(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】水相及び油相の適切な比率を有する油中水型固形化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20240806BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240806BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240806BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q1/00
A61K8/34
A61K8/92
(21)【出願番号】P 2022550998
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2021016207
(87)【国際公開番号】W WO2023054797
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0128261
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517039760
【氏名又は名称】コスマックス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ハエ リュン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ヒョン ジョー
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ジン ゴー
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミョン サム
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2127674(KR,B1)
【文献】国際公開第2020/250250(WO,A1)
【文献】特表2020-525457(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0789345(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1979217(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0033777(KR,A)
【文献】特開2006-036769(JP,A)
【文献】特開平8-208421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0088557(US,A1)
【文献】国際公開第2016/209023(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第2020-0134872(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2020-0048994(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2015-0044104(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相及び油相を含む、油中水型(Water in Oil;W/O)固形化粧料組成物
であって、
前記水相及び油相の重量比は、4:6~6:4であり、
前記水相は、ポリオール、pH調節剤及び溶剤を含み、
前記油相は、界面活性剤、ワックス、オイル及び植物性バター類を含む、
油中水型固形化粧料組成物。
【請求項2】
前記水相は、全化粧料組成物に対して30.0~50.0重量%含まれている、請求項
1に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項3】
前記ポリオールは、グリセリン(Glycerin)、ブチレングリコール(Butylene Glycol)、ペンチレングリコール(Pentylene Glycol)、1,2-ヘキサンジオール(1,2-Hexanediol)、プロパンジオール(Propanediol)、メチルプロパンジオール(Methylpropanediol)及びジプロピレングリコール(Dipropylene Glycol)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項
1又は2に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項4】
前記ポリオールは、全化粧料組成物に対して5.0~15.0重量%含まれている、請求項
1~3のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項5】
前記pH調節剤は、塩化ナトリウム(Sodium Chloride)である、請求項
1から
4のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項6】
前記pH調節剤は、全化粧料組成物に対して0.3~1.0重量%含まれている、請求項
1から
5のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤は、ポリグリセリル-4イソステアレート(Polyglyceryl-4 Isostearate)、ポリグリセリル-3ポリリシノレエート(Polyglyceryl-3 Polyricinoleate)、ジステアルジモニウムヘクトライト(Disteardimonium Hectorite)及びソルビタンイソステアレート(Sorbitan Isostearate)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項
1~6のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤は、全化粧料組成物に対して5.0~10.0重量%含まれている、請求項
