特許 7532694 擁壁用ブロックおよび擁壁

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-08-02

(45)【発行日】2024-08-13

(54)【発明の名称】擁壁用ブロックおよび擁壁

(51)【国際特許分類】

   E02D 29/02 20060101AFI20240805BHJP

【ＦＩ】

E02D29/02 301

E02D29/02 312

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2024043490

(22)【出願日】2024-03-19

【審査請求日】2024-03-19

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】524104985

【氏名又は名称】塚本 幸男

(74)【代理人】

【識別番号】100131565

【弁理士】

【氏名又は名称】佐藤 陽

(72)【発明者】

【氏名】塚本 幸男

【審査官】湯本 照基

(56)【参考文献】

【文献】特開平０９－１５１４６８（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開平３－６９０４５（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開平２－８７８１０（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開昭５７－１５６５４３（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００４－１９７５３４（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０２Ｄ ２９／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

積み上げて擁壁を形成するために用いられる擁壁用ブロックにおいて、
上下方向に伸延し、前記擁壁用ブロックの背面側の上端から下端に亘って配置される排水溝を備え、
前記排水溝は流入を阻止すべき異物の寸法よりも小さい幅で前記擁壁用ブロックの背面に開口し、前記擁壁用ブロックの背面側の上端から下端に亘って配置された開口部を備えることを特徴とする擁壁用ブロック。

【請求項2】

前記排水溝の断面形状は前面側の幅が前記開口部の幅よりも大きい台形であることを特徴とする請求項１に記載の擁壁用ブロック。

【請求項3】

外形が略直方体であり、
前記擁壁用ブロックの上面及び下面に左右方向の一端から他端に亘って設けられたコンクリート充填溝と、
少なくとも左右方向の中央及び両端に設けられ、前記擁壁用ブロックの上面から下面まで貫通するコンクリート充填孔とを備えることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の擁壁用ブロック。

【請求項4】

前記擁壁用ブロックの前面から背面に貫通し、左右方向の中央付近に配置された一対の排水孔を備え、
前記一対の排水孔の左右方向の間隔は前記排水孔の幅と略等しいことを特徴とする請求項１または請求項２に記載の擁壁用ブロック。

【請求項5】

請求項１または請求項２に記載の擁壁用ブロックにより形成された擁壁。

【請求項6】

請求項３に記載の擁壁用ブロックにより形成された擁壁。

【請求項7】

請求項１に記載の擁壁用ブロックおよび請求項４に記載の擁壁用ブロックにより形成された擁壁。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、積み上げた後に内部に場所打ちコンクリートを充填して擁壁を形成するために用いる擁壁用のブロックに関する。

【背景技術】

【0002】

擁壁においては、背面の地盤中の水を何らかの方法で排水する必要がある。排水の方法として、擁壁背面に栗石を配置するとともに、擁壁本体の背面から前面に貫通する水抜き孔を設けて、擁壁前面に排水する構成が広く用いられている（たとえば、特許文献１の図１。）

【0003】

また、特許文献２には、前壁部と、前壁部の裏面側に設けられる後壁部と、前壁部と後壁部の間に介在する中間部とを備えた積みブロックが記載されている。この積みブロックでは、前壁部と後壁部と中間部とによって、排水用の切欠部が形成されており、後壁部には、当該後壁部の裏面から排水用の切欠部に貫通する水抜き用の孔が穿設されている。地盤中の水は、水抜き用の孔を通って排水用の切欠部で形成された排水路に流れ込み、擁壁の下端から排水される（特許文献２の図１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２００４－１９７５３４号公報

【文献】特開２００３－６４７０６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

水抜き孔により排水する方法では、栗石を用いたとしても、土砂や土壌中に混入しているごみなどが水抜き孔に流入しやすいという問題があった。また、擁壁背面の面積に比べて水抜き孔の断面積が小さく、十分な排水が行えないという問題があった。

【0006】

特許文献２に記載された積みブロック内の切欠により排水路を構成する方法は、ブロック内部に場所打ちコンクリートを充填するタイプのブロックには適用することが困難であるという問題があった。

【0007】

そこで、本発明では、擁壁背面の地盤中の水を排水する機能に優れ、異物が流入しにくい擁壁用ブロック、および、そのような擁壁用ブロックを備えた擁壁を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明の擁壁用ブロックは、上下方向に伸延し、擁壁用ブロックの背面側の上端から下端に亘って配置される排水溝を備え、この排水溝は流入を阻止すべき異物の寸法よりも小さい幅で擁壁用ブロックの背面に開口し、擁壁用ブロックの背面側の上端から下端に亘って配置された開口部を備えていることを特徴とする。

