(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/04 20060101AFI20240806BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20240806BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F28F3/04 B
F28F1/32 F
F28F1/32 J
H01L23/46 Z
(21)【出願番号】P 2020025292
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 有弥
(72)【発明者】
【氏名】冨田 亮平
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074121(JP,A)
【文献】特開2016-205802(JP,A)
【文献】特開2013-088078(JP,A)
【文献】特開2012-083026(JP,A)
【文献】特開平01-098896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/04
F28F 1/32
H01L 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換対象物(2)と熱媒体とを熱交換させる熱交換器であって、
一方向(Df)に垂直な第1断面において扁平断面形状を成し、前記一方向の一方側を前記熱媒体の流れの上流側とし且つ前記一方向の他方側を前記熱媒体の流れの下流側として前記熱媒体が内部に流通する流路管(3)と、
該流路管の内部に配置され、前記扁平断面形状の長手方向(Dw)に並んだ複数の細流路(30a、30b)に前記流路管の内部空間を分割し、前記扁平断面形状の厚み方向(Dt)の一方側へ膨らんだ一方側凸形状(341)と前記厚み方向の他方側へ膨らんだ他方側凸形状(342)とが交互に連なって前記長手方向へ延びる断面波形状を前記第1断面において成すと共に、前記一方向へ延びているインナーフィン(34、35)とを備え、
前記インナーフィンは、前記厚み方向に垂直な第2断面において、前記複数の細流路の相互間に配置され前記長手方向の一方側へ膨らむように曲がった一方側頂部(361)と前記複数の細流路の相互間に配置され前記長手方向の他方側へ膨らむように曲がった他方側頂部(362)とが中間部(363)を介して前記一方向へ交互に並んだ蛇行形状を有し、
前記中間部は、前記複数の細流路のうち前記インナーフィンを挟んで隣り合う2つの細流路を互いに連通させる連通口(364a)が形成された連通部(364)と、該連通部に対して前記一方向に隣接する前記一方側頂部から該連通部まで延設され前記隣り合う2つの細流路の間を仕切る一方側壁部(365)と、前記連通部に対して前記一方向に隣接する前記他方側頂部から該連通部まで延設され前記隣り合う2つの細流路の間を仕切る他方側壁部(366)とを有し、
前記連通口は、前記一方側頂部と前記他方側頂部とのそれぞれから外れて前記中間部に配置されており、
前記連通口の周縁(364b)は前記一方側壁部の端縁(365a)と前記他方側壁部の端縁(366a)とを含み、該一方側壁部の端縁は、該他方側壁部の端縁を前記長手方向に平行移動したように形成されて
おり、
前記第2断面において、前記連通部に対し前記一方向の前記他方側に位置して隣接する前記一方側頂部または前記他方側頂部である側壁頂部(36a)から延設され且つ該側壁頂部を挟んで配置され前記隣り合う2つの細流路の間を仕切る一対の延設壁部(36b、36c)のうち、前記側壁頂部から前記一方向の前記一方側へ延設され前記一方側壁部または前記他方側壁部に該当する一方の延設壁部(36b)が前記一方向に対して成す仰角(θb)に比して、前記一対の延設壁部のうち前記側壁頂部から前記一方向の前記他方側へ延設された他方の延設壁部(36c)が前記一方向に対して成す仰角(θc)の方が大きい、熱交換器。
【請求項2】
前記一方向に並ぶ前記中間部毎に前記連通口が形成されており、
前記第2断面において、前記一方向に隣り合う2つの前記連通口の間に配置された前記一方側頂部または前記他方側頂部は、前記隣り合う2つの前記連通口の間で前記一方向の前記一方側へ偏って配置されている、請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項3】
熱交換対象物(2)と熱媒体とを熱交換させる熱交換器であって、
一方向(Df)に垂直な第1断面において扁平断面形状を成し、前記一方向の一方側を前記熱媒体の流れの上流側とし且つ前記一方向の他方側を前記熱媒体の流れの下流側として前記熱媒体が内部に流通する流路管(3)と、
該流路管の内部に配置され、前記扁平断面形状の長手方向(Dw)に並んだ複数の細流路(30a、30b)に前記流路管の内部空間を分割し、前記扁平断面形状の厚み方向(Dt)の一方側へ膨らんだ一方側凸形状(341)と前記厚み方向の他方側へ膨らんだ他方側凸形状(342)とが交互に連なって前記長手方向へ延びる断面波形状を前記第1断面において成すと共に、前記一方向へ延びているインナーフィン(34、35)とを備え、
前記インナーフィンは、前記厚み方向に垂直な第2断面において、前記複数の細流路の相互間に配置され前記長手方向の一方側へ膨らむように曲がった一方側頂部(361)と前記複数の細流路の相互間に配置され前記長手方向の他方側へ膨らむように曲がった他方側頂部(362)とが中間部(363)を介して前記一方向へ交互に並んだ蛇行形状を有し、
前記中間部は、前記複数の細流路のうち前記インナーフィンを挟んで隣り合う2つの細流路を互いに連通させる連通口(364a)が形成された連通部(364)と、該連通部に対して前記一方向に隣接する前記一方側頂部から該連通部まで延設され前記隣り合う2つの細流路の間を仕切る一方側壁部(365)と、前記連通部に対して前記一方向に隣接する前記他方側頂部から該連通部まで延設され前記隣り合う2つの細流路の間を仕切る他方側壁部(366)とを有し、
前記連通口は、前記一方側頂部と前記他方側頂部とのそれぞれから外れて前記中間部に配置されており、
前記連通口の周縁(364b)は前記一方側壁部の端縁(365a)と前記他方側壁部の端縁(366a)とを含み、該一方側壁部の端縁は、該他方側壁部の端縁を前記長手方向に平行移動したように形成されて
おり、
前記一方向に並ぶ前記中間部毎に前記連通口が形成されており、
前記第2断面において、前記一方向に隣り合う2つの前記連通口の間に配置された前記一方側頂部または前記他方側頂部は、前記隣り合う2つの前記連通口の間で前記一方向の前記一方側へ偏って配置されている、熱交換器。
【請求項4】
前記インナーフィンは、前記一方側頂部と前記一方側壁部とを含む部分(371)が前記他方側頂部と前記他方側壁部とを含む部分(372)に対して前記長手方向に前記連通口を拡幅させるように平行移動したオフセット形状を成すオフセットフィンとして構成されている、請求項1
ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項5】
前記オフセット形状は、前記一方側頂部と前記一方側壁部とを含む部分が前記他方側頂部と前記他方側壁部とを含む部分に対して前記連通口を前記長手方向に拡幅させるように前記長手方向の前記他方側へ平行移動した形状である、請求項
4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記インナーフィンには前記連通部が複数設けられており、
複数の前記連通部のそれぞれにおいて、前記一方側壁部の端縁は、前記他方側壁部の端縁に対し前記長手方向の前記他方側に配置されている、請求項1
ないし4のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1断面において、前記隣り合う2つの細流路のうちの一方が有する断面形状は、前記厚み方向の前記一方側よりも前記厚み方向の前記他方側の方が幅広となる台形状であり、前記隣り合う2つの細流路のうちの他方が有する断面形状は、前記厚み方向の前記他方側よりも前記厚み方向の前記一方側の方が幅広となる台形状である、請求項1ないし
6のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記流路管が前記厚み方向に前記熱交換対象物を挟んで複数積層され、
前記熱交換対象物は、該熱交換対象物を挟む一対の前記流路管により前記厚み方向に押圧される、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記インナーフィンとして第1インナーフィン(34)と第2インナーフィン(35)とを備え、
前記流路管は、前記流路管の内部空間を前記厚み方向に分割し前記一方向へ延びた中間プレート(33)を有し、
前記流路管の内部において、前記第1インナーフィンは、前記中間プレートに対し前記厚み方向の前記一方側に配置され、前記第2インナーフィンは、前記中間プレートに対し前記厚み方向の前記他方側に配置されている、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項10】
前記インナーフィンは、前記連通部を複数有しており、
前記連通部の分布は、前記インナーフィンのうち、前記一方向における前記一方側および前記他方側と比べて中央部分で密になっている、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項11】
前記中間部は、前記一方側壁部または前記他方側壁部として設けられ切り起こし部(381)を有する切り起こし壁部(38)を有しており、
