(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240805BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240805BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240805BHJP
H10K 59/65 20230101ALI20240805BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20240805BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20240805BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20240805BHJP
H10K 50/85 20230101ALI20240805BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G02F1/1333
G02F1/1335 520
H10K59/65
H10K59/121
H10K50/818
H10K50/86 865
H10K50/85
(21)【出願番号】P 2023544911
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2021032290
(87)【国際公開番号】W WO2023032122
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 成継
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0200596(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0279090(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0066809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を含む第1層と、
前記第1層よりも上層に位置し、上方から入射した光を下方の前記撮像素子に導く導光素子を含む第2層と、
前記第2層よりも上層に位置し、画素電極および前記画素電極に接続して前記画素電極の電位を制御する画素回路を含む第3層と、を備え、
前記第3層は、それぞれ複数の前記画素回路および複数の前記画素電極が配置された、第1領域と第2領域とを有し、
前記第1領域における前記画素回路の密度は、前記第2領域における前記画素回路の密度よりも小さく、
前記撮像素子および前記導光素子は、上方から見る平面視で前記第1領域と重畳するように配置され、
前記導光素子は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの複数の前記画素回路および複数の前記画素電極と重畳しない位置に配置され前記導光素子は複数であり、
前記第2層はさらに、複数の前記導光素子の各間に配置され、前記導光素子から入射した光を吸収または反射する境界部を含み、
前記第3層はさらに、光を吸収または反射する複数の配線を含み、
前記境界部は、前記第1領域における前記配線の全部と重畳する、表示装置。
【請求項2】
前記画素電極は、光を反射する反射電極であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画素回路は、光を反射または吸収する配線または電極を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記境界部は、前記導光素子よりも屈折率が高い透明材料、または光を吸収または反射する遮光材料から成る請求項
1~3の何れかにに記載の表示装置。
【請求項5】
上方から見る平面視で、前記第1領域における複数の前記画素回路のうち隣り合う2つの画素回路の間隔は、当該2つの画素回路の間に配置された前記導光素子の径の10倍よりも大きい請求項
4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2層はさらに、遮光領域を含み、
前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの複数の前記画素回路および複数の前記画素電極と重なる位置に配置され、かつ、上方から入射した光を吸収または反射する請求項
4または5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの全ての前記画素回路および全ての前記画素電極と重なる位置に配置される請求項
6に記載の表示装置。
【請求項8】
撮像素子を含む第1層と、
前記第1層よりも上層に位置し、上方から入射した光を下方の前記撮像素子に導く導光素子を含む第2層と、
前記第2層よりも上層に位置し、画素電極および前記画素電極に接続して前記画素電極の電位を制御する画素回路を含む第3層と、を備え、
前記第3層は、それぞれ複数の前記画素回路および複数の前記画素電極が配置された、第1領域と第2領域とを有し、
前記第1領域における前記画素回路の密度は、前記第2領域における前記画素回路の密度よりも小さく、
前記撮像素子および前記導光素子は、上方から見る平面視で前記第1領域と重畳するように配置され、
前記導光素子は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの複数の前記画素回路および複数の前記画素電極と重畳しない位置に配置され前記導光素子は複数であり、
前記第2層はさらに、複数の前記導光素子の各間に配置され、前記導光素子から入射した光を吸収または反射する境界部を含み、
前記第2層はさらに、遮光領域を含み、
前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの複数の前記画素回路および複数の前記画素電極と重なる位置に配置され、かつ、上方から入射した光を吸収または反射し、
