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特許7532736補償器導出装置、位置誤差補償装置、工作機械、伝達関数導出方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】補償器導出装置、位置誤差補償装置、工作機械、伝達関数導出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/04 20060101AFI20240806BHJP
   B23Q 17/12 20060101ALI20240806BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20240806BHJP
   G05B 19/404 20060101ALI20240806BHJP
   G05D 3/12 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G05B13/04
B23Q17/12
G05B13/02 P
G05B19/404 J
G05D3/12 305V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020141113
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036745
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】ニデックマシンツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】金澤 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】三品 俊二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義樹
(72)【発明者】
【氏名】川内 章央
(72)【発明者】
【氏名】赤木 朋宏
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-186461(JP,A)
【文献】特開2015-188993(JP,A)
【文献】特開2010-123018(JP,A)
【文献】国際公開第2002/082194(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/008587(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 13/04
B23Q 17/12
G05B 19/404
G05D 3/12
G05B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を伴う機械の周波数特性データを取得するデータ取得部と、
前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出する機械伝達関数導出部と、
前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出する補償器導出部と、
を備え
前記周波数特性データは、前記機械の機構解析(MBD;multibody dynamics)モデルに衝撃を与えることで模擬される振動から周波数応答を取得するシミュレーションによって得られる前記機械の周波数特性データであり、
前記機械伝達関数導出部は、Gm(s)を前記機械伝達関数、ω を前記周波数特性データのピーク周波数、ω を前記周波数特性データのノッチ周波数、ζ を前記周波数特性データのピークゲイン、ζ を前記周波数特性データのノッチゲイン、sをラプラス演算子とするときに、以下の式から前記機械伝達関数を導出し、
【数1】
前記補償器は、前記機械伝達関数の逆数である、
補償器導出装置。
【請求項2】
前記機構解析モデルは、少なくとも、前記機械を構成する構成部品の剛性、形状、密度およびヤング率を同定パラメータとする、
請求項に記載の補償器導出装置。
【請求項3】
前記補償器導出部は、ωを前記周波数特性データのピーク周波数、ωを前記周波数特性データのノッチ周波数、ζを前記周波数特性データのピークゲイン、ζを前記周波数特性データのノッチゲイン、sをラプラス演算子とするときに以下の前記補償器を導出する、
【数2】

請求項1又は請求項2に記載の補償器導出装置。
【請求項4】
前記機械伝達関数は、2次伝達関数である、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の補償器導出装置。
【請求項5】
