(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240806BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240806BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2020053057
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 史弥
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-087930(JP,A)
【文献】特開平09-308712(JP,A)
【文献】特開平07-067991(JP,A)
【文献】特開2005-125090(JP,A)
【文献】特開2004-105521(JP,A)
【文献】米国特許第09849349(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0214658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、
フェース部と、ホーゼルと、当該フェース部とホーゼルとを連結する連結部とを具備し、
前記連結部は空洞部を有するとともに、そのバックフェース側で前記空洞部と連通する開口部と、当該連結部の下部かつシャフト軸に対し
てトゥ部とは反対側に突出して設けられる重量部とを有する
アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドであって、
前記重量部は、当該アイアン型ゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブをプレイヤーがアドレスした際に当該プレイヤーの死角となる位置に形成される。
アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドであって、
前記連結部のうち前記開口部と対向し前記フェース部と隣接するフェース側連結部は、前記フェース部の一部を形成するように、前記フェース部と同じ厚さを有する
アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドと、
前記ゴルフクラブヘッドに取り付けられるゴルフクラブシャフトと
を具備するアイアン型ゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイアン型のゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アイアン型のゴルフクラブにおいては、打球の初速を上げるために、フェースの反発係数を高める試みがなされてきた。
【0003】
例えば下記特許文献1には、バックフェース部に、フェース面に向かってキャビティを備えたアイアン型ゴルフクラブヘッドにおいて、キャビティを囲む内壁部のフェース面側に、ヘッド外周部に向けて凹む座繰り状のアンダーカット部を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、アンダーカット部によってフェースを大きくし全体の反発係数が向上するものの、ヒール側の反発係数向上の量は非常に小さい。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、特にヒール側において従来よりも高い反発係数を実現することが可能なアイアン型のゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るゴルフクラブヘッドは、アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、フェース部と、ホーゼルと、当該フェース部とホーゼルとを連結する連結部とを有する。上記連結部は空洞部を有するとともに、そのバックフェース側に上記空洞部と連通する開口部を有する。
【0008】
これにより連結部を空洞化することで、連結部が薄肉化され、フェース部の反発係数(COR)、特にヒール側の反発係数を高めることができるとともに、開口部により連結部を軽量化することでヘッドの重心高さを低くすることができる。
【0009】
上記連結部は、上記空洞部よりもヒール側に重量部を有してもよい。
【0010】
これにより、連結部の空洞化及び開口部の形成によって生じた余剰重量をヒール側に配置することで、重心高さを上げることなく横慣性モーメントを大きく上げることができ、オフセンターヒット時の初速減少を低減することができる。
【0011】
上記重量部は、当該アイアン型ゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブをプレイヤーがアドレスした際に当該プレイヤーの死角となる位置に形成されてもよい。
【0012】
これにより、ヒール側の重量を大きくして高い慣性モーメントを実現しながら、プレイヤーに従来のゴルフクラブと同様に違和感なくアドレスさせることができる。
【0013】
上記連結部のうち上記開口部と対向し上記フェース部と隣接するフェース側連結部は、上記フェース部の一部を形成するように、上記フェース部と同じ厚さを有してもよい。
【0014】
これによりフェース部を連結部まで延在させることで、フェース部全体の反発係数をより向上させることができる。フェース部と同じ厚さとなる部分は、上記ホーゼルのシャフト挿入用の穴の底面の直下(当該底面と貫通しない限界の位置)まで形成されてもよい。