前記切り起こし部は、前記切り起こし壁部を貫通する貫通孔(381a)を前記切り起こし部に対する前記一方向の前記一方側または前記他方側に形成するように切り起こされた形状を成している、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換対象物と熱媒体とを熱交換させる熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換器として、例えば特許文献1に記載された熱交換器が従来から知られている。この特許文献1に記載された熱交換器は、半導体素子を内蔵した半導体モジュール等の発熱体である熱交換対象物を両面から挟持する複数の流路管を備えている。その複数の流路管は、それぞれ扁平断面形状を成し、その流路管の相互間に熱交換対象物を挟んで積層されている。特許文献1の熱交換器は、複数の流路管内に流通する熱媒体と熱交換対象物とを熱交換させる。
【0003】
また、特許文献1の熱交換器は、流路管の内部に配置されウェーブフィンとして構成されたインナーフィンを備えており、そのインナーフィンは、流路管の内部空間を複数の細流路に分割し、熱交換対象物と熱媒体との伝熱面積を増大させる。
【0004】
更に、インナーフィンには部分的に開口部が形成されており、その開口部は、複数の細流路のうちインナーフィンを挟んで隣り合う2つの細流路を相互に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の熱交換器では、例えば、流路管の扁平断面形状における厚み方向に流路管を圧縮する圧縮外力が作用した場合、流路管内のインナーフィンは、その圧縮外力に対抗する役割を果たす。これに対し、インナーフィンには開口部が形成されているので、その圧縮外力に対抗するインナーフィンの強度低下が懸念される。
【0007】
詳細には、特許文献1の熱交換器において、開口部に対向する方向視で表される開口部の形状、要するに開口部の開口形状は、流路管の扁平断面形状における厚み方向の一方側または他方側へ尖った三角形状になっている。そして、開口部では、その三角形状を形成し厚み方向に延びる二辺のうちの一方の辺の長さが他方の辺の長さに対して異なっている。
【0008】
そのため、例えば流路管に対し厚み方向に圧縮外力が作用し、それにより開口部の周縁が変形する場合、その開口部の周縁は、上記一方の辺と上記他方の辺とのうち長い方の辺に相当する長辺部位と短い方の辺に相当する短辺部位との長さの差を縮めるように撓む。従って、その場合、開口部の周縁では、上記長辺部位の方が上記短辺部位よりも先に座屈する。すなわち、特許文献1の熱交換器では、このように開口部の周縁のうちの長辺部位と短辺部位とが圧縮外力によって座屈させられる場合、それぞれの座屈するタイミングがずれることになる。このようなことから、特許文献1の熱交換器では、その長辺部位および短辺部位の強度を十分に活かせず、インナーフィンの強度低下の一因になっていると考えられる。
【0009】
また、流路管内の複数の細流路を微細化するようにインナーフィンを形成すれば、インナーフィンの強度を高めることは可能であるが、複数の細流路が微細化されるほど、流路管内に流れる熱媒体の圧損が大きくなる。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0010】
本発明は上記点に鑑み、例えば特許文献1の熱交換器との比較で、流路管内の複数の細流路を微細化することを必要とせずに、連通部を設けたことに起因したインナーフィンの強度低下を抑制することが可能な熱交換器を提供することを目的とする。なお、上記連通部は、特許文献1の熱交換器における開口部に対応する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の熱交換器は、
熱交換対象物(2)と熱媒体とを熱交換させる熱交換器であって、
一方向(Df)に垂直な第1断面において扁平断面形状を成し、上記一方向の一方側を熱媒体の流れの上流側とし且つ上記一方向の他方側を熱媒体の流れの下流側として熱媒体が内部に流通する流路管(3)と、
その流路管の内部に配置され、扁平断面形状の長手方向(Dw)に並んだ複数の細流路(30a、30b)に流路管の内部空間を分割し、扁平断面形状の厚み方向(Dt)の一方側へ膨らんだ一方側凸形状(341)と厚み方向の他方側へ膨らんだ他方側凸形状(342)とが交互に連なって長手方向へ延びる断面波形状を第1断面において成すと共に、上記一方向へ延びているインナーフィン(34、35)とを備え、
インナーフィンは、厚み方向に垂直な第2断面において、複数の細流路の相互間に配置され長手方向の一方側へ膨らむように曲がった一方側頂部(361)と複数の細流路の相互間に配置され長手方向の他方側へ膨らむように曲がった他方側頂部(362)とが中間部(363)を介して上記一方向へ交互に並んだ蛇行形状を有し、
中間部は、複数の細流路のうちインナーフィンを挟んで隣り合う2つの細流路を互いに連通させる連通口(364a)が形成された連通部(364)と、その連通部に対して上記一方向に隣接する一方側頂部からその連通部まで延設され上記隣り合う2つの細流路の間を仕切る一方側壁部(365)と、連通部に対して上記一方向に隣接する他方側頂部からその連通部まで延設され上記隣り合う2つの細流路の間を仕切る他方側壁部(366)とを有し、
連通口は、一方側頂部と他方側頂部とのそれぞれから外れて中間部に配置されており、
連通口の周縁(364b)は一方側壁部の端縁(365a)と他方側壁部の端縁(366a)とを含み、その一方側壁部の端縁は、その他方側壁部の端縁を長手方向に平行移動したように形成されており、
第2断面において、連通部に対し上記一方向の他方側に位置して隣接する一方側頂部または他方側頂部である側壁頂部(36a)から延設され且つその側壁頂部を挟んで配置され上記隣り合う2つの細流路の間を仕切る一対の延設壁部(36b、36c)のうち、側壁頂部から上記一方向の一方側へ延設され一方側壁部または他方側壁部に該当する一方の延設壁部(36b)が上記一方向に対して成す仰角(θb)に比して、一対の延設壁部のうち側壁頂部から上記一方向の他方側へ延設された他方の延設壁部(36c)が上記一方向に対して成す仰角(θc)の方が大きい。
【0012】
このようにすれば、一方側壁部の端縁と他方側壁部の端縁は互いに略同じ長さになる。そのため、流路管に対し上記厚み方向に作用する圧縮外力によって一方側壁部の端縁と他方側壁部の端縁とが座屈させられる場合、それぞれの座屈するタイミングが揃うことになる。そのため、例えば特許文献1の熱交換器との比較で、流路管内の複数の細流路を微細化することを必要とせずに、連通部を設けたことに起因したインナーフィンの強度低下を抑制することが可能である。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態において熱交換器の概略構成を示した正面図である。
【
図2】第1実施形態において
図1のII-II断面を示した断面図である。
【
図3】第1実施形態において
図2のIII-III断面(すなわち、第1断面)を示した断面図である。
【
図4】
図2のIV方向における矢視図であると共に、単体の流路管を示した図である。
【
図5】第1実施形態において、扁平厚み方向の一方側から他方側へ向かう方向視で、中間プレートと第1インナーフィンとを抜粋して示すと共に、その第1インナーフィンが中間プレート上に搭載された様子を示した図である。
【
図6】第1実施形態において、第1インナーフィンのうち蛇行形状が形成された領域を抜粋して示した斜視図である。
【
図7】第1実施形態の第1インナーフィンを抜粋して示した図であって、
図5と同じ方向視で表され扁平厚み方向に垂直な第2断面において、
図5のVII部分を示した断面図である。
【
図8】第1実施形態において、
図7のVIII部分を拡大して示した拡大断面図である。
【
図9】
図6のIX部分において第1インナーフィンを断面図示した斜視図である。
【
図10】第1実施形態において
図8のX-X断面を示した断面図である。
【
図11】第1実施形態の第1インナーフィンを抜粋して示した図であって、
図5と同じ方向視で
図5のVII部分を示した上面図である。
【
図12】第1比較例において、インナーフィンの一部を
図10と同じ向きの断面で模式的に示した断面図である。
【
図13】第1比較例においてインナーフィンの一部分を示した斜視図であって、そのインナーフィンのうち管内流通方向に隣り合う2つの連通口の相互間で圧縮外力を受ける受圧面の面積を模式的に表した図である。
【
図14】第2比較例においてインナーフィンの一部分を拡大して示した拡大断面図であって、
図8に相当する図である。
【
図15】第2比較例において
図14のXV-XV断面を示した断面図であって、
図10に相当する図である。
【
図16】第1実施形態において、第1インナーフィンの一部を断面図示した斜視図であって、第1インナーフィンを収容する流路管に対し圧縮外力が扁平厚み方向に作用した場合を表した図である。
【
図17】上記第2断面において、第2実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した断面図である。
【
図18】第3実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した斜視図である。
【
図21】第4実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した斜視図であって、
図18に相当する図である。
【
図23】
図21のXXIII-XXIII断面を示した断面図であって、
図20に相当する図である。
【
図24】第5実施形態において第1インナーフィンの単体を
図5と同じ方向視で示した上面図であって、
図11に相当する図である。
【
図25】上記第2断面において、第5実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した断面図であって、
図8に相当する図である。
【
図26】上記第2断面において、第6実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した断面図であって、
図8に相当する図である。
【
図27】上記第2断面において、第7実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した断面図であって、
図8に相当する図である。
【
