(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240806BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240806BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240806BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/00 510
G03G21/14
G03G15/20 535
(21)【出願番号】P 2020097753
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡野 信彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】石田 雄二郎
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-250343(JP,A)
【文献】特開2016-139115(JP,A)
【文献】特開2013-242380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/14-13/16
13/20
13/34
15/00
15/02
15/14-15/16
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転部材と、
前記第1回転部材に対して圧接、離間が可能な第2回転部材と、
を備える画像形成装置であって、
前記第1回転部材に対する前記第2回転部材の離間時と圧接時の前記第2回転部材の速度変化に基づいて、前記第2回転部材の目標速度を設定する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記第2回転部材を一定の速度で回転駆動する定速制御と一定のトルクで回転駆動する定トルク制御が可能であり、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対し離間させた状態で前記定速制御を行い、その際に検出される定速時駆動トルクに基づいて、前記第2回転部材を前記第1回転部材に圧接した状態で前記定トルク制御を行い、
前記制御部は、前記第1回転部材より速い速度と遅い速度の少なくとも2種類の速度で前記第2回転部材を駆動し、それぞれの前記離間時と前記圧接時の前記第2回転部材の速度を取得し、前記取得した速度に基づいて、前記第1回転部材と表面速度が一致する前記第2回転部材の速度を特定して前記目標速度として設定する画像形成装置。
【請求項2】
第1回転部材と、
前記第1回転部材に対して圧接、離間が可能な第2回転部材と、
を備える画像形成装置であって、
前記第1回転部材に対する前記第2回転部材の離間時と圧接時の前記第2回転部材の速度変化に基づいて、前記第2回転部材の目標速度を設定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2回転部材を一定の速度で回転駆動する定速制御と一定のトルクで回転駆動する定トルク制御が可能であり、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対し離間させた状態で前記定速制御を行い、その際に検出される定速時駆動トルクに基づいて、前記第2回転部材を前記第1回転部材に圧接した状態で前記定トルク制御を行い、
前記制御部は、前記第1回転部材を一定速度で回転させ、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対して離間させた状態で第1の速度で駆動してから前記第1回転部材に圧接させ、圧接させた状態で前記第2回転部材の速度を取得する動作を、前記第1の速度を変えて複数回実施し、
前記制御部は、前記圧接時に取得された前記第2回転部材の速度を次の前記第1の速度として、前記第1の速度と、前記第2回転部材を前記第1の速度で駆動させたときの前記圧接時に取得された前記第2回転部材の速度との速度差が所定の閾値より小さくなったときの前記第2回転部材の速度を前記目標速度として設定する画像形成装置。
【請求項3】
前記第1回転部材は感光体であり、前記第2回転部材は転写部材である請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1回転部材は感光体であり、前記第2回転部材は中間転写体である請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1回転部材は中間転写体であり、前記第2回転部材は2次転写部材である請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1回転部材は定着上部材であり、前記第2回転部材は定着下部材である請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、ファクシミリ、複写機、複合機等の複数の機能を備えた画像形成装置が広く普及している。この画像形成装置では、画像データに基づいて感光体に潜像を形成し、この潜像を現像材で現像した後、これを直接または中間転写ベルトを介して用紙に転写している。画像の転写に際しては、転写ローラーや転写ベルトからなる転写部材を感光体や中間転写ベルトからなる像担持体に圧接し、圧接部分(転写ニップ部とも称される)に用紙を挿紙することで用紙にトナー像を転写している。
【0003】
転写部材は、回転駆動される像担持体に圧接することで像担持体に従動させることができるが、転写部材に負荷が加わっている場合には、従動は困難になり、転写部材を回転駆動する転写部駆動部が必要とされる場合がある。例えば、転写部材に付着したトナー像を除去するためにクリーニング部を設けた場合には、ブレード等を転写ローラーや転写ベルト等の転写部材の表面に圧接させるので、この圧接によって転写部材に負荷がかかる。そのため、上記画像形成装置には、転写部材を駆動するための転写部駆動部が設けられている。
