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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/175 20160101AFI20240806BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240806BHJP
   A23L 33/19 20160101ALI20240806BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 38/01 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240806BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A23L33/175
A23L5/00 C
A23L5/00 D
A23L33/19
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K31/197
A61K38/01
A61K38/06
A61K47/42
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/12
A61P25/20
A61P43/00 121
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020102054
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021193919
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 征次
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-209230(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物を含有し、
γ-アミノ酪酸が粉末状であり、
カゼイン由来タンパク分解物の体積頻度粒度分布の累積値が10%となる粒子径(D10)が10μm以上、累積値が90%となる粒子径(D90)が140μm以下、かつ、メディアン径が30μm以上100μm以下であり、
粉末状における安息角が42度以下であることを特徴とする経口組成物。
【請求項2】
カゼイン由来タンパク分解物が、メチオニン、リジン、プロリンを構成アミノ酸とするトリペプチドを0.01質量%以上0.07質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物の総量に対するカゼイン由来タンパク分解物の含有率が2質量%以上98質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の経口組成物。
【請求項4】
体積頻度粒度分布の累積値が10%となる粒子径(D10)が5μm以上、90%となる粒子径(D90)が450μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
【請求項5】
メディアン径が205μm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の経口組成物。
【請求項6】
粉末状、錠剤またはカプセル剤であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の経口組成物。
【請求項7】
γ-アミノ酪酸の流動性改善用であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物を含有することを特徴とする経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
γ-アミノ酪酸(γ-aminobutylic acid;以下、GABAともいう)は、哺乳類の脳や脊髄に存在する抑制性の神経伝達物質であり、経口摂取することにより、血圧降下作用、血圧上昇抑制作用、抗ストレス・リラックス作用、睡眠の質改善作用、血中コレステロール・中性脂肪増加抑制作用、血糖値上昇抑制作用等の効果が得られることが知られている。γ-アミノ酪酸は、高血圧症を発症している者に対してのみ血圧降下作用があり、健常者に対しては血圧を降下させず、低血圧症を引き起こすことがない安全性の高い機能性成分として注目されている。
【0003】
粉末化したγ-アミノ酪酸は、高い吸湿性を有し、空気中の水分を吸収して固結し、保存安定性や流動性が低下するため、さらなる加工や製剤化が困難であるという課題があった。粉体の吸湿性や流動性を改善する一つの方法として、賦形剤・助剤・添加剤の利用が挙げられる。食品分野においては、乳糖、デキストリン類、結晶セルロース、微粒二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、コーンスターチ等が、粉体の吸湿性や流動性を改善する目的で用いられている。しかし、γ-アミノ酪酸の有する生理機能を目的とする場合、本来これらの賦形剤・助剤・添加剤の使用量は少ない方が好ましい。また、微粒二酸化ケイ素やリン酸三カルシウムは、粉体の流動性改善に高い効果を発揮するが、食品添加物公定書によって、その使用上限量が定められており、その範囲内ではγ-アミノ酪酸の粉体物性を十分に改善できない。
