(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】操作入力装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04886 20220101AFI20240806BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240806BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240806BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G06F3/04886
G06F3/01 560
G06F3/041 480
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2020097397
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-03-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船川 尚孝
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-155630(JP,A)
【文献】国際公開第2014/006797(WO,A1)
【文献】特開平09-237175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/041
G06F 3/048-3/04895
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
据え置き型機器である装置本体に取り付けられ、表示された操作キーへのユーザのタッチによる操作入力を受け付ける操作パネル部と、
前記操作パネル部のいずれか1つの
箇所の隅の近傍に取り付けられ、前記操作パネル部を少なくとも1方向に振動させる
、1個の振動素子と、
前記操作パネル部における操作入力の受け付け状況に応じて、前記
1個の振動素子による振動を実行させる振動制御部と、を備え、
前記操作パネル部は、前記
1個の振動素子が配置された隅と接する辺に沿って、表示画面をスクロールすることを指示する操作箇所を配置
し、
前記操作パネル部を前記1個の振動素子のみで振動させるようにした
操作入力装置。
【請求項2】
前記表示画面をスクロールすることを指示する操作箇所は、前記1個の振動素子が配置された隅と接する2つの辺に配置され、
さらに、前記操作パネル部は、前記隅に近い領域に、前記操作キーを配置した
請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
据え置き型機器である画像形成装置であり、
印刷媒体に画像形成処理を行う画像形成部と、
操作キーを表示して、ユーザによる前記画像形成処理に関連した前記操作キーのタッチによる操作入力を受け付ける操作パネル部と、
前記操作パネル部のいずれか1つの
箇所の隅の近傍に取り付けられ、前記操作パネル部を少なくとも1方向に振動させる
、1個の振動素子と、
前記操作パネル部での操作入力の受け付け状況に応じて、前記
1個の振動素子による振動を実行させる振動制御部と、を備え、
前記操作パネル部は、前記
1個の振動素子が配置された隅と接する辺に沿って、表示画面をスクロールすることを指示する操作箇所を配置
し、
前記操作パネル部を前記1個の振動素子のみで振動させるようにした
画像形成装置。
【請求項4】
前記表示画面をスクロールすることを指示する操作箇所は、前記1個の振動素子が配置された隅と接する2つの辺に配置され、
さらに、前記操作パネル部は、前記隅に近い領域に、前記操作キーを配置した
請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力装置および画像形成装置に関し、特に装置の操作部などの一部を振動させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンなどの携帯端末において、タッチパネルなどへの操作の応答として、振動による通知を行うものが各種実用化されている。すなわち、携帯端末内にバイブレータと称される振動素子を内蔵させ、タッチパネルでタッチを検出したときの応答として、予め設定された時間、振動素子により携帯端末を振動させて、携帯端末を所持したユーザに振動で操作応答を行うことが行われている。
【0003】
スマートフォンなどの携帯端末の場合、操作時にはユーザが携帯端末を持っているため、振動素子による振動が直接手に伝わる。したがって、振動素子で振動させる箇所は、タッチパネル状の押下位置と関係なく、持っている手に均一に振動が伝わればよく、一般には端末の裏面が強く振動する構成になっている。
【0004】
特許文献1には、タッチパネルを備える触感提示装置において、タッチパネルを複数の領域に分割して、各領域を異なる振動強度で駆動させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、デジタル複合機などの据え置き型の機器においても、タッチパネルを搭載したものが普及しており、このような据え置き型の機器の場合にも、タッチパネルへのタッチ時に、振動部材によりユーザに対して操作応答を行うことが提案されている。