【0004】
このように像担持体と転写部材とを個別に回転駆動する場合、転写部材の回転が像担持体の回転に影響を与えて画像形成精度を損なわないようにする必要がある。
そこで、例えば、特許文献1では、転写部材に付与する駆動力をクリーニング部材の使用履歴と空気中の水分量の少なくとも一方に応じて制御することで、転写部材の回転による像担持体への負荷の変動を軽減している。さらに、特許文献1では、転写部材の駆動系にトルクリミッタを設け、リミッタ値を転写部材の負荷(主にクリーニング部材による)+αとしつつ、転写部材を像担持体よりも若干早く回すように設定して転写部材の圧接状態では若干(+αのトルク:周期的な速度変動等による変動で逆転しない範囲となる値)、転写部材が像担持体を押し、その状態でトルクリミッタを働かせることで、転写部材での用紙の有無に拘わらず像担持体に印加されるトルクが一定になるようにしている。
【0005】
しかしながら、転写部材を像担持体(ここでは中間転写ベルト)に圧接して回転駆動している際に、圧接部に用紙を通紙させると、用紙の厚さ分だけ転写部材の回転径が変わる。これにより、転写部材が一定の速度で回転するように定速制御すると、用紙の通過周期で像担持体に対して印加されるトルクが変化し、結果的に像担持体に速度変化が生じ、色ずれ(カラーレジスト性能の悪化)等を発生させるなどして画像形成精度を損なうという問題がある。また、トルクリミッタを利用する方法では、転写部材側の負荷(主にクリーニング部材による)の変動(経時/環境)が大きい場合には、リミッタ値を設定できなくなってしまうという問題がある。
【0006】
このような転写部材等のトルク変化に対応するために、例えば、特許文献2では、転写部材と像担持体との離間時に、転写部材および像担持体の回転速度が一定の速度となるように、転写部材および像担持体をフィードバック制御によって定速制御し、転写部材と像担持体との圧接時に、転写部材の離間時に検出された定速制御した際の定速時駆動トルクに応じて転写部材を定トルク制御する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-304552号公報
【文献】特許第5585770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、像担持体や転写部材の駆動ローラーの外径や、像担持体、転写部材の厚さなどの部品バラツキで、像担持体と転写部材の表面速度に差が発生することがある。この速度差に対してこれまで像担持体と転写部材の表面速度を一致させる技術が無かった。そのため、像担持体と転写部材の表面速度に差が発生し、転写時に画像ズレが発生することがあった。このように、部品バラツキ等により、圧接する2つの回転体の表面速度に差が生じることにより仕上がり品質の劣化が生じる現象は、像担持体と転写部材の間だけで起こる現象ではなく、感光体と転写体、感光体と中間転写ベルト、中間転写ベルトと2次転写部材、定着上部材と定着下部材にも発生する。
【0009】
本発明の課題は、画像形成装置において、圧接する2つの回転部材の表面速度差を抑制することにより、仕上がり品質の劣化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、
第1回転部材と、
前記第1回転部材に対して圧接、離間が可能な第2回転部材と、
を備える画像形成装置であって、
前記第1回転部材に対する前記第2回転部材の離間時と圧接時の前記第2回転部材の速度変化に基づいて、前記第2回転部材の目標速度を設定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2回転部材を一定の速度で回転駆動する定速制御と一定のトルクで回転駆動する定トルク制御が可能であり、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対し離間させた状態で前記定速制御を行い、その際に検出される定速時駆動トルクに基づいて、前記第2回転部材を前記第1回転部材に圧接した状態で前記定トルク制御を行い、
前記制御部は、前記第1回転部材より速い速度と遅い速度の少なくとも2種類の速度で前記第2回転部材を駆動し、それぞれの前記離間時と前記圧接時の前記第2回転部材の速度を取得し、前記取得した速度に基づいて、前記第1回転部材と表面速度が一致する前記第2回転部材の速度を特定して前記目標速度として設定する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、画像形成装置において、
第1回転部材と、
前記第1回転部材に対して圧接、離間が可能な第2回転部材と、
を備える画像形成装置であって、
前記第1回転部材に対する前記第2回転部材の離間時と圧接時の前記第2回転部材の速度変化に基づいて、前記第2回転部材の目標速度を設定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2回転部材を一定の速度で回転駆動する定速制御と一定のトルクで回転駆動する定トルク制御が可能であり、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対し離間させた状態で前記定速制御を行い、その際に検出される定速時駆動トルクに基づいて、前記第2回転部材を前記第1回転部材に圧接した状態で前記定トルク制御を行い、
前記制御部は、前記第1回転部材を一定速度で回転させ、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対して離間させた状態で第1の速度で駆動してから前記第1回転部材に圧接させ、圧接させた状態で前記第2回転部材の速度を取得する動作を、前記第1の速度を変えて複数回実施し、
