(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】差別加熱機能を具備するエアロゾル発生装置およびこれに適用されるエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240806BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240806BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/465
(21)【出願番号】P 2023502797
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2022004207
(87)【国際公開番号】W WO2022220439
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0048463
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ギョウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン セオン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン チュル
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/060768(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0149737(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品を収容するための収容空間を形成するハウジングと、
前記収容空間に収容された前記エアロゾル発生物品を加熱することによってエアロゾルを発生させるヒーター部と、を含み、
前記ヒーター部は、前記エアロゾル発生物品の第1部分を加熱する第1加熱部と、前記エアロゾル発生物品の第2部分を加熱する第2加熱部と、を含み、
前記第1加熱部は、前記第1部分の周囲を取り囲む円筒形状を有し、前記第2加熱部は、前記第2部分の周囲を取り囲む円筒形状を有し、
前記第2加熱部には、少なくとも1つの開口部が
前記円筒形状の周側面上に形成されている、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記第1加熱部と前記第2加熱部は、一体化した形態からなる、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記ヒーター部は、前記第1加熱部および前記第2加熱部を誘導加熱するためのインダクターをさらに含む、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記インダクターは、前記第1加熱部を誘導加熱するための第1コイル部と、前記第2加熱部を誘導加熱するための第2コイル部と、を含み、かつ、
前記第1コイル部の巻線層の数は、前記第2コイル部より多い、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記第1部分は、前記エアロゾル発生物品の第1セグメントであり、
前記第2部分は、前記第1セグメントの下流に位置する第2セグメントであり、
前記第1セグメントは、エアロゾル形成剤を含み、
前記第2セグメントは、ニコチン発生基材を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記開口部は、前記第2加熱部上で前記第2セグメントの下流末端部位に対応する位置に形成される、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記第1加熱部の長さは、前記第2加熱部より短い、請求項1から6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記第1加熱部の厚さは、前記第2加熱部より薄い、請求項1から7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記第1加熱部と前記第2加熱部の熱容量の差異は、前記第1加熱部の熱容量の10%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記開口部は、前記第2加熱部上で長さ方向に形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記第1加熱部の内径は、前記第2加熱部より小さい、請求項1から10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記ヒーター部は、インダクターをさらに含み、
前記インダクターは、前記第1加熱部を誘導加熱するための第1コイル部と、前記第2加熱部を誘導加熱するための第2コイル部と、を含み、
前記第1コイル部の直径は、前記第2コイル部より小さい、請求項11に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、差別加熱機能を具備するエアロゾル発生装置およびこれに適用されるエアロゾル発生物品に関する。より詳細には、エアロゾル発生物品の各部分を差別的に加熱することによって、さらに向上した喫煙品質を提供できるエアロゾル発生装置およびこのような装置に適用可能なエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝統シガレットの短所を克服する代替方法に関する需要が増加している。例えば、シガレットを電気的に加熱することによってエアロゾルを発生させる装置(e.g.シガレット型電子タバコ)に関する需要が増加しており、これによって、電気加熱式エアロゾル発生装置に関する研究が活発に行われている。
【0003】
一方、ユーザの喫煙品質を左右する重要な要因の1つは、エアロゾル発生装置の加熱温度である。加熱温度が非常に低い場合には、喫味が劣り、加熱温度が非常に高い場合には、過度な喫味発現と共に、後半部の喫味断絶現象を引き起こすことができるためである。したがって、ユーザにさらに向上した喫煙品質を提供するためには、エアロゾル発生装置の加熱温度が適切に制御される必要がある。
【0004】
また、シガレットの各部分に発現温度が異なる物質が含まれている場合には、各部分を差別的に加熱することが、喫煙品質の向上に肯定的な影響を及ぼすことができる。シガレットの各部分が同じ温度で加熱されると、シガレットの特定部分に含まれた物質が低発現したり過発現することがあるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする技術的課題は、差別加熱機能を具備するエアロゾル発生装置を提供することにある。
【0006】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする他の技術的課題は、差別加熱機能を具備するエアロゾル発生装置に適用可能なエアロゾル発生物品を提供することにある。
