(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】健康情報管理装置、健康情報管理システム、および健康情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/13 20060101AFI20240806BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240806BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20240806BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61B3/13
G16H50/20
G16H50/30
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2020062608
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】村田 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】日比 健二
(72)【発明者】
【氏名】宮城 友洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 清人
(72)【発明者】
【氏名】星川 靖裕
(72)【発明者】
【氏名】竹内 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 寿成
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-016564(JP,A)
【文献】特開2011-072446(JP,A)
【文献】特開2019-107427(JP,A)
【文献】特開2019-020929(JP,A)
【文献】特開2019-118651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
A61B 5/00 - 5/01
G16H 10/00 -10/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の健康情報を管理する健康情報管理装置であって、
前記被検者の前眼部画像を取得する画像取得手段と、
前記前眼部画像に基づいて
被検眼の充血度を算出する算出手段と、
前記被検者の健康情報を取得する情報取得手段と、
前記充血度と前記健康情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記算出手段は、複数の被検者の前記充血度に基づく統計情報を地域毎に算出し、
前記表示制御手段は、地域毎の前記統計情報をマップとして前記表示手段に表示させることを特徴とする健康情報管理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記充血度と前記健康情報を時系列で表示させることを特徴とする請求項1の健康情報管理装置。
【請求項3】
被検者の健康情報を管理する健康情報管理装置において実行される健康情報管理プログラムであって、前記健康情報管理装置のプロセッサによって実行されることで、
前記被検者の前眼部画像を取得する画像取得ステップと、
前記前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出する算出ステップと、
前記被検者の健康情報を取得する情報取得ステップと、
前記算出ステップにおいて、複数の被検者の前記充血度に基づく統計情報を地域毎に算出し、地域毎の前記統計情報をマップとして表示手段に表示させる表示制御ステップと、
を前記健康情報管理装置に実行させることを特徴とする健康情報管理プログラム。
【請求項4】
被検者によって操作される端末装置と、
前記端末装置と接続されたサーバと、
によって構成される健康情報管理システムであって、
被検者の前眼部画像を取得する画像取得手段と、
前記前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出する算出手段と、
被検者の健康情報を取得する情報取得手段と、
前記充血度と前記健康情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を前記端末装置および前記サーバの少なくともいずれかに備え、
前記算出手段は、複数の被検者の前記充血度に基づく統計情報を地域毎に算出し、