【0004】
特許文献1(特開2008-150350号公報)には、γ-アミノ酪酸含有粉末の褐変を防ぐための技術として、賦形剤として環状デキストリン及び/又は重合度3以上の糖を70%以上含有する還元澱粉分解物を賦形剤として使用することが記載されている。この還元澱粉分解物により、γ-アミノ酪酸含有粉末の保存安定性が向上し、褐変を防止することができるが、流動性については記載されておらず、そのあとの加工や製剤化のしやすさについては不明である。
【0005】
特許文献2(特表2019-501160号公報)は、安定性、耐吸湿性及び耐固結性を有し、さらなる加工及び使用に便利であり、大きな主粒径及び均一な粒径分布、高い嵩密度、良い流動性を有し、純度≧99%であるγ-アミノ酪酸半水和物結晶の製造方法について開示している。特許文献2に記載された方法は、粉体物性の優れたγ-アミノ酪酸の製造方法であり、γ-アミノ酪酸の粉体物性を改善する方法ではない。
【0006】
特許文献3(特開2010-189333号公報)には、ヒアルロン酸および/またはその塩を混合することで、γ-アミノ酪酸の褐変が抑制できることから、γ-アミノ酪酸の品位を長期間良好に保つことができる旨が記載されている。しかし、流動性等の粉体物性については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-150350号公報
【文献】特表2019-501160号公報
【文献】特開2010-189333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
γ-アミノ酪酸の粉体物性を、賦形剤・助剤・添加剤ではなく、機能成分を用いて改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題を解決するための主な手段は、次のとおりである。
1.γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物を含有し、
カゼイン由来タンパク分解物の粒度分布の累積値が10%となる粒子径(D10)が10μm以上、累積値が90%となる粒子径(D90)が140μm以下であることを特徴とする経口組成物。
2.γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物を含有し、
カゼイン由来タンパク分解物のメディアン径が30μm以上100μm以下であることを特徴とする経口組成物。
3.γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物を含有し、
カゼイン由来タンパク分解物が、メチオニン、リジン、プロリンを構成アミノ酸とするトリペプチドを0.01質量%以上0.07質量%以下含有することを特徴とする経口組成物。
4.粉末状、錠剤またはカプセル剤であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の経口組成物。
5.γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物の総量に対するカゼイン由来タンパク分解物の含有率が2質量%以上98質量%以下であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の経口組成物。
6.安息角が42度以下の粉末状であることを特徴とする1.~5.のいずれかに記載の経口組成物。
7.γ-アミノ酪酸の流動性改善用であることを特徴とする1.~6.のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の経口組成物は、γ-アミノ酪酸の粉体物性が向上しており、製造時等の取扱性に優れている。本発明の経口組成物は、製造時に、γ-アミノ酪酸が製造機械等に貼り付くことを防止することができるため、原料ロスが少なく、製造後に清掃がしやすい。また、製造機械等に貼り付いた原料が、経時で落下して製品に混入することを防止することができるため、衛生的である。本発明の経口組成物は、粉末状のまま服用する際に、袋内部に貼り付いて残留しにくいため、必要量を摂取することが容易である。
本発明の経口組成物は、γ-アミノ酪酸由来の機能性と、カゼイン由来タンパク分解物由来の機能性を奏し、生理機能の複合化、相乗効果等が期待できる。
本発明の経口組成物は、γ-アミノ酪酸の粉体物性を向上させるため、γ-アミノ酪酸流動性改善用として用いることができ、製造時、服用時等の取扱性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物を含有する経口組成物に関する。
本発明の第一の経口組成物は、カゼイン由来タンパク分解物の粒度分布の累積値が10%となる粒子径(D10)が10μm以上、累積値が90%となる粒子径(D90)が140μm以下であることを特徴とする。
