(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】汚染土壌の浄化方法
(51)【国際特許分類】
B09C 1/08 20060101AFI20240806BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20240806BHJP
【FI】
B09C1/08
B09B3/70
(21)【出願番号】P 2020088836
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】森 一星
(72)【発明者】
【氏名】緒方 浩基
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-506511(JP,A)
【文献】特開2006-088108(JP,A)
【文献】特開2019-048267(JP,A)
【文献】国際公開第2005/081996(WO,A2)
【文献】特開2007-301418(JP,A)
【文献】特開2008-290059(JP,A)
【文献】特開2003-080223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09C 1/08
B09C 1/02
B09B 3/70
C09K 17/02
C09K 17/04
C09K 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,4-ジオキサンにより汚染された土壌を浄化する方法であって、
前記土壌に対し、(A)過硫酸塩、(B)高炉セメントB種または水酸化カルシウム、(C)水酸化ナトリウム、及び(D)石膏を添加
し、
前記(D)石膏の添加量が、前記(C)水酸化ナトリウムの重量の1~2倍である汚染土壌の浄化方法。
【請求項2】
前記(A)過硫酸塩は、ペルオキソ一硫酸塩、及びペルオキソ二硫酸塩の群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項3】
前記(A)過硫酸塩は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項4】
前記(D)石膏は、無水硫酸カルシウム、硫酸カルシウム1/2水和物、及び硫酸カルシウム二水和物の群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項5】
前記(D)石膏は、硫酸カルシウム二水和物であることを特徴とする請求項4記載の汚染土壌の浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土壌の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機性の汚染物質である1,4-ジオキサンにより汚染された土壌を浄化する方法として、酸化剤である過硫酸ナトリウム、及び酸化反応の促進剤である生石灰を混合し、土壌に添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、1,4-ジオキサンを含む有機化合物を酸化する方法として、有機化合物を、水溶性過酸素化合物及びpH調整剤を含む組成物と接触させる方法が提案されている(特許文献2参照)。水溶性過酸素化合物には、各種の過硫酸塩が含まれ、pH調整剤には、アルカリ性の水酸化物(たとえば水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム)が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-048267号公報
【文献】特表2008-506511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、1,4-ジオキサンは水溶性が高いため、土壌の深部まで浸透しやすい。このように土壌の深部まで浸透した1,4-ジオキサンを酸化剤により分解する場合、深層撹拌混合重機やパワーブレンダーを用いて、原位置での処理を行う方式が採用される。一方、原位置で処理を行う場合、土壌と酸化剤等との撹拌混合に伴って土壌の液性限界が高まり、土壌の強度が低下する。その結果、地盤が軟弱化する可能性がある。
【0006】
ここで、特許文献1の方法では、粉体である生石灰を用いる。よって、粉体を土壌の深部まで送り込むためには専用の粉体搬送装置を用いる必要があるため、煩雑であり、且つコストの面からも好ましくない。また、特許文献2の方法を用いて原位置での処理を行った場合、土壌の強度が低下し、地盤が軟弱化する可能性がある。
【0007】
本発明は、土壌に含まれる1,4-ジオキサンを酸化分解し、且つ土壌の強度低下を抑制することが可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、1,4-ジオキサンにより汚染された土壌を浄化する方法であって、前記土壌に対し、(A)過硫酸塩、(B)高炉セメントB種または水酸化カルシウム、(C)水酸化ナトリウム、及び(D)石膏を添加する汚染土壌の浄化方法である。