【0007】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を収容するための収容空間を形成するハウジングと、前記収容空間に収容された前記エアロゾル発生物品を加熱することによってエアロゾルを発生させるヒーター部と、を含み、前記ヒーター部は、前記エアロゾル発生物品の第1部分を加熱する第1加熱部と、前記エアロゾル発生物品の第2部分を加熱する第2加熱部と、を含んでもよい。ここで、前記第2加熱部には、少なくとも1つの開口部が形成されていてもよい。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記ヒーター部は、前記第1加熱部および前記第2加熱部を誘導加熱するためのコイル部をさらに含んでもよい。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記第1部分は、前記エアロゾル発生物品の第1セグメントであり、前記第2部分は、前記第1セグメントの下流に位置する第2セグメントであり、前記第1セグメントは、エアロゾル形成剤を含み、前記第2セグメントは、ニコチン発生基材を含んでもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記第1加熱部の長さは、前記第2加熱部より短くてもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記第1加熱部と前記第2加熱部の熱容量の差異は、前記第1加熱部の熱容量の10%以下であってもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記開口部は、前記第2加熱部上で長さ方向に形成されてもよい。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記第1加熱部の内径は、前記第2加熱部より小さくてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上述した本開示の幾つかの実施形態によれば、差別的な加熱機能を具備するエアロゾル発生装置を提供することができる。提供されたエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の第1部分と第2部分を差別的に加熱することによって、喫煙品質を向上させることができる。例えば、装置に収容されたエアロゾル発生物品が、エアロゾル形成剤を含有する第1セグメントと、ニコチン発生基材を含有する第2セグメントと、を含む場合、提供されたエアロゾル発生装置は、物質発現温度の高い第1セグメントを第2セグメントより強く加熱することができる。この場合、第1セグメントにおいてエアロゾルが円滑に形成され、第2セグメントにおいて持続的に適正量のニコチンが発現するにつれて、持続的な喫味と豊富な霧化量をユーザに提供することができる。すなわち、高品質の喫煙体験をユーザに提供することができる。
【0016】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示図である。
【
図2】本開示の他の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示図である。
【
図3】本開示の他の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品を示す例示図である。
【
図5】本開示の第1実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【
図6】本開示の第1実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【
図7】本開示の第1実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【
図8】本開示の第1実施形態によるヒーター部において開口部の配置位置を説明するための例示図である。
【
図9】本開示の第1実施形態によるヒーター部において開口部の配列形態を説明するための例示図である。
【
図10】本開示の第1実施形態によるヒーター部において開口部の配列形態を説明するための例示図である。
【
図11】本開示の第1実施形態によるヒーター部において加熱部間の熱容量の差異を減らす方法を説明するための例示図である。
【
図12】は、本開示の第2実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【
図13】本開示の第2実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【
図14】本開示の第2実施形態によるヒーター部において加熱部間の熱容量の差異を減らす方法を説明するための例示図である。
【
図15】本開示の第3実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【
図16】本開示の第4実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【
図17】本開示の第5実施形態によるヒーター部の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現でき、単に以下の実施形態は、本開示の技術的思想が完全になるようにし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0019】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0020】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解析されない。 本明細書において使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。
【0021】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解しなければならない。
【0022】
本開示において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0023】
本開示の多様な実施形態に関する説明に先立って、以下の実施形態において使用される幾つかの用語について明確にする。
【0024】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成剤」は、エアロゾル(aerosol)の形成を容易にすることができる物質を意味し得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールが挙げられるが、これに限定されるものではない。当該技術分野において、エアロゾル形成剤は、保湿剤、湿潤剤などのような用語と混用して使用することができる。
【0025】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成基材」は、エアロゾルを形成できる物質を意味し得る。エアロゾルは、揮発性化合物を含んでもよい。エアロゾル形成基材は、固体または液状であってもよい。
【0026】
