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特許7532895熱可塑性樹脂フィルム、これを用いた包装材及び包装袋
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  • 特許-熱可塑性樹脂フィルム、これを用いた包装材及び包装袋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂フィルム、これを用いた包装材及び包装袋
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240806BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20240806BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20240806BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20240806BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240806BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
C08J5/18 CFG
C08L23/02
C08L23/08
C08L77/00
B65D65/40 D
B65D65/02 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020088338
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181549
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小沼 健太
(72)【発明者】
【氏名】神戸 晴夏
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-299859(JP,A)
【文献】特表2008-508392(JP,A)
【文献】特開2002-187979(JP,A)
【文献】特開平07-025943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02、5/12-5/22
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)およびポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を含む熱可塑性樹脂フィルムであって、
オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と異なる樹脂であって、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)と結合し得る反応基を有するエチレン-酢酸ビニル共重合体であり、
オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)がポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を包み込むように存在しており、
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)およびポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を混錬し一体となった混合体の貯蔵弾性率G’の降伏点のひずみεとG’の積「ε×G’」が0.120MPa以上、0.250MPa以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項2】
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の重量割合が、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)およびポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の合計の0.5~30wt%であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項3】
JIS K7113に準じた引張試験において、引張弾性率が300MPa以上であり、かつ、耐衝撃性試験において破断エネルギーが7.4mJ/μm以上であり、かつヒートシール試験において、130℃シール時のヒートシール強度が10N/15mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項4】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)が下記の重量割合で存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(A)・・・69~99wt%
(B)・・・0.5~10wt%
【請求項5】
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の長軸分散径と短軸分散径の比が10.0未満の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムを用いたことを特徴とする包装材。
【請求項7】
請求項6に記載の包装材を用いたことを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材等に使用される熱可塑性樹脂フィルム、これを用いた包装材及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材は、たとえば、食料品や医療品等を包装する包装袋に使用されており、包装袋の内容物は、液状、粉末上、ペースト状、固形状等、様々な状態を有している。この包装材に用いられるフィルムとして、一般的にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエステル等のフィルムが使用されている。
【0003】
包装材として求められる物性としては、内容物充填時の充填適性、包装材に外力が加わった際の袋の破損が無い事、包装材を開封する際の開封性、商品として陳列時に包装材に印刷された商品名等が視認しやすい様包装材の剛性が高い、内容物の見える透明性等の物性、製造時の生産性が良い等が求められる。
【0004】
バリア性や機械的強度に優れた複数の基材をラミネートし積層することで、包装材の強度を向上させることができるが、接着剤の使用は、包装材製造工程を増やすため、製品の安定性や生産効率低下、環境負荷などの問題に繋がる。
【0005】
これらの問題を解決するため、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などに加え、ナイロン等のポリアミド樹脂など性質の異なる複数の樹脂を複合させることで、バリア性、耐衝撃性など、一つのフィルムに多機能を付与する方法が用いられている。例えば、特許文献1、2には、異種材料の複合体であるポリマーアロイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-140237号公報
