(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20240806BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20240806BHJP
【FI】
H04L67/00
G06F3/04817
(21)【出願番号】P 2020030122
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岡 直美
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003577(JP,A)
【文献】特開2006-106890(JP,A)
【文献】特開2011-070608(JP,A)
【文献】渡辺 成光・谷口 幸治・佐藤 潤一・山口 孝雄・山口 孝雄,端末性能に応じたコンテンツ適応表示を実現する記述量削減方式,電子情報通信学会2004年総合大会講演論文集,日本,社団法人電子情報通信学会,2004年03月08日,P.254
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G06F 3/04817
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
画面に提示している文書ファイルを表す文書情報に対する所定の操作に応じて、自装置と比べ画面が小さい又は画面がない、予め登録された他装置へ、前記文書ファイルの内容
として、前記文書ファイルの要約を前記他装置の種類に基づいて送信する
処理を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記他装置が画面のない装置である場合、前記プロセッサは、前記文書ファイルの内容を音声データで前記他装置へ送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、予め設定された送信設定の内容に基づいて、前記文書ファイルの内容を前記他装置へ送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記送信設定は、前記他装置の種類と、前記他装置へ送信する内容とのそれぞれについて設定される、請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記文書情報は、アイコン又は前記文書ファイルのファイル名である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記所定の操作として前記アイコン又は前記ファイル名が選択されてから所定の時間が経過した時点で当該文書ファイルの内容を前記他装置へ送信する、請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置に実行させるコンピュータプログラムであって、
前記情報処理装置に、
画面に提示している文書ファイルを表す文書情報に対する所定の操作に応じて、自装置と比べ画面が小さい又は画面がない、予め登録された他装置へ、前記文書ファイルの内容
として、前記文書ファイルの要約を前記他装置の種類に基づいて送信する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データに対応する画像のサムネイルを表示する表示手段と、を備える画像処理装置であって、前記表示手段が表示するサムネイルに対応するサムネイル用画像データを記憶する画像データ記憶手段と、前記画像データ蓄積手段に蓄積された画像データから前記サムネイル用画像データを生成する生成手段と、前記生成された前記サムネイル用画像データを前記画像データ記憶手段に転送する転送手段と、前記サムネイルを前記表示手段に表示するか又は非表示にするかを判断する判断手段と、を有し、前記判断手段は、前記画像データのセキュリティ属性に基づいて、前記サムネイルの表示又は非表示を判断するように制御することを特徴とする画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
社内の会議室又は社外の会議場所、作業場所等においてパーソナルコンピュータ(PC)を用いて作業する際に、ユーザが求める情報を文書ファイルから素早く入手したいという要求がある。例えば、社外で作業している際に、会社の機密情報が書かれた文書ファイルをPCで閲覧したいが、他人が画面を覗き見することによる機密情報の漏洩のリスクがある。
【0005】
本発明は、ユーザが求める情報を文書ファイルから取得し、他の装置に送信することを可能にする情報処理装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、画面に提示している文書ファイルを表す文書情報に対する所定の操作に応じて、自装置と比べ画面が小さい又は画面がない、予め登録された他装置へ、前記文書ファイルの内容を前記他装置の種類に基づいて送信する処理を実行する。
【0007】
本発明の第2態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記文書ファイルに含まれる内容のうち機密性があると指定されている内容を前記他装置へ送信する。