前記表示制御手段は、地域毎の前記統計情報をマップとして前記表示手段に表示させることを特徴とする健康情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの健康情報を管理する健康情報管理装置、健康情報管理システム、および健康情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、前眼部画像を解析することによって患者の充血度を算出する装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、患者の充血度と、患者の健康に関する健康情報との関係性を活用することができていなかった。
【0005】
本開示は、従来の問題点に鑑み、充血度と健康情報との関係性を活用できる健康情報管理装置、健康情報管理システム、および健康情報管理プログラムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 被検者の健康情報を管理する健康情報管理装置であって、前記被検者の前眼部画像を取得する画像取得手段と、前記前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出する算出手段と、前記被検者の健康情報を取得する情報取得手段と、前記充血度と前記健康情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、前記算出手段は、複数の被検者の前記充血度に基づく統計情報を地域毎に算出し、前記表示制御手段は、地域毎の前記統計情報をマップとして前記表示手段に表示させることを特徴とする。
(2) 被検者の健康情報を管理する健康情報管理装置において実行される健康情報管理プログラムであって、前記健康情報管理装置のプロセッサによって実行されることで、前記被検者の前眼部画像を取得する画像取得ステップと、前記前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出する算出ステップと、前記被検者の健康情報を取得する情報取得ステップと、前記算出ステップにおいて、複数の被検者の前記充血度に基づく統計情報を地域毎に算出し、地域毎の前記統計情報をマップとして表示手段に表示させる表示制御ステップと、を前記健康情報管理装置に実行させることを特徴とする。
(3) 被検者によって操作される端末装置と、前記端末装置と接続されたサーバと、によって構成される健康情報管理システムであって、被検者の前眼部画像を取得する画像取得手段と、前記前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出する算出手段と、被検者の健康情報を取得する情報取得手段と、前記充血度と前記健康情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を前記端末装置および前記サーバの少なくともいずれかに備え、前記算出手段は、複数の被検者の前記充血度に基づく統計情報を地域毎に算出し、前記表示制御手段は、地域毎の前記統計情報をマップとして前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、充血度と、健康情報との関係性を活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例に係る眼科観察装置の構成について説明するブロック図である。
【
図2】本実施例の制御動作を示すフローチャートである。
【
図3】本実施例の制御動作を示すフローチャートである。
【
図6】本実施例の撮影時の制御動作を示すフローチャートである。
【
図7】本実施例の撮影時の制御動作を示すフローチャートである。
【
図8】本実施例の前眼部画像の一例を示す図である。
【
図9】本実施例の前眼部のパノラマ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本開示に係る第1実施形態について説明する。第1実施形態の健康情報管理装置は、例えば、被検者の健康情報を管理する。健康情報管理装置は、例えば、画像取得部(サーバ制御部11または端末制御部112など)と、算出部(サーバ制御部11または端末制御部112など)と、情報取得部(サーバ制御部11または端末制御部112など)を備える。
【0011】
画像取得部は、例えば、被検者の前眼部画像を取得する。例えば、画像取得部は、撮影部(撮影部111など)によって撮影された前眼部画像を取得する。画像取得部は、撮影部から前眼部画像を取得してもよいし、記憶部(端末記憶部、またはサーバ記憶部など)から前眼部画像を取得してもよい。撮影部は、端末装置(例えば、端末装置100)に設けられてもよいし、端末装置、サーバ(例えば、サーバ10)などとは独立して設けられてもよい。この場合、前眼部画像が記憶媒体または通信手段などによって画像取得部に送信されてもよい。
【0012】