本発明の第二の経口組成物は、カゼイン由来タンパク分解物のメディアン径が30μm以上100μm以下であることを特徴とする。
本発明の第三の経口組成物は、カゼイン由来タンパク分解物が、メチオニン、リジン、プロリンを構成アミノ酸とするトリペプチドを0.01質量%以上0.07質量%以下含有することを特徴とする。
【0012】
・γ-アミノ酪酸
γ-アミノ酪酸(GABA)は、動物や植物に広く分布するアミノ酸の一つであり、その外観は、白色粉末である。γ-アミノ酪酸は、経口摂取することにより、血圧降下作用、血圧上昇抑制作用、抗ストレス・リラックス作用、睡眠の質改善作用、血中コレステロール・中性脂肪増加抑制作用、血糖値上昇抑制作用等の効果を奏する。
γ-アミノ酪酸は、吸湿性を有し、室温で放置すると吸湿してしっとりとした性状となる。吸湿したγ-アミノ酪酸は、粉体流動性等の粉体物性が悪化する。
【0013】
・カゼイン由来タンパク分解物
カゼインは、牛乳に含まれる乳タンパク質の主成分であり、牛乳中の全窒素源の約80%がカゼイン、残りが主として乳清タンパク質(ホエイ)と非タンパク態窒素化合物である。
本発明で使用するカゼイン由来タンパク分解物を得るためのカゼインは、特に制限されず、例えば、生乳、ナチュラルチーズ等、および、これらの濃縮物、乾燥物、凍結物および加水分解物を使用することができる。カゼインタンパク質としては、α-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼインが挙げられる。本発明においてカゼインは、市販品を利用することができる。
【0014】
カゼイン由来タンパク分解物は、カゼインが分解されて生じる多種のポリペプチドの混合物である。本発明で使用するカゼイン由来タンパク分解物は、本発明の効果を奏するものであれば特に制限されず、様々な酵素、様々な条件で分解したものを用いることができるが、機能性を有するものを用いることが、γ-アミノ酪酸の有する機能性との複合化、相乗効果等が期待できるため好ましい。このようなカゼイン由来タンパク分解物としては、例えば、カルシウムの吸収作用に寄与するといわれるカゼインホスホペプチド、血圧調整に寄与するといわれるメチオニン、リジン、プロリンを構成アミノ酸とするトリペプチドや、アンジオテンシン調整ペプチド等を用いることができる。
【0015】
本発明の第一の経口組成物で用いるカゼイン由来タンパク分解物は、γ―アミノ酪酸の粉体物性向上の観点から粒度分布の累積値が10%となる粒子径(D10)が10μm以上、累積値が90%となる粒子径(D90)が140μm以下である。カゼイン由来タンパク分解物は、D10が15μm以上、D90が130μm以下であることが好ましい。また、累積値が20%となる粒子径(D20)が30μm以上、累積値80%となる粒子径(D80)が110μm以下であることが好ましく、D20が35μm以上、D80が105μm以下であることがより好ましい。本発明において、粒度分布の累積値及び粒子径は、後述のとおり、レーザ回折散乱法による体積頻度粒度分布測定により求められる物性値である。
【0016】
本発明の第二の経口組成物で用いるカゼイン由来タンパク分解物のメディアン径は、γ―アミノ酪酸の粉体物性向上の観点から30μm以上100μm以下である。メディアン径は、40μm以上80μm以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の第三の経口組成物で使用するカゼイン由来タンパク分解物は、γ―アミノ酪酸の粉体物性向上の観点からメチオニン、リジン、プロリンを構成アミノ酸とするトリペプチド(以下、トリペプチドともいう)を0.01質量%以上0.07質量%以下含有する。カゼイン由来タンパク分解物におけるこのトリペプチドの含有率は、0.015質量%以上0.06質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上0.05質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
本発明の経口組成物は、γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物の総量に対するカゼイン由来タンパク分解物の含有率が2質量%以上98質量%以下であることが、粉体物性向上の点から好ましい。この総量に対するカゼイン由来タンパク分解物の含有率は、5質量%以上であることがより好ましく、25質量%であることがさらに好ましい。また、この総量に対するカゼイン由来タンパク分解物の含有率の上限値は、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に制限されないが、例えば、98質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
【0019】
本発明の経口組成物は、粉末状における安息角が42度以下であることが好ましく、40度以下であることがより好ましく、38度以下であることがさらに好ましい。また、本発明の経口組成物は、粒度分布の累積値が10%となる粒子径(D10)が5μm以上、90%となる粒子径(D90)が450μm以下であることが好ましい。また、メディアン径が205μm以下であることが好ましく、180μm以下であることがより好ましく、140μmであることがさらに好ましい。
