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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240806BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240806BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240806BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240806BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 650C
G09G3/20 660C
G09G3/20 611A
G09G3/20 621A
G09G3/20 622D
G09G3/20 623D
G09G3/20 623V
G09G3/20 622P
G09G3/20 623C
G09G3/20 623F
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H05B33/14 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020093185
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021189265
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 剛
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-082292(JP,A)
【文献】特開2018-159819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0189619(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 5/42
G09F 9/00 - 9/46
H05B 33/00 - 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数行の走査線と複数列のデータ線との交差に設けられた画素回路がマトリクス状に配列する表示領域と、
前記複数行の走査線を、任意の順番で駆動可能な走査線駆動回路と、
入力された映像データに対応する全体画像のうち、1行分の映像データを変換したデータ信号を、前記複数列のデータ線に任意に供給可能なデータ信号出力回路と、
を含み、
前記全体画像を行および列で間引いた縮小画像、前記表示領域の一部領域に割り当てて表示するモードで、
前記走査線駆動回路は、
前記映像データで指定される行が前記一部領域に割り当てられた行に該当する場合、当該行の前記走査線を駆動し、
前記映像データで指定される行が前記縮小画像において間引かれた行に該当する場合、前記一部領域に含まれない行の前記走査線を駆動し、
前記データ信号出力回路は、
前記走査線駆動回路で駆動された行の前記走査線に対応する前記データ信号を、前記一部領域に割り当てられた前記データ線に供給する
表示装置。
【請求項2】
前記縮小画像は、前記表示領域のうち、制御情報で指定された位置に割り当てられる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記データ信号出力回路は、
前記モードでは、
前記一部領域に割り当てられたデータ線以外のデータ線に、前記画素回路をオフさせる信号を供給する
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記データ信号出力回路は、
前記映像データに基づく信号を増幅して、前記データ線に前記データ信号として供給するアンプ回路を含み、
前記アンプ回路は、
前記モードでは、
前記一部領域に割り当てられたデータ線以外のデータ線に、前記画素回路をオフさせる電圧の信号を供給する
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記データ信号出力回路は、
前記映像データをアナログ信号に変換して、前記アンプ回路に供給するDA変換回路を前記データ線に対応して有し、
前記モードで、前記映像データで指定される行が前記一部領域に割り当てられた行に該当しなければ、
前記DA変換回路は変換動作を停止する
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの表示装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として例えばOLEDや液晶素子を用いた表示装置が知られている。OLEDは、Organic Light Emitting Diodeの略である。この種の表示装置には、低消費電力であることの要求が強く求められる。このため、通常表示動作を行うモードとは別に、低消費電力を図るモードを設けた技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
具体的には、通常表示動作を行うモードでは、表示領域の全域で画像が表示され、低消費電力を図るモードでは、表示領域の一部で、全域で表示された画像の縮小画像が表示され、表示領域の残りの領域では黒色画像が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-159819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術において低消費電力化を図るモードでは、縮小画像を得るために画像処理などの特別な構成が必要となって、複雑化する、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る表示装置は、複数行の走査線と複数列のデータ線との交差に設けられた画素回路がマトリクス状に配列する表示領域と、前記複数行の走査線を、任意の順番で駆動可能な走査線駆動回路と、入力された映像データに対応する全体画像のうち、1行分の映像データを変換したデータ信号を、前記複数列のデータ線に任意に供給可能なデータ信号出力回路と、を含み、前記全体画像を行および列で間引いた縮小画像が、前記表示領域の一部領域に割り当てて表示するモードで、前記走査線駆動回路は、前記映像データで指定される行が前記一部領域に割り当てられた行に該当する場合、当該行の走査線を駆動し、前記映像データで指定される行が前記一部領域以外の領域に該当する場合、前記映像データで指定される行とは異なる行の走査線を駆動し、前記データ信号出力回路は、前記走査線駆動回路で駆動された行の走査線に対応するデータ信号を、前記一部領域に割り当てられたデータ線に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る表示装置の構成を示す斜視図である。
図2】表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】表示装置における表示領域の一例を示す図である。
図4】表示装置における増幅回路の一例を示す図である。
図5】表示装置における画素回路の一例を示す図である。
