(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】接着用担持体、接着体製造方法、及び接着方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/30 20180101AFI20240806BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20240806BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20240806BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240806BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C09J7/30
C09J7/26
C09J4/02
C09J11/06
C09J5/00
(21)【出願番号】P 2020082010
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000108111
【氏名又は名称】セメダイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】紺野 誠
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 圭佑
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-116779(JP,A)
【文献】特表2019-505636(JP,A)
【文献】特開2001-226641(JP,A)
【文献】特開平8-305042(JP,A)
【文献】特開2003-253218(JP,A)
【文献】特開平3-281223(JP,A)
【文献】特開昭53-58543(JP,A)
【文献】特開昭53-59734(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026510(WO,A1)
【文献】特開2002-29867(JP,A)
【文献】特開2002-256083(JP,A)
【文献】特開2006-348225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
B29B 15/08ー 15/14
C08J 5/04ー 5/10
C08J 5/24
C09J 1/00ー 5/10
C09J 7/00ー 7/50
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形容易であって内部に複数の空隙を有するとともに、該空隙に還元剤を含み、
(メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含むアクリル系接着剤が含浸されることによって、前記還元剤との反応に伴うラジカル重合により該アクリル系接着剤が硬化することで接着性能を発揮する、
ことを特徴とする接着用担持体。
【請求項2】
変形容易であって内部に複数の空隙を有するとともに還元剤を含む担持体に、(メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含むアクリル系接着剤を含浸させる接着剤含浸工程を、備えた、
ことを特徴とする接着体製造方法。
【請求項3】
変形容易であって内部に複数の空隙を有する担持体に還元剤を含浸させる還元剤含浸工程と、
前記還元剤を含んだ前記担持体に、(メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含むアクリル系接着剤を含浸させる接着剤含浸工程と、を備えた、
ことを特徴とする接着体製造方法。
【請求項4】
変形容易であって内部に複数の空隙を有する担持体に還元剤を含浸させる還元剤含浸工程と、
前記還元剤を含んだ前記担持体に、(メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含むアクリル系接着剤を含浸させる接着剤含浸工程と、
前記還元剤及び前記アクリル系接着剤を含んだ前記担持体を、第1被着体と第2被着体の間に配置する担持体配置工程と、を備え、
前記還元剤との反応に伴うラジカル重合により前記アクリル系接着剤が硬化することで、前記第1被着体と前記第2被着体が接着される、
ことを特徴とする接着方法。
【請求項5】
変形容易であって内部に複数の空隙を有する担持体に還元剤を含浸させる還元剤含浸工程と、
前記還元剤を含んだ前記担持体を、第1被着体と第2被着体の間に配置する担持体配置工程と、
前記担持体配置工程の後に、前記第1被着体と前記第2被着体の間に配置された前記担持体に、(メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物
を含むアクリル系接着剤を注入することによって、該担持体に該アクリル系接着剤を含浸させる接着剤含浸工程と、を備え、
前記還元剤との反応に伴うラジカル重合により前記アクリル系接着剤が硬化することで、前記第1被着体と前記第2被着体が接着される、