前記制御部は、前記圧接時に取得された前記第2回転部材の速度を次の前記第1の速度として、前記第1の速度と、前記第2回転部材を前記第1の速度で駆動させたときの前記圧接時に取得された前記第2回転部材の速度との速度差が所定の閾値より小さくなったときの前記第2回転部材の速度を前記目標速度として設定する。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記第1回転部材は感光体であり、前記第2回転部材は転写部材である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記第1回転部材は感光体であり、前記第2回転部材は中間転写体である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記第1回転部材は中間転写体であり、前記第2回転部材は2次転写部材である。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記第1回転部材は定着上部材であり、前記第2回転部材は定着下部材である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成装置において、圧接する2つの回転部材の表面速度差を抑制することができるので、仕上がり品質の劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明を適用した実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図3】中間転写ベルト及び2次転写ベルト周辺の構成を示す図である。
【
図4】中間転写ベルト及び2次転写ベルトの制御に関わる回路ブロック図である。
【
図5】制御部による中間転写ベルト及び2次転写ベルトの制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】目標速度設定処理Aの流れを示すフローチャートである。
【
図7】(a)は、
図6のステップS11~ステップS15における2次転写駆動モーターの回転数の時間変化を示すグラフ、(b)は、
図6のステップS17~ステップS21における2次転写駆動モーターの回転数の時間変化を示すグラフ、(c)は、(a)と(b)のグラフを重ねて示した図である。
【
図8】目標速度設定処理Bの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の画像形成装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の実施形態ではカラーの画像形成装置を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばモノクロの画像形成装置に適用することも可能である。
【0024】
<第1の実施形態>
(画像形成装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0025】
画像形成装置1は、CPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)及びROM103(Read Only Memory)を有する制御部10、記憶部11、操作部12、表示部13、インターフェース14、スキャナー15、画像処理部16、画像形成部17、定着部18及び搬送部19等を備える。
制御手段である制御部10は、バス21を介して記憶部11、操作部12、表示部13、インターフェース14、スキャナー15、画像処理部16、画像形成部17、定着部18及び搬送部19と接続されている。
【0026】
CPU101は、ROM103又は記憶部11に記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0027】
RAM102は、CPU101に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0028】
ROM103は、CPU101により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM103に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0029】
これらのCPU101、RAM102及びROM103を備える制御部10は、上述の各種制御用プログラムに従って画像形成装置1の各部を統括制御する。例えば、制御部10は、画像処理部16に画像データに対する所定の画像処理を行わせて記憶部11に記憶させる。また、制御部10は、搬送部19に用紙を搬送させ、記憶部11に記憶された画像データに基づいて画像形成部17により用紙に画像を形成させる。
【0030】
記憶部11は、半導体メモリーであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段により構成され、スキャナー15により取得された画像データや、インターフェース14を介して外部から入力された画像データ、各種設定情報等が記憶される。なお、これらの画像データ等はRAM102に記憶されてもよい。
【0031】
操作部12は、操作キーや表示部13の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対する入力操作を操作信号に変換して制御部10に出力する。
【0032】
表示部13は、LCD(Liquid crystal display)等の表示装置を備え、画像形成装置1の状態や、タッチパネルへの入力操作の内容を示す操作画面等を表示する。
【0033】
インターフェース14は、外部のコンピューター、他の画像形成装置などとの間でデータの送受信を行う手段であり、例えば、各種シリアルインターフェースのいずれかにより構成される。
【0034】
スキャナー15は、用紙に形成された画像を読み取り、R(赤)、G(緑)及びB(青)の色成分毎の単色画像データを含む画像データを生成して記憶部11に記憶させる。
【0035】
画像処理部16は、例えば、ラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部を備え、記憶部11に記憶された画像データに各種画像処理を施して記憶部11に記憶させる。
【0036】