図6】通常画像表示モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図7】縮小画像表示モードの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8】表示領域において割り当てられる階調データの例を示す図である。
図9】表示領域において割り当てられる階調データの例を示す図である。
図10】縮小画像の表示例を示す図である。
図11】縮小画像の他の表示例を示す図である。
図12】縮小画像表示モードの他の例を示すタイミングチャートである。
図13】表示領域において割り当てられる階調データの例を示す図である。
図14】表示領域において割り当てられる階調データの例を示す図である。
図15】縮小画像の表示例を示す図である。
図16】縮小画像の他の表示例を示す図である。
図17】第1応用例に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図18】第2応用例に係る表示装置の動作を説明するための図である。
図19】表示装置を用いたヘッドマウントディスプレイを示す斜視図である。
図20】ヘッドマウントディスプレイの光学構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
図1は、実施形態に係る表示装置10の構成を示す斜視図である。表示装置10は、例えばヘッドマウントディスプレイなどにおいてカラー画像を表示するマイクロ・ディスプレイ・パネルである。表示装置10は、複数の画素回路や当該画素回路を駆動する駆動回路などが半導体基板に形成される。半導体基板としては、典型的にはシリコン基板であるが、他の半導体基板であってもよい。
【0009】
表示装置10は、表示領域で開口する枠状のケース192に収納される。表示装置10には、FPC(Flexible Printed Circuits)基板194の一端が接続される。FPC基板194の他端には、外部の上位装置に接続されるための複数の端子196が設けられる。複数の端子196は、図示省略された上位装置に接続される。表示装置10には、複数の端子196およびFPC基板194を介して映像データや同期信号などが上位装置から供給される。
【0010】
図2は、表示装置10の構成を示すブロック図であり、図3は、表示装置10の要部構成を示す図である。
図2に示されるように、表示装置10は、制御回路20、表示領域100、走査線駆動回路120およびデータ信号出力回路140に大別される。
表示領域100では、m行の走査線12が図3において左右方向に沿って設けられ、n列のデータ線14が、上下方向に沿って、かつ、各走査線12と互いに電気的に絶縁を保つように設けられる。
なお、m、nは、2以上の整数である。
【0011】
図3に示されるように、表示領域100には、画素回路110が、m行の走査線12とn列のデータ線14との交差に対応じて設けられる。このため、画素回路110は、図において縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。マトリクス配列のうち、行(ロウ)を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m-1)、m行目と呼ぶ場合がある。同様にマトリクスの列(カラム)を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(n-1)、n列目と呼ぶ場合がある。
走査線12を一般化して説明するために、1以上m以下の整数iを用いる。同様に、データ線14を一般化して説明するために、1以上n以下の整数jを用いる。
【0012】
本実施形態では、画像を表示させる動作モードとして次の2モードが用意される。詳細には、上位装置から供給される映像データVidの画像を、表示領域100の全域で表示させる通常画像表示モードと、映像データVidの画像を縮小した画像を、表示領域100の一部領域で表示させる縮小画像表示モードとの2モードがある。
いずれのモードにおいても、映像データVidは、表示すべき画像における画素の階調レベルを、例えば8ビットで指定する。
映像データVidは、垂直走査および水平走査にしたがって、具体的には、1行1列~1行n列、2行1列~2行n列、3行1列~3行n列、…、m行1列~m行n列という順で画素の階調レベルを指定する。また、画素回路110は、本説明では、OLEDを含み、当該OLEDの発光によって画素が表現される。
【0013】
制御回路20は、上位装置から供給される映像データVidや同期信号Syncに基づいて各部を制御する。同期信号Syncには、映像データVidの垂直走査開始を指示する垂直同期信号や、水平走査開始を指示する水平同期信号、および、映像データの1画素分のタイミングを示すドットクロック信号が含まれる。
制御回路20には、制御情報Wipが供給される。制御情報Wipには、動作モードを指定する情報や、動作モードとして縮小画像表示モードを指定する場合に、縮小画像の縮小倍率を示す情報、当該縮小画像を表示領域100のどの位置に表示すべきかを示す情報などが含まれる。
なお、制御情報Wipは、上記上位装置から供給されてもよいし、この表示装置10が組み込まれる電子機器の操作子への操作にしたがって供給されてもよい。
【0014】
走査線駆動回路120は、制御回路20による制御にしたがって、1、2、3、…、(m-1)、m行目の走査線12に、走査信号/Gwr(1)、/Gwr(2)、…、/Gwr(m-1)、/Gwr(m)を供給する。一般的には、i行目の走査線12に供給される走査信号が/Gwr(i)と表記される。
なお、走査線駆動回路120は、1~m行目の走査線12のうち、選択した走査線12への走査信号をLレベルとし、他の走査線12への走査信号をHレベルとする。走査線12の選択順は、通常画像表示モードと縮小画像表示モードとでは異なる。
【0015】
データ信号出力回路140は、走査線駆動回路120によって選択された行に位置する画素回路110に向けて、階調レベルに応じた電圧を印加するための回路である。
詳細には、データ信号出力回路140は、ラッチ回路群41、42、DAC群43、アンプ群44およびデータコントローラー142を含む。
【0016】
ラッチ回路群41は、各列に設けられたラッチ回路L1の集合体である。同様に、ラッチ回路群42は、各列に設けられたラッチ回路L2の集合体である。
【0017】
データコントローラー142は、制御回路20を介して上位装置から供給される映像データVidを、モードに応じて1~n列のラッチ回路L1にセットする。
ラッチ回路群42における各列のラッチ回路L2は、ラッチ回路L1にセットされた映像データVidを、制御回路20による制御によって一斉に出力する。
【0018】
DAC群43は、各列に設けられたDA変換回路Cと電圧生成回路Gとを含む。電圧生成回路Gは、電源電圧から、256階調のアナログ電圧を生成し、各列のDA変換回路Cは、256階調のアナログ電圧のうち、ラッチ回路L2から出力された映像データに対応した電圧を選択して出力する。なお、電圧生成回路Gは、制御回路20による制御信号Pw1がLレベルであれば、アナログ電圧を生成しない。このため、制御信号Pw1がLレベルであれば、各列におけるDA変換回路Cでは、アナログ電圧の変換動作が停止される。
【0019】
アンプ群44は、各列に対応して設けられた増幅回路A(1)~A(n)の集合体である。
増幅回路A(1)~A(n)について、j列目の増幅回路A(j)の構成例について図4を参照して説明する。