例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎にする固体物質を含んでもよいし、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物および/または多様な香味剤を基礎にする液状組成物を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲がこのような例示に限定されるものではない。エアロゾル形成基材は、エアロゾルを安定的に形成するためにエアロゾル形成剤をさらに含んでもよい。
【0027】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル形成基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味し得る。エアロゾル発生装置の幾つかの例示については、
図1~
図3を参照する。
【0028】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生物品」は、エアロゾルを発生させることができる物品を意味し得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材を含んでもよい。エアロゾル発生物品の代表的な例としては、シガレットが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0029】
以下の実施形態において、「上流」(upstream)または「上流方向」は、ユーザ(喫煙者)の口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」(downstream)または「下流方向」は、ユーザの口部から近づく方向を意味し得る。上流および下流という用語は、エアロゾル発生物品を構成する要素の相対的位置を説明するために用いられ得る。例えば、
図4に例示されたエアロゾル発生物品2において、エアロゾル形成基材部21は、フィルター部22の上流または上流方向に位置し、フィルター部22は、エアロゾル形成基材部21の下流または下流方向に位置する。
【0030】
以下の実施形態において、「パフ」(puff)は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0031】
以下の実施形態において、「長さ方向」(longitudinal direction)は、エアロゾル発生物品の長さ方向軸に相当する方向を意味し得る。
【0032】
以下、本開示の多様な実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置1を概略的に示す例示図である。特に、
図1以降の図面は、エアロゾル発生物品2が装置1に収容された(挿入された)状態を例示している。
【0034】
図1に示されたように、エアロゾル発生装置1は、ハウジング、ヒーター部13、バッテリー11および制御部12を含んでもよい。ただし、
図1には、本開示の実施形態と関連した構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、
図1に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいことが分かる。例えば、エアロゾル発生装置1は、ユーザから命令などの入力を受けるための入力モジュール(e.g.ボタン、タッチ可能なディスプレイなど)と装置の状態、喫煙情報などのような情報を出力するための出力モジュール(e.g.LED、ディスプレイ、振動モーターなど)をさらに含んでもよい。以下、エアロゾル発生装置1の各構成要素について説明する。
【0035】
ハウジングは、エアロゾル発生装置1の外観を形成することができる。また、ハウジングは、エアロゾル発生物品2を収容するための収容空間を形成することができる。ハウジングは、内部の構成要素を保護できる素材で具現されることが好ましい。
【0036】
次に、ヒーター部13は、収容空間に収容されたエアロゾル発生物品2を加熱することができる。具体的に、エアロゾル発生物品2がエアロゾル発生装置1の収容空間内に収容されると、ヒーター部13は、バッテリー11から供給された電力によりエアロゾル発生物品2を加熱することができる。エアロゾル発生物品2は、加熱されることによってエアロゾルを発生させることができ、発生したエアロゾルは、ユーザの口部を通じて吸入ができる。
【0037】
ヒーター部13の動作方式および/または具現形態は多様である。
【0038】
例えば、ヒーター部13は、抵抗加熱方式で動作することができる。例えば、ヒーター部13は、電気絶縁性基質(例えば、ポリイミド(polyimide)で形成された基質)および電気伝導性トラック(track)を含み、電気伝導性トラックに電流が流れるにつれて発熱する電気抵抗性加熱要素を含んでもよい。
【0039】
他の例として、ヒーター部13は、誘導加熱方式で動作することができる。例えば、ヒーター部13は、誘導コイルと、誘導コイルにより誘導加熱される加熱要素(すなわち、サセプタ)と、を含んでもよい。サセプタ(susceptor)は、エアロゾル発生物品2の外部に位置してもよく、内部に位置してもよい。
【0040】
しかしながら、本開示の範囲が上述した例示に限定されるものではなく、希望温度までエアロゾル発生物品2を加熱することができると、ヒーター部13は、いかなる方式で動作しても関係ない。ここで、希望温度は、エアロゾル発生装置1に既設定(e.g.温度プロファイルがあらかじめ保存されている場合)されていてもよく、ユーザにより所望の温度に設定されることもできる。
【0041】
また、例えば、ヒーター部13は、エアロゾル発生物品2を内部で加熱する加熱要素(以下、「内部加熱要素」と称する)、外部で加熱する加熱要素(以下、「外部加熱要素」と称する)またはこれらの組み合わせを含む形態で具現されてもよい。内部加熱要素は、例えば管状、針状または棒状などの形態からなり、エアロゾル発生物品2の少なくとも一部を貫通するように配置されてもよく、外部加熱要素は、板状、円筒状などの形態からなり、エアロゾル発生物品2の少なくとも一部を取り囲む形態に配置されてもよい。ただし、本開示の範囲がこれに限定されるものではなく、加熱要素の形状、個数、配置形態などは多様に設計可能である。
【0042】
一方、本開示の多様な実施形態において、ヒーター部13は、エアロゾル発生物品2の各部分を差別的に加熱するように構成されてもよい。例えば、エアロゾル発生物品2の第1部分と第2部分に含まれた物質の発現温度(または最適加熱温度)が異なる場合、ヒーター部13は、物質発現温度によって第1部分と第2部分を差別的に加熱することができる。かくして、ユーザに高品質の喫煙体験を提供することができる。ここで、物質発現温度は、喫煙中に当該物質が持続的によく発現できる温度を意味するものであってもよい。重複説明を排除するために、ヒーター部13の差別加熱構造および原理については、
図5以降の図面を参照して詳細に後述する。また、差別加熱に適合したエアロゾル発生物品2の一例示に関しては、
図4を参照して後述する。
【0043】
次に、バッテリー11は、エアロゾル発生装置1が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、バッテリー11は、ヒーター部13がエアロゾル発生物品2を加熱できるように電力を供給することができ、制御部12が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0044】
