(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240806BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J3/36 Z
(21)【出願番号】P 2020101830
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】浅井 翔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄士
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 将司
(72)【発明者】
【氏名】下田 恒史郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将太郎
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-231694(JP,A)
【文献】特開2015-223747(JP,A)
【文献】特開2006-123923(JP,A)
【文献】特開平11-171155(JP,A)
【文献】特開2015-151151(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109130546(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/04-15/14
B41J 3/36- 3/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を収容可能な収容部を有する本体と、
前記収容部を開放する開位置と、前記収容部を閉鎖する閉位置とに変位可能なカバーと、
前記カバーに設けられ、回転可能に支持されるプラテンローラと、
前記カバーに設けられ、前記プラテンローラの長手方向と平行な軸周りに回転可能に支持される剥離ローラと、
前記カバーに設けられ、前記カバーの変位に連動して、前記剥離ローラを前記プラテンローラに当接する当接位置と、前記プラテンローラから離隔した離隔位置とに切り替える切替機構と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記切替機構は、
前記カバーが前記開位置から前記閉位置に移動する場合に、前記本体に当接して、前記カバーに対し第一方向に移動する第一部材と、
前記第一部材を前記第一方向とは反対の第二方向に付勢する付勢部材と、
前記カバーに揺動可能に支持され、前記第一部材と前記剥離ローラとに連結し、前記第一部材が前記付勢部材の付勢力に抗して前記カバーに対し前記第一方向に移動した場合に、前記剥離ローラを前記離隔位置から前記当接位置に移動させる第二部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記カバーに取り外し可能に装着される剥離ユニットであって、
前記剥離ローラと、
前記第二部材に取り外し可能に連結し、前記剥離ローラを回転可能に支持し、前記カバーに揺動可能且つ取り外し可能に装着される第一装着部材と
を有する剥離ユニットと、
前記カバーに取り外し可能に装着される第一プラテンユニットであって、
前記プラテンローラと、
前記プラテンローラ及び前記剥離ローラと離隔し、前記プラテンローラの前記長手方向に延びる剥離板と、
前記プラテンローラを回転可能に支持し、前記剥離板を支持し、前記カバーに取り外し可能に支持される第一支持部材と
を有する第一プラテンユニットと
を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置は、本体、カバー、プラテンローラ、及び剥離機構を備える(例えば、特許文献1参照)。本体は、台紙にラベルが貼付された印刷媒体を収容可能である。カバーは、本体に対して開閉可能である。プラテンローラは、印刷媒体を搬送する。剥離機構は、剥離ローラを備え、剥離ローラとプラテンローラとの間に台紙を挟み、台紙のうちラベルが貼付されていない面が対向するように台紙を屈曲させて搬送することで、印刷されたラベルを台紙から剥離させる。印刷装置は、プラテンローラに対する剥離機構の位置を切り替えることで、印刷されたラベルが台紙に貼付された状態で排出される通常モードと、印刷されたラベルが台紙から剥離された状態で排出される剥離モードとに切り替えて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記印刷装置が剥離モードで使用される場合、ユーザは、本体に対しカバーを開閉する毎に、剥離機構の位置を手動で移動させる操作を行う必要があり、煩わしい。
【0005】
本発明の目的は、剥離モードで使用する時に、剥離機構の位置を手動で切り替えることなく、本体に対しカバーを開閉する操作を従来よりも簡単にすることが可能な印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る印刷装置は、印刷媒体を収容可能な収容部を有する本体と、前記収容部を開放する開位置と、前記収容部を閉鎖する閉位置とに変位可能なカバーと、前記カバーに設けられ、回転可能に支持されるプラテンローラと、前記カバーに設けられ、前記プラテンローラの長手方向と平行な軸周りに回転可能に支持される剥離ローラと、前記カバーに設けられ、前記カバーの変位に連動して、前記剥離ローラを前記プラテンローラに当接する当接位置と、前記プラテンローラから離隔した離隔位置とに切り替える切替機構とを備える。
【0007】