前記機械への位置指令を取得し、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の補償器導出装置が算出した前記補償器によって前記位置指令を補償し、補償後の前記位置指令を前記機械へ出力する、
位置誤差補償装置。
【請求項6】
工作機械本体と、
前記工作機械本体に支持された前記機械である、工具を移動させる移動機構と、
請求項に記載の位置誤差補償装置を備え、
前記移動機構への補償後の前記位置指令に基づいて前記移動機構を制御する制御装置と、
を備える工作機械。
【請求項7】
振動を伴う機械の周波数特性データを取得するステップと、
前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出するステップと、
前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出するステップと、
を有し、
前記周波数特性データは、前記機械の機構解析モデルに衝撃を与えることで模擬される振動から周波数応答を取得するシミュレーションによって得られる前記機械の周波数特性データであり、
Gm(s)を前記機械伝達関数、ω を前記周波数特性データのピーク周波数、ω を前記周波数特性データのノッチ周波数、ζ を前記周波数特性データのピークゲイン、ζ を前記周波数特性データのノッチゲイン、sをラプラス演算子とするときに、前記機械伝達関数は、以下の式により導出され、
【数3】

前記補償器は、前記機械伝達関数の逆数である、
伝達関数導出方法。
【請求項8】
コンピュータに、
振動を伴う機械の周波数特性データを取得するステップと、
前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出するステップと、
前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出するステップと、
を実行させ、
前記周波数特性データは、前記機械の機構解析モデルに衝撃を与えることで模擬される振動から周波数応答を取得するシミュレーションによって得られる前記機械の周波数特性データであり、
Gm(s)を前記機械伝達関数、ω を前記周波数特性データのピーク周波数、ω を前記周波数特性データのノッチ周波数、ζ を前記周波数特性データのピークゲイン、ζ を前記周波数特性データのノッチゲイン、sをラプラス演算子とするときに、前記機械伝達関数は、以下の式により導出され、
【数4】

前記補償器は、前記機械伝達関数の逆数である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補償器導出装置、位置誤差補償装置、工作機械、伝達関数導出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械で高精度な加工を実施する場合、工作機械の振動の影響を考慮する必要がある。図7に門型工作機械の一例を示す。図7に示す工作機械1は、工作機械本体5と、工作機械本体5にZ軸方向に沿って移動自在に支持されるラム7と、ラム7の先端部に着脱可能に取り付けられたアタッチメント8と、を備えている。工作機械本体5は、ベッド2と、ベッド2上に配置され、X軸方向に沿い移動可能なテーブル3と、テーブル3を跨ぐように配置されている門型のコラム4と、コラム4上をY軸方向に沿って移動可能なサドル6と、を備えている。テーブル3は、ボールねじ駆動機構によって、X軸方向に沿って移動可能とされている。コラム4には、Y軸方向にクロスレール9が取り付けられており、このクロスレール9上をサドル6が移動することにより、サドル6がY軸方向に沿って移動可能とされている。ラム7は、サドル6にZ軸方向に沿い移動可能に取り付けられている。切削加工等を行うアタッチメント8は、ラム7の先端に取り付けられている。例えば、工作機械1は、CAM(computer aided manufacturing)システム及び制御装置を備えており、CAMシステムが、被加工物のCAD(computer aided design)データを読み込んでNC(numerical control)データを生成し、制御装置がNCデータに基づいて、サドル6、ラム7の移動を制御する。
【0003】
