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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】放電器および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20240806BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G03G15/02 101
G03G21/16 147
G03G21/16 161
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020050847
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149027
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】長森 由貴
(72)【発明者】
【氏名】三浦 剛
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-189691(JP,A)
【文献】特開2013-068831(JP,A)
【文献】特開2014-115637(JP,A)
【文献】特開2000-250288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 15/00
G03G 15/16
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる第1の電極と、
前記第1の電極と像保持手段との間に配置され、前記第1の電極から放出された電荷が通過する開口が複数形成された網状部を有する第2の電極と、
前記第2の電極を、前記長手方向に張力を付与した状態で支持する張架手段と、
前記第2の電極上であって、前記長手方向に対して前記網状部の外側に設けられ、且つ、前記網状部よりも厚さが厚く構成された突出部と、
前記第2の電極を厚さ方向に押さえる押さえ手段であって、前記突出部と非接触な前記押さえ手段と、
を備えたことを特徴とする放電器。
【請求項2】
前記第2の電極の厚さ方向に対して前記網状部の表面に対応する位置に形成され、前記押さえ手段が接触する被位置決め部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放電器。
【請求項3】
前記長手方向に対して前記網状部の外側且つ前記突出部からずれた位置に設けられた前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の放電器。
【請求項4】
前記突出部に対して前記第2の電極の厚さ方向の反対側の面に設けられた前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の放電器。
【請求項5】
前記網状部に接触して清掃する清掃手段と、
前記第2の電極に設けられて、前記清掃手段を案内する案内手段と、
前記長手方向に対して、前記案内手段よりも外側まで形成された前記突出部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の放電器。
【請求項6】
前記第2の電極に部材を貼り付けて形成された前記突出部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の放電器。
【請求項7】
前記長手方向および厚さ方向に交差する幅方向に対して、幅方向の両端部に設けられた前記押さえ手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の放電器。
【請求項8】
前記長手方向に対して前記網状部の外側に形成され、前記張架手段が取り付けられる第2の開口を備え、
前記第2の開口の面積は、前記突出部の面積よりも小さい
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の放電器。
【請求項9】
前記第2の開口は、前記長手方向に対して前記網状部を挟むように複数設けられており、
いずれの前記第2の開口の面積も、前記突出部の面積よりも小さい、
ことを特徴とする請求項8に記載の放電器。
【請求項10】
前記第2の電極の長手方向の一端部且つ幅方向の両端部に設けられた付勢取付部と、
各付勢取付部に支持されて前記第2の電極の長手方向および幅方向の外側に向けて前記第2の電極を引っ張る力を付与する付勢手段を有する前記張架手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の放電器。
【請求項11】
前記付勢手段が前記第2の電極を引っ張る方向が前記第2の電極の表面に沿った方向である
ことを特徴とする請求項10に記載の放電器。
【請求項12】
像保持手段と、
請求項1ないし11のいずれかに記載の放電器により構成され、前記像保持手段の表面を帯電させる帯電手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置において、像保持体の表面を帯電させたり、除電したり、像保持体表面のトナー像を媒体に転写したり、媒体を除電したりする際に、電極から放電を行う放電器が広く使用されている。放電器に関し、以下の特許文献1記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特許第6015091号公報には、感光体ドラム(11)を帯電させる帯電装置(12)において、グリッド電極(124)の短辺外枠部(164,165)および取付枠部(166,167)の厚さ(d1)を、長辺外枠部(161,162)および中央枠部(163)、開口部(150)の厚さ(d2)よりも厚く形成するとともに、厚さが厚い短辺外枠部(164,165)を湾曲保持部材(126A,126B)に湾曲するように押し付けて取り付けることで、厚さの薄い開口部(150)を含むグリッド電極(124)の全体が短辺外枠部(164,165)に追従して湾曲し、感光体ドラム(11)の外周面に沿うようグリッド電極(124)が設置される技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6015091号公報(「0083」~「0101」、図8図13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、網状の電極の端部において位置決めを行う部位の厚さが厚い場合に比べて、帯電不良を抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の放電器は、
長手方向に延びる第1の電極と、
前記第1の電極と像保持手段との間に配置され、前記第1の電極から放出された電荷が通過する開口が複数形成された網状部を有する第2の電極と、
