(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】決済システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
G06Q 20/36 20120101ALI20240806BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/36
G06Q30/0645
(21)【出願番号】P 2020095063
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞屋 朋和
(72)【発明者】
【氏名】山室 直樹
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 勇希
(72)【発明者】
【氏名】三宅 浩介
(72)【発明者】
【氏名】水野 奏司
(72)【発明者】
【氏名】古畑 康
(72)【発明者】
【氏名】成田 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】竹原 康博
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-060961(JP,A)
【文献】特開2017-156859(JP,A)
【文献】特開2019-204208(JP,A)
【文献】特開平10-302160(JP,A)
【文献】特開2009-099076(JP,A)
【文献】特開2008-165562(JP,A)
【文献】特開2020-061033(JP,A)
【文献】特開2019-105881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸し出し対象である車両と、
第1制御部と、第1通信部と、を有する決済サーバと、
第2制御部と、第2通信部と、ディスプレイと、を有する端末と、
を備え、
前記第1
制御部は、ウォレットシステムに登録されている複数の決済方法のうち、決済方法の与信情報に基づいて前記車両を貸し出す条件が前記端末を所持するユーザに最も有利な決済方法を判定し、
前記最も有利な決済方法の前記条件を前記第1通信部により出力し、
前記第2
制御部は、
前記決済サーバから取得した前記最も有利な決済方法の前記条件を前記ディスプレイ上に表示させ、
前記第1
制御部は、前記車両のドアロックを解除するための認証情報を
前記第1通信部により前記端末に出力し、
前記第2
制御部は、前記
決済サーバから取得した前記認証情報を
前記第2通信部により前記車両に出力し、
前記車両は、前記端末から取得した前記認証情報が適切な認証情報であるか否かを判定し、前記認証情報が適切な認証情報であると判定した場合、該車両のドアロックを解除する
決済システム。
【請求項2】
前記条件は、前記与信情報に基づいて設定した貸し出し可能な前記車両の種別である
請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記条件は、前記与信情報に基づいて設定した前記車両の貸し出しに関する料金である
請求項1または請求項2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記条件は、前記複数の決済方法のうちユーザが入力した決済方法の前記与信情報に基づいて設定される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の決済システム。
【請求項5】
前記条件は、前記複数の決済方法の前記与信情報に基づいてそれぞれ算出されるスコアの統計値が高いほどユーザに有利に設定される
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、決済システム、決済プログラムおよび決済サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが利用する端末の位置情報と、店舗に設置された決済端末の位置情報とに基づいて、ユーザの端末と決済端末とを利用した決済方法を特定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の決済方法を利用可能なウォレットシステムの利便性向上が求められていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の決済方法を利用可能なウォレットシステムの利便性を向上させる決済システム、決済プログラムおよび決済サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る決済システムは、ハードウェアを有する第1のプロセッサを有する決済サーバと、ハードウェアを有する第2のプロセッサと、ディスプレイと、を有する端末と、を備え、前記第1のプロセッサは、ウォレットシステムに登録されている複数の決済方法の与信情報に基づいて設定した車両を貸し出す条件を前記ディスプレイ上に表示させる。