算出部は、前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出する。充血度は、例えば、充血度合いを評価するための指標である。算出部は、例えば、前眼部画像を画像処理することによって充血度を算出する。算出部は、例えば、前眼部画像に写る結膜から血管を抽出し、その血管の領域などに基づいて充血度を求めてもよい。
【0013】
情報取得部は、被検者の健康情報を取得する。健康情報は、被検者の健康に関する情報である。情報取得部は、例えば、記憶部などから健康情報を取得してもよいし、入力部(例えば、入力部115)などへの入力に基づいて健康情報を取得してもよい。
【0014】
第1実施形態の健康情報管理装置は、以上のような構成を備えることによって、充血度と、健康情報との関係性を活用することができる。
【0015】
なお、健康情報管理装置は、例えば、充血度と健康情報を表示部(例えば、表示部114)に表示させる表示制御部(サーバ制御部11または端末制御部112など)をさらに備えてもよい。これによって、ユーザ(被検者、患者、または医師など)に対して充血度と健康情報との関係性を容易に把握させることができる。
【0016】
なお、表示制御部は、充血度と健康情報を時系列で表示させてもよい。例えば、表示制御部は、充血度と健康情報を日付毎に表示させてもよい。これによって、充血度と健康情報の経過観察が行い易くなる。
【0017】
なお、健康情報は、例えば、被検者の外部刺激情報、疾患情報、または治療情報の少なくともいずれかを含んでもよい。外部刺激情報は、例えば、アレルゲン情報、大気汚染情報、活動(アクティビティ)情報などであってもよい。疾患情報は、例えば、ユーザが発症しているあるいは発症したことのある疾患名、またはその症状などであってもよい。治療情報は、例えば、処置情報、服薬(または投薬)情報、薬剤名、服薬開始日、または処方日数などであってもよい。
【0018】
なお、算出部は、複数の被検者の健康情報に基づく統計情報を算出してもよい。例えば、アレルギー患者数、またはその地域別分布などであってもよい。また、算出部は、アレルギー別の薬剤使用者数、処方日数などの統計情報を算出してもよい。このように、統計情報を算出することによって、より好適に充血度と健康情報を活用することができる。
【0019】
また、算出部は、複数の被検者の充血度に基づく統計情報を算出してもよい。例えば、算出部は、複数の被検者の充血度の平均、分散、標準偏差などを統計情報として算出してもよい。また、算出部は、例えば、被検者のアレルギー毎、地域毎、時期(季節)毎の充血度の統計情報などを算出してもよい。例えば、算出部は、地域毎の平均充血度をマップとして表示部に表示させてもよい。
【0020】
被検者に対して健康情報に基づく警告を行う警告部(サーバ制御部11または端末制御部112など)をさらに備えてもよい。例えば、警告部は、被検者に対して、服薬のリマインダー、花粉などのアレルゲンが多い場所の警告、充血患者が多い地域の警告などを行ってもよい。警告方法としては、例えば、表示部への表示、スピーカまたはイヤホンへの音声出力、警告灯の点灯などであってもよく、ユーザが知覚できればよい。
【0021】
なお、健康情報管理装置のプロセッサは、記憶部などに記憶された健康情報管理プログラムを実行してもよい。健康情報管理プログラムは、例えば、画像取得ステップと、算出ステップと、情報取得ステップを含む。画像取得ステップは、例えば、被検者の前眼部画像を取得するステップである。算出ステップは、前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出するステップである。情報取得ステップは、被検者の健康情報を取得するステップである。
【0022】
なお、第1実施形態は、端末装置(例えば、端末装置100)と、サーバ(例えば、サーバ10)とを備える健康情報管理システムであってもよい。健康情報管理システムは、例えば、端末装置と、サーバと、によって構成される。端末装置とサーバは、それぞれ複数あってもよい。端末装置は、被検者によって操作される端末装置である。サーバは、端末装置と無線または有線などで通信可能に接続される。健康情報管理システムは、例えば、画像取得部と、算出部と、情報取得部を備える。画像取得部は、例えば、被検者の前眼部画像を取得する。算出部は、前眼部画像に基づいて被検眼の充血度を算出する。情報取得部は、被検者の健康情報を取得する。健康管理システムは、例えば、端末装置およびサーバの少なくともいずれかに、画像取得部、算出部および情報取得部を備える。例えば、端末装置に画像取得部、算出部および情報取得部がすべて設けられてもよいし、サーバに画像取得部、算出部および情報取得部がすべて設けられてもよい。また、端末装置に画像取得部が設けられ、サーバに算出部および情報取得部が設けられてもよい。もちろん、端末装置とサーバのそれぞれに画像取得部と算出部と情報取得部がすべて設けられてもよい。このような、健康情報管理システムであっても、充血度と健康情報の関係性を活用できる。