増幅回路A(j)は、スイッチSw1~Sw3および演算増幅器ampを含む。スイッチSw1は、高電位側電源電圧Velの給電線116と、演算増幅器ampの高位側電源ノードとの間に設けられる。スイッチSw2は、接地電位Gndと演算増幅器ampの低位側電源ノードとの間に設けられる。スイッチSw3は、給電線116と出力ノードOutとの間に設けられる。
なお、出力ノードOutは、j列目のデータ線14に接続される。
【0020】
スイッチSw1~Sw3のオンオフは、制御回路20による制御信号Pw2(j)によって制御される。詳細には、制御信号Pw2(j)がHレベルであれば、スイッチSw1およびSw2がオンし、スイッチSw3がオフし、制御信号Pw2(j)がLレベルであれば、スイッチSw1およびSw2がオフし、スイッチSw3がオンする。
演算増幅器ampは、スイッチSw1およびSw2がオンであれば、入力ノードInに供給された信号、すなわちj列目のDA変換回路Cの出力信号を増幅して、出力ノードOutに出力する。また、演算増幅器ampは、スイッチSw1およびSw2がオフであれば、演算増幅器ampの出力端をハイ・インピーダンス状態とさせる。ただし、スイッチSw3がオンになるので、出力ノードOutは、電圧Velとなる。
なお、j列目以外の増幅回路についても同様な構成である。増幅回路A(1)~A(n)には、順に制御信号Pw2(1)~Pw2(n)が制御回路20から供給される。
【0021】
また、図3では、1、2、…、(n-1)、n列目におけるデータ線14の電圧がVd(1)、Vd(2)、…、Vd(n-1)、Vd(n)と順に表記される。一般的には、j列目のデータ線14の電圧はVd(j)と表記される。
【0022】
図5は、画素回路110の構成を示す図である。m行n列でマトリクス状に配列する画素回路110は電気的にみれば互いに同一である。このため、画素回路110については、i行目であって、j列目に対応する1つの画素回路110で代表させて説明する。
【0023】
図5に示されるように、画素回路110は、OLED130と、pチャネル型のトランジスター121、122と、容量素子129とを含む。
【0024】
OLED130は、表示素子の一例であり、画素電極213と、共通電極218とで発光機能層216を挟持する。画素電極213はアノードとして機能し、共通電極218はカソードとして機能する。また、共通電極218は光透過性を有する。
OLED130において、アノードからカソードに電流が流れると、アノードから注入された正孔とカソードから注入された電子とが発光機能層216で再結合して励起子が生成され、白色光が発生する。
【0025】
トランジスター121のソースノードは、電圧Velの給電線116に接続され、トランジスター121のドレインノードは、OLED130のアノードである画素電極213に接続される。
トランジスター121のゲートノードは、トランジスター122のドレインノードおよび容量素子129の一端に接続される。容量素子129の他端は、電圧Velの給電線116に接続される。このため、容量素子129は、トランジスター121におけるゲート・ソースノード間の電圧を保持する。
なお、容量素子129としては、トランジスター121のゲートノードに寄生する容量を用いてもよいし、シリコン基板において互いに異なる導電層で絶縁層を挟持することによって形成される容量を用いてもよい。
i行j列の画素回路110においてトランジスター122のゲートノードは、i行目の走査線12に接続され、ソースノードがj列目のデータ線14に接続される。
【0026】
このような構成の画素回路110では、i行目の走査線12が選択されて、走査信号/Gwr(i)がLレベルになると、トランジスター122がオンする。このため、データ線14の電圧Vd(j)がトランジスター121のゲートノードに印加されて、当該電圧Vd(j)が容量素子129によって保持される。詳細には、トランジスター122がオンした場合におけるトランジスター121のゲート・ソースノード間の電圧が、容量素子129によって保持される。
【0027】
i行目の走査線12の選択が終了して、走査信号/Gwr(i)がHレベルになると、トランジスター122がオフするが、容量素子129は、トランジスター122がオンしたときの電圧を保持し続ける。このため、i行j列の画素回路110においてトランジスター121は、容量素子129に保持されたゲート・ソースノード間の電圧に応じた電流をOLED130に供給する。したがって、当該OLED130は、当該電流に応じた輝度で発光する。
【0028】
なお、ここではi行j列の画素回路110について説明したが、このような動作はi行目において、j列目以外の画素回路110についても同様に実行される。また、i行目以外の画素回路110についても、走査線12が選択されて当該走査線12に供給された走査信号がLレベルになったときに、同様に実行される。
【0029】
次に、表示装置10の動作について説明する。なお、この動作については、説明を簡略化するために、走査線12の行数mを8とし、データ線14の列数nを8とし、さらに、OLED130が例えば白色を発光して、表示領域100において単色画像を表示するものとして説明する。
【0030】
まず、通常画像表示モードの動作について説明する。
図6は、通常画像表示モードにおける表示装置10の動作を示すタイミングチャートである。図8は、通常画像表示モードにおいて画素回路110に割り当てられる映像データVidを示す図である。
【0031】
なお、図8において、四角枠が表示装置10における画素回路110を示し、四角枠内の数字が当該画素回路110に割り当てられる映像データVidの画素位置を示す。画素位置は、ハイフンの「-」の前が行を示し、「-」の後が列を示す。例えば、図8において、4行2列の画素回路110を示す四角枠には、「4-2」と記載されているので、映像データVidの4行2列のデータがそのまま割り当てられる。
また、図8において、映像データVidのうち、縮小画像を構成する奇数行に割り当てられるデータには、偶数行のデータと区別するためにハッチングが施されている。
【0032】
図6に示されるように通常画像表示モードでは、制御信号Pw1およびPw2(1)~Pw2(8)がHレベルとなる。このため、DAC群43では、各列のDA変換回路Cがアナログ電圧を出力し、アンプ群44では、増幅回路A(1)~A(n)が増幅動作を実行する。
また、図8に示されるように通常画像表示モードでは、映像データVidで示される画素位置が、表示領域100における画素回路110の位置と一致する。このため、制御回路20は、通常画像表示モードであれば、走査線駆動回路120を垂直走査に合わせて制御し、データ信号出力回路140を水平走査に合わせて制御する。
【0033】
詳細には図6に示されるように、当該制御にしたがって走査線駆動回路120は、1フレーム(F)の期間に、走査信号/Gwr(1)~/Gwr(8)を水平走査期間(H)毎に、順次排他的にLレベルとする。
本説明において1フレーム(F)の期間とは、映像データVidで指定される画像の1コマを表示するのに要する期間をいう。1フレームの期間の長さは、垂直同期期間と同じであれば、例えば同期信号Syncに含まれる垂直同期信号の周波数が60Hzであれば、当該垂直同期信号の1周期分に相当する16.7ミリ秒である。
【0034】
通常画像表示モードにおいて、制御回路20を介して上位装置から供給される映像データVidがi行目である場合、データコントローラー142は、当該i行目の1~8列を、この順で1~8列のラッチ回路L1にセットする。