ことを特徴とする接着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、被着体の接着に関するものであり、より具体的には、内部に複数の空隙を有する担持体を利用し、接着剤によって被着体を接着する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば工場などの生産施設は、一般的にH形鋼や鋼管など鉄骨を主体とするいわゆる鉄骨構造で構築されている。この基本構造は、柱材としての鉄骨と梁材としての鉄骨を連結したり、柱材や梁材どうしを連結したり、あるいは斜材や方杖材といった補強材を柱材などに設置するなどして構築される。
【0003】
従来、鉄骨や補強材を連結するにあたっては、アーク溶接などによる溶接接合が主流であった。しかしながら溶接作業は、アーク溶接機や手溶接トーチなど様々な道具を用意する必要があり、またキャプタイヤコードの引き回しなど相当に手間がかかるうえ、特別な教育を受けた経験者などその作業者は限定されるといった問題を抱えている。そのため近年では、接着剤によって鉄骨や補強材を連結する手法も採用されている。接着剤による接合は、極めて容易かつ短時間で作業を行うことができ、作業者が限定されることがなく、また溶接のように作業中に火災が生じるおそれもない。
【0004】
鉄骨や補強材を接着接合する場合、特許文献1に示すように嫌気性接着剤が用いられることがある。嫌気性接着剤とは、酸素の存在によって硬化が抑制され、つまり空気に触れているときは液状を保つが、金属イオン(還元剤)が存在する環境下で酸素が遮断されると硬化を開始する接着剤であり、ネジなど金属部品の緩み止めや、密封(シール)、はめ合いの固定に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、添接板を用いて2つのH形鋼を接着接合する場合、フランジ間に段差が生じていることがある。また、表面に不陸が生じた建材に接着しなければならないこともある。このようなケースでは、相当の厚みをもって塗布する厚膜塗布が求められ、一度塗布した塗膜の上にさらに塗り重ねていく重ね塗りを行うか、粘度が高い接着剤を用いる必要がある。しかしながら、厚膜塗布にかかる作業は手間がかかり、また接着剤の内部の硬化性が不十分となる場合があるといった問題点があった。さらに、傾斜部に接着剤を厚膜塗布する場合、タレが生じ、あるいは貼り合わせた部材がずれるという問題もあった。
【0007】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち厚膜塗布を容易に行うことができる接着技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、内部に複数の空隙を有する担持体を利用し、この担持体に還元剤とアクリル系接着剤を含ませる、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
【0009】
本願発明の接着用担持体は、内部に複数の空隙を有するとともに、この空隙に還元剤を含むものである。接着用担持体にアクリル系接着剤((メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含む)が含浸(浸漬や注入)されると、還元剤との反応に伴うラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、接着用担持体は接着性能を発揮する。
【0010】
本願発明の接着体製造方法は、接着剤含浸工程を備えた方法である。この接着剤含浸工程では、内部に複数の空隙を有するとともに還元剤を含んだ担持体にアクリル系接着剤((メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含む)を含浸させる。なお接着剤含浸工程では、浸漬や注入等によって担持体にアクリル系接着剤を含浸させることができる。
【0011】
本願発明の接着体製造方法は、還元剤含浸工程を備えた方法とすることもできる。この還元剤含浸工程では、内部に複数の空隙を有する担持体に還元剤を含浸させる。
【0012】
本願発明の接着体製造方法は、還元剤含浸工程と接着剤含浸工程、担持体配置工程を備えた方法である。このうち還元剤含浸工程では、内部に複数の空隙を有する担持体に還元剤を含浸させ、接着剤含浸工程では、還元剤を含んだ担持体にアクリル系接着剤((メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含む)を含浸させる。また担持体配置工程では、還元剤とアクリル系接着剤を含んだ担持体を、第1被着体と第2被着体の間に配置する。そして、還元剤との反応に伴うラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、第1被着体と第2被着体が接着される。
【0013】
本願発明の接着方法は、担持体配置工程の後にアクリル系接着剤を担持体に注入する方法とすることもできる。
【0014】
本願発明の接着方法は、内部に複数の空隙を有するとともに一部(または全部)が金属製の担持体を用いた方法とすることもできる。この場合、接着剤含浸工程では、担持体を嫌気性接着剤に浸漬することによって、担持体に該嫌気性接着剤を含浸させる。また担持体配置工程では、嫌気性接着剤を含んだ担持体を、第1被着体と第2被着体の間に配置する。なおここで用いる嫌気性接着剤は、(メタ)アクリル酸エステル及び有機過酸化物を含むアクリル系接着剤のうち嫌気性を示す接着剤である。
【0015】