【0023】
<第2実施形態>
以下、本開示に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態の前眼部撮影装置(例えば、端末装置100)は、被検眼の前眼部を撮影する。前眼部撮影装置は、例えば、撮影部(例えば、撮影部111)と、制御部(例えば、端末制御部112)とを備える。撮影部は、被検眼の前眼部を撮影する。制御部は、撮影部を制御する。また、制御部は、撮影部によって取得された前眼部画像が結膜の観察に適しているか否かを判定してもよい。例えば、制御部は、前眼部画像第2実施形態の前眼部撮影装置は、以上のような構成を備えることによって、再現性の高い画像を容易に取得できる。例えば、専用の器具を用いることなく、結膜の観察に適した安定した画像を撮影できる。
【0024】
例えば、制御部は、結膜の観察に適しているか否かの判定として、充血度の算出に適しているかを判定してもよい。充血度は、例えば、充血度合いを評価するための指標である。
【0025】
なお、制御部は、前眼部画像が結膜の観察に適していると判定した場合、前眼部画像を記憶部に記憶させてもよい。つまり、制御部は、前眼部画像が結膜の観察に適している場合に自動で取り込みを行ってもよい。これによって、ユーザは、タイミングよく撮影ボタンを押す必要が無く、撮影に不慣れな場合でも結膜の観察に適した前眼部画像を容易に撮影できる。
【0026】
制御部は、前眼部画像に写る結膜の撮影状態に基づいて、前眼部画像が結膜の観察に適しているか否かを判定してもよい。例えば、制御部は、被検眼の虹彩および眼瞼の少なくともいずれかの位置を検出することによって、結膜の撮影状態を取得してもよい。例えば、制御部は、眼瞼と虹彩に囲まれた領域を結膜の領域として検出してもよい。
【0027】
制御部は、虹彩および眼瞼のそれぞれの検出結果に基づいて前眼部画像に写る結膜の面積を算出し、面積に基づいて、前眼部画像が結膜の観察に適しているか否かを判定してもよい。
【0028】
制御部は、前眼部画像の画質に基づいて、前眼部画像が結膜の観察に適しているか否かを判定してもよい。例えば、制御部は、前眼部画像の明度またはコントラストなどに基づいて、結膜の観察に適しているか否かを判定してもよい。
【0029】
制御部は、前眼部画像が、事前に撮影された前眼部画像の撮影位置、撮影範囲、明度またはコントラストと同等である場合、結膜の観察に適していると判定してもよい。これによって、前回と同様の撮影条件で撮影された前眼部画像が取得できるため、経過観察などを行い易い。
【0030】
制御部は、撮影部によって取得された前眼部動画像のうち、事前に設定された撮影条件を満たす画像を抽出してもよい。例えば、ユーザによって撮影された前眼部動画像のうち、撮影位置、撮影範囲、明度またはコントラストなどの撮影条件が満たされた場合に、制御部は、動画像から静止画像を抽出してもよい。これによって、ユーザは動画を撮影するだけでよく、タイミングよくボタンを押す必要が無くなる。
【0031】
なお、制御部は、撮影位置の異なる複数の前眼部画像を、虹彩、眼瞼または血管の少なくともいずれかを基準として合成してもよい。これによって、撮影位置の異なる複数の前眼部画像の位置関係などを容易に把握することができる。また、1枚の画像として解析を行うことができる。
【0032】
なお、前眼部撮影装置のプロセッサによって、記憶部などに記憶された前眼部撮影プログラムが実行されてもよい。前眼部撮影プログラムは、例えば、撮影ステップと、判定ステップとを含む。撮影ステップは、例えば、前眼部を撮影するステップである。判定ステップは、撮影ステップにおいて取得された前眼部画像が結膜の観察に適しているか否かを判定するステップである。
【0033】
<実施例>
以下、本開示に係る実施例について説明する。本実施例の健康情報管理システム1は、例えば、ユーザ(被検者または患者ともいう)の健康情報を管理する。健康情報管理システム1は、例えば、端末装置100と、サーバ10を備える。端末装置100とサーバ10は、図示無き通信手段によって有線または無線で接続されている。なお、サーバ10は複数の端末装置100と接続されてもよい。例えば、サーバ10は、端末装置110と端末装置120、端末装置130、端末装置140などと接続される。もちろん、より複数の端末装置と接続されてもよい。
【0034】
<端末装置>
端末装置100は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータなどの携帯端末である。本実施例において、端末装置100は、例えば、前眼部撮影装置としての役割も果たしている。端末装置100の一つである端末装置110は、例えば、撮影部111、端末制御部112、端末記憶部113、表示部114、入力部115などを備える。端末装置110は、なお、端末装置120,130,140の構成は、端末装置110と同様のため、説明は省略する。
