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特許7532680キシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】キシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240805BHJP
   C13B 30/02 20110101ALI20240805BHJP
【FI】
A23L27/00 F
C13B30/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023550110
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2022125222
(87)【国際公開番号】W WO2023124397
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】202111641260.3
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 淑芳
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
(72)【発明者】
【氏名】呉 強
(72)【発明者】
【氏名】楊 武龍
(72)【発明者】
【氏名】周 歓
(72)【発明者】
【氏名】劉 印寅
(72)【発明者】
【氏名】顔 検根
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/144683(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/245399(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112568422(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104046705(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1805969(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111850178(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104996970(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
C13B 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法であって、
まず、所定量のスクロース及びキシロース結晶を正確に秤量し、その後、脱イオン水を加えて、撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ1と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm~120rpm、温度を75℃~80℃、真空ポンプの圧力を50mbar~200mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折率糖度が78Brix~81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ2と、
温度を70℃~75℃に調整した後、食品グレードのイソプロパノール溶液又はエタノール溶液を滴下し、所定量のスクロース種結晶を加えて、撹拌を持続するステップ3と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃~60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ4と、
遠心分離して、40℃~60℃で乾燥させ、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ5と、を含む、ことを特徴とするキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法。
【請求項2】
まず、スクロース及びキシロース結晶を2:1~6:1の質量比で正確に秤量した後、総糖量に対して0.45~0.60倍の脱イオン水を加え、75℃~80℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ1と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm~120rpm、温度を75℃~80℃、真空ポンプの圧力を50mbar~200mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折率糖度が78Brix~81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ2と、
温度を70℃~75℃に調整した後、真空蒸発後の混合溶液に対する体積比が1:1~3:1となるように食品グレートのイソプロパノール溶液又はエタノール溶液を1~2滴/sの滴下速度で滴下し、スクロース量が0.5質量%~2質量%、粒子径が60メッシュのスクロース種結晶を加え、撹拌を1h~4h持続するステップ3と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃~60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ4と、
遠心分離して、40℃~60℃で乾燥させ、キシロースの含有量が0.1%~5%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ5と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法。
【請求項3】
キシロース33.6g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水110.8gを加え、80℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ11と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を100rpm、温度を75℃、真空ポンプの圧力を50mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折率糖度が79Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ12と、
温度を70℃に調整した後、真空蒸発後の混合溶液に対する体積比が1:1となるまで食品グレードのイソプロパノール溶液を1滴/sの滴下速度で滴下し、粒子径が80メッシュのスクロース種結晶0.86gを加え、撹拌を1h持続するステップ13と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ14と、
遠心分離して、60℃で乾燥させ、キシロースの含有量が2.68%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ15と、を含む、ことを特徴とする請求項に記載のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法。
【請求項4】
キシロース56g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水113.1gを加え、75℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ21と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を120rpm、温度を80℃、真空ポンプの圧力を60mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折率糖度が80Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ22と、
温度を70℃に調整した後、真空蒸発後の混合溶液に対する体積比が2:1となるまで食品グレードのエタノール溶液を1滴/sの滴下速度で滴下し、粒子径が80メッシュのスクロース種結晶0.86gを加え、撹拌を1h持続するステップ23と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を45℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ24と、
遠心分離して、50℃で乾燥させ、キシロースの含有量が4.63%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ25と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法。
【請求項5】
キシロース84g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水126gを加え、80℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ31と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を115rpm、温度を78℃、真空ポンプの圧力を90mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折率糖度が78Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ32と、
温度を70℃に調整した後、真空蒸発後の混合溶液に対する体積比が3:1となるまで食品グレードのイソプロパノール溶液を2滴/sの滴下速度で滴下し、粒子径が80メッシュのスクロース種結晶0.86gを加え、撹拌を2h持続するステップ33と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を50℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ34と、