前記第2の電極を、前記長手方向に張力を付与した状態で支持する張架手段と、
前記第2の電極上であって、前記長手方向に対して前記網状部の外側に設けられ、且つ、前記網状部よりも厚さが厚く構成された突出部と、
前記第2の電極を厚さ方向に押さえる押さえ手段であって、前記突出部と非接触な前記押さえ手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放電器において、
前記第2の電極の厚さ方向に対して前記網状部の表面に対応する位置に形成され、前記押さえ手段が接触する被位置決め部、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の放電器において、
前記長手方向に対して前記網状部の外側且つ前記突出部からずれた位置に設けられた前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の放電器において、
前記突出部に対して前記第2の電極の厚さ方向の反対側の面に設けられた前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の放電器において、
前記網状部に接触して清掃する清掃手段と、
前記第2の電極に設けられて、前記清掃手段を案内する案内手段と、
前記長手方向に対して、前記案内手段よりも外側まで形成された前記突出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の放電器において、
前記第2の電極に部材を貼り付けて形成された前記突出部、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の放電器において、
前記長手方向および厚さ方向に交差する幅方向に対して、幅方向の両端部に設けられた前記押さえ手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の放電器において、
前記長手方向に対して前記網状部の外側に形成され、前記張架手段が取り付けられる第2の開口を備え、
前記第2の開口の面積は、前記突出部の面積よりも小さい
ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の放電器において、
前記第2の開口は、前記長手方向に対して前記網状部を挟むように複数設けられており、
いずれの前記第2の開口の面積も、前記突出部の面積よりも小さい、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の放電器において、
前記第2の電極の長手方向の一端部且つ幅方向の両端部に設けられた付勢取付部と、
各付勢取付部に支持されて前記第2の電極の長手方向および幅方向の外側に向けて前記第2の電極を引っ張る力を付与する付勢手段を有する前記張架手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の放電器において、
前記付勢手段が前記第2の電極を引っ張る方向が前記第2の電極の表面に沿った方向である
ことを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項12に記載の発明の画像形成装置は、
像保持手段と、
請求項1ないし11のいずれかに記載の放電器により構成され、前記像保持手段の表面を帯電させる帯電手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1,12に記載の発明によれば、網状の電極の端部において位置決めを行う部位の厚さが厚い場合に比べて、帯電不良を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、被位置決め部が網状部の表面に対応しない場合に比べて、網状部材を精度よく位置決めでき、帯電不良を抑制できる。
請求項3に記載の発明によれば、被位置決め部と押さえ部が網状部に掛かる場合に比べて、押さえ部の部分での帯電不良の発生を防止できる。
請求項4に記載の発明によれば、押さえ部の反対側に突出部が設けられていない場合に比べて、第2の電極の全体の剛性を高くすることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、突出部が案内手段よりも内側までしか形成されていない場合に比べて、第2の電極の歪みを抑制できる。
請求項6に記載の発明によれば、部材を貼り付けて突出部を形成しない場合に比べて、突出部の大きさや厚さを容易に調整できる。
請求項7に記載の発明によれば、押さえ部材が幅方向の全域に設けられている場合に比べて、幅方向の中央部に空間を確保でき、設計の自由度や全体の小型化ができる。
請求項8に記載の発明によれば、第2の開口の面積が突出部の面積よりも大きい場合に比べて、第2の電極の全体の剛性が低下することを抑制できる。
【0020】
請求項9に記載の発明によれば、いずれかの第2の開口の面積が突出部の面積よりも大きい場合に比べて、第2の電極全体の剛性が低下することを抑制できる。
請求項10に記載の発明によれば、第2の電極の長手方向および幅方向の外側に向けて第2の電極が引っ張られない場合に比べて、第2の電極の歪みを抑制できる。
請求項11に記載の発明によれば、第2の電極が引っ張られる方向が表面に沿った方向ではない場合に比べて、第2の電極の歪みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2図2は像保持体ユニットおよび現像器を有する可視像形成装置の説明図である。
図3図3は本発明の実施例1の帯電器の斜視説明図である。
図4図4は本発明の実施例1の帯電器の要部断面説明図である。
図5図5は実施例1のグリッド電極の説明図である。
図6図6図5の矢印VI方向から見た図である。
図7図7は実施例2のグリッド電極の説明図であり、実施例1の図6に対応する図である。
図8図8は実施例3のグリッド電極の説明図であり、実施例1の図6に対応する図である。
図9図9は実施例4のグリッド電極の説明図であり、実施例1の図5に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、操作手段の一例としてのユーザインタフェースUI、画像読取手段の一例としてのイメージ入力装置U1、媒体供給手段の一例としての給紙装置U2、画像形成装置の本体の一例としての画像記録装置U3、および、後処理手段の一例としての用紙処理装置U4を有している。
【0024】
前記ユーザインタフェースUIは、入力手段の一例としてのコピースタートキー、テンキー等の入力キーおよび表示器UI1を有している。
前記イメージ入力装置U1は、画像読取装置の一例としてのイメージスキャナ等により構成されている。図1において、イメージ入力装置U1では、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像記録装置U3に入力する。