当該i行目の1~8列が1~n列のラッチ回路L1にセットされると、制御回路20は、当該ラッチ回路L1にセットされたi行目の映像データVidをラッチ回路L2にセットして一斉に出力させる。なお、ラッチ回路L2から出力されたi行目の映像データVidは、DAC群43においてアナログ電圧に変化され、アンプ群44において増幅されて、電圧Vd(1)~Vd(8)として1~8列目のデータ線14に出力される。
なお、i行目の映像データVidがラッチ回路L2から出力される期間において、(i+1)行目の映像データVidが供給されるので、データコントローラー142は、当該(i+1)行の1~8列を、この順で1~8列のラッチ回路L1にセットする。
このため、上位装置からi行目の映像データVidが供給される期間と、走査線駆動回路120がi行目の走査線12を選択する期間とは、ほぼ一水平走査期間分ずれている。
【0035】
また、制御回路20は、i行目の映像データVidをラッチ回路L2から出力させるのに合わせて、走査線駆動回路120にi行目の走査線12を選択させる。このため、走査線駆動回路120は、走査信号/Gwr(i)をLレベルにする。
これにより、i行1~8列目の画素回路110は、電圧Vd(1)~Vd(8)に応じた輝度で発光する。
通常画像表示モードでは、このような動作が、1~8行目について順番に実行される。
したがって、通常画像表示モードでは、画素回路110のOLED130は、映像データVidで指定された階調に対応した輝度で発光するので、表示領域100では、映像データVidで指定された通りの画像が表示される。
なお、図6において電圧Vd(1)~Vd(8)は、映像データVidに指定される画素配列を示し、実際には、映像データVidに指定される階調レベルに応じたアナログ電圧となる。
【0036】
続いて、表示装置10の動作のうち、縮小画像表示モードの動作について説明する。
縮小画像表示モードは、上位装置から供給される画像を縮小させて表示領域100に表示させるモードである。表示領域100において縮小画像が表示される領域以外では、画素回路110がオフにされる。
【0037】
なお、画素回路110のオフとは、表示素子において電流が流れない状態をいう。本実施形態では、表示素子がOLED130であるから、電流が流れない暗状態をいい。表示素子がノーマリーホワイトモードの液晶素子であれば、明状態をいう。
また、縮小画像とは、kを2以上の整数とした場合に、上位装置から供給される画像の縦サイズおよび横サイズをそれぞれ1/k倍に縮小した画像である。
この縮小画像は、映像データVidで指定される画像のうち、縦サイズについてk行のうち1行だけ選択して採用し、横サイズについてk列のうち1列だけ選択して採用することで実行される。
具体的には、k=2であれば、映像データVidで指定される画像のうち、2行のうち1行だけを選択して採用し、2列のうち1列だけを選択する。また、k=4であれば、映像データVidで指定される画像のうち、4行のうち1行だけを選択して採用し、4列のうち1列だけを選択する。
なお、説明の簡略化するために、縦サイズおよび横サイズの縮小率を同値としたが、異ならせてもよい。また、縮小画像の倍率を示すkについては、制御情報Wipに含まれる。
【0038】
本実施形態では、縮小画像表示モードにおいて縮小画像が、表示領域100における任意の位置に割り当て可能である。ここで説明の便宜上、例えばkが「2」である場合に、当該縮小画像が表示領域100の左上端に割り当てられる場合で説明する。
この場合、kが「2」であるから、縮小画像は、上位装置から供給される画像のうち、横方向について1行ずつ間引き、縦方向について1列ずつ間引くことで実現される。
【0039】
具体的には、上位装置から供給される映像データVidの画像のうち、奇数行または偶数行の一方を間引き、奇数列または偶数列の一方を間引いて、当該間引いた後の画素配列を、表示領域100の所望の位置に割り当てればよい。
図10は、縮小画像の作成にあたって偶数行および偶数列を間引いて、表示領域100の左上端に割り当てた例である。
【0040】
映像データVidのうち、縮小画像を構成しない画素のデータについては、表示に寄与しない。このため、本実施形態では、同図に示されるように、縮小画像を構成しない画素については、黒(Bk)表示に置き換えられる。
なお、黒表示は、本実施形態では、OLED130を発光させない、すなわち電流を流さないことで実現される。
【0041】
さて、表示領域100において走査線12を1、2、3、4、…行目という順番で選択し、映像データVidのうち、1、3、5、7、…行目の映像データVidを変換して、1、2、3、4列目のデータ線14に供給することで、図10に示されるような縮小画像を表示装置10で表示させる構成が考えられる。
しかしながら、上位装置から供給される映像データVidは、1行1列~1行8列、2行1列~2行8列、3行1列~3行8列、…、8行1列~8行8列という画素の順で供給されるので、例えば2行目の走査線12を選択する場合に、3行目の映像データVidは、上位装置からまだ供給されていない。このため、2行目の走査線12を選択する場合に、3行目の映像データVinを得るには、映像データVidを表示メモリー等に1フレーム分記憶させてから読み出す構成が必要となる。このような構成では、表示メモリーに大きな記憶容量が生じるだけでなく、表示の遅延も発生させる。
【0042】
そこで、本実施形態では、縮小画像表示モードにおいて図10に示されるような縮小画像を表示する場合、上位装置から供給される映像データVidが1行目である場合には、制御回路20による制御にしたがって走査線駆動回路120が1行目の走査線12を選択し、映像データVidが2行目である場合には、走査線駆動回路120が2行目とは異なる5行目の走査線12を選択する。以下同様に、映像データVidが3、4、5、6、7、8行目である場合には、走査線駆動回路120は2、6、3、7、4、8行目の走査線12を順に選択する。
詳細には、図7に示されるように、走査線駆動回路120は、走査信号/Gwr(1)、/Gwr(5)、/Gwr(2)、/Gwr(6)、/Gwr(3)、/Gwr(7)、/Gwr(4)、/Gwr(8)を、水平走査期間(H)毎に、順次排他的にLレベルとする。
なお、実際には、上位装置から、ある1行の映像データVidが供給される期間と、走査線駆動回路120が当該行の走査線12を選択する期間とは、ほぼ一水平走査期間分ずれている。
【0043】
縮小画像表示モードにおいて、制御回路20を介して上位装置から供給される映像データVidが1行目である場合、データコントローラー142は、当該映像データVidのうち、1、3、5、7列目の映像データVidを、1、2、3、4列目のラッチ回路L1にセットし、2、4、6、8列目の映像データVidを、黒データに変換して、5、6、7、8列目のラッチ回路L1にセットする。なお、ここでいう黒データとは、OLED130を暗状態とさせるデータであり、最低の階調レベルに相当するデータである。
ラッチ回路L1にセットされると、制御回路20は、当該ラッチ回路L1にセットされた映像データVidをラッチ回路L2にセットして一斉に出力させる。
この出力に合わせて、制御回路20は、走査線駆動回路120に1行目の走査線12を選択させる。このため、走査線駆動回路120は、走査信号/Gwr(1)をLレベルにする。
また、制御回路20は、走査信号/Gwr(1)がLレベルとなる期間に合わせて、制御信号Pw1およびPw2(1)~Pw2(4)をHレベルとし、制御信号Pw2(5)~Pw2(8)をLレベルとする。
