(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240806BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20240806BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20240806BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240806BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240806BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240806BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240806BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 E
H01L29/80 U
H01L21/88 J
H01L21/28 301R
H01L21/28 301B
H01L21/88 R
(21)【出願番号】P 2019191653
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】美濃浦 優一
(72)【発明者】
【氏名】多木 俊裕
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-134526(JP,A)
【文献】特表2003-530716(JP,A)
【文献】特開2019-135766(JP,A)
【文献】特開2009-158862(JP,A)
【文献】特開2009-033097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/3205
H01L 21/28
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 23/532
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第1のエッチングストッパー層及び第2のエッチングストッパー層と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールと、
前記ビアホールの内部の底面及び側面に形成されたシードメタル層と、
前記シードメタル層の上にメッキにより形成された裏面電極と、
を有し、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記シードメタル層と、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が同じ、または、前記シードメタル層よりも、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記シードメタル層は銅により形成されており、前記第2のエッチングストッパー層は、金により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記シードメタル層及び前記第2のエッチングストッパー層は、同じ材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
基板の一方の面に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第1のエッチングストッパー層及び第2のエッチングストッパー層と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールと、
前記ビアホールの内部の底面及び側面に形成されたシードメタル層と、
前記シードメタル層の上にメッキにより形成された裏面電極と、
を有し、
前記半導体層は、窒化物半導体層であり、
前記第2のエッチングストッパー層は、前記半導体層の上に開口を有する環状に形成され、
前記第1のエッチングストッパー層は、前記第2のエッチングストッパー層の上及び前記開口の内側に形成され、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記第2のエッチングストッパー層は、絶縁膜により形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記第2のエッチングストッパー層は、酸化ニッケルまたは酸化アルミニウムにより形成されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体層は、窒化物半導体層であることを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記窒化物半導体層は、
前記基板の一方の面に形成された電子走行層と、
前記電子走行層の上に形成された電子供給層と、
を有し、
前記電子供給層の上に形成されたゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を有することを特徴とする請求項
6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第
1のエッチングストッパー層は、ニッケルまたはアルミニウムにより形成されていることを特徴とする請求項1から
7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
基板の一方の面に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に、第2のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記半導体層及び前記第2のエッチングストッパー層の上に、第1のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールの内部の底面及び側面にシードメタル層を形成する工程と、
前記シードメタル層の上にメッキにより裏面電極を形成する工程と、
を有し、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記シードメタル層と、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が同じ、または、前記シードメタル層よりも、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
基板の一方の面に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に、開口を有する環状に第2のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記開口から露出する前記半導体層の上及び前記第2のエッチングストッパー層の上に、第1のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールの内部の底面及び側面にシードメタル層を形成する工程と、
前記シードメタル層の上にメッキにより裏面電極を形成する工程と、