前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの全ての前記画素回路および全ての前記画素電極と重なる位置に配置される表示装置。
【請求項9】
前記第3層はさらに、光を吸収または反射する複数の配線を含み、
前記第1領域における前記配線が、前記境界部と重畳する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第2領域と重なる位置に配置される請求項
6~9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記遮光領域は、光を吸収または反射する遮光材料から成る請求項
6~10の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記境界部が、前記遮光領域と同一の遮光材料から成る請求項
11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記境界部は、前記導光素子よりも屈折率が高い透明材料から成り、
前記遮光領域は、上記透明材料の上面を上記遮光材料が覆うことによって、形成されている請求項
11に記載の表示装置。
【請求項14】
前記境界部はさらに、前記遮光領域と前記導光素子との間に配置された請求項
6~
13の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記遮光領域は、複数であり、
互いに隣り合う2つの前記遮光領域の間に、前記導光素子は1つだけある請求項
6~
14の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記遮光領域は、複数であり、
互いに隣り合う2つの前記遮光領域の間に、前記導光素子は2つ以上ある請求項
6~
14の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記遮光領域は、前記画素回路と同一の配列様式に従って配列される請求項
6~
16の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記遮光領域は、前記撮像素子と同一の配列様式に従って配列される請求項
6~
16の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第3層は、前記画素電極と、共通電極と、前記画素電極と前記共通電極との間のエレクトロルミネッセンス層とを含む自発光素子を含む請求項1~
18の何れか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示面の背後に撮像部が設けられた表示装置が開発されている。
【0003】
特許文献1は、光を放射して表示を提供するように構成された複数の表示要素と、前記複数の表示要素の下に配置されたアパーチャ層と、前記アパーチャ層の下に配置されたコリメータ層と、前記コリメータ層の下に配置された複数の光検出要素と、を有する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国公表特許公報「特表2019-512762」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の複数の表示要素が設けられている表示層には、複数の配線および複数の電極が設けられる。例えば、共通電極、画素電極、トランジスタの電極、画素電極とトランジスタとの間の配線、ソース信号線、ゲート信号線、および電力線などが設けられている。これらの大部分または全部は、光を遮蔽する導電体から形成されている。光を遮蔽する配線および電極によって、光は自身の波長に応じて回折し、干渉パターンを生じる。
【0006】
このような干渉パターンが重畳された撮像画像は、滲みと周期的なノイズとを含み、品位が低い。
【0007】
本開示の一態様は、表示面の背後に撮像部が設けられた表示装置において、撮像画像の品位を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る表示装置は、撮像素子を含む第1層と、前記第1層よりも上層に位置し、上方から入射した光を下方の前記撮像素子に導く導光素子を含む第2層と、前記第2層よりも上層に位置し、画素電極および前記画素電極に接続して前記画素電極の電位を制御する画素回路を含む第3層と、を備える構成である。
【0009】
本開示に係る表示装置は、前記画素電極は、光を反射する反射電極である構成であってよい。
【0010】
本開示に係る表示装置は、前記画素回路は、光を反射または吸収する配線または電極を含む構成であってよい。
【0011】
本開示に係る表示装置は、前記第2層の上面は、前記第3層と接する構成であってよい。
【0012】
本開示に係る表示装置は、前記第3層は、それぞれ複数の前記画素回路および複数の前記画素電極が配置された第1領域と第2領域とを有し、前記第1領域における前記画素回路の密度は、前記第2領域における前記画素回路の密度よりも小さく、前記撮像素子および前記導光素子は、上方から見る平面視で前記第1領域と重畳するように配置された構成であってよい。
【0013】
本開示に係る表示装置は、前記導光素子は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの複数の前記画素回路および複数の前記画素電極と重畳しない位置に配置された構成であってよい。
【0014】
本開示に係る表示装置は、前記導光素子は複数であり、前記第2層はさらに、複数の前記導光素子の各間に配置され、前記導光素子から入射した光を吸収または反射する境界部を含む構成であってよい。
【0015】
本開示に係る表示装置は、前記境界部は、前記導光素子よりも屈折率が高い透明材料、または光を吸収または反射する遮光材料から成る構成であってよい。
【0016】
本開示に係る表示装置は、前記第3層はさらに、光を吸収または反射する複数の配線を含み、前記第1領域における前記配線が、前記境界部と重畳する構成であってもよい。
【0017】
本開示に係る表示装置は、前記第3層はさらに、光を吸収または反射する複数の配線を含み、前記境界部は、前記第1領域における前記配線の少なくとも一部と重畳する構成であってよい。