【0008】
本発明の第3態様に係る情報処理装置は、本発明の第2態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、現在位置に基づき、機密性があると指定されている内容の前記他装置への送信の可否を判断する。
【0009】
本発明の第4態様に係る情報処理装置は、本発明の第2態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、周囲の状況に基づき、機密性があると指定されている内容の前記他装置への送信の可否を判断する。
【0010】
本発明の第5態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記他装置が画面のない装置である場合、前記プロセッサは、前記文書ファイルの内容を音声データで前記他装置へ送信する。
【0011】
本発明の第6態様に係る情報処理装置は、本発明の第5態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、機密性があると指定されている前記文書ファイルの内容を音声データで前記他装置へ送信する。
【0012】
本発明の第7態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、予め設定された送信設定の内容に基づいて、前記文書ファイルの内容を前記他装置へ送信する。
【0013】
本発明の第8態様に係る情報処理装置は、本発明の第7態様に係る情報処理装置であって、前記送信設定は、前記他装置の種類と、前記他装置へ送信する内容とのそれぞれについて設定される。
【0014】
本発明の第9態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記文書情報は、アイコン又は前記文書ファイルのファイル名である。
【0015】
本発明の第10態様に係る情報処理装置は、本発明の第9態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記所定の操作として前記アイコン又は前記ファイル名が選択されてから所定の時間が経過した時点で当該文書ファイルの内容を前記他装置へ送信する。
【0016】
本発明の第11態様に係るコンピュータプログラムは、情報処理装置に実行させるコンピュータプログラムであって、前記情報処理装置に、画面に提示している文書ファイルを表す文書情報に対する所定の操作に応じて、自装置と比べ画面が小さい又は画面がない、予め登録された他装置へ、前記文書ファイルの内容を前記他装置の種類に基づいて送信する処理を実行させる。
【0017】
本発明の第1態様によれば、文書ファイルに対するユーザによる所定の操作に応じて、ユーザが求める情報を文書ファイルから取得し、取得した情報を、ディスプレイが小さい、又は無い他の装置に送信することを可能にする。
【0018】
本発明の第2態様によれば、機密性がある内容を含んだ文書ファイルに対するユーザによる所定の操作に応じて、ユーザが求める情報を文書ファイルから取得し、取得した情報を、ディスプレイが小さい、又は無い他の装置に送信することを可能にする。
【0019】
本発明の第3態様によれば、現在位置に応じて機密性がある内容の他の装置への送信可否を判断するので、現在位置を考慮しない場合に比べ、機密性がある内容の漏洩の危険性を抑えることができる。
【0020】
本発明の第4態様によれば、周囲の状況に応じて機密性がある内容の他の装置への送信可否を判断するので、周囲の状況を考慮しない場合に比べ、機密性がある内容の漏洩の危険性を抑えることができる。
【0021】
本発明の第5態様によれば、音声によって文書ファイルの内容をユーザに提供することができる。
【0022】
本発明の第6態様によれば、音声によって機密性がある内容をユーザに提供することができるので、音声で提供しない場合に比べ、機密性がある内容の漏洩の危険性を抑えることができる。
【0023】
本発明の第7態様によれば、送信する内容を予めユーザに設定させることができる。
【0024】
本発明の第8態様によれば、送信する内容及び送信先の装置の種類を予めユーザに設定させることができる。
【0025】
本発明の第9態様によれば、文書ファイルのアイコン又はファイル名に対するユーザによる所定の操作に応じて、ユーザが求める情報を文書ファイルから取得することができる。
【0026】
本発明の第10態様によれば、文書ファイルのアイコン又はファイル名が選択されてから所定の時間が経過すると、ユーザが求める情報を文書ファイルから取得することができる。
【0027】
本発明の第11態様によれば、文書ファイルに対するユーザによる所定の操作に応じて、ユーザが求める情報を文書ファイルから取得し、取得した情報を、ディスプレイが小さい、又は無い他の装置に送信することを可能にする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザが求める情報を文書ファイルから取得し、取得した情報を、ディスプレイが小さい、又は無い他の装置に送信することを可能にする情報処理装置及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置による情報送信処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0031】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置10と、携帯端末20と、からなる。本実施形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置10と、携帯端末20とは、同一のユーザによって使用されることを想定している。