を有し、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記第2のエッチングストッパー層は、絶縁膜により形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体であるGaN、AlN、InN等または、これらの混晶である材料は、広いバンドギャップを有しており、高出力電子デバイスまたは短波長発光デバイス等として用いられている。このうち、高出力デバイスとしては、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に関する技術が開発されている。窒化物半導体を用いた電界効果型トランジスタとしては、電子走行層にGaNを用い電子供給層にAlGaNを用いたHEMTがあり、GaNにおけるピエゾ分極や自発分極の作用により電子走行層において二次元電子ガス(2DEG:Two-Dimensional Electron Gas)が生成される。
【0003】
窒化物半導体を用いた電界効果型トランジスタは、高出力、高耐圧動作が可能であることから、主に無線通信やレーダー等の送信側素子として用いられる。例えば、窒化物半導体を用いた電界効果型トランジスタと、コンデンサ、抵抗、配線などと同一の半導体チップ上に形成したMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)は、小さなサイズで高性能なデバイスを実現することが可能である。このようなMMICでは、基板に形成したビア配線により、基板の表面側のソース電極と裏面側のグランドとが接続されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5168933号公報
【文献】特開2013-89816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
窒化物半導体を用いた半導体装置である電界効果型トランジスタを有するMMICでは、ビア配線近傍に断線等が生じる場合があり、歩留まりの低下の要因となっていた。
【0006】
よって、窒化物半導体を用いた半導体装置において、歩留まりの高いものが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態の一観点によれば、基板の一方の面に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第1のエッチングストッパー層及び第2のエッチングストッパー層と、前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールと、前記ビアホールの内部の底面及び側面に形成されたシードメタル層と、前記シードメタル層の上にメッキにより形成された裏面電極と、を有し、前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、前記シードメタル層と、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が同じ、または、前記シードメタル層よりも、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の半導体装置によれば、窒化物半導体を用いた半導体装置において、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】窒化物半導体を用いたMMICの製造方法の工程図(1)
【
図3】窒化物半導体を用いたMMICの製造方法の工程図(2)
【
図4】窒化物半導体を用いたMMICの製造方法の工程図(3)
【
図5】窒化物半導体を用いたMMICの製造方法の工程図(4)
【
図6】エッチングストッパー層が浸食されるメカニズムの説明図(1)
【
図7】エッチングストッパー層が浸食されるメカニズムの説明図(2)
【
図8】エッチングストッパー層が浸食されるメカニズムの説明図(3)
【
図9】エッチングストッパー層が浸食される様子を示す説明図(1)
【
図10】エッチングストッパー層が浸食される様子を示す説明図(2)
【
図11】第1の実施の形態における半導体装置の構造図
【
図12】第1の実施の形態における半導体装置の説明図
【
図13】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(1)
【
図14】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(2)
【
図15】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(3)
【
図16】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(4)
【
図17】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(5)
【
図18】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(6)
【
図19】第2の実施の形態における半導体装置の構造図
【
図20】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(1)
【
図21】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(2)
【
図22】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(3)
【
図23】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(4)
【
図24】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(5)
【
図25】第2の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(6)
【
図26】第3の実施の形態における半導体装置の構造図
【
図27】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(1)
【
図28】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(2)
【
図29】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(3)
【
図30】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(4)
【
図31】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(5)
【
図32】第3の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(6)
【
図33】第4の実施の形態における半導体装置の構造図
【
図34】第4の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(1)
【
図35】第4の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(2)
【
図36】第4の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(3)
【
図37】第4の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(4)
【