【0018】
本開示に係る表示装置は、前記境界部は、前記第1領域における前記配線の全部と重畳する、構成であってよい。
【0019】
本開示に係る表示装置は、上方から見る平面視で、前記第1領域における複数の前記画素回路のうち隣り合う2つの画素回路の間隔は、当該2つの画素回路の間に配置された前記導光素子の径の10倍よりも大きい構成であってよい。
【0020】
本開示に係る表示装置は、前記第2層はさらに、遮光領域を含み、前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの複数の前記画素回路および複数の前記画素電極と重なる位置に配置され、かつ、上方から入射した光を吸収または反射する構成であってよい。
【0021】
本開示に係る表示装置は、前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第1領域のうちの全ての前記画素回路および全ての前記画素電極と重なる位置に配置される構成であってもよい。
【0022】
本開示に係る表示装置は、前記遮光領域は、上方から見る平面視で、前記第2領域と重なる位置に配置される構成であってもよい。
【0023】
本開示に係る表示装置は、前記遮光領域は、光を吸収または反射する遮光材料から成る構成であってよい。
【0024】
本開示に係る表示装置は、前記境界部が、前記遮光領域と同一の遮光材料から成る構成であってよい。
【0025】
本開示に係る表示装置は、前記境界部は、前記導光素子よりも屈折率が高い透明材料から成り、前記遮光領域は、上記透明材料の上面を上記遮光材料が覆うことによって、形成されている構成であってよい。
【0026】
本開示に係る表示装置は、前記境界部はさらに、前記遮光領域と前記導光素子との間に配置された構成であってよい。
【0027】
本開示に係る表示装置は、前記遮光領域は、複数であり、互いに隣り合う2つの前記遮光領域の間に、前記導光素子は1つだけある構成であってよい。
【0028】
本開示に係る表示装置は、前記遮光領域は、複数であり、互いに隣り合う2つの前記遮光領域の間に、前記導光素子は2つ以上ある構成であってよい。
【0029】
本開示に係る表示装置は、前記遮光領域は、前記画素回路と同一の配列様式に従って配列される構成であってよい。
【0030】
本開示に係る表示装置は、前記遮光領域は、前記撮像素子と同一の配列様式に従って配列される構成であってよい。
【0031】
本開示に係る表示装置は、前記第3層は、前記画素電極と、共通電極と、前記画素電極と前記共通電極との間のエレクトロルミネッセンス層とを含む自発光素子を含む構成であってよい。
【0032】
本開示に係る表示装置は、前記第3層は、液晶をさらに含むこうせいであってよい。
【0033】
本開示に係る表示装置は、前記第1層は、前記撮像素子が複数設けられたカメラまたは画像センサを含む構成であってよい。
【発明の効果】
【0034】
本開示の一態様によれば、撮像画像の品位を向上することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示の実施形態に係る表示装置の概略構成の一例を示す平面図である。
【
図2】
図1に示した表示装置の概略構成の一例を示す部分断面図である。
【
図3】
図2に示した表示層における、第1領域と第2領域との境界近傍の一例を示す部分平面図である。
【
図4】撮像層と表示層との間に導光層が無い比較例の表示装置における透過光を示す部分断面図である。
【
図5】撮像層と表示層との間に導光層がある本開示の実施形態に係る表示装置における透過光を示す部分断面図である。
【
図6】
図2に示した遮光パターンに対応する導光層の好適例を示す部分平面図である。
【
図7】
図5に示した境界部を、
図2に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
【
図8】
図5に示した境界部に追加の境界部をさらに設けた構成の一例を、
図2に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
【
図9】
図2に示した遮光パターンに対応する導光層の別の好適例を示す部分平面図である。
【
図10】
図8に示した境界部を、
図2に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
【
図11】
図1に示した表示層の変形例における、第1領域と第2領域との境界近傍を示す部分平面図である。
【
図12】
図10に示した遮光パターンに対応する導光層の好適例を示す部分平面図である。
【
図13】
図11に示した境界部を、
図10に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
【
図14】本開示の別の実施形態に係る表示装置の概略構成の一例を示す部分断面図である。
【
図15】
図13に示した表示層における第1領域を示す部分平面図である。
【
図16】本開示の別の実施形態に係る表示装置の概略構成の一例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔実施形態1〕
(表示装置の平面構成)
図1は、実施形態1の表示装置100の概略構成の一例を示す平面図である。
【0037】
表示装置100は、表示画素DPが設けられている表示領域DAと、表示画素DPが設けられない額縁領域NAと、を備える。額縁領域NAは、表示領域DAを囲む。表示領域DAは、その背後に撮像素子が設けられる低密度領域(第1領域)LAと、その背後に撮像素子が設けられない高密度領域(第2領域)HAと、を備える。本実施形態に係る低密度領域LAには、高密度領域HAよりも画素密度が小さいように、表示画素DPが間引き配置されている。そして、平面視において低密度領域LAと重畳するように、表示装置100の裏面に撮像素子を含むカメラまたは画像センサなどの撮像層1(
図2参照)が備えられている。
【0038】
なお、
図1は、低密度領域LAが表示装置100の中央部分に設けられている一例を示すが、これに限定されることはなく、低密度領域LAは、例えば、表示装置100の端部近く、すなわち、表示領域DAの端部近くに設けられていてもよい。