給紙装置U2は、複数の媒体の収容手段の一例としての給紙トレイTR1~TR4と、前記各給紙トレイTR1~TR4に収容された媒体の一例としての記録用紙Sが搬送される給紙路SH1等を有している。
【0025】
図1において、画像記録装置U3は、前記給紙装置U2から搬送された記録用紙Sに画像記録を行う画像記録部、トナーディスペンサー装置U3a、および用紙搬送路SH2、用紙排出路SH3、用紙反転路SH4、用紙循環路SH6等を有している。なお、前記画像記録部については後述する。
また、画像記録装置U3は、制御手段の一例としての制御部C、および、前記制御部Cにより制御される潜像書込装置の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路D、前記制御部Cにより制御される電源回路E等を有している。レーザ駆動回路Dは、前記イメージ入力装置U1から入力されたY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像情報に応じたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
潜像形成手段の一例としての潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの下方には、像形成ユニット用の引出部材U3bが左右一対の案内部材R1,R1により、画像記録装置U3の前方に引き出された引出位置と画像記録装置U3内部に装着された装着位置との間で移動可能に支持されている。
【0026】
図2は像保持体ユニットおよび現像器を有する可視像形成装置の説明図である。
図1図2において、黒の像保持体ユニットUKは、像保持手段の一例としての感光体ドラムPkと、放電器の一例であって帯電手段の一例としての帯電器CCkと、像保持手段の清掃手段の一例としての感光体クリーナCLkと、を有している。なお、実施例1では、帯電器CCkは、画像記録装置U3に対して着脱可能な帯電ユニットにより構成されている。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUY,UM,UCも、感光体ドラムPy,Pm,Pc、放電器の一例としての帯電器CCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有している。なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPy,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
前記各像保持体ユニットUY,UM,UC,UKと、現像ロールR0を有する現像器GY,GM,GC,GKとによりトナー像形成部材UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GKが構成されている。前記像形成ユニット用の引出部材U3bには、前記像保持体ユニットUY,UM,UC,UKおよび現像器GY,GM,GC,GKが着脱可能に装着される。
【0027】
図1において、感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電器CCy,CCm,CCc,CCkにより帯電された後、潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkによりその表面に静電潜像が形成される。前記感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像は、現像手段の一例としての現像器GY,GM,GC,GKによりY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の色のトナー像に現像される。
【0028】
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写手段の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、像保持手段の一例であって中間転写体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体ドラムPkおよび現像器GKのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面の残留トナーは感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkによりクリーニングされる。
【0029】
前記像形成ユニット用の引出部材U3bの下方には、中間転写体用の引出部材U3cが画像記録装置U3の前方に引き出された引出位置と画像記録装置U3内部に装着された装着位置との間で移動可能に支持されている。前記中間転写体用の引出部材U3cには、中間転写手段の一例としてのベルトモジュールBMが、前記感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの下面に接触する上昇位置と前記下面から下方に離れた下降位置との間で昇降可能に支持されている。
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、駆動手段の一例としてのベルト駆動ロールRdと、張架手段の一例としてのテンションロールRtと、蛇行防止手段の一例としてのウォーキングロールRwと、従動手段の一例としての複数のアイドラロールRfと、2次転写領域Q4の対向手段の一例としてのバックアップロールT2aと、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kとを有する。そして、前記中間転写ベルトBは、前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0030】
前記バックアップロールT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、二次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有する。2次転写ロールT2bは、前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに離隔および接触可能に配置されており、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと接触する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには、電圧印加手段の一例としてのコンタクトロールT2cが接触しており、前記各ロールT2a~T2cにより、2次転写手段の一例としての2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには制御部Cにより制御される電源回路から予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0031】