ところが、デジタル複合機などの据え置き型の機器の場合、携帯端末のように端末を持った手に振動を伝える場合とは指への振動の伝わり方が異なり、タッチパネルに触れた指だけを振動させるため、適切な強度で振動応答を行うのが困難であった。
【0007】
すなわち、タッチパネル自身を振動させて、タッチ操作したユーザに対して振動応答を行う場合、タッチした指に適切に振動が伝わらないと、振動状況によっては指に振動が伝わり難い状況が発生してしまう。
【0008】
また、デジタル複合機などの据え置き型の機器は、機器内に様々な部品が高密度で配置されており、タッチパネルを振動させる上で、必ずしも最適な位置に、適切なサイズの振動素子を設置できない場合もある。すなわち、指に振動を強く伝えるためには、振動させる力が強い比較的大型の振動素子を配置する必要があるが、機器内の各機器の配置状況から、大型の振動素子を配置するのが困難な場合がある。
そのような場合には、さらにタッチパネルの振動状態が良好でなくなってしまう。
【0009】
特許文献1には、タッチパネルの振動強度を、パネルの領域によって変化させる技術が記載されているが、据え置き型の機器の場合、振動素子のサイズや配置状況によって、タッチパネルの振動強度を適切に制御することは非常に難しい。したがって、特許文献1に記載されるように、振動強度を領域によって複数段階に適切に制御することは、現実的には困難であった。
【0010】
本発明は、振動素子として駆動能力が小さいものを使用した場合であっても、操作パネルをタッチ操作した際に、ユーザに適切な振動による応答を提示することができる操作入力装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の操作入力装置は、据え置き型機器である装置本体に取り付けられ、表示された操作キーへのユーザのタッチによる操作入力を受け付ける操作パネル部と、操作パネル部のいずれか1つの箇所の隅の近傍に取り付けられ、操作パネル部を少なくとも1方向に振動させる、1個の振動素子と、操作パネル部での操作入力の受け付け状況に応じて、1個の振動素子による振動を実行させる振動制御部とを備える。
ここで、操作パネル部は、1個の振動素子が配置された隅と接する辺に沿って、表示画面をスクロールすることを指示する操作箇所を配置し、操作パネル部を1個の振動素子のみで振動させるようにした。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、据え置き型機器である画像形成装置であり、印刷媒体に画像形成処理を行う画像形成部と、操作キーを表示して、ユーザによる画像形成処理に関連した操作キーのタッチによる操作入力を受け付ける操作パネル部と、操作パネル部のいずれか1つの箇所の隅の近傍に取り付けられ、操作パネル部を少なくとも1方向に振動させる、1個の振動素子と、操作パネル部での操作入力の受け付け状況に応じて、1個の振動素子による振動を実行させる振動制御部とを備える。
ここで、操作パネル部は、1個の振動素子が配置された隅と接する辺に沿って、表示画面をスクロールすることを指示する操作箇所を配置し、操作パネル部を1個の振動素子のみで振動させるようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、振動素子の位置と操作パネル部に表示するキー位置とを関連付けて配置することで、例えば駆動能力の小さな振動素子を使用した場合であっても、振動応答を伝えたい特定の操作キーに、確実に振動応答を伝えられるようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態例による画像形成装置の例を示す構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態例による画像形成装置の制御構成の例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態例による操作部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態例による振動制御部の制御例を示すフローチャートである。
【
図5】操作パネル部に振動素子を取り付けた構造の例(中央に取り付けた例)を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す構造での操作パネル部の振動状況の例を示す上面図である。
【
図7】
図5に示す構成とした場合の操作パネル部の各部での振動量の減衰状況の例を示す断面図である。
【
図8】振動素子のサイズと振動量との関係の例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態例による操作パネル部の例を示す断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態例による操作パネル部の振動状況の例を示す上面図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態例による操作パネル部の操作キー配置例を示す上面図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態例による操作パネル部の操作キー配置例を示す上面図である。