図38】第4の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(5)
【
図39】第4の実施の形態における半導体装置の製造方法の工程図(6)
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、説明の便宜上、図面における縦横の縮尺等は実際と異なる場合がある。
【0011】
〔第1の実施の形態〕
最初に、窒化物半導体を用いた半導体装置である電界効果型トランジスタを有するMMICについて、
図1に基づき説明する。
【0012】
図1に示されるMMICでは、基板10の一方の面10aに、エピタキシャル成長により、不図示のバッファ層、電子走行層21、電子供給層22が順に積層された窒化物半導体層が形成されている。基板10は、SiC等の材料により形成されており、一方の面10aと、一方の面とは反対側の他方の面10bとを有している。不図示のバッファ層はAlNやGaN等により形成されており、電子走行層21はi-GaNにより形成されており、電子供給層22はAlGaNにより形成されている。これにより、電子走行層21において、電子走行層21と電子供給層22との界面近傍には、2DEG21aが生成される。電子供給層22の上には、ゲート電極31、ソース電極32及びドレイン電極33が形成されている。
【0013】
また、電子供給層22の上の所定の領域には、Al等によりエッチングストッパー層50が形成されている。エッチングストッパー層50が形成されている領域の基板10の他方の面10bからは、基板10、バッファ層、電子走行層21、電子供給層22を貫通するビアホール60が形成されており、ビアホール60の底面がエッチングストッパー層50となっている。基板10の他方の面10bには、ビアホール60を形成するためのエッチングマスク72がNi等により形成されており、ビアホール60の底面及び側面、エッチングマスク72の上には、シードメタル層71及び裏面電極70が積層して形成されている。従って、ビアホール60の底面において、シードメタル層71を介し裏面電極70とエッチングストッパー層50とが電気的に接続されている。エッチングストッパー層50とソース電極32とは配線51により接続されており、裏面電極70に印加された接地電位は、エッチングストッパー層50及び配線51を介し、ソース電極32に印加される。
【0014】
次に、
図1に示される半導体装置の製造方法について、
図2から
図5に基づき説明する。
【0015】
最初に、
図2に示すように、基板10の一方の面10aに、窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることにより、不図示のバッファ層、電子走行層21、電子供給層22を形成する。これにより、電子走行層21において、電子走行層21と電子供給層22との界面近傍には、2DEG21aが生成される。窒化物半導体層は、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)によるエピタキシャル成長により形成する。この後、電子供給層22の上に、ゲート電極31、ソース電極32、ドレイン電極33、エッチングストッパー層50を形成する。尚、基板10にはSiC基板が用いられており、電子走行層21は膜厚が約3μmのi-GaNにより形成されており、電子供給層22は膜厚が約6nmのAlGaNにより形成されている。エッチングストッパー層50は、Alにより形成されている。
【0016】
次に、
図3に示すように、基板10の他方の面10bより、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、ビアホール60を形成する。具体的には、ビアホール60は、基板10の他方の面10bに、開口部を有するエッチングマスク72をNi等により形成し、エッチングマスク72の開口部における基板10等を除去することにより形成する。エッチングマスク72の開口部は、エッチングストッパー層50が形成されている部分の反対側に形成されており、ビアホール60の底面がエッチングストッパー層50に到達した状態でエッチングを停止することにより、ビアホール60が形成される。
【0017】
次に、
図4に示すように、基板10の他方の面10b及びビアホール60の底面及び側面に、スパッタリング等により、シードメタル層71を形成する。シードメタル層71は、Ti膜とAu膜とが順に積層されたTi/Au金属多層膜により形成されており、Au膜が露出している。
【0018】
次に、
図5に示すように、シードメタル層71の上に、メッキによりAu膜を堆積させることにより、裏面電極70を形成する。この後、
図1に示されるように、エッチングストッパー層50とソース電極32とを配線51により接続する。尚、裏面電極70は、メッキによりCu膜を堆積させることにより形成してもよい。
【0019】
上記の半導体装置は、エッチングストッパー層50には、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにおける耐性の高いAl(アルミニウム)やNi(ニッケル)が用いられる。
【0020】
ところで、上記の製造方法により製造された半導体装置において、エッチングストッパー層50の一部が浸食され、断線等が生じる場合がある。このため、発明者は、エッチングストッパー層50の一部が浸食されることについて検討を行った。この結果、エッチングストッパー層50が浸食されるのは、シードメタル層71を成膜した後に、現像液やメッキ液等の電解液に浸す工程であることが解った。
【0021】
ここで、電解液に浸した際に、Alにより形成されたエッチングストッパー層50が浸食されることについて検討を行った。最初に、AlやNiの電解液に対する耐性について実験を行った。現像液等にはTMAHが含まれているため、TMAHにAlやNiを浸したところ、AlやNiは殆ど浸食されないことが確認された。次に、
図6に示されるようなSi基板81の上に、Al膜82を成膜し、Al膜82の上の一部に、Ti膜83及びAu膜84を順に積層した試料80を作製し、
図7に示すように、TMAHの電解液85に浸す実験を行った。この結果、Al膜82が、10nm/min以上のエッチングレートで浸食されることが確認された。
【0022】
Al単体では、TMAHに浸しても浸食されないが、試料80をTMAHに浸した場合には、Al膜82が浸食されることから、試料80のようなAl膜82とAu膜84の双方が露出しているとAl膜82が侵食されるものと推察される。即ち、
図8に示されるように、導通しているAl膜82からAu膜84に向かって電子(e
-)が供給されると、Au膜84の表面では、電解液85に含まれるH
+と電子(e
-)とにより、水素(H
2)が発生する。従って、Al膜82に含まれるAlは電子を失うためイオン化し、Al
3+となり、電解液85に溶け出し、Alが浸食されるというメカニズムに想到するに至った。
【0023】
このような現象は、電解液の液中において生じるAlとAuとの電位差に起因するものであり、イオン化傾向の差が大きな2種類の金属を電解液に浸すことにより生じるものと考えられる。尚、Al膜に代えてNi膜の場合であっても、同様に浸食されるが、浸食はNiに比べてAlの方が顕著である。
【0024】
以上の実験の結果より、エッチングストッパー層50が侵食されることについて説明する。