前記ベルトモジュールBM下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、前記用紙搬送路SH2に搬送され、給紙時期の調節手段の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、転写前の媒体案内部材SGr,SG1を通って2次転写領域Q4に搬送される。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記記録用紙Sに転写される。なお、フルカラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
【0032】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体用の清掃手段の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。
前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体ドラムPy~Pk表面の画像を記録用紙Sに転写する転写装置(転写手段の一例)T1+B+T2+CLBが構成されている。
【0033】
トナー像が2次転写された前記記録用紙Sは、転写後の媒体案内部材SG2、定着前の媒体搬送部材の一例としての用紙搬送ベルトBHを通って定着装置Fに搬送される。定着手段の一例としての定着装置Fは、加熱定着手段の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着手段の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。
前記トナー像形成部材UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GKや転写装置T1+B+T2+CLB、定着装置等により、記録用紙Sに画像を記録する実施例1の画像記録部が構成されている。
【0034】
前記定着装置Fの下流側には搬送路の切替手段の一例としての第1ゲートGT1が設けられている。前記第1ゲートGT1は用紙搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着された記録用紙Sを、用紙処理装置U4の用紙排出路SH3または用紙反転路SH4側のいずれかに選択的に切り替える。前記用紙排出路SH3に搬送された記録用紙Sは、用紙処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。
【0035】
用紙搬送路SH5の途中には、湾曲補正手段の一例としてのカール補正装置U4aが配置されており、前記用紙搬送路SH5には、搬送路の切替手段の一例としての第2ゲートG4が配置されている。前記第2ゲートG4は、前記画像記録装置U3の用紙排出路SH3から搬送された記録用紙Sを、湾曲、いわゆる、カールの方向に応じて、第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2のいずれかの側に搬送する。前記第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2に搬送された記録用紙Sは、通過時にカールが補正される。カールが補正された記録用紙Sは、排出手段の一例としての排出ロールRhから用紙処理装置U4の排出部の一例としての排出トレイTH1に用紙の画像定着面が上向きの状態、いわゆる、フェイスアップ状態で排出される。
【0036】
前記第1ゲートGT1により画像記録装置U3の前記用紙反転路SH4側に搬送された記録用紙Sは、弾性薄膜状部材により構成された搬送方向の規制手段、いわゆる、マイラーゲートGT2を押しのける形で通過して、画像記録装置U3の前記用紙反転路SH4に搬送される。
前記画像記録装置U3の用紙反転路SH4の下流端には、用紙循環路SH6および用紙反転路SH7が接続されており、その接続部にもマイラーゲートGT3が配置されている。前記第1ゲートGT1を通って用紙反転路SH4に搬送された用紙は、前記マイラーゲートGT3を通過して前記用紙処理装置U4の用紙反転路SH7側に搬送される。両面印刷を行う場合には、用紙反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sは、前記マイラーゲートGT3を通過して、用紙反転路SH7に搬送された後、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックさせられると、マイラーゲートGT3により搬送方向が規制され、スイッチバックした記録用紙Sが用紙循環路SH6側に搬送される。前記用紙循環路SH6に搬送された記録用紙Sは前記給紙路SH1を通って2次転写領域Q4に再送される。
【0037】
一方、用紙反転路SH4を搬送される記録用紙Sを、記録用紙Sの後端がマイラーゲートGT2を通過後、マイラーゲートGT3を通過する前に、スイッチバックすると、マイラーゲートGT2により記録用紙Sの搬送方向が規制され、記録用紙Sは表裏が反転された状態で用紙搬送路SH5に搬送される。表裏が反転された記録用紙Sは、カール補正装置U4aによりカールが補正された後、前記用紙処理装置U4の排出トレイTH1に、記録用紙Sの画像定着面が下向きの状態、いわゆる、フェイスダウン状態で排出することができる。
前記符号SH1~SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1~GT3で示された要素により用紙搬送装置SUが構成されている。
【0038】
(帯電器の説明)
図3は本発明の実施例1の帯電器の斜視説明図である。
図4は本発明の実施例1の帯電器の要部断面説明図である。
なお、図4において、発明を理解しやすくするためにシールド電極の一部の図示を省略している。
また、次に、実施例1の帯電器の説明を行うが、Y,M,C,Kの各色の帯電器CCy~CCkは、同様に構成されているため、K色の帯電器CCkについて詳細に説明し、その他の色の帯電器CCy~CCcについては詳細な説明は省略する。
【0039】
図2図3図4において、実施例1の帯電器CCkは、放電器本体の一例として、前後方向に延びる帯電器本体1を有する。前記帯電器本体1は、シールド電極2を有する。シールド電極2は、導電性金属材料により構成されている。シールド電極2は、前後方向に延びる板状の上壁部2aと、上壁部2aの左右両側から下方に延びる板状の左壁部2bおよび右壁部2cと、を有する。上壁部2aの左部には、前後方向に延びる開口2dが形成されている。