遠心分離して、40℃で乾燥させ、キシロースの含有量が1.15%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ35と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法。
【請求項6】
キシロース28g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水88.2gを加え、77℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ41と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm、温度を78℃、真空ポンプの圧力を200mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折率糖度が81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ42と、
温度を75℃に調整した後、真空蒸発後の混合溶液に対する体積比が3:1となるまで食品グレードのイソプロパノール溶液を2滴/sの滴下速度で滴下し、粒子径が60メッシュのスクロース種結晶3.36gを加え、撹拌を4h持続するステップ43と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ44と、
遠心分離して、40℃で乾燥させ、キシロースの含有量が0.85%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ45と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖アルコールを利用する技術分野に属し、特にキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロースは、他の甘味料よりも甘味がより人気があるため、広く応用されているが、スクロースの吸収や過食は血糖値の上昇、肥満、虫歯などの危害を引き起こし、現在の人々の消費理念に反している。キシロースはその低甘味度、低カロリー、腸内ビフィズス菌の増殖などの特徴のため、人間に優しい新規な添加物として使用されているが、風味特性が悪いため、その応用は制限されている。一方、スクロースとキシロースの複合糖は特定の風味需要、カロリー需要を満たすことができ、またスクロースがもたらす健康への悪影響を低減することができる。
【0003】
スクロースとキシロースの複合結晶は、特定の風味需要、カロリー需要を満たすことができ、またスクラーゼの一部の作用を阻害し、人体のスクロースの分解吸収を減少することができ、人体内のスクロースのGI(血糖指数)値を下げ、過量摂取による肥満や虫歯、糖尿病などの問題を減らすことができる。
【0004】
現在の既存のスクロースとキシロースの複合技術の多くは、物理的混合方法を採用し、コーティングやスプレーの形式でキシロースとスクロースの複合糖を製造する。しかし、この手段で得られた製品には味わいの不均一さ、低硬度、コーティングの剥がれによる層化などの問題があり、顧客の使用エクスペリエンスに深刻な影響を与えている。
【0005】
しかし、共結晶化手段によるスクロース複合糖は上記の欠陥を回避でき、例えば、スクロースと蜂蜜の共結晶化、ネオテームとスクロースの共結晶化、スクロースとカルシウム塩の共結晶化などである。しかし、キシロースは、融点が比較的に低く、高温でキャラメル化しやすく、共結晶化が比較的に困難であるため、現在、中国国内外でキシロースとその他の糖の共結晶化に関する関連技術の報告はまだ検索されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、共結晶化技術によりキシロースとスクロースを複合した結晶糖を製造することにより、キシロースの低融点のため、共結晶化が困難であるという問題を解決するとともに、キシロースの悪い風味を改良し、また、白砂糖の過量摂取による人体へのリスクを低減させ、また、得た結晶糖は、スクロースと似ている外観をしており、結晶形に優れ、物理方式で得られた製品の味わいの不均一さ、低硬度、コーティングの剥がれによる層化などの問題を解決し、消費者がスクロースのような風味を楽しみながら健康を維持することができるようにする、キシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のように達成される。
【0008】
まず、所定量のスクロース及びキシロース結晶を正確に秤量し、その後、脱イオン水を加えて、撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ1と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm~120rpm、温度を75℃~80℃、真空ポンプの圧力を50mbar~200mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が78Brix~81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ2と、
温度を70℃~75℃に調整した後、食品グレードのイソプロパノール溶液又はエタノール溶液を滴下し、所定量のスクロース種結晶を加えて、撹拌を持続するステップ3と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃~60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ4と、
遠心分離して、40℃~60℃で乾燥させ、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ5と、を含む、キシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法を提供する。
【0009】
さらに、前記方法は、
まず、スクロース及びキシロース結晶を2:1~6:1の質量比で正確に秤量した後、総糖量に対して0.45~0.60倍の脱イオン水を加え、75℃~80℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得るステップ1と、
混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm~120rpm、温度を75℃~80℃、真空ポンプの圧力を50mbar~200mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が78Brix~81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させるステップ2と、
温度を70℃~75℃に調整した後、体積比が1:1~3:1となるように食品グレートのイソプロパノール溶液又はエタノール溶液を1~2滴/sの滴下速度で滴下し、スクロース量が0.5質量%~2質量%、粒子径が60メッシュのスクロース種結晶を加え、撹拌を1h~4h持続するステップ3と、
成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃~60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得るステップ4と、
遠心分離して、40℃~60℃で乾燥させ、キシロースの含有量が0.1%~5%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得るステップ5と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
従来技術と比べて、本発明のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法は、以下の特徴がある。
【0011】
1.製造されたキシロースとスクロースの複合糖結晶製品は、結晶形が完全で、スクロースと似ており、甘味度もスクロースと似ており、均一な味を有し、消費者の使用の好みに合っている。
【0012】
2.製造されたキシロースとスクロースの複合糖結晶製品は、コーティングの剥がれや生成物の層化などの不具合がなく、貯蔵により有利である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下では、実施例を参照して、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される特定実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0014】
本発明のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法の好適な実施例は、下記のステップを含む。
【0015】
ステップ1:まず、所定量のスクロース及びキシロース結晶を正確に秤量し、その後、脱イオン水を加えて、撹拌して溶解し、混合溶液を得る。
【0016】
ステップ2:混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm~120rpm、温度を75℃~80℃、真空ポンプの圧力を50mbar~200mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が78Brix~81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させる。
【0017】
ステップ3:温度を70℃~75℃に調整した後、食品グレードのイソプロパノール溶液又はエタノール溶液を滴下し、所定量のスクロース種結晶を加えて、撹拌を持続する。
【0018】
ステップ4:成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃~60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得る。
【0019】