画像形成部17は、記憶部11に記憶された画像データに基づき、用紙に画像を形成する。画像形成部17は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の色成分に各々対応する4組の露光部171、感光体172及び現像部173を備えている。また、画像形成部17は、像担持体としての中間転写ベルト(中間転写体)174、1次転写ローラー175、2次転写ローラー176を備えている。
【0037】
露光部171は、発光素子としてのLD(Laser Diode)を備えている。露光部171は、画像データに基づいてLDを駆動し、帯電する感光体172上にレーザー光を照射、露光して感光体172上に静電潜像を形成する。現像部173は、露光された感光体172上に帯電する現像ローラーにより所定の色(C、M、Y及びKのいずれか)のトナー(色材)を供給して、感光体172上に形成された静電潜像を現像する。
【0038】
C、M、Y及びKに対応する4つの感光体172上に各々C、M、Y及びKのトナーで形成された画像(単色画像)は、各感光体172から中間転写ベルト174上に順次重ねられて転写される。
中間転写ベルト174(第1回転部材に相当)は、中間転写駆動ローラー41を始めとする複数のローラーに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、ローラーの回転に伴って回転駆動される。中間転写ベルト174は、トナー像の転写時に各ローラーの回転に従って回転する。
【0039】
この中間転写ベルト174は、1次転写ローラー175により、対向するそれぞれの感光体172に圧接される。1次転写ローラー175のそれぞれには印加された電圧に応じた転写電流が流れる。これにより各感光体172の表面に現像された各トナー像は、それぞれ各1次転写ローラー175により順次中間転写ベルト174に転写(1次転写)される。
【0040】
2次転写ローラー176は、2次転写ベルト63を介して中間転写ベルト174に圧接して回転することで、中間転写ベルト174に転写されて形成されたYMCK各色のトナー像を給紙部から搬送されてきた用紙に転写(2次転写)する。中間転写ベルト174の残留トナーは、図示しないクリーニング部により除去される。
【0041】
なお、中間転写ベルト174及び2次転写ローラー176(2次転写ベルト63)周辺の構成については詳細を後述する。
【0042】
定着部18は、加熱手段を備える定着上部材181、及び定着下部材182を有し、トナーが転写された用紙を加熱及び加圧してトナーを用紙に定着させる定着処理を行う。
定着下部材182は、図示しない弾性部材により定着上部材181に近づく方向に付勢されており、定着上部材181に定着下部材182が圧接された状態で定着上部材181及び定着下部材182が回転することにより、用紙を挟持して搬送する定着ニップ部を構成する。
なお、定着上部材181は、加熱手段を有するローラーの外周上に図示しない定着ベルトが張架されて構成されていてもよい。
【0043】
搬送部19は、
図1に示すように、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路で用紙を搬送する。
【0044】
以下、中間転写ベルト174及び2次転写ベルト63周辺の構成について詳細を説明する。
図3(a)、(b)は、画像形成装置1における中間転写ベルト174及び2次転写ベルト63周辺の構成を示す図である。
図3(a)、(b)に示すように、中間転写ベルト174は、中間転写駆動ローラー41、中間転写従動ローラー42等に架け渡されている。
また、中間転写ベルト174に近接して2次転写ローラー176が配置されている。2次転写ローラー176には、2次転写駆動ローラー61、2次転写従動ローラー62を介して2次転写部材としての2次転写ベルト63(第2回転部材に相当)が架け渡されている。また、2次転写ベルト63に対しては、2次転写クリーニング部64のクリーニングブレード64aが当接し、2次転写ベルト63表面のクリーニングが可能になっている。
【0045】
さらに、中間転写ベルト174に対し2次転写ベルト63(2次転写ローラー176)が圧接、離間するように、2次転写ローラー176、2次転写駆動ローラー61、2次転写従動ローラー62、2次転写ベルト63、2次転写クリーニング部64を一体にして移動させる圧接/離間機構65が備えられている。圧接/離間機構65には、既知の構成を採用することができ、本発明としては特にその構成が限定されるものではない。
図3(a)は、中間転写ベルト174に対し2次転写ベルト63(2次転写ローラー176)が離間した状態を示し、
図3(b)は、中間転写ベルト174に対し2次転写ベルト63(2次転写ローラー176)が圧接した状態を示す。
【0046】
図4は、画像形成装置1における中間転写ベルト174及び2次転写ベルト63の制御に関わる回路ブロック図である。
制御部10は、中間転写ベルト174や2次転写ベルト63、圧接/離間機構65を駆動する駆動モーターなどの制御を行う。
【0047】
図4に示すように、制御部10には、中間転写ベルト174を回転させる中間転写駆動ローラー41を回転駆動する中間転写駆動モーター41aが制御可能に接続されている。中間転写駆動モーター41aの駆動軸には、中間転写駆動伝達機構41bを介して中間転写駆動ローラー41が接続されている。
【0048】
中間転写駆動モーター41aは、DCブラシレスモータからなる。制御部10は、中間転写駆動モーター41aの速度やトルクを制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号をトルク指令値として中間転写駆動モーター41aに送信する。中間転写駆動モーター41aは、制御部10から送信されるトルク指令値に基づいて駆動し、この駆動により中間転写駆動ローラー41を回転させる。
中間転写駆動モーター41aには、図示しない回転センサーが取り付けられている。回転センサーは、中間転写駆動モーター41aの回転数(単位時間あたりの回転数、すなわち、回転速度)を検出し、検出結果を中間転写ベルト174の速度情報として制御部10にフィードバックする。なお、回転センサーにはホール素子などの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