【
図13】本発明の第3の実施の形態例による操作パネル部の操作キー配置例を示す上面図である。
【
図14】本発明の第4の実施の形態例による操作パネル部の操作キー配置例を示す上面図である。
【
図15】本発明の第5の実施の形態例による操作パネル部の操作キー配置例を示す上面図である。
【
図16】本発明の第6の実施の形態例による操作パネル部の操作キー配置例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態例を、図面を参照して順に説明する。以下に説明する各実施の形態例において、共通する箇所には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
【0016】
[第1の実施の形態例]
本発明の第1の実施の形態例を、
図1~
図11を参照して説明する。
図1は、本実施の形態例の画像形成装置100の例を示す。
本実施の形態例の画像形成装置100は、MFP(MultiFunction Peripheral)と称されるデジタル複合機である。
【0017】
画像形成装置100は、用紙カセット101、画像形成部102、用紙排出部103、原稿読取部104、および操作パネル部110を備える。
画像形成部102は、原稿読取部104が読み取った原稿または外部から伝送された原稿の画像を、用紙カセット101から搬送された用紙の表面または裏面に形成する画像形成処理を行う。
画像形成部102で画像が形成された用紙は、用紙排出部103から排出される。
【0018】
操作パネル部110は、画像形成処理に関する各種設定や、画像形成の開始指示などを行う操作部である。この操作パネル部110は、各種操作ボタンなどを表示する液晶表示パネルと、パネル表面のタッチを検出するタッチパネルとを備える。液晶表示パネルは、例えば縦10センチ×横20センチ程度の比較的大型のサイズである。
また、本実施の形態例の操作パネル部110は、操作応答としてパネル自身が振動を行う機能を備える。この振動を行う機能の詳細については後述する。
【0019】
図2は、画像形成装置100の制御部120の構成例を示す。画像形成装置100による画像形成処理は、画像形成装置100に内蔵された制御部120の制御下で実行される。
制御部120は、中央演算処理部(以下「CPU」と称する)121、描画部122、画像処理部124、画像出力部125、および照明制御部126を備える。また、制御部120は、ROM127、RAM128、ハードディスクドライブ(以下「HDD」と称する)129、およびネットワークインターフェース130を備える。
【0020】
CPU121は、接続されたROM127、RAM128、またはHDD129から、制御に必要なプログラムやデータを読み出し、画像形成のための制御処理を実行する。読み出したプログラムの実行で、CPU121には、制御処理機能を実行する制御処理部121aが形成される。また、読み出したプログラムの実行で、CPU121には、画像形成装置100の各部の状態を判別する判別機能を実行する判別処理部121bが形成される。
ROM127やRAM128は、データの一時保存に利用され、HDD129は、主として画像データ(原稿データ)の保存に利用される。
CPU121に接続されたネットワークインターフェース130は、外部から原稿データなどを受信する。また、画像形成装置100の動作状況を監視する監視部署との通信も、ネットワークインターフェース130を介して行われる。
【0021】
CPU121は、原稿読取部104が読み取った原稿、またはネットワークインターフェース130が受信した原稿についての画像形成処理を行う。ここで、CPU121には画像処理部124が接続され、原稿データから得た画像の補正処理や加工処理が、画像処理部124で実行される。そして、画像処理部124で処理が行われた画像データが、画像出力部125から出力され、画像形成部102(
図1)で画像形成が実行される。
【0022】
また、CPU121には、描画部122が接続されている。描画部122は、CPU121からの指示に基づいて、操作パネル部110に表示させる操作画面を描画する。操作パネル部110は、描画部122が描画した操作画面を表示する。
さらに、CPU121には、照明制御部126が接続されている。照明制御部126は、CPU121からの指示に基づいて、操作パネル部110の画面の照明を制御する。
【0023】
図3は、操作パネル部110の制御構成を示す。
操作パネル部110は、CPU111とタッチパネル118と液晶表示パネル119とを備える。タッチパネル118は、液晶表示パネル119の表示画面の表面のタッチを検出する。CPU111は、タッチパネル118でのタッチ検出と液晶表示パネル119での表示を制御する。
【0024】