前記シールド電極2の後端には、一端部材の一例としての後端ブロック3が支持されており、シールド電極2の前端には、他端部材の一例としての前端ブロック4が支持されている。前後の各ブロック3,4の右上部には、清掃移動部材用の支持体の一例として、前後方向に延びる筒状のシャフト受け部3a,4aが形成されている。
【0040】
前記シャフト受け部3a,4aには、回転部材の一例として、前後方向に延びるシャフト6が回転可能に支持されている。シャフト6の外周面には、ネジ6aが形成されている。シャフト6の後端部は、後側のシャフト受け部4aを貫通して後方に延びており、後端には、被伝達部材の一例としての従動カップリング7が支持されている。従動カップリング7は、帯電器CCkが画像記録装置U3に装着された場合に、画像記録装置U3に回転可能に支持された伝達部材の一例としての駆動カップリング8に噛み合った状態で支持される。駆動カップリング8には、電極清掃部材の駆動源の一例として、画像記録装置U3に支持された正逆回転可能な電極クリーナ用のモータ9からの駆動が伝達可能に構成されている。
【0041】
図2図4において、前記帯電器本体1の内部には、第1の電極の一例としてのワイヤ電極11が配置されている。実施例1のワイヤ電極11は、前後方向に延びる線材により構成されている。ワイヤ電極11は、前後両端が各ブロック3,4に支持されている。前記シールド電極2の下側の開口位置であってワイヤ電極11と感光体ドラムPkとの間、すなわち、感光体ドラムPkとの対向領域である帯電領域側には、第2の電極の一例としてのグリッド電極12が支持されている。
【0042】
(グリッド電極の説明)
図5は実施例1のグリッド電極の説明図である。
図6図5の矢印VI方向から見た図である。
図5図6において、実施例1のグリッド電極12は、長手方向(感光体軸方向)に延びる網状部13を有する。網状部13は、複数の第1の開口13aが形成された網状に形成されており、幅方向(感光体回転方向)の両端部に縁部13bが形成されている。
網状部13の長手方向の一端部の一例としての後端部には、第1の外枠部14が設けられている。第1の外枠部14には、突出部の一例としての第1の厚枠部16が形成されている。第1の厚枠部16は、網状部13の後側に隣接する位置に配置されている。第1の外枠部14と第1の厚枠部16の合計の厚さL1は、網状部13の厚さL0よりも厚く形成されている。したがって、第1の厚枠部16を含む部分の剛性は、網状部13よりも高剛性になっている。実施例1の第1の厚枠部16は、第1の外枠部14の下面側に形成されており、第1の外枠部14の上面14aが網状部13の上面と面一に形成されている。
【0043】
実施例1では、第1の厚枠部16は、網状部13と同一の厚さの第1の外枠部14の下表面にエッチングで構成されている。なお、第1の厚枠部16の形成方法はエッチングに限定されず、薄板状や膜状の部材を接着剤や両面テープ等で貼り付けて構成することも可能である。貼り付けて構成する場合は、貼り付ける部材の厚さや面積を変えることで第1の厚枠部16の厚さや面積を容易に調整することが可能である。エッチングする材料や貼り付けられる材料、接着剤等は、網状部13と同一の材料とすることが好ましいが、全体の電気特性や加工のしやすさ、製造コスト等に応じて、異なる材料(例えば、絶縁材料等)で構成することも可能である。
【0044】
第1の外枠部14は、第1の厚枠部16の長手方向外側に、被位置決め部の一例としての第1の位置決め部17を有する。第1の位置決め部17は、厚さL2が、網状部13の厚さL0に対応する厚さ、すなわち、L2=L0に設定されている。したがって、第1の位置決め部17の上面および下面は、網状部13の上面および下面の延長上、すなわち、面一になっている。
【0045】
第1の外枠部14には、第1の位置決め部17の外側に、第2の開口の一例としての第1の支持口18が形成されている。実施例1では、第1の支持口18の開口面積S1は、第1の厚枠部16の面積S0よりも小さく形成されている。第1の支持口18には後端ブロック3に設けられた張架部の一例としての支持爪19が貫通して掛かった状態で、グリッド電極12の後端部が後端ブロック3に支持される。
なお、実施例1の支持爪19は、第1の外枠部14の上面に接触する爪部19aの下面19bは、第1の外枠部14の上面に沿った方向となる形状になっている。支持爪19が第1の外枠部14から脱落しないようにするには、下面19bが上方に傾斜した形状、すなわち、釣り針の「返し」のような形状とすることが望ましいが、「返し」形状とした場合、第1の外枠部14が斜め上方に変形する力を受け歪みやすい。また、後述するスプリング26が引っ張る方向(水平方向)に対して傾斜することとなり、グリッド電極12が歪みやすくなる。よって、実施例1のように、下面19bが第1の外枠部14の上面に沿った方向となる形状とすることで、グリッド電極12の歪みを抑制可能である。
【0046】
網状部13の長手方向の他端部の一例としての前端部には、第2の外枠部21が設けられている。第2の外枠部21は、突出部の一例としての第2の厚枠部22を有する。実施例1の第2の厚枠部22は、第1の厚枠部16とは、位置が網状部13を挟んで前後が対称なだけで、同様に構成されているので、詳細な説明は省略する。
第2の外枠部21には、第2の厚枠部22の長手方向外側に、被位置決め部の一例としての第2の位置決め部23が形成されている。第2の位置決め部23も、第1の位置決め部17とは網状部13を挟んで前後対称なだけで同様に構成されているので、詳細な説明は省略する。
【0047】
第2の外枠部21には、第2の位置決め部23の外側に、付勢取付部の一例であって、第2の開口の一例としての第2の支持口24,24が形成されている。実施例1の第2の支持口24,24は、グリッド電極12の幅方向の両側に一つずつ形成されている。実施例1では、第2の支持口24,24のそれぞれの開口面積S2は、厚枠部16,22の面積S0よりも小さく形成されており、2つの第2の支持口24,24の開口面積S2の合計(=2×S2)も厚枠部16,22の面積S0よりも小さく形成されている。
図5において、各第2の支持口24,24には、付勢手段の一例としてのスプリング26,26の一端がそれぞれ支持されている。スプリング26,26の他端は、前端ブロック4に支持されている。スプリング26,26は、第2の支持口24,24を介して、グリッド電極12の長手方向外側且つ幅方向外側に向けて引っ張る力をグリッド電極12に付与する。なお、図6に示すように、実施例1では、スプリング26,26は、グリッド電極12を引っ張る方向がグリッド電極12の表面に沿った方向(厚さ方向に垂直な方向)に設定されている。
したがって、支持爪19とスプリング26,26とにより、グリッド電極12を長手方向に張力を付与した状態で支持する実施例1の張架手段19+26が構成されている。