図7に例示する工作機械1において、Y―Z平面で加速度が不連続(例えば、ラム7先端の移動の軌跡がL字型となる等)となる移動を実施する際、過渡的な振動がコラム4に発生することがある。コラム4が振動するとラム7の先端位置と、NCデータが示す目標位置との間に誤差が生じ、加工精度に影響する。加工精度を向上させるためには、コラム4の振動によるラム7の先端位置と目標位置との誤差を低減する必要がある。この位置誤差を補償するために、制御装置に補償器が設けられる場合がある。この補償器は、工作機械1の振動特性を表現するために主要な構成要素(例えば、コラム4、サドル6、サドル6の移動を駆動する図示しないモータ等)の質量、慣性モーメントや部品の剛性に基づく簡易な数式(例えば、1次元の運動方程式)で表された物理モデルにより設計されることがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-3137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のように設計された補償器では、構成要素を削減して物理モデルが簡素化されているために、各構成要素の姿勢や摩擦、ガタ等の影響を考慮することができずに位置誤差の低減効果に限界がある。
【0006】
そこで本開示は、上述の課題を解決することのできる補償器導出装置、位置誤差補償装置、工作機械、伝達関数導出方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、補償器導出装置は、振動を伴う機械の周波数特性データを取得するデータ取得部と、前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出する機械伝達関数導出部と、前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出する補償器導出部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様によれば、位置誤差補償装置は、前記移動機構への位置指令を取得し、上記の補償器導出装置が算出した前記補償器によって前記位置指令を補償し、補償後の前記位置指令を出力する。
【0009】
本開示の一態様によれば、工作機械は、工作機械本体と、前記工作機械本体に支持され、工具を移動させる移動機構と、上記の位置誤差補償装置を備え前記移動機構への補償後の前記位置指令に基づいて前記移動機構を制御する制御装置と、を備える。
【0010】
本開示の一態様によれば、伝達関数導出方法は、振動を伴う機械の周波数特性データを取得するステップと、前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出するステップと、前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出するステップと、を有する。
【0011】
本開示の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、振動を伴う機械の周波数特性データを取得するステップと、前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出するステップと、前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の補償器導出装置、位置誤差補償装置、工作機械、伝達関数導出方法およびプログラムによれば、移動機構の位置誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る移動機構の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係るサーボ制御装置の一例を示す図である。
図3】一実施形態に係る補償器導出装置の一例を示す図である。
図4】一実施形態に係る補償器の算出処理の一例を示すフローチャートである。
図5】一実施形態に係る周波数特性データの一例を示す図である。
図6】一実施形態に係る補償器設計手法の一例を示す図である。
図7】門型工作機械の一例を示す概略斜視図である。
図8】一実施形態に係るサーボ制御装置及び補償器導出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
(移動機構の構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る移動機構の一例を示す図である。
図7の工作機械1におけるサドル6のY軸方向の位置を、指令位置θに一致させるように制御するボールねじ駆動機構の概略構成を図1に示す。ボールねじ駆動機は、モータ90の回転運動をボールねじナット91とボールねじ軸92からなるボールねじ送り部93により直線運動に変換して、サドル6をY軸方向に移動させる。モータ90には、モータ速度ωMを検出するモータエンコーダ94が設けられている。モータエンコーダ94は、検出したモータ速度ωMをサーボ制御装置100へ出力する。ボールねじ駆動機構には、リニアスケール95が設けられている。リニアスケール95は、サドル6のY軸方向の位置を示す位置θLを検出してサーボ制御装置100へ出力する。