【文献】特開2005-232353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2では、ポリアミド樹脂の特徴であるバリア性の機能を発揮させるため、表面にポリアミド樹脂とオレフィン系樹脂が混在する。そのため成形体表面に少なからずポリアミド樹脂が存在する。フィルム表面に融点が200℃以上のポリアミド樹脂が存在により、低温でのヒートシール性が見込めない問題がある。包装材料では200℃以下の低温のヒートシール性が重要である。低温ヒートシールできない場合、高温でヒートシールする必要があるが、その際に熱収縮を生じて寸法ズレの原因となる可能性がある。また、高温でヒートシールした場合、シール部を冷やすまでに時間がかかり、ライン速度が遅くなることによる生産性の低下が問題になる。また、低温でヒートシール出来たとしても、十分にヒートシール強度が発現しないと、包装袋になった後、外力が加わった際にシール部から破損が生じてしまうこともある。
【0008】
そこで、本発明は、包装材に必要な剛性と耐衝撃性を維持しつつ、ヒートシール性の良好な熱可塑性樹脂フィルム及び、それを用いた包装材、包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)およびポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を含む熱可塑性樹脂フィルムであって、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と異なる樹脂であって、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)と結合し得る反応基を有するエチレン-酢酸ビニル共重合体であり、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)がポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を包み込むように存在しており、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)およびポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を混錬し一体となった混合体の貯蔵弾性率G’の降伏点のひずみεとG’の積「ε×G’」が0.120MPa以上、0.250MPa以下の範囲内に調整した樹脂であることを特徴とするものである。
【0010】
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の重量割合が0.5~30wt%であることが好ましい。
【0011】
JIS K7113に準じた引張試験において、引張弾性率が300MPa以上であり、かつ、耐衝撃性試験において破断エネルギーが7.4mJ/μm以上であり、かつヒートシール試験において、130℃シール時のヒートシール強度が10N/15mm以上であることが好ましい。
【0012】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)が下記の重量割合で存在することが好ましい。
(A)・・・69~99wt%
(B)・・・0.5~10wt%
【0013】
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の長軸分散径と短軸分散径の比が10.0未満の範囲内であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る包装材は、上記のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムを用いたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る包装袋は、上記の包装材を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
包装材に必要な剛性と耐衝撃性を維持しつつ、ヒートシール性の良好な熱可塑性樹脂フィルム及び、それを用いた包装材、包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における包装材用熱可塑性樹脂フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に記述する。なお、図は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするため適宜誇張して示している。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
(構成)
本発明における熱可塑性樹脂フィルム1は、図1で示すように、耐衝撃性に特化したポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)から成る連続相2と、剛性に特化したポリアミド系熱可塑性樹脂(C)から成る分散相3と、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)から成る分散相とを有する押出成型フィルムである。オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)は、分散相3を包み込む分散相4として存在するが、連続相2に単独で分散する分散相5として存在するものもある。
【0020】
熱可塑性樹脂フィルム1は、ポリアミド系熱可塑性樹脂を含んでいるが、成形体フィルム表面にはポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)から成る連続相2、もしくはオレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)から成る分散相4もしくは5が存在しており、フィルムの表面にポリアミド系熱可塑性樹脂(C)が単独の分散相としてほぼ存在しないことから、包装材用フィルムとして必要不可欠なヒートシール性を低下させることを抑制できる。さらに、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂にポリアミド系熱可塑性樹脂を混在させることで、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂本来有する耐衝撃性を維持しつつ、ポリアミド系熱可塑性樹脂が本来有する剛性を付与することができる。
【0021】
熱可塑性樹脂フィルム1は、340℃まで加温可能な押出成形機により製膜されるため、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)から成る連続相2の主材料としては、一般的な熱可塑性樹脂であれば使用する事が可能であるが、包装材料として好適に使用されるためには適度な柔軟性を持ちならびに加工性が良い必要がある。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン由来の構成単位を有するポリマーであれば良く、オレフィンをベースとした、低密度ポリエチレン(LDPE)、α-オレフィンとエチレンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等があるポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンとオレフィンを共重合したシクロオレフィンコポリマー及び、上記オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン-酢酸ビニルコポリマー、オレフィンの側鎖を変性した構造を有するエチレン-メチルアクリレート共重合(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のうち、1種類または複数種類を選択し適宜使用する事が可能である。
【0022】