CPU111は、タッチパネル118のタッチされた座標位置を判断する座標判断部111aと、液晶表示パネル119の表示を制御する表示制御部111bを備える。表示制御部111bは、画像形成装置100の制御部120が備える描画部122(
図2)から供給される画像データに基づいて、液晶表示パネル119での表示を制御する。
【0025】
また、操作パネル部110は、ブザー部113と振動素子115とを備える。
ブザー部113は、ブザー制御部112の制御により、警告音などの各種音の出力を行う。出力される音の種類や音量補正などは、記憶部116に記憶されたデータに基づいて設定される。ブザー制御部112は、CPU111からの指示に基づいて、警告音などの出力を制御する。
【0026】
振動素子115は、振動制御部114の制御により、タッチパネル118と液晶表示パネル119を振動させる。タッチパネル118と液晶表示パネル119を振動させる種類や振動補正量などのデータは、記憶部116に記憶されている。振動制御部114は、CPU111からの指示に基づいて、記憶部116に記憶されたデータを読み出しながら、振動状態を制御する。
なお、
図3に示す構成では、CPU111と振動制御部114とを分けるようにしたが、CPU111が振動制御部114としての機能を備えるようにして、CPU111が振動素子115を直接制御する構成にしてもよい。
【0027】
図4は、操作パネル部110のCPU111が、振動素子115を振動させる処理の一例を示すフローチャートである。
まず、CPU111は、タッチパネル118が押下されたか否かのタッチ検出を行う(ステップS100)。ここでは、例えばタッチパネル118からの割り込み信号をCPU111が検出して、押下の有りの判断を行う。
ここで、タッチがない場合には(ステップS100のNo)、振動させるための処理を何も実行せず、ステップS100でタッチ有りが検出されるまでこの判断処理を繰り返す。
【0028】
そして、ステップS100でタッチ有りを検出した場合には(ステップS100のYes)、CPU111は、押下があったタッチパネル118上の位置を取得する(ステップS101)。さらに、ステップS101で取得した押下位置(タッチ位置)が、液晶表示パネル119が表示した何れかの操作キーの領域か否かを判断する(ステップS102)。
ここで、操作キーの領域の押下でない場合には(ステップS102のNo)、CPU111はステップS100の判断に戻り、新たな押下があれば、同じ処理を繰り返し実行する。
【0029】
また、ステップS102で操作キーの領域の押下である場合には(ステップS102のYes)、CPU111は、振動制御部114に対して振動処理の実行を指示し(ステップS103)、ステップS100の判断に戻り、新たな押下があれば、同じ処理を繰り返し実行する。
【0030】
ステップS103での振動処理の指示を受信した振動制御部114は、振動素子115を短時間振動させる。例えば、振動制御部114は、振動素子115を20msから100ms程度の間の短時間だけ、振動させる。
振動素子115による短時間の振動が行われることで、液晶表示パネル119に表示された操作キーの箇所のタッチパネル118の押下があると、その押下の応答が振動で行われる。
なお、タッチパネル118の押下は、操作を行うユーザの指により行われる押下と、予め用意されたタッチペンによる押下のいずれでもよい。
【0031】
次に、本実施の形態例による画像形成装置100の操作パネル部110において、振動素子115がタッチパネル118と液晶表示パネル119を振動させる構成を説明する。
まず、本実施の形態例の構成を説明する前に、振動素子115をタッチパネル118のほぼ中央に配置した場合の構成と、その構成による振動状態を、
図5~
図8を参照して説明する。
【0032】
図5は、振動素子115をタッチパネル118のほぼ中央に配置した場合の操作パネル部110の断面図である。
操作パネル部110のタッチパネル118と液晶表示パネル119は、操作パネル保持フレーム108の上に配置される。この操作パネル保持フレーム108は、振動吸収部材107を介して、画像形成装置100の筐体の操作パネル取付部106に設置される。
振動吸収部材107は、ゴム、バネ、ダンパーなどで構成され、操作パネル保持フレーム108の四隅などに配置される。
【0033】
操作パネル保持フレーム108の裏面側のほぼ中央には、振動素子115が取り付けられる。振動素子115は、駆動信号の印加で、操作パネル保持フレーム108とタッチパネル118と液晶表示パネル119とを、少なくとも一方向に振動させる。振動素子115としては、例えばウェイトがモータの回転軸に偏心した状態で取り付けられた振動モータが使用される。
【0034】
図6は、操作パネル保持フレーム108の表面から振動素子115の取付状態を見た図である。操作パネル保持フレーム108には、タッチパネル118と液晶表示パネル119とが取り付けられ、これらの保持フレーム108とタッチパネル118と液晶表示パネル119とが、振動素子115により振動する振動部材になる。
ここでは、例えば振動素子115は、水平方向(
図6での左右方向)への振動が多く発生するように配置されているとする。
【0035】
