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特許7532889注出機能付き包装容器および保存用キャップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】注出機能付き包装容器および保存用キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240806BHJP
   B65D 39/08 20060101ALI20240806BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D39/08
B65D47/34 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086848
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021181320
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 美香
(72)【発明者】
【氏名】松田 博樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 潔
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-090964(JP,A)
【文献】特開2017-159955(JP,A)
【文献】特開2018-122231(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0097629(KR,A)
【文献】特開2017-190171(JP,A)
【文献】特開2020-019542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 39/08
B65D 47/34
B65D 33/38
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口栓を溶着した包装袋と、前記口栓に対して装着可能なポンプディスペンサーとからなる注出機能付き包装容器であって、
前記ポンプディスペンサーは、上からポンプヘッドと、係止キャップと、吸引室と、管路と、からなり、
前記口栓は、前記係止キャップに螺合するネジ部と、フランジと、融着部と、前記融着部下端から下方に延出したスパウト裾と、からなり、
前記スパウト裾の裾先端は、下方に向かって口径が狭くなるテーパー部と、前記テーパー部の先端に接続されるストレート部とを有し、
前記管路先端の径は、部分的に前記裾先端の内径よりも大きく、
前記ポンプディスペンサーを前記口栓に装着すると、前記ストレート部に前記管路先端が圧入されることで、前記管路外面と前記スパウト裾内面とが密着した状態となることを特徴とする、注出機能付き包装容器。
【請求項2】
前記管路先端よりも、前記裾先端が前記包装容器内側に突出するか、前記管路先端と面一となるように嵌合したことを特徴とする、請求項1に記載の注出機能付き包装容器。
【請求項3】
前記管路先端と前記裾先端を、円筒状としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の注出機能付き包装容器。
【請求項4】
前記ポンプディスペンサーに代えて前記包装容器本体に保存用キャップを装着可能であり
前記保存用キャップが前記口栓に螺合した時に、前記裾先端に干渉した状態に挿嵌し、閉鎖可能とする閉鎖用突出部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の注出機能付き包装容器
【請求項5】
前記保存用キャップが、前記口栓との嵌合において、前記閉鎖用突出部を前記裾先端よりも前記包装容器内側に突出した状態で挿嵌し、前記裾先端より突出する前記閉鎖用突出部先端が内側に傾斜したテーパー部を有することを特徴とする、請求項4に記載の注出機能付き包装容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、お酒、ジュース、乳酸飲料などの飲料や、シャンプー、ボディソープ、コンディショナー、などのトイレタリーや、ハンドクリーム、ハンドソープ、液体洗濯用洗剤、住宅洗剤、液体肥料などの液体を収納し、容器に設けたポンプディスペンサーで内容物を注出可能とする、注出機能付き包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロー成形ボトルにポンプディスペンサーを取り付けた注出容器は高価で、それに供給する内容物の詰め替え用包装袋を採用することによって、資源の節約を図り、廉価をめざす試みが行なわれてきた。