【0049】
また、制御部10には、2次転写ベルト63を回転させる2次転写駆動ローラー61を回転駆動する2次転写駆動モーター61aが制御可能に接続されている。2次転写駆動モーター61aの駆動軸には、2次転写駆動伝達機構61bを介して前記2次転写駆動ローラー61が接続されている。
【0050】
2次転写駆動モーター61aは、DCブラシレスモータからなる。制御部10は、2次転写駆動モーター61aの速度やトルクを制御するPWM信号をトルク指令値として2次転写駆動モーター61aに送信する。2次転写駆動モーター61aは、制御部10から送信されるトルク指令値に基づいて駆動し、この駆動により2次転写駆動ローラー61を回転駆動することにより、2次転写ベルト63を回転させる。
2次転写駆動モーター61aには、図示しない回転センサーが取り付けられている。回転センサーは、2次転写駆動モーター61aの回転数(単位時間当たりの回転数、すなわち、回転速度)を検出し、検出結果を2次転写ベルト63の速度情報として制御部10にフィードバックする。なお、回転センサーにはホール素子などの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のもの限定されるものではない。
【0051】
さらに、制御部10には、圧接/離間モーター65aが制御可能に接続されている。圧接/離間モーター65aの駆動軸には、圧接/離間伝達機構65bを介して圧接/離間機構65が接続されている。圧接/離間モーター65a、圧接/離間伝達機構65b、圧接/離間機構65によって、中間転写ベルト174に対し2次転写ベルト63が圧接、離間するように移動される。
圧接/離間機構65には、2次転写ローラー176などの位置を検出する位置センサーが取り付けられている。位置センサーは、2次転写ローラー176などの位置を検出し、検出結果を圧接/離間情報として制御部10に送信する。
制御部10は、圧接/離間機構65による圧接/離間動作を制御する動作指令値を圧接/離間モーター65aに送信する。
【0052】
次に、制御部10による中間転写ベルト174及び2次転写ベルト63の制御動作について説明する。
制御部10では、画像形成装置1の画像形成動作に伴って、中間転写ベルト174を所定の速度(目標速度)において定速で回転させる。中間転写ベルト174の速度制御に関しては、目標速度が得られるようにPWM信号からなるトルク指令値を中間転写駆動モーター41aに送信し、中間転写駆動ローラー41を定速で回転させる。上記目標速度が得られるPWM信号に関する情報は予め記憶部11に格納されており、制御部10では、記憶部11から該情報を読み出してPWM信号を生成する。
【0053】
また、中間転写駆動モーター41aの回転数は図示しない回転センサーで検出され、検出結果は中間転写ベルト174の速度情報として制御部10にフィードバックされる。制御部10は、フィードバックされた速度情報が設定範囲内にあるか否かを判定し、設定範囲内にある場合には、トルク指令値を維持する。設定範囲を下回る場合には、増加したトルク指令値となるようにPWM信号を生成して中間転写駆動モーター41aを駆動制御し、設定範囲を上回る場合には、減少したトルク指令値となるようにPWM信号を生成して中間転写駆動モーター41aを設定範囲内の速度となるように駆動制御する。これによって中間転写ベルト174が一定の速度で回転するように定速制御される。
【0054】
一方、2次転写ベルト63は、中間転写ベルト174に圧接している場合と、離間している場合とで異なる回転制御が行われる。
制御部10は、2次転写ベルト63が中間転写ベルト174に対し離間状態であることを検出すると、2次転写ベルト63を所定の速度(目標速度)において定速で回転させる。すなわち、目標速度が得られるようにPWM信号からなるトルク指令値を2次転写駆動モーター61aに送信し、2次転写駆動ローラー61を定速で回転させる。上記目標速度が得られるPWM信号に関する情報は予め記憶部11に格納されており、制御部10は、記憶部11から該情報を読み出してPWM信号を生成している。
なお、2次転写ベルト63が中間転写ベルト174に対し、離間、圧接状態にあるか否かは、2次転写ベルト63や圧接/離間動作に伴って2次転写ベルト63とともに移動する2次転写ローラー176などの部材の位置を検出する位置センサーを用い、該センサーの検出結果に基づいて2次転写ベルト63の離間、圧接状態を判定することができる。
【0055】
また、2次転写駆動モーター61aの回転は図示しない回転センサーで検出され、検出結果は2次転写ベルト63の速度情報として制御部10にフィードバックされる。制御部10は、フィードバックされた速度情報が予め設定された速度範囲内にあるか否かを判定し、設定範囲内にある場合には、トルク指令値を維持する。設定範囲を下回る場合には、増加したトルク指令値となるようにPWM信号を生成して2次転写駆動モーター61aを駆動制御し、設定範囲を上回る場合には、減少したトルク指令値となるようにPWM信号を生成して2次転写駆動モーター61aを設定範囲内の速度となるように駆動制御する。これによって2次転写ベルト63が一定の速度で回転するように定速制御される。
【0056】
なお、2次転写ベルト63を定速制御している際には、2次転写駆動モーター61aにおける駆動トルクを定速時駆動トルクとして検出する。2次転写駆動モーター61aにおける駆動トルクの検出には、2次転写駆動モーター61aに対しトルク検出器を接続し、該トルク検出器の測定結果を用いることができる。該トルク検出器としては、2次転写駆動モーター61aと2次転写駆動ローラー61との間にトルク検出器を介在させてそのねじれ量などによって駆動トルクを検出するようなものもある。また、上記のようにPWM信号を用いるものでは、制御部10が定速制御に際しトルク指令値となるPWM信号そのものを分析してトルク検出を行うことができる。なお、定速時駆動トルクの検出では、所定時間内に検出したトルク値の平均値を採用するなどして変動バラツキの小さい値を採用するのが望ましい。また、定速時駆動トルクの検出時間は、検出可能な時間内であれば任意に設定が可能であり、検出可能な時間全体に亘って検出を行うことは必要とされない。