【0032】
本実施形態では、情報処理装置10は、デスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ、又はタブレット型の装置といった、携帯端末20と比較して大きな画面サイズを有する装置である。また、携帯端末20は、スマートフォン、タブレット型端末、腕時計型端末、無線イヤホンといった、情報処理装置10と比較して小さな画面サイズを有する、又は画面がない装置である。
【0033】
ユーザが情報処理装置10を使用して何らかの作業を行っている場合に、情報処理装置10ではなく、携帯端末20に情報を出力させたい場合がある。例えば、情報処理装置10を使用して打ち合わせを行っている際に、機密情報を参照したいが、打ち合わせの相手にその機密情報を見られたくないので、手元の携帯端末20から機密情報を出力したいという場面が考えられる。また例えば、情報処理装置10を使用して会議に参加している際に、資料の要約を携帯端末20に出力したいという場面が考えられる。
【0034】
本実施形態に係る情報処理装置10は、情報処理装置10に対して実行された、情報を出力させたい対象への所定の操作に応じて、予め登録した携帯端末20に情報を送信する。情報処理装置10から携帯端末20へ情報を送信することで、ユーザは、手元の携帯端末20で手軽に情報を参照することが出来る。
【0035】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0036】
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0037】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、携帯端末20へ情報を送信する情報送信プログラムが格納されている。
【0038】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0039】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0040】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0041】
通信インタフェース17は、携帯端末20等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15等の規格が用いられる。
【0042】
上記の情報送信プログラムを実行する際に、情報処理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。
【0043】
次に、情報処理装置10の機能構成について説明する。
【0044】
図3は、情報処理装置10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0045】
図3に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、表示部101、表示管理部102、文書情報管理部103、情報送信入力部104、情報送信管理部105、及び文書情報送信部106を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された情報送信プログラムを読み出し、実行することにより実現される。また、情報処理装置10は、文書ファイルを格納する文書情報格納部107を有する。文書情報格納部107は、例えばストレージ14に設けられうる。
【0046】
表示部101は、種々の情報を表示する。表示部101への情報の表示は表示管理部102によって行われる。
【0047】
表示管理部102は、表示部101への情報の表示を管理する。例えば、表示管理部102は、文書ファイルについて表示部101へ表示する内容を管理する。表示する内容としては、例えば文書ファイルのタイトル、文書ファイルの更新日時、文書ファイルのサムネイル画像などがある。表示管理部102が管理する内容は文書情報管理部103が取得する情報である。
【0048】
文書情報管理部103は、文書情報格納部107が格納している各文書ファイルについて基本情報を管理する。基本情報としては、例えば文書ファイルのタイトル、文書ファイルの作成者等の情報がある。また文書情報管理部103は、各文書ファイルについて、文書の特徴を表すキーワード、文書の要約、文書ファイルのサムネイル画像等の情報を管理する。また文書情報管理部103は、文書ファイルに含まれる内容のうち機密性があると指定されている内容を管理する。
【0049】