しかしながら、それでも、ブロー成形ボトルの注出容器は高価であると共に、詰め替えに際して、内容物が洩れてしまうロスが大きく、又、詰め替え容器に残留する内容物も決して無視できない量になっている問題があった。
そこで、詰め替え用包装袋にポンプディスペンサーを直接挿入する形で、ポンプディスペンサーを付替えることによって、詰め替え用包装袋をそのまま容器として使用する方法が考えられた。
【0003】
例えば、特許文献1では、
樹脂シートからなり、自立性を有する袋状に形成された本体部と、該本体部に取付けられる口具と、該口具に対して着脱可能に取付けられるディスペンサとを備えたディスペンサ付き包装袋であって、
前記ディスペンサには、前記口具に挿入されて前記本体部の内部に配置されるとともに、下方側に向かって与えられる力を受け止める支持部材が設けられており、
前記支持部材は、その上部を構成する管状の支持体と下部を構成する有底筒状の当接体とを備え、前記本体部の上下方向に直交する断面において、前記支持体の断面積よりも前記当接体の断面積の方が大きく形成されており、
前記当接体の周面には、前記本体部の内部に収容された内容物を前記支持部材の内部に流入させる流入孔が形成されており、前記当接体の下端面は、外方ほど上方に反り上がる曲面部を有するように形成されているとともに、当該下端面には、開口が形成されておらず、
前記支持部材は、前記本体部の自立状態において前記当接体の下端面と前記本体部の底面との間に隙間が生じるように形成されており、前記下方側に向かって与えられる力に伴って前記本体部が変形したときに前記当接体の下端面が前記本体部の底面に当接することを特徴とするディスペンサ付き包装袋を提案している。
【0004】
このディスペンサ付き包装袋では、自立性を有する袋状本体部に、口具を取り付け、該口具に取る付けられるディスペンサは、その下方に向かって与えられる力を受け止める支持部材が設けられている。
しかし、このようなディスペンサ先端に取り付けられる支持部材などは、内容物がなくなって、容器を廃棄もしくは付け替える時、図5に示すように、ポンプディスペンサー4に内容物5が付着して、それが滴下するだけでなく、支持部材45によってさらに付着する量や残量が増えたりするなどの問題が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5551897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、包装袋にポンプディスペンサーを取り付けて使用する包装容器において、ポンプディスペンサーを付け替える時に、ポンプディスペンサーに付着した内容物が垂れて、周囲を汚さないようにすることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は、口栓を溶着した包装袋と、口栓に対して装着可能なポンプディスペンサーとからなる注出機能付き包装容器であって、ポンプディスペンサーは、上からポンプヘッドと、係止キャップと、吸引室と、管路と、からなり、口栓は、前記係止キャップに螺合するネジ部と、フランジと、融着部と、融着部下端から下方に延出したスパウト裾と、からなり、スパウト裾の裾先端は、下方に向かって口径が狭くなるテーパー部と、テーパー部の先端に接続されるストレート部とを有し、管路先端の径は、部分的に裾先端の内径よりも大きく、ポンプディスペンサーを口栓に装着するとストレート部に管路先端が圧入されることで、管路外面とスパウト裾内面とが密着した状態となることを特徴とする注出機能付き包装容器である。
【0008】
請求項1の注出機能付き包装容器は、ポンプディスペンサーの管路先端が口栓のスパウト裾の裾先端近傍に挿嵌し、管路先端外面が裾先端内面に密着しているので、管路外面に内容物が付着しない。この為、ポンプディスペンサーを外した時に、管路外面に内容物が付着しない状態で取り出すことができるので、周囲を内容物で汚すことがほとんどない。
【0011】
本発明の請求項は、管路先端よりも、裾先端が包装容器内側に突出するか、管路先端と面一となるように嵌合したことを特徴とする請求項1に記載の注出機能付き包装容器である
【0012】
請求項の注出機能付き包装容器は、ポンプディスペンサーの管路先端よりも、裾先端が包装容器内側に突出しているか、面一となっているので、内容物は管路先端端面にしかなく、内容物はわずかで、周囲を内容物で汚すことがほとんどない
【0015】
本発明の請求項は、管路先端と裾先端を、円筒状としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の注出機能付き包装容器である。
【0016】
請求項の注出機能付き包装容器は、管路先端と裾先端を、円筒状としたことによって、隙間の無い密封状態を作ることができるので、口栓内側に内容物が漏れず、管路外側に内容物が付着しないようにできる。
【0017】
