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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】壁紙
(51)【国際特許分類】
   D06N 7/00 20060101AFI20240806BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20240806BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
D06N7/00
B32B27/10
E04F13/07 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086903
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021181640
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 麗奈
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-071403(JP,A)
【文献】特開2017-166080(JP,A)
【文献】特開2019-167683(JP,A)
【文献】特開2018-145621(JP,A)
【文献】特開2005-002536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06N 1/00- 7/06
B32B 1/00-43/00
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙からなる基材と、
前記基材上に設けられて発泡樹脂からなる樹脂層と、
前記樹脂層上に設けられて非発泡性インキ又は発泡性インキからなる模様層と、
前記模様層上に設けられてアクリル系樹脂を主成分とする樹脂からなる表面保護層と、
を備えた壁紙において、
前記樹脂層と前記模様層との間又は前記模様層と前記表面保護層との間に設けられて水蒸気の透過を抑制する防湿コート層を備え
前記防湿コート層は、アクリル系樹脂の粒子が互いに融着して成膜したものであり、
前記樹脂層は、発泡倍率が3倍以上7倍以下である
ことを特徴とする壁紙。
【請求項2】
紙からなる基材と、
前記基材上に設けられて発泡樹脂からなる樹脂層と、
前記樹脂層上に設けられて非発泡性インキ又は発泡性インキからなる模様層と、
前記模様層上に設けられてアクリル系樹脂を主成分とする樹脂からなる表面保護層と、
を備えた壁紙において、
前記樹脂層と前記模様層との間又は前記模様層と前記表面保護層との間に設けられて水蒸気の透過を抑制する防湿コート層を備え、
前記防湿コート層は、融着して成膜したアクリル系樹脂の粒子の間の隙間が水溶性樹脂で埋められたものであり、
前記樹脂層は、発泡倍率が3倍以上7倍以下である
ことを特徴とする壁紙。
【請求項3】
前記防湿コート層は、透湿度が300g/m・24h以上550g/m・24h以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の壁紙。
【請求項4】
前記防湿コート層は、乾燥時の坪量が5g/m以上20g/m以下である
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の壁紙。
【請求項5】
前記樹脂層、前記防湿コート層、前記模様層及び前記表面保護層にエンボスが形成されている
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の壁紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内装等に使用される壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内装等に使用される壁紙は、従来、基材に軟質塩化ビニル樹脂シートが適用されていたが、環境性等を考慮して、近年、紙が適用されている(例えば、下記特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-066089号公報
【文献】特開2018-145621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したような壁紙においては、現場で施工するにあたって、基材に水性接着剤(糊)を塗布した後、基材に糊を馴染ませるように暫くの間放置して養生している(オープンタイム)。このとき、糊を塗布した面を未塗布の面に接触させないように壁紙を蛇行させて曲折しておくことにより、オープンタイム後に容易に持ち運びできるようにしている。
【0005】
このように曲折して置いていると、糊を塗布した面(基材)同士を対向させていることから、オープンタイムの際に塗布面(基材)同士が接触して、互いに接着してしまうことがある(相剥ぎ)。このような相剥ぎを生じると、施工の際に基材同士を引き剥がすときに、基材が破れ裂けてしまう場合があった。
【0006】