【0015】
本発明の他の形態に係るゴルフクラブは、上記のいずれかのゴルフクラブヘッドと、当該ゴルフクラブヘッドに取り付けられるゴルフクラブシャフトとを有する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、特にヒール側において従来よりも高い反発係数を実現することが可能なアイアン型のゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブを提供することができる。しかし、この効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るゴルフクラブのヘッド部分の正面図である。
【
図4】上記ヘッド部分のヒール側から見た側面図である。
【
図7】上記ヘッド部分の背面図においてフェース背面の露出領域を示す図である。
【
図8】上記ヘッドの各部の重量配分の計算手法について示した図である。
【
図9】上記
図8に示した計算手法に基づく計算結果の一例を示した図である。
【
図10】上記
図8に示した計算手法に基づく計算結果の他の例を示した図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るゴルフクラブのヘッド部分の正面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係るゴルフクラブのヘッド部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るゴルフクラブのゴルフクラブヘッド部分の外観を示す正面図であり、
図2は当該ヘッド部分の背面図であり、
図3は当該ヘッド部分の平面図であり、
図4は当該ヘッド部分のヒール側から見た側面図である。また
図5は
図1のA-A断面図であり、
図6は
図1のB-B断面図である。
【0021】
これらの図に示すように、本実施形態に係るゴルフクラブ100は、アイアン型のゴルフクラブヘッド10(以下、単にヘッド10ともいう)と、当該ゴルフクラブヘッド10に取り付けられるゴルフクラブシャフト15とを有する。
【0022】
ゴルフクラブシャフト15は、例えば図示しないソケット等を介してゴルフクラブヘッド10に取り付けられるが、ソケット等を介さずに直接取り付けられてもよい。
【0023】
ゴルフクラブヘッド10は、トウ部1と、ヒール部2と、センター部3とを有する。ヒール部2はホーゼル4を有し、センター部3は、トウ部1とヒール部2との間に位置しヘッド10の重心Gを中心として形成される。ホーゼル4は上記ゴルフクラブシャフト15を挿入するためのシャフト挿入穴4aを有する。
【0024】
またヘッド10は、打球面となるフェース5を有し、上記ヒール部2は、上記フェース5とホーゼル4とを連結する連結部20を有する。フェース5の上端にはトップブレード5aが形成されており、フェース5の下端から背面側にはソール6が形成されている。フェース5の背面側には当該フェース5の背面が露出するようにキャビティ部7が形成されている。
【0025】
図2に示すように、トウ部とセンター部3との境界b1と、ヒール部2とセンター部3との境界b2は、ヘッド10の重心Gからそれぞれ21.335mmの距離を有しトウヒール方向に垂直な2つの面によって形成される。これは、ゴルフ用具規則において、インパクトエリアが重心からを通り42.67mmの幅を有する帯状の部分と定義されていることによる。
【0026】
これに代えて、上記境界b1及びb2は、上記重心Gからトウヒール方向に25mmの距離に形成されてもよいし、フェース5のスコアライン形成領域の中心部からトウヒール方向に25mmの距離に形成されてもよい。
【0027】
ヘッド10は、例えばAM355等のステンレス鋼等の素材で一体的に鋳造・鍛造により形成されており、その総重量は、一般的なアイアン型ゴルフクラブヘッドよりも大きく、例えば230~300gとされる。
【0028】
この場合、上記センター部3の重量は、例えば当該ヘッド10の総重量の30%以下とされる。この場合、上記ヒール部2の重量は、ヘッド10の総重量の25~40%であってもよい。またこの場合、トウ部1の重量は、ヘッド10の総重量の40~60%であってもよい。
【0029】
またこの場合、ヘッド10のトウヒール方向(X方向)の長さ(X方向におけるトウ部1の外側端部からヒール部2の外側端部までの長さ)は135mm以下とされる。
【0030】
これにより、センター部の重量を30%以下に抑えて、トウ部1および/またはヒール部2の重量を大きくすることで、従来のヘッドよりも高い慣性モーメント(横慣性モーメント)を実現することができる。
【0031】
このような重量配分を実現するため、ヘッド10のトウ部1は、その下部かつバックフェース側に垂直方向(Y方向)に延材するトウ側延材部11を有し、ヒール部2は、その下部かつシャフト軸Sに対してセンター部3とは反対側に、垂直方向(Y方向)に延材するヒール側延材部21を有する。当該トウ側延材部11及びヒール側延材部21は重量部(ウェイト)として機能する。
【0032】
具体的には、トウ側延材部11は、フェース5のトウ側の側面を垂直方向に延材させるとともにソール6と底面を共有させることで形成された、直角三角錐状の形状を有する。
【0033】
また
図1に示すように、当該トウ側延在部11のうち、ヘッド10のフェース5の正面視において当該フェース5の輪郭5eからはみ出している部分の重量は、ヘッド10の総重量の10%以上とされてもよい。