【0039】
また、本実施形態においては、低密度領域LAが四角形状で設けられている場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、低密度領域LAの形状は、例えば、円形状や楕円形状などであってもよく、その形状は適宜決定することができる。
【0040】
表示装置1の表示領域DAには、複数の表示画素DPが備えられており、各表示画素DPは、それぞれ、緑色サブ表示画素DPgおよび赤色サブ表示画素DPrを含むか、または、緑色サブ表示画素DPgおよび青色サブ表示画素DPbを含む(
図3参照)。本実施形態においては、1つの表示画素DPが、2つのサブ表示画素で構成される場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。例えば、1つの表示画素DPは、赤色サブ表示画素、緑色サブ表示画素及び青色サブ表示画素など3つ以上のサブ表示画素で構成されても、1つのサブ画素のみで構成されてもよい。
【0041】
サブ表示画素は各々、1つの画素回路PCと1つ以上の自発光素子ESとを備える。画素回路PCは、対応する自発光素子ESの発光を制御する。本開示では説明の簡単化のために、サブ表示画素が1つの自発光素子ESを備える例について説明する。
【0042】
サブ表示画素の個数および分布は、表示画素DPの個数および分布に対応する。したがって、低密度領域LAにおけるサブ表示画素、画素回路PCおよび自発光素子ESの密度は、高密度領域HAにおけるサブ表示画素、画素回路PCおよび自発光素子ESの密度よりも小さい。
【0043】
表示装置100は、例えば、額縁領域NAのx方向端部にソース駆動回路SDを備え、額縁領域NAのy方向端部にゲート駆動回路GDを備えてよい。ソース駆動回路SDおよびゲート駆動回路GDのそれぞれから、複数の表示画素DPのそれぞれに接続される複数の配線(不図示)が設けられる。本開示において、表示装置100の表示面に直交する方向をz方向とし、表示面に平行な面をxy面とする。
【0044】
(表示装置の断面構成)
図2は、
図1に示した表示装置100の低密度領域LAにおける概略構成の一例を示す部分断面図である。
【0045】
図2に示すように、表示装置100は、撮像画素IP(撮像素子)を含む撮像層1(第1層)と、撮像層1よりも上層(
図1の右側)に位置し、上方(
図1の右方)から入射した光を下方(
図1の左方)の撮像画素IPに導く導光素子22を含む導光層2(第2層)と、導光層2よりも上層(
図1の右側)に位置し、表示画素DPを含む表示層3(第3層)とを備える。表示画素DPは、後述するように、画素回路PCと画素電極52を有する自発光素子ESとを含む。
【0046】
本開示において「光」は、そうではないと述べている場合を除いて、撮像層1が撮像に利用する波長領域の光を意味する。本開示における「光」は、例えば、撮像層1が赤外線カメラまたは赤外線画像センサを含む場合に赤外線を意味し、撮像層1が可視光カメラまたは可視光画像センサを含む場合に可視光を意味する。また、本開示において「遮蔽」および「遮光」は、そうではないと述べている場合を除いて、光の吸収および反射の少なくとも一方を意味する。
【0047】
本開示において、撮像層1の下面1aおよび上面1bと、導光層2の下面2aおよび上面2bと、表示層3の下面3aおよび上面3bとは、互いに平行である。撮像層1に機械的負荷が加わらないように、また、光学系の調整のために撮像層1の位置を調整可能なように、撮像層1の上面1bは、導光層2から離れていることが好ましい。一方、導光層2と表示層3の間で回折および干渉が生じることを防止するために、導光層2の上面2bは、表示層3に近いことが好ましく、接することが特に好ましい。
【0048】
(撮像層)
撮像層1は、上面1bに撮像画素IPが複数設けられており撮像画素IPに入射した光に基づいて画像を取得するように構成されている。撮像画素IPに十分な光が入射するように、撮像画素IPは、z方向から見る平面視で、低密度領域LAと重畳するように配置されている。撮像層1は、例えば、遠赤外線カメラ、近赤外線カメラ、および可視光カメラなどのカメラを含んでも、指静脈認証センサ、網膜センサなどの画像センサを含んでもよい。
【0049】
(導光層)
導光層2は、導光素子22を複数備える。撮像画素IPに十分な光が入射するように、導光素子22は、z方向から見る平面視で、低密度領域LAと重畳するように配置されている。表示画素DPによって回折した光が撮像画素IPに入射しないように、導光素子22は、z方向から見る平面視で、低密度領域LAのうちの表示画素DPと重畳しない位置に配置されている。以降、低密度領域LAにおける表示画素DPの画素回路PCおよび画素電極52が設けられていない領域を開口領域Qと称する。換言すると、導光素子22には、導光素子22が開口領域Qに重畳するように、配置されている。
【0050】
導光素子22は、上方から導光素子22へ入射した光を下方に導くように、透明材料から形成される。透明材料は、例えば、ポリイミドおよびアクリルなどの有機材料と、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、および酸窒化シリコン膜、アルミナなどの無機材料とを含む。
【0051】
図2に示す例において導光層2はさらに、遮光領域24を複数備える。表示画素DPによって回折した光が撮像画素IPに入射しないように、遮光領域24は、z方向から見る平面視で、低密度領域LAのうちの表示画素DP(の画素回路PCおよび画素電極52)と重畳する位置に配置されている。以降、低密度領域LAにおける表示画素DPの画素回路PCおよび画素電極52が設けられている領域を画素領域Rと称する。換言すると、遮光領域24は、遮光領域24が画素領域Rに重畳するように、配置されている。遮光領域24は加えて、開口領域Qのうちの光が回折しやすい部分、例えば、信号配線が密集している部分などにも配置されてよい。
【0052】