また、バッテリー11は、エアロゾル発生装置1に設置されたディスプレイ(不図示)、センサー(不図示)、モーター(不図示)などの電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0045】
次に、制御部12は、エアロゾル発生装置1の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部12は、ヒーター部13およびバッテリー11の動作を制御することができ、エアロゾル発生装置1に含まれた他の構成要素の動作をも制御することができる。制御部12は、バッテリー11が供給する電力、ヒーター部13の加熱温度などを制御することができる。また、制御部12は、エアロゾル発生装置1の構成それぞれの状態を確認して、エアロゾル発生装置1が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0046】
制御部12は、少なくとも1つの制御部(processor)により具現されてもよい。前記制御部は、多数の論理ゲートのアレイで具現されてもよく、汎用的なマイクロ制御部とこのマイクロ制御部で実行され得るプログラムが保存されたメモリーの組み合わせで具現されてもよい。また、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、制御部12が他の形態のハードウェアで具現されてもよいことを自明に理解することができる。
【0047】
エアロゾル発生物品2は、一般的な燃焼型シガレットと類似した構造を有していてもよい。例えば、エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基材(e.g.エアロゾル形成剤、ニコチン発生基材など)を含むエアロゾル形成基材部と、フィルター物質を含むフィルター部とに区分される。エアロゾル発生装置1の内部には、エアロゾル形成基材部の少なくとも一部が挿入され、フィルター部は外部に露出してもよいが、これに限定されるものではない。ユーザは、フィルター部を口で噛んだ状態で喫煙を行うことができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、エアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基材部は、複数のセグメントを含んでもよい。そして、各セグメントは、発現温度が異なる物質を含んでもよい。例えば、第1セグメントは、物質発現温度の相対的に高いエアロゾル形成剤を含み、第2セグメントは、物質発現温度の相対的に低いニコチン発生基材を含んでもよい。このようなエアロゾル発生物品2は、各セグメントが差別的に加熱されることによって高品質の喫煙体験を提供することができるが、これと関連しては、
図4を参照して後述する。
【0049】
以下では、
図2および
図3を参照して他の類型のエアロゾル発生装置1について説明する。ただし、本開示の明瞭さのために、前述した実施形態と重複する内容に関する説明は省略する。
【0050】
図2および
図3は、本開示の他の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置1を説明するための図である。
【0051】
図2および
図3に示されたように、本実施形態によるエアロゾル発生装置1は、気化器14をさらに含んでもよい。
図2は、ヒーター部13(またはエアロゾル発生物品2)と気化器14が並列に配置されたことを例示し、
図3は、ヒーター部13(またはエアロゾル発生物品2)と気化器14が一列に配置されたことを例示している。しかしながら、エアロゾル発生装置1の内部構造が
図2および
図3の例示に限定されるものではなく、構成要素の配置は、いくらでも変更可能である。
【0052】
図2および
図3において、気化器14は、液状のエアロゾル形成基材を貯蔵する液状貯蔵槽と、エアロゾル形成基材を吸収するウィク(wick)と、吸収されたエアロゾル形成基材を気化させてエアロゾルを発生させる気化要素と、を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではなく、気化器14は、ウィクを含まない構造に設計してもよい。
【0053】
気化要素は、加熱要素、振動要素などのように多様な形態で具現されてもよく、制御部12により制御することができる。例えば、気化要素が加熱要素で具現された場合、加熱要素の動作、加熱温度などを制御部12により制御することができる。
【0054】
気化器14で発生したエアロゾルは、エアロゾル発生物品2を通過してユーザの口部を通じて吸入ができる。換言すれば、気化器14により形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生装置1の気流パスに沿って移動することができ、気流パスは、形成されたエアロゾルがエアロゾル発生物品2を通過してユーザに伝達され得るように構成されてもよい。
【0055】
参考として、当該技術分野において気化器14は、カトマイザー(cartomizer)、アトマイザー(atomizer)、カートリッジ(cartridge)などのような用語と混用して使用することができる。
【0056】
以上では、
図1~
図3を参照して本開示の多様な実施形態によるエアロゾル発生装置1について概略的に説明した。以下では、
図4を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品2について説明する。
【0057】
図4は、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品2を示す例示図である。
【0058】
図4に示されたように、エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基材部21、フィルター部22およびラッパー23を含んでもよい。ただし、
図4は、本開示の好ましい実施形態を示しているだけであるから、エアロゾル発生物品2の構造は、
図4に示されたことと異なっていてもよい。また、エアロゾル形成基材部21とフィルター部22それぞれは、ラッパー23を含むものであってもよい。
【0059】
図示のように、エアロゾル形成基材部21は、複数のセグメント211、212を含んでもよい。
図4は、エアロゾル形成基材部21のセグメント個数が2つである場合を例示しているが、セグメントの個数は、3つ以上になってもよい。
【0060】
各セグメント211、212は、発現温度(または最適加熱温度)が異なる物質を含んでもよい。例えば、第1セグメント211は、エアロゾル形成剤(e.g.発現温度が約290℃)を含んでもよく、第1セグメント211の下流に位置する第2セグメント212は、ニコチン発生基材(e.g.発現温度が約150℃)を含んでもよい。この場合、第1セグメント211で形成された高温のエアロゾルが第2セグメント212を通過してニコチン成分を移行させることによって、ユーザに高品質の喫煙体験を提供することができる。ただし、高品質の喫煙体験が保障されるためには、各セグメント212が物質発現温度に合うように差別的に加熱される必要がある。第2セグメント212の物質発現温度(e.g.約150℃)によって第1セグメント211が加熱されると、エアロゾルがよく形成されず、反対に、第1セグメント211の物質発現温度(e.g.約290℃)によって第2セグメント212が加熱されると、喫煙序盤に過度な喫味が発現し(すなわち、喫煙序盤に大部分のニコチン成分が移行する)、喫煙後半には喫味断絶現象が発生することがあるためである。