情報送信入力部104は、携帯端末20への情報の送信方法の入力を受け付ける。例えば、情報送信入力部104は、携帯端末20がスマートフォンである場合は、情報を文字で送信し、携帯端末20が無線イヤホンである場合は、情報を音声で送信するといった送信方法の入力を受け付ける。従って、携帯端末20への情報の送信方法は、携帯端末20の種類に依存する。
【0050】
情報送信管理部105は、文書ファイルを表す文書情報に対する所定の操作をトリガとして、情報送信入力部104からの情報を基に、文書情報管理部103が管理している基本情報の中から携帯端末20に送信する情報を取得し、文書情報送信部106への送信を管理する。文書ファイルを表す文書情報には、例えば文書ファイルのアイコン、文書ファイルのファイル名等がある。
【0051】
文書情報送信部106は、情報送信管理部105から送られた情報を、情報送信入力部104からの指示に基づき、予め登録された携帯端末20に送信する。予め登録された状態とは、例えば、情報処理装置10が携帯端末20をペアリングした状態にあることをいう。
【0052】
例えば、予め登録された携帯端末20は無線イヤホンであるため、音声で情報を送信するよう情報送信入力部104から指示されていた場合、文書情報送信部106は、情報送信管理部105から送られた情報を音声データに変換する。そして文書情報送信部106は、変換後の音声データを携帯端末20に送信する。
【0053】
文書情報送信部106は、文書ファイルに含まれる内容のうち機密性があると指定されている内容の、携帯端末20への送信の可否を判断してもよい。例えば、文書情報送信部106は、現在位置に基づき、機密性があると指定されている内容の携帯端末20への送信の可否を判断してもよい。具体的には、GPS(Global Positioning System)センサ等で取得した現在位置が、予め指定された場所であれば、文書情報送信部106は、機密性があると指定されている内容を携帯端末20へ送信できると判断してもよい。
【0054】
また例えば、文書情報送信部106は、周囲の状況に基づき、機密性があると指定されている内容の携帯端末20への送信の可否を判断してもよい。具体的には、周囲の状況を撮像し、周囲に人が多くいるような状況であると判定すれば、文書情報送信部106は、機密性があると指定されている内容を携帯端末20へ送信できないと判断してもよい。
【0055】
文書情報送信部106は、予め各文書ファイルについて設定された機密性のレベルに応じて、送信する対象を決定してもよい。例えば、機密性のレベルが3段階に設定された場合、文書情報送信部106は、最も機密性が高いレベル1の文書ファイルの内容は無線イヤホンにのみ送信可能とし、レベル2の文書ファイルの内容は無線イヤホンとスマートフォンにのみ送信可能としてもよい。そして、文書情報送信部106は、レベル3の文書ファイルの内容は無線イヤホン、スマートフォン、タブレット端末のいずれにも送信可能としてもよい。
【0056】
文書情報送信部106は、ユーザによる所定の操作が行われたタイミングで、情報送信管理部105から送られた情報を、情報送信入力部104からの指示に基づき、予め登録された携帯端末20に送信する。例えば、ユーザが情報を送信したい文書ファイルのアイコン又はファイル名をドラッグして、情報送信プログラムを実行するアプリケーションのアイコンにドロップすると、文書情報送信部106は、情報を携帯端末20に送信する。また例えば、ユーザが情報を送信したい文書ファイルのアイコン又はファイル名を操作することでメニューを表示させ、当該メニューから情報の送信を実行する処理を選択すると、文書情報送信部106は、情報を携帯端末20に送信する。また例えば、ユーザが情報を送信したい文書ファイルのアイコン又はファイル名をマウスでクリックし、マウスカーソルをアイコン又はファイル名に重ねた状態で所定の時間が経過すると、文書情報送信部106は、情報を携帯端末20に送信する。もちろん、携帯端末20に情報を送信するためのユーザによる所定の操作は、上述したものに限定されるものではない。
【0057】
なお、
図3では、情報処理装置10の内部に、文書ファイルを格納する文書情報格納部107を有する例が示されているが、本発明は係る例に限定されるものではない。携帯端末20に送信する情報の基になる文書ファイルは、情報処理装置10とは異なる装置に格納されていてもよい。
【0058】
次に、情報処理装置10の作用について説明する。
【0059】
図4は、情報処理装置10による情報送信処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から情報送信プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、情報送信処理が行なわれる。
【0060】
CPU11は、まず、文書ファイルを情報処理装置10で開くのに問題がある状況かどうか判定する(ステップS101)。具体的には、CPU11は、GPSセンサ等で取得した情報処理装置10の現在位置が、予め指定された場所であるかどうかによって、文書ファイルを情報処理装置10で開くのに問題がある状況かどうか判定してもよい。また、CPU11は、周囲の状況を撮像した結果、周囲に人がいる場所であるかどうかによって、文書ファイルを情報処理装置10で開くのに問題がある状況かどうか判定してもよい。なお、CPU11による判定に代えて、情報処理装置10のユーザが、文書ファイルを情報処理装置10で開くのに問題がある状況かどうかを判断してもよい。