図4に示す工程においては、シードメタル層71はスパッタリング等の成膜により形成されており、ビアホール60の入口側よりも奥の底面側の方が薄くなっている。また、スパッタリングにより成膜される膜は、ビアホール60の底面及び側面における面より成長するため、
図9に示されるように、底面と側面との角60aの部分では、シードメタル層71に隙間71aが生じやすい。
【0025】
このため、
図10に示されるように、シードメタル層71の隙間71aより、破線矢印に示されるように電解液が侵入し、Alにより形成されているエッチングストッパー層50が侵食され、エッチングストッパー層50に穴50aが形成されるものと考えられる。即ち、シードメタル層71の隙間71aより電解液が侵入することにより、シードメタル層71のAuと、エッチングストッパー層50のAlの双方が電解液に浸っている状態となる。このため、Alにより形成されたエッチングストッパー層50が隙間71aより広がるように浸食され、エッチングストッパー層50を貫通する穴50aが形成され、これにより断線が生じるものと推察される。
【0026】
このため、シードメタル層を形成した後に、現像液やメッキ液等に浸した場合であっても、エッチングストッパー層が浸食されることなく、高い歩留まりで製造することのできる半導体装置が求められている。
【0027】
(半導体装置)
次に、第1の実施の形態における半導体装置について、
図11に基づき説明する。
図11は、本実施の形態における半導体装置の断面図である。
【0028】
本実施の形態における半導体装置は、基板10の一方の面10aに、エピタキシャル成長により、不図示のバッファ層、電子走行層21、電子供給層22が順に積層された窒化物半導体層が形成されている。基板10は、SiC等の材料により形成されている。不図示のバッファ層はAlNやGaN等により形成されており、電子走行層21はi-GaNにより形成されており、電子供給層22はAlGaNにより形成されている。これにより、電子走行層21において、電子走行層21と電子供給層22との界面近傍には、2DEG21aが生成される。電子供給層22の上には、ゲート電極31、ソース電極32及びドレイン電極33が形成されている。
【0029】
また、電子供給層22の上に、第1のエッチングストッパー層151と第2のエッチングストッパー層152を形成した後、基板10の他方の面10bより、基板10、バッファ層、電子走行層21、電子供給層22を貫通するビアホール160が形成されている。ビアホール160の底面161は、中央部161aが、第1のエッチングストッパー層151となり、周辺の角部161bが、第2のエッチングストッパー層152となっている。基板10の他方の面10bにはビアホール160を形成するためのエッチングマスク172がNi等により形成されている。また、ビアホール160の内部の底面161及び側面162、エッチングマスク172の上には、シードメタル層171及び裏面電極170が順に積層されて形成されている。
【0030】
従って、ビアホール160の底面161においては、シードメタル層171を介し裏面電極170と第1のエッチングストッパー層151及び第2のエッチングストッパー層152とが電気的に接続されている。第1のエッチングストッパー層151とソース電極32とは配線51により接続されており、裏面電極170に印加された接地電位は、第1のエッチングストッパー層151等及び配線51を介し、ソース電極32に印加される。
【0031】
本実施の形態においては、シードメタル層171は、スパッタリングによりTi膜とCu膜とを順に成膜したTi/Cu積層膜またはTa膜とCu膜とを順に成膜したTa/Cu積層膜により形成されている。従って、シードメタル層171の表面にはCuが露出している。第2のエッチングストッパー層152は、Auにより形成されている。また、第1のエッチングストッパー層151は、ドライエッチング耐性に強い材料であることが求められるため、AlまたはNiにより形成されている。
【0032】
図12は、本実施の形態における半導体装置を製造する工程において、ビアホール160を形成した後、スパッタリングによりシードメタル層171を成膜した後の状態を示す。スパッタリングにより成膜されたシードメタル層171は、ビアホール160の底面161の角部161bにおいて隙間171aが生じる場合があり、現像液やメッキ液等の電解液に浸すと、シードメタル層171の隙間171aより電解液が進入してしまう。
【0033】
しかしながら、本実施の形態においては、第2のエッチングストッパー層152は、露出しているシードメタル層171の表面のCuよりもイオン化傾向の小さい材料であるAuにより形成されている。よって、シードメタル層171の隙間171aより電解液が進入しても、第2のエッチングストッパー層152が浸食されることはない。
【0034】
即ち、ビアホール160の底面161の角部161bに形成された第2のエッチングストッパー層152をシードメタル層171よりもイオン化傾向の小さい金属により形成することにより、第2のエッチングストッパー層152が浸食することを防いでいる。尚、ビアホール160の底面161の角部161bに形成された第2のエッチングストッパー層152をシードメタル層171と同じ材料により形成しても、同様に第2のエッチングストッパー層152が浸食することを防ぐことができる。
【0035】
本実施の形態においては、ビアホール160は、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチングにより形成される。ビアホール160の底面161の角部161bでは、ドライエッチングにおけるパワーが比較的弱いため、ビアホール160の底面161の角部161bがドライエッチングの耐性のあまり高くない材料により形成されていても問題はない。一方、ビアホール160の底面161の中央部161aでは、ドライエッチングにおけるパワーが比較的高いため、ドライエッチングにおける耐性の高い材料であることが好ましい。
【0036】
(半導体装置の製造方法)
次に、第1の実施の形態における半導体装置の製造方法について、
図13から
図18に基づき説明する。
【0037】
最初に、
図13に示すように、基板10の一方の面10aに、窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることにより、不図示のバッファ層、電子走行層21、電子供給層22を順に形成する。これにより、電子走行層21において、電子走行層21と電子供給層22との界面近傍には、2DEG21aが生成される。窒化物半導体層は、MOVPEによるエピタキシャル成長により形成する。この後、電子供給層22の上に、ゲート電極31、ソース電極32、ドレイン電極33を形成する。尚、基板10にはSiC基板が用いられており、電子走行層21は膜厚が約3μmのi-GaNにより形成されており、電子供給層22は膜厚が約6nmのAlGaNにより形成されている。
【0038】
次に、