【0035】
撮影部111は、例えば、一般的なカメラであり、被検眼の前眼部を撮影する。撮影部111は、レンズ、撮像素子などを備える。
【0036】
端末制御部112は、端末装置の制御全般を司る。端末制御部112は、撮影部111、表示部114、入力部115などと接続される。
【0037】
端末記憶部113は、撮影部111によって撮影された画像、後述するユーザの基本情報、健康情報、または端末制御部112によって実行されるプログラム等が記憶される。
【0038】
表示部114は、例えば、撮影部111によって撮影された画像、ユーザの健康情報などを表示する。表示部114は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなど種々のディスプレイが用いられる。
【0039】
入力部115は、例えば、ユーザの基本情報、健康情報などが入力される。入力部115は、例えば、タッチパネルであってもよい。この場合、表示部114は、タッチパネル式のディスプレイである。もちろん、入力部115は、タッチパネルに限らず、物理的なボタンを備えてもよい。
【0040】
ユーザの基本情報は、例えば、ユーザID、氏名、性別、生年月日、住所、位置情報などである。ユーザIDは、ユーザを特定するためにユーザ毎に登録される。位置情報は、例えば、緯度および経度の情報である。なお、位置情報については端末装置のGPS機能によって自動的に取得してもよい。
【0041】
ユーザの健康情報は、例えば、外部刺激情報、疾患情報、治療情報などのユーザの健康に関連する情報である。
【0042】
外部刺激情報は、例えば、花粉、食物、動物などのアレルゲン情報、PM2.5、黄砂またはスモッグなどの大気汚染情報、プール、海水浴またはモニタ使用時間などの活動(アクティビティ)情報である。
【0043】
疾患情報は、例えば、ユーザが発症しているあるいは発症したことのある疾患名、またはその症状などである。症状は、例えば、目ヤニ、涙、目の痒み、鼻水、咳、発熱等である。
【0044】
治療情報は、例えば、薬剤名、服薬開始日、または処方日数などの処置・服薬(または投薬)情報である。
【0045】
なお、治療情報は入力部115を用いてユーザが手入力してもよいし、撮影部111などによって撮影された処方箋等の画像から抽出された内容が入力されてもよいし、処方薬のバーコード等を撮影部111などで読み込むことによって入力されてもよい。
【0046】
<サーバ>
サーバは、接続された複数の端末装置に対してサービスを提供する。サーバは、例えば、クラウドサーバであってもよい。クラウドサーバは、例えば、クラウド環境に設けられた仮想サーバである。サーバは、例えば、サーバ制御部11、サーバ記憶部12などを備える。
【0047】
サーバ制御部11は、サーバの制御全般を司る。サーバ制御部11は、サーバ10と接続された端末装置100からユーザの基本情報、健康情報または撮影画像などを取得する。サーバ制御部11は、撮影画像の撮影日、位置情報、撮影部111のカメラ情報などを取得してもよい。
【0048】
サーバ制御部11は、例えば、前眼部画像に基づいて被検眼の充血度(充血度合いを評価するための指標)を算出する。つまり、サーバ制御部11は、充血度を算出する充血度算出部として機能する。充血度の算出については、例えば、特開2011-072446に開示される方法を用いてもよい。
【0049】
また、サーバ制御部11は、不特定多数(複数)のユーザの基本情報、健康情報または充血度などを統計処理することによって統計情報を取得してもよい。つまり、サーバ制御部11は、統計情報を算出する統計処理部として機能してもよい。例えば、サーバ制御部11は、サーバ記憶部12に記憶されている全患者データを横断的に検索した特定の項目を統計情報として外部に出力させてもよい。
【0050】
統計情報は、例えば、地域毎、日付毎または症状毎における、ユーザ数、モニタ平均使用時間、全ユーザの服薬情報、全ユーザの平均充血度、アレルギーを有するユーザの平均充血度、アレルギーのないユーザの平均充血度、アレルギー改善薬を服薬または点眼している全ユーザの平均充血度、アレルギー改善薬を服薬または点眼していてアレルギーを有するユーザの平均充血度などである。なお、サーバ制御部11は、アレルギーのないユーザの充血度が、同じくアレルギーのないユーザの平均充血度に対して大きい場合、感染症などの可能性を検知してもよい。また、サーバ制御部11は、取得された情報のうち、選択された項目を時系列でグラフ化してもよい。
【0051】