本発明の請求項4は、ポンプディスペンサーに代えて包装容器本体に保存用キャップを装着可能であり、該保存用キャップが口栓に螺合した時に、裾先端に干渉した状態に挿嵌し、閉鎖可能とする閉鎖用突出部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の注出機能付き包装容器である。
【0018】
請求項4の注出機能付き包装容器は、裾先端と保存用キャップ先端とが干渉部分を設けて、口栓の内側に内容物が侵入させないので、保存用キャップを外した時に、内容物が付着して、周囲を汚すことなく、詰め替えることができる。
【0019】
本発明の請求項5は、保存用キャップが、口栓との嵌合において、閉鎖用突出部を裾先端よりも包装容器内側に突出した状態で挿嵌し、裾先端より突出する閉鎖用突出部先端が内側に傾斜したテーパー部を有することを特徴とする請求項4に記載の注出機能付き包装容器である。
【0020】
請求項5の注出機能付き包装容器は、閉鎖用突出部先端が、裾先端よりも包装袋内側に突出した状態で挿嵌しているので、口栓内部には、内容物が侵入してこない。しかも、口栓より容器内側に突出する閉鎖用突出部先端が内側に傾斜させているので、内容物に触れた閉鎖用突出部先端から、容易に内容物が付着しにくく、最少の付着に留められるので、詰め替えで、容器の周囲を汚すことがない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の注出機能付き包装容器は、ポンプディスペンサーの管路先端が口栓の裾先端近傍に挿嵌され、管路先端外面が裾先端内面に密着しているので、管路外面に内容物が付着しない。この為、ポンプディスペンサーを外した時に、管路外面に内容物が付着しない状態で取り出すことができるので、周囲を内容物で汚すことがほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の注出機能付き包装容器の実施形態例を示す外観斜視図である。
図2】本発明の注出機能付き包装容器に使用する口栓とポンプディスペンサーとを組み合わせた実施形態例を示す縦断面図と、それぞれの外観を示す斜視図である。
図3】本発明の注出機能付き包装容器に使用する口栓と保存用キャップとを組み合わせた実施形態例を示す縦断面図と、それぞれの外観を示す斜視図である。
図4】本発明の注出機能付き包装容器において、使用する口栓とポンプディスペンサー近傍の嵌合状態を示す縦断面図と、そのポンプディスペンサーを外して容器を取り換える状態を示す断面図である。
図5】従来の注出機能付き包装容器において、その口栓とポンプディスペンサー近傍の縦断面図と、そのポンプディスペンサーを外して容器を取り換える状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の注出機能付き包装容器の実施の形態例について、図を用いて詳細に説明する。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
図1は、本発明の注出機能付き包装容器1の実施形態例を示す外観斜視図である。
包装容器本体2は、図1に示すようなフィルムから形成される包装袋であっても、薄肉で可撓性のあるブロー成形容器であってもかまわない。もちろん、図1に示すような底部に
ガゼット部21を有するスタンディングパウチであっても良いが、自立性がない4方シールや、3方シールなどからなる一般的な包装袋であってもかまわないし、下方だけでなく、左右にもガゼット部(折り込み用のマチ部)を有するような包装袋であってもかまわない。
【0024】
包装容器本体2の一辺には、口栓3が融着されている。
また、その口栓3にポンプディスペンサー4が装着され、係止キャップ43によって係止されている。
【0025】
図2は、本発明の注出機能付き包装容器に使用する口栓3とポンプディスペンサー4とを組み合わせた(嵌合した)実施形態例を示す縦断面図を図2-1に示した。また、図2-2にポンプディスペンサー4の外観斜視図、図2-3に口栓3の外観斜視図を示した。
【0026】
図2-1、図2-3で示すように、口栓3は、上方にポンプディスペンサーの係止キャップ43や後述する保存用キャップ6と螺合するネジ部31、ネジ部31の下方に内容物の充填や注出時に包装容器全体を支える為のフランジ32、フランジ32の下方に隙間を開けて、断面が舟形となった融着部33、融着部33の下方に吸引室44や管路41を覆うスパウト裾34を有し、かつ、上記ネジ部31、フランジ32、融着部33、スパウト裾34の中央内側を上方から下方にかけて、貫通する挿通孔35を有している。
【0027】
実施形態例では、フランジ32を六角形で2枚の板状からなる構成としているが、フランジ32の外形は六角形以外に、円形や長円形、楕円形、8角形などの多角形といった多様な形状であってもかまわないし、図のような2枚だけではなく、1枚であっても、3枚などの多数で形成されていてもかまわない。2枚以上の多数で形成した場合、それらフランジの間にリブを設け、剛性を強化したフランジ32とすることが好ましい。