図6に示すように、ほぼ中央に振動素子115を配置したことで、振動素子115は、水平方向(左右方向)に伝わる振動M
aを発生させる。このとき、操作パネル保持フレーム108に取り付けられたタッチパネル118および液晶表示パネル119には、全ての領域でほぼ同じ振れ幅での振動M
1が生じる。
図6に矢印で示す振動M
1は、振動素子115による水平方向のパネル上の各部の動き幅を示す。
ここで、振動素子115として、十分に大きな振動を発生させる駆動力が強い大型のものを使用すると、振動素子115の振動M
aで、タッチパネル118の全ての箇所で同じ振れ幅の振動M
1が発生する。
【0036】
ところが、実際には、タッチパネル118や液晶表示パネル119を比較的大型とし、かつ振動素子115の駆動力が十分でない場合が多い。このような場合には、各部で同じ振れ幅の振動M
1は発生しない。すなわち、
図7に示すように、タッチパネル118や液晶表示パネル119、並びにこれらを保持する操作パネル保持フレーム108の各部が、振動量を減衰させる抵抗Rとして機能し、振動素子115で振動を発生させても、タッチパネル118全体に均一な振動が発生しない。
【0037】
具体的には、例えば
図8(a)に示すように、タッチパネル118のほぼ中央に、駆動力が強い大型の振動素子115aを配置したとする。このとき、振動素子115aによってタッチパネル118を振動させると、タッチパネル118の中央の領域は、振動素子115aによる大きな振動量から若干低下した中程度の振動量になる。また、タッチパネル118の周辺の領域は、より小さな振動量になる。
【0038】
また、
図8(b)に示すように、タッチパネル118のほぼ中央に、駆動力が若干弱い中程度のサイズの振動素子115bを配置したとする。このとき、振動素子115bによってタッチパネル118を振動させると、タッチパネル118の中央の領域は、振動素子115aによる中程度の振動量からさらに低下した小さな振動量になる。また、タッチパネル118の周辺の領域は、さらに振動量が弱い非常に小さな振動量になる。
【0039】
このように、取り付けることが可能な振動素子115bのサイズや能力に制約がある場合、タッチ時の振動による応答を行う際に、タッチパネル118の領域によって、振動状態にばらつきが発生する。
本実施の形態例の場合には、以下に説明するように、タッチパネル118に操作キーを適切に配置して、適切にユーザの指に振動が伝わるようにした。
【0040】
次に、
図9~
図11を参照して、本実施の形態例による画像形成装置100の操作パネル部110の構成を説明する。
図9は、本実施の形態例による操作パネル部110の例を示す断面図である。
タッチパネル118と液晶表示パネル119は、操作パネル保持フレーム108により保持される。ここで、タッチパネル118には、そのタッチパネル118の端面に接するように、振動素子115cが取り付けられる。振動素子115cは、比較的振動量が弱い素子でよい。
【0041】
この
図9に示すように、タッチパネル118の端面に振動素子115cを取り付けた場合、振動素子115cを取り付けた端面に近い領域のタッチパネル118は、振動素子115cからの振動がほぼ減衰せずに、比較的強く振動する。一方、振動素子115cを取り付けた端面から離れた領域のタッチパネル118は、振動素子115cからの振動が減衰して、弱く振動する。
【0042】
図10は、具体的な振動素子115d,115eの取り付け位置と、タッチパネル118の各領域での振動素子115d,115eによる振動状態の例を示す。
図10(a)は、タッチパネル118および液晶表示パネル119の下側の中央の端面に、駆動力が若干弱い中程度のサイズの振動素子115dを配置した例を示す。
この
図10(a)の例の場合、振動素子115dからの距離が最も近い第1領域A
11が、最も大きく振動する[振動量(大)]の範囲になる。また、振動素子115dからの距離が若干離れた第2領域A
12が、中程度の振動量で振動する[振動量(中)]の範囲になる。さらに、振動素子115dからの距離が最も離れた第3領域A
13が、最も弱い振動量で振動する[振動量(小)]の範囲になる。これらの第1領域A
11,第2領域A
12,第3領域A
13は、
図10(a)に示すように、振動素子115dからの直線距離によってほぼ同心円状に配置される。
【0043】
図10(b)は、タッチパネル118および液晶表示パネル119の下側の中央の端面に、駆動力が小さなサイズの振動素子115eを配置した例を示す。
図10(b)の例の場合、振動素子115eからの距離が最も近い第1領域A
11′が、中程度の振動量で振動する[振動量(中)]の範囲になる。また、振動素子115eからの距離が若干離れた第2領域A
12′が、小さな振動量で振動する[振動量(小)]の範囲になる。さらに、振動素子115eからの距離が最も離れた第3領域A
13′が、微弱な振動量で振動する[振動量(微)]の範囲になる。
図10(b)の場合にも、第1領域A
11′,第2領域A
12′,第3領域A
13′は、振動素子115eからの直線距離によってほぼ同心円状に配置される。
【0044】