本願発明の接着方法は、担持体配置工程で一部(または全部)が金属製の担持体を配置した後に、担持体に嫌気性接着剤を注入する方法とすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の接着用担持体、接着体製造方法、及び接着方法には、次のような効果がある。
(1)所定の厚さをもった担持体を利用するだけで、容易に目的の厚さで厚膜塗布を行うことができる。
(2)アクリル系接着剤と還元剤を反応させることから、接着厚を一定に保持しつつ容易に接着接合することができ、しかも内部まで十分に硬化するため信頼性が高い接着接合を得ることができる。
(3)スポンジなど変形容易な担持体を利用することで、被着体に生じた段差や不陸を担持体の変形が吸収するため、不陸や段差に応じた形状で硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】(a)上側の鋼板と下側の鋼板の間に配置された接着体を示す断面図、(b)は上側の鋼板と下側の2つの山形鋼の間に配置された接着体を示す断面図、(c)上側の鋼板と下側の鋼板との間の厚みが一様ではない隙間に配置された接着体を示す断面図、(d)上側の鋼板と下側の鋼材との間の厚みが一様ではない隙間に配置された接着体を示す断面図。
【
図3】(a)は担持体を還元剤溶液に浸漬することによってこの担持体に還元剤を含浸させる状況を示すモデル図、(b)は還元剤溶液を担持体に噴霧することによってこの担持体に還元剤を含浸させる状況を示すモデル図。
【
図4】(a)接着用担持体をアクリル系接着剤に浸漬することによってこの接着用担持体にアクリル系接着剤を含浸させる状況を示すモデル図、(b)は接着用担持体にアクリル系接着剤を注入することによってこの接着用担持体にアクリル系接着剤を含浸させる状況を示すモデル図。
【
図5】第1の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【
図6】第2の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【
図7】第3の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【
図8】第4の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【
図9】引張せん断接着強さの試験の結果と破壊状態の観察結果を示す試験結果図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明の接着用担持体、接着体製造方法、及び接着方法の一例を、図に基づいて説明する。
【0019】
1.アクリル系接着剤と還元剤
はじめに、本願発明で使用するアクリル系接着剤と還元剤について説明する。
【0020】
(アクリル系接着剤)
本願発明で使用するアクリル系接着剤は、ラジカル重合によって硬化するものであって、 「(メタ)アクリル酸エステル」と「有機過酸化物」を成分として含む組成物である。なお本願発明において、このアクリル系接着剤のうち嫌気性を示す嫌気性接着剤を用いる場合は、後述するように一部(あるいは全部)が金属製である担持体110を用いるとよい。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、以下の(a)~(g)の化合物を示すことができる。
【0022】
(a)一般式が次式によって表される単量体
Z-O-R1・・・(一般式1)
(一般式1)のうち、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R1は水素又は炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、(メタ)アクリロイル基、イソボルニル基を表す。
(一般式1)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0023】
(b)一般式が次式によって表される単量体
Z-O-(R2O)p-R1・・・(一般式2)
(一般式2)のうち、R2は、-C2H4-、-C3H6-、-CH2CH(CH3)-、-C4H8-、又は-C6H12-を示し、pは1~25の整数を表す。なおZ及びR1は(一般式1)と同一である。
(一般式2)で表される単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
(c)一般式が次式によって表される単量体
Z-(OR2)q-O-pH-C(R3)2-pH-O-(R2O)q-Z・・・(一般式3)
(一般式3)のうち、R3は水素又は炭素数1~4のアルキル基を表し、qは0~8の整数を表し、pHはフェニレン基を表す。なお、Z及びR2は(一般式1)や(一般式2)と同一である。
(一般式3)で表される単量体としては、例えば、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、及び2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のEO変性エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0025】
(d)アクリルアミドモノマー
アクリルアミドモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0026】