図28】上記第2断面において、第8実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した断面図であって、
図8に相当する図である。
【
図29】上記第2断面において、第9実施形態の第1インナーフィンの一部分を抜粋して示した断面図であって、
図8に相当する図である。
【
図30】第10実施形態において
図2のIII-III断面に相当する断面を示した断面図であって、
図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態において熱交換器1は、複数の電子部品2を冷却する冷却器として用いられる。この熱交換器1は、複数の流路管3が積層配置された積層型熱交換器である。熱交換器1は、その流路管3内に流通する熱媒体と電子部品2とを熱交換させ、それにより、熱交換対象物としての電子部品2を冷却する。電子部品2は、例えば、車両に搭載され直流電流を交流電流に変換するインバータ回路など電力変換装置の一部を構成する構成部品である。
【0019】
図1~
図3に示すように、熱交換器1は、複数の流路管3と複数の第1インナーフィン34と複数の第2インナーフィン35とを備えている。
【0020】
流路管3の内部には、電子部品2と熱交換する熱媒体が流通する。詳しくは、複数の流路管3のそれぞれで、熱媒体は、一方向Dfとしての管内流通方向Dfの一方側を熱媒体の流れの上流側とし、且つ管内流通方向Dfの他方側を熱媒体の流れの下流側として、流路管3の内部に流通する。例えば、その管内流通方向Dfは、流路管3の長手方向と一致する。例えば、
図2に示すように、流路管3は、短手方向の一対の周縁部が長手方向に沿って並行に延在すると共に、長手方向の周縁端部の形状が半円形状となっている。なお、本実施形態の流路管3の短手方向は、
図2において管内流通方向Dfに垂直な方向である。
【0021】
電子部品2と熱交換する熱媒体は、本実施形態では液体である。例えば、その熱媒体としては、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、水やアンモニア等の自然冷媒等を用いることができる。
【0022】
流路管3は、管内流通方向Dfに垂直な第1断面(すなわち、
図3の断面)において扁平断面形状を成している。そして、
図1~
図3に示すように、流路管3は、その扁平断面形状を有しながら管内流通方向Dfに延びている。なお、本実施形態では、
図3の断面に表される流路管3の扁平断面形状の長手方向Dwを扁平長手方向Dwと称し、その扁平断面形状の厚み方向Dt(別言すると、扁平断面形状の短手方向Dt)を扁平厚み方向Dtと称する。この扁平長手方向Dwと扁平厚み方向Dtと管内流通方向Dfは互いに交差する方向、厳密に言えば互いに垂直な方向である。
【0023】
熱交換器1では、流路管3が扁平厚み方向Dtに電子部品2を挟んで複数積層されている。言い換えれば、その流路管3と電子部品2とが扁平厚み方向Dtに交互に並んで積層されている。従って、扁平厚み方向Dtは、複数の流路管3が積層された積層方向でもある。
【0024】
そして、流路管3とその流路管3に接触する電子部品2との間の伝熱性を高めるために、電子部品2は、その電子部品2を挟む一対の流路管3により扁平厚み方向Dtに押圧されており、その押圧された状態で保持されている。
【0025】
なお、
図2は
図1のII-II断面を示した断面図であるが、
図2では、流路管3の形状を明確にするために、電子部品2の図示が省略されている。また、
図2には、流路管3の内部に配置された第1インナーフィン34が破線で示されている。また、
図2、
図3、
図5、
図6、
図16、および、それらに相当する図では、図示の簡略化のために、後述する連通部364の図示が省略されている。
【0026】
流路管3は、アルミニウム合金や銅合金等の高い熱伝導性を有する金属製のプレート部材を積層し、これらのプレート部材を接合して構成されている。具体的には
図3および
図4に示すように、流路管3は、一対の外殻プレート31、32と、中間プレート33とを有している。例えば、一対の外殻プレート31、32、中間プレート33、第1インナーフィン34、および第2インナーフィン35の互いの接触部分では、その互いに接触する部材同士がロウ付け接合されている。
【0027】
外殻プレート31、32は、流路管3の外殻を構成する板部材であり、外殻プレート31、32を介して電子部品2と熱媒体との熱交換が行われる。具体的には、一対の外殻プレート31、32のうちの一方である第1外殻プレート31は、その他方である第2外殻プレート32に対し扁平厚み方向Dtの一方側に配置されている。そして、第1外殻プレート31は、流路管3の内部空間としての管内流路3a、3bを第2外殻プレート32との間に形成するように、第2外殻プレート32に対して扁平厚み方向Dtに積層されている。
【0028】
中間プレート33は平板状の板部材で構成されている。中間プレート33は一対の外殻プレート31、32の相互間に配置され、流路管3の内部空間を扁平厚み方向Dtに分割すると共に、管内流通方向Dfへ延びている。
図5に示すように、中間プレート33の一端部および他端部にはそれぞれ、後述する突出管部411、412の開口部に対応して貫通孔33a、33bが形成されている。第1インナーフィン34と第2インナーフィン35は流路管3の内部に配置され、且つ、管内流通方向Dfにおいて、その2つの貫通孔33a、33bの相互間に配置されている。
【0029】
図2および
図3に示すように、第1インナーフィン34と第2インナーフィン35は、流路管3毎に1つずつ設けられている。第1インナーフィン34と第2インナーフィン35は何れも、電子部品2と流路管3内の熱媒体との伝熱面積を増大させる部品であり、電子部品2と熱媒体との熱交換を促進するものである。例えば、第1インナーフィン34と第2インナーフィン35は、アルミニウム合金等の高い熱伝導性を有する金属製の板状のプレートをプレス加工して形成される。
【0030】
第1インナーフィン34と第2インナーフィン35は同一の部品であるが、それらの配置場所が異なっている。すなわち、第1インナーフィン34は、第1外殻プレート31と中間プレート33との間に形成された管内流路3aに配置されているが、第2インナーフィン35は、第2外殻プレート32と中間プレート33との間に形成された管内流路3bに配置されている。言い換えると、流路管3の内部において、第1インナーフィン34は、中間プレート33に対し扁平厚み方向Dtの一方側に配置され、第2インナーフィン35は、中間プレート33に対し扁平厚み方向Dtの他方側に配置されている。
【0031】
従って、第1インナーフィン34は、流路管3の内部空間である管内流路3aを、扁平長手方向Dwに並んだ複数の細流路30aに分割している。これと同様に、第2インナーフィン35は、流路管3の内部空間である管内流路3bを、扁平長手方向Dwに並んだ複数の細流路30bに分割している。
【0032】
なお、第2インナーフィン35は、第1インナーフィン34を扁平厚み方向Dtに反転させた向きで配置されている。第2インナーフィン35は、その配置向きおよび配置場所が第1インナーフィン34に対して異なることを除き、第1インナーフィン34と同様である。例えば、第1インナーフィン34に設けられた後述の連通部364は、第2インナーフィン35にも、第1インナーフィン34と同様の構成で設けられている。従って、本実施形態の説明では、基本的に第1インナーフィン34について説明し、第2インナーフィン35の説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、第1インナーフィン34は、扁平厚み方向Dtの一方側へ膨らんだ一方側凸形状341と扁平厚み方向Dtの他方側へ膨らんだ他方側凸形状342とが交互に連なって扁平長手方向Dwへ延びる断面波形状を、上記第1断面において成している。そして、第1インナーフィン34は、
図2および
図6に示すように、管内流路3a内で管内流通方向Dfへ延びている。
【0034】
例えば、第1インナーフィン34は、上記第1断面における複数の細流路30aの形状を、
図3に示すように形成している。すなわち、第1インナーフィン34は、扁平厚み方向Dtの一方側ほど扁平長手方向Dwに拡幅する細流路30aと、扁平厚み方向Dtの他方側ほど扁平長手方向Dwに拡幅する細流路30aとが扁平長手方向Dwに交互に並ぶように管内流路3aを分割している。
【0035】
別言すると、上記第1断面において、扁平長手方向Dwに隣り合う2つの細流路30aのうちの一方が有する断面形状は、扁平厚み方向Dtの一方側よりも扁平厚み方向Dtの他方側の方が幅広となる台形状である。そして、その隣り合う2つの細流路30aのうちの他方が有する断面形状は、扁平厚み方向Dtの他方側よりも扁平厚み方向Dtの一方側の方が幅広となる台形状である。
【0036】
図1、
図2、
図4に示すように、熱交換器1は複数の突出管部411、412を備えている。その突出管部411、412は、流路管3のうち管内流通方向Dfの一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ設けられ、流路管3から扁平厚み方向Dtに突き出るように形成されている。例えば、扁平厚み方向Dtの一方側へ突き出た一方側突出管部411は第1外殻プレート31と単一の部品を構成し、扁平厚み方向Dtの他方側へ突き出た他方側突出管部412は第2外殻プレート32と単一の部品を構成している。
【0037】
また、複数の突出管部411、412はぞれぞれ、扁平厚み方向Dtに隣り合う流路管3同士を連結する配管であり、例えば円筒状に形成されている。例えば、流路管3のうち管内流通方向Dfの一方側の端部に設けられた一方側突出管部411と他方側突出管部412は、互いが同軸上に並ぶように配置されている。これと同様に、流路管3のうち管内流通方向Dfの他方側の端部に設けられた一方側突出管部411と他方側突出管部412も、互いが同軸上に並ぶように配置されている。
【0038】