【0048】
図5図6において、グリッド電極12の位置決め部17,23に対応して、押さえ手段の一例としての位置決めブロック31~34が配置されている。すなわち、第1の位置決め部17の下面に対応して、第1の下位置決めブロック31が配置され、第1の位置決め部17の上面に対応して、第1の上位置決めブロック32が配置されている。また、第2の位置決め部23の下面に対応して、第2の下位置決めブロック33が配置され、第2の位置決め部23の上面に対応して、第2の上位置決めブロック34が配置されている。第1の下位置決めブロック31と第1の上位置決めブロック32とは、長手方向に対してずれた位置に配置されており、実施例1では、第1の下位置決めブロック31の方が長手方向で内側に配置されている。同様に、第2の下位置決めブロック33と第2の上位置決めブロック34も、長手方向に対してずれた位置に配置されており、実施例1では、第2の下位置決めブロック33の方が長手方向で内側に配置されている。
各位置決めブロック31~34は、グリッド電極12が張架された状態で、位置決め部17,23の各面に接触して押さえている。したがって、位置決めブロック31~34により、グリッド電極12の厚さ方向の位置決めがされている。実施例1の各位置決めブロック31~34は、厚枠部16,22とは長手方向にずれた位置に配置されており、非接触な状態となっている。
【0049】
図5図6において、第1の厚枠部16の幅方向の両外側には、案内手段の一例としてのガイドスロープ36が形成されている。ガイドスロープ36は、長手方向の内側に行くにつれて網状部13に近づくように傾斜して形成されている。実施例1では、グリッド電極12の長手方向に対して、第1の厚枠部16の方が、ガイドスロープ36よりも外側まで形成されている。
なお、実施例1の帯電器CCkでは、各電極2,11,12には、電源回路Eから放電用の電圧が印加され、ワイヤ電極11とシールド電極2およびグリッド電極12との電位差に伴って、ワイヤ電極11から放出された電子が第1の開口13aを通過して、感光体ドラムPkに降り注ぎ、感光体ドラムPkの表面が帯電される。なお、実施例1では、ワイヤ電極11に高電圧が印加され、感光体ドラムPkの表面の目的の帯電電圧に応じた電圧がグリッド電極12に印加されており、グリッド電極12に印加される電圧により、ワイヤ電極11の放電が制御されて、感光体ドラムPkの表面の帯電電圧が制御される。
【0050】
図4において、帯電器本体1の内部には、放電器の清掃手段の一例としての電極クリーナ41が配置されている。電極クリーナ41は、清掃枠体の一例としてのスライダフレーム42を有する。実施例1のスライダフレーム42は、絶縁材料により構成されている。スライダフレーム42は、帯電器本体1の内部を、帯電器CCkの長手方向(感光体ドラムPkの軸方向)に沿って移動可能である。
スライダフレーム42の右下端には、連結部の一例としてのアーム部43が形成されている。アーム部43は、シールド電極2の右壁部2cの下端を回り込むようにU字状に形成されている。
アーム部43の上端には、連動部の一例としてのシャフト貫通部44が形成されている。シャフト貫通部44は、シャフト6が内部を貫通している。シャフト貫通部44の内部には、シャフト6のネジ6aと噛み合うネジ44aが形成されている。したがって、シャフト6が正逆回転すると、ネジ6a,44aを介してアーム部43がシャフト6に沿って前後方向に移動可能である。すなわち、電極クリーナ41が前後方向に移動可能である。
前記シャフト6やアーム部43、シャフト貫通部44等により、実施例1の清掃移動部材6+43+44が構成されている。
【0051】
スライダフレーム42の下面には、清掃手段の一例としてのグリッドクリーナ45が支持されている。グリッドクリーナ45は、網状部13の幅方向の全域に対向して配置されている。グリッド電極12の幅方向に対して、グリッドクリーナ45の両側には、被ガイド手段45aが形成されている。被ガイド手段45aは、ガイドスロープ36に対応する位置に配置されている。
したがって、電極クリーナ41が前後方向に往復移動すると、グリッド電極12にグリッドクリーナ45が接触してグリッド電極12が清掃可能である。そして、グリッド電極12の長手方向の後端側の待機位置に電極クリーナ41が移動すると、被ガイド手段45aがガイドスロープ36にガイドされて、グリッドクリーナ45がグリッド電極12に対して離間した状態となる。
【0052】
スライダフレーム42には、清掃手段の一例としてのワイヤクリーナ46,47が支持されている。ワイヤクリーナ46,47は、ワイヤ電極11を挟んで上下に配置されている。ワイヤクリーナ46,47は、電極クリーナ41が後端側の待機位置に移動した状態では、ワイヤクリーナ46,47がワイヤ電極11から離間し、電極クリーナ41が前方に移動すると、ワイヤクリーナ46,47がワイヤ電極11を上下から挟むように接触してワイヤ電極11を清掃可能となる。
なお、実施例1のグリッドクリーナ45は、基布に清掃用の毛が植毛されたいわゆるブラシ状に構成されているが、これに限定されず、布状の構成とする等、清掃可能な任意の構成とすることが可能である。なお、グリッドクリーナ45やワイヤクリーナ46,47については、例えば、特開2006-91456号公報等に記載されており、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0053】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた本発明の実施例1の画像形成装置Uでは、帯電器CCkにグリッド電極12が使用されている。グリッド電極12は、一般的に、厚さが厚いと、放電時にワイヤ電極11から放出された電子がグリッド電極12に接触して感光体ドラムPkに到達しにくくなり、放電効率、帯電効率が低下する。したがって、グリッド電極12(特に網状部13)は、できるだけ薄い方が好ましい。グリッド電極12が薄くなると、グリッド電極12の剛性が低下し、グリッド電極12の整合誤差や個体差、組立誤差等で、長手方向に張架する力にばらつきが発生すると、グリッド電極12に歪みや捩じれが発生する問題がある。グリッド電極12が歪むと、感光体ドラムPkとの距離にばらつきが発生して、帯電が不均一になる問題がある。
また、実施例1では、グリッド電極12が電極クリーナ41で清掃される際に、グリッドクリーナ45がグリッド電極12から離間した状態から接触した状態となる。したがって、グリッド電極12は、グリッドクリーナ45に押される形となる。したがって、グリッド電極12に微小な歪み等があると、グリッドクリーナ45が接触した際に、グリッド電極12が展ばされる形となり、グリッドクリーナ45が離間すると、グリッド電極12がまた歪んだ状態となる。したがって、グリッド電極12が清掃される度に、曲げ伸ばしの繰り返しで疲労し、破損する恐れもある。