(e)アクリロイルモルホリン
アクリロイルモルホリンは、モルホリン環の窒素原子上にアクリロイル基を有するN-アクリロイルモルホリンである。
【0027】
(f)(一般式1)~(一般式3)で表される単量体と(d)の単量体を、除く多官能アクリレート類
(f)に含まれる多官能アクリレート類としては、例えば、1、3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ) アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ-ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
(g)(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオリゴマー類
(g)に含まれるオリゴマー類としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、エポキシ系オリゴマー、飽和炭化水素系オリゴマー、不飽和炭化水素系オリゴマー等が挙げられる。
【0029】
なお、本願発明で使用するアクリル系接着剤は、単独の(メタ)アクリル酸エステルが含まれたものとすることも、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルが含まれたものとすることもできる。
【0030】
一方、有機過酸化物としては、種々のものを用いることができる。例えば有機過酸化物としては、t-ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド及びベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。有機過酸化物は、これらのうち単独のものを用いることもできるし、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、これら有機過酸化物の中では、常温環境下で安定であること、取り扱いが簡便であること、そして還元剤との併用により常温環境下で容易に反応が開始することといった理由から、ハイドロパーオキサイド類を用いることがより好ましく、特にクメンハイドロパーオキサイドを用いることが好ましい。
【0031】
(還元剤)
還元剤としては、有機過酸化物が還元剤と反応してラジカルを発生する各種の化合物を用いることができる。例えば還元剤としては、アミン類、チオ尿素、遷移金属塩などが挙げられる。具体的には、アミンとアルデヒドとの反応縮合物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルパラトルイジン、2-メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、バナジルアセチルアセトネート、バナジルステアレート、バナジウムナフテネート、バナジウムアセチルアセトネート、バナジウムベンゾイルアセトネート等を例示することができる。なお、後述するように担持体に含浸させるという観点からは、還元剤として遷移金属塩を用いることがより好ましい。また、本願発明で使用するアクリル系接着剤は、上記した化合物から選ばれる単独の還元剤が含まれたものとすることも、2種以上の還元剤が含まれたものとすることもできる。
【0032】
2.接着用担持体
次に、本願発明の接着用担持体について説明する。
図1は、本願発明の接着用担持体100を示す断面図である。この図に示すように接着用担持体100は、担持体110と還元剤120を含んで形成される。
【0033】
また接着用担持体100には、硬化性や硬化物の接着性等の機能を損なわない範囲で、必要に応じ、硬化物に靱性若しくは可撓性を与えるエラストマー、ゴム微粒子、接着付与剤、禁止剤、フィラー、粘着付与樹脂、増量剤、物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、チキソトロピー剤、沈殿防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、香料、顔料、染料等の各種添加剤を加えてもよい。さらに、空気接触面の硬化性を改良するためのパラフィン、蜜ロウ等、あるいは硬化速度を調整するために種々の反応促進剤、硬化調整剤、貯蔵安定剤を配合してもよい。
【0034】
本願発明の接着用担持体100を構成する担持体110は、内部に複数の空隙(例えば、小孔や空洞など)を有するもので、海綿状の部材(以下、「フォーム」という。)や、フェルトの部材、立体編み物の部材、網状構造体の部材などを用いることで形成するとよい。フォームを用いる場合、例えば粘弾性フォーム(スポンジのように弾性を有する多孔質の発泡)からなるシート状の部材であることが好ましい。またフェルトは、化学繊維をシート状にした部材である。立体編み物は、表裏2層の編地と、これら2層の編地を連結する連結糸(モノフィラメントとマルチフィラメントによる糸)とから構成される部材である。網状構造体は、連続線状体からなる三次元ランダムループ接合構造を持つ網状構造体の部材である。
【0035】
フォームや、フェルトの部材、立体編み物の部材、網状構造体の部材、いずれを用いた場合も、担持体110の内部には複数の空隙が形成される。ただし、空隙率や空間率で表される多孔度(単位体積当たりに占める孔の割合(体積%))は特に限定されず、接着剤の粘度等に応じて適宜調整することができる。また担持体110の厚さも、やはり被着体や接着剤の粘度等に応じて適宜設計することができる。