図14に示すように、電子供給層22の上に、第2のエッチングストッパー層152を形成する。第2のエッチングストッパー層152は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に形成され、例えば、内径が30μm、外径が90μmの円環状に形成される。具体的には、電子供給層22の上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、第2のエッチングストッパー層152が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着によりAu膜を成膜し、有機溶剤に浸漬させることにより、レジストパターンの上のAu膜をレジストパターンとともに、リフトオフにより除去する。これにより、残存するAu膜により、第2のエッチングストッパー層152が形成される。このようにして形成される第2のエッチングストッパー層152は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に、円環状に形成され、ビアホール160の底面161の中央部161aに対応する部分は開口している。第2のエッチングストッパー層152は、膜厚が100nm以上、1μm以下である。
【0039】
尚、第2のエッチングストッパー層152は、上記のようなリフトオフ以外の方法により形成してもよい。例えば、Au膜を成膜し、Au膜の上の第2のエッチングストッパー層152等が形成される領域に不図示のレジストパターンを形成し、RIE等のドライエッチングにより、レジストパターンが形成されていない領域のAu膜を除去することにより形成してもよい。
【0040】
次に、
図15に示すように、第2のエッチングストッパー層152に囲まれた電子供給層22の上、及び、その周囲の第2のエッチングストッパー層152の上に、第1のエッチングストッパー層151を形成する。具体的には、第2のエッチングストッパー層152及び電子供給層22の上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、第1のエッチングストッパー層151が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着によりAl膜を成膜し、有機溶剤に浸漬させることにより、レジストパターンの上のAl膜をレジストパターンとともに、リフトオフにより除去する。これにより、残存するAl膜により、第1のエッチングストッパー層151が形成される。このようにして形成される第1のエッチングストッパー層151は、膜厚が500nm以上、1μm以下であり、後に形成されるビアホール160の中央部161aに対応する部分に形成される。
【0041】
尚、第1のエッチングストッパー層151は、Niにより形成してもよい。また、第1のエッチングストッパー層151は、上記のようなリフトオフ以外の方法により形成してもよい。例えば、Al膜を成膜し、Al膜の上の第1のエッチングストッパー層151等が形成される領域に不図示のレジストパターンを形成し、RIE等のドライエッチングにより、レジストパターンが形成されていない領域のAl膜を除去することにより形成してもよい。
【0042】
次に、
図16に示すように、基板10の他方の面10bに、開口部172aを有するエッチングマスク172を形成し、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、基板10等を除去することにより、ビアホール160を形成する。ビアホール160は、例えば、直径が50μmの円形である。具体的には、基板10の他方の面10bに、スパッタリングにより不図示のシードメタル層を成膜し、成膜されたシードメタル層の上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行う。これにより、ビアホール160が形成される領域に不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンが形成されていない領域において露出しているシードメタル層の上に、メッキによりNi膜を堆積させた後、有機溶剤等により不図示のレジストパターンを除去することにより、開口部172aを有するエッチングマスク172を形成する。この後、エッチングマスク172の開口部172aにおいて露出しているシードメタル層を除去した後、RIE等のドライエッチングにより、エッチングマスク172の開口部172aにおける基板10、電子走行層21、電子供給層22を除去する。このドライエッチングでは、エッチングガスとしてフッ素系ガス、例えば、SF
6と酸素(O
2)との混合ガスを用い、第1のエッチングストッパー層151及び第2のエッチングストッパー層152が露出した状態でエッチングを停止する。これにより、中央部161aが第1のエッチングストッパー層151となり、角部161bが第2のエッチングストッパー層152となる底面161を有するビアホール160が形成される。
【0043】
次に、
図17に示すように、シードメタル層171をスパッタリングにより形成する。具体的には、ビアホール160の底面161及び側面162、エッチングマスク172の上に、スパッタリングにより、Ti/Cu積層膜またはTa/Cu積層膜を成膜することによりシードメタル層171を形成する。形成されるシードメタル層171の表面のCuは、第2のエッチングストッパー層152を形成しているAuよりもイオン化傾向が大きい。
【0044】
次に、
図18に示されるように、シードメタル層171の上に、メッキによりCu膜を堆積させることにより、裏面電極170を形成する。
【0045】
これにより、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。
【0046】
本実施の形態における半導体装置は、シードメタル層171の表面はCuにより形成されており、ビアホール160の底面161の角部161bは第2のエッチングストッパー層152はAuにより形成されている。CuよりAuはイオン化傾向が小さい。よって、ビアホール160の底面161の角部161bにおいて、シードメタル層171に隙間等が生じていても、第2のエッチングストッパー層152の側に進入したメッキ液等の電解液により、第2のエッチングストッパー層152が浸食されることはない。
【0047】
よって、第1のエッチングストッパー層151及び第2のエッチングストッパー層152において断線等が生じることはなく、製造される半導体装置の歩留まりを向上させることができる。
【0048】
〔第2の実施の形態〕
(半導体装置)
次に、第2の実施の形態における半導体装置について、
図19に基づき説明する。本実施の形態における半導体装置は、第2のエッチングストッパー層252、シードメタル層271、裏面電極270がAuにより形成されている。
【0049】
具体的には、ビアホール160の底面161は、中央部161aが、第1のエッチングストッパー層151となり、周辺の角部161bが、第2のエッチングストッパー層252となっている。ビアホール160の内部の底面161及び側面162、エッチングマスク172の上には、シードメタル層271及び裏面電極270が積層されて形成されている。
【0050】
本実施の形態においては、シードメタル層271は、スパッタリングによりTi膜とAu膜とを順に成膜したTi/Au積層膜、または、Ta膜とAu膜とを順に成膜したTa/Au積層膜により形成されている。従って、シードメタル層271の表面にはAuが露出している。第2のエッチングストッパー層252は、Auにより形成されている。本実施の形態においては、ビアホール160の底面161の角部161bに形成された第2のエッチングストッパー層252をシードメタル層271と同じ材料により形成することにより、第2のエッチングストッパー層252が浸食されることを防いでいる。
【0051】
(半導体装置の製造方法)
次に、第2の実施の形態における半導体装置の製造方法について、
図20から
図25に基づき説明する。
【0052】
最初に、