【0015】
サーボ制御装置100は、指令位置θに基づいて指令トルクτを算出し、その指令トルクτをモータ90に出力する。これにより、モータ90が回転駆動して、ボールねじ軸92が回転し、ボールねじナット91及びこれに固定連結したサドル6がY軸方向に移動する。ラム7についても同様の機構によってZ軸方向の位置制御が行われてもよい。切削加工等を行う際にサドル6がY軸方向に移動したり、ラム7がZ軸方向に移動したりすると、コラム4に振動が発生し、この振動がサドル6やラム7の位置制御の精度に影響を及ぼす。サーボ制御装置100は、コラム4の振動に起因する位置決め誤差を補償するための機械たわみ補償部20(図2)を備える。
【0016】
図2は、一実施形態に係るサーボ制御装置の一例を示す図である。
サーボ制御装置100は、機械たわみ補償部20と、速度フィードフォワード部40と、減算部41と、乗算部42と、減算部43と、比例積分演算部44とを有している。
機械たわみ補償部20は、補償用の2次伝達関数21(以下、これを「補償器21」とも表記する。)によって構成される。なお、他の実施形態においては、補償器21は、2次伝達関数でなくともよく、3次以上の伝達関数であってもよい。機械たわみ補償部20は、指令位置θを補償器21によって補償し、補償後の指令位置θ´を出力する。減算部41は、補償後の指令位置θ´とサドル6の位置θLとの差である偏差位置Δθを出力する。乗算部42は、偏差位置Δθに位置ループゲインKを乗算して偏差速度ΔVを出力する。速度フィードフォワード部40は、モータ90やサドル6に生ずる「ひずみ」、「たわみ」、「粘性」等の位置誤差要因を補償する補償速度V´を算出するように構成されている。減算部43は、偏差速度ΔVに、速度フィードフォワード部40から出力される補償速度V´を加えた値からモータ速度ωMを減算した指令速度Vを出力する。比例積分演算部44は、指令速度Vを比例積分演算して指令トルクτを出力する。比例積分演算部44では、速度ループゲインK、積分時定数T、及びトルク定数Kを用いて、τ=VK{K(1+(1/Ts))}により指令トルクτを算出する。本実施形態では、ラム7先端のY軸方向における位置を指令位置θに一致させるようにサドル6の位置を制御するための補償器21を算出することを目的としている。
【0017】
図1に示すように指令トルクτは、工作機械1のモータ90へ出力されるが、例えば、工作機械1の機構解析(MBD;multibody dynamics)モデル200(以下、単に「MBDモデル200」とも表記する。)へ出力することができる。MBDモデル200は、機構解析(multibody dynamics analysis)の際に構築される工作機械1の3次元モデルである。機構解析は、複数の部品で構成される製品を多体(multibody)と定義したときに、部品レベルから製品レベルの相互に連結された多体の動力学(Dynamics)を解析する数値解析技術であり、MBDモデル200は、この解析で使用される解析モデルである。MBDモデル200は、工作機械1の移動機構を構成する構成部品(ボールねじなどの機械要素部品も含む)の剛性、構造部品の形状、密度およびヤング率などの材料物性を同定パラメータとして特徴づけられる。MBDモデル200は、工作機械1の構成要素ごとの動作を模擬することができるが、3次元の各軸方向および軸周りの6自由度でその動作が表現できることが望ましい。MBDモデル200は、工作機械1の設計段階で構築され、機構動作や振動特性といった機械性能の把握に利用される。
【0018】
例えば、サーボ制御装置100が指令トルクτをMBDモデル200へ入力すると、MBDモデル200は、Y軸方向のサドル6の移動を模擬し、指令トルクτをモータ90へ出力したときのモータ速度ωM、サドル6のY軸方向の位置θLを算出する。MBDモデル200が算出したモータ速度ωM、位置θLをサーボ制御装置100へ戻すことで、サーボ制御装置100は、上記の処理により次の指令トルクτを算出し、その値をMBDモデル200へ出力する。これを繰り返すことにより、MBDモデル200上でサドル6を目標位置まで移動することができる。また、MBDモデル200は、サドル6がY軸方向に移動することによって生じるたわみ位置の変化や、クロスレール9、コラム4等の各構成要素に働く力を算出することができる。
【0019】
また、例えば、MBDモデル200に工作機械1の構成要素(部品など)の形状、密度、ヤング率および部品間を結合するボールねじなどの機械要素部品の剛性を入力し、MBDモデル200上でラム7の先端に対してハンマリング試験のシミュレーションを実行すると、MBDモデル200は、ハンマリングに対するラム7の先端における振動(加速度)を算出することができる。MBDモデル200が算出した加速度を解析することにより、工作機械1の周波数応答を得ることができる。