遮光領域24は、上方から遮光領域24へ入射した光を遮蔽するように、光反射材料および光吸収材料を含む遮光材料から成る。光反射材料は、光を反射し、反射電極および配線に用いられる金属材料であってよく、例えば、銀(Ag)合金、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)などを含む。光吸収材料は、光を吸収し、例えば、カーボン、シリコンなどを含む。
【0053】
図2に示す例において導光層2はさらに、導光素子22の各間に配置される境界部26を備える。境界部26は、導光素子22から境界部26へ入射した光を吸収または反射するように、導光素子22よりも屈折率が高い透明材料、あるいは遮光材料から成る。境界部26はさらに、導光素子22と遮光領域24との間に配置されてもよく、導光素子22および遮光領域24の全体を平面視で囲むように配置されてもよい。
【0054】
遮光領域24と境界部26とは、一体に形成されてもよい。例えば、遮光領域24と境界部26とが同一の遮光材料から同時に形成されてもよい。例えば、境界部26が導光素子22よりも屈折率が高い透明材料から形成される場合に、遮光領域24は、当該透明材料の上面を遮光材料が覆うことによって形成されてもよい。
【0055】
これらにより、導光素子22は、上面2bに入射した光を、下面2aに導く光ファイバのように機能する。したがって、光が導光層2を通過する間の回折および干渉が低減される。前述のように、撮像画素IPは低密度領域LAと重畳し、導光素子22は開口領域Qと重畳し、遮光領域24は画素領域Rと重畳し、開口領域Qは低密度領域LAにおける表示画素DPが設けられていない領域であり、画素領域Rは低密度領域LAにおける表示画素DPが設けられている領域である。このため、開口領域Qと重畳する撮像素子IPには、導光素子22を通過した光が入射する。一方、画素領域Rと重畳する撮像素子IPには、遮光領域24によって遮光されるため、光が入射しない。
【0056】
(表示層)
表示層3は、上面3bに画像を表示するように表示画素DPが設けられており、低密度領域LAと高密度領域HAとを有する。高密度領域HAには、撮像層を内蔵しない通常の表示装置の表示領域と同等の密度で、表示画素DPが配置されている。一方、低密度領域LAには、撮像画素IPに十分量の光が入射するように、高密度領域HAよりも小さい密度で表示画素DPが配置されている。したがって、低密度領域LAにおける画素回路PCおよび画素電極52の密度は、高密度領域HAにおける画素回路PCおよび画素電極52の密度よりも小さい。
【0057】
表示層3は、下面3aから上面3bに向って、下面フィルム10と、バリア層12と、薄膜トランジスタ層4と、発光素子層5と、封止層6と、上面フィルム14とをこの順に有する。
【0058】
下面フィルム10および上面フィルム14は、透光性であり、薄膜トランジスタ層4および発光素子層5が機械的に損傷することを防ぐ層である。
【0059】
バリア層12および封止層6は、透光性であり、水、酸素等の異物が薄膜トランジスタ層4および発光素子層5に侵入することを防ぐ層である。
【0060】
薄膜トランジスタ層4は、遮光性の導電層41と、遮光性の半導体層42と、透光性の絶縁層43とを含む積層体である。導電層41は、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)の少なくとも1つを含む金属の単層膜あるいは積層膜によって構成される。半導体層42は、例えば、アモルファスシリコン(a‐Si)、低温ポリシリコン(LTPS)、InGaZnO系酸化物半導体など酸化物半導体によって構成される。
【0061】
薄膜トランジスタ層4は、画素回路PC(
図2参照)を形成する。
【0062】
発光素子層5は、複数の画素電極52と、複数の画素電極52と対向する共通電極54と、画素電極52および共通電極54の間のエレクトロルミネッセンス層53と、を含む。
【0063】
画素電極52は、光を反射する反射電極であり、反射性の導電層から構成される。画素電極52は、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)の少なくとも1つを含む金属の単層膜あるいは積層膜によって構成される。画素電極52は対応する画素回路PCに接続されている。共通電極54は、透光性の導電層から構成され、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zincum Oxide)等の透明金属酸化物によって構成される。画素電極52は、自発光素子ESのアノードとカソードとの何れであってもよい。共通電極54は、画素電極52が自発光素子ESのアノードである場合に自発光素子ESのカソードであり、画素電極52が自発光素子ESのカソードである場合に自発光素子ESのアノードである。
【0064】
画素回路PCは、対応する画素電極52に接続し、接続した画素電極52の電位を制御する。これによって画素回路PCは、対応する自発光素子ESの発光を制御する。
【0065】
エレクトロルミネッセンス層53は、有機発光材料または量子ドットなどの無機発光材料を含む発光層を少なくとも含む。エレクトロルミネッセンス層53は任意選択で、電荷注入層、電荷輸送層、電荷発生層、および電荷遮蔽層などの追加層を含んでもよい。
【0066】
画素電極52と共通電極54とエレクトロルミネッセンス層53とは、表示画素DPに含まれる自発光素子ESを形成する。自発光素子ESは、有機発光ダイオード(OLED)であっても、量子ドット発光ダイオード(QLED)であってもよい。
【0067】
(表示層の平面構成)
以下、
図3を参照して、表示層3の平面構成、特に表示層3の遮光パターンについて説明する。
【0068】
図3は、表示層3における、低密度領域LAと高密度領域HAとの境界近傍の一例を示す部分平面図である。
図3は、本開示への理解を容易にするために、導電層41、半導体層42および画素電極52のみを示し、その他の構成要素を省略する。
【0069】
図3に示す例において、表示画素DPはペンタイル配列で配置されている。表示画素DPの半数は緑色サブ表示画素DPgと赤色サブ表示画素DPrとの組合せから成り、表示画素DPのもう半数は、緑色サブ表示画素DPgと青色サブ表示画素DPbとの組合せから成る。これに限らず、表示画素DPは、デルタ配列、ストライプ配列など他の配列様式に従って配置されてもよい。