【発明の効果】

【0009】

本発明の、擁壁用ブロックは、上下方向に伸延し、擁壁用ブロックの背面側の上端から下端に亘って配置される排水溝を備えている。排水溝は、擁壁用ブロックの背面に開口し、擁壁用ブロックの背面側の上端から下端に亘って配置された開口部を備えている。そのため、背面地盤中の水を流入させる開口部の面積が大きくなり、優れた排水機能を発揮することができる。開口部の幅は流入を阻止すべき異物の寸法よりも小さくなっているので、異物の流入を効果的に防止することができる。

【0010】

本発明の擁壁は、上述の擁壁用ブロックを備えているので、優れた排水機能を発揮することができるとともに、異物の流入を効果的に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】図１(ａ)は本発明の一実施形である擁壁用ブロックの平面図、図１(ｂ)は同前面図、図１(ｃ)は同背面図である。

【図2】図２(ａ)は本発明の一実施形である擁壁用ブロックの側面図、図２(ｂ)は同断面図である。

【図3】図３(ａ)、図３(ｂ)、図３(ｃ)、図３(ｄ)は、それぞれ排水溝の断面形状の例を示す図である。

【図4】図４(ａ)は本発明の一実施形である排水孔付き擁壁用ブロックの前面図、図４(ｂ)は同断面図である。

【図5】図５(ａ)は本発明の一実施形である擁壁の側面図、図５(ｂ)は擁壁における水の流れを説明する図である。

【図6】図６(ａ)は本発明の一実施形である擁壁の前面図、図６(ｂ)は同部分背面図である。

【図7】図７(ａ)は本発明の第１の実施例である擁壁用ブロックの背面図、図７(ｂ)は同側面図、図７(ｃ)は排水溝の断面形状を示すである。

【図8】図８(ａ)は本発明の第２の実施例である擁壁用ブロックの背面図、図８(ｂ)は同側面図である。

【図9】図９(ａ)は本発明の第３の実施例である擁壁用ブロックの背面図、図９(ｂ)は同側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

本発明の一実施形態である擁壁用ブロック１について説明する。図１(ａ)は擁壁用ブロック１の平面図、図１(ｂ)は同前面図、図１(ｃ)は同背面図、図２(ａ)は同側面図、図２(ｂ)は同断面図（図１（ａ）のＡ－Ａ線）である。

【0013】

擁壁用ブロック１の外形は略直方体であり、上面１４及び下面１５にはそれぞれコンクリート充填溝１６が設けられている。コンクリート充填溝１６は、擁壁用ブロック１の厚さ方向（図１（ａ）の上下方向）の中央に、左側面１２から右側面１３に亘って設けられている。コンクリート充填溝１６の断面形状は上面１４側または下面１５から中心側に向かって幅が漸次狭くなる台形形状となっている。

【0014】

擁壁用ブロック１の材質は、主としてセメントコンクリートを想定しているが、擁壁の安定と強度を確保できれば、天然石など他の材料とすることもできる。

【0015】

擁壁用ブロック１には、１個のコンクリート充填孔１７ａと、２個のコンクリート充填孔１７ｂとが設けられている。コンクリート充填孔１７ａ、１７ｂはいずれも上面１４から下面１５に貫通している。コンクリート充填孔１７ａの断面形状は１辺の長さが擁壁用ブロック１の厚さの約１／３の正方形となっている。コンクリート充填孔１７ａは、平面的には厚さ方向及び左右方向(図１(ａ)の左右方向)の中心に配置されている。コンクリート充填孔１７ｂの断面形状は、幅方向の寸法がコンクリート充填孔１７ａの幅方向の寸法の１/２、厚さ方向の寸法がコンクリート充填孔１７ａの厚さ方向の寸法と同じである長方形となっている。コンクリート充填孔１７ｂは、平面的には厚さ方向の中心、左右方向の両端に配置されている。コンクリート充填孔１７ｂは、擁壁用ブロック１が積み上げられた際に、左右に隣接する擁壁用ブロック１のコンクリート充填孔１７ｂと一体になり、断面形状がコンクリート充填孔１７ａと同一の正方形となるコンクリート充填孔を形成する。

【0016】

コンクリート充填溝１６とコンクリート充填孔１７ａ、１７ｂをこのように配置することによって、擁壁用ブロック１を積み上げた際に、その内部に格子状の空間を形成することができ、この空間にコンクリートを充填することにより多数の擁壁用ブロック１を一体化して擁壁を形成することができる。