1~7のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項9】
前記ワックスは、オゾケライト(Ozokerite)、ポリエチレン(Polyethylene)、合成ワックス(Synthetic Wax)及びマイクロクリスタリンワックス(Microcrystalline Wax)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項
1から
8のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項10】
前記ワックスは、全化粧料組成物に対して12.0~18.0重量%含まれている、請求項
1から
9のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項11】
前記オイルは、ココ-カプリレート/カプレート(Coco-Caprylate/Caprate)、イソノニルイソノナノエート(Isononyl Isononanoate)、水添ヤシ油(Hydrogenated Coconut Oil)、ジイソステアリルマレート(Diisostearyl Malate)、ツバキ種子オイル(Camellia Japonica Seed Oil)、リンゴ種子オイル(Apple seed Oil)、ステアリルヘプタノエート(Stearyl Heptanoate)、ステアリルカプリレート(Stearyl Caprylate)、ジペンタエリトリチルヘキサヒドロキシステアレート/ヘキサステアレート/ヘキサロジネート(DipentaerythritylHexahydroxystearate/Hexastearate/Hexarosinate)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項
1から
10のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項12】
前記オイルは、全化粧料組成物に対して15.0~25.0重量%含まれている、請求項
1から
11のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項13】
前記植物性バター類は、チアバター、クプアス種子バター、マンゴー種子バター及びカカオ種子バターからなる群から選ばれる1種以上である、請求項
1から
12のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【請求項14】
前記油中水型固形化粧料組成物は、パウダーを含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載の油中水型固形化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2021年9月28日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2021-0128261号に対して優先権を主張し、当該特許出願の開示事項は本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、水相及び油相を適切な比率で安定に含むことによって改善した保湿効果を有する油中水型固形化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の固形化粧料組成物は、保湿力に優れたオイルを固形化させた剤形を意味するものであり、高い硬度によって流れないという長所から、保湿剤として広く使用されている。しかし、通常の固形化粧料組成物は、油相原料のみを含む油分散剤形を意味するものであり、水溶性成分を含まないのが一般である。
【0004】
しかも、油分散固形化粧料組成物は、シリコン及びその他非水系原料のみからなっている場合が多いが、このような成分を脂性皮膚に塗布すると、皮膚の毛穴を詰まらせて深刻なトラブルを誘発することがある。そのうえ、油分散固形化粧料組成物は、塗布の際、直に皮膚に吸収されるよりは、べたつきが長くするため、生活上に不便を招くこともあり、他の化粧料組成物との兼用時には、塗布物が皮膚に滲まない現象が発生することもある。
【0005】
したがって、皮膚トラブルを誘発しなく、べたつきは減少し、保湿感を改善できる、水相及び油相の適切な比率を有する油中水型固形化粧料組成物の開発が至急な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、水相及び油相の適切な比率を有する油中水型固形化粧料組成物を開発するために鋭意研究努力した。その結果、水相及び油相を適切な比率で含む油中水型固形化粧料組成物が、既存のシリコン及びその他非水系原料のみからなる油分散固形化粧料組成物に比べてべたつきは減少し、保湿感が改善し、且つ皮膚トラブルを誘発しないという効果に優れていることを確認した。
【0007】
したがって、本発明の目的は、水相及び油相を含む油中水型固形化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0009】
本発明の一態様は、水相及び油相を含む油中水型(Water in Oil;W/O)固形化粧料組成物に関する。
【0010】
本発明において、水相及び油相の重量比は、4:6~6:4、例えば、5:5であってよいが、これに限定されるものではない。
【0011】
本発明において、水相は、全化粧料組成物に対して30.0~50.0重量%、30.0~47.5重量%、35.0~50.0重量%、35.0~47.5重量%、40.0~50.0重量%、40.0~47.5重量%、45.0~50.0重量%、45.0~47.5重量%、例えば、47.1重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明において、水相は、ポリオール、pH調節剤及び溶剤からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0013】