【0061】
より具体的な例として、第1セグメント211は、エアロゾル形成剤が含浸された捲縮された紙を含んでもよい。エアロゾル形成剤は、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも1つを含んでもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0062】
また、ニコチン発生基材は、例えば、タバコ刻み、タバコ粒子(particle)、タバコシート(sheet)、タバコビーズ(beads)、タバコ顆粒(granule)を含んでもよい。またはニコチン発生基材は、タバコ抽出物が含浸された捲縮された紙を含んでもよい。ニコチン発生基材が加熱される場合、ニコチン発生基材からニコチンが発生(発現)してフィルター部22にニコチンが移行することができる。
【0063】
次に、フィルター部22は、エアロゾル形成基材部21で形成されたエアロゾルに対するろ過機能を行うことができる。フィルター部22は、単一セグメントからなってもよく、複数のセグメント(e.g.221、222)からなってもよい。例えば、図示のように、フィルター部22は、第1フィルターセグメント221と第2フィルターセグメント222から構成されてもよく、3個以上のセグメントから構成されてもよい。
【0064】
第1フィルターセグメント221は、エアロゾルに対する冷却機能を行うことができる。したがって、第1フィルターセグメント221は、「冷却セグメント」221とも称される。
【0065】
冷却セグメント221は、多様な形態で具現されてもよい。例えば、冷却セグメント221は、紙材質で形成され、中空を含む円筒状の紙管またはセルロースアセテートチューブフィルターであってもよい。他の例として、冷却セグメント221は、高分子物質または生分解性高分子物質で製作されることもできる。高分子物質は、例えばポリ乳酸(PLA)繊維で製作された織物であってもよいが、これに限定されるものではない。さらに他の例として、冷却セグメント221は、複数の穴があけられたセルロースアセテートフィルターで製作されることもできる。しかしながら、本開示の範囲が上述した例示に限定されるものではなく、エアロゾルに対する冷却機能を行うことができると、冷却セグメント221は、いかなる方式で具現されても関係ない。
【0066】
次に、第2フィルターセグメント222は、冷却されたエアロゾルに対するろ過機能を行うことができる。このために、第2フィルターセグメント222は、セルロースアセテートファイバー、紙などのフィルター物質を含んでもよい。また、第2フィルターセグメント222は、ユーザの口部と接触するマウスピースとして機能することができる。したがって、第2フィルターセグメント222は、「マウスピースセグメント」222とも称される。
【0067】
マウスピースセグメント222は多様な形態で具現されてもよい。例えば、マウスピースセグメント222は、セルロースアセテートフィルターであってもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。また、マウスピースセグメント222は、例えば、円柱型(type)ロッドであってもよく、内部に中空を含むチューブ型ロッドであってもよい。また、マウスピースセグメント222は、リセス型ロッドであってもよい。
【0068】
また、マウスピースセグメント222は、少なくとも1つのカプセル(不図示)を含んでもよい。ここで、カプセル(不図示)は、香味を発生させる機能を行うこともでき、エアロゾルを発生させる機能を行うこともできる。例えば、カプセル(不図示)は、香料を含む液体を被膜で包んだ構造であってもよい。カプセル(不図示)は、球形または円筒形の形状を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0069】
次に、ラッパー23は、エアロゾル発生物品2の少なくとも一部を包んでいてもよい。例えば、ラッパー23は、エアロゾル形成基材部21を包んでいる第1ラッパーと、フィルター部22を取り囲む第2ラッパーと、を含んでもよい。また、ラッパー23は、エアロゾル形成基材部21とフィルター部22を共に包んでいる第3ラッパーをさらに含んでもよい。第3ラッパーは、一般的にチップペーパー(tip paper)の役割をすることができる。第1ラッパーから第3ラッパーのうち少なくとも1つは、生分解性巻紙であってもよい。生分解性巻紙が使用される場合、エアロゾル発生物品2が微生物により迅速に分解され、環境汚染を低減することができる。
【0070】
以上では、
図4を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品2について説明した。以下では、上述したことのようなエアロゾル発生物品2を差別的に加熱することによって高品質の喫煙体験を提供できるヒーター部13の多様な実施形態について説明する。また、以下では、理解の便宜を提供するために、ヒーター部13が誘導加熱方式で動作し、エアロゾル発生物品2の互いに異なる部分を加熱する2個の加熱部を含むものと仮定し、エアロゾル発生物品2が
図4に例示された構造で構成され、第1セグメント211がエアロゾル形成剤を含み、第2セグメント212がニコチン発生基材を含むことを仮定して、説明を継続する。ただし、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0071】
まず、
図5~
図11を参照して本開示の第1実施形態によるヒーター部13について説明する。特に、
図7~
図11は、理解の便宜を提供するために、加熱部1321、1322を平面の形態で示している。また、
図7以降の図面は、エアロゾル発生物品2が装置1に収容された(挿入された)状態を例示し、便宜上、フィルター部22を単一セグメントとして示している。
【0072】
図5~
図7は、本開示の第1実施形態によるヒーター部13の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【0073】
図5~
図7に示されたように、本実施形態は、加熱部1321、1322に形成された開口部133を用いて差別加熱を行うヒーター部13に関する。
【0074】
具体的に、本実施形態によるヒーター部13は、インダクター131と、インダクター131により誘導加熱される加熱要素132と、を含んでもよい。ただし、
図5には、本開示の実施形態と関連した構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、
図5に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいことが分かる。以下、ヒーター部13の各構成要素について説明する。
【0075】