詳細には、熱交換器1を構成する複数の流路管3の並びのうち、扁平厚み方向Dtの最も外側に位置する一対の流路管3以外の流路管3には、一方側突出管部411が一対設けられると共に、他方側突出管部412も一対設けられている。
【0039】
一方、複数の流路管3の並びのうち扁平厚み方向Dtの一方側の端に位置する流路管3には、他方側突出管部412は一対設けられているが、一方側突出管部411は設けられていない。また、複数の流路管3の並びのうち扁平厚み方向Dtの他方側の端に位置する流路管3には、一方側突出管部411は一対設けられているが、他方側突出管部412は設けられていない。
【0040】
複数の流路管3は、互いに対向する突出管部411、412同士を嵌合させると共に、その突出管部411、412の側壁同士を接合することにより連結されている。これにより、扁平厚み方向Dtに互いに隣り合う流路管3の一方が有する管内流路3a、3bが、その互いに隣り合う流路管3の他方が有する管内流路3a、3b(
図3参照)と連通している。例えば、突出管部411、412の側壁同士はロウ付けによって接合されている。
【0041】
図1に示すように、媒体導入部4は、熱媒体を熱交換器1に導入するための配管であり、媒体導出部5は、熱媒体を熱交換器1から導出するための配管である。熱交換器1はこの媒体導入部4と媒体導出部5とを備えている。
【0042】
その媒体導入部4と媒体導出部5は、複数の流路管3の並びのうち扁平厚み方向Dtの一方側の端に位置する流路管3に接続されている。詳細には、媒体導入部4は、その流路管3のうち管内流通方向Dfの一方側の端部に接続され、その一方側の端部に設けられた他方側突出管部412と同軸上に並ぶように配置されている。そして、媒体導出部5は、その流路管3のうち管内流通方向Dfの他方側の端部に接続され、その他方側の端部に設けられた他方側突出管部412と同軸上に並ぶように配置されている。例えば、媒体導入部4および媒体導出部5はそれぞれ、流路管3に対しロウ付け接合されている。
【0043】
このように、媒体導入部4と媒体導出部5とが流路管3に接続されているので、流路管3のうち管内流通方向Dfの一方側の端部に設けられた突出管部411、412は供給ヘッダ部11を構成する。そして、流路管3のうち管内流通方向Dfの他方側の端部に設けられた突出管部411、412は排出ヘッダ部12を構成する。供給ヘッダ部11は、流路管3の管内流路3a、3b(
図3参照)へ熱媒体を供給する配管であり、排出ヘッダ部12は、流路管3の管内流路3a、3bから熱媒体を排出する配管である。
【0044】
熱媒体は、不図示のポンプから、媒体導入部4を通して熱交換器1へ供給され、それと共に、熱交換器1から媒体導出部5を通して排出されポンプへ戻る。
【0045】
上述したように、第1インナーフィン34は、上記第1断面において断面波形状を成している。これに加え、
図7および
図8に示すように、第1インナーフィン34は、扁平厚み方向Dtに垂直な第2断面(すなわち、
図7の断面)において蛇行形状36を有している。要するに、第1インナーフィン34は、ウェーブフィンとして構成されている。
【0046】
その第1インナーフィン34の蛇行形状36とは、上記第2断面において一方側頂部361と他方側頂部362とが中間部363を介して管内流通方向Dfへ交互に並んだ形状である。その一方側頂部361は、複数の細流路30a(
図3参照)の相互間に配置された隔壁部であり、上記第2断面において扁平長手方向Dwの一方側へ膨らむように曲がって凸形状になっている。他方側頂部362は、複数の細流路30aの相互間に配置された隔壁部であり、上記第2断面において扁平長手方向Dwの他方側へ膨らむように曲がって凸形状になっている。
【0047】
更に、その第1インナーフィン34には、中間部363を介して一方側頂部361と他方側頂部362とが管内流通方向Dfへ連なった蛇行形状36が、扁平長手方向Dwに並列に並んで複数設けられている。このように、第1インナーフィン34は、蛇行形状36を形成する複数の一方側頂部361と複数の他方側頂部362と複数の中間部363とを有している。なお、
図7は、
図3のVIIa-VIIa断面を示している。
【0048】
また、
図8および
図9に示すように、第1インナーフィン34の中間部363は、一方側頂部361と他方側頂部362との間で連続的につながった隔壁としては構成されいない。具体的に、その中間部363は、連通口364aが形成された連通部364と、一方側壁部365と、他方側壁部366とを有している。その連通口364aは、管内流通方向Dfを向いて開口した孔として形成され、複数の細流路30aのうち第1インナーフィン34を挟んで隣り合う2つの細流路30aを互いに連通させる。
【0049】
図8の蛇行形状36では、一方側頂部361を基準にして説明すると、一方側頂部361に対する管内流通方向Dfの一方側に連通部364と一方側壁部365とが設けられ、他方側にも連通部364と一方側壁部365とが設けられている。そして、その一方側壁部365は、連通部364に対して管内流通方向Dfに隣接する一方側頂部361からその連通部364まで延設され、隣り合う2つの細流路30aの間を仕切っている。
【0050】
また、
図8の蛇行形状36では、他方側頂部362を基準にして説明すると、他方側頂部362に対する管内流通方向Dfの一方側に連通部364と他方側壁部366とが設けられ、他方側にも連通部364と他方側壁部366とが設けられている。そして、その他方側壁部366は、連通部364に対して管内流通方向Dfに隣接する他方側壁部366からその連通部364まで延設され、隣り合う2つの細流路30aの間を仕切っている。
【0051】
また、
図8および
図9に示すように、複数の連通口364aはそれぞれ、一方側頂部361と他方側頂部362とのそれぞれから外れて中間部363に配置されている。別言すると、複数の連通口364aはそれぞれ、一方側頂部361と他方側頂部362との何れにも設けられておらず、管内流通方向Dfにおいて一方側頂部361と他方側頂部362との間に設けられている。
【0052】
例えば本実施形態では、第1インナーフィン34が有する全ての一方側頂部361と全ての他方側頂部362との何れにも、連通口364aは設けられていない。そして、連通口364aは、管内流通方向Dfに並ぶ中間部363毎に形成されている。
【0053】
また、連通口364aの開口形状について説明すると、
図8および
図10に示すように、連通部364は連通口364aの周縁364bを有している。その連通口364aの周縁364bは、一方側壁部365の端縁365aと他方側壁部366の端縁366aとを含んでいる。その一方側壁部365の端縁365aは、その一方側壁部365のうち一方側頂部361側とは反対側に配置され、他方側壁部366の端縁366aは、その他方側壁部366のうち他方側頂部362側とは反対側に配置されている。
【0054】
そして、その一方側壁部365の端縁365aは、他方側壁部366の端縁366aを扁平長手方向Dwに平行移動したように形成されている。端的に言えば、その一方側壁部365の端縁365aは、他方側壁部366の端縁366aを扁平長手方向Dwに平行移動した形状を成している。更に詳細いうと、その一方側壁部365の端縁365aは、矢印Aofのように、他方側壁部366の端縁366aを扁平長手方向Dwの他方側に平行移動した形状を成している。個々の連通部364に着目すると、複数の連通部364のそれぞれにおいて、一方側壁部365の端縁365aは、他方側壁部366の端縁366aに対し扁平長手方向Dwの他方側に配置されている。
【0055】
また、第1インナーフィン34の形状について別言すると、
図10および
図11に示すように、第1インナーフィン34は、所定のオフセット形状を成すオフセットフィンとして構成されている。そのオフセット形状とは、第1凸部分371が第2凸部分372に対して扁平長手方向Dwに連通口364aを拡幅させるように平行移動した形状である。詳細には、そのオフセット形状は、第1凸部分371が第2凸部分372に対して、連通口364aを扁平長手方向Dwに拡幅させるように扁平長手方向Dwの他方側へ平行移動した形状である。
【0056】
そして、第1凸部分371は、一方側頂部361とその一方側頂部361を挟んで管内流通方向Dfに並ぶ一対の一方側壁部365とを含む部分である。一方で、第2凸部分372は、他方側頂部362とその他方側頂部362を挟んで管内流通方向Dfに並ぶ一対の他方側壁部366を含む部分である。その第1凸部分371と第2凸部分372は、管内流通方向Dfに交互に並んで配置されている。
【0057】
上記第2断面である
図8の断面において、管内流通方向Dfに隣り合う2つの連通口364aの間に配置された一方側頂部361は、その隣り合う2つの連通口364aの間で管内流通方向Dfの一方側へ偏って配置されている。他方側頂部362の配置に関してもこれと同様である。すなわち、上記第2断面において、管内流通方向Dfに隣り合う2つの連通口364aの間に配置された他方側頂部362は、その隣り合う2つの連通口364aの間で管内流通方向Dfの一方側へ偏って配置されている。
【0058】
要するに、
図8に示す管内流通方向Dfの第1距離C1の方が第2距離C2よりも大きいということである。ここで、管内流通方向Dfに隣り合う2つの連通口364aの間に配置された一方側頂部361または他方側頂部362の頂点の位置を頂点位置Pfとする。第1距離C1とは、上記頂点位置Pfと、上記隣り合う2つの連通口364aのうちその頂点位置Pfに対し管内流通方向Dfの他方側に設けられた他方の連通口364aとの間の管内流通方向Dfの距離である。また、第2距離C2とは、上記頂点位置Pfと、上記隣り合う2つの連通口364aのうちその頂点位置Pfに対し管内流通方向Dfの一方側に設けられた一方の連通口364aとの間の管内流通方向Dfの距離である。
【0059】
次に、本実施形態の熱交換器1と対比するために、特許文献1の熱交換器を第1比較例として説明する。その第1比較例では、
図12に示すように、上記第1断面において、連通口71aの開口形状は、扁平厚み方向Dtの一方側または他方側へ尖った三角形状になっている。その第1比較例の連通口71aは本実施形態の連通口364aに対応する。