サーバ記憶部12は、サーバ制御部11によって取得されたユーザの基本情報、健康情報または画像などを記憶してもよい。また、サーバ記憶部12は、サーバ制御部11等によって算出された充血度または統計情報などを記憶する。
【0052】
<サーバの制御動作>
以上のような健康情報管理システム1において、サーバ10の制御動作を
図2に基づいて説明する。
【0053】
(ステップS101:画像取得)
まず、ユーザによって前眼部画像の撮影が行われる。撮影部111によって撮影された前眼部画像は通信手段を介してサーバ10に送信される。サーバ制御部11は、端末装置110から送信された前眼部画像を取得する。
【0054】
(ステップS102:ユーザ情報入力)
ユーザは、入力部115によってユーザ情報を入力する。例えば、ユーザの基本情報、健康情報などが入力される。ユーザによって入力された情報は、通信手段を介してサーバ10に送信される。
【0055】
(ステップS103:充血度算出)
サーバ制御部11は、充血度を算出する。サーバ制御部11は、ステップS101において取得した前眼部画像を解析することによって、ユーザの充血度を算出する。
【0056】
(ステップS104:データ記憶)
制御部は、算出した充血度と、端末装置100から取得したユーザの基本情報または健康情報をサーバ記憶部12に記憶させる。
【0057】
<端末装置の制御動作>
続いて、端末装置において、サーバ記憶部12に記憶されたユーザの基本情報、健康情報または充血度などをユーザに提示するときの制御動作を
図3に基づいて説明する。
【0058】
(ステップS201:データ取得)
まず端末制御部112は、通信手段を介してサーバ記憶部12からユーザIDに紐づく各種データを取得する。例えば、端末制御部112は、前眼部画像、充血度、ユーザの基本情報または健康情報などを取得する。
【0059】
(ステップS202:表示)
端末制御部112は、サーバ記憶部12から取得した各種データを表示部114に表示させる。例えば、端末制御部112は、
図4に示すような経過観察画面200を表示部114に表示させる。例えば経過観察画面200には、日付210、撮影画像220、充血度230、服薬情報240、服薬情報250、症状60、疾患情報270などが表示される。ユーザは、経過観察画面200によって、例えば、服薬を開始してからの充血または症状の変化を容易に確認することができる。また、どの薬にどの程度効果があるのかを把握することもできる。
【0060】
なお、データの出力は、ユーザによる操作入力に基づいて出力されてもよいし、バッチ処理によって定期的に自動で出力されてもよい。
【0061】
なお、端末制御部112は、モニタ使用時間に応じたアラート、服薬リマインド(処方タイミングに応じたメッセージ)、周囲のアレルギー性充血患者の増加情報、薬剤を購入すべきタイミング(服薬開始時期を元に表示)等を表示部114に表示させてもよい。また、端末制御部112は、前眼部画像を撮影するための所定のタイミング(例えば、朝起きて30分以内など、薬が切れたタイミング)をアラートでユーザに知らせてもよい。これによって、充血度解析や診断に適した前眼部画像を取得することができる。このように、端末制御部112は警告部として機能してもよい。なお、アラート方法は、表示部114への表示に限らず、スピーカによる音声出力、モータによる振動などであってもよい。
【0062】
なお、端末制御部112は、
図5に示すように、ユーザの統計情報に基づくマップ画像300などを表示部114に表示してもよい。
図5の例では、地域毎・アレルギー毎で該当するユーザに関して算出された平均充血度を示している。例えば、充血度の大きさに応じた色で各地域が色分けして表示される。
【0063】
従来の花粉等アレルゲンの飛散情報は、あくまで予想量であり、どれだけのアレルギー患者にどのような影響を与えるかは評価ができなかった。しかしながら、本実施例のように、実際に充血が起こっている患者の数をマッピングすることによって、より正確で定量的な飛散情報を得ることができる。
【0064】
なお、端末制御部112による統計情報のデータ出力形式については、ファイルとして出力されてもよいし、画面へ表示されてもよいし、データベースとして公開されてもよい。
【0065】
以上のように、本実施例の健康情報管理システムは、前眼部画像から算出された充血度と、ユーザの健康情報との関係性を活用することができる。例えば、医療従事者・製薬企業・薬局へ充血に関する情報を提供することが可能となるため、各主体において最適な医療の提供が可能となる。また、充血度と健康情報などを定量的・経時的に管理することができ、予防医療、セルフケアのニーズを満たす。
【0066】
<前眼部撮影>
続いて、ユーザ自身が前眼部撮影装置(端末装置100)を用いて前眼部画像を撮影するときの制御動作について
図6に基づいて説明する。
【0067】
(ステップS301:撮影)