【0020】
本実施形態では、MBDモデル200に工作機械1の振動を模擬させ、そのときの周波数応答から工作機械1の周波数特性データを取得する。そして、補償器導出装置10が、この周波数特性データに基づいて、振動による位置誤差を低減できるような補償器21を導出する。次に補償器導出装置10について説明する。
【0021】
(補償器導出装置の構成)
図3は、一実施形態に係る補償器導出装置の一例を示す図である。
図3に示すように補償器導出装置10は、データ取得部11と、機械伝達関数導出部12と、補償器導出部13と、出力部14と、記憶部15と、を備える。
データ取得部11は、MBDモデル200が模擬した振動を解析して得られる工作機械1の周波数特性データを取得する。本実施形態において、周波数特性データとは、ゲインの周波数特性(ゲイン特性)および位相の周波数特性(位相特性)を示すデータを意味している。
機械伝達関数導出部12は、データ取得部11が取得した、MBDモデル200の解析結果から得られる周波数特性データに近似する2次伝達関数を導出する。この2次伝達関数は、入力を指令位置θ、出力を指令位置θに対する実際のサドル6のY軸方向の位置としたときに、その入力と出力の関係を表している。本実施形態では、機械伝達関数をグラフ化したときの波形が、周波数特性データの波形と近似するように2次伝達関数のパラメータを決定する。例えば、2次伝達関数G(s)を、G(s)=(As+Bs+1)/(Cs+Ds+1)・・・(0)
としたときに、機械伝達関数導出部12は、周波数特性データからピーク周波数、ノッチ周波数、ピークゲイン、ノッチゲインを検出して、ピーク周波数、ノッチ周波数、ピークゲイン、ノッチゲインを用いて式(0)のパラメータA,B,C,Dを決定する。2次伝達関数は、以下の式(1)で表すことができる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、ωは周波数特性データのピーク周波数、ωは周波数特性データのノッチ周波数、ζは周波数特性データのピークゲイン、ζは周波数特性データのノッチゲイン、sはラプラス演算子である。
以下の説明において、MBDモデル200の解析結果から得られる周波数特性データに近似する2次伝達関数を「機械伝達関数」とも表記する。
【0024】
補償器導出部13は、式(1)の2次伝達関数に基づいて、機械の振動による位置決め誤差を補償するための2次伝達関数(補償器21)を導出する。例えば、補償器導出部13は、機械伝達関数導出部12によって導出された機械伝達関数の逆数によって、補償器21を導出する。補償器の一例を以下の式(2)に示す。
【0025】
【数2】
【0026】
出力部14は、補償器21を機械たわみ補償部20へ出力する。
記憶部15は、周波数特性データなど、補償器21の算出に必要なデータを記憶する。
【0027】
(補償器の算出処理)
次に図4図5を参照して、補償器導出装置10による補償器21の算出処理について説明する。
図4は、一実施形態に係る補償器の算出処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、一実施形態に係る周波数特性データの一例を示す図である。
まず、データ取得部11が周波数特性データを取得する(ステップS1)。
ここで図5を参照する。図5上図の波形C1は、MBDモデル200上でラム7の先端へ衝撃を与えた(ハンマリング試験のシミュレーションを行った)際に得られる周波数応答を解析して得られる周波数特性(ゲイン特性)データが示す波形である。図5上図の縦軸はハンマリング試験のシミュレーションで入力した衝撃に対するラム7先端での振動の大きさの比を示すゲイン(dB)、横軸は周波数(Hz)である。図5下図には、図5上図の一部の拡大図を示す。データ取得部11は、周波数特性データ(波形C1)を取得し、記憶部15に書き込んで保存する。
【0028】
次に、機械伝達関数導出部12が、機械伝達関数を導出する(ステップS2)。