【0060】
そして、第1比較例の連通口71aでは、上記三角形状を形成し扁平厚み方向Dtに延びる二辺711a、711bのうちの一方の辺711aの長さが他方の辺711bの長さに対して異なっている。このような点で、第1比較例の熱交換器は、本実施形態の熱交換器1に対し大きく異なっている。
【0061】
例えば
図12に示すように、第1比較例の熱交換器において、連通口71aが形成されたインナーフィン70を収容する流路管に対し扁平厚み方向Dtに圧縮外力Faが作用し、それにより連通口71a周りでインナーフィン70の一部が座屈する場合を想定する。その場合、連通口71aの周縁は、一方の辺711aと他方の辺711bとのうち長い方の辺711aに相当する長辺部位の長さと、短い方の辺711bに相当する短辺部位の長さとの差を縮めるように変形しようとする。そのため、連通口71aの周縁では、長い方の辺711aに相当する長辺部位が、破線Lfaと矢印Afaとで示すように、短い方の辺711bに相当する短辺部位よりも先に座屈する。
【0062】
すなわち、第1比較例の熱交換器では、このように連通口71aの周縁のうちの長辺部位と短辺部位とが圧縮外力Faによって座屈させられる場合、それぞれの座屈するタイミングがずれることになる。このことは、連通口71a周りの一方の辺711aの長さが他方の辺711bの長さに対して異なっていることに起因する。従って、その一方の辺711aの長さが他方の辺711bの長さに対して異なっていることは、インナーフィン70の強度低下の一因になっていると考えられる。
【0063】
これに対し、本実施形態によれば、
図8および
図10に示すように、第1インナーフィン34において連通口364aの周縁364bは一方側壁部365の端縁365aと他方側壁部366の端縁366aとを含んでいる。そして、その一方側壁部365の端縁365aは、他方側壁部366の端縁366aを扁平長手方向Dwに平行移動したように形成されている。
【0064】
従って、連通口364aは、一方側壁部365の端縁365aの長さが他方側壁部366の端縁366aの長さに対し同じまたは略同じになるように形成される。そのため、流路管3に対し扁平厚み方向Dtに作用する圧縮外力Fa(
図12参照)によって一方側壁部365の端縁365aと他方側壁部366の端縁366aとが座屈させられる場合、それぞれの座屈するタイミングが揃うことになる。そのため、上述した第1比較例の熱交換器との比較で、流路管3内の複数の細流路30aを微細化することを必要とせずに、連通部364を設けたことに起因した第1インナーフィン34の強度低下を抑制することが可能である。
【0065】
このように第1インナーフィン34の強度低下が抑制されれば、その分、流路管3を電子部品2に対して強く押し付けることが可能になり、流路管3と電子部品2との間の熱抵抗を低減することが可能である。
【0066】
また、本実施形態の第1インナーフィン34には複数の連通口364aが形成されているので、その連通口364aが設けられていない場合と比較して、第1インナーフィン34と熱媒体との間の伝熱性能を向上させることができる。また、複数の細流路30aにおいて熱媒体流れの淀みを改善することができる。
【0067】
ここで再び第1比較例について説明するために、
図13に示すように、第1比較例で扁平厚み方向Dtの圧縮外力Faがインナーフィン70に作用した場合を想定する。その場合、管内流通方向Dfに隣り合う2つの連通口71aの相互間W1では、圧縮外力Faに対向する方向を向いた受圧面FC1で、その圧縮外力Faを受けることになる。第1比較例では、その受圧面FC1は、連通口71aが上記の三角形状に形成されているので、管内流通方向Dfの片側がその逆側に対し幅狭になる。そのため、その受圧面FC1の面積である受圧面積は、例えば連通口71aが形成されずインナーフィン70の波形状が断面Sxで維持されている連通口無しの場合と比較して、
図13の二点鎖線領域FCaの面積分、小さくなっている。これにより、第1比較例では、圧縮外力Faに対抗するインナーフィン70の強度が減少していると考えられる。
【0068】
これに対し、本実施形態によれば、
図8および
図10に示すように、複数の連通部364のそれぞれにおいて、一方側壁部365の端縁365aは、他方側壁部366の端縁366aを扁平長手方向Dwに平行移動したように形成されている。そのため、本実施形態の第1インナーフィン34における受圧面FC1は管内流通方向Dfの一方側でも他方側でも同程度の幅になり、上記連通口無しの場合と同等程度の受圧面積を得ることができる。例えば本実施形態では、
図13に示された第1比較例の受圧面FC1の面積と二点鎖線領域FCaの面積とを足し合わせた受圧面積を得ることができる。従って、第1比較例と比較して、本実施形態では、圧縮外力Fa(
図13参照)に対抗する第1インナーフィン34の強度を向上させることが可能である。
【0069】
なお、第1インナーフィン34を単に強度アップする目的であれば、第1インナーフィン34の板厚増加や、
図3に示される断面波形状のピッチ数の増加も考えられるが、これらはデメリットが大きい。例えば、第1インナーフィン34の板厚を増加させると、複数の細流路30aそれぞれの流路断面積減少に起因して、細流路30aに流れる熱媒体の圧損が大きくなるというデメリットがある。また、第1インナーフィン34の加工性の悪化というデメリットもある。
【0070】
また、第1インナーフィン34における断面波形状のピッチ数を増やしても、細流路30aに流れる熱媒体の圧損が大きくなるというデメリットがある。また、その断面波形状のピッチ数増加には、そもそも寸法上の制約がある。
【0071】
また、本実施形態によれば、
図10および
図11に示すように、第1インナーフィン34は、所定のオフセット形状を成すオフセットフィンとして構成されている。そして、そのオフセット形状は、第1凸部分371が第2凸部分372に対して、連通口364aを扁平長手方向Dwに拡幅させるように扁平長手方向Dwの他方側へ平行移動した形状である。このようなオフセット形状を、正方向オフセット形状と称することとする。この正方向オフセット形状の第1インナーフィン34では、複数の連通部364のそれぞれにおいて、一方側壁部365の端縁365aは、他方側壁部366の端縁366aに対し扁平長手方向Dwの他方側に配置されている。
【0072】
従って、正方向オフセット形状とは逆向きにオフセットされた負方向オフセット形状とされたインナーフィンと比較して、正方向オフセット形状の第1インナーフィン34では、複数の細流路30aを流れる熱媒体に生じる圧損を低減することが可能である。
【0073】
この作用効果を説明するために、
図14および
図15に示す第2比較例について説明する。その第2比較例では、
図14および
図15に示すように、インナーフィン76は、負方向オフセット形状を成すオフセットフィンとして構成されている。そして、その負方向オフセット形状は、第1凸部分371が第2凸部分372に対して、連通口364aを扁平長手方向Dwに拡幅させるように扁平長手方向Dwの一方側へ平行移動した形状である。要するに、その負方向オフセット形状は、連通口364a無しの状態から第1凸部分371が第2凸部分372に対して矢印Bofで示すように平行移動した形状である。
【0074】
ここで、第2比較例では、細流路30a内の熱媒体流れは、
図14の矢印FLa、FLbで示されるように、連通口364aが設けられた位置で、その熱媒体流れに対向する一方側壁部365または他方側壁部366の端縁365a、366aによって二分される。このことは本実施形態でも、
図8に示すように示されるように同様である。
図8および
図14の矢印FLa、FLbは、具体的には、一方側壁部365の端縁365aによって二分される熱媒体流れを示している。
【0075】
第2比較例では、このように熱媒体流れが二分される場合、その二分された直後に、
図14の矢印FLaで示される一方の熱媒体流れは、管内流通方向Dfに対し傾斜して熱媒体流れ上流側を向いた対向壁面365bに衝突する。そのとき、その一方の熱媒体流れは、連通口364aではなくその連通口364aに隣り合う隣接口301aを通過してから、対向壁面365bに衝突する。なお、その対向壁面365bは、場所によっては他方側壁部366の壁面ということもあるが、この説明では一方側壁部365の壁面とする。
【0076】
そして、その隣接口301aは、扁平厚み方向Dtの位置に応じて横幅(すなわち、扁平長手方向Dwの幅)が異なる形状を成している。例えば、
図15に示される隣接口301aは、その隣接口301aのうち扁平厚み方向Dtの他方側に偏って位置する狭小領域R1で横幅が他よりも小さくなる形状を成している。そのため、隣接口301aのうちその狭小領域R1を通過した熱媒体流れは、対向壁面365bに対しその狭小領域R1付近で強く衝突することになる。このことは、
図15に示された箇所以外の他の箇所でも同様である。その結果、第2比較例では、複数の細流路30aを流れる熱媒体に生じる圧損が大きくなる。
【0077】
これに対し、本実施形態では、熱媒体流れが二分される場合、その二分された直後に、
図8の矢印FLaで示される一方の熱媒体流れが対向壁面365bに衝突する。このこと自体は第2比較例と同様であるが、本実施形態では、その一方の熱媒体流れは、隣接口301aではなく連通口364aを通過してから、対向壁面365bに衝突する。そして、その連通口364aは、扁平厚み方向Dtの位置に拘わらず矢印Wa(
図10参照)で示すように横幅が一様となる形状を成している。そのため、本実施形態で対向壁面365bに衝突する熱媒体流れは、第2比較例における熱媒体流れほどには、対向壁面365bに強く衝突しない。このことは、
図10に示された箇所以外の他の箇所でも同様である。従って、本実施形態では、第2比較例との比較で、複数の細流路30aを流れる熱媒体に生じる圧損を低減することが可能である。
【0078】
なお、本実施形態において