【0020】
本発明の経口組成物は、粉体物性に優れるものであり、γ-アミノ酪酸の流動性改善用として好適に用いることができる。
本発明の経口組成物の剤形は、粉末状に限定されない。本発明の経口組成物は、製造工程の一部において粉体として取り扱った後に、錠剤、カプセル剤、液状、シロップ状、ペースト状等とすることもできる。これらの中で、粉末状、錠剤またはカプセル剤であることが、製造工程が簡便であり、取扱性、保存性に優れる等の点から好ましい。
本発明の経口組成物は、本発明の効果を損ねない限り、γ-アミノ酪酸とカゼイン由来タンパク分解物以外の、飲食品、サプリメント等に使用される成分を含むことができる。
【実施例
【0021】
以下、実施例に基づいて本発明について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
γ-アミノ酪酸:ラクトギャバン(株式会社ファーマフーズ)
カゼイン由来タンパク分解物1:森永ミルクペプチドMKP(森永乳業株式会社)、トリペプチド0.02質量%以上含有。
アミノ酸混合物:(味の素株式会社)
シトルリン:発酵シトルリン協和(協和発酵バイオ株式会社)
カゼイン由来タンパク分解物2:(サンブライト株式会社)、主としてデカペプチドを含み、トリペプチドは検出されない(検出限界:50ppb)。
結晶セルロース粉末:セオラスUF-F702(旭化成株式会社)
微粒二酸化ケイ素:サイロページ720(富士シリシア化学株式会社)、使用上限:2質量%
リン酸三カルシウム:第三リン酸カルシウム(米山化学工業株式会社)、使用上限:1質量%
【0023】
各原料を、表1に示す配合量で合計20gとなるように、ビニール袋9号(高さ250mm×幅150mm)に入れ、十分に撹拌、混合する際に、粉体の外観並びに感触を評価し、粉立ちについても評価した。
<粉体の外観並びに感触の評価>
◎:サラサラした粉立ちしない粉末
○:サラサラした粉末であるが、粉立ちする
△:わずかにしっとりとした粉末
×:しっとりとした粉末
なお、サラサラとは、水分を含まず重みや固まり感を感じない、流動性のある粉であり、しっとりとは、水分を含むような重みを感じて固まり感があり、流動性の悪い粉である。
【0024】
<安息角の測定方法>
調製した試験品2gを粉末ロート(Thermo Fisher Scientific社製、商品名「Nalgene Polypropylene Powder Funnels」、口径(φ)65mm、全高67mm、足長22mm、足径(φ)16mm)の上端の高さから落とし、積み上がった堆積物について、120度毎の3方向から安息角を測定し、その平均値を求めた。
なお、安息角とは、粉体の堆積物の自発的に形成された斜面と水平面とのなす最大角度であり、粒子が粉体の堆積物の自発的に形成された斜面に摺動するときに受ける重力と粒子同士間における摩擦力とのバランスを達成して静止状態になったときに測定される。安息角の測定は、粉体の流動性の良否を判定する最も簡単な方法である。安息角が小さいほど、摩擦力が小さくなり、流動性が良くなる。
【0025】
<粉末ロート通過量の測定方法>
栓をした状態の粉末ロート(Thermo Fisher Scientific社製、商品名「Nalgene Polypropylene Powder Funnels」、口径(φ)65mm、全高67mm、足長22mm、足径(φ)16mm)に各試験品5gを入れ、栓を外した後に自重で通過した量を測定した。
【0026】
<粒子径の測定方法>
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA-920)を用いて、原料単体ならびに経口組成物を、乾式/レーザ回折/散乱法により測定し、体積頻度粒度分布を求め、累積値が10%、20%、50%、80%、90%となる粒子径を、それぞれD10、D20、メディアン径(D50)、D80、D90として求めた。
【0027】
【表1】
【表2】
【表3】
【0028】
(結果)
実施例1~8、比較例9~14は経口組成物について、比較例1~8については、原料単体についての測定結果である。
本発明である実施例の経口組成物は、γ-アミノ酪酸単独の比較例1と比較して、サラサラとしており、安息角が小さく、ロート通過量が多かった。また、D10、D20、メディアン径(D50)が小さくなっていた。このことから、カゼイン由来タンパク分解物1が、γ-アミノ酪酸の粉体物性を向上させることが確認できた。
それに対し、比較例5、11で用いたカゼイン由来タンパク分解物2は、粉末の外観並びに感触と、ロート通過量は向上したが、安息角は変化せず、メディアン径、D80、D90はほとんど変わらなかった(表2)。
カゼイン由来タンパク分解物1と、粒度分布が比較的類似しているアミノ酸混合物(比較例3,9)及びシトルリン(比較例4,10)では、粉末の外観並びに感触の改善が見られたのみで、安息角が大きくなり、ロート通過量が0であり、メディアン径は実施例7と比較して大きいことが確認できた(表3)。