インダクター131は、加熱要素132に対する誘導加熱機能を行うことができる。インダクター131は、1つ以上のコイル部1311、1312を含んでもよい。例えば、インダクター131は、加熱要素132を構成する第1加熱部1321を誘導加熱するための第1コイル部1311と、第2加熱部1322を誘導加熱するための第2コイル部1312と、を含んでもよい。もちろん、場合によって、インダクター131は、第3加熱部(不図示)を誘導加熱するための第3コイル部(不図示)をさらに含んでもよい。
【0076】
幾つかの実施形態において、第1コイル部1311と第2コイル部1312は、制御部12により独立に制御することができる。例えば、第1コイル部1311と第2コイル部1312が別個のコイルで構成されて、第1コイル部1311と第2コイル部1312に供給される交流電流(電力)の強さ、周波数などを制御部12により独立に制御することができる。この場合、第1コイル部1311と第2コイル部1312を通じて対応する加熱部1321、1322を独立に制御することができるところ(e.g.供給電力の強さを通じて加熱部1321、1322の加熱温度を独立に制御する)、制御精密性と柔軟性が向上することができる。
【0077】
他の幾つかの実施形態において、第1コイル部1311と第2コイル部1312は、制御部12により一度に制御することができる。例えば、第1コイル部1311と第2コイル部1312は、1つのコイルで構成されて、制御部12により一度に制御することができる。この場合、制御部12とコイル部1311、1312間の回路構成を簡素化することができる。
【0078】
次に、加熱要素132は、エアロゾル発生物品2に対する加熱機能を行うことができる。すなわち、加熱要素132は、インダクター131により誘導加熱されることによってエアロゾル発生物品2を加熱することができる。具体的に、加熱要素132は、サセプタとして機能することができ、複数の加熱部1321、1322を含んでもよい。ここで、第1加熱部1321は、エアロゾル発生物品2の第1セグメント211を加熱することができ、第2加熱部1322は、エアロゾル発生物品2の第2セグメント212を加熱することができる。ただし、場合によっては、各加熱部1321、1322の加熱対象がエアロゾル発生物品2を構成するセグメント211、212と対応しなくてもよい。換言すれば、エアロゾル発生物品2のセグメント構成と関係なく、第1加熱部1321は、エアロゾル発生物品2の第1部分を加熱し、第2加熱部1322は、エアロゾル発生物品2の第2部分を加熱することもできる。
【0079】
幾つかの実施形態では、
図5に示されたように、各加熱部1321、1322が物理的に区分される加熱要素で具現されてもよい。換言すれば、第1加熱部1321が第1加熱要素で具現され、第2加熱部1322は、第1加熱要素と区分される第2加熱要素で具現されてもよい。
【0080】
他の幾つかの実施形態では、
図6に示されたように、複数の加熱部1321、1322が物理的に一体化した加熱要素で具現されてもよい。換言すれば、第1加熱部1321が特定加熱要素の一部を構成し、第2加熱要素1322が特定加熱要素の他の一部を構成することもできる。
【0081】
図5などに示されたように、第2加熱部1322には、少なくとも1つの開口部133が形成されてもよい(第2セグメント212をさらに弱く加熱する場合)。または、第2加熱部1322において開口部133の占める比重が、第1加熱部1321より大きくてもよい。例えば、第2加熱部1322にさらに多い数の開口部133が形成されたり、さらに大きいサイズの開口部133が形成されてもよい。
【0082】
この場合、第2加熱部1322の加熱面積が第1加熱部1321より減少するので、第2セグメント212が相対的に弱く(低い温度で)加熱され、第1セグメント211は、相対的に強く(高い温度で)加熱されることができる。また、この場合、エアロゾル形成剤を含有する第1セグメント211においてエアロゾルが円滑に形成され、ニコチン発生基材を含有する第2セグメント212において適正量のニコチンが持続的に発現(移行)するにつれて、持続的な喫味と豊富な霧化量をユーザに提供することができる。すなわち、高品質の喫煙体験をユーザに提供することができる。
【0083】
開口部133の個数、形態、サイズ、位置、配列形態などは多様に設計可能である。
【0084】
例えば、開口部133の形態は、三角形、四角形(スロット形)、円形などからなり得るが、これに限定されるものではない。
【0085】
また、例えば、開口部133は、第2セグメント212の下流末端部位に対応する位置に形成されてもよい。より具体的な例として、
図8に示されたように、第2セグメント212の下流末端部位に横方向(すなわち、長さ方向の垂直方向)に加熱制限領域24(すなわち、加熱が相対的に少なく行われる領域)が形成されるように、第2加熱部1322上に開口部133が形成されてもよい。この場合、エアロゾルに対するフィルタリング効果が発生して、ユーザに風変わりな喫煙体験を提供することができる。ここで、フィルタリングの意味は、エアロゾルに含まれた成分が一部ろ過されることだけでなく、エアロゾルに他の成分がさらに含まれる場合も含んでもよい。すなわち、フィルタリングは、エアロゾル内の成分が変化する場合を全部包括することができる。具体的に、加熱制限領域24を通過してエアロゾル内の一部成分がろ過されることもでき、加熱制限領域24に含まれた一部の成分がエアロゾル内にさらに含まれてもよい。したがって、エアロゾル発生物品2の外部に吐出されるエアロゾルは、最初に生成されたエアロゾルの成分と異なっていてもよく、これを通じて、第2セグメント212全体が加熱される場合とは異なる風味を発揮することができる。
【0086】
また、例えば、1つ以上の開口部133が横方向(すなわち、長さ方向の垂直方向)で形成されてもよい。より具体的な例として、
図9に示されたように、複数個の開口部133-1~133-3が第2加熱部1322上に横方向に形成され、かつ、互いに離隔して形成されてもよい。ここで、第1開口部133-1と第2開口部133-2間の離隔距離と、第2開口部133-2と第3開口部133-3間の離隔距離とは、同一でも異なっていてもよい。例えば、複数個の開口部133-1~133-3は、離隔距離が次第に増加したり減少する形態で形成されることもできる。また、開口部133-1~133-3のサイズは、同一でも異なっていてもよい。例えば、複数個の開口部133-1~133-3は、サイズが次第に増加したり減少する形態で形成されることもできる。
【0087】
また、例えば、1つ以上の開口部133が長さ(縦)方向に形成されてもよい。より具体的な例として、
図10に示されたように、複数個の開口部133が第2加熱部1322上に長さ方向に形成され、かつ、互いに離隔して形成されてもよい。この場合、開口部133によるエアロゾル発生物品2のき損問題を大きく緩和することができる。例えば、エアロゾル発生物品2が挿入または除去されるとき、開口部133に挟まったり引っかかることがあるが、開口部133が挿入方向(または除去方向)と同じ方向に形成されると、このような問題を大きく緩和することができる。
【0088】
一方、加熱部1321、1322の形状、配置位置、素材、熱容量、コイル1311、1312までの距離、長さなどは多様に設計可能である。