図8の矢印FLbで示される他方の熱媒体流れは、隣接口301aを通過するが、その通過直後にその他方の熱媒体流れが衝突する対向壁面365bもそれに相当する壁面も存在しない。従って、その他方の熱媒体流れが隣接口301aを通過することに起因した熱媒体の圧損は、その他方の熱媒体流れが仮に隣接口301aではなく連通口364aを通過するとしても、あまり変わらない。すなわち、熱媒体流れが通過する通過開口である隣接口301aと連通口364aとのうち、熱媒体流れが衝突する対向壁面365bまたはそれに相当する壁面が無い側の通過開口が何れであっても、そのことは、熱媒体の圧損への影響に違いを殆ど生じない。
【0079】
また、本実施形態によれば、
図8および
図9に示すように、第1インナーフィン34の連通口364aは、一方側頂部361と他方側頂部362とのそれぞれから外れて中間部363に配置されている。従って、その連通口364aが一方側頂部361または他方側頂部362に配置されている場合と比較して、扁平厚み方向Dtの圧縮外力Fa(
図16参照)に対抗する第1インナーフィン34の強度を向上させることが可能である。
【0080】
このことを説明するために、例えば
図16に示すように、第1インナーフィン34を収容する流路管3に対し圧縮外力Faが扁平厚み方向Dtに作用する場合を想定する。この場合、一方側頂部361を挟んで配置された一対の一方側壁部365はそれぞれ扁平厚み方向Dtに対して傾斜しているので、圧縮外力Faは、一方側壁部365に対し、その一方側壁部365を倒すようにも作用する。
【0081】
すなわち、その圧縮外力Faは、一方側壁部365では、管内流通方向Dfを向いた力成分Fbを有する。この力成分Fbは、上記一対の一方側壁部365では互いに逆向きの力成分となる。本実施形態では、上記のように連通口364aは一方側頂部361から外れて配置され、その一方側頂部361にて上記一対の一方側壁部365はつながっているので、互いに逆向きの力成分Fbは打ち消し合うことになる。
【0082】
つまり、一方側頂部361を挟んで配置された一対の一方側壁部365は、互いに支え合って圧縮外力Faに対抗する構造になっている。このことは、連通口364aが他方側頂部362からも外れて配置されているので、他方側頂部362を挟んで配置された一対の他方側壁部366についても同様である。従って、上述のとおり、連通口364aが一方側頂部361または他方側頂部362に配置されている場合と比較して、扁平厚み方向Dtの圧縮外力Faに対抗する第1インナーフィン34の強度を向上させることが可能である。
【0083】
また、本実施形態によれば、
図3に示された上記第1断面において、扁平長手方向Dwに隣り合う2つの細流路30aのうちの一方が有する断面形状は、扁平厚み方向Dtの一方側よりも扁平厚み方向Dtの他方側の方が幅広となる台形状である。そして、その隣り合う2つの細流路30aのうちの他方が有する断面形状は、扁平厚み方向Dtの他方側よりも扁平厚み方向Dtの一方側の方が幅広となる台形状である。従って、その細流路30aに対して扁平長手方向Dwに面する側壁面が扁平厚み方向Dtに対して傾斜した傾斜面になる。
【0084】
そのため、例えば細流路30aに面する上記側壁面が扁平厚み方向Dtに平行となっている場合と比較して、その細流路30aに流れる熱媒体を扁平厚み方向Dtに攪拌する作用効果を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、
図8に示された上記第2断面において、管内流通方向Dfに隣り合う2つの連通口364aの間に配置された一方側頂部361は、その隣り合う2つの連通口364aの間で管内流通方向Dfの一方側へ偏って配置されている。
【0086】
ここで、一方側頂部361を挟んで配置された一対の一方側壁部365のうち、一方側頂部361から管内流通方向Dfの他方側へ延設された下流側の一方側壁部365は、連通口364aまたは隣接口301aを通過した熱媒体流れを転向させる転向機能を備える。これに対し、その一対の一方側壁部365のうち、一方側頂部361から管内流通方向Dfの一方側へ延設された上流側の一方側壁部365は、上記転向機能を備えていない。この上流側の一方側壁部365は、連通口364aと隣接口301aとへ熱媒体流れを分配できるだけの長さを有していれば足りる。
【0087】
本実施形態では、上記のように一方側頂部361が、扁平長手方向Dwに隣り合う2つの連通口364aの間で管内流通方向Dfの一方側へ偏って配置されているので、上記転向機能を備える下流側の一方側壁部365を長く形成することができる。従って、上記転向機能が向上するので、細流路30a内を流れる熱媒体の蛇行が促進され、電子部品2と熱媒体との間の熱交換性能を向上させることが可能である。
【0088】
また、
図8に示された上記第2断面において、管内流通方向Dfに隣り合う2つの連通口364aの間に配置された他方側頂部362も、その隣り合う2つの連通口364aの間で管内流通方向Dfの一方側へ偏って配置されている。従って、上記したことと同様に、第1インナーフィン34の他方側頂部362周りでも上記転向機能が向上するので、細流路30a内を流れる熱媒体の蛇行が促進され、電子部品2と熱媒体との間の熱交換性能を向上させることが可能である。
【0089】
また、本実施形態によれば、
図8に示すように、連通口364aの周縁364bに含まれる一方側壁部365の端縁365aと他方側壁部366の端縁366aとのうちの一方は、細流路30aの熱媒体流れに対向する壁部の前縁になっている。この前縁は、細流路30aの中で熱媒体流れが速い部位に配置されることになる。従って、その壁部の前縁で第1インナーフィン34と熱媒体との間の熱交換性能が高まるという前縁効果を向上させることが可能である。
【0090】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0091】
本実施形態では、
図17に示すように、一方側頂部361を挟んで配置された一対の一方側壁部365のそれぞれが管内流通方向Dfに対して成す角度が互いに異なっている。そして、他方側頂部362を挟んで配置された一対の他方側壁部366のそれぞれが管内流通方向Dfに対して成す角度も互いに異なっている。これらの点で、本実施形態は第1実施形態と異なっている。
【0092】
本実施形態の説明では、複数の一方側頂部361と複数の他方側頂部362とのうち、連通部364に対し管内流通方向Dfの他方側に位置して隣接する一方側頂部361と他方側頂部362とを、側壁頂部36aと称する。第1インナーフィン34は、この側壁頂部36aから延設され且つ側壁頂部36aを挟んで配置された一対の延設壁部36b、36cを有し、その一対の延設壁部36b、36cは、扁平長手方向Dwに隣り合う2つの細流路30aの間を仕切る。
【0093】
この一対の延設壁部36b、36cには、側壁頂部36aとしての一方側頂部361を挟んで配置された一対の一方側壁部365と、側壁頂部36aとしての他方側頂部362を挟んで配置された一対の他方側壁部366とがそれぞれ該当する。従って、一対の延設壁部36b、36cのうちの一方の延設壁部36bは、側壁頂部36aから管内流通方向Dfの一方側へ延設されている。そして、一対の延設壁部36b、36cのうちの他方の延設壁部36cは、側壁頂部36aから管内流通方向Dfの他方側へ延設されている。
【0094】
そして、
図17に示された上記第2断面において、他方の延設壁部36cが管内流通方向Dfに対して成す仰角θcである他方側仰角θcの方が、一方の延設壁部36bが管内流通方向Dfに対して成す仰角θbである一方側仰角θbに比して大きい。その一方側仰角θbとは、一方の延設壁部36bが管内流通方向Dfに対して成す2つの角度のうち小さい方の角度である。また、他方側仰角θcとは、他方の延設壁部36cが管内流通方向Dfに対して成す2つの角度のうち小さい方の角度である。
【0095】
ここで、他方の延設壁部36cが一方側壁部365と他方側壁部366とのうち例えば一方側壁部365に該当する場合には、詳細に言うと、その他方の延設壁部36cは、上述した下流側の一方側壁部365に該当する。従って、他方の延設壁部36cは、連通口364aまたは隣接口301aを通過した熱媒体流れを転向させる上記転向機能を備える。
【0096】
本実施形態では、上記のように一方側仰角θbと他方側仰角θcとが、「θc>θb」の関係にあるので、例えば逆に「θc<θb」の関係になっている場合と比較して、上記転向機能を向上させることができる。従って、細流路30a内を流れる熱媒体の蛇行が促進され、電子部品2と熱媒体との間の熱交換性能を向上させることが可能である。なお、前述した第1実施形態では、
図8から判るように、一方側仰角θbと他方側仰角θcは互いに同じ大きさである。
【0097】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0098】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0099】
図18~
図20に示すように、複数の中間部363のうちの何れか又は全部は、切り起こし部381を有する切り起こし壁部38を有し、その切り起こし壁部38は、一方側壁部365または他方側壁部366として設けられている。別言すると、複数の一方側壁部365と複数の他方側壁部366とのうちの何れか又は全ての壁部は、切り起こし部381を有している。本実施形態では、複数の一方側壁部365のうちの一部と、複数の他方側壁部366のうちの一部とがそれぞれ、切り起こし部381を有している。この点において本実施形態は第1実施形態と異なっている。
【0100】