また、前記(A)過硫酸塩は、ペルオキソ一硫酸塩、及びペルオキソ二硫酸塩の群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。更に、前記(A)過硫酸塩は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムであることがより好ましい。
また、前記(D)石膏は、無水硫酸カルシウム、硫酸カルシウム1/2水和物、及び硫酸カルシウム二水和物の群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。更に、前記(D)石膏は、硫酸カルシウム二水和物であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、土壌に含まれる1,4-ジオキサンを酸化分解し、且つ土壌の強度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1における1,4-ジオキサンの溶出量を示すグラフである。
【
図2】実施例1におけるコーン指数を示すグラフである。
【
図3】実施例2における1,4-ジオキサンの溶出量を示すグラフである。
【
図4】実施例2におけるコーン指数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態及び実施例について説明するが、本発明の範囲は当該記載に限定されるものではない。なお、以下の説明において単に「%」と記載するものは、「重量%」を意味する。
【0012】
==汚染土壌==
汚染土壌は、少なくとも1,4-ジオキサンにより汚染された土壌である。上述の通り、1,4-ジオキサンは水溶性が高いため、土壌の深部まで浸透しやすい。すなわち、1,4-ジオキサンによる汚染土壌は、土壌の表面だけでなく、土壌の深部にも存在する可能性が高い。深部に存在する汚染土壌の浄化処理は、深層撹拌混合重機等を用いて原位置で行うことが好ましい。
【0013】
土壌の種類としては特に限定されるものではないが、たとえば、粘性土壌がある。一般に、粘性土壌は、1,4-ジオキサンのような水溶性の高い物質が染み込み易いため、当該物質を取り除くことが困難である。粘性土壌は、たとえば透水係数が1×10-6m/sec以下の土壌である。
【0014】
==(A)過硫酸塩==
過硫酸塩は、1,4-ジオキサンを酸化分解するための酸化剤として機能する。過硫酸塩は、ペルオキソ一硫酸塩、及びペルオキソ二硫酸塩の群から選択される少なくとも一つを用いることができる。過硫酸塩は、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩である。ここで、1,4-ジオキサンとの反応性の点からは、ペルオキソ二硫酸塩を用いることが好ましく、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。
【0015】
汚染土壌に対して過硫酸塩を添加する割合は、汚染土壌の種類や、過硫酸塩の価数等によって異なる。たとえば、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの場合、1,4-ジオキサンとの反応性の点からは、汚染土壌に対して少なくとも2%以上、添加することが好ましい。汚染土壌に対するペルオキソ二硫酸ナトリウムの添加割合が2%未満の場合、1,4-ジオキサンとの反応が不十分となり、酸化分解を行うことが困難となる。なお、過硫酸塩の添加は水溶液の状態で行うことが好ましい。
【0016】
==(B)高炉セメントB種または水酸化カルシウム==
高炉セメントB種及び水酸化カルシウムは、過硫酸塩による酸化分解を促進するアルカリとして機能する。高炉セメントB種は、JIS規格R5211により規定されるセメントである。
【0017】
汚染土壌に対して高炉セメントB種または水酸化カルシウムを添加する割合は、汚染土壌の種類や、過硫酸塩の添加量等によって異なる。たとえば、酸化分解を促進する点からは、高炉セメントB種の場合、汚染土壌に対して少なくとも3%以上、添加することが好ましく、水酸化カルシウムの場合、汚染土壌に対して少なくとも1%以上、添加することが好ましい。汚染土壌に対する高炉セメントB種の添加割合が3%未満の場合、または、汚染土壌に対する水酸化カルシウムの添加割合が1%未満の場合、過硫酸塩による酸化分解を促進することが困難となる。なお、高炉セメントB種または水酸化カルシウムの添加はミルク(液体と粉体の混合物)の状態で行うことが好ましい。
【0018】
また、酸化分解を促進する点から、高炉セメントB種の場合、過硫酸塩の添加量に対して150%以上添加することがより好ましい。水酸化カルシウムの場合、過硫酸塩の添加量に対して50%以上添加することが好ましく、100%以上添加することがより好ましい。過硫酸塩の添加量に対して、高炉セメントB種の添加量が150%を下回る場合、または水酸化カルシウムの添加量が50%を下回る場合、過硫酸塩による酸化分解が不十分となり、1,4-ジオキサンを確実に分解できない可能性がある。
【0019】
==(C)水酸化ナトリウム==
水酸化ナトリウムは、過硫酸塩による酸化分解を促進するアルカリとして機能する。