本態様に係る印刷装置によれば、印刷装置は、切替機構を備えるので、ユーザは、カバーを開閉する時に剥離ローラの位置を手動で切り替える必要がない。故に印刷装置は、剥離モードで使用する時に本体に対しカバーを開閉する操作が従来よりも簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)第一プラテンユニット4と、剥離ユニット5とをカバー3に装着し、カバー3が閉位置にある印刷装置1の斜視図であり、(B)第一プラテンユニット4と、剥離ユニット5とをカバー3に装着し、カバー3が開位置にある印刷装置1の斜視図である。
【
図2】カバー3、第一プラテンユニット4、剥離ユニット5、及び切替機構6の分解斜視図である。
【
図3】案内部材34、第一プラテンユニット4、剥離ユニット5、及び切替機構6の斜視図である。
【
図4】(A)第一プラテンユニット4、剥離ユニット5、及び切替機構6のカバー3が閉位置にある場合の
図5(A)のC-C線における矢視方向断面図であり、(B)第一プラテンユニット4、剥離ユニット5、及び切替機構6のカバー3が開位置にある場合の
図5(A)のC-C線における矢視方向断面図である。
【
図5】(A)第一プラテンユニット4と、剥離ユニット5とを取り付けたカバー3の正面図であり、(B)第一プラテンユニット4と、剥離ユニット5とを取り外したカバー3の正面図であり、(C)第一プラテンユニット4と、剥離ユニットと5に替えて第二プラテンユニット8と、規制ユニット7とを取り付けたカバー3の正面図である。
【
図6】(A)第二プラテンユニット8と、規制ユニット7とをカバー3に装着し、カバー3が閉位置にある印刷装置1の斜視図であり、(B)第二プラテンユニット8と、規制ユニット7とをカバー3に装着し、カバー3が開位置にある印刷装置1の斜視図である。
【
図7】カバー3、第二プラテンユニット8、規制ユニット7、及び切替機構6の分解斜視図である。
【
図8】(A)第二プラテンユニット8、規制ユニット7、及び切替機構6のカバー3が閉位置にある場合の
図5(C)のD-D線における矢視方向断面図であり、(B)第二プラテンユニット8、規制ユニット7、及び切替機構6のカバー3が開位置にある場合の
図5(C)のD-D線における矢視方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。印刷装置1は、無線通信により外部端末(図示略)に接続可能である。印刷装置1は、外部端末から受信した印刷データに基づいて、印刷媒体Mに文字及び図形等のキャラクタを印刷できる。印刷媒体Mは、一例として台紙に貼付された感熱ラベルであり、筒状の芯に巻回されている。外部端末は、一例として汎用のパーソナルコンピュータ(PC)である。印刷装置1は、電池駆動が可能である。印刷装置1は、例えばベルトクリップ(図示略)を介して腰ベルトに装着されることによって、作業中のユーザに携帯されて使用される。
図1の右下側、左上側、右上側、左下側、上側、及び下側を各々、印刷装置1の右側、左側、後側、前側、上側、及び下側と定義する。
【0010】
図1に示すように、印刷装置1は、本体2、カバー3、第一プラテンユニット4、剥離ユニット5、及び切替機構6を備える。本体2は、後部が開口する略直方体の箱状である。本体2は、開口部20及び収容部21を備える。開口部20は、本体2の後部において上方に開口する部分である。収容部21は、印刷媒体Mを収容可能な凹部である。
【0011】
印刷装置1は、切断刃22、サーマルヘッド23、レバー24、一対の係止部25、一対の支持部26、入力部27、及び表示部28を本体2に備える。切断刃22は、本体2のうち開口部20の前端部に設けられる。切断刃22は、印刷媒体Mの印刷された部分を切り離すことができる。サーマルヘッド23は、切断刃22の下側に設けられる。サーマルヘッド23は、加熱により感熱ラベルにキャラクタを印刷する。切断刃22及びサーマルヘッド23は、左右方向に延びる。
【0012】
レバー24は、本体2の右側面中央に設けられる。一対の係止部25は、本体2のうち開口部20の左右両端部に設けられる。各係止部25は、係止部25の下端が揺動可能に支持される。レバー24がユーザによって押し下げられた場合、各係止部25の上端部は後方に揺動する。
【0013】
一対の支持部26は、収容部21の左右両端部に配置され、左右方向に対向する。一対の支持部26は、印刷媒体Mの左右方向の両側を支持する。一対の支持部26の前端部は各々、後述の第一部材16の端部163が当接可能な当接部29である。入力部27及び表示部28は、本体2の前部上面に設けられる。入力部27は、複数のスイッチを備え、各種指示を入力できる。表示部28は、左右方向に長い液晶ディスプレイであり、各種情報を表示できる。
【0014】
カバー3は、左右方向に延びる支持軸31により本体2の後上端部に揺動可能に支持される。カバー3は、
図1(A)に示す、収容部21を閉鎖する閉位置と、
図1(B)に示す、収容部21を開放する開位置とに変位可能である。以下、カバー3の構成を、カバー3が閉位置にある状態を基準に説明する。
図2に示すように、カバー3は、カバー本体30及び案内部材34を備える。カバー本体30は、平面視逆U字であり、凹部32、及び一対の凸部33を備える。凹部32は、カバー3の前端から後方に凹む部分である。一対の凸部33は、カバー3の下面の内、凹部32の左右端後方となる部分に設けられ、下方に突出する。各凸部33は下端から上方に延びるネジ孔を有する。
【0015】
図1から