【0028】
フランジ32と融着部33との隙間は、包装容器本体に対して内容物を充填するのに、包装容器本体を支えると共に、位置合わせを行なうU字状の治具を挿入可能な隙間であれば良い。
この為、フランジ32の根元には、曲面からなる面取りを施し、かつ、フランジ32の厚み等により剛性を充分に持たせ、全体の重量を支えることができる強度を有するようにすることが好ましい。
【0029】
融着部33は、前フィルムと後フィルムとの間に口栓3を挿入して、口栓3と包装容器本体2とを融着することで挿通孔35を形成すると共に、左右両端の厚みを徐々に薄くすることで隙間を徐々に狭め、安定して密封した融着が可能とするようにした形状の融着部で、一部肉厚になるが、ヒケが生じて融着が不安定にならないように、肉盗み部331などを設けて、安定した溶着ができるようにすることが望ましい。
【0030】
融着部33下端から下方に延出したスパウト裾34は、包装容器本体2内部に挿入し、ポンプディスペンサー4の吸引室44などを覆うカバーとなるものである。
図2-1の断面図で示すように、ポンプディスペンサー4の管路41を、口栓3の挿通孔35に挿入して、管路先端411が口栓3のスパウト裾34内側先端の裾先端341近傍となる位置に挿嵌する。この時、スパウト裾34の先端は、下方に向かって口径が狭くなるテーパー部と、その先にストレート部を有しており、ストレート部で管路41先端の外面に対し、裾先端341内面が密着した状態としている。
図4-1に示すように、ポンプディスペンサー4が包装容器本体2の口栓3に装着している時には、管路41先端の外面に裾先端341が密着しているので、管路41とスパウト裾34との隙間340には、内容物が侵入することがない。
又、管路41を上方に抜き去る時に、内容物が管路41外面に付着することもない。もし
、内容物が付着しても、管路外面を裾先端341で拭う状態となるので、管路41外面に内容物が付着したまま、取り出されることはない。
【0031】
図2-2に、ポンプディスペンサー4の外観図を示した。
ポンプディスペンサー4は、上からポンプヘッド42と、係止キャップ43と、吸引室44と、管路41と、から構成されている。
吸引室44は、図2-1に示すように、バネや少なくとも第一弁体441と第二弁体442の2つの弁を有し、ポンプヘッド42の中央から下方に垂下する注出管421が上下することによって、下方の包装袋から内容物を吸引し、ポンプヘッド42先端の注出口より内容物を注出する。
係止キャップ43は、口栓3にポンプディスペンサー4を係止する為のキャップで、口栓3のネジ部31に螺合して係止させる。
管路41は、吸引室44の下方に連接され、包装容器本体の内部と吸引室44との間を中継する形で、内容物を移送する。
上記構成のポンプディスペンサー4は、包装容器本体の内容物を注出して終えると、内容物が入った新しい包装容器本体にポンプディスペンサー4を付け替えて、使用される。
この時、図5のように、内容物にポンプディスペンサー4の管路(支持部材71)が浸かっていると、周囲に垂れて、汚してしまう問題があった。
また、横穴が開けてあり、外部の空気を取り込むボトル用のポンプディスペンサーの場合であっても、底の封止構造で密封するので、問題なく使用できる。
【0032】
本発明のポンプディスペンサー4を口栓3に嵌合した状態を、図2-1に示した。また、図2-1の部分拡大図に、管路41の管路先端411とスパウト裾34の裾先端341との挿嵌状態を示した。
ポンプディスペンサー4を口栓3に嵌合した状態では、裾先端341が、管路先端411よりも包装容器本体の内側に突出するように形成されている。
これによって、管路41外面が確実にスパウト裾34によって覆われて、管路41外面に対する内容物の付着を防止している。
【0033】
拡大図に示すように、管路先端411の径を、スパウト裾先端341の内径よりも部分的に大きくすることで、口栓3に管路41の先端を圧入した状態にしている。
部分的ではあるが、管路先端411の周囲に管路リング突起412を設けて、その径を裾先端341の内径よりも大きくして干渉させ、圧入して挿嵌するようにしている。
逆に、裾先端341の内側にも、周囲に裾リング突起342を設け、その径を管路先端411の外径より小さくして干渉させ、圧入して挿嵌するようにしている。
このように圧入による挿嵌によって、管路41や吸引室44とスパウト裾34との間に、内容物5が侵入することを防止することができる。その為、管路41や吸引室44の外面に内容物が付着する恐れもなく、ポンプディスペンサー4を外しても、内容物で周囲を汚すことがない。
このように圧入するように挿嵌させるのに、管路先端411と裾先端341を、円筒状とすることによって、確実に形状が安定して成形できると共に、上記各リング突起が挿嵌等で傷みにくい包装容器とすることができる。