【0036】
図1に示すように、担持体110の内部に形成された複数の空隙内には、還元剤120が含まれている。このように本願発明の接着用担持体100は還元剤120を含んでいることから、アクリル系接着剤が含浸されると、還元剤120との反応に伴うラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、接着性能を発揮するわけである。なお、アクリル系接着剤を担持体110に含浸させるには、浸漬や注入、吸収、吸着など従来用いられている種々の手法を採用することができる。
【0037】
本願発明のアクリル系接着剤として特に嫌気性接着剤を用いる場合、還元剤120として遷移金属塩が含まれた接着用担持体100が用いられる。遷移金属塩を含む接着用担持体100に嫌気性接着剤が含浸され、さらに酸素が遮断された状態になると、嫌気性接着剤(アクリル系接着剤)と遷移金属塩(還元剤120)が反応して接着性能を発揮する。また、担持体110全体を金属製とし、あるいは担持体110の一部を金属製とすることもできる。この場合、担持体110そのものが遷移金属塩を含んでいることから、担持体110の製作の手間が低減されて好適となる。
【0038】
図2は、アクリル系接着剤が含浸された接着用担持体100が、2つの被着体の間に配置された状態を示す断面図である。便宜上ここでは、アクリル系接着剤が含浸された接着用担持体100のことを特に「接着体200」ということとする。
図2(a)では、上側の鋼板PL(第1被着体)と下側の鋼板PL(第2被着体)の間に接着体200が配置されており、(嫌気性接着剤を用いる場合、さらに酸素が遮断された状態にすると、)ラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、上下の鋼板PLが接着接合される。
図2(b)では、上側の鋼板PL(第1被着体)と下側の2つの山形鋼LS(第2被着体)の間に接着体200が配置されており、(嫌気性接着剤を用いる場合、さらに酸素が遮断された状態にすると、)ラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、鋼板PLと山形鋼LSが接着接合される。
【0039】
ここで
図2(b)に示す2つの山形鋼LSの上面には段差が生じているが、担持体110をスポンジのように変形容易な部材とすれば、この図に示すように接着体200が山形鋼LS間の段差を吸収するため、段差が生じた状態でもそのまま鋼板PLと山形鋼LSを接着接合することができる。また、
図2(c)に示す下側の鋼板PLが変形しており、上側の鋼板PLと下側の鋼板PLとの間の厚みは一様ではない(等厚ではない)が、やはり担持体110をスポンジのように変形容易な部材とすれば、この図に示すように接着体200が柔軟に変形するため、一様ではない隙間が生じた状態でもそのまま上下の鋼板PLを接着接合することができる。さらに、
図2(d)に示す下側の鋼材STは断面視で一部曲線を含む形状であり、そのため上側の鋼板PLと下側の鋼材STとの間の厚みは一様ではない(等厚ではない)が、やはり担持体110をスポンジのように変形容易な部材とすれば、接着体200が柔軟に変形するため、一様ではない隙間が生じた状態でもそのまま鋼板PLと鋼材STを接着接合することができる。なお、接着接合しようとする第1被着体と第2被着体は、鋼板PLや山形鋼LSのようにそれぞれ金属製とすることもできるし、双方ともに非金属性とすることもできるし、あるいは金属製と非金属製の組み合わせとすることもできる。
【0040】
3.接着体製造方法
次に、本願発明の接着体製造方法について説明する。接着体200を製造するにあたっては、まず担持体110に還元剤120を含浸させることで接着用担持体100を形成する。例えば、
図3(a)に示すように担持体110を還元剤溶液に浸漬することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させることができる。あるいは、
図3(b)に示すようにスプレー等を利用して還元剤溶液を担持体110に噴霧することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させることもできる。このように担持体110に還元剤120を含浸させることによって、担持体110の内部に形成された複数の空隙内に還元剤120が含まれる状態となるわけである。
【0041】
なお、アクリル系接着剤として特に嫌気性接着剤を用いる場合は、担持体110を遷移金属塩(還元剤120)溶液に浸漬したり、遷移金属塩溶液を担持体110に噴霧したりすることによって、担持体110に遷移金属塩を含浸させる。
【0042】
担持体110に還元剤120を含浸させ、すなわち接着用担持体100が形成されると、この接着用担持体100にアクリル系接着剤を含浸させ、接着体200を完成させる。例えば、
図4(a)に示すように接着用担持体100をアクリル系接着剤に浸漬することによって、この接着用担持体100にアクリル系接着剤を含浸させて接着体200を製造することができる。あるいは、
図4(b)に示すように接着用担持体100にアクリル系接着剤を注入することによって、この接着用担持体100にアクリル系接着剤を含浸させて接着体200を製造することもできる。