図4に示すように、案内部材34は、傾斜面37、左右一対の筒部36、左右一対の側壁部35、及び左右一対の装着部38を有する。傾斜面37は、後方程上側に傾斜した平面であり、印刷済みの印刷媒体Mを印刷装置1の外部に排出する際に、印刷媒体Mを案内する。左右一対の筒部36は各々、有底筒状であり、底部に上下に貫通する孔を有する。左右一対の筒部36は各々傾斜面37の左右端後方に設けられる。左右一対の筒部36は各々、対応する凸部33に嵌合され、案内部材34は、筒部36の孔と、凸部33のネジ孔とに挿通されたネジ39によりカバー本体30の下面に固定される。
【0016】
左右一対の側壁部35は各々、傾斜面37の左右端から前方に延びる。案内部材34がカバー3に固定された状態では、左右一対の側壁部35の上端と、傾斜面37の後端とは、カバー本体30の下面の内、凹部32の周囲に当接する。左右一対の側壁部35は、互いに左右対称の構成を有する。以下では、右側壁部35の構成を説明し、左側壁部35の説明を省略する。右側壁部35は、凸部351、354、孔352、及び筒リブ353を備える。凸部351は、右側壁部35の右面の前端部において、右方に筒状に突出する。凸部354は、右側壁部35の右面の後下端部において、右方に筒状に突出する。凸部351、354は右端から左方に延びるネジ孔を有する。孔352は、凸部351の後方において上下に延びる、左右方向に貫通する長孔である。筒リブ353は、円環状をなして右側壁部35から右方向に突出し、中央には左右方向に貫通する貫通孔が設けられる。筒リブ353の貫通孔には、後述の軸65が挿入される。軸65が筒リブ353の貫通孔に挿入された状態では、軸65の右端は筒リブ353の右端よりも右方に突出し、軸65の左端は右側壁部35の左側面よりも左方に突出する。左右一対の装着部38は、傾斜面37の前端部の左右方向の端部に設けられ、下方に延びる筒状の部位である。左右一対の装着部38は各々、下方から上方に延びるネジ孔を有する。
【0017】
第一プラテンユニット4及び剥離ユニット5はカバー3に取り外し可能に装着される。第一プラテンユニット4は、カバー3の下面のうちカバー3の前端部近傍に、取り外し可能に装着される。第一プラテンユニット4は、プラテンローラ41、剥離板42、及び支持部材43を備える。プラテンローラ41は、左右方向に延びる回転軸48の外周に筒状に形成される。プラテンローラ41は、一例として樹脂で形成され、回転軸48は、一例として金属で形成される。プラテンローラ41の左右方向の長さは、回転軸48の左右方向の長さの半分よりも長い。回転軸48の左右両端部には、円筒状の軸受44が嵌められる。カバー3を閉位置に配置した場合、各軸受44は、対応する係止部25により係止される。この場合、カバー3は、閉位置で維持される。カバー3が閉位置にある時にレバー24が押し下げられた場合、各軸受44から対応する係止部25が外れる。この時、カバー3は、支持軸31に外挿したバネ(図示略)の付勢力によって閉位置から開位置まで支持軸31を中心に揺動する。
【0018】
剥離板42は、プラテンローラ41の長手方向と平行に延びる板状である。剥離板42は、プラテンローラ41及び剥離ローラ51と離隔し、プラテンローラ41の上方に配置される。剥離板42の左右一対の端部47は、後方に屈曲する。
図4(A)に示すように、カバー3が閉位置にある時の剥離板42の前後方向の位置は、プラテンローラ41の前端と、プラテンローラ41の前後方向の中心との間にある。剥離板42の下端の上下位置は、プラテンローラ41の上端の上下位置と略同じである。
【0019】
図2から
図4に示すように、支持部材43は、プラテンローラ41を回転可能に支持し、剥離板42を支持し、カバー3に取り外し可能に支持される。支持部材43は、連結部45、左右一対の側壁部46、及び左右一対の固定板49を備える。連結部45は、左右方向に延び、プラテンローラ41の外周に沿って湾曲する板状である。連結部45の左端は、左側壁部46の前下部と連結し、連結部45の右端は、右側壁部46の前下部と連結する。
【0020】
左右一対の側壁部46は、左右方向に対し垂直に延びる板状である。左右一対の側壁部46は、互いに左右対称の構成を有する。以下、右側壁部46の構成を説明し、左側壁部46の構成の説明は省略する。右側壁部46は、凹部461、462、孔463、464、凸部465、468、及び装着部466(
図1(B)参照)を備える。凹部461は、右側壁部46の前上端から後方に凹む。凹部462は、凹部461の下方において、右側壁部46の前端から後方に凹む。凹部461の凹み量は、凹部462の凹み量よりも小さい。孔463、464は各々、左右方向に延びるネジ孔である。孔463、464は、右側壁部46の前後中央部において上下方向に並ぶ。凸部465、468は各々、右側壁部46の右面から右方に円柱状に突出する。凸部465は、右側壁部46の右面の後上部に設けられ、凸部468は、右側壁部46の右面の前下部に設けられる。装着部466は、右側壁部46の左面下部から左方に延びる。装着部466は、下端から上方に延びる孔を有する。第一プラテンユニット4は、装着部466の孔に挿通され、右側装着部38のネジ孔に締結されたネジ467(
図1(B)参照)により、案内部材34の左右一対の側壁部35の内側に取り外し可能に固定される。第一プラテンユニット4をカバー3から取り外す場合、ユーザは、ネジ467の締結を解除する。
【0021】
左右一対の固定板49は、互いに同じ構成を有する。以下、右固定板49の構成を説明し、左固定板49の説明を省略する。右固定板49は、左右方向に対し垂直に延びる板状である。右固定板49は、左右方向に貫通する孔491から496を備える。孔491は右固定板49の前上部に設けられ、側面視矩形状である。孔492は、孔491の下方に設けられ、側面視左右方向に長い楕円状である。孔493は、孔492の下方に設けられ、側面視円状である。孔494、495は、右固定板49の前後中央部に設けられ、上下方向に並ぶ。孔494、495は、側面視円状である。孔496は、右固定板49の後上部に設けられ、側面視左右方向に長い楕円状である。