図20に示すように、基板10の一方の面10aに、窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることにより、不図示のバッファ層、電子走行層21、電子供給層22を形成する。この後、電子供給層22の上に、ゲート電極31、ソース電極32、ドレイン電極33を形成する。
【0053】
次に、
図21に示すように、電子供給層22の上の所定の領域に、Auにより第2のエッチングストッパー層252を形成する。第2のエッチングストッパー層252は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に形成され、例えば、内径が30μm、外径が90μmの円環状に形成される。このようにして形成される第2のエッチングストッパー層252は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に形成され、ビアホール160の底面161の中央部161aに対応する部分は開口している。第2のエッチングストッパー層252は、膜厚が100nm以上、1μm以下である。
【0054】
次に、
図22に示すように、第2のエッチングストッパー層252に囲まれた電子供給層22の上、及び、その周囲の第2のエッチングストッパー層252の上に、Al等により第1のエッチングストッパー層151を形成する。
【0055】
次に、
図23に示すように、基板10の他方の面10bに、開口部172aを有するエッチングマスク172を形成し、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、基板10等を除去することにより、ビアホール160を形成する。これにより、中央部161aが第1のエッチングストッパー層151となり、角部161bが第2のエッチングストッパー層252となる底面161を有するビアホール160が形成される。
【0056】
次に、
図24に示すように、シードメタル層271をスパッタリングにより形成する。具体的には、ビアホール160の底面161及び側面162、エッチングマスク172の上に、スパッタリングにより、Ti/Au積層膜またはTa/Au積層膜を成膜することによりシードメタル層271を形成する。シードメタル層271の表面は、第2のエッチングストッパー層252と同じAuにより形成されており、イオン化傾向は同じである。
【0057】
次に、
図25に示されるように、シードメタル層271の上に、メッキによりAu膜を堆積させることにより、裏面電極270を形成する。
【0058】
これにより、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。
【0059】
本実施の形態における半導体装置は、シードメタル層271の表面は、ビアホール160の底面161の角部161bは第2のエッチングストッパー層252と同じAuにより形成されており、イオン化傾向も同じである。よって、ビアホール160の底面161の角部161bにおいて、シードメタル層271に隙間等が生じていても、第2のエッチングストッパー層252の側に進入したメッキ液等の電解液により、第2のエッチングストッパー層252が浸食されることはない。
【0060】
よって、第1のエッチングストッパー層151及び第2のエッチングストッパー層252において断線等が生じることはなく、製造される半導体装置の歩留まりを向上させることができる。
【0061】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0062】
〔第3の実施の形態〕
(半導体装置)
次に、第3の実施の形態における半導体装置について、
図26に基づき説明する。本実施の形態における半導体装置は、第2のエッチングストッパー層352、シードメタル層371、裏面電極370がCuにより形成されている。
【0063】
具体的には、ビアホール160の底面161は、中央部161aが、第1のエッチングストッパー層151となり、周辺の角部161bが、第2のエッチングストッパー層352となっている。ビアホール160の内部の底面161及び側面162、エッチングマスク172の上には、シードメタル層371及び裏面電極370が積層されて形成されている。
【0064】
本実施の形態においては、シードメタル層371は、スパッタリングによりTi膜とCu膜とを順に成膜したTi/Cu積層膜またはTa膜とCu膜とを順に成膜したTa/Cu積層膜により形成されている。従って、シードメタル層371の表面にはCuが露出している。また、第2のエッチングストッパー層352は、Cuにより形成されている。本実施の形態においては、ビアホール160の底面161の角部161bに形成された第2のエッチングストッパー層352をシードメタル層371と同じ材料により形成することにより、第2のエッチングストッパー層352が浸食されることを防いでいる。
【0065】
(半導体装置の製造方法)
次に、第3の実施の形態における半導体装置の製造方法について、
図27から
図32に基づき説明する。
【0066】
最初に、
図27に示すように、基板10の一方の面10aに、窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることにより、不図示のバッファ層、電子走行層21、電子供給層22を形成する。この後、電子供給層22の上に、ゲート電極31、ソース電極32、ドレイン電極33を形成する。
【0067】
次に、
図28に示すように、電子供給層22の上の所定の領域に、Cuにより第2のエッチングストッパー層352を形成する。第2のエッチングストッパー層352は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に形成され、例えば、内径が30μm、外径が90μmの円環状に形成される。このようにして形成される第2のエッチングストッパー層352は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に形成され、ビアホール160の底面161の中央部161aに対応する部分は開口している。第2のエッチングストッパー層352は、膜厚が100nm以上、1μm以下である。
【0068】
次に、
図29に示すように、第2のエッチングストッパー層352に囲まれた電子供給層22の上、及び、その周囲の第2のエッチングストッパー層352の上に、Al等により第1のエッチングストッパー層151を形成する。
【0069】
次に、
図30に示すように、基板10の他方の面10bに、開口部172aを有するエッチングマスク172を形成し、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、基板10等を除去することにより、ビアホール160を形成する。これにより、中央部161aが第1のエッチングストッパー層151となり、角部161bが第2のエッチングストッパー層352となる底面161を有するビアホール160が形成される。
【0070】
次に、
図31に示すように、シードメタル層371をスパッタリングにより形成する。具体的には、ビアホール160の底面161及び側面162、エッチングマスク172の上に、スパッタリングにより、Ti/Cu積層膜またはTa/Cu積層膜を成膜することによりシードメタル層371を形成する。シードメタル層371の表面は、第2のエッチングストッパー層352と同じCuにより形成されており、イオン化傾向は同じである。