【0020】
汚染土壌に対して水酸化ナトリウムを添加する割合は、汚染土壌の種類や、過硫酸塩の添加量等によって異なる。たとえば、酸化分解を促進する点から、水酸化ナトリウムは、汚染土壌に対して少なくとも1%以上、添加することが好ましい。汚染土壌に対する水酸化ナトリウムの添加割合が1%未満の場合、過硫酸塩による酸化分解を促進することが困難となる。なお、水酸化ナトリウムの添加は水溶液の状態で行うことが好ましい。
【0021】
また、酸化分解を促進する点から、水酸化ナトリウムは、過硫酸塩の添加量に対して50%以上添加することが好ましく、100%以上添加することがより好ましい。一方、過硫酸塩の添加量に対して、水酸化ナトリウムの添加量が50%を下回る場合、過硫酸塩による酸化分解が不十分となり、1,4-ジオキサンを確実に分解できない可能性がある。
【0022】
==(D)石膏==
石膏は、土壌の強度低下を抑制する薬剤として機能する。
【0023】
石膏は、無水硫酸カルシウム、硫酸カルシウム1/2水和物、及び硫酸カルシウム二水和物の群から選択される少なくとも一つを用いることができる。
【0024】
汚染土壌に対して石膏を添加する割合は、汚染土壌の種類等によって異なる。たとえば、硫酸カルシウム二水和物の場合、土壌を強化する性能の点から、汚染土壌に対して少なくとも1%以上、添加することが好ましい。汚染土壌に対する石膏の添加割合が1%未満の場合、土壌の強度が低下し、地盤が軟弱化する可能性がある。なお、石膏の添加はミルクの状態で行うことが好ましい。
【0025】
また、土壌を強化する性能の点から、石膏は、過硫酸塩の添加量に対して50%以上添加することが好ましく、100%以上添加することがより好ましい。一方、過硫酸塩の添加量に対して、石膏の添加量が50%を下回る場合、土壌の強度が低下し、地盤が軟弱化する可能性がある。更に、石膏の添加量は、水酸化ナトリウムの添加量と同等以上であることがより好ましい。
【0026】
==その他==
(A)過硫酸塩、(B)高炉セメントB種または水酸化カルシウム、(C)水酸化ナトリウム、及び(D)石膏の各機能に影響を与えない範囲で、任意の成分を添加してもよい。
【0027】
==汚染土壌の浄化方法==
本実施形態に係る浄化方法は、1,4-ジオキサンにより汚染された土壌に対して、(A)過硫酸塩、(B)高炉セメントB種または水酸化カルシウム、(C)水酸化ナトリウム、及び(D)石膏を添加する。
【0028】
各成分を添加するタイミングは任意である。たとえば、(A)成分~(D)成分を任意の順番で添加してもよいし、(A)成分~(D)成分を予め混合したうえで、添加してもよい。(A)成分~(D)成分を添加した土壌を撹拌することにより、1,4-ジオキサンの酸化分解が行われる。その結果、汚染土壌が浄化される。各成分の添加方法や土壌の撹拌方法は公知の手法を用いることができる。
【実施例】
【0029】
==実施例1((B)成分が高炉セメントB種)==
<模擬汚染土の作成>
風乾したローム土(含水率:9.7%)を目開き4.75mmの篩にかけ、通過した土を供試土とした。供試土に1,4-ジオキサン水溶液を添加し、模擬汚染土とした。1,4-ジオキサン水溶液は、1,4-ジオキサンの試薬を脱イオン水で希釈したもの(濃度:300mg/L)を用いた。模擬汚染土中の1,4-ジオキサンの割合は約100mg/kgであった。
【0030】
そして、模擬汚染土に対し各成分を添加することで試験体を作成した。(A)成分としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの水溶液(質量濃度0.3g/mL)を用いた。(B)成分としては、高炉セメントB種のミルク(質量分率50%)を用いた。(C)成分としては、水酸化ナトリウムの水溶液(質量分率33%)を用いた。(D)成分としては、二水石膏(硫酸カルシウム二水和物)のミルク(質量分率50%)を用いた。
【0031】
各試験体は、ラップをかけて室温(22℃)で5日間養生した。
【0032】
各試験体における模擬汚染土の量、及び各成分の添加量は、表1に示すとおりである。なお、No.1の試験体は、(A)成分~(D)成分のいずれも添加しない無添加区である。また、表1の「SPS」は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを示す。また、各成分について括弧書きで示した「%」の値は、模擬汚染土に対する各成分の添加割合である。
【0033】
【0034】
<分析方法>
養生した各試験体について、1,4-ジオキサンの溶出量、及び土壌の強度に関する試験を行った。
【0035】
具体的に、1,4-ジオキサンの溶出量は、「土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件(平成15年3月6日環境省告示第18号)」に準じて試験を行った。そして、溶出液をガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS-2010Ultra、株式会社島津製作所製)にかけて1,4-ジオキサンの溶出量を求めた。
【0036】