分散相3を構成するポリアミド系熱可塑性樹脂(C)は、一般に剛性があり耐熱性やバリア性の高い汎用樹脂として知られており、包装材用のフィルムに含まれる材料として好適なものである。具体的には、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)は、アミド結合(-NH-CO-)を介して複数の単量体が重合されてなる鎖状骨格を有する重合体である。ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド614、ポリアミド12、ポリアミド6T(Tはテレフタル酸成分)、ポリアミド6I(Iはイソフタル酸成分)、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T/2M-5T、ポリアミド9T/2M-8T等が挙げられる。尚、これらのポリアミドは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらのポリアミド系熱可塑性樹脂の製造方法(C)は、一般に公知に行われている方法で良い。
【0023】
オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)は、連続相2を構成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とは異なる樹脂であって、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)と結合し得る反応基が付与された分子構造からなる共重合体熱可塑性樹脂である。オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)は、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分子中のアミド基と水素結合するカルボニル基(C=O)または水酸基(OH)を含み、化学的相性が悪いオレフィン系樹脂とポリアミド樹脂の親和性を向上させる役目を担う相溶化剤として機能する。相溶化剤として機能する、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)としては、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)等が挙げられる。
【0024】
化学的相性に関しては様々な測定および評価方法があるが、その中でも表面自由エネルギーにて相性の良し悪しを判断することも可能であって、具体的には表面自由エネルギーの値を比較して判断したり、さらには表面自由エネルギーを構成する分散成分(γd)、配向成分(γp)、水素結合力(γh)に成分分けした際のγpを1つの指標として判断したりすることも出来る。
【0025】
化学的相性が悪い樹脂のみを混合してフィルムにした場合には、例えば衝撃を与えた際に2つの樹脂界面で剥離が生じ、良好な弾性率と耐衝撃性を両立することや、さらには耐屈曲性を担保することが難しい。そのため、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の表面自由エネルギーを構成する極性成分(γp)が、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系熱可塑性樹脂(C)のγpの差の中間値から±1/3以内であれば、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)から成る分散相4がオレフィン系樹脂とポリアミド樹脂の親和性を向上させる役目を担うことで相の界面の密着力を上げ、物性良化に寄与することが出来る。
【0026】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)(B)、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)以外に、造核剤、補強フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、光安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、気泡防止剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックス等の添加材を用いても良い。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記造核剤及び補強フィラーとしては、タルク、シリカ、クレー、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、炭酸リチウムアルミナ、酸化チタン、アルミニウム、鉄、銀、銅等の金属、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、セルロースミクロフィブリル、酢酸セルロース等のセルロース類、ガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリアクリレート繊維等の繊維状フィラー、カーボンナノチューブ等のカーボン類等が挙げられる。
【0028】
上記酸化防止剤としては、フェノール系化合物、有機ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
【0029】
上記熱安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0030】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
【0031】
上記帯電防止剤としては、ノニオン系化合物、カチオン系化合物、アニオン系化合物等が挙げられる。
【0032】
上記難燃剤としては、ハロゲン系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、無機化合物、ホウ素系化合物、シリコーン系化合物、硫黄系化合物、赤リン系化合物等が挙げられる。
【0033】
上記難燃助剤としては、アンチモン化合物、亜鉛化合物、ビスマス化合物、水酸化マグ
ネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられる。
【0034】
(重量割合)
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の重量割合は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)及びポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の合計の0.5~30wt%の範囲内が好ましく、1~10wt%の範囲内がより好ましい。
【0035】
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の割合が30wt%を超えると以下の問題が発生する。
(分散性の面)
・ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)のドメインサイズが粗大化し、ポリアミド系熱可塑性樹脂の(C)微分散化により得られる耐衝撃性が低下する。
(加工性の面)
・ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を微分散化するために、二軸押出機の回転数を増加する必要があり、装置の負荷が増大する。
(相溶性の面)
・ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の化学的相性を取り持つオレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の配合量の増加が必要になり、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の割合増加によりフィルム全体の剛性が低下する。