【0017】

上述の、コンクリート充填溝１６とコンクリート充填孔１７ａ、１７ｂの形状、配置は一例であり、擁壁内部に連通した空間を形成し、そこにコンクリートを充填することができれば、これとは異なる構成としてもよい。

【0018】

擁壁用ブロック１の前面１０の四周には、１０ｍｍ程度の面取り２１が施されている。

【0019】

擁壁用ブロック１の背面１１側には、上面１４から下面１５に亘って上下方向に伸延する３本の排水溝１８が設けられている。排水溝１８は、背面１１に上面１４から下面１５に亘って上下方向（図１(ｂ)の上下方向）に伸延する開口部１９を備えている。開口部１９も、擁壁用ブロック１の上面１４から下面１５に亘って配置されている。排水溝１８の平面的な配置は、擁壁用ブロック１の左右方向の中央と両端にそれぞれ１本を配置している。排水溝１８の左右方向の配置間隔は、３００ｍｍ以下とするのが好ましい。

【0020】

排水溝１８をこのような配置としているので、上下に隣接する擁壁用ブロック１の左右の側面１２、１３が一致するように積み上げた場合でも、擁壁用ブロック１の幅の１／２だけずれるように積み上げた場合でも（図６（ｂ）参照)、各排水溝１８の左右方向の位置が上下の擁壁用ブロック間で一致し、擁壁の上端から下端に亘って連続する排水路を形成することができる。

【0021】

そのため、擁壁用ブロック１によれば、背面地盤３４（図６（ａ）参照）中の水を流入させる開口部１９の面積が大きくなり、優れた排水機能を発揮することができる。

【0022】

図３(ａ)、（ｂ）（ｃ）、（ｄ）に排水溝１８の断面形状の例を示す。
いずれの例でも、開口部１９の幅ｗ１は、排水溝１８への流入を阻止すべき異物２５の大きさＤよりも小さく、かつ、排水溝１８へ擁壁の背面地盤中の水がスムーズに流入できるように設定する。このようにすることによって、排水溝１８への異物の流入を防止することができる。ここで、異物２５の大きさとは、コンクリートの粗骨材の最大寸法の表し方等と同様に、異物２５が通過することができる最少の篩目の大きさをいう。

【0023】

また、いずれの例でも、擁壁用ブロック１の左右方向の端部に配置される排水溝１８については、各図に示した形状を左右対称に２分割した形状とし、隣接して配置される擁壁用ブロック１の端部に配置される排水溝１８と結合して、各図に示した形状の排水溝１８を形成する。

【0024】

図３(ａ)に示す形状が、発明者が最も好適と考える形状である。排水溝１８の断面形状は、背面１１側から前面１０側に向かって幅が漸次拡大する台形形状となっている。たとえば、異物として裏込めの砕石の中に含まれる小さい粒を想定した場合には、開口部１９の幅ｗ１を１０ｍｍ程度とするのが好ましい。前面側端部の幅ｗ２と深さｄは同程度の寸法とするのが好ましい。

【0025】

排水溝１８の断面形状を図３(ａ)のようにすることにより、開口部１９の近傍２０の厚みが大きくなり、欠けにくくなる。また、深さｄを大きくすることなく、水を流下させるために必要な断面積を確保することができる。

【0026】

図３（ｂ）は、排水溝１８の断面形状を、開口部１９の幅がｗ１となるように一部を切り欠いた円形形状とした例である。このようにすると排水溝１８を形成するための型枠として既成の円管部材を利用することができ、施工性がよくなる。しかし、排水溝１８の断面積と開口部の幅ｗ１を図３(ａ)の例と同程度とした場合、開口部１９の近傍２０の厚みが小さくなり欠けやすいという欠点がある。

【0027】

図３(ｃ)は、排水溝１８の断面形状を幅が一定な長方形形状とした例である。このようにすると施工性は最もよく、開口部１９の近傍２０も欠けにくい。しかし、排水溝１８の断面積と開口部の幅ｗ１を図３(ａ)の例と同程度とした場合、幅ｗ１に比べて深さｄが非常に大きい細長い形状となり、土などのある程度の流入が避けられない物によって詰まりやすいという欠点がある。排水溝１８の深さｄと開口部の幅ｗ１を図３(ａ)の例と同程度とした場合、通水のための十分な断面積を確保することができない。