【0022】
第一プラテンユニット4は、プラテンローラ41、剥離板42、及び支持部材43を以下のように組み立てて形成される。プラテンローラ41の回転軸48の左右方向の両端部は各々、対応する側壁部46の凹部462に配置され、剥離板42の左右一対の端部47は各々、対応する側壁部46の凹部461に配置される。右固定板49は、右側壁部46の右方に配置される。回転軸48の右端に嵌められた軸受44は、右固定板49の孔492に挿通されて保持される。剥離板42の右端部47は、右固定板49の孔491に挿通される。右側壁部46の凸部465は、孔496に挿通され、凸部468は、孔493に挿通される。右固定板49は、孔494に挿通され、孔464に締結されたネジ471(
図1(B)参照)と、孔495に挿通され、孔463に締結されたネジ472(
図1(B)参照)とにより、右側壁部46に固定される。同様に、左固定板49は、左側壁部46の左方に配置され、左側壁部46に固定される。
【0023】
剥離ユニット5は、カバー3の下面のうち第一プラテンユニット4の上方に、カバー3に取り外し可能に装着される。剥離ユニット5は、剥離ローラ51と、第一装着部材54とを備える。剥離ローラ51は、プラテンローラ41の長手方向と平行に延びる回転軸52の外周に筒状に設けられる。剥離ローラ51は、回転軸52の長手方向の中心部に設けられる。剥離ローラ51の左右方向の長さは、回転軸52の左右方向の長さの半分よりも短い。剥離ローラ51の左右方向の延設範囲は、プラテンローラ41の左右方向の延設範囲よりも狭い。剥離ローラ51は一例として樹脂で形成され、回転軸52は一例として金属で形成される。
【0024】
第一装着部材54は、プラテンローラ41の長手方向と平行な回転軸52周りに回転可能に剥離ローラ51を支持する。第一装着部材54は、カバー3に揺動可能且つ取り外し可能に装着される。第一装着部材54は、一例として樹脂で形成される。第一装着部材54は、連結部55、及び左右一対の側壁部56を備える。連結部55は、左右方向延びる棒状である。連結部55の左端部は、左側壁部56の前上部と連結する。連結部55の右端部は、右側壁部56の前上部と連結する。左右一対の側壁部56は、互いに左右対称の構造を有する。以下、右側壁部56の構造を説明し、左側壁部56の説明を省略する。右側壁部56は、前後方向に延びる、側面視角が丸みを帯びた三角形状である。右側壁部56は、凹部57、58を備える。凹部57は、右側壁部56の後下端部から上方に凹む。凹部58は、凹部57の前方において、右側壁部56の下端部から上方に凹む。凹部57には、筒リブ353の貫通孔に挿入された軸65の左端が係合される。凹部58には、後述のピン625が係合する。これにより、剥離ユニット5は、カバー3の下面のうち第一プラテンユニット4の上方に、カバー3に取り外し可能、且つ、軸65を中心に揺動可能に装着される。剥離ユニット5をカバー3から取り外す場合、ユーザは第一装着部材54の左右一対の側壁部56を内側に撓ませ、凹部57、58の各々と、軸65、ピン625との係合を解除する。
【0025】
左右一対の切替機構6は、カバー3に設けられ、カバー3の変位に連動して、剥離ローラ51をプラテンローラ41に当接する当接位置(
図4(A)参照)と、プラテンローラ41から離隔した離隔位置(
図4(B)参照)とに切り替える。詳細には、カバー3が閉位置にある時に剥離ローラ51は当接位置に位置し、カバー3が開位置にある時に剥離ローラ51は離隔位置に位置する。左右一対の切替機構6は各々、カバー3の内、案内部材34の側壁部35に装着される。左右一対の切替機構6は、互いに左右対称の構成を有する。以下、右切替機構6の構成を説明し、左切替機構6の説明を省略する。なお、
図4では、説明を簡単にするために、カバー3が閉位置にある時の姿勢(向き)と、開位置にある時の姿勢(向き)とを合わせるよう図示し、各部材の構成と、剥離ローラ51が当接位置と離隔位置とに亙って切り替わる動作を説明する。また、
図4では、案内部材34と後述の取付台64の図示を省略している。
【0026】
切替機構6は、第一部材61、付勢部材63、取付台64、第二部材62、及び軸65を備える。第一部材61は、側面視上下方向長いP字状の部材である。第一部材61は、カバー3が開位置から閉位置に移動する場合に、本体2の当接部29に当接して、カバー3に対し第一方向に移動する。本実施形態の第一方向は、第一部材61の長手方向である。カバー3が閉位置にある時、第一方向は、上方である。第一部材61は、本体611及び凸部612を備える。本体611は、上下方向に長く、左方から右方に凹む凹部616(左切替機構6でのみ図示)を備える箱状である。本体611は、右面上端部に左右方向に貫通する、上下方向に長い長孔614を備える。凸部612は、本体611の背面上部から後方に突出する。凸部612は、左方に突出するピン615を備える。付勢部材63は、第一部材61を第一方向とは反対の第二方向に付勢する。付勢部材63は、一例として圧縮コイルばねである。付勢部材63は、上下方向に圧縮される姿勢で、本体611の凹部616に配置される。
【0027】