【0061】
文書ファイルを情報処理装置10で開くのに問題がある状況ではないと判定した場合は(ステップS101;No)、CPU11は処理を終了する。一方。文書ファイルを情報処理装置10で開くのに問題がある状況であると判定した場合は(ステップS101;Yes)、続いてCPU11は、ユーザが、予め登録した携帯端末20へ情報を送信するように設定したかどうか判定する(ステップS102)。
【0062】
ユーザが携帯端末20へ情報を送信するように設定していないと判定した場合は(ステップS102;No)、CPU11は処理を終了する。一方、ユーザが携帯端末20へ情報を送信するように設定していると判定した場合は(ステップS102;Yes)、CPU11は、続いて、予め登録した携帯端末20が情報を受信可能な状況であるかどうか判断する(ステップS103)。
【0063】
予め登録した携帯端末20が情報を受信可能な状況ではないと判定した場合は(ステップS103;No)、CPU11は処理を終了する。例えば、携帯端末20の電源が入っていなかったり、情報処理装置10と無線通信が可能な範囲に携帯端末20がなかったりした場合、CPU11は、携帯端末20が情報を受信可能な状況ではないと判定する。一方、予め登録した携帯端末20が情報を受信可能な状況であると判定した場合は(ステップS103;Yes)、CPU11は、情報の送信対象の文書ファイルに対する操作が行われたかどうかを判定する(ステップS104)。例えば、CPU11は、追加の情報を取得したい文書ファイルのタイトル名又はアイコンをユーザが選択する操作を行ったかどうかを判定する。また例えば、CPU11は、ユーザが、追加情報を取得したい文書ファイルのアイコン又はファイル名をドラッグし、情報を送信するためのアプリケーションのアイコンにドロップする操作を行ったかどうかを判定する。
【0064】
情報の送信対象の文書ファイルに対する操作が行われていないと判定した場合は(ステップS104;No)、CPU11は処理を終了する。一方、情報の送信対象の文書ファイルに対する操作が行われたと判定した場合は(ステップS104;Yes)、続いてCPU11は、携帯端末20に送信する文書の情報を取得する(ステップS105)。例えば、機密情報を携帯端末20に送信するよう設定されていた場合は、CPU11は、操作された文書ファイルにおける機密情報を取得する。また例えば、要約を携帯端末20に送信するよう設定されていた場合は、CPU11は、操作された文書ファイルにおける要約を取得する。
【0065】
続いてCPU11は、送信対象の携帯端末20がどのような端末であるかを判定する(ステップS106)。
【0066】
携帯端末20がスマートフォンのような画面を備える装置である場合、CPU11は、携帯端末20へ情報を送信する(ステップS107)。携帯端末20が無線イヤホンのような音声を出力可能であって画面を備えない装置である場合、CPU11は、情報を音声に変換した上で、携帯端末20へ音声データで情報を送信する(ステップS108)。なお、携帯端末20がその他の未設定の装置である場合は、CPU11は、情報の送信を行わずに処理を終了する。
【0067】
本実施形態に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を実行することで、予め登録した携帯端末20に対し、携帯端末20の種類に応じて情報を送信することができる。
【0068】
続いて、本実施形態に係る情報処理装置10によるユースケースの例を説明する。
【0069】
まず、最初のユースケースとして、情報処理装置10から携帯端末20に機密情報を送信する例を説明する。ユーザがクライアントと商談を行っている際に、想定外の質問をクライアントから受ける場合がある。例えば、クライアントから商品の値引きをクライアントから要望されることがある。ユーザは、商品について設定可能な値引き率の情報が書かれた文書ファイルを参照したいが、値引き率の情報は機密情報であるため、クライアントに見られては困るものである。そこで、ユーザは、情報処理装置10から携帯端末20に値引き率の情報を送信することで、値引き率の情報をクライアントに知られることなく、値引き交渉を行うことが出来る。
【0070】
図5は、情報処理装置10の表示部101に表示されるユーザインタフェースの例を示す図である。なお、以下の説明における各ユーザインタフェースは、表示管理部102により表示部101に表示される。
【0071】
図5に示すユーザインタフェースは、アイコン201を含む。アイコン201は、情報を携帯端末20に送信するためのプログラムを実行するアプリケーションを起動させるための画像である。
【0072】
メニュー202は、ユーザがアイコン201にマウスカーソルを合わせ、右クリック等により表示させるメニューである。メニュー202は、携帯端末20への文書ファイルの内容の送信設定をユーザに設定させるメニューである。このユースケースでは、携帯端末20は無線イヤホンであり、送信内容は機密情報であるとユーザによって設定されている。ここで、送信先デバイスに無線イヤホン以外のものが選択された場合、CPU11は、送信内容に機密情報が選択できないようにユーザインタフェースに制限をかけてもよい。