【0034】
図3-1は本発明の注出機能付き包装容器に使用する口栓3と保存用キャップ6とを組み合わせた(嵌合した)実施形態例を示す縦断面図で、図3-2が口栓3および保存用キャップ6それぞれの外観を示す斜視図である。
本発明の注出機能付き包装容器は、包装容器本体の内容物を注出して内部の内容物がなくなると内容物が入った新しい包装容器本体にポンプディスペンサーを付け替えて、使用される。
すなわち、内容物は、包装容器本体に入れた状態で販売されるが、高価で嵩張るポンプデ
ィスペンサーは、再利用される。
この為、販売される内容物が入った包装容器本体には、口栓3に、ポンプディスペンサー4に代えて前記包装容器本体に装着する保存用キャップ6を螺合した状態で、販売・流通される。
【0035】
保存用キャップ6は、図3-1、図3-2に示すように、注出口を覆う天板61と、天板61の周縁から垂下する側壁62と、側壁内側に設けられ、口栓3のネジ部31に螺合する内ネジ621と、天板61の中央近傍から垂下し、口栓3の裾先端341内側に内接する閉鎖用突出部63とから構成される。
【0036】
閉鎖用突出部63先端は、図3-1の拡大図に示すように、裾先端341の内周に設けた裾リング突起342に干渉するようにしている。この裾先端341の裾リング突起342の径に対し、その閉鎖用突出部63先端の外径を大きくして干渉させ、圧入して挿嵌するようにしている。
この裾先端と保存用キャップ先端との干渉部分は、口栓の内側に内容物が侵入するのを防ぎ、保存用キャップを外した時に、内容物が付着して、周囲を汚すことなく、詰め替えることができるようにする。
また、閉鎖用突出部63は、先端が閉塞されているので、長時間負荷をかけることによって変形するクリープなどの変形を防いで、長期に保管しても、漏れにくい保存用キャップ6になっている。
【0037】
さらに、保存用キャップ6の閉鎖用突出部63は、裾先端341よりも包装容器内側に突出した状態で挿嵌され、その裾先端341の先端端面より突出した閉鎖用突出部先端631を有し、その閉鎖用突出部先端631から内側に傾斜したテーパー部65をして閉鎖板部64が形成されている。
もちろん、嵌合時に裾先端341よりも先端側にテーパー部65が形成されているならば、テーパー部65の先に閉鎖板部64を設けなくてもかまわない。
この閉鎖用突出部63の先端のテーパー部65は、内容物に触れた閉鎖用突出部先端631から、容易に内容物が付着しにくくして、最少の付着に留められるので、詰め替えの際、容器の周囲を汚しにくくできる。
【0038】
本発明の注出機能付き包装容器に使用する口栓の材質は、耐ストレスクラッキング性も高く、内容物からの影響を受けにくい材料で、かつ、剛性が適度にあり、前フィルムや後フィルムと融着しやすい事が必要である。
また、挿嵌性から、ポンプディスペンサーに使用するキャップとは材質を変えることが好ましい。
この為、成形樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、などとし、これらの樹脂を射出成形金型と射出成形機を用い、射出成形して製造する。
【0039】
本発明の注出機能付き包装容器に使用するポンプディスペンサーは、一般的なポンプディスペンサーでかまわない。
管路やノズル、係止キャップなどの材質は、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルなどの剛性の高い材質とする。
【0040】
本発明の注出機能付き包装容器に使用するフィルムの構成は、外側に基材層、内側にシ
ーラント層からなるフィルムでかまわないが、中間層として、内容物の保存性を向上させるバリア層や、落下等に破袋しにくいような柔軟性を付与する層を設けることが好ましい。
【0041】
基材層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、特に限定されない。特に結晶性樹脂を用い、二軸延伸されたフィルムが好ましい。また、これらのフィルムにアルミニウム蒸着層を設けたものでもよい。
【0042】
また、基材層には、必要に応じて適宜印刷層を設けることができる。印刷層は、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系などのバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料および可塑剤、乾燥剤、安定剤などを添加されてなるインキにより印刷された層である。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。また基材層の表面を、予め前処理としてコロナ処理またはオゾン処理を施すことにより、印刷層の密着性を向上させることができる。