【0034】
またヒール側延材部21は、ヒール部2のうちシャフト軸Sよりもトウヒール方向においてヒール側の部分を、各
図XY平面においてシャフト軸Sに対してほぼ垂直な斜め下方向へ山なりに突出させたような板形状を有する。
【0035】
また
図1に示すように、ヒール側延材部21は、シャフト軸Sを通りフェース面に垂直な面でヘッド10をヒール部2側とそれ以外とに分割した場合に、当該ヒール部2側の重量が、ヘッド10の総重量の13%以上となるように形成されてもよい。
【0036】
図3に示すように、上記トウ側延材部11及びヒール側延材部21は、ゴルフクラブ100をプレイヤーがアドレスした際に当該プレイヤーの死角となる位置(トウ側延材部11及びヒール側延材部21よりも上方に位置する部位に隠されてプレイヤーから見えなくなる位置)に形成されている。
【0037】
これにより、トウ部1及びヒール部2の重量を大きくして高い慣性モーメントを実現しながら、プレイヤーに従来のゴルフクラブと同様に違和感なくアドレスさせることができる。
【0038】
図2、
図4、
図6に示すように、連結部20は、ホーゼル4直下からセンター部3に向かって徐々に容積が大きくなるホーン形状の空洞部22を有する。また連結部20のバックフェース側には、当該空洞部22と連通する開口部23を有する。上記ヒール側延材部21は当該空洞部22よりもヒール側に形成される(連結部20のうち空洞部22よりもヒール側の部分がヒール側延材部21となる)。
【0039】
このように連結部20を空洞化しかつ開口部23を形成することで、余剰重量を生じさせ、余剰重量をヒール側に配置することで、重心高さを上げることなく横慣性モーメントを大きく上げることができ、オフセンターヒット時の初速減少を低減することができる。
【0040】
それとともに、連結部20が薄肉化され、フェース5の反発係数(COR)、特にヒール側の反発係数を高めることができるとともに、開口部23を有することで重心高さを低くすることができる。
【0041】
図7は、上記ヘッド10のフェース5の背面のうち、バックフェース側に露出する領域R(キャビティ部7)を示した図である。この領域Rには、上記開口部23から露出する領域が含まれる。
【0042】
同図に示すように、上記領域Rを重心G(を領域Rに投影した点)を通る垂直線で分割した場合、ヒール部2側の領域の面積S1とトウ部1側の領域の面積S2の比は、0.75~1.5とされる。
【0043】
これにより、バックフェース側に従来よりもヒール部2側に広がる大きな開口領域Rを形成することで、余剰重量を生じさせ、その分の重量を重心から遠い位置に配置して慣性モーメントを高めることが可能となる。
【0044】
また
図2及び
図4に示すように、上記トップブレード5aは、4mm以下の肉厚を有しており、トウ部1から連結部20(ホーゼル4の下端)まで延在し、上記空洞部22及び開口部23の一部を形成している。
【0045】
これによりヘッド10の上部を軽量化することができ、それにより重心Gを低くすることができる。
【0046】
また上記ホーゼル4は、その外径が従来の一般的なものよりも大きく形成されており、かつ、その下端部が下方に向かってテーパ状に形成されている。従来よりも大径に形成されることにより、当該ホーゼル4のうちシャフト挿入穴4aの周囲のホーゼル壁4bの重量は、ヘッド10の総重量の8%以上とされる。
【0047】
これにより、ヒール部2のうちより重心から遠いホーゼル4に重量を配分することで、高い慣性モーメントを実現することができる。
【0048】
また
図2、
図5及び
図6に示すように、センター部3において、ソール6の肉厚の変化率は20%以下であってもよい。これによりセンター部3のソール部の肉厚を広範囲に亘って小さくし、その分の重量をヒール部2またはトウ部1に配置することで、慣性モーメントを高めることが可能となる。
【0049】
以上のような構成を有することにより、ヘッド10の重心Gの垂直軸回りの慣性モーメント(横慣性モーメント)は4000g・cm^2以上とされる。
【0050】
また、ヘッド10のフェース5上に投影された場合の重心Gの高さは22mm以下とされる。
【0051】
このような慣性モーメント及び重心高さを実現するため、本発明者はヘッドのどの部位にどれほどの重量を配分すべきかについて計算を行った。
【0052】
図8は、ヘッド10の各部の重量配分の計算手法について示した図である。同図に示すように、余分な重量の無いアイアン型のヘッドに重量を設置する部分4点(A,B,C,D)を決定し、当該4点の重量配分と慣性モーメントを、同図の式1を用いて計算する。この時、達成すべき重心エリアと重量も設定する。4点のうちAはホーゼル4の位置に対応し、Bはヒール側延材部21に対応し、Cはトウ側延材部11に対応し、Dはトウ部1の上端部に対応する。
【0053】
当該式1において、Mは目標とする重量配分後のヘッド10の総重量であり、moは重量配分前のヘッド10の初期重量、MOI0は重量配分前のヘッド10の慣性モーメント、xg,yg,zgは目標とする重心Gの座標、Iは各重量の設置部から目標とする重心までの長さを示す。
【0054】
当該式1を用いることで、設計したい重心エリアで最大の慣性モーメントを達成する重量配分を求めることができる。
【0055】
図9は、上記
図8に示した計算手法に基づく計算結果の一例を示した図である。この例では、ヘッド10をステンレス鋼により一体鋳造し、重量配分前のヘッド10の総重量(mo)を127.6gとした場合を想定している。