【0007】
本開示に係る決済プログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに、ウォレットシステムに登録されている複数の決済方法の与信情報に基づいて設定した車両を貸し出す条件をディスプレイ上に出力することを実行させる。
【0008】
本開示に係る決済サーバは、ハードウェアを有するプロセッサを備え、前記プロセッサは、ウォレットシステムに登録されている複数の決済方法の与信情報に基づいて設定した車両を貸し出す条件をディスプレイ上に表示させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数の決済方法を利用可能なウォレットシステムの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る決済サーバを含むウォレットシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る決済サーバを含むウォレットシステムの各構成要素の詳細を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る決済サーバを含むウォレットシステムにおいて、ウォレットと決済方法との関係を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る決済サーバにおいて、ユーザ端末の操作・表示部に複数の決済方法を一覧表示させた一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る決済サーバにおいて、ユーザ端末の操作・表示部に貸し出し可能な車両の種別を一覧表示させた一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る決済サーバにおいて、ユーザ端末の操作・表示部に貸し出し可能な車両の種別を一覧表示させた一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る決済システム、決済プログラムおよび決済サーバについて、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
(ウォレットシステム)
本実施形態に係るウォレットシステムの構成について、
図1および
図2を参照しながら説明する。ウォレットシステムは、
図1に示すように、ウォレットサーバ1と、決済事業者サーバ2と、ユーザ端末3と、店舗端末4と、を有している。
【0013】
ウォレットサーバ1、決済事業者サーバ2、ユーザ端末3および店舗端末4は、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。
【0014】
(ウォレットサーバ)
ウォレットサーバ1は、複数の決済方法が登録されているウォレットシステムを統括的に管理するためのサーバであり、ウォレットシステムの管理者が管理している。このウォレットサーバ1は、レンタカーまたはカーシェア等のユーザに車両の貸し出しを行うシステムとしての機能を兼ね備えている。ただし、ウォレットサーバ1は、1つの決済方法が登録されている決済サーバであってもよい。ウォレットサーバ1は、
図2に示すように、制御部(第1のプロセッサ)11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。
【0015】
制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備えている。
【0016】
制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。
【0017】
通信部12は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部12は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信部12は、当該ネットワークNWに接続することにより、決済事業者サーバ2、ユーザ端末3および店舗端末4との間で通信を行う。
【0018】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。本実施形態に係る記憶部13には、ウォレットシステムのユーザごとの、ユーザ情報131、ウォレット情報132および決済情報133が格納されている。
【0019】