まず、端末制御部112は、撮影用のアプリケーション等を起動し、撮影を開始する。ユーザは、撮影部111によって自身の眼を撮影する。
【0068】
(ステップS302:虹彩・眼瞼検出)
端末制御部112は、ステップS301で撮影された前眼部画像から虹彩および眼瞼の少なくともいずれかを検出する。例えば、端末制御部112は、前眼部画像の画像処理(エッジ検出処理など)によって虹彩または眼瞼を検出する。
【0069】
(ステップS303:適否判定)
続いて、端末制御部112は、前眼部画像が結膜の観察(より具体的には、充血度の算出など)に適しているか否かを判定する。例えば、端末制御部112は、撮影部111で取得した前眼部画像に写る結膜の撮影状態に基づいて適否を判定してもよい。例えば、端末制御部112は、前眼部画像が結膜を十分に含んだ画像であるか否かを判定する。例えば、端末制御部112は、ステップS302において検出した虹彩または眼瞼の位置に基づいて前眼部画像の適否を判定する。例えば、端末制御部112は、眼瞼で囲まれた領域において、虹彩を除く部分を結膜領域として、その大きさ(面積)が所定の条件を満たすか否かによって前眼部画像の適否を判定してもよい。例えば、端末制御部112は、前眼部画像上の結膜領域において1cm×1cmの正方形領域が確保できるか否かを判定し、正方形領域が確保できる場合に画像が結膜の観察に適していると判定し、正方形領域が確保できない場合は画像が結膜の観察に適していないと判定してもよい。もちろん、正方形領域の大きさは1cm×1cmに限らず適宜設定される。また、領域の大きさを1cm2としてもよいが、領域の形状が細長くなり過ぎると血管を検出しづらいため、ある程度幅のある領域が好ましい。
【0070】
端末制御部112は、例えば、前眼部画像が結膜の観察に適していると判定した場合にステップS304に進み、前眼部画像が結膜の観察に適していないと判定した場合はステップS301に戻る。
【0071】
(ステップS304:画像取り込み)
端末制御部112は、前眼部画像が結膜の観察に適していると判定した場合、その前眼部画像を端末記憶部113(またはサーバ記憶部12)に記憶させる。また、本実施例のように端末装置に撮影部111が設けられている場合、端末制御部112は、ユーザに対して撮影指示を行ってもよい。
【0072】
上記のように、端末制御部112は、撮影された前眼部画像が結膜の観察に適しているか否かを判定することによって、スマートフォンやタブレットコンピュータなどの汎用的な端末装置であっても、結膜の観察に適した前眼部画像を容易に取得することができる。また、適正な画像を安定して取得できるため、再現性の高い判定結果を得るためには、適正な画像が安定して得られることが求められる。
【0073】
<結膜全周撮影>
続いて、前眼部画像を撮影するときの制御動作の変容例について
図7を用いて説明する。本変容例では、結膜の全周の撮影を行う。
【0074】
(ステップS401:撮影)
まず、端末制御部112は、撮影用のアプリケーション等を起動し、撮影を開始する。ユーザは、撮影部111によって自身の眼を撮影する。
【0075】
(ステップS402:虹彩・眼瞼検出)
端末制御部112は、ステップS401において撮影された前眼部画像に基づいて、虹彩および眼瞼の少なくともいずれかを検出する。例えば、端末制御部112は、前眼部画像の画像処理(エッジ検出処理など)によって虹彩または眼瞼を検出する。
【0076】
(ステップS403:適否判定)
端末制御部112は、ステップS402の虹彩または眼瞼の検出結果に基づいて前眼部画像が充血度の算出に適切か否かを判定する。例えば、端末制御部112は、前眼部画像に結膜が十分に含まれているかを判定する。端末制御部112は、前眼部画像が充血度の算出に適していると判定するとステップS404に進み、適していないと判定するとステップS402に戻る。
【0077】
(ステップS404:画質判定)
次に、端末制御部112は、前眼部画像の画質が結膜の観察(より具体的には、充血度の算出など)に適しているか否かを判定する。例えば、端末制御部112は、前眼部画像の明度(輝度)またはコントラストが充血度の解析に適している否かを判定する。例えば、端末制御部112の明度(輝度)またはコントラストが所定条件を満たす場合に充血度の解析に適していると判定し、所定条件を満たさない場合に充血度の解析に適していないと判定する。
【0078】
なお、端末制御部112は、必要であれば照明光量等を制御したり、ユーザに対して撮影方法を指示したりする。また、端末制御部112は照明光等のノイズの映り込みの判定を行い、必要であれば照明光量または撮影部111の撮影角度等を制御または指示してもよい。なお、画質の判定処理は省略してもよい。
【0079】
(ステップS405:画像取り込み)