【0073】
図6は、情報処理装置10の表示部101に表示されるユーザインタフェースの例を示す図であり、
図5のように文書ファイルの内容の送信設定がされた場合の例である。
【0074】
ユーザが、情報を送信したい文書ファイルのアイコン211をドラッグし、情報を携帯端末20に送信するアプリケーションのアイコン201の上でドロップしたとする。CPU11は、文書ファイルに含まれる機密情報の内容を、予め登録した携帯端末20に送信する。この例では、携帯端末20は無線イヤホンである。この際、CPU11は、文書ファイルに含まれる機密情報の内容を音声に変換して携帯端末20に送信する。
【0075】
このようにユーザが文書ファイルに含まれる情報の送信について設定し、ユーザが情報処理装置10に対して操作することで、情報処理装置10は、文書ファイルに含まれる機密情報を無線イヤホンである携帯端末20に送信することが出来る。ユーザは、無線イヤホンである携帯端末20で機密情報を聞くことができるので、機密情報をクライアントに知られることなく、その場で値引き交渉を行える。
【0076】
次のユースケースとして、情報処理装置10から携帯端末20に文書ファイルの要約を送信する例を説明する。近年の働き方改革により、会社以外の場所で仕事をする機会が増えつつある。仕事をする場所又はタイミングによっては、他人に見せてはいけない文書フィルを開かずに、要約のみを確認したい場合がある。ユーザが持っているスマートフォンで文書ファイルを開く方法もあるが、スマートフォンは画面が小さいため、文書ファイルの中から所望の情報を探し出す時間が掛かる。そこで、ユーザは、情報処理装置10から携帯端末20に文書ファイルの要約を送信することで、要約を送信しない場合と比べて、所望の文書ファイルを早く探し出すことができる。
【0077】
図7は、情報処理装置10の表示部101に表示されるユーザインタフェースの例を示す図である。
【0078】
図7に示すユーザインタフェースは、アイコン201を含む。アイコン201は、情報を携帯端末20に送信するためのプログラムを実行するアプリケーションを起動させるための画像である。
【0079】
メニュー202は、ユーザがアイコン201にマウスカーソルを合わせ、右クリック等により表示させるメニューである。メニュー202は、携帯端末20への文書ファイルの内容の送信設定をユーザに設定させるメニューである。このユースケースでは、携帯端末20はスマートフォンであり、送信内容は要約であるとユーザによって設定されている。
【0080】
図8は、情報処理装置10の表示部101に表示されるユーザインタフェースの例を示す図であり、
図7のように文書ファイルの内容の送信設定がされた場合の例である。
【0081】
ユーザが、携帯端末20に情報を送信したい文書ファイルのアイコン212を右クリックするなどしてメニュー213を開いたとする。当該文書ファイルは製品の仕様書であり、内容が社外の人間に見られてはならないものであるとする。そして、ユーザがメニュー213の中から「外部連携」を選択したとする。CPU11は、文書ファイルに含まれる要約の内容を、予め登録した携帯端末20に送信する。この例では、携帯端末20はスマートフォンである。
【0082】
このようにユーザが文書ファイルに含まれる情報の送信について設定し、ユーザが情報処理装置10に対して操作することで、情報処理装置10は、文書ファイルの要約をスマートフォンである携帯端末20に送信することが出来る。ユーザは、スマートフォンである携帯端末20で文書ファイルの要約を見ることができるので、文書ファイルの中身を情報処理装置10で開くことなく、その文書ファイルの内容を把握することができる。つまり、ユーザは、情報処理装置10の画面の覗き見による情報の漏洩のリスクを防ぎつつ、文書ファイルの要約を携帯端末20で参照することができる。
【0083】
情報処理装置10が利用されるユースケースは上述したものに限定されるものではない。例えば、ユーザが会社の中で情報処理装置10を持参して会議に参加する場合に、資料を情報処理装置10ではなく、手元の携帯端末20で参照したい場合がある。その場合に、ユーザが情報を得たい文書ファイルに対する操作を情報処理装置10で実行することで、ユーザは携帯端末20で情報を参照することができる。
【0084】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した情報送信処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、情報送信処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0085】
また、上記各実施形態では、情報送信処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0086】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 情報処理装置
20 携帯端末
201 アイコン
202 メニュー
211 アイコン
212 アイコン
213 メニュー