【0056】
同図に示すように、部分A(ホーゼル4)及び部分B(ヒール側延材部21)にそれぞれ19.2g、18.4gの重量を配分し、部分C(トウ側延材部11)にそれらの5倍近くの89.7gの重量を配分するとともに、部分D(トウ部上端部)にはほとんど重量を配分しないことによって、4154gcm^2の慣性モーメント及び17.28mmの重心高さを達成している。
【0057】
図10は、上記
図8に示した計算手法に基づく計算結果の他の例を示した図である。この例では、重量配分前のチタン製のヘッドに重量としてタングステンを配分することでヘッド10を製造し、重量配分前のヘッド10の総重量(mo)を72.9gとした場合を想定している。当該タングステン製の部材は重量配分前のヘッドに溶接等によって接合される。
【0058】
同図に示すように、部分A(ホーゼル4)及び部分B(ヒール側延材部21)にそれぞれ37.3g、35.4gの重量を配分し、部分C(トウ側延材部11)にそれらの3倍近くの108.8gの重量を配分するとともに、部分D(トウ部上端部)にはほとんど重量を配分しないことによって、5446gcm^2の慣性モーメント及び17.28mmの重心高さを達成している。このように一般的なヘッドの素材とは異なる金属を用いて重量配分することで、一体鋳造の場合よりも高い慣性モーメントを実現することができる。
【0059】
[まとめ]
以上説明したように本実施形態によれば、トウ部1及びヒール部2の下部に重量を配分することで、従来よりも高い慣性モーメントを有しかつ低重心のアイアン型ゴルフクラブヘッドを提供することができる。またヒール部2の連結部20を空洞化することでフェースの反発係数(COR)、特にヒール側の反発係数を高めることができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態及び以降の実施形態において上記第1実施形態と同様の機能及び構成を有する箇所には同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0061】
上述の実施形態では、ヘッド10はトウ側延材部11及びヒール側延材部21の双方を有していたが、トウ側延材部11及びヒール側延材部21のうちいずれかは設けなくてもよい。
【0062】
またトウ側延材部11及びヒール側延材部21の形状や大きさは第1実施形態で示したものに限られない。
【0063】
図11は、本実施形態に係るゴルフクラブのヘッド部分の正面図であり、
図12は
図11のC-C断面図である。
【0064】
両図に示すように、本実施形態では、ヘッド10は、トウ側延材部11及びヒール側延材部21のうちヒール側延材部21のみを有している。また本実施形態のヒール側延材部21は、フェース5と平行な正面及び背面が略平行四辺形からなる斜四角柱形状を有している。
【0065】
また
図12に示すように、本実施形態に係るヒール部2において、連結部20のうち開口部23と対向しフェース5と隣接する部分(フェース側連結部24)は、フェース5の一部を形成するように、フェース5と同じ厚さを有している。このフェース側連結部24は、ホーゼル4のシャフト挿入用の穴の底面の直下(当該底面と貫通しない限界の位置)まで形成されてもよい。
【0066】
これによりフェース5を連結部20まで延在させることで、フェース全体の反発係数をより向上させることができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
上述の各実施形態においては、ヘッド10の慣性モーメントを高めることを目的として
トウ側延材部11及び/又はヒール側延材部21を設けていたが、高慣性モーメントを目的とせず反発係数を高めることを目的とする場合には、必ずしもトウ側延材部11及びヒール側延材部は設けなくてもよい。
【0068】
図13は、本実施形態に係るゴルフクラブのヘッド部分の正面図であり、
図14は
図13のD-D断面図である。
【0069】
両図に示すように、本実施形態に係るヘッド10は、上記第2実施形態において示したヘッド10からヒール側延材部21を除いたものである。このような構成によっても、フェース5を連結部20まで延在させることで、フェース全体の反発係数をより向上させることができる。
【0070】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0071】
例えば、上述の各実施形態において示した各種重量、面積、長さ、割合等の数値は上述したものに限られず、適宜変更が可能である。
【0072】
上述の実施形態では、ヘッド10は一体鋳造または異種金属材料の溶接によって製造する例を示したが、ヘッド10は、それら以外の製法、例えば3Dプリンタによって製造されてもよい。
【0073】
上述の実施形態においては、ロフト角が30度前後のミドルアイアンのヘッドが示されたが、本発明はよりロフト角の大きいショートアイアンやウェッジにも同様に適用可能であり、またよりロフト角の小さいロングアイアンやユーティリティアイアンにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…トウ部
2…ヒール部
3…センター部
4…ホーゼル
4a…シャフト挿入穴
4b…ホーゼル壁
5…フェース
5a…トップブレード
6…ソール
7…キャビティ部
11…トウ側延材部
20…連結部
21…ヒール側延材部
22…空洞部
23…開口部
24…フェース側連結部
10…ゴルフクラブシャフト
100…ゴルフクラブ
G…重心