【0036】
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の割合が0.5wt%以下の場合は、剛性増加要因である(C)割合減少により、フィルム全体の剛性が低下する可能性がある。
【0037】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の配合量は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)及びポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の合計の69~99wt%の範囲内が好ましく、85~99wt%の範囲内がより好ましい。
【0038】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)が69wt%未満の場合、以下の問題が発生する。
・ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の配合量が増加し、ヒートシール性が低下する。
【0039】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の配合量が99wt%を超えると以下問題が発生する。
・剛性の高いポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の配合量が減少し、フィルム全体の剛性が低下する。
【0040】
オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の配合量は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)及びポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の合計の0.5~30wt%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.5~10wt%の範囲内である。
【0041】
オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の配合量が30wt%を超える場合、以下の問題が発生する。
・剛性の低いオレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の影響で、フィルムの剛性が低下し、フィルムを包装材として形成した包装容器の自立性が低下する。
【0042】
オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の配合量が0.5wt%未満の場合、以下の問題が発生する。
・ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の相溶性が
低下し、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散サイズが大きくなる。
・オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)がポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を包み込む量が減るため、成形品の表面に融点の高いポリアミド系熱可塑性樹脂(C)が露出し、ヒートシール性を低下させる可能性がある。
【0043】
(物性値)
具体的な熱可塑性樹脂フィルム1の剛性の指標としては、JIS K7113記載の方法に準拠した引張弾性率が300MPa以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルム1の引張弾性率が300MPa未満であると、熱可塑性樹脂フィルム1を包装材として用いた場合、袋形態での自立性が低下する可能性がある。
【0044】
また、具体的な熱可塑性樹脂フィルム1の耐衝撃性の指標として、常温下での破断エネルギーが7.4mJ/μm以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルム1の破断エネルギーが7.4mJ/μm未満であると、熱可塑性樹脂フィルム1を包装材として用いた場合、落下衝撃を受けた際に破損してしまう可能性がある。
【0045】
また、具体的な熱可塑性樹脂フィルム1のヒートシール性の指標としては、シール圧力0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅を10mm、シール温度を130℃としてシール層同士をシールし、シールしたフィルムを15mm幅×100mmに切り出し、チャック間距離を50mm、引張り速度を300mm/minにて引張試験機で180°T字剥離法にて評価したときのシール強度が10N/15mm以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルム1のシール強度が10N/15mm未満であった場合、包装袋になったときに外力が加わった際にシール部から破損が生じてしまうことがある。
【0046】
また、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)に低密度樹脂を用いることでヒートシール性を良好にすることができる。このとき、低温ヒートシール性をもたせるために、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)は、0.903~0.938g/cmの範囲であることが望ましく、より好ましくは、0.903~0.924g/cmの範囲である。0.903g/cm以下にすると、他の樹脂と共押出成膜した場合に他層との層境界での密着不良やフローマークが発生してしまうので望ましくない。また、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の密度を0.938g/cm以上にすると、層厚みが薄い場合に低温ヒートシール性が得られることがなくなってしまうため望ましくない。
【0047】
(ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散サイズ)
ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散サイズの指標として、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散相の長軸分散径と短軸分散径の比(=長軸分散径/短軸分散径)は10.0未満が好ましい。長軸分散径と短軸分散径の比は、フィルムMD方向(流れ方向)に平行な断面を日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡(形式「S-4800」)により分散相の形状を観察し、倍率1000倍の画像を得た後、画像内の無作為に選択した20個の分散相の各々の長軸分散径と短軸分散径の平均値を算出し、直軸分散径の平均値を短軸分散径の平均値で割ることにより算出することができる。長軸分散径と短軸分散径の比が10.0以上であると、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散相のアスペクト比が大きくなり、外部から衝撃が加わったときに、衝撃エネルギーを分散しづらく、耐衝撃性が低下する。ここでの分散サイズは、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)単独の分散相のサイズである。
【0048】
(レオロジーと分散・再凝集)