このため、走査信号/Gwr(1)がLレベルとなる期間では、DAC群43のうち、1~4列目のDA変換回路Cにおいてアナログ電圧に変化され、アンプ群44において増幅されて、1~4列目のデータ線14に出力される。
なお、走査信号/Gwr(1)がLレベルとなる期間では、制御信号Pw2(5)~Pw2(8)がLレベルであるので、5~8列目のデータ線14の電圧Vd(5)~Vd(8)は電圧Velとなる。
【0044】
したがって、走査信号/Gwr(1)がLレベルになると、1行1列~1行4列の画素回路110では、映像データVidの1行1列、1行3列、1行5列、1行7列の表示がなされる一方、1行5列~1行8列の画素回路110は、OLED130に電流が流れない黒表示となる。
【0045】
次に、上位装置から供給される映像データVidが2行目である場合、データコントローラー142は、当該映像データVidを黒データに変換してラッチ回路L1にセットする。
したがって、ラッチ回路L1にセットされた黒データがラッチ回路L2にセットされて一斉に出力される。また、ラッチ回路L2からの出力期間に相当する期間において、制御回路20は、走査線駆動回路120に5行目の走査線12を選択させ、制御信号Pw1およびPw2(1)~Pw2(8)をLレベルとする。このため、1~8列目のデータ線14の電圧Vd(1)~Vd(8)は電圧Velとなる。
したがって、走査信号/Gwr(5)がLレベルになると、5行1列~5行8列の画素回路110は、黒表示となる。
【0046】
続いて、上位装置から3行目の映像データVidが供給される。このときの動作は、データコントローラー142が3行目の1、3、5、7列目の映像データVidを1、2、3、4列目のラッチ回路L1にセットし、セット後に、制御回路20が、走査線駆動回路120に2行目の走査線12を選択させる以外、走査信号/Gwr(1)がLレベルとなる場合と同様である。
このため、走査信号/Gwr(2)がLレベルになると、2行1列~2行4列の画素回路110では、映像データVidの3行1列、3行3列、3行5列、3行7列の表示がなされる一方、2行5列~2行8列の画素回路110は黒表示となる。
【0047】
次に、上位装置から4行目の映像データVidが供給されるが、このときの動作は、2行目の映像データVidが供給される場合と同様である。このため、走査信号/Gwr(6)がLレベルになると、6行1列~6行8列の画素回路110は、黒表示となる。
【0048】
以下同様な動作が、上位装置から5、6、7、8行目の映像データVidが供給されたときに繰り返される。詳細には、5、6、7、8行目の映像データVidが供給されたとき、走査信号/Gwr(3)、/Gwr(7)、/Gwr(4)、/Gwr(8)が順にLレベルとなる。これにより、表示領域100では、図10に示されるよう縮小画像が表示される。
【0049】
なお、図10に示されるような縮小画像を表示する場合、5~8行目の画素回路110が一旦黒表示になれば、以降、5~8行目の走査線12を選択する必要はない。このため、走査信号/Gwr(5)~/Gwr(8)については、図7において太い破線で示されるように、Hレベルを維持してもよい。すなわち、通常画像表示モードから縮小画像表示モードに遷移する場合に、図6図7の実線、太い破線という順番で走査信号を変化させてもよい。
あるいは、通常画像表示モードから縮小画像表示モードに遷移する場合に、全ての画素回路110を黒表示にした後、図7の太い破線の順番で移行してもよい。
【0050】
本実施形態によれば、縮小画像表示モードにおいて、走査線12に係る画素回路110がすべて黒表示にすべき場合、DAC群43のDA変換回路Cおよびアンプ群44の増幅回路A(1)~A(n)が停止する。また、走査線12に係る画素回路110の一部が黒表示であれば、増幅回路A(1)~A(n)のうち、黒表示に係るデータ線14の増幅回路の動作が停止する。このため、本実施形態では、低消費電力化が図られる。
本実施形態において縮小画像表示モードでは、上位装置から供給される映像データVidの行に応じて、走査線12を選択する順序が変更され、また、映像データVidは、各列におけるラッチ回路L1の格納先が変更される。縮小画像表示モードの場合に、映像データを記憶する必要がないので、構成の簡略化を図ることができ、映像データVidに対する表示の遅延も小さく済む。
また、本実施形態では、縮小画像を作成するための画像処理や、専用の回路が不要であるので、構成の簡易化を図ることができる。
【0051】
本実施形態では、縮小画像を表示領域100の左上端に寄せて表示させる場合を例にとって説明したが、縮小画像の表示位置は任意である。
ただし、任意とすると、縮小画像の表示位置設定が複雑化するので、例えば、予め複数種類の位置に応じた制御情報Wipをプリセットしておき、縮小表示する場合には、いずれかを選択するようにしてもよい。複数種類の位置の例としては、図11に示されるように、左上端に加えて、中央上端、右上端、左中央、中央、右中央、左下端、中央下端、右下端の9種類が挙げられる。
【0052】
図11において、右向きの三角形が縮小画像の開始行を示し、下向きの三角形が縮小画像の開始列を示す。
縮小画像の開始行および開始列が決まれば、走査線12をどのような順序で選択し、どのような列の映像データVidを、どの列のラッチ回路L1にセットすべきかについての推論は容易であろう。
【0053】
また以上については、k=2として縮小画像の倍率を1/2とした例であるが、これ以外の倍率も可能である。例えば、k=4として縮小画像の倍率を1/4としてもよい。
縮小画像表示モードにおいて、当該縮小画像を図15に示されるように、表示領域100の左上端に位置させて表示する場合に、走査線12を選択する順序や、どの列の映像データVidを、どの列のラッチ回路L1にセットするか、さらに制御信号Pw1、Pw2(1)、Pw2(2)、Pw2(3)~Pw2(8)をどのようなレベルとするかについては、例えば図12に示される通りである。
また、通常画像表示モードにおいて画素回路110に割り当てられる映像データVidは、図13に示される通りである。縮小画像表示モードにおいて選択する当該映像データVidを画素回路110にどのように割り当てられるかについては、図14に示される通りである。
なお、この例において縮小画像は、1行目および5行目で構成される。図13および図14において1行目および5行目に割り当てられるデータには、他の行のデータと区別するためにハッチングが施されている。
これらの図12図15については、図7図10から類推すれば容易に理解できるはずである。
【0054】
また、縮小画像の倍率を1/4とした場合に、表示領域100にどのように位置させるかについても、図16に示されるような例が挙げられる。この説明についても図11から類推できるはずである。
【0055】
実施形態については、表示領域100において単色画像を表示するものとして説明したが、例えばRGB(赤緑青)の三色の加法混色によってカラー画像を表示するものでもよい。
OLED130をR、GまたはBとするには、光共振器およびカラーフィルターを設ければよい。詳細には、OLED130から発生した白色光が、反射膜とハーフミラーとで構成された光共振器にて共振し、R、GまたはBのいずれかの色に対応して設定された共振波長で出射し、光共振器から光の出射側には設けられた当該色に対応したカラーフィルターで着色されて、観察者に視認される構成とすればよい。