【0071】
次に、
図32に示されるように、シードメタル層371の上に、メッキによりCu膜を堆積させることにより、裏面電極370を形成する。
【0072】
これにより、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。
【0073】
本実施の形態における半導体装置は、シードメタル層371の表面は、ビアホール160の底面161の角部161bは第2のエッチングストッパー層352と同じCuにより形成されており、イオン化傾向も同じである。よって、ビアホール160の底面161の角部161bにおいて、シードメタル層371に隙間等が生じていても、第2のエッチングストッパー層352の側に進入したメッキ液等の電解液により、第2のエッチングストッパー層352が浸食されることはない。
【0074】
よって、第1のエッチングストッパー層151及び第2のエッチングストッパー層352において断線等が生じることはなく、製造される半導体装置の歩留まりを向上させることができる。
【0075】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0076】
〔第4の実施の形態〕
(半導体装置)
次に、第4の実施の形態における半導体装置について、
図33に基づき説明する。本実施の形態における半導体装置は、第2のエッチングストッパー層452が絶縁体により形成されている。
【0077】
具体的には、ビアホール160の底面161は、中央部161aが、第1のエッチングストッパー層151となり、周辺の角部161bが、第2のエッチングストッパー層452となっている。ビアホール160の内部の底面161及び側面162、エッチングマスク172の上には、シードメタル層171及び裏面電極170が積層されて形成されている。
【0078】
本実施の形態においては、シードメタル層171は、スパッタリングによりTi膜とCu膜とを順に成膜したTi/Cu積層膜またはTa膜とCu膜とを順に成膜したTa/Cu積層膜により形成されている。従って、シードメタル層171の表面にはCuが露出している。第2のエッチングストッパー層452は、酸化ニッケル(NiO)、酸化アルミニウム(AlO)等の酸化物の絶縁体により形成されているため、第2のエッチングストッパー層452が浸食されることはない。
【0079】
(半導体装置の製造方法)
次に、第4の実施の形態における半導体装置の製造方法について、
図34から
図39に基づき説明する。
【0080】
最初に、
図34に示すように、基板10の一方の面10aに、窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることにより、不図示のバッファ層、電子走行層21、電子供給層22を形成する。この後、電子供給層22の上に、ゲート電極31、ソース電極32、ドレイン電極33を形成する。
【0081】
次に、
図35に示すように、電子供給層22の上の所定の領域に、第2のエッチングストッパー層452を形成する。第2のエッチングストッパー層452は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に形成され、例えば、内径が30μm、外径が90μmの円環状に形成される。具体的には、電子供給層22の上に、スパッタリングやALD(Atomic Layer Deposition)等により酸化アルミニウム膜を成膜し、更に、成膜された酸化アルミニウム膜の上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行う。これにより、第2のエッチングストッパー層452が形成される領域に不図示のレジストパターンを形成する。この後、RIE等のドライエッチング、イオンミリング、または、アルカリ系の溶液を用いたウェットエッチング等により、レにストパターンの形成されていない領域の酸化アルミニウム膜を除去する。この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去することにより、残存する酸化アルミニウム膜により、第2のエッチングストッパー層452が形成される。このようにして形成される第2のエッチングストッパー層452は、ビアホール160の底面161の角部161bに対応する部分に、円環状に形成され、ビアホール160の底面161の中央部161aに対応する部分は開口している。第2のエッチングストッパー層452は、膜厚が100nm以上、1μm以下であり、この後、600℃の温度以上で熱処理を行うことにより、後のドライエッチングにおける耐性を高めることができる。
【0082】
次に、
図36に示すように、第2のエッチングストッパー層452の上、及び、その周囲の第2のエッチングストッパー層452に囲まれた電子供給層22の上に、第1のエッチングストッパー層151を形成する。
【0083】
次に、
図37に示すように、基板10の他方の面10bに、開口部172aを有するエッチングマスク172を形成し、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、基板10等を除去することにより、ビアホール160を形成する。これにより、中央部161aが第1のエッチングストッパー層151となり、角部161bが第2のエッチングストッパー層452となる底面161を有するビアホール160が形成される。
【0084】
次に、
図38に示すように、シードメタル層171をスパッタリングにより形成する。
【0085】
次に、
図39に示されるように、シードメタル層171の上に、メッキによりCu膜を堆積させることにより、裏面電極170を形成する。
【0086】
これにより、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。
【0087】
本実施の形態における半導体装置は、第2のエッチングストッパー層452は酸化アルミニウム等の絶縁体により形成されている。よって、ビアホール160の底面161の角部161bにおいて、シードメタル層171に隙間等が生じていても、メッキ液等の電解液により、第2のエッチングストッパー層452が浸食されることはない。
【0088】
よって、第1のエッチングストッパー層151において断線等が生じることはなく、製造される半導体装置の歩留まりを向上させることができる。
【0089】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0090】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0091】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板の一方の面に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第1のエッチングストッパー層及び第2のエッチングストッパー層と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールと、
前記ビアホールの内部の底面及び側面に形成されたシードメタル層と、
前記シードメタル層の上にメッキにより形成された裏面電極と、