このようなことから、本発明は、基材同士が接触しても、相剥ぎの発生を大きく抑制できる壁紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための、本発明に係る壁紙は、紙からなる基材と、前記基材上に設けられて発泡樹脂からなる樹脂層と、前記樹脂層上に設けられて非発泡性インキ又は発泡性インキからなる模様層と、前記模様層上に設けられてアクリル系樹脂を主成分とする樹脂からなる表面保護層と、を備えた壁紙において、前記樹脂層と前記模様層との間又は前記模様層と前記表面保護層との間に設けられて水蒸気の透過を抑制する防湿コート層を備え、前記防湿コート層は、アクリル系樹脂の粒子が互いに融着して成膜したものであり、前記樹脂層は、発泡倍率が3倍以上7倍以下であることを特徴とする。
また、前述した課題を解決するための、本発明に係る壁紙は、紙からなる基材と、前記基材上に設けられて発泡樹脂からなる樹脂層と、前記樹脂層上に設けられて非発泡性インキ又は発泡性インキからなる模様層と、前記模様層上に設けられてアクリル系樹脂を主成分とする樹脂からなる表面保護層と、を備えた壁紙において、前記樹脂層と前記模様層との間又は前記模様層と前記表面保護層との間に設けられて水蒸気の透過を抑制する防湿コート層を備え、前記防湿コート層は、融着して成膜したアクリル系樹脂の粒子の間の隙間が水溶性樹脂で埋められたものであり、前記樹脂層は、発泡倍率が3倍以上7倍以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る壁紙は、樹脂層と模様層との間又は模様層と表面保護層との間に防湿コート層が設けられていることから、基材に塗布された水性接着剤の水蒸気が透過して、水性接着剤が乾燥してしまうことを大きく抑制することができるので、基材同士が接触しても、接触した基材同士を容易に引き剥がすことができ、基材の破れ裂けを防止することができる。したがって、本発明に係る壁紙によれば、基材同士が接触しても、相剥ぎの発生を大きく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る壁紙の主な実施形態の概略構成を表す断面図である。
図2】本発明に係る壁紙の他の実施形態の概略構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る壁紙の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0011】
〈主な実施形態〉
本発明に係る壁紙の主な実施形態を図1に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態に係る壁紙は、図1に示すように、紙からなる基材11と、基材11上に設けられた樹脂層12と、樹脂層12上に設けられた模様層14と、模様層14上に設けられた表面保護層15と、を備えた壁紙10において、樹脂層12と模様層14との間に設けられて水蒸気の透過を抑制する防湿コート層13を備えている。
【0013】
基材11は、壁紙用として汎用されている一般紙からなり、坪量が50g/m以上100g/m以下、厚さが80μm以上150μm以下となっている。
【0014】
樹脂層12は、樹脂部12aに気泡部12bが形成された発泡樹脂からなり、水性エマルジョン系樹脂,発泡剤,無機フィラー(充填剤)等を混合されたペースト状の発泡剤含有樹脂組成物が基材11上に塗工された後、加熱等によって、発泡剤が発泡され、乾燥されることで成膜されている。
【0015】
水性エマルジョン系樹脂としては、水性エマルジョンの形態で利用可能な樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂が適用可能である。特に、エチレンとエチレン以外の成分とをモノマとするエチレン共重合体であるとより好ましい。
【0016】
発泡剤としては、一般的な発泡壁紙に利用されるものであれば適用可能であり、例えば、アゾ系,ヒドラジット系,ニトロソ系や、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤等を挙げることができる。特に、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤であると、発泡倍率や強度等の機能の観点から、非常に好ましい。
【0017】
無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,珪砂,タルク,シリカ類,ケイ酸マグネシウム,ホウ酸亜鉛,二酸化チタン等を挙げることができる。
【0018】
発泡剤含有樹脂組成物は、乾燥時の割合が、水性エマルジョン系樹脂100質量部に対して、無機フィラーが50質量部以上150質量部以下、発泡剤が1質量部以上20質量部以下であると好ましい。
【0019】
そして、樹脂層12は、乾燥時の坪量が、50g/m以上220g/m以下であると好ましく、発泡倍率が3倍以上7倍以下であると好ましい。なお、発泡剤含有樹脂組成物には、着色剤等のような他の添加物も配合可能である。
【0020】
このような発泡剤含有樹脂組成物は、ペースト状にして、ナイフコート法,ノズルコート法,ダイコート法,リップコート法,コンマコート法,グラビアコート法,ロータリースクリーンコート法,リバースロールコート法等によって、基材11上に塗工され得る。
【0021】