機械伝達関数導出部12は、2次伝達関数G(s)が示す波形が波形C1に近似するように(特に波形C1のピークとノッチが含まれる範囲で近似するように)、例えば、カーブフィッティングを行って2次伝達関数G(s)のパラメータを決定する。また、例えば、機械伝達関数導出部12は、図5下図に示す波形C1のピークC1とノッチC1に基づいて波形C1に近似する2次伝達関数G(s)を導出してもよい。具体的には、機械伝達関数導出部12は、波形C1のピークC1とノッチC1を特定し、ピーク周波数ω、ピークゲインζ、ノッチ周波数ω、ノッチゲインζを検出する。機械伝達関数導出部12は、ピーク周波数ω、ピークゲインζ、ノッチ周波数ω、ノッチゲインζをパラメータに適用して波形C1に近似する2次伝達関数Gm(s)を導出する。具体的には、機械伝達関数導出部12は、式(0)のパラメータAに(1/ω )を設定し、パラメータBに(2ζ/ω)を設定し、パラメータCに(1/ω )を設定し、パラメータDに(2ζ/ω)を設定する。
【0029】
機械伝達関数導出部12が、ピーク周波数ω、ピークゲインζ、ノッチ周波数ω、ノッチゲインζを用いて導出した機械伝達関数(式(1))の波形を図5のC2に示す。波形C2を波形C1と比較すると、波形C2は、ピークとノッチが含まれる範囲で、波形C1に近似していることが分かる。より広範囲かつ精緻に波形C1に近似する3次以上の伝達関数を導出することも可能であるが、2次伝達関数に基づいて算出された補償器21によって、ラム7先端の位置誤差が十分に補償されることが検証により確認されている。もちろん、他の実施形態においては、機械伝達関数は、2次伝達関数以外の伝達関数(3次伝達関数など)であってもよい。
【0030】
次に補償器導出部13が、補償器21を導出する(ステップS3)。
具体的には、補償器導出部13は、補償器21として、ステップS2で導出された2次伝達関数G(s)(機械伝達関数)の逆数、1/G(s)を算出する(式(2))。
【0031】
次に出力部14が、補償器21を機械たわみ補償部20へ出力する(ステップS4)。機械たわみ補償部20は、式(2)で示される補償器21を受け取って設定する。
【0032】
補償器21による位置誤差の補償は次のようにして実行される。機械たわみ補償部20は、指令位置θが入力されると、式(2)の補償器によって指令位置θを補償し、補償後の指令位置θ´を出力する。サーボ制御装置100は、補償後の指令位置θ´を用いて、図2を参照して説明した各種処理によってモータ指令値τを算出し、サドル6のY軸方向の位置制御を行う。本実施形態の補償器21により、従来の主要な構成要素の物理モデルに基づいて設計された補償器よりも、ラム7の位置制御における位置誤差を低減できることが確認されている。
【0033】
上記では、MBDモデル200を用いて補償器21を算出した。MBDモデル200に対応する工作機械1の実機が存在する場合、図6に示す手法で、MBDモデル200および補償器21の精度を向上することができる。
図6は、一実施形態に係る補償器設計手法(補償器21の決定手法)の一例を示す図である。
まず、MBDモデル200にてハンマリング試験のシミュレーションなどを行って周波数応答を取得する(ステップS11)。次に、機械伝達関数導出部12が、周波数応答を解析して得られる周波数特性データを用いて機械伝達関数を導出する(ステップS12)。次に、補償器導出部13が、機械伝達関数から補償器21を導出する(ステップS13)。次に、ステップS13にて算出された補償器21を機械たわみ補償部20に設定し、サーボ制御装置100と、機械たわみ補償部20の連成シミュレーションを行う(ステップS14)。例えば、サーボ制御装置100が所定のNCデータに基づいてMBDモデル200上でラム7を移動作させ、その間のラム7の先端位置、先端速度、先端加速度を、所定時間毎にMBDモデル200が動作するコンピュータの記憶部に記録する。次に工作機械1(実機)を用いて実機検証を行う(ステップS15)。例えば、サーボ制御装置100は、ステップS14の連成シミュレーションで使用したものと同じNCデータに基づいて、工作機械1(実機)のラム7を移動させ、その間のラム7の先端位置、先端速度、先端加速度を所定時間毎に記憶装置に記録する。そして、ステップS14で記録したデータと、ステップS15で記録したデータを比較評価して、MBDモデル200が工作機械1の動作を精度よく模擬できるようにMBDモデル200に含まれる構成部品の同定パラメータを微調整する(ステップS16)。実機による実測結果とMBDモデル200による解析結果の差が許容範囲となるまで、ステップS11~ステップS16の処理を繰り返す。
【0034】