ユーザ情報131は、ウォレットシステムを利用するユーザに関する情報である。ユーザ情報131としては、例えばウォレットシステムの利用登録を行ったユーザのユーザID、パスワード、ユーザの氏名、ユーザの連絡先(例えば住所、電話番号、メールアドレス等)、利用登録履歴、登録された決済方法の情報、決済情報に基づくユーザの与信情報、決済方法に入金するために登録されている他の決済方法に関する情報、決済時の暗証番号等が挙げられる。なお、ユーザ情報131のうちのユーザIDおよびパスワードは、ウォレットサーバ1へのログイン等の認証処理に用いられる。
【0020】
ウォレット情報132は、ウォレットシステムのウォレットに関する情報である。ウォレットとは、クレジットカード、電子マネー等の各種決済方法を用いた仮想的な入出金を管理するアプリケーションである。ウォレット情報132としては、例えばユーザID、決済方法、電子マネーの残高、電子マネーの入金履歴、電子マネーの使用履歴等が挙げられる。
【0021】
決済情報133は、ウォレットシステムの決済に関する情報である。決済情報133としては、ユーザID、決済で利用した決済手段(例えば電子マネー支払い(非接触決済)、スキャン支払い、コード支払い等)、決済履歴等が挙げられる。
【0022】
(決済事業者サーバ)
決済事業者サーバ2は、ユーザの口座およびクレジットカードを管理するためのサーバであり、金融機関(例えば銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫等)およびクレジットカード会社に設けられている。決済事業者サーバ2は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、を備えている。制御部21、通信部22および記憶部23は、物理的には制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。
【0023】
記憶部23には、ウォレットシステムのユーザごとの、口座情報、クレジットカード情報、および与信情報が格納されている。口座情報としては、例えばユーザの氏名、口座番号、口座残高、入出金履歴等が挙げられる。また、クレジットカード情報としては、例えばユーザの氏名、クレジットカード番号、クレジットカードの有効期限、利用限度額、カード利用履歴等が挙げられる。また、与信情報としては、例えば口座残高や口座の入出金履歴、クレジットカードのランク(ゴールドやプラチナ、ブラック等)、クレジットカードの利用履歴等に基づいて定められたユーザの与信情報、与信情報に基づいて算出されるスコア等が挙げられる。
【0024】
(ユーザ端末)
ユーザ端末3は、ユーザが用いるコンピュータ端末である。ユーザ端末3としては、例えばユーザが所持するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、車両に搭載されたカーナビ等が挙げられる。ユーザ端末3は、ウォレットサーバ1と情報のやりとりが可能であれば、どのような端末であってもよい。
【0025】
ユーザ端末3は、制御部(第2のプロセッサ)31と、通信部32と、記憶部33と、近距離無線通信部34と、操作・表示部(ディスプレイ)35と、を備えている。制御部31、通信部32および記憶部33は、物理的には制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。制御部31は、プログラムの実行を通じて、表示制御部311、入金手段登録部312、決済方法登録部313、入金処理部314および決済処理部315として機能する。
【0026】
表示制御部311は、操作・表示部35における表示内容を制御する。表示制御部311は、ユーザの操作(タッチ操作、フリック操作等)に基づいて、操作・表示部35に、ユーザが会員登録を行う際の会員登録画面、ウォレットシステムにログインする際のログイン画面、ウォレットの電子マネーへの入金を行う際の入金画面、決済を行う際の決済方法選択画面35a(
図4参照)、対象施設を表示するための車両種別表示画面35b(
図5、
図6参照)等を表示する。また、表示制御部311は、ユーザの操作に基づいて、各画面を遷移させる。
【0027】
入金手段登録部312は、電子マネーを入金するための入金手段を登録する。入金手段登録部312は、具体的には、複数の事業者が運営する複数の異なる決済方法(例えば銀行口座、クレジットカード等)を、電子マネーへの入金手段として登録させるための入金手段登録要求を、ウォレットサーバ1に対して出力する。入金手段登録部312から入金手段登録要求を取得したウォレットサーバ1の制御部11は、当該入金手段登録要求に含まれる決済方法を、ユーザ情報131として記憶部13に格納することにより、入金手段として登録する。
【0028】
ここで、