具体的に、切り起こし部381は細流路30aへ突き出たルーバ状である。そして、切り起こし部381は、切り起こし壁部38を貫通する貫通孔381aを切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの一方側または他方側に形成するように切り起こされた形状を成している。すなわち、切り起こし部381は、その切り起こし部381が切り起こされることにより形成された貫通孔381aに対し、管内流通方向Dfの一方側または他方側に配置されている。本実施形態では、複数の切り起こし部381のうち、切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの一方側に貫通孔381aを形成しているものもあれば、切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの他方側に貫通孔381aを形成しているものもある。
【0101】
また、切り起こし部381および貫通孔381aは、扁平厚み方向Dtに延びている。従って、切り起こし部381の先端と基端は何れも扁平厚み方向Dtに延びている。
【0102】
このように、本実施形態によれば、第1インナーフィン34には、切り起こし壁部38に貫通孔381aを形成するように切り起こされた切り起こし部381が形成されている。従って、扁平長手方向Dwに隣り合う細流路30a同士の相互間で、その切り起こし壁部38の貫通孔381aを通っても熱媒体が流通し、それにより、熱媒体と第1インナーフィン34との間の伝熱が促進される。その結果として、電子部品2と熱媒体との間の熱交換性能を向上させることが可能である。
【0103】
また、本実施形態によれば、切り起こし部381は、貫通孔381aを切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの一方側または他方側に形成するように切り起こされている。そのため、扁平厚み方向Dtに作用する圧縮外力Fa(
図12参照)に対し、切り起こし部381も対抗する。
【0104】
従って、例えば特許文献1の開口部がインナーフィンに設けられている場合と比較して、切り起こし部381を有する中間部363が扁平厚み方向Dtに座屈しにくいように第1インナーフィン34を形成することができる。これにより、例えば特許文献1の熱交換器との比較で、流路管3内の複数の細流路30aを微細化することを必要とせずに、中間部363に貫通孔381aを設けたことに起因した第1インナーフィン34の強度低下を抑制することが可能である。
【0105】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0106】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
【0107】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第3実施形態と異なる点を主として説明する。
【0108】
前述の第3実施形態では
図20に示すように、切り起こし壁部38毎に、切り起こし部381と貫通孔381aとが1つずつ設けられている。これに対し、本実施形態では
図21~
図23に示すように、切り起こし壁部38毎に、切り起こし部381と貫通孔381aとが2つずつ設けられている。別言すれば本実施形態では、切り起こし壁部38に貫通孔381aを形成するように切り起こされた切り起こし部381が、複数の切り起こし壁部38のそれぞれに複数ずつ設けられている。この点において、本実施形態は第3実施形態と異なっている。
【0109】
以上説明したことを除き、本実施形態は第3実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第3実施形態と共通の構成から奏される効果を第3実施形態と同様に得ることができる。
【0110】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0111】
前述の第1実施形態では
図8に示すように、連通口364aの周縁364bは、その周縁364bに含まれる一方側壁部365の端縁365aの位置と他方側壁部366の端縁366aの位置とが管内流通方向Dfでは互いに同じなるように形成されている。
【0112】
これに対し、本実施形態では、連通口364aの周縁364bは、
図24および
図25に示すように形成されている。すなわち、連通口364aの周縁364bは、その周縁364bに含まれる一方側壁部365の端縁365aの位置と他方側壁部366の端縁366aの位置とが管内流通方向Dfにおいて互いに異なるように形成されている。
【0113】
詳細には、連通部364において一方側壁部365と他方側壁部366とが管内流通方向Dfに離れている。別言すれば、連通部364は、その連通部364まで延設された一方側壁部365と他方側壁部366との一方が他方に対し管内流通方向Dfに後退した形状になっている。
【0114】
また、本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1距離C1(
図8参照)と第2距離C2は互いに同じ大きさになっている。
【0115】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0116】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第4実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0117】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0118】
前述の第1実施形態では
図8に示すように、連通口364aの周縁364bは、その周縁364bに含まれる一方側壁部365の端縁365aの位置と他方側壁部366の端縁366aの位置とが管内流通方向Dfでは互いに同じなるように形成されている。
【0119】
これに対し、本実施形態では、連通口364aの周縁364bは、
図26に示すように形成されている。すなわち、連通口364aの周縁364bは、その周縁364bに含まれる一方側壁部365の端縁365aの位置と他方側壁部366の端縁366aの位置とが管内流通方向Dfにおいて互いに異なるように形成されている。
【0120】
詳細には、連通部364において一方側壁部365が、他方側壁部366に対し、扁平長手方向Dwの一方側または他方側に部分的に重複して設けられている。別言すれば、連通部364は、その連通部364まで延設された一方側壁部365と他方側壁部366との一方が他方に対し扁平長手方向Dwの一方側または他方側にオーバーラップした形状になっている。
【0121】
また、本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1距離C1(
図8参照)と第2距離C2は互いに同じ大きさになっている。
【0122】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0123】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第4実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0124】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0125】
本実施形態では
図27に示すように、第1インナーフィン34は、扁平厚み方向Dtに垂直な第2断面(すなわち、
図27の断面)において扁平長手方向Dwに並列に並ぶと共に管内流通方向Dfへ延伸した複数の蛇行形状36を有している。そして、その蛇行形状36は、一方側頂部361と他方側頂部362とが中間部363を挟んで管内流通方向Dfへ連なることにより形成されている。この点では、本実施形態は第1実施形態と同様である。
【0126】
しかし、本実施形態は第1実施形態と異なり、第1インナーフィン34のうちの一部分では、第1凸部分371(
図11参照)が第2凸部分372に対して扁平長手方向Dwにオフセットした形状になっていない。そして、そのオフセットした形状になっていない箇所では、連通口364aが形成されていない。
【0127】
詳細には、扁平長手方向Dwに並んだ複数の蛇行形状36のうち、扁平長手方向Dwの一方側の端部に配置された蛇行形状36を形成する全ての中間部363に、連通口364aは形成されていない。要するに、その一方側の端部に配置された蛇行形状36には、連通口364aが設けられていない。
【0128】
そして、
図27では図示が省略されているが、扁平長手方向Dwの他方側の端部に配置された蛇行形状36を形成する全ての中間部363にも、連通口364aは形成されていない。要するに、その他方側の端部に配置された蛇行形状36にも、連通口364aが設けられていない。
【0129】
このような構成により、本実施形態によれば、流路管3内で扁平長手方向Dwの端へ連通口364aを介して熱媒体が流れることを防止することができる。流路管3内で扁平長手方向Dwの端へ熱媒体が多く流れると、流路管3内の熱媒体と電子部品2との間の熱交換性能が低下する。
【0130】
また、本実施形態では、第1距離C1(
図8参照)と第2距離C2は互いに同じ大きさになっている。
【0131】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0132】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第6実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0133】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0134】
図28に示すように、本実施形態では、第1インナーフィン34のうちの一部分では、第1凸部分371(
図11参照)が第2凸部分372に対して扁平長手方向Dwにオフセットした形状になっていない。そして、そのオフセットした形状になっていない箇所では、中間部363は、連通口364aが形成された連通部364を有していない。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。
【0135】
具体的に、本実施形態において、連通部364は、第1インナーフィン34のうちの一部である