【0043】
4.接着方法
続いて、本願発明の接着方法について説明する。なお本願発明の接着方法は、大きく4つの形態を示すことができる。そこで、それぞれ第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態として順に説明していく。なお本願発明の接着方法は、金属製の第1被着体と金属製の第2被着体を接着接合する場合でも実施することができるし、また金属製の第1被着体と非金属製の第2被着体を接着接合する場合でも実施することができ、非金属製の第1被着体と非金属製の第2被着体を接着接合する場合でも実施することができる。
【0044】
(第1の実施形態)
図5は、第1の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この図に示すように、まずは担持体110に還元剤120(アクリル系接着剤として特に嫌気性接着剤を用いる場合は、遷移金属塩)を含浸させることで接着用担持体100を形成する(Step101)。なおこの図では、担持体110を還元剤溶液に浸漬することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させているが、
図3(b)に示すようにスプレー等を利用して還元剤溶液を担持体110に噴霧することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させてもよい。
【0045】
担持体110に還元剤120を含浸させ、すなわち接着用担持体100が形成されると、
図5に示すようにこの接着用担持体100をアクリル系接着剤に浸漬することによって、アクリル系接着剤を接着用担持体100に含浸させる(Step102)。
【0046】
接着用担持体100にアクリル系接着剤を含浸させ、すなわち接着体200が形成されると、上側の鋼板PL(第1被着体)と下側の鋼板PL(第2被着体)の間に接着体200を配置する(Step103)。そして上下の鋼板PLの間に接着体200が配置された状態で、(嫌気性接着剤を用いる場合、さらに酸素が遮断された状態にすると、)ラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、上下の鋼板PLが接着接合される。
【0047】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この図に示すように、まずは担持体110に還元剤120(アクリル系接着剤として特に嫌気性接着剤を用いる場合は、遷移金属塩)を含浸させることで接着用担持体100を形成する(Step201)。なおこの図では、担持体110を還元剤溶液に浸漬することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させているが、
図3(b)に示すようにスプレー等を利用して還元剤溶液を担持体110に噴霧することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させてもよい。
【0048】
担持体110に還元剤120を含浸させ、すなわち接着用担持体100が形成されると、
図6に示すようにこの接着用担持体100にアクリル系接着剤を注入することによって、アクリル系接着剤を接着用担持体100に含浸させる(Step202)。
【0049】
接着用担持体100にアクリル系接着剤を含浸させ、すなわち接着体200が形成されると、上側の鋼板PL(第1被着体)と下側の鋼板PL(第2被着体)の間に接着体200を配置する(Step203)。そして上下の鋼板PLの間に接着体200が配置された状態で、(嫌気性接着剤を用いる場合、さらに酸素が遮断された状態にすると、)ラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、上下の鋼板PLが接着接合される。
【0050】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この図に示すように、まずは担持体110に還元剤120(アクリル系接着剤として特に嫌気性接着剤を用いる場合は、遷移金属塩)を含浸させることで接着用担持体100を形成する(Step301)。なおこの図では、担持体110を還元剤溶液に浸漬することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させているが、
図3(b)に示すようにスプレー等を利用して還元剤溶液を担持体110に噴霧することによって、この担持体110に還元剤120を含浸させてもよい。
【0051】
担持体110に還元剤120を含浸させ、すなわち接着用担持体100が形成されると、
図7に示すようにこの接着用担持体100を上側の鋼板PL(第1被着体)と下側の鋼板PL(第2被着体)の間に配置する(Step302)。そして、上下の鋼板PLの間に配置された接着用担持体100にアクリル系接着剤を注入することによって、アクリル系接着剤を接着用担持体100に含浸させる(Step303)。この状態で、(嫌気性接着剤を用いる場合、さらに酸素が遮断された状態にすると、)ラジカル重合によりアクリル系接着剤が硬化することで、上下の鋼板PLが接着接合される。
【0052】
(第4の実施形態)