【0056】
また、データ信号出力回路140は、データ線14を、いわゆるスキャナー方式で駆動してもよいし、いわゆるブロック順次方式で駆動してもよい。
【0057】
図17は、第1応用例に係る表示装置10の構成を示すブロック図である。この表示装置10は、表示領域100においてカラー画像を表示し、データ信号出力回路140がデータ線14をスキャナー方式で駆動する。
具体的には、表示領域100においてm行の走査線12が設けられ、n列のデータ線14が設けられる。なお、第1応用例においてデータ線14の列数であるnは、3p、すなわち、3の倍数となっている。
第1応用例では、画素回路110がm行(3p)列で配列する。m行(3p)列で配列する画素回路110のうち、例えば、1、4、7、10、…、(3p-2)列目の画素回路110はRに対応し、2、5、8、11、…、(3p-1)列目の画素回路110はGに対応し、3、6、9、12、…、(3p)列目の画素回路110はBに対応する。隣り合う3つのRGBの画素回路110によって1つのカラー画素が表現される。
また、映像データVidは、1つのカラー画素の階調を、RGB毎に例えば8ビットで指定する。
【0058】
なお、この例では、1つの画素回路が、1つカラー画素の3色成分のうち、いずれかの色を表現するので、サブ画素回路と表現すべきではあるが、実施形態から延長して説明する関係上、画素回路と表記する。
【0059】
また、データ信号出力回路140は、図17に示される例では、3相のスキャナー方式でデータ線14を駆動する。詳細には、(3p)列のデータ線14に一対一にスイッチ45が設けられ、データ線14は、3列毎にグループ化される。すなわち、第1応用例ではグループ数が「p」であり、1つのグループを構成するデータ線14の列数(相数)が「3」である。
第1応用例において、ラッチ回路群41のラッチ回路L1およびラッチ回路群42のラッチ回路L2は、1つのグループを構成するデータ線14の列数に対応して設けられる。このため、ラッチ回路L1の個数およびラッチ回路L2の個数は、「3」である。
【0060】
第1応用例において、DAC群43は、3個のDA変換回路Cと電圧生成回路Gとを含み、アンプ群44は、3個の増幅回路A(1)~A(3)を含む。なお、ラッチ回路L2およびDA変換回路Cを区別するために、左から順に、1相目、2相目、3相目と表現する場合がある。
増幅回路A(1)~A(3)における出力ノードはそれぞれp列に分岐して、スイッチ45の一端に接続される。スイッチ45の他端は、データ線14に接続される。スイッチ45のオンオフはグループ毎に制御される。例えば図において左から数えて1番目のグループに属する3個のスイッチ45は、制御信号Sel(1)がHレベルでオンし、Lレベルであればオフする。2番目のグループに属する3個のスイッチ45は制御信号Sel(2)にしたがって同様にオンオフする。p番目のグループに属する3個のスイッチ45は制御信号Sel(p)にしたがって同様にオンオフする。制御信号Sel(1)~Sel(p)は、制御回路20から供給される。
【0061】
次に、第1応用例の動作について説明する。なお、この動作については、説明を簡略化するために、走査線12の行数mを「8」とし、データ線14の列数nを「24」、すなわちグループ数pを「8」とする。
また、第1応用例においては、図8乃至図10において1つの四角枠が1つのカラー画素を示す。このため、ハイフンの「-」の前が行であることは実施形態と同様であるが、「-」の後がグループ番号を示す。例えば、図8において、「4-2」は、4行2列のカラー画素、詳細には、4行目であって、4列目のRの画素回路110、5列目のGの画素回路110、および、6列目のBの画素回路110で表現されるカラー画素を示す。
なお、映像データVidについては、簡略化のためにRGBの個別ではなく、1つのカラー画素を単位として説明する。
【0062】
この例において通常画像表示モードでは、1行目の映像データVidが供給される一水平走査期間(H)において、制御回路20は、走査線駆動回路120に対し1行目の走査線12を選択させる。このため、走査信号/Gwr(1)がLレベルとなる。
また、制御回路20は、制御信号Sel(1)~Sel(8)を順次排他的にHレベルとする。
詳細には、1行目であって1番目のグループに対応する「1-1」のカラー画素の映像データVidが上位装置から供給された場合、データコントローラー142は、当該映像データのRGB成分を、1~3相目のラッチ回路L1にセットする。制御回路20は、3つのラッチ回路L1に映像データVidをセットした後、当該セットした映像データをラッチ回路L2に転送する。これにより、1行目であって1列目のカラー画素に対応する映像データのRGBが、3つのラッチ回路L2から出力される。制御回路20は、ラッチ回路L2への転送に合わせて制御信号Sel(1)をHレベルとする。
これにより、1番目のグループに対応する3列のデータ線14には、当該走査線12との交差に対応するカラー画素の、R、G、Bの成分の映像データVidを変換して増幅した電圧が供給される。
【0063】
次に、2番目のグループに対応する「1-2」のカラー画素の映像データVidが上位装置から供給されると、データコントローラー142は、当該映像データのRGB成分を、1~3相目のラッチ回路L1にセットする。制御回路20は、ラッチ回路L1に映像データVidをセットした後、当該セットした映像データをラッチ回路L2に転送する。これにより、1行目であって2列目のカラー画素に対応する映像データが、3つのラッチ回路L2から出力される。制御回路20は、ラッチ回路L2への転送に合わせて制御信号Sel(2)をHレベルとする。これにより、2番目のグループに対応する3列のデータ線14には、当該走査線12との交差に対応するカラー画素の、R、G、Bの成分の映像データVidを変換して増幅した電圧が供給される。
【0064】
以下同様な動作が、制御信号Sel(8)がHレベルになって、1行目であって8列目のカラー画素に対応する3列のデータ線14には、当該走査線12との交差に対応するカラー画素の、R、G、Bの成分の映像データVidを変換して増幅した電圧が供給されるまで繰り返される。
これにより1行目の表示がなされることになる。以下同様な動作が2~8行目についても同様に実行される。
【0065】
この例において、縮小画像表示モードによって図10に示される1/2の縮小画像を表示する場合に、まず、制御回路20を介して上位装置から供給される映像データVidが1行目であれば、1列目のカラー画素に対応する映像データVidを採用して、制御信号Sel(1)により書き込み、2列目のカラー画素に対応する映像データVidを黒データに変換して、制御信号Sel(5)を選択して書き込み、3列目のカラー画素に対応する映像データを採用して、制御信号Sel(2)に書き込み、4列目のカラー画素に対応する映像データVidを黒データに変換して、制御信号Sel(6)を選択して書き込み、以降、同様な動作を繰り返す。詳細には、制御信号は、Sel(1)、Sel(5)、Sel(2)、Sel(6)、Sel(3)、Sel(7)、Sel(4)、Sel(8)という順番でHレベルとなって書き込みが実行される。
なお、制御信号Selが上記順番でHレベルとなる期間において、制御回路20は、走査線駆動回路120に1行目の走査線12を選択させる。
【0066】