図28のH部分には設けられているが、それ以外の部分には設けられていない。従って、第1インナーフィン34が有する連通部364の分布は、第1インナーフィン34のうち、管内流通方向Dfにおける一方側および他方側と比べて中央部分で密になっている。
【0136】
このような構成により、本実施形態によれば、流路管3内において電子部品2と熱媒体との高い熱交換性能を得やすい第1インナーフィン34の上記中央部分では、連通部364によって積極的に電子部品2と熱媒体との熱交換を促進することができる。その一方で、第1インナーフィン34の上記中央部分以外の部位では、連通部364を無くすこと又は減らすことで、細流路30aに流れる熱媒体に生じる圧損の低減を図ることが可能である。
【0137】
また、本実施形態では、第1距離C1(
図8参照)と第2距離C2は互いに同じ大きさになっている。
【0138】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0139】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第7実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0140】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0141】
図29に示すように、連通部364は、連通口364aの周縁364bを構成する一方側壁部365の端縁365aと他方側壁部366の端縁366aとを含んでいる。そして、その2つの端縁365a、366aのうちの一方(すなわち、一方の端縁)は、細流路30bでの熱媒体流れ上流側を向いており、他方は熱媒体流れ下流側を向いている。この点では、本実施形態は第1実施形態と同様である。
【0142】
しかし、本実施形態は第1実施形態と異なり、連通口364aの周縁364bを構成する上記一方の端縁、別言すれば、細流路30aの熱媒体流れに対向する対向端縁が、上記第2断面において先端ほど細くなる先細り形状になっている。例えば、その対向端縁は、上記第2断面において鋭利な形状になっている。
【0143】
このような構成により、本実施形態では、対向端縁にて熱媒体流れが矢印FLc、FLdのように円滑に分けられる。そのため、対向端縁周りの壁面から熱媒体流れが剥離しにくく、その壁面からの熱媒体流れの剥離に起因した圧損上昇を抑えることが可能である。
【0144】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0145】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第8実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0146】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0147】
前述の第1実施形態では
図3に示すように、流路管3内には、中間プレート33を挟んで扁平厚み方向Dtに積層された2つの管内流路3a、3bが形成されている。これに対し、本実施形態では
図30に示すように、流路管3内には、その2つの管内流路3a、3bのうち一方の管内流路3aは設けられているが、他方の管内流路3bは設けられていない。すなわち、流路管3内において管内流路3aは積層されてはいないので、単層構造である。
【0148】
また、流路管3内の管内流路3aは単層構造であるので、流路管3は、第1外殻プレート31と第2外殻プレート32とを有しているが、中間プレート33を有していない。
【0149】
なお、本実施形態の第2外殻プレート32は平板状の板部材で構成されているが、第1実施形態と同様に、第1外殻プレート31側を凹側とした凹形状になっていても差し支えない。
【0150】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0151】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第9実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0152】
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では
図1に示すように、熱交換器1は、熱交換対象物である複数の電子部品2を冷却する冷却器として用いられるが、その熱交換器1の用途としては車両用に限らず種々想定され、その熱交換対象物は電子部品2に限らない。また、熱交換器1は、熱交換対象物を加熱する加熱器として用いられることも想定される。
【0153】
(2)上述の各実施形態では、熱交換器1の流路管3内を流通する熱媒体は液体であるが、これは一例である。例えば、その熱媒体は気体であってもよいし、流路管3内において気相と液相との間で相変化する流体であってもよい。
【0154】
(3)上述の各実施形態では
図2に示すように、管内流通方向Dfが流路管3の長手方向となっているが、これは一例である。例えば扁平長手方向Dwが流路管3の長手方向となっていても差し支えない。
【0155】
(4)上述の第1実施形態では
図3に示すように、流路管3の周縁部において、中間プレート33の周縁部は、一対の外殻プレート31、32の間に狭持されているが、これは一例である。中間プレート33が流路管3の周縁部まで及んでおらず、中間プレート33の全体が流路管3の内部空間に収まっていても差し支えない。また、流路管3は中間プレート33を有しておらず、流路管3内で、第1インナーフィン34と第2インナーフィン35とが互いに接触して積層されていても差し支えない。
【0156】
(5)上述の第2実施形態では
図17に示すように、一方側仰角θbと他方側仰角θcは、「θc>θb」の大小関係にあるが、その「θc>θb」の大小関係は、側壁頂部36aが設けられた全箇所で成立している必要はない。
【0157】
(6)上述の第2実施形態では
図17に示すように、一対の延設壁部36b、36cはそれぞれ、側壁頂部36aから、その側壁頂部36aに対し管内流通方向Dfに隣接する連通部364まで延設されているが、これは一例である。その一対の延設壁部36b、36cのうちの他方の延設壁部36cが連通部364まで延設されていないことも考え得る。従って、この他方の延設壁部36cは、連通部364まで延設された一方側壁部365と他方側壁部366との何れにも該当しなくて差し支えない。
【0158】
(7)上述の第1実施形態の説明において、
図14および
図15に示す第2比較例は第1実施形態と対比されているが、その第2比較例は、複数の実施形態のうちの1つとして解されても差し支えない。
【0159】
(8)上述の第3および第4実施形態では
図20および
図23に示すように、中間部363には、切り起こし部381により形成された貫通孔381aのほかに、連通口364aも形成されているが、これは一例である。例えば、その中間部363に貫通孔381aは形成されているが、連通口364aは形成されていないことも考え得る。
【0160】
そのように連通口364aが形成されていない構成では、中間部363は、
図20および
図23に示された上記第2断面において一方側頂部361から他方側頂部362まで延びる壁状に構成される。それと共に、中間部363は、複数の細流路30aのうち第1インナーフィン34を挟んで扁平長手方向Dwに隣り合う2つの細流路30aの間を仕切る。
【0161】
また、その中間部363が有する切り起こし部381は、中間部363に貫通孔381aを形成するように切り起こされた形状を成している。詳細には、その切り起こし部381は、中間部363を貫通する貫通孔381aを切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの一方側または他方側に形成するように切り起こされた形状を成している。
【0162】
このようにすれば、例えば特許文献1のインナーフィンに設けられた開口部の替わりとして、切り起こし部381によって形成された貫通孔381aを設け、それにより、熱交換器1の熱交換性能の向上を図ることができる。
【0163】
また、第3および第4実施形態と同様に、扁平厚み方向Dtに作用する圧縮外力Fa(
図12参照)に対して切り起こし部381が対抗するので、中間部363に貫通孔381aを設けたことに起因した第1インナーフィン34の強度低下を抑制することが可能である。
【0164】
(9)上述の第3および第4実施形態では
図20および
図23に示すように、複数の切り起こし部381のうち、切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの一方側に貫通孔381aを形成している切り起こし部381がある。そして、切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの他方側に貫通孔381aを形成している切り起こし部381もある。しかしながら、これは一例である。
【0165】
例えば、第1インナーフィン34に設けられた全ての切り起こし部381は、その切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの一方側に貫通孔381aを形成していてもよい。また、これとは逆に、第1インナーフィン34に設けられた全ての切り起こし部381は、その切り起こし部381に対する管内流通方向Dfの他方側に貫通孔381aを形成していてもよい。
【0166】
(10)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
【0167】
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0168】
2 電子部品(熱交換対象物)
3 流路管
34 第1インナーフィン(インナーフィン)
361 一方側頂部
362 他方側頂部
363 中間部
364 連通部
364a 連通口
365a 一方側壁部の端縁
366a 他方側壁部の端縁