図6に示す補償器設計手法によれば、工作機械1(実機)から計測した振動データとMBDモデル200が算出する振動データの相関分析を行って、MBDモデル200が算出する振動特性の精度を向上させることができ、その結果、補償器21の精度も向上する。また、工作機械1(実機)から計測した振動データとMBDモデル200の相関分析により微調整を行ったMBDモデル200から補償器21を導出することにより、製造のばらつきによる工作機械1の個体差に対応することができる。本実施形態の補償器21を有する工作機械1によれば、金型など高精度な加工を実現することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、工作機械1のMBDモデル200を用いて、工作機械1の周波数特性を得ることができる。MBDモデル200では、質量及び慣性モーメントが3次元で考慮され、また、構成要素(部品など)間を結合する位置も設計情報に基づき再現される為、従来の1次元の物理モデルに比べ、モデルの再現性を実機に近づけることができる。また、MBDモデル200により、机上検討では困難な構成要素間で生じるガタ等の影響を含んだラム7の移動を再現することができる。従って、実機が存在しない場合でも、MBDモデル200に基づいて補償器21を導出することで、精度の良い補償器21を得ることができる。また、MBDモデル200を用いることで、実機では測定できない位置(例えば、より正確に工作機械1固有の振動特性を計測できる位置)での周波数応答を取得することができ、精度の良い補償器21を算出できる可能性がある。また、図6を用いて説明したように、MBDモデル200を用いることで、工作機械1の製造前に一定の精度を有する補償器21を算出し、工作機械1の製造後には、実際の工作機械1に合わせて補償器21を調整することができる。
【0036】
従来の方法では、1次元の物理モデルのパラメータを机上検討する必要があったが、本実施形態によれば、工作機械1の周波数特性に基づいて補償器21を導出することができるので、物理モデルのパラメータ調整を行う必要が無い。
【0037】
また、姿勢や摩擦、ガタ等の非線形な特性を含む周波数特性データを近似して2次伝達関数(機械伝達関数)を導出することで、非線形特性を加味した補償器を導出することができる。
【0038】
なお、上記説明ではMBDモデル200から周波数特性データを取得し、補償器21を導出することとしたが、工作機械1(実機)に対してハンマリング試験のシミュレーションなどを行って、周波数特性データを取得し、図4を参照して説明した処理により、補償器21を算出してもよい。また、工作機械1におけるサドル6のY軸方向への移動制御に関して位置誤差を補償する例を説明したが、同様の補償器21でラム7のZ軸方向の移動制御における位置誤差を補償するようにしてもよい。
【0039】
また、上記の説明では、工作機械1のサドル6の位置制御における位置誤差の補償を対象としたが、本実施形態の補償器21の適用対象は、工作機械1に限定されず、産業ロボットや船舶など、移動機構を備える各種構造物における前記移動機構の位置制御に適用することができる。
【0040】
図8は、一実施形態に係るサーボ制御装置及び補償器導出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述のサーボ制御装置100及び補償器導出装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0041】
なお、サーボ制御装置100及び補償器導出装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0042】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0043】
<付記>
各実施形態に記載の補償器導出装置10、位置誤差補償装置(機械たわみ補償部20)、伝達関数導出方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0044】
(1)第1の態様に係る補償器導出装置10は、振動を伴う機械(移動機構)の周波数特性データを取得するデータ取得部11と、前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出する機械伝達関数導出部12と、前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出する補償器導出部13と、を備える。
これにより、振動を伴う機械(移動機構)を動作(移動)させた際に生じる構造物の振動による機械の目標位置と実際の位置との誤差を補償するための伝達関数(補償器)を導出することができる。
【0045】
(2)第2の態様に係る補償器導出装置10は、(1)の補償器導出装置10であって、前記機械伝達関数導出部12は、前記周波数特性データのピーク周波数、ノッチ周波数、ピークゲイン、ノッチゲインを検出して、前記ピーク周波数、前記ノッチ周波数、前記ピークゲイン、前記ノッチゲインを用いて前記伝達関数のパラメータを設定し、前記伝達関数を導出する。
【0046】