【0057】
以上、2次転写ベルト63が中間転写ベルト174に離間している状態における駆動制御について上記で説明したが、以下では2次転写ベルト63が中間転写ベルト174に圧接している状態における駆動制御について説明する。
2次転写ベルト63が中間転写ベルト174に圧接している状態では、制御部10は、2次転写ベルト63の定速制御時に検出された2次転写駆動モーター61aの定速時駆動トルクに応じて、2次転写駆動モーター61aが一定の駆動トルクとなるように定トルク制御を行う。すなわち、定トルク制御では、制御部10は、PWM信号とトルク指令値との関係から定速時駆動トルクに対応するPWM信号を生成し2次転写駆動モーター61aを駆動する。定トルク制御中には、2次転写ベルト63と中間転写ベルト174との当接部に通紙される際にも、2次転写駆動モーター61aは一定のトルクに制御されているため、中間転写ベルト174側にトルク変動を与えることはなく、画像形成を良好に行うことができる。
【0058】
次に、制御部10による中間転写ベルト174及び2次転写ベルト63の制御手順について、
図5のフローチャートに基づいて説明する。
制御部10は、まず、中間転写ベルト174に対して2次転写ベルト63が離間した状態で、上記したように中間転写ベルト174及び2次転写ベルト63が一定の速度となるように、中間転写駆動モーター41aおよび2次転写駆動モーター61aをフィードバックによって定速制御する(ステップS1)。
制御部10は、記憶部11に記憶されている(設定されている)、中間転写ベルト174の目標速度に対応するPWM信号に関する情報に基づいて中間転写駆動モーター41aを回転させる。また、記憶部11に記憶されている(設定されている)、2次転写ベルト63の目標速度に対応するPWM信号に関する情報に基づいて2次転写駆動モーター61aを回転させる。
また、制御部10は、2次転写駆動モーター61aを定速制御している間に、2次転写駆動モーター61aの駆動トルクをPWM信号に基づいて検出する。検出された駆動トルクの平均トルク値を定速時駆動トルクとして算出する。定速時駆動トルクの決定は、この他に中央値などの適宜の方法によって決定することができ、本発明としては特定の方法に限定されるものではない。
【0059】
次いで、制御部10は、2次転写ベルト63を中間転写ベルト174に圧接するべく圧接/離間モーター65aを起動する(ステップS2)。
圧接が完了すると(ステップS3、YES)、制御部10は、中間転写駆動モーター41aの定速制御を継続するとともに、2次転写駆動モーター61aに対し、上記で検出された定速時駆動トルクに基づいて定トルク制御を行う(ステップS4)。
【0060】
なお、図示していないが、制御部10は、2次転写ベルト63を中間転写ベルト174から離間させた際には、2次転写駆動モーター61aに対しては、定トルク制御から上記した一定の速度による定速制御に切り替える。
【0061】
また、上記の離間から圧接への切り替えは、例えば画像形成の開始に伴って行うことができる。また、圧接から離間への切り替えは、ジョブ及び予約ジョブの終了に伴って行うことができる。したがって、上記2次転写駆動モーター61aの定速時駆動トルクの検出、及び定速時駆動トルクに応じた2次転写駆動モーター61aの定トルク制御は、例えば一連のジョブの終了から開始に至る毎に行うことができ、定トルク制御におけるトルク値を調整しながら適正なトルク値で回転制御を行うことができる。例えば、2次転写クリーニング部64のクリーニングブレード64aの摩耗などによって2次転写駆動モーター61aにおける負荷トルクが変動する場合にも、該変動に応じたトルク調整がなされる。
【0062】
また、上記では、一連のジョブの終了、開始に伴って定速時駆動トルクの検出、定速時駆動トルクに応じた2次転写駆動モーター61aの定トルク制御が行われるものとして説明したが、一連のジョブの継続時間が長いような場合(例えば十時間以上に及ぶような場合)、負荷トルクの変動リスクが考えられるため、ジョブ間などにおいて一時的に2次転写ベルト63を中間転写ベルト174から離間させ、2次転写ベルト63を駆動する2次転写駆動モーター61aを定速制御して定速時駆動トルクの検出を行った後、再度2次転写ベルト63を中間転写ベルト174に圧接させ、修正したトルクによって2次転写駆動モーター61aに対する定トルク制御を行うことも可能である。これにより、ジョブが連続するような場合にも負荷トルクの変動に応じて2次転写ベルト63の制御を適切に行うことが可能になる。
【0063】
ここで、例えば、
図3(a)に示す中間転写駆動ローラー41や2次転写駆動ローラー61には、外形公差がある。中間転写駆動ローラー41の駆動源である中間転写駆動モーター41aの回転速度(回転数)を一定としたときに、中間転写駆動ローラー41の外形が0.1%大きい場合、中間転写ベルト174の表面速度は0.1%速くなる。同様に、2次転写駆動ローラー61の駆動源である2次転写駆動モーター61aの回転速度を一定としたときに、2次転写駆動ローラー61の外形が0.1%大きい場合、2次転写ベルト63の表面速度は0.1%速くなる。このローラーの外形公差は、バラツキとして発生するため、部品交換時や機差で生じる。
【0064】
一方、
図3(b)に示すように、中間転写ベルト174と2次転写ベルト63を圧接させる場合、中間転写ベルト174と2次転写ベルト63の表面速度差をできるだけ小さくした状態で圧接する必要がある。しかし、上述のように外形公差により中間転写ベルト174と2次転写ベルト63の表面速度に差異があると、中間転写ベルト174の駆動力と2次転写ベルト63の駆動力に差異が発生し、用紙に画像を転写しているときに転写ズレが発生してしまい、仕上がり品質が劣化する。