ステップ5:遠心分離して、40℃~60℃で乾燥させ、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得る。
【0020】
具体的には、前記方法は、下記のステップを含む。
【0021】
ステップ1:まず、スクロース及びキシロース結晶を2:1~6:1の質量比で正確に秤量した後、総糖量に対して0.45~0.60倍の脱イオン水を加え、75℃~80℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得る。
【0022】
ステップ2:混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm~120rpm、温度を75℃~80℃、真空ポンプの圧力を50mbar~200mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が78Brix~81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させる。
【0023】
ステップ3:温度を70℃~75℃に調整した後、体積比が1:1~3:1となるように食品グレートのイソプロパノール溶液又はエタノール溶液を1~2滴/sの滴下速度で滴下し、スクロース量が0.5質量%~2質量%、粒子径が60メッシュのスクロース種結晶を加え、撹拌を1h~4h持続する。
【0024】
ステップ4:成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃~60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得る。
【0025】
ステップ5:遠心分離して、40℃~60℃で乾燥させ、キシロースの含有量が0.1%~5%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得る。
【0026】
以下、特定実施例によって本発明のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法をさらに説明する。
(実施例1)
【0027】
本発明のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法の第1実施例は、下記のステップを含む。
【0028】
ステップ11:キシロース33.6g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水110.8gを加え、80℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得た。
【0029】
ステップ12:混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を100rpm、温度を75℃、真空ポンプの圧力を50mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が79Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させた。
【0030】
ステップ13:温度を70℃に調整した後、体積比が1:1となるまで食品グレードのイソプロパノール溶液を1滴/sの滴下速度で液化し、粒子径が80メッシュのスクロース種結晶0.86gを加え、撹拌を1h持続した。
【0031】
ステップ14:成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を40℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得た。
【0032】
ステップ15:遠心分離して、60℃で乾燥させ、キシロースの含有量が2.68%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得た。
(実施例2)
【0033】
本発明のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法の第2実施例は、下記のステップを含む。
【0034】
ステップ21:キシロース56g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水113.1gを加え、75℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得た。
【0035】
ステップ22:混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を120rpm、温度を80℃、真空ポンプの圧力を60mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が80Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させた。
【0036】
ステップ23:温度を70℃に調整した後、体積比が2:1となるまで食品グレードのエタノール溶液を1滴/sの滴下速度で滴下し、粒子径が80メッシュのスクロース種結晶0.86gを加え、撹拌を1h持続した。
【0037】
ステップ24:成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を45℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得た。
【0038】
ステップ25:遠心分離して、50℃で乾燥させ、キシロースの含有量が4.63%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得た。
(実施例3)
【0039】
本発明のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法の第3実施例は、下記のステップを含む。
【0040】
ステップ31:キシロース84g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水126gを加え、80℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得た。
【0041】
ステップ32:混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を115rpm、温度を78℃、真空ポンプの圧力を90mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が78Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させた。
【0042】
ステップ33:温度を70℃に調整した後、体積比が3:1となるまで食品グレードのイソプロパノール溶液を2滴/sの滴下速度で滴下し、粒子径が80メッシュのスクロース種結晶0.86gを加え、撹拌を2h持続した。
【0043】
ステップ34:成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を50℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得た。
【0044】
ステップ35:遠心分離して、40℃で乾燥させ、キシロースの含有量が1.15%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得た。
(実施例4)
【0045】
本発明のキシロースとスクロースの複合糖溶液の結晶化方法の第4実施例は、下記のステップを含む。
【0046】
ステップ41:キシロース28g及びスクロース168gを秤量した後、脱イオン水88.2gを加え、77℃で撹拌して溶解し、混合溶液を得た。
【0047】
ステップ42:混合溶液を結晶化装置に投入して、撹拌速度を60rpm、温度を78℃、真空ポンプの圧力を200Mbarに設定して、真空蒸発装置を起動させ、混合溶液の屈折が81Brixとなるまで蒸発させると、真空蒸発を終了させた。
【0048】
ステップ43:温度を75℃に調整した後、体積比が3:1となるまで食品グレードのイソプロパノール溶液を2滴/sの滴下速度で滴下し、粒子径が60メッシュのスクロース種結晶3.36gを加え、撹拌を4h持続した。
【0049】
ステップ44:成長した小さな種結晶が溶液に現れるときに、速度を10℃/hに設定して温度を60℃に下げて、その後、該温度で6h撹拌し、複合糖溶液を得た。
【0050】
ステップ45:遠心分離して、40℃で乾燥させ、キシロースの含有量が0.85%の、キシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品を得た。
(実施例5)各粒子径でのキシロースの含有量の測定
【0051】
実施例1で製造されたキシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品について、各粒子径でのキシロースの含有量の測定を行い、表1に示す結果を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
本発明の方法で製造されたキシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品は、味わいが均一で、産物の層化や味わいのムラなどの不具合がない。
(実施例6)製品の味わいのテスト
【0054】
実施例1~3で製造されたキシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品について味わいのテストをそれぞれ行い、スクロースと比較して、いずれも、濃度7%の糖液を調製した。ここで、味わいの強さを以下の7つの等級に分けた。1-非常に弱い、2-比較的弱い、3-僅かに弱い、4-一般、5-僅かに強い、6-比較的強い、7-非常に強い。以下の表2に示す結果を得る。
【0055】
【表2】
【0056】
味わいのテスト結果から明らかに、本方法で得たキシロースとスクロースの複合糖結晶の完成品は、味わいがスクロースと似ており、甘味が近く、異臭が弱い。
【0057】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われる全ての修正、等同置換及び改良などは、本発明の特許範囲に含まれるものとする。