【0028】

図３(ｄ)は、幅を開口部の幅ｗ１から前面側の幅ｗ２に階段状に変化させた例である。排水溝１８の断面積と開口部の幅ｗ１を図３(ａ)と同程度とした場合、図３(ｃ)の例に比べて深さｄを小さくすることができるが、施工が煩雑となり、開口部１９の近傍２０がやや欠けやすいという欠点がある。

【0029】

次に、排水孔付き擁壁用ブロック２について説明する。排水孔付き擁壁用ブロック２の構成は、排水孔２２を備える点以外は、前述の擁壁用ブロック１と同様である。
図４(ａ)は、排水孔付き擁壁用ブロック２の正面図、図４(ｂ)は、同断面図（図４(ａ)のＢ－Ｂ）である。
２個の排水孔２２は、排水孔付き擁壁用ブロック２の前面から見た中央付近に、前面１０から背面１１に貫通するように設けられている。排水孔２２の断面形状は高さが幅の２倍程度の縦長の長方形となっている。排水孔２２の高さは排水孔付き擁壁用ブロック２全体の高さの１／３程度となっている。また、二つの排水孔２２の間の空きは排水孔２２の幅と同程度となっている。

【0030】

次に、擁壁用ブロック１および排水孔付き擁壁用ブロック２を用いて構成した擁壁３の構造と施工方法の概要について説明する。
図５(ａ)は擁壁３の側面図、図５(ｂ)は擁壁３における水の流れ方を説明する図、図６（ａ）は擁壁３の正面図、図６(ｂ)は擁壁３の部分背面図である。

【0031】

この実施形態では、擁壁３が背面側に倒れるように傾斜しているものとしたが、擁壁用ブロック１、排水孔付き擁壁用ブロック２を用いて、直立する擁壁を形成することもできる。

【0032】

あらかじめ施工された基礎３１の上に勾配調整用の均しコンクリート３２を打設する。均しコンクリート３２の上面は、擁壁３の勾配に合わせて調整する。また、擁壁３の背面と背面側地盤３４の間に、栗石、砕石などの裏込め材３６を設置する。

【0033】

均しコンクリート３２の上に１段目の擁壁用ブロック１、排水孔付き擁壁用ブロック２を互いに密着させて左右方向に所定の個数並べる。２段目の擁壁用ブロック１は、１段目の擁壁用ブロック１、排水孔付き擁壁用ブロック２に対して左右方向に擁壁用ブロック１の幅の１／２だけずれるように（いわゆる千鳥に）積み上げる。３段目以降も同様に所要の高さまで擁壁用ブロック１を積み上げる。

【0034】

コンクリート充填溝１６、コンクリート充填孔１７ａ、１７ｂにより形成される空間３７には、必要に応じて縦方向及び/又は横方向に鉄筋を配置する。

【0035】

次に、コンクリート充填孔１７ａ、１７ｂから、生コンクリートを流し込み、積み上げた擁壁用ブロック１、排水孔付き擁壁用ブロック２を一体化させて擁壁３を形成する。なお、横方向の鉄筋の配置と生コンクリートの充填は、全段を積み上げてから行ってもよいし、１段ごと、あるいは数段ごとに行ってもよい。

【0036】

必要に応じて天端コンクリート３３を打設して、擁壁３の天端を水平に形成する。

【0037】

この例では、排水孔付き擁壁用ブロック２を１段目(最下段)のみ３個間隔に配置しているが、配置間隔は背面地盤３４の土質や降雨量に応じて適宜定めればよい。また、最下段のみでなく、中間の段に適宜配置してもよい。たとえば、前面地盤３５の地表の高さが下から２段目の擁壁用ブロック１の中ほどとなっている場合には、下から３段目に排水孔付きブロック２を配置する。あるいは、排水孔付き擁壁用ブロック２を用いずに、擁壁用ブロック１のみで擁壁３を形成してもよい。

【0038】

排水溝１８に流入した水は、図５(ｂ)の矢印ａに示すように排水溝１８内を流下して擁壁３の下端に達する。擁壁３の下端では適宜な方法で、水を側溝や暗渠に導いて排出する。また、排水溝１８が集水しきれずに背面地盤３４に残っている水は、図５(ｂ)の矢印ｂに示すように排水孔２２を介して擁壁３の前面に排出される。水がこのように流れるためには、擁壁用ブロック２が設置された状態で、排水孔２２の前面側下端２３が排水孔２２の背面側上端２４よりも低くなるように、排水孔２２の形状を調整する。