本発明において、ポリオールは、グリセリン(Glycerin)、ブチレングリコール(Butylene Glycol)、ペンチレングリコール(Pentylene Glycol)、1,2-ヘキサンジオール(1,2-Hexanediol)、プロパンジオール(Propanediol)、メチルプロパンジオール(Methylpropanediol)及びジプロピレングリコール(Dipropylene Glycol)からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明において、ポリオールは、全化粧料組成物に対して5.0~15.0重量%、5.0~13.0重量%、5.0~11.0重量%、7.0~15.0重量%、7.0~13.0重量%、7.0~11.0重量%、9.0~15.0重量%、9.0~13.0重量%、9.0~11.0重量%、11.0~15.0重量%、11.0~13.0重量%、例えば、11.0重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0015】
本発明において、pH調節剤は、塩化ナトリウム(Sodium Chloride)であってよいが、これに限定されるものではない。
【0016】
本発明において、pH調節剤は、全化粧料組成物に対して0.3~1.0重量%、0.1~0.8重量%、0.1~0.6重量%、0.3~1.0重量%、0.3~0.8重量%、0.5~1.0重量%、0.5~0.8重量%、0.5~0.6重量%、例えば、0.5重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明において、油相は、界面活性剤、ワックス、オイル及び植物性バター類からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0018】
本発明において、界面活性剤は、ポリグリセリル-4イソステアレート(Polyglyceryl-4 Isostearate)、ポリグリセリル-3ポリリシノレエート(Polyglyceryl-3 Polyricinoleate)、ジステアルジモニウムヘクトライト(Disteardimonium Hectorite)、ソルビタンイソステアレート(Sorbitan Isostearate)からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明において、界面活性剤は、全化粧料組成物に対して5.0~10.0重量%、5.0~8.0重量%、7.0~10.0重量%、7.0~8.0重量%、例えば、7.0重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明において、ワックスは、オゾケライト(Ozokerite)、ポリエチレン(Polyethylene)、合成ワックス(Synthetic Wax)及びマイクロクリスタリンワックス(Microcrystalline Wax)からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明において、ワックスは、全化粧料組成物に対して12.0~18.0重量%、12.0~16.0重量%、14.0~18.0重量%、14.0~16.0重量%、例えば、15.0重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0022】
本発明において、オイルは、ココ-カプリレート/カプレート(Coco-Caprylate/Caprate)、イソノニルイソノナノエート(Isononyl Isononanoate)、水添ヤシ油(Hydrogenated Coconut Oil)、ジイソステアリルマレート(Diisostearyl Malate)、ツバキ種子オイル(Camellia Japonica Seed Oil)、リンゴ種子オイル(Apple seed Oil)、ステアリルヘプタノエート(Stearyl Heptanoate)、ステアリルカプリレート(Stearyl Caprylate)、ジペンタエリトリチルヘキサヒドロキシステアレート/ヘキサステアレート/ヘキサロジネート(DipentaerythritylHexahydroxystearate/Hexastearate/Hexarosinate)からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明において、オイルは、全化粧料組成物に対して15.0~25.0重量%、15.0~23.0重量%、17.0~25.0重量%、17.0~23.0重量%、20.0~25.0重量%、20.00~23.0重量%、例えば、20.0重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明において、植物性バターは、チアバター、クプアス種子バター、マンゴー種子バター及びカカオ種子バターからなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明において、植物性バターは、全化粧料組成物に対して0.5~1.5重量%、0.5~1.3重量%、0.5~1.0重量%、0.7~1.5重量%、0.7~1.3重量%、0.9~1.5重量%、0.9~1.3重量%、0.9~1.0重量%、例えば、1.0重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明において、油中水型固形化粧料組成物は、パウダーを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明において、パウダーは、シリカ及びスチレン/アクリレートコポリマーからなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0028】