防湿コート層13は、アクリル系樹脂からなり、アクリル系樹脂の粒子が互いに融着して成膜したものである。このような防湿コート層13は、上記粒子をエマルジョン化した液を加熱乾燥させることにより、粒子同士を融着させて成膜することができる。このため、防湿コート層13は、透湿度が低く、防湿効果を発現することができる。ここで、上記粒子が水溶性樹脂で覆われているタイプであると、粒子の間に生じる間隙が水溶性樹脂で埋められるようになるので、より緻密に成膜され、より高い防湿効果を発現することができ、非常に好ましい。
【0022】
なお、アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂,メタクリル酸エステル樹脂,アクリロニトリル樹脂等を挙げることができる。また、水溶性樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂,メチロール化ユリア樹脂,メチロール化メラミン樹脂,ポリビニルアルコール,ポリエチレンオキシド,ポリアクリルアミド,カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。
【0023】
防湿コート層13は、透湿度が300g/m・24h以上550g/m・24h以下であると好ましい。透湿度が550g/m・24hを超えると、オープンタイムのときに水性接着剤(糊)が乾燥し易くなって、相剥ぎを起こし易くなってしまい、好ましくなく、透湿度が300g/m・24h未満であると、水蒸気が通り難くなって、基材11にカビ等が発生し易くなってしまい、好ましくない。
【0024】
また、防湿コート層13は、乾燥時の坪量が5g/m以上20g/m以下であると好ましい。乾燥時の坪量が5g/m未満であると、オープンタイムのときに水性接着剤(糊)が乾燥し易くなって、相剥ぎを起こし易くなってしまい、好ましくなく、乾燥時の坪量が20g/mを超えると、水蒸気が通り難くなって、基材11にカビ等が発生し易くなってしまい、好ましくない。
【0025】
上述したアクリル系樹脂粒子のエマルジョン液は、ナイフコート法,ノズルコート法,ダイコート法,リップコート法,コンマコート法,グラビアコート法,ロータリースクリーンコート法,リバースロールコート法等によって、樹脂層12上に塗工され得る。
【0026】
模様層14は、印刷インキ(非発泡性インキ)や発泡性インキ等が印刷法によって設けられ、意匠性を付与するものである。模様層14は、模様によって異なるものの、通常、厚さが0.1μm以上10μm以下、坪量(乾燥時)が0.1g/m以上10g/m以下であると好ましい。
【0027】
印刷インキ(非発泡性インキ)としては、一般的に汎用される印刷インキが適用可能である。発泡性インキとしては、水性エマルジョン系樹脂を主成分としたものや、塩化ビニルペースト樹脂を主成分としたもの等を挙げることができる。印刷法としては、グラビア印刷法,スクリーン印刷法,フレキソ印刷法,インキジェット印刷法等を挙げることができる。
【0028】
表面保護層15は、アクリル系樹脂を主成分とする樹脂からなり、模様層14の表面の保護や艶調整等を主に意図して設けられ、艶調整等を目的としてシリカ等のフィラーをさらに含有することも可能である。くわえて、表面保護層15は、施工時に、水性接着剤(糊)が塗布された際の壁紙10の伸長を抑制すると共に、水性接着剤(糊)が乾燥する際の壁紙10の収縮を抑制することができるようになっている。また、表面保護層15は、撥水性を有していると好ましい。表面保護層15は、乾燥時の坪量が、5g/m以上40g/m以下であると好ましい。
【0029】
上述したアクリル系樹脂を主成分とする樹脂は、グラビア印刷法,ナイフコート法,ノズルコート法,ダイコート法,リップコート法,コンマコート法等によって、発泡前の発泡剤含有樹脂組成物上に塗工され得る。そして、加熱乾燥されることにより、表面保護層15として成膜される。
【0030】
さらに、壁紙10は、樹脂層12,防湿コート層13,模様層14及び表面保護層15に凹凸形状をなして意匠性を付与するエンボス10aが形成されている。エンボス10aは、基材11に上記各層12~15を塗工又は印刷した後に加熱して、樹脂層12の発泡と同時又は発泡直後に表面保護層15上でロール状のエンボス版を押圧しながら転動させることにより、形成することができる。エンボス版を押圧する直前の壁紙10の表面温度は、160℃以上200℃以下であると好ましい。
【0031】
このような本実施形態に係る壁紙10においては、樹脂層12と模様層14との間に防湿コート層13が設けられていることから、基材11に塗布された水性接着剤(糊)の水蒸気が透過して、糊が乾燥してしまうことを大きく抑制することができるので、基材11同士が接触しても、接触した基材11同士を容易に引き剥がすことができ、基材11の破れ裂けを防止することができる。
【0032】
したがって、本実施形態に係る壁紙10によれば、基材11同士が接触しても、相剥ぎの発生を大きく抑制することができる。
【0033】
〈他の実施形態〉
なお、前述した実施形態では、樹脂層12と模様層14との間に防湿コート層13を設けた壁紙10の場合について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、図2に示すように、模様層14と表面保護層15との間に防湿コート層13を設けた壁紙20であっても、前述した実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【実施例