図3は、ウォレットシステムにおけるウォレットと決済方法との関係を概略的に示した図である。「決済方法」とは、決済を行う際の支払い原資(ファンディングソース)のことを示している。ウォレットには、銀行口座による決済である「A Pay」、クレジットカードによる決済である「B Pay」、電子マネーによる決済である「C Pay」、「D Pay」等の複数の決済方法が登録されている。「A Pay」は、銀行口座から直接決済額が引き落とされる決済方法である。また、クレジットカード(「B Pay」)には、それぞれ銀行口座が紐付いており、各カードの利用額が、後日銀行口座から引き落とされる仕組みとなっている。また、電子マネー(「C Pay」)には、電子マネーに入金するための手段である銀行口座およびクレジットカード等の入金手段が紐付いており、電子マネーに入金することが可能である。また、電子マネー(「D Pay」)が、現金等で予め入金するプリペイド方式である場合、電子マネーに銀行口座およびクレジットカード等の入金手段が紐付いていなくてもよい。
【0029】
そして、これらの決済方法からユーザが選択した決済方法により、ユーザ端末3と店舗端末4との間で決済が行われる。具体的には、ユーザ端末3を店舗端末4にかざすことにより、ユーザ端末3の近距離無線通信部34と店舗端末4の近距離無線通信部44との間において、非接触で行われる決済や、店舗端末4に表示されるバーコードまたはQRコード(登録商標)をユーザ端末3のカメラ等で読み込むことにより行われる決済、ユーザ端末3に表示されるバーコードまたはQRコード(登録商標)を店舗端末4のコードリーダー等で読み込むことにより行われる決済等の決済手段が実行される。
【0030】
決済方法登録部313は、各種決済方法を登録する。決済方法登録部313は、決済方法を登録させるための決済方法登録要求を、ウォレットサーバ1に出力する。決済方法登録部313から決済方法登録要求を取得したウォレットサーバ1の制御部11は、当該決済方法登録要求に含まれる決済方法を、ユーザ情報131として記憶部13に格納することにより、決済方法として登録する。
【0031】
入金処理部314は、ウォレットの電子マネーに入金する。入金処理部314は、具体的には、入金手段として登録された決済方法によって、電子マネーに入金させるための入金要求をウォレットサーバ1に出力する。入金処理部314から入金要求を取得したウォレットサーバ1の制御部11は、入金要求に含まれる入金額情報に基づいて、ウォレット内の電子マネーの残高を増額させる。すなわち、制御部11は、ウォレット内の電子マネーの残高の増額分に応じて、記憶部13に格納されたウォレット情報132を更新する。
【0032】
決済処理部315は、ユーザにより選択された決済方法による決済を実行する。具体的には、決済処理部315は、決済手段として、近距離無線通信部34を通じて、決済要求を店舗端末4に出力する。また、決済処理部315は、決済手段として、店舗端末4に表示されるバーコードまたはQRコード(登録商標)をユーザ端末3のカメラ等で読み込むことにより、決済要求を店舗端末4に出力してもよい。また、決済処理部315は、決済手段として、ユーザ端末3に表示されるバーコードまたはQRコード(登録商標)を店舗端末4のコードリーダー等に読み込ませることにより、決済要求を店舗端末4に出力してもよい。なお、決済処理部315から店舗端末4に出力される決済要求には、決済額を示す情報(以下、「決済額情報」という)が含まれていてもよく、あるいは含まれていなくてもよい。
【0033】
続いて、決済処理部315は、銀行口座またはクレジットカードによる決済の場合、いずれかの決済手段を利用して決済させるための決済要求を、ウォレットサーバ1に出力する。決済処理部315から決済要求を取得したウォレットサーバ1の制御部11は、決済要求に含まれる決済額情報を、決済事業者サーバ2に出力する。
【0034】
また、決済処理部315は、電子マネーによる決済の場合、店舗端末4の制御部41は、決済額情報を含む決済要求を、ネットワークNWを介してウォレットサーバ1に出力する。店舗端末4から決済要求を取得したウォレットサーバ1の制御部11は、決済要求に含まれる決済額情報に基づいて、ウォレット内の電子マネーの残高を減額させる。すなわち、制御部11は、ウォレット内の電子マネーの残高の減額分に応じて、記憶部13に格納されたウォレット情報132および決済情報133を更新する。
【0035】
記憶部33には、表示制御部311が操作・表示部35に表示させる各種画面のデータが格納されている。また、記憶部33には、必要に応じて、ユーザ情報131、ウォレット情報132および決済情報133等が一時的に格納される。
【0036】
近距離無線通信部34は、例えばNFC(Near Field Communication)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、IrDA(Infrared Data Association)等の規格に準拠した通信機能を有している。ユーザ端末3は、例えば電子マネーによる決済を行う際に、近距離無線通信部34を通じて、店舗端末4と近距離無線通信を行う。
【0037】