本発明において、パウダーは、全化粧料組成物に対して1.0~5.0重量%、1.0~4.5重量%、1.0~4.0重量%、1.0~3.5重量%、1.0~3.0重量%、1.0~2.5重量%、1.0~2.0重量%、1.5~5.0重量%、1.5~4.5重量%、1.5~4.0重量%、1.5~3.5重量%、1.5~3.0重量%、1.5~2.5重量%、1.5~2.0重量%、例えば、2.0重量%含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、水相及び油相を安定に含む油中水型固形化粧料組成物に関し、水相及び油相を適切な比率で含んで安定した剤形を具現でき、既存のシリコン及びその他非水系原料の代わりに多量の水溶性成分を含むことにより、皮膚トラブルを誘発しなく、べたつきは減少し、保湿感を改善するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実験例による実施例1の剤形を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
水相及び油相を含む油中水型(Water in Oil;W/O)固形化粧料組成物に関する。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を下記の実施例によってより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0033】
製造例.実施例及び比較例の製造
【0034】
下表1に記載の各成分及び含有量によって実施例1及び比較例1、2の油中水型固形化粧料組成物を製造した。
【0035】
【0036】
具体的に、表1に記載のそれぞれの原料をビーカーに計量した後、油相として、界面活性剤である7~10と、ワックス、オイル及び植物性バター類である11~19を、80℃まで加温して完全溶解させた後、ホモミキサー(Homomixer)に投入して3500rpmで3分間撹拌した。
【0037】
その後、水相である1~6を80℃まで加温し、完全溶解を確認した後に、ホモミキサーに投入して3500rpmで5分間撹拌をした。その後、パウダーである20及び21を個別投入して3500rpmで3分間撹拌した。その後、気泡を除去し、実施例1、及び比較例1、2を製造した。
【0038】
実験例1.剤形安定度評価
【0039】
実施例1及び比較例1を4℃、常温、37℃、45℃及びサイクル(保管温度を-4℃に24時間ごとに変更して3回実施)の条件で1日、5日、1週、2週及び4週目に剤形の安定性を評価し、その結果を下2に示した。また、評価基準は次の通りである。
【0040】
[評価基準]
◎;安定
△;やや不安定
×;不安定
【0041】
【0042】
上記表2から確認できるように、実施例1は、剤形の安定度が全温度条件において優れており、充填時にも表面が滑らかに固まることを確認した(
図1)。
【0043】
これに対し、比較例1は、水相を過量含んでいるため、剤形が不安定であり、2週後からは水分が蒸発して製品自体が収縮する傾向が見られた。比較例2は、油相を過量含んでいてオイルの滲み出る現象があり、固形剤形が形成されず、安定度の観察が不可であった。
【0044】
このことから、安定した油中水型固形化粧料組成物を作るためには、水相及び油相を約5:5の比率で含む必要があることが確認できた。
【0045】
実験例2.皮膚保湿評価
【0046】
健康な男/女10余名の血実験者を選んで皮膚水分度を測定した。何にも塗っていない対照群(無塗布)、実施例1及び比較例1を塗った実験群を比較した。順次に使用した実験群に分け、塗布開始前と、塗布直後、塗布2時間後、塗布4時間後、塗布8時間後の皮膚表皮内に存在する水分量を測定した。皮膚表皮内に存在する水分量の測定は、コルネオメーター(corneometer)センサーを用いた。コルネオメーターは、水分のイオン程度を測定し数値化して皮膚保湿力を確認できる機械である。皮膚水分度は%で示し、恒温24℃及び恒湿(相対湿度)40%の条件で実施した。コルネオメーター針金(probe)を、測定部位である下膊内側に載せて押した後、センサーを用いて数値化した電気伝導度を画面から確認した。測定後に、キムワイプのような紙ワイパーでセンサーを拭い、測定部位を異ならせて複数回反復して測定した。時間の経過による水分度の変化量を測定し、その結果を表3に示した。
【0047】
【0048】
上記表3から確認できるように、実施例1は、水相及び油相の重量比が約5:5と適切に含まれており、水相の皮膚浸透後に、その皮膚をオイルが覆い包み、保湿持続力が高く評価された。これに対し、比較例1は、水相を多量含有していて水分蒸発量が多く、しかも、パウダー含有量も多いため、皮膚表面の水分度が低く測定された。
【0049】
このことから、比較例1に比べて水相及び油相を適切な比率で含む実施例1が、皮膚保湿評価において優れていることが確認できた。
【0050】
実験例3.経表皮水分損失評価
【0051】
20歳~40歳の男/女5人に、実施例1と比較例1を毎日2回で4週にわたって両頬に塗布させ、塗布前、塗布後2週、塗布後4週が経過した時点に、恒温、恒湿条件(24℃、相対湿度40%)でTEWL(経表皮水分損失,Trans Epidermal Water Loss)を測定した。測定は、皮膚から蒸発する水分の量を面積と時間によって計算して、蒸発する水分量を温度と保湿電子センサーで読んで数値化し、皮膚の保湿力を測定した。このとき、環境条件である温度、湿度が一定に維持され、測定者と被検者以外は最小限の人員のみを残したし、空気の流れを極力遮断した。TEWLプローブを被検者の測定部位に軽く載せて地面と90°の角度にし、時間の経過につれて皮膚のTEWL数値が一定となる値を約1~3分間測定して、面積につき時間当りに蒸発する水分量(g/m2/h)を計算し、その結果を下表4に示した。
【0052】
[計算式]
【0053】
経皮水分損失量(%)=[(初期経皮水分損失量-試料使用前の経皮水分損失量)/試料使用前の経皮水分損失量]×100
【0054】
【0055】
上記表4から確認できるように、実施例1は比較例1に比べて水分損失量が顕著に減少した。塗布2週後に、実施例1は、約40%の水分損失量を保っていたが、比較例1は水分損失量が約85%と増加したことが確認できる。そして、塗布4週後には、実施例1は約50%の水分損失量を保っており、優れた皮膚保湿力を有することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、水相及び油相を適切な比率で安定に含み、改善された保湿効果を有する油中水型固形化粧料組成物に関する。