土壌の強度は、コーン指数により判断した。各試験体に対してフォールコーン貫入試験(地盤工学会基準(JIS1431-1995))の「ポータブルコーン貫入試験」参照)を行い、フォールコーン貫入量を測定した。測定したフォールコーン貫入量を、予め求められているフォールコーン貫入量とコーン指数との関係式(特許5448380号の
図1参照)に当てはめることにより、コーン指数を求めた。
【0037】
<実験結果>
図1は、各試験体における1,4-ジオキサンの溶出量を示したグラフである。
図1から明らかなように、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、高炉セメントB種、水酸化ナトリウム、及び二水石膏の4つの成分を添加した試験体No.8~No.10は、1,4-ジオキサンの溶出量が低い値を示した。すなわち、上記4成分を汚染土壌に添加することにより、1,4-ジオキサンの酸化分解を確実に行うことができることが明らかとなった。
【0038】
図2は、各試験体におけるコーン指数を示したグラフである。
図2から明らかなように、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、高炉セメントB種、水酸化ナトリウム、及び二水石膏の4つの成分を添加した試験体No.8~No.10は、コーン指数が高い値を示した。すなわち、上記4成分を汚染土壌に添加することにより、1,4-ジオキサンの酸化分解と併せて、土壌の強度低下を抑制できることが明らかとなった。なお、試験体No.8~No.10のうち、ペルオキソ二硫酸ナトリウムに対する水酸化ナトリウムの添加割合が高い試験体No.10がより高いコーン指数を示した。また、試験体No.10は、無添加区の試験体No.1よりも高いコーン指数を示した。すなわち、試験体No.10の割合で4つの成分を添加することにより、土壌の強度低下を抑制するだけでなく、土壌自体が強化されることが明らかとなった。
【0039】
==実施例2((B)成分が水酸化カルシウム)==
<模擬汚染土の作成>
カオリン粘土(含水率:1.1%)と山砂(茨城県産、含水率:10.4%)を湿潤重量比1:1で混合して供試土とした。1.8kgの供試土に1,4-ジオキサン水溶液を900mL添加し、模擬汚染土とした。1,4-ジオキサン水溶液は、1,4-ジオキサンの試薬を脱イオン水で希釈したもの(濃度:180mg/L)を用いた。
【0040】
そして、模擬汚染土に対し各成分を添加することで試験体を作成した。(A)成分としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの水溶液(質量濃度0.3g/mL)を用いた。(B)成分としては、水酸化カルシウムのミルク(質量分率50%)を用いた。(C)成分としては、水酸化ナトリウムの水溶液(質量分率33%)を用いた。(D)成分としては、二水石膏(硫酸カルシウム二水和物)のミルク(質量分率50%)を用いた。
【0041】
各試験体における模擬汚染土の量、及び各成分の添加量は、表2に示すとおりである。なお、No.1の試験体は、(A)成分~(D)成分のいずれも添加しない無添加区である。また、表2の「SPS」は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを示す。また、各成分について括弧書きで示した「%」の値は、模擬汚染土に対する各成分の添加割合である。
【0042】
各試験体は、ラップをかけて室温(22℃)で5日間養生した。
【0043】
【0044】
<分析方法>
養生した各試験体について、1,4-ジオキサンの溶出量、及び土壌の強度に関する試験を行った。各試験は実施例1と同様である。
【0045】
<実験結果>
図3は、各試験体における1,4-ジオキサンの溶出量を示したグラフである。
図3から明らかなように、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、及び二水石膏の4つの成分を添加した試験体No.7及びNo.8は、1,4-ジオキサンの溶出量が低い値を示した。すなわち、上記4成分を汚染土壌に添加することにより、1,4-ジオキサンの酸化分解を確実に行うことができることが明らかとなった。
【0046】
図4は、各試験体におけるコーン指数を示したグラフである。
図4から明らかなように、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、及び二水石膏の4つの成分を添加した試験体No.7及びNo.8は、コーン指数が高い値を示した。すなわち、上記4成分を汚染土壌に添加することにより、1,4-ジオキサンの酸化分解と合わせて、土壌の強化を行うことにより、地盤の軟弱化を抑制できることが明らかとなった。なお、試験体No.7及びNo.8のうち、ペルオキソ二硫酸ナトリウムに対する水酸化ナトリウムの添加割合が高い試験体No.8の方がより高いコーン指数を示した。また、試験体No.8は、無添加区の試験体No.1よりも高いコーン指数を示した。すなわち、試験体No.8の割合で4つの成分を添加することにより、土壌の強度低下を抑制するだけでなく、土壌自体が強化されることが明らかとなった。