【0043】
シーラント層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂が使用できる。これらの樹脂をTダイ、あるいはインフレーションなどの押出し機により製膜可能である。単層または複層でもよい。フィルムの厚みとしては、50~200μmの範囲であることが好ましい。
【0044】
接着層としては、ドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などを使用することができる。貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法にて可能であるが、エキストルーダーラミネーション機で、シーラント層側を製膜しながら貼り合せてもかまわないし、サンドポリエチレン加工してもかまわない。
【0045】
また、積層シートの諸物性を向上する必要があれば、例えば、積層シートの剛性や落下強度、突き刺し強度などを向上させる場合、水蒸気や酸素ガスなどのバリア性を向上させる場合、などには中間層を設けることも可能である。
【0046】
中間層としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどを使用することができる。また、中間層を積層するには、接着層を介してドライラミネート法にて貼り合わせることができる。
【0047】
蒸着する無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシュウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。
【0048】
底部などに使用するガゼット用フィルムは、前フィルムや後フィルムと同じ構成でもかまわない。しかし、使い勝手や生産性から、折り畳まれる面には、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンなどの2軸延伸フィルムを使用することが好ましい
。そして、前フィルムや後フィルムよりも薄肉にして、開閉性をスムースに行なわれやすくしておくとよい。
【0049】
本発明の注出機能付き包装容器は、以上のようなもので、口栓の融着部下端から下方に延出したスパウト裾を設け、その裾先端の径を細くして、ポンプディスペンサーの管路先端を挿嵌し、管路外面とスパウト裾内面とを密着させた注出機能付き包装容器である。
管路外面とスパウト裾内面とを密着させたことによって、内容物を周囲に付着させないで、ポンプディスペンサーを包装容器本体から抜き去ることができる。
同じように、包装容器本体に使用する保存用キャップにおいても、天板中央から垂下し、口栓の裾先端内側に内接する閉鎖用突出部を設けて、裾先端に干渉した状態に挿嵌し、閉鎖可能とした。閉鎖用突出部を設けることによって、包装容器本体を開封する時にも、内容物を周囲に付着させないで、保存用キャップを包装容器本体から抜き去ることができる。
この為、内容物を注出し終わった包装容器本体から、ポンプディスペンサーを抜き去り、詰め替え用の包装容器本体から保存用キャップを抜いて、上記抜いたポンプディスペンサーを新しい包装容器本体に装着する取り換え工程が、内容物で周囲を汚さずに、スムースに対応できるようになった。
特に新しい部材の構成部品を追加することなく対応できるなど、本発明の注出機能付き包装容器のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・・・・・・注出機能付き包装容器
2・・・・・・・・・包装容器本体
21・・・・・・・・ガゼット部
3・・・・・・・・・口栓
31・・・・・・・・ネジ部
32・・・・・・・・フランジ
33・・・・・・・・融着部
331・・・・・・・肉盗み部
34・・・・・・・・スパウト裾
340・・・・・・・隙間(管路とスパウト裾との隙間)
341・・・・・・・裾先端(スパウト裾先端)
342・・・・・・・裾リング突起
35・・・・・・・・挿通孔
4・・・・・・・・・ポンプディスペンサー
41・・・・・・・・管路
411・・・・・・・管路先端
412・・・・・・・管路リング突起
42・・・・・・・・ポンプヘッド
421・・・・・・・注出管
43・・・・・・・・係止キャップ
44・・・・・・・・吸引室
441・・・・・・・第一弁体
442・・・・・・・第二弁体
45・・・・・・・・支持部材
5・・・・・・・・・内容物
6・・・・・・・・・保存用キャップ
61・・・・・・・・天板
62・・・・・・・・側壁
621・・・・・・・内ネジ
63・・・・・・・・閉鎖用突出部
631・・・・・・・閉鎖用突出部先端
64・・・・・・・・閉鎖板部
65・・・・・・・・テーパー部
71・・・・・・・・支持部材
72・・・・・・・・ポンプ部
73・・・・・・・・蓋部
75・・・・・・・・当接体
図1
図2
図3
図4
図5