【0039】

この例のように上下に隣接する擁壁用ブロック１、２を左右方向にずらして配置する場合には、図６(ｂ)に示すように、開口部１９の左右方向の位置が上下の擁壁用ブロック１間で一致するように開口部１９の位置と配置間隔を調整する。たとえば、千鳥に積む場合は、開口部１９を左右方向の両端部と中央に少なくとも配置し、かつ、開口部１９を等間隔で配置すればよい。コンクリート充填孔１７ａ、１７ｂについても同様である。

【実施例1】

【0040】

次に、本発明の第１の実施例である擁壁用ブロック４について説明する。図７(ａ)は擁壁用ブロック４の背面図、図７(ｂ)は同側面図、図７(ｃ)は排水溝１８の断面形状を表す図である。なお、図中の寸法の単位はｍｍである。擁壁用ブロック４の基本的な構成は、擁壁用ブロック１と同様である。

【0041】

擁壁用ブロック４の外形寸法は、幅６００ｍｍ、高さ３００ｍｍ、厚さ３００ｍｍである。背面１１の中央と両端にそれぞれ１本の合計３本の排水溝１８が配置されている。排水溝１８の断面形状は開口部１９の幅が１０ｍｍ、前面側の幅が４０ｍｍ、深さが３０ｍｍの台形である。

【0042】

上面と下面にはそれぞれコンクリート充填溝１６が設けられている。コンクリート充填溝１６の開口幅は１００ｍｍ、底部の幅は５０ｍｍ、深さは１００ｍｍである。

【実施例2】

【0043】

次に、本発明の第２の実施例である擁壁用ブロック５について説明する。図８(ａ)は擁壁用ブロック５の背面図、図８(ｂ)は同側面図である。なお、図中の寸法の単位はｍｍである。擁壁用ブロック５の基本的な構成は、擁壁用ブロック１と同様である。

【0044】

擁壁用ブロック５の外形寸法は、幅１０００ｍｍ、高さ５００ｍｍ、厚さ５００ｍｍである。背面１１の両端にそれぞれ１本、中間に３の合計５本の排水溝１８が２５０ｍｍ間隔で配置されている。排水溝１８の断面形状は第１の実施例と同一である。

【0045】

上面と下面にはそれぞれコンクリート充填溝１６が設けられている。コンクリート充填溝１６の開口幅は２００ｍｍ、底部の幅は１００ｍｍ、深さは１５０ｍｍである。

【実施例3】

【0046】

次に、本発明の第３の実施例である擁壁用ブロック６について説明する。図９(ａ)は擁壁用ブロック６の背面図、図８(ｂ)は同側面図である。なお、図中の寸法の単位はｍｍである。擁壁用ブロック６の基本的な構成は、擁壁用ブロック１と同様である。

【0047】

擁壁用ブロック６の外形寸法は、幅２０００ｍｍ、高さ１０００ｍｍ、厚さ５００ｍｍである。背面１１の両端にそれぞれ１本、中間に９本の合計１１本の排水溝１８が２００ｍｍ間隔で配置されている。排水溝１８の断面形状は第１の実施例と同一である。

【0048】

上面と下面にはそれぞれコンクリート充填溝１６が設けられている。コンクリート充填溝１６の開口幅は２００ｍｍ、底部の幅は１００ｍｍ、深さは２００ｍｍである。

【符号の説明】

【0049】

１ 擁壁用ブロック１、４、５、６
２ 排水孔付き擁壁用ブロック
１０ 前面
１１ 背面
１２ 左側面
１３ 右側面
１４ 上面
１５ 下面
１６ コンクリート充填溝
１７ａ、１７ｂ コンクリート充填孔
１８ 排水溝
１９ 開口部
２０ 近傍
２１ 面取り
２２ 排水孔
２３ 排水孔の前面下端
２４ 排水孔の背面上端
２５ 異物
３ 擁壁
３１ 基礎
３２ 均しコンクリート
３３ 天端コンクリート
３４ 背面側地盤
３５ 前面側地盤
３６ 裏込め材
３７ 空間

【要約】

【課題】擁壁背面の地盤中の水を排水する機能に優れ、異物が流入しにくい擁壁用ブロック、および、そのような擁壁用ブロックを備えた擁壁を提供する。
【解決手段】積み上げて擁壁を形成するために用いられる擁壁用ブロック１は、上下方向に伸延し、擁壁用ブロック１の背面側の上端から下端に亘って配置される排水溝１８を備え、この排水溝１８は流入を阻止すべき異物２５の寸法よりも小さい幅で擁壁用ブロック１の背面１１に開口し、擁壁用ブロック１の背面側の上端から下端に亘って配置された開口部１９を備えている。
【選択図】図１

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】