効率的な微分散化をするためには、フィルム化の一連工程において微分散化の進行と再凝集の阻害が同時に起こる必要がある。この指標として、回転式レオメーターを用いて計測可能である貯蔵弾性率G’の降伏値が利用でき、降伏点における貯蔵弾性率G’とひずみεの積を利用した。「ε×G’」の降伏値は、分散化が開始する力と凝集力(分散相が動きかつ連結する)の抵抗値を同時に表す指標として使用できる。ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散サイズを表す長軸分散径と短軸分散径の比(=長軸分散径/短軸分散径)を10.0未満とするためには、「ε×G’」の範囲が0.120MPa以上、0.250MPa以下の範囲内に調整した、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)およびポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を含む混合樹脂である事が好ましい。「ε×G’」が0.120MPa未満だと、フィルム化時に分散相である(C)が再凝集する問題が起こり、「ε×G’」が0.250MPaを超えると、分散相(C)が微分散化しない問題が発生する。
【0049】
(製造方法)
本実施形態の熱可塑性樹脂フィルム1を製作する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。
【0050】
フィルム化の方法としては、押出成形機、ならびにフィードブロックまたはマルチマニホールドを介しTダイで製膜する方法や、インフレーション法を用いた製膜方法を用いる事が可能である。このとき、例えば、複数の押出成形機を使用し、本発明に係る熱可塑性樹脂の混合物と、他の熱可塑性樹脂を共押出することで、本発明に係る熱可塑性樹脂フィルム1に他の熱可塑性樹脂の層が積層された2層以上の層構成を有する熱可塑性樹脂フィルム1を得ることもできる。
【0051】
フィルムの冷却方法に関しては、上述成形機に準じて使用する事が可能であり、例えばTダイ法では、エアーチャンバー、バキュームチャンバー、エアナイフ等の空冷方式、冷水パンへ冷却ロールをディッピングする等の水冷方式等特に制限されることはないが、賦形による表面凹凸形状を付与する場合には、シリコーンゴム、NBRゴム、またはフッ素樹脂等を加工したニップロールと、金属を切削加工した冷却ロールとを0.1MPa以上の圧力を印加した接触部に溶融樹脂を流入し、冷却する方式が特に好ましい。
【0052】
本発明によって得られる熱可塑性樹脂フィルムにおいて、単体フィルムで、または、他の基材と積層して包装材とすることができる。単体フィルムまたは積層体として用いる場合、スタンディングパウチの他に、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いる事が可能である。また、包装袋の製袋様式は特に制限されるものではない。
【0053】
上述の様に、単体フィルム及び他基材と積層するどちらの場合でも、適宜、後工程適性を向上する表面改質処理を実施する事が可能である。例えば、単体フィルム使用時の印刷適性向上、積層使用時のラミネート適性向上のために他基材と接触する面に対して表面改質処理を行う事が可能である。表面改質処理はコロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させる事により官能基を発現させる手法や、易接着層のコーティング等のウェットプロセスによる改質を好適に用いる事が可能である。
【実施例
【0054】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0055】
<実施例1>
[1]第一工程(熱可塑性樹脂組成物の生成)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)に用いる樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.93g/cm、MFR3.2)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR1.0)を質量比で95:5の割合でブレンドしたものを85wt%、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)として、ポリアミド系熱可塑性樹脂と結合し得る反応基を持つエチレン-酢酸ビニル共重合体(密度0.940g/cm、MFR15.0、VA比19%)を5wt%、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)として、ポリアミド樹脂(ナイロン6樹脂、密度1.14g/cm)10wt%とをドライブレンドした後、二軸溶融混練押出機に投入し、混練温度230℃、押出速度20kg/h、押出機回転数300rpmの条件で溶融混練を行い、ペレタイザーを介して、第一工程組成物であるペレットを得た。
[2]第二工程(評価用フィルムの製膜)
上記[1]で得られたペレットを単軸押出機に投入し、成形温度230℃でTダイキャスト法にて厚み100μmのフィルムを製膜した。
【0056】
<実施例2>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程におけるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)として、ポリアミド系熱可塑性樹脂と結合し得る反応基を持つエチレン-酢酸ビニル共重合体(密度0.960g/cm、MFR14.0、VA比33%)を用いて、実施例2のフィルムを得た。
【0057】
<実施例3>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程におけるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)として、ポリアミド系熱可塑性樹脂と結合し得る反応基を持つエチレン-酢酸ビニル共重合体(密度0.960g/cm、MFR1.0、VA比33%)を用いて、実施例3のフィルムを得た。
【0058】
<実施例4>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程におけるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)として、ポリアミド系熱可塑性樹脂と結合し得る反応基を持つエチレン-酢酸ビニル共重合体(密度0.940g/cm、MFR2.5、VA比19%)を用いて、実施例4のフィルムを得た。
【0059】
<実施例5>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を94.5wt%、(B)を5wt%、(C)を0.5wt%とし、実施例5のフィルムを得た。
【0060】
<実施例6>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を75wt%、(B)を5wt%、(C)を20wt%とし、実施例6のフィルムを得た。
【0061】
<実施例7>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を65wt%、(B)を5wt%、(C)を30wt%とし、実施例7のフィルムを得た。
【0062】
<実施例8>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を89.5wt%、(B)を0.5wt%、(C)を10wt%とし、実施例8のフィルムを得た。
【0063】
<実施例9>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を80wt%、(B)を10wt%、(C)を10wt%とし、実施例9のフィルムを得た。