【0070】
前述したように、低密度領域LAにおける表示画素DPの密度は、高密度領域HAにおける表示画素DPの密度よりも小さい。
図3に示す例では、低密度領域LAにおける表示画素DPの密度は、高密度領域HAにおける表示画素DPの密度の1/4である。
【0071】
導電層41は、x方向に沿って延伸する配線41xと、y方向に沿って延伸する配線41yとを含む。配線41x,41yのうち低密度領域LAに対応する配線は、低密度領域LAおよび高密度領域HAに亘って延伸する。配線41xは、例えば、ソース駆動回路SDからの画像データに基づく信号を各サブ表示画素に供給するソース信号線、および電源電圧を各サブ表示画素に供給する電力線などを含む。配線41yは、例えば、ゲート駆動回路GDからの各サブ表示画素への書き込みを制御するゲート信号を供給するゲート信号線、各サブ表示画素の発光を制御する発光信号を供給する発光信号線、および各サブ表示画素にリフレッシュ電位を供給するためのリフレッシュ電位線などを含む。
【0072】
導電層41はさらに、画素領域Rに配線41pを含む。配線41pは、画素回路PCに含まれるトランジスタのゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、当該トランジスタと配線41x、41yとの間を繋ぐ配線、当該トランジスタ同士の間を繋ぐ配線、当該トランジスタと画素電極52との間を繋ぐ配線などを含む。
【0073】
半導体層42は、画素領域Rに、画素回路PCに含まれるトランジスタのチャネル層、当該トランジスタ同士の間を繋ぐ配線などを含む。
【0074】
画素電極52は、赤色サブ表示画素DPrに形成される赤色画素電極52rと、緑色サブ表示画素DPgに形成される緑色画素電極52gと、青色サブ表示画素DPbに形成される青色画素電極52bとを含む。
【0075】
したがって、導電層41、半導体層42および画素電極52によって、
図3に示すような遮光パターンが表示層3に形成される。遮光パターンの大部分は、画素回路PCおよび画素電極52であり、画素領域Rに位置する。遮光パターンの他の部分は、配線41x,41yなどの画素回路PCに接続される配線であり、画素領域Rと開口領域Qとの双方に位置する。
【0076】
(撮像画像の品位)
以下、
図4および
図5を参照して、導光層2による撮像画像の品位の向上について説明する。
【0077】
図4は、撮像層1と表示層3との間に導光層2が無い比較例の表示装置1100における透過光L2を示す部分断面図である。
図4に示す入射光L1は、光軸がz方向に平行な平行光である。
【0078】
図4に示すように、入射光L1は、表示層3を透過している間に、前述した表示層3に形成された遮光パターンによって一部が遮蔽される。そして、表示層3の下面3aに到達した残りが、透過光L2となる。表示層3の下面3aと撮像層1の上面1bとの間で、透過光L2は遮光パターンおよび自身の波長に応じて回折し、干渉する。この結果、撮像層1の上面1bで干渉パターンが生じる。
【0079】
したがって、
図4に示す比較例で撮像層1の撮像画像は、表示層3も導光層2も無い場合の撮像画像(以降「本来の撮像画像」)に表示層3による干渉パターンが重畳した画像となる。このような干渉パターンが重畳された撮像画像は、滲みと周期的なノイズとを含み、品位が低い。また、このような干渉パターンを除去するデジタルフィルタ処理は、撮像画像の品位を劣化する。
【0080】
図5は、撮像層1と表示層3との間に導光層2がある本実施形態に係る表示装置100における透過光L3を示す部分断面図である。
図5に示す入射光L1は、光軸がz方向に平行な平行光である。
【0081】
図5に示すように、入射光L1は、表示層3を透過している間に、前述した表示層3に形成された遮光パターンによって一部が遮蔽される。そして、表示層3の下面3aに到達した残りが、透過光L3となる。透過光L3は、表示層3の下面3aから導光層2に入射する。導光層2の導光素子22は、前述のように光ファイバのように機能して、透過光L3を撮像層1へ導く。一方、遮光領域24および境界部26は、透過光L3を遮蔽する。これらの結果、入射光L1のうち開口領域Qおよび導光素子L3へ入射した光のみが、撮像画像に寄与できる。
【0082】
前述のように、画素領域Rには、画素回路PCおよび画素電極52など遮光パターンの大部分が位置する一方、開口領域Qには、配線41x,41yなどの遮光パターンの他の部分が位置するに過ぎない。このため、開口領域Qにおける遮光パターンによる干渉パターンは、画素領域Rにおける遮光パターンによる干渉パターンよりも軽い。さらに、導光素子22が光ファイバのように機能するため、異なる導光素子22を通過している光は互いに干渉しない。このため、導光層2の導光素子22を透過光L3が通過している間、干渉パターンの成長が抑制される。
【0083】
以上の理由で、
図5に示す構成による撮像画像に影響する干渉パターンは、
図4に示した構成による撮像画像に影響する干渉パターンよりも軽減される。この結果、
図5に示す一例での撮像層1の撮像画像は、本来の撮像画像に、軽減された干渉パターンが重畳した画像となる。したがって、
図5による撮像画像は、
図4による撮像画像よりも、滲みと周期的なノイズとが少なく、品位が高い。
【0084】
(実装方法)
導光層2は、種々の方法で、表示層3の下面3a上に実装することができる。
【0085】
例えば、導光層2に適する導光フィルムを周知の方法で製造し、続いて、表示層3の導電層41および/または画素電極52に対して当該導光フィルムを位置合わせして、表示層3の下面3a上に当該導光フィルムを貼り付けてよい。また例えば、表示層3を製造し、続いて、インクジェット印刷などの方法により、表示層3の下面3a上に導光層2を形成してもよい。
【0086】
あるいは、導光層2は、表示層3に内蔵されてもよい。
【0087】