(3)第3の態様に係る補償器導出装置10は、(1)~(2)の補償器導出装置10であって、前記機械伝達関数導出部12は、ωを前記周波数特性データのピーク周波数、ωを前記周波数特性データのノッチ周波数、ζを前記周波数特性データのピークゲイン、ζを前記周波数特性データのノッチゲイン、sをラプラス演算子とするときに以下の前記伝達関数を導出する。
【数3】
第2、第3の態様に係る補償器導出装置10によれば、構造物(工作機械1)の周波数特性データのピーク周波数、ノッチ周波数、ピークゲイン、ノッチゲインから直接的にパラメータを決定することができるので、少ない計算量で伝達関数を導出することができる。
【0047】
(4)第4の態様に係る補償器導出装置10は、(1)~(3)の補償器導出装置10であって、前記周波数特性データは、前記構造物の機構解析(MBD;multibody dynamics)モデルが模擬した前記構造物の周波数特性である。
これにより、構造物の設計段階で構築されるMBDモデルを用いて、構造物の製造前に補償器を導出することができる。
【0048】
(5)第5の態様に係る補償器導出装置10は、(4)の補償器導出装置10であって、前記機構解析モデルは、少なくとも、前記機械を構成する構成部品の剛性、形状、密度およびヤング率を同定パラメータとする。
【0049】
(6)第6の態様に係る補償器導出装置10は、(1)~(5)の補償器導出装置10であって、前記補償器導出部13は、前記伝達関数の逆数を前記補償器21として導出する。
【0050】
(7)第7の態様に係る補償器導出装置10は、(1)~(6)の補償器導出装置10であって、前記補償器数導出部13は、ωを前記周波数特性データのピーク周波数、ωを前記周波数特性データのノッチ周波数、ζを前記周波数特性データのピークゲイン、ζを前記周波数特性データのノッチゲイン、sをラプラス演算子とするときに以下の前記補償器を導出する。
【数4】
第6、第7の態様に係る補償器導出装置10によれば、少ない計算量で補償器21を導出することができる。
【0051】
(8)第8の態様に係る補償器導出装置10は、(1)~(7)の補償器導出装置10であって、機械伝達関数が2次伝達関数である。
【0052】
(9)第9の態様に係る位置誤差補償装置(機械たわみ補償部20)は、前記移動機構への位置指令を取得し、第1の態様から第8の態様の何れか1つに記載の補償器導出装置10が算出した前記補償器21によって前記位置指令を補償し、補償後の前記位置指令を出力する。
これにより、移動機構を移動させた際に生じる構造物の振動による移動機構の目標位置と実際の位置との誤差を補償することができる。
【0053】
(10)第10の態様に係る工作機械1は、工作機械本体5と、前記工作機械本体に支持され、工具を移動させる移動機構(コラム4)と、上記の位置誤差補償装置を備え前記移動機構への補償後の前記位置指令に基づいて前記移動機構を制御する制御装置(サーボ制御装置100)と、を備える。
これにより、高精度な加工を実現することができる。
【0054】
(11)第11の態様に係る補償器達関数導出方法は、振動を伴う機械の周波数特性データを取得するステップと、前記周波数特性データに近似する伝達関数を導出するステップと、前記伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出するステップと、を有する。
【0055】
(12)第12の態様に係るプログラムは、コンピュータ900に、振動を伴う機械の周波数特性データを取得するステップと、前記周波数特性データに近似する伝達関数である機械伝達関数を導出するステップと、前記機械伝達関数を用いて、前記機械の振動による位置決め誤差を補償するための補償器を導出するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・工作機械
2・・・ベッド
3・・・テーブル
4・・・コラム
5・・・工作機械本体
6・・・サドル
7・・・ラム
8・・・アタッチメント
9・・・クロスレール
10・・・補償器導出装置
11・・・データ取得部
12・・・機械伝達関数導出部
13・・・補償器導出部
14・・・出力部
15・・・記憶部
20・・・機械たわみ補償部(位置誤差補償装置)
21・・・補償器
40・・・速度フィードフォワード部
41・・・減算部
42・・・乗算部
43・・・減算部
44・・・比例積分演算部
90・・・モータ
91・・・ボールねじナット
92・・・ボールねじ軸
93・・・ボールねじ送り部
94・・・モータエンコーダ
95・・・リニアスケール
100・・・サーボ制御装置
200・・・MBDモデル
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8