取付台64は、第一部材61の長手方向の移動を案内する。取付台64は、壁部647、案内壁641、642、板部643、凸部644、装着部645、及び孔648、649を備える。壁部647は、左右方向に対し垂直に延びる板状である。案内壁641、642は各々、壁部647の右面に連結し、前後方向に対し垂直に延びる、上下方向に長い板状である。前後方向において、案内壁641、642の間には、第一部材61の本体611が配置される。板部643は、案内壁641、642の間に設けられ、壁部647の右面の中心付近から右方に延びる板状である。板部643の下面は、本体611に配置された付勢部材63の上端に当接する。凸部644は、板部643の上方において、壁部647の右面から右方に突出する。装着部645は、前案内壁641の上部から前方に延びる。装着部645は、左右方向に貫通する孔646を有する。孔648、649は、壁部647の内、後案内壁642よりも後方に設けられる。孔648は、側面視上下に長い長孔である。孔649は、側面視円状であり、孔648の下方に設けられる。取付台64は、孔646に挿通されたネジ650(
図3参照)と、孔649に挿通されたネジ651(
図3参照)とにより案内部材34の右側壁部35に固定される。第一部材61の本体611が案内壁641、642の間に配置された場合、孔648にはピン615が挿通される。凸部644は、本体611の長孔614に左方から挿入される。凸部644の孔にはネジ652(
図3参照)が固定され、第一部材61は取付台64から外れることなく長手方向に移動可能に支持される。
【0028】
第二部材62は、カバー3に揺動可能に支持される。第二部材62は、筒部621、前部622、及び後部623を備える。筒部621は、左右方向に貫通する孔624を有する筒状である。孔624には、軸65が挿通される。第二部材62は、軸65により案内部材34に回動可能に支持される。前部622は、筒部621の前側面から前方に延びる板状である。前部622の左面は、左方に突出するピン625を備える。ピン625は、案内部材34の右側壁部35の孔352に挿通される。
図5(B)に示すように、ピン625の左端は、右側壁部35の左面よりも左方に突出する。剥離ユニット5がカバー3に装着される場合、ピン625の左端は、第一装着部材54の凹部58に配置される。後部623は、筒部621の後側面から後方に延びる。後部623は、後部623の長手方向に延びる孔624を備える。後部623の長手方向は、筒部621を中心に放射状に延びる径方向である。孔624には、第一部材61のピン615が右方から挿通される。第二部材62は、ピン615を介し第一部材61と連結する。
【0029】
第二部材62は、第一部材61と剥離ローラ51を回転可能に支持する第一装着部材54とに連結する。第一部材61が付勢部材63の付勢力に抗してカバー3に対し第一部材61の長手方向に移動した場合に、第一装着部材54を介して剥離ローラ51を
図4(B)に示す離隔位置から、
図4(A)に示す当接位置に移動させる。
図4(B)に示すように、剥離ローラ51が離隔位置にある時、剥離ローラ51の上下方向の中心は、筒部621に対して前方に位置し、ピン615は、筒部621に対して後下方に位置する。プラテンローラ41と、剥離ローラ51との間隔は、剥離ローラ51の直径より長い。剥離ローラ51の下端は、剥離板42の上端よりも上方に位置する。
図4(A)に示すように、剥離ローラ51が当接位置にある時、剥離ローラ51の上下方向の中心は、筒部621に対して前下方に位置し、ピン615は筒部621に対して後方に位置する。剥離ローラ51の下端は、剥離板42の上端よりも下方に位置する。剥離ローラ51は、剥離板42の後方に位置する。
【0030】
カバー3に、剥離ユニット5と、第一プラテンユニット4とが装着された印刷装置1において、カバー3を開閉する操作を説明する。ユーザは、レバー24を押し下げ、カバー3を閉位置から開位置に変位させる(カバー3を開ける)。ユーザは、カバー3を閉位置から開位置に変位させるに際し、カバー3に対して、剥離ユニット5の位置を変更する必要はない。カバー3が移動しても、カバー3に対するプラテンローラ41の位置は変わらない。カバー3に対する剥離ローラ51の位置は、カバー3が閉位置から開位置に変位されるのに伴い変更される。具体的には、第一部材61の端部163は、本体2の当接部29と離隔し、第一部材61は、付勢部材63の付勢力によりカバー3に対し第一部材61の長手方向(下方、カバー3の上面から離れる側)に移動する。第一部材61のピン615は、
図4(A)で示す位置からカバー3の上面から離れる側(下方)に移動し、第二部材62は、右側面視時計回りに回動する。第二部材62の回動に伴い、第二部材62のピン625は、上面に近づく側(上方)に移動する。第二部材62のピン625の移動に伴い、剥離ユニット5は、軸65を中心として右側面視時計回りに回動する。これにより、剥離ローラ51は、
図4(A)に示す当接位置から、
図4(B)に示す離隔位置に移動される。ユーザは、印刷媒体Mが右側面視時計回りに巻回される向きで印刷媒体Mを収容部21に配置する。
【0031】
印刷装置1は、剥離ローラ51を用いて印刷後のラベルを台紙から剥離させる剥離モード、又は、剥離ローラ51を用いずに印刷後のラベルを台紙に貼付したままにする通常モードで使用可能である。印刷装置1を剥離モードで使用する場合、ユーザは、印刷媒体Mを収容部21に配置した後、印刷媒体Mの一端部を引き出して、剥離板42の前方から後方に、剥離板42の上端と、剥離ローラ51の下端との間に挿入する。一方、印刷装置1を通常モードで使用する場合、ユーザは、印刷媒体Mの一端部を剥離板42の前方及び剥離ユニット5の連結部55の上方に配置する。ユーザは、印刷装置1を剥離モードで使用する場合と、通常モードで使用する場合とで、カバー3に対する剥離ユニット5の位置を変更する必要はない。
【0032】