図8は、第4の実施形態における本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この実施形態では、アクリル系接着剤として特に嫌気性接着剤を用い、一部(あるいは全部)が金属製の担持体110からなる接着用担持体100を利用する。すなわち、担持体110がそもそも還元剤120(この場合は、遷移金属塩)を含むことから、第1~第3の実施形態で行う「還元剤含浸工程(担持体110に還元剤120を含浸させる工程)」を省略することができる。
【0053】
図8に示すように、まずは嫌気性接着剤を接着用担持体100に含浸させる(Step401)。なおこの図では、接着用担持体100を嫌気性接着剤に浸漬することによって、嫌気性接着剤を接着用担持体100に含浸させているが、
図4(b)に示すように接着用担持体100に嫌気性接着剤を注入することによって、嫌気性接着剤を接着用担持体100に含浸させてもよい。
【0054】
接着用担持体100に嫌気性接着剤を含浸させ、すなわち接着体200が形成されると、上側の鋼板PL(第1被着体)と下側の鋼板PL(第2被着体)の間に接着体200を配置する(Step402)。そして上下の鋼板PLの間に接着体200が配置された状態で、さらに酸素が遮断された状態にすると、担持体の遷移金属塩との反応に伴うラジカル重合により嫌気性接着剤が硬化し、上下の鋼板PLが接着接合される。
【0055】
なお、金属製の担持体110からなる接着用担持体100を利用する場合、第3の実施形態のように接着用担持体100を上側の鋼板PL(第1被着体)と下側の鋼板PL(第2被着体)の間に配置したうえで、その接着用担持体100に嫌気性接着剤を注入することによって、嫌気性接着剤を接着用担持体100に含浸させることもできる。
【0056】
5.確認試験
以下、本願発明の効果を確認するために本願の発明者らが実施した試験結果について説明する。なおこの試験では、アクリル系接着剤として嫌気性接着剤を用い、還元剤120として遷移金属塩を用いている。
【0057】
(試験方法)
担持体100の部材と、遷移金属塩(還元剤120)の種類、遷移金属塩の含浸方法、嫌気性接着剤(アクリル系接着剤)の含浸方法、接着厚さを変えることで8例の試料について、引張せん断接着強さの試験を行うとともに、破壊状態の観察を行った。なお、8試料の内容は以下のとおりである。
実施例1・・・立体編物を用いた担持体110をネオデカン酸銅(遷移金属塩)5%溶液に浸漬し、また嫌気性接着剤も浸漬し、接着厚さを3mmとした。
実施例2・・・立体編物を用いた担持体110をナーセム第二鉄(遷移金属塩)2.5%溶液に浸漬し、また嫌気性接着剤も浸漬し、接着厚さを3mmとした。
実施例3・・・立体編物を用いた担持体110にネオデカン酸銅5%溶液を噴霧(スプレー)し、また嫌気性接着剤も浸漬し、接着厚さを3mmとした。
実施例4・・・立体編物を用いた担持体110にネオデカン酸銅5%溶液をまぶし、また嫌気性接着剤も浸漬し、接着厚さを3mmとした。
実施例5・・・立体編物を用いた担持体110をネオデカン酸銅5%溶液に浸漬し、嫌気性接着剤を注入し、接着厚さを3mmとした。
実施例6・・・立体編物を用いた担持体110をネオデカン酸銅5%溶液に浸漬し、また嫌気性接着剤も浸漬し、接着厚さを5mmとした。
実施例7・・・フォームを用いた担持体110をネオデカン酸銅5%溶液に浸漬し、また嫌気性接着剤も浸漬し、接着厚さを3mmとした。
実施例8・・・フェルトを用いた担持体110をネオデカン酸銅5%溶液に浸漬し、また嫌気性接着剤も浸漬し、接着厚さを3mmとした。
【0058】
(試験結果)
図9に、実施例1~8それぞれの結果を示す。この図に示すように、いずれの実施例もその引張せん断接着強さが許容値2.0MPaを上回っており、3mm以上の接着厚さを保持して硬化し、しかも十分な接着強度が発現したことを確認した。なお参考までに、立体編物を用いた担持体110に嫌気性接着剤を含浸させることなく、嫌気性接着剤のみを含浸させ、接着厚さを1mm、3mm、5mmとした3試料について引張せん断接着強さを行ったところ、いずれも「未硬化(液状)のため測定不可」となった。また、破壊状態に関しても、実施例1~8ともに「薄層凝集破壊(TCF)」あるいは「凝集破壊(CF)」の状態で観察されていることからやはり問題ないことが確認できた。すなわち本願発明にかかる接着技術は、有効に実施することができることが確認できた。なお、引張せん断接着強さについてはJIS K 6850に準拠して測定した。測定に用いる試料は、次のように作成している。サンドブラスト処理したSPCC-SDを2枚用意し、それぞれの片端部に3mm厚み(または5mm厚み)のスペーサーを取り付ける。そして、一方のSPCC-SDに取り付けたスペーサーと他方のSPCC-SDに取り付けたスペーサーがそれぞれ接するように担持体110(25mm×25mm×10mm)を挟み込み、ピンチ2個で圧締した後、23℃50%RH環境下で24時間養生することで試料を作成した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本願発明の接着用担持体、接着体製造方法、及び接着方法は、工場などの生産施設で利用できるほか、倉庫、体育館などあらゆる建造物で利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 本願発明の接着用担持体
110 (接着用担持体の)担持体
120 (接着用担持体の)還元剤
200 接着体
PL 鋼板
LS 山形鋼
ST 鋼材