【0034】
本発明に係る壁紙の効果を確認するために行った実施例を具体的に説明するが、本発明は具体的に説明する以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
[試験体及び比較体の作製]
〈試験体1〉
《基材》
天然パルプのみをパルプ成分とし、合成樹脂を含有しない紙(KJ特殊紙株式会社製「WK665TMN(品番)」)を基材に使用した。なお、坪量は65g/m、厚さは110μmである。
【0036】
《樹脂層》
エチレン-酢酸ビニル共重合体(住化ケムテックス株式会社製「S-7400HQ(品番)」)80質量部に対して、エチレン-酢酸ビニル共重合体とアクリルとの混合物(ジャパンコーティングレジン株式会社製「FK-715(品番)」)20質量部と、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤(松本油脂製薬株式会社製「FT-16(品番)」)10質量部と、炭酸カルシウム粉末(旭鉱末株式会社製「MC-100(品番)」)80質量部とを混合して、ペースト状の発泡剤含有樹脂組成物を製造した。
【0037】
そして、乾燥後の坪量が100g/mとなるように発泡剤含有樹脂組成物をリップコート法により基材上に塗工した。
【0038】
《防湿コート層》
乾燥後の坪量が5g/mとなるようにアクリル系樹脂のエマルジョン液をグラビア印刷法により発泡剤含有樹脂組成物上に塗工した。
【0039】
《模様層》
アクリル系樹脂を樹脂成分とする印刷インキ(大日精化工業株式会社製「ハイドリックWP(品番)」)を用いてグラビア印刷法により模様層を形成した。なお、坪量は8g/m(乾燥時)、厚さは0.8μmである。
【0040】
《表面保護層》
乾燥後の坪量が20g/mとなるようにアクリル系樹脂を主成分とする塗料(DIC株式会社製「ATC-4000(品番)」)をグラビア印刷法により模様層上に塗工した。
【0041】
最後に、加熱(170℃)して発泡剤を発泡させると共に(発泡倍率:4倍)各層を乾燥させ、その直後にロール状のエンボス版を押圧しながら転動させてエンボス模様を形成することにより、壁紙の試験体1を作製した。
【0042】
〈試験体2〉
乾燥後の坪量が15g/mとなるようにアクリル系樹脂のエマルジョン液を発泡剤含有樹脂組成物上に塗工する以外は、試験体1の場合と同様にすることにより、壁紙の試験体2を作製した。
【0043】
〈試験体3〉
乾燥後の坪量が20g/mとなるようにアクリル系樹脂のエマルジョン液を発泡剤含有樹脂組成物上に塗工する以外は、試験体1の場合と同様にすることにより、壁紙の試験体3を作製した。
【0044】
〈比較体1〉
防湿コート層を形成しない以外は、試験体1の場合と同様にすることにより、壁紙の比較体1を作製した。
【0045】
〈比較体2〉
乾燥後の坪量が30g/mとなるようにアクリル系樹脂のエマルジョン液を発泡剤含有樹脂組成物上に塗工する以外は、試験体1の場合と同様にすることにより、壁紙の比較体2を作製した。
【0046】
[試験内容]
〈透湿度〉
試験体1~3及び比較体1,2の透湿度を日本工業規格「JIS Z 0208」に準拠して計測した。
【0047】
〈相剥ぎ具合〉
水性接着剤(糊)を固形分が20g/mとなるように試験体1~3及び比較体1,2の基材上に塗布し、糊を塗布した面を未塗布の面に接触させないように蛇行させて曲折して120分間放置して養生した後、接触した塗布面(基材)同士の接着具合(相剥ぎ具合)を確認した。
【0048】
〈カビ繁殖性〉
水性接着剤(糊)を固形分が20g/mとなるように基材上に塗布した試験体1~3及び比較体1,2を養生後に施工ボード(30cm×30cm)に施工して、温度40℃,湿度90%の環境下に1ヶ月間静置した後、試験体1~3及び比較体1,2を施工ボードから引き剥がして、カビの発生の有無を確認した。
【0049】
[試験結果]
上述した試験の結果を下記の表1に示す。なお、相剥ぎ具合は、基材が破れ裂けることなく剥がれたもの(端部の一部のみが破れたものを含む)を「○」とし、基材が全体にわたって破れ裂けたものを「×」とした。また、カビ繁殖性は、カビの発生がなかったものを「○」とし、カビの発生があったものを「×」とした。
【0050】
【表1】
【0051】
表1からわかるように、比較体1(防湿コート層なし)は、カビを生じることがないものの、相剥ぎを生じてしまった。このため、比較体1は、評価が「×」となった。
【0052】
他方、比較体2(防湿コート層大)は、相剥ぎを生じることがなかった。しかしながら、比較体2は、カビを生じてしまったため、評価が「△」となった。
【0053】
これに対し、試験体1~3は、カビを発生させることなく、接触した基材同士を容易に引き剥がすことができた。このため、試験体1~3は、評価が「○」となった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る壁紙は、基材同士が接触しても、相剥ぎの発生を大きく抑制することができるので、建築産業等において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10,20 壁紙
10a エンボス
11 基材
12 樹脂層
12a 樹脂部
12b 気泡部
13 防湿コート層
14 模様層
15 表面保護層
図1
図2