次に、ユーザは、カバー3を開位置から閉位置に変位させる(カバー3を閉じる)。ユーザは、カバー3を開位置から閉位置に変位させるに際し、プラテンローラ41に対して、剥離ユニット5の位置を変更する必要はない。カバー3が移動しても、カバー3に対するプラテンローラ41の位置は変わらない。カバー3に対する剥離ローラ51の位置は、カバー3が開位置から閉位置に変位されるのに伴い変更される。具体的には、第一部材61の端部163は、本体2の当接部29と当接し、付勢部材63の付勢力に抗してカバー3に対し第一部材61の長手方向(上方、カバー3の上面に近づく側)に移動する。第一部材61のピン615は、カバー3の上面に近づく側(上方)に移動し、第二部材62は、右側面反視時計回りに回動する。第二部材62の回動に伴い、第二部材62のピン625は、上面から離れる側(下方)に移動する。第二部材62のピン625の移動に伴い、剥離ユニット5は、軸65を中心として右側面視反時計回りに回動する。これにより、剥離ローラ51は、
図4(B)に示す離隔位置から、
図4(A)に示す当接位置に移動される。
【0033】
印刷装置1が剥離モードで使用される時、当接位置にある剥離ローラ51は、印刷媒体Mと当接する。印刷後の印刷媒体Mが搬送される時、ラベルは、自己の剛性により剥離板42によって屈曲される台紙から剥がれ、剥離ユニット5の連結部55の上方を通る経路で搬送され、印刷装置1の外部に排出される。一方、台紙は、剥離板42によって屈曲され、剥離ユニット5の連結部55の下方を通り、プラテンローラ41と、剥離ローラ51とによって挟まれる経路で搬送され、印刷装置1の外部に排出される。印刷装置1が通常モードで使用される時、当接位置にある剥離ローラ51は、印刷媒体Mと当接しない。印刷媒体Mは、剥離ユニット5の連結部55の上方を通る経路で搬送され、印刷装置1の外部に排出される。ユーザは、カバー3を閉位置に変位させた後、プラテンローラ41に対して、剥離ユニット5の位置を変更する必要はない。
【0034】
図5に示すように、印刷装置1は、剥離ユニット5に替えて、規制ユニット7を取り外し可能に装着でき、第一プラテンユニット4に替えて、第二プラテンユニット8を取り外し可能に装着できる。
図5から
図8では、剥離ユニット5と第一プラテンユニット4とが装着される場合と同じ構成には、同じ符号を付与する。規制ユニット7は、剥離ユニット5がカバー3に装着されない場合に、カバー3に取り外し可能に装着される。規制ユニット7は、例えば、印刷媒体Mがライナーレスラベルである場合に用いられる。ライナーレスラベルは、印刷面とは反対側の面に粘着層を有し、剥離紙等の台紙を備えない。ライナーレスラベルは、粘着層をロールの中心側に配置した向きで、ロール状に巻回される。
【0035】
規制ユニット7は、規制部材71、及び左右一対の第二装着部材72を備える。規制部材71は、プラテンローラ81の長手方向(左右方向)に沿って延びる板状である。規制部材71の前後方向の長さは、プラテンローラ81の直径よりも短く、プラテンローラ81の半径よりも長い。規制部材71のプラテンローラ81と対向する側の面は、プラテンローラ81の外周に沿って円弧状に湾曲する。規制部材71の左端は、左第二装着部材72の前端部と連結する。規制部材71の右端は、右第二装着部材72の前端部と連結する。
【0036】
第二装着部材72は、第二部材62に取り外し可能に連結する。第二装着部材72は、カバー3の変位に連動して、規制部材71を、プラテンローラ41に所定の隙間をあけて近接する近接位置と、近接位置よりもプラテンローラ41から離隔した退避位置とに切り替え可能に規制部材71を支持し、カバー3に揺動可能且つ取り外し可能に装着される。左右一対の第二装着部材72は、互いに左右対称の構成を有する。以下、右第二装着部材72の構成を説明し、左第二装着部材72の説明は省略する。右第二装着部材72は、左右方向に対し垂直な板状であり、前後方向に延びる。右第二装着部材72は、凹部73、74を備える。凹部73は、右第二装着部材72の後下端部から上方に凹む。凹部74は、凹部73の前方において、右第二装着部材72の下端部から上方に凹む。凹部73には、軸65の左端が係合される。凹部74には、ピン625が係合する。これにより、規制ユニット7は、カバー3の下面のうち第二プラテンユニット8の上方に、カバー3に取り外し可能、且つ、軸65を中心に揺動可能に装着される。規制ユニット7をカバー3から取り外す場合、ユーザは、左右一対の第二装着部材72を内側に撓ませ、凹部73、74の各々と、軸65、ピン625との係合を解除する。
【0037】
剥離ユニット5と同様に、規制ユニット7は、カバー3の閉位置から開位置への移動に連動して、規制部材71は、
図8(A)に示す近接位置から、
図8(B)に示す退避位置に移動する。近接位置に配置された規制部材71は、プラテンローラ41と規制部材71との間に印刷媒体Mが巻き込まれることを規制する。印刷媒体Mは、近接位置に配置された規制部材71の上側を移動し、印刷装置1の外部に排出される。
【0038】
第二プラテンユニット8は、第一プラテンユニット4がカバー3に装着されない場合に、カバー3に取り外し可能に装着される。第二プラテンユニット8は、プラテンローラ81と、第一プラテンユニット4の支持部材43と同様の支持部材43とを備える。プラテンローラ81は、左右方向に延びる回転軸48の外周に筒状に形成される。プラテンローラ81は、ライナーレスラベルの粘着層が接触するので、一例としてプラテンローラ41を形成する樹脂よりも剥離性の高い樹脂で形成され、回転軸48は、一例として金属で形成される。プラテンローラ81の形状は、プラテンローラ41と同様である。回転軸48の左右両端部には、円筒状の軸受44が嵌められる。支持部材43は、第一プラテンユニット4と同様に、プラテンローラ81を回転可能に支持し、カバー3に取り外し可能に支持される。即ち、第二プラテンユニット8は、装着部466の孔に挿通され、装着部466のネジ孔に締結されたネジ467により、案内部材34の左右一対の側壁部35の内側に取り外し可能に固定される。第二プラテンユニット8をカバー3から取り外す場合、ユーザは、ネジ467の締結を解除する。