図11は、このような振動素子115d(または115e)を操作パネル部110に取り付けた場合における、液晶表示パネル119が表示する操作キーの配置例を示す。
図11の例は、液晶表示パネル119が9個の操作キーK1~K9を表示した例を示す。
この例では、液晶表示パネル119は、第1領域A
11に6個の操作キーK1~K6を比較的短い間隔で配置して表示する。また、液晶表示パネル119は、操作キーK1~K6とは比較的長い間隔をおいて、第2領域A
12に3個の操作キーK7~K9を配置して表示する。
【0045】
振動素子115d(または115e)は、これらの9個の操作キーK1~K9が表示された領域をタッチされたことをタッチパネル118が検出したとき、短時間振動を発生させ、振動による応答をユーザの指に伝える。
9個の操作キーK1~K9の内で、第1領域A
11に配置した6個の操作キーK1~K6は、比較的操作頻度が高いキーとし、第2領域A
12に配置した3個の操作キーK7~K9は、比較的操作頻度が低いキーとする。
なお、
図11の例では、第3領域A
13には、操作キーは配置されていない。
【0046】
図11に示すように操作キーを配置したことで、駆動力が中程度の振動素子115dを使用した場合でも、第1領域A
11の6個の操作キーK1~K6がタッチされたときには、比較的強い振動量の振動応答を、ユーザの指に伝えることができる。また、第2領域A
12の3個の操作キーK7~K9がタッチされたときには、操作キーK1~K6をタッチした際よりも若干弱い振動量の振動応答を、ユーザの指に伝えることができる。
ここで、第1領域A
11の6個の操作キーK1~K6については、狭い間隔で配置されているため、ユーザがタッチする際に、複数の操作キーを短時間に連続してタッチするような操作形態が考えられる。操作キーK1~K6は、そのような操作形態であっても、比較的強い振動量の振動応答で、1つ1つの操作キーがタッチされる毎に、ユーザの指に確実に振動応答を伝えることができる。
【0047】
一方、第2領域A12の3個の操作キーK7~K9については、広い間隔で配置されているため、ユーザがタッチする際に、1つ1つの操作キーの操作のタッチに比較的時間をかける操作形態が考えられる。この第2領域A12の操作キーK7~K9は、操作キーK1~K6よりも弱い振動量の振動応答になる。しかし、第2領域A12の操作キーK7~K9は、比較的時間をかける操作形態であるため、弱い振動量の振動応答であっても、ユーザの指に確実に振動応答を伝えることができる。
また、操作キーK1~K6は比較的操作頻度が高いキーであり、操作キーK7~K9は比較的操作頻度が少ないキーであるため、この点からもユーザの指に適切に振動応答が伝わる可能性が高く、良好に振動応答をユーザの指に伝えることができる。
【0048】
したがって、本実施の形態例の操作パネル部110は、取り付けられた振動素子115d(または115e)として、駆動力が中程度または小程度であっても、それぞれの領域ごとに適切かつ良好に、振動応答をユーザの指に伝えることができる。
【0049】
[第2の実施の形態例]
本発明の第2の実施の形態例を、
図12を参照して説明する。本実施の形態例において、画像形成装置100の全体構成については、第1の実施の形態例で
図1~
図4で説明した構成が適用される。本実施の形態例においては、画像形成装置100の操作パネル部110の操作キーの配置が、第1の実施の形態例とは相違する。
【0050】
図12は、本実施の形態例の画像形成装置100の操作パネル部110の構成例を示す。
本実施の形態例においても、
図12に示すように、操作パネル部110は、タッチパネル118の下側の端面のほぼ中央に、振動素子115d(または115e)を取り付ける。
【0051】
したがって、この振動素子115d(または115e)の取り付け位置を中心にして、同心円状に第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13が形成される。そして、第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13は、振動素子115d(または115e)から離れるにしたがって徐々に振動量が低下する。以上の点は、第1の実施の形態例と同じである。
【0052】
そして、本実施の形態例では、液晶表示パネル119が表示する操作キーとして、
図12に示すように、第1領域A
11に設定した操作領域a1に、6個の操作キーK11~K16を配置する。また、第2領域A
12に設定した非操作領域a2には、操作キーを配置しない。この非操作領域a2には、例えば液晶表示パネル119が画像形成装置100の動作モードや機器の状態を示す案内メッセージなどの各種案内表示が行われる。
【0053】
図12に示すように操作キーを配置したことで、操作キーK11~K16は、全て第1領域A
11内に配置されているため、振動素子115d(または115e)による応答振動が、それなりに強い振動量で操作キーK11~K16に伝わるので、良好に振動応答をユーザの指に伝えることができる。
【0054】
[第3の実施の形態例]
本発明の第3の実施の形態例を、
図13を参照して説明する。本実施の形態例において、画像形成装置100の全体構成については、第1の実施の形態例で