【0054】
特許文献1に記載のように、グリッド電極の両端部を厚くすることで、グリッド電極の剛性を向上させることは可能である。しかし、グリッド電極の位置決め、すなわち、感光体ドラムPkに対する距離を目的の間隔に保持する際に、厚い部分に位置決め用の部材を接触させると、位置決め用の部材が接触する厚い部分と、感光体ドラムPkとの間隔を維持したい薄い網状部の部分とで、位置がずれる場合がある。この場合、厚い部分と網状部との厚さの差に誤差が発生しやすく、感光体とグリッド電極との間隔の精度が低下し、帯電不良が発生する恐れがある。
これらに対して、実施例1では、グリッド電極12の両端部に厚枠部16,22が形成されると共に、厚枠部16,22からずれた位置決め部17,23に位置決めブロック31~34が接触する。したがって、グリッド電極12の厚さを薄くしても、剛性が高く、歪みや捩じれが抑制されると共に、表面位置が網状部13とは異なる厚枠部16,22ではない位置決め部17,23での位置決めで感光体ドラムPkとグリッド電極12との間隔の精度を向上させることが可能である。したがって、特許文献1の場合に比べて、帯電不良の発生を抑制可能である。
【0055】
特に、実施例1では、位置決め部17,23が、網状部13の表面に対応する位置、すなわち、厚さ方向では、網状部13の表面と同じ位置に位置決め部17,23が配置されており、位置決め部17,23を固定した位置が網状部13の位置に対応する。よって、網状部13の位置の精度が向上しやすい。
また、実施例1では、位置決め部17,23が網状部13の外側で、厚枠部16,22からずれた位置に配置されている。したがって、網状部13を位置決めブロック31~34を塞ぐことなく位置決めすることが可能である。
【0056】
さらに、実施例1では、第1の下位置決めブロック31および第2の下位置決めブロック33が長手方向の内側に配置され、第1の上位置決めブロック32および第2の上位置決めブロック34が長手方向の外側に配置されている。上位置決めブロック32,34が下位置決めブロック31,33よりも長手方向の内側に設置されている場合は、電極クリーナ41が待機位置に移動する際に干渉しやすくなり、各上位置決めブロック32,34を電極クリーナ41の外側に配置しようとすると帯電器CCk全体の前後方向の長さが長くなる問題があるが、実施例1ではこれが抑制されている。
【0057】
また、感光体ドラムPkとグリッド電極12との間隔を設定する場合、上位置決めブロック32,34は必須ではなく、下位置決めブロック31,33のみでも十分である。しかし、ワイヤ電極11からの放電時にグリッド電極12が自励振動することがあり、自励振動で、上面側にもグリッド電極12が移動する恐れがある。これに対して、実施例1では、グリッド電極12の上面側と下面側がそれぞれ位置決めブロック31~34で位置決めされており、自励振動が発生しても感光体ドラムPkとグリッド電極12との距離が保持されやすい。
さらに、グリッド電極12の長手方向に対して、上位置決めブロック32,34と下位置決めブロック31,33の位置を同じ位置にすることも可能であるが、同じ位置にする場合、製造時や組立時に誤差が出やすく位置決めの精度が低下する恐れがある。これに対して実施例1では、上位置決めブロック32,34と下位置決めブロック31,33の位置が、長手方向でずれており、位置決めの精度が低下することが抑制される。
【0058】
また、実施例1では、ガイドスロープ36よりも第1の厚枠部16が幅方向の外側まで形成されている。すなわち、長手方向で、ガイドスロープ36の全域が第1の厚枠部16がカバーしている状態となっている。ガイドスロープ36の部分は、電極クリーナ41の移動時に負荷がかかりやすい。ガイドスロープ36が支持される部分の剛性が低いと、グリッド電極12が変形(歪みやたわみ)して、疲労から破損する恐れがある。これに対して、実施例1ではガイドスロープ36が支持される第1の厚枠部16の厚さが厚く、網状部13と同じ厚さの場合に比べて、剛性が高くなっている。したがって、グリッド電極12の破損が抑制される。
【0059】
前記第1の支持口18や第2の支持口24,24の面積S1,S2が、厚枠部16,22の面積S0よりも大きいと、全体の剛性が不足する恐れが高くなるが、実施例では、面積S0>面積S1,S2となっており、剛性不足が抑制されている。
実施例1では、スプリング26,26がグリッド電極12を長手方向および幅方向の外側に引っ張るように構成されているが、これに限定されない。長手方向の外側に引っ張る1つのスプリング26とすることも可能である。しかしながら、スプリング26が1つの場合は、グリッド電極12に歪みが発生しやすくなる。これに対して、実施例1のように、スプリング26,26がグリッド電極12を長手方向および幅方向の外側に引っ張る形態、すなわち、グリッド電極12を広げるように力を付与したほうが、グリッド電極12の歪みが抑制される。同様に、グリッド電極12の表面に沿った方向(厚さ方向に垂直な方向)にスプリング26がグリッド電極12を引っ張る構成に限定されないが、グリッド電極12の表面に沿っていない場合(厚さ方向の成分を有する場合)には、グリッド電極12に歪みが発生しやすい。したがって、グリッド電極12の表面に沿った方向(厚さ方向に垂直な方向)にスプリング26がグリッド電極12を引っ張る構成としたほうが、グリッド電極12の歪みを抑制可能である。
【実施例2】
【0060】
図7は実施例2のグリッド電極の説明図であり、実施例1の図6に対応する図である。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図7において、実施例2のグリッド電極12では、実施例1の厚枠部16,22と異なり、グリッド電極12の下面(感光体ドラムPk側)ではなく、上面(ワイヤ電極11側)に厚枠部16′,22′が形成されている。そして、実施例2の厚枠部16′,22′は、長手方向に対して、下位置決めブロック31,33が接触する位置の反対側の面まで達する範囲まで形成されている。したがって、実施例2では、厚枠部16′,22′に対して、グリッド電極12の厚さ方向の反対側の面に下位置決めブロック31,33が配置されている。
【0061】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の帯電器CCkでは、実施例1のグリッド電極12に比べて、更に剛性が高まると共に、各位置決めブロック31~34が位置決めする位置は、網状部13の上面及び下面に対応しており、精度も十分に確保される。
【実施例3】
【0062】
図8は実施例3のグリッド電極の説明図であり、実施例1の図6に対応する図である。
なお、この実施例3の説明において、前記実施例1,2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1,2と相違しているが、他の点では前記実施例1,2と同様に構成されている。