【0039】
カバー3に、規制ユニット7と、第二プラテンユニット8とが装着された印刷装置1において、カバー3を開閉する操作を説明する。なお、
図8では、説明を簡単にするために、カバー3が閉位置にある時の姿勢(向き)と、開位置にある時の姿勢(向き)とを合わせるよう図示して説明する。また、
図8では、案内部材34と後述の取付台64の図示を省略している。ユーザは、レバー24を押し下げ、カバー3を閉位置から開位置に変位させる(カバー3を開ける)。ユーザは、カバー3を閉位置から開位置に変位させるに際し、プラテンローラ81に対して、規制ユニット7の位置を変更する必要はない。カバー3が移動しても、カバー3に対するプラテンローラ81の位置は変わらない。カバー3に対する規制部材71の位置は、カバー3が閉位置から開位置に変位されるのに伴い変更される。具体的には、第二部材62のピン625の移動に伴い、規制ユニット7は、軸65を中心として右側面視時計回りに回動する。これにより、規制部材71は、
図8(A)に示す近接位置から、
図8(B)に示す退避位置に移動される。規制部材71とプラテンローラ81との間に、印刷媒体Mが巻き込まれた場合、ユーザは、規制部材71が退避位置に配置された状態で、印刷媒体Mを除去する作業ができる。
【0040】
次に、ユーザは、カバー3を開位置から閉位置に変位させる(カバー3を閉じる)。ユーザは、カバー3を開位置から閉位置に変位させるに際し、プラテンローラ81に対して、規制ユニット7の位置を変更する必要はない。カバー3が移動しても、カバー3に対するプラテンローラ81の位置は変わらない。カバー3に対する規制部材71の位置は、カバー3が開位置から閉位置に変位されるのに伴い変更される。具体的には、第二部材62の回動に伴い、第二部材62のピン625は下方に移動する。第二部材62のピン625の移動に伴い、規制ユニット7は、軸65を中心として右側面視反時計回りに回動する。これにより、規制部材71は、
図8(B)に示す退避位置から、
図8(A)に示す近接位置に移動される。ユーザは、カバー3を閉位置に変位させた後、カバー3に対して、規制ユニット7の位置を変更する必要はない。以上のように、カバー3に規制ユニット7と、第二プラテンユニット8とが装着された場合、切替機構6は、カバー3が閉位置にある時に規制部材71が近接位置に位置し、カバー3が開位置にある時に規制部材71が退避位置に位置するよう、カバー3の変位に連動して規制部材71の位置を切り替える。
【0041】
上記実施形態の印刷装置1において、印刷装置1、本体2、収容部21、カバー3、剥離ローラ51、及び切替機構6は各々、本発明の印刷装置、本体、収容部、カバー、剥離ローラ、及び切替機構の一例である。プラテンローラ41、81は、本発明のプラテンローラの一例である。第一部材61、第二部材62、及び付勢部材63は各々、第一部材、第二部材、及び付勢部材の一例である。第一プラテンユニット4、剥離板42、剥離ユニット5、及び第一装着部材54は各々、本発明の第一プラテンユニット、剥離板、剥離ユニット、及び第一装着部材の一例である。支持部材43は、本発明の第一支持部材及び第二支持部材の一例である。規制ユニット7、第二プラテンユニット8、規制部材71、及び第二装着部材72は各々、本発明の規制ユニット、第二プラテンユニット、規制部材、及び第二装着部材の一例である。
【0042】
図1から
図5に示すように、上記実施形態の印刷装置1は、本体2、カバー3、プラテンローラ41、剥離ローラ51、及び切替機構6を備える。本体2は、印刷媒体Mを収容可能な収容部21を有する。カバー3は、収容部21を開放する開位置(
図1(B)参照)と、収容部21を閉鎖する閉位置(
図1(A)参照)とに変位可能である。プラテンローラ41は、カバー3に設けられ、回転可能に支持される。剥離ローラ51は、カバー3に設けられ、プラテンローラ41の長手方向と平行な軸周りに回転可能に支持される。切替機構6は、カバー3に設けられ、カバー3の変位に連動して、剥離ローラ51をプラテンローラ41に当接する当接位置(
図4(A)参照)と、プラテンローラ41から離隔した離隔位置(
図4(B)参照)とに切り替える。印刷装置1は、切替機構6を備えるので、ユーザは、カバー3を開閉する時に剥離ローラ51の位置を手動で切り替える必要がない。故に印刷装置1は、剥離モードで使用する時に本体2に対しカバー3を開閉する操作が従来よりも簡単である。
【0043】
切替機構6は、第一部材61、付勢部材63、及び第二部材62を備える。第一部材61は、カバー3が開位置から閉位置に移動する場合に、本体2に当接して、カバー3に対し第一方向に移動する。付勢部材63は、第一部材61を第一方向とは反対の第二方向に付勢する。第二部材62は、カバー3に揺動可能に支持され、第一部材61と剥離ローラ51とに連結し、第一部材61が付勢部材63の付勢力に抗してカバー3に対し第一方向に移動した場合に、剥離ローラ51を離隔位置から当接位置に移動させる。印刷装置1は、第一部材61、付勢部材63、及び第二部材62という比較的簡単な構成により、カバー3の変位に連動して、剥離ローラ51を当接位置と、離隔位置とに切り替えることができる。印刷装置1は、左右一対の切替機構6を備え、剥離ローラ51の左右両端部をカバー3の変位に連動して、変位させる。故に、印刷装置1は、切替機構6が剥離ローラ51の左右両端部の内の何れかのみに設けられる場合に比べ、カバー3の変位に連動して、剥離ローラ51を当接位置と、離隔位置とに安定して切り替えることができる。