【0064】
<実施例10>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を70wt%、(B)を20wt%、(C)を10wt%とし、実施例10のフィルムを得た。
【0065】
<実施例11>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を69wt%、(B)を29wt%、(C)を10wt%とし、実施例11のフィルムを得た。
【0066】
<実施例12>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を99wt%、(B)を0.5wt%、(C)を0.5wt%とし、実施例12のフィルムを得た。
【0067】
<比較例1>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を95wt%、(B)を5wt%、(C)を0wt%とし、比較例1のフィルムを得た。
【0068】
<比較例2>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を55wt%、(B)を5wt%、(C)を40wt%とし、比較例2のフィルムを得た。
【0069】
<比較例3>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を90wt%、(B)を0wt%、(C)を10wt%とし、比較例3のフィルムを得た。
【0070】
<比較例4>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を60wt%、(B)を30wt%、(C)を10wt%とし、比較例4のフィルムを得た。
【0071】
<比較例5>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を100wt%、(B)を0wt%、(C)を0wt%とし、比較例5のフィルムを得た。
【0072】
<比較例6>
実施例1と同様の作製方法において、第一工程における第一工程における材料ブレンド配合量を(A)を89.9wt%、(B)を0.1wt%、(C)を10wt%とし、比較例4のフィルムを得た。
【0073】
上記各実施例及び各比較例において、第一工程において得られた樹脂ペレットについて、アントンパール社製回転式レオメーター・型式:MCR-102を用いて貯蔵弾性率G’の降伏点における「ひずみ:ε」「貯蔵弾性率:G’」を計測し、「ε×G’」の値を算出した。εとG’の測定は回転式レオメーターを用い、温度230℃、角速度1rad/s、ひずみ0.01~100%の範囲で測定した。
【0074】
(材料分散形状評価)
材料分散形状評価は、フィルムMD方向(流れ方向)について観察を行った。具体的には、日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡(形式「S-4800」)により材料分散形状を観察し、倍率1000倍の画像を得た後、画像内の無作為に選択した20個の分散相の各々の長軸分散径と短軸分散径を測定して平均値を求め、平均値から長軸分散径と短軸分散径の比(=長軸分散径/短軸分散径)を算出した。長軸分散径と短軸分散径の比が10.0未満であるものを〇、10.0以上を×とした。
【0075】
(引張弾性率評価)
引張弾性率評価では、フィルムを15mm幅×100mmに切出し、JISK7113に準じて、チャック間距離を50mm、引張り速度を300mm/minとして島津製作所株式会社製引張試験機(型番AGS-500NX)を用いて、引張弾性率を測定した。引張弾性率とフィルムの断面積の積が400MPa以上のものを〇、400MPa未満300MPa以上のものを△、300MPa未満のものを×とした。
【0076】
(耐衝撃性率評価)
耐衝撃性評価では、フィルムを幅100mmに切り出し、測定温度を23℃、ひょう量3.0j、弾頭1/2インチとして、株式会社東洋精機製作所製フィルムインパクトテスター(型式 R)を用いて、破断エネルギーを測定した。破断エネルギーが10.0mJ/μm以上のものを〇、10.0mJ/μm未満7.4mJ/μm以上のものを△、7.4mJ/μm未満のものを×とした。
【0077】
(ヒートシール性評価)
ヒートシール性評価は、テスター産業株式会社製のヒートシーラー(型番TP-701-B)を用いてシール圧力0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅を10mmとし、シール温度を150℃で、熱可塑性樹脂フィルム1の表面もしくは裏面同士を重ね、シールした。シールしたフィルムを15mm幅×100mmに切出し、チャック間距離を50mm、引張り速度を300mm/minとして島津製作所株式会社製引張試験機(型番AGS-500NX)を用いて180°T字剥離した場合のシール強度を測定した。その結果、シール強度が10N/15mm以上になるものを○、10.0N/15mm未満のものを×とした。
【0078】
(総合評価)
総合判定として、熱可塑性樹脂フィルム1に関する評価の全てについて△以上のものを〇とし、一つでも×であったものを×とした。
【0079】
上記各実施例及び各比較例の熱可塑性樹脂フィルム1の評価結果を表1に記載する。
【0080】
【表1】
【0081】
表1より、実施例1から12においては総合判定で「○」以上を満たしている。
【0082】
比較例1では、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)が配合されていないため、剛性(弾性率)が低下した。比較例2では、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の配合比率が多いため、ヒートシール性が低下し、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散サイズが大きくなったことにより耐衝撃性も低下した。比較例3では、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)が配合されておらず、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)がフィルム表面に存在することによりヒートシール性が低下した。比較例4では、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の配合量が多いため、剛性(弾性率)が低下した。比較例5では、熱可塑性樹脂(A)単体で構成され、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)を含まないため、剛性(弾性率)が不足した。比較例6では、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B)の配合量が少ないため、ポリアミド系熱可塑性樹脂(C)の分散サイズが大きくなり耐衝撃性が低下した。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルム、これを用いた包装材及び包装袋として利用できる。
【符号の説明】
【0084】
1 熱可塑性樹脂フィルム
2 連続相(ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A))
3 分散相(ポリアミド系熱可塑性樹脂(C))
4 分散相3を包み込む分散相(オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B))
5 連続相1に分散する分散相(オレフィンと官能基含有単量体の共重合体(B))
図1