図8において、実施例3のグリッド電極12では、実施例1の厚枠部16,22と、実施例2の厚枠部16′,22′の両方を備えている。
【0063】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の帯電器CCkでは、実施例2のグリッド電極12に比べて、更に剛性が高まると共に、実施例1,2と同様に、グリッド電極12の厚さ方向の位置の精度も十分に確保される。
【実施例4】
【0064】
図9は実施例4のグリッド電極の説明図であり、実施例1の図5に対応する図である。
なお、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図9において、実施例4の帯電器CCkでは、第1の上位置決めブロック32′,32′が、実施例1と異なり、グリッド電極12の幅方向の両端部において第1の支持口18の縁に接触して位置決めを行う構成となっている。
【0065】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の帯電器CCkでは、第1の上位置決めブロック32′,32′が幅方向の両端部でグリッド電極12の上面側の位置決めを行っている。すなわち、実施例1の構成に比べて、幅方向の中央部が空いた状態となっている。実施例1のように第1の上位置決めブロック32が幅方向に長い構成の場合、電極クリーナ41が待機位置に移動すると、第1の上位置決めブロック32と干渉しやすい。これに対して、実施例4のように第1の上位置決めブロック32′,32′が幅方向の両端部に配置されることで、電極クリーナ41用の空間が確保し易くなり、電極クリーナ41の設計の自由度が向上したり、全体の小型化にも寄与する。
【0066】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H014)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機に限定されず、プリンタ、FAX等の画像形成装置にも適用可能である。また、カラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置にも適用可能である。さらに、タンデム型の画像形成装置に限定されず、ロータリ型の画像形成装置にも適用可能である。
【0067】
(H02)前記実施例において、ワイヤ電極11は、1本の線材の場合を例示したが、これに限定されず、2本以上の線材を有する構成等とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、シールド電極2を有しない構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、ワイヤ電極11に対してワイヤクリーナ46,47が接触、離間する構成を例示したが、ワイヤクリーナ46,47がワイヤ電極11に常時接触する構成を採用することも可能である。同様に、グリッドクリーナ45がグリッド電極12に常時接触する構成とすることも可能である。
【0068】
(H05)前記実施例において、放電器の一例としての帯電器を例示したが、これに限定されず、放電器の他の例としての感光体ドラムPy~Pkや記録用紙Sの除電器や補助帯電器、転写器T1y~T1k,T2等としても使用可能である。
(H06)前記実施例において、電極クリーナ41を前後方向に移動させるための構成は、例示したシャフト6を使用する構成に限定されず、前後方向に移動可能な任意の構成を採用可能である。
(H07)前記実施例において、グリッドクリーナ45の構成は実施例に例示した構成に限定されず、設計等に応じて任意の構成を採用可能である。例えば、ブラシや布等の構成も任意の清掃可能な構成、例えば、スポンジ等に変更可能である。さらに、シールド電極2の内周面に接触する清掃部を設けてシールド電極2も清掃可能としたり、グリッド電極12の下面に接触する清掃部材を設けて、グリッド電極12の両面を清掃可能な構成とすることも可能である。
【0069】
(H08)前記実施例において、ワイヤクリーナ46,47はワイヤ電極11を挟んで一対設けることが望ましいが、一つのみとすることも可能であるし、3つ以上設けることも可能である。また、ワイヤ電極11の長手方向に対してずれた位置に配置することが望ましいが、同じ位置に設けることも可能である。
(H09)前記実施例において、位置決め部17,23の位置は網状部13の表面と同一の位置とすることが望ましいが、製造時の公差や組立時の公差を考慮した範囲でずれた位置とすることも可能である。
【0070】
(H010)前記実施例において、位置決め部17,23の位置は、厚枠部16,22,16′,22′よりも長手方向で外側とすることが望ましいが、内側とすることも可能である。また、実施例2,3では、下位置決めブロック31,33の反対側に厚枠部16′,22′を設ける構成を例示したが、上位置決めブロック32,34の反対側に厚枠部を設けることも可能である。
(H011)前記実施例において、ガイドスロープ36は設けることが望ましいが、設けない構成とすることも可能である。
(H012)前記実施例4において、第1の上位置決めブロック32′だけを幅方向の両側に分割する形態としたが、第1の下位置決めブロック31、第2の下位置決めブロック33、第2の上位置決めブロック34も分割する形態とすることが可能である。なお、分割する際は、2つに限定されず、3つ以上とすることも可能である。
【0071】
(H013)前記実施例において、各支持口18,24の面積S1,S2は、厚枠部16,22の面積S0よりも小さいほうが望ましいが、設計や仕様、使用する材料の剛性等に応じて、S0<S1,S2とすることも可能である。
(H014)前記実施例において、2つのスプリング26,26で長手方向及び幅方向の外側に引っ張る構成を例示したが、スプリングを3つ以上とすることも可能である。また、グリッド電極12の後端側を支持爪19で支持する構成を例示したが、これに限定されない。後端側もスプリングで支持する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0072】
11…第1の電極、
12…第2の電極、
13a…開口、
13…網状部、
16,22,16′,22′…突出部、
17,23…被位置決め部、
18,24…第2の開口、
19,26…張架手段、
24…付勢取付部、
26…付勢手段、
31,32,33,34,32′…押さえ手段
36…案内手段、
45…清掃手段、
CCy,CCm,CCc,CCk…放電器、帯電手段、
Py,Pm,Pc,Pk…像保持手段、
S0…突出部の面積、
S1,S2…第2の開口の面積、
U…画像形成装置。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9