次に、上位装置から供給される映像データVidが2行目である場合、データコントローラー142は、当該映像データVidを黒データに変換して出力する。黒データが制御信号Selにより書き込まれる期間において、制御回路20は、走査線駆動回路120に5行目の走査線12を選択させ、制御信号Pw1およびPw2(1)~Pw2(8)をLレベルとする。このため、1~8列目のデータ線14は、電圧Velとなる。
なお、上位装置から供給される映像データVidが3、5、7行目である場合、1行目と同様な動作が実行され、上位装置から供給される映像データVidが4、6、8行目である場合、2行目と同様な動作が実行される。
【0067】
第1応用例において、1つのグループを構成するデータ線14の列数を「3」としたが、「3」以外の3の倍数としてもよいし、グループ数pを「8」以外であって、2以上の整数としてもよい。また、データ線14が3の倍数毎にグループ化される場合に、縮小画像について横(列)方向に映像データVidを採用するにあたって、グループを単位として採用してもよい。
【0068】
次に、1つグループを構成するデータ線14の列数「240」とし、グループ数pを「24」とした第2応用例について説明する。
【0069】
なお、第2応用例において、1つグループを構成するデータ線14の列数「240」は、カラー画素の配列数で換算した場合に「80」(=240÷3)となる。また、第2応用例では、データ線14の列数は、5760(=240×24)となり、カラー画素が、1行について1920列(=5760÷3)で配列する。
第2応用例の具体的な構成については特に図示しないが、図17において、ラッチ回路群41のラッチ回路L1の個数、ラッチ回路群42のラッチ回路L2の個数、DAC群43におけるDA変換回路Cの個数、および、アンプ群44における増幅回路の個数を、いずれも「240」としたものとなる。
【0070】
第2応用例では、1行に配列するカラー画素の個数は「1920」であり、RGBで、みれば「5760」であるので、映像データVidのデータ量が膨大である。このため、第2応用例では、映像データVidが上位装置から例えば12チャネルのパラレルで供給される。具体的には4つのカラー画素のRGB成分が計12チャネルで供給される。
なお、4つのカラー画素のRGB分の映像データVidをまとめて、4RGBと略記する。また、簡略化するために、映像データVidについては、RGBの個別ではなく、1つのカラー画素を単位として説明する。具体的には、映像データVidについては、1行につき、1~1920列目のカラー画素として説明する。
【0071】
第2応用例において通常画像表示モードでは、データコントローラー142が4RGBの映像データVidを20回繰り返してラッチ回路L1にセットし、データが揃ったら、ラッチ回路L2に転送し、240個のDA変換回路Cおよび240個の増幅回路からアナログ電圧を出力し、制御信号Sel(1)~Sel(24)の順番で選択された240列のデータ線14に当該アナログ電圧を印加する(スキャンする)。この動作が1水平同期期間に24回繰り返されて、5760列の全データ線14に書き込まれる。
【0072】
一方、この構成において、縮小画像表示モードによって1/2の縮小画像を例えば奇数行奇数列の採用で表示する場合、上位装置から供給される映像データVidが奇数行であれば、データコントローラー142は、4RGBの2回で供給される映像データVidのうち、偶数列の映像データを除外し、奇数列の4RGBのみ順番に配列させて(並び替えて)、順にラッチ回路L1にセットする。
すなわち、上位装置から供給される映像データのうち、半分の(奇数列の)映像データがラッチ回路L1にセットされる。逆にいえば、すべてのラッチ回路L1に奇数列の映像データをセットするには、倍の2スキャン分の映像データVidが上位装置から供給される必要がある。
このため、制御回路20は、上位装置から1スキャン分の映像データVidが供給されるまでは、ラッチ回路L2の出力を黒データとして、制御信号Sel(1)~Sel(24)のいずれかによって黒表示領域の書き込みを行い、次に、2スキャン分の映像データVidが供給されて、奇数列の映像データVidをすべてラッチ回路L1にセットされた時点で、ラッチ回路L2に転送して、制御信号Sel(1)~Sel(24)のいずれかで選択した240列のデータ線14に当該アナログ電圧を印加する。この動作を1水平同期期間に繰り返して、1行分の全データ線14を書き込む。
【0073】
この動作について図18を参照して説明する。図18は、上位装置から供給される1~160列目の2スキャン分の映像データVidと、ラッチ回路L2から出力される映像データVidとの関係を示す図である。詳細には、図18の上段は、上位装置から供給される映像データVidを示し、図18の下段は、ラッチ回路L2から出力される映像データVidを示す。
図18の上段に示されるように、ある奇数行について1~80列目のカラー画素(RGB)がこの順で供給され、続いて、81~160列目のカラー画素(RGB)がこの順で供給される。
なお実際には、映像データVidは上述したように12チャネルのパラレルで上位装置から供給されるが、ここでは便宜的に1列目から順番に時系列でカラー画素の映像データVidが供給されるものとして表記している。
【0074】
1~80列目のカラー画素が供給されている期間において、制御回路20は、240個のラッチ回路L2のリセット等により、黒データを出力させる。このとき、制御回路20は、制御信号Sel(41)をHレベルとする。
このため、表示領域100において右半分の領域のうち、最左端の41番目のグループに属する240列のデータ線14に黒データに相当する電圧が書き込まれる。
【0075】
また、データコントローラー142は、1~160列目の映像データVidのうち、奇数列の映像データのみを選択して、順番にラッチ回路L1にセットする。
1~160列目のうち、奇数列の映像データがすべてラッチ回路L1にセットされると、制御回路20は、当該奇数列の映像データをラッチ回路L2に転送する。このとき、制御回路20は、制御信号Sel(1)をHレベルとする。このため、表示領域100において左半分の領域のうち、最左端の1番目のグループに属する240列のデータ線14に、奇数列の映像データに相当する電圧が書き込まれる。
【0076】
奇数行では、このような動作が黒データの書き込みと、奇数列を選択した書き込みとが、161~320列目、321~640列目、…、1761~1920列目の映像データVidが供給される毎に、すなわち2スキャン分の映像データVidが供給される毎に実行される。
【0077】
また、この構成において、縮小画像表示モードによって1/4の縮小画像を、1、5、9、13、…、行目および1、5、9、13、…、列目の映像データVidを採用して表示する場合、上位装置から供給される映像データVidが採用行であれば、データコントローラー142は、例えば、4RGBの4回で供給される映像データVidのうち、非採用列の映像データを除外し、採用列の4RGBのみ順番に配列させて、ラッチ回路L1にセットする。
すべてのラッチ回路L1に採用列の映像データをセットするには、4倍の4スキャン分の映像データVidが上位装置から供給される必要がある。このため、制御回路20は、上位装置から最初の1、2、3スキャン目の映像データVidが供給される期間は、ラッチ回路L2の出力を黒データとして、制御信号Sel(1)~Sel(24)のいずれかによって黒表示領域の書き込みを行い、次に、4スキャン目の映像データVidが供給されて、採用例の映像データVidがすべてラッチ回路L1にセットされた時点で、ラッチ回路L2に転送して、制御信号Sel(1)~Sel(24)のいずれかで選択された240列のデータ線14に当該アナログ電圧を印加する。この動作を、1水平同期期間で繰り返して、1行分の全データ線14を書き込む。