操作・表示部35は、例えばタッチパネルディスプレイにより構成されており、ユーザの指またはペン等による操作を受け付ける入力機能と、表示制御部311の制御に基づいて各種情報を表示する表示機能と、を有している。
【0038】
(店舗端末)
店舗端末4は、例えばウォレットシステムを利用可能な店舗(加盟店)に設けられている。ただし、店舗端末4は、インターネット上に開設されている仮想的な店舗(いわゆる、Electronic Commerce サイト)として機能するサーバであってもよい。店舗端末4は、制御部41と、通信部42と、記憶部43と、近距離無線通信部44と、を備えている。制御部41、通信部42、記憶部43および近距離無線通信部44は、物理的には制御部11、通信部12、記憶部13および近距離無線通信部34と同様である。
【0039】
以下、本実施形態に係るウォレットサーバ1を含むウォレットシステムにおいて、表示制御部311が操作・表示部35に対して行う表示制御について、
図4~
図6を参照しながら説明する。
【0040】
(決済画面の表示制御)
図4は、表示制御部311が操作・表示部35に表示させる決済方法選択画面35aの一例を示している。同図では、決済方法として「A Pay」、「B Pay」、「C Pay」、および「D Pay」が登録されている場合の決済方法選択画面35aを、一例として示している。決済方法選択画面35aには、具体的には、一覧表示されている決済アイコン351~354と、メニュー切替領域355と、が含まれる。決済方法選択画面35aは、例えばウォレットのアプリケーションを開いた際に表示される画面である。
【0041】
決済アイコン351~354は、決済方法を表示する領域であり、表示した決済方法を選択するための要求を受け付ける。表示制御部311は、決済アイコン351において、ユーザ端末3で利用可能な決済方法の名称を示す決済名称351aと、当該決済方法による決済を行う旨を明示した決済フレーズ351bと、各決済方法に関する付加情報が表示される決済情報領域351cとを表示させる。
【0042】
具体的には、決済アイコン351において、決済名称351aとして「A Pay」の名称を含む標章(ロゴマークまたはアクセプタンスマーク等)が表示され、決済フレーズ351bとして「A Payで支払う」という文字が表示され、決済情報領域351cとして「A Pay」に関するサービスとしてキャンペーンの情報が表示されている。決済アイコン352~354にも、決済方法の名称、決済方法を示す標章、決済フレーズ、および付加情報等が表示されているが機能的には決済アイコン351と同様である。
【0043】
ここで、
図4において、ユーザによって「A Pay」~「D Pay」のいずれかの決済アイコン(決済アイコン351~354)を選択して操作入力が行われたとする。すると、制御部11は、ウォレットシステムに登録されている複数の決済方法(「A Pay」~「D Pay」)の与信情報に基づいて設定した車両を貸し出す条件をディスプレイ上に表示させる。車両を貸し出す条件は、例えば与信情報に基づいて設定した貸し出し可能な車両の種別である。この車両の種別は、例えばユーザが入力した「A Pay」~「D Pay」のいずれかの決済方法の与信情報に基づいて設定される。
【0044】
図5、
図6は、表示制御部311が操作・表示部35に表示させる車両種別表示画面35bの一例を示している。
図5では、車両種別表示領域356に車両種別として、コンパクトカータイプの車両を表す「コンパクト」、セダンタイプの車両を表す「セダン」、プレミアムカー(高級車)タイプの車両を表す「プレミアム」の3種類が表示されている。そして、種別選択ボタン356a~356cを選択すると、それぞれ「コンパクト」、「セダン」、または「プレミアム」の種別に含まれる車両の貸し出しを申し込む画面に遷移する。
【0045】
一方、
図6では、車両種別表示領域356に車両種別として、コンパクトカータイプの車両を表す「コンパクト」、セダンタイプの車両を表す「セダン」の2種類が表示されている。ここで、
図6は、
図5よりも与信情報に基づいて判定される与信が低い決済方法が選択された場合の車両種別表示画面35bであり、与信が低い場合、利用可能な車両の種別が制限されるため、プレミアムカーの貸し出しを受けることができない。換言すると、
図4において、与信の高い決済方法が選択されると、与信に応じて多数の利用可能な車両が表示され、与信の低い決済方法が選択されると、与信に応じて制限された少数の利用可能な車両の種別が表示される。その結果、ユーザは、選択した「A Pay」~「D Pay」のいずれかの決済方法の与信情報に基づいて貸し出しを受けることができる車両の種別を容易に認識することができ、複数の決済方法を利用可能なウォレットシステムの利便性を向上させることができる。また、ウォレットサーバ1の管理者は、決済方法の与信情報に応じて車両を貸し出すことができるので、与信に応じて信頼性の高いユーザにプレミアムカー等の高級な車両を貸し出すことができる。