端末制御部112は、ステップS405において、前眼部画像が充血度の算出に適正であると判定されると、その前眼部画像を記憶部に記憶させる。本実施例のように端末装置に撮影部111が備わっていれば、端末制御部112は、ユーザに対して撮影指示(例えば、図示無き撮影ボタンを押すように指示)してもよい。
【0080】
(ステップS406:全方位撮影判定)
端末制御部112は、結膜全周の画像を取得しているか判定する。例えば、端末制御部112は、虹彩の位置に基づいて、撮影された画像が結膜のどの部分かを判定する。例えば、
図8(a)~(d)に示すように、結膜を上下左右の4方向において撮影し、上結膜画像410、左結膜画像420、下結膜画像430、右結膜画像440を撮影する場合、虹彩が画像の下部に検出された場合は上結膜画像410、虹彩が画像の左部に検出された場合は左結膜画像420、虹彩が画像の上部に検出された場合は下結膜画像430、虹彩が画像の右側に検出された場合は右結膜画像440であると判定してもよい。もちろん、結膜を撮影する方向はどの方向でもよく、4方向以下であってもよいし、4方向以上撮影してもよい。例えば、上下左右斜めの8方向から結膜を撮影してもよい。
【0081】
端末制御部112は、結膜全周の撮影が完了していないと判定した場合は、ステップS401~S405のステップを繰り返し、結膜全周の画像を取得していると判定した場合は処理を終了する。
【0082】
以上のように、本実施例の端末装置は、撮影された前眼部画像の虹彩、眼瞼または画質などに基づいて充血度の算出に適した画像かを判定することによって、結膜が十分に撮影され、一定の照明光量が確保され、かつ照明等のノイズ光の映り込みがない、充血度の解析に適した画像を容易に取得することができる。また、結膜全周の画像を容易に取得することができる。
【0083】
なお、端末制御部112、結膜全周を撮影した複数の画像を重ね合わせることによって、結膜全周が写る合成画像450を生成してもよい(
図9参照)。例えば、端末制御部112は、前眼部画像によって検出された虹彩(または眼瞼)の位置を基準として、複数の前眼部画像を合成してもよい。前眼部画像に瞳孔が写っている場合は瞳孔の位置を基準としてもよい。また、端末制御部112は、画像を合成する際に、各画像の重複部分に写る(主に結膜の)血管などの位置が一致するように画像を合成してもよい。このように、結膜全周の写る画像を生成することによって、結膜部全体の充血評価を容易に行える。
【0084】
なお、端末制御部112は、ユーザが前眼部画像を撮影するときにガイダンスを行ってもよい。例えば、ユーザが被検眼にカメラを向けると音声・画面表示等で撮影部の位置・角度、または被検眼の固視方向等の誘導が行われ、自動的に画像が取得されるようにしてもよい。
【0085】
なお、端末制御部112は、前眼部画像が、事前に撮影された前眼部画像の撮影位置、撮影範囲、明度またはコントラストと同等である場合、前記度の算出に適していると判定してもよい。端末制御部112は、過去の前眼部画像と同等の撮影条件で撮影された前眼部画像で充血度を算出することによって、より好適に経過観察を行うことができる。
【0086】
なお、端末制御部112は、撮影部111によって撮影された静止画像だけでなく、動画像が充血度の算出に適しているか否かを判定してもよい。例えば、端末制御部112は、充血度の算出に適した静止画像を動画像から抽出してもよい。
【0087】
なお、同様の撮影手法によって充血以外の角結膜疾患、眼球周辺部位の疾患、斜視等の評価を実施してもよい。
【0088】
なお、以上の説明において、前眼部画像、充血度、ユーザの基本情報、健康情報等はサーバ記憶部12に記憶されるものとしたが、これに限らない。例えば、端末装置側の記憶部(端末記憶部113)に記憶されてもよい。また、充血度の算出、統計情報の算出などを端末装置側の制御部(端末制御部112)によって実行するようにしてもよい。
【0089】
なお、以上の実施例では、スマートフォンなどの携帯デバイスによる画像撮影、カメラ制御について説明したが、ノート型、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)によってデジタルカメラ等を制御することで実施してもよい。
【0090】
なお、以上の実施例において、端末装置100は、撮影部111を備えていたが、これに限らない。例えば、端末装置100に撮影部111が設けられていない場合、通信手段などを介して外部の撮影デバイスで撮影された画像を取得して充血度の解析に用いてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 健康情報管理システム
10 サーバ
11 サーバ制御部
12 サーバ記憶部
100 端末装置
110 端末装置
111 撮影部
112 端末制御部
113 端末記憶部
114 表示部
115 入力部