【0078】
採用行では、このような動作が3スキャン分の黒データの書き込みと、採用列を選択しての書き込みとが、1~320列目、321~640列目、…、1601~1920列目の映像データVidが供給される毎に、すなわち4スキャン分の映像データVidが供給される毎に実行される。
【0079】
この動作は、図18の類推から容易であるので、図示を省略する。また、第2応用例において、縮小画像表示モードでて1/2または1/4の縮小画像を表示する場合の動作は、すでに説明している実施形態およびその応用例とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0080】
上述した実施形態や応用例(以下、「実施形態等」と称呼する)では、画素回路110の例として図5の構成を挙げて説明したがこの構成に限られない。例えば、トランジスター121のしきい値電圧を補償するための素子や、OLED130の発光期間を制御する素子、OLED130が有する容量に保持された電荷をクリアする素子などを設けてもよい。
実施形態等では、表示素子の一例としてOLED130を例示して説明したが、上述したように他の表示素子を用いてもよい。例えば表示素子としてLEDや液晶素子を用いてもよい。
また、実施形態等では、画素回路110におけるトランジスターのチャネル型は、実施形態に限定されない。トランジスターのチャネル型を変更する場合には、当該トランジスターのゲートノードに供給される制御信号の論理レベルが適宜反転される。
なお、トランジスター121をnチャネルに変更した場合、画素回路110をオフとさせる電圧はトランジスター121がオフする低位電圧となる。
【0081】
<電子機器>
次に、実施形態等に係る表示装置10を適用した電子機器について説明する。表示装置10は、上述したように画素が小サイズで高精細な表示な用途に向いている。そこで、電子機器として、ヘッドマウントディスプレイを例に挙げて説明する。
【0082】
図19は、ヘッドマウントディスプレイの外観を示す図であり、図20は、その光学的な構成を示す図である。
まず、図19に示されるように、ヘッドマウントディスプレイ300は、一般的な眼鏡と同様にテンプル310や、ブリッジ320、レンズ301L、301Rを有する。また、ヘッドマウントディスプレイ300は、図20に示されるように、ブリッジ320近傍であってレンズ301L、301Rの奥側(図において下側)には、左眼用の表示装置10Lと右眼用の表示装置10Rとが設けられる。
表示装置10Lの画像表示面は、図20において左となるように配置している。これによって表示装置10Lによる表示画像は、光学レンズ302Lを介して図において9時の方向に出射する。ハーフミラー303Lは、表示装置10Lによる表示画像を6時の方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。表示装置10Rの画像表示面は、表示装置10Lとは反対の右となるように配置している。これによって表示装置10Rによる表示画像は、光学レンズ302Rを介して図において3時の方向に出射する。ハーフミラー303Rは、表示装置10Rによる表示画像を6時方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
【0083】
この構成において、ヘッドマウントディスプレイ300の装着者は、表示装置10L、10Rによる表示画像を、外の様子と重ね合わせたシースルー状態で観察することができる。
ここで装着者が歩行するような場合、通常画像表示モードでは、表示装置10L、10Rによる表示画像で視界が塞がれてしまう。そこで、このような場合には、縮小画像表示モードに移行すると、縮小画像が表示されて、表示領域100に空きが発生するので、視界を確保することができる。
ができる。
【0084】
なお、表示装置10を含む電子機器については、ヘッドマウントディスプレイ300のほかにも、ビデオカメラやレンズ交換式のデジタルカメラなどにおける電子式ビューファインダーにも適用可能である。
【0085】
<付記>
ひとつの態様(態様1)に係る表示装置は、複数行の走査線と複数列のデータ線との交差に設けられた画素回路がマトリクス状に配列する表示領域と、前記複数行の走査線を、任意の順番で駆動可能な走査線駆動回路と、入力された映像データに対応する全体画像のうち、1行分の映像データを変換したデータ信号を、前記複数列のデータ線に任意に供給可能なデータ信号出力回路と、を含み、前記全体画像を行および列で間引いた縮小画像が、前記表示領域の一部領域に割り当てて表示するモードで、前記走査線駆動回路は、前記映像データで指定される行が前記一部領域に割り当てられた行に該当する場合、当該行の走査線を駆動し、前記映像データで指定される行が前記一部領域以外の領域に該当する場合、前記映像データで指定される行とは異なる行の走査線を駆動し、前記データ信号出力回路は、前記走査線駆動回路で駆動された行の走査線に対応するデータ信号を、前記一部領域に割り当てられたデータ線に供給する。
この態様によれば、縮小画像を得るために画像処理などの特別な構成が不要であるので、構成の簡易化を図ることができる。
【0086】
態様1の具体的な態様(態様2)に係る表示装置において、前記縮小画像は、前記表示領域のうち、制御情報で指定された位置に割り当てられる。この態様によれば、縮小画像を制御情報で指定された位置に割り当てることにより、表示領域100に空きが発生して、視界を確保することが容易となる。
【0087】
態様1または態様2の具体的な態様(態様3)に係る表示装置において、前記データ信号出力回路は、前記モードでは、前記一部領域に割り当てられたデータ線以外のデータ線に、前記画素回路をオフさせる信号を供給する。この態様によれば、縮小画像の表示時に低消費電力化を図ることできる。
【0088】
態様3の具体的な態様(態様4)に係る表示装置において、前記データ信号出力回路は、前記映像データに基づく信号を増幅して、前記データ線に前記データ信号として供給するアンプ回路を含み、前記アンプ回路は、前記モードでは、前記一部領域に割り当てられたデータ線以外のデータ線に、前記画素回路をオフさせる電圧の信号を供給する。
【0089】
また、態様4の具体的な態様(態様5)に係る表示装置において、前記データ信号出力回路は、前記映像データをアナログ信号に変換して、前記アンプ回路に供給するDA変換回路を前記データ線に対応して有し、前記モードで、前記映像データで指定される行が前記一部領域に割り当てられた行に該当しなければ、前記DA変換回路は変換動作を停止する。
【0090】
態様1乃至5の具体的な態様(態様6)に係る電子機器は、上記いずれか態様に係る表示装置を有する。この態様によれば、構成の簡易化を図った電子機器が実現される。
【符号の説明】
【0091】
10…表示装置、12…走査線、14…データ線、20…制御回路、100…表示領域、110…画素回路、120…走査線駆動回路、130…OLED、140…データ信号出力回路、300…ヘッドマウントディスプレイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20