例えば、下面フィルム10および/またはバリア層12が導光層2として働くように、下面フィルム10および/またはバリア層12を形成してもよい。また例えば、下面フィルム10と薄膜トランジスタ層4との間に、導光層2として働く追加の層を形成してもよい。この追加の層は、バリア層12および薄膜トランジスタ層4を形成する一連の成膜工程において、形成されうる。
【0088】
(導光素子の好適な配置)
以下、
図6から
図8を参照して、導光層2の導光素子22の好適な配置について説明する。
【0089】
図6は、
図3に示した遮光パターンに対応する導光層2の好適例を示す部分平面図である。
図7は、
図6に示した境界部26を、
図2に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
図8は、
図6に示した境界部26に追加の境界部26をさらに設けた構成の一例を、
図3に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
【0090】
図6および
図7に示すように、導光素子22が開口領域Qに重畳し、遮光領域24が画素領域Rに重畳する。この配置によって、表示画素DPを透過した光は、遮光領域24によって遮蔽され、撮像画素IPに到達しない。このため、撮像層1への表示画素DPによる回折および干渉の影響が低減される。一方、開口領域Qを透過した光は、導光素子22によって導かれ、撮像画素IPに到達する。このため、開口領域Qを透過した光を撮像層1が利用する効率が高い。換言すると、撮像層1の有効開口面積を大きく得ることができる。
【0091】
さらに、表示画素DPと遮光領域24とが共にペンタイル配列で配置されている。すなわち、遮光領域24が表示画素DPと同一の配列様式に従って配列されている。このため、表示画素DPのある画素領域Rに遮光領域24が重畳し、表示画素DPのない開口領域Qに導光素子22が重畳するように、遮光領域24および導光素子22を効率的に配置できる。このように表示画素DPに対して効率的に遮光領域24を配置できるので、撮像層1の有効開口面積を大きくすることができる。また、撮像素子IPに導光素子22が重畳するように、撮像素子IPおよび導光素子22が配置されていることが好ましい。
【0092】
また、境界部26は、低密度領域LAにおける配線41x,41yの少なくとも一部と重畳する。このため、撮像層1への配線41x,41yによる回折および干渉の影響も低減される。境界部26は、
図8に示すように、配線41x,41yのより多くと重畳するように、追加的に形成されてもよく、図示を省略するが、低密度領域LAにおける配線41x,41yの全部と重畳するように、追加的に形成されてもよい。追加的形成によって、配線41x,41yによる影響をより低減することができる。
【0093】
図6および
図7に示す例では、x方向またはy方向で互いに隣り合う遮光領域24の間に、導光素子22は1つだけある。このため、境界部26が少ないので、低密度領域LAにおける導光素子22の総面積、すなわち、撮像層1の有効開口面積を大きくすることができる。一方、
図8に示すように、x方向またはy方向で互いに隣り合う遮光領域24の間に、導光素子22は2つ以上あってもよい。この場合、導光素子22の開口径が小さいため、導光素子22内部での回折および干渉を低減できる。回折および干渉を十分に低減するために、隣り合う2つの表示画素DPの間の間隔が、導光素子22の径の10倍よりも大きいことが好ましい。
【0094】
(導光素子の別の好適な配置)
以下、
図9および
図10を参照して、導光層2の導光素子22の別の好適な配置について説明する。
【0095】
図9は、
図3に示した遮光パターンに対応する導光層2の別の好適例を示す部分平面図である。
図10は、
図9に示した境界部26を、
図3に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
【0096】
図9および
図10に示す例でも、
図6および
図7に示す例と同様に、導光素子22が開口領域Qに重畳し、遮光領域24が画素領域Rに重畳する。一方、
図9および
図10に示す例では、
図5および
図6に示す例と異なり、表示画素DPがペンタイル配列に従って配置され、遮光領域24がデルタ配列に従って配置されている。具体的には、画素領域Rの中心を頂点とする仮想的な三角形Tを想定し、当該三角形Tを低密度領域LAに敷き詰め、三角形Tの各頂点と各辺の中心点とを中心とするように六角形を敷き詰める。敷き詰められた六角形のうち、三角形Tの各頂点に対応する六角形は遮光領域24であり、三角形Tの各辺の中心点に対応する六角形は導光素子22が設けられる領域である。
【0097】
このような導光層2は、撮像層1の撮像画素IPがデルタ配列に従って配置されている構成に有益である。換言すると、遮光領域24および開口領域Qが撮像層1の撮像画素IPと同一の配列様式に従うことが好ましい。この場合、撮像画素IPが開口領域Q(特に導光素子22)に重畳するように、遮光領域24および導光素子22を効率的に配置できる。このように撮像画素IPに対して効率的に導光素子22を配置できるので、撮像層1の有効開口面積を大きくすることができる。また、開口領域Qに導光素子22が重畳するように、撮像素子IPおよび導光素子22が配置されていることが好ましい。
【0098】
また、前述と同様に、境界部26が追加的に形成されてもよい。
【0099】
(変形例)
図11は、
図2に示した表示層3の変形例における、低密度領域LAと高密度領域HAとの境界近傍を示す部分平面図である。
図11は、本開示への理解を容易にするために、導電層41、半導体層42および画素電極52のみを示し、その他の構成要素を省略する。
図12は、
図11に示した遮光パターンに対応する導光層2の好適例を示す部分平面図である。
図13は、
図12に示した境界部26を、
図11に示した遮光パターンに重畳して示す部分平面図である。
【0100】
図11に示すように、表示層3の低密度領域LAにおける表示画素DPの密度は、さらに小さくてもよい。
図11に示す例では、低密度領域LAにおける表示画素DPの密度は、高密度領域HAにおける表示画素DPの密度の1/8である。
【0101】
図12および