【0046】
また、制御部11は、複数の決済方法の与信情報のうち、条件がユーザに最も有利な決済方法をディスプレイ上に表示させてもよい。具体的には、制御部11は、ウォレットシステムに登録されている複数の決済方法(「A Pay」~「D Pay」)の与信情報に基づいてそれぞれの決済方法により貸し出し可能な車両の種別を判定し、どの決済方法を選択するとより多くの車両の種別から車両を選択することができるかをディスプレイ上に表示させてもよい。その結果、ユーザは、より有利な条件で車両の貸し出しを受けることができ、複数の決済方法を利用可能なウォレットシステムの利便性を向上させることができる。
【0047】
また、制御部11は、複数の決済情報の与信情報に基づいてそれぞれ算出されるスコアの統計値に基づいて設定される条件をディスプレイ上に表示させてもよい。具体的には、制御部11は、ウォレットシステムに登録されている複数の決済方法(「A Pay」~「D Pay」)の与信情報に基づいてそれぞれ算出されるスコア(与信を数値化した値、ここでは数値が高いほど与信が高いものとする)の統計値(平均値、最大値、最小値、最頻値等)に基づいて設定される条件をディスプレイ上に表示させる。例えば、スコアの最大値に基づいて設定される条件をディスプレイ上に表示させる場合、ユーザは、最も有利な条件で車両の貸し出しを受けることができる。また、例えば、スコアの平均値または最頻値に基づいて設定される条件をディスプレイ上に表示させる場合、ウォレットサーバ1の管理者は、複数の決済情報の与信情報に基づいた総合的な判断により、ユーザに適切な種別の車両を提示することができる。また、スコアの最小値に基づいて設定される条件をディスプレイ上に表示させる場合、ウォレットサーバ1の管理者は、複数の決済情報の与信情報に基づいて、より信頼性の高いユーザにプレミアムカー等の高級な車両を貸し出すことができる。
【0048】
また、ウォレットサーバ1の制御部11は、車両のドアロックを解除するための認証情報をユーザ端末3に出力し、ユーザ端末3は、ウォレットサーバ1から取得した認証情報を車両に出力してもよい。そして、車両は、ユーザ端末3から取得した認証情報が適切な認証情報であるか否かを判定し、認証情報が適切な認証情報であると判定した場合、この車両のドアロックを解除する。なお、車両は、予め車両の記憶部に記憶されている情報に基づいて、認証情報が適切であるか否かを判定してもよいし、ウォレットサーバ1から取得した認証情報とユーザ端末3から取得した認証情報とが適合するか否かにより認証情報が適切であるか否かを判定してもよい。その結果、ユーザは、車両の種別の選択から車両のドアロックの解除までをこのウォレットシステムにより一貫して(ワンストップで)行うことができ、複数の決済方法を利用可能なウォレットシステムの利便性を向上させることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る決済システム、決済プログラムおよび決済サーバによれば、複数の決済方法を利用可能なウォレットシステムの利便性を向上させることができる。なお、1つの決済方法を利用可能な決済サーバにおいても、その決済方法の与信情報に基づいて設定した車両を貸し出す条件をディスプレイ上に表示させることにより、決済システムの利便性を向上させることができる。
【0050】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0051】
なお、車両を貸し出す条件は、与信情報に基づいて設定した車両の貸し出しに関する料金であってもよい。具体的には、選択された決済情報の与信情報により判定された与信が高い場合、料金の優遇を受けることができ、安価で車両の貸し出しを受けることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ウォレットサーバ
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
131 ユーザ情報
132 ウォレット情報
133 決済情報
2 決済事業者サーバ
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
3 ユーザ端末
31 制御部
311 表示制御部
312 入金手段登録部
313 決済方法登録部
314 入金処理部
315 決済処理部
32 通信部
33 記憶部
34 近距離無線通信部
35 操作・表示部
35a 決済方法選択画面
35b 車両種別表示画面
351~354 決済アイコン
351a 決済名称
351b 決済フレーズ
351c 決済情報領域
355 メニュー切替領域
356 車両種別表示領域
356a~356c 種別選択ボタン
4 店舗端末
41 制御部
42 通信部
43 記憶部
44 近距離無線通信部
NW ネットワーク