【0044】
図5から
図8に示すように、印刷装置1は、剥離ユニット5と、第一プラテンユニット4とをカバー3に取り外し可能に装着できる。剥離ユニット5は、剥離ローラ51と、第一装着部材54とを備える。第一装着部材54は、第二部材62に取り外し可能に連結し、剥離ローラ51を回転可能に支持し、カバー3に揺動可能且つ取り外し可能に装着される。第一プラテンユニット4は、プラテンローラ41、剥離板42、及び支持部材43を備える。剥離板42は、プラテンローラ41及び剥離ローラ51と離隔し、プラテンローラ41の長手方向に延びる。支持部材43は、プラテンローラ41を回転可能に支持し、剥離板42を支持し、カバー3に取り外し可能に支持される。印刷装置1は、剥離ユニット5と、第一プラテンユニット4との各々をカバー3から取り外すことができる。印刷装置1は、剥離ユニット5と、第一プラテンユニット4とが取り外せない装置に比べ、印刷装置1のメンテナンス性を向上できる。印刷装置1は、剥離板42により、比較的簡単な構成で、印刷媒体Mの経路を屈曲させることができる。印刷装置1は、剥離板42を第一プラテンユニット4に設けるので、第一プラテンユニット4を印刷装置1から取り外すことで、剥離板42を取り外すことができる。
【0045】
規制ユニット7は、剥離ユニット5がカバー3に装着されない場合に、カバー3に取り外し可能に装着される。規制ユニット7は、規制部材71、及び第二装着部材72を備える。規制部材71は、プラテンローラ81の長手方向に沿って延びる。第二装着部材72は、第二部材62に取り外し可能に連結する。第二装着部材72は、カバー3の変位に連動して、規制部材71を、プラテンローラ41に所定の隙間をあけて近接する近接位置と、近接位置よりもプラテンローラ41から離隔した退避位置とに切り替え可能に規制部材71を支持し、カバー3に揺動可能且つ取り外し可能に装着される。第二プラテンユニット8は、第一プラテンユニット4がカバー3に装着されない場合に、カバー3に取り外し可能に装着される。第二プラテンユニット8は、プラテンローラ81と、第二支持部材82とを備える。第二支持部材82は、プラテンローラ81を回転可能に支持し、カバー3に取り外し可能に支持される。規制部材71は、カバー3の閉位置から開位置への移動に連動して、近接位置から退避位置に移動する。近接位置に配置された規制部材71は、プラテンローラ41と規制部材71との間に印刷媒体Mが巻き込まれることを規制する。
【0046】
印刷装置1は、剥離ユニット5と、第一プラテンユニット4とに替えて、規制ユニット7と、第二プラテンユニット8との各々をカバー3に装着することで、剥離モードとは異なるモードで印刷装置1を使用できる。具体的には、台紙にラベルが貼付された印刷媒体Mの代わりに、印刷面と反対側の面に粘着層を有する台紙のない長尺状のライナーレスラベルを用いて印刷を行うモードの場合、規制部材71は、プラテンローラ81で搬送される際にプラテンローラ81に貼り付いたライナーレスラベルを剥離させ、規制部材71とプラテンローラ81の隙間に印刷媒体Mが巻き込まれることを規制する。しかしながら、何らかの原因で、ライナーレスラベルがプラテンローラ81から剥がれずに、規制部材71とプラテンローラ81の隙間に進入して詰まりが発生する場合がある。この場合、ユーザがカバー3を開けることで、規制部材71は近接位置から退避位置に移動するので、規制部材71が近接位置にある場合に比べ、規制部材71とプラテンローラ81との隙間が拡大される。これにより、ユーザは、ライナーレスラベルの詰まりを除去する作業が容易にできる。また、印刷装置1は、剥離ユニット5と、規制ユニット7とで、一対の切替機構6を共通化できる。
【0047】
本発明の印刷装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
【0048】
印刷装置1を構成する部材の形状、数、配置、材質、及び装着方法等は適宜変更されてよい。例えば、本体2に対するカバー3の配置、及び開度等は適宜変更されてよい。第一プラテンユニット4と、剥離ローラ51との少なくとも何れかは、カバー3に対し取り外し不能に支持されてもよい。剥離板42は、第一プラテンユニット4ではなく、剥離ユニット5に設けられてよいし、省略されてもよい。第一プラテンユニット4と、第二プラテンユニット8とで、支持部材43の構成が互いに異なっていてもよい。印刷装置1は、規制ユニット7及び第二プラテンユニット8を取り外し可能に装着できなくてもよい。印刷装置1は、規制ユニット7及び第二プラテンユニット8を取り外し可能に装着でき、剥離ユニット5及び第一プラテンユニット4を装着できなくてもよい。左右一対の切替機構6の構成は適宜変更されてよく、例えば、印刷装置1は、左右一対の切替機構6の何れかのみを備えてもよい。切替機構6は、第二部材62を備えず、第一部材61のピン615が、支持部材43の揺動軸の後方において、直接支持部材43に連結されてもよい。第一部材61の移動方向は、第一部材61の構成、本体2における第一部材61が当接する部分等に応じて適宜変更してよく、例えば、第一方向は、第一部材61に対し支持軸31側(右方)であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1:印刷装置、2:本体、3:カバー、4:第一プラテンユニット、5:剥離ユニット、6:切替機構、7:規制ユニット、8:第二プラテンユニット、21:収容部、41、81:プラテンローラ、42 剥離板、43:支持部材、4:第一プラテンユニット、51:剥離ローラ、54:第一装着部材、61:第一部材、62:第二部材、63:付勢部材、71:規制部材、72:第二装着部材