図1~
図4で説明した構成が適用される。本実施の形態例においても、画像形成装置100の操作パネル部110の操作キーの配置が、第1の実施の形態例とは相違する。
【0055】
図13は、本実施の形態例の画像形成装置100の操作パネル部110の構成例を示す。
本実施の形態例においても、
図13に示すように、操作パネル部110には、タッチパネル118の下側の端面のほぼ中央に、振動素子115d(または115e)が取り付けられている。
【0056】
したがって、本実施の形態例の場合にも、振動素子115d(または115e)の取り付け位置を中心にして、同心円状に第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13が形成される。そして、第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13は、振動素子115d(または115e)から離れるにしたがって徐々に振動量が低下する。
【0057】
本実施の形態例では、液晶表示パネル119が表示する操作キーとして、
図13に示すように、第1領域A
11に、サイズの小さい操作キーK21~K28が配置され、第2領域A
12に、サイズの大きき操作キーK31~K26が配置される。
【0058】
この
図13に示すように操作キーを配置したことで、サイズの小さい操作キーK21~K28は、第1領域A
11内に配置されているため、振動素子115d(または115e)による応答振動が、それなりに強い振動量で操作キーK21~K28に伝わるので、良好に振動応答をユーザの指に伝えることができる。
一方、サイズが大きい操作キーK31~K36は、第2領域A
12内に配置されているため、操作キーK21~K28に比べて振動応答時の振動量が小さくなる。
【0059】
ここで、サイズの小さい操作キーK21~K28は、サイズが大きい操作キーよりも、ユーザによる押し間違いなどの操作ミスが発生する可能性が高い。しかし、操作キーK21~K28は、振動素子115d(または115e)に近い第1領域A
11内に配置されているため、比較的強い振動応答が行われることになる。そのため、
図13に示す操作キーの配置は、操作ミスを起こしやすい操作キーに対して配慮した適切な振動応答ができる配置になっている。
【0060】
[第4の実施の形態例]
本発明の第4の実施の形態例を、
図14を参照して説明する。本実施の形態例において、画像形成装置100の全体構成については、第1の実施の形態例で
図1~
図4で説明した構成が適用される。本実施の形態例においても、画像形成装置100の操作パネル部110の操作キーの配置が、第1の実施の形態例とは相違する。
【0061】
図14は、本実施の形態例の画像形成装置100の操作パネル部110の構成例を示す。
本実施の形態例においても、
図14に示すように、操作パネル部110は、タッチパネル118の下側の端面のほぼ中央に、振動素子115d(または115e)が取り付けられている。
【0062】
したがって、本実施の形態例の場合にも、振動素子115d(または115e)の取り付け位置を中心にして、同心円状に第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13が形成される。そして、第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13は、振動素子115d(または115e)から離れるにしたがって徐々に振動量が低下する。
【0063】
本実施の形態例では、液晶表示パネル119が表示する操作キーとして、
図14に示すように、第1領域A
11に、文字列入力用操作キー領域a11が設定される。この文字列入力用操作キー領域a11には、文字,数字,記号などに対応した複数の操作キーによる、いわゆる文字列入力用のキーボードK101が表示される。この文字列入力用のキーボードK101は、比較的小さなキーが狭い間隔で多数配置される。
また、第2領域A
12に、文字列入力以外の操作キー領域a12が設定される。この操作キー領域a12には、文字列入力用のキー以外の各種操作キーK102が表示される。この各種操作キーK102は、比較的大きなキーが間隔を開けて限られた数だけ配置される。
【0064】
本実施の形態例の場合には、文字列入力用のキーボードK101をタッチしたとき、比較的強い振動量の振動応答があり、狭い間隔で配置されたキーの1つ1つの操作時の応答がユーザの指に適切に伝わり、文字列入力を良好に行えるようになる。
【0065】
[第5の実施の形態例]
本発明の第5の実施の形態例を、
図15を参照して説明する。本実施の形態例において、画像形成装置100の全体構成については、第1の実施の形態例で
図1~
図4で説明した構成が適用される。本実施の形態例においても、画像形成装置100の操作パネル部110の操作キーの配置が、第1の実施の形態例とは相違する。
【0066】
図15は、本実施の形態例の画像形成装置100の操作パネル部110の構成例を示す。
本実施の形態例においても、
図15に示すように、操作パネル部110は、タッチパネル118の下側の端面のほぼ中央に、振動素子115d(または115e)が取り付けられている。