を有し、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記シードメタル層と、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が同じ、または、前記シードメタル層よりも、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が小さいことを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記シードメタル層よりも、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が小さいことを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記シードメタル層は銅により形成されており、前記第2のエッチングストッパー層は、金により形成されていることを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記シードメタル層及び前記第2のエッチングストッパー層は、同じ材料により形成されていることを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記5)
前記シードメタル層及び前記第2のエッチングストッパー層は、金または銅により形成されていることを特徴とする付記4に記載の半導体装置。
(付記6)
基板の一方の面に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第1のエッチングストッパー層及び第2のエッチングストッパー層と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールと、
前記ビアホールの内部の底面及び側面に形成されたシードメタル層と、
前記シードメタル層の上にメッキにより形成された裏面電極と、
を有し、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記第2のエッチングストッパー層は、絶縁膜により形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記7)
前記第2のエッチングストッパー層は、酸化ニッケルまたは酸化アルミニウムにより形成されていることを特徴とする付記6に記載の半導体装置。
(付記8)
前記第2のエッチングストッパー層は、ニッケルまたはアルミニウムにより形成されていることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の半導体装置。
(付記9)
前記半導体層は、窒化物半導体層であることを特徴とする付記1から8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記10)
前記窒化物半導体層は、
前記基板の一方の面に形成された電子走行層と、
前記電子走行層の上に形成された電子供給層と、
前記電子供給層の上に形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を有することを特徴とする付記9に記載の半導体装置。
(付記11)
前記電子走行層は、GaNにより形成されていることを特徴とする付記10に記載の半導体装置。
(付記12)
前記基板は、SiC基板であることを特徴とする付記1から11のいずれかに記載の半導体装置。
(付記13)
基板の一方の面に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に、第2のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記半導体層及び第2のエッチングストッパー層の上に、第1のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールの内部の底面及び側面にシードメタル層を形成する工程と、
前記シードメタル層の上にメッキにより裏面電極を形成する工程と、
を有し、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記シードメタル層と、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が同じ、または、前記シードメタル層よりも、前記第2のエッチングストッパー層は、イオン化傾向が小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記シードメタル層は、銅により形成されており、前記第2のエッチングストッパー層は、金により形成されていることを特徴とする付記13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記シードメタル層及び前記第2のエッチングストッパー層は、同じ材料により形成されていることを特徴とする付記13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記シードメタル層及び前記第2のエッチングストッパー層は、金または銅により形成されていることを特徴とする付記15に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
基板の一方の面に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に、第2のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記半導体層及び第2のエッチングストッパー層の上に、第1のエッチングストッパー層を形成する工程と、
前記基板の他方の面より前記基板及び前記半導体層を貫通し、前記第1のエッチングストッパー層及び前記第2のエッチングストッパー層を底面とするビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールの内部の底面及び側面にシードメタル層を形成する工程と、
前記シードメタル層の上にメッキにより裏面電極を形成する工程と、
を有し、
前記ビアホールの底面は、中央部が前記第1のエッチングストッパー層により形成されており、角部が前記第2のエッチングストッパー層により形成されており、
前記第2のエッチングストッパー層は、絶縁膜により形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記第2のエッチングストッパー層は、酸化ニッケルまたは酸化アルミニウムにより形成されていることを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記第1のエッチングストッパー層は、ニッケルまたはアルミニウムにより形成されていることを特徴とする付記13から18のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記半導体層は、窒化物半導体層であることを特徴とする付記13から19のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0092】
10 基板
10a 一方の面
10b 他方の面
21 電子走行層
21a 2DEG
22 電子供給層
31 ゲート電極
32 ソース電極
33 ドレイン電極
51 配線
151 第1のエッチングストッパー層
152 第2のエッチングストッパー層
160 ビアホール
161 ビアホールの底面
161a ビアホールの底面の中央部
161b ビアホールの底面の角部
162 ビアホールの側面
170 裏面電極
171 シードメタル層
172 エッチングマスク