【0065】
そこで、本実施形態では、例えば、工場出荷時や、部品交換(中間転写駆動ローラー41、2次転写駆動ローラー61、中間転写ベルト174、2次転写ベルト63、2次転写ローラー176等の、中間転写ベルト174や2次転写ベルト63の表面速度に影響を及ぼす部品の交換)が行われた際に、制御部10は、
図6に示す目標速度設定処理Aを実行し、2次転写ベルト63の表面速度が中間転写ベルト174の表面速度に一致する2次転写ベルト63の駆動速度を2次転写ベルト63の目標速度として設定する。
【0066】
目標速度設定処理Aにおいて、まず、制御部10は、2次転写ベルト63を中間転写ベルト174から離間させた状態で、2次転写ベルト63の表面速度が中間転写ベルト174の表面速度より遅くなる目標速度1(第1の速度に相当)で2次転写駆動モーター61aを駆動し、定速制御する(ステップS11)。
【0067】
次いで、制御部10は、離間状態で2次転写駆動モーター61aを定速制御している間の、2次転写駆動モーター61aの回転数(例えば、定速制御中に検出された単位時間あたりの回転数の平均値。速度1とする。)を離間時の2次転写ベルト63の速度情報として取得する。また、2次転写駆動モーター61aを定速制御している間の、2次転写駆動モーター61aの定速時駆動トルクを取得する(ステップS12)。
【0068】
次いで、制御部10は、圧接/離間機構65により中間転写ベルト174に2次転写ベルト63を圧接させ(ステップS13)、ステップS12で取得した定速時駆動トルクに基づいて2次転写駆動モーター61aを定トルク制御し(ステップS14)、定トルク制御をしている間の、2次転写駆動モーター61aの回転数(例えば、定トルク制御中に検出された単位時間あたりの回転数の平均値。速度2とする。)を圧接時の2次転写ベルト63の速度情報として取得する(ステップS15)。
【0069】
図7(a)は、ステップS11~ステップS15における2次転写駆動モーター61aの回転数の時間変化を示すグラフである。定速制御時の目標速度1は、2次転写ベルト63の表面速度が中間転写ベルト174の表面速度より遅くなる速度であるため、2次転写ベルト63を中間転写ベルト174に圧接させると、中間転写ベルト174の表面速度に従って2次転写ベルト63の表面速度が速くなり、2次転写駆動モーター61aの回転速度が速くなる。すなわち、2次転写駆動モーター61aの回転数が増加する。
【0070】
次いで、制御部10は、圧接/離間機構65により中間転写ベルト174から2次転写ベルト63を離間させ(ステップS16)、2次転写ベルト63の表面速度が中間転写ベルト174の表面速度より速くなる目標速度2(第1の速度に相当)で2次転写駆動モーター61aを駆動し、定速制御する(ステップS17)。
【0071】
制御部10は、離間状態で2次転写駆動モーター61aを定速制御している間の、2次転写駆動モーター61aの回転数(例えば、定速制御中に検出された単位時間あたりの回転数の平均値。速度3とする。)を離間時の2次転写ベルト63の速度情報として取得する。また、2次転写駆動モーター61aを定速制御している間の、2次転写駆動モーター61aの定速時駆動トルクを取得する(ステップS18)。
【0072】
次いで、制御部10は、圧接/離間機構65により中間転写ベルト174に2次転写ベルト63を圧接し(ステップS19)、ステップS18で取得した定速時駆動トルクに基づいて2次転写駆動モーター61aを定トルク制御し(ステップS20)、定トルク制御をしている間の、2次転写駆動モーター61aの回転数(例えば、定トルク制御中に検出された単位時間あたりの回転数の平均値。速度4とする。)を取得する(ステップS21)。
【0073】
図7(b)は、ステップS17~ステップS21における2次転写駆動モーター61aの回転数の時間変化を示すグラフである。定速制御時の目標速度2は、2次転写ベルト63の表面速度が中間転写ベルト174の表面速度より速くなる速度であるため、2次転写ベルト63を中間転写ベルト174に圧接させると、中間転写ベルト174の表面速度に従って2次転写ベルト63の表面速度が遅くなり、2次転写駆動モーター61aの回転速度が遅くなる。すなわち、2次転写駆動モーター61aの回転数が減少する。
【0074】
そして、制御部10は、取得した速度1~速度4に基づいて、2次転写ベルト63の表面速度が中間転写ベルト174の表面速度に一致する2次転写ベルト63の駆動速度(2次転写駆動モーター61aの回転数)を特定し、特定された駆動速度に対応するPWM信号に関する情報を2次転写ベルト63の定速制御時の目標速度の設定情報として記憶部11に記憶させ(設定し)(ステップS23)、回転速度設定処理Aを終了する。
【0075】
ステップS23において、制御部10は、以下の線形補間式(式1)により2次転写ベルト63の目標速度を算出する。
目標速度=速度2-|速度2-速度1|×(速度2-速度4)/((速度4-速度3)-(速度2-速度1))・・・(式1)
【0076】
図7(c)は、
図7(a)と
図7(b)のグラフを重ねて示したものである。例えば、(式1)における(速度2-速度1)をA、(速度3-速度4)をB、(速度4-速度2)をCとすると、速度2にD=C×A/(A+B)を足した値が目標速度として算出される。
【0077】
このように、目標速度設定処理Aによれば、圧接する中間転写ベルト174と2次転写ベルト63の表面速度差を抑制することができるため、例えば、転写ずれ等の画像形成装置における仕上がり品質の劣化を抑制することができる。
【0078】
上述の目標速度設定処理Aでは、離間時と圧接時の2次転写ベルト63の速度変化を2回取得するたけでよいため、2次転写ベルト63の速度情報の少ない計測回数で精度の高い目標速度の算出が可能となる。また、2次転写ベルト63が中間転写ベルト174より速い速度と遅い速度の両方を使って目標速度を算出することで、圧接時に発生している中間転写ベルト174と2次転写ベルト63のスリップ分を考慮した目標速度の算出が可能となる。