【0089】
例えば、
図5などに示されたように、加熱部1321、1322は、円筒形からなってもよい。または、加熱部1321、1322は、エアロゾル発生物品2に対応する形状からなってもよい。この場合、加熱部1321、1322によりエアロゾル発生物品2が全体的に容易に加熱されることができる。
【0090】
また、例えば、下流に位置する第2加熱部1322の下流末端が第2セグメント212の下流末端と一致するように配置されてもよい。換言すれば、最下流に位置する加熱部(e.g.1322)の末端がエアロゾル形成基材部21の下流末端と一致するように配置されてもよい。この場合、最下流に位置する加熱部(e.g.1322)の発熱によってフィルター部22の物性が変化することを防止することができ、エアロゾル形成基材部21が全体的に容易に加熱されることができる。
【0091】
また、例えば、第1加熱部1321から第1コイル部1311までの距離(「第1距離」)は、第2加熱部1322から第2コイル部1312までの距離(「第2距離」)と同一であってもよい。例えば、2つの加熱部1321、1322の外径が同じ場合、2つのコイル1311、1312の直径も、同一であってもよい。ただし、他の例では、第1距離と第2距離は、異なっていてもよい。例えば、第1距離は、第2距離より近くてもよい。この場合、第1加熱部1321が第2加熱部1322より強く誘導加熱されることによって、第1セグメント211が第2セグメント212よりさらに強く(高温で)加熱されることができる。
【0092】
また、例えば、第1加熱部1321と第2加熱部1322は、同じ素材からなってもよい。ただし、他の例では、第1加熱部1321が第2加熱部1322と異なる素材からなってもよい。例えば、第1加熱部1321は、相対的に誘導加熱が強くなる素材からなり、第2加熱部1322は、相対的に誘導加熱が弱くなる素材からなってもよい。この場合、各セグメント211、212に対する差別加熱がより強化したり、開口部133に基づかなくても、ある程度の差別加熱を具現することができる。
【0093】
また、例えば、2つの加熱部1321、1322の熱容量は、同一であってもよい。例えば、第1加熱部1321は、第2加熱部1322と同じ素材からなり(すなわち、素材の比熱が同一)、同じ質量を有していてもよい。この場合、2つの加熱部1321、1322が同じ速度で昇温することができる。ただし、他の例では、2つの加熱部1321、1322の熱容量が異なっていてもよい。
【0094】
幾つかの実施形態では、2つの加熱部1321、1322の熱容量の差異が、第1加熱部1321の熱容量の約20%以下、約10%以下または約5%以下であってもよい。
このような数値範囲内で、2つの加熱部1321、1322が類似の速度で昇温することができる。
【0095】
また、幾つかの実施形態では、2つの加熱部1321、1322の熱容量の差異を減らすために、2つの加熱部1321、1322のサイズが異なるように設計することができる。例えば、2つの加熱部1321、1322の素材の比熱が同一または類似の場合、開口部133によって2つの加熱部1321、1322の熱容量(質量)の差異が大きくなることを防止するために、第2加熱部1322が第1加熱部1321よりさらに大きく設計することができる。より具体的な例として、
図11に示されたように、第2加熱部1322の長さが第1加熱部1321より長く設計することができる。または、第2加熱部1322の厚さが第1加熱部1321より厚く設計することができる。この場合、開口部133による質量の差異が減少して、熱容量の差異が減少することができ、第1加熱部1321と第2加熱部1322が同一または類似の速度で昇温することができる。
【0096】
以上では、
図5~
図11を参照して本開示の第1実施形態によるヒーター部13について説明した。以下では、
図12~
図14を参照して本開示の第2実施形態によるヒーター部13について説明する。ただし、本開示の明瞭さのために、前述した実施形態と重複する内容に関する説明は省略する。
【0097】
図12および
図13は、本開示の第2実施形態によるヒーター部13の差別加熱構造および原理を説明するための例示図である。
【0098】
図12および
図13に示されたように、本実施形態は、加熱部1321、1322とエアロゾル発生物品2間の距離に基づいてエアロゾル発生物品2を差別的に加熱するヒーター部13に関する。
【0099】
具体的に、本実施形態によるヒーター部13は、インダクター131と、加熱要素132と、を含んでもよく、インダクター131は、加熱要素132の第1加熱部1321を誘導加熱するための第1コイル部1311と、第2加熱部1322を誘導加熱するための第2コイル部1312と、を含んでもよい。
【0100】
また、各加熱部1321、1322は、エアロゾル発生物品2から互いに異なる距離D11、D12に位置していてもよい。具体的に、第1加熱部1321は、第1セグメント211から相対的に近い距離D11に位置し、第2加熱部1322は、第2セグメント212から相対的に遠い距離D12に位置していてもよい。
【0101】
図12に示されたように、第1加熱部1321の内径が第2加熱部1322より小さく設計することによって、上述した距離D11、D12の差異を達成することができるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。例えば、第1加熱部1321と第2加熱部1322が円筒形でない場合(e.g.平面形)には、それぞれの加熱部1321、1322をエアロゾル発生物品2から適切な距離に配置することによって、上述した距離D11、D12の差異を達成することもできる。
【0102】
この場合、相対的に近い距離D11に位置する第1加熱部1321により第1セグメント211が第2セグメント212より強く(高温で)加熱されることができる。また、この場合、エアロゾル形成剤を含有する第1セグメント211で多量のエアロゾルが形成されることによって、霧化量が増大することができ、ニコチン発生基材を含有する第2セグメント211で適正量のニコチンが持続的に移行(発現)することによって、持続的な喫味をユーザに提供することができる。
【0103】
前述したように、加熱部1321、1322の形状、配置位置、素材、熱容量、コイル1311、1312までの距離、長さなどは多様に設計可能である。
【0104】
例えば、第1加熱部1321から第1コイル部1311までの距離D21は、第2加熱部1322から第2コイル部1312までの距離D22と同一であってもよい。このために、第1コイル部1311は、第2コイル部1312より小さい直径を有していてもよい。ただし、他の例では、距離D21が距離D22と異なっていてもよい。例えば、距離D21は、距離D22より近くてもよい。この場合、第1加熱部1321が第2加熱部1322より強く誘導加熱されることによって第1セグメント211が第2セグメント212よりさらに強く(高温で)加熱されることができる。
【0105】
また、例えば、2つの加熱部1321、1322の熱容量は、同一であってもよい。例えば、第1加熱部1321と第2加熱部1322が同じ素材からなり(すなわち、素材の比熱が同一)、同じ質量を有していてもよい。この場合、2つの加熱部1321、1322が同じ速度で昇温することができる。ただし、他の例では、2つの加熱部1321、1322の熱容量が異なっていてもよい。
