動部32は回転ベース31を駆動して180°回動させ、2つの電池交換機構2が位置を置換し、他方の電池交換機構2が電池のピックアンドプレース装置200のフォーク201の作動範囲内にあるようにし、電池のピックアンドプレース装置200は前述した動作を繰り返すことにより、他方の電池交換機構2から充電する電池2000を取り出してからフル充電された電池2000を入れる。
【0100】
2つの電池2000をともに更新した後、電池交換装置100は2つのフル充電された電池2000を搭載してレール400に沿って電池交換ステージ300まで移動し、駆動部32は回転ベース31を駆動して90°回動させ、2つの電池交換機構2が位置を調整し、再び2つの電池交換機構2をそれぞれ車台における2つの電池取付位置に対応させる。リフト部品23はロック・アンロック部品21をリフトし、位置決め部214と車台における第2のピンホールとが協働して案内することにより、ロック・アンロック部品21と電池2000とが車台に対して正確に位置決めされ、電池2000が電池取付位置に入ることを確保する。次に、ロック・アンロックユニット212は電池2000における締め付けボルト2001と車台における移動ナット3001を駆動して電池2000を一緒にロックする。
【0101】
2つの電池2000のロックが完了すると、リフト部品23が降下し、初期位置まで戻り、次の電池交換を待機する。初期位置はレール400における電池のピックアンドプレース装置200と電池交換ステージ300の作動を影響しない任意の位置である。
【0102】
以上は、本願発明の好ましい実施形態に過ぎず、本願発明を制限するものではなく、当業者であれば、本願発明に様々な変更や変化を加えることができる。本願発明の精神および原則から逸脱しない限り、加えられるいかなる補正、同等置換、改良などは、いずれも本願発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1000 電池交換システム
2000 電池
2001 締め付けボルト
2002 第1のピンホール
3000 車台
3001 移動ナット
100 電池交換装置
200 電池のピックアンドプレース装置
201 フォーク
300 電池交換ステージ
301 退避口
400 レール
500 ラック
1 移動ベース
11 ベース本体
12 ローラ
13 走行駆動機構
131 走行モータ
132 走行ギヤ
14 台座
141 軸受
2 電池交換機構
21 ロック・アンロック部品
211 ベースプレート
2111 支持コラム
2112 チェーン
212 ロック・アンロックユニット
2121 駆動モータ
2122 ボルトスリーブ
213 支持部
2131 第1の支持ブロック
2132 第2の支持ブロック
2133 弾性部
214 位置決め部
22 カバー
221 第1の開口部
222 第2の開口部
223 第3の開口部
224 スロット
23 リフト部品
231 シザーズ型支持アーム
2311 第1の支持ロッド
23111 第1のスライダ
2312 第2の支持ロッド
23121 第2のスライダ
2313 第1の軸受台
2314 第2の軸受台
2315 第1のスライドレール
2316 第2のスライドレール
232 昇降駆動部
2321 昇降モータ
2322 送りねじ
2323 ナット
233 取付ベース
3 置換機構
31 回転ベース
311 第2のギヤ
32 駆動部
321 第1のギヤ
a 回動軸線