【0079】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態における画像形成装置1の構成、並びに、中間転写ベルト174及び2次転写ローラー176の制御手順は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。第2の実施形態では、2次転写ベルト63の目標速度を設定するための処理が第1の実施形態とは異なる。第2の実施形態において、制御部10は、工場出荷時や、部品交換が行われた際に、
図8に示す目標速度処理Bを実行する。以下、
図8を参照して目標速度処理Bについて説明する。
【0080】
目標速度設定処理Bにおいて、まず、制御部10は、2次転写ベルト63の駆動速度として第1の速度(2次転写駆動モーター61aの単位時間あたりの回転数)N(n)を設定する(ステップS31)。N(n)は、任意の速度を設定してよい。
【0081】
次いで、制御部10は、2次転写ベルト63を中間転写ベルト174から離間させた状態で、N(n)を目標値として2次転写駆動モーター61aを定速制御する(ステップS32)。
【0082】
次いで、制御部10は、2次転写駆動モーター61aを定速制御している間の、2次転写駆動モーター61aの定速時駆動トルクを取得する(ステップS33)。
【0083】
次いで、制御部10は、圧接/離間機構65により中間転写ベルト174に2次転写ベルト63を圧接し(ステップS34)、ステップS33で取得した定速時駆動トルクに基づいて2次転写駆動モーター61aを定トルク制御し(ステップS35)、定トルク制御をしている間の、2次転写駆動モーター61aの回転数(例えば、定トルク制御中に検出された単位時間あたりの回転数の平均値)を圧接時の2次転写ベルト63の速度情報として取得し、N(n+1)とする(ステップS36)。
【0084】
次いで、制御部10は、N(n)とN(n+1)の速度差(|1-N(n)/N(n+1)|)が所定の閾値(ここでは、0.1)よりも小さくなったか否かを判断する(ステップS37)。
N(n)とN(n+1)の速度差が所定の閾値より小さくなっていないと判断した場合(ステップS37;NO)、制御部10は、N(n+1)をN(n)に設定し(ステップS38)、ステップS32に戻り、ステップS32~ステップS37を繰り返し実行する。
ステップS32~ステップS37を繰り返し実行することにより、2次転写ベルト63の表面速度を中間転写ベルト174の表面速度に略一致させることができる。
N(n)とN(n+1)の速度差が所定の閾値より小さくなったと判断した場合(ステップS37;YES)、制御部10は、N(n+1)に対応するPWM信号に関する情報を2次転写ベルト63の定速制御時の目標速度の設定情報として記憶部11に記憶させ(設定し)(ステップS39)、目標速度設定処理Bを終了する。
【0085】
このように、目標速度設定処理Bによれば、圧接する中間転写ベルト174と2次転写ベルト63の表面速度差を抑制することができるため、例えば、転写ずれ等の画像形成装置における仕上がり品質の劣化を抑制することができる。
【0086】
上述の目標速度設定処理Bによれば、処理中に速度変動が入っても目標速度の算出精度が悪化しにくいというメリットがある。
また、処理中に負荷変動やノイズによる速度変動が入ることで、検出速度の信頼性が落ちることがある。第1の実施形態では、上記の速度変動が発生した場合に、線形補間による計算により大きな誤差になり得るが、本方式では大きな誤差になりにくい。
【0087】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、上記実施形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0088】
例えば、上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、本発明の第1回転部材を中間転写ベルト174、第2回転部材を2次転写ベルト63とした場合を例にとり説明したが、本発明は、画像形成装置における他の圧接回転する第1回転部材と第2回転部材において、第1回転部材の表面速度に第2回転部材の表面速度を合わせる場合の第2回転部材の目標速度の設定に適用することができる。例えば、第1回転部材を感光体172、第2回転部材を中間転写ベルト174とし、感光体172の表面速度に中間転写ベルト174の表面速度を合わせる場合に適用することができる。また、第1回転部材を定着上部材181、定着下部材182とし、定着上部材181の表面速度に定着下部材182の表面速度を合わせる場合に適用することもできる。また、中間転写を行わない画像形成装置における感光体を第1回転部材、感光体に圧接する転写体(転写ローラー等)を第2回転部材として、感光体の表面速度に転写体の表面速度を合わせる場合に適用することもできる。また、2次転写ベルトを介さずに2次転写ローラーを直接中間転写ベルトに圧接させる画像形成装置における中間転写ベルトを第1回転部材、2次転写ローラーを第2回転部材として、中間転写ベルトの表面速度に2次転写ローラーの表面速度を合わせる場合に適用することもできる。
【0089】
その他、上記実施の形態で示した構成、構造、制御内容や順番などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
10 制御部
11 記憶部
12 操作部
13 表示部
14 インターフェース
15 スキャナー
16 画像処理部
17 画像形成部
174 中間転写ベルト
41 中間転写駆動ローラー
41a 中間転写駆動モーター
41b 中間転写駆動伝達機構
42 中間転写従動ローラー
61 2次転写駆動ローラー
61a 2次転写駆動モーター
61b 2次転写駆動伝達機構
62 2次転写従動ローラー
63 2次転写ベルト
64 2次転写クリーニング部
64a クリーニングブレード
65 圧接/離間機構
65a 圧接/離間モーター
65b 圧接/離間伝達機構
176 2次転写ローラー
18 定着部
181 定着上部材
182 定着下部材
19 搬送部
21 バス
S 用紙