【0067】
したがって、本実施の形態例の場合にも、振動素子115d(または115e)の取り付け位置を中心にして、同心円状に第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13が形成される。そして、第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13は、振動素子115d(または115e)から離れるにしたがって徐々に振動量が低下する。
【0068】
本実施の形態例では、液晶表示パネル119が表示する操作キーとして、
図15に示すように、第1領域A
11に、いずれの動作モードであっても表示位置が固定した操作キーK201と、動作モードによって表示内容が変化する操作キーK202が配置される。また、第2領域A
12に、動作モードによって表示内容が変化する操作キーK203が配置される。
【0069】
表示位置が固定した操作キーK201は、使用頻度が高い操作キーであり、その操作キーK201の操作時には、比較的強い振動量の振動応答があり、確実にユーザの指に振動応答が伝わる。また、第1領域A11に配置したその他の操作キーK202にも、比較的強い振動量の振動応答があり、確実にユーザの指に振動応答が伝わる。
さらに、第2領域A12に配置した操作キーK203には、若干振動量が弱くなるが、それなりの強さでユーザの指に振動応答が伝わる。
【0070】
本実施の形態例の場合には、常用キーとして日常的に使用される頻度が高い固定した操作キーK201を操作した際に、確実に振動応答がユーザの指に伝わり、良好な操作入力ができるようになる。
【0071】
[第6の実施の形態例]
本発明の第6の実施の形態例を、
図16を参照して説明する。本実施の形態例において、画像形成装置100の全体構成については、第1の実施の形態例で
図1~
図4で説明した構成が適用される。本実施の形態例においても、画像形成装置100の操作パネル部110の操作キーの配置が、第1の実施の形態例とは相違する。
【0072】
図16は、本実施の形態例の画像形成装置100の操作パネル部110の構成例を示す。
本実施の形態例においては、
図16に示すように、操作パネル部110は、タッチパネル118の右下の隅の近傍に、振動素子115d(または115e)が取り付けられている。
【0073】
本実施の形態例の場合には、振動素子115d(または115e)の取り付け位置である右下の隅を中心にして、同心円状に第1領域A21,第2領域A22,第3領域A23が形成される。そして、第1領域A11,第2領域A12,第3領域A13は、振動素子115d(または115e)から離れるにしたがって徐々に振動量が低下する。
なお、液晶表示パネル119の右辺の近傍と下辺の近傍は、大部分の範囲が最も振動量が強い第1領域A21になる。逆に、液晶表示パネル119の左上の隅の近傍は、最も振動量が弱い第3領域A23になる。
【0074】
本実施の形態例では、液晶表示パネル119が表示する操作キーとして、
図16に示すように、右辺の隅に、画面の上下スクロール用の操作キーK301が配置され、下辺の隅に、画面の左右スクロール用の操作キーK302が配置されている。これらの操作キーK301,302は、大部分が第1領域A
21に配置される。
さらに、第1領域A
21に、各種操作を行うための操作キーK303が配置される。
【0075】
図16に示すキー配置としたことで、画面の上下や左右のスクロール用の操作キーK301,K302をタッチ操作したときには、比較的強い振動量でタッチした指に振動が伝わるので、良好な操作性でスクロール操作が行うことができるようになる。また、各種操作を行うための操作キーK303も、第1領域A
21に配置されているため、比較的強い振動量でタッチした指に振動が伝わり、確実な振動応答が行われ、良好な操作性を確保することができる。
【0076】
[変形例]
なお、上述した各実施の形態例で説明した操作キーの数や配置間隔などは一例を示すものであり、本発明は、各図に示したものに限定さない。
また、それぞれの実施の形態例で説明した処理を、組み合わせた操作キーの配置としてもよい。
例えば、
図14に示した文字列入力用のキーボードK101の配置と、
図15に示した固定キーとしての操作キーK201の配置を同時に行うようにしてもよい。
【0077】
また、上述した各実施の形態例では、据え置き型機器である画像形成装置が備える操作パネル部を振動させる例としたが、その他の様々な据え置き型の機器の入力装置である操作パネルを振動させる場合にも、同様の構成や制御処理を適用してもよい。
【符号の説明】
【0078】
100…画像形成装置、101…用紙カセット、102…画像形成部、103…用紙排出部、104…原稿読取部、105…照明部、106…操作パネル取付部、107…振動吸収部材、108…操作パネル保持フレーム、110…操作パネル部、111…中央演算処理部(CPU)、114…振動制御部、115,115a,115b,115c,115d,115e…振動素子、117…振動センサ、118…タッチパネル、119…液晶ディスプレイ、120…制御部