図13に示すように、この場合にz方向から見る平面視で、開口領域Qに重畳する八角形に導光素子22を形成し、画素領域Rに重畳する四角形に遮光領域24を形成することが好ましい。さらに、前述と同様に、境界部26が追加的に形成されてもよい。また、導光素子22に重畳するように撮像画素IPが配置されることが好ましい。
【0102】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0103】
図14は、本開示の実施形態2に係る表示装置200の概略構成の一例を示す部分断面図である。
【0104】
図14に示すように、表示装置200は、撮像層1と導光層202と表示層203とを備える。
【0105】
本実施形態に係る表示層203は、低密度領域LAにおける表示画素DPの密度が、高密度領域HAにおける表示画素DPの密度と同等であるように構成されている点を除いて、前述の実施形態1に係る表示層3と同一構成を有する。
【0106】
本実施形態に係る導光層202は、遮光領域24を備えない点を除いて、前述の実施形態1に係る導光層2と同一構成を有する。
【0107】
(表示層の平面構成と導光素子)
図15は、
図14に示した表示層203における低密度領域LAを示す部分平面図である。
図15は、本開示への理解を容易にするために、導電層41、半導体層42および画素電極52のみを示し、その他の構成要素を省略する。
【0108】
図15に示すように、導電層41、半導体層42および画素電極52によって、z方向から見る平面視における遮光パターンが表示層203に形成される。したがって、回折および干渉の影響を軽減するために、z方向から見る平面視において、導光素子22の開口径は、配線間隔dと同等以下であることが好ましい。配線間隔dは、例えば、配線41x同士の間の最小距離、または、配線41y同士の間の最小距離である。
【0109】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0110】
図16は、本開示の実施形態3に係る表示装置300の概略構成の一例を示す部分断面図である。
【0111】
図16に示すように、表示装置300は、撮像層1と導光層2と表示層303とを備える。
【0112】
本実施形態に係る表示層303は、例えば、下面3aから上面3bに向って、支持基板310と、薄膜トランジスタ層4と、画素電極52と、配向膜306と、液晶層307と、共通電極54と、偏光層308と、カラーフィルタ層309と、対向基板312とをこの順に有する。
【0113】
画素回路PCは、対応する画素電極52に接続し、接続された画素電極52の電位を制御する。各電極の上方に位置する液晶の配向は、各画素電極52と共通電極54との間の電界に応答する。これらによって、画素回路PCは、対応する画素電極の上方の液晶の配向を制御する。
【0114】
支持基板310および対向基板312はそれぞれ、光を透過する透過性基板であり、かつ、剛直な非可撓性基板である。支持基板310および対向基板312は例えば、ガラス基板または石英基板などである。
【0115】
配向膜306は、光を透過する透明層であり、液晶層306に含まれる液晶の配向を揃える。配向膜306は、有機膜をラビリング処理した有機配向膜であっても、無機配向膜であってもよい。
【0116】
液晶層307は、液晶を含み、支持基板310と対向基板312との間に封止されている。液晶層307は、スペーサ(不図示)を含んでもよい。
【0117】
偏光層308は、特定の偏光状態の光を透過する。偏光層308は例えば、偏光板または偏光フィルムとして公知のどのような構成であってもよい。
【0118】
カラーフィルタ309は、カラーフィルタとして公知のどのような構成であってもよい。カラーフィルタ309は例えば、赤色光のみを透過する赤色透過部309Rと、緑色光のみを透過する緑色透過部309Gと、青色光のみを透過する青色透過部309Bと、を備える。「赤色光」とは、例えば、600nm超780nm以下の波長帯域の光のことである。また、「緑色光」とは、例えば、500nm超600nm以下の波長帯域の光のことである。また、「青色光」とは、例えば、400nm以上500nm以下の波長帯域の光である。
【0119】
カラーフィルタ309はさらに、開口領域Qに重畳するように配置されている透明領域309Tを備えることが好ましい。あるいは、図示を省略するが、開口領域Qに対応する領域において、撮像素子IPの赤緑青の配置に対応するように、赤色透過部309Rと緑色透過部309Gと青色透過部309Bとをカラーフィルタ309が備えることも好ましい。
【0120】
本実施形態に係る表示層303は、
図16に示した構成に限らず、反射型の液晶表示ディスプレイとして公知のどのような構成であってもよい。例えば、表示層303は、共通電極54が液晶層307に対して、画素電極52と同じ側に位置する構成であってもよい。すなわち、表示層303は、いわゆるIn-Plane-Swithing方式またはAdvanced Fringe-Field-Swithing方式であってもよい。
【0121】
(変形例)
本実施形態に係る表示装置300の構成は、前述の実施形態2に係る表示装置200の構成と組み合わされてもよい。
【0122】
具体的には、本実施形態に係る表示層303は、前述の実施形態2に係る表示層203と同様に、低密度領域LAにおける表示画素DPの密度が、高密度領域HAにおける表示画素DPの密度と同等であるように構成されてもよい。この場合、本実施形態に係る表示装置300は、前述の実施形態1に係る導光層2の代わりに、前述の実施形態2に係る導光層202を備える。
【0123】
本実施形態に係る表示装置300は、カラーフィルタ309を備えなくてもよい。
【0124】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 撮像層(第1層)
2、202 導光層(第2層)
2b 上面
3、203、303 表示層(第3層)
22 導光素子
24 遮光領域
26 境界部
306 液晶層
41x、41y 配線
52 画素電極
100、200、300 表示装置
HA 高密度領域
LA 低密度領域
IP 撮像画素(撮像素子)
DP 表示画素
ES 自発光素子
L1 光
PC 画素回路