【0106】
一方、内径が異なる加熱部1321、1322の熱容量の差異を減らす方式は多様である。
【0107】
一例として、第1加熱部1321の長さを第2加熱部1322より長く設計することによって、第1加熱部1321と第2加熱部1322の質量の差異が減少することができる。また、質量の差異が減少するにつれて2つの加熱部1321、1322の熱容量の差異が減少することができる。より具体的な例として、
図14に示されたように、第2加熱部1322の長さが第1加熱部1321より短く設計することができ、長さが短くなるにつれて第2加熱部1322が第2セグメント212の下流末端部位を除いた残りの部位を加熱するように配置されてもよい。この場合、第2セグメント212の下流末端部位に加熱制限領域24が形成されて、エアロゾルに対するフィルタリング効果も発生することができる。
【0108】
他の例として、第1加熱部1321の厚さを第2加熱部1322より厚く設計することによって、第1加熱部1321と第2加熱部1322の質量の差異が減少することができる。また、質量の差異が減少するにつれて2つの加熱部1321、1322の熱容量の差異が減少することができる。
【0109】
以上では、
図12~
図14を参照して本開示の第2実施形態によるヒーター部13について説明した。以下では、
図15を参照して本開示の第3実施形態によるヒーター部13の差別加熱構造および原理について説明する。
【0110】
図15に示されたように、本実施形態は、コイル部(e.g.1311)と加熱部(e.g.1321)間の距離に基づいて差別加熱を行うヒーター部13に関する。
【0111】
具体的に、本実施形態によるヒーター部13は、複数の加熱部1321、1322と、各加熱部1321、1322から異なる距離に位置する複数のコイル部1311、1312と、を含んでもよい。例えば、ヒーター部13は、第1加熱部1321から相対的に近い距離D31に位置する第1コイル部1311と、第2加熱部1322から相対的に遠い距離D32に位置する第2コイル部1312と、を含んでもよい。より具体的な例として、ヒーター部13は、内径が同一または類似の複数の加熱部1321、1322と、直径が相対的に小さい第1コイル部1311および直径が相対的に大きい第2コイル部1312と、を含んでもよい。
【0112】
この場合、第1コイル部1311から相対的に近い距離D31に位置する第1加熱部1321が第2加熱部1322より強く誘導加熱されることによって、第1セグメント211が第2セグメント212より強く(高温で)加熱されることができる。
【0113】
以上では、
図15を参照して本開示の第3実施形態によるヒーター部13について説明した。以下では、
図16を参照して本開示の第4実施形態によるヒーター部13の差別加熱構造および原理について説明する。
【0114】
図16に示されたように、本実施形態は、加熱部1321、1322間の熱容量の差異に基づいて差別加熱を行うヒーター部13に関する。
【0115】
具体的に、本実施形態によるヒーター部13は、熱容量が異なる複数の加熱部1321、1322と、各加熱部1321、1322を誘導加熱するためのコイル部1311、1312と、を含んでもよい。例えば、ヒーター部13は、質量の相対的に小さい第1加熱部1321と、質量の相対的に大きい第2加熱部1322と、を含んでもよい。ここで、第1加熱部1321と第2加熱部1322の素材の比熱は、同一または類似であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0116】
この場合、コイル部1311、1312により誘導加熱されることによって、第1加熱部1321が第2加熱部1322より早く昇温し、その結果、第1セグメント211が第2セグメント212より高温で加熱されることができる。
【0117】
以上では、
図16を参照して本開示の第4実施形態によるヒーター部13について説明した。以下では、
図17を参照して本開示の第5実施形態によるヒーター部13の差別加熱構造および原理について説明する。
【0118】
図17に示されたように、本実施形態は、コイル部(e.g.1311)の巻線数に基づいて差別加熱を行うヒーター部13に関する。
【0119】
具体的に、本実施形態によるヒーター部13は、巻線数の相対的に多い第1コイル部1311と、相対的に少ない第2コイル部1312と、各コイル部1311、1312により誘導加熱される加熱部1321、1322と、を含んでもよい。ここで、巻線空間をより効率的に活用するために、コイル部1311、1312が複数の巻線層を有していてもよい。例えば、図示のように、第1コイル部1311は、複数の巻線層を有していてもよい。または、2つのコイル部1311、1312の両方が複数の巻線層を有し、かつ、第1コイル部1311の巻線層数が第2コイル部1312より多くてもよい。
【0120】
この場合、巻線数の相対的に多い第1コイル部1311により第1加熱部1321が第2加熱部1322より強く誘導加熱されることによって、第1セグメント211が第2セグメント212より強く(高温で)加熱されることができる。
【0121】
図17を参照して本開示の第5実施形態によるヒーター部13について説明した。
【0122】
以上では、
図5~
図17を参照して差別加熱機能を具備するヒーター部13の多様な実施形態について説明した。各実施形態を区分して説明したが、これは、理解の便宜を提供するためのものであるだけであり、上述した実施形態は、多様な形態で組合わせることができる。例えば、ヒーター部13は、第1加熱部1321、少なくとも1つの開口部133が形成され、第1加熱部1321より大きい内径を有する第2加熱部1322および各加熱部1321、1322を誘導加熱するための複数のコイル部1311、1312を含むように構成されてもよい(第1実施形態と第2実施形態の組み合わせ)。
【0123】
また、以上では、ヒーター部13が誘導加熱方式で動作することを仮定して説明した。しかしながら、本開示の他の幾つかの実施形態によるヒーター部13は、抵抗加熱方式で動作することもできる。この場合、ヒーター部13は、インダクター131を除いて電気抵抗性加熱要素132のみで構成されてもよく、加熱要素132は、エアロゾル発生物品2の互いに異なる部分(e.g.セグメント211、212)を加熱する複数の加熱部(e.g.1321、1322)を含むように構成されてもよい。そして、複数の加熱部(e.g.1321、1322)は、例えばエアロゾル発生物品2との距離、開口部133などに基づいてエアロゾル発生物品2の互いに異なる部分を差別的に加熱することができる。
【0124】
以上、本開示の実施形態を構成するすべての構成要素が1つで結合したり、結合して動作するものと説明されているといって、本開示の技術的思想が必ずこのような実施形態に限定されるわけではない。すなわち、本開示の目的範囲内で、すべての構成要素が1つ以上で選択的に